(a) f: X → Y をスキームの射とする。y ∈ Y を点とする。 sp(X_y) は、f^(-1)(y) と位相同型であることを示せ。 ここで、sp(X_y) は、f の y 上のファイバー X_y の台位相空間を あらわし、f^(-1)(y) は、X の部分空間としての位相を考える。
(b) X = Spec(k[s, t])/(s - t^2), Y = Spec(k[s]) とし, f: X → Y を s → s により定義される射とする。 y ∈ Y を点 a ∈ k, a ≠ 0 とする。このとき、ファイバー X_y は、2点からなり、剰余体は k であることを示せ。 y が点 0 ∈ k に対応する場合は、X_y は被約でない1点からなる スキームであることを示せ。 ηが Y の生成点のとき、X_ηは1点からなるスキームであり、 その剰余体は、ηの剰余体の2次の拡大体であることを示せ (k を代数的閉体と仮定せよ)。
597 名前:132人目の素数さん [03/11/03 16:02]
定義 閉埋入とは、スキームの射 f: Y → X で、sp(Y) から sp(X) の 閉部分集合への位相同型を誘導し、さらに f による誘導射 O_X → f_*(O_Y) が全射となるものをいう。 スキーム X の閉部分スキームとは、閉埋入の同値類をいう。 ここで、f: Y → X と f': Y' → X は、同型 i: Y'→ Y で f' = fi となるものが存在するとき、同値という。
598 名前:132人目の素数さん [03/11/03 16:17]
Hartshorne II Ex. 3.11 (閉部分スキーム)
(a) 閉埋入は基底の拡大で安定である: すなわち、f: Y → X を閉埋入とし、X' → X を任意の射とする。 このとき、Y x X' → X' も閉埋入である。 ここで、Y x X' は X 上のファイバー積である。
補題 X = Spec(A) をアフィン整スキームとする。 X が正規なら、A は、その商体において整閉である。
証明 定義から A の各局所環は整閉である。 これから、A も整閉である。
614 名前:132人目の素数さん [03/11/03 22:48]
補題 X = Spec(A) をアフィン整スキームとする。 A~ を A の商体における A の整閉包とする。 X~ = Spec(A~) は>>610の意味の X の正規化である。
証明 f: X~ → X を標準射とする。 U = Spec(B) を X のアフィン開集合とする。 f^(-1)(U) は Spec(A~ (x) B) と見なせる。 ここに、A~ (x) B は、A 上のテンソル積。 f^(-1)(U) の商体は、X~ の商体、即ち X の商体である。 f^(-1)(U) は正規であるから、>>613の補代より A~ (x) B は整閉である。これから、A~ (x) B は B の整閉包 である。
615 名前:132人目の素数さん [03/11/03 22:59]
補題 X = Spec(A) をアフィン整スキームとする。 X~ を>>610の意味の X の正規化とする。 f: X~ → X を標準射とする。 任意の正規な整スキーム Z と任意の支配的射 g: Z → X に対して、g は Z → X~ → X と一意に分解する。
証明 U = Spec(B) を Z の任意の空でないアフィン開集合とする。 g の制限 U → X を考える。 g は支配的だから、A → B は単射である。 B は整閉だから、A → B は、A → A~ → B と一意に分解する。 即ち、U → X は、U → X~ → X と一意に分解する。 U は任意の空でないアフィン開集合であったから、 補代がいえる。
616 名前:132人目の素数さん [03/11/03 23:05]
補題 X 整スキームとする。 X~ を>>610の意味の X の正規化とする。 f: X~ → X を標準射とする。 任意の正規な整スキーム Z と任意の支配的射 g: Z → X に対して、g は Z → X~ → X と一意に分解する。
証明 U = Spec(A) を x の任意の空でないアフィン開集合とする。 >>615より、g^(-1)(U) → U は、g^(-1)(U) → f^(-1)(U) → U と一意に分解する。これより、補題がいえる。
617 名前:132人目の素数さん [03/11/03 23:12]
補題 X = Spec(A) をアフィン整スキームとする。 X~ = Spec(A~) を X の正規化とする。 f: X~ → X を標準射とする。 U を X の任意の空でない開集合とする。 f^(-1)(U) は、U の正規化である。
(a) f: X → Y をスキームの射とする。y ∈ Y を点とする。 f の y 上のファイバーは、X_y = X x Spec(k(y)) である。 ここで、k(y) は y の剰余体で、X x Spec(k(y)) は Y 上のファイバー積である。 射影 X x Spec(k(y)) → X を p とする。 射影 X x Spec(k(y)) → Spec(k(y)) を q とする。 以下の図式は可換である。
X x Spec(k(y)) --> Spec(k(y)) ↓ ↓ X ---------------> Y
z ∈ X_y とする。 ファイバー積の定義から、 f(p(z)) = j(q(z)) = y である。ここで、j: Spec(k(y)) → Y は 標準射。従がって、p(z) ∈ f^(-1)(y) となる。 逆に、x ∈ f^(-1)(y) とする。 g: Spec(k(x)) → X が存在し、g(ζ) = x となる。 ここで、ζはk(x)の生成点である。 f(x) = y であるから、k(y) ⊆ k(x) と考えられる。 これより、h: Spec(k(x)) → Spec(k(y)) が一意に定まる。 fg = jh だから、φ: Spec(k(x)) → X x Spec(k(y)) が一意に 存在し、pφ = g, qφ = j となる。 φ(ζ) = z とすれば、pφ(ζ) = g(ζ) = x だから、p(z) = x である。 この z は、φの一意製より、一意に定まる。 以上より、p の sp(X_y) への制限写像は、集合として sp(X_y) と f^(-1)(y) の全単射を与える。 U を X のアフィン開集合とすると、 U x Spec(k(y)) は、U ∩ f^(-1)(y) と位相同型であることは、 >>528よりわかる。故に、sp(X_y) と f^(-1)(y) は位相同型である。
660 名前:132人目の素数さん [03/11/05 22:51]
>>659 >U を X のアフィン開集合とすると、 U x Spec(k(y)) は、U ∩ f^(-1)(y) と位相同型であることは、 >>528よりわかる。故に、sp(X_y) と f^(-1)(y) は位相同型である。
これを、以下のように訂正する。 x ∈ X で f(x) = y U を X のアフィン開集合、V を Y のアフィン開集合とし、 x ∈ X, y ∈ V, f(U) ⊆ V とする。U x Spec(k(y)) を V 上の テンソル積とする。U x Spec(k(y)) は、U ∩ f^(-1)(y) と 位相同型であることは、>>528よりわかる。 故に、sp(X_y) と f^(-1)(y) は位相同型である。
(b) Y の台位相空間は X = Spec(A) の閉集合と位相同型だから、 Y の台位相空間を X の閉集合と見なしてよい。 y ∈ Y を含む Y のアフィン開集合 V をとる。 Y は X の部分位相空間だから、V = U ∩ Y となる X の開集合 U がある。y ∈ D(g) ⊆ U となる X のアフィン開集合 D(g) をとる。 V_g' = D(g) ∩ Y となる。 ここで、g' は、f: Y → X に付随する A → Γ(Y) と 制限写像 Γ(Y) → Γ(V) の合成写像による g の像であり、 V_g' = Spec(Γ(V)[1/g']) である。 さて、各点 x ∈ X に対して x ∈ D(f_i) となる X の アフィン開集合を以下のようにとる。 まず、x ∈ X - Y のときは、x ∈ D(f_i) となる任意の D(f_i) をとる。x ∈ Y のときは x ∈ D(f_i) で D(f_i) ∩ Y が Y のアフィン開集合となるもの。 この D(f_i) の存在は上で証明されている。 Y は準コンパクトだから、D(f_i) ∩ Y が空でないものは 有限個に出来る。さらに X も準コンパクトだから D(f_i) 全体も有限個に出来る。 これから Ex. 2.17b より Y はアフィンである。 Ex. 2.18d より、A のあるイデアル I があって Y = Spec(A/I) となり Y → X は 自然な Spec(A/I)→ Spec(A) と見なせる。 証明終
Ex.3.18. 構成可能集合(constractible set). X をザリスキ位相空間とする. X の構成可能部分集合(constractible subset)とは, 以下をみたす最小の、部分集合の族 F に属する部分集合のことである: (1) 各開集合は F の元, (2) F の元の有限個の共通部分は F の元, (3) F の元の補集合は F の元.
(a) X の部分集合が局所的に閉であるとは, それがある開集合と ある閉集合との共通部分になっていることである. X の部分集合が構成可能であることの必要十分条件は それが局所的に閉な部分集合の有限個の非交和と書けることであることを示せ.
(b) 既約なザリスキ空間 X の構成可能部分集合が稠密であることの必要十分条件が それが生成点を含むことであることを示せ. さらに, そのときそれは空でない開集合を含む.
(c) X の部分集合 S が閉であることの必要十分条件は それが構成可能かつ特殊化で安定であることである. 同様に, X の部分集合 T が開であることの必要十分条件は それが構成可能かつ一般化で安定であることである.
(d) f: X -> Y がザリスキ空間の連続写像ならば, Y の構成可能部分集合の逆像は X の構成可能部分集合である.
まず X をアフィンスキーム Spec(A) と仮定する。 II Ex. 3.11 (b) より、アフィンスキームの閉部分スキームは アフィンだから、Y, Y' もアフィンとなる。 Y = Spec(A/I), Y' = Spec(A/J) と仮定してよい。 V(I) = V(J) だから、rad(I) = rad(J) となる。 Y は被約だから, I = rad(I) である。故に I = rad(J) となる。 J ⊆ I だから、A → A/I は A → A/J → A/I と分解する。 これより、Y → X は Y → Y' → X と分解する。
X のアフィン開集合 D(f) に対して、 上記の分解の D(f) への制限 Y ∩ D(f) → Y' ∩ D(f) → D(f) は、 A_f → A_f/JA_f → A_f/IA_f から得られる。 これより、W = Spec(B) が X の任意のアフィン開集合のとき、 Y → Y' → X の W への制限 Y ∩ W → Y' ∩ W → W は、 B → B/J' → B/I' から得られることがわかる。 ここに、I', J' はそれぞれ Y ∩ W と Y' ∩ W に 対応する B のイデアルである。
一般の場合は、X のアフィン被覆をとることにより、 X がアフィンの場合に帰着する。 これは、次のことに注意すればよい。 U と V を X のアフィン開集合とする。 Y ∩ U → Y' ∩ U → U と Y ∩ V → Y' ∩ V → V は U ∩ V で一致する。 これは、U ∩ V に含まれる任意のアフィン開集合 W をとり、上記を適用すればよい。
751 名前:132人目の素数さん [03/11/16 12:59]
II Ex. 3.11 (d) の解答
まず X をアフィンスキーム Spec(A) と仮定する。 f: Z → X は φ: A → Γ(X) により定まる(II Ex.2.4)。 I = Ker(φ), Y = Spec(A/I) とおけば、Y が問題の 性質をみたすことは明らかである。
X がアフィンでない場合。 U を X のアフィン開集合とする。 f_U : f^(-1)(U) → U を f の制限とする。 Y_U を上記のようにして得られる U の閉部分スキームとする。 V を X のアフィン開集合とする。 Y_U と Y_V は U ∩ V で一致することは明らかだろう。 これより、Y が存在し、問題の性質をみたすことも 明らかだろう。
752 名前:132人目の素数さん [03/11/16 13:30]
II Ex. 3.12 (a) の解答
U = Proj(T) は明らか。 φ: S → T の核を I とする。 T と S/I は標準的に同型だから、 Proj(T) = Proj(S/I) とみなしてよい。 h を S+ の同次元とする。 D+(h) = Spec(S[1/h]_0) であり、 f^(-1)(D+(h)) = Spec((S/I)[1/h']_0) である(>>459参照)。 ここに、S[1/h]_0 は局所化 S[1/h] の 0 次部分であり、 h' は h の S/I における像である。 (S/I)[1/h']_0 は S[1/h]_0/IS[1/h]_0 と見なせる。 従がって、f^(-1)(D+(h)) → D+(h) は閉埋入である。 D+(h) は S の開被覆となるから、f も閉埋入である。
I' ⊆ I だから射φ: S/I' → S/I が存在する。 これが誘導する射 Proj(S/I) → Proj(S/I') は 同型であることが II Ex. 2.14 (c) よりわかる(>>469参照)。 S → S/I は S → S/I' → S/I と分解するから、 Proj(S/I) と Proj(S/I') は同じ閉部分スキームを定める。
757 名前:132人目の素数さん [03/11/16 20:12]
II Ex. 3.14 の解答
X はアフィンと仮定してよい。 X = Spec(A) とする。 f をベキ零でない A の元とする。 A_f ≠ 0 だから、A_f の極大イデアル P が存在する。 φ: A → A_f を標準射とする。φ^(-1)(P) = P' とおく。 A/P' → A_f/P をφから誘導される単射とする。 A_f は体 k 上有限型だから、ヒルベルトの零点定理より、 A_f/P は k 上有限次代数拡大である。 従がって、A/P' も k 上有限次代数拡大である 故に、P' は A の極大イデアルである。 P' ∈ D(f) だから、X の閉点全体は X で稠密である。 これで、問題の前半が証明された。
(B, m) を体でない局所整域とする。 f ≠ 0 を B の元で、m に含まれる元とする。 D(f) は 0 イデアルを含むから空でなく、m を含まない。 これより、 Spec(B) の閉点全体 {m} は Spec(B) で稠密でない。
U を X のアフィン開集合とし、 P を U の閉点とする。P が X の閉点であることを示せばよい。 Q を {P} の閉包に含まれる点とする。 Q ∈ V となる任意のアフィン開集合 V = Spec(A) を取る。 P ∈ U ∩ V である。 P ∈ D(f) ⊆ U ∩ V となる、A の元 f がある。 P は D(f) の閉点だから、零点定理より、V の閉点でもある。 従がって、P = Q である。 故に P は の閉点である。
X が性質Pを満たさないと仮定して矛盾となることを示す。 X の閉集合で性質Pを満たさないものの集合をSとする。 X ∈ S だからS は空でない。 X は仮定よりネーター空間だから、S は包含関係による極小元 F を 持つ。Fの真部分閉集合は性質Pを満たす。従がって、仮定より Fは性質Pを満たす。仮定よりFは性質Pを満たさないから、これは矛盾である。
F をZariski空間 X の空でない極小閉集合とする。 x ∈ F なら {x}の閉包は F に含まれるから F と一致する。 つまり、F の任意の点は F の生成点である。 Zariski空間 X の定義より、F の生成点は一意に決まるから F は一点よりなる。
817 名前:132人目の素数さん [03/11/20 21:58]
II Ex. 3.17 (c) の解答
x と y を X の相異なる2点とする。 X はZariski空間だから、{x} の閉包 A と {y] の閉包 B は異なる。 つまり、 A は B に含まれないか、B は A に含まれない。 これは、(c) の主張を意味する。
818 名前:132人目の素数さん [03/11/20 22:04]
II Ex. 3.17 (d) の解答
x を X の生成点とする。 定義から X は {x} の閉包である。 これより、(d) の主張は明らかである。
819 名前:132人目の素数さん [03/11/20 22:48]
II Ex. 3.17 (e) の解答
x を 特殊化(specialization)における極小元とする。 F を {x} の閉包とし、y を F の元とする。 {y} の閉包は F に含まれるから F と一致する。 従がって y は F の生成元である。 X は Zariski空間だから F の生成元は一意に決まる。 故に、 x = y である。即ち、F は閉点である。
x を 特殊化(specialization)における極大元とする。 F を {x} の閉包とする。 F を含む既約閉集合を E とする。 X は Zariski空間だから E は生成元 y を持つ。 x は y の特殊化だから、x の極大性より x = y である。 故に, F = E となる。これは、F が X の既約成分であることを 意味する。
F を X の閉集合とする。 x を F の点とし、y を x の特殊化とする。 E を {x} の閉包とする。 E は F に含まれる。従がって、y も F に含まれる。 つまり、閉集合は特殊化で安定的(stable)である。
U を X の開集合とする。 x を U の点とし、y を x の一般化(generization)とする。 x は {y} の閉包に属すから、 y は U に含まれる。 つまり、開集合は一般化で安定的である。
今、注文しておいた洋書の古本が届いた。 Theorie der Kahlerschen Mannigfaltigkeiten by Andre Weil. 表紙を見たら Saunders MacLane のサインがあった。 裏表紙の内側にMacLaneの蔵書よりと古書店の書き込みがあった。 サインも古びており偽物と疑う理由はない。
定義より、t(X) の閉集合は、t(Y) の形の集合である。ここに Y は X の閉集合である。本文 (2.6) のように、写像 α: X → t(X) を α(p) = {p}~ で定義する。ここに、{p}~ は {p} の閉包である。 容易にわかるように、Y が X の閉集合なら α^(-1)(t(Y)) = Y である。t(Y_1) ⊆ t(Y_2) ... を t(X) の閉集合の昇鎖列とする。 この列にα^(-1)を作用させると、Y_1 ⊆ Y_2 ...となる。 X がネーター空間なら、この列はある番号から先一致する。 従がって列 t(Y_1) ⊆ t(Y_2) ...もある番号から先一致する。 故に、t(X) はネーター空間である。
t(Y) が t(X) の既約閉集合とする。 Y = Y_1 ∪ Y_2 とする。ここで、Y_1, Y_2 は閉集合。 t(Y) = t(Y_1) ∪ t(Y_2) だから、t(Y) = t(Y_1) または t(Y) = t(Y_2) となる。これより、Y = Y_1 または Y = Y_2 となる。即ち Y は既約である。従がって Y ∈ t(Y) となる。 Z を X の閉集合として、Y ∈ t(Z) とする。これは、Y ⊆ Z を 意味する。故に、t(Y) ⊆ t(Z) となる。これは、t(Y) が {Y} 閉包であることを意味する。即ち Y は t(Y) の生成点である。 Z をt(Y) のもう一つの生成点とする。{Z} の閉包は t(Z) であるから、 t(Y) = t(Z) となり、 Y = Z となる。即ち、t(Y) の生成点は 一意に決まる。以上で、t(X) はZariski空間であることが証明された。
(続く)
831 名前:132人目の素数さん [03/11/22 22:57]
II Ex. 3.17 (f) の解答の続き
X はZariski空間であるとする。 α: X → t(X) が全単射であることは明らかである。 Y を X の閉集合とする。α(Y) = t(Y) だから、 αは閉写像であり、従がって、同相写像である。
逆に、α: X → t(X) が同相写像であるとする。 t(X) はZariski空間であるから、X もZariski空間である。
832 名前:132人目の素数さん [03/11/22 23:43]
II Ex. 3.18 (a) の解答
X の局所閉集合の有限個の直和となる部分集合の全体をΩとする。 任意の開集合はΩに属すから、Ωは有限個の交わりと補集合をとる 操作に関して閉じていることを示せばよい。
局所閉集合の有限個の交わりは局所閉集合である。 これから E_1 ∈ Ω, E_2 ∈ Ω のとき E_1 ∩ E_2 ∈ Ωとなる。 よって、Ωは有限個の交わりをとる操作に関して閉じている。 次にΩは補集合をとる操作に関して閉じていることを示す。 X の部分集合 A に対して C(A) を A の補集合とする。 U を開集合、F を閉集合とする。 U ∪ F = (U - F) ∪ (U ∩ F) ∪ (F - U) だから、 U ∪ F ∈ Ω となる。 C(U ∩ F) = C(U) ∪ C(F) だから、C(U ∩ F) ∈ Ω となる。 Z_1 と Z_2 を局所閉集合とする。 E = Z_1 ∪ Z_2 なら、C(E) = C(Z_1) ∩ C(Z_2) であり、 上で述べたことより、C(Z_1) ∈ Ω, C(Z_2) ∈ Ωであり、 従がって、C(E) ∈ Ω である。
833 名前:132人目の素数さん [03/11/23 02:03]
II Ex. 3.18 (b) の解答
x を X の生成点とする。 E を X の可構集合(constructible subset) とする。 さらに E が X で稠密とする。 E は局所閉集合 Z_1, ... Z_n の直和とする。 E の閉包、即ち X は、各 Z_i の閉包の合併集合であり、 X は既約だから、ある Z_i の閉包と一致する。 Z_i = U ∩ C(V) とする。ここで、U と V は X の開集合であり、 C(V) = X - V である。 U が空とすると、Z_i は空であり、Z_i が稠密であることに反する。 従がって U は空でない。x は X の生成点だから、 x ∈ U となる。さらに V が空でないとすると、Z_i ∩ V は 空だから Z_i が稠密であることに反する。 従がって、V は空であり、Z_i = U となる。 これから、x ∈ Z_i ⊆ E であり、E が空でない開集合 U を含む ことが分かる。
S を X の可構集合とし、特殊化で安定とする。 S が閉集合であることを示す。 U = X - S と置く。 S の閉包の既約成分を F_1, ... F_n とする。 各 F_i の生成点を P_i とする。 ある i に対して P_i ∈ U と仮定する。 i = 1 と仮定してよい。 U は X の可構集合だから、U ∩ F_1 は F_1 の可構集合である。 II Ex. 3.18 (b) より、U ∩ F_1 は F_1 の空でな開集合 V を 含む。G = F_1 - V と置く。 V ⊆ U だから S = X - U ⊆ G ∪ F_2 ∪ ...∪ F_n となる。 これより、[S] = G ∪ F_2 ∪ ...∪ F_n となる。 ここで [S] は S の閉包をあらわす。G は F_1 の真閉部分集合 だから、これは F_1 が [S] の既約成分であることと矛盾する。 従がって、各 P_i は S に含まれる。仮定より、 S は特殊化で安定であるから、各 F_i は、S に含まれる。 よって、S = [S] となり S は閉集合である。
次に (c) の後半を示す。 T を X の可構集合とし、一般化で安定とする。 X - T が閉集合であることを示せばよい。 x を X - T の点とする。 y を x の特殊化とする。x は y の一般化である。 y ∈ T と仮定すると、 仮定よりT は一般化で安定だから x ∈ T となり矛盾。従がって y ∈ X - T である。 これは、X - T が特殊化で安定であることを意味する。 故に、前半の結果から X - T は閉集合である。
838 名前:132人目の素数さん [03/11/23 20:16]
補題 A をネーター環、X = Spec(A) とする。 Z を X の可構部分集合とする。 このとき、アフィンスキーム Y と有限型の射 f: Y → X が 存在し、f(Y) = Z となる。
証明 Z を局所閉集合 Z_1, ... Z_n の直和とする。 各 Z_i に対して アフィンスキーム Y_i と 有限型の射 f_i: Y_i → X が存在し、f(Y_i) = Z_i とする。 Y を {Y_i} の直和スキームとする。f を {f_i} から誘導される 射 f: Y → X とする。f(Y) = Z であり、f は有限型であるから Z が局所閉集合の場合に補題を証明すればよい。 Z = U ∩ F となる X の開集合 U と閉集合 F が存在する。 U はアフィン開集合 D(h_i) の有限個の合併集合となるから、 U はアフィン開集合 D(h) と仮定してよい。 F を X の被約な閉部分スキームと考える。 U x F を X 上のファイバー積とし、Y = U x F とおく。 f(Y) = U ∩ F であり、f は有限型である。 証明終
839 名前:132人目の素数さん [03/11/23 20:17]
補題 X をネータースキームとし、Z を X の可構部分集合とする。 このとき、アフィンスキーム Y と有限型の射 f: Y → X が 存在し、f(Y) = Z となる。
証明 X は有限個のアフィン開集合 U_i の合併となる。 各 Z ∩ U_i は U_i の可構部分集合である。 前補題より、アフィンスキーム Y_i と有限型の射 f_i: Y_i → U_i が存在し、f_i(Y_i) = Z ∩ U_i となる。 g_i: U_i → X を標準埋入射とする。 h_i = (g_i)(f_i) : Y_i → X とする。 Y を {Y_i} の直和スキームとする。f を {h_i} から誘導される 射: Y → X とすればよい。 証明終
840 名前:132人目の素数さん [03/11/23 21:44]
補題 X をZariski空間とし、E を X の部分集合とする。 X の任意の既約閉集合 Y に対して、以下の条件(*) が成り立つとする。
(*) E ∩ Y が Y において稠密なら、 E ∩ Y は Y の空でない開集合を含む。
このとき、E は X の可構部分集合である。
証明 ネーター帰納法を使う。 X の任意の真閉部分集合 F に対して E ∩ F が F の 可構部分集合であると仮定してよい。 X が既約でない場合、Y_1, ..., Y_n を X の既約成分とする。 各 E ∩ Y_i は可構部分集合であるから、E は可構部分集合である。 X が既約とする。E が X において稠密でないなら、 E の閉包 [E] は E の真閉部分集合だから、 E は E の閉包 [E] の可構部分集合である。故に、E 自体が 可構部分集合である。 E が X において稠密とする。条件(*)より E は X の空でない開集合 U を含む。 E = (E - U) ∪ U であり、X - U は X の真閉部分集合だから E - U は X - U の、従がって X の可構部分集合である。 故に、E は X の可構部分集合である。
841 名前:132人目の素数さん [03/11/23 21:45]
以前 Harrison とかいうひとのホームページで Hartshorne の2章とかの 解答公開してたけど、Harrison のそのホームページ現在はなくなってた。
勿体無い・・。
842 名前:132人目の素数さん [03/11/23 21:48]
II Ex. 3.19 (a) の解答
Y は有限個のアフィン開集合 U_i の合併となる。 f の 制限 f_i: f^(-1)(U_i) → U_i を考える。 Z_i = Z ∩ f^(-1)(U_i) は f^(-1)(U_i) の可構部分集合である。 f_i(Z_i) = f(Z) ∩ U_i であるから、f(Z) ∩ U_i が U_i の 可構部分集合であれば、f(Z) が Y の可構部分集合であることが いえる。即ち、Y をアフィンスキームと仮定してよい。
補題(>>839)より、アフィンスキーム X' と 有限型の射 g: X' → X が存在し、g(X') = Z となる。 h = fg とすれば、h(X') = f(Z) である。 h は有限型だから、X はアフィンスキームとし、X = Z と 仮定してよい。
補題(>>840)より、Y の任意の既約閉集合 F に対して、 f(X) ∩ F が F において稠密なら、 f(X) ∩ F は F の空でない開集合を含むことを示せばよい。 F を被約な閉部分スキームとみなす。 T = X x F とおく。ここで、X x F は Y 上のファイバー積である。 g: T → F を射影とする。 T は位相空間として f^(-1)(F) と見なせ、 g は f の制限と見なせる。 従がって、g(T) = f(X) ∩ F である。 以上から、Y は既約で、f は支配的と仮定してよい。
X を既約成分 X_i に分解する。ある X_i に対して f(X_i) は Y で稠密である。これより、X も既約と仮定してよい。 さらに、X, Y をそれぞれの被約化 X_red, Y_red に置き換える ことにより X と Y は被約と仮定してよい。 証明終
B = A[x_1, ..., x_n] とし n に関する帰納法による。 n = 1 の場合が証明出来ればよい。 B = A[x] とする。
まず、x が A 上超越的な場合を考える。 b が A に含まれる場合は自明であるから b は A に含まれないとする。 b = a_r x^r + ... + a_1 x + a_0 とする。 ここで、r > 0 で、各 a_i は A の元で、a_r ≠ 0 である。 φ: A → K をφ(a_r) ≠ 0 となる準同型とする。 多項式 φ(a_r) X^r + ... + φ(a_1) X + φ(a_0) の K に おける根以外の K の元の一つをθとする。 K は無限体だからこのような元は存在する。 φの拡張 φ': B → K をφ'(x) = θにより定義する。 定義から、φ'(b) ≠ 0 である。 (続く)
848 名前:132人目の素数さん [03/11/24 00:01]
II Ex. 3.19 (b) の解答(続き)
次に、x が A 上代数的な場合を考える。 x が満たす A 上の関係式を c_m x^m + ... + c_1 x + c_0 = 0 とする。 ここで、各 c_i は A の元で c_m ≠ 0 である。 b もA 上代数的であるから、 d_s b^s + ... + d_1 b + d_0 = 0 とする。 ここで、各 d_i は A の元で d_0 ≠ 0 である。 a = (c_m)(d_0) とおく。 φ: A → K をφ(a) ≠ 0 となる準同型とする。 φは φ': A[1/a] → K に拡張される。 この核を P' とする。P' は A[1/a] の素イデアルである。 x は A[1/a] 上整であるから、A[1/a][x] の素イデアル Q で、P' = A[1/a] ∩ Q となるものが存在する。 A[1/a][x]/Q の商体は、A[1/a]/P' の商体の代数拡大だから、 単射準同型 A[1/a][x]/Q → K で、 φ'から誘導される単射準同型 A[1/a]/P' → K の拡張と なるものがある。よって、φ': A[1/a] → K は、 φ'': A[1/a][x] → K に拡張される。 φ''(b) = 0 とすると、φ(d_0) = 0 となり、φ(a) ≠ 0 に矛盾する。よってφ''を A[x] に制限した写像が求めるものである。 (続く)
849 名前:132人目の素数さん [03/11/24 00:02]
II Ex. 3.19 (b) の解答(続き)
次に Spec(B) → Spec(A) の像が空でない開集合を含む ことを示す。 b = 1 の場合を考える。 P を A の素イデアルで D(a) に含まれるとする。 A/P の商体の代数的閉包 を K とする。 i:A/P → K を標準単射とし、j: A → A/P を標準写像とする。 φ= ij とおく。φ(a) ≠ 0 だから、φの拡張 φ': B → K が 存在する。φ'の核を Q とすれば、P = A ∩ Q となる。 これは、Spec(B) → Spec(A) の像が D(a) を含むことを意味する。 証明終
定義 f: X → Y をスキームの射とする。 X の各点 x で O_x が O_f(x)-加群として平坦なとき、 f を平坦射と呼ぶ。
補題 X = Spec(A), Y = Spec(B) をアフィンスキームとし、 f: Y → X をスキームの射とする。 f が平坦なことと B が A-平坦なことは同値である。
証明 B が A-平坦とする。φ: A → B を f に付属する射とする。 q を B の素イデアルとし、 p = φ^(-1)(q) とおく。 0 → N → M を A_p-加群の完全列とする。 これは A-加群の完全列でおある。B は A-平坦だから、 0 → N (x) B → M (x) B は完全である。B_q は B-平坦だから、 0 → (N (x) B) (x) B_q → (M (x) B) (x) B_q も完全である。 これは 0 → N (x) B_q → M (x) B_q が完全であることを意味する。 即ち、B_q は A_p 上平坦である。故に、f は平坦である。
逆に f が平坦とする。 0 → N → M を A-加群の完全列とする。 q を B の素イデアルとし、 p = φ^(-1)(q) とおく。 0 → N (x) A_p → M (x) A_p は完全である。 仮定より、B_q は A_p-平坦だから、 0 → (N (x) A_p) (x) B_q → (M (x) A_p) (x) B_q は完全である。 0 → (N (x) B) (x) B_q → (M (x) B) (x) B_q が完全であることを 意味する。q は B の任意の素イデアルであるから、 0 → N (x) B → M (x) B は完全である。 即ち、B は A-平坦である。 証明終
853 名前:132人目の素数さん [03/11/24 13:44]
定義 f: X → Y をスキームの射とする。 f が全射かつ平坦なとき、忠実平坦な射という。
補題 X = Spec(A), Y = Spec(B) をアフィンスキームとし、 f: Y → X をスキームの射とする。 f が忠実平坦なことと B が A上忠実平坦なことは同値である。 証明 B が A上忠実平坦とする。 p を A の素イデアルとする。k(p) = A_p/pA_p とおく。 B (x) k(p) は 0 でない(>>131)。 したがって、p のファイバー f^(-1)(p) = Spec(B (x) k(p)) は 空でない。故に、f は全射である。補題より、f は平坦だから 忠実平坦である。
逆に、f が 忠実平坦とする。 補題より、B は A上平坦である。 p を A の素イデアルとする。 f は全射だから、p のファイバー f^(-1)(p) = Spec(B (x) k(p)) は 空でない。故に、B (x) k(p) は 0 でない。 よって、B は A上忠実平坦である(>>131)。
854 名前:132人目の素数さん [03/11/24 13:50]
補題 Y をネータースキームとし、 f: X → Y を有限型の平坦射とすれば、f は開射である。
証明 U を X の開集合とする。 f(U) は II Ex.3.19 より可構集合だから、II Ex.3.18 (c) より f(U) が一般化で閉じていることを示せばよい。 x を U の点とし、y = f(x) とする。 O_y → O_x は忠実平坦である(>>131)。 故に Spec(O_x) → Spec(O_y) は全射である(>>853)。 y' を y の一般化とする。y' は Spec(O_y) の元と見なせる。 したがって、x の一般化 x' で f(x') = y' となるものが 存在する。x' ∈ U だから、y' ∈ f(U) である。 証明終
855 名前:132人目の素数さん [03/11/24 14:11]
補題 B を平坦な A-代数とする。 C を A-代数とする。 B (x) C は 平坦な C-代数である。
証明 0 → N → M を C-加群の完全列とする。 これは、A-加群の完全列とも見なせるから、 0 → N (x) B → M (x) B は完全である。 N (x) (C (x) B) = N (x) B (同型) M (x) (C (x) B) = M (x) B (同型) より、 0 → N (x) (C (x) B) → M (x) (C (x) B) は完全である。
856 名前:132人目の素数さん [03/11/24 14:19]
補題 B を忠実平坦な A-代数とする。 C を A-代数とする。 B (x) C は 忠実平坦な C-代数である。
証明 B (x) C が平坦なことは>>855による。 N → M を C-加群の射とする。 0 → N (x) (C (x) B) → M (x) (C (x) B) が完全であるとする。 これは、0 → N (x) B → M (x) B が完全であることを意味する。 B は忠実平坦だから、0 → N → M は完全である。 よって、B (x) C は 忠実平坦である。
補題 k を分離代数的閉体とする。 即ち、k 上の分離代数的閉包は k と一致する。 X を 有限型の k-スキームとする。 X が既約とすると、X x K も既約である。 ここに、K は k の任意の拡大体であり、X x K は、X と Spec(K) の Spec(k) 上のファイバー積を表す。
証明 p: X x K → X を射影とする。 Spec(K) → Spec(k) は忠実平坦だから p も忠実平坦である(>>856)。 したがって、p は全射である。さらに >>862より p は開射である。 >>865 より各点 x ∈ X に対して、 f^(-1)(x) が既約なことを示せ ばよい。f^(-1)(x) = Spec(K (x) k(x)) だから、>>864 より f^(-1)(x) は既約である。
k を代数的閉体とし、k[x, y] を k 上の2変数多項式環とし、 Y = Spec(k[x, y]) とする。C を Y の既約かつ被約な 1次元閉部分スキームとする。j: C → Y を標準射とする。 P を C の閉点とする。X = C - {P} とおく。 X は、C の開部分スキームである。h: X → C を標準射とする。 f = j h と置く。f: X → Y による X の像 f(X) は Y の閉集合でも 開集合でもない。
証明 f(X) = C - {P} が Y の閉集合であるとすると、それは C の閉集合 でもある。 C = (C - {P}) ∪ {P} であるから、C が既約であること に矛盾する。 C - {P} が Y の開集合であるとすると、C の関数体が Y の関数体と 一致することになり、C が1次元であることに矛盾する。 証明終
871 名前:132人目の素数さん [03/11/28 21:06]
II Ex. 3.15 (a) の解答
(i) → (ii) の証明 k~ を 体 k の代数的閉包, k_s を k の分離代数的閉包とする。 X x k~ を k_s 上のファイバー積とし、X x k_s を k 上の ファイバー積する。 X x k~ = (X x k_s) x k~ であり、(X x k_s) x k~ → X x k_s は 忠実平坦であるから全射である(>>856)。既約空間の連続写像による 像は既約だから、X x k_s は既約である。
(ii) → (iii) の証明 K_s を K の分離代数的閉包とする。k_s ⊆ K_s である。 X x K_s を k_s 上のファイバー積とし、X x k_s を k 上のファイバー積すると X x K_s = (X x k_s) x K_s である。 X x k_s は仮定より既約だから、>>867 より X x K_s も既約である。 X x K_s = (X x K) x K_s であるから、X x K も既約である。
定義 k を体とし、 A を k 代数とする。k の任意の拡大体 K に対して k 上のテンソル積 A (x) K が被約であるとき、 A は k 上分離的 であるという。
875 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:24]
補題 k を体とする。 分離的 k 代数の部分代数は分離的である。
証明 A を 分離的 k 代数とし、B をその部分代数とする。 定義より、k の任意の拡大体 K に対して A (x) K が被約である。 B (x) K は A (x) K の部分代数だから、被約である。
876 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:25]
補題 k を体とし、 A を k 代数とする。 A の部分代数で k 上有限生成なものすべてが分離的なら A も分離的である。
証明 x を A の元でベキ零とする。 k 上 x で生成された部分代数 k[x] は、x を含むから x = 0 である。
877 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:29]
補題 k を体とし、 A を k 代数とする。 k の任意の有限生成拡大体 K に対して k 上のテンソル積 A (x) K が被約であるなら A は k 上分離的 である。
証明 L を k の任意の拡大体とする。 x を A (x) L の元でベキ零とする。x = 0 を示せばよい。 x = Σ (a_i (x) x_i) と書ける。ここに、各 a_i は A の元であり、 各 x_i は L の元である。 K を k 上すべての x_i で生成される k の拡大体とする。 A (x) K は A (x) L に含まれると考えてよい。 x は A (x) K に含まれるベキ零元だから、仮定より x = 0 である。
878 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:30]
補題 k を体とし、 A を分離的 k 代数とする。 k の任意の拡大体 K に対して A (x) K は K上分離的である。
証明 L を K の任意の拡大体とする。(A (x) K) (x) L が被約であること を示せばよい。これは、A (x) L = (A (x) K) (x) L より明らか。
879 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:31]
補題 k を体とし、 K を k の拡大体で分離代数的とする。 K は k 代数として分離的である。
証明 補題より、K は k 上有限次と仮定してよい。 代数学の周知の定理より K = k[α] となる。 αの k 上の最小多項式を f(X) とすると、K = k[X]/(f(X)) と 見なせる。L を k 任意の代数拡大とする。 0 → (f(X)) → k[X] → K → 0 は k 加群の列として完全だから、 0 → (f(X)) (x) L → k[X] (x) L → K (x) L → 0 も完全である。 k[X] (x) L = L[X] だから、K (x) L = L[X] / (f(X)) と見なせる。 f(X) は L において重根を持たないから、 f(X) は、L[X] において互いに素な既約多項式 f_1, f_2, ... f_r の 積となる。よって、L[X] / (f(X)) = Π (L[X] / (f_i)) である。 各 L[X] / (f_i) は体だから L[X] / (f(X)) は被約である。
880 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:32]
定義 K が k の拡大体でその超越基 S を適当にとると、 K が k(S) 上分離代数的になるとき、K は k 上分離生成であると いい、S を分離的超越基という。
補題 k を体とし、 K を k の拡大体で分離生成とする。 K は k 代数として分離的である。
証明 L を k の任意の拡大体とする。 K (x) L = K (x) (k(S) (x) L) であり、 k(S) (x) L は L(S) の部分代数と見なせる。 よって K (x) L は K (x) L(S) の部分代数である。 K は k(S) 上分離代数的だから補題(>>879)より K (x) L(S) は 被約である。故に、K (x) L も被約である。
881 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:35]
補題 k を標数 p の体とする。k~ を k の代数的閉体とする。 k の元 x の k~ における p 乗根 x^(1/p) はただ一つ存在する。 k の元 x にその p 乗根 x^(1/p) を対応させる写像を f とする。 f は体の準同型である。f(k) = k^(1/p) と書く。 k^(1/p) は k を含む体である。 K を k の有限生成拡大体とする。 K (x) k^(1/p) が被約なら、K は k 上分離生成である。
証明 k の拡大体 K の部分体で k 上有限生成のものは補題(>>881)より 分離的なk 代数である。よって K も 分離的である。
883 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:39]
補題 被約なネーター環の全商環は有限個の体の直積である。
証明 A を被約なネーター環とする。 A の極小素イデアル全体を P_1, ..., P_r とする。 A の零イデアル (0) の任意の素因子を P とする。 A の非零元 x があって、Px = 0 となる。 A は被約だから、∩ P_i = 0 である。 よって、x は ある P_i に含まれない Px ⊆ P_i だから、P ⊆ P_i となる。 よって P = P_i である。 従がって、A の零因子全体の集合は ∪ P_i である。 ∪ P_i に含まれる素イデアルは P_1, ..., P_r のどれかである。 これより、A の全商環 Q はアルティン環であることがわかる。 さらに Q は被約であるから、有限個の体の直積である。
884 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:42]
補題 k を完全体とする。任意の被約な k 代数 A は分離的である。
証明 補題(>>876)より A は k 上有限生成としてよい。 A はネーター環で被約だから、その全商環 Q は、補題(>>883)より 有限個の体K_i の直積である。k の標数が 0 のときは、各 K_i は 分離生成だから、補題(>>880)より分離的代数である。 k の標数が 0 でないときは、補題(>>882)により、やはり各 K_i は 分離的代数である。よって、Q も分離的で、その部分代数 A も 分離的である。
885 名前:132人目の素数さん [03/11/30 15:51]
II Ex.3.15 (b) の解答
k~ を k の代数的閉包、 k_p を k の完全閉包(perfct closure) とする。 X のアフィン開被覆 {U_i} をとると、{U_i x K} は X x K の アフィン開被覆である。これと II Ex.2.3 (a) より X は k 上の アフィンスキーム Spec(A) と仮定してよい。
(i) → (ii) k_p ⊆ k~ だから A (x) k_p ⊆ A (x) k~ となり、 A (x) k_p は被約である。
(ii) → (iii) K_p を K の完全閉包(perfct closure) とする。 k_p ⊆ K_p と見なせる。 A (x) K = (A (x) k_p) (x) K_p であるから、補題(>>884)より、 A (x) K は被約である。
>>887 著作権の関係から問題の翻訳はしないことになった。 だけど、説明しておこう。 X を 体 k 上有限型のスキームとする。以下の(i),(ii),(iii)は 同値である。 (i) X x k~ は被約である。ここに、k~ は k の代数的閉包。 (ii) X x k_p は被約である。ここに、k_p は k の完全閉包である。 (iii) K を k の任意の拡大体とすると、X x K は被約である。
889 名前:132人目の素数さん [03/11/30 18:21]
>>885 >A (x) K = (A (x) k_p) (x) K_p であるから、補題(>>884)より、 >A (x) K は被約である。
以下のように訂正する。
A (x) K_p = (A (x) k_p) (x) K_p であるから、補題(>>884)より、 A (x) K_p は被約である。よって A (x) K_p の部分代数である A (x) K も被約である。
補題 X と Y をアフィンスキームとし、 f: X → Y を射とする。 Y の任意のアフィン開集合 U に対して、f^(-1)(U) は アフィンである。
証明 f^(-1)(U) は X と U の Y 上のファイバー積 X x U と見なせる ことから明らかである。
894 名前:132人目の素数さん [03/12/02 23:38]
補題 Y = Spec(B) をアフィンスキームとし、f: X → Y をスキームの射と する。B の有限個の元 g_i があり、D(g_i) が Y の被覆になって いるとする。さらに、各 i に対して f^(-1)(D(g_i)) はアフィン であるとする。このとき X はアフィンである。
証明 φ: B → Γ(X) を f に付随する環の準同型とする。 f はφにより一意に定まることに注意する。 つまり、f(x) は B → Γ(X) → O_x による O_x の極大イデアル の逆像である。よって φ(g_i) = f_i とおけば、 f^(-1)(D(g_i)) = X_(f_i) である。 ここに、X_(f_i) = {x ∈ X; f_i(x) ≠ 0} であり、 f_i(x) は f_i の x における芽の 剰余体 k(x) = O_x/m_x における 剰余類を表す。 {D(g_i)} が Y の被覆であるから、{X_(f_i)} は X の被覆である。 {g_i} は単位イデアル A を生成するから、 Σ(g_i)(h_i) = 1 となる元 h_i が存在する。 よってΣφ(g_i)φ(h_i) = 1 となるから、 {f_i} は単位イデアル Γ(X) を生成する。 II Ex.2.17 (b) より X はアフィンである。
895 名前:132人目の素数さん [03/12/02 23:42]
定義 f: X → Y をスキームの射とする。 Y の開被覆 {U_i} が存在し、各 U_i に対して f^(-1)(U_i) が アフィンとなるとき、f をアフィン射という。
補題 f: X → Y をアフィン射とする。 Y の任意のアフィン開集合 U に対して、f^(-1)(U) は アフィンである。
証明 y を U の点とする。y ∈ U_i となる i がある。 y ∈ W ⊆ U ∩ U_i となるアフィン開集合 W がある。 f^(-1)(W) は 補題(>>893)よりアフィンである。 W は D(h) の形であるとしてよい。ここに h は Γ(U) の元である。 y は U の任意の点であったから、このような D(h) 全体は U の被覆 となる。さらに U は準コンパクトだから、有限個の D(h_i) で U の被覆となるものが存在する。よって、補題(>>894)より f^(-1)(U) はアフィンである。
896 名前:132人目の素数さん [03/12/03 00:03]
S をスキームとし、X と Y を S-スキームとする。 X と Y の S 上のファイバー積を (X x Y)/S で表す。
補題 f: X → Y をアフィン射とする。 g: Z → Y をスキームの射とする。 射影 p: (X x Z)/Y → Z はアフィン射である。
証明 Y のアフィン開被覆 {U_i} をとる。g^(-1)(U_i) のアフィン開被覆 を {V_(i_α)} とする。 p^(-1)(V_(i_α)) = (f^(-1)(U_i) x V_(i_α))/U_iである。 f はアフィン射だから、f^(-1)(U_i) はアフィンである。 よって p^(-1)(V_(α_i)) もアフィンである。よって、p は アフィン射である。
897 名前:132人目の素数さん [03/12/03 00:04]
補題 f: X → Y を位相空間の連続写像とし、(V_i) をY の開被覆とする。 U_i = f^(-1)(V_i) とおく。各 i に対して f の U_i への制限を f_i とおく。各 i に対して f_i(U_i) が V_i の閉集合であり、 f_i が U_i から f(U_i) への位相同型写像であるとする。 このとき、f(X) は Y の閉集合であり、f は X から f(X) への 位相同型を与える。
証明 f(x) = f(y) とする。f(x) ∈ V_i となる V_i がある。 x と y は f^(-1)(V_i) に含まれる。よって、f_i(x) = f_(y) と なる。f_i は単射であるから、 x = y となり、f も単射である。 W を X の開集合で、x ∈ W とする。f(x) ∈ V_i となる V_i がある。 x ∈ W ∩ U_i であり、f_i が U_i から f(U_i) への位相同型写像 であるから、f(W ∩ U_i) は f(U_i) の開集合である。 f(W ∩ U_i) = f(U_i) ∩ V となる V_i の開集合 V がある。 f(X) ∩ V = f(U_i) ∩ V であるから、f(W ∩ U_i) は f(X) の 開集合である。よって、f は x の十分小さい近傍を f(x) の近傍に 写すから開写像である。 次に、f(X) は Y の閉集合であることを示す。 y ∈ Y - f(X) とする。y ∈ V_i となる V_i がある。 f(X) ∩ V_i は V_i の閉集合であるから、V_i - f(X) は V_i の 開集合である。y ∈ V_i - f(X) ⊆ Y - f(X) だから、Y - f(X) は Y の開集合である。
898 名前:132人目の素数さん [03/12/03 00:05]
補題 f: X → Y をスキームの射とし、(V_i) をY の開被覆とする。 各 i に対して f の f^(-1)(V_i) への制限 f_i: f^(-1)(V_i) → V_i が閉埋入とすると、f も閉埋入である。
証明 X の各点 x において O_f(x) → O_x が全射となることは明らか であるから、補題(>>897)よりわかる。
899 名前:132人目の素数さん [03/12/03 00:06]
補題 S をスキームとし、V を S の開部分スキームとする。 f: X → S と g: Y → S をスキームの射とし、f(X) ⊆ V g(Y) ⊆ V とする。このとき、(X x Y)/S は (X x Y)/V と同一視出来る。
証明 ファイバー積の定義から明らかである。
900 名前:132人目の素数さん [03/12/03 00:08]
補題 f: X → Y をスキームの射とし、(V_i) をY の開被覆とする。 U_i = f^(-1)(V_i) とおく。(U_i x U_i)/V_i は (X x X)/Y の 開被覆をなす。
証明 補題(>>899)より、(U_i x U_i)/V_i は (U_i x U_i)/Y と見なせる。 一方、(U_i x U_j)/Y は (X x X)/Y の開被覆をなす。 V_ij = V_i ∩ V_j とおき、U_ij = U_i ∩ U_j とおく。 (U_i x U_j)/Y = (U_ij x U_ij)/V_ij = (U_ij x U_ij)/Y と見なせ、(U_ij x U_ij)/Y は (U_i x U_i)/Y の開集合である。 よって、(U_i x U_i)/V_i は (X x X)/Y の開被覆である。
f: X → Y を有限射とする。 補題(>>903)より f は分離射である。 f は定義から有限型である。 よって、f が絶対閉射(universally closed) であることを 示せばよい。Ex.3.5.(b) (>>535) より、有限射は閉射である。 よって、g: Z → Y をスキームの射としたとき、 射影 p: (X x Z)/Y → Z が有限射であることを言えばよい。 補題(>>896)より、p はアフィン射であり、そこでの証明より p が有限射となることも明らかである。
h: X → (Y x Y)/S を f と g から得られる射とする。 Δ: Y → (Y x Y)/S を対角射とする。 Y は分離射だからΔ(Y) は (Y x Y)/S の閉部分スキームである。 Δ(Y) の h による逆像 h^(-1)(Δ(Y)) = (X x Δ(Y))/((Y x Y)/S) を 考える。これは X の閉部分スキームである。f と g は X の稠密な 開集合 U で一致するから、U ⊆ h^(-1)(Δ(Y)) である。 よって、位相空間として h^(-1)(Δ(Y)) = X である。 X は被約だから、スキームとしても h^(-1)(Δ(Y)) = X である。 これは、f = g を意味する。
928 名前:132人目の素数さん [03/12/06 23:03]
II Ex.4.3 の前半の解答
Δ: X → (X x X)/S を対角射とし、p, q : (X x X)/S を射影とする。 (U x V)/S = p^(-1)(U) ∩ q^(-1)(V) だから、 Δ^(-1)((U x V)/S) = Δ^(-1)(p^(-1)(U)) ∩ Δ^(-1)(q^(-1)(V)) = U ∩ V である。Δ は閉埋入だから、 Δ の制限射 U ∩ V → (U x V)/S も閉埋入である。 (U x V)/S はアフィンだから、U ∩ V もアフィンである。
929 名前:132人目の素数さん [03/12/07 04:59]
補題 S をスキームとし、X, Y をスキームとする。 f: X → S と g: Y → S をスキームの射とし、 q: (X x Y)/S → Y を射影とする。 f が全射なら q も全射である。
証明 y を Y の点とする。f は全射だから、f(x) = g(y) となる x ∈ X がある。s = g(y) と置くと、k(x) と k(y) は それぞれ k(s) の拡大体である。よって、(k(x) (x) k(y))/k(s) のある 極大イデアルによる剰余体を K とすれば、k(x) と k(y) は K の部分体と見なせる。 よって、S-スキームの射 Spec(K) → X と Spec(K) → Y が定義され、 Spec(K) → (X x Y)/S が得られる。この像を z とすれば、q(z) = y となる。
930 名前:132人目の素数さん [03/12/07 05:00]
補題 S をスキームとし、f: X → Y を S-スキームの射とする。 T → S をスキームの射とする。 g: (X x T)/S → (Y x T)/S を f により誘導される射とする。 f が全射であれば、g も全射である。
証明 (X x T)/S = (X x ((Y x T)/S))/Y だから、補題(>>929)より明らか である。
931 名前:132人目の素数さん [03/12/07 05:01]
補題 S をネータースキームとし、f: g(g^(-1)(F))を S-スキームの射とする。 Y は S 上有限型かつ分離的とする。 X が S 上固有で、f が全射とすると、Y も S 上固有である。
証明 T → S をスキームの射とする。 g: (X x T)/S → (Y x T)/S を f から誘導される射とし、 p: (X x T)/S → X と q: (Y x T)/S → T を射影とする。 F を (Y x T)/S の閉集合とする。 補題(>>930)より g は全射であるから、F = g(g^(-1)(F))となる。 X は S 上固有だからqg = p は閉写像である。 よって、q(F) = q(g(g^(-1)(F))) = p(g^(-1)(F)) は T の 閉集合である。即ち、Y → S は絶対閉射である。 Y は S 上有限型かつ分離的であるから固有である。
j: Z → X を標準射とする。 構造射 Z → S は Z → X → Y → S と分解し、仮定により 固有(proper) だから 本文の Corollary 4.8 (e) より、 fj: Z → Y は固有である。よって、f(Z) は Y の閉集合である。 f(Z) を像スキームと考えると、 Z → f(Z) は全射である。 f(Z) は Y の閉部分スキームだから、Y 上分離的かつ有限型である (本文の Corollary 4.6 (a) と Ex.3.13 (a))。 Y は、S 上分離的かつ有限型であるから、f(Z) も S 上分離的かつ 有限型である(本文の Corollary 4.6 (b) と Ex.3.13 (c))。 よって補題(>>931)より f(Z) は S 上固有である。
X の生成点をξとする。 R を K/k の付値環とし、t_1 をその生成点、t_0 をその唯一の閉点 とする。本文の Theorem 4.3 より、k-射 h: Spec(R) → X が存在 して h(t_1) = ξ となる。h(t_0) = x とおく。本文の Lemma 4.4 より、x は R の中心である。
936 名前:132人目の素数さん [03/12/07 16:14]
II Ex.4.5 (c) の前半の解答 即ち Ex.4.5 (a) の逆を証明する。
X の生成点をξとし、Δ: X → (X x X)/k を対角射とする。 Δ(ξ) = η とおく。η → η' を (X x X)/k における特殊化と する。{η} の閉包はΔ(X)の閉包と一致するから、η' が Δ(X) に 含まれることを示せばよい。Δ(ξ) = ηより k(η) ⊆ k(ξ) である。他方、ηの射影はξであるから、 k(ξ) ⊆ k(η) でも ある。よって、k(ξ) = k(η) である。{η} の閉包 Z に 被約スキームの構造を与え、そのη' における局所環をO_η'とする。 O_η' を支配する K の付値環 R が存在する(I Theorem 6.1A)。 よって、k-射 f: Spec(R) → Z で f(t_1) = η, f(t_0) = η' となるものが存在する。ここに、t_1 は R の生成点、t_0 は R の 唯一の閉点である。(X x X)/k から X への射影を p_1, p_2 とし、 p_1(η') = x_1, p_2(η') = x_2, (p_1)f = h_1, (p_2)f = h_2 とおく。h_1(t_1) = ξ, h_1(t_0) = x_1 であり、 h_2(t_1) = ξ, h_2(t_0) = x_2 である。 X の x_1, x_2 における局所環をそれぞれ O_x_1, O_x_2 とすれば、R は、O_x_1, O_x_2 を支配する。仮定より、x_1 = x_2 である。よって、Lemma 4.4 より、h_1 = h_2 となる。 よって、f(t_0) = η' はΔ(X)に含まれる。
937 名前:132人目の素数さん [03/12/12 11:35]
age
938 名前:132人目の素数さん mailto:sage [03/12/13 06:36]
このスレ、パフォーマンスとして面白いと思った。 頑張ッテネ
939 名前:132人目の素数さん [03/12/13 17:37]
補題 X を体 k 上の有限型の整スキームとし、K をその関数体とする。 K/k の任意の付値環が一意に定まる中心を X 上に持てば X の 任意の既約かつ被約な閉部分スキーム Y に対しても同様のこと が成り立つ。即ち、Y の生成点を y としたとき、k(y) の任意の 付値環は、一意に定まる中心を Y 上に持つ。
証明 k(y) の任意の付値環を R とする。 Ex.4.5 (a) の逆が成り立つから、X は k 上分離的である。 よって、本文の Corollary 4.8 (a) より、Y も k 上分離的で ある。故に、Ex.4.5 (a) より R の中心の一意性が言える。 よって、R の中心が Y 上に存在することを示せばよい。 O_y を y における X の局所環とする。I章 Th. 6.1A より O_y はK/k のある付値環 S により支配される。S の剰余体を L とする。k(y) ⊆ L だから、再び I章 Th. 6.1A より R は L/k の付値環 R' により支配される。Φを標準写像 : S → L とし、T = Φ^(-1)(R') と置く。容易にわかるように T は K/k の付値環であり、T の剰余体は R' の剰余体と同一視 される。仮定より T は中心 z を X 上に持つ。O_z を z に おける X の局所環とする。O_z ⊆ T ⊆ S だから、S の 極大イデアル m(S) と O_z との交わりを q とすると、 q は、O_z の素イデアルである。 O_z の q による局所化 (O_z)q は S により支配される。 j: Spec(O_z) → X を標準射とし、j(q) = t と置くと、 (O_z)q は O_t と同一視される。S の中心は一意だから O_t = O_y である。これは、z が y の特殊化であることを 意味する。Φ': O_z → R' をΦの制限写像とする。Φ'の核は、 q である。Φ'(O_z) ⊆ Φ(T) = R' であり、 Φ'(O_z) = O_z/q ⊆ k(y) だからΦ'(O_z) ⊆ R である。 T は O_z を支配するから、R は O_z/q を支配する。 O_z/q は z の Y における局所環だから、補題が証明された。
940 名前:132人目の素数さん [03/12/13 17:40]
II Ex.4.5 (c) の後半の解答 即ち Ex.4.5 (b) の逆を証明する。
X → Spec(k) は、II Ex.4.5 (c) の前半より分離射であり、 仮定より有限型だから、これが絶対閉射であることを示せば よい。 Y を任意の k-スキームとする。 (X x Y)/k の任意の点を z とする。 x, y をそれぞれ z の X, Y への射影とする。 k(x), k(y) は、k(z) の部分体と見なせる。 y → y' を Y における特殊化とする。 {y} の閉包を被約スキームと考えたものを Z とする。 Z の y' における局所環を支配する k(z)/k の付値環を R とする。g: Spec(R) → Y を自然な射とする。 R と k(x) の交わりは、k(x)/k の付値環であるから、 補題(>>939)より、R は、X 上に中心 x' を持つ。 よって、射 f:Spec(R) → X が得られる。 f と g より、射 h: Spec(R) → (X x Y)/k が得られる。 Spec(R) の閉点を t としたとき、h(t) の Y への射影は y' である。 本文の Th. 4.7 の後半の証明と同様にして、これから、射影 (X x Y)/k → Y が閉射であることが出る。
941 名前:132人目の素数さん [03/12/13 19:20]
II Ex.4.5 (d) の解答
Γ(X, O_X) = ∩ O_x と見なせるから、Ex.4.5 (b) と Th. 4.11A より Γ(X, O_X) は, k の K における整閉包であることからわかる。
942 名前:132人目の素数さん [03/12/13 19:41]
II Ex.4.6 の解答 f は 固有射だから、f(X) は Y の閉集合である。 f(X) を被約スキームと考えると、f は X → f(X) → Y と 分解する。Corollary 4.8 より X → f(X) は固有である。 f(X) → Y は有限射だから、X → f(X) が有限射であることを 示せばよい。すなわち、f は支配的と仮定してよい。 X = Spec(A), Y = Spec(B) とする。f は支配的だから、 B ⊆ A と見なしてよい。X の関数体を K とする。 Th. 4.7 より、B を含む K/k の付値環は、A を含む。 Th. 4.11A より A は B の K における整閉包に含まれる。 即ち、 A は B 上整である。A は B 上有限型だから、B-加群 として有限生成である。よって、f は有限射である。
補題 S をスキーム、 f:X → Y を S-スキームの射とする。 Y が S 上分離的なら f のグラフ射 g: X → (X x Y)/S は閉埋入である。
証明 g: X → (X x Y)/S は、対角射 Y → (Y x Y)/Z の 基底拡大である。すなわち、以下の図示はファイバー積である。 X --> (X x Y)/S | | v v Y --> (Y x Y)/S
仮定より、対角射 Y → (Y x Y)/Z は閉埋入であり、閉埋入は 基底拡大で安定だから(Ex.3.11 (a))、g も閉埋入である。
948 名前:132人目の素数さん [03/12/18 21:56]
II Ex. 4.8 (d) の解答
f: X → X' と g: Y → Y' をスキームの射で性質Pを持つとする。 f x 1: X x Y → X' x Y は f: X → X' の基底拡大であり、 1 x g: X' x Y → X' x Y' は g: Y → Y' の基底拡大である。 よって、(c) より f x 1 も 1 x g も性質Pを持つ。 よって、(b) より f x g = (1 x g)(f x 1) も性質Pを持つ。
949 名前:132人目の素数さん [03/12/18 21:56]
II Ex. 4.8 (e) の解答
グラフ射Γ: X → (X x Y)/Z を考える。 q: (X x Y)/Z → Y を射影とする。 f: X → Y は f = qΓと分解する。 q: (X x Y)/Z → Y は gf: X → Z の基底拡大だから、仮定より 性質Pを持つ。一方、g: Y → Z は分離射だから、補題より、 Γは閉埋入である。よって、仮定よりΓも性質Pを持つ。 よって、Γと q の合成射 f も性質Pを持つ。
950 名前:132人目の素数さん [03/12/18 21:57]
II Ex. 4.8 (f) の解答 下の可換図式を考える。
X_red --> Y_red | | v v X -----> Y
X_red → X は閉埋入だから、仮定より性質Pを持つ。 よって、X_red → Y_red → Y も性質Pを持つ。 Y_red → Y は閉埋入だから分離射である。 よって (e) より性質Pを持つ。
証明 X → Y, Y → Z をそれぞれ射影射とする。 X → Y は X → P x Y → Y と分解し、 Y → Z は Y → Q x Z → Z と分解する。 ここに、P, Q は有理整数環上の射影空間であり、 X → P x Y と Y → Q x Z は共に閉埋入である。
補題(>>958)より、ある射影空間 R に対して、 閉埋入 P x Q → R が存在する。 下の可換図式を考える。
X → PxY → PxQxZ → RxZ ↓ ↓ ↓ Y → QXZ → QXZ ↓ Z 中央の四角はファイバー積である。 Y → Q x Z は閉埋入であるから、P x Y → P x Q x Z も 閉埋入である。よって、上段の3個の射はすべて閉埋入である。 これから、X → Y と Y → Z の合成は X → R x Z → Z と分解し、X → R x Z は閉埋入だから 射影射である。
補題 f: X → Y をスキームの射とし、 Y' を Y の部分スキームとする。 射影 p: (X x Y')/Y → X は埋入(immersion)である。 p は位相空間として f^(-1)(Y') への同型を与える。
証明 以下の図式より、p は埋入 Y' → Y の基底拡大であるから、 埋入である。
(XxY’)/Y → X ↓ ↓ Y’ → Y
x を f^(-1)(Y') に属す点とする。 f(x) = y とおく。標準的な準同型 O_y → O_x は、体の準同型 k(y) → k(x) を誘導する。 これは、さらに射 Spec(k(x)) → Spec(k(y)) を誘導する。 これを標準射 Spec(k(y)) → Y' と合成して 射 Spec(k(x)) → Y' を得る。 これは、合成射 Spec(k(x)) → X → Y と一致する。 よって、ファイバー積の定義より、 射 Spec(k(x)) → (X x Y')/Y が存在する。 この射に対応する (X x Y')/Y の点を z とすれば、 p(z) = x である。よって、p の像は f^(-1)(Y') である。 p は埋入だから p は f^(-1)(Y') への位相同型である。
965 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:34]
補題 f: X → Y をスキームの射とし、 Y' を Y の部分スキームとする。 (X x Y')/Y → X を射影とする。 Z → X をスキームの射とする。 Z → X → Y が Z → Y' → Y と分解する為には Z → X が Z → (X x Y')/Y → X と分解することが必要十分 である。
証明 以下の可換図式とファイバー積の性質より明らかであろう。
(XxY’)/Y → X ↓ ↓ Y’ → Y
966 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:38]
補題 f: X → Y をスキームの射とし、 X' を X の f による 閉像(scheme-theoretic image)とする(II Ex. 3.11 (d))。 U を Y の開集合とする。f_U: f^(-1)(U) → U を f の制限射とする。f_U の閉像は X' ∩ U である。 ここで、X' ∩ U は X' の開部分スキームと見なす。
補題 S をスキームとし、X と Y を S 上射影的なスキームとする。 X と Y の直和は S 上射影的である。
証明 定義より構造射 X → S は X → P^n x S → S と分解する。 ここに、X → P^n x S は閉埋入。 同様に構造射 Y → S は Y → P^m x S → S と分解する。 補題(>967)より、P^n x S と P^m x S の直和は P^(n+m+1) x S の閉部分スキームに同型である。 よって X と Y の直和は S 上射影的である。
969 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:46]
補題 f: Spec(B) → Spec(A) を有限型の射とする。 f は準射影的である。
証明 B = A[b_1, ..., b_ n] とする。A[x_1,...,x_n] を A 上の 多項式環とすると、A-代数としての全射 A[x_1,...,x_n] → B が存在する。 これは、閉埋入 Spec(B) → Spec(A[x_1,...,x_n]) を誘導する。 一方、開埋入 Spec(A[x_1,...,x_n]) → Proj(A[y_0, y_1,...,y_n]) が 存在する。よって合成射 g: Spec(B) → Proj(A[y_0, y_1,...,y_n]) は埋入である。 g による Spec(B) の閉像を Y とすると、Spec(B) → Y は 開埋入であり、f: Spec(B) → Spec(A) は Spec(B) → Y → Spec(A) と分解し、Y → Spec(A) は射影的 である。よって、f は準射影的である。
970 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:47]
補題 X → Y を 準射影的な射とし、Y → Z を開埋入とする。 このとき、合成射 X → Z は準射影的である。
証明 X → Y は準射影的であるから、X → Y は X → Y' → Y と 分解する。ここに X → Y' は開埋入であり、Y' → Y は射影的 である。Y' → Y は射影的だから、Y' → P x Y → Y と分解する。ここに、 P は有理整数環上の射影空間 であり、Y' → P x Y は開埋入である。 ここで、次の可換図式を考える。
PxY → Y ↓ ↓ PxZ → Z
これは、ファイバー積になっている。 X → Y → Z は X → Y' → P x Y → Y → Z と分解する。 これは、上記の可換図式より、X → Y' → P x Y → P x Z → Z に等しい。Y → Z は開埋入だから、P x Y → P x Z も開埋入 である。よって、X → Y' → P x Y → P x Z の合成射 X → P x Z は埋入である。よって、X → P x Z → Z の合成射 X → Z は準射影的である。
971 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:52]
Harstshorne II Ex. 4.10 の解答 Chowの補題 X をネータースキーム S 上固有なスキームとする。 このとき、S 上射影的なスキーム X' と射 g: X' → X 及び X の稠密な開集合 U で g は同型 g^(-1)(U) → U を誘導する ものが存在する。
(a) X は既約と仮定してよい。
証明 X はネーターだから有限個の既約成分 X_i を持つ。X_i を X の 被約な閉部分スキームと考える。仮定より、各 i に対してS 上 射影的なスキーム X'_i と射 g_i: X'_i → X_i 及び X_i の稠密 な開集合 U_i で g_i は同型 g_i^(-1)(U_i) → U_i を誘導する ものが存在する。X' を各 X'_i の直和とする。補題(>>968)より X' はS 上射影的である。g:X' → X を各 g_i から誘導される射 とする。 U'_i = {x ∈ U_i; x はどの X_j (j ≠ i)にも含まれない} とし、U を U'_i の合併集合とする。U'_i は空でないから U も 空ではない。V を X の空でない開集合とすると、V はある X_i と交わる。X_i は既約だからV は U'_i とも交わる。よって U は X で稠密である。i ≠ j なら U'_i と U'_j は交わらない からg が誘導する射 g^(-1)(U) → U は 同型 g_i^(-1)(U'_i) → U'_i の直和であり、やはり同型である。
972 名前:132人目の素数さん [03/12/31 01:54]
Harstshorne II Ex. 4.10
(b) X をネータースキーム S 上固有かつ既約なスキームとする。 X の有限個のアフィン開被覆 U_i で各 U_i に対して 開埋入 U_i → P_i が存在する。ここに各 P_i は S 上射影的 なスキーム。
証明 f: X → S を構造射とする。 S はネーターだからアフィン開集合 S_i による有限被覆を持つ。 f は有限型だから、f^(-1)(S_i) はアフィン開集合 U_ij による 有限被覆を持つ。補題より、U_ij → S_i は準射影的である。 よって、補題より U_ij → S も準射影的である。 U_ij → S の閉像を P_ij とすれば U_ij → P_ij は 開埋入であり、P_ij は S 上射影的である。 添え字集合を適当に変えて U_ij, P_ij を それぞれ U_i, P_i とすればよい。
973 名前:132人目の素数さん [03/12/31 11:32]
補題 f: X → Y をS-スキームの射とし、Y は X の f による閉像と なっているとする。Z を S 上分離的スキームとし、 g_1, g_2 : Y → Z をS-スキームの射で、(g_1)f = (g_2)f と すると、g_1 = g_2 となる。
証明 g_1, g_2 により h: Y → (Z x Z)/S が定まる。 Δ: Z → (Z x Z)/S を対角射とする。 Z は S 上分離的だからΔ(Z) は(Z x Z)/Sの閉部分スキームで ある。よってh^(-1)(Δ(Z))は Y の閉部分スキームである (>>964)。T = h^(-1)(Δ(Z)) とおく。
T → Δ(Z) ↓ ↓ Y → (ZxZ)/S
(g_1)f = (g_2)f だから hf: X → Y → (Z x Z)/S は X → Δ(Z) → (Z x Z)/S と分解する。よって補題(>>965) より、f: X → Y は X → T → Y と分解する。 一方 Y は f の閉像だから T = Y となる。よって g_1 = g_2 である。
974 名前:132人目の素数さん mailto:sage [03/12/31 11:39]
で、おにいさん、それで空は飛べそうですか?
975 名前:132人目の素数さん [03/12/31 11:50]
補題 f: X → Y, g: Y → Z がスキームの射で、gf が埋入なら、 f も埋入である。
証明 Γ: X → (X x Y)/Z を f のグラフ射とし、 q: (X x Y)/Z → Y を射影とする。qΓ = f である。 次の可換図式を考える。
(XxY)/Z → Y ↓ ↓ X → Z
gf: X → Z は仮定より埋入だから q: (X x Y)/Z → Y も埋入 である。Γも埋入であるから qΓ = f も埋入である。
976 名前:132人目の素数さん [03/12/31 11:52]
Harstshorne II Ex. 4.10
(c) U_i, P_i は (b) (>>972)と同じものとする。 P = (P_1 x P_2 x ... x P_n)/S とおく。 U を 各 U_i の共通集合とし、 f: U → (X x P)/S を U → X と U → P_i から得られる射とする。 X' を U の f による閉像とする。 g: X' → X を X への射影、h: X' → P を P への射影とする。 このとき, h は閉埋入である。
証明 U → (X x P)/S → X は埋入だから、U → (X x P)/S も埋入 である(>>975)。 p_i: P → P_i を射影とする。V_i = (p_i)^(-1)(U_i) とおく。 まず、h^(-1)(V_i) が X' の被覆であることを証明する。 U_i は X の被覆だから、g^(-1)(U_i) は X' の被覆である。 よって、g^(-1)(U_i) ⊆ h^(-1)(V_i) を示せばよい。 (続く)
977 名前:132人目の素数さん [03/12/31 11:56]
Harstshorne II Ex. 4.10 (c) の証明の続き
U'_i = g^(-1)(U_i) とおく、 以下の図式が可換なことを示せばよい。
U'_i → P ↓ ↓ U_i → P_i
U'_i = X' ∩ (U_i x P)/S であり、f: U → (X x P)/S の 閉像はX' であり、f(U) ⊆ U'_i であるから、U → U'_i の 閉像は U'_i である。 よって以下の図式を考える。
h^(-1)(V_i) → V_i が閉埋入であることを示す。 Q_i を P_i を除いた残りの P_j の積とする。 V_i = (U_i x Q_i)/S であるから、 h^(-1)(V_i) = X' ∩ (X x U_i x Q_i)/S である。 (U_i x Q_i)/S → U_i → X のグラフを Z_i とする。 Z_i は (X x U_i x Q_i)/S の閉部分スキームであり、 その (U_i x Q_i)/S への射影は同型である。 X' ∩ (X x U_i x Q_i)/S は f(U) の (X x U_i x Q_i)/S に おける(部分スキームとしての)閉包であり、f(U) ⊆ Z_i で あるから、X' ∩ (X x U_i x Q_i)/S ⊆ Z_i である (スキームとしての包含)。 よって、X' ∩ (X x U_i x Q_i)/S → (U_i x Q_i)/S は閉埋入 である。 V_i の合併集合を V とする。 h^(-1)(V_i) は X' の被覆であるから、h(X') ⊆ V である。 h^(-1)(V_i) → V_i が閉埋入であるから、 X' → V は閉埋入であり、V → X は開埋入であるから h: X' → P は埋入となる。 一方、X' → S は 固有であるから、X' → P も固有であり、 h(X') は P の閉集合である。よって h は閉埋入である。
979 名前:132人目の素数さん [03/12/31 12:31]
Harstshorne II Ex. 4.10 の解答の続き (d) g^(-1)(U) → U は同型である。
証明 g^(-1)(U) = X' ∩ (U x P)/S は f(U) の (U x P)/S における (部分スキームとしての)閉包であることに注意する。 f(U) は U → P のグラフであるから、f(U) は (U x P)/S の 閉集合である。よって g^(-1)(U) = X' ∩ (U x P)/S = f(U) である。よって、g^(-1)(U) → U は同型である(逆の同型は f)。
...,、 - 、 ,、 ' ヾ 、 丶,、 -、 / ヽ ヽ \\:::::ゝ /ヽ/ i i ヽ .__.ヽ ヽ::::ヽ ヽ:::::l i. l ト ヽ ヽ .___..ヽ 丶::ゝ r:::::イ/ l l. i ヽ \ \/ノノハ ヽ l:/ /l l. l i ヽ'"´__ヽ_ヽリ }. ', ', 'l. i ト l レ'__ '"i:::::i゙〉l^ヾ |.i. l . l l lミ l /r'!:::ヽ '‐┘ .} / i l l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l l l.ヾlヽ ゝヾ:ノ , !'" i i/ i< 今年も数学がんばってね iハ l (.´ヽ _ ./ ,' ,' ' | |l. l ` ''丶 .. __ イ \_______ ヾ! l. ├ァ 、 /ノ! / ` ‐- 、 / ヾ_ / ,,;'' /:i /,, ',. ` / ,,;'''/:.:.i
991 名前:132人目の素数さん [04/01/02 02:49]
補題 Kを体、v をその離散付値、L を K の有限次拡大体とする。 L の付値で v の拡大になっているものは離散付値である。
補題 Kを体、v をその離散付値、L を K の有限生成拡大体とする。 L の離散付値で v の拡張になっているものが存在する。
証明 A を K の付値環、m を A の極大イデアルとし、πをその生成元 とする。L の K 上の超越基を x_1, x_2, ..., x_n とする。 B = A[x_1, ...,x_n] とおく。 A は UFD だから B も UFDである(Gaussの定理)。 よってπは B の既約元であるから、πB は B の素イデアルで あり、B の πB による局所化 B_πB は離散付値環である。 B の商体を M とすると、B_πB は M の離散付値 w を 引き起こす。w は v の拡張である。 L は M の有限次拡大体だから補題より w は L の 離散付値に拡張される。
993 名前:132人目の素数さん [04/01/02 02:51]
補題 A を局所ネーター整域、m を A の極大イデアルとし、 K をその商体とする。m の生成元 x_1, x_2, ..., x_n を適当に とると、B = A[x_2/x_1, ..., x_n/x_1] としたとき、 mB = (x_1)Bとなり (x_1)B ≠ B となる。
証明 m の生成元 x_1, ..., x_n で 各 x_i が 0 でないものをとる。 Hartshorne I Th. 6.1A より K の付値環 R で A を支配する ものが存在する。v を R に付随する付値で G をその値群と する。g_i = v(x_i/x_1) と置く。g_k = min{g_1,...,g_n} と する。各 i に対して v(x_i/x_k) = g_i - g_k >= 0 である。 よって、x_i/x_k ∈ R であり、 A[x_1/x_k, ..., x_n/x_k] ⊆ R となる。 必要なら x_1, ..., x_n の番号を付け替えて x_k = x_1 と 仮定してよい。よって B ⊆ R である。R は A を支配するから R の極大イデアルは mB を含む。よって mB ≠ B である。 i ≧ 2 のとき、x_i ∈ (x_1)B だから mB = (x_1, x_2, ..., x_n)B ⊆ (x_1)B である。 逆の包含関係は明らかだから、mB = (x_1)B である。
994 名前:132人目の素数さん [04/01/02 03:05]
補題(Krull-Akizuki) A を1次元のネーター整域、K をその商体とする。 L を K の有限次拡大体とする。A の L における整閉包は Dedekind整域である。
証明は例えば、Bourbaki VII §2.5 を参照。
995 名前:132人目の素数さん [04/01/02 03:38]
Hartshorne Ex.4.11 (a) の解答
A を局所ネーター整域、m を A の極大イデアルとし、 K をその商体とする。L を K の有限生成拡大体とする。 補題(>>993)よりm の生成元 x_1, x_2, ..., x_n を適当に とると、B = A[x_2/x_1, ..., x_n/x_1] としたとき、 mB = (x_1)Bとなり (x_1)B ≠ B となる。 (x_1)B の極小素イデアルを p とする。 Harsthorne I Th.1.11A(Krullの単項イデアル定理)より B_p の 次元は1である。m ⊆ p であるから B_p は A を支配する。 補題(>>994)より B_p の K における整閉包 B~ は Dedekind整域である。B~ の任意の極大イデアルを M とする。 B~_M は離散付値環である。B_p ∩ M は B_p の極大イデアル である(Cohen-Seidenberg)から B~_M は B_p を支配する。 補題(>>992)より L の離散付値環で B~_M を支配、即ち A を支配するものが存在する。