命題 E を実数体 R 上の線形空間とする。 P を E の頂点付き凸錘(>>71, >>72)とする。 E の元 x, y の関係 x ≦ y を y - x ∈ P で定義する。 ≦ は E の前順序であり E はこの前順序で前順序線形空間(>>75)となる。 このとき、P = { x ∈ E | x ≧ 0 } である。
補題 E を実数体 R 上の前順序線形空間(>>75)とする。 V を E の線形部分空間で E の任意の元 x に対して x ≦ y となる y ∈ V が存在するとする。 f を V 上の正の線形形式(>>88) とする。 a を E の元で V に含まれないものとする。 f は V + Ra 上の正の線形形式 h に拡張される。
証明 a は V に含まれないから V + Ra の元は x + λa, x ∈ V, λ ∈ R の 形に一意に書ける。 V + Ra 上の線形形式 h が f の拡張であれば、 x ∈ V, λ ∈ R のとき h(x + λa) = f(x) + λh(a) となる。 よって、 x + λa ≧ 0 のとき f(x) + λh(a) ≧ 0 となるように h(a) を 選べればよい。
A = { x ∈ V | x ≦ a } とおく。 -a ≦ x となる x ∈ V があるから -x ≦ a となって A は空でない。
B = { x ∈ V | a ≦ x } とおく。 仮定から B は空でない。
x ∈ A, y ∈ B のとき x ≦ a ≦ y である。 f は正の線形形式だから、f(x) ≦ f(y) となる。 よって α = sup{ f(x) | x ∈ A } と β = inf{ f(x) | x ∈ B } は 有限であり、α ≦ β である。 区間 [α, β] の任意の元 γ に対して h(a) = γ とおけばよい。 証明終
命題 E を実数体 R 上の前順序線形空間(>>75)とする。 V を E の線形部分空間で E の任意の元 x に対して x ≦ y となる y ∈ V が存在するとする。 f を V 上の正の線形形式(>>88) とする。 f は E 上の正の線形形式 h に拡張される。
証明 V を含む E の線形部分空間 W と W 上で定義された正の線形形式 g で f の拡張になっているものの対 (W, g) 全体の集合を Φ とおく。 Φ の順序 (W, g) ≦ (W', g') を W ⊂ W' で g' が g の拡張である として定義する。 明らかに Φ は帰納的な集合であるから Zorn の補題により Φ には 極大元 (Z, h) が存在する。 E ≠ Z と仮定する。 a を E の元で V に含まれないものとする。 >>89 より h は V + Ra 上の正の線形形式 h' に拡張される。 これは (Z, h) が極大であることに反する。 よって E = Z である。 証明終
定理(Hahn-Banachの定理の解析版) E を実数体 R 上の線形空間とする。 p を E 上の劣線形関数(>>94)とする。 V を E の線形部分空間とし、 f を V 上の線形形式で 任意の y ∈ V に対して f(y) ≦ p(y) とする。 このとき E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して h(x) ≦ p(x) となるものがある。
証明 P = { (x, a) ∈ E × R | p(x) ≦ a } とおく。 >>86 より P は R 上の線形空間 E × R の 凸部分集合である。 P は明らかに頂点付き錘(>>71)である。 >>79 より E × R の元 (x, a), (y, b) の関係 (x, a) ≦ (y, b) を (y, b) - (x, a) ∈ P で定義することにより E × R は 前順序線形空間となる。
(y, a) ∈ V × R のとき g(y, a) = a - f(y) とおく。 (y, a) ∈ (V × R) ∩ P のとき f(y) ≦ p(y) ≦ a であるから g(y, a) = a - f(y) ≧ 0 よって g は V × R 上の正の線形形式(>>88)である。
任意の (x, a) ∈ E × R に対して b ≧ p(-x) + a となる b ∈ R を とる。(x, a) ≦ (0, b) であり (0, b) ∈ V × R である。 よって、>>91 より g は E 上の正の線形形式 u に拡張される。 a ∈ R のとき (0, a) ∈ V × R だから u(0. a) = g(0, a) = a よって任意の (x, a) ∈ E × R に対して u(x. a) = u((x, 0) + (0, a)) = u(x, 0) + u(0. a) = u(x, 0) + a h(x) = -u(x, 0) とおけば h は E 上の線形形式であり、 u(x. a) = a - h(x) である。よって h は f の拡張である。 u は正の線形形式だから p(x) ≦ a のとき h(x) ≦ a である。 よって h(x) ≦ p(x) である。 証明終
補題 E を実数体 R 上の線形空間とする。 p を E 上の劣線形関数(>>94)とする。 V を E の線形部分空間とし、 f を V 上の線形形式で 任意の y ∈ V に対して f(y) ≦ p(y) とする。 a ∈ E - V に対して L = V + Ra とおく。 このとき L 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ L に対して h(x) ≦ p(x) となるものがある。
この証明を述べる前に、その方針を述べる。
λ ≠ 0 のとき、任意の x ∈ V に対して f(x) + λh(a) ≦ p(x + λa) となるように h(a) を定めればよい。
λ > 0 のとき両辺に 1/λ を掛けて f((1/λ)x) + h(a) ≦ p((1/λ)x + a) y = (1/λ)x とおくと、f(y) + h(a) ≦ p(y + a) 即ち h(a) ≦ p(y + a) - f(x)
λ < 0 のとき両辺に -(1/λ) を掛けて f(-(1/λ)x) - h(a) ≦ p(-(1/λ)x - a) z = -(1/λ)x とおくと、f(z) - h(a) ≦ p(z - a) 即ち f(z) - p(z - a) ≦ h(a)
よって f(z) - p(z - a) ≦ h(a) ≦ p(y + a) - f(y) よって f(z) - p(z - a) ≦ p(y + a) - f(y) 即ち f(y) + f(z) ≦ p(y + a) + p(z - a) を示せばよい。 これは f(y + z) ≦ p(y + z) = p((y + a) + (z - a)) ≦ p(y + a) + p(z - a) より出る。
補題 E を実数体 R 上の線形空間とする。 p を E 上の劣線形関数(>>94)とする。 V を E の線形部分空間とし、 f を V 上の線形形式で 任意の y ∈ V に対して f(y) ≦ p(y) とする。 a ∈ E - V に対して L = V + Ra とおく。 このとき L 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ L に対して h(x) ≦ p(x) となるものがある。
証明 任意の y ∈ V と任意の z ∈ V に対して f(y + z) ≦ p(y + z) = p((y + a) + (z - a)) ≦ p(y + a) + p(z - a) よって f(y) + f(z) ≦ p(y + a) + p(z - a) よって f(z) - p(z - a) ≦ p(y + a) - f(y)
よって、 α = sup { f(z) - p(z - a) | z ∈ V } β = inf { p(y + a) - f(y) | y ∈ V } とおくと α と β は有限であり、α ≦ β である。 α ≦ h(a) ≦ β となるように h(a) を選ぶ。 任意の x ∈ V と λ ∈ R に対して h(x) = f(x) + λh(a) とおく。 >>97 で示したように f(x) + λh(a) ≦ p(x + λa) となる。 証明終
V を含む E の線形部分空間 W と W 上で定義された線形形式 g で f の拡張であり、任意の y ∈ W に対して g(y) ≦ p(y) と なっているものの対 (W, g) 全体の集合を Φ とおく。 Φ の順序 (W, g) ≦ (W', g') を W ⊂ W' で g' が g の拡張である として定義する。 明らかに Φ は帰納的な集合であるから Zorn の補題により Φ には 極大元 (Z, h) が存在する。 E ≠ Z と仮定する。 a を E の元で V に含まれないものとする。 >>98 より h は V + Ra 上の線形形式 h' で 任意の y ∈ V + Ra に対して h'(y) ≦ p(y) となるもの に拡張される。 これは (Z, h) が極大であることに反する。 よって E = Z である。 証明終
E を実数体 R 上の線形空間とする。 p を E 上の半ノルム(過去スレ008の458)とする。 V を E の線形部分空間とし、 f を V 上の線形形式で 任意の y ∈ V に対して |f(y)| ≦ p(y) とする。 このとき E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して |h(x)| ≦ p(x) となるものがある。
証明 半ノルムは劣線形関数(>>94)である。 任意の y ∈ V に対して f(y) ≦ |f(y)| ≦ p(y) であるから Hahn-Banachの定理の解析版(>>95) より E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して h(x) ≦ p(x) となるものがある。 h(-x) ≦ p(-x) = p(x) であるから h(x) ≧ -p(x) である。 よって、|h(x)| ≦ p(x) である。 証明終
定理(Hahn-Banach) K を実数体または複素数体とする。 E を K 上の線形空間とする。 p を E 上の半ノルム(過去スレ008の458)とする。 V を E の線形部分空間とし、 f を V 上の線形形式で 任意の y ∈ V に対して |f(y)| ≦ p(y) とする。 このとき E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して |h(x)| ≦ p(x) となるものがある。
証明 K = R のときは >>101 で証明されているから K = C としてよい。 Re(f) を f の実部とする。 任意の y ∈ V に対して |Re(f)(y)| ≦ |f(y)| ≦ p(y) である。 よって、>>101 より E 上の線形形式 g で f の拡張であり |g(x)| ≦ p(x) となるものがある。 >>102 より h(x) = g(x) - ig(ix) は Hom(E, C) の元であり、 f の拡張である。
任意の x ∈ E に対して |h(x)| ≦ p(x) を示せばよい。 h(x) = 0 ならこの不等式は明らかであるから h(x) ≠ 0 とする。
命題(>>104 の系1) K を実数体または複素数体とする。 E を K 上の線形空間とする。 p を E 上の半ノルム(過去スレ008の458)とする。 x_0 を E の点とする。 このとき E 上の線形形式 f で f(x_0) = p(x_0) で、 任意の x ∈ E に対して |f(x)| ≦ p(x) となるものがある。
証明 x_0 で生成される E の線形部分空間を V とする。 V 上の線形形式 g を g(x_0) = p(x_0) で定義する。 即ち、任意の λ ∈ K に対して g(λx_0) = λp(x_0) である。 |g(λx_0)| = |λp(x_0)| = |λ|p(x_0) = p(λx_0) である。 よって >>104 より E 上の線形形式 f で g の拡張であり 任意の x ∈ E に対して |f(x)| ≦ p(x) となるものがある。 f(x_0) = g(x_0) = p(x_0) である。 証明終
命題(>>104 の系2) K を実数体または複素数体とする。 E を K 上の局所凸線形空間とする。 M を E の線形部分空間で f を M 上の連続な線形形式とする。 f は E 上の連続な線形形式 h に拡張される。
証明 >>110 より E 上の連続な半ノルム p で 任意の x ∈ M に対して |f(x)| ≦ p(x) となるものがある。 >>104 より E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して |h(x)| ≦ p(x) となるものがある。 >>110 より h は連続である。 証明終
命題(>>104 の系3) K を実数体または複素数体とする。 E を K 上のノルム空間とする。 M を E の線形部分空間で f を M 上の連続な線形形式とする。 E 上の連続な線形形式 h で f の拡張であり |h| = |f| となるものが 存在する。 ここで、 |h| と |f| はそれぞれ h と f のノルム(過去スレ006の690) である。
証明 p を E のノルムとする。f は連続だから |f| は有限である。 任意の x ∈ M に対して |f(x)| ≦ |f|p(x) となる。 |f|p(x) は E の半ノルムだから >>104 より,E 上の線形形式 h で f の拡張であり 任意の x ∈ E に対して |h(x)| ≦ |f|p(x) となるものが存在する。 よって、|h| ≦ |f| である。 よって |h| は有限であり、h は連続である。
x ∈ E に対して |h(x)| ≦ |h|p(x) となる。 h は f の拡張であるから x ∈ M に対して |f(x)| ≦ |h|p(x) となる。 よって、|f| ≦ |h| である。 証明終
定義 K を可換とは限らない位相体(過去スレ006の190)とする。 E を K 上の左位相線形空間(過去スレ006の583)とし E は部分線形空間 M_1. ... , M_n の直和であるとする。 M = ΠM_i を位相線形空間の直積とする。 M から E への写像 f : M → E を f(x_1, ... , x_n) = x_1 + ... , + x_n で定義する。 f は連続な全単射であるが、これが位相同型であるとき E は M_i の位相直和であるという。
命題 K を可換とは限らない位相体(過去スレ006の190)とする。 E を K 上の左位相線形空間(過去スレ006の583)とし E は部分線形空間 M_1. ... , M_n の直和であるとする。 E から各 M_i への射影を p_i とする。 E が M_i の位相直和(>>115)であるためには各 p_i が連続であることが 必要十分である。
命題 K を可換とは限らない位相体(過去スレ006の190)とする。 E を K 上の左位相線形空間(過去スレ006の583)とし M を E の部分線形空間とする。 f : E → M を連続な線形写像で任意の x ∈ M に対して f(x) = x とする。 このとき M は位相補空間(>>117)を持つ。
証明 N = f^(-1)(0) とおく。 E は M と N の直和である。 1 - f はこの直和分解に関して E から N への射影であり連続である。 >>116 より E は M と N の位相直和(>>115)である。 証明終
命題(>>104 の系4) K を実数体または複素数体とする。 E を K 上の分離的な局所凸線形空間とする。 M を E の有限次元の線形部分空間とする。 M は位相補空間を持つ。
証明 e_1, . . . , e_n を M の任意の基底とする。 過去スレ006の651より 写像 f : Σ(ξ_i)(e_i) → (ξ_i) は M から K^n への位相同型である。 f_i : M → K を f(Σ(ξ_i)(e_i)) = ξ_i により定義する。 >>112より f_i は E 上の連続な線形形式 g_i に拡張される。 g(x) = (g_1(x), ... , g_n(x)) により g : E → K^n を定義する。 h = f^(-1)g とおく。h : E → M は連続な線形写像であり、 x ∈ M のとき h(x) = x である。 >>118 より M は位相補空間を持つ。 証明終
K を可換とは限らない体とする。 V を K 上の左線形空間とし、 E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
V は E に推移的に作用するから、E の任意の点の安定化部分群は 0 である。
E の点 p と V の元 x に対して x の p に対する作用を p + x または x + p と書く。
V は E に推移的に作用するから、 E の2元 p, q に対して q = p + x となる x ∈ V が有る。 y ∈ V に対して p + x = p + y なら p + (x - y) = p である。 p の安定化部分群は 0 だから x - y = 0 である。 即ち q = p + x となる x ∈ V は一意に定まる。 このとき x = q - p と書く。
命題 K を可換とは限らない体とする。 V を K 上の左線形空間とし、E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
E の部分集合 F が E のアフィン部分空間(>>124)であるためには、 次の条件が成り立つことが必要十分である。
F の任意の有限点列 x_1, ... , x_n と K の元の有限列 λ_1, ... , λ_n で Σλ_i = 1 となるものに対して、 x_i の質量 λ_i の重心(>>127)が常に F に属す。
証明 必要性: F = p + W とする。ここで、 p ∈ E で W は V の線形部分空間である。 x_1, ... , x_n を F の元の有限列、 λ_1, ... , λ_n を K の元の有限列で Σλ_i = 1 とする。 x_i - p ∈ W であるから、 x_i の質量 λ_i の重心 p + Σλ_i(x_i - p) は F に属す。
十分性: F は空でないと仮定してよい。 a ∈ F をとる。 W = { x - a | x ∈ F } は 0 = a - a を含むから空ではない。
x, y を W の元とし、λ ∈ K, μ ∈ K とする。 a + λ(x - a) + μ(y - a) = (1 - λ - μ)(a - a) + λ(x - a) + μ(y - a) これは a, x, y の質量がそれぞれ 1 - λ - μ, λ, μ の重心である。 よって、仮定から a + λ(x - a) + μ(y - a) ∈ F である。 よって、 λ(x - a) + μ(y - a) ∈ W である。 即ち W は V の線形部分空間である。 証明終
命題 K を可換とは限らない体とする。 V を K 上の左線形空間とし、 E を V に付随するアフィン空間(>>121)とする。
(x_i), i ∈ I を E の元の族とする。 (x_i) の質量 (λ_i) の重心(>>127)全体は E のアフィン部分空間である。
ここで、(λ_i), i ∈ I は K の元の族で有限個の i ∈ I を除いて λ_i = 0 で Σλ_i = 1 である。
証明 I が空集合のときは明らかだから I は空集合でないとする。 i ∈ I を固定する。 (λ_i), i ∈ I を K の元の族で有限個の i ∈ I を除いて λ_i = 0 で Σλ_i = 1 とする。 (x_i) の質量 (λ_i) の重心は、x_i + Σλ_j(x_j - x_i), i ≠ j と 書ける。 これから命題の主張は明らかである。 証明終