命題 A を環とし、その全商環(>>362)を B とする。 B の A-加群としての部分加群 M が可逆(>>430)なら 定義より MN = A となる B の部分加群 N があるが、 このとき N = A:M となる。
証明 MN = A だから、N ⊂ A:M である。 よって、A = NM ⊂ (A:M)M ⊂ A よって、(A:M)M = A この両辺に N を掛けて、(A:M)MN = N よって、(A:M)A = N 即ち、A:M = N 証明終
504 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/15(木) 17:31:48 ]
命題 A を環とし、その全商環(>>362)を B とする。 B の A-加群としての部分加群 M が可逆(>>430)なら M はA-加群として有限生成である。
証明 定義より MN = A となる B の部分加群 N がある。 よって、1 = Σ(x_i)(y_i) となる x_i ∈ M, y_i ∈ N がある。 よって、x ∈ M に対して x = Σ(x_i)(y_i)x となる。 (y_i)x ∈ A だから、M は、有限個の元 x_1, x_2, ... で生成される。 証明終
505 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/15(木) 17:44:14 ]
命題 A を環とし、その全商環(>>362)を B とする。 B の A-加群としての部分加群 M が可逆(>>430)なら M はA-加群として射影的である。
証明 定義より MN = A となる B の部分加群 N がある。 よって、1 = Σ(x_i)(y_i) となる x_i ∈ M, y_i ∈ N がある。 f_i ∈ Hom(M, A) を f_i(x) = (y_i)x で定義する。 x ∈ M に対して x = Σ(x_i)(y_i)x = Σf_i(x)x_i となる。 よって、>>429 より M は射影的である。 証明終
命題 A を環とし、その全商環(>>362)を B とする。 B の A-加群としての部分加群 M が非退化(>>431)で射影的なら M は可逆(>>430)である。
証明 M は射影的だから、>>426 より、Hom(M, A) の元の族 (f_i), i ∈ I と、M の元の族 (x_i), i ∈ I が存在し、 M の任意の元 x に対して x = Σf_i(x)x_i となる。 M は非退化だから、>>444 より各 i に対して y_i ∈ B があり M の任意の元 x に対して f_i(x) = (y_i)x となる。
>>434 より M ∩ S は空でない。s ∈ M ∩ S をとる。 s は非零因子だから s = Σ(x_i)(y_i)s より、 Σ(x_i)(y_i) = 1 となる。 (y_i) で生成される B の A-部分加群を N とすれば、MN = A となる。 よって M は可逆である。 証明終
証明 M ∈ Ker(cl) とする。 cl(M) = cl(A)、つまり、M は A-加群として A と同型である。 これから、M = Ax, x ∈ U(B) となる。 よって、Ker(cl) ⊂ Im(φ) である。 逆の包含関係は明らか。 証明終
532 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/16(金) 18:12:15 ]
命題 A を環とし、その全商環(>>362)を B とする。 自然な単射 A → B によりアーベル群としての射 ψ: Pic(A) → Pic(B) が誘導される(>>276)。 他方、>>522 より、アーベル群としての射 cl: I(A) → Pic(A) がある。 このとき、Ker(ψ) = Im(cl) となる。
証明 M を A 上の階数1の射影加群とし、ψ(cl(M)) = 0 とする。 これは M(x)B が B と同型になることを意味する。 M は平坦だから 単射 A → B より単射 M → M(x)B が得られる。 よって、M は B の部分加群とみなせる。M(x)B = B だから M は非退化である。よって、>>511 より M は可逆である。 よって、cl(M) ∈ Im(cl) である。 よって、Ker(ψ) ⊂ Im(cl) である。
逆に M ∈ I(A) なら、>>501 より M は非退化である。 よって、 >>440 より M(x)B = M_S = B となる。 よって、Im(cl) ⊂ Ker(ψ) である。 証明終
補題 A を Krull次元(前スレの379)が1のネーター局所整域 とする。 A が整閉(前スレの578)なら A の 極大イデアルは単項イデアルである。
証明 m を A の(ただ1つの)極大イデアルとする。 a を m の非零元とする。 m ⊂ m(A:m) ⊂ A だから、m(A:m) = m または m(A:m) = A である。 m(A:m) = m とすると、>>551 より A:m の元は A 上整である。 A は整閉だから、A:m = A である。 一方、>>550 より A:m ≠ A だから、これは有り得ない。 よって、m(A:m) = A である。つまり m は可逆イデアルである。 >>361 より Pic(A) = 0 である。つまり m は A-加群として A に同型。よって m は単項である。 証明終
554 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/20(火) 10:54:10 ]
補題 A を Krull次元(前スレの379)が1のネーター局所整域 とする。 m を A の極大イデアルとする。 ∩m^n = 0 となる。ここで n はすべての整数 n > 0 を動く。
証明 Krullの共通イデアル定理(前スレの252) より明らかだが、 直接証明をしよう。
I = ∩m^n おく。 I ≠ 0 なら、dim(A/I) = 0 つまり A は Artin 環 である。よって m^n ⊂ I となる整数 n > 0 がある。 I の定義より I ⊂ m^n だから I = m^n である。 I ⊂ m^(n+1) だから m^n = m^(n+1) となる。 よって 中山の補題(前スレの242)より m^n = 0 である。 よって I = 0 となって矛盾。 証明終
555 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/20(火) 10:57:55 ]
定理 A を Krull次元(前スレの379)が1のネーター局所整域 とする。 A が整閉(前スレの578)なら A は離散付値環(前スレの645)である。
証明 m を A の極大イデアルとする。 I を A のイデアルで I ≠ 0 かつ I ≠ A とする。 >>554 より ∩m^n = 0 だから I ⊂ m^n だが I ⊂ m^(n+1) とは ならない整数 n > 0 がある。 >>553 より m は単項だから可逆である。 よって、I ⊂ m^n より Im^(-n) ⊂ A となる。 Im^(-n) ≠ A とすると Im^(-n) ⊂ m となって、 I ⊂ m^(n+1) となり仮定に反する。 よって Im^(-n) = A すなわち I = m^n となる。 >>553 より m は単項だから I も単項である。 証明終
命題 A をネーター局所環 とする。 A の 極大イデアル m がベキ零でない元で生成される単項イデアルなら A は離散付値環である。
証明 Krullの共通イデアル定理(前スレの252) より∩m^n = 0 である。 ここで n はすべての整数 n > 0 を動く。 仮定より m = At となる。ここで、t はベキ零でない。
x ∈ m で x ≠ 0とすると、>>567 と同様にして x = (t^n)u となる n > 0 と可逆元 u がある。 同様に y ∈ m で y ≠ 0とすると、y = (t^k)v となる k > 0 と可逆元 v がある。 xy = (t^(n+k))uv = 0 とすると、uv は可逆だから t^(n+k) = 0 となって、t がベキ零でないことに矛盾。 よって xy ≠ 0 である。 x または y が m に含まれない場合は、xy ≠ 0 は明らか。 したがって、A は整域である。 後は、>>567 と同じ。 証明終
569 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/21(水) 15:35:29 ]
補題 A をネーター局所環、m をその極大イデアルとする。 A/m = k とおく。m/m^2 は k 上のベクトル空間と考えられる。 dim(m/m^2) = n は有限であり、n は m の生成元の個数の最小である。
証明 m は有限生成であるから dim(m/m^2) は有限である。 dim(m/m^2) = n とする。 x_1, ..., x_n を m の元で x_1 (mod m), ... , x_n (mod m) が m/m^2 の k 上の基底となるようなものとする。 x_1, ..., x_n で生成されるイデアルを I とする。 m = I + m^2 である。N = m/I とおけば、mN = N である。 よって中山の補題(前スレの242)より、N = 0 である。 よって、m = I となる。つまり、m は n 個の元で生成される。
m が r 個の元で生成されれば、dim(m/m^2) ≦ r となる。 よって、n は m の生成元の個数の最小である。 証明終
570 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/22(木) 15:08:57 ]
命題 A をネーター局所環、m をその極大イデアルとする。 dim(A) ≦ dim(m/m^2) となる。
定義 A をネーター局所環、m をその極大イデアルとする。 dim(A) = dim(m/m^2) となるとき、A を正則局所環と呼ぶ。
572 名前:9208 ◆lJJjsLsZzw [2005/12/22(木) 15:31:35 ]
命題 Krull次元1の正則局所環は離散付値環である。
証明 A をKrull次元1の正則局所環、m をその極大イデアルとする。 定義より dim(m/m^2) = 1 である。 よって、>>569 より m は一個の元 t で生成される。 t がベキ零とすると m もベキ零となる。m^r = 0 とする。 p を A の任意の素イデアルとすると m^r ⊂ p だから m = p となる。よって dim(A) = 0 となり dim(A) = 1 に反する。 よって t はベキ零でない。 >>568 よりA は離散付値環である。 証明終