(a) スキーム X が被約であるための必要十分な条件は、 任意の点 x で O_xが 0 以外のベキ零元を持たないことである。
証明 証明の前に言葉を定義する。 環 A が 0 以外のベキ零元を持たないとき、被約と呼ぶ。
さて、X が被約であるとする。 U を x を含む開集合とする。 f を O_X(U) の元で (f_x)^n = 0 とする。 ここで f_x は f の x における芽を表す。 (f_x)^n = (f^n)_x であるから、f^n | V = 0 となる x を含む開集合 V がある。X は被約であるから O_X(V) も被約である。 従って、f | V = 0 となる。故に、f_x = 0 となる。 即ち、O_x は被約である。
逆に X の任意の点 x で O_xが被約であるとする。 任意の開集合 U に対して, O_X(U) が被約であることを示す。 f を O_X(U) の元で f^n = 0 とする。x を U の任意点とすると、 (f_x)^n = 0 となる。仮定により O_x は被約であるから、f_x = 0 となる。従って、x の十分近い近傍で f = 0 となる。 x は U の任意の近傍であり、O_X は層だから U において f = 0 となる. 即ち、O_X(U) は被約である。
(b) X をスキームとする。前層 U → O_X(U)_red から層化により 得られる層を、(O_X)_red と書く。ここで、環 A に対してA_red は、A/nil(A) を表す。nil(A) は A のベキ零元イデアル。 (X, (O_X)_red) がスキームであることを示せ。 これを、スキーム X に付随する被約スキームと呼び、X_red と書く。 射 X_red → X が存在し、これは、sp(X_red) と sp(X) の位相同型を 引き起こすことを示せ。ここでsp(X) は X を位相空間と考えたもの。
証明 X をアフィンスキーム Spec(A) と仮定してよい。 Spec(A/nil(A)) が X_red であることは見やすい。 標準的射 A → A/nil(A) より、射 X_red → X が存在する。 これが位相同型であることは明らか。
(c) X → Y をスキーム間の射とし、X は被約とする。 X → Y_red が一意に存在し、X → Y は X → Y_red → Y と分解される。 証明 まず、環の射 A -> B があり、B が被約なら、 A/nil(A) → B が存在し、A -> B は、A -> A/nil(A) → B と 分解することに注意する。 さて、U を Y の開集合とする。射 X → Y に付随して 射 O_Y(U) → O_X(f^(-1)(U)) が存在する。 O_X(f^(-1)(U)) は被約であるから、上の注意より O_Y(U)/nil(O_Y(U)) → O_X(f^(-1)(U)) が存在し、 上の射は、O_Y(U) → O_Y(U)/nil(O_Y(U)) → O_X(f^(-1)(U)) と 分解する。O_Y_red は前層 U → O_Y(U)/nil(O_Y(U)) の層化だから (c) は直ちに得られる。
(a) V を代数的閉体 k 上の代数多様体とする。 点 P ∈ t(V) が閉点であるためには、その剰余体が k である ことが必要十分であることを示せ。
証明 V をアフィンと仮定してよい。A をその座標環とする。 P が閉点であることは、P が A の極大イデアルであることと 同値である。P が A の極大イデアルなら、ヒルベルトの零点定理より P の剰余体 k(P) は, k の代数拡大である。k は代数的閉体であるから、 k(P) = k となる。逆は明らか。
(b) ψ: A → B を環準同型とする。f: Y = Spec(B) → X = Spec(A) をψにより誘導された射とする。 ψが単射であるためには、f^#: O_X → f_*(O_Y) が単射であることが 必要十分である。 さらに、この場合、f は支配的、即ち f(Y) が X において稠密で あることを示せ。
証明 前半は明らか。 ψ: A → B が単射とする。 h を A の元で、D(h) が空でないとする。 (a) より h はベキ零でない。ψは単射だから、ψ(h) もベキ零でない。 f^(-1)(D(h)) = D(ψ(h)) だから、D(h) ∩ f(Y) は空でない。 即ち f(Y) は X において稠密である。
(d) (c) の逆を証明せよ。即ち、f: Y → X が Y のある閉集合への 位相同型であり、f^#: O_X → f_*(O_Y) が全射なら、ψは全射である。
証明 まず最初に A ⊆ B と仮定する。 f(Y) は X において稠密な閉集合だから、f(Y) = X となる。 I = { x ∈ A ; xB ⊆ A } とおく。 I は A のイデアルである。I ≠ A と仮定する。 I ⊆ P となる A の素イデアルがある。 f(Y) = X だから、P = f(Q) となる B の素イデアル Q がある。 仮定より O_X → f_*(O_Y) は全射だから、A_P = B_Q である。 従って、任意の B の元 b に対して b/1 ∈ A_P 即ち、 ある s ∈ A - P で sb ∈ A となるものが有る。 しかし、これは、I ⊆ P に矛盾する。 故に、I = A でなければならない。即ち、A = B となる。 A → B が単射でない場合は、 A → B を A → A/kerψ → B と 分解して考えればよい。
>>480の証明は間違いだった。(苦笑) 正しくは、A に含まれない B の元 b があったとして、矛盾を導く。 I = { x ∈ A ; xb ∈ A } とおく。 後は任せる。 こういうこともあるから、このスレの証明を鵜呑みにしたら駄目だぞ。 各自、自分でチェックしたほうがいい。
484 名前:132人目の素数さん [03/10/31 20:37]
定義 f: X → Y をスキームの射とする。 Y がアフィン開集合 V_i = Spec(B_i) による被覆を持ち、 各 f^(-1)(V_i) が アフィン開集合 U_ij = Spec(A_ij) による 被覆をもち、各 A_ij が有限生成の B_i 代数であるとき、 f を局所有限型という。 もし、各 f^(-1)(V_i) が 有限個の U_ij による被覆をもつとき f を有限型という。
485 名前:132人目の素数さん [03/10/31 20:47]
Hartshorne II Ex. 3.1
以下を証明せよ。 スキームの射 f: X → Y が局所有限型であるためには、 Y の任意のアフィン開集合 V = Spec(B) に対して、f^(-1)(V) がアフィン開集合 U_j = Spec(A_j) により被覆され、 各 A_j が有限生成の B-代数となることが必要十分である。
486 名前:132人目の素数さん [03/10/31 20:53]
Hartshorne II Ex. 3.2
スキームの射 f: X → Y が次の条件を満たすとき、準コンパクトという。 Y がアフィン開集合 V_i による被覆を持ち、 各 f^(-1)(V_i) が準コンパクトとなる。
以下を証明せよ。 f が準コンパクトであるためには、任意のアフィン開集合 V ⊆ Y に 対して、 f^(-1)(V) が準コンパクトとなることが必要十分である。
487 名前:132人目の素数さん [03/10/31 21:06]
Hartshorne II Ex. 3.3 以下を証明せよ。
(a) スキームの射 f: X → Y が有限型であるためには、 局所有限型かつ準コンパクトであることが必要十分である。
(b) スキームの射 f: X → Y が有限型であるためには、 Y の任意のアフィン開集合 V = Spec(B) に対して、f^(-1)(V) が有限個のアフィン開集合 U_j = Spec(A_j) により被覆され、 各 A_j が有限生成の B-代数となることが必要十分である。
(c) スキームの射 f: X → Y が有限型であれば、以下が成立する。 Y の任意のアフィン開集合 V = Spec(B) と、f^(-1)(V) の任意の アフィン開部分集合 U = Spec(A) ⊆ f^(-1)(V)に対して、 A は有限生成の B-代数となる。
488 名前:132人目の素数さん [03/10/31 21:14]
Hartshorne II Ex. 3.4
f: X → Y をスキームの射とする。 Y がアフィン開集合 V_i = Spec(B_i) による被覆を持ち、 各 f^(-1)(V_i) が アフィン開集合 Spec(A_i) であり、 各 A_i が有限生成の B_i-加群であるとき、 f を有限射という。
以下を証明せよ。 スキームの射 f: X → Y が有限射であるためには、 Y の任意のアフィン開集合 V = Spec(B) に対して、f^(-1)(V) がアフィン開集合 U = Spec(A) となり、 A が有限生成の B-代数となることが必要十分である。
489 名前:132人目の素数さん [03/10/31 21:23]
Hartshorne II Ex. 3.5
f: X → Y をスキームの射とする。 任意の点 y ∈ Y に対して f^(-)(y) が有限集合となるとき f を準有限射という。
(a) 有限射は準有限射であることを示せ。
(b) 有限射は閉写像であることを示せ。即ち、任意の閉集合の f による像は閉集合となる。
(c) 全射で有限型かつ準有限な射で有限射でない例をしめせ。
490 名前:132人目の素数さん [03/10/31 21:36]
Hartshorne II Ex. 3.6
スキーム X の各開集合 U に対して、O_X(U) が整域となるとき X を整スキームという。
X を整スキームとする。X の生成点 ζ における局所環 O_ζは 体であることを示せ。これを X の関数体と呼び、K(X) と書く。 U = Spec(A) を X の任意の開集合としたとき、K(X) は A の 商体と同型であることを示せ。
491 名前:132人目の素数さん [03/10/31 21:54]
Hartshorne II Ex. 3.7
f: X → Y をスキームの射とし、Y を既約とする。 Y の生成点ζに対して、f(-1)(ζ) が有限集合のとき、 f を生成的に有限と呼ぶ。
射 f は、f(X) が Y において稠密なとき支配的と呼ぶ。
さて、X, Y をともに整スキームとし、f: X → Y を 支配的かつ生成的に有限な有限型の射とする。 Y の稠密な開部分集合 U が存在し、f により誘導される射 f^(-1)(U) → U が有限射となることを示せ。 [ヒント:最初に X の関数体は Y の関数体の有限次拡大である ことを示せ。]
X を位相空間、Z を既約な閉集合とする。 Z の生成点(generic point)とは、Z = Cl{ζ} となる点ζのことである。 ここで、Cl{ζ} は、一点からなる集合{ζ}の閉包をあらわす。 X がスキームなら全ての(空でない)既約な閉集合は一意に定まる生成点 を持つことを示せ。
証明 F を X の既約な閉集合といする。 まず、X がアフィンスキーム Spec(A) のときは、F = V(P) となる。 ここで、P は A の素イデアル。この P が F の生成点である。 これが一意に定まることも明らか。 X が一般のスキームとする。F と交わる空でないアフィン開集合 U をとる。 U ∩ F は F の空でない開集合だから既約である。 従がって、U ∩ F は U の既約な閉集合である。最初に述べたことから U ∩ F は生成点 ζ を持つ。U ∩ F は F の稠密な部分集合だから、 ζは F の生成点でもある。U ∩ F の生成点は一意に定まるから F の生成点も一意に定まる。
補題 A → B を環の射。Spec(B) の有限個の開集合 D(f_i) による被覆 があり、各 B[1/f_i] が A 上有限生成の代数とする。 このとき、B も A 上有限生成の代数である。
証明 D(f_i) は Spec(B) の被覆だから (f_i)(g_i) = 1 となる B の元 g_i が存在する。 B[1/f_i] の A 上の有限個の生成元を b_ij/(f_i)^n, j = 1,2,... とする。B = A[f_i, g_i, b_ij; i,j = 1,2,...] となることを示す。 B の任意の元 b を取る。 b/1 ∈ A[b_ij/(f_i)^n, j = 1,2,..] だから (f_i)^r b ∈ A[f_i, b_ij, j = 1,2,..] となる 整数 r > 0 がある。r は各 i に共通としておく。 (f_i)(g_i) = 1 だから、(f_i)^r c_i = 1 となる A[f_i, g_i, i = 1,2,..] の元 c_i がある。 何故なら、(f_i)^r で生成されるこの環のイデアルは 単位イデアルだから。 故に b = (f_i)^r b c_i は A[f_i, g_i, b_ij, i,j = 1,2,...] に含まれる。
511 名前:132人目の素数さん [03/11/01 16:25]
Hartshorne II Ex. 3.3
(c) スキームの射 f: X → Y が有限型であれば、以下が成立する。 Y の任意のアフィン開集合 V = Spec(B) と、f^(-1)(V) の任意の アフィン開部分集合 U = Spec(A) ⊆ f^(-1)(V)に対して、 A は有限生成の B-代数となる。
証明 f: X → Y が有限型であるから U のアフィン開集合 W_i = Spec(C_i) による被覆があって、各 C_i は有限生成の B-代数となる。W_i に含まれる Spec(A[1/h]) の形の開集合を 考える。h の W_i における像をh' とすると、 Spec(A[1/h]) = Spec(C_i[1/h']) と見なせる。 C_i[1/h'] は有限生成の C_i 代数だから、有限生成の B-代数でもある。 従がって、A[1/h] も有限生成の B-代数である。 >>510の補題から A は有限生成の B-代数である。
512 名前:132人目の素数さん [03/11/01 17:28]
補題 A を環、Spec(A) の有限個の開集合 D(f_i) による被覆があるとする。 M を A-加群とする。各 M[1/f_i] = 0 なら M = 0 である。
証明 x を M の任意の元とする。 x/1 は M[1/f_i] で 0 となるから、ある n > 0 があって (f_i)^n x = 0 となる。n を十分大きく取れば、この n は 各 i に共通に取れる。一方、D(f_i) は Spec(A) の被覆だから (f_i)^n g_i = 1 となる A の元 g_i がある。 これから x = 肺 (f_i)^n g_i = 0 となる。 即ち、M = 0 である。
513 名前:132人目の素数さん [03/11/01 17:35]
も う い い だ ろ ?
514 名前:132人目の素数さん [03/11/01 17:39]
補題 A を環、Spec(A) の有限個の開集合 D(f_i) による被覆があるとする。 M を A-加群とする。各 M[1/f_i] が A[1/f_i] 上有限生成なら M は A 上有限生成である。
証明 M[1/f_i] の A[1/f_i] 上の生成元を x_ij/(f_i)^n, j = 1,2,.. とする。 n を十分大きく取れば、この n は各 i に共通に取れる。 x_ij 全体で生成される M のA-部分加群を N とする。 仮定より、(M/N)[1/f_i] = 0 となるから >>512の補題より M/N = 0 即ち M = N となる。
EGA IV 20.1 に、一般の環付き空間での有理形関数の定義があるんですが、 (20.1.3) に書いてあることにちょっと疑問があります。 「(X上の層) Sを、開集合 U に対してΓ(U, O_X) の非零因子全体 Γ(U, S) を対 応させる層とし・・・」というようなことが書いてあるんですが、一般の環付き 空間では(局所環付き空間でも)制限写像がうまく定まるとは限らないので、こ のような S がいつでも定義できるわけではないですよね? X がスキームや解析空 間なら大丈夫ですが・・・。
>>527 原文は次のようになってます。 (20.1.3) Nous allons nous interesser ici au cas ou S est le sous-faisceau S(O_X) de O_X tel que pour tout ouvert U, Γ(U, S) soit l'ensemble des elements reguliers de l'anneua Γ(U, O_X); "le sous-faisceau S(O_X)"と定冠詞が付いてたりするんで、「仮定」という感じ ではないかなという気がしたんですが・・・
532 名前:132人目の素数さん [03/11/02 15:52]
補題 X を位相空間とし、 開集合 U_i が X の被覆をなすとする。 X の部分集合 F が閉集合であるためには、 各 U_i ∩ F が U_i の閉集合であることを示せ。