補題 A をネーター局所整域とし、m をその極大イデアルとする。 dim(m/m^2) = 1 なら A は離散付値環である。 ここで、dim(m/m^2) は m/m^2 の 体 A/m 上のベクトル空間として の次元である。
証明 >>569より m は単項イデアルである。 よって >>568より A は離散付値環である。 証明終
725 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/18(水) 10:28:19 ]
補題 A を体でないネーター整域とする。 A の任意の極大イデアル m に対して A_m が離散付値環なら A は Dedekind整域である。
証明 m を A の極大イデアルとする。 A_m は離散付値環だから、ht(m) = 1 である。 これから dim(A) = 1 である。
>>612より、 A = ∩A_m (m は A の極大イデアル全体を動く)となる。 >>607 より各 A_m は整閉だから、A も整閉である。 以上から A は 1次元のネーター整閉整域すなわち Dedekind整域である。 証明終
726 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/18(水) 10:30:47 ]
命題(園による) A を体でないネーター整域とする。 A の任意の極大イデアル m に対して m と m^2 の間に真のイデアル がないとする。このとき、A はDedekind整域である。
証明 m = m^2 とすると中山の補題(前スレの242)より m = 0 となって A が体でないことに矛盾する。よって m ≠ m^2 である。 a ∈ m - m^2 をとる。m と m^2 の間に真のイデアルがないから m = m^2 + aA である。よって dim(m/m^2) = 1 である。 よって >>724 より A_m は離散付値環である。 よって >>725 より A はDedekind整域である。 証明終
k を代数的閉体、X を k上の既約な代数多様体とする。 つまり、X はk上有限型の既約かつ被約な分離的スキームである。 さらに X は正規、つまり X の各閉点 p における局所環 O_p が整閉 であるとする。 簡単のため X がアフィンの場合を考える。
A = Γ(X) を X の座標環とする。 仮定より A の極大イデアル m に対して A_m は整閉である。 >>612より、 A = ∩A_m (m は A の極大イデアル全体を動く)となる。 よって A は整閉である。 よって >>584 より S を A の(0を含まない)積閉部分集合とすると、 A_S も整閉である。
W を X の余次元1の既約閉部分集合とする。 W の生成点を p とすれば A_p は dim(A_p) = 1 である。 A_p は上で述べたことより整閉であるから>>555より離散付値環である。 よって>>714により離散付値ν_pが定義される。
K を X の有理関数体とする。つまり K は A の商体である。 f を K の 0 でない元とする。ν_p(f) は、 f の W における零点または極の位数を表すと考えられる。 ν_p(f) > 0 のときは零点の位数をあらわし、 ν_p(f) < 0 のときは、その絶対値が極の位数を表す。
命題 A をDedekind整域(>>601)とする。 p_1, ..., p_r を A の相異なる極大イデアルとする。 n_1, ..., n_r を非負の有理整数の列とする(同じ値があっても良い)。 A の元 x で ν_p_i(x) = n_i, i = 1, ..., r となるものが存在する。
命題 A をDedekind整域(>>601)とし、K をその商体とする。 p_1, ..., p_r を A の相異なる極大イデアルとする。 n_1, ..., n_r を(非負とは限らない)有理整数の列とする (同じ値があっても良い)。 K の元 x で ν_p_i(x) = n_i, i = 1, ..., r となるものが存在する。
証明 >>742より A の元 x で n_i が非負のとき ν_p_i(x) = n_i となり、 n_i が負のとき ν_p_i(x) = 0 となるものが存在する。
同様に A の元 y で n_i が非負のとき ν_p_i(y) = 0 となり、 n_i が負のとき ν_p_i(x) = -n_i となるものが存在する。
x/y が求めるものである。 証明終
746 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/18(水) 15:31:12 ]
>>745は>>730の例において、X の次元が1のとき即ち X が 代数曲線のとき、X の有限個の閉点とそこにおける 零点または極の位数を与えて関数を求める問題の答を与えている。
記号の意味は>>760と同じとする。 各 i において K の元 t_i で ν_p_i(t_i) = 1 となるものをとる。
>>762から K の元 x で ν_p_i(x - (t_i)^(n_i)) > n_i, i = 1, ..., r となり、 p_1, ..., p_r と異なる極大イデアル p に関して ν_p(x) ≧ 0 となるものが存在する。 >>765より、ν_p_i(x) = n_i だから、この x が求めるものである。 証明終
767 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/19(木) 14:33:21 ]
命題 A を半局所環(極大イデアルが有限個しかない環)でDedekind整域(>>601) とする。A は単項イデアル整域である。
証明 p_1, ..., p_r を A の相異なる極大イデアルの全体とする。 I を A の非零イデアルとする。 各 i において IA_p_i = (p_i)^(n_i)A_p_i とする。 A の元 x で ν_p_i(x) = n_i, i = 1, ..., r となるものが存在する。 各 i において IA_p_i = xA_p_i だから、>>692 より I = xA である (>>692 を使わなくても I と xA のそれぞれの素イデアルの積による 分解を考えれば明らか)。 証明終
768 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/19(木) 15:27:51 ]
命題 A をDedekind整域(>>601)とし、I をその非零イデアルとする。 x ≠ 0 を I の任意の元とする。 I = (x, y) となる y ≠ 0 が存在する。
証明 I = (p_1)^(n_1)...(p_r)^(n_r) を I の素イデアル分解とする。 ここで、p_1, ..., p_r は A の相異なる(非零)素イデアルである。 xA ⊂ I だから、xA = IJ となるイデアル J が存在する (J = (xA)I^(-1) とすればよい).
>>730は代数多様体について離散付値の役割を述べたが、 これは既約かつ被約で正規な分離的ネータースキームでそのまま 成立つ。特に A をネーター整閉整域として Spec(A) で成立つ。
このような見方は代数体の整数論でも有効である。 この見方からすると、Dedekind整域 A の極大イデアル p は、 A が定める幾何的対象、つまり Spec(A) の点であり、 A の商体 K の元 f は Spec(A) の有理関数と見なされる。 p が定める離散付値をν_pとすると、ν_p(f) は、f の p における 零点または極の位数を表すと考えられる。
命題 A をDedekind整域とし、I, J をその非零イデアルとする (I = J であってもよい)。 J と素なイデアル、つまり J + L = A となるイデアル L で IL が単項イデアルとなるものが存在する。
証明 I = (p_1)^(n_1)...(p_r)^(n_r) を I の素イデアル分解とする。 ここで、p_1, ..., p_r は A の相異なる(非零)素イデアルである。 J の素イデアル分解に現れる(非零)素イデアルで p_1, ..., p_r 以外 のものを q_1, ..., q_s とする。
>>742より、 各 i において ν_p_i(y) = n_i 各 j において ν_q_j(y) = 0 となる y ∈ A が存在する。 yA ⊂ I だから yA = IL となるイデアル L が存在する y の取り方から J と L は共通の素イデアル因子を持たない。 よって、J + L = A である。 証明終
786 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/23(月) 11:40:02 ]
補題 A を整域とし、S をその積閉部分集合(前スレの63)で 0 を 含まないものとする。S による A の局所化 A_S が体なら A_S は A の商体 K と一致する。
証明 x を K の任意の元とする。x = a/b とかける。 ここに、a と b ≠ 0 は A の元である。 仮定より、1/b ∈ A_S である。よって x = a/b ∈ A_S である。 よって、K ⊂ A_S である。A_S ⊂ K は明らかだから A_S = K である。 証明終
787 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/23(月) 11:42:46 ]
命題 A をDedekind整域とし、S をその積閉部分集合(前スレの63)で 0 を 含まないものとする。S による A の局所化 A_S が A の商体 K と 一致しないとする。 このとき、A_S はDedekind整域である。
証明 >>584 より A_S は整閉整域である。 A はネーターだから A_S もネーターである。
前スレの81より、Spec(A_S) は T(S) = {p∈Spec(A); p ∩ S = 空集合} と同一視される。よって、A_S の 非零素イデアルは極大である。 つまり、dim(A_S) ≦ 1 となる。
命題 A をDedekind整域とし、I, J をその非零イデアルとする (I = J であってもよい)。 J と素なイデアル、つまり J + L = A となるイデアル L で IL が単項イデアルとなるものが存在する。
証明(Van der Waredenの教科書より) >>793 から I = IJ + yA となる y ≠ 0 が存在する。 yA ⊂ I だから、yA = IL となる A の非零イデアル L がある。 I = IJ + yA = IJ + IL = I(J + L) よって J + L = A である。 証明終
命題 A, B を環とする。 C = A x B を A と B の直積とする。 Q(C), Q(A), Q(B) をそれぞれ C, A, B の全商環とする。 >>806 より Q(C) = Q(A) x Q(B) である。 Q(C) の元 z = (x, y), x ∈ Q(A), y ∈ Q(B) が C 上整(前スレの506) であるためには x と y がそれぞれ A, B 上整であることが 必要十分である。
証明 簡単なので読者にまかす。
808 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/25(水) 09:47:35 ]
命題 A, B を環とする。 C = A x B を A と B の直積とする。 Q(C), Q(A), Q(B) をそれぞれ C, A, B の全商環とする。 C が Q(C) において整閉であるためには、A, B がそれぞれ Q(A), Q(B) において整閉であることが必要十分である。
命題 A を1次元のネーター局所環とし、 m をその極大イデアルとする。 m の元がすべて A の零因子ではないとする。 A がその全商環 B において整閉なら A は離散付値環である。
証明 a を m の非零因子とする。 p を A の素イデアルで a ∈ p とする。 p が A が極小素イデアルとすると p ∈ Ass(A) である(前スレの146) から a は A の零因子となって(前スレの180)矛盾。 仮定より dim(A) = 1 だから p = m である。 よって Supp(A/aA) = {m} となる。 Ass(A/aA) ⊂ Supp(A/aA) だから(前スレの99)、 Ass(A/aA) = {m} となる。 よって、b ∈ A で b ≠ 0 (mod aA), mb ⊂ aA となるものがある。 よって m(b/a) ⊂ A となる。 ここで b/a ∈ B である。 b ≠ 0 (mod aA) だから b/a は A に含まれない。 m(b/a) = m と仮定する。>>551 の証明と同様にして b/a が A 上整となって矛盾。よって >>553 の証明と同様に m(A:m) = A である。 >>361 より Pic(A) = 0 である。つまり m は A-加群として A に同型。よって m は単項である。 m は非零因子を含むから >>568 よりA は離散付値環である。 証明終
811 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/25(水) 11:17:20 ]
補題 A を環とする。 I, J を A の分数イデアル(>>707)とする。 IJ, I + J, I ∩ J も分数イデアルである。
補題 A をネーター局所環で、m をその極大イデアルとする。 m が可逆(>>430)なら A は離散付値環である。
証明 今までに同じような証明を何度もしたから明らかだが念のために 証明する。
>>509 より m は A-加群として階数1(>>253)の射影加群である。 >>>361 より Pic(A) = 0 だから m は A-加群として A に同型。よって m は単項である。m は A に同型だから m の生成元はべき零では有り得ない。 よって >>568 より A は離散付値環である。 証明終
818 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2006/01/25(水) 16:06:31 ]
補題 A を 次元1のネーター環で、B をその全商環(>>362)とする。 A は B において整閉とする。 A の非退化(>>431)な極大イデアルは可逆(>>430)である。