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代数的整数論 004



1 名前:132人目の素数さん [2006/11/23(木) 21:57:04 ]
Kummer ◆g2BU0D6YN2氏が代数的整数論を語るスレです。

前スレ
science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/

2 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/23(木) 22:03:06 ]
有難う

3 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/23(木) 22:05:47 ]
最近来たので前スレも全部フォローできてないでつが、
期待しておりまつ(`・ω・´)

4 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/23(木) 22:12:20 ]
>>1 king氏ね

5 名前:KingOfUniverse ◆667la1PjK2 [2006/11/23(木) 22:22:01 ]
talk:science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/1000n 何やってんだよ?
talk:>>4 お前に何が分かるというのか?

6 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/23(木) 22:29:59 ]
>>5 king氏ね

7 名前:KingOfUniverse ◆667la1PjK2 [2006/11/23(木) 22:37:31 ]
人の脳を読む能力を悪用する奴を潰せ。

8 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/23(木) 22:40:50 ]

!qni>|



9 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 12:53:10 ]
M を x_1, ..., x_n を基底とする自由アーベル群とする。
簡単のために、この事実を M = [x_1, ..., x_n] と書くことにする。

y_1 = a_(1,1)x_1 + ..., + a_(1,n)x_n
.
.
y_m = a_(m,1)x_1 + ..., + a_(m,n)x_n

を M の元とし y_1, ..., y_m で生成される M の部分群を N とする。
N = <y_1, ..., y_m> と書くことにする。

M/N は有限群とは限らないが、N の自由群としての基底は
前スレ3の989の考えを利用して以下のように求めることが出来る。

10 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 13:00:32 ]
m 個の元 a_(1,n), ..., a_(m,n) の最大公約数を d_n ≧ 0 とする。

d_n = a_(1,n)b_1 + ... + a_(m,n)b_m となる有理整数
b_1, ..., b_n がある。これ等を具体的に求めるには Euclid の
互除法を使えばよい。

z_n = b_1y_1 + ... + b_my_m とおく。

z_n は N の元で x_1, ..., x_n の一次結合であらわしたとき
x_n の係数は d_n である。

d_n = 0 なら a_(1,n) = ... = a_(m,n) = 0 だから
N = <y_1, ..., y_m> ⊂ [x_1, ..., x_(n-1)] である。

d_n ≠ 0 と仮定する。
a_(i,n) = d_n q_i とする。
y_i - q_iz_n の x_n の係数は 0 である。

一方、
N = <y_1, ..., y_m> = <y_1, ..., y_m, z_n>
= <y_1 - q_iz_n, ..., y_m - q_mz_n, z_n>

よって
L = <y_1 - q_iz_n, ..., y_m - q_mz_n> とおくと、
N = L + Z(z_n) である。

L は [x_1, ..., x_(n-1)] に含まれる。
この L と [x_1, ..., x_(n-1)] に上記と同様の手続きを行う。

最終的に、N = <z_1, ..., z_n> となる。
z_1, ..., z_n のなかで 0 となるものを省けば N の基底が得られる。



11 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 16:55:17 ]
2次の代数体を略して2次体と呼ぶ。
前スレ3の759と760より任意の2次体は Q(√m) と一意に書ける。
ここで m は平方因子を持たない有理整数である。

逆に m ≠ 0, 1 が平方因子を持たない有理整数のとき
Q(√m) は2次体である。

今後、特に断らない限り2次体を Q(√m) のように書いたとき m は
平方因子を持たない有理整数とする。

前スレ3の768より2次体 Q(√m) の整数環は Z[ω] = Z + Zω の
形をしている。
ここで m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら ω = √m である。

今後、特に断らない限り Q(√m) の整数環を扱うときは ω は
この意味で使う。

12 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 16:59:03 ]
命題
m ≠ 0 を平方因子を持たない有理整数とする。
2次体 Q(√m) の整数環の任意のイデアル I ≠ 0 に
対して、その剰余環は有限環である。

証明
I の元 α ≠ 0 をとる。α のノルム N(α) = αα' は有理整数
である(前スレ3の927)。
a = N(α) とおく。a ≠ 0 で a ∈ I である。

Z[ω]/aZ[ω] はアーベル群として Z/Za と Zω/Z(aω) の直和と
同型であるから |a|^2 個の元からなる。

Z[ω] ⊃ I ⊃ aZ[ω] だから Z[ω]/I は有限環である。
証明終

13 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/24(金) 17:05:29 ]
>>12 久しぶりに来たんで最近何を目指してやってんのか教えて

14 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 17:31:51 ]
命題
2次体 Q(√m) の整数環の任意のイデアル I ≠ 0 は
I = [a, b + cω] と一意に書ける(この記法については >>9 参照)。
ここで a > 0, 0 ≦ b < a, c > 0 で a と b は c で割れる。

証明
>>12 と 前スレ3の988より I = [a, b' + cω] と書ける。
ここで a > 0, c > 0 である。前スレ3の996より a と c は I により
一意に決まる。
k を任意の有理整数として I = [a, (b' + ka) + cω] となることは
明らかだろう。従って、b ≡ b' (mod a) で 0 ≦ b < a となる b を
とれば、I = [a, b + cω] となる。b は a により一意に決まる。

a は I に含まれる最小の正の有理整数である。
c は x + yω ∈ I で y > 0 となる最小の y である。
aω ∈ I だから a は c で割れる。

m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、
ω^2 = ω - (1 - m)/4 である。

(b + cω)ω = bω + cω^2 = bω + cω - c(1 - m)/4
= (b + c)ω - c(1 - m)/4 ∈ I
よって b + c ≡ 0 (mod c) となる。
よって b ≡ 0 (mod c) となる。

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら、
ω = √m であり、 ω^2 = m である。
よって
(b + cω)ω = bω + cω^2 = bω + cm ∈ I
よって b ≡ 0 (mod c) となる。
証明終

15 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/24(金) 17:41:34 ]
>>13

2次体の整数論を構成的つまり具体的に計算可能な方法でやろうとしている。

例えばイデアル I の生成元 α_1, ..., α_n が与えられたとき、
I を素イデアルの冪積に分解するとか。

類数を計算する方法とか。

そのため2元2次形式論についても述べる予定。

16 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 02:30:40 ]
定義
>>14 における a, b + cω をイデアル I の標準基底と呼ぶ。

17 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 02:36:13 ]
定義
>>14 において c = 1 となるとき、I を原始イデアルと呼ぶ。

18 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 03:04:32 ]
命題
2次体 Q(√m) の整数環の任意のイデアル I ≠ 0 は
原始イデアル J と有理整数 c > 0 の積 I = cJ に一意に書ける。

証明
>>14 において a と b は c で割れるから、
a = ca'
b = cb'
とする。

I = [ca', cb' + cω] = c[a', b' + ω] となる。
J = [a', b' + ω] は (1/c)I に等しいからイデアルである。
よって、a', b' + ω は J の標準基底であり、J は原始イデアルである。

I = cJ と一意に書けることは、標準基底の一意性より明らか。
証明終

19 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 04:06:12 ]
命題
2次体 Q(√m) と a > 0, 0 ≦ b < a となる有理整数 a, b に対して、
N(b + ω) が a で割れれば a, b + ω はあるイデアルの標準基底である。

証明(高木の初等整数論講義)
a と b + ω が Z 上一次独立なのは明らか。
よって [a, b + ω] がイデアルであることを示せばよい。
つまり、aω ∈ [a, b + ω] と (b + ω)ω ∈ [a, b + ω]
を示せばよい。

aω = -ab + a(b + ω) ∈ [a, b + ω] である。

N(b + ω) = ak とする。

つまり (b + ω)(b + ω') = ak である。

Tr(ω) = ω + ω' = s とおく。
s は有理整数である(実際、0 または 1)。

ω' = s - ω より
(b + ω)(b + s - ω) = ak
よって
(b + ω)(b + s) - (b + ω)ω = ak
よって
(b + ω)ω = -ak + (b + ω)(b + s) ∈ [a, b + ω]
証明終

20 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 04:22:07 ]
>>14>>19 は簡単だけど2次体論では基本的。
しかし意外と書いてある本は少ない。



21 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 04:32:57 ]
Milne の online book Algebraic number theory
の後ろに Wyle のいい文章が載っている。

And after the first year [as an undergraduate at Gottingen] I went
home with Hilbert's Zahlbericht under my arm, and during the summer
vacation I worked my way through it—without any previous knowledge
of elementary number theory or Galois theory. These were the happiest
months of my life, whose shine, across years burdened with our common
share of doubt and failure, still comforts my soul.
Hermann Weyl, Bull. Amer. Math. Soc. 50 (1944), 612–654.

22 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 04:35:44 ]
Wyle じゃなくWeyl ね

23 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 05:05:16 ]
2次体 Q(√m) の非零の整数 α_1, ..., α_n が与えられたとき
イデアル I = (α_1, ..., α_n) の標準基底は以下のようにして
求まる。

I = <α_1, ..., α_n, α_1ω, ..., α_nω> である
(この記法については >>9 参照)。

I ⊂ [1, ω] だから I の自由アーベル群としての基底は >>10
方法で求まる。

つまり I = [a, b' + cω] と書ける。
ここで a > 0, c > 0 である。
b ≡ b' (mod a) で 0 ≦ b < a となる b を
とれば、I = [a, b + cω] となる。
a と b が c で割れることは >>14 からわかる。

24 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 05:37:15 ]
定義
I ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整数環のイデアルとする。
>>12 より Z[ω]/I は有限環である。
Z[ω]/I の元の個数を I のノルム(または絶対ノルム)と呼び、
N(I) と書く。

25 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 05:43:48 ]
命題
I = [a, b + cω] をイデアル I の標準基底による表示とすると、
N(I) = ac である。

証明
前スレ3の991より直ちに出る。

26 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 09:43:46 ]
クンマー拡大!

27 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/25(土) 14:27:36 ]
>20
> >>14>>19 は簡単だけど2次体論では基本的。
> しかし意外と書いてある本は少ない。
Edwin Weiss, "Algebraic Number Theory" には載っている。
但し、この本は強烈に読みにくい。

28 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 15:14:03 ]
>>27

それは読んだことはないがわりと有名な本だよね。
当時(1960年代半ば)、英語で書かれた代数的整数論の本は非常に
少なかったから。

Milne は >>21 で、その本について fussy and pedantic と書いている。

29 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 15:14:55 ]
クンマー拡大!

30 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/25(土) 15:25:33 ]
>28
> Milne は >>21 で、その本について fussy and pedantic と書いている。
Milneは凄いと思う。
あれだけの内容のノート類を公開しているんだから。
Kummerさんも、早く纏めてね。期待してまっせ。



31 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 15:34:48 ]
ところでこのスレと前スレの内容について私は版権を主張できる
のかな?
まず出来そうもないが。

例えば、このシリーズをまとめて本を出版するってことは出来ない
のだろうか?

32 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 15:38:27 ]
クンマー拡大!

33 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 16:27:27 ]
補題
M を x_1, ..., x_n を基底とする自由アーベル群とする。
つまり、>>9 の記法で M = [x_1, ..., x_n] とする。

y_1 = x_1 + a_2x_2 + ... + a_nx_n とおく。
ここで、a_2, ..., a_n は任意の有理整数。

このとき
[x_1, ..., x_n] = [y_1, x_2, ..., x_n]
である。

証明
y_1, x_2, ..., x_n で生成される M の部分群を N とおく。
つまり >>9 の記法で N = <y_1, x_2, ..., x_n> である。

x_1 = y_1 - (a_2x_2 + ... + a_nx_n) だから
x_1 ∈ N

よって M = N である。
y_1, x_2, ..., x_n が Z 上一次独立なことは明らかだろう。
証明終

34 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 16:43:13 ]
次の補題は >>14 の前に述べたほうがよかった。

補題
a, b, c, e を有理整数とし、a > 0, c > 0 とする
2次体 Q(√m) において
[a, b + cω] = [a, e + cω]
であるためには b ≡ e (mod a) が必要十分である。
ここで両辺は Z[ω] の部分アーベル群であり、必ずしもイデアルで
なくてよい。

証明
[a, b + cω] = [a, e + cω] なら
b + cω - (e + cω) = b - e は [a, b + cω] に含まれる。

a は [a, b + cω] に含まれる最小の正数だから
b ≡ e (mod a) である。

逆は >> 33 よりでる。
証明終

35 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 17:00:47 ]
>>19 の逆も成り立つ。

命題
2次体 Q(√m) において
I= [a, b + ω] がイデアルなら、N(b + ω) は a で割れる。
ここで a, b は有理整数で、a > 0 である。

証明
N(b + ω) = (b + ω)(b + ω') ∈ I であることから明らか。
証明終

36 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/25(土) 17:11:08 ]
>31
> このスレと前スレの内容について私は版権を主張できるのかな?
> まず出来そうもないが。
自分の書いた部分に著作権は主張できる筈。
版権は、よく判らん。ひろゆきにあるのかな?

37 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 17:20:45 ]
補題
p を奇素数とする。
[p, b + ω] が2次体 Q(√m)の整数環のイデアルとなるためには

m ≡ 1 (mod 4) なら (2b + 1)^2 ≡ m (mod p)

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら b^2 ≡ m (mod p)
となることがそれぞれ必要十分である。

証明
>>19>>35 より [p, b + ω] がイデアルとなるためには
N(b + ω) ≡ 0 (mod p) が必要十分である。
この条件を書き直して見よう。

m ≡ 1 (mod 4) なら
N(b + ω) = N(b + (1 + √m))/2) = N((2b + 1 + √m)/2)
= ((2b + 1)^2 - m)/4

よって ((2b + 1)^2 - m)/4 ≡ 0 (mod p)
左辺を k とおくと、p は奇素数だから
これは 4k ≡ 0 (mod p) と同値である。
すなわち、(2b + 1)^2 ≡ m (mod p)

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら
N(b + ω) = N(b + √m) = b^2 - m
よって b^2 ≡ m (mod p)
証明終

38 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 18:57:14 ]
補題
n を有理整数とする。
n ≡ 1 (mod 4) のとき、
n ≡ 1 (mod 8) または n ≡ 5 (mod 8) である。

証明
n = 4k + 1 とする。
k が偶数なら n ≡ 1 (mod 8)
k が奇数なら n ≡ 5 (mod 8) である。
証明終

39 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 19:19:10 ]
補題
[2, b + ω] が2次体 Q(√m)の整数環のイデアルとなるための条件を
述べる。
m ≡ 1 (mod 8) のとき、任意の有理整数 b で [2, b + ω] はイデアル
となる。
m ≡ 1 (mod 8) でないなら、つまり m ≡ 5 (mod 8) なら(>>38)
[2, b + ω] はどんな有理整数 b に対してもイデアルにならない。

証明
>>19>>35 より [2, b + ω] がイデアルとなるためには
N(b + ω) ≡ 0 (mod 2) が必要十分である。
この条件を書き直して見よう。

m ≡ 1 (mod 4) なら
N(b + ω) = N(b + (1 + √m))/2) = N((2b + 1 + √m)/2)
= ((2b + 1)^2 - m)/4
よって ((2b + 1)^2 - m)/4 ≡ 0 (mod 2) が必要十分である。
よって (2b + 1)^2 - m ≡ 0 (mod 8) が必要十分である。

b が偶数なら b = 2k とすると
(4k + 1)^2 - m = 16k^2 + 8k + 1 - m ≡ 0 (mod 8)
よって m ≡ 1 (mod 8)

b が奇数なら b = 2k - 1 とすると
(4k - 1)^2 - m = 16k^2 - 8k + 1 - m ≡ 0 (mod 8)
よって m ≡ 1 (mod 8)

逆に m ≡ 1 (mod 8) なら、b が偶数でも奇数でも
(2b + 1)^2 - m ≡ 0 (mod 8) となる。
証明終

40 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 19:24:58 ]
訂正

>>39
>m ≡ 1 (mod 8) でないなら、つまり m ≡ 5 (mod 8) なら(>>38)

m ≡ 1 (mod 4) かつ m ≡ 1 (mod 8) でないなら、
つまり m ≡ 5 (mod 8) なら(>>38)



41 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 19:34:44 ]
補題
[2, b + ω] が2次体 Q(√m)の整数環のイデアルとなるための条件を
述べる(>>39 の続き)。
m ≡ 2 (mod 4) なら b ≡ 0 (mod 2)
m ≡ 3 (mod 4) なら b ≡ 1 (mod 2)
が [2, b + ω] がイデアルとなるための必要十分条件である。

証明
>>19>>35 より [2, b + ω] がイデアルとなるためには
N(b + ω) ≡ 0 (mod 2) が必要十分である。
この条件を書き直して見よう。

ω = √m だから
N(b + ω) = (b + √m)(b - √m) = b^2 - m ≡ 0 (mod 2)

m ≡ 2 (mod 4) なら m ≡ 0 (mod 2) だから b^2 ≡ 0 (mod 2)
よって b ≡ 0 (mod 2)

m ≡ 3 (mod 4) なら m ≡ 1 (mod 2) だから b^2 ≡ 1 (mod 2)
よって b ≡ 1 (mod 2)
証明終

42 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/25(土) 19:37:18 ]
人工無能やぶれたり!w

8 名前:132人目の素数さん[sage] 投稿日:2006/11/23(木) 22:40:50

!qni>|



43 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 19:58:57 ]
命題
2次体 Q(√m) において非零素イデアル P は pZ[ω] または
[p, b + ω] の形である。ここで p は有理素数、b は有理整数。

証明
P = [p, b + cω] となる(>>14)。
c は p の約数だから c = 1 または c = p である。
c = p なら b は p で割れるから(>>14)、P = [p, pω] となる(>>34)。
よって P = pZ[ω] である。
証明終

44 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 20:15:46 ]
クンマー拡大!

45 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 20:26:15 ]
定義
2次体 Q(√m) において ω の Q 上のモニックな最小多項式を
f(X) とする(前スレ2の927)。
f(X) の判別式を2次体 Q(√m) の判別式と呼ぶ。

46 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 20:30:41 ]
訂正

>>45
>(前スレ2の927)。

>(前スレ3の927)。

47 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 20:37:08 ]
命題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。
p を奇素数とする。

1) p が D の約数 のとき pZ[ω] = P^2 となる。
ここで、
m ≡ 1 (mod 4) なら P = [p, (m - 1)/2 + ω] = [p, (m + √m)/2]

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら P = [p, ω] = [p, √m]

2) D が p と素で mod p の平方剰余のとき
pZ[ω] = PP' となる。

ここで P, P' は Z[ω] の相異なる素イデアルで
m ≡ 1 (mod 4) のとき
P = [p, b + ω]
P' = [p, -b - 1 + ω]
ここで (2b + 1)^2 ≡ m (mod p)

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
P = [p, b + ω]
P' = [p, -b + ω]
ここで b^2 ≡ m (mod p)

3) D が p と素で mod p の平方非剰余のとき
pZ[ω] は素イデアルである。

証明
前スレ3の957と>>37による。
証明終

48 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 20:46:52 ]
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49 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 20:57:09 ]
命題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。

1) 2 が D の約数 のとき pZ[ω] = P^2 となる。

m ≡ 2 (mod 4) なら P = [2, ω] = [2, √m]
m ≡ 3 (mod 4) なら P = [2, 1 + ω] = [2, 1 + √m]

2) m ≡ 1 (mod 8) のとき
2Z[ω] = PP' となる。
ここで P, P' は Z[ω] の相異なる素イデアルで
P = [2, ω] = [2, (1 + √m)/2]
P' = [2, 1 + ω] = [2, 1 + (1 + √m)/2]

3) m ≡ 5 (mod 8) のとき
2Z[ω] は素イデアルである。

証明
前スレ3の958と>>39, >>40, >>41による。
証明終

50 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 21:09:23 ]
>>47>>49 あってるかな?
こういう素イデアルの標準基底まできちんと書いてある本少ないね。
高木もこのへん、ややはしょっている。



51 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 21:13:45 ]
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52 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 22:13:45 ]
前スレ3の751で平方剰余の相互律を証明したが、ここで平方剰余の
第2補充法則を述べる。

λを奇素数とし、Z[η] = Z[η_0, η_1] を (λ - 1)/2 項周期から
構成される円分整数全体のなす環とする(前スレ3の744)。
Q[η] は2次体である。

前スレ3の744より
2Z[η] が Z[η] の相異なる2個の素イデアルの積となるためには
2 が λ を法として平方剰余であることが必要十分である。

2Z[η] が Z[η] の素イデアルであるためには
2 が λ を法として平方非剰余であることが必要十分である。

前スレ3の748より
Q[η] の判別式 D は
λ ≡ 1 (mod 4) のときは D = λ
λ ≡ -1 (mod 4) のときは D = -λ
となる。

>>49 より

1) λ ≡ 1 (mod 4) のとき
λ ≡ 1 (mod 8) なら (2/λ) = 1

λ ≡ 5 (mod 8) なら (2/λ) = -1

2) -λ ≡ 1 (mod 4) のとき
-λ ≡ 1 (mod 8) なら (2/λ) = 1
-λ ≡ 5 (mod 8) なら (2/λ) = -1

53 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 22:24:10 ]
λ ≡ ±1 (mod 8) のとき (λ^2 - 1)/8 は偶数である。
λ ≡ ±5 (mod 8) のとき (λ^2 - 1)/8 は奇数である。
よって >>52 より (2/λ) = (-1)^((λ^2 - 1)/8)
これが平方剰余の第2補充法則である。

54 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 22:33:57 ]
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55 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/25(土) 22:36:42 ]
>>52 は 前スレ3の751の平方剰余の相互律の証明と本質的には同じである。
2次体はそれを含む円分体により統制されていることが分かるだろう。

これらの証明は非常に美しいし、神秘的だと思う。

56 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 22:42:58 ]
同値類から整数の減法の定義を導きたいのですが、考えてもわかりません。
調べても加法と乗法しか載っておらず困ってます。
初歩的な質問で申し訳ありませんが、わかる方いらっしゃったら教えてください。
よろしくお願いします。


57 名前:132人目の素数さん [2006/11/25(土) 22:54:12 ]
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58 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 09:40:47 ]
今後、特に断らなければ2次体 Q(√m) の整数環 Z[ω] のイデアルで
0 でないものを単に Q(√m) のイデアルと呼ぶことにする。
したがって、Q(√m) の素イデアルといえば Z[ω] の素イデアルで
0 でないものを意味する。

59 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 09:52:37 ]
定義
2次体 Q(√m) の単位写像でない自己同型を σ とする。
つまり σ(√m) = -√m である。

Q(√m) のイデアル I に対して σ(I) は 明らかに Q(√m) の
イデアルである。
これを I の共役イデアルと呼ぶ。

特に断らない限り I の共役イデアルを I' と書く。

60 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 10:11:32 ]
補題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。
p を奇素数とする。

>>47 の 1) より p が D の約数 のとき pZ[ω] = P^2 となるが
この素イデアル P は自己共役である。つまり P = P' である。

証明
>>47 の 1) より
m ≡ 1 (mod 4) のとき P = [p, (m + √m)/2] である。

P' = [p, (m - √m)/2] -- 共役イデアルの定義(>>59)
= [p, (-m + √m)/2] -- これは (m - √m)/2 に -1 を掛けたもの
= [p, m + (-m + √m)/2] -- m は p の倍数だから >>34 より
= [p, (m + √m)/2]
= P

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら P = [p, √m] である。

P' = [p, -√m] -- 共役イデアルの定義(>>59)
= [p, √m] -- これは -√m に -1 を掛けたもの
= P

証明終



61 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 10:28:39 ]
補題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。
p を奇素数とする。

>>47 の 2) より D が p と素で mod p の平方剰余のとき pZ[ω] = PP'
となるが、この P' は P の共役イデアルである。

証明
>>47 の 2) より

m ≡ 1 (mod 4) のとき
P = [p, b + ω]
P' = [p, -b - 1 + ω]
ここで (2b + 1)^2 ≡ m (mod p)

P = [p, b + ω] の共役は
[p, b + ω']
= [p, b + 1 - ω]   -- ω + ω' = 1 を使った
= [p, -b - 1 + ω]   -- b + 1 - ω に -1 を掛けたもの

m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) のとき
P = [p, b + ω]
P' = [p, -b + ω]
ここで b^2 ≡ m (mod p)

P = [p, b + ω] の共役は
[p, b + ω']
= [p, b - ω]   -- ω = √m
= [p, -b + ω]   -- b - ω に -1 を掛けたもの

証明終

62 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 10:39:53 ]
補題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。

>>49 の 1) より
2 が D の約数 のとき 2Z[ω] = P^2 となるが
この素イデアル P は自己共役である。つまり P = P' である。

証明
>>49 の 1) より
m ≡ 2 (mod 4) なら P = [2, ω] = [2, √m]
m ≡ 3 (mod 4) なら P = [2, 1 + ω] = [2, 1 + √m]

これより >>60 と同様にして確かめればよい。
証明終

63 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 10:47:03 ]
補題
2次体 Q(√m) の判別式を D とする。

>>49 の 2) より m ≡ 1 (mod 8) のとき 2Z[ω] = PP' となるが
となるが、この P' は P の共役イデアルである。

証明
>>47 の 2) より
P = [2, ω] = [2, (1 + √m)/2]
P' = [2, 1 + ω] = [2, 1 + (1 + √m)/2]

P の共役は
[2, (1 - √m)/2]
= [2, (-1 + √m)/2]
= [2, 2 + (-1 + √m)/2]
= [2, 1 + (1 + √m)/2]

証明終

64 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 10:58:21 ]
命題
2次体 Q(√m) において、任意の素イデアル P の共役イデアル P' は
素イデアルであり、PP' = N(P)Z[ω] となる。

証明
P' が素イデアルであることは共役イデアルの定義より明らか。

>>60, >>61, >>62, >>63>>47 の 3), >>49 の 3)
および >>25 よりわかる。

証明終

65 名前:132人目の素数さん [2006/11/26(日) 11:26:18 ]
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66 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 11:28:26 ]
補題
B を単項イデアル整域とし、t をその素元とする。
B/tB は標数 p の有限体で |B/tB| = p^f = q とする。
r ≧ 1 を任意の整数とする。

|B/(t^r)B| = q^r = p^(fr)

である。

ここで、有限集合 S に対して |S| は S の元の個数を表す。

証明
B のイデアルの列 B ⊃ tB ⊃ ... ⊃ (t^r)B より、
|B/(t^r)B| = |B/tB||tB/(t^2)B|...|(t^(r-1))B/(t^r)B|

一方、前スレ3の896 より、|(t^(i-1))B/(t^i)B| = |B/tB|
|B/(t^r)B| = |B/tB|^r

証明終

67 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 11:41:49 ]
命題
A を Dedekind 整域(前スレ2の601)とし、P をその素イデアルとする。
A/P は標数 p の有限体で |A/P| = p^f = q とする。
r ≧ 1 を任意の整数とする。

|A/P^r| = q^r = p^(fr)

である。

証明
前スレ3の895 より A/P^r は A_P/(P^r)A_P に標準的に同型である。
A_P は離散付値環(前スレ2の585)だから >>66 よりわかる。
証明終

68 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 11:51:41 ]
定義
A を Dedekind 整域とする。
A の任意の非零イデアル I に対して A/I が
有限環のとき A は有限ノルム性を持つという。

このとき |A/I| を I の絶対ノルムまたは単にノルムと呼び
N(I) と書く。

69 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 11:55:36 ]
補題
A を有限ノルム性(>>68)を持つ Dedekind 整域とする。
I と J を A の非零イデアルで互いに素、
すなわち I + J = A とする。

このとき N(IJ) = N(I)N(J) である。

証明
中国式剰余定理(前スレの341)より明らか。

70 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 12:03:41 ]
命題
A を有限ノルム性(>>68)を持つ Dedekind 整域とする。
I と J を A の任意の非零イデアルとする。

このとき N(IJ) = N(I)N(J) である。

証明
>>67 より A の非零素イデアルにたいして N(P^r) = N(P)^r である。
これと A の任意の非零イデアルが非零素イデアルのべき積に
一意に分解されること(前スレ2の676)、および >>69 よりわかる。

証明終



71 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 12:26:21 ]
命題
2次体 Q(√m) において、任意のイデアル I とその共役イデアル I'
に対して
II' = N(I)Z[ω] となる。

証明
>>64 より素イデアル P に対して PP' = N(P)Z[ω] となる。
よって任意の有理整数 r ≧ 1 に対して、
(P^r)(P')^r = N(P)^rZ[ω] = N(P^r)Z[ω] (>>67より)

これと Q(√m) の任意のイデアルが素イデアルのべき積に
一意に分解されること(前スレ2の676)、および >>70 よりわかる。

証明終

72 名前:132人目の素数さん [2006/11/26(日) 12:56:51 ]
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73 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 13:41:32 ]
定義
2次体 Q(√m) の整数環 Z[ω] の可逆元を Q(√m) の単数と呼ぶ。

74 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 13:52:47 ]
命題
2次体 Q(√m) の整数 α が単数であるためには
N(α) = 1 または N(α) = -1 となることが必要十分である。

証明
α が単数なら αβ = 1 となる整数 β がある。
N(αβ) = N(α)N(β) = 1 であるが、N(α) と N(β) は有理整数
(前スレ3の927)だから N(α) = 1 または N(α) = -1 である。

逆に N(α) = 1 または N(α) = -1 とする。

N(α) = 1 なら αα' = 1 だから α は単数である。

N(α) = -1 なら αα' = -1 だから α(-α') = 1 となり、
やはり α は単数である。

証明終

75 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 14:05:45 ]
命題
α ≠ 0 を2次体 Q(√m) の整数とすると
N(αZ[ω]) = |N(α)| である。

ここで右辺は N(α) の絶対値をあらわす。

証明
イデアル αZ[ω] の共役イデアルは α'Z[ω] である。
よって
(αZ[ω])(α'Z[ω]) = αα'Z[ω] = N(α)Z[ω]

一方、>>71 より (αZ[ω])(α'Z[ω]) = N(αZ[ω])Z[ω] となる。

したがって N(α)Z[ω] = N(αZ[ω])Z[ω] である。
よって
N(α) = N(αZ[ω])εとなる整数εがある。
容易にわかるようにεは単数である。

両辺のノルムをとると
N(α)^2 = N(αZ[ω])^2 N(ε) となる。
>>74 より N(ε) = ±1 であるから

N(α)^2 = ±N(αZ[ω])^2 となる。

左辺は正だから N(α)^2 = N(αZ[ω])^2 である。
よって N(α) = ±N(αZ[ω]) である。

N(αZ[ω]) > 0 だから N(αZ[ω]) = |N(α)| である。

証明終

76 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 15:32:43 ]
M を x_1, ..., x_n を基底とする自由アーベル群とする。
N を M の部分群で M/N が有限群となるものとする。

前スレ3の988より N は n 次の自由アーベル群である。
N の基底を y_1, ..., y_n とし、

y_1 = a_(1,1)x_1 + ..., + a_(1,n)x_n
.
.
y_n = a_(n,1)x_1 + ..., + a_(n,n)x_n

とする。

このとき、|M/N| = |det(a_(i,j))| である。

証明は後で行う。

77 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 15:36:59 ]
>>76 の証明

A = (a_(i,j)) を n × n 行列 とする。
X を (x_1, ..., x_n) を縦にしたベクトルとする。
Y を (y_1, ..., y_n) を縦にしたベクトルとする。
Y = AX である。

前スレ3の988 より

N の基底 z_1, ..., z_n で、

z_1 = b_(1, 1) x_1
z_2 = b_(2, 1) x_1 + b_(2, 2) x_2
.
.
z_i = b_(i, 1) x_1 + b_(i, 2) x_2 + ... + b_(i, i) x_i
.
.
z_n = b_(n, 1) x_1 + b_(n, 2) x_2 + ................ + b_(n, n) x_n

となるものがある。
ここで 各 b_(i, i) > 0 である。

前スレ3の991 より |M/N| = b_(1, 1)b_(2, 2)...b_(n, n) である。

B = (b_(i,j)) を n × n 行列 とする。
Z を (z_1, ..., z_n) を縦にしたベクトルとする。
Z = BX である。

(続く)

78 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 15:48:30 ]
>>77 の続き

Y と Z は N の基底だから、
Y = CZ となる有理整数を成分とする行列 C で可逆、つまり
CD と DC が n 次の単位行列となる有理整数を成分とする行列 D が
存在する。det(CD) = det(C)det(D)= 1 だから det(C) = ±1 である。

Z = BX と Y = CZ より Y = CBX となる。
一方、Y = AX だから
AX = CBX となる。
よって A = CB となる。
よって det(CB) = det(A) となる。
よって ±det(B) = det(A) となる。

>>77 より |M/N| = b_(1, 1)b_(2, 2)...b_(n, n) = det(B) だから
|M/N| = |det(A)| である。
証明終

79 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 16:51:31 ]
訂正

>>69
>中国式剰余定理(前スレの341)より明らか。

>中国式剰余定理(前スレ1の341)より明らか。

80 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 20:01:16 ]
>>75 の別証

αZ[ω] = [α, αω] は Z[ω] の部分アーベル群である。
1) α = a + bω
2) αω = c + dω
とする。

この2式の両辺の共役をとると
3) α' = a + bω'
4) α'ω' = c + dω'

α, αω を第1行、
α', α'ω' を第2行に持つ行列の行列式をΔ[α, αω] とする。

同様に 1, ω を第1行、1, ω' を第2行に持つ行列の行列式
をΔ[1, ω] とする。

a, b を第1行
c, d を第2行に持つ行列を A とする

1), 2) ,3) ,4) より
Δ[α, αω] = det(A)Δ[1, ω] となる。

Δ[α, αω] = αα'Δ[1, ω] = N(α)Δ[1, ω]
よって N(α)Δ[1, ω] = det(A)Δ[1, ω]

Δ[1, ω] = ω' - ω ≠ 0 であるから、
N(α) = det(A) となる。
1), 2) と >>76 より N(αZ[ω]) = |det(A)| だから
N(αZ[ω]) = |N(α)| となる。
証明終



81 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 20:45:26 ]
命題
I = [a, r + ω] を2次体 Q(√m) の原始イデアル(>>17) とする。
ここで a > 0 で a = gh, g > 0, h > 0 とする。

このとき、J_1 = [g, r + ω], J_2 = [h, r + ω] はそれぞれ
イデアルで I = (J_1)(J_2) となる。

証明(高木の初等整数論講義)
θ = r + ω とおく。
N(θ) は a で割れる(>>35)から g と h でも割れる。
よって [g, θ] と [h, θ] はイデアルである(>>19)。

(J_1)(J_2) = (gh, gθ, hθ, θ^2) ⊂ I である。

>>25 より N(I) = a = gh = N(J_1)N(J_2) である。
>>70 より N((J_1)(J_2)) = N(J_1)N(J_2) である。
よって I = (J_1)(J_2) である。
証明終

82 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/26(日) 21:01:10 ]
TeX でまとめなおせば本にもできるだろ。
つか掲示板じゃ見にくすぎる。

83 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/26(日) 21:15:32 ]
>82
> TeX でまとめなおせば本にもできるだろ。
> つか掲示板じゃ見にくすぎる。
前からそう言ってるんだけどね・・・

84 名前:132人目の素数さん [2006/11/26(日) 21:22:14 ]
>>82

そうなの?
版権の問題はないのかな。

85 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/26(日) 22:22:20 ]
>>81 の命題は高木以外では見たことがない。
意外だね。基本的なことなのに。

86 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/27(月) 11:22:54 ]
>56
此処 ⇒ h ttp://www1.ezbbs.net/19/dslender2/ で聞いてみたら如何かね?
Kummerさんは、整数論の構成に関する持論の展開に忙しいから解答しないよ、多分。

87 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/27(月) 11:28:13 ]
>>56のような質問じゃ答えようもないよねw

88 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/27(月) 16:29:04 ]
>>56

>同値類から整数の減法の定義を導きたい
この内容を具体的に表現できれば、質問すれで回答を得られるだろう。


89 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2006/11/27(月) 17:52:55 ]
つうか代数的整数論じゃない。整数論かどうかも怪しい。

90 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/27(月) 21:16:29 ]
>>81 により原始イデアル [a, r + ω] は [p, r + ω] の形の
素イデアルの積に分解される。



91 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/27(月) 21:35:14 ]
2次体 Q(√m) のイデアル I = (α_1, ..., α_n) が
有限個の生成元で与えられたとき、以下に述べるように I を
有限回の手続きで素イデアルの積に分解することが出来る。

I の標準基底は >>23 で述べたように有限回の手続きで求まる。
I = [a, b + cω] を標準基底による表示とすれば >>18 により
I = c[a', b' + ω] となる。

c は有限個(c = 1 のときは 0 個)の素数の積となるから、
cZ[ω] を素イデアルの積に分解するのは >>47>>49 により
有限回の手続きで出来る。

[a', b' + ω] は原始イデアルだから >>90 で述べたように
[p, b' + ω] の形の素イデアルの積に分解される。
つまり、a' を有理整数の範囲で素因数分解すればよい。

92 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/27(月) 22:10:06 ]
問題
Q(√(-5)) において単項イデアル (3 + 5√(-5)) を素イデアルの積に
分解せよ。

答えだけじゃなくて解き方も書くこと。
誰か?

93 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/27(月) 22:25:46 ]
>>92

書き忘れたけど、素イデアルは標準基底で表すこと。

94 名前:聴講生 mailto:sage [2006/11/28(火) 07:49:16 ]
>>92
>>11より、ω=√(-5)とするとQ(√(-5))の整数環はZ[ω]
(3 + 5√(-5)) = <3 + 5√(-5),-25 + 3√(-5)>
>>10の手続きで標準基底を求める。
5と3は互いに素で、5・(-1) + 3・2 = 1 なので、
y_1 = 3 + 5√(-5),y_2 = -25 + 3√(-5),z_2 = -y_1 + 2y_2 とおくと
y_1 - 5z_2 = 268,y_2 - 3z_2 = 134
よって <3 + 5√(-5),-25 + 3√(-5)> = <268,134,81+√(-5)>
                        = [134,81+√(-5)]
これは原始イデアルで、134 = 2・67 だから
[134,81+√(-5)] = [2,81+√(-5)][67,81+√(-5)]


95 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 09:24:25 ]
>>94

ご名答。

蛇足かもしれないが検算してみよう。

N(3 + 5√(-5)) = 9 + 125 = 134 = 2・67 で67 は素数だから
(3 + 5√(-5)) はノルムが 2 と 67 の素イデアルの積となる。

[2,81+√(-5)] = [2,1+√(-5)] で
N(1+√(-5)) = 1 + 5 = 6
これは 2 で割れるから [2,81+√(-5)] はイデアルで(>>19)そのノルムは
2 である。よってこれは素イデアル。

[67,81+√(-5)] = [67,14+√(-5)]
N(14+√(-5)) = 196 + 5 = 201 = 3・67
よってこれも素イデアルでそのノルムは 67。

96 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 15:18:28 ]
次の補題は周知だが後で必要になるので証明しておく。

97 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 15:20:25 ]
補題(多項式のTaylor展開)

A を標数 0 の整域、つまり有理整数環 Z と同型な部分環をもつ
整域とする。
f(X) ∈ A[X] を次数 n ≧ 1 の A 係数の多項式とする。
a を A の任意の元とする。
このとき
f(X + a) = f(a) + f'(a)X + (f''(a)/2)(X^2) + ... (f^(n)(a)/n!)(X^n)

ここで f^(k)(a) は f(X) の k 次の導多項式 f^(k)(X) の
X = a での値である。
各 f^(k)(a)/k! は A の元である。つまり f^(k)(a) は k! で割れる。

証明
f(X + a) = c_0 + c_1X + c_2(X^2) + ... c_n(X^n)
とおく。ここで、c_0, ..., c_n は A の適当な元。

X = 0 を代入すると、
f(a) = c_0 となる。

f'(X + a) = c_1 + 2c_2X + ... nc_n(X^(n-1)) である。
X = 0 を代入すると、
f'(a) = c_1 となる。

f''(X + a) = 2c_2 + ... n(n-1)c_n(X^(n-2)) である。
X = 0 を代入すると、
f''(a) = 2c_2 となる。
A において 2 ≠ 0 で、A は整域だから c_2 は一意に決まり、
c_2 = f''(a)/2 である。

このように順次 c_k を決めていけばよい(正式には帰納法による)。
証明終

98 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 20:39:27 ]
補題
f(X) ∈ Z[X] を次数 m ≧ 1 の有理整数係数の多項式とする。
f'(X) をその導多項式とする。つまり f'(X) = df(X)/dx である。
p を有理素数とする。

ある有理整数 n ≧ 1 に対して合同方程式
f(X) ≡ 0 (mod p^n) が根 a を持ち、f'(a) が p で割れないなら、
f(X) ≡ 0 (mod p^(n+1)) は
b ≡ a (mod p^n)
となる根 b を持つ。このような b は mod p^(n+1) で一意に決まる。

証明
f(a) ≡ 0 (mod p^n) だから、f(a) は p^n で割れる。
よって f(a) = (p^n)t となる有理整数 t がある。

>>97 より x を任意の有理整数とすると、
f(a + (p^n)x) ≡ f(a) + f'(a)(p^n)x (mod p^(n+1))
である。

よって
f(a + (p^n)x) = f(a) + f'(a)(p^n)x + (p^(n+1))r
となる有理整数 r がある。

よって
f(a + (p^n)x) = (p^n)(t + f'(a)x + pr)

仮定より f'(a) ≡ 0 (mod p) でないから
x に関する一次合同方程式
t + f'(a)x ≡ 0 (mod p)
は解け、その解 x は mod p で一意に決まる。
b = a + (p^n)x とおけばよい。
証明終

99 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 20:45:39 ]
命題
f(X) ∈ Z[X] を次数 m ≧ 1 の有理整数係数の多項式とする。
f'(X) をその導多項式とする。つまり f'(X) = df(X)/dx である。
p を有理素数とする。
合同方程式
f(X) ≡ 0 (mod p) が根 a を持ち、f'(a) が p で割れないなら、

任意の有理整数 n ≧ 1 に対して合同方程式
f(X) ≡ 0 (mod p^n) が b ≡ a (mod p)
となる根 b を持つ。
このような b は mod p^n で一意に決まる。

証明
>>98 を n = 1 から初めて順次適用すればよい。

100 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2006/11/28(火) 21:50:10 ]
命題
f(X) ∈ Z[X] を次数 n ≧ 1 の有理整数係数の多項式とする。

m > 1 を有理整数で、m = (p_1)^(k_1)...(p_r)^(k_r)
を m の素因数分解とする。

明らかに f(X) ≡ 0 (mod m) の解 c は
各 i で f(X) ≡ 0 (mod (p_i)^(k_i)) の解でもある。

f(X) ≡ 0 (mod m) の解で mod m で合同なものを同一した集合を
S とする。よって |S| ≦ m である。

各 i に対し f(X) ≡ 0 (mod (p_i)^(k_i)) の 解で mod (p_i)^(k_i)
で合同なものを同一した集合を T_i とする。

f(X) ≡ 0 (mod m) の解 c に f(X) ≡ 0 (mod (p_i)^(k_i)) の解 c を
対応させることにより、S から T_i への写像 φ_i が定まる。
よって S から T = ΠT_i への写像 φ が定まる。
ここで、φ は φ(x) = (φ_1(x), ..., φ_r(x)) で定義される
写像である。

このとき φ は全単射である。

証明
中国式剰余定理(前スレの341)より明らか。








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