1 名前:132人目の素数さん [2006/11/23(木) 21:57:04 ] Kummer ◆g2BU0D6YN2氏が代数的整数論を語るスレです。 前スレ science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/
601 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/05(月) 12:08:11 ] 命題 >>600 の写像 Φ+ は単射である。 証明 f(x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 と g(x, y) = kx^2 + lxy + my^2 を判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式とする。 さらに [a, (-b + √D)/2] と [k, (-l + √D)/2] が同じ I(R)/P(R) の類に属すとする。 θ = (-b + √D)/2a τ = (-l + √D)/2k とおく。 >>599 より ps - qr = 1 となる有理整数 p, q, r, s があり、 θ = (pτ + q)/(rτ + s) となる。 aθ^2 + bθ + c = 0 だから a(pτ + q)^2 + b(pτ + q)(rτ + s) + c(rτ + s)^2 = 0 この左辺は f(pτ + q, rτ + s) である。 f(px + qy, rx + sy) を x, y の2次形式とみたものを h(x, y) とする。 >>405 より h(x, y) は判別式 D の正定値かつ原始的な2次形式である。 h(τ, 1) = 0 だから h(x, 1) は τ を根とする2次式で、その係数 の最大公約数が 1 かつ最高次の係数が正であり τ により 一意に決まる(>>276 )。 一方 τ = (-l + √D)/2k は kx^2 + lx + m の根でもあるから g(x, y) = h(x, y) である。 証明終
602 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/05(月) 12:09:17 ] 命題 >>600 の写像 Φ+ は全射である。 証明 I(R)/P(R) の各類の代表として原始イデアルが取れる。 I = [a, b + fω] を R の可逆な原始イデアルの標準基底による 表示とする。 >>589 より判別式 D の2次形式 ax^2 + bxy + cy^2 があり、 r + fω = (-b + √D)/2 となる。 I は可逆だから >>592 より ax^2 + bxy + cy^2 は原始的である。 証明終
603 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/07(水) 19:23:01 ] 32
604 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:00:08 ] 補題 2次体 Q(√m) の任意の整数 α = a + bω のノルム N(α) は 以下の式で与えられる(ω については >>11 を参照)。 (1) m ≡ 1 (mod 4) のとき N(α) = a^2 + ab + (b^2)(1 - m)/4 (2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき N(α) = a^2 - (b^2)m 証明 N(α) = (a + bω)(a + bω') = a^2 + ab(ω + ω') + (b^2)ωω' より明らかである。
605 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:22:54 ] 補題 虚2次体 Q(√m) の任意の整数 α ≠ 0 に対して N(α) > 0 である。 証明 α = a + bω とする α の2次体 Q(√m) の元としての共役 α' = a + bω' は α の複素数としての共役でもあるから N(α) = αα' = |α|^2 > 0 である。 このことは以下のようにしても分かる。 >>604 より m ≡ 1 (mod 4) のとき N(α) = a^2 + ab + (b^2)(1 - m)/4 4N(α) = 4a^2 + 4ab + (b^2)(1 - m) = (2a + b)^2 - (b^2)m m < 0 だから N(α) > 0 である。 m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき N(α) = a^2 - (b^2)m > 0 である。 証明終
606 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:29:56 ] 補題 虚2次体 Q(√m) の整数 a + bω が単数(>>73 )であるためには 有理整数 a, b が以下の等式を満たすことが必用十分である。 (1) m ≡ 1 (mod 4) のとき (2a + b)^2 - (b^2)m = 4 (2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき a^2 - (b^2)m = 1 証明 >>74 、>>604 、>>605 より明らかである。
607 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:31:13 ] 命題 虚2次体 Q(√m) の単数(>>73 )は以下の通り。 (1) m = -1 のとき ±1、±√(-1) (2) m = -3 のとき ±1、±ω、±ω^2 ここで ω = (-1 + √(-3))/2 = exp(2πi/3) は1の原始3乗根である。 (3) |m| > 3 のとき ±1 証明 >>606 より明らかである。
608 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:32:31 ] 命題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 R の元 α が可逆元であるためには α が Q(√m) の単数(>>73 ) であることが必要十分である。 つまり R^* = R ∩ Z[ω]^* である。 証明 まず ω' = 1 - ω または ω' = -ω だから α ∈ R なら α' ∈ R であることに注意する。 R の可逆元は明らか単数である。 R の元 α が単数であるとする。 >>74 より N(α) = 1 または N(α) = -1 である。 N(α) = 1 なら αα' = 1 で、α' ∈ R だから α は R の可逆元 である。 N(α) = -1 なら αα' = -1 だから α(-α') = 1 となり、 やはり α は R の可逆元である。 証明終
609 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:36:17 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 f > 1 なら R に属す単数は ±1 のみである。 証明 R の元 α = a + bfω が単数だとする。 >>74 より N(α) = (a + bfω)(a + bfω') = a^2 + abf(ω + ω') + (f^2)(b^2)ωω' = 1 である。 (1) m ≡ 1 (mod 4) のとき a^2 + abf + (f^2)(b^2)(1 - m)/4 = 1 よって (2a + bf)^2 - (f^2)(b^2)m = 4 よって f > 1 なら b = 0、a = ±1 である。 (2) m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき a^2 - (f^2)(b^2)m = 1 よって f > 1 なら b = 0、a = ±1 である。 証明終
610 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:43:10 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 R^* = {±1} である。 ここで R^* は R の可逆元全体のなすアーベル群を表す(>>516 )。 証明 >>608 と >>609 より明らかである。
611 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:52:40 ] 補題 A と B を環とする。 A × B を A と B の環としての直積とする。 (a, b) ∈ A × B のとき (a, b) が可逆であるためには a と b が それぞれ可逆であることが必用十分である。 証明 A × B の乗法の定義から明らかである。
612 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 16:53:39 ] 補題 A と B を環とする。 このとき、(A × B)^* = (A^*)×(B^*) である。 ここで等号は群としての同型を表す。 証明 >>611 より明らかである。
613 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:04:35 ] 補題 A を局所環とし、m をその極大イデアルとする。 x を A の元とする。 xA ≠ A であるためには x ∈ m が必用十分である。 証明 x ∈ m なら xA ⊂ m だから xA ≠ A である。 逆に xA ≠ A なら Zorn の補題より xA ⊂ m である。 証明終
614 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:06:38 ] 補題 A を局所環とし、m をその極大イデアルとする。 A^* = A - m である。 証明 これは >>613 を言い換えたものである。
615 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:16:40 ] 補題 2次体 Q(√m) の素イデアル P と有理整数 n ≧ 1 に対して P と P^n をアーベル群とみて剰余群 P/P^n が考えられる。 このとき |P/P^n| = N(P)^(n-1) である。 証明 定義(>>24 )より |Z[ω]/P| = N(P) >>70 より |Z[ω]/P^n| = N(P)^n これから明らかである。 証明終
616 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 17:19:37 ] 補題 2次体 Q(√m) の素イデアル P と有理整数 n ≧ 1 に対して |(Z[ω]/P^n)^*| = N(P)^n - N(P)^(n-1) である。 証明 >>614 と >>615 から明らかである。
617 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:34:40 ] 補題 p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。 2次体 Q(√m) において p は分岐するとする(>>106 )。 このとき |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n-1) である。 証明 p は分岐するから Q(√m) のある素イデアル P があり、 pZ[ω] = P^2 となる。 よって (p^n)Z[ω] = P^(2n) である。 よって >>616 より |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n-1) 証明終
618 名前:132人目の素数さん [2007/02/08(木) 20:38:45 ] オナニー
619 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:46:53 ] 補題 p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。 2次体 Q(√m) において p は完全分解するとする(>>106 )。 このとき |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = (p^n - p^(n-1))^2 である。 証明 p は完全分解するから Q(√m) のある素イデアル P があり、 pZ[ω] = PP' となる。 P ≠ P' である。 よって (p^n)Z[ω] = (P^n)(P'^n) である。 中国式剰余定理(前スレ1の341)より Z[ω]/(p^n)Z[ω] = (Z[ω]/P^n) × (Z[ω]/P'^n) よって >>612 と >>616 と N(P) = N(P') = p より |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = |(Z[ω]/P^n)^*| |(Z[ω]/P'^n)^*| = (p^n - p^(n-1))^2 証明終
620 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 20:53:56 ] 補題 p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。 2次体 Q(√m) において p は分解しないとする(>>106 )。 このとき |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = p^(2n) - p^(2n - 2) である。 証明 p は分解しないから pZ[ω] = P はQ(√m) の素イデアルである。 よって (p^n)Z[ω] = P^n で N(P) = p^2 である。 よって >>616 から |(Z[ω]/(p^n)Z[ω])^*| = |(Z[ω]/P^n)^*| = p^(2n) - p^(2n - 2) である。 証明終
621 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:39:54 ] 定義 有理整数 n ≧ 1 に対して φ(n) を以下のように定義する。 (1) φ(1) = 1 (2) n > 1 のとき φ(n) = |(Z/nZ)^*| φ を Euler の関数と呼ぶ。
622 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:51:40 ] 補題 p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。 φ(p^n) = p^n - p^(n - 1) である。 ここで、φ は Euler の関数(>>621 )である。 証明 良く知られているし、>>615 の証明と同様にしてもわかる。
623 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 21:56:47 ] 命題 r > 1 を有理整数とし、r = Πp^n を r の素因数分解とする。 ここで p は r の相異なる素因子を動く。 φ(r) = rΠ(1 - 1/p) である。 ここで、φ(r) は Euler の関数(>>621 )である。 証明 中国式剰余定理(前スレ1の341)より Z/rZ = ΠZ/(p^n)/Z である。 >>612 より φ(r) = |(Z/rZ)^*| = Π|(Z/(p^n)/Z)^*| である。 一方、622 より |(Z/(p^n)/Z)^*| = p^n - p^(n - 1) = (p^n)(1 - 1/p) よって φ(r) = rΠ(1 - 1/p) である。 証明終
624 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/08(木) 22:45:02 ] 命題 2次体 Q(√m) の主整環(>>431 )を Z[ω] とする。 r > 1 を有理整数とし、r = Πp^n を r の素因数分解とする。 ここで p は r の相異なる素因子を動く。 このとき |(Z[ω]/rZ[ω])^*| = φ(r)rΠ(1 - χ(p)/p) である。 ここで χ(p) は以下のように定義する。 (1) p が2次体 Q(√m) において分岐する(>>106 )とき χ(p) = 0 (2) p が2次体 Q(√m) において完全分解する(>>106 )とき χ(p) = 1 (3) p が2次体 Q(√m) において分解しない(>>106 )とき χ(p) = -1 証明 中国式剰余定理(前スレ1の341)と >>612 より r が素数べき p^n の場合に証明すればよい。 この場合は >>617 , >>619 , >>620 , >>622 より明らかである。 証明終
625 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/08(木) 23:23:00 ] 32
626 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:46:30 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 このとき h(D) = |Cl(D)| である。 ここで h(D) は判別式 D の簡約2次形式(>>407 ) の個数であり、 Cl(D) は R の Picard 群 Pic(R) = I(R)/P(R) (>>473 ) である。 証明 >>601 と >>602 より明らかである。
627 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:47:15 ] 補題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 fZ[ω] = (R : Z[ω]) である。 ここで (R : Z[ω]) は R のイデアルとしての導手(>>540 )である。 証明 α = a + bfω ∈ (R : Z[ω]) とする。 αω = aω + bfω^2 ∈ R ω は (X - ω)(X - ω') = X^2 - Tr(ω)X + N(ω) の根だから ω^2 = Tr(ω)ω - N(ω) よって -bfN(ω) + (a + bfTr(ω))ω ∈ R よって a ≡ 0 (mod f) である。 よって α ∈ fZ[ω] である。 よって (R : Z[ω]) ⊂ fZ[ω] である。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
628 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:51:25 ] 補題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 I = (R : Z[ω]) を R のイデアルとしての導手(>>540 )とする。 |(R/I)^*| = φ(f) である。 ここで φ(f) は Euler の関数(>>621 ) である。 証明 >>627 より I = fZ[ω] = [f, fω] である。 よって R/I = [1, fω]/[f, fω] は Z/fZ と同型である。 よって |(R/I)^*| = φ(f) である。 証明終
629 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 20:59:21 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 d を Q(√m) の判別式とする。 h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p) である。 ここで p は f の相異なる素因子を動く。 証明 I = (R : Z[ω]) を R のイデアルとしての導手(>>540 )とする。 >>627 より I = fZ[ω] である。 >>548 と >>626 より h(D) = h(d)[(Z[ω]/I)^* : (R/I)^*]/[Z[ω]^* : R^*] >>624 より |(Z[ω]/I)^*| = φ(f)fΠ(1 - χ(p)/p) >>628 より |(R/I)^*| = φ(f) よって h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p) である。 証明終
630 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 21:03:17 ] >>629 χ(p) は >>624 で定義したものである。
631 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/09(金) 21:03:59 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 d を Q(√m) の判別式とする。 (1) m = -1 のとき、即ち d = -4 のとき h(D) = (1/2)fΠ(1 - χ(p)/p) (2) m = -3 のとき、即ち d = -3 のとき h(D) = (1/3)fΠ(1 - χ(p)/p) (3) m が上記以外のとき h(D) = h(d)fΠ(1 - χ(p)/p) 上記いずれの場合も p は f の相異なる素因子を動く。 χ(p) は >>624 で定義したものである。 証明 >>629 より h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p) >>607 と >>609 より (1) m = -1 のとき、[Z[ω]^* : R^*] = 2 (2) m = -3 のとき、[Z[ω]^* : R^*] = 3 (3) |m| > 3 のとき [Z[ω]^* : R^*] = 1 >>221 より Q(√(-1)) はノルム Euclid 的である。 よって h(-4) = 1 である。 前スレ3の233より Q(√(-3)) はノルム Euclid 的である。 よって h(-3) = 1 である。 以上から本命題の主張が得られる。 証明終
632 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/10(土) 00:34:00 ] 35
633 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 11:32:12 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とし、D をその判別式とする。 d を Q(√m) の判別式とする。 m ≧ 1 を有理整数として S = [1, mfω] を整環とする。 このとき h((m^2)D) = (h(D)/[R^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p) となる。ここで p は m の相異なる素因子を動く。 証明 >>629 より h(D) = (h(d)/[Z[ω]^* : R^*])fΠ(1 - χ(p)/p) よって h(d) = h(D)[Z[ω]^* : R^*]/(fΠ(1 - χ(p)/p)) 再び >>629 より h((m^2)D) = (h(d)/[Z[ω]^* : S^*])mfΠ(1 - χ(p)/p) ここで p は mf の相異なる素因子を動く。 よって h((m^2)D) = (h(d)[Z[ω]^* : R^*]/[Z[ω]^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p) = (h(D)/[R^* : S^*])mΠ(1 - χ(p)/p) 証明終
634 名前:132人目の素数さん [2007/02/10(土) 11:38:30 ] Cox の Primes of the form x^2 + ny^2 によると >>633 は Gauss が 証明したという。 Disquisitiones の art. 254-256 がその証明らしいいという。 私はその証明をまだ確かめてない。
635 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:41:14 ] 定義 V を有理数体上の有限次ベクトル空間とする。 L を V のアーベル群としての部分群で階数 が n = dim V の 自由アーベル群であるとき L を V の格子(lattice)という。
636 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:44:43 ] 定義 2次体 Q(√m) を有理数体上の2次元ベクトル空間とみて L がその格子(>>635 )のとき L を2次体 Q(√m) の格子という。
637 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 13:52:24 ] 定義 L を2次体 Q(√m) の格子(>>636 )とする。 (L : L) = {α ∈ Q(√m); αL ⊂ L} と書く。
638 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 14:23:27 ] 命題 L を2次体 Q(√m) の格子(>>636 )とする。 (L : L) = {α ∈ Q(√m); αL ⊂ L} は Q(√m) の整環である。 証明 α ∈ (L : L) なら L は Z[α] 上の忠実加群とみなせる。 よって前スレ3の839よりαは(代数的)整数である。 つまり、(L : L) ⊂ Z[ω] である。 よって (L : L) は自由アーベル Z[ω] の部分群として 有限生成の自由アーベル群である。 (L : L) は明らかに Z[ω] の部分環である。 L = [β, γ] とする。 ωβ = pβ + qγ ωγ = rβ + sγ となる有理数 p, q, r, s がある。 よって aωβ ∈ L. aωγ ∈ L となる有理整数 a ≠ 0 がある。 aωL ⊂ L だから aZ[ω]L ⊂ L である。 よって aZ[ω] ⊂ (L : L) である。 aZ[ω] は階数2の自由アーベル群だから (L : L) もそうである。 よって (L : L) は Q(√m) の整環である。 証明終
639 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:37:41 ] 補題 L を2次体 Q(√m) の格子(>>636 )とする。 α ≠ 0 を Q(√m) の元とすると (αL : αL) = (L : L) である。 証明 自明である。
640 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:40:32 ] 命題 L = [α, β] を2次体 Q(√m) の格子(>>636 )とする。 τ = β/α とし、aτ^2 + bτ + c = 0 とする。 ここで a, b, c は有理整数で gcd(a, b, c) = 1 である。 このとき (L : L) = [1, aτ] である。 証明 L = [α, β] = α[1, τ] だから >>639 より (L : L) = ([1, τ] : [1, τ]) γ ∈ ([1, τ] : [1, τ]) とすると、 γ ∈ [1, τ] より γ = m + nτ、m ∈ Z、n ∈ Z と書ける。 γτ ∈ [1, τ] だから γτ = mτ + nτ^2 である。 一方、aτ^2 + bτ + c = 0 だから τ^2 = (-b/a)τ - c/a よって γτ = mτ + nτ^2 = -cn/a + (m - (bn/a))τ ∈ [1, τ] よって -cn ≡ 0 (mod a) -bn ≡ 0 (mod a) よって gcd(a, b, c) = 1 より n ≡ 0 (mod a) となる。 よって γ ∈ [1, aτ] である。 よって ([1, τ] : [1, τ]) ⊂ [1, aτ] である。 一方、aτ^2 = -c - bτ だから aτ∈ ([1, τ] : [1, τ]) よって [1, aτ] ⊂ ([1, τ] : [1, τ]) 以上から (L : L) = [1, aτ] である。 証0明終
641 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 17:45:45 ] >>639 は αL が Q(√m) の格子であることを暗黙の前提としている。 しかし、これは明らかである。
642 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:00:12 ] 命題 M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の主整環 Z[ω] の可逆分数イデアル(>>466 ) とする。 M は明らかに Q(√m) の格子であるが、 (M : M) = Z[ω] である。 証明 α ∈ (M : M) とする。 αM ⊂ M より αM(M^(-1)) ⊂ M(M^(-1)) となる。 M(M^(-1)) = Z[ω] だから α ∈ Z[ω] である。 よって (M : M) ⊂ Z[ω] である。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
643 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:04:55 ] 命題 M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整環 R の可逆分数イデアル(>>466 ) とする。 M は明らかに Q(√m) の格子であるが、 (M : M) = R である。 証明 α ∈ (M : M) とする。 αM ⊂ M より αM(M^(-1)) ⊂ M(M^(-1)) となる。 M(M^(-1)) = R だから α ∈ R である。 よって (M : M) ⊂ R である。 逆の包含関係は明らかである。 証明終
644 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:11:48 ] >>642 は >>643 により不要だった。
645 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 18:39:32 ] 命題(Cox の Primes of the forms x^2 + ny^2) M ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整環 R の分数イデアル(>>463 ) とする。 (M : M) = R なら M は可逆である。 証明 M = [α, β] とする。 τ = β/α とし、aτ^2 + bτ + c = 0 とする。 ここで a, b, c は有理整数で gcd(a, b, c) = 1 である。 M = α[1, τ] である。 M' = α'[1, τ'] である。 よって aMM' = aN(α)<1, τ, τ', ττ'> τ + τ' = -b/a ττ' = c/a だから aMM' = aN(α)<a, aτ, aτ', aττ'> = aN(α)<a, aτ, -b , c> = N(α)[gcd(a, b, c), aτ] = N(α)[1, aτ] >>640 より [1, aτ] = (M : M) = R である。 よって aMM' = N(α)R これは M が可逆であることを意味する。 証明終
646 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/10(土) 23:44:40 ] 補題 ax^2 + bxy + cy^2 を原始的(>>279 )な2次形式とする。 m ≧ 1 を有理整数とする。 互いに素な有理整数 s と t があり、 A = as^2 + bst + ct^2 が m と素になる。 証明 p を m の任意の素因数とする。 a と p が素なら s ≡ 1 (mod p), t ≡ 0 (mod p) とする。 このとき A ≡ a (mod p) だから A は p と素である。 a ≡ 0 (mod p) で c が p と素なら s ≡ 0 (mod p), t ≡ 1 (mod p) とする。 このとき A ≡ c (mod p) だから A は p と素である。 a ≡ 0 (mod p) で c ≡ 0 (mod p) なら gcd(a, b, c) = 1 より b は p と素である。 s ≡ 1 (mod p), t ≡ 1 (mod p) とする。 このとき A ≡ b (mod p) だから A は p と素である。 中国式剰余定理より m の各素因数 p に対して 上記の合同式を満たす s と t が存在して、A は m と素になる。 gcd(s, t) = r とする。 r = 1 なら s, t が求めるものである。 r ≠ 1 なら s = rs', t = rt' とおけば A = r^2(a(s')^2 + bs't' + c(t')^2) A/r^2 = a(s')^2 + bs't' + c(t')^2 となり A/r^2 は m と素である。 よって s' と t' が求めるものである。 証明終
647 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/11(日) 03:55:00 ] 36
648 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:12:04 ] 命題 ax^2 + bxy + cy^2 を原始的(>>279 )な2次形式とする。 m ≧ 1 を有理整数とする。 このとき、SL_2(Z) の元 σ = (p, q)/(r, s) があり、 ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて(>>401 ) Au^2 + Buv + Cv^2 となったとき、 A は m と素に出来る。 証明 >>646 より互いに素な有理整数 p と r があり、 A = ap^2 + bpr + cr^2 が m と素になる。 p と r は互いに素だから ps - qr = 1 となる 有理整数 s と q がある。 よって、行列 σ = (p, q)/(r, s) は SL_2(Z) の元である。 ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて Au^2 + Buv + Cv^2 となったとする。 つまり、f(x, y) = ax^2 + bxy + cy^2 とおいたとき、 Au^2 + Buv + Cv^2 = f(pu + qv, ru + sv) である。 >>401 より A = ap^2 + bpr + cr^2 B = 2apq + b(ps + qr) + 2crs C = aq^2 + bqs + cs^2 である。 A は m と素だから σ = (p, q)/(r, s) が求めるものである。 証明終
649 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:12:47 ] 補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 I と J を R の非零イデアルとする。 N(I) と N(J) が互いに素なら I + J = R である。 証明 I + J ≠ R とする。 R の素イデアル P があり I ⊂ P かつ J ⊂ P となる。 >>579 より N(I) と N(J) は N(P) で割れる。 証明終
650 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:31:08 ] 命題 R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 m ≧ 1 を有理整数とする。 I を R の可逆な分数イデアルとする。 このとき λ ∈ Q(√m) があり、 λI ⊂ R で λI + mR = R となる。 証明 D を R の判別式とする。 I に適当な定数を掛けることにより、初めから I は R の可逆な 原始イデアルと仮定してよい。 I = [a, b + fω] を R の標準基底による表示とする。 >>589 より判別式 D の2次形式 ax^2 + bxy + cy^2 があり、 r + fω = (-b + √D)/2 となる。 I は可逆だから >>592 より ax^2 + bxy + cy^2 は原始的である。 >>648 より SL_2(Z) の元 σ = (p, q)/(r, s) があり、 ax^2 + bxy + cy^2 に σ を右から作用させて Au^2 + Buv + Cv^2 となったとき、 A は m と素に出来る。 >>282 より gcd(A, B, C) = 1 である。 >>594 より J = [A, (-B + √D)/2] は R の可逆な原始イデアルであり、 I(R)/P(R) (>>473 ) の I と同じ類に属す。 N(J) = A で A は m と素だから >>649 より J + mR = R である。 証明終
651 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 11:50:30 ] >>650 訂正: >命題 >R = [1, fω] を虚2次体 Q(√m) の整環とする。 命題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。
652 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 12:12:44 ] 補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 N(I) ∈ I である。 証明 ノルムの定義(>>438 )より |R/I| = N(I) である。 つまり R/I のアーベル群としてに位数は N(I) である。 よって R/I の任意の元 x に対して N(I)x = 0 である。 特に N(I)1 = 0 である。 これは N(I) ∈ I を意味する。 証明終
653 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/11(日) 12:16:10 ] 命題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 I ≠ 0 を R のイデアルとする。 R の Picard 群 I(R)/P(R) (>>473 ) の任意の剰余類には I と素な R のイデアル J が存在する。 つまり、 I + J = R となる J ∈ I(R) が存在する。 証明 >>650 より I(R)/P(R) の任意の剰余類には J + N(I)R = R となる J ∈ I(R) が存在する。 >>652 より N(I) ∈ I だから N(I)R ⊂ I である。 よって J + I = R である。 証明終
654 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 06:58:52 ] R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 R の正則(>>550 )な分数イデアル全体を RI(R) と書いたく(>>572 )。 R の正則な単項分数イデアルのなす群を RP(R) と書いた(>>572 )。 >>653 を R の導手(>>540 ) I = fZ[ω] (>>627 ) に適用すると、 RP(R)/RI(R) は I(R)/P(R) に同型になる。 これは >>575 を R に適用した場合の別証明になっている。
655 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 mailto:sage [2007/02/12(月) 08:08:54 ] 補題 R = [1, fω] を2次体 Q(√m) の整環とする。 Z[ω] の元 α に対して α ∈ R で αR が正則であるためには α ≡ a (mod fZ[ω]) で gcd(a, f) = 1 となる有理整数 a が 存在することが必要十分である。 証明 α ∈ R で αR が正則とする。 α ∈ R なら α = a + bfω と書ける。 αR が正則だから αZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。 α ≡ a (mod fZ[ω]) だから aZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。 gcd(a, f) ≠ 1 とすると a と f を割る素数 p がある。 p を含む Z[ω] の素イデアル P をとれば aZ[ω] + fZ[ω] ⊂ P となって矛盾。 よって gcd(a, f) = 1 である。 逆に α ≡ a (mod fZ[ω]) で gcd(a, f) = 1 となる有理整数 a が あるとする。 αZ[ω] + fZ[ω] = aZ[ω] + fZ[ω] = Z[ω] である。 よって αR は正則である。 証明終
656 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 mailto:sage [2007/02/12(月) 08:46:28 ] 訂正 >>470 >A の0でない分数イデアル全体は乗法により群となる。 A の0でない可逆分数イデアル全体は乗法により群となる。
657 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 08:48:17 ] 定義 A を Dedekind 環とする。 m ≠ 0 を A のイデアルとする。 A の分数イデアルで m と素なもの全体は 可逆分数イデアル群 I(A) (>>470 ) の部分群となる。 これを I(m) と書く。 A の単項分数イデアルで m と素なもの全体は 単項分数イデアル群 P(A) (>>471 ) の部分群となる。 これを P(m) と書く。
658 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 09:06:55 ] 命題 A を Dedekind 環とする。 m ≠ 0 を A のイデアルとする。 I(m)/P(m) は I(A)/P(A) に標準的に同型である。 ここで, I(m) と P(m) は >>657 で定義したもの。 証明 I(m) → I(A) を包含写像とする。 この核は P(m) である。 よって標準単射 I(m)/P(m) → I(A)/P(A) が得られる。 >>573 より、これは全射である。 証明終
659 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 09:18:38 ] 定義 A を Dedekind 環とする。 a ≠ 0 を A の元とする。 I(aA) (>>657 ) をI(a) と書く。 同様に、P(aA) を P(a) と書く。
660 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 10:31:31 ] 命題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 I = (A : B) を A の導手とする。 J ≠ 0 を B のイデアルで I と素とする。 J に A ∩ J を対応させることにより B のイデアルで I と 素なものと A の正則なイデアルとの1対1の対応が得られる。 証明 J ≠ 0 を B のイデアルで I と素とする。 >>557 より A ∩ J は正則な A のイデアルで (A ∩ J)B = J となる。 よって J に A ∩ J を対応させる写像は単射である。 逆に J_0 を A の正則なイデアルとする。 定義(>>550 )より (J_0)B は I と素である。 よって >>557 より A ∩ (J_0)B は正則であり (A ∩ (J_0)B)B = (J_0)B となる。 よって >>556 より A ∩ (J_0)B = J_0 である。 よって J に A ∩ J を対応させる写像は全単射である。 証明終
661 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 10:56:13 ] 命題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 I(f) (>>657 ) と RI(A) (>>572 ) は標準的に同型である。 証明 >>660 より明らかである。
662 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 11:26:42 ] 補題(高木:代数的整数論) A を Dedekind 環とする。 m ≠ 0 を A のイデアルとする。 xA を P(m) (>>657 ) の元とする。 このとき aA + m = A、bA + m = A となる A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。 証明 定義から xA = I/J で I + m = A, J + m = A となる A のイデアル I と J がある。 前スレ2の785より JL = bA で L + m = A となる b ∈ A がある。 J + m = A だから JL + m = A である(前スレ1の340)。 同様に I + m = A だから IL + m = A である。 xA = IL/JL = IL/bA IL = xbA である。 よって a = xb とすればよい。 証明終
663 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 16:28:11 ] 補題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 I を A の正則イデアルとする。 このとき I の元 a で aA = IL となるものが存在する。 ここで L は正則イデアルである。 証明 >>552 より I を含む A の素イデアルは正則である。 よって I + f = A である。 中国式剰余定理(前スレ1の341)より a ≡ 0 (mod I) a ≡ 1 (mod f) となる a ∈ A がある。 a ∈ I だから aA ⊂ I である。 a ≡ 1 (mod f) だから b ∈ f があり a + b = 1 である。 よって aB + f = B である。 つまり aA は正則イデアルである。 I は正則だから可逆である(>>559 )。 L = aA/I とおけば L は正則イデアルである。 aA = IL である。 証明終
664 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 16:45:17 ] 補題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 xA を RP(A) (>>572 ) の元とする。 このとき aA + f = A、bA + f = A となる A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。 証明 定義から xA = I/J となる正則なイデアル I と J がある。 >>663 より I の元 b で bA = IL となるものが存在する。 ここで L は正則イデアルである。 xA = I/J = IL/JL = IL/bA である。 IL は正則で IL = bxA だから b = ax とすれば xA = aA/bA となる。 証明終
665 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 17:00:43 ] >>664 を以下のように訂正する。 補題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 xA を RP(A) (>>572 ) の元とする。 このとき aA + f = A、bA + f = A となる A の元 a と b が存在して、xA = aA/bA となる。 証明 定義から xA = I/J となる正則なイデアル I と J がある。 >>663 より J の元 b で bA = JL となるものが存在する。 ここで L は正則イデアルである。 xA = I/J = IL/JL = IL/bA である。 IL は正則で IL = bxA だから b = ax とすれば xA = aA/bA となる。 証明終
666 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:51:00 ] 45
667 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:52:00 ] 44
668 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:53:00 ] 43
669 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:54:00 ] 42
670 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:55:00 ] 41
671 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/12(月) 17:56:00 ] 40
672 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 20:01:52 ] 定義 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 P_A(f) = {(a/b)B; a ∈ A, b ∈ A, aA と bA はともに正則} と書く。 P_A(f) は明らかに P(f) (>>657 ) の部分群である。
673 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/12(月) 20:11:39 ] 命題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 I(f)/P_A(f) は標準的に RI(A)/RP(A) に同型である。 証明 >>661 より I(f) と RI(A) は標準的に同型である。 この同型では I と J が A の正則なイデアルのとき I/J には IB/JB が対応する。 よって >>664 と >>672 より、この同型は P_A(f) と RP(A) の同型を 引き起こす。 証明終
674 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:39:00 ] 39
675 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:40:00 ] 38
676 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:41:00 ] 37
677 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:42:00 ] 36
678 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:43:00 ] 35
679 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/14(水) 08:44:00 ] 34
680 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/14(水) 21:29:19 ] 補題 A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 I を B のイデアルで I + f = B とする。 このとき I ∩ A の元 a で aB = IL となるものが存在する。 ここで L は B のイデアルで L + f = B となる。 証明 >>660 より I ∩ A は A の正則イデアルである。 >>663 より I ∩ A の元 a で aA = (I ∩ A)J となるものが 存在する。ここで J は正則イデアルである。 aB = (I ∩ A)B(JB) であるが >>660 より (I ∩ A)B = I である。 よって aB = I(JB) である。L = JB とすればよい。 証明終
681 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/14(水) 22:39:49 ] A を1次元のネーター整域とし K をその商体とする。 A の K における整閉包を B とし、B は A-加群として有限生成とする。 f = (A : B) を A の導手とする。 αを B の元で α + f ∈ (B/f)^* とする。 つまり、α + f は剰余環 B/f の可逆元である。 よって αγ ≡ 1 (mod f) となる γ ∈ B がある。 よって αB + f = B である。 αγ - 1 ∈ f ⊂ A だから αγ ∈ A である。 βを B の元で α ≡ β (mod f) とする。 αγ ≡ βγ (mod f) だから βγ ≡ 1 (mod f) である。 よって αγと同様に βγ ∈ A である。 (αB)(βγB) = αβγB (βB)(αγB) = αβγB よって (αB)(βγB) = (βB)(αγB) よって αB と βB は P(f)/P_A(f) の同じ剰余類に属す。 ここで P(f) は >>657 で、P_A(f) は >>672 で定義したものである。 よって、アーベル群としての射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) が 定まる。
682 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:48:00 ] 35
683 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:49:00 ] 34
684 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:50:00 ] 35
685 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:51:00 ] 34
686 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:52:00 ] 33
687 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/15(木) 18:53:00 ] 32
688 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 20:20:13 ] 補題 >>681 の射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) は全射である。 証明 P(f) の元は αB = I/J と書ける。ここで α ≠ 0 は K の元で、 I と J は B のイデアルでともに f と素である。 >>680 より J ∩ A の元 c で cB = JL となるものが存在する。 ここで L は B のイデアルで f と素である。 αB = I/J = IL/JL = IL/cB IL = αcB だから αc = β とおけば β ∈ B で βB は f と 素である。つまり βB∈ P(f) である。 αB = βB/cB だから βB と αB は P(f)/P_A(f) の同じ剰余類に属す。 φ の定義から、この剰余類は φ(β + f) である。 証明終
689 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:00:39 ] 補題 A と B は >>681 と同じものとする。 p : B → B/f π: (B/f)^* → (B/f)^*/(A/f)^* を、それぞれ標準写像とする。 α ∈ B^* なら p(α) ∈ (B/f)^* だから α に πp(α) を 対応させて、射 B^* → (B/f)^*/(A/f)^* が得られる。 この核は A^* である。 証明 α ∈ B^* で p(α) ∈ (A/f)^* なら p(α) = p(a) となる a ∈ A がある。 α - a ∈ f ⊂ A だから α ∈ A である。 よって、射 B^* → (B/f)^*/(A/f)^* の核は A^* である。 証明終
690 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:13:10 ] 命題 >>681 の射 φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) の定義より φ((A/f)^*) ⊂ P_A(f) である。 よって φ は射 φ~: (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) を引き起こす。 このとき、次の完全系列が成り立つ。 0 → B^*/A^* → (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) → 0 証明 p : B → B/f π: (B/f)^* → (B/f)^*/(A/f)^* を、それぞれ標準写像とする。 >>688 より φ: (B/f)^* → P(f)/P_A(f) は全射である。 よって φ~: (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) も全射である。 >>689 より 0 → B^*/A^* → (B/f)^*/(A/f)^* は完全である。 残るは φ~ : (B/f)^*/(A/f)^* → P(f)/P_A(f) の核が B^*/A^* の像と一致することである。 α ∈ B で αB + f = B とする。 つまり p(α) ∈ (B/f)^* である。 さらに αB ∈ P_A(f) とする。 P_A(f) の定義(>>672 )から αB = aB/bB となる。 ここで、a ∈ A, b ∈ A で aA と bA はともに正則である。 αbB = aB より αb = aε となる ε ∈ B^* がある。 p(αb) = p(aε) だから p(α)p(b) = p(a)p(ε) p(b) ∈ (A/f)^*、p(a) ∈ (A/f)^* だから πp(α) = πp(ε) 証明終
691 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:32:35 ] >>690 の系 次の完全系列が成り立つ。 0 → B^*/A^* → (B/I)^*/(A/I)^* → I(f)/P_A(f) → I(f)/P(f) → 0 証明 >>690 より明らかである。
692 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 21:39:26 ] >>690 の系 次の完全系列が成り立つ。 0 → B^*/A^* → (B/I)^*/(A/I)^* → RI(A)/RP(A) → Pic(B) → 0 証明 >>673 より I(f)/P_A(f) は標準的に RI(A)/RP(A) に同型である。 >>658 より I(f)/P(f) は Pic(B) = I(B)/P(B) に標準的に同型である。 よって >>691 より明らかである。 証明終
693 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/15(木) 23:11:18 ] >>575 から RI(A)/RP(A) は I(A)/P(A) と標準的に同型である。 よって >>691 から >>547 の別証が得られる。 A が2次体 Q(√m) の整環で B が Q(√m) の主整環の場合には >>654 からも RI(A)/RP(A) と I(A)/P(A) が標準的に同型であることが 分かる。 >>654 の証明は、2次形式の初等的な結果 >>648 を元にしており、 >>575 の証明より古典的である。
694 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/02/16(金) 21:05:09 ] >>693 >>>575 から RI(A)/RP(A) は I(A)/P(A) と標準的に同型である。 >よって >>691 から >>547 の別証が得られる。 >>575 は >>547 から証明しているので、これは正確には別証とは 言えない。>>575 を >>547 とは関係なく証明したいところだが、 今のところ(2次体は別にして)思いつかない。 誰か分かるひといますか?
695 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:11:00 ] 36
696 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:12:00 ] 35
697 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:13:00 ] 34
698 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:14:00 ] 33
699 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:15:00 ] 32
700 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/02/17(土) 10:16:00 ] 31