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代数的整数論 004



1 名前:132人目の素数さん [2006/11/23(木) 21:57:04 ]
Kummer ◆g2BU0D6YN2氏が代数的整数論を語るスレです。

前スレ
science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/

601 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/05(月) 12:08:11 ]
命題
>>600 の写像 Φ+ は単射である。

証明
f(x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 と g(x, y) = kx^2 + lxy + my^2
を判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式とする。
さらに [a, (-b + √D)/2] と [k, (-l + √D)/2] が同じ I(R)/P(R)
の類に属すとする。

θ = (-b + √D)/2a
τ = (-l + √D)/2k とおく。

>>599 より ps - qr = 1 となる有理整数 p, q, r, s があり、
θ = (pτ + q)/(rτ + s) となる。
aθ^2 + bθ + c = 0 だから
a(pτ + q)^2 + b(pτ + q)(rτ + s) + c(rτ + s)^2 = 0
この左辺は f(pτ + q, rτ + s) である。

f(px + qy, rx + sy) を x, y の2次形式とみたものを
h(x, y) とする。
>>405 より h(x, y) は判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式である。
h(τ, 1) = 0 だから h(x, 1) は τ を根とする2次式で、その係数
の最大公約数が 1 かつ最高次の係数が正であり τ により
一意に決まる(>>276)。

一方 τ = (-l + √D)/2k は kx^2 + lx + m の根でもあるから
g(x, y) = h(x, y) である。
証明終

602 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/05(月) 12:09:17 ]
命題
>>600 の写像 Φ+ は全射である。

証明
I(R)/P(R) の各類の代表として原始イデアルが取れる。

I = [a, b + fω] を R の可逆な原始イデアルの標準基底による
表示とする。

>>589 より判別式 D の2次形式 ax^2 + bxy + cy^2 があり、
r + fω = (-b + √D)/2 となる。
I は可逆だから >>592 より ax^2 + bxy + cy^2 は原始的である。
証明終

603 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/07(水) 19:23:01 ]
32

604 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:00:08 ]
補題
2次体 Q(√m) の任意の整数 α = a + bω のノルム N(α) は
以下の式で与えられる(ω については >>11 を参照)。

(1) m ≡ 1 (mod 4) のとき
N(α) = a^2 + ab + (b^2)(1 - m)/4

(2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
N(α) = a^2 - (b^2)m

証明
N(α) = (a + bω)(a + bω') = a^2 + ab(ω + ω') + (b^2)ωω'
より明らかである。

605 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:22:54 ]
補題
虚2次体 Q(√m) の任意の整数 α ≠ 0 に対して N(α) > 0 である。

証明
α = a + bω とする
α の2次体 Q(√m) の元としての共役 α' = a + bω' は
α の複素数としての共役でもあるから
N(α) = αα' = |α|^2 > 0 である。

このことは以下のようにしても分かる。

>>604 より
m ≡ 1 (mod 4) のとき
N(α) = a^2 + ab + (b^2)(1 - m)/4
4N(α) = 4a^2 + 4ab + (b^2)(1 - m) = (2a + b)^2 - (b^2)m

m < 0 だから N(α) > 0 である。

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
N(α) = a^2 - (b^2)m > 0 である。
証明終

606 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:29:56 ]
補題
虚2次体 Q(√m) の整数 a + bω が単数(>>73)であるためには
有理整数 a, b が以下の等式を満たすことが必用十分である。

(1) m ≡ 1 (mod 4) のとき
(2a + b)^2 - (b^2)m = 4

(2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
a^2 - (b^2)m = 1

証明
>>74>>604>>605 より明らかである。

607 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:31:13 ]
命題
虚2次体 Q(√m) の単数(>>73)は以下の通り。

(1) m = -1 のとき

±1、±√(-1)

(2) m = -3 のとき
±1、±ω、±ω^2
ここで ω = (-1 + √(-3))/2 = exp(2πi/3) は1の原始3乗根である。

(3) |m| > 3 のとき
±1

証明
>>606 より明らかである。

608 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:32:31 ]
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
R の元 α が可逆元であるためには α が Q(√m) の単数(>>73)
であることが必要十分である。

つまり R^* = R ∩ Z[ω]^* である。

証明
まず ω' = 1 - ω または ω' = -ω だから α ∈ R なら α' ∈ R
であることに注意する。

R の可逆元は明らか単数である。

R の元 α が単数であるとする。
>>74 より N(α) = 1 または N(α) = -1 である。
N(α) = 1 なら αα' = 1 で、α' ∈ R だから α は R の可逆元
である。

N(α) = -1 なら αα' = -1 だから α(-α') = 1 となり、
やはり α は R の可逆元である。
証明終

609 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:36:17 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。
f > 1 なら R に属す単数は ±1 のみである。

証明
R の元 α = a + bfω が単数だとする。
>>74 より
N(α) = (a + bfω)(a + bfω')
= a^2 + abf(ω + ω') + (f^2)(b^2)ωω' = 1
である。

(1) m ≡ 1 (mod 4) のとき

a^2 + abf + (f^2)(b^2)(1 - m)/4 = 1

よって
(2a + bf)^2 - (f^2)(b^2)m = 4

よって f > 1 なら b = 0、a = ±1 である。

(2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき

a^2 - (f^2)(b^2)m = 1

よって f > 1 なら b = 0、a = ±1 である。
証明終



610 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:43:10 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。
R^* = {±1} である。
ここで R^* は R の可逆元全体のなすアーベル群を表す(>>516)。

証明
>>608>>609 より明らかである。

611 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:52:40 ]
補題
A と B を環とする。
A × B を A と B の環としての直積とする。

(a, b) ∈ A × B のとき (a, b) が可逆であるためには a と b が
それぞれ可逆であることが必用十分である。

証明
A × B の乗法の定義から明らかである。

612 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:53:39 ]
補題
A と B を環とする。
このとき、(A × B)^* = (A^*)×(B^*) である。
ここで等号は群としての同型を表す。

証明
>>611 より明らかである。

613 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:04:35 ]
補題
A を局所環とし、m をその極大イデアルとする。
x を A の元とする。
xA ≠ A であるためには x ∈ m が必用十分である。

証明
x ∈ m なら xA ⊂ m だから xA ≠ A である。

逆に xA ≠ A なら Zorn の補題より xA ⊂ m である。
証明終

614 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:06:38 ]
補題
A を局所環とし、m をその極大イデアルとする。
A^* = A - m である。

証明
これは >>613 を言い換えたものである。

615 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:16:40 ]
補題
2次体 Q(√m) の素イデアル P と有理整数 n ≧ 1 に対して
P と P^n をアーベル群とみて剰余群 P/P^n が考えられる。
このとき
|P/P^n| = N(P)^(n-1) である。

証明
定義(>>24)より |Z[ω]/P| = N(P)

>>70 より |Z[ω]/P^n| = N(P)^n

これから明らかである。
証明終

616 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:19:37 ]
補題
2次体 Q(√m) の素イデアル P と有理整数 n ≧ 1 に対して
|(Z[ω]/P^n)^*| = N(P)^n - N(P)^(n-1) である。

証明
>>614>>615 から明らかである。

617 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:34:40 ]
補題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
2次体 Q(√m) において p は分岐するとする(>>106)。

このとき
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n-1)
である。

証明
p は分岐するから Q(√m) のある素イデアル P があり、
pZ[ω] = P^2 となる。

よって (p^n)Z[ω] = P^(2n) である。
よって >>616 より
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n-1)
証明終

618 名前:132人目の素数さん [2007/02/08(木) 20:38:45 ]
オナニー

619 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:46:53 ]
補題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
2次体 Q(√m) において p は完全分解するとする(>>106)。

このとき
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = (p^n - p^(n-1))^2
である。

証明
p は完全分解するから Q(√m) のある素イデアル P があり、
pZ[ω] = PP' となる。 P ≠ P' である。

よって (p^n)Z[ω] = (P^n)(P'^n) である。

中国式剰余定理(前スレ1の341)より
Z[ω]/(p^n)Z[ω] = (Z[ω]/P^n) × (Z[ω]/P'^n)

よって >>612>>616 と N(P) = N(P') = p より
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*|
= |(Z[ω]/P^n)^*| |(Z[ω]/P'^n)^*|
= (p^n - p^(n-1))^2
証明終



620 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:53:56 ]
補題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
2次体 Q(√m) において p は分解しないとする(>>106)。

このとき
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n - 2)
である。

証明
p は分解しないから pZ[ω] = P はQ(√m) の素イデアルである。
よって (p^n)Z[ω] = P^n で N(P) = p^2 である。

よって >>616 から
|(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = |(Z[ω]/P^n)^*| = p^(2n) - p^(2n - 2)
である。
証明終

621 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:39:54 ]
定義
有理整数 n ≧ 1 に対して φ(n) を以下のように定義する。

(1) φ(1) = 1

(2) n > 1 のとき φ(n) = |(Z/nZ)^*|

φ を Euler の関数と呼ぶ。

622 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:51:40 ]
補題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。

φ(p^n) = p^n - p^(n - 1)
である。
ここで、φ は Euler の関数(>>621)である。

証明
良く知られているし、>>615 の証明と同様にしてもわかる。

623 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:56:47 ]
命題
r > 1 を有理整数とし、r = Πp^n を r の素因数分解とする。
ここで p は r の相異なる素因子を動く。


φ(r) = rΠ(1 - 1/p)
である。
ここで、φ(r) は Euler の関数(>>621)である。

証明
中国式剰余定理(前スレ1の341)より
Z/rZ = ΠZ/(p^n)/Z である。
>>612 より
φ(r) = |(Z/rZ)^*| = Π|(Z/(p^n)/Z)^*| である。

一方、622 より
|(Z/(p^n)/Z)^*| = p^n - p^(n - 1) = (p^n)(1 - 1/p)

よって φ(r) = rΠ(1 - 1/p) である。
証明終

624 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 22:45:02 ]
命題
2次体 Q(√m) の主整環(>>431)を Z[ω] とする。
r > 1 を有理整数とし、r = Πp^n を r の素因数分解とする。
ここで p は r の相異なる素因子を動く。

このとき
|(Z[ω]/rZ[ω])^*| = φ(r)rΠ(1 - χ(p)/p)
である。

ここで χ(p) は以下のように定義する。
(1) p が2次体 Q(√m) において分岐する(>>106)とき
χ(p) = 0

(2) p が2次体 Q(√m) において完全分解する(>>106)とき
χ(p) = 1

(3) p が2次体 Q(√m) において分解しない(>>106)とき
χ(p) = -1

証明
中国式剰余定理(前スレ1の341)と >>612 より
r が素数べき p^n の場合に証明すればよい。
この場合は >>617, >>619, >>620, >>622 より明らかである。
証明終

625 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/08(木) 23:23:00 ]
32

626 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:46:30 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。

このとき h(D) = |Cl(D)| である。

ここで h(D) は判別式 D の簡約2次形式(>>407) の個数であり、
Cl(D) は R の Picard 群 Pic(R) = I(R)/P(R) (>>473) である。

証明
>>601>>602 より明らかである。

627 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:47:15 ]
補題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。

fZ[ω] = (R : Z[ω]) である。

ここで (R : Z[ω]) は R のイデアルとしての導手(>>540)である。

証明
α = a + bfω ∈ (R : Z[ω]) とする。
αω = aω + bfω^2 ∈ R

ω は (X - ω)(X - ω') = X^2 - Tr(ω)X + N(ω) の根だから

ω^2 = Tr(ω)ω - N(ω)

よって
-bfN(ω) + (a + bfTr(ω))ω ∈ R

よって a ≡ 0 (mod f) である。
よって α ∈ fZ[ω] である。
よって (R : Z[ω]) ⊂ fZ[ω] である。

逆の包含関係は明らかである。
証明終

628 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:51:25 ]
補題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。

I = (R : Z[ω]) を R のイデアルとしての導手(>>540)とする。

|(R/I)^*| = φ(f) である。

ここで φ(f) は Euler の関数(>>621) である。

証明
>>627 より I = fZ[ω] = [f, fω] である。
よって R/I = [1, fω]/[f, fω] は Z/fZ と同型である。
よって |(R/I)^*| = φ(f) である。
証明終

629 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:59:21 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
d を Q(√m) の判別式とする。

h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p)
である。
ここで p は f の相異なる素因子を動く。

証明
I = (R : Z[ω]) を R のイデアルとしての導手(>>540)とする。
>>627 より I = fZ[ω] である。

>>548>>626 より
h(D) = h(d)[(Z[ω]/I)^* : (R/I)^*]/[Z[ω]^* : R^*]

>>624 より
|(Z[ω]/I)^*| = φ(f)fΠ(1 - χ(p)/p)

>>628 より
|(R/I)^*| = φ(f)

よって
h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p)
である。
証明終



630 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 21:03:17 ]
>>629

χ(p) は >>624 で定義したものである。

631 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 21:03:59 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
d を Q(√m) の判別式とする。

(1) m = -1 のとき、即ち d = -4 のとき
h(D) = (1/2)fΠ(1 - χ(p)/p)

(2) m = -3 のとき、即ち d = -3 のとき
h(D) = (1/3)fΠ(1 - χ(p)/p)

(3) m が上記以外のとき
h(D) = h(d)fΠ(1 - χ(p)/p)

上記いずれの場合も p は f の相異なる素因子を動く。
χ(p) は >>624 で定義したものである。

証明
>>629 より
h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p)

>>607>>609 より
(1) m = -1 のとき、[Z[ω]^* : R^*] = 2
(2) m = -3 のとき、[Z[ω]^* : R^*] = 3
(3) |m| > 3 のとき [Z[ω]^* : R^*] = 1

>>221 より Q(√(-1)) はノルム Euclid 的である。
よって h(-4) = 1 である。
前スレ3の233より Q(√(-3)) はノルム Euclid 的である。
よって h(-3) = 1 である。

以上から本命題の主張が得られる。
証明終

632 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/10(土) 00:34:00 ]
35

633 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 11:32:12 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。
d を Q(√m) の判別式とする。
m ≧ 1 を有理整数として S = [1, mfω] を整環とする。

このとき

h((m^2)D) = (h(D)/[R^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p)

となる。ここで p は m の相異なる素因子を動く。

証明
>>629 より

h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p)
よって
h(d) = h(D)[Z[ω]^* : R^*]/(fΠ(1 - χ(p)/p))

再び >>629 より

h((m^2)D) = (h(d)/[Z[ω]^* : S^*])mfΠ(1 - χ(p)/p)
ここで p は mf の相異なる素因子を動く。

よって
h((m^2)D)
= (h(d)[Z[ω]^* : R^*]/[Z[ω]^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p)
= (h(D)/[R^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p)

証明終

634 名前:132人目の素数さん [2007/02/10(土) 11:38:30 ]
Cox の Primes of the form x^2 + ny^2 によると >>633 は Gauss が
証明したという。
Disquisitiones の art. 254-256 がその証明らしいいという。
私はその証明をまだ確かめてない。

635 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:41:14 ]
定義
V を有理数体上の有限次ベクトル空間とする。
L を V のアーベル群としての部分群で階数 が n = dim V の
自由アーベル群であるとき L を V の格子(lattice)という。

636 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:44:43 ]
定義
2次体 Q(√m) を有理数体上の2次元ベクトル空間とみて
L がその格子(>>635)のとき L を2次体 Q(√m) の格子という。

637 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:52:24 ]
定義
L を2次体 Q(√m) の格子(>>636)とする。
(L : L) = {α ∈ Q(√m); αL ⊂ L} と書く。

638 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 14:23:27 ]
命題
L を2次体 Q(√m) の格子(>>636)とする。
(L : L) = {α ∈ Q(√m); αL ⊂ L} は Q(√m) の整環である。

証明
α ∈ (L : L) なら L は Z[α] 上の忠実加群とみなせる。
よって前スレ3の839よりαは(代数的)整数である。
つまり、(L : L) ⊂ Z[ω] である。
よって (L : L) は自由アーベル Z[ω] の部分群として
有限生成の自由アーベル群である。

(L : L) は明らかに Z[ω] の部分環である。

L = [β, γ] とする。

ωβ = pβ + qγ
ωγ = rβ + sγ
となる有理数 p, q, r, s がある。

よって aωβ ∈ L. aωγ ∈ L となる有理整数 a ≠ 0 がある。
aωL ⊂ L だから aZ[ω]L ⊂ L である。
よって aZ[ω] ⊂ (L : L) である。

aZ[ω] は階数2の自由アーベル群だから (L : L) もそうである。
よって (L : L) は Q(√m) の整環である。
証明終

639 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:37:41 ]
補題
L を2次体 Q(√m) の格子(>>636)とする。
α ≠ 0 を Q(√m) の元とすると
(αL : αL) = (L : L) である。

証明
自明である。



640 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:40:32 ]
命題
L = [α, β] を2次体 Q(√m) の格子(>>636)とする。
τ = β/α とし、aτ^2 + bτ + c = 0 とする。
ここで a, b, c は有理整数で gcd(a, b, c) = 1 である。

このとき
(L : L) = [1, aτ]
である。

証明
L = [α, β] = α[1, τ] だから
>>639 より (L : L) = ([1, τ] : [1, τ])

γ ∈ ([1, τ] : [1, τ]) とすると、
γ ∈ [1, τ] より γ = m + nτ、m ∈ Z、n ∈ Z と書ける。
γτ ∈ [1, τ] だから γτ = mτ + nτ^2 である。
一方、aτ^2 + bτ + c = 0 だから τ^2 = (-b/a)τ - c/a
よって γτ = mτ + nτ^2 = -cn/a + (m - (bn/a))τ ∈ [1, τ]

よって
-cn ≡ 0 (mod a)
-bn ≡ 0 (mod a)

よって gcd(a, b, c) = 1 より n ≡ 0 (mod a) となる。
よって γ ∈ [1, aτ] である。
よって ([1, τ] : [1, τ]) ⊂ [1, aτ] である。

一方、aτ^2 = -c - bτ だから aτ∈ ([1, τ] : [1, τ])
よって [1, aτ] ⊂ ([1, τ] : [1, τ])

以上から (L : L) = [1, aτ] である。
証0明終

641 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:45:45 ]
>>639 は αL が Q(√m) の格子であることを暗黙の前提としている。
しかし、これは明らかである。

642 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:00:12 ]
命題
M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の主整環 Z[ω] の可逆分数イデアル(>>466)
とする。

M は明らかに Q(√m) の格子であるが、
(M : M) = Z[ω] である。

証明
α ∈ (M : M) とする。
αM ⊂ M より αM(M^(-1)) ⊂ M(M^(-1)) となる。
M(M^(-1)) = Z[ω] だから α ∈ Z[ω] である。
よって (M : M) ⊂ Z[ω] である。

逆の包含関係は明らかである。
証明終

643 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:04:55 ]
命題
M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整環 R の可逆分数イデアル(>>466)
とする。

M は明らかに Q(√m) の格子であるが、
(M : M) = R である。

証明
α ∈ (M : M) とする。
αM ⊂ M より αM(M^(-1)) ⊂ M(M^(-1)) となる。
M(M^(-1)) = R だから α ∈ R である。
よって (M : M) ⊂ R である。

逆の包含関係は明らかである。
証明終

644 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:11:48 ]
>>642>>643 により不要だった。

645 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:39:32 ]
命題(Cox の Primes of the forms x^2 + ny^2)
M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整環 R の分数イデアル(>>463)
とする。

(M : M) = R なら M は可逆である。

証明
M = [α, β] とする。
τ = β/α とし、aτ^2 + bτ + c = 0 とする。
ここで a, b, c は有理整数で gcd(a, b, c) = 1 である。

M = α[1, τ] である。
M' = α'[1, τ'] である。

よって
aMM' = aN(α)<1, τ, τ', ττ'>

τ + τ' = -b/a
ττ' = c/a
だから

aMM' = aN(α)<a, aτ, aτ', aττ'> = aN(α)<a, aτ, -b , c>
= N(α)[gcd(a, b, c), aτ]
= N(α)[1, aτ]

>>640 より [1, aτ] = (M : M) = R である。
よって
aMM' = N(α)R

これは M が可逆であることを意味する。
証明終

646 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 23:44:40 ]
補題
ax^2 + bxy + cy^2 を原始的(>>279)な2次形式とする。
m ≧ 1 を有理整数とする。

互いに素な有理整数 s と t があり、
A = as^2 + bst + ct^2 が m と素になる。

証明
p を m の任意の素因数とする。

a と p が素なら s ≡ 1 (mod p), t ≡ 0 (mod p) とする。
このとき A ≡ a (mod p) だから A は p と素である。

a ≡ 0 (mod p) で c が p と素なら
s ≡ 0 (mod p), t ≡ 1 (mod p) とする。
このとき A ≡ c (mod p) だから A は p と素である。

a ≡ 0 (mod p) で c ≡ 0 (mod p) なら gcd(a, b, c) = 1 より
b は p と素である。
s ≡ 1 (mod p), t ≡ 1 (mod p) とする。
このとき A ≡ b (mod p) だから A は p と素である。

中国式剰余定理より m の各素因数 p に対して
上記の合同式を満たす s と t が存在して、A は m と素になる。
gcd(s, t) = r とする。 r = 1 なら s, t が求めるものである。
r ≠ 1 なら s = rs', t = rt'
とおけば
A = r^2(a(s')^2 + bs't' + c(t')^2)
A/r^2 = a(s')^2 + bs't' + c(t')^2
となり A/r^2 は m と素である。
よって s' と t' が求めるものである。
証明終

647 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/11(日) 03:55:00 ]
36

648 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:12:04 ]
命題
ax^2 + bxy + cy^2 を原始的(>>279)な2次形式とする。
m ≧ 1 を有理整数とする。

このとき、SL_2(Z) の元 σ = (p, q)/(r, s) があり、
ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて(>>401)
Au^2 + Buv + Cv^2 となったとき、
A は m と素に出来る。

証明
>>646 より互いに素な有理整数 p と r があり、
A = ap^2 + bpr + cr^2 が m と素になる。

p と r は互いに素だから ps - qr = 1 となる
有理整数 s と q がある。
よって、行列 σ = (p, q)/(r, s) は SL_2(Z) の元である。

ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて
Au^2 + Buv + Cv^2 となったとする。
つまり、f(x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 とおいたとき、
Au^2 + Buv + Cv^2 = f(pu + qv, ru + sv) である。

>>401 より
A = ap^2 + bpr + cr^2
B = 2apq + b(ps + qr) + 2crs
C = aq^2 + bqs + cs^2
である。
A は m と素だから σ = (p, q)/(r, s) が求めるものである。
証明終

649 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:12:47 ]
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
I と J を R の非零イデアルとする。
N(I) と N(J) が互いに素なら I + J = R である。

証明
I + J ≠ R とする。
R の素イデアル P があり I ⊂ P かつ J ⊂ P となる。
>>579 より N(I) と N(J) は N(P) で割れる。
証明終



650 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:31:08 ]
命題
R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。
m ≧ 1 を有理整数とする。
I を R の可逆な分数イデアルとする。

このとき λ ∈ Q(√m) があり、
λI ⊂ R で λI + mR = R となる。

証明
D を R の判別式とする。

I に適当な定数を掛けることにより、初めから I は R の可逆な
原始イデアルと仮定してよい。
I = [a, b + fω] を R の標準基底による表示とする。

>>589 より判別式 D の2次形式 ax^2 + bxy + cy^2 があり、
r + fω = (-b + √D)/2 となる。
I は可逆だから >>592 より ax^2 + bxy + cy^2 は原始的である。

>>648 より SL_2(Z) の元 σ = (p, q)/(r, s) があり、
ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて
Au^2 + Buv + Cv^2 となったとき、
A は m と素に出来る。

>>282 より gcd(A, B, C) = 1 である。
>>594 より
J = [A, (-B + √D)/2] は R の可逆な原始イデアルであり、
I(R)/P(R) (>>473) の I と同じ類に属す。

N(J) = A で A は m と素だから >>649 より
J + mR = R である。
証明終

651 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:50:30 ]
>>650
訂正:

>命題
>R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。

命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。

652 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 12:12:44 ]
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
I ≠ 0 を R のイデアルとする。

N(I) ∈ I である。

証明
ノルムの定義(>>438)より |R/I| = N(I) である。
つまり R/I のアーベル群としてに位数は N(I) である。
よって R/I の任意の元 x に対して N(I)x = 0 である。
特に N(I)1 = 0 である。
これは N(I) ∈ I を意味する。
証明終

653 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 12:16:10 ]
命題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
I ≠ 0 を R のイデアルとする。
R の Picard 群 I(R)/P(R) (>>473) の任意の剰余類には
I と素な R のイデアル J が存在する。
つまり、 I + J = R となる J ∈ I(R) が存在する。

証明
>>650 より I(R)/P(R) の任意の剰余類には
J + N(I)R = R となる J ∈ I(R) が存在する。

>>652 より N(I) ∈ I だから
N(I)R ⊂ I である。
よって J + I = R である。
証明終

654 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 06:58:52 ]
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。

R の正則(>>550)な分数イデアル全体を RI(R) と書いたく(>>572)。
R の正則な単項分数イデアルのなす群を RP(R) と書いた(>>572)。

>>653 を R の導手(>>540) I = fZ[ω] (>>627) に適用すると、
RP(R)/RI(R) は I(R)/P(R) に同型になる。

これは >>575 を R に適用した場合の別証明になっている。

655 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 mailto:sage [2007/02/12(月) 08:08:54 ]
補題
R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
Z[ω] の元 α に対して α ∈ R で αR が正則であるためには

α ≡ a (mod fZ[ω]) で gcd(a, f) = 1 となる有理整数 a が
存在することが必要十分である。

証明
α ∈ R で αR が正則とする。
α ∈ R なら α = a + bfω と書ける。

αR が正則だから αZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。

α ≡ a (mod fZ[ω]) だから aZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。
gcd(a, f) ≠ 1 とすると a と f を割る素数 p がある。
p を含む Z[ω] の素イデアル P をとれば aZ[ω] + fZ[ω] ⊂ P
となって矛盾。
よって gcd(a, f) = 1 である。

逆に α ≡ a (mod fZ[ω]) で gcd(a, f) = 1 となる有理整数 a が
あるとする。

αZ[ω] + fZ[ω] = aZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。
よって αR は正則である。

証明終

656 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 mailto:sage [2007/02/12(月) 08:46:28 ]
訂正

>>470
>A の0でない分数イデアル全体は乗法により群となる。

A の0でない可逆分数イデアル全体は乗法により群となる。


657 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 08:48:17 ]
定義
A を Dedekind 環とする。
m ≠ 0 を A のイデアルとする。
A の分数イデアルで m と素なもの全体は
可逆分数イデアル群 I(A) (>>470) の部分群となる。
これを I(m) と書く。

A の単項分数イデアルで m と素なもの全体は
単項分数イデアル群 P(A) (>>471) の部分群となる。
これを P(m) と書く。

658 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 09:06:55 ]
命題
A を Dedekind 環とする。
m ≠ 0 を A のイデアルとする。

I(m)/P(m) は I(A)/P(A) に標準的に同型である。

ここで, I(m) と P(m) は >>657 で定義したもの。

証明
I(m) → I(A) を包含写像とする。
この核は P(m) である。

よって標準単射 I(m)/P(m) → I(A)/P(A) が得られる。
>>573 より、これは全射である。
証明終

659 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 09:18:38 ]
定義
A を Dedekind 環とする。
a ≠ 0 を A の元とする。

I(aA) (>>657) をI(a) と書く。
同様に、P(aA) を P(a) と書く。




660 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 10:31:31 ]
命題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
I = (A : B) を A の導手とする。

J ≠ 0 を B のイデアルで I と素とする。
J に A ∩ J を対応させることにより B のイデアルで I と
素なものと A の正則なイデアルとの1対1の対応が得られる。

証明
J ≠ 0 を B のイデアルで I と素とする。
>>557 より A ∩ J は正則な A のイデアルで (A ∩ J)B = J となる。

よって J に A ∩ J を対応させる写像は単射である。

逆に J_0 を A の正則なイデアルとする。
定義(>>550)より (J_0)B は I と素である。
よって >>557 より A ∩ (J_0)B は正則であり
(A ∩ (J_0)B)B = (J_0)B となる。
よって >>556 より A ∩ (J_0)B = J_0 である。

よって J に A ∩ J を対応させる写像は全単射である。
証明終

661 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 10:56:13 ]
命題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

I(f) (>>657) と RI(A) (>>572) は標準的に同型である。

証明
>>660 より明らかである。

662 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 11:26:42 ]
補題(高木:代数的整数論)
A を Dedekind 環とする。
m ≠ 0 を A のイデアルとする。
xA を P(m) (>>657) の元とする。

このとき aA + m = A、bA + m = A となる
A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。

証明
定義から xA = I/J で I + m = A, J + m = A となる
A のイデアル I と J がある。

前スレ2の785より
JL = bA で L + m = A となる b ∈ A がある。
J + m = A だから JL + m = A である(前スレ1の340)。
同様に I + m = A だから IL + m = A である。

xA = IL/JL = IL/bA

IL = xbA である。
よって a = xb とすればよい。
証明終

663 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 16:28:11 ]
補題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。
I を A の正則イデアルとする。

このとき I の元 a で aA = IL となるものが存在する。
ここで L は正則イデアルである。

証明
>>552 より I を含む A の素イデアルは正則である。
よって I + f = A である。

中国式剰余定理(前スレ1の341)より
a ≡ 0 (mod I)
a ≡ 1 (mod f)
となる a ∈ A がある。

a ∈ I だから aA ⊂ I である。
a ≡ 1 (mod f) だから b ∈ f があり a + b = 1 である。
よって aB + f = B である。
つまり aA は正則イデアルである。

I は正則だから可逆である(>>559)。
L = aA/I とおけば L は正則イデアルである。
aA = IL である。
証明終

664 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 16:45:17 ]
補題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

xA を RP(A) (>>572) の元とする。

このとき aA + f = A、bA + f = A となる
A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。

証明
定義から xA = I/J となる正則なイデアル I と J がある。
>>663 より I の元 b で bA = IL となるものが存在する。
ここで L は正則イデアルである。

xA = I/J = IL/JL = IL/bA である。
IL は正則で IL = bxA だから b = ax とすれば xA = aA/bA となる。
証明終

665 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 17:00:43 ]
>>664 を以下のように訂正する。

補題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

xA を RP(A) (>>572) の元とする。

このとき aA + f = A、bA + f = A となる
A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。

証明
定義から xA = I/J となる正則なイデアル I と J がある。
>>663 より J の元 b で bA = JL となるものが存在する。
ここで L は正則イデアルである。

xA = I/J = IL/JL = IL/bA である。
IL は正則で IL = bxA だから b = ax とすれば xA = aA/bA となる。
証明終

666 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:51:00 ]
45

667 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:52:00 ]
44

668 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:53:00 ]
43

669 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:54:00 ]
42



670 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:55:00 ]
41

671 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:56:00 ]
40

672 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 20:01:52 ]
定義
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

P_A(f) = {(a/b)B; a ∈ A, b ∈ A, aA と bA はともに正則}
と書く。

P_A(f) は明らかに P(f) (>>657) の部分群である。

673 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 20:11:39 ]
命題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

I(f)/P_A(f) は標準的に RI(A)/RP(A) に同型である。

証明
>>661 より I(f) と RI(A) は標準的に同型である。
この同型では I と J が A の正則なイデアルのとき
I/J には IB/JB が対応する。

よって >>664>>672 より、この同型は P_A(f) と RP(A) の同型を
引き起こす。
証明終

674 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:39:00 ]
39

675 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:40:00 ]
38

676 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:41:00 ]
37

677 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:42:00 ]
36

678 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:43:00 ]
35

679 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:44:00 ]
34



680 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/14(水) 21:29:19 ]
補題
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。
I を B のイデアルで I + f = B とする。

このとき I ∩ A の元 a で aB = IL となるものが存在する。
ここで L は B のイデアルで L + f = B となる。

証明
>>660 より I ∩ A は A の正則イデアルである。
>>663 より I ∩ A の元 a で aA = (I ∩ A)J となるものが
存在する。ここで J は正則イデアルである。
aB = (I ∩ A)B(JB) であるが >>660 より (I ∩ A)B = I である。
よって aB = I(JB) である。L = JB とすればよい。
証明終

681 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/14(水) 22:39:49 ]
A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。
A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。
f = (A : B) を A の導手とする。

αを B の元で α + f ∈ (B/f)^* とする。
つまり、α + f は剰余環 B/f の可逆元である。
よって αγ ≡ 1 (mod f) となる γ ∈ B がある。
よって αB + f = B である。
αγ - 1 ∈ f ⊂ A だから αγ ∈ A である。

βを B の元で α ≡ β (mod f) とする。
αγ ≡ βγ (mod f) だから βγ ≡ 1 (mod f) である。
よって αγと同様に βγ ∈ A である。

(αB)(βγB) = αβγB
(βB)(αγB) = αβγB
よって (αB)(βγB) = (βB)(αγB)
よって αB と βB は P(f)/P_A(f) の同じ剰余類に属す。
ここで P(f) は >>657 で、P_A(f) は >>672 で定義したものである。
よって、アーベル群としての射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) が
定まる。

682 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:48:00 ]
35

683 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:49:00 ]
34

684 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:50:00 ]
35

685 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:51:00 ]
34

686 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:52:00 ]
33

687 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:53:00 ]
32

688 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 20:20:13 ]
補題
>>681 の射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) は全射である。

証明
P(f) の元は αB = I/J と書ける。ここで α ≠ 0 は K の元で、
I と J は B のイデアルでともに f と素である。

>>680 より J ∩ A の元 c で cB = JL となるものが存在する。
ここで L は B のイデアルで f と素である。

αB = I/J = IL/JL = IL/cB
IL = αcB だから αc = β とおけば β ∈ B で βB は f と
素である。つまり βB∈ P(f) である。
αB = βB/cB だから βB と αB は P(f)/P_A(f) の同じ剰余類に属す。
φ の定義から、この剰余類は φ(β + f) である。
証明終

689 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:00:39 ]
補題
A と B は >>681 と同じものとする。

p : B → B/f
π: (B/f)^* → (B/f)^*/(A/f)^*
を、それぞれ標準写像とする。

α ∈ B^* なら p(α) ∈ (B/f)^* だから α に πp(α) を
対応させて、射 B^* → (B/f)^*/(A/f)^* が得られる。
この核は A^* である。

証明
α ∈ B^* で p(α) ∈ (A/f)^* なら p(α) = p(a) となる a ∈ A
がある。
α - a ∈ f ⊂ A だから α ∈ A である。
よって、射 B^* → (B/f)^*/(A/f)^* の核は A^* である。
証明終



690 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:13:10 ]
命題
>>681 の射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) の定義より
φ((A/f)^*) ⊂ P_A(f) である。
よって φ は射 φ~: (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) を引き起こす。
このとき、次の完全系列が成り立つ。

0 → B^*/A^* → (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) → 0

証明
p : B → B/f
π: (B/f)^* → (B/f)^*/(A/f)^*
を、それぞれ標準写像とする。

>>688 より φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) は全射である。
よって φ~: (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) も全射である。

>>689 より
0 → B^*/A^* → (B/f)^*/(A/f)^*
は完全である。

残るは φ~ : (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) の核が
B^*/A^* の像と一致することである。

α ∈ B で αB + f = B とする。
つまり p(α) ∈ (B/f)^* である。
さらに αB ∈ P_A(f) とする。
P_A(f) の定義(>>672)から αB = aB/bB となる。
ここで、a ∈ A, b ∈ A で aA と bA はともに正則である。
αbB = aB より αb = aε となる ε ∈ B^* がある。
p(αb) = p(aε) だから p(α)p(b) = p(a)p(ε)
p(b) ∈ (A/f)^*、p(a) ∈ (A/f)^* だから πp(α) = πp(ε)
証明終

691 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:32:35 ]
>>690 の系

次の完全系列が成り立つ。

0 → B^*/A^* → (B/I)^*/(A/I)^* → I(f)/P_A(f) → I(f)/P(f) → 0

証明
>>690 より明らかである。

692 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:39:26 ]
>>690 の系

次の完全系列が成り立つ。

0 → B^*/A^* → (B/I)^*/(A/I)^* → RI(A)/RP(A) → Pic(B) → 0

証明
>>673 より I(f)/P_A(f) は標準的に RI(A)/RP(A) に同型である。

>>658 より I(f)/P(f) は Pic(B) = I(B)/P(B) に標準的に同型である。

よって >>691 より明らかである。
証明終

693 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 23:11:18 ]
>>575 から RI(A)/RP(A) は I(A)/P(A) と標準的に同型である。
よって >>691 から >>547 の別証が得られる。

A が2次体 Q(√m) の整環で B が Q(√m) の主整環の場合には
>>654 からも RI(A)/RP(A) と I(A)/P(A) が標準的に同型であることが
分かる。

>>654 の証明は、2次形式の初等的な結果 >>648 を元にしており、
>>575 の証明より古典的である。

694 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/16(金) 21:05:09 ]
>>693
>>>575 から RI(A)/RP(A) は I(A)/P(A) と標準的に同型である。
>よって >>691 から >>547 の別証が得られる。

>>575>>547 から証明しているので、これは正確には別証とは
言えない。>>575>>547 とは関係なく証明したいところだが、
今のところ(2次体は別にして)思いつかない。
誰か分かるひといますか?

695 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:11:00 ]
36

696 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:12:00 ]
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697 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:13:00 ]
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698 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:14:00 ]
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699 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:15:00 ]
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700 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:16:00 ]
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