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少女・女性が化物に捕食されちゃうスレ 復活の5



1 名前:名無しさん@ピンキー [2010/01/14(木) 18:12:53 ID:kO4ltSek]
オレは女の子(女性)が化け物に捕まって、いろいろ弄繰り回された後に食べられちゃうよー
てなシーンにすごく萌えるわけですが・・・

皆さん、こんなの好きな人いませんかね??

話を書いてみたり、そういうサイトを教えあいませんか?


※SS投下の際の諸注意
 ・元の作品:オリジナル/パロディ(キャラ・世界観のみの場合含む)
 ・捕食方法:噛みつき・丸呑み・体液吸出・咀嚼・溶解吸収etc...
 ・他注釈 :特に凄惨な表現を含むなど、注意が必要と思われる場合
以上を冒頭に明記することを推奨します

男性が捕食されるシチュエーションはNGではありませんが、
このスレでは
『女の子(女性)が化け物によって(嬲られ犯された末に)捕食される』
がメインです
 ・ラミア、リリス、サキュバスなどに捕食要素を追加して男女両方を襲う
 ・男女混成のチームを丸ごと、あるいは順に捕食していく
などの工夫で男性が捕食される状況を含むものはOKです
 ・ヒトが人魚、妖精などを(嬲る、犯す)食うのは変化系としてOKです
 ・単にヒトがヒトを食う(ただのカニバリズム)ものはスレ違いです


初代  ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125051013/
その2 ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147338907/
その3 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182796046/
その4 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217963873/

関連スレ
◆女性に捕食されるスレ◆
yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213114446/


その3スレ>>804氏が作ったWiki (補完等、協力お願いします!)
www11.atwiki.jp/hosyoku/


230 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/12(月) 14:39:10 ID:p6hTV5Jb]
GJGJ
いやあ素晴らしい……が、既に捕食と何の関係も無い気がするのは俺だけ?

231 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/14(水) 12:29:49 ID:BLK/s9D3]
激しく同意。
ただ痛め付けてるだけになってるな。



232 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/14(水) 20:03:31 ID:rK3V8Smh]
まだ続きだからさー

233 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/15(木) 09:39:28 ID:ajFzTb1a]
候ばっかだな、最初っから喰われたらそれで終了やんけ

234 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/15(木) 12:03:47 ID:p5Vrsk0Y]
>>233>>230を100回読み直した方がいい。

235 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/15(木) 20:06:22 ID:vjZW3KIb]
今盛り上がってきてるところじゃないか

236 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/15(木) 23:07:02 ID:PYxI02Yx]
描写が少ないだけで、ちゃんと美味しくいただいてるようだけどな
拷問描写も好きな俺にとっては神作品なんだ

237 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/19(月) 21:40:20 ID:ahOWrwYi]
作者ェ…。
キュアサンシャインもいいが、こちらも頼むぜ・・・。

238 名前:名無しさん@ピンキー [2010/07/24(土) 08:54:16 ID:H0zczxoH]
三次の女が食われかけてる画像って需要ある?
スレ違いになっちゃうかな?




239 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/24(土) 13:32:04 ID:m0MWPFFD]
捕食ならデビルマンにいっぱいあるがな

240 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/24(土) 22:22:57 ID:Htkm/pHs]
>三次の女が食われかけてる画像って需要ある?
>スレ違いになっちゃうかな?

個人的には興味あるけどスレ違いになるのでこちらにどうぞ
【0,,0】 グロ総合スレ Part115 【0,,0】
anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1278300009/l50



241 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/25(日) 21:06:03 ID:4Ez3uVoC]
>三次の女が食われかけてる画像って需要ある?
白熊の檻におちたやつかサメ女子大生のどっちかかな?

242 名前:名無しさん@ピンキー [2010/07/25(日) 21:58:57 ID:H798JrNG]
>>241
いや、三次の特撮丸呑みAVのキャプだよ
ここじゃ>>240に勝手にグロ指定されてむかついたから他のスレに張った
ちなみにグロみたいな流血とかないし、このスレのベクトルに合うと思ってたんだけどね

243 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/26(月) 00:44:30 ID:30XjOaNO]
いや
普通そう思うわ

244 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/28(水) 15:39:08 ID:qnhKQqlB]
ここって三次グロはスレチだったの?
別によくね?

245 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/07/29(木) 08:23:36 ID:hLAwCVXn]
板TOPの【この板の趣旨】を見てね
二次三次問わず画像の貼り付けは基本NG
実在人物をネタにするのも駄目
特撮含むドラマや映画のキャラクター使ってお話を作るのはOK

246 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/02(月) 23:08:37 ID:X7ZjpEdi]
>>228の続きを投下します。

247 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/02(月) 23:10:20 ID:X7ZjpEdi]
「どうして、彼女たちは発狂せず、いえ、どうして、あんな状態で生存が可能なの?」
 雪菜が少し汗をかきながら、睨むように藤村を見る。
 彼女自身、これまでの戦場で悲惨な死体は何回も見ている。
 しかし、あそこまで、全身の骨を砕かれて内臓まで嬲られて、正気を維持したまま生存し続けるという
のは、化物云々の世界に身を置いた彼女からしても、説明不可能の異常事態だった。
「………」
 藤村は殺気で黒く濁った眼を細めて、唇をゆっくりと吊り上げた。
「どうしましょうかね……」
 やれやれという風に両手を左右に広げ、首を横に振る。しかし、雪菜は唇の端を一瞬歪めただけ
で、緊張を維持したまま、同じ内容の質問を繰り返した。
 藤村は数秒間思案して、再びにっこりと微笑んで両手を頬に添える。
「雪菜さん。貴女はガメラを見て、『あんなデカい亀はいない』なんて感想を言いますか?」
「は?」
 遊んでいる,おどけている、そんな口調だった。
「それと同じですよ。どうして生きている? どうして狂わない? そんな整合性を意識して、せっかくの宴
を楽しめますか? せっかく、酒池肉林の『酒池』も終わったというのに」
 雪菜の釣り針のように歪んだ目に、じんわりと危険な色が増していく。
 怪獣映画を見て、怪獣が実在すると思う人間は、子供を除けば、この国では少数だろう。
 その少数さえも、統計上は異常値として排除されるものでしかない。
 ただ、その母集団は、動物図鑑に掲載された生物にのみ、接している人々なのだ。
 社会の裏側にて、跋扈する異形から人々を守る巫女では、その感覚も異なる。

248 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/02(月) 23:11:24 ID:X7ZjpEdi]
「ふんっ!」
 雪菜は吐き捨てるように嗤った。
「私だってねえ、化物退治を生業にしてるんだ。怪獣がいないなんてホザくつもりはねぇよ。ガメラっぽい
奴はまだ無ぇけど、ギャオスっぽい奴やイリスっぽい奴とはバトったことあるんだよ」
「レギオンっぽい奴は?」
「半月に1回は日本のどこかに現れる奴なんざ、わざわざ言及する意味も無え」
「まあ、それはそれは」
 藤村は手を叩いて怪獣の話に喜びを現した。
 しかし、雪菜は話を逸らされることも、誤魔化されることもなく、行動を移す。
 彼女が白装束の懐から取り出した木筒は、三段階の乾いた音を立てて、鈍色に光る仕込み刃を生や
し、一瞬でレイピアに似た退魔の霊剣に早変わりする。
 すらりと伸びた刃は暗い森林を映して光り、
 一振りで、顔を歪ませる雪菜を映す。二振りで、雲が増してきた大空を映す。
 最後に、ゴーゴンのような頭を揺らす藤村を映してぴたりと静止した。

「アンタの遊びの、隠蔽工作をするのは私なんだよ。妙な隠し事はしないでくれる?」

「お止めなさい」

 刃先を喉元に突き付けられても顔色を変えず、藤村は命令を発した。
 その命令の対象は、彼女に刃を向けている雪菜ではない。彼女は藤村の指揮系統にはいない。それ
は、主に刃を向ける雪菜を殺害しようとした、藤村自身の部下に向けたものだった。



249 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/02(月) 23:12:39 ID:X7ZjpEdi]
「あらら、思ったより沢山、兵隊を連れてるのね」

 雪菜も同様に顔色一つ変えず、藤村の眼を見て動かない。
 今や、その場にいるのは二人だけではなかった。
 木々の隙間から、大地の影から、大空から、まるで背景から溶け出してきたかのように、数十人の異形
が一斉に飛び出して陣を組み、全員が雪菜に殺気を集中させていた。
 首から下がゴリラの肉体に変化した大男、1メートル近い鉤爪を生やした半分トカゲの女性、両肩から
半透明の触手を伸ばす小太りの男、果実のように垂れた3つの頭部を持つ少年……。
 動物と人間を冒涜的に混ぜた畸形の群れは、獰猛な殺気を放ち、包囲を重ねていく。
 上空でも、教団のローブに身を包んだ、小さな少年少女たちが、獲物を狙いながら旋回していた。彼ら
にはバッタやチョウチョウを思わせる巨大な翅が生えており、やはり人間とは言い難い。
 勿論、人間と同じ外見をした者もいた。
 拳銃を装備したスーツ姿の男たちもいるし、ピンクの子供服を来た非武装の幼女もいる。
 しかし、まるで人間を模して造られたマネキンを見ているような、不気味な違和感は拭えない。特に幼
女の方は可愛らしい顔であるが、妙に無機的で、そもそも生物にすら見えなかった。
「藤村先生にお怪我はありますか?」「藤村先生にお怪我はありません」
 牛乳瓶の底のような度の強い眼鏡をかけた、痩身の男女が藤村の左右に控える。どちらも背は高く、
豪奢な装飾が施された白地のローブを纏い、それぞれが大きなアタッシュケースを持っていた。
 そのケースから隠しようも無く漏れる魔物の瘴気は、まるで黒い煙のよう。
 明らかに人間以外の者に成り果てた、年齢を無視した混成部隊。
 しかし、雪菜は特に驚いていない。
 教団の最高幹部である藤村が、こんな場所に一人で来るはずが無いのである。数は予想よりも多かっ
たが、化物の手下を多数準備しているのも容易に想像はついていた。

250 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/02(月) 23:13:40 ID:X7ZjpEdi]
「武装を解除して、下がりさない。私は今、彼女と歓談をしているのです」
 今や少数派となった、人間の外見をした者。
 藤村は人間の姿形を維持したまま、王よろしく異形の群れに命令を下した。
 雪菜に向けられた鉤爪や触手はそのまま下ろされ、半獣人たちはそのまま数歩退いて跪く。上空を
旋回する有翅の子供たちも次々に地面に降りていった。
「失礼いたしました。悪ふざけが過ぎたようです」
 ぺこりと頭を下げる藤村。
「まったく、『叡智の冠』が、ここまで動物園だとは知らなかったわ」
「ごくごく一部の者だけです」
 雪菜も霊剣を降ろして畳み、再び懐にしまった。

 宗教法人 『叡智の冠』。
 それこそが、藤村の属する組織。

「貴女が知りたいことについて、お話しましょう。ちょうど良い。実は、『酒池』から『肉林』へは少し準備
時間が要りまして、彼女たちの年齢ならば20分〜30分程度。その時間潰しということで」
「最初からそう言っとけば良いのよー。ん?」
 そういう雪菜の視界の端に、ぞろぞろと列をなして歩いてくる少女たちの集団が現れる。全員が何も
着ておらず、逃走防止のためか、手足は鎖で繋がれていた。

251 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/02(月) 23:15:24 ID:X7ZjpEdi]
 またかよ、と雪菜は苦笑いする。
 しかし、蟲に嬲られているフィルール・スター・ナイツの少女たちとは異なり、最初から明らかに怯えて
いる。反応を見ても、どこにでもいる、普通の少女にしか見えなかった。
 そして、列は藤村の護衛たちの前でぴたりと止まる。
「ちょっと、あの子供たちは何? 護衛には見えないけれど」
「ああ、あれは」

「私の護衛たちの、今日のお弁当ですよ。彼らは生肉が好きですので」

 藤村は、まるで生徒たちに給食が配られるのを、微笑ましげに見ている教師のような顔で、連れられ
てきた少女たちが単なる食糧であると言い放った。
 彼女は既に、人間の側に立っていなかった。


(続)




252 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/02(月) 23:16:15 ID:X7ZjpEdi]
続きはそのうち。
ではまた。

253 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/03(火) 20:58:27 ID:6zAh2dHW]
お弁当を生きたままつれてくなんて興奮ものだな
続きがすごく楽しみだ

254 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/04(水) 15:44:34 ID:mwC5qhpi]
新しいの来てた!
新展開わくわくしてます!

255 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/09(月) 01:36:38 ID:Li+vnPdT]
>>251の続きを投下します。
残虐な表現があるので注意してください。

256 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/09(月) 01:38:22 ID:Li+vnPdT]
 どうしてこのようなことになったのだろう、と少女は思う。
 手と足に付けられた枷は異様に重く感じられて、じわじわと疲労が溜まってくる。
 封じられた両手を前にだらりと垂らし、背中を丸めてラジオ体操をしているかのような体勢で、足を地面
に擦りつけるように歩かされた。少し前から足跡は赤く濡れ、足の裏からは激しい痛みを覚える。
 フィルール・スター・ナイツに選ばれて、異世界に旅立てると信じていた少女。
 しかし、与えられた役割は、あまりにも非情で、惨めなもの。
「ひいっ! いやあああああっ!」
 髪を乱暴に掴まれ、ぶちぶちと引き抜かれながら、顔を起こされる。
 視界の先で、ゴリラと人間が融合した異形の巨躯が、だらりと涎を垂らして彼女を見つめていた。裸体
に獣の臭気が纏わりついて鳥肌が立ち、両足がガクガクと震えて立つこともままならない。
 ゴリラの半獣人は、少女の御椀型の乳房、肉の付いた腹部、毛の茂る陰部まで、唇を唾液で濡らしな
がら見回すと、枷を嵌められた両腕を万歳させるように持ち上げる。
 そして、大きな口を開いて、大きな顔を彼女の胸元に埋めた。
「ぐっ、き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」
 灼熱の感触が左乳房に潜り込み、陰部に向けて赤い川が何筋も伝い落ちた。黄ばんだ歯が柔らかな
胸肉をグチグチと音を立てて咀嚼し、紙やすりのようにざらついた舌が乳首に唾液を塗していく。
 ゴリラの半獣人が、女性の乳房が大好物だということは、数分前に聞かされたばかり。
(いやだ! こんなの、いやだあ!)
 少女は異世界で悪魔と戦うため、厳しい修行に耐えてきたのだ。スーパーで叩き売られるバナナである
まいし、ゴリラの化物の餌にされるため、今まで生きてきたわけではない。

257 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/09(月) 01:39:54 ID:Li+vnPdT]
 ごつん、ごつん、とゴリラ人間の頭に、鋼鉄の枷が振り下ろされる。
 少女はあまりの激痛に視界も霞む中で、枷で半獣人の頭を殴って必死に抵抗した。自分の胸に齧りつ
いている異形を殺すつもりで、渾身の力を込めて鉄の枷を振り下ろす。
 しかし、ゴリラの半獣人は少女の抵抗を無視して、牙で肉を貫いて口内に固定した。そして、首を勢い
よく横に振って、左乳房を胸から引き剥がし、そのまま皮膚で繋がった右乳房まで剥いでしまう。
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 両胸から血の大華を咲かせて激痛にのけぞる少女の前で、ゴリラの怪物は彼女の右乳房をだらりと口
から垂らしながら、ぐっちゃぐっちゃと左乳房を咀嚼していく。脂肪の塊の歯応えを楽しみ、溢れ出してくる
脂肪と血液の濃厚な味を愉しみ、クセのある乳腺を珍味とばかりに舌で愛でる。
 少女は血の帯を広げながら、ショックで地面をのたうち回った。


「我々、『叡智の冠』は、動物園ではなく、人類救済のための高潔な教育機関です。子供の可能性を引き
出し、創造するのは新価値と概念。導き出した最適解は新たな世界の鍵となり、現世の空集合たる聖界
フィルールに達し、やがては世界を新たに塗り変えるのです」
「へえ? 異世界に送るって理由で、子供を殺しまくりの集団が、教育機関?」
「肉体の死は集団の一つ。異世界という解釈も、貴女のニュアンスとは異なります。聖界フィルールは
位相の異なる隣人の庭なのです。この世界と異なるこの世界。より高次になるだけのこと。子供たちが
道を切り開いた瞬間、世界は新たな叡智に塗り潰されます。それは即ち、進化です」

258 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/09(月) 01:41:38 ID:Li+vnPdT]
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 乳房と呼ぶような膨らみも無かった幼い少女が、剥がれた胸板から肋骨を露出しながら崩れ落ちる。
 そこには既に6名の少女たちが、齧りとられた乳房から鮮血を流しながら重なり合っていた。お互いの
胸から流れた血と泥で塗れた彼女たちは、失血のショックで震えながら身を寄せ合っている。
 枷に嵌められながら、お互いの欠けた胸を押さえて止血も施し合っていた。効果はおそらく、行わない
よりもマシという程度。しかし、彼女たちは何とか生き抜こうと必死に傷口を圧迫する。
「痛い! 痛いよおお!」「早く傷口を!」「暴れないで!」「お願いだから、動いちゃダメ!」
 半狂乱状態の幼い少女を、6人の胸が欠けた少女たちが地面を這って取り囲み、お互いの身体を使って
必死に押さえつける。しばらくして、暴れていた幼女も、落ち着きを取り戻した。
 ゴリラの半獣人は、後の3人分の剥いだ乳房を捏ねて団子状にし、頬をカエルの様に膨らませて咀嚼
している最中だ。唇から流れ落ちているのは、少女たちの母性の象徴と涎の混合物。ただし、ゴリラの
異形は乳房にしか興味を示さず、少女たちの全身を食べようとする気配は皆無だった。
 最初に齧られた少女は、最後の幼い少女の手を握り、顔を見て、静かに語りかける。
「私たち、助かるかもしれない……あいつ、胸しか興味ないみたいだし……」
「ほ、本当……? 私たち、助かるの……?」
 激痛に引き攣っていた幼い少女の顔に、ほんのわずかに希望の光が灯った。
 次の瞬間、彼女の丸い眼窩と愛らしい顔に、ストロー状の針が何十本も打ち込まれた。ぐちゃりという
音が聞こえるようだが、実際は無音。本人は何が起きた分からず、口が金魚のように動く。



259 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/08/09(月) 01:43:57 ID:Li+vnPdT]
「う……あ……」
 幼女の眼球の破片や血液を顔中に浴びて、最初の少女は放心状態。
 そして、潰れたトマトと化した幼女の顔半分から、じゅるじゅると血液や肉が吸い上げられる。
 ストロー先端がゴリゴリと頭蓋骨を擦る音が聞こえてくる。彼女の手足の激しい動きからしても、相当
の苦痛は容易に想像できるが、縫い付けられた頭部が逃走を許さなかった。
 その先では、チョウチョウの翅を生やした子供たちが、口から数メートルのストローを伸ばし、まるで泥
状に溶解したパフェを啜るような恍惚の表情を浮かべて、彼女の体液を飲んでいる。
「いっ、いやあああああああっ!」
 ぎょろりと少女の顔を映したのは、人間の眼球では無く、昆虫の複眼。
 顔だけ見れば天使のように愛くるしい子供たちだが、中身はチョウチョウと変わらない。花の代わりに
人間の体液を貪る化物でしかなかった。恐怖と嫌悪感が、彼女の中で爆発した。
「助けて! 誰かぁ! 助けてええええ!」
 手足をばたつかせる彼女の胴体に、バッタの翅を生やした子供たちが群がる。愛らしい顔の下半分
は変形し、巨大なハサミのような対の牙が、頬まで広がる口から飛び出していた。


「人間と魔物を交配させて作った化物が、教育機関に必要なの?」
「私たちには敵が存在します。それに対抗するための戦力も必要でしょう。教義は教義として、組織防衛
のため、犠牲になる子供たちも不可欠。尤も、それさえもフィルールへの鍵にはなり得えますが」

260 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/09(月) 01:45:28 ID:Li+vnPdT]
続きはそのうち。
ではまた。

261 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/10(火) 09:55:02 ID:o6m6jjn9]
おお、投稿感覚が短い!
ほとんど無いような貧乳を食いちぎるシーンって案外見なかったので
新鮮だな…
作者さんすばらしいです!

262 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/08/24(火) 21:17:08 ID:9onsH68z]
hoshu

263 名前:名無しさん@ピンキー [2010/09/04(土) 09:21:34 ID:j8g/CN5h]
保守

264 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/12(日) 12:55:26 ID:XAxJ+v2X]
>>259の続きを投下します。

265 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 12:56:17 ID:XAxJ+v2X]
「地獄は、人間の想像力を試しているってー、私は思うのよ」

 床に広がった、黒い絨毯のようなもの。一歩踏み込むと、白い足袋が血を吸ってじわりと変色する。
 綺麗な紅色の着物を纏う、黒髪の少女はそれを気にせず、ゆっくりと歩を進めていった。
 右手には木槌、左手には……30センチメートルはある鉄針。
「……姫……様…………おゆ、るし……ください……」
「その限界を超えたときにー、人間の想像力は、未知の領域に達することができちゃうのよ」
 姫と呼ばれた黒髪の少女は、目の前にいる子供が恐怖に怯え、苦痛に顔を歪め、震える姿を見て、
目を細める。しかし、それが、子供の頭蓋に鉄針を打ち込む行為を止めることはない。
「だから、本当の地獄をねー、体験してねー、そのどこまでも広がる地獄の世界に解答を得られれば、
貴女は天上に近づくことができるのー。今までと異なるものが見えて、異なることが分かって、それは、
新しい世界を築くための礎になるのー。だから、苦しいと思うけれど、がんばってー」
「ひいい……いい……」
 柔和な笑みを浮かべて近づいてくる姫に、まだ幼い少女は、
「……おゆるし、ください……………………もう、死なせて……」
 全身の皮を剥がれて伸ばされ、黒い絨毯を敷いたようになった床。
 その中央で、剥き出しの肉や筋に細かい針をびっしりと刺され、ハリネズミのようにされた少女は、
それでも生きていて、赤黒い血で濡れた頭をゆっくりと上げる。
 両頬から口内に挿入された針が、舌を噛み切ることを妨げていた。
「苦しいでしょう? 辛いでしょう? でも、がんばって」
 姫は悲しげに微笑むと、手にした鉄針を彼女の顔に当て、木槌で打ち込み始める。
 音が響き、少しずつ、少女の顔の内部に鉄杭が侵入する。
「叡智の冠を、生み出すためだから」
 絶叫が迸った。

266 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 12:58:33 ID:XAxJ+v2X]
 ……………………………………
 …………………

「『叡智の冠』――其の起源は、数百年前。国土が死肉で覆われた、戦乱の世にあり。
 異形が人に化け、異形が人を喰らい、そして人が異形を操る暗黒時代。日本国の未来を左右する、全国の戦
国大名を二分しての、未曽有の内戦。荒廃した社会の、裏の裏」

 かん高い少女の声が、何も無い空間に穏やかに広がっていく。
 そこは、日光は決して当たらない、深い洞窟のような場所。
 しかし、外壁は岩ではなく、淡い光を含んだ、ピンク色の肉で構成されている。

「戦乱にて、無惨に死にゆく童に、救いの手を伸ばす、一人の姫君あり」

 立ち上がったのは、とある戦国大名の可憐な姫君。
 彼女は莫大な財を投じて、学舎を作り、童たちを匿い、そして育てた。
 苦難に耐えるための教育。生きるための教育。死なないための教育。
 それは文字の読み書きであり、算術であり、武芸であり、そして、飢え、殴打、凌辱、ありとあらゆる、拷問的
苦痛に耐える訓練も含まれていた。今の価値観で見れば、虐待か拷問かにしか思えない内容も、しかし、国内
が事実上の内戦状態にあった当時では、生きるために必要な教育として行われたのである。

267 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 12:59:36 ID:XAxJ+v2X]
 ……それは、宗教法人『叡智の冠』に代々伝わる物語。
 全ての信者が教え込まれる、偉大なる始祖の物語。
 子供には特に、徹底した教育が行われる。その行動が、この世界の全てにも勝る善行であるように。絶対に
疑問を抱かないように。自分たちの境遇を理解させるために。
 それは、一種の洗脳。
 しかし、『叡智の冠』の、その教育が批判対象となったことはない。
 宗教を絡めた教育など、どこの団体でも行っていることである。
 教育機関としての顔を持つ組織ならば、なおさらのこと。
 直接でなくとも、例えば、進学校とされる私立高校であっても、宗教系の学校では、その授業カリキュラムに、
偉大なる始祖の物語や、思想が組み込まれる。それが、ただ教師の話を聞くだけで済む科目か、それ以上の
ことを求められるかは、それぞれの団体の思想に委ねられることになるわけだが。
 進化論など、最たる例。
 人間がサルから進化したという考え方もあるが、一方で、猿から人間への進化には、起点となるインパクトが
必要であり、そこに科学の光が当たらない以上、神による介入した可能性を否定できはしない。
 進化論といっしょに、そのような思想も教えるのも、教育としては一部で認められていること。
 反発するのは、宗教と科学。
 教育は拒まず、否定せず、拒むのも、否定するもの、教育者のみ。

 ……………………………………
 …………………

268 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:01:07 ID:XAxJ+v2X]
 そして、教団の上位幹部のみに伝えられる、本当の思想。

「姫君は勿論、神などは信じてはいませんでした。
 罪無き幼き少女が飢えに苦しみ、野犬の餌にされ、異形の餌にされ、はたまた、餓鬼と化した人間の餌にされ
るような世界。それが、神に創られたものならば、それが神の試練なのだとしたら――神など要らない」

 全ての色を抜き去った、澄んだ長い白髪。
 一糸纏わぬ姿の幼い少女は、腹を抱えて再び大笑する。

「姫君は理解していました。
 人間の世界を創るのは、神に非ず。人間の他に無いのだと。
 しかし、あらゆる宗教法人が戦闘集団を有し、宗教同士が世界中で争い続けていた時代に、あまりに単純な
そのことを、本当に理解していた人間が、果たしてどれだけ存在したでしょう。
 神などは、人間の限界を示す概念に過ぎないのに。
 本当に、人々が神と呼ぶ存在がいるならば、それは人間の想像の外にのみ、いるのだから」

 少女は異様に頭部が膨らんでいて、首と手足が針金のように細く感じられた。まるで、宇宙人の目撃証言で
ある灰色の畸形生物のようで、人間の規格からは外れている印象を受ける。
 蒼い瞳は笑い過ぎて涙が浮かんでいるが、その眼球に浮かぶのは反射光のみ。まるで、鏡面のような少女
の瞳は、外部の光を受け容れずに、全て跳ね返しているかのようだった。



269 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:02:32 ID:XAxJ+v2X]
「『叡智の冠』において、『神』とは『人間』と同じ意味を持ちます。
 人間の世界を創るのは、あくまで人間。神が人間の運命を決める。
 しかし、その神は人間であり、本当の意味での神ではない。
 神が統べる異世界、聖界フィルールは、あくまで人間のイマジネーション。その領域に潜んでいる、想像力の
限界こそが悪魔であり、その領域で悪魔と戦う聖星騎士も、肉体の枷を捨てた人間に過ぎない。
 肉体もまた、人間の限界の一つ。想像力と同じく、人間の枷となる限界に過ぎない。
 そんなものは、要らないの。これは、限界とそれを超える可能性なのだから。
 その結果、人間が被るべき、叡智の冠が産み出されるのだから」

 腰を上下させ、足をぷらぷらとさせて少女は微笑む。
 彼女が腰掛けているのは、まるでゼンマイのように丸く渦を巻いた、黄色い触手だった。十メートル以上の高
さがある巨大な触手の、周囲には赤い触手、碧の触手、蒼の触手、紫の触手……。
 世界中の絵の具を集めて色を塗ったような、色鮮やかな触手が群生して、お伽噺に出てくる、毒々しい魔女
の森か、カビの生じた食物を顕微鏡で拡大したような光景が、そこに広がっていた。
 そして、カラフルな触手の森は、大海原のように上下に波打つ。
 まるで風に吹かれているように、此方から彼方へ、大きく激しく、鼓動に合わせて。

「姫君は、庇護した少女たちに教育を施すうちに、悟りました。そして、毎日のように顔を殴り、辱め、頭から
足まで針をびっしりと突き刺し、炙り、潰し、刻んで、あらゆる責め苦を試しながら、確信しました。
 人間の想像力の限界、それは即ち、『地獄』であると。
 多様な責め苦と無限の時間。
 悪夢的な地獄を与えることで、人間はその想像力の限界の、解を知る。
 限界を知るとき、人間はようやく、その限界を超えるための段階に入れる。
 その限界を突破した時、人間は新しい領域に足を踏み入れるのだと、姫君は悟りを開きました。

270 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:03:57 ID:XAxJ+v2X]
 姫君は毎日毎日、庇護した少女たちを、思いつく限りのあらゆる方法で拷問して、彼女たちの限界突破を試み
ました。自分のアイデアでは不足と知るや、国中から残虐な刑罰を募集して、それらを少女たちに試しました。
 発狂する者も、死ぬ者も続出したが、彼女は全国から子供を収集して、拷問をし続けました。
 少しでも多くの苦痛を与えるために、手段は選ばず。
 極限の拷問を施し、それに耐えた少女こそが、人間を次の段階に導くのだから」

「そして、夢は、もうすぐ現となる。
 私と藤村が創る聖界フィルールは、これ以上無い地獄となる。それに取り込まれる、フィルール・スター・ナイツも、
厳選された少女ばかり。精神の限界がいよいよ示される。
 『叡智の冠』の理想。
 私たちの目指した場所は、もう手の届く先なのよ」

 巨大頭の少女が大笑すると、呼応するように触手の海が大きく揺れた。
 それはまるで地震のような激しさだった。無数の触手が生えている底部がプレートのように移動し、何ヶ所か
に集中して大地が起伏するかのように大きく盛り上がり、無数の触手が絡み合う塔と化して天井に向かい、そ
して、その触手が生え並んだ大地に亀裂が走り――

「喜びすぎです。怪獣さん」

 カラフルな触手に覆われた表皮が割れて、黒い血に満たされた筋肉繊維で覆われ、突起状の歯で覆われた
巨大な亀裂が現れる。二〜三十メートルはある裂け目からは、洪水のような唾液と、鋼鉄の板のような舌が覗
いていて、まさに、それが怪獣と呼ぶべき巨大生物の口であることを示した。
 口からは、瀧のような唾液が流れ落ちていた。

271 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:05:26 ID:XAxJ+v2X]
 そこでは、半透明の蛆虫ともミミズのような蟲たちが、飽和してびちびちと蠢いている。外界で、フィルール・ス
ター・ナイツの少女たちを嬲りものにしている蟲と同じだった。
 元より、蟲は、件の巨大生物の唾液中にて繁殖していたもの。怪獣が噛み砕いた獲物を、蟲が勝手に嬲りもの
にして限界まで解体していくので、体内には『胃』も『腸』も存在していない。口内で蟲に潰された獲物は、口内の
肉壁からそのまま吸収され、残り滓は吐き出されてしまう。
 巨大生物と、口内の蟲は、お互いに餌を供給し、消化を助ける、共生関係なのだった。
 もっとも、口内という制約上、一定時間が経つと獲物は蟲から離れる。よって、蟲が延々と、時間無制限で獲
物を嬲り続けたら、どのような変化が起きるかは、分かっていなかった。
 ――それを藤村は解明し、そして応用した。
「……………!」「…………………………!」
 音を立てて膨れあがる触手の丘の裏からは、半透明の吸盤で覆われた巨大な腕が、岩のように大きな眼球
に覆われた肉丘が、虹色の閃光を放つ三つ叉の角が、次々と浮き上がる。
 それは、複雑怪奇な構造を持ち、既存の動物学を超越した巨大生物が、身体を無理矢理折りたたまれてこの
空間に寝かされていて、それが今、起きようとしているのだった。
 しかし、数百年前、そいつは巫女協会によって、全身をバラバラにされており、起きるのに必要な構造器官は
全て切断されていた。今の状態から、どうしても起きあがれない。頭部も解体されて、脳味噌や眼球を摘出さ
れ、皮膚は全て剥かれて、筋肉も各部分で切断され、骨格も臓器も全て摘出されて、それでも殺すことができず
に、苦肉の策として、それぞれのパーツを別々に封印されたのだから。
 そして今も、集められたパーツが結合しておらず、剥ぎ取られた触手だらけの皮膚や、腕や、角や、眼球が、
個々に動いていて、しかしお互いがお互いを邪魔して、起き上がれない状態が続いているのである。

272 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:06:59 ID:XAxJ+v2X]
「……………………………………!」
 触手だらけの皮膚を、ぐいっと押しのけて現れたのは、怪獣の心臓。
 一つ一つの心臓が集結して、まるでブドウの果実のように巨大な房を形成していて、しかし、そのうちの一つ
だけが抉られていた。抉られた一部は今、外界で、人食いの心臓として繁殖している……。

「生物とは心臓のみで構成されず。
 怪獣さん自身の出番は、きっちりと用意されていますよ」

 巨大頭の少女−−宗教法人『叡智の冠』の巫女であるアペカは、足下に折り重なる巨大な魔物を見下ろしな
がら、にやにやと邪悪な笑みを浮かべていた。
 巨大怪獣。
 心臓の魔物のオリジナル。
 そして、同時に、教団の最終兵器。
 封印の大半は解除したので、外に出せば自己再生して動き出す。
 出現すれば国中が大混乱になり、国軍が出動する大事になるだろう。そいつは、最大戦力ではあるが、サイ
ズからして、使い道と言えば、都市ごと敵を殲滅するという物騒なものでしかない。

「しかし、落ち着いてください。怪獣さんの出番はまだ先です。
 『叡智の冠』の最終兵器である怪獣さんが、こんな前哨戦の前哨戦で、登場してはいけないんですよ。
 怪獣さんは、もうすぐ起きる首都決戦で、大集結して邪魔をしてくる巫女協会の巫女やら、他の正義のヒロイン
さんの組織やら、警察やら軍隊やらを、纏めて踏み潰して、ぺっちゃんこにすることなんです」

273 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:09:07 ID:XAxJ+v2X]
 アペカは大きな頭を揺らして、振り子のように動いて、けらけら嗤った。
 想定しているのは、数週間後の、首都制圧戦。
 樹海で、全国から教団信者を集めて人食い心臓を数万まで増殖させ、首都に侵攻させる計画。
 魔物の繁殖は、巫女協会の裏切り者を利用して、事前に露見しないよう工作していた。
 まず、諜報担当の雪菜という巫女を買収して、調査結果を捏造させた。
 後は、やってくる討伐隊に虚偽の情報を伝えて油断させ、皆殺しにする。そして、雪菜に、討伐隊は魔物と戦
闘して、どちらも全滅した、と報告させれば良い。
 「最初から魔物はいなかった」と報告するよりも、「巫女は全滅したが魔物は討伐した」と報告する方が、再調
査がかかり難くなる、という雪菜の意見により、そうすることとなった。
 組織の内部にいる彼女だからこそ、注目されやすいケースと、されにくいケースを熟知しているのである。
 後は、巫女討伐隊が来てから1〜2週間で魔物を増やし、首都を攻撃する。抵抗する勢力は、件の巨大怪獣を
投入して都市ごと叩き潰すことになる。

「そして最後に、この私が、現世界と、完成した聖界フィルールを繋げる」

 アペカは奇怪なことを言って、うっとりと微笑み、暗い暗い狂気の夢を見る。
 彼女や藤村たち、『叡智の冠』の目的が、そのとき達成させることになる……。

「来週、巫女の討伐隊が5人、派遣されてきます。
 それさえ処理できれば――ハッピーエンドは、もうすぐそこ」

……………………………………
…………………

274 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/09/12(日) 13:13:06 ID:XAxJ+v2X]
 悲鳴があちらこちらから聞えてくる。
 藤村の護衛たちの食事は続いていたが、特に雪菜は少女たちを助けようとはしない。
「あら、あの子が暴れているわ」
 ふと、話を切った藤村が懐から取り出したのは、イモリのような生物が入ったビンだった。胃袋が異空間になっ
ており、ドーム何杯分かの容積を持つ魔物であるという説明を、雪菜はさきほど聞いている。
 ビンの中のイモリは、興奮しているのだろうか。ばったん、ばったん、と激しく暴れていた。
「ん? そういやー、その中って何が入ってるの?」
 藤村は、待ってましたとばかりの笑顔で、雪菜に回答した。

「巨大怪獣です」

「もう、怪獣の話はいいって。さっき、したじゃない」

 藤村は少し寂しそうに雪菜を見ながら、ビンを懐にしまっていく。
「アンタ、最後に巨大化は嫌だとか言って、巨大怪獣はいいわけ?」
「それとこれとは、話は別です」
「面倒くさいなー。まあ、その怪獣さんに踏み潰されたりしないようにね」
 そして、雪菜は少し真面目な顔で、言った。
「私が今回の報酬を受け取って、日本から脱出するまでは、変な真似はしないでね? 中東に逃げようと思った
ら、海上封鎖されて出られませんなんて、ちぃーっとも、笑えないんだから」

 雪菜の要求に、藤村はただ微笑して頷くだけだった。

275 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/12(日) 13:13:37 ID:XAxJ+v2X]
続きはそのうち。
ではまた。

276 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/13(月) 23:29:43 ID:wnF8zakm]
とうとう話のラスボスが
続きが楽しみだ

277 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:51:58 ID:xyimGxm/]
満月が照らす森の中
うっそうとした森の奥に一本だけそびえる大きな木

その木の枝にわたし達は吊るされている。
枝は足がかろうじて届く高さで、背の低い娘は足をブラブラさせている。
誰もが一糸まとわぬ姿のまま両手を枝に固く縛られていた。

わたしの名はノノ。
吊るされているのはわたしを含め10人ほどの近くの村の娘ばかり。
この森の近くの村に住む娘のうち選ばれたものが毎年こうやって木に吊るされている。
この森に住む鬼のための生贄として。

わたしはふと視線を目の前の森の向こうに向ける
満月のおかげで眼下に広がる山すその風景が浮かび上がっていた。
その向こうに見える海岸線と海。そして、かすかに小さな島も見えた。

わたしは生まれてからこの山の中の村でしか暮らしたことがなく、
眼下に見える海を見たことがないまま生涯を終えることになるのだ。

「行ってみたかったなぁ。海ってあれが全部水なんだよね。」
普段水汲みで苦労してきたわたしにはあれだけの水があるなんてちょっと信じられなかった。
「あの向こうの島にも、人が住んでるのかな…」
そう思いながら視線を近くに向けると、黒くて大きな影がこっちへ向かってきた。

鬼たちだ。


278 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:52:20 ID:xyimGxm/]
吊るされた娘達の中に緊張が走る。
泣き出す娘もいた。
しかし、誰一人として逃げ出すことは出来ないのだ。

鬼の姿かたちは意外とわたし達人間と大差ない。
生贄と交わって子供を作ってきたおかげで徐々に人間に近づいていったかららしい。

鬼達は顔を見合わせながら思い思いにわたしたちのもとへやってきた。
何をされるかはわかっていた。
鬼の一人が背の低い少女の足を掴んで開かせる。
少女は泣き叫ぶが、抗うことは出来なかった。
鬼の股間に屹立する巨大なペニスが少女を引き裂くように
彼女の幼い女陰に割り込んでいく。
悲鳴がひときわ大きくなり、首を振り乱しながら暴れた。

「ナツちゃん…」
村で一番歌のうまかった彼女が、今、その声をからしながら
鬼に犯されて泣き喚いている。

そして、それは私の運命でもあった。
他の娘達にも鬼が近寄って犯し始めたころ、わたしのところにも鬼がやってきた。




279 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:53:26 ID:xyimGxm/]
わたしのところにきた鬼は他の鬼たちよりひときわ大きく、逞しかった。
そして、そのペニスも強固な杭のようだった。
「ひっ…」
一瞬目をそむけてしまうくらいにそのペニスは凶暴なものに見えた。
わたしの足を広げて鬼はそのペニスを力ずくで押し込んでいく。

メリメリ…
たしかにそんな音が頭に響き、股間から体が二つに引き裂かれる痛みが走った。

「うぎぃ!!」
そのまま鬼は力ずくでわたしの膣内に大きなペニスを押し込んでいきました
わたしは体内を無理やり押し広げられる苦痛に悶える。
今まで男性を知らなかったわたしの純潔を踏みにじることに快感を覚えるように
奥へ奥へとわたしの中を犯していく。
子宮口へ達したら、一旦引いては叩き破るかのような勢いで再び突いてくる。
その度に引き裂かれる痛みがズキズキ疼く。

内臓を容赦なく抉られるような痛みに涙を浮かべながら、わたしは鬼の激しい突き上げに耐える。
せめて…少しでも早く終わるように念じながら目を閉じた。
「おっかさん……助けて!」
誰の声かわからない声が響く
生贄の誰かかもしれないし、わたしが上げた声かもしれない。
その区別もつかないほどにわたしは鬼に犯されていた。

意識がどこかへ消えていた。

知らぬ間にわたしは喘いでいたのかもしれない。
泣き叫んでいたのかもしれない。

それすら鬼の乱暴な動きに塗りつぶされていた。

そして…突き上げが私の体を飛ばすような勢いになった刹那
胎内に溶岩のような熱い塊が注ぎ込まれるのを感じた。

「ぁ…ぁ……」

股間からとめどない熱い液体がこぼれ落ちるのを感じていた。
わたしたちは股間から流れおちる鬼の精液をだらしなく垂れ流しながら泣いていた。


280 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:54:21 ID:xyimGxm/]
そして、他の娘達も同様になった頃、新たな鬼達がやってきた

それから、わたしたちは新たな鬼達に犯され続けた。
数を増した鬼達にお尻の穴も、口も、アソコも犯され続けた。
いつしか体中に精液をまといつかせるのが当たり前になっていった。
しかし、わたしたちは知っていた。
これが、ほんのはじまりに過ぎないことを

夜が明け、散々に犯されたわたしたちを鬼達が名残惜しそうな顔で見ながら去っていった。
「ノノ…やっと…終わったね」
ナツが枯れた声でわたしにそういった。
繰り返された喘ぎと悲鳴でかつての声はもう戻っていなかった。
ナツと、わたし自身を慰めるためにこういった
「次の満月…それまではもう何もないよ」

そのはずだった。
そして、次の満月には…わたしたちは食べられてしまうのだ。
あの鬼達に。

わたし達の体に変化が訪れたのはその後からだった。
吊るされっぱなしで感覚がなくなっていたわたしたちの手が徐々に茶色く変色し始めた
まるで枝と一体化したようだった。

それとともに、わたしたちは空腹を感じなくなり始めていた。
誰もおなかがすいたとも喉が渇いたとも言わなくなっていた。

そして、日がたつにつれて、お尻が膨らみはじめていった。
それは日増しに大きくなっていき、やがて下腹部とともにぷっくり膨れ始めた。

そして、満月が近づいた夜。誰ということなく体中から不思議な香りが漂い始めた
まるで、桃の実のような。


281 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:54:46 ID:xyimGxm/]
誰もが、半ば木と一体化したようにぼんやりとした視線を漂わせた満月の夜。

鬼達がやってきた。

わたしたちは覚悟したような表情を浮かべていた。
もう、動くことも出来なくなったわたし達に鬼たちに食べられる運命から逃れることは出来ない。
せめて、痛くないようにしてほしい。祈ることはそれだけだった。

鬼達は、手に手に大きな鉈を持っていた。
一人の鬼が、端の娘の足の付け根に鉈を当てる、
娘が顔を引きつらせた瞬間、鉈がすごい速さで娘の両足を切断した。

上がる悲鳴、ゴトリという不気味な音とともに地面に落ちる両足
奇妙なことに、切断面からは血は流れなかった。
かわりに透明で甘い香りを放つ果汁が滴り落ちた。

鬼達の鉈は次々と娘達の足を切り落としていった。
私の足にも、あの大柄な鬼が鉈を持ってやってきた

ヒヤリと鉈の感触が伝わり、それが離れた次の瞬間
激しい衝撃とともに足の感覚がなくなった。

ゴトゴトッとわたしの足が地面に落ちる音を聞いた。

全員の足が太腿から切断された後、鬼達は指笛を吹く。
どこからともなくやってきたのは獰猛そうな野犬だった。
野犬たちは地面に転がるわたしたちの太腿の肉や
ふくらはぎ、すねの肉をかじって食べていった。
弾けるような歯ごたえと肉質を持つ豊かな丸みを帯びた太腿は、争うようにして食べられた。
娘達の足の肉は野犬にとってこの上ないご馳走だった。
そして、木に吊るされたわたしたちは自分達の足が食べられるのを見ているしか出来なかった。


282 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:55:16 ID:xyimGxm/]
足が骨を残して食べつくされ、残った骨が野犬たちにしゃぶられていた頃、
鬼達は娘達の尻に手をかけた。
鬼がひときわ強く腰を引くと
ブチッという音とともに、丸く膨れた尻と下腹部が千切れた。

体から離れた腰は、丸い尻とともに芳香を立ち上らせながら地面に落ちる
それを鬼達は大きなお盆に載せて運んでいった。

私の番は、すぐにやってきた。
すっかり重くなった尻に、より一層の負荷がかかり…

ブチッ

という音とわたしのお尻が千切れる感覚を味わった。
そして、音はそれだけで終わらなかった
ゴロゴロ…

何の偶然か鬼達の予想せざる方向に落ちたわたしのお尻はそのまま茂みの中へ消えていった
鬼達が軽い騒ぎを起こしながら茂みの中へ分け入っていった。
それを見ていた私の横で、新たな音が聞こえた
ナツのお尻が千切れる音だった。

娘達の中で、おなかから下が残っているものはいなくなった。
これからが鬼達の楽しみだった。

鬼達は、大きな鉈を包丁に変えて、わたしたちの上半身を切り分けては食べはじめた。
柔らかい内臓は、艶を帯びたまま生で鬼達の口に入り、
胸の肉は茂みから飛び降りた山猿があばら骨とともに齧り取る
乳房は鬼達が丁寧に切り取ってはぷるんっとした肉がたっぷりの女の味をはじけさせながら
思い思いに食べられていった。

そして、鬼たちが去った後残った顔や腕のわずかな肉を、野鳥がついばんでいった。
わたしたちは、それをどうすることもできないまま食べられるに任せるしかなかった。
いつしか、意識が薄れていったわたしの目に浮かんだのは、つるされた直後に見た
海岸と海、その向こうの島の眺めだった。


283 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 06:03:15 ID:xyimGxm/]
その瞳も、すぐに野鳥が嘴でついばんでまるで卵のように噛み割った。

娘達が生涯を終えた翌日。
祭壇の上に娘達の残った尻が芳香を漂わせながら並んでいた。

丁寧に祈りを捧げた鬼達は、先を争うようにして娘達の尻にむしゃぶりついた。
程よい弾力を持つ娘の尻肉は、かぶりつく鬼達の牙におしげもない果汁と香りを漂わせては
噛み千切られていく。

一人の鬼がナツの尻のなれの果てにかぶりつく
柔らかな尻肉は、噛み千切られるとともに乙女の芳香を撒き散らし、
鬼の口の中で甘く広がる。
滴り落ちるピンク色の汁にもナツの味と女性の匂いが充満していた。

ナツの肉はかみ締めるほどにぷるんとここちよい弾力を維持していたが、
それもやがて鬼の口の中で咀嚼されては甘い汁と女性の香りを残して飲み込まれていった。



284 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 06:04:05 ID:xyimGxm/]
そして、尻の果肉が食べられていくにつれ、その真奥の空洞が露になる。
その中では、小さな小さな赤ん坊が、身を縮めて眠っていたのだ。

生贄に鬼の子種を残した娘達は、このような形で鬼達の子供を身ごもっていたのだ。
手に手に赤ん坊を取り上げる鬼達と、残った尻の肉にむしゃぶりつく鬼達。
喧騒の時間はそう簡単に終わりそうにはなかった。

茂みに落ちたノノの尻にも、鬼の子供は眠っていた。
ノノの尻は、茂みからわずかな隙間を転がり落ちて小さな沢に落ちた。
沢に落ちたノノの尻は、流れに乗って川に流れ、そのまま川下へ下っていった。

川下の村から洗濯に来ていた老婆が、ノノの尻のなれの果てを見つけたのは、
それからしばらくした後のこと。

老婆が拾ったノノの尻から生まれた子供が「桃太郎」と名づけられたことと、
その子供がノノが最期に眺めた海の向こうの島へ行って自分と同じ鬼達を
こらしめていったことはまた別の話である。

285 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/25(土) 09:19:54 ID:S5nWSOgl]
新作きたあ!
「尻桃の生る木」の人かな
朝からとてもえろくてよかったです。
ごちそうさまでした

286 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/26(日) 12:58:39 ID:Y0WMskpB]
まだ職人が残っていたのか…
とてもありがたい!
どんどん解体されていく無残感がええのう

287 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/28(火) 21:48:24 ID:KCtkgDBD]
巫女は話に収拾がつくのか?

288 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/28(火) 22:27:01 ID:xLLvtkEE]
この人のは大丈夫だよブログ見れば解る
まだまだ長い間楽しめそうでいいね



289 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/01(金) 23:36:29 ID:f8C45Zsd]
これほしい
ttp://blog.smilebeans.com/?eid=1068648

290 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/03(日) 21:26:35 ID:Ekzli4nh]
話の合間に話題なんだけど
皆はどれぐらいの年齢の娘が捕食されるのがベストなの

291 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/04(月) 20:51:04 ID:ZpWa+UzD]
その話題は既出だ

292 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/11(月) 23:40:32 ID:EJ6EaEzW]
>>274の続きを投下します。
残虐な表現があるのでご注意ください。


293 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:44:15 ID:EJ6EaEzW]
 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 その日、『叡智の冠』の総本山で、実験が行われた。
 巨大な怪獣が、全身をバラバラにされて封印された状態で発見されたのが数年前。
 その怪獣の口から採取された蟲がアルコール中で増殖することが確認されたのが数日前。そして
今日、少女たちの肉体にそいつらを植え付けて、時間ごとの変化を観察することになった。
 90度に近い角度で立てられた手術台。
 磔状態に近い姿で、手足を手術台に縛り付けられた全裸の少女。
 そして、その足元からは、ヒルや蛆虫を思わせる蟲の大群が這い上がっていた。
 
 部屋には誰もいない。
 ただ、時間ごとの変化を記録するビデオカメラが、無機質な音を立てて動き続ける。

 2時間後、部屋に少女の姿は無かった。
 手術台から、全身の骨や内臓が粘土細工のように捏ねられて混ぜられ、血肉で全身を塗り固めら
れた、細長い物体が、天井に向かって緩やかな放物線を描いて伸びていた。各所から飛び出した指
や長い髪の毛、潰れた眼球や内蔵からして、それが数時間前の少女であることは間違いない。
 その姿はまるで、人肉でできた巨大な「樹」のようで――。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

294 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:45:56 ID:EJ6EaEzW]
 ………自分がどうしてここにいるのか、雅乃は漠然と理解していた。
 周りをふらふらと飛んでいる、カキ氷のシロップのような色の蒼い火の玉が、時おり数が増えたり
減ったりしているが、それは風が吹くのと同じ現象で、大きな意味を成していなかった。
「…………。 ………………! …! …! …………!」
 昔、好きだったJポップのワンフレーズが記憶に残っていて、それを何度も繰りかえして呟いた。お
そらくはサビの部分だが、それすらも曖昧。しかし、何もすることがなく、どこにも行く場所が無い少女
にとって、それは数年間という長い時間、退屈を紛らわせる数少ない行為だった。
 風にも負けるような微かな声が、深い闇に融けて消えていく。
 長い髪の毛に白のブラウス、そして青いスカート。
 それは、数年前に事故に遭った姿のままであり、トラックに轢かれてひしゃげた自分の遺体が運ば
れてからも、警察の現場検証が終わってからも、道が封鎖されてからも、雅乃は同じ場所に留まり
続けていて、そして今も歌を口ずさんだり、一人でしりとりをしながら、孤独に過ごしていた。
 ざわり、と風が揺らめき、樹の葉音が激しくなる。
「…………?」
 珍しく人間のような気配を感じて、雅乃は歌を止めて、暗闇をじっと見つめた。
 しかし、すぐに諦めて歌を再開しようとする。これまでも何人かの人間がここを訪れているが、彼女
の両親を含めて、誰も彼女のことに気付くことができなかったのだから。
 5人目あたりで雅乃はようやく、自分が幽霊と呼ばれる存在になったことを理解できた。
 しかし、どういう経緯で、生前の彼女が事故死したのかは、もう分からない。生前の自分がどのよう
な生活をしていたのか、恋人はいたのか、夢はあったのか。そのようなことは全て、事故の瞬間に彼
女を残して、この世から永遠に消え去ってしまったのだった。
 考えるのを止めて、雅乃は再び歌い始めた、そのとき、

295 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:47:31 ID:EJ6EaEzW]
「随分と懐かしい曲を歌っているのね? 何年前に流行った歌だったかしら?」
 驚いて振り返った雅乃の前には、紺のスーツを着た女性が立っていた。髪は嵐のように跳ねてい
て、まるで無数の蛇が虚空に伸びているかのような印象さえ受ける。
 彼女の背後からは、黒いスーツの男や、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた男女、ピンクの子供服
を着た幼女など、様々なタイプが混在した集団が現れた。その集団がどのような目的でやってきたの
か、外見からでは想像のしようもないが、あまり関わりたくない印象はある。
「藤村先生、彼女は……」
 瓶底眼鏡をかけた男の声に、藤村と呼ばれた女性は首肯した。
「私も便宜上、魂とか幽霊とか呼んでいるけれど、これを表現する適切な言葉は、まだ存在しないわ
ね。しかし、これは意思と、時計と、そして現在から過去にかけての情報を持ち合わせている」
 そう言った藤村の唇がぐにゃりと歪み、目に暗い光が灯る。
「いっ! いやあああああっ!」
 本能的に、それがおぞましい存在だと分かった。
 雅乃は悲鳴を上げて、藤村から逃げる。
 その目に宿った、夜よりも暗い残酷な意思を感じ、藤村が、自分に災いをもたらしにきたことを理解
した。しかし、彼女はこの場から遠くに動くことができない。
 それでも逃げようとする雅乃の前に、白い影が立ちふさがる。
 灰色の宇宙人のように巨大な頭を持つ、髪も肌も紙のように白い少女だった。風船のように膨らん
だ頭を支える首はあまりに華奢で、触ればすぐに折れてしまうような印象さえ受ける。
「ひっ! なによ、貴女!」
 怪人じみた外見の少女に、幽霊の雅乃ですら驚いて怯んだ。しかし、自分の逃走の邪魔をしてい
ることを悟るや、その脇を強引に通り抜けようとする。両親ですら触れることもできず、体を通り抜け
てしまう自分を捕まえることなど、できるはずはないと判断しての行動だった。しかし、

296 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:49:23 ID:EJ6EaEzW]
「あら? 貴女に、走って逃げられる足なんてありまして?」
 白色の少女、アペカがそう言葉を発した瞬間、雅乃の両足はバキリと音をたてて、ヒザから逆方向
に折れ曲がる。血肉が飛び散り、ヒザの皿が砕け散り、皮だけ太股と繋がった状態で落下した。
「いっ、ぎゃああああああああああああ!」
 生前の、死ぬ直前の記憶を呼び起され、足を失った激痛の記憶が心を焼ていく。目を赤くして地面
をのたうち回る雅乃を見下ろし、アペカは正確に宣告を続ける。
「最初の車に足を潰された貴女は、続いて、後続のトラックにも轢かれたとか?」
 ボンと巨大な泡が爆ぜたような音を立てて、雅乃の腹部は引き裂かれて皮を剥ぎ取られ、内臓を
瀧のように垂らしながら、腰が砕けて上半身が前後で半回転してしまう。涙目で苦悶を訴える顔は、
吐血が飛び散って赤黒く汚れていた。全身が痙攣し、手はぴくりとも動かない。
「…………ぁ、はぁ……やめ、て……おもい、だしたく……ないの……あんな、くるしいの……だれ
も、たすけて……くれなくて……いたくて、いきが……できなくて……やあ、ぁ……!」
 瀕死の姿になった雅乃は、苦しみから逃れたい一心で、アペカの足にすがりつく。
 必死に忘れようとしていた、死ぬ直前の数分間の記憶。
 それを呼び起された少女は、足を失い、腹が裂けて腰が砕けた状態で、当時の激痛と呼吸困難に
耐えながら、元気だったころの自分を思い出そうと記憶を振り絞る。事故直後も、数ヶ月かけて彼女
は、事故死したままの姿から、元気な姿を取り戻したのだから。しかし、
「ごめんなさいね。これも、聖界フィルールを創るためだから」
 無邪気に微笑んだアペカの顔の、さらに上空。
 そこには、まるで、巨大な黒い星が落下してきた、と錯覚するような暗黒色の球体が、視界に入る
夜空の端から端までを、ほぼ覆い尽くしていた。大きいなどというレベルではない。そこらの山の何
十倍、何百倍はある。都市の10や20を、軽く押し潰せるようなサイズだった。
 つい数秒前までは、曇り気味の夜空が広がっていたが、今や正体不明の球体で覆われている。ま
るで、空が巨大な鍋蓋に変わって、自分たちの居場所を閉じようとしているかのように。

297 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:51:35 ID:EJ6EaEzW]
「な………なに………!? あれ……」
 目を見開いた雅乃の顔に、黒い影がさした。藤村と、取り巻きの瓶底眼鏡の男女だった。
 しかし、彼らは眼鏡を触りながら雅乃を観察するだけで、助けようとはしない。生きたまま動物を解
剖して、その反応を好奇心半分、探究半分で見ているかのよう。
「これが、死亡時の姿ですか」「大抵の魂は、死亡時の姿のままなのですけどね」
 半壊した人体を前にして、平静でいられる者といえば医療関係者ぐらいだろう。しかし、彼らは医者
ではなく、単純に頭の螺子が飛んだ狂人にしか思えなかった。
 アペカは邪悪な笑みを浮かべて、巨大な頭をゆっくりと動かして言った。

「貴女にも視えるようにいたしました。あれが、聖界フィルール」

「我ら、『叡智の冠』が構築した、世界を変える魔法」

 藤村と、アペカと、その取り巻きたちは、まるで神を崇めているかのように、上空の巨大な暗黒球
体を見上げて歓喜の声を上げる。涙も混じる感動の声が、幾重にも重なり、闇に木霊する。
 聖界と呼ばれた暗黒球体からは、まるで毛糸球を解くように黒い触手が現れて、夜の闇に根を張
るように広がっていく。それらは同時にピタリと静止し、次の瞬間、雅乃の肢体に殺到してきた。
「ぎゃああああああああっ………!」
 黒い触手が、雅乃の手足や破れた腹を雁字搦めにする。そして、凄まじい力で上空に吊り上げら
れた。彼女は助けを求めるように、地上に向けて必死に手を伸ばしたまま、空に消える。
「貴女の苦痛、貴女の苦悶、貴女の地獄、私たちが利用させていただくわ」
 藤村は、悲鳴を追いかけるように、再び空を見上げた。
 そこには、星の少ない、普通の夜空が広がっているだけだった。

298 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:54:05 ID:EJ6EaEzW]

 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 『叡智の冠』の総本山では、今日も実験が行われていた。
 電話ボックスサイズの箱に少女を押し込め、数日に渡り数十パターンの音楽を連続して聴かせ、
数百パターンの発光を眼前で行い、刺激を与え続ける……それが実験の内容である。
 話しているのは、教団の幹部である藤村と、アペカだった。
「要するに、一度まず発狂しちゃえば、もう発狂はしようがないのよ。決して元に戻ることは無い代わ
りに、それ以上の反応も起きることは無いの。これは使えるって思ったわ」
 藤村が微笑みながら、アペカに説明する。
「つまり……拷問で発狂しないように、先に発狂させておくと?」
「そのとおり。長時間にわたり、聴覚と視覚から刺激を与え続け、脳に発狂状態を引き起こす。彼女
たちの人格に影響を及ぼさないようにね。直接脳味噌を弄くるわけではなくて、あくまで、環境変化
への自発的な適応を促すものなのよ。言うなれば、予防接種ね」
「……それで、結果は?」
「これまで、全身に針を800本も打ち込めば、大抵の子は発狂していたわ。だけど、この処置を施して
からは発狂者ゼロ。まあ、既に発狂しているわけだから、正確な表現ではないけれど」
 おぞましい実験の内容を嬉々として語りながら、藤村は口元を歪める。
「でも、その娘。その後にすぐショック死しちゃったのよね」
「じゃあ役に立ちません。その程度の苦痛は、もう山のように集めてありますもの」
 アペカの手のひらには、お手玉サイズの、暗黒色の球体が浮いていた。
「ふむ。やはり、狂わないだけではなく、死なないようにする方法が必要なのよね……」
 藤村の表情は困っているようにも見えるが、
 それよりも、更なる探究への喜びが勝っているように見えた。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。



299 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:55:46 ID:EJ6EaEzW]
「というわけで、彼女たちの精神は苦痛に対して、特殊な耐性があるのです」
 藤村の笑顔で語った説明内容を反芻して、雪菜は蒼白になりながら言葉を搾り出そうとする。発狂
するのを防ぐために、最初から発狂させてありました、などと説明を受けて、素直に受け入れること
などできるはずがない。淡々と語られたおぞましい実験に、背筋が寒くなる。
 確かに、精神の変異を防ごうとすれば、直接脳味噌を弄くるか、もしくは、音や光などの外的要因
で間接的に処理をするかの方法しかない。少なくとも、雪菜は他に思いつかなかった。
 藤村の使役している蟲が、苦痛や恐怖により分泌される脳内物質を餌にしているからには、餌を
生産する脳味噌を直接弄ることで、感じる苦痛を減少させるような処理はできないはずである。
 ならば方法は限定されるが。しかし、
「山を歩いてた娘たちには、少しおかしくなっているのも、いたと思うけれど……」
「勿論、完璧に確立された方法ではありませんが、極度の飢えや疲労、それに化膿による発熱で思
考能力が減衰するのは、発狂とは異なる現象です。」

「たっ! 助けてえええっ!」

 藤村と雪菜が振り返ると、そこには全身に切り傷ができた少女が、息を切らしてヒザをついてい
た。乳房は胸から剥がされており、赤黒い肉から腹に無数の血川が伝っている。
 背後には、昆虫の翅を生やした子供たちが迫ってきていた。他の少女たちが、されるが侭に怪物
たちに食われている中、どうやら少女だけは、彼らに噛まれながらも逃げてきたようだった。
「貴女は相変わらず元気ですね。詩帆さん」
「ふっ、藤村先生! 助けて! 私は、イヤです! こんな、食べられるなんて!」
「もう、貴女はお弁当だって言ったでしょう。ほら、千緒ちゃんを見習いなさい」

300 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:57:08 ID:EJ6EaEzW]
 笑顔で彼方を指差した藤村の姿を見て、詩帆と呼ばれた少女は顔に絶望と恐怖を浮かべながら、
そちらを見てしまう。千緒というのは、先ほど乳房を食われた傷を処置しようとして、チョウチョウの化
物である子供たちに襲われ、頭にストローを刺されて体液を吸われていた少女である。
「千緒………」
 ぎこちなく首を曲げた先には、チョウチョウの翅を生やした子供が蠢いていた。毒々しい翅の模様
が重なり合い、それが10匹も集結してうぞうぞと重なり合い、異様な塊をなしている。
 そして、翅の隙間から、襲われている少女の姿がちらりと見える。
「ひっ! いやあああああああっ! 千緒ぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 詩帆が最後に見た彼女の姿は、苦痛に歪みながらも、微かに希望の光を灯していた。その後で顔
中をストローで刺されていたが、それは一瞬だけで、夢のような印象しかなかった。
(ほ、本当……? 私たち、助かるの……?)
 苦痛の中で浮かべた、彼女の表情が、何度も何度も脳内で再生される。
「ごぼっ! げぼっ! がぼっ! ごほっ!」
 千緒は、巨大な針に近いストローを何本も生やし、目や鼻が刺し潰されて平坦となった顔を苦悶に
歪め、頬が裂けて歯茎が露出した顔から、血の塊を吐き出していた。繋がるストローからは赤く濁っ
た体液が吸い出されており、顔の中身を食われているのは疑いようがない。
 乳房が剥がれた胸板や背中にも、ブスブスと音を立てて、ストローが刺されては抜かれ、刺されて
は抜かれを繰り返されており、腹部から背中まで刺し傷だらけだった。美味な部分を探しているのだ
ろうが、刺され続けた千緒の胴体は穴だらけで、ワイン樽のように赤い液体を流し続けている。
 チョウチョウの化物たちは、くるんと渦を巻いたストローを槍のように伸ばし、彼女の肌に突き刺し、
体液を数滴ずつ、飴を舐めるような緩慢さで吸い取っていく。最早、彼女を苦しめるだけ苦しめて食
らい尽くそうとする悪意は明白で、それはただ嬲り殺しにしているだけだった。

301 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:58:28 ID:EJ6EaEzW]
「ごぼぼぼぼ! がぼっ! ごぼごぼごぼっ!」
 力無くばたついた手足は、最後の抵抗だった。千緒は、全身の体液を吸い出される激痛から逃れ
ようと、最期の力を振り絞って怪物たちを追い払おうとしている。肩や手のひらをストローが次々と刺
し貫いていくが、彼女は抵抗することを止めようとしない。
「ごぼがぼげぼごぼごぼごぼぼぼ!」
 血液やら脂肪やら、内臓の分泌液やらを全身の穴から噴き出しながら、千声ならぬ声で絶叫す
る。彼女も、フィルール・スター・ナイツを目指した少女の一人。怪物のお弁当と化した自分の運命
に、納得しているはずがない。彼女の誇りと信仰の深さがそれを許さないだろう。
「や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛! も゛う゛や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!」
 千緒の惨状に耐え切れなくなった詩帆は、喉が破れんばかりに絶叫した。
 呼応するように、鉤爪を生やした半分トカゲの女性と、果実のように垂れた3つの頭部を持つ少年
が、手足を暴れさせる千緒に近づいていく。そしてチョウチョウ人間たちを押しのけて集団に入り、死
に物狂いで暴れる彼女の手足を押さえつけた。少女の小さな肢体が、ビクリと震える。
 トカゲ女は、鍵爪を千緒の左肩にそっとかけると、まるでノコギリで丸太を挽くように、前後に擦り始
めた。3頭の少年も、まるで土中の野菜を抜くような仕草で、千緒の右肩に手をかけ、そのまま肩の
構造を無視して、力任せに捻り始める。何れも、彼女の抵抗を捻じ伏せる怪力で。
 ゴリゴリと骨を削る音と、 グチグチと骨と肉が捩れる音が響き渡る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――――!!」
 腕が切断される音と、腕が抜ける音が同時だった。
 ぶちんと音を立てて、彼女の右腕は、肩から抜け落ちた。ごりごりと摩擦を立てて、彼女の左腕
は、骨の断面を残して取り除かれた。小さな肩が、痙攣しながら胴体に残っただけだった。

302 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:59:33 ID:EJ6EaEzW]
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ!」
 腕を引き抜かれ、切断され、肩の断面から血を吹きながら、千緒は既に原型を留めぬ顔で絶叫に
絶叫を繰り返した。顔から胸に、腰から腹に、前後左右からチョウチョウのストローが耕すように刺し
貫いて、雀の涙ほどの体液を吸い出していく。
 両腕を失った彼女は、突き刺されたストローに支えられて倒れることもできず、腕がないので防ぐこ
ともできない。ヒザを折った姿勢のまま、全身を刺されて、吸われて、血肉の塊に変えられていく。股
間から漏れ出した小水と大便が足を伝って、地溜まりにゆっくりと山をなした。
 切り離された両腕は、それぞれの怪物の餌となっていた。トカゲ女は彼女の腕を、切断面からボリ
ボリと生野菜のように齧っていたし、3頭の少年は指を咥えてコリコリとしゃぶっている。
「………………が、ぁ………ぁ、ぁぁ………」
 彼女は顔を見るも無残に耕され、かつての愛らしい面影は微塵もない。両肩から半透明の触手を
伸ばした小太りの男が、彼女の頭皮に張り付いた髪を掴みあげると、血肉と骨の残骸が飛び出した
頭部の、眼窩や鼻腔だった穴、そして頬まで広がった口から、粘り気のある血がどろりと零れた。
 しかし、彼女は生きたまま食われる激痛に苦しみながらも、しっかりと生きていた。
「千………緒………」
 詩帆は蒼白を通り越して、得体の知れない者を見る目に変わっていた。それは勿論、雪菜と同じ
疑問を抱いたからだろう。なぜ千緒は、そこまで貪られて、死ねないのだろう?
「うっふふふふふ。どうして生きていられるか? そう思ったでしょう!?」
 藤村は破顔しながら、両手を首にあてて、肩を激しく揺らし始める。
「それは、この私の、奇跡的な出会いと、大発見の成果! うふふのふふっ! 死なないんですよ!
ここまでやっても、この娘たち! すごいでしょうううううう! きゃひひひひひひひっ!!」

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

303 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/12(火) 00:00:15 ID:EJ6EaEzW]
済みませんが、もうしばらく前フリが続きます。
ではまた。

304 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/12(火) 22:36:12 ID:L9ZzRJX1]
今回も読むと心に影を落としそうになるほどの迫力ある文章(ほめ言葉で)
何気にすごい大作だと思う

305 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/13(水) 03:51:54 ID:tgxofSdn]
ようやく規制解除された…
次の規制までに何か投下できたらいいな俺

306 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/14(木) 13:39:30 ID:/lxBZffM]
期待!

307 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/14(木) 21:50:14 ID:kR/P0h7J]
>>303
4話くらい立て続けに見た。すごい面白いですGJ!
捕食描写もだけど物語の骨子も楽しいです。

308 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/17(日) 14:05:12 ID:a4z+qtg8]
ベェーカリィーの『丸呑み』をプレイして覚醒して来たんだが、素晴らしいジャンルだな、丸呑み。
とりあえずpixivで画像漁ってるけど、何かお勧めの作品や、まとめサイトのお勧め作品って教えて貰えないか?



309 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/17(日) 14:27:44 ID:OYQY1ZJs]
丸呑みデータベース
リョナ2板
あたりかな

310 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/20(水) 15:14:19 ID:KKwolzhO]
同人ゲームでよければD-gateなんかは良い

311 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/01(月) 15:01:53 ID:3pirpXbs]
やっぱり18号吸収シーンは神だな
Z当時よりも喘ぎ声がガチになってるw

312 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/05(金) 15:09:31 ID:3obsvF5C]
エデンの檻の中学生捕食シーンはオススメ

313 名前:名無しさん@ピンキー [2010/11/05(金) 23:06:58 ID:apjd2Em7]
>>312

詳しく教えてください

314 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/06(土) 10:37:05 ID:9FTlO+TA]
>>313
少年マガジンに連載中の漫画
無人島でのサバイバルモノなんだが、
島には何故か絶滅した猛獣たちが住み着いていて、女子中学生が捕食とかされちゃう

315 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/08(月) 21:44:47 ID:n6ipuwnW]
>>312
あったか?捕食シーン

316 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/09(火) 00:11:00 ID:31iaVNBZ]
ちょこっとしかないな。
直接的な描写は期待出来ないかも。

317 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/11(木) 22:46:58 ID:WChTbJLm]
>>314
今週号でまた喰われただのなんだのと出てきたな。

捕食シーンは一切無し。
ただ突然グループのメンバー
(生き延びるためいくつかグループを作ってる)
が消える現象が勃発

グループのブレインが「喰われる」とか発言したが詳細は来週待ち。

318 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/13(土) 20:20:44 ID:eOSD4nuD]
奴隷を性的な用途に使うか魔物の餌にするかを選ぶ暴君の話はどうだろう
奴隷は性の知識も乏しいのに淫らに誘惑してくる
選考の後は選ばれなかった娘達の末路を見ながら



319 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/15(月) 14:48:14 ID:NEMI0uG9]
この手のスレがエロパロ板にしかないのが悲しい
ニッチすぎるのかなぁ

320 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/15(月) 18:44:25 ID:BScNVU3D]
ほかの拠点も作りたいものだけど
何せ人口が少ないから細々とやっていくしかないよ

321 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−1 [2010/11/17(水) 12:05:04 ID:qOtcxOYA]
「いやああ!!助けて!!助け・・・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょちょちょちょちょ・・・
悲鳴は途中できられ、また一人の女子大生がスライム系の怪物の餌食となった。
このスライムは、生物の肉体を丸ごと吸収し、栄養分としている。
また、個体ごとに好みが違うらしく、この個体は人間の若い女を好む。
そして相手を油断させるために普段は人間に擬態しているのである。
いつも吸収した相手をすぐさま養分とするわけではない。
時には体内に保存し、時にはいったん排出し、さまざまなことに用いるのである。

「ぐふふふ・・・昨日は女子大生を一人頂いたから、
今日は女子高生を犯して、吸収しちまいたいなあ〜 ぐひひひ・・・」
彼はスライム状の肉体を活かし、あちこちを物色していった。
あまり人気がなく、そしてなおかつターゲットがいるところを探している。
「見〜つけた〜!!」と同時にその少女の目の前に降り立ち、
今、まさに女子高生が人気のない裏路地で男に襲われようとしていた。
少女のほうにゆっくり歩いてきて・・・「えっ!」
「服などという不純物まで吸収するわけにはいかないな・・・ぐひひひ」
少女は服の裾をつかまられた瞬間、自分が置かれた状況を理解した。
「い、いやあ!!やめて!!あああっ!!」
少女の制服は男の手によって強引に破り捨てられ、下着姿となった。
「い・・・いやあ・・・」 (な、なに・・・変態!?)
逃げようとしたが、男の力は強く
次の瞬間には、男の手が黒色のブラとパンツに伸び、
「いやああ!やめてえ!お願い!!」(あたしの初めてはあの人にって決めてるのに!!)
やはり剥ぎ取ってしまった。 そのたわわな胸があらわとなる。
履いていた靴も靴下も奪われ、まだ穢れを知らぬ、その白く美しい裸体を晒すこととなった。

そして突然、男の体が崩れ、ピンク色がかかったスライムへと変貌していった。
彼女は腰を抜かし、その場に座り込み、胸は手で隠した。
「あ、あたしをどうするつもりなの・・・」
恐怖と羞恥が入り混じった表情と仕草、そして声がスライムを興奮させた。
「お前の体を吸収し、栄養分とする。安心しろ、痛いことはない。優しく吸収してやる」
「な、なんで、あたしなの・・・」
「女が私の好物だ。特にお前のような若いやつはな・・・・」
じりじりとスライムは迫ってくる・・・
「ほう・・・よく見るとなかなか、いい体をしているな。
腰はほどよくくびれ、胸は大きすぎず、そして美しい白い肌。顔もかわいいではないか。これは吸収しがいがある」
実際に今まで言われたことのない言葉に顔を赤らめつつも、
「い、いやあ・・・来ないで・・・・」
彼女も少しずつ後ろに下がる

だが無情にもスライムは食事を開始した。
大きなスライムの塊から触手のように伸び、逃げられぬよう、お腹の辺りに巻きついた 。
べちょっ!!「きゃあ!!」
巻きついた後、彼女の背後に大きく展開し、今にも飲み込まんばかりだ。

彼女の自由を奪うために、手足にスライムが触手のように伸び、
肌を舐めまわすように蠢き、巻きついてゆく。
「いやあああ!!誰か!助けてぇぇ!!」
(な、なにこれ!?ガムみたいにネバネバして離れない・・・)
張りつけられたように彼女は身動きが取れなくなった。


322 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−2 [2010/11/17(水) 12:06:19 ID:qOtcxOYA]
そしてスライムは、巻き取った彼女の足を包み込み、激しい蠕動を開始した。
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ・・・
「きゃああ!!やめてえええ!!放してええ!!」
スライムは彼女の足をぐちゃぐちゃとマッサージのように揉み解す。
振りほどこうと足を動かそうとするが、逃れられない。
彼女の抵抗もむなしく、スライムは彼女の体を侵し、細胞レベルで融合しながら、徐々に体の上のほうへ上がっていく
(あ、足の感覚が・・・わからない・・・)
彼女の足はスライムと同化していた。
もはや、どう足掻こうと助かることはない。

スライムはまだ穢れを知らぬその陰部にへ魔手を伸ばす。
同時にスライムの触手は彼女の豊満な胸へも伸び、下着のように包み込む。
「い・・いや・・・ああ・・く・・ぅん・・・はああ・・・」
(ああ・・・そ、そこは・・・)
彼女は顔を赤らめ、今までにもらしたことのないような声を出す。
(こいつ処女だな、最高だな!じゃあ、ゆっくり味わってやる)
最初は優しくなでるように刺激する。乳首にも刺激を与え、やがて胸を揉みはじめる。
(うっはwwwこのおっぱい柔らかいwww)
「い、いやあ・・・あぁん・・・や、やめ・・・ふぅあ・・・」
その様は、さながら性交の前戯のようである。
内側からも吸収するため、挿入するようにスライムは彼女の中に進入していく。
くちゅくちゅくちゅくちゅ
「んんん・・・あ・・・あああ・・・」
そして、スライムは彼女の陰部と胸を攻め、吸収し始めた。

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
「きゃああ!!あ、ああ!!んん!んあああん!!」
(気持ちいい・・・こんなの・・・初めてぇ・・・)
最初は吸収される恐怖からあげていた悲鳴が、喘ぎ声へと変わっていった。
「はあっ!!ああ!!ああん!あっあっあっあァあぁん!!んん!んあああん!!」
彼女の体は、犯され侵されていく・・・
胸の前で腕を十字に組み、その体を揺らし、悶える。
スライムは彼女の体を吸収しつつ、少しずつ上がってゆく。
腰が飲まれ、次はくびれの美しいウエストへ・・・
「あっあん!あっあぁァん!!あっあっあっあァあぁん!!あァん!あン!!
(ああ・・・もうだめえ・・・あたしおかしくなっちゃうよぅ・・・・)
彼女はその快感に身を堕としてゆく・・・・

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
「あ・・ああ・・ん・・ああん・・・ああ・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
次第に彼女は弱っていく・・・・
「あ・・ああ・・あ・あ・・・あ・・・あああ・・いや・・・あああ・・ああ・・・あ・・・・ん・・」
くちゅくちゅぐちょぐちょぐちゃぐちゃ・・・
かわいらしい喘ぎと、彼女を揉みこむ卑猥な音だけが響く・・・
その表情に恐怖感はなく、恍惚としていた

スライムは仕上げへと取り掛かった。
彼女を完全に吸収すべく、スライムが伸び、彼女の口へと進入していった。
「んんん・・・んん・・」


323 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−3 [2010/11/17(水) 12:07:27 ID:qOtcxOYA]
口内を侵される不快感に、彼女は体を激しく揺らした。
スライムに包まれているが、まだ吸収はされていない彼女の豊満な胸も揺れる。
(もう少しこのおっぱいを堪能しよう)
ぐちょぐちょぐちょぐちょ
「んん・・・んんん・・・」
やがて彼女の胸も吸収された・・・

ズブ、ズブブブブ・・・・
胸から上を残すばかりとなった彼女の体がスライムの中に沈んでいく ・・・
(もう・・・らめぇ・・・)
スライムに飲み込まれ、視界は闇に包まれたが、不思議なことに呼吸はできた。
やがて彼女は目を閉じた・・・
ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
彼女が見えなくなった後、これまで以上にスライムは激しく蠕動する。
完全に彼女は吸収され、残ったのは破られた彼女の衣服のみ・・・・・・

スライムはまた、人型になっていた。
「グフフフ!!最高だった」
だがそこにさらにもう一人女子高生が・・・
「あ、ああ・・・・」どうやら現場を見てしまったようだ
「ぐふふふ・・・今日は最高だ!!もう一人いただきま〜す!!」
「い、いやあああああああ!!」
ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ・・・


324 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−1 [2010/11/17(水) 12:08:22 ID:qOtcxOYA]
「いやああ!!助けて!!助け・・・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょちょちょちょちょ・・・
悲鳴は途中できられ、また一人の女子大生がスライム系の怪物の餌食となった。
このスライムは、生物の肉体を丸ごと吸収し、栄養分としている。
また、個体ごとに好みが違うらしく、この個体は人間の若い女を好む。
そして相手を油断させるために普段は人間に擬態しているのである。
いつも吸収した相手をすぐさま養分とするわけではない。
時には体内に保存し、時にはいったん排出し、さまざまなことに用いるのである。

「ぐふふふ・・・昨日は女子大生を一人頂いたから、
今日は女子高生を犯して、吸収しちまいたいなあ〜 ぐひひひ・・・」
彼はスライム状の肉体を活かし、あちこちを物色していった。
あまり人気がなく、そしてなおかつターゲットがいるところを探している。
「見〜つけた〜!!」と同時にその少女の目の前に降り立ち、
今、まさに女子高生が人気のない裏路地で男に襲われようとしていた。

「えっ!」突然あたしの前に男の人が降りてきた。
少女のほうにゆっくり歩いてきて・・・
「服などという不純物まで吸収するわけにはいかないな・・・ぐひひひ」
少女は服の裾をつかまられた瞬間、自分が置かれた状況を理解した。
「い、いやあ!!やめて!!あああっ!!」
少女の制服は男の手によって強引に破り捨てられ、下着姿となった。
「い・・・いやあ・・・」 (な、なに・・・変態!?)
逃げようとしたが、男の力は強く
次の瞬間には、男の手が黒色のブラとパンツに伸び、
「いやああ!やめてえ!お願い!!」(あたしの初めてはあの人にって決めてるのに!!)
やはり剥ぎ取ってしまった。 そのたわわな胸があらわとなる。
履いていた靴も靴下も奪われ、まだ穢れを知らぬ、その白く美しい裸体を晒すこととなった。

そして突然、男の体が崩れ、ピンク色がかかったスライムへと変貌していった。
彼女は腰を抜かし、その場に座り込み、胸は手で隠した。
「あ、あたしをどうするつもりなの・・・」
恐怖と羞恥が入り混じった表情と仕草、そして声がスライムを興奮させた。
「お前の体を吸収ししてやる。安心しろ、痛いことはない。優しく吸収してやる」キリッ
吸収!!!!そう聞き彼女の目が輝きだした。
「吸収って、あの、全身を包んで、ぐちゃぐちゃと・・・・」
「なぜ、私の栄養補給法を知っている・・・そう、私は体を半液状化させ、体を丸ごと取り込むのだ。
何百年もそうしてきた。どうした、怖くなったか?」キリッ
(うれしいわwwwあたし吸収願望があるのよね)

325 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−2 [2010/11/17(水) 12:09:29 ID:qOtcxOYA]
「ほう・・・よく見るとなかなか、いい体をしているな。
腰はほどよくくびれ、胸は大きすぎず、そして美しい白い肌。
顔もかわいいではないか。これは吸収しがいがある」 (ぐひひひ、やべーtinkたつwww)
実際に今まで言われたことのない言葉に顔を赤らめつつ、
「いいよ・・・あたし、あなたとひとつになってあげる・・・
あたし、スライムのようなものに吸収されるのが夢だったの・・・
きっと気持ちいいんだよね・・・ねえ、お願い気持ちよくさせて・・・」
その言葉に男は興奮した。胸を隠しながら、上目づかい、涙目にも。
やがて少女は立ち上がり、手を広げ・・・
「来て・・・」
「うっはwwwもう我慢できねえええ!!いただきま〜す」

ああ・・・これから私、吸収されるんだ・・・・
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐ
彼は元の姿に戻り、少女へと、その魔手を伸ばした。
まずは彼女を逃がさないように足を包み込んだ
「あああ!!!!」(思ったよりあったかい・・・)
スライムはぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てながら、彼女の足を揉み解す。
(気持ちいい・・・)
ためしに彼女は足をスライムから引っこ抜こうとしたが、自分の足とスライムの境目が分からなくなっていた。
「これが、吸収・・・」
たいていの女性は、こいつに襲われるとまず悲鳴を上げ続け激しく抵抗する。
やがてスライムが女性の性的に感じる部分を吸収し始めると、恐怖と喘ぎが入り混じった悲鳴となる。
セックスと同じような刺激を与え、徐々に自由を奪うのだ。
ついにはあきらめ、スライムに身を任せ、絶望と快楽とともにスライムの中に消えてゆくのだ。
しかし、特殊な性癖を持つ彼女はこの状況を楽しんでいた。
「ああ、ゆっくり味わって吸収して・・・あたしを気持ちよくさせて・・・」



326 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−3 [2010/11/17(水) 12:12:13 ID:qOtcxOYA]
やがてまだ穢れを知らぬその陰部にへ魔手を伸ばす。
同時にスライムは触手のように伸び、彼女の豊満な胸を下着のように包み込む。
「い・・いや・・・ああ・・く・・ぅん・・・はああ・・・」
(ああ・・・そ、そこは・・・)
彼女は顔を赤らめ、今までにもらしたことのないような声を出す。
(こいつ処女だな、最高だな!じゃあ、ゆっくり味わってやる)
最初は優しくなでるように刺激する。
その様は、さながら性交の前戯のようである。乳首にも刺激を与え、やがて胸を揉みはじめる。
(うっはwwwこのおっぱい柔らかいwww)
「はあはあ・・・」
彼女の腕は自然とスライムに包まれた胸に伸び、自らも揉み始めた・・・
(あ・・・あああ・・・気持ちよすぎるよぅ・・・・)
「まだまだ是からが本番だぜぃ。」
内側からも吸収するため、挿入するようにスライムは彼女の中に進入していく。
くちゅくちゅくちゅくちゅ
「んんん・・・あ・・・あああ・・・」
そして、スライムは彼女の陰部と胸を攻め、吸収し始めた。

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
「きゃああ!!あ、ああ!!んん!んあああん!!」
(気持ちいい・・・こんなの・・・初めてぇ・・・)
彼女はその快感に身を堕としてゆく・・・・
「はあっ!!ああ!!ああん!あっあっあっあァあぁん!!んん!んあああん!!」
彼女の体は、犯され侵されていく・・・
「あ・・・ああ・・私の体が、スライムと同化していく・・・・・」
彼女の体に巻きつくように広がり、同化していく
その快感により、彼女の手は胸を離れ、完全にスライムにその身を任せた形となった。
「うわあああwwwこいついい!!最高の餌、最高の女だ!!」
「あっあん!あっあぁァん!!あっあっあっあァあぁん!!あァん!あン!!
(気持ちいい!!うれしいわ!夢がかなっ・・あん!!きゃん!!)
胸の前で腕を十字に組み、その体を揺らし、悶える。
スライムは彼女の体を吸収しつつ、少しずつ上がってゆく。
腰が飲まれ、次はくびれの美しいウエストへ・・・




327 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−4 [2010/11/17(水) 12:12:43 ID:qOtcxOYA]
次第に彼女は弱ってゆく・・・・
「あ・・・ああん・・・あ・・・ああ・・・あん・・・」
(あぁ・・・私、吸収され・ぁぁん・・・いるんだ・・この人のんんぁぁん・・・体の一部になってるんだ・・・)
かわいらしい喘ぎと、彼女を揉みこむ卑猥な音だけが響く・・・
その表情に恐怖感はなく、恍惚としていた

スライムは仕上げへと取り掛かった。
彼女を完全に吸収すべく、スライムが伸び、彼女の口へと進入していった。「んんん・・・んん・・」
彼女は体を激しく揺らした。
スライムに包まれて入るが、まだ吸収はされていない彼女の豊満な胸も揺れる。
(もう少しこのおっぱいを堪能しよう)
ぐちょぐちょぐちょぐちょ
「はあ・・・あああ・・・」
やがて彼女の胸も吸収された・・・

ズブ、ズブブブブ・・・・
胸から上を残すばかりとなった彼女の体がスライムの中に沈んでいく・・・
彼女の体が完全に飲み込まれようとしていた。
(ああん・・・もう終わり?・・・もっと・・・もっと、ちょうだい・・・)
スライムに飲み込まれ、視界は闇に包まれたが、不思議なことに呼吸はできた。
やがて彼女は目を閉じた・・・

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
彼女が見えなくなった後、これまで以上にスライムは激しく蠕動する。
完全に彼女は吸収され、残ったのは破られた彼女の衣服のみ・・・・・・


328 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/17(水) 21:48:44 ID:u7C2b0HZ]
全身吸収ものバンザイ!



329 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/18(木) 01:14:22 ID:GmSilb0s]
たまには吸収も良いね。捕食者とヒ捕食者が会話してるのが面白かった。

330 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 04:26:52 ID:6gncwAl7]
エロいなあ
こういうの大好きだ

331 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 17:55:40 ID:QRwIj9p2]
そういえば人体転送で、スキャニングするのに物質を脳味噌でもなんでもシュレッダーでスライスして転送先で合成するなんて話があるけど、
吸収する際にそれやって人格や記憶毎コピーしちゃう化物っていないかな?

332 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 17:59:51 ID:jkxhbhWQ]
>>331
スタトレの転送機とレプリケーターか
ベルセルク最新刊の「海神」がまさにそれだな

333 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/26(金) 23:14:18 ID:cXFCM4Yc]
>>302の続きを投下します。

334 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:15:14 ID:cXFCM4Yc]
 その日、実験が行われた。
 巨大な怪獣が、全身をバラバラにされて封印された状態で発見されたのが数年前。
 その怪獣の口から採取された蟲がアルコール中で増殖することが確認されたのが数日前。そして
今日、少女たちの肉体にそいつらを植え付けて、時間ごとの変化を観察することになった。
 90度に近い角度で立てられた手術台。
 磔状態に近い姿で、手足を手術台に縛り付けられた全裸の少女。
 そして、その足元からは、ヒルや蛆虫を思わせる蟲の大群が這い上がっていた。
 
 ただ、時間ごとの変化を記録するビデオカメラが。
 無機質な音を立てて動き続ける。

 2時間後、部屋に一人の少女の姿があった。
 肌の色は抜け落ちて紙のように白く、頭は数倍に膨れて宇宙人のよう。ブヨブヨと蠢いている頭皮
の下には、無数の蟲が犇いている。彼女は全身に蟲を取り込み、そのまま生存していた。
 少女は人間の苦痛や恐怖の分泌物を餌とする蟲海の中で、蟲との共生に成功した初めての人間
だった。もっとも、蟲と共生した時点で、内外ともに「人間」ではなくなっていたが。
「お腹空いたなぁ……」
 蟲に適合し、蟲と同じ能力を持つ。
 蟲に適合し、蟲と同じ能力を持ち、蟲と同じく、人間を貪る。
 怪人アペカは、『叡智の冠』総本山から、この世界に産声を上げた。

 …………………………………………
 ………………………

335 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:16:50 ID:cXFCM4Yc]
 その日はとても太陽が眩しく、気温も高い一日となった。
 山を囲んで広がる都市を、ぐるりと見渡せる丘の上で、2人の少女がキャンプ用の折りたたみ椅子
に座っていた。周囲ではスーツ姿の大人たちが慌しく動いており、とてもピクニックに来たような集団
には見えない。人気の無い区域に陣取る大集団は、不気味な雰囲気さえ感じる。
 しかし、この場所はパワースポットとして、一種のマニアには定評のある場所だった。
 年に10以上の集団が怪しい儀式を目的にして訪れており、管理者の行政側も、信教の自由との
兼ね合いもあり、火気を用いなければ、ある程度の集会までは黙認していた。
 宗教団体『叡智の冠』は、隣接する市にある大学のダミーサークル名で、この場所の使用許可を
得ていた。勧誘用の組織とは違い、会場の予約やイベントの使用許可などを取る際に用いている団
体なので、宗教絡みの組織とは思われておらず、手続きは滞りなく完了していた。
 それは都市に未曾有の災いをもたらす。
 しかし、そんなことを、この時点では誰も意識していない。
「へえ、アペカ様は、最初はご両親と一緒に教団に入ったのですか。ご両親そろって、というのは、
最近では珍しくなりましたけれど、アペカ様の時代はまだ多かったんですか?」
「過渡期でしたね。教団から子供を奪おうとして、訴訟が多く起こされていた時期です。当時は今ほ
どマスコミ対策をしていませんでしたから、新聞などで大きく教団批判の記事が出ていました」
「ああ、たまに聞かされます。当時のドタバタは」
「今では、落ち着きました。ネットでは、「日本7大カルトの4番手」なんて呼ばれて批判されてますけ
れど、失礼してしまいます。私たちが、頭のおかしい集団の中堅だって言うんですよ」
「頭がおかしいのはどっちだって話ですよね」
 特注品の大きな麦藁帽子をかぶったアペカは、藤村の護衛と、他愛ない話をしていた。

336 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:17:21 ID:cXFCM4Yc]
 ピンク色の子供服を纏い、外見は幼女にしか見えないその護衛は、名を樹里という。親から教団
に売られ、素質を認められて「改造」され、人間でなくなった一例だった。
 300年の歴史の中で、組織の姿を変えながら存続してきた『叡智の冠』は、その過程で、人々から
異形や妖怪と恐れられた怪物の類を、組織に招き入れていた。そして、怪物から得られる、図鑑の
存在しない生態系は、医学の進歩とともに、独自の生物学として教団内で確立されていった。
 人間を異生物に変異させる方法。
 人間に異生物の組織を移植して寿命を延ばす方法。
 異性物と交配させて子孫を造る方法。
 いずれも、現在の法律には何かしら抵触するような内容ばかり。
 教団で、それらの知見を統括するポストにいたのは、藤村という熱狂的な女性研究者だった。その
護衛は、彼女が直に改造を行ない、人間で無くなった者が多くいる。
 首から下がゴリラの肉体に変化した森村、1メートル近い鉤爪を生やした半分トカゲの藤木、両肩
から半透明の触手を伸ばす小太りの樋口、果実のように垂れた3つの頭部を持つ丹羽……。
 皆、藤村の教え子で、彼女が改造して怪物となった者たちである。特に人間の肉を好んで食う嗜
好があるが、それは怪物の組織を取り込んだ副作用だった。眼前の樹里は、単純に「草食」「肉食」
のカテゴリではくくれないが、彼女もやはり、人間と同じ食物で生きているわけではない。
 最初、彼らは皆、人間に近い嗜好を残していた。
 しかし、人間の肉を食べているうちに、精神さえ人間から乖離していった。
 人間を食料としか見れなくなり、自分のことも人間だと見れなくなった。皮肉なことに、人間の肉を
摂取するほど、彼らの中で人間の心は消えていき、ついに無くなってしまった。

337 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:17:48 ID:cXFCM4Yc]
「アペカ様、こちらをどうぞ。藤村先生のお気に入りですよ」
 樹里はぎこちない手つきでアイスクリームの袋を開くと、カップアイスを銀色のスプーンといっしょに
アペカに差し出してきた。海外の有名洋菓子店から取り寄せている一級品である。
「うん、ありがとう」
 カップを手に持つと、アペカの手の感覚を、冷気が優しく奪い去っていった。
 白いアイスの表面をスプーンで削ぎ取り、ぱくりと口に運ぶ。
 冷たい塊が舌の上でみるみる溶けていき、ほんのりとした甘みが口内に広がっていく。しかし、甘
みはしつこいものではなく、一瞬で喉を通り抜けていくので、すぐに次の一口を食べたくなった。
「驚きました。どんなゲテモノかと思ったけれど、このアイス、美味しい」
「先生は少々特殊な嗜好の持ち主ですけれど、味覚は普通だと思います……」
 アペカはスプーンでアイスをすくい、再び口に運ぼうとしたところで、手が止まる。
「私は」
「はい?」
「本当に、人間でなくなったのだと、改めて思いました」
「アペカ様……?」
「これほど美味しいアイスを食べていても、私の食欲は、やっぱり人間を食べることを求めています。
頭の中にいる蟲と同じように、人間が苦痛や絶望や恐怖を感じた瞬間の分泌物を、お腹一杯になる
まで貪りたいのです。人間が食べたい。人間を思い切り痛めつけて、ズタズタにして、微塵切りにし
て、脳味噌から出るエキスを頬張りたいのです。全身の穴という穴に針を打ち込んで絶叫している
人間の甘い血を、お腹が破れるまで飲み続けたいのです。なのに」

338 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:19:09 ID:cXFCM4Yc]
 アペカの巨大な頭の、皮膚がぶよぶよと蠢いた。
 彼女の頭蓋骨の周囲にびっしりと寄生した蟲が、何かに興奮して暴れている。それがアペカの食
欲に呼応したものだったが、それはまだ、彼女にも分かっていないことだった。
 そして、口から涎を垂らして、人間を求めている彼女の目からは、同じくして大粒の涙がポロポロと
伝い落ちていた。それは自分の欲求に対して、戸惑っているように見える。
 まるで、人間を食べることを是とした自分に、恐怖を覚えているようだった。
「大丈夫です。アペカ様」
 震えるアペカに、樹里は横から腕を回して、優しく抱き寄せた。そして、涙に濡れたアペカの頬を自
分の頬と擦り寄せるようにして、大きな頭をゆっくりと撫ぜながら、語りかける。
「私も生まれ変わってすぐは、とても不安になった時期がありました。食べる物が急に変化したせい
で、心がまだ対応できていないんです。アペカ様も、少し前までは人間だったのですから、同じ人間
を食べて生きていくことで、心に齟齬が生じるのは当然です」
「樹里も、そうだったの……?」
「私も人間を食べますが、それまでと食べるものが全く変わってしまいましたから、自分が何なのか
分からなくなりました。これまでの自分が否定されるようで。とてもとても孤独で。でも、あるときにふ
と気付くのです。これが、本当の自分なのだと。私は、今の私が、本当の私なんです」
 とても優しいが、鋭利な刃物のような色を帯びた樹里の声。
「アペカ様も、もっともっと人間を食べれば、落ち着かれますよ。丹羽さんたちなんて、最近は女性の
方にマヨネーズやドレッシングまでかけるようになって、まるでトマト……」
 アペカはびくりと震えて視線を向けると、樹里は無垢な笑むを浮かべて答えた。そのとき、

「準備完了! 作成開始よ!」

 響き渡ったのは、狂人の叫び声。



339 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:19:48 ID:cXFCM4Yc]
 それは、平穏な時間の、終わり。
 それは、視界に広がる都市の、平和の終焉。
 今日、社会的に人畜無害とされていた宗教団体『叡智の冠』は、仮面を脱ぎ捨て、内部に蓄えて
いた戦力を開放し、都市に対する大規模なテロ攻撃を実行しようとしていた。
 準備を整えた藤村は、無数の護衛を率いて、アペカの前に立つ。
 そして、にっこりと笑った。
 蛇が虚空を泳ぐような髪型と、暗い執念に満ちた目は、もう人間のものにさえ見えないほど変わり
果てていた。内面は既に、人間の側には立っていなかった。
「アペカ、貴女の出番よ?」
 藤村に促され、アペカと樹里は椅子から立ち、準備が終わった広場に向かう。
 元々、教団でも原理主義的な派閥であった藤村派が、他派の反対を押し切る形で行動に出た理
由は、巨大頭の少女、アペカが得ていた能力にあった。
 それは、蟲が持つ能力と、全く同じ能力。
 しかし人間の知性を持った者に宿った瞬間、それは、『叡智の冠』の理想世界を創れる道具に変
化していた。しかし、代償として、アペカ自身は肉体への負荷で、残された時間は少なかった。
 『数年でこの世から消えてしまう、理想の世界を創れる道具』。
 それが、狂信者たちを駆り立てた。
 教団内で信者への教育を主に担当していた藤村の一派は、彼女を巫女と担ぎ上げるや、教典の
中だけの話だった聖界フィルールを現実のものとするため、いち早く動いた。暴走に近い勢いで人
体実験を繰り返して研究成果を上げ、教団内の強硬派を吸収して膨れ上がった。
 『叡智の冠』は、完全に、藤村派とそれ以外に分かれてしまっていた。
 何のことは無い。藤村派は、人を殺せば願いが叶うと言われて、人を殺すことができる集団だっ
た。それ以外は、人を殺すまではできない集団。それはしかし、決定的な差だった。

340 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:20:28 ID:cXFCM4Yc]
「いよいよ、私たちの夢の第一歩ですね」
「…………」
「人類に、叡智の冠を被せることこそ、私の生まれた意味……胸が熱くなります」
 嬉しそうに微笑む樹里の横で、しかしアペカは無言のままだった。
 広場では、藤村の側近の瓶底眼鏡の男女が、スーツケースの封を開けていた。藤村派の中でも
特に狂信的な2人の男女は、既に精神の半分以上を、理想の世界に侵食されていた。
 教団内で研究職にある2人の視界には、既に革変後の世界が広がっているという。
 狂人と呼んで問題の無い領域に達している、危険な存在だった。

 彼らにより、スーツケースから取り出されたもの。

 椰子の実サイズの、青い「種」。
 
 黒く硬い表面に、血管にも見える青い網目模様がかかり、まるで生物の内臓のように微かに鼓動
している。煙のように立つ黒い瘴気が邪悪さを証明しているようで、誰も近寄ろうとはしない。
「これこぞが、今回の私たちの傑作なのです」
 瓶底眼鏡の男が誇らしげに巨大な種を見せびらかすと、瓶底眼鏡の女も「うんうん」と何度も首を
縦に振っている。余程の傑作なのだろう、眼鏡の奥の瞳には、歓喜の涙さえ浮かんでいた。
 多くの人間と異形の肉体を、捏ね繰り回し、切り刻み、弄んで造られた、もの。
 彼らは、それを完成させるまでに、どれだけの命をモルモットにしたのか。
 男は、手から滑らせるように種を地面に落とした。すぐに、女が巨大なジョウロを両手に持ち、落下
した種に水をかけはじめる。まるで花壇に水をやるような仕草だった。

341 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:22:34 ID:cXFCM4Yc]
 放物線を描いて浴びせられる水を受けて、種はまるで震えているように動き始めた。
 そして、地面の中に埋もれていく。
 地中の禍々しい気配は、そのまま都市のほうに向かっていった。
「ずいぶん頼りないサイズだったけれど、期待して良いのかしら?」
 どろりと粘りつくような殺気を帯びた声で、狂信者たちの首魁は微笑んだ。瓶底眼鏡コンビは満面
の笑みを浮かべ、彼女に向けて、頭を地面につける。
「あれが小さいのは、今だけでございます!」
「次に地上に出たときは、とってもデカくなって、強くなっています!」
 地面にひれ伏した眼鏡たちの前で、藤村はにやりと邪悪に微笑んで、眼下の都市を見る。
 そこは、人食い怪物の狩場となる、悲劇の舞台。

 …………………………………………
 ………………………

 地中の中で、そいつは皮を破り、ゆっくりと膨らんでいった。
 体躯が膨張するにしたがって、空腹感もまた、膨れていた。

 …………………………………………
 ………………………

「ん?」
 最初に異変に気付いたのは、偶然その場を通りかかった大学生。
 いつもの道は舗装の修復工事が行われて、通行禁止になっていたので、いつもは通らない路地を
歩いていたところ、アスファルト舗装が数メートルに渡って割れていた。

342 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:23:10 ID:cXFCM4Yc]
 それは、まるで地面の下から何者かに突き上げられたかのように隆起していたが、彼は先ほど見
た工事と関連付けて、ただ舗装が傷んでいる程度にしか感じない。しかし、眼前で音を立てて舗装
が割れ始め、下から巨大な生物が現れたとなっては、仰天する以外には無かった。
「な………なぁ…………なんだ、こいつ!?」
 割れた地面から這い出たのは、全長10メートルはある巨大な肉塊だった。表面は腐敗したキャベ
ツのように黒い薄皮が何枚も重なり、動くとゴムのように柔軟に形を変える脂質体。
 底部は吸盤と柔毛が無数に付いており、それらを器用に動かして移動している。
 声を聞きつけて、近くから多くの人々が集まってきている。元より、道路工事で迂回路として誘導さ
れているこの場所には、普段の数倍の人間が最初から存在していた。
 人々は戸惑いながらも離れて警察に通報したり、携帯電話で写真を撮影したりと反応を見せた。
一部には動画サイトに映像をアップしようと、デジカメを構える準備の良い者までいる。
 小太りの若者がカメラを向け、痩身の男性が後ろに続く。
 そのとき、怪物の表皮がべりべりと破れ、鋭い牙が生えた口が現れた。10メートルの巨体の前半
分に切り込みを入れたかのような大口は、人間ならば顎が外れるレベルまで開かれている。
 怪物の表皮から赤黒い触手が飛び出して、前方の男二人を絡め取り、口に運ぶ。
 悲鳴と絶叫が木霊する中、男たちの上半身が食い千切られ、鮮血が散った。
「くっ、喰いやがったっ! 逃げろ、逃げろおおおっ!」
 最初に異変を発見した大学生は、絶叫しながら走り始める。しかし、高速で伸ばされた触手が、幼
い少女や、通りすがりの主婦といっしょに、彼の身体を巨大な口に引きずり込んでいく。
「離せええっ、止めろおおおっ! くそっ! ウソだろ! こんなのっ!」

 …………………………………………
 ………………………

343 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:24:05 ID:cXFCM4Yc]
「どうですどうです! すごいでしょー! いけーっ! もっと食べて食べてーっ!」
 瓶底眼鏡の女は、目から涙を流して、自分の造った怪物の出来に狂喜していた。地上に現れた怪
物が通るルートをなぞるように、爆発音や黒煙が都市から立ち昇る。
 この後、怪物は繁華街を食い荒らした後、都市の中央にあるショッピングモールを経由して、災害
時の避難場所に指定されている学校の体育館や公園を攻略する予定である。
「あの子の見ている景色は、こちらでも確認することができます!」
 瓶底眼鏡の男は発動発電機をモニターに繋ぎ、スイッチを入れる。
 映されたのは、都市を左右に区切っている国道の様子だった。
 車を乗り捨てて道路に溢れ出し、必死に逃げる人々の姿と、彼らを捉えようと伸ばされる触手が映
し出された。モニターのアンテナには青い蔦が絡んでおり、それは都市で暴れる怪物と、何かしらの
繋がりを持っているようだった。しかし、眼鏡男は、必要ないとばかりに、仕組みは説明しない。
 無数の悲鳴が大音量の合唱となり、地獄のような映像のBGMとなる。
 細い触手が画面を薙ぐたびに、逃げ惑う人々が車ごと吹き飛ばされて鮮血が噴き、触手に捕らえ
られた人々が、画面の下端、ちょうど怪物の口がある位置に、絶叫とともに運ばれていく。
「では、私もはじめましょうか」
 アペカが笑みを浮かべて、都市に向けてゆっくりと歩み出る。
 その上空には、周囲の雲を押し退けるようにして、暗黒色の球体が浮いていた。空の一部を占拠
する巨大物体はしかし、現状ではアペカ以外に視認できる者はいない。

「聖界フィルール、構築開始」

 モニターの中は既に、何十重にもぶちまけられた血で、黒く塗り潰されている。
 それを見て笑みを浮かべたアペカの目が、怪しく光り輝いた。

 …………………………………………
 ………………………

344 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:24:54 ID:cXFCM4Yc]
 街の人全てを救えるなどと、自惚れてはいなかった。
 ただ、モールにいるはずの親友たちを救出して、安全な場所まで運ばなければならない。
 それだけの感情でも、今の彼女を動かすには十分過ぎるものだった。
 防災放送や救急のサイレンで騒然となる中、逃げる市民たちの真上、ビルの屋上から屋上に飛び
移る影があった。チェックのワンピースを着た華奢な体躯。大きな瞳には、ショッピングモールにいる
親友たちの安否と、平和な街を蹂躙する侵略者への怒りが宿る。
 眼前に黒々と立ち昇る無数の煙と、流れてくる血の濃い匂いは、騒動の震源地で起きている大殺
戮を物語っていた。1分、1秒ごとに、人間の命が消されている。
 警察の手に負える事態でないことは、その目で見れば、子供でも理解できる。
 脅威は今や、ショッピングモールのすぐ近くにまで達していた。もしも友人たちがモールから逃げ遅
れていた場合、現状では否応なしに死に直結してしまう。

(みんな……! お願い……! 無事でいて……!)

 少女の名は、佐久島アスカ。
 不安で目から零れそうになる涙を堪え、勇ましく向かう先は地獄の戦場。
 密かに街の平和を守り続けていた少女は、最後の戦いとなる場所に近づいていく。






345 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/26(金) 23:26:17 ID:cXFCM4Yc]

続きの一部。
>>40

続きの残りはそのうち。
ではまた。



346 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 00:13:00 ID:AjeucdN7]
熱い展開になってきた
これは続きが気になる!

347 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 00:35:01 ID:OyuQx3Sy]
やべえ、今までのいろんな話をまとめて一つの線で繋げられちゃったりするんじゃないかこの設定って。

読んでたらセキレイと屍鬼の混ざったイメージが生まれたのはなんでだろうか?

348 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 18:44:56 ID:aRcJsG88]
ふう、眼福眼福
この機会にもう一度アスカの悲惨な戦い読み返してきます
GJでした!



349 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/10(金) 15:01:22 ID:pcQyxZ+a]
接触だけで相手を自分の身体の一部に変えてしまう超生物な話がよみたい

350 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/12(日) 05:03:45 ID:5J0m+fgh]
前から話題に挙がってたエデンの檻で直球な捕食シーンくるかな
怪鳥の腹を掻っ捌いて、ウ○コに変換される途中の人間らしき物体が出てくるシーンでもあったら俺得

351 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/16(木) 22:16:01 ID:fa8dlj7K]
pixivにいい捕食小説あがってた

352 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/27(月) 01:10:35 ID:6UF1v09A]
>>344の続きを投下します。
残酷表現がありますのでご注意ください。

353 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:12:08 ID:6UF1v09A]
 こんなことになったのは、私がワガママを言ったバツなのだと思いました。

 久しぶりにパパが家にいてくれて、だからどこかにあそびに行きたいと言いました。
 「パパは毎日の仕事で疲れているのだから……」、としかるように私に言ったママに、私は大声を
上げて反たいしました。だって、いつもお仕ごと、お仕ごとって、私も、お姉ちゃんも、もうずっと家ぞく
であそびに行っていないのに、パパもママもそれを全ぜん分かってくれなくて。
 私たちのためだから、って、いつもいつも、同じ言いわけばかり。
 大声を上げて、スリッパでゆかをダンダンとふんで、私はお出かけしたいとさけびました。
 ソファに横になって新ぶんを読んでいるパパに、とてもよく聞こえるように。
 新ぶんなんて小さな字ばかりで、テレビらん以外はおもしろくもないのに、言うことを聞いてくれず
に、おもしろくない新ぶんを読んでいるパパにも、私はかなり怒っていました。
「ごめんなさい」
「ワガママを言ってごめんなさい」
 家ぞくみんなであそびに行くことになったあとも、なんだか私がうるさく言ったからあそびに行くこと
になったような空気がちょっといやで、パパやママに話しかけられても、私はほっぺをプウっとふくら
ませてまどのけしきを見ているだけで、話をしませんでした。私はその時、すねていたのです。
「ごめんなさいが言えなくてごめんなさい」
「ありがとうが言えなくてごめんなさい」
 これから私は、いい子になります。
 もうどこかにあそびに行きたいなんて、ワガママは言いません。パパとママの言うことは、きちんと
守ります。あいさつもきちんとします。宿だいもきちんとやります。きらいなヒジキとかぼちゃも食べま
す。だからおねがいします。だから神さま。私の、今日のワガママを、なかったことにしてくだい。
 神さま、おねがいですから、時間を、もどしてください。

354 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:14:05 ID:6UF1v09A]
 私がワガママを言って、家ぞくであそびに行くことになった、あのときに。
 おねがい、早くしないと、パパとママが……。
「……! ……!」
 お姉ちゃんが私の手をにぎって、泣きながら、何か言っていました。
 でも、私には、お姉ちゃんがなにを言っているのか、聞くことができませんでした。
 …………………………………………
 ………………………
 車両が数珠繋ぎになって停車し、人々は悲鳴をあげ、車両の隙間を縫うように逃げ惑っている。血
を流している者や泣いている者も、老いている者や若い者も、皆が恐怖で顔を歪めていた。
「どうしたの? ねえ! 何か言ってよ!」
 呆然と立ち尽くしている少女の腕を引いて、彼女の姉は必死に呼びかけを続けていた。妹の反応
が無くなってから数分になる。2人は双子らしく、髪を腰まで伸ばしているか、肩の辺りで切りそろえ
ているかの違いこそあるものの、愛らしい顔は鏡に映っているかのように等しかった。
 空ろな顔でぶつぶつと何かを呟いている、髪の短い妹。
 その視線の先にあるのは、玉突き事故に巻き込まれた軽自動車が、黒い煙を噴いて停車している
光景だった。運転席には、スピンした別の車両が突き刺さるように衝突しており、割れたフロントガラ
スの奥では、ひしゃげたドアが衝突の衝撃で中にめりこんでいる。
 運転手と思しき男性は、座席とドアに挟まれる形で、押し潰されていた。意識は無いようで、ぴくり
とも動かない。助手席の女性も意識は無い。頭から血を流したまま、前に倒れかかっている。
 彼らは果たして、双子の少女の妹にとってどういう存在なのか
 それは最後に交わした言葉が罵声だったという、彼女の両親だった。
 反省する時間など意味はない。後悔するための時間も、何も意味もない。
 今、この瞬間にも、別れの瞬間が迫っているのだ。人間、いつかは死ぬ。それが早いか、遅いかを
決めるのは、少しの良い行いと、少しの運と、あまりに無慈悲な、他者の巨大な悪意。

355 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:16:11 ID:6UF1v09A]
「パパ……ママ……」
 虚ろな表情で立ち尽くす、双子の妹。
 連鎖した車両から立ち昇る黒煙が、風に吹かれるカーテンのように揺らぐ。
 喧騒を振り払うように轟音が響き、煙の奥から飛び出してきた触手が、逃げ惑う人々を一斉に薙い
だ。それだけで、人間は、頭と胴体が千切れ、腹と腰が千切れ、バラバラになって飛んでいく。彼岸
花のように無数に咲いたのは、爆発した血飛沫と四散した臓物の華だった。
 俊敏に宙を泳ぐ触手は、逃げ惑う獲物や残骸を集め、煙の奥に引きずり込んでいく。すぐに聞こえ
てきた断末魔の声と、肉や骨を噛み砕く音が、嫌でも生存者たちの耳に届いてしまう。
「……あのね……パパとママ……私は……」
 姉は妹の手を引いて逃げようとするが、妹の足は石のように動かない。
 早く逃げなくてはいけないと分かっていても、視線を車から逸らした瞬間が両親との別れになると
理解している彼女は、どうしてもその場から動けなかった。ときに厳しく、ときに優しい両親の顔が、
浮かんでは消え、浮かんでは消え、いままでの思い出が、洪水のように心を満たしていく。
 それはもちろん、手を引く姉も同じだった。
 しかし、妹が一時狂乱状態だった分、彼女は冷静にならざるを得なかった。
 それでも、目は真っ赤に充血して涙が溢れ、歯を食いしばらなければ号泣しそうになる。両親から
離れたくはないし、置いていきたくもない。しかし、彼女には両親の代わりに、姉として妹を守らなけ
ればいけないという意思があった。ここに留まっていれば、間違いなく殺されてしまう。
 逃げなければならない、突然現れた、あの悪夢のような怪物から。
「!!!!」
 瞬間、彼女の両親は ――ぐしゃりと車ごと踏み潰された。
 軽自動車を押し潰し、煙のカーテンを破って現れたのは、黒ずんだ表皮から触手を生やした巨大な
怪物だった。腐敗したウミウシを思わせる外見のそいつは、突然国道に乱入して両車線で玉突き事
故を引き起こし、そして逃げ惑う人々を虐殺し、喰らい始めたのである。

356 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:17:36 ID:6UF1v09A]
「うわあああああ! こっちに来た! 逃げろ!」
 様子を窺っていた人々も、怪物の進行方向が自分側と分かるや、道路を走って逃げた。
 停車した車両は鎖のように延々と連なり、人々はボンネットの上によじ登り、国道から左右の市街
地に分かれて散っていく。しかし、追跡する怪物の触手は本体から蔦の様に伸び続け、50m先の人
間まで数秒で追いついてくる。機動力が最初から違いすぎた。
 何十本もの触手が空を切り、人間の胴体を刺し貫く音が機関銃のように連続する。
 赤い血煙が国道から空に巻き上がった。
 運良く触手の攻撃に遭わなかった人々も、硬直して動くこともできない。なぜなら、今の攻撃は明
らかに、よく動いていた獲物を狙っていたものだったからだ。次に動けば標的になると感じた人々は
どうすることもできず、怪物の射程範囲に縫い付けられていた。
「う……? うう……」
 ショックのせいだろうか、双子の妹の反応が戻り、姉は思い切り抱きしめる。まだ幼い双子の姉妹
でさえ、もう自分たちが助からないと理解していた。それほど、怪物の攻撃は圧倒的だった。
 周りには、双子のほかに、長い金髪の少女が1人、青い洋服を着て立ち尽くしていた。
 金髪は地毛らしく、歳は双子より少し高いように見える。家族の姿が見えないことをみると、双子と
同じく事故に巻き込まれたらしい。表情は整っているが無表情で、まるで彫像のようだった。
「理央……」
「真央お姉ちゃん……! 私……私ねっ……パパとっ、ママにっ!」
 真央と呼ばれた姉は、妹の理央を胸に抱きしめて、怪物の姿を視界から隠した。せめて少しでも、
周りの怖い光景から妹を守るかのように。それが、今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。
「天国でパパとママに会えたら、いっしょに、ごめんなさいって、しようね」
 真央の呟きに、理央は姉の胸の中で、無言で頷いた。

357 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:19:25 ID:6UF1v09A]
 …………………………………………
 ………………………
 国道は阿鼻叫喚の洪水と化していた。
 うずくまる双子と立ち尽くす金髪少女の周りでは、胴体や胸を刺し貫かれた人間、腕や足を失った
人間、触手に切断されて胴体のみの人間、頭の上半分の残骸、車両に押し潰されて半分ミンチにな
り、臓器や骨を露出させた人間などの影が、肉片と内臓と血の海の中でぐちゃぐちゃとのたうちなが
ら広がり、壊れた楽器のように掠れた悲鳴や呻き声を迸らせていた。
 彼らはいずれも、死んだ瞬間の姿で固定されている。
 死んだ瞬間の姿で漂っている幽霊だといえば、あまりに陳腐に聞こえるが、実際に死体が大量に
転がる中、死屍累々の光景に重なりあって蠢く死者の大群は、凄惨の一言に尽きる。
 胴体を切断されて内臓を飛び散らせたものは上半分と下半分が別々に動き、飛び散った内臓もナ
メクジのように道路を這って動いている。何十人分もの肉体の残骸が絡み合い、内臓や骨がお互い
に押し合い、頭皮と髪の毛のみになった女性や、手だけが動き回る老人、汚物を垂らしながら蛇の
ように動く腸、割れた頭から垂れた脳漿が……お互いに干渉し、絡み合っていた。
 地獄絵図と表現しても誇張ではない光景が、そこに存在していた。
 彼らは何れも、死んだ直前の苦痛を感じ続けているらしい。
 人食い怪物の周りでも、ミンチ肉と化して唾液と絡まった人間の塊や、中途半端に噛まれて胃に
送られたのだろう、全身が酸で真っ赤に焼け爛れた人間、さらには頭から腰にかけて水分を吸い取
られて腸液と絡まり、上半身が茶色い糞便と化している者までいる。
 苦痛の声が国道に溢れた。
 泣き叫ぶ声が国道に溢れた。
 死んだままの姿のまま、人間が国道に溢れかえる。
 しかし、残されている、生きた少女たちは、しかし、そこ光景を見ることはない。

358 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:20:48 ID:6UF1v09A]
 周りに展開されている地獄を、目でも耳でも感じることは無い。
 生者と死者の違いが、彼女たちを悪夢のような世界から守っていた。
「理央……」
「真央お姉ちゃん……! 私……私ねっ……パパとっ、ママにっ!」
 真央は、理央を胸に抱きしめて、怪物の姿を視界から隠した。せめて少しでも、周りの怖い光景か
ら妹を守るかのように。それが、今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。
「天国でパパとママに会えたら、いっしょに、ごめんなさいって、しようね」
 真央の呟きに、理央は姉の胸の中で、無言で頷いた。
 そして、彼女たちの両親の乗った車から、ゆらりと立ち昇る2つの影。
 破れた脇腹から折れた骨と内臓を広げ、潰れた頭の鼻腔や眼窩から、生卵の黄身を踏み潰した
かのように崩れた脳漿や血を垂れ流し、砕けた顎から抜けた歯を顔中に食い込ませ、煎餅のよう
に平らになった両親の姿など、視ることができなくて良かったと断言できるだろう。
 目に焼き付けば、それこそ彼女たちの正気すら危うくなる。
 そして、亡者たちの群れからは、黒い煙のような気体が立ち昇っていた。
 千切れた胴体や腕の断面が空気に触れる、露出した内臓が地面を這う、潰れた顔が疼く、噛み砕
かれる、消化液で溶かされる、腸の中で水分を奪われて糞便に変えられる……それらの記憶が甦
るたびに、死者の大群は漆黒の気体を吐き出し、あたりに撒き散らしている。
 それらは、脳裏に焼きついた、恐怖と苦痛に他ならなかった。
 死んだ瞬間で固定されている彼らは、延々と続く死ぬ直前の苦痛を、自身がパンクする前に吐き
出しているのだった。さながら、呼吸でもするかのように、一定の周期で。
 暗黒色の煙が空気を塗り替え、潰れた車や人食いの怪物も呑み込んだ。
 立ち尽くす金髪少女の腰まで、苦痛の黒い海は溢れかえる。
 寄り添う真央と理央の肩まで、恐怖の黒い海は浸していく。
 ただ、視認できないだけで。



359 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:22:10 ID:6UF1v09A]
 そして同時刻。
 街を見下ろす丘のとある場所で、白い異形の少女が宣告する。
 犠牲者も生存者も知る由も無い。この大虐殺、このテロ攻撃の目的の1つが、その瞬間に街全体
を影響下に収めて、術者以外の誰にも視認されることなく、開始されたことを。
 上空には、周囲の雲を押し退けるようにして、暗黒色の球体が浮いていた。
『聖界フィルール、構築開始』
 変化はあまりに劇的だった。
 視界に映る空の4分の1を覆うような巨大な暗黒球体から、眼球の毛細血管のような触手が空に
広がるや、国道に溢れた黒い洪水はストローで吸うように巻き上げられた。破壊された人間や残骸
も、まるで地上から天に帰るかのように、それに続く。
 苦痛と恐怖はやがて竜巻のように螺旋を無し、亡者たちを空へ連れ去り続けた。まるでブラック
ホールに吸い込まれていくように、空に広がる巨大な闇に消えて、見えなくなる。
 球体の色は、苦痛や恐怖の黒色と全く同じ色。黒い竜巻を吸い続けた球体は心臓のようにドクン
と鼓動すると、ごぼごぼと粘り気のある音を発して一回り大きくなった。
 おぞましい気配を増して……球体はゆっくりと成長する。
 しかし、暗黒球体が亡者を吸い込んでいる光景など、街の人々には視えず、そこには煙に汚され
た空があるだけなのだった。
 …………………………………………
 ………………………
 串刺しにした人間を引き込みながら、怪物は大きな口を開けてそれを咀嚼する。
 伸ばされた触手は数十本になるが、残された双子と金髪の少女へは伸ばされない。
 もっとも、それは怪物の慈悲ではなく、触手が捕らえた餌を先に食べているだけの話だった。怪物
の生態を説明できる者は場にいないが、餌が無くなれば彼女たちを食べるのは間違いない。

360 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:23:04 ID:6UF1v09A]
 生を諦めて身を寄せ合う双子の姉妹、真央と理央。
 しかし、それとは対象に金髪の少女は、その人形のような恐怖を浮かべることも無く、人間を貪る
怪物に向けて、ゆっくりと歩き始めた。血なまぐさい風に嬲られて、金髪が宙に靡く。
 丸い碧眼には確かに、怪物への敵意が燃え上がっている。
「……………」
 怪物もここで、少女が自分から近づいてきていることに気付いたようだった。しかし、特に反応する
ことは無い。触手で叩くだけで殺すことが出来るし、脅威とも感じていないのだろう。

 瞬間、金髪少女の手のひらに、パチリと赤色の光が生じた。


(続)


続きは、そのうち。
ではまた。


361 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/27(月) 23:49:36 ID:ou+ddGII]
乙です
金髪の子は食べられちゃうのか、怪物やっつけるくらい強いのか
どちらにしても続きが楽しみだ

362 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/28(火) 18:16:39 ID:uEkfODTk]
続き期待!

363 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/10(月) 21:33:32 ID:pTseHMh1]
少々遅いですが、あけましておめでとうございます。
>>360の続きを投下します。
捕食の前ふりなので、特に残虐なシーンはありません。

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。

364 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:35:38 ID:pTseHMh1]
 西村モト子は、自分の能力を理解している子供だった。
 それは教師から見れば、できないことをできると言わないだけのもの。
 少女はいつも課題に取り組むときに、自分ができることを理解し、やるべき課題の内容を理解し、
それから作業に取り掛かっていた。
 ただし、その検討の精密さは、他の子供の比ではなかった。
 美術や工作では、例えば風景画を描いた際、クラスの子供たちが時間を過ぎて完成できない中、
彼女だけは制限時間の30分前に完成させている。
 雑な部分は雑で、お世辞にも上手いとは言えない絵だが、他の子供たちが宿題として持ち帰る未
完成の絵を横目に、モト子は悠々と教師に課題の絵を提出していた。
 教師には、手はかからないが、子供らしい冒険をしない子供だと映っていた。
 しかし、当のモト子は、評価に何の興味も無かった。
 …………………………………………
 ………………………
 西村モト子は、友達のいない子供だった。
 しかし、熱心に学習塾に通っていたわけでもなく、学力はクラスで最も高かった。
 算数や理科の時間は、退屈極まりないものだった。
 例えば分数の概念、6つあるケーキや12個あるりんごを、全体で「1」として二等分や三等分を考
察する内容を、同級生が教科書を読んで理解できていないことが、彼女は理解できなった。
 教科書を読み直しても、説明が言葉足らずだ思わない。
 教師の説明は回りくどいものであったが、それはモト子よりレベルの低い子供を対象にした説明と
いうだけで、やはり、要点はきっちりと抑えている内容でああった。
 なのに、同級生の一部は、分数を理解できていない。
 分数を何度も解説する教師、何度説明されても理解できない同級生。
 進まない授業にうんざりした。

365 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:38:17 ID:pTseHMh1]
「先生は、分数の説明を国語の時間にすればいいのに。ゆうすけ君やまみちゃんは、算数が分から
ないんじゃなくて、教科書や先生の説明の『日本語』が分からないんだよ」
 モト子はそれを、当人たちの前で口にする子供だった。
 彼女の態度はクラス内での孤立を招き、一時はいじめに近い状態に陥ったが、彼女自身はそれを
気にしなかったし、クラスメイトも行為をエスカレートさせることはなかった。
 悲しいかな。
 彼らは、彼女たちは、お互いに何の興味も無かったのだ。
 …………………………………………
 ………………………
 西村モト子は両親の仕事を知らなかった。
 しかし、家が非常に裕福だと自覚していた。
 渡されているお金も、他の子供より遥かに多かった。
 学習塾の日以外は小説や漫画を買い漁り、時間の許す限り読み続けていた。
 雑誌は全く読まなかったが、新聞は読んでいた。
 読書の休憩に、録画していたドラマやアニメを見るようになり、アニメについては作品を配信する動
画サイトも視聴するようになった。
 MADムービーを作り始めたのは、しばらくしてのこと。
 多少の手間をかけて作成したMADが、神動画として再生数を稼ぎ始めた。その次も、その次も、動
画はユーザーに賞賛された。
 モト子は、動画の加工と切り貼りが、とても上手かった。
 動画の素材を確認すれば、後は、
(ここを切れば良い)
(ここを繋げれば良い)
と感覚的に理解できて、それはいつも的中していた。

366 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:40:08 ID:pTseHMh1]
 勿論、実際の映像の絵、構図、色使い、効果音、声は他者のもので、彼女にそれらを作成する能
力は皆無だったが、加工と編集には異様な才能を発揮した。
 そして、その趣味は、孤独をますます深めていくことになる。
 しかし、本人はそれを是としていた。
 …………………………………………
 ………………………
 しばらくして。両親が宗教団体に入信した。
 モト子もそれに連れられて教団の施設で生活することになった。
 学校の真似事のようなことをしている『叡智の冠』という団体を胡散臭くは思ったが、特に両親に抵
抗することはなかった。
 ネット環境があれば、後はどうでもいい、と思っていた。
 件の宗教団体は全国に支部を持つ巨大組織だが、総本山は辺鄙な農村に設けられていた。値崩
れしてただ同然になった山林を買取り、それを切り崩して建設されたものである。
 「学び舎」と呼ばれる直方体の小型建造物が数十。
 信者の住まう集合住宅が数百。
 大規模な農場や教団内で使う道具を作る工場。
 ビオトープや巨大な図書館。ドーム状の集会場。
 巨大な壁で囲まれた世界は、複数の山に広がって展開する、小さな都市のようだった。
 村には数千人の信者が暮らし、トラブルもなく村人と共存しているらしい。
 人口比から言えば、従来の村民よりも信者の方が圧倒的に多い。総本山は100年以上前から存
在しているので、信者と信者以外の村民の境界も、やや曖昧なものらしかった。
(どうして、こんな交通の不便なところに、拠点を設けたの?)
 車で村を案内されながら、モト子は素朴な疑問を持った。
 四方八方を断崖のような山に囲まれた、陸の孤島。

367 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:41:24 ID:pTseHMh1]
 隣接する村へ続く道は、今にも崩れそうなものが2本のみ。
 そのような農村に拠点を設けても、外界から遠いから不便なだけで、メリットはあまり感じられな
い。トラブルが起きたときなど、外部との連絡がつきにくいのではないか。
(宗教の人の考えることは、よく分からないわ。これじゃあ、まるで……)
(隠れて何かしているみたいじゃない?)

 数日後、彼女は、蟲の餌にされた。

 …………………………………………
 ………………………

 モト子から変質した後。
 アペカが見た、世界の景色は、とてもカラフルだった。

「………………?」
 覚醒したアペカが不思議に思ったことは、実験室の光景に豹変していたことだった。
 壁という壁から、天井から床まで、そして空気までも、
 毒々しいほど鮮やかな赤や黄や青や、無数の色で飽和している。
 まるで、市販の絵の具セットを全てパレットに捻り出して、そのまま筆を押し付けて、視界一面を塗
り替えてしまったかのようだった。
「目に……油でも入ったのかしら?」
 最初、眼球の表面に油膜が張っているのだと思った。
 その光景は、水に浮いている油の色彩に似ていたからだ。
 ふと足元を見ると、自分の肢体に群がっていた蟲が蠢いている。

368 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:43:06 ID:pTseHMh1]
 実験前は半透明だったそいつらは、今では虹色の体躯を輝かせて粘液を泳いでいた。
 今でさえ、彼女の肛門と膣内には不快な異物感があった。蟲が詰まっている。特に嫌悪感は沸か
ないが、しかし、再び自分が陵辱されるのは嫌だと思った。
 すると、蟲は動きを止め、静かになった……彼女に従うように。
「まあ、いいわ。とりあえず目をなんとかしないと、動きにくい」
 蟲の粘液に塗れた手を腰で拭い、アペカは目をゴシゴシと擦った。
 しかし、擦れば擦るほど、実験室の光景は、万華鏡の如く鮮やかに変化する。
 眼球は、最初は蟲の複眼のようだったが、すぐに人間と同じ光を宿した。そして、
「うあ……あ………あああ………」
 激しい頭痛に、眼から涙が溢れ出した。
 悲鳴を上げそうになるのを堪えることしかできない。
 実験室の壁や、柱や、粘液や、窓や、全ての万物の境界を無視して塗りたくられた色。
 鮮やかに輝く光景に、視界が飽和し、あまりの光量に脳が悲鳴を上げる。
 色の奔流が、頭の中で渦巻くような、異様な感覚に襲われる。
「何よこれ……私……どうなっちゃったの……!?」
 そして、毒々しい色の世界から融け出した、人間の影。
 アペカと同じぐらいの身長の影は、ゆらりと形を成し、両手を前に出した。
 濃淡含めて何千色ものモザイク模様に覆われ、まるでルービック・キューブの塊だった。
 眼球の白部から歯の一本一本、吐き出す息は勿論、視線の先まで色が付いている。
「ご……がご……ごご………ぐご……」
 異形は、雄叫びとも悲鳴とも言えない奇声を発し、虹色の空気から完全に分離して、ゆっくりと方
に近づいてくる……。
 アペカの眼には、それは怪物としか映らなかった。



369 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:44:26 ID:pTseHMh1]
「何よアナタ! あっち行って! 来ないで! 近づかないで!」
 色の塊のような人型は、明確にアペカの方を目指していた。
 顔を青くして、部屋の壁から隅に逃げる。
 しかし、狭い部屋では逃げ場は無く、出口と反対側の隅に追い詰められてしまう。毒々しい色の異
形は奇声を発し、まるで彼女を求めるかのように迫ってくる。
「ひいっ! だ、誰か……! 誰かっ!」
 大きな頭を壁に擦り付けて、身を縮めるアペカ。
 色の塊は悲鳴に呼応して、覆い被さるように眼前に広がった。
「ご……がご……」
 原色の塊のような腕が、彼女の頬にかかる。
 瞬間、彼女の脳内で、鮮やかな色が爆ぜた。
 …………………………………………
 ………………………
 瞬間。
 アペカの脳裏に浮かんだのは、毒々しい人形型のパズルの、解読鍵だった。
 何千色もの色の塊でしかない影は、みるみる人間の姿に変わり始めた。ぐちゃぐちゃの油膜めい
た外見は、やがて細い人間の体躯となる。
 アペカはようやく理解した。
 毒々しいまでにカラフルな世界は、蟲から視えている人間の世界。
 何千色という色は、その1要素、1要素が、更に多くの要素からなる、「情報」だった。
 そこに記録されているのは、生まれてから死ぬまでの、全時間の思考、感覚、感情、外見、成長、
果てには心拍数、呼吸数や頻度まで、1人の人間の一生に相当する情報なのだった。
 生まれた瞬間から、死ぬ直前の姿まで。
 喜びも、悲しみも、怒りも、そして、恐怖や絶望も。

370 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:47:09 ID:pTseHMh1]
 前にいるものは、現在の高性能コンピュータでもとても処理しきれないような、途方も無い膨大な
情報が、しかも媒体も無しに存在しているものなのである。
 そして、そのような存在を言い表す、単純な言葉。

「……幽霊なの?」

 アペカが提示した言葉は子供でも知っている。しかし、今の彼女は、それ以外に眼前の存在を表
現する言葉を持ち合わせていなかった。
 色塊は肯定するでもなく、否定するでもなく、大きく咆哮した。
 同時に、幼女から大人の女性の体躯に変化し、そのまま衣服を変え、髪型を変え、姿形を変えて、
生を終えた瞬間の姿に近づいていく。
 ただ、そのシルエットは時より、色が滲んで空間に溶け出していた。
 砂糖の塊が、珈琲に溶けていくように。
 数分もすれば、もう原型も残らないだろう。
(これは、今の自分のことを知る、良い機会かも)
 人間の頃と同じく、それが彼女のスタイル。
(自分ができることを知ること)
 ゆっくりと、右手を女性の胸に近づける。
(自分がすべきことを知ること)
 女性の幽霊と右手を融合させて、ゆっくりと眼をつむり、思念に耽った。
 読み取るのは、一瞬だった。
 膨大な情報が、呼吸をするように。
 1人の人間の一生が、最初から最後まで、頭に入力される。

371 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:48:31 ID:pTseHMh1]
(これが、今の私ができることなんだ)
 アペカは眼を閉じて、しばらく無言だった。
 自分の能力は、もっと色々なことができるようだった。
 眼前の幽霊はみるみる形を失い、空間を満たした膨大な情報の海に融けていく。そして、毒々しい
色の世界と完全に一体化し、境界もなくなり、そのまま消えた。
 海に落ちた一粒の水が、そのまま希釈されていくように。
 もう、元には戻せない。
「…………」
 アペカの大きな瞳に涙が浮かび、頬に流れ落ちた。
 自分は、肉体という小さなビンに入った水。
 生きることは、どこまでも続く大海原を、ビンに入った水で漂うことなのだ。そしてビンが壊れれば水
は海に戻り、新しい別のビンにすくわれても、決して同じ水は入らないのだろう。
 そこには、どこかの宗教が唱える神の救済も、新しい世界も無い。
 死ねば消えて無くなるだけだ。
 気持ちの整理をつけて、一言発した。

「さようなら。お母さん」

 母親の幽霊を読んで分かったが、彼女は15分ほど前に死を迎えていた。
 総本山の別の部屋で、投薬実験の副作用で死亡している。父親は昨夜の夜に、同様の副作用で
死亡していた。親は夫婦そろって、人体実験の道具にされていた。

 …………………………………………
 ………………………

372 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:50:18 ID:pTseHMh1]
「…………」
 人間だった頃を思い出し、アペカは眼を細めて虚空を見る。
 食べ物と嗜好は変わったが、趣味などは大きくは変化していない。
 両親は事前に実験内容の説明を受け、危険を承知で実験に望んでいた。実際、拒否は可能なも
のだった。教団に対する恨みの念などは、そういう事情もあって特に無い。
「まあ、今さら言っても、仕方無いけれど」
「えっ? 何かおっしゃられましたか? アペカ様」
 樹里が顔を覗き込んできたので、アペカは首をゆっくりと横に振った。
 彼女は、敬愛するアペカが、実は人間に戻りたがっているのではないか、と不安を覚えていた。そ
して、アペカの言葉で、人食いの怪物と化した自分を否定されるのを、何よりも恐れていた。
 能力で彼女からそれを読んだアペカは、呆れたような顔で微笑み、従者の頭を撫ぜる。
「いや、久しぶりに、人間を食べてみようかなって、考えていたのです」
「ええっ! アペカ様の狩りが、また見れるのですか!」
 樹里は頬を紅潮させて、アペカの手を握り締める。
 そして、興奮した様子で尋ねた。
「時間は、どれくらい、かけられるのですか?」
「本当は10年ぐらいかけて食べたいけれど、そんな逸材は滅多にいないわ」
 奇怪なことを言いながら、アペカは嗤う。
 彼女の言葉の意味は、文字通り、10年という時間をかけて獲物の人間を食べるということだが、そ
れは彼女の狩りの方法が、極めて特殊なものだからである。
「ああ、可哀想なアペカ様。貴女様が不安定なのは、これまで一度も、食事で満足されたことが無い
からに違いありません。私がきっと、貴女様が満足して食べられる人間を見つけます!」
 眼に決意の炎を燃やしながら拳を握る樹里に、アペカは苦笑した。
「そんな簡単には、見つからないわ」

373 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:51:26 ID:pTseHMh1]
 そして、天空に蠢く物体を見上げる。
 人々を吸収して巨大化する、暗黒色の球体。
 将来、聖界フィルールとなるべきそれもまだ、生物で言えば卵の状態だった。今は少しでも成長を
進めて、教団による革命の日を早めるしか、できることはない。
「大半の人間は、あの程度だもの」
 球体に吸い寄せられている幽霊からは、暗黒色の霧のようなものが滲み出している。球体はその
霧のみを吸収し、残った幽霊は形を失って消えていくだけだった。
 アペカは色の塊と化した幽霊から、闇色のみを取り出している。
 その色が示すのは、肉体の損壊、痛み、苦痛など、人体に害のある情報だった。特に、生きたまま
胴体を千切られたり、食われたりした者からは、大量の情報が得られている。
 アペカは巫女のように天に祈り、暗黒色の球体を構築していく。
 その瞳は、興奮して潤んでさえいた。
「もっと集めないと……全然足りていない。もっと集めて、もっと膨らませて……」
 生きたまま胴体を食い千切られたもの。生きたまま焼かれたもの。数十分かけて窒息したもの。腕
を切断されたもの。頭から押し潰されたもの。刺されたもの。殴られたもの。皮膚が壊死して蛆に食
い尽くされたもの。酸で溶かされたもの。腹を割かれたもの。股を裂かれたもの。
 人々が激痛に苦しみ、絶望しながら死んでいく光景が、何万、何十万と繰り返され、繋ぎ合わさ
れ、縫い合わされ、生きたまま焼かれた者に、頭から押し潰される激痛を繋ぎ合わせ、酸で溶かさ
れた者に、股を裂かれた激痛を繋ぎ合わせ……たった1つに再編されていく。
 そして最後にできるのが、聖界フィルールと呼ばれる世界。
 聖界を構築する最終段階において、その世界に旅立つことになるフィルール・スター・ナイツと呼ば
れる少女たちの人選も進んではいるが、それ以前の課題が山積である。

374 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:54:06 ID:pTseHMh1]
「やはり……まず解決すべき課題は……ん?」
 アペカの顔から笑みが消え、殺気を帯びた顔に変わった。そして。樹里が蒼い顔になってびくりと
震えるのを無視して、瓶底眼鏡たちと話している藤村の方に歩いていく。
「藤村、今、ここに連れてきた手下で、戦闘要員は何人ますか?」
「ええ? 今回は、周りを固めているのも入れて、20人よ。戦闘要員と言われても線引きは難しいけ
れど、全員、私や樹里も含めて、普通の人間には負けないわ」
 流石の藤村も質問の意図が理解できないようで、やや困り顔だった。
 しかし、アペカは全く笑っていない。
「すぐに、全員を戦闘態勢に。あと、撤退の準備も開始して」
 そして、沈黙が場に満ちる前に断言した。

「敵襲よ。しかも、かなり強敵」

 …………………………………………
 ………………………

「……ちょっと、いつまで泣いているの」
 お互いに抱き合う理央と真央がふと顔を上げると、そこには金髪の少女が立っていた。鮮やかな
碧眼は、まるで物を見るかのように2人を見下ろしている。
 敵意とまではいかないまでも、明らかに邪魔なものを見ている目だった。
「……え? あの」
「気持ちは分かるけれど、そこでウジウジ泣かれるとマジで邪魔。せっかく生きているんだから、今す
ぐにここから離れろっつーか、死にたくないなら、さっさと消えろって感じ。ジャリが」
 口調からして、それは明らかに命令だった。

375 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:55:36 ID:pTseHMh1]
「どうしても動かないなら、私が殺してあげよっか?」
 金髪の少女はそう言って邪悪な笑みを浮かべると、赤い革靴を履いた足を振り上げる。そして、怯
えた理央の頬を踏み躙るように、靴の底を押し付けて捻りを加えた。
 手には鈍色に光るナイフが握られており、その刃先は姉妹に向けられている。
「きゃああああ……おねえ、ちゃ……!」
「やめて! りっちゃんに酷いことしないで!」
 妹を痛めつける足を払いのけて、真央は理央を庇うように立ち上がる。
 そして、頬に靴痕を付けられて呆ける妹の手を引いて、金髪の少女から離れようと慌てて走り出し
た。怪物に襲われる不安もあるが、突然暴力を振るわれたショックが姉妹を動かしていく。
 2人はすぐに、建物の影に消えた。
 それを確認した金髪少女は、自嘲気味に笑みを浮かべる。
(ちっ! だからガキは嫌いなのよ。逃げろって言っても、まず逃げねえし。気分ワリィって感じ)
 投げ捨てたナイフが、乾いた音を立てて道路に転がる。
 少女は金髪を翻し、視界の中央に、触手を伸ばした怪物を捉えた。
 堂々と立つ姿は怪物に怯えるどころか、逆に威圧しているかのよう。風に流れる金髪に覗く碧眼は
大きく見開かれ、精巧な人形を思わせる美顔には、挑発的な笑みが張り付いていた。
 まるで、天から地の底を見下すかのように。
「………………」
 対して、道路を塞いだ異形の巨体は、ずるずると数メートル後退する。
 既に捕らえた獲物は食べ終わっていた。しかし、後退するや少女のことを警戒するように動こうと
せず、触手を縮めて迎撃体勢をとる。怪物が出現してから、それは初めての現象だった。
「ふーん。ゴミはゴミなりに、臭っせえおつむがあるって感じ?」
 少女は怪物を嘲笑して、唇の端を吊り上げた。
 金髪が、風も吹いていないのに、ふわりと浮かび上がる。

376 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 22:02:10 ID:pTseHMh1]
「でも、旅行中の私がいる場所で暴れたのが、テメェの運の尽きって感じ? 巫女協会が誇る最強!
無敗!の超弩級エース”白焔の光巫女”にして、マジ国宝級スーパー美少女!」

「退魔巫女、西園キララ様とは、私のことよっ!」

 身体から赤い光を立ち昇らせ、キララと名乗った少女は宣言した。
 そして、同時にぶちぶちと洋服のボタンを毟り、身体から引き剥がすように衣服を脱ぎ捨てる。捨
てられた洋服は風に流され、事故を起こした車のサイドミラーに引っかかった。
 ガソリンの匂いを含む空気に晒されたのは、赤い下着のみを纏う瑞々しい肌。
 背丈相応の幼さは拭えないものの、胸元から溢れんばかりに成長した乳房といい、括れた腰から
程よく肉の付いた下腹部のラインといい、鍛えられて硬く締まった四肢といい、健康的な色香と研ぎ
澄まされた美しさを併せ持った肉体だった。美術品の女神像のようでさえある。
 キララは怪物を指差しながら、悪戯気味に青い眼でウインクをして、壮絶に笑う。

「私のサファイア・アイが輝く限り、外道に明日は来ないって感じ!」


(続)

続きはそのうち。
ではまた。

377 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/11(火) 04:10:05 ID:3U7FZkzr]
投下きてた!
スレの趣旨的にアペカ様を応援すべきだけど金髪巫女も良いキャラしてるなぁ
妄想が膨らむぜ

378 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/13(木) 14:31:17 ID:tYQUgOx6]
今日発売のファミ通の中川いさみのマンガで
女性がパックマン男に食われてましたよ。



379 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/14(金) 02:22:19 ID:voMUT1Vq]
金髪巫女は秒殺な予感。

380 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/24(月) 02:27:25 ID:zUXhAQII]
まどかマギカ3話、良い食べっぷりだったね
永久保存回だわよ

381 名前:名無しさん@ピンキー [2011/01/24(月) 05:06:02 ID:FxDkE0n3]
マギカ凄かったな

382 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/24(月) 23:17:09 ID:Wd3j01vG]
>>376の続きを投下します。
内容は、殺るか食われるかの二択って感じ!

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。

383 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:18:33 ID:Wd3j01vG]
 退魔の巫女は、相性の良い武器に霊力を宿して戦いに臨む。
 ただし、武器といっても近代の重火器や、構造の複雑なものは適さない。
 チェーンソーのようなエンジン付き装置や、大砲の類を武器として使えるかの試験が行われたこと
もあるが、期待した結果が得られた例は無い。原因については、複数の仮説が立てられたが、そも
そも巫女でさえ、霊力の正体を知らないのだから、原理の究明など不可能である。
 『直接的または間接的に魔物や異形を殺傷できる能力全般』
 それが巫女協会が定義している、広義の「霊力」である。
 言葉のとおり、オカルト番組で心霊写真の解説をしたり、死者と話をするような能力は含まれてい
ない。実際、協会に属する巫女は神社にいるようなシンボルではなく、戦闘要員ばかりである。
 しかし、自分たちの能力の原理は分からない。
 能力はあまりに感覚的なものであり、それを明確な数式では表現できていなかった。
 それほどに、巫女協会に属した巫女たちの能力は、多様である。
 例えば、神代御幸。
 最上位の弓使いである彼女は、霊力を注入した矢を同時に複数本射出し、それらを意のままに動
かす技を使う。矢でなくとも、単純構造物ならば、お箸やスプーンでも可能だった。
 例えば、剣崎静香。
 武闘派の巫女剣士である彼女は、霊力を宿した刀で、切りつけた怪物の傷口を焼いて灰にしてし
まう。強靭な皮膚の怪物さえ焼き滅ぼす彼女の剣は、人間に対しても同じ効果があった。
 彼女たちに限らず、協会上位の戦士は独自の戦闘スタイルを有する。
 それは、現時点での最強巫女、西園キララにも当然あてはまった。
 ただし、彼女は例外中の例外で――。
 …………………………………………
 ………………………

384 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:20:41 ID:Wd3j01vG]
 下着が宙を舞った瞬間、茂みの奥の陰唇は怪物に晒される。
 少し頬を紅潮させたキララは目を細め、怪物に語りかけるようにして肩を揺らした。
「別にぃ、ガン見されても、こっちはノープロって感じ?」
 空気を蹴るように、足の指先にかかった下着を横に投げた。そして、胸から剥いだブラを指先でくる
くると弄びながら、白焔の光巫女を名乗る金髪少女はゆっくりと唇の端を吊り上げる。
 母親の子宮から出たままの姿で、特に胸部や陰部を隠そうとはしない。
 巨大な果実を思わせる乳房が風に撫ぜられ、淡桃色の乳輪から小突起が天を向いている。下腹
部には金色の陰毛が濃く茂り、くるりと回れば丸い尻が固く閉じられていた。
「まっ、キララ様ってばマジ女神級ボディだし、冥土の土産に見とけって感じ?」
 興奮で頬を高潮させ、両腕を腰に回し、全裸の巫女は積極的に肌を見せ付けて叫ぶ。
 燃え盛る車や死体の山の中で、金髪を靡かせながら柔肌を晒す少女の姿は、異様を通り越して逆
に倒錯的な性を描いた絵画のような、妙な安定感さえ漂っていた。
「………! ………?」
 怪物からしても、彼女の存在は異様に映ったらしい。
 決め兼ねるように前進と後退を繰り返し、ようやく行動を起こす。
 全身から触手を伸ばすや、左右から包囲して展開し、逃げ場を潰して一斉に襲い掛かる。縛って
拘束する目的ではなく、獲物を蜂の巣状に刺し貫いて肉塊に変える動きだった。
「へぇ、それでキララ様を殺れるって? マジありえないって感じ!」
 キララは哀れむように微笑んで、青い眼を細める。
 瞬間、あらゆる方位から彼女に接近した触手は、火に炙られたように焼き焦げ、そのままボロボロ
と崩れ落ちた。そして、風に流されて、運ばれ、消えていく。
 どれだけの数で攻撃しても結果は同じ。
 彼女との距離は、十メートルはあるというのに、
 全ての攻撃が彼女まで届く前に、焼き尽くされて、朽ち果てて消える。

385 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:22:15 ID:Wd3j01vG]
「あのさぁ、巫女協会最強って、ネタじゃねーし」
 バチバチと赤い光が全身を覆い、次の瞬間、彼女の肢体は眩い閃光を放ち、爆炎を噴いた。
 それは、文字通り自爆したとしか言いようの無い、巨大な爆発現象だった。
 …………………………………………
 ………………………
 巨大な爆発音を聞いて、真央と理央の足が止まった。
 生まれてから事故としての爆発音を聞いたことが無い真央は、耳に届いた轟音を最初は花火の音
だと思った。しかし、音が聞こえてきた方向と位置を確認して、それは間違いだと悟る。
「まさか、さっきのお姉さんが、戦ってるの……?」
 国道の方向、怪物のいる位置から立ち昇るのは、見たことの無い白い炎。ガソリンの炎とも、マグ
ねシムの炎色反応とも異なる、温かく、しかし、容赦無きまでの純白。
「りっちゃんはここにいて!」
 真央は理央に指示を飛ばすや、国道の方に走り出した。
 どうしてそのような行動をとってしまったのか、今の彼女は理解できなかった。
 勿論、金髪少女の無事を確認したい。両親のことも、好奇心もある。そして、それ以上に、胸の奥
で得体の知れない何かが熱く反応し、半ば衝動的に彼女は駆け出していた。しかし、
「きゃあっ! なにこれ……」
 見えない壁が真央の行く手を阻んだ。特に何かにぶつかったわけではないが、不可視の力が一定
のラインを超えて、彼女がそのまま前に進むことを許さない。
「ば、バリアー? これ、進めない!」
 怪物とキララの場所を中心に、地図に円を描くように展開する不可視の壁。
 それは退魔の巫女が怪物との戦闘時、周囲に人が近づかないように、また怪物を逃がさないため
に展開する結界術式だったが、今の真央にそのようなことが分かるはずがない。

386 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:23:32 ID:Wd3j01vG]
「真央お姉ちゃん……! さっきの人は!」
 呆けていた理央が、正気に返って叫んだ。自分たちを助けるために、金髪少女があのような行動
に出たことを、死地から脱出した彼女はようやく理解していた。
「何だよこれ! 前に進めない! ちょっ! なんで……!」
 真央は前に進もうとするが、不可視の結界はそれを認めない。
 無力な双子は何もできず、傍観者になることすらできない。
 彼女たちは見ることができない。禍々しい魔法を。
 上空の暗黒球体に死者が吸い込まれ、生前の苦痛や恐怖の情報を搾られていることを。
 彼女たちは知る由も無い。
 自分たちが、怪物の暴れた場所から生還し、そして禍々しい魔法に至近かつ超高濃度で曝露し
た、唯一無二の生存者であることを。

「お姉さん! お姉さん!!!」

 ……多くの人間が死に、両親も死に、彼女たちが生存した意味は果たしてあったのか。
 姉妹が解答を得るのは、この事件から数年も経過した時のこと。
 場所は、深く暗い樹海の中。
 人食いの心臓が跋扈する地獄。
 退魔の巫女として、惨劇の元凶たる『叡智の冠』と対決する――遠い未来の話だった。

 …………………………………………
 ………………………

387 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:24:35 ID:Wd3j01vG]
 巨大な純白の炎塊が、国道を占拠して前進する。
 破壊された人体の山も、団子になった事故車の列も、全てが炎に巻かれて原型を失い、ボロボロ
と崩れ落ちていく。そこで起きた殺戮の痕跡も、犠牲者の骸も、全てを無かったことにするような圧倒
的火力は、人食いの怪物すらも怯ませて後退させていた。
「糞な脳味噌じゃ理解できねーだろうケドさぁ」
 炎塊が左右に割れて現れたのは、白い帯状の炎を身体に巻きつけたキララだった。白炎の衣と、
立ち昇る陽炎にのみ隠された肢体は、ゆらゆらと儚げに揺れて宙に浮いている。
「これは、お前みたいな人食いを殺す力――」
 キララは、巫女協会の存在意義を如実に表した巫女だった。
 人間がいて、怪物に食われて、それだけでは人間はただの餌でしかない。
 やがて、人間に、怪物の持つ毒に耐性と、成人男性の数倍という驚異的な身体能力と、怪物への
殺傷能力を持った少女が生まれ始める。それは決して数は多くないが、日本各地に分散し、人間多
勢という現在の生態系を維持できる防壁として活躍した。
「テメェみたいなのに食われ続けた人間がさぁ、ホントに意味不明な数のギセイを出して、ようやく、
手に入れることができたんだよ。私たちは、みんなが生きる権利なんだよ。そう、私たちは――」
 食物連鎖で人間の上位にいる怪物に対し、更に上に位置した人間の守護者。
 それはやがて1つの組織――巫女協会となる。

「私たちは――テメェらの餌じゃねええええ!」

 キララは特に武器を使わない。
 霊力を直接発火させて、そのまま爆発として放出する、例外中の例外。そして、その戦闘力は決し
て過大評価ではなく、現在の巫女協会では最強の冠を持っている。

388 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:26:23 ID:Wd3j01vG]
「ハアアアッ!」
 叫び声と同時に、手に炎の渦が生まれ、ズドン!と破裂音を立てて怪物に発射された。
 膨れ上がった炎の奔流は事故車を次々と呑み込み、しかし全く勢いは衰えない。そのまま真央と
理央の両親を押し潰したままの怪物に直撃するや、空箱を蹴散らすかのように吹き飛ばした。
 炎上しながら道路を転がる異形から、悲鳴とも怒声とも付かない声が漏れる。
 潰れた車は炎に包まれ、そのまま飴が溶けるように崩れていった。白炎が奔った道路はアスファ
ルトが融解し、ぶすぶすと煙を上げている。
「一撃で楽に死ねると思うなって感じ? って………あれ?」
 燃えながら道路を転がる怪物の姿が突然消え、すぐそばには大きな穴が開いていた。
 地中から現れた人食いは、再び地中にもぐっていた。つまるところ、敵わないと悟ったのか、消火
するための戦術的な行動かはさておき、それはキララから逃げたということだった。
 …………………………………………
 ………………………
「そうそう、そのまま地中を適当に逃げて、時間を稼ぐのですよー!」
 瓶底眼鏡の女性は汗を拭きながら、怪物が討ち滅ぼされる危機をなんとか凌いだ。
 このまま逃げては姿を現し、逃げては姿を現しを繰り返し、さながらモグラ叩きのモグラのように行
動すれば、いくら火力のある敵とはいえ、簡単には負けないだろうという判断だった。
「それにしても、何です、あの爆発痴女はー……?」
 顔を赤くして先程の光景を思い出す。そして、自然と頬が熱くなるのを実感した。
 横では瓶底眼鏡の男性が、周りの部下に指示を飛ばしていた。
「5分でここから撤退するっ! 全員、痕跡の隠滅を急ぐことっ!」
 信者たちが慌しく、機材をライトバンに積み込んでいく。作戦途中での撤退も一応は想定していた
行動だが、実際に起こるとは誰も考えておらず、作業はやや遅れていた。



389 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:28:03 ID:Wd3j01vG]
「………はぁ」
 そんな光景を見ながら、藤村は折りたたみ式の椅子に座り、渋い顔でアイスを食べていた。
「まさか、あんなのが出てくるとはね……」
 藤村はスプーンを咥えながら、困り顔で呟いてしまう。
 警察などの行政機関は勿論、政府の指揮下にない治安維持組織や、他の人食いからの抵抗も考
慮はしていたが、非政府系では国内最大級の組織の1つ「巫女協会」の、自己申告とはいえ最強の
戦闘要員がいきなり出てくるのは考えていなかった。
 炎を発射するという後処理の大変な攻撃方法からして、通常の市街地戦では、まず舞台に出てこ
ないはずの役者である。おそらく、本当に偶然が重なり、この街にいたということなのだろう。
「………はぁ……準備の大変な作戦だったのにねぇ」
 黄昏ている藤村と、周囲のドタバタを見て、樹里とアペカも顔を見合わせる。
「なんだか大変なことになっちゃいましたね。アペカ様」
「そうね、樹里。でも、本当に大変なのは、これからなのよ」
 アペカは優しい笑みを浮かべて、樹里の両目をそっと手で塞いだ。
「え? それって――」
 不思議そうな表情を浮かべた樹里の顔は、眩い閃光の直撃に塗り潰される。
 機材を積み込んでいたライトバンが爆発したと認識したときには、車両は轟轟と純白の炎に包まれ
ていた。積み込み作業をしていた信者たちも、はやり白炎に包まれてのたうちまわっている、
「ぎゃああああああああああ!」
「熱い! 熱いあづ、いっぎいいいいい!」
 彼らは悲鳴を上げながら、四肢の形を失っていった。そして、ゴキゴキと骨格を変え、全身から触
手や角を生やしていき、正体の異形に戻っていく。いずれも、人間と呼べる形ではない。
 しかし、次の瞬間には、全員が灰になって崩れ落ちた。
 尋常ならざる生命力の異形6名が、たった数秒で滅ぼされてしまう。

390 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:29:45 ID:Wd3j01vG]
 一瞬の静寂が、場を支配した。
 そして、燃え盛るライトバンに、すたりと着地する1人の影。

「どこに行くつもりだよテメェら――まさか、逃げようなんて考えてねーよなぁって感じ?」

 金髪を靡かせ、白炎を纏い、陽炎に揺れ動く華奢な肢体。
 呆然とする『叡智の冠』を見下ろし、最強巫女、西園キララは壮絶な笑みを浮かべる。

「時間稼ぎなんざ、キララ様のキララ☆アイはお見通しってわけ。地面に潜ろうが空を飛ぼうが、どう
せ怪物は結界の外に出れねーし、気配で位置バレバレのゴキブリどもは、何だか慌しく動き始めて
るしねぇ。まさかそんなことは無ぇって思ったんだけど、来てみて正解って感じ?」
 身体から噴出している炎は、推進力になっていた。
 怪物が暴れる市街地から、『叡智の冠』の拠点まで――ロケットのように飛翔して、たった数秒で
やってきた彼女は、怒りの滲み出る声で呟いた。
「モグラ叩きで遊んでいるより、親玉のゴキブリどもの巣を直接潰したほうが早えよなぁ。このゴミど
もがただで済むと、って、こそこそ動くんじゃねーよ!」
 くるりと背後を向いたキララは、別のライトバンに向けて白炎を発射した。
 轟音を立てて吹き飛んだ車両から、重火器を持っていた信者2人の残骸が飛び散り、そのまま燃
え尽きて灰になっていく。それは微塵の容赦も無い、害虫の退治行為と同様だった。
「ふん! 背後から狙おうなんて、超卑怯って感じ!」
 キララが振り返る、真上。
 同時に、牙を剥いた二匹の異形が急降下する。
 虫の翅を生やした男たちは、変形した巨大な顎から牙をむき出しにし、白炎の巫女の頭を噛み砕
こうとして迫り――しかし、

391 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:31:24 ID:Wd3j01vG]
「だからって、上からも近づくなって感じ! 」
 やはり、彼女から10メートル程度の位置で眩い閃光を発し、まるで大気圏に突入した隕石のように
炎に包まれ、ひしゃげて四散してしまった。
 そして、ぱらぱらと灰が落下する中、
 白焔の光巫女の美麗な姿を、度の強い眼鏡が映した。
 ぐるぐる渦を巻いたレンズの奥で、危険な光が宿る。
「ぐぬぬ、これは確かに難敵ですね」
「出し惜しみはできそうにありませんね」
 背後と真上へ、キララの注意が逸れた瞬間、動いたのは瓶底眼鏡の男女だった。
 手に握られたのは、巨大なスーツケース。
 それは人食い怪物の種を運んでいたものだった。
「さあさあ、出しましょうね出しましょうね」
「さあさあ、出ましょうね出ましょうね」
 金属製の鍵が内側から弾け、開いたフタからバラバラと小さな物体が落下した。
 乾燥した化石のようなもの、生物の断片のようなもの、ただの石や金属塊としか見えないもの等、
形状も大きさも様々である。しかし、何れもゴミにしか見えないものばかり。
 しかし、空気に触れるや、それらはみるみる巨大化していく。
「さぁー! みんなーっ! 起きてぇーっ! 出番ですよぉー!」
 瓶底眼鏡の女性の甘い声で、巨躯が次々と奇声を発して起き上がり始めた。
 二つ首の魚頭が生えたカエルに、全身に牙と触手が映えたイソギンチャクに、無数の人間の頭蓋
骨と気泡を内蔵する濁った宝石に、無数のバッタの足を生やしたカマキリに……。
 スーツケースから出てきたゴミは、どれも3、4メートルはある異形となった。
 一斉に奇声を上げながら、キララを包囲するように展開していく。それは、全員が人間を遥かに超
える能力を持ち、数にして30匹は下らない戦闘部隊だった。

392 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/24(月) 23:35:03 ID:Wd3j01vG]
「へぇ、携帯用の魔物って感じ? うわあ、とってもこわーい」
 燃えるライトバンの上に立ちながら、それでもキララが見上げるほど、異形の群れは大きかった。
 しかし、驚いたように声を上げるも、彼女に全く怖がる様子は無い。
「……戦闘要員はいないのではなかったの? ちょっと想定と違うんだけど」
 苦笑いしながら問いかけるアペカに、瓶底眼鏡の男は胸を張って答える。
「まさに、備えあれば憂い無しってやつです!」
「言っときますけどー、さっきの信者たちとは桁が違いますよー」
 瓶底眼鏡コンビは空になったケースを投げ捨てると、口元を歪めてキラリと眼鏡を光らせた。
 そして両手を合わせ、足を上げ、左右対称のポーズをとって異形の軍勢に宣言する。
「さあさあ、食べましょう食べちゃいましょう! 今日はとってもご馳走ですよ」
「お行儀悪く、ぐちゃぐちゃに散らかしてあげましょう! 今日は藤村先生も怒りませんよ!」
 渦巻いた眼鏡の奥に、凶悪な殺気がみるみる増していく。
「さあ行け! 私たちの可愛い可愛い傑作ちゃんたちっ! あの女を仕留めた子には」「活きの良い
スペシャル赤ちゃんを1日に5人、一週間ずっとおやつに追加しちゃいますーっ!」
 げらげらと高笑いする眼鏡コンビに呼応し、異形たちはご褒美に歓声を上げた。
「別にぃ、私の胸でもケツでも勝手に食えって感じ。その前に灰にしちゃうけどね」
 前後左右から奇声を上げて迫る怪物たちを碧眼に映しながら、キララは白炎を引きながら構えをと
る。白炎は渦を巻くように肢体を包み込み、金色の髪が吹き出る炎で高らかに逆立った。

「私のサファイア・アイが輝く限り、外道に明日は来ないって感じ!」


(続)


393 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/24(月) 23:35:50 ID:Wd3j01vG]
SSの続きはそのうち。
ではまた。

>>380
食われる最中の心の声と噛み砕かれる音が、
大音量のテレパシーで届いたら神作品確定だったわ。

特典映像で追加してくれんかな……。

394 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/25(火) 03:39:10 ID:3SPZU4vz]

キララさんが余裕こきすぎて不安になるな

>食われる最中の心の声と噛み砕かれる音
それに失禁も欲しかった
ってそこまでしたら放送できないか

395 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/25(火) 14:33:40 ID:/UztVEZp]
>>393
ありがとうございます、いつも楽しませてもらってますよー!
しかし久しぶりにお菓子の塊、もとい御幸さんの名前を見たなあ

キララちゃんを食らうのはやっぱアペカ様かな……10年……ごくり

396 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/27(木) 15:29:01 ID:fhxrTtYj]
まどか☆マギカ3話無料配信されてたので見たけどなんだこれすげえ…毎週チェックするわ

397 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/01(火) 02:02:24 ID:quTv+A47]
レベルEの最新話もここ向きの話だったな。

398 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/01(火) 11:14:18 ID:PWYfs8d2]
今更だけど、モンハンの捕食モーションとか中々いい感じだと思うの。



399 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/01(火) 19:33:35 ID:hZtNjmuD]
次回のスティッチ!ずっと最高のトモダチで
食われあるっぽい。

400 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/06(日) 10:03:16 ID:lUdLW6uH]
月刊コミックフラッパー今月号(3月号)の
アタゴオルは猫の森で
姫が化け物に丸呑みにされていた。

401 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/06(日) 23:20:48 ID:9rwW5Prd]
>>392の続きを投下します。
内容は、ハッピーエンドに向けて一直線って感じ!

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。


402 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:22:59 ID:9rwW5Prd]
「私のサファイア・アイが輝く限り、外道に明日は来ないって感じ!」

 きらりと光る碧眼を見て、度の強い眼鏡をかける顔が不快げに歪んだ。
「ぐぬぬ……ぶっ、ぶっ殺しちゃええええっ!」
 瓶底眼鏡女が顔を赤くして怒声を発すると同時に、異形の大群がキララに殺到する。
 巨体の蟷螂が、4本腕から規格外の大鎌を振り下ろした。灰色の肉塊が大口を開いてライトバンに
突撃し、カエルや毛むくじゃらの獣がそれに続いていく。轟音と共に巨大な炎が立ち昇る中、異形群
は車体を切り刻み、音を立ててドアや天井部分を食い千切った。
 ライトバンは瓦解し、タイヤが吹き飛んで地面を跳ね、ゴロゴロと転がっていく。
「くくく、ひとたまりもあるまいー!」
 瓶底眼鏡男がにやりと笑って勝利を確信するも、それは背後からの声に打ち消された。
「標的は攻撃を回避したわ。上空よ」
 アペカは無表情で目を細め、ゆっくりと虚空を指した。
 そこではキララが、炎で編まれた羽衣を纏って天女のように浮遊し、異形群を見下ろしている。
「バカの一つ覚えに突っ込んでくるとはね! ホントに超びっくりって感じ!」
 両腕を腰に突き、堂々とした開脚で仁王立ちする白焔の光巫女。大陰唇が地上からまる見えであ
ることについては、本人が多少興奮しているだけで問題は無いらしい。
「炎を撃たせるな! 弾幕を張って撃ち落せ!」
 眼鏡男の指示を受け、人間を取り込む巨大宝石の表面から閃光が発射された。巨大イソギンチャ
クや巨大ナメクジも、自分の体液や牙を次々と宙に射出していく。無秩序に発射されたかに見えた
個々の攻撃は、しかし曲線を描きながら上空の巫女に収束し始めた。
「テメェらの居場所はここじゃねえ! どこぞの珍獣島か動物園に帰りやがれって感じ!」
 しかし、攻撃はキララに直撃する前、やはり10メートル手前で炎上して灰になった。巨大宝石から
発射された光線だけは、鏡に当たったかのように角度を変え、何もない空に飛んでいく。

403 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:25:46 ID:9rwW5Prd]
「きーっ! あの変態女! バリアを張ってますねー! って、きゃあああああああー!?」
 眼鏡コンビが指揮する対空砲火部隊に、全身を炎上させた異形が突っ込んできた。突然の出来事
に、巨大ナメクジやイソギンチャクたちの攻撃も中断される。
 それは、キララを攻撃しようとして、白炎に触れた個体。
 ライトバンに突撃した異形たちは、自分に燃え移った白炎を消そうと大パニックだった。肉塊は車両
と仲良く燃え尽きたが、カマキリ・カエル・毛むくじゃらの先走りトリオは全身に広がった白火に右往
左往しながら、助けを求めて仲間たちの元に殺到したのである。
「ちょっ! やばいっ! 燃えてる! 燃えてるよ!」
 眼鏡男は自分の背中に燃え移った火にパニック状態で、異形の間を無茶苦茶に走り回っている。
しかし、炎から逃げるように走るだけなので、火が消えることは当然ながら無かった。
「もう! おバカさんたちぃ! 何やっちゃってるのぉ! こいつらを何とかしなさーい!」
 瓶底眼鏡の女が炎上するカマキリから逃げながら、指示を飛ばす。
 死に物狂いで火を消そうと暴れる毛むくじゃらに、イソギンチャクが踏み潰されて緑の鮮血が噴き
上がった。毛むくじゃら自身も力尽きたようで、白炎を立ち昇らせながら倒れて沈黙する。
 巨大宝石は、ビームでカエルの頭部を撃ち抜いて沈黙させた。
 殻で覆われた二足歩行の巨大サソリが、カマキリを鎮圧しようと胸部に尻尾を打ち込んだが、そこ
から炎が燃え移り、サソリ自身も火達磨になって別の仲間集団に突っ込んでいく。
「熱っ! 熱いいいい! 離せ! こら! 離してえええええっ!」
 助けを求めるカマキリに捕まり、眼鏡女の白衣が一気に燃え上がった。
 次々と異形に燃え広がる白炎に、地上は大火事の態をなし始めた。
 異形たちは無駄に高い機動力で暴れまわり、勝手に味方内に火を広げていく。燃え上がりながら
お互いに噛み合い、刺し合い、殺し合う光景が、部隊全体に感染していった。
 見下ろしていたキララは、全身を覆った火勢を増して、一気に急降下する。

404 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:28:36 ID:9rwW5Prd]
「一気にフィニッシュって感じ!」
 巨大な白炎の塊が、阿鼻叫喚の異形たちの中に落下した。
 瞬間、悲鳴をかき消すような衝撃と閃光が、一帯を白く塗り潰した。

 …………………………………………
 ………………………

 キララの赴く戦場は、基本的に人家の無い場所である。

 例えば山奥にある小さな湖。例えば断崖にある迷路のような洞窟。
 人間がいない、もしくは全滅した場所で、大繁殖している怪物が確認された場合、または、普段の
巫女協会の戦法が通用しない未知の怪物や、怪獣クラスが確認された場合にほぼ限られる。
 キララの神性は、通常で10メートル圏内に邪悪な存在を寄せ付けない。
 発射できる白炎の射程を含まれば、攻撃可能範囲は半径200メートルにもなる。詰まるところ、彼
女が本気になれば、周囲を一瞬で焼き尽くして焦土と化すことも可能だった。
 その能力の前では、湖底に隠れようが、洞窟の奥に隠れようが関係ない。
 彼女の炎は湖の底を沸騰させ、洞窟を灼熱のカマドに変えて余りある。怪獣級の巨大生物でも、
蟲のように小さな生物群でも、白焔の光巫女にとっては、暖炉に入れられた薪に等しかった。
 さらに、飛翔による機動力が加われば、広域での戦闘も可能になる。
 ロケットのように飛翔しながら、半径200メートル圏内を焼き尽くす人間がいれば、1人でも中規模
の都市を簡単に壊滅させ、軍隊と互角以上に渡り合うこともできる。その性質は、端的に言えば害
獣退治の要員である退魔巫女とは大きく異なり、完全な軍事兵器だった。

405 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:31:23 ID:9rwW5Prd]
「さて、雑魚は纏めてお掃除完了って感じ?」

 瓶底眼鏡のレンズが、炎に包まれて溶けながら落下する。
 吹き飛んだ異形たちの肉片が炭化して、ばらばらと一帯に降り注ぐ。
 一帯は爆弾でも落とされたかのように焦土と化していた。ただし、呆然となる藤村と、アペカと樹里
がいる場所は熱風が来ず、周囲から切り取られたかのように影響が無かった。
「首謀者に死なれると、後の捜査が厄介なのよね。リーダーっぽいテメェらは拘束って感じ」
 炎の放出をコントロールし、アペカたちへの直撃だけは回避されていた。
 キララは、にやりと笑みを浮かべながら、白い尾を引いて歩いてくる。
 つい先程まで場を埋め尽くしていた異形の集団は、瓶底眼鏡の男女を含め天高くに吹き飛び、今
や炭化した破片が落ちてくるのみ。あの大部隊がほんの一瞬で壊滅していた。そこには、小細工や
物量など一瞬で押し切ってしまうほどの、圧倒的な火力差があるだけだった。
「言っとくけど、妙な動きはするんじゃねーよ。キララ様がその気になれば、テメェらを灰にするなん
て、ウインク1回でオーケイなんだからね。1秒もかからないって感じ?」
 言葉に嘘や誤魔化しの感情は微塵も無く、ただ事実を淡々と説明するものだった。
「イリスっぽいヤツや、ギャオスっぽいヤツが出たときでも、秒殺だったしね」
 過去に巫女協会が遭遇している怪獣級の魔物2体は、通常の巫女部隊では大苦戦だったが、キラ
ラの介入で一気に巣ごと焼き払って殲滅した。協会の歴史に残る大金星と言われるその話を、彼女
は積極的には語らないものの、誇りに思っているのは確かだった。
「言っとくケド、テメェらに黙秘権とかねーから」
 キララはそう言って微笑むと、手をゆっくりと街のほうに向けた。視線の先は、先程地下に放置して
いた怪物がいた場所である。方角を定めると、ゆっくりと目を細めた。
 そして、少し不機嫌さが滲み出した口調で、ぽつりと、
「あんにゃろ。今になって出てきやがって」
 と言った。そして、怪物が地上に戻ったのを察知し、白炎を放つ。
 白い軌跡を残して飛翔した光弾は、一直線に国道の事故現場に飛び、街に爆発音を轟かせて白
い火柱を上げた。

406 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:33:48 ID:9rwW5Prd]
 …………………………………………
 ………………………

 キララが去った後、人食い怪物は、地上に触手を数本伸ばして辺りを探索した後、再び地上に姿を
現していた。先程の攻撃で表皮の半分は焼け爛れていたが、深部には及んでいない。
 怪物は、自分を攻撃した少女がいないことを確認し、安堵と同時に、傷の痛みに怒り狂う。
 回復のためには、もっと人間を食べなくてはならない。
 予定通りにショッピングモールと呼ばれるに向かい、人間を食べ続けて、傷を癒すのが良いだろ
う、と怪物は思った。位置は最初からインプットされているし、集客施設である分、モールと呼ばれる
場所には、今までより良質の獲物が沢山いるはずだった。
 もしかしたら、すぐに死んでしまうような普通の人間ではなく、もっと狩り応えのある獲物がいるかも
しれない。狩りの満足感を得られるような、素晴らしい獲物がいるかもしれない。
 空腹と傷の痛みを堪えながら、異形が再び都市への侵攻を開始しようとした瞬間――。

 撃ち込まれた白炎が、怪物を一瞬で灰に変える。
 ショッピングモールに迫っていた脅威は、完全に燃え尽きて、この世界から消え去った。

 …………………………………………
 ………………………

「きゃっ! な、何……? 何なの……?」
 ビルの屋上から屋上に飛び移りながら移動してきたトランスジェニックガール・アスカこと佐久島ア
スカは、突然国道方面で起きた大爆発に驚き、立ち止まって状況確認を行うことにした。
 ショッピングモールに急がなければならないが、それでも確認することにしたのは、炎が赤色では
なく、見たこともない白色だったからである。しかも、今回は2回目の爆発だった。数分間の間に、殺
戮の起きた場所で爆発が続くなど、尋常な事態ではないだろう。


407 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/06(日) 23:35:24 ID:9rwW5Prd]
(一体、何が起きているの……? 戦闘? それとも……)
 彼女の位置からでは、ビルの隙間からしか見えない爆発の余韻。紙のように白い炎は周囲の建
物より高く噴き上がり、そのまま空気に溶けるように消えていき、煙は何も残さなかった。
(でも……今は、ショッピングモールへ急ごう! 確かめるのは後でもできるもん!)
 安否不明の友人たちの笑顔が脳裏を過ぎり、不安で胸が締め付けられそうになる。

 ……少女の名は、佐久島アスカ。
 密かに街の平和を守り続けていた少女は、最後の戦いとなった場所に近づいていく。

 
(続)




408 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/06(日) 23:37:04 ID:9rwW5Prd]
ハッピーエンドに向けて一直線ですね。
続きはそのうち。


捕食シチュだと、最近確認したのは漫画「アカメが斬る」2巻で、
ヒロインの一人が敵の連れた大型獣に食われてたわ。
上半身を噛み千切られて、噛み砕かれる直前で場面転換→喰われてもぐもぐ咀嚼されている
という感じで、直接的な描写は無かったけど。
食い千切られ後は走馬灯モードで過去回想しまくりで、苦しむ描写が無かったのがいかん。

>>400
アタゴウルってまだ続いてたの。




409 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/07(月) 18:06:55 ID:i0tNnLWq]
絶対バッドエンドになると思ってたけどハッピーエンドになるのか!タノシミだ…

410 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/07(月) 23:08:40 ID:dc+6tLR9]
アスカ助かるの?

411 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/08(火) 19:35:40 ID:7LozEf+o]
捕食も好きだがそれ以上にハッピーエンドも大好きな俺はwktkせずにはいられない

412 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/08(火) 19:50:50 ID:68Fcc+B0]
我々にとってのハッピーエンド=捕食エンドだったりしてな

413 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/09(水) 02:29:37 ID:Jrc+ZJOH]
捕食したら融合して少女の姿に戻っちゃったみたいなのを期待。

414 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/12(土) 03:58:28 ID:HWPoXlOH]
もし書き込めたら本能のまま打ってた文章の一部を捧げよう

415 名前:メガワームの餌1/3 mailto:sage [2011/02/12(土) 04:01:35 ID:HWPoXlOH]
OK捕食者ども
こんなつたない文章でよければ楽しんでくれ

「エラ・・・だっけ?お前はいいメスだよ 今までに無い征服感を俺にくれた
おい兵士ども 前の女はもう要らないんだよ メガワームの餌にでもしてしまえ」
その残酷な命令に朦朧としていたエラの意識が返ってくる
「い 嫌ああ!離してえ!」
エラの目の前にエラとはそう変わらない年頃の少女が連れられてくる
彼女に負けない美貌とグラマーな肢体の持ち主だが 体中にある凌辱の後が痛々しい
「お前みたいにあっさり抵抗しなくなる女はつまらんのだ この女が手に入ったからお前はもう用済みだよ」
「え・・・」
少女の目がエラに向けられる 憎しみとも悲しみともつかない視線がエラには辛かった
「なんで・・・ なんで・・・あっ!」
亀獣人が手を上げて合図をすると 少女はメガワームの檻に放り込まれる


416 名前:メガワームの餌2/3 mailto:sage [2011/02/12(土) 04:02:47 ID:HWPoXlOH]
ずりずりっ

奥から現れたミミズともヘビともつかないその巨体は人すらあっさりと飲み込めそうなほどで
触手の様な突起の中央にあるすぼまった口は生理的嫌悪感を催させた
「あ・・・嫌・・・助け・・・」
少女が後じさりし 格子に背中が押し付けられる
「なんだあ?最期にもう一度したいのか?」
「あうっ!」
亀獣人が格子越しに少女を捕まえると そのヴァギナに指を突き立てる
「期待してたんだな こんなに濡らして」
口元をいやらしく歪めると その長いペニスを少女のヴァギナにつき立てた
「ああああっ!」
その豊満な胸を揺らし少女は悶える しかしワームにはそれが生きのいい獲物に映ったのか
ずるずると這いよってくる
「い・・・嫌・・・嫌・・・」
ワームが少女の顔にその肛門のような口をつけた瞬間 周りの突起から汁が吹き出る
「嫌ああ!」

ちゅるん

粘り気のある汁の助けを借りて ワームは少女を一瞬で胸元まで飲み込む
「いいぞ いいぞ この瞬間はどんなガバガバの穴でもよく締まる」
一気に視界を奪われた少女は必死で手足をばたつかせ逃れようとするが 無駄な努力だった
そうする間にも亀獣人の長いペニスは子宮口をこじ開け 赤子のゆりかごを凌辱する
「んー! んー!」
そうして徐々に豊かな胸 くびれた腰と飲み込まれ
少女の動きも徐々に力を失っていく・・・

417 名前:メガワームの餌3/3 mailto:sage [2011/02/12(土) 04:05:51 ID:HWPoXlOH]
ブシュッ ブシュッ

再び亀獣人があの大砲のような射精をし 少女のヴァギナを逆流した精液が床を濡らす
亀獣人は満足したような表情を見せると 少女の腰を手放した

ちゅぼん
間抜けとも思える音とともに尻 足と一瞬で口の中へと消えてゆく

哀れな少女はとうとうワームに全身を飲み込まれ その姿はワームの白い腹にくっきり浮き出ていた
「逆らおうなんて思うなよ」
亀獣人がワームの腹を指差す 脈打つ体が少女をもみしだいている それは消化の始まりを表していた・・・



いつの間に眠っていたのだろう 次の朝エラは汚らしい破裂音で目を覚ます
目をやるとワームが尻尾の先から黄土色の軟泥状の物をひり出していた
哀れな少女の成れの果てだった



これで終わりです
とりあえずスツーカ乗りリスペクト

418 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/12(土) 15:03:39 ID:fSPiqrs7]




419 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/12(土) 23:54:09 ID:u0ISg7Rt]
>>407の続きを投下します。
内容は、ハッピーエンドに向けて一直線って感じ!

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。

420 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:54:48 ID:u0ISg7Rt]
「あんにゃろ。今になって出てきやがって」
 白い軌跡を残して飛翔した光弾は、一直線に国道の事故現場に飛び、街に爆発音を轟かせて白
い火柱を上げた。それだけで、街で暴れた人食いの怪物が消し飛んでしまう。
「………これは、お手上げね」
 アペカは静かに目を閉じて、両手をゆっくりと挙げた。
「こちらには、貴女に抵抗する力は無いわ。降伏よ」
 困惑気味の樹里の横で、巨大頭の異形は早々に抵抗の意思が無いことを示した。しかし、藤村は
諦めてはいないようで、怒りに身を震わせながら、キララを無言で睨み付けている。事態打開の方法
を考えているのだろうが、流石の彼女も、この状況を覆す手は簡単に思いつけないらしい。
「うううう……まだよ……! まだ……樹里がいるじゃない!」
 結局、彼女が選択したのは、最後に残った手駒を敵に繰り出すことだった。
「樹里! その爆発女を殺しなさい! 私が与えてやった能力を、存分に奮いなさい!」
 主たる指揮官の声を受け、アペカの横にいた樹里はゆっくりと歩き始める。眼前にいるのは、巨大
な怪物たちを一瞬で灰に変える火力を持つ、誰が見ても勝算が無い状況であるのに。
「樹里、動いては駄目よ。藤村も少し冷静になりなさい」
「コラ、動くなってのが、聞こえないのかって感じ!」
 樹里はくるりとアペカに振り返り、悲しげな顔で笑みを作る。
「申し訳ありませんが、その命令は聞くことができません」
 アペカの命令とキララの脅しを無視して、樹里はゆっくりと洋服のボタンを外し始めた。
 そして服を脱ぎ捨て、靴も脱いで、アニメキャラの絵がプリントされたパンツを残して、生まれたまま
の姿を晒していく。脂肪の無い胸部に膨らんだ腹は、同年の男児と変わらない。
 桃色というより、やや濃い肌色の乳頭を晒しながら、樹里はキララに向き合った。
「このガキ 服を脱いで、まさかキララ様に対抗……」
「服を脱いだのは、貴女と同じ理由。一帳羅を台無しにしたくないもの」

421 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:55:09 ID:u0ISg7Rt]
 そう言った樹里の両腕から、半透明の液体を滴らせながら、乳白色の触手が伸びた。枝分かれし
ながら増殖して網目状に広がるそれは、植物の根っこに他ならない。
 黒髪は、植物の葉のように変色し、鮮やかなエメラルドグリーンに変化した。そして、両頬から、乳
房から、背中から、腹部から、少女の肢体の至る箇所から、根っこが虚空に拡大する。
「厄介な外見しやがって、お前も化物の仲間かよって感じ」
「アペカ様直属の護衛である私に対して、何と言う口の聞き様でしょうか」
 食人植物の魔物を移植され――同化した異形の少女は、にやりと微笑んだ。
 …………………………………………
 ………………………
 樹里は基本的に、生物の体液ならば何でも吸収することができる。
 人間や動物の血液は勿論のこと、スポーツドリンクや生野菜、調理した食物でも水気が多けれ
ば、全身に生やした根と口から摂取することができる。光合成も一応は行えるが、それは普段活動
するには全然養分が足らず、主として生物の体液を吸わなければ体調を崩してしまう。
「テメェ……キララ様に本当に勝てると思ってるのか?」
 白炎の巫女は不快そうに顔を歪め、童女の外見をした異形を睨み付ける。
 樹里は目を細めて、自嘲気味に口元を歪めた。
「戯言を。私だって戦士です。喩え無駄でも、無謀でも、戦わなければならない時がある。逃げること
が許されない時がある。私にとってそれが、今まさに、この瞬間だということ」
 今や鮮やかな緑に変色した瞳が、かっと見開かれる。
 瞬間、巨木を思わせる植物の根っこが、地面から噴き上がるように伸び始めた。樹里の足の裏か
ら成長していたそれは、一気に地上に出て獲物を絡めとり、締め上げていく。
「きゃっ! うっ! くっ! ちょっと待って……!」
 根は標的の両手両足を拘束し、螺旋を描くように胴体を駆け上がり、ついに頭部に達した。

422 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:55:45 ID:u0ISg7Rt]
「ちょっと、離して! 離しなさい! 私は違うでしょ! 敵はあっち! ちょっと!」
「くっ、苦しい……樹里……? きゃ……ぁ……!」
 樹里の根で締め上げられ、意味が分からないという表情を浮かべながら、藤村とアペカの身体が
宙に持ち上げられた。足先から頭までぐるぐるに巻かれており、完全に自由を奪われている。
 振り返った樹里は、憤怒の色を浮かべて藤村を睨み付けた。
「じゅ、樹里! どういうつもり!」
「私の名前を呼ぶな! この悪魔!」
 突然大声で吐き捨てられ、藤村の表情が一瞬消える。
 護衛を称していた少女の突然の反乱は、両陣営ともに予想外のことで、混乱するだけのアペカは
勿論、キララも呆然とするだけで、どう言葉をかければ良いか分からない。
「ずっと、こんなチャンスを待ってたんです! お前から護衛が消えるのを! そして、『叡智の冠』に
対抗できる戦力が現れるのを! 何年でも待つつもりだったけど……」
「お、おまえ……私を裏切るつもりなの! 能力を与えてやった恩を、こんな!」
 藤村の目が見開かれ、血走った眼球が?き出しにされる。
 幾人もの命を弄び、実験台にしてきた女性研究者は、今や怒りと失望を隠そうともせずに暴れ始
め、拘束を解こうとする。しかし、部下は全員異形でも、彼女自身は普通の人間らしく、顔を赤くして
抵抗するも拘束を解くことはできない。ただ、無様にもがくだけだった。
「裏切る? 私は最初から味方になったつもりはありません」
 憎悪に染まる表情で、樹里は藤村を睨み付けて叫ぶ。
「あのとき、実験室の仲間同士で誓ったんです。私たちの誰か一人でも、毎日繰り返される拷問から
生き延びられたら、絶対にお前たちをやっつけて、捕らえられてる他の子供たちを助けようって。結
局、お前に選ばれた私以外は、拷問中に死ぬか、化物の餌にされましたけど」
 樹里は藤村から、護衛していたアペカに視線を移す。

423 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:56:41 ID:u0ISg7Rt]
 しかし、その表情に藤村に向けた憎悪は無く、ただ哀れみがあるだけだった。
「樹里……愚かなことは止めなさい」
 駄々を捏ねる子供をあやすように、アペカは優しい笑顔で、裏切った従者に語りかける。
「今なら、何も無かったことにしてあげるから、冷静になりなさい」
 巨大頭の異形は、慈愛に満ちた笑みで、語りかける。

「今なら、私は貴女を赦せる。貴女を抱きしめずに済む」

 唇が三日月を作って、静々と言う。

「酷いことはしたくないの。お願い」

 樹里はアペカの語りかけに、残念そうに首を横に振った。
「アペカ様、申し訳ございませんが、貴女様もここで消えていただきます。貴女様は藤村の犠牲者で
すし、人間を食べるのも、生きるためには仕方の無いこと。ですが――その体内で生きている蟲は、
人間の天敵です。新しい犠牲者を出さないためにも、始末しなければなりません」
「樹里……私は貴女のためを思って、言っているのよ」
「私は覚悟はできています。『叡智の冠』を壊滅させたら、ヒトを食べた罰を受けます。少し時間はか
かるかもしれませんが、アペカ様の後を追わせていただきます」
 アペカは深く息を吐いて、視線を下向ける。
「決意は固そうね。とても残念だわ」
「申し訳ございません」
 頭を深く下げた樹里は、そのまま表情を見せることはなかった。
 しかし、藤村は狂乱めいた表情で、樹里に喚き散らし始める。
「残念じゃない! 申し訳ございませんじゃねーよ! 謝るなら拘束を解け! そ、そうだ! キララっ
ていったかしら、貴女? ちょっと、その娘を焼き殺してよ! というか、私と組まない?」

424 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:57:34 ID:u0ISg7Rt]
「あン? 何言ってるのって感じ?」
 沈黙して推移を見守り続けていたキララの眉が、ぴくりと上がる。
 藤村はにやりと嗤って、首を捻りながら訴えた。
「貴女が私の味方になってくれれば、もう千人力よね! 良心が痛むってのなら、ビジネスって割り
切ればいいわ! お金ならあげる! それとも、下僕がいいかしら? とにかく、損はさせない! 仕
事に見合うだけの報酬は用意するから! だから、その餓鬼をやって! 私を助けてええええ!」
「テメェ……どうしようもねーな」
 冷徹な声でそれだけ言って、キララは沈黙に戻った。
 事件を起こした組織の素性が、宗教法人『叡智の冠』であり、樹里が証人になる意思が確認できた
今、彼女は樹里の復讐を黙認する様子ですらある。
「ぎいいいいいいいいいいいいいい!」
 拒絶されたと理解した藤村は、ぐるりと白目を剥いて声を張り上げた。
「畜生おおぉぉぉぉぉ! 離せええええええっ! くそっ! はなしやがれえええぇぇぇぇ!」
 手負いの獣が罠にかかって咆哮するような、壮絶な声で。
「もう少しで! もう少しで、私たちの理想は敵うのよ! 愚かな人間全てに叡智の冠を与えることが
できる! 愚かな人間を全員、聖界フィルールに連れて行ける! ずっと受け継がれてきた理想が、
積み重ねて積み重ねて、やっと現実になるのに! 偉大なる開祖、瑪瑙姫の理想が、300年を経て
ようやく、ようやく、じっ、実現、するのにっ、いいいいいいいいっ!」


「『叡智の冠』の、300年に及ぶ悪夢の歴史は、これでお終いです」


 樹里は静かな声で、容赦なく宣告する。
 根に捻り潰された藤村とアペカの、肉塊と鮮血が地面にびちゃびちゃと落下した。

425 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/12(土) 23:58:04 ID:u0ISg7Rt]
 …………………………………………
 ………………………

「着いた……ショッピングモール……」

 息を切らしながら顔を上げたアスカの前には、無傷のショッピングモールが建っていた。怪物襲撃
の情報は既に伝わっているらしく、来訪者は駆け足でモールから逃げ出していた。
 それは、彼女の最後の戦いとなった場所。
 しかし、眼前に広がる光景は、壮絶な最後の光景とはまるで違うものだった。

「おっ、アスカじゃん! おーい! こっちこっち!」

 アスカの友人たちは、彼女の姿を発見するや、手を振って自分たちの生存を伝えてきた。
 下半身を噛み切られ、または胴体のみになり、または頭部だけが残された少女たち。しかし、彼女
たちは怪物に襲われず、笑顔を浮かべてアスカの名前を呼んでいる。

「みんな………良かった……無事だったんだ……!」

 アスカは口元を手で押さえた。
 肩を震えた。
 目が熱くなる。
 涙が頬を伝っていく。
 失いたくなかった。
 守りたかった。
 かけがえのないものが、無事でいてくれた。


「みんなっ! すぐに、そっちに行くよっ!」


 アスカは満面の笑顔で、友人たちの方へ走り始めた。


426 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/12(土) 23:58:26 ID:u0ISg7Rt]
ハッピーエンド?
続きはそのうち。

427 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/13(日) 01:08:49 ID:ClWhpuU9]
乙乙
しかしこのままじゃ終わりそうにないな〜w

428 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/13(日) 02:13:25 ID:updfxQsR]
乙、新井素子の処女作みたいな結末ってハッピーエンドなんだろうかとふと思った。



429 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/13(日) 21:33:24 ID:8vMZvzd8]
アスカ幽霊じゃないよね…


430 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/23(水) 23:08:26 ID:3WVg9p+Z]
ほしゅ

431 名前: ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:15:47.75 ID:SCfjPlG2]
>>425の続きを投下します。
内容は、しつこい敵は嫌われるって感じ!

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。

432 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:17:13.67 ID:SCfjPlG2]
「アペカ様は読心術が使えました」
 樹里の言葉に、キララは驚きを隠せずに眼を丸くした。
「貴女のことも最初から警戒していましたし。同じような魔物である私にとっても信じ難いことです
が、確かに彼女には、そういう能力が存在していたのです」
「マジで? キララ様の考えてることが、まる分かりだったってこと?」
「いいえ、彼女が読めたのは心の表層だけで、深部の思考は読めなかったようです。私の裏切りも
察知できていませんでしたし。まあ、教団内では、彼女はマルチな能力の持ち主で、他にも幽霊が
見えるとか、人間の魂を繋ぎ合わせて、巨大な異世界を創っているとか、話を聞いただけでは理解
し難い設定になっていましたが……」
 樹里は何も存在しない空を見え上げて、短く息を吐いた。
 教団の一部関係者が視えていたらしい異世界の球体は、やはり見ることができなかった。
「おそらく、読心術をオカルト的に脚色したものでしょう。そうに決まっています」
 そう自分に言い聞かせながら、樹里は空から視線を外す。
 そして、捻り潰した2つの遺体を、冷徹な眼で見下ろした。
「私、これでもアペカ様には好意を寄せていたのですよ」
「え? でもお前、そいつ」
「いっしょにいられるなら、人食いの化物だって悪くないと思えるぐらい。かなり重症でした。彼女は
いつも私の心を読んで、欲しい言葉を欲しい時にかけてくれていたのだと思います。優しい言葉が
欲しいときは甘い言葉を。厳しい言葉が欲しいときには苦い言葉を。心が満たされました。私はいつ
の間にか、彼女のことばかり考えるようになっていて、従者として、四六時中いっしょにいるようにな
りました。ずっとずっといっしょにいたいと思いました。だけど」
 樹里は目を細めて、主の亡骸を見る。
「結局、復讐の決意まで揺らすことはできませんでした」

433 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:19:05.01 ID:SCfjPlG2]
 根に捻り潰された藤村とアペカの、肉塊と鮮血が地面に撒かれていた。
 手足は枯れ枝のように折れ曲がり、胴体が捻れて破れ、内臓が溢れ出している。血溜りをじわり
と広げる肉塊は痙攣するのみで、完全に生命活動を停止しているようにしか見えない。
 無表情でそれを見下ろす樹里の背後で、キララは静かに唇を開いた。
「それでも、ちょっと驚いたって感じ。好意や恨みがある割には、躊躇い無く一瞬で終わらせた。退
魔の巫女だって、仇みたいな魔物に対しては、多少感情を込めた方法で討伐するのに」
「感情を込めるなんてできません。遺体の見た目は酷いですが、全力で、可能な限り苦しみを感じな
いように、一瞬で殺したつもりです。アペカ様は勿論、藤村だってそう」
 樹里は緊張した面持ちを崩さず、独り言のように呟いた。
「キララさん。貴女方が討伐してきた普通の魔物ならば、感情を込めて復讐するようなことも可能で
しょう。しかし、『叡智の冠』の過激派については、それは逆効果になるんです。貴女の言う、感情を
込めるということは、要するに、必要以上に「痛めつけたり」「苦しめたり」「恐怖を与えたり」「絶望さ
せたり」することでしょう? それはダメです。「餌」になってしまうんです」
「ちょっと語弊があるって感じ。ていうか、餌って何よ?」
「『叡智の冠』は、それによって人類を救済しようとした宗教団体です。表向きの教義は、真に健全な
魂は別世界の神様による教育で生まれるというものですが、実際には、無限拷問による人類の救
済を目指していました。これは、そのおぞましい研究成果の1つ」
 アペカの潰れた頭から、脳漿と血液に混じり、半透明の粘液が流れ出した。
 それは耳や眼窩、鼻腔からも流れ始め、血液と混じり合ってゆっくりと渦を巻き始める。
 半透明の粘液は、そのまま藤村の遺体にも近寄り、破れた胴体に吸われるように流れ込んだ。硬
直した彼女の顔にも這い上がり、露出した脳味噌に向けて近づいていく。
 アペカの遺体は目に見えて胴体や頭部が動き出し、内部でガスでも溜まったかのように膨らみ始
めた。蘇生したのではなく、何かが内側で暴れているような動きである。

434 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:21:12.94 ID:SCfjPlG2]
「ちょ、おい! そいつら! まだ生きてるのかよ!」
「アペカ様と藤村は死んでいます。急所は完全に破壊しました。ただ……アペカ様と藤村が、死ぬ直
前に感じた恐怖と絶望は、今もまだ「餌」として残っているんです」
 藤村とアペカの壊れた人体模型のような体躯が、地面に弾かれたかのように跳ね起きた。
 全身の骨を砕かれた彼女たちを支えているのは、破れた皮膚から洪水のように溢れ出した半透明
の蛆虫とミミズの大群だった。潰れた頭部の様々な穴から、手足の折れ曲がる部分から、破れた腹
部から、広がった血の海から、大量の蟲が発生して、二人の遺体に内外から貪りついていた。
 胴体を風船のように膨らませ、臓物を掻き出し、穴という穴から体内に侵入し、傷口から泉のよう
に溢れ出す蟲に、辛うじて原型を保っていた遺体はみるみる変形していく。
 全身の肌が剥かれ、傷口は裂け広げられ、臓物は潰され、血塊と化した肉が分断される。
 蟲は巨大な噴水のように肉塊から天に高く、地に広く増殖し、バラバラにした手足を弄び、地面に
吸われた血液も残さずに貪り、二人の遺体から脳漿を引き出して食い尽くしていく。外側と内側を舐
めるように削ぎ取られた頭蓋骨の欠片は、ゴミのように蟲群から吐き出された。
「じょ、冗談は生きてるときにしろって感じっ! マジキメェ! ラーメン食えなくなるって!」
 キララは緊張した顔で指先に力をため、炎を練る。
 空気を熱で歪ませながら、渦を巻く白炎が膨らんでいった。魔物を滅ぼす力を秘めた炎は、眩く発
光して蟲群を白く照らし出し、一直線に標的に狙いをつける。
「こいつらがアペカ様に憑いていた魔物です。人間が恐怖や絶望を感じた時に発生する、脳味噌の
分泌物質を食べて生きる人類の天敵。獲物の分泌物質が混ざった脳味噌や血液を、身体ごと食ら
い尽くして増殖していく。あと、アルコールを与えても爆発的に増えます。だけど、本来は極めて特殊
な環境でのみ存在していた生物で、ここならば放置しても死滅するだけです」
 樹里は炎を発生させたキララを振り返り、泣きそうな顔で呟き続ける。
 白い炎に照らされた顔に、しかし迷いの色は無い。

435 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:22:59.11 ID:SCfjPlG2]
「これが、『叡智の冠』の本性。私もこんな連中の仲間でした。人間を17人も食べている罪人です。
自分がしたことについては、どんな罰も受けます。だから……」

 爛々とした白炎を映した涙が、静かに両頬を伝い落ちた。
 今、ここで殺されても仕方が無いと、その表情は語る。それでも、樹里は願わざるを得ない。自分
がどれだけの罪を犯したか告白し、自分がどれだけ化物なのかも告白した上で、
 信用を得るためには、一切の隠し事は許されないことを理解し、告白した上で、

「私は殺されても構いません……だけど、お願いがあります……! 教団を調べてください。それで
……捕まってるみんなを……、殺される前に助けてあげてください……!」

 樹里の横を、白炎の奔流が駆け抜けていく。
 蟲柱の中心に吸い込まれた白炎は、灼熱を帯びて膨らみ、藤村とアペカの残骸ごと人間の苦痛
に群がる蟲を灰に変えた。それは容赦の欠片も無い、駆除作業に他ならなかった。
 顔を上げた樹里の前で、キララは言った。
「出発するから、さっさと支度しな。巫女協会の本部までは、少し遠い」
 樹里は口を開いて、しかし、何を言うべきかも分からないという表情で、キララを見る。お願いをし
てみたものの、それについて白炎の巫女がどのような決断をしたのかが分からない。
 言ったことを信じてもらえず、ただ罪人として連行されるのか。それとも。
「テメェを信じる。嘘をついているように見えねーし。ヤバい連中も放っとけねーし」
 キララは、どうと言うことでも無いという風に、あっさりと言う。
「救出する相手の場所も敵の戦力も分からないし、作戦が立てられない。とりあえず本部に連れて
行くから、知ってることは全部話せって感じ。段取りは早く済ませないとな」

436 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:25:45.55 ID:SCfjPlG2]
 樹里は、しばらく放心した後、表情が戻った。
 肩を震わせながら何度も頷き、嗚咽を漏らし始める。
「んー? 怖がらせたか? 別に、テメェを今すぐどうにかしようとは思ってねーよ」
 キララは白炎を消して、樹里に向けてゆっくりと歩き出した。
 舞い上がった金髪は背中に垂れ、表情の険も無くなっている。
 不敵さも挑発的な姿勢も無く、異形たちを圧倒した鬼気迫る気配も消えていた。同年代ならば友人
と毎日遊んでいるであろう歳の少女が、生まれたままの姿で立っているだけである。
 生死に関わる戦いを行う巫女としての、張り詰めていた精神の緊張も解けていく。戦士の仮面を
外して、年齢相応の柔らかい笑みを顔に浮かべ、キララは樹里の頭を優しく撫ぜた。

「私と巫女協会が、悪いやつの好きにはさせないって感じ」

 そのとき……キララに普通の少女と同じ口調で話されて、ようやく樹里は気付いた。
 目の前で笑っている退魔の巫女は、ほぼ無敵に近い戦闘力を有しているとか、戦い慣れていると
か、それ以前の事実として、自分と歳もあまり変わらない少女なのだった。
 怖いものは怖いと思うだろうし、攻撃を受ければ血を流すだろう。
 よくよく考えてみれば、瓶底眼鏡たちとの戦闘にしても、あのときの魔物は眼鏡たちが創ったオリ
ジナルが多く、キララにとっては、未知の魔物の大群に取り囲まれていた状態だった。
 万が一、白炎が通用しない敵が一匹でもいたら……。
 想像もしていない方法で、シールドを突破されて逆襲されたら……。
 あの状況で、最悪の事態を考えなかったはずが無い。
 怖くなかったはずが無い。

437 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:26:55.34 ID:SCfjPlG2]
 全身に炎を纏うスタイル上、彼女は普通の武器や防具を身につけることができないだろう。全身の
急所が剥き出しであり、体格差のある怪物の攻撃を受ければ、一撃でも致命傷になりかねない。炎
が破られでもしたら、もう細腕での徒手空拳しか戦う方法は残されていない。
 彼女はどれだけの恐怖と逃げたい気持ちを、汚い言葉といっしょに吐き出したのだろう。
 他の戦場では、怪獣と戦わされたようなことも言っていたが……。

「大丈夫、私は絶対に負けない」

 キララは、樹里の顔に浮かんでいる不安と困惑を察したようで、儚げに微笑む。
 そして、最強ゆえに、普通の攻撃が通用しない未知の怪物や、怪獣クラスの魔物に対してばかり
投入される白炎の巫女は、不安を払拭するように胸を軽く叩いて、にっこりと笑った。

「戦いはもちろん、心だって絶対に負けないから」

 …………………………………………
 ………………………






「……あれ? ここってどこ? 何も見えない」
 気がつくと、周りが何も見えない暗闇の中を歩いていた。どうして自分がここにいるのか、いくら考
えても、思い出せなかった。誰かと直前まで話していた気がするが、それも思い出せない。
 どうしようもなく、目を細めて足元に注意を払いながら、ゆっくりと前に進むしかなかった。

438 名前: ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/02/26(土) 23:27:31.55 ID:SCfjPlG2]
怪物を倒して、みんな笑顔です。
良かったですね。
もちろん続きます。



439 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/02/28(月) 04:03:03.07 ID:ln1DRzyP]
おぉマジでハッピーエンドくせえ
次なる捕食を求めて...続き待ってます

440 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/06(日) 19:56:17.12 ID:7p1Q4m03]
>>437の続きを投下します。
残虐な表現を含みますので、苦手な方はスルーしてください。

441 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 19:57:14.94 ID:7p1Q4m03]
「……あれ? ここってどこ? 何も見えない」
 気がつくと、周りが何も見えない暗闇の中を歩いていた。どうして自分がここにいるのか、いくら考
えても、思い出せなかった。誰かと直前まで話していた気がするが、それも思い出せない。
 どうしようもなく、目を細めて足元に注意を払いながら、ゆっくりと前に進むしかなかった。
 闇色の道は一直線に続いているようだが、先は分からない。
「どうなってるの。どうして私、こんな場所に?」
 トランスジェニックガール・アスカは不安に駆られながら、再度周囲に探りを入れる。
 自分の置かれた状況を整理しようとするが、やはり答えは出ない。
 特有の、人間を超えた五感を駆使するも、生物の気配は勿論、風の流れ1つ感じないし、暑いとも
寒いとも思わない。過敏になりすぎると日常生活に支障が出るので、普段は眠らせている感覚まで
起こして周囲を探るも、体内のセンサーは何も感知しなかった。
「誰か! 誰かいないの! ちょっと! ここはどこなのよ!」
 背筋に冷たいものを感じ、大声で呼びかけるも、木霊すら返ってこない。
 身体を動かせば当然起きるはずの空気の流れすら起きず、まるで自分が自分でなくなってしまっ
たかのような――例えば、風も気温も感じない存在になってしまったかのような、現実には絶対に起
こらない仮説まで、頭の片隅でゆっくりと形作られていく。
 正直なところ、アスカは今の状況が怖かった。
 得体の知れない場所に閉じ込められた現状が、手に入れた超人的な筋力や感覚では、どのよう
にも打破できないことを、彼女は感覚的にだが理解しつつあった。
「ううう……誰も、いないの……?」
 歩くのを止めて、震える声で闇に話しかける。
 未知の暗闇を動き回るよりも、今いる場所でずっと止まっている方が幾分かは安堵できた。それで
は何も解決しないと分かっていても、一時の安らぎは曇天の心を少しだけ癒してくれる。
 そのとき、視界の端に白い光が映った。
 驚いて振り返ったアスカの眼前では、ホタルのように舞う無数の光が集まり、ゆっくりと人の形を成
していく。白い発光が描き出すのは、すらりとした華奢なライン。

「道に迷って困ってるのね。お姉ちゃん」

 発光体は、聞き覚えのある声で、明瞭に言った。

442 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 19:58:11.71 ID:7p1Q4m03]
 聞き覚えがあるのも当然である。
 何しろ、その声は毎朝、そして毎晩のように、テレビのチャンネル争いであるとか、1台しかないイ
ンターネット用パソコンの使用で会話をしている、実の妹のものだったのだから。
「え? 貴女、もしかしてヤヨイちゃん?」
「うん。そうだよ。ヤヨイだよ」
 発光体が飛び去ると、そこには髪を腰まで伸ばした少女が立っていた。
 佐久島ヤヨイ――アスカの妹。
 姉と似て端整な顔で、両頬はやや赤みを帯びているが、本人はあまり気にしていない。健康的な
笑顔に色香は無いが、余りある瑞々しさがいつも溢れていた。
 衣服は、アスカと同じく手作りのレオタードである。
 水色の生地に純白の斑点模様は、姉の星空模様とは穏やかな対になっていた。スリーブには淡
い黄色のフリルが付き、腰からは姉とお揃いで薄地の白スカートが開花している。胸部はよくよく観
察してみれば、やんわりとした膨らみが見えるぐらいで、まだ成長途上のよう。
「ちょっと待って。さっきの無し。今の私はヤヨイじゃなくて、トランスジェニックガール2号!」
 顔の上半分を隠す青い仮面を付けて、Vサインを決めるヤヨイ。
 彼女もアスカと同様、超人的な身体能力を持っていた。
 旅行先で料理を食べた際、「お姉ちゃんと同じメニューがいい!」の一言が原因で、彼女も
スーパーヒロインに足る能力を手に入れたわけだが、今までは特に活用していない。
 姉のアスカが街の治安を守るため、正義の味方を始めたときも、消極的な肯定のみだった。調査
の手伝いや応援はするけれど、悪人と実際に戦うのは嫌というのがその理由である。
 アスカは一瞬、何を言いかけたかを忘れてしまうが、再び我に返った。
「そうじゃなくて、ここは一体どこ……」
「やっぱりトランスジェニックガール・プティットがいいかな」
「ヤヨイちゃんの呼び方なんてどっちでもいいから!」
 アスカは眩暈と違和感を覚えたが、妹の様子からして、ここは危険な場所でもなさそうだった。
 そして、いつも全く話を聞かない妹に、仕方なく話を合わせる。
「ヤヨイちゃん、そういうのは嫌って言ってたのに、急にどうしたの? あと、その仮面は何?」
「むしろ、お姉ちゃんが、素顔丸出しで正義の味方してるのが不思議」
「え? どうして?」
「お姉ちゃんが気にしないなら、今さらヤヨイは何も言わないけどね」
 青い仮面の奥で微笑んで、トランスジェニックガール2号ことヤヨイは言葉を続ける。
「だって、お姉ちゃん。もう死んじゃったから。顔バレする心配は無いし」

443 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:00:08.44 ID:7p1Q4m03]
「え……今、何って言った? ヤヨイちゃん」
「もう死んでるんだよ。お姉ちゃんは。ごめん。これははっきり言わないと駄目らしいから」
 硬直するアスカの身体に腕を回し、ヤヨイは実の姉の身体を強く抱きしめる。
「殺される直前、とっても痛かったよね。痛くて、怖かったよね。口の中でもいっぱい噛まれて、頭ま
で噛み砕かれて、だけど死ねないまま胃に運ばれたなんて……ものすごく苦しかったよね」
 アスカはヤヨイの言葉が理解できず、表情を喪失したまま立ち尽くしていた。
「私ね、知ってるんだよ。口に引き擦り込まれていく途中に、好きだった三島くんのこと、お友達のこ
と、お父さんやお母さんのことや……私のことも、思い出してくれたんだよね。お姉ちゃん」
 ヤヨイの作り笑顔はゆっくりと歪み、大きな眼からは大粒の涙が零れる。
「お姉ちゃんの意思は私が継ぐから! 私がいけないんだ! 一緒なら、お姉ちゃんに無謀なことを
させなかったのに! お姉ちゃんの性格を知ってて……何もしなかった自分が許せない!」
「ヤヨイちゃん……何の話をしてるの?」
「ううん。ごめんね。変なことを言って……」
 泣きながら首を横に振るヤヨイに、得体の知れない焦燥感を覚えながら、アスカは上手く言葉を紡
ぐことができない。何かがおかしいとようやく思い始めたが、上手く思考がまとまらない。
 いや、まとめようとしても、部品が足らなくてまとめられないような、異様な感覚。

「無理よ。彼女の記憶は、私が上書きしたもの。きっと理解できないわ」

 今度は、全く聞き覚えの無い声だった。
 驚いて振り返ったアスカの前には、巨大な頭部を持つ怪人の少女……アペカがにこりと微笑んで
いた。背後の闇からは、藤村や瓶底眼鏡たちも次々と現れる。
「残酷な記憶を残しても、苦しませるだけだからね。事後で申し訳ないけれど」
「ううん、いいんです。本当に、ありがとうございました」
 直感的にアペカたちに危険なものを感じたアスカは、ヤヨイの肩を掴んで問いかけた。
「ヤヨイちゃん、あの人たちは誰? 知り合いなの?」
 自分に浴びせられる視線に悪寒を感じながら、非難めいた口調で確認する。
「あの人たちは、すごい力を持ってる人。誤解しないで、悪い人じゃないよ」
 感謝しているように、ヤヨイはアペカを見る。
「あのアペカ様が、家にいた私を、こうやってお姉ちゃんに会わせてくれたんだよ。詳しい話は難しく
て分からなかったけど、人の心や魂を、糊やハサミで工作するみたいに、切ったり貼ったりできるん
だって。だから、自分の心を切り取ってもらって、お姉ちゃんの心に貼り付けてもらったの」

444 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:01:31.97 ID:7p1Q4m03]
 神を崇拝する眼で、ヤヨイはアペカを姉に紹介する。
 しかし、アスカにとっては、妹の言うことは理解不能だった。言葉だけを聞けば、ヤヨイの頭がおか
しくなったか、怪しい宗教に毒されているとしか思えない。
「あの人たちはね、すごい力を使って、この世界を、もっと素晴らしくしようとしてるの!」
 巨大頭の少女は優しく微笑んでヤヨイを見た。
「ヤヨイさん。魔物を体内に取り込んで変異した者同士、これからも仲良くしましょう」
「ああ、アペカ様! 有難うございます!」
 仮面を外して、ヤヨイは異形の少女に跪く。彼女が演技をしているようには見えないし、間違いなく
本心から巨大頭の少女に感謝しているのだろう。しかし、アスカにはそれが異様に映った。
「ヤヨイちゃん。大切な話があるから、その人たちから離れて、こっちに来なさい」
「どうして、お姉ちゃん?」
 アペカの目がすっと細まった。
 そして、悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべて、ヤヨイの方をちらりと見る。
 特に直接触れたりはしなかった。
「どうして、そんなトゲのある言い方するの?」

 振り返ったヤヨイの美顔は、
  ……肌が全て削ぎ落とされた状態で、血肉が剥き出しだった。

 アスカの悲鳴が喉まで込み上げたときには、ヤヨイの剥き出しの肉が顔中で音を立てて裂けて、
内側から巨大な眼球が次々と現れていた。
 そして、水溜りに浮かんだカエルの卵を貼り付けたように、顔中を眼球で覆い尽くしたヤヨイは、い
つの間にか8本に増えていた腕を振り回しながら顔を前に突き出し、昆虫が壁を這うような動きをし
て、おぞましいほどの速さでアスカの方に迫ってきた。
「まるでアペカ様が悪い人みたいに聞こえるじゃない。アペカ様に謝ってよ」
 聞きなれた可愛らしい声だけが、かつての妹のまま。眼球だらけの妹の顔を見てアスカが悲鳴を
上げたのと、アペカがけたたましく嗤い始めたのはほぼ同時だった。

 …………………………………………
 ………………………

445 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:03:41.86 ID:7p1Q4m03]
「大丈夫、私は絶対に負けない」
 キララは、樹里の顔に浮かんでいる不安と困惑を察したようで、儚げに微笑む。
 そして、最強ゆえに、普通の攻撃が通用しない未知の怪物や、怪獣クラスの魔物に対してばかり
投入される白炎の巫女は、不安を払拭するように胸を軽く叩いて、にっこりと笑った。
「戦いはもちろん、心だって絶対に負けないから」
 厳しい修行と勇気に裏打ちされた言葉に、樹里は無言でゆっくりと頷いた。彼女とならば、厳しい
戦いも耐え抜くことができるし、自分の罪も容赦なく断罪してくれると確信する。
 そう思った瞬間、背後から、

「なら、もっと頑張らないといけないわね」

と声が聞こえてきた。
 キララと樹里が、驚愕の表情を浮かべて振り返る。
「そんな……嘘……」
 樹里は呆然となって一歩、二歩と後退する。直立を支えるのが怪しくなるほどに、彼女の動揺は激
しい。自分の目や耳を、そして触覚を信じられなくなってしまう衝撃だった。
「おいテメェ。こりゃ一体どういう手品だって感じ。なんで生きてやがる」
 キララの表情が、穏やかな少女から、白焔の姫巫女モードに豹変する。
 両手に轟轟と白炎が渦を巻いて膨らんでいくが、彼女も表情に浮かんだ困惑は拭えない。これま
でとは様子が異なり、見てすぐに分かるほどに警戒の念を露にしていた。
「そんなに顔を見つめられると、照れてしまうわ」
 二人の視線の交わる先、白き異形の少女はくすくすと可笑しそうに肩を揺らす。
「ねえ、樹里。もしかして、さっきいっしょに食べたアイス、顔に付いていたりする?」
 以前と同じ声、同じ笑い、同じ話し、同じ外見、同じ気配、同じ余裕――。藤村や蟲群が焼かれて
消滅した場所で、まるで何事も無かったかのように、何も変わった様子は無かった。

「勝手に殺さないでよ。私はこのとおり、とても元気よ」

 特注の麦藁帽子を直し、無垢な笑みを浮かべ――無傷のアペカがそこにいた。
 彼女の身体には、火傷はおろか、衣服に根っこで締め上げられた跡すら残されていない。まるで
先程の樹里やキララの攻撃が行われていないかのように、平然と、優しく微笑みかけてくる。

446 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:04:45.62 ID:7p1Q4m03]
「キララさんだっけ? 貴女のサファイア・アイとやらは、どうやら節穴の……」
 瞬間、アペカの全身はボッと音を発し、白色の炎に覆い尽くされた。
 アペカ当人も何が起きたか分からない表情で、樹里も驚きの余り声が出せない。
 現象を説明するのは、無言でアペカに向けられたキララの腕のみ。
 それは予告も無く、ただ相手を殺すためだけの合理的な行動。彼女に火炎放射を繰り出したキララ
は、汚い言葉を吐かず、忌まわしき魔物を焼き殺すために、淡々と火力を上げていく。
「……ごぼおお……がぼおお……」
 焼かれ、アペカの肌は赤黒く爛れ、苦しげな声が口から漏れる。
 炎は彼女だけでなく、彼女の周囲にまで展開されていく。
 火力はみるみる上昇し、周囲を焼き尽くして天高くにまで火柱が上がり、一体の地表はおろか、何
も無い空間まで怪物のように暴れまわった。それは、アペカを、周りの空間ごと完全に焼き尽くす攻
撃。炎を回避できても窒息するよう、周囲の空気を爆発させるように消費していく。
 どう動こうと、彼女に逃げ場が残されているようには見えなかった。
「アペカ様……どうして生きてらしたのですか……?」
 生きたまま焼き殺すという残酷な方法を前に、樹里は思わず目をそらしてしまう。しかし、戦闘中に
余所見をした隙を、炎の中にいた異形の少女は見逃さなかった。
 黒焦げの肢体がバッタのように跳び、火柱の高さを上回る。
「そんなバカな! あれだけ私の炎で焼いたのに!?」
 キララが叫び声を上げたときには、炎の中から跳躍したアペカが頭上に落下してきていた。地上の
視線を浴びながら、火傷をみるみる治癒させていき、そして嗤った。
「樹里、戦闘中に余所見はいけないわね」
 両眼を怪しく光らせながら、邪悪な嗤いを浮かべたアペカの両手に、鈍色の影が現れる。薄い円
盤状の金属で造られたそれは外周に鋭い刃を尖らせ、渦巻きのような曲線を描いていた。
 かん高い金属音を発する、草刈機の先端に付いている回転刃。
「なっ……!?」
 樹里も虚を突かれた形で、アペカを呆然と見上げるのみ。
 そんなことができるはずが無い、と根本的な疑問を表情が物語る。何も無い場所から金属製の刃
を出現させるなど、生物としての能力を遥かに超えている行為だった。
「当たると少し痛いわよ。頑張って回避しなさい」
 不可視の足場に着地したように、空中で静止したアペカの口が三日月に歪む。

447 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:06:24.10 ID:7p1Q4m03]
 薄い凶器は両手の指数だけ生まれ、次々と樹里に向けて発射された。
 空気を切り裂き、異なる軌跡を描きながら飛来する草刈刃の半分は、横からキララが放った炎に
呑みこまれて吹き飛ばされていく。しかし、残る刃は次々と樹里の元に降り注いだ。
「くうっ! こんなオモチャなんか!」
 巨大な根を地面から起こして、樹里は飛来する刃を次々と叩き落していく。
 しかし、少し遅れて、糸が絡まるような水音が響き渡った。
「う゛ぐう゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
 大振りになった根の合間を縫った一刃が、彼女の左脇腹から太股を掠めた。
 回転の勢いで耕された肌から繊維束のような組織が露出し、半透明の赤い体液が左足に伝い落
ちて、切断されてずり落ちた下着をじわりと濡らした。見開かれた樹里の瞳は苦悶の涙で溢れ、震え
る喉から悲鳴を漏らしながら、両手で必死に傷口を押さえ込んでいく。
「……う゛あ゛、あ゛……こ……これぐらい……どうってこと……」
 魔物とはいえ、皮膚を裂かれる苦痛に思考は掻き乱され、それが新たな隙を生んだ。苦痛に歪ん
だ樹里の目に、弾いた刃の1枚が、ブーメランのように戻ってくるのが映る。
「……あ……う、あ……」
 両目に薄い円盤を映しながら、樹里は立ち尽くす。激痛で掻き乱された思考は、迫ってくる凶器に
対して、身体を動かして回避できず、触手を動かすこともできない。
「い、や……!」
 無防備な乳房の谷間に、回転刃がドスリと突き刺さった。
 反動で肢体が地面から浮きあがり、地下に伸びた根がぼこぼこと掘り起こされる。
 刃の回転は刺さるだけで止まらず、縦方向に胸部を切り開きながら、頭部に向けて侵攻した。胸
から円弧を描いて体液と肉片が掘り起こされて飛び散り、噴水のように撒き散らされる。
 顎の手前で止まった刃に、口から溢れ出した体液が降り掛かった。
 瞳は、一瞬で焦点を失った。
 小さな身体はぐらりと傾いて、ゆっくりと崩れ落ちていく。
「どうしちゃったの樹里? 普段の貴女なら楽に回避できたでしょうに?」
 上空で微笑みを崩さないアペカに、白炎を噴いて飛翔したキララが並ぶ。
「おい糞デカ頭。キララ様に手品は通用しねーぞ」
「ええ? 種も仕掛けも無いけれど?」
 憤怒の表情のキララを眼球に映し、微笑みを浮かべる巨大な顔に、白炎の渦が炸裂する。

448 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:08:44.94 ID:7p1Q4m03]
 キララの火炎弾に狙い撃たれたアペカは、空中で超高温に晒され、爆発四散した。
 花火のように飛び散った彼女の手足や内臓が、半分炭化した状態でボトボトと落下する。破壊力
は今までの攻撃よりも遥かに高く、まさに木っ端微塵という表現がしっくりくる破壊である。
 粉砕したアペカを無視して、すたりと着地したキララは樹里の元に走る。
「おい! 大丈夫か! 早く傷を見せろ!」
「大丈夫。樹里はあの程度では死なないわ」
 背後から聞こえてきた声に、キララの足がぴたりと止まる。
「彼女は植物の魔物。表皮を裂かれた程度は問題ないし、胸に心臓があるわけでもない」
 姫巫女の端正な顔が、様々な感情に揺り動かされる。
 キララは、怒りと動揺を纏めて砕くように、歯を強く噛み締めた。
 不可視のシールドが全開にされ、周囲10メートル圏の異物全てを焼却する。
「しつこいんだよテメェ! 今度こそ死ねって感じ!」
 背後に立っていたアペカは一瞬で炎に包まれ、顔の穴という穴、眼窩や鼻孔等などから煙と炎を
噴きながら、みるみる焼け爛れていく。一度振り返り、アペカの完全な炎上を確認したキララは、二
度、三度と火力を強め、今度こそ完全に殺そうと念入りに焼き続ける。
 やがて、炎上したアペカは崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなった。
 復活の気配も全く無い。完全に死んでいるとしか思えない。
 キララは今度こそ樹里の手当てに向かおうと、再び背中を向ける。

 同時に、アペカはむくりと起き上がった。

 眼球が溶解し、顔が沸騰し、焼け爛れた異形は、音も無くキララに近づいていく。
 異形はくすりと微笑んで、力に満ち溢れた姫巫女の裸体を、存在しない目で愛でた。
 肩を隠すようにさらさらと流れている金髪を、両手で優しく左右に分ける。
 そして、染み1つない綺麗な肩に合わせて大きく口を開いた。
 半分以上炭化しているアペカの口内で、綺麗に並んだまま歯が、キララの柔らかい肌に当たる。
舌は焼けて唾液も全く分泌されていない。上下に並んでいる硬質の臼や尖がりで、瑞々しい肌を挟
むように固定し、そのまま思い切り噛み締め、頭を素早く横に動かした。
「きゃあああっ!」
 戦闘で味わうのは数年ぶりになる痛みに、キララの表情は苦悶に歪んだ。



449 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/06(日) 20:10:47.50 ID:7p1Q4m03]
 しかも、以前に負傷したのはまだ能力の操作が未熟な時で、現状のように白炎に守られた彼女の
肢体を直接攻撃できた魔物は、今まで存在していない。それほど絶対の防御だからこそ、彼女は単
独で怪物の群れに突撃できたのだが、それが今、肩の激痛といっしょに崩れていく。
「はっ離して! 離せっ! 離せええええええっ!」
 全身から白炎を噴き出しながら、キララは必死にアペカを振り払おうとする。
 右肩から柔らかい肌は剥かれ続け、赤い肉が露出した。身体を捻るように暴れたため、乳房が上
下左右に激しく揺れ動き、白焔の姫巫女の戦姿は卑猥な見世物にさえ見えてしまう。
 キララの背中が爆発したように炎を噴いたのと、アペカが吹き飛ばされたのは同時だった。
「はぁ、はぁ、はぁ……テメェ……! どうして生きてやがる……!」
 動揺を鎮めながら、右肩から血を流して、キララは青い瞳でアペカを睨み付けた。
 轟音を上げ、肢体から白炎が舞い上がる。
 全身に何重にも白焔の衣を纏い、シールドを最大出力で展開していた。上昇気流で逆立った金髪
は、彼女の怒りの大きさを表すかのように天に昇り、眼も充血して赤く染まっている。
 対したアペカは、はやり戦闘前の姿に戻っており、ダメージの様子はない。
 くっちゃくっちゃと口を動かして、キララの右肩から剥いだ皮と肉を咀嚼している。唇の端から赤く染
まった唾液を垂らし、そして、二回に分けて喉を動かし、呑みこんだ。
「どうしてって、これは、貴女が私を殺せないってだけの話」
 不思議そうに、異形の少女は首を傾げる。そして、自嘲気味に微笑んだ。

「貴女は私を殺せない。だって私の食料だもの」

 キララに見えるように、アペカは大きな口を開けた。
 肉片が挟まり血で濡れた歯と、血で濡れた舌を見せて、巨大頭の異形は肩を揺らす。最早、そこ
に存在するのは巨大頭の穏やかな少女ではなく、人間を食べる肉食の魔物だった。


(続)


続きはそのうち。
ではまた。

450 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/06(日) 20:13:07.31 ID:2Z11ZS3C]
ヤッて下さると信じてたぜアペカ様ヒャッホー!
リアタイ乙です!

451 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2011/03/08(火) 21:24:15.93 ID:5QRy3pS+]
浮上。

452 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/14(月) 22:30:14.65 ID:N7pRqMX8]
ハッピーエンドなんてなかったんや。

453 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/16(水) 18:09:39.20 ID:blOw693Q]
まだだ、まだ終わらんよ…

454 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/18(金) 03:39:50.19 ID:CdN6Mdad]
だが当分の間、投下は自粛した方がいいだろうな。
都市型災害を彷彿とさせる要素もある。

取り敢えず早くても、被災地が復興して今回の震災が過去のものになるまでは自重すべき。

455 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/18(金) 10:55:34.25 ID:+JexARcd]
自粛ムードのせいで死ぬ前に読みたかった本、やりたかったゲーム、見たかったアニメの最終回を心残りにして
死んでいく人が増えるんだろうな

456 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/18(金) 16:41:07.63 ID:KDldaFgl]
(元から不謹慎の塊のようなこのスレで自重する必要があるのか…?)

457 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/19(土) 23:35:19.16 ID:sPDOiZF9]
2chのこんな辺境スレでも不謹慎厨さんが見張ってるのかよ…
ほんと気持ち悪いわ

458 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/21(月) 23:16:54.79 ID:M4IieDdh]
>>449の続きを投下します。
残虐な表現を含みますので、苦手な方はスルーしてください。



459 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/21(月) 23:19:02.48 ID:M4IieDdh]
「貴女は私を殺せない。だって私の食料だもの」

 キララに見えるように、アペカは大きな口を開けた。
 肉片が挟まり血で濡れた歯と、血で濡れた舌を見せて、巨大頭の異形は肩を揺らす。最早、そこ
に存在するのは巨大頭の穏やかな少女ではなく、人間を食べる肉食の魔物だった。
 肩を揺らす異形の捕食者を前にして、白焔の光巫女から表情が消える。
 百戦百勝の彼女とて、眼前の敵に白炎の効果が薄いことは、これまでの状況からして認めざるを
得ない。しかし、効果が薄いと一言で表しても、その理由には様々な可能性がある。
 アペカが何らかの能力で、炎を防いでいる可能性。
 そして、アペカの再生能力が高く、対して火力が不足している可能性。
 要約すると敵との相性が悪いということであるが、しかし、
(だけど、手加減なんてしてねーし、攻撃は間違いなく通ってる。手応えもあるんだから……。第一、
あいつ、さっきは粉々になったし……。それが、無傷ってことは……どういうことだ?)
 アペカが実は何人もいて、撃破するたびに新しいアペカが現れる可能性。
 または、アペカは別に本体がいて、眼前にいるのは端末という可能性もある。しかし、
(だけど……どこに隠れてるんだよ……。どっかに控え室でもあるのかよ……。 いっそのこと、山ご
と焼き尽くすか……でも、そんなことしたら……街が……)
 キララの青い瞳が、ちらりと横に動いた。
 視界に映したのは、大勢の人々が住んでいる市街地。
 点ではなく面で責めるような攻撃を仕掛ければ、周囲の市街地はただでは済まない。
 怪物襲撃による混乱の中、山自体がいきなり白炎に包まれれば、それこそ住民のパニックを誘発
しかねなかった。日常ではありえない白色の炎のインパクトは、キララもよく理解していた。
 経験則からして、白い炎を見た人々は驚きのあまり、9割方は遠くに逃げ始める。
 そして、未知の現象は、人間の思考を停止させ、行動を単純にしてしまう。
 無駄なことが無駄と理解できず、何度も同じことをしてしまう。
 誰かがある方向に逃げれば、それを見た者も同じ方向に逃げる。
 誰かが車両で逃げようとすれば他の者も殺到して奪い合いになり、誰かが道路を横断すれば、他
の者も続いて道路を横断し始めるだろう。仲間と同じ道をたどるアリの行列のように。
 逃げる場所が多くある広大な市街地で、人々が限られた選択肢に殺到するのは想像しにくいが、
むしろパニックとは、逃げる余地が存在してこそ発生するものなのである。

460 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/21(月) 23:22:29.82 ID:M4IieDdh]
(このままじゃデカ頭は倒せない……だけど、騒擾が収拾できないほど広がったら……)
 広域爆撃は後方支援の仲間がいれば可能な手だが、今の彼女は1人しかいない。
 市街地で起きる混乱に対処する余裕は、とてもではないがキララには無かった。市街地戦への投
入自体が皆無のため、そもそも、どう対処すれば良いのかすら分からない状態である。
「長考しているけれど、妙手は思いついたかしら? 白焔の光巫女さん?」
 微笑を浮かべたアペカが一歩、また一歩と、キララに向かって近づいてきた。
 全開で張られているシールドなど問題無いと言わんばかりに、一定の速度で距離を詰めてくる。唇
に付いた血をぺろりと舐めながら、眼を爛々と輝かせながら、嗤いながら、迫ってくる。
「くっ……くうっ! しっ死にたくないなら、キララ様に近づくなって感じ! これ以上近づいたら、本当
にただじゃ済まねーぞテメェ! この最強無敵国宝美少女のキララ様が、本当に本気出すぞ!」
 キララは後ずさりながら、声を張り上げ、炎を噴いてアペカを牽制する。
 しかし、炎に巻かれて広がるアペカの火傷は瞬時に治り、笑みは崩れることも無い。全身の皮膚
が爛れようとも、顔中の体液が沸騰しようと、剥きだしの歯が形作る嗤いは崩れない。
「くそっ! くそおおおっ! 来るな! 来るなよおおおお!」
 白炎を浴びせられながらも、炭化しながらも、アペカが進む速度は、全く変わらない。
 涙が煮えて白く濁った眼球は、しかし一直線にキララを映し、中央に捉え続けている。
 その焦げ固まった唇が乾いた音を立てて割れ、地の底から響くかのような言葉が紡がれた。

「もう、食べてもいい?」

 言葉を聞いた瞬間、キララは劇的に動いた。
 足元から炎を噴いて十メートル以上後退してから、自分が後退したことに気付く。
 彼女の背筋には一瞬だけ悪寒が走ったが、その正体を考えることはしない。戦闘中にその感情を
無視できるよう、巫女たちは日常から厳しい訓練を積んでいるのだから。
 裸体を守る炎の帯は、更に密度を増していた。移動の反動によって靡いた金髪が背中にゆっくりと
かかり、上下に揺れる乳房も落ち着くのと同じくして、心に広がった波紋も消えていく。
(大丈夫! 私は戦える! 私は負けない! 私は)
「ごめんなさい。貴女を怖がらせようと思って言ったの」
 キララが視線を少し下に向けると、
 息がかかる距離に、距離をとったはずのアペカの顔があった。

461 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/21(月) 23:25:51.76 ID:M4IieDdh]
 アペカの肢体は地面から少し浮いて、キララの乳房に顔を埋めるように静止していた。果実のよう
に丸い乳房に両頬を押されながら、悪戯をした子供のような笑みを浮かべて目を細めている。
 いつの間に近づかれたのか、キララは全く感知することができなかった。
「ひいっ……! ど、どうして……っ!?」
 最早隠すこともできず感情を露にして、キララは短い悲鳴を漏らした。
 アペカがくすりと笑みを形つくり、吐息がキララの金髪を優しく揺らす。長時間の戦闘で浮かんだ珠
の汗が潤滑油のように広げられ、紙のような白肌と血色の良い柔肌が擦りあった。
 異形の少女はキララの細い首筋に手を回し、さらさらとした金髪ごと彼女の頭を自分に向けて引き
寄せていく。白炎の防護術は完全に無視されており、最早火傷の1つすら負っていない。全開で展
開しているシールドと、生身を守る白炎の衣が、全く通じていなかった。
「え……、やめ……離せ……っ!」
 眼前の巫女戦士が必死に無視し続ける感情に触れて、アペカはくすりと微笑んだ。そして、芽生え
た恐怖心に、文字通り芽に水を与えるようかのように、優しく語り掛けていく。
「心配しないで。ただ、味見するだけだから。怖がらなくていいのよ?」
「くっ……この糞デカ頭……!」
 精神に針で穴を開けられていく感覚に襲われながら、キララは闘志を必死に奮い立たせる。
 彼女は巫女協会において最強の切り札的存在だった。
 下級の戦士が敗れても、まだ静香や御幸のような上位の戦士がいる。上位戦士が敗れても最後
にはまだ、突き抜けた最上位にキララがいる。
 しかし、その先は無い。
 この組織において、キララの敗北は即ち、巫女協会の敗北と同義となってしまう。
 キララには、アペカと名乗る魔物が危険という直感があった。そして、自分が巫女協会最強の冠を
持つ退魔巫女であるというプライドも当然あった。逃げるという選択肢はすぐに消える。
(全国の支部で、仲間がみんな頑張ってるのに……ちょっと劣勢だからって、最強戦士が逃げるな
んて、できるわけないって感じっ! こんなことで逃げてたら、誰も守れない!)
 国道でバラバラにされ、無残に食い千切られ、命を落とした人々がいた。
 多くの場所で、原型も残さずに食われた多くの人々がいた。
 眼前で両親を殺されてしまった双子の姉妹がいた。
 理不尽に、全ての未来を狩られた人々がいた。

(この街の人は私が守る! もう誰も殺させないって感じ!)

462 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/21(月) 23:28:52.08 ID:M4IieDdh]
『いいえ。貴女は誰も守れない』

 アペカが、呪いのような言葉を紡ぐ。
 キララの思考は、刹那の一瞬をさらに分割した時間に行われたもの。
 本来ならば、言葉を発する時間には全く満たない瞬間、アペカの言葉は、キララの思考にタイミン
グを合わせて響いた。まるで直接、言葉を脳内に貼り付けられたかのように。
「う……うぅ……この……キララ様が、テメェなんかに……」
 自分の術が効かない混乱は、全く炎が効かないアペカに肯定される。無視しようとした恐怖は、怖
がらないで、という言葉で無視できなくなる。思考の流れる先で、逃げ道は次々と断たれる。
 異形の少女が読心術を使えることを、キララは改めて思い知らされてしまう。
「負けるはずが無いって? 可笑しい話だわ。だって」
 アペカは、キララの肩の肉が挟まった歯を見せながら、あんぐりと大きな口を開いた。ほぼ180度
で顎関節を無視するように開いた口は、顔全体が空洞になったと錯覚する大きさである。
 スイカも丸呑みできそうなほど開かれた大口に、白焔の光巫女も呆然となるしかなかった。
「貴女は、これから、私に食べられるんだから……」
 這い出した蛇のような舌が、キララの右頬にそっと当たる。
 鼻に向けて唾液を薄く伸ばすと、そのまま淡い唇を愛でるように湿らせた。
 同時に、アペカの下顎がキララの首に、上顎が彼女の頭部に被さり、位置を合わせる。そして、そ
のまま上下から挟んでクルミを砕くかのように、キララの頭部を口内に収めていく。
 自分の顔を舐め回す舌と、視界の上下に並んだ歯を見て、
(あ、あれ……どうして、こんな……)
 白焔の光巫女、西園キララは、自分が食べられる寸前であることを自覚した。
 自分の能力ならばまだ戦えるはずとか、状況を打破する方法はまだあるとか、能力が高いだけに
様々な可能性を模索していた彼女は、唯一、自分が食われかけていることに気付けなかった。
「いっ、いやああああああああっ! やめてええっ! やめてえええええええええ!」
 キララの顔は既に半分以上、アペカの口に押し込まれていた。
 悲鳴とも怒声とも突かない叫び声をあげて、キララは肢体を仰け反らせる。金槌で殴られたような
衝撃を受け、眼窩で堰き止められていた涙が盛大に決壊した。青い瞳から、大粒の涙が零れ落ちる
のを我慢できなくなる。無視し続けていた恐怖心が、悲鳴に変換されて喉から吐き出される。
「離せ! 離して! いやああああっ! やめっ! やだあああああああああ!」
 キララは反射的に両腕を自分とアペカの間に差し込み、その身体を引き剥がそうとする。しかし、ま
るで鋼鉄の塊でも押しているかのように、異形の肢体はびくともしなかった。
 金髪を振り乱し、唾液で美顔を濡らしながら、最強巫女は死から逃れようと絶叫する。
 全身から白炎を噴き出してアペカを焼こうとするが、まるで効果は無かった。アペカの背中に両腕
を回して、力の限り手刀を打ち込むも、拘束が揺るぐことは全く無かった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 キララの泣き声が木霊する中、アペカは彼女の頭部を噛み砕こうと、顎を閉じていく。そして、次の
瞬間、骨を砕く鈍い音が連続して響き、悲鳴と重なって一帯に撒き散らされた。

463 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/21(月) 23:29:19.54 ID:M4IieDdh]
続きはそのうち。
ではまた。

464 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/22(火) 04:14:59.04 ID:G7ZPEl8k]
巫女の人が無事でなにより
ついに食べられちゃったけど、アペカ様を止められる正義の味方はいるのかな

465 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/25(金) 04:50:28.23 ID:sFg79C7Z]
アペカ様のことだから、きっと「けいおん!!」や「らき☆すた」の世界に転生して
食べ尽くして下さると思うよ!

466 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/27(日) 23:11:36.85 ID:h0t++t8T]
>>462の続きを投下します。
噛み砕き等の残虐な表現を多々含みますので、苦手な方はスルーしてください。

467 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:12:21.61 ID:h0t++t8T]
 アペカの口内は赤い肉で造られた洞窟のようで、サウナにいるように蒸し暑かった。巣穴に帰る蛇
のように舌が喉奥に消え、上下の歯が処刑具と化して距離を縮めてくる。
 そこに頭を突き入れられた金髪の少女は、自身の状況を理解して声を張り上げた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 キララは涙が溢れた碧眼にアペカの歯を映しながら、自分を砕こうと近づいてくる凶器にどうするこ
ともできず悲鳴を吐き出した。白炎も全く通じなくなり、腕力でも振り解けないとなれば、今のキララに
現状を打破する手段は残されていない。顔中を濡らした生温かい唾液が髪から両頬に伝わり、涙や
鼻水と混じりながら垂れ落ちていく先で、石臼のような歯が迫ってくる。
 巫女協会最強の冠も、白焔の光巫女の異名も、最早意味は無い。今の彼女はただ捕食者に狩ら
れて、そして捕食されかけている、ただの全裸の少女に成り果てていた。
(怖くなんかない! 怖いわけがない! 私は最強! 最強で無敵! 負けるはずがない!)
 キララは必死に状況を打破しようとするが、手足を動かすぐらいしかできなかった。黄ばんで見える
歯群が視界に入るだけで、恐怖のあまり思考能力の大半が奪われてしまう。
 その代わりに、巫女協会に所属する、退魔巫女の戦士たちの顔が、次々と脳裏に浮かんだ。
 静香や御幸を始めとする上位戦士、雪菜を始めとする調査隊、全国各地の拠点で戦い続ける多く
の少女たち。いっしょに作戦に参加して戦った者もいれば、キララが魔物から助けた者もいるし、中
には、まだ戦士見習いだった頃のキララを助けてくれた面々もあった。

468 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:13:56.59 ID:h0t++t8T]
 もっとも、大半の者は、既に戦士を引退している。
 能力が衰えて若手の教育役に就いたのは少数で、大半は魔物に殺され死体も残っていない。
 生存者も、再起不能の怪我で一生動けない者、殺されかけたショックで精神が壊れた者、そして魔
物に陵辱された挙句に魔物化し、仲間に殺された者までいる。
 終わりの見えない魔物との戦い。絶え間なく出る負傷者と戦死者。
 社会の平和を守る引き換えに、巫女たちは心身を削り取られ、次々と倒れていた。
 才能を見出され、様々な理由から巫女協会に保護される戦士の卵たちは、数年以内に半数以上
が消え、十年経てば一割も残らない。彼女のたちの住む世界は、それが当たり前だった。
(白焔の光巫女、キララ様は、こんなところで負けたりしない!)
 そんな現実で、いつからか、キララは巫女の希望の星となっていた。
 凄まじい能力で、怪獣でさえ打ち倒す彼女の存在は、多くの巫女の精神を支えるようになった。未
知の強敵を次々に撃破する『光巫女』の称号も、他の巫女が呼んだのが最初だった。
(負けない! まけない! まけられない! わたしはみんなをまもる!)
 人々が、当然のこととして平和に暮らせる世界を守る。
 そして、理不尽に未来を奪われる悲劇を防ぐことが、巫女戦士の共通する正義である。
 キララもまた、その正義を胸に退魔の巫女になった。
 理不尽に奪われた両親の未来を想いながら、血生臭い世界に足を踏み入れた。
(わたしはこんなところでしぬわけにいかない! ぱぱとままにやくそくしたもの! わたしはぱぱと
ままのぶんもがんばっていきるって! わたしとおなじおもいはもうだれにもさせないって!)
 キララの記憶は更に、過去へと巻き戻されていく。



469 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:15:44.45 ID:h0t++t8T]

 それは、巫女協会に入る前。まだキララが普通の女の子だったときの記憶。
 鯨のように大きな船。豪華客船ツアー。手を引いてくれる両親の姿。キララが先天性の難病を克服
し、普通の生活を取り戻した記念の、贅沢な家族旅行。美味しい食事。綺麗な景色。これから始まる
新しい生活への期待。キララたち家族の、一生の思い出となるべき貴重な時間。
 そして三日目の夜、謎の生物の襲撃により、客船は騒然となった。
 扉を破って部屋に侵入してきた、ヒトデのような怪生物。数メートルはあるそいつらが、キララを守
ろうとする両親に次々と飛び掛ると、すぐに両親の身体からびゅうびゅうと鮮血が噴き出した。
 母親の腕や足が噛み切られ、上半身を失った父親が崩れ落ち、怪物が肉を噛み砕く音が部屋に
響き渡り、カーペットが黒く染まり、飛沫が天井に飛び散り、キララの顔も赤く濡らし、
 そして、ヒトデたちが残されたキララに飛び掛かった瞬間、能力が目覚めた。
(いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!)
 悲鳴と同時に、白炎が彼女を中心に爆ぜ、ヒトデたちを粉々に吹き飛ばす。
 あと100秒ほど早く目覚めていれば、両親を守れたかもれない魔物退治の能力。燃え尽きたパジャ
マが消えて、華奢な裸体を晒すキララの前で、白炎に焼かれた両親もまた朽ちていく。
 感傷に浸る間もなく、ヒトデたちが壊れたドアから次々と部屋に雪崩れこんできた。天井や壁を這
いながら迫る異形たちを、キララは両手から放った炎で次々と灰に変えていく。
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 未来の、白焔の光巫女の初陣は、豪華客船を占拠した魔物の群れの殲滅だった。
 ぺたぺたと裸足で部屋を飛び出したキララは、廊下で人々を貪るヒトデたちを焼き殺し、手当たり次
第にドアを破っては、中のヒトデを殲滅した。幸か不幸か、生存者は無かった。
 向かってくる魔物を、ただ焼き殺し続けた。
 自分がどうなってしまったのか、これからどうなってしまうのか、考える暇は無かった。
 客船は、ゆっくりと白い炎に包まれ、海に底に沈んでいった。
 後日、原因不明の海難事故として大々的に報道されることになるその事故について、救命ボート
で漂っていた生存者が一人いたことは、決して表に出ることはなかった。


470 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:17:33.54 ID:h0t++t8T]
 あのときは、殺されると思った瞬間、生きたいと思った瞬間、魔物を撃ち滅ぼせる新しい力に目覚
めることができた。しかし、研鑽に研鑽を重ねたその能力も、眼前の魔物にはまるで通じない。
(ちからほしい……もっとつよい、みんなまもれるちから……)
 アペカの歯は、キララの顔から数センチメートルまで迫っていた。
 心臓が異様に早く高鳴り、文字通り目前に迫る危機に思考が掻き乱される。脳裏に浮かんだ様々
な顔が、隠し様の無い恐怖と絶望に塗り潰され、何も考えられなくなる。
(ぱぱ……まま……みんな……わたしに……ちからを……)
 自分と同じ悲劇を繰り返さない決意と、共に戦った仲間の顔が、胸奥で交差する。
 生み出せる炎はこれまでと変わらないが、キララは無意識に術式を開始し、最後の力を振り絞り、
自分のこれまでの全ての思いを込めて、白炎を紡ごうとする。もう少しだけ時間があれば、アペカの
体内に直接白炎を流し込むこともできる。効果も今までの攻撃よりは期待できるだろう。
(このかいぶつにかつ、ちからを……)
 しかし、それも少し遅かった。アペカの歯がキララの頭部を万力のように挟み込んだ。
 左眼から鼻を通り過ぎて右頬下に食い込んだ凶牙が、鼻骨を砕きながら顔に突き刺さり、臼状の
歯群が眼窩にめり込んだ。ぶちゅりと音を立てて、サファイア・アイと呼んだ自慢の碧眼が押し潰さ
れ、眼球の内液が涙といっしょに顔に流れ出した。圧迫された右頬の内側では歯茎が押し潰され、
無数の歯が舌の上を転がった。同時に大量の唾液がシャワーのように周囲から溢れ出して、水糊を
被せるように彼女の頭部をどろどろに覆い尽くしていく。
「………ぎゃ……が……ぐ……!? ぎ、ぃ……ぐ……あ、あ゛………」
 キララの顔を襲う痛みは、瞬く間に頭部を圧迫する痛みに変貌した。
 しかし、それも一瞬のことだった。次の瞬間には、左眼窩周囲から上顎骨が砕かれ、アペカの歯が
顔に更に深く食い込んだ。キララの美顔はぐしゃりと歪んで、陥没した鼻から血を噴いた。歯に圧迫
される前頭骨も同じく悲鳴を上げて割れ始め、溢れ出た鮮血がキララの顔に赤い川を作った。
「ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 悲鳴を上げると顔の奥に激痛が走り、その激痛にも悲鳴を上げてしまう。
 それでも悲鳴を上げなければ発狂してしまいそうだった。痛みを感じた瞬間、決してアペカには屈し
まいと復活した正義の心は、顔を噛み潰される激痛に一秒も耐えられなかった。魔物の拷問に耐え
るための訓練も吹き飛んだ。音を立てて内側から頭部を潰されていく痛みは、それでも白焔の光巫
女であろうとした少女の戦士の心を、粉微塵未満にまで噛み砕いていく。
(め゛て゛……や゛め゛………や゛め゛、て゛……)
 血と唾液を垂らしながら歪むキララの顔に、べちゃりと分厚い舌が押し当てられた。

 …………………………………………
 ………………………

471 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:19:38.48 ID:h0t++t8T]
「…………そんな……ウソ……」
 回転刃で抉られた傷を塞いだ樹里が起き上がった先では、風船のように顔を膨らませたアペカ
が、あれだけの戦闘能力を発揮したキララの頭を呑み込んで、飴玉を転がすように噛み砕いてい
た。悲鳴以前に言語の態すらなしていない絶叫が、耳に痛いほど響き渡っている。
「ほ゛お゛ごお゛お゛ぼご! ほ゛よ゛ぐごお゛!」
 アペカの口内から、唾液に溺れたキララの声が漏れ続ける。
 キララの両手がアペカの背中を引っかき、痙攣する裸体からは白炎が火矢のように撒き散らされ
ていた。眼前の怪物を何とか殺そうとする抵抗はしかし、アペカの肌に火傷1つ負わせられない。頭
を齧られる胸元に赤い唾液が流れ落ち、健康的な肢体を濡らしてすぐに蒸発している。
 抵抗も弱くなる一方で、震えていたヒザがガクリと折れて地面に付くと、白炎を発することもできなく
なり、細い腕が弱弱しくアペカの背中を掻くのみになった。一糸纏えない下腹部からは大量の小水
が漏れて太股を濡らし、ヒザから伝い落ちて小さな溜りを作っていた。
「アペカ様、もうお止めください! このようなこと、アペカ様も本心で望んでいないはずです!」
 人から怪物に変化することを恐れていたはずのアペカ。
 その彼女が、このような残酷な狩りをしていることが、樹里は信じられなかった。
 樹里が知るアペカの狩りは、気絶した人間の首筋を噛んで絶命させ、死体を食べるという、獲物の
苦痛が限りなく小さく済むものだった。アペカ自身は「狩りがいが無い。十年ぐらい時間をかけたい」
と言っていたが、実際、彼女はこれまで獲物を嬲るような狩りはしていない、はずだった。
 しかし、眼前のアペカは今、冷酷な方法でキララに苦痛を与えている。
「……アペカ様…………どうして……」
 言葉を失った樹里を見ながら、アペカはげろりと音を立ててキララの頭部を吐き出した。
「がぼっ……ごぼっ……げほごほ……ごぶっ……う……ごぷっ……」
 両腕を突いたキララは、肩を必死に動かして酸素を貪っている。
 唾液塗れの金髪が張り付いた頭部は、顔面から後頭にかけて一周するように歯型が刻まれてい
た。鼻は潰れて陥没し、頬肉が破れて歯茎が露出し、折れたり割れたりした歯が口内に突き刺さり、
唇からは粘り気のある血が垂れていた。女神のような美顔は柔肌が裂け、左眼窩は空洞と化して
視神経を頬まで垂らし、頭からは赤黒い血が湧き水のように滲み出している。
 右眼はまだ無事だが、壊れた堰のように涙を流すだけで、アペカを見ることもできない。戦闘を行う
どころか、頭部が生死を左右する重傷を受けていることは、誰の目にも明白だった。

472 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:24:11.10 ID:h0t++t8T]
「……ひ、酷い……なんてことを……」
 力を貸してくれるはずの巫女戦士の悲愴な姿に、樹里は眩暈を覚えてよろめく。
 しかし、それを見たアペカは呆れた表情で首を横に振って、崩れ落ちたキララの胸元に合わせて地
面を踏み込んだ。そして、ボールのように彼女の上半身を蹴り上げる。
「酷いこと? こんなの、全く足りていないわ」
 キララの乳房の谷に食い込んだアペカの右足が、そのまま上半身を跳ね上げた。最強巫女の裸体
は、背中が反り返り、顔中から血を噴き、宙に浮き上がった。
「があ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
 キララは地面に叩きつけられて反動でごろごろ転がり、数メートルも血の帯を残して静止した。
 樹里は無表情のまま硬直して、凶行を目に焼き付けてしまう。
「ごっ……あぐう……っ……ああ゛……っ」
 引き裂かれた顔に土と砂の化粧を施されて、キララは嗚咽とも呻きともとれない声を漏らした。顔
面骨折による内出血が激化したのか、傷の周りから彼女の美顔はどす黒く腫れ、倍近くにまで膨れ
る箇所も見られる。胸部を骨折したのか、蹴られた乳房も青黒く変色し始めていた。
 重傷どころか、死んでいてもおかしくない、怪我と出血。
 しかし、樹里の前で、瀕死の最強巫女は身体をごろりと動かし、手元の土を思い切り握り、身体を
起こし始めた。震えるヒザを必死に支え、立ち上がろうとし始めた。
「………ま゛だだ……まだ終わ゛って゛な゛い゛……」
 頭部から流れた血が伝い、転がって土と砂に塗れ、美しかった肢体は無残に汚れている。
 力も感じられず、唯一の武器である白炎さえ微塵も纏えず、防具の一つもない。
 小水を漏らした下腹部も、引き裂かれ、腫れ上がった美顔も、哀れとしか言い表せない。
 敗北は確定している。しかし、
「………キララ゛様は……こ゛んな゛ことで……負けな゛い……って感じ……」
 砕かれた心は、再び戦意を取り戻していた。
 巫女の希望の星たる彼女の選択は、最後まで戦士として戦い抜くこと。
 震える腕をゆっくり動かし、ぎこちなく言葉を紡ぎながら、キララは恐怖に向き合った。恐怖に押し潰
されながら、それを上回る使命感で勇気を搾り出し、白焔の光巫女として戦いに戻ろうとする。
 徒手空拳すらままならず、勝ち目が皆無でも、よろめく身体を必死に支える。
 命すら燃やすように……西園キララは凛として、立ち上がった。

473 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/03/27(日) 23:25:47.27 ID:h0t++t8T]

「私のサファイア・アイが輝く限り……外道に明日は来ないって感じ……」

 顔面の大半を潰されながら、残された右目は鬼気迫る色で敵を睨む。アペカは無垢な笑みを浮か
べながら両手を広げ、キララを抱擁するような仕草をとり、独り言のように呟いた。
「流石に、普通の人間よりも頑丈だわ。藤村の要求には足りないけれど」
 そして、樹里に明確に宣告する。
「私の主食は、とびきりの苦痛と絶望に満ちた人間の体液。恐怖を打ち負かせるのならそれ以上の
恐怖を与えるだけだし、絶望しないのなら絶望するまで遊ぶだけよ」
 アペカの眼が血走り、口元が歪み、涎が瀧のように流れ出した。

「樹里。私は初めて、食べがいのある人間に出会えたわ」

 歓喜に震えるおぞましい声が、異形の少女から溢れ出す。
 宣告を聞いた樹里の表情は、完全に硬直していて、蒼白に転じていた。


(続)


続きはそのうち。
ではまた。


474 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/03/31(木) 22:22:32.41 ID:/+eRl9y3]
生存者はいないようだ

475 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/01(金) 01:13:46.26 ID:OFtPyxIX]
化物も逃げ出した。

476 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/02(土) 12:07:12.13 ID:ktq09Gsu]
wiiのラストストーリーで
巨大なクモが飲み込み攻撃をしてくるらしい。
確認してないけど多分女の仲間が飲み込まれることもあると思う。

477 名前:妖怪ポポル [2011/04/05(火) 17:10:01.23 ID:e2ukGBiG]
食用肉ヒロヨの評価ありがとうございます。新作も考案中ですので、また宜しくお願い致します。



478 名前:妖怪ポポル [2011/04/05(火) 17:28:54.58 ID:e2ukGBiG]
食用肉ヒロヨ(序編)

ヒロヨは既に三十路を越え、俗に言うオバサンの域に到達していた。しかしその肉体は、日頃の良質食材の調達摂取から始まり、超高級サプリメントの多種多様な摂取、
連日のフィットネスクラブでの運動行為により、多少ふっくらとはしてきているが、乳房の適度な膨らみ、縊れてキュッと締まった腰、大きく割れた白桃のような尻という
二十歳代の活き活きした「ナイスバディ」を未だ保持していたのである。

ある日の昼下がり・・
オナニー嗜好のヒロヨは、家族が全員お出かけで居なくなったのを待ち構えたかのように、手早く部屋のカーテンを閉め、衣服を脱ぎ棄て全裸になると、
ベッドに佇み、ピンク色の乳首の先をキュッと摘みながら、牛乳を搾り出すかのように、ゆっくりと 乳揉みを始めた。
久しぶりの快感だった。
ここの処、暫くオナニーに耽っていなかったせいで、頭の真中に電流が走るような衝撃を感じていた。
股間は、すぐにしっとりと濡れ始めた。
白く細い指は、急くように自然に恥ずかしい肉壁の割れ目の間を上下に 弄り始めていた。
三十路後半とは言え、まだまだ美しい 艶かしい肉壷であった。
時折、陰毛の間に見え隠れする、薄い二枚の綺麗な 恥肉の花弁…
オナニー好きのせいか、恥皮を捲り上げて突出した 貝柱のような、白く大きい 敏感に感じそうな クリトリス…
排便の姿を想像させない、皺の少ない 薄紅色の尻の穴…
やがて、淡毛に隠された、まだ赤い肉壷の奥から、透き通ったヒロヨの甘蜜汁が、蜂蜜のように ゆっくり溢れ、淫肉が潤いはじめた。
白い頬は紅潮し、肉体が火照り始めたヒロヨは、堪らなくなり ベッドの上でお尻を突き出し、誰もいない開放感から 恥ずかしいドッグスタイルになっての オナニーをはじめた。
白く、ふっくらした尻の肉を揺り動かしながら、細い指を蟹の様に股間に這わせ 艶かしい吐息を漏らす ヒロヨ。
股間からは、ピチャピチャと卑猥な音色が、白い指の動きに合わせて、奏でられていた。
白い尻を突き出した壁からは、パックリ割れて 淫蜜を溢れさせている ヒロヨの肉壷と気持ち良さそうに 収縮を繰り返す 臭い蕾が、淡い陰毛を押し除けるかのように 顕わに 丸見えになっていた。
久しぶりの充実した至極のオナニー…
ヒロヨは、気が狂ってしまいそうな快感に包まれた至極のひとときを、味わい、堪能していた。
しかし、官能に浸り 歓喜を味わう時間は あっという間に過ぎ去り ヒロヨは、もう絶頂近くに達していたのである…。

その瞬間であった。

ゴクッ!

続きはこちらへどうぞ:www11.atwiki.jp/hosyoku/pages/1.html



479 名前:妖怪ポポル [2011/04/05(火) 17:33:36.36 ID:e2ukGBiG]
食用肉ヒロヨ(続き)

お尻を向けていた壁の方から、まるで生唾を呑み込むような怪しげな音が聞こえたような気がした。
訳の分からない戦慄に襲われ、我に返り 壁側に振り向くヒロヨ。そこには、いまだかつて見たことの無い恐ろしい形相の化け物が、
壁の中から大きな頭だけ出し、ヒロヨの剥き出しになったお尻を、血走った目で、涎を垂らしながら見据えていたのである。

「….ひ、ひいいいいいぃッ、..」
異次元惑星の妖怪大王だった。
銀河小惑星の衝突により、住処と食料を求めて 地球に彷徨い着いたのであった。彼らの技術水準は全てに於いて、地球人のレベルを遥かに超越していた。
異空間の瞬間移動など、日常茶飯事。腹を減らした彼らは、その技術をフルに使い、食料を探し求めていた。
そして…甘い匂いのするフルーツのような、美味そうな食料をついに 探し当てたのであった。
心臓の凍りつくような妖怪大王の冷たい目に凝視されたヒロヨは、石にされてしまったかのように、悲鳴さえも上げることが出来ず、ただただ 身震いするばかりであった。
大王は 大きな口から涎を垂らしながら壁から抜け出すと、いきなりヒロヨの後頭部を殴打し、彼女を気絶させた。


…どれくらい時間が過ぎ去ったのか思い出せないが、目を覚ますと、大きな皿の様な物に、仰向けに縛り付けられていた。
見たことも無い洞窟の中の様な景色が、ヒロヨの視界に飛び込んできた。
周りには、顔もまともに見ることの出来ないような おぞましい妖怪共が、何百匹とヒロヨを取り囲み、奇声のようなものを発していた。
今まで嗅いだことのない異臭が漂う狂気に満ちた世界であった。
ヒロヨは、恐気に吐き気を催し、嗚咽していた。
…と、急に様子が一変し、辺りが静まり返った。
うじゃうじゃ並んだ醜い妖怪達の中から、ヒロヨを捕らえた、格段に大きな妖怪大王が、ヌッと彼女の前に姿を現した。
あまりの恐怖とおぞましさに、大王から目を逸らす ヒロヨ。
しかし、大王は ヒロヨの頭を掴み上げると、涙で腫らしたヒロヨの目を、無理矢理に自分の目と合わせた。
瞬間、大王の目が赤く輝いたかと思うと、ヒロヨは、おぞましい恐怖を忘れたかのように、朦朧とした放心状態となってしまったのである。



480 名前:妖怪ポポル [2011/04/05(火) 17:35:59.50 ID:e2ukGBiG]
食用肉ヒロヨ(続き)

彼女は、一瞬にして、大王による奴隷催眠を掛けられてしまったのであった。
再び、美味そうな白い肉を前にした大王は、ダラダラと汚い涎を垂らしながら、ヒロヨを縛り上げた縄を解くと、
彼女を自由に動けるように開放し、暫く 放心状態に陥った ヒロヨの肉体を凝視していたが、一瞬 生唾を呑み込むと彼女の後頭部に向かって、念を送り始めた。


ヒロヨは、何かを受信したかのように、ビクッと肉体を痙攣させると、
大王の眼前で四つん這いになり、大王の顔の方向に 白い大きなお尻を突き出した。
大王は、充血した目でヒロヨの尻を食い入るように見つめながら、彼女に、念を送り続けていた。
更に、ヒロヨの腕がゆっくりと動き始め、手が尻肉の両側に宛がわれたかと思うと、白い指が滑るようにして、ふっくらと 深く割れたお尻の割れ目に沈み込み、割れ目をゆっくりと、両側に拡げ始めた。


ヒロヨの恥ずかしい肉穴と淫肉が、大王の眼前に拡がっていく。
排便の姿を想像出来ない、信じられない程、綺麗で淡紅色の皺の少ない キュッと引き締まった尻の穴、変色の少ない赤みを帯びた 肉壷を覆うように寄り添った薄い2枚の花弁、そしてSEXよりも
オナニーの嗜好を象徴するかのような、擦れて膨らんだ 白く大きい 敏感に感じそうなクリトリス…ついさっき、ヒロヨの部屋で、壁から見た光景と同じものが、再び大王の眼前に顕れた。


大王は、眼前のヒロヨの淫肉を涎を垂らして凝視しながらも、彼女に念を送り続けていた。
ヒロヨは、自分の指で、性器の陰唇を捲り上げて隠れている恥肉を曝してみたり、肛門を拡げて腸の入り口の辺りまで露呈するなど、淫肉の細部に渡って、恥ずかしげも無く丹念に、大王に曝け出していた。
ヒロヨの性器や肛門には、オナニーの時に溜まった恥垢滓が若干残っており、大王の鼻先に、その芳香が漂っていた。

パート1終わり

481 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/05(火) 18:52:07.50 ID:mmVWWEWL]
本スレへの書き込み有難うございます。このスレでも珍しい熟女入りかけというジャンルの
作家さんが来てくれて嬉しく思います。自宅という安全な場所で日常を過ごしていた
現実世界の一般人が、理不尽にさらわれて嬲りものにされるというシチュエーションが
自分の過去の妄想を思い出すようでとても興奮しました。
肉感的でねちっこい表現もとても好きです。
また気が向きましたら新作の発表をお待ちしております。その時はメール欄にsageと
入れていただけると有難いです。

ということで新しい作家さんが来てくれたぞ みんなも感想を寄せて応援するといいさ


482 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/06(水) 00:55:09.28 ID:irvwThyI]
読んできた。スカトロ表現は苦手だけれど文章がうまいと思ったのと
妄想をそのままぶつけたような内容がいいと思ったのでこれからも期待

483 名前:妖怪ポポル mailto:sage [2011/04/07(木) 17:15:56.32 ID:HGQQZP+L]
食用肉ヒロヨの御評価ありがとうございます。
同じ幻想を持つ皆さまに喜んで頂けるのは本当に嬉しいです。
新作も頑張りますので宜しくお願い致します。
また、皆さまに喜んで頂きたくて、イメージを収集した簡単なサイトを
googleに開設致しましたので、宜しければお楽しみくださいませ。

https://sites.google.com/site/poporu0117/

妖怪ポポル



484 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/07(木) 22:07:41.28 ID:um3TOIvO]
アペカ様氏んじゃったの?

485 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/08(金) 09:03:42.53 ID:NYcox5+0]
アペカ様は元気すぎだろ。

486 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/04/25(月) 21:20:32.64 ID:fWdnAA+p]
ほしゅるー
ほしゅるー

487 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/13(金) 02:10:38.06 ID:GvLUWN0t]
保守

488 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/15(日) 00:03:44.56 ID:3jGudO6T]
TERAのサービスが始まったらエリーンで捕食描きたいね
あのふとももは見ているとね



489 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/15(日) 14:16:29.87 ID:JjKURMoX]
まあ…べつにサービス始まる前でもいいよな固有名とか出す必要ないし
ちなみにこんな種族
ttp://www.youtube.com/watch?v=xf6zpXAK990


490 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/16(月) 00:35:04.95 ID:Z1S9w890]
これはうまそう

491 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/21(土) 11:24:14.05 ID:j7ymmo64]
もうこのスレができて5年ぐらいにはなるのかな
また昔みたいに盛り上がらないものか
保管庫のSSで抜きまくったよ


492 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/24(火) 12:48:23.45 ID:mlA7Jg4G]
このスレが再度動き出すことを願いたい

493 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/25(水) 23:25:21.07 ID:/U0/iERz]
月に照らされた温室の中

その中にあたしは立っていた。
目の前にあるのは巨大な植物。

高さは3mほどで、巨大な壷のような形をした大きな葉っぱが地上近くにいくつも生えている。
ここは植物研究所の中の温室で、アフリカの奥地で発見された植物だという。

これをはじめてみたのは今日の昼間。
ここに勤めている友達が見せてくれたのだ。

「すごいでしょう?
これはいわゆる食虫植物の仲間なんだけど、こんな大きいのは今まで発見されてなかったの。
大きな動物でも取り込めるくらいあるんだって。」
そこまで言った後、びっくりすることを言ったのだ。
「ねえ、ちょっと食べられてみない?」
何を言うのかと思ったあたしを見てクスッと笑う。
「この植物は取り込んだ生物を消化して栄養を取るんだけど、大きな動物の場合
皮膚のごく一部だけしか吸収できないの。
そして、消化して取り込んでしまうのは角質化した皮膚の一部。
ドクターフィッシュって知ってる?古くなった皮膚だけを食べてくれる魚。
それと同じ作用で、しばらくこの植物の中にいるとお肌の老廃物を取ってくれるわけ」
彼女は続けていった
「あたしもここに届いてから一度食べられてみたんだけど気持ちいいのよ。
どう?一回」
そういわれておっかなびっくりあたしはその植物に食べられた。

494 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/25(水) 23:27:55.97 ID:/U0/iERz]
服を脱いで、足から壷のような葉っぱに体を埋めるのはなんか変な感じだった。
しかし、そのあと全身を粘液で覆われて、蠕動を始める葉っぱに身をゆだねると、
言うとおり今まで感じたこともないような気持ちよさが全身を駆け巡った。

余りの気持ちよさに我を忘れ、引っ張り出された頃には
半ば気を失っていた。

「どう?気持ちよかったでしょう?
これを育てることに成功したらちょっとしたビジネスになると思うの」
服を着た後、彼女の話に大きく頷く。
たしかにあれだけ気持ちよくて、美容にも効果があるなら商売にもなるだろう。

夕方に彼女と別れて家に帰ったあたしは、昼間味わった強烈な快感の残り火と、
温室で見たちょっとした異変が頭に残っていた。

そしてその夜、あたしはあの植物の前に立っている。
温室の壁の一部にあった大きな穴。
そこから外の道路が見えていたのだ。
あたしはそこからこの温室に忍び込んでいたのだ。

その目的はただひとつ。

「あれだけ気持ちよかったのを独り占めなんてズルイよね」
ひとりつぶやきながらあたしは服を脱ぐ。
下着も脱ぎ捨てて、全裸になったあたしの体を月の光が照らす。

495 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/25(水) 23:29:35.82 ID:/U0/iERz]
あたしは壷のような葉っぱの中に足から体を埋める。
ぬるぬるする粘液の感触を感じながら太腿、お尻、くびれた腰と体を埋めてゆく。
足が壷の底に着く頃にはあたしの体は頭まで完全に葉っぱに埋まっていた。
ぬるぬるする粘液は温かく、心地よい香りに満ちていた。

そして、始まる蠕動。

くちゅ…くちゅ…

全身を柔らかい舌で舐め上げられる感触は昼間味わったもの以上だった。
粘液で舐められるにつれて、体中から激しい快感が伝わる。
体が蕩けるような快感に、徐々に心がぼやけていく。

特に、蠕動するたびにもまれていく乳房や粘液に埋まるアソコからは
理性を維持できないほどの快感が伝わる

「ん…あふぅ…」

「あ…あぁ…ぁ…」

溶けていくような快感の中であたしはイってしまった。
しかし、葉っぱの蠕動は止まらない。

快感を上書きされていきながらあたしの意識は昼間の時のようにとろけていった。


496 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/25(水) 23:32:32.20 ID:/U0/iERz]
わずかに残った意識の片隅で、股間に当たる感触を感じる。
今まで意識してなかった触手のような何か。
いつのまにかそれが硬化して大きくなったらしい。
全身が蕩ける快感で塗りつぶされた中であたしがわずかに感じる不満。
それを補ってくれそうな熱く太い何かがあたしの股間をつついていた。
消えうせた理性ではそれが何なのかを理解することもなく、ただただ体の欲求にしたがって
それをあたしのアソコに埋めていった。

「ひあぁ!…あふぅ…」
あたしの体を埋め尽くす快感の残った1ピースが埋まってゆく感覚。

体の外だけでなく中からもあたしの体は快感に埋め尽くされた。
徐々に激しくなってゆく蠕動にあたしの体は揺らめく小船のように
何度も何度も舐め回される。
その都度あたしの中に入ったモノも、激しくあたしを突き上げてゆく。

昼間とは桁違いの快感があたしをもみくちゃにしていた。

もう、手足の感覚は完全になくなっていた。
ただただ経験したこともない快感だけがあたしの意識を支配していた。

497 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/25(水) 23:34:56.93 ID:/U0/iERz]
真っ白になって行く意識の中で、あたしの視界に乳房のようなものが見えた。

あれ…なんで…目の前におっぱいが浮かんで…いるの…

そういえば…あたしの…おっぱい…感覚…ないや…

そして、あたしの意識は真っ白な中に消えていった。


蠕動を激しくする葉っぱの中で、少女の裸身が崩れていく。

乳房が蠕動で擦り切れて千切れていくとともに、
溶かされながらも丸みを帯びていた尻の肉がボトリと落ちる。
股間からあふれ出る植物の消化液は、ピンク色の塊となった少女の内臓のなれの果てを
とめどなく吐き出していく。

すでに意識を失った彼女の体を植物はなおも貪欲に取り込もうとしていた。

翌朝

朝の光が降り注ぐ温室

大きな花をつけた植物と、その植物の栄養となった少女の服と下着が
朝の光に照らし出されていた。

498 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/26(木) 03:46:03.24 ID:bkD81/Db]
GJです!
スイッチとなるものを受け入れてしまうと、外から、中からとかされてしまうんですね・・・
それにしても、気持ちよさそうでよかったです。
最後の方の描写も適度にグロくて・・・



499 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/05/27(金) 01:02:01.78 ID:adD3bua9]
久しぶりのSSごちそうさまでした
溶解もいいものだ

500 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/06/12(日) 16:49:14.84 ID:+nYs6u52]
(´・ω・`)らんらん♪

501 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/06/24(金) 09:06:29.04 ID:yng9g/0m]
GJ!

502 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/06/25(土) 18:41:28.02 ID:ESqincd2]
>>473の続きを投下します。
残虐な表現を多々含みますので、苦手な方はスルーしてください。

503 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 18:58:47.38 ID:ESqincd2]
「私のサファイア・アイが輝く限り……外道に明日は来ないって感じ……」
 顔面の大半を潰されながら、残された右目は鬼気迫る色で敵を睨む。アペカは無垢な笑みを浮か
べながら両手を広げ、キララを抱擁するような仕草をとり、独り言のように呟いた。
「流石に、普通の人間よりも頑丈だわ。藤村の要求には足りないけれど」
 そして、樹里に明確に宣告する。
「私の主食は、とびきりの苦痛と絶望に満ちた人間の体液。恐怖を打ち負かせるのならそれ以上の
恐怖を与えるだけだし、絶望しないのなら絶望するまで遊ぶだけよ」
 アペカの眼が血走り、口元が歪み、涎が瀧のように流れ出した。

「樹里。私は初めて、食べがいのある人間に出会えたわ」

 歓喜に震えたおぞましい声が、異形の少女から溢れ出す。宣告を聞いた樹里の表情は、完全に
硬直して蒼白に転じていた。それは自分の認識違いを認めるものだった。
「もういい……私のことはもういいから、逃げてえええっ!」
 樹里から発せられた言葉は、ほぼ無意識に出たものだった。
 そして、彼女は泣き叫びながらも、アペカを少しでもキララから引き離すため、唯一にして一番の武
器である根っこを展開しようとする。しかし、まるで能力が消えてしまったかのように、根はぴくりとも
伸びる気配が無い。自由自在に、それこそ指を動かすかのように操れたはずなのに。

504 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:01:03.27 ID:ESqincd2]
「どうして根が動かないの!? このままじゃあの人が! キララさんが殺されちゃう!」
 焦燥と後悔ばかりに頭の中が埋め尽くされていく。自分が動こうが状況は変えられないという冷や
やかな思考も働くが、それでも何もしないよりは良い。それなのに何もできない。
 混乱する樹里の耳に、甘い声で呪いの言葉が流れ込んでくる。
 それは距離があるのにも関わらず、まるで耳元に異形の少女がいて内緒話をもちかけているかの
ように、はっきりと聞こえてくる。無垢に嗤う気配を引き連れながら。
「樹里、動けないでしょ? それはね、私が、樹里を動けないようにしているのよ」
 はっと顔を上げた樹里の前で、アペカはこれまでと同じように微笑んでいた。
 人間を食べる自分を恐れていたときと、全く変わらずに微笑んでいた。
 しかし、決定的に違う。アペカの笑顔は同じであるのに、その表情は不気味で、空虚で、背筋が寒
くなるような不穏を含んでいるのだった。それは、人間か怪物かの立ち位置の違い。
「樹里には一度、私の力の秘密を、説明しているわ。もっとも、そのときの貴女が、信じてくれたかど
うかは、私にも解らないけれど。さあ、貴女はそれを思い出せるかしら?」
 アペカは意地悪な謎掛けを出すように、大きな頭をゆっくりと傾げる。

505 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:02:44.75 ID:ESqincd2]
 樹里は混乱の極みだった。
 不死身としか思えないアペカの秘密を、彼女は自分に説明したと言う。
 ぐるぐると記憶が回る脳裏の中で、樹里は必死に思い出す。そう言えば確かに、アペカから教えら
れた気がしてきた。アペカの能力が、どういうものであるかを。
 信じたか、信じなかったかと言われれば信じなかったが、確かに樹里は、アペカの力の正体を知っ
ているはずだった。しかし、どうしても思い出せない。
 まるで、その部分だけが切り取られてしまったように欠落している。
 キララを救うためには、絶対に必要な情報なのに。
「どうして……どうして……思い出せないの……」
「ごめんね。私は貴女に意地悪をしたわ」
 アペカは目を細めながら、苦悶する樹里を見据えて無垢に笑う。
 殺意と欲望が煮詰まる目で、肩を揺らし、首を手で押さえ、高らかに笑い声を上げる。
「貴女が動けないのといっしょなのよ。ここでは、貴女は絶対にそれを思い出すことができない。絶
対に動けず、思い出せず、何もできない。私がそう決めているから」
 ぽろぽろと零れる涙が、樹里の頬をゆっくりと伝い落ちる。
 考えすぎて吐き気さえ覚えながらも、樹里は悩み続ける。

506 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:03:48.29 ID:ESqincd2]

「貴女たちは絶対に、ここから出ることはできないわ」

 巨大頭の少女は口から涎を垂らしながら、奇声じみた声を上げる。それは獲物が苦しんでいる姿
に狂的に愉快さを感じている、邪悪な捕食者の雄叫びそのものだった。
「………よそ゛み゛……して゛ん゛じゃ゛ねぇよ゛……」
 震える声を聞きながら、アペカの口が三日月に釣り上がる。
 涙が溢れる樹里の前で、再び白焔の光巫女は敵を前に、構えらしきものをとる。
「………おま゛、え゛の………あい、ては………わた、し……だ゛ろ………」
 顔の左半分に血肉の華を咲かせ、割られた頭から血を噴きながらも、キララは声と戦意を身体の
奥底から振り絞る。しかし、以前の力強さを感じることはもうない。蹴り上げられた胸部は、内側で骨
が砕かれ、乳房は完全に黒く変色し、母乳のように黒い血を流していた。腐敗した桃のように成り果
てた両房から、本来の機能は失われたのは明らかだった。
 頭部と胸部を破壊された彼女の姿は、戦闘で無敵を誇った白焔の光巫女が、どこにでもいる少女
と変わらない存在であることを物語っていた。怪我の痛みに苦しみ、傷つくことを恐れ、怪物への恐
怖と常に戦い続ける、ただ、それを上回る強さを持っただけの少女がそこにいる。

507 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:04:53.85 ID:ESqincd2]
「あああ……あああ………」
 樹里は、ただすすり泣くのみだった。
 眼前の悲愴な姿の少女が、金髪を靡かせ、白炎と陽炎を纏った退魔の巫女だと信じたくない。圧
倒的な力で怪物を焼き払った戦士だと信じたくない。そして、自分を見捨てて独りで逃げることはしな
いと信じたくない。ならば、残された選択肢は一つしかなかった。
「キララさん、戦ってください! 諦めてはいけません! 勝つしかありません!」
 彼女が助かる道は、戦ってアペカに勝つしかない。今の状態で、それがどれだけ惨酷な期待なの
か、樹里は当然ながら理解している。しかし、それでも願わずにはいられない。
「いわ゛れ゛なくて゛も……その゛つも゛り゛って、かんじ……」
 力なく持ち上げられたキララの両腕に、再び白焔の光が灯った。轟轟と肢体を包んで燃え上がる炎
は、それまでのどんな炎よりも熱く、そして眩く感じる。弾ける音といっしょに空気が巻き上がり、竜巻
のように渦を巻き始めた。最も激しく、もっとも収斂された、それはまるで、
「まるで燃え尽きる直前の蝋燭のようね」
 微笑ましいとばかりに頬を緩めたアペカから、頭の中身が噴出した。
「う゛わ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ!」
 キララの雄叫びと、頭蓋骨が砕ける音と、蟲塗れの脳味噌が潰れる音が響き渡る。

508 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:05:56.76 ID:ESqincd2]
 うなりを上げたキララの拳がアペカの顔に食い込んで、腕が頭部を貫通した瞬間、異形の少女は
破裂音を残して爆散した。1秒にも満たない時間での攻撃だった。
 指揮系統を失った胴体も一瞬で炎に包まれ、黒く焼けながら反動で吹き飛んでいく。キララから噴
き出す炎は、首を失った敵の胴体すら逃がすまいと追撃した。アペカの胴体は炎に巻かれながら地
面を何度もバウンドし、そのまま砕け、最後は空気に融けるように燃え尽きた。
 まるで最初から存在していなかったかのように、跡形も無く消え去ってしまった。
「や、やったの……?」
 樹里は胸を押さえながら、アペカが焼失した場所をじっと見つめる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
 キララの血が滲んだ両足が、前へ、後ろへと、不安定によろめく。
 激痛と失血に苛まれて、意識すら混濁しているのだろう。無事な右目も焦点が上手く合わず、敵が
消失した空間をぼんやり映している。しかし、両腕の炎は、まるで腕輪のように灯り続けていた。
 理不尽とも言える復活を続ける敵の前で、まだ彼女は警戒を解いていない。
 そして、警戒を肯定するかのように、不穏な風が吹き始めた。



509 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:11:17.04 ID:ESqincd2]
 渦を為していく風の中で、まるで録画した映像を逆再生するかのように、黒い灰が集結して人型を
為していく。それが、アペカが焼けた灰であることは疑いようが無い。視認できないレベルまで焼き
尽くして解体したにも関わらず、異形は存在し続けて、復活し続ける。
「そ、そんな……あんな風になって……生きてる……」
 樹里の悲鳴を無視して、キララは再びジェット噴射で怪物に特攻した。黒い灰のシルエットが明確
な形を取り戻す前に、再度粉砕してしまうつもりである。しかし、
「同じ攻撃の繰り返しなんて、出オチのループ動画みたく、芸が無いと思わない?」
 実体化したアペカの両手が、一瞬でキララの両腕を掴んでいた。炎に包まれているのに、掴んでい
る手は焦げもしない。キララは目に驚きの色を浮かべながらも、次の動作に移れなかった。もう彼女
に、俊敏に判断して行動するような余力は残されておらず、単調な攻撃しかできなかった。
「同じことができないように、腕は没収」
 キララの両腕を掴んだまま、アペカの両腕は肩から、左右に伸び始めた。それは苗が成長してや
がて樹木になるように、アペカの腕はあまりに自然に伸び続けていく。

510 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:17:25.83 ID:ESqincd2]
 しかし、手を掴まれたキララの腕は、これ以上伸びるはずも無い。キララの目に焦りが浮かんだとき
は、彼女の両腕は既に限界まで左右に広げられていた。関節が軋む音が聞こえてくる。筋が切れる
音が聞こえてくる。ごりごりと骨が擦れて、両肩が外れる音が聞こえてくる。
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 ぶつりと音を立てて、キララの右肩から、右腕がまるごと引き抜かれた。腕の切断面と、骨肉が露
出する肩の切断面が、無数の赤い糸を引きながら離れていく。ほぼ同時に、左腕はバキバキと明確
な破壊音を残してヒジから折られ、そのまま雑巾を絞るように捻じ切られた。
 あまりの喪失感と激痛に、キララの意識は遮断され、がくりとヒザを折る。
「想ったよりも簡単に取れちゃったわね」
 崩れ落ちるキララの前で、アペカは引き抜いた右腕と、捻じ切った左腕を振り回していた。まるでオ
モチャで遊んでいるかのように乱暴に、無茶苦茶に振り回している。腕の切断面から流れ出す赤黒
い血液は、まるで絵を描くかのように、縦横無尽に虚空に飛び散っていった。
 倒れた白焔の光巫女の陰部からは、尿が地面に染みを作りながら漏れ出している。既に全身の
筋肉が弛緩して、コントロールができなくなっているようだった。

511 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:18:52.68 ID:ESqincd2]
「いただきまーす」
 アペカは大きな口を開け、キララの右腕を手首からヒジにかけて、水音を残して肉を噛み千切る。
そして涎を垂らしながら、くちゃくちゃと音を立てて咀嚼した。露出した血塗れの骨をしゃぶるように頬
張り、こびりついた肉片や筋が綺麗にとると、赤みのかかる骨が残る。腕肉を千切るたびに、先端の
指が痙攣する虫ように動いているが、既に白炎は消え失せていた。
「さっきよりも美味しくなってる! もっと苦しんで、怖がれば、もっともっと美味しくなるのね!」
 奥歯に挟まれ、爪が割れる音が聞こえた。アペカはスナックを食べるように、キララの右手に生え
た指を1本ずつ、少しずつ口に収めていく。既に親指と人差し指は千切られて無い。
「だけど、こんなに美味しい人間は初めて!」
 アペカはあんぐりと口を開けて、キララの左腕を丸々頬張り、骨ごと音を断てて噛み砕いた。右手
の指は全て齧り尽くし、手首から後ろは骨しか残されていない。
「………アペカ様」
 嬉々として人間を食べる彼女を見て、樹里は諦めの表情を浮かべた。

512 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:20:08.45 ID:ESqincd2]
 あのような顔は、教団で嫌と言うほど見ている。それは、怪物になりながら、人間を食べることに抵
抗を覚えていた者が、人間の美味しさを心から実感したときに浮かべるものだった。
「あーあ、全部食べちゃった」
 口周りに付いた爪の欠片や肉片を舐めながら、アペカは興奮を隠そうともしない。そこに、白い煙
が流れてきた。ひくひくと鼻を動かしながら、巨大な頭がゆっくりと振り返る。
「この芳ばしい香りは何かしら?」
 アペカが振り返る先には、白炎を纏ったキララが再び立ち上がっていた。
「うで、ぐら゛い……めいどの゛みや゛け゛に、く゛れ゛てやる……ってか゛ん゛じ……」
 しかし、これまでとは明らかに様子が違う。
 引き裂かれた彼女の顔や抉られた眼窩は、焼け焦げて黒く変色していた。無事な部位も熱で爛れ
ており、唇や鼻は赤黒く変色して水疱に覆われていた。金髪も齧られた頭部の左半分が焼けて無く
なり、無事である右目にはぐしゃぐしゃに乱れた髪がかかる。両腕の切断面も黒く炭化し、右肩は首
周りや乳房の一部まで、左腕もヒジから肩まで焼け爛れて、赤黒い肉が煙を吐いていた。

513 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:21:05.64 ID:ESqincd2]
「あら、自分で自分を焼けたりできるのね」
 アペカは感心したように呟いた。
 詰まるところ、キララは自分の傷口を白炎で焼き、出血を止めたのである。火傷と出血の影響を天
秤にかけたのだろう。美しい顔は見る影もなく、あまりに悲痛な姿でしかない。
「刺し違えてでも、私を殺すって? それは無駄なこと」
 心を読んで嘲笑を浮かべたアペカの顔が、音を立てて半分吹き飛ぶ。
「きゃあああっ!」
 閃光の眩しさに、樹里も思わず悲鳴を上げた。
 白炎を出すのに、腕自体は必要なかった。キララの肢体から立ち昇る煙が渦をなし、そこから無数
の炎の矢が、まるで機関砲のように繰り出される。轟音がひたすら続いた。貫かれ続けるアペカの胴
体はみるみる穴だらけになり、焦げた肉片と化して地面に飛び散っていく。
「…………ごぼっ!」
 キララの焦げ固まる唇から赤い血が流れ落ちる。焼け焦げた顔面に、パイのような音を立てて細か
い亀裂が走り、血肉の汁がじんわり溢れ出していた。両腕の切断面も湿り気を帯びている。

514 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/06/25(土) 19:23:36.10 ID:ESqincd2]
 あと何分戦うことができるのか?
 彼女の満身創痍の肢体は震えながら、時間を失い続ける。戦闘後に延命できるとは考えていない
し、覚悟も完了している。後は、眼前の敵を何とか殺害できれば憂いは無い。そして、

「でも、自分から焼肉になってくれるなんて、私は嬉しくて涙が出そうよ」

 眼前では、アペカが既に再生を完了していた。
 そして、キララの攻撃は全て無駄だと言わんばかりに、微笑みながら向かってくる……。






続きはそのうち。
ではまた。


515 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/06/26(日) 15:54:30.96 ID:3jeNhk4Z]
GJ

516 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/06/28(火) 00:06:39.92 ID:Bk5BWZXp]
終盤なのにまだまだ盛り上がる!
久しぶりに覗いてたらきてた!

517 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中 mailto:sage [2011/07/01(金) 02:23:10.28 ID:jQOfIlNz]
相変わらず毎回気になる引き
どうやったら死ぬんだ、この怪物と巫女は

518 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/10(日) 09:47:03.12 ID:IF2eXFYE]
保守



519 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/18(月) 11:22:52.42 ID:dIWPdZGJ]
>>514の続きを投下します。
残虐な表現を多々含みますので、苦手な方はスルーしてください。

520 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:24:16.59 ID:dIWPdZGJ]
「…………ごぼっ!」
 キララの焦げ固まる唇から赤い血が流れ落ちる。焼け焦げた顔面に、パイのような音を立てて細か
い亀裂が走り、血肉の汁がじんわり溢れ出していた。両腕の切断面も湿り気を帯びている。
 あと何分戦うことができるのか?
 彼女の満身創痍の肢体は震えながら、時間を失い続ける。戦闘後に延命できるとは考えていない
し、覚悟も完了している。後は、眼前の敵を何とか殺害できれば憂いは無い。そして、
「でも、自分から焼肉になってくれるなんて、私は嬉しくて涙が出そうよ」
 眼前では、アペカが既に再生を完了していた。そして、キララの攻撃は全て無駄だと言わんばかり
に、微笑みながら向かってくる。その姿に、疲労やダメージの気配は一切無い。
「ごぼっごぼっ、ぐぶっ!」
 キララは表情を歪めようにも、焼き焦げた顔の筋肉は動かず、無事な右目が悔しさに細まるだけ
だった。それでも攻撃を続けようと、白炎を練って周囲に展開し、そして再び発射する。
 轟音を上げて、アペカの立っていた場所が炎嵐に消えた。
「ごぼっ……ぉ……おぼっ………」
 キララの右目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちた。致命的な傷を焼くことで無理に止血しているとはい
え、肉を抉られた頭部や腕の切断面からは、刃物で肉を捏ねられているような激痛が続いているし、
潰された乳房からも激痛と息苦しさが増している。気を抜けば失神してしまいそうだった。
 そして、そんなボロボロの肉体を労わるかのように、背中に腕を回していく影がある。

521 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:26:35.76 ID:dIWPdZGJ]
 樹里ではない。彼女は金縛りで動けないまま、死闘を見ていることしかできない。
 この場で、キララを抱きしめることができるのは、ただ一人。
「とても、痛いわよね。苦しいわよね。全て私のせいだわ」
 声を発するまで、気配など全く無い。
 無垢な声からは、悪意も殺意も感じることはできない。その生物にとっては、獲物を苦しめ尽くして
貪ることが当然のことで、そこには、一切の呵責が存在しないのかもしれない。
 それこそ、人間から怪物に変わってしまった証明なのだろう。
「……ごぼっ、ごぼっ」
 キララは口から血を吐きながら、視線をゆっくりと下ろした。空洞の左眼窩からは黒い血が再び流
れ始める。それは、まるで彼女が恐怖と苦悶の涙を流しているかのようだった。
「ごめんなさい。だけど、もっともっと苦しんでくれる?」
 冷酷なる宣告は、あまりにも軽く語られる。
 キララの潰れた乳房に耳をあて、汗ばんだ肌に密着して、アペカは愛おしそうに微笑んでいた。背
丈の異なる二人の裸体は、まるで姉妹のようでさえあるが、異様に肌が白い怪物と、上半身が黒く
膨れて爛れた少女が重なる様子は、奇怪さを通り越して異様な一体感を醸していた。
 いっしょにいるのが、当然のことのように。愛し合う者でもない、高め合う者でもない。しかし、殺し
合い、食らう者と食らわれる者である二人は、それらと同様に深く、そして逃げられない。

522 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:29:03.83 ID:dIWPdZGJ]
 キララの蹴り潰された乳房の頂、まるで分泌されたばかり母乳のように、血がじんわりと小突起の
麓から染み出していた。潰れた乳腺の残骸であるそれを、アペカはぺろりと舐める。
「ちょっと、味見しようかしら」
 そして、まるで極上の飴玉を見つけた赤子のように微笑んだ。濡れた舌をそっと伸ばして、キララの
傷んだ突起に唾液を塗すと、ちゅぶちゅぶと音を立てながら吸い始める。わざと空気を絡ませて音を
立てており、満身創痍の巫女少女を辱める目的なのは明らかだった。
「う゛ぐう゛……う゛ぅ………くそ゛ぉ……はな゛、せ゛……」
 胸から伝わるおぞましい感触に、キララの右目には明らかな動揺が浮かんでいた。この期に及ん
で性的な辱めを受けると予想しておらず、防御も気構えもできず、サファイア色の瞳には戸惑いと嫌
悪感が混在するのみ。アペカはキララの乳房から糸を引きながら唇を離して、にやりと凶悪に嗤う。
 巫女少女の肢体は強張るも、切断された腕は虚しく揺れるだけで、ろくに抵抗もできない。
「貴女、本当に何の経験もないのね?」
 キララの心を読み、アペカは面白い玩具を見つけたかのように唇を吊り上げる。
「魔物と戦う力が濁るから、戦闘要員である巫女戦士は、性行為も自慰も禁止なんて、博物館の化
石みたいで素敵だわ。そんな決まりを厳守して、性行為は汚らわしい、不潔な行為だっていう偏狭な
考えの誰かさんが……服が燃えてしまうから戦闘は全裸なんて、皮肉なものよねえ」

523 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:32:33.99 ID:dIWPdZGJ]
 キララの目は一瞬開かれて、そして固く瞑られた。
 火傷で表情が分からず、彼女がどのようなことを思ったかは不明である。ただ、開いていた両太股
は固く閉じられ、心なしか足は震えていた。少しでも、異物の侵入を防ごうとするかのように。
 獲物に苦痛を与える目的の怪物に、自分の潔癖とも言える性質を見破られては、そちらに注意が
いくのは当然だった。アペカが、苦痛を伴う性的拷問を仕掛けてくるのは想像に難くない。
「へえ、怪物に陵辱された巫女って、とても悲惨なのね」
 記憶を読みとりながら、アペカは微笑んで言葉を続ける。
 キララの目が見開かれ、アペカの目に映る自分の姿を写し取る。
 その青色の目に今まで映ってきた光景は、眼前の怪物と共有されている。勇ましく戦場に向かった
巫女たちが、性器が肛門まで裂けた姿で捨てられていた光景。救助された巫女が、数時間で妊婦の
ように膨れた腹を揺らして錯乱する光景。偵察に赴き、汚液で窒息死した巫女の遺体。
 過酷な戦場にばかり投入されるキララが、見てきた地獄の光景。全裸で敵を挑発するなどして誤魔
化す一方、半ばトラウマ化した、性行為への嫌悪の理由がそこにあった。
「…………本当に哀れよねえ。勇気を振り絞って、戦って、犯されて、死んで」
 アペカは嗤いながら、キララの背中に伸ばした手から、鋭い爪を伸ばしていく。一方向からの責め
に身構えている獲物に、別方向からの責めほど効果的なものはない。

524 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:37:28.54 ID:dIWPdZGJ]
「私がそんな酷いことをすると思った?」
 アペカの爪がキララの背中に食い込んで、深い溝を刻みながら交差した。
「ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 キララの表情が苦痛に歪み、焦げ付いた傷が割れて血が溢れ出した。
 掘り起こされた肉が飛び散り、背中全体の皮膚が音を立てて剥ぎとられる。まるで果実の皮を剥が
すように、首筋から尻に至るまで皮膚を剥き取られた。露出した肉が空気に触れて、焼けるような激痛
がキララの直撃する。朦朧とした意識は一瞬で吹き飛び、青い目が焦点を失って虚空を泳いだ。
 アペカは、キララから剥いだ皮と肉で両手を濡らしながら、責めを緩めない。
 眼前の黒く腫れた肉、蹴り潰した彼女の右乳房に、一気に鋭い牙を突き立てた。そして、潰れた脂
肪の塊を口一杯に頬張り、強靭な顎で咀嚼する。ちゃぐちゃぐと果肉を潰すような音が立ち、キララの
腹部が帯状の血で濡れる。意識の飛んだ肢体から、抵抗の動作はまだ見られない。
「う、あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛…………!」
 大きな悲鳴を上げながら、キララの意識が呼び戻される。大きく口を開いた際に、焦げ付いた顔が
バリバリと割れて、頬から川のように血が流れ出した。背中からは新しい激痛が供給され、正面では
右乳房が怪物に食い付かれている。引き剥がそうとするも、両腕は無かった。
 ぶちりと音を立てて、胸から乳房が食い千切られる。

525 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:39:58.04 ID:dIWPdZGJ]
 身体が言うことを聞かないのではなく、言うことを聞く身体が存在しない。
 意識は激痛に引き裂かれていた。絶え間無く苦しみを注がれ続けるだけで、思考が働かない。抵
抗も逃走も思いつけない。ロボットのように悲鳴を上げ続けることしかできない。胸から流れ落ちる血
は、彼女の下半身を伝い、腹部や足を赤黒く汚していく。血を止めなくてはならないが、できない。
「さて、次こそはお楽しみといこうかしら?」
 食い千切った右乳房の肉塊を加えて、アペカはにやりと微笑んだ。そして、血塗れの手はキララの
陰部に伸びていく。ショックで再び失禁し、濡れた陰部は無防備に晒されていた。
 瞬間、キララの脳内では、陵辱された巫女たちの無残な姿で埋め尽くされる。あまりの激痛と苦悶
に感情をコントロールできず、刺激を与えられるままに反応してしまう。
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 絶叫と共に、キララの下腹部は白炎に包まれ、音を立てて燃え上がった。
 金色の陰毛が踊るように収縮し、白い肌は赤く爛れた。防御のためではなく、ただ単純に高熱で陰
部を焼いている。爛れた皮膚は端から炭化し、陰唇も閉じられたまま焦げ固まる。そして外からでは
見えないが、膣道まで白炎で焼け付き、子宮口への道を塞ぐように癒着していた。それは、もう後の
ことなど何も考えず、ただ性器を無理矢理に溶接して塞いだに等しい。

526 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:41:40.23 ID:dIWPdZGJ]
 アペカに残虐な方法で処女を奪われ、弄ばれるぐらいならば、自分で潰した方が苦しみが少ないと
本能的に判断しての行為だった。最早、思い通りにはさせないというだけの捨て身の抵抗というしか
なく、人間の基準で言えば、それは狂的な行為でしかない。
 しかし、アペカはキララの抵抗に、全く動揺していない。そういう行動に出るのも予想済みとばかり
に、手に付いた皮を口に運び、乳房といっしょにもぐもぐと噛んでいる。
「どんなエッチぃことを考えたの?」
 絶叫の中、惚けたように両手の血を舐めながら、アペカは首を傾げた。
 キララの白炎は下腹部を炭化させ、そのまま全身の新しい傷を塞ごうとして、彼女の背中から顔に
かけて燃え広がる。肉は焼けて血が沸騰する匂いが一帯に充満した。二度焼きとなる顔は黒く焦げ
て煙を吐き、背中は歪に焦げた肉が膨れて固まり、腕や尻まで火傷が広がり続ける。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 傷を焼く激痛に苛まれ、キララは絶叫で絶叫を塗り潰すように泣き喚いた。
 文字通り火達磨になったキララに、アペカは躊躇無く手を伸ばす。
「外向きであれ、内向きであれ、抵抗なんて無意味なのに」
 白炎が怪物の手を焼くことは無かった。アペカの爪の生えた手が、胸板に残された左乳房を撫ぜる
や、そのまま胸板から剥がし始めた。爪が膨らみの根元に食い込み、血と筋の糸を引きながら、力
づくで毟られる。炎が乳房もろともアペカの手を炙るが、焼け爛れるのは乳房のみだった。

527 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:43:45.61 ID:dIWPdZGJ]
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 両腕すらないキララは、為す術無く、残された乳房を剥がされるしかない。口からは血泡を吹き出し
ていた。壊れた人形のように、苦痛に悲鳴を上げ、絶望を与えられ続ける。
 乳房が胸から離れた瞬間、キララはそのまま地面に崩れ落ちた。
 アペカが毟り取った乳房を口に運んだとき、キララは肋骨が露出した胸板を焼き、火達磨のまま地
面をのたうちまわった。最早、火傷以外の部分が少ない上半身に、血や小水や泥に塗れた両足に、
性器を溶接して守られた純潔に……焼けた口で、ただ泣きじゃくることしかできなかった。
「………う゛………あ゛ぁ゛……」
 アペカはボロボロの最強巫女の髪を掴み上げる。
 焼け残った髪は三分の一ぐらいだが、何とか頭を持ち上げることは可能だった。大半が焼け焦げ、
無事だった右目周辺も赤く爛れた姿に、かつての凛々しい勇姿を見ることはもうできない。右目には
絶望の影がこれまで以上に濃い。
 乳房を口に咥えながら、怪物は優しく、冷酷に微笑む。

「そろそろ決着を付けましょうか?」

 ………………………………………………………………
 ………………………

528 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/07/18(月) 11:45:14.33 ID:dIWPdZGJ]
 ここに、1人の少女がいた。
 彼女は仲間の誰よりも強く、勇ましく、そして弱さを隠すのが得意な少女だった。

「巫女協会が誇る最強!無敗!の超弩級エース”白焔の光巫女”にして、マジ国宝級スーパー美少
女! 退魔巫女、西園キララ様とは、私のことよっ!」

 裸体から立ち昇る赤い光は白炎と化し、少女は凛として名乗りを上げる。
 背丈相応の幼さは拭えないものの、胸元から溢れんばかりに成長した乳房といい、括れた腰から
程よく肉の付いた下腹部のラインといい、鍛えられて硬く締まった四肢といい、健康的な色香と研ぎ
澄まされた美しさを併せ持った肉体だった。美術品の女神像のようでさえある。
 少女は怪物を指差し、悪戯気味に青い眼でウインクをして、壮絶に笑う。

「私のサファイア・アイが輝く限り、外道に明日は来ないって感じ!」


 そして、少女は、今、




529 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/18(月) 11:47:11.49 ID:dIWPdZGJ]
続きはそのうち。
ではまた。

530 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/18(月) 11:52:46.40 ID:0StdWHCd]
リアルタイム乙です!また続きお待ちしております!
アペカ様の狩りはじっくりゆっくりでいいなあ……

531 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/20(水) 00:16:38.40 ID:LRxeykFX]
毎回楽しみすぐる

532 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/22(金) 13:15:50.72 ID:9iX3LHmD]
【サルミアッキ】珍味実食スレ 世界編【キビャック】
yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1306046832/


533 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/07/24(日) 13:37:12.56 ID:ciYhgnl6]
巫女作者のブログすげえ・・・


534 名前:名無しさん@ピンキー [2011/08/07(日) 20:37:30.41 ID:/B4zi2Q8]
すたじおもみじってサークルが
捕食ゲームを出してるが
誰かやった奴いない?
これは俺たちを満足させれる一品なのだろうか?

535 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/08(月) 02:17:08.07 ID:o2xAx+BI]
>>534
絵が好きなら買えばいい
内容はベェーリィーの丸呑みの劣化と思っておけばそう違いはない

536 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/10(水) 04:53:58.41 ID:5/QIXpwF]
正しくはベェーカリィー

537 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/10(水) 14:52:50.42 ID:gtX7Vj5S]
そういや、まどかマギカのマミさんも捕食されてたんだよな
最初に即死しなければ最高のオナネタになってたのに・・

538 名前:名無しさん@ピンキー [2011/08/14(日) 16:47:33.44 ID:RvTzw2Ox]
18号吸収が最強だな

あれのJK JC版でてほしいよ



539 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/14(日) 20:00:11.67 ID:9pQgdr+b]
好みの女の子を吸収しまくったあとに御飯に頭を蹴られて白い液体まみれのJK、JCを吐き出すセルの姿が
またはブウの肉に包まれて吸収されるのもありだな
肉スライムが服の中に侵入してネチョネチョしながら吸収とか

540 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/17(水) 22:10:35.52 ID:5Zl29lNL]
下校途中や部活中の女の子を捕食

541 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/18(木) 03:05:15.77 ID:R15L8RYh]
胸まで咥えられた状態でジタバタもがく姿は本当に良い・・・

542 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/18(木) 03:14:12.62 ID:7iw2Jbxz]
ミニスカートなら尚いいな

543 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/18(木) 20:02:25.40 ID:za/Q+tyG]
膝丈ぐらいのスカートのまじめな子を捕食して足をばたつかせて時折太ももが見えるシチュもなかなか
いや、逆さまにしてパンツを丸見えにしながら飲み込むとかもありか


544 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/19(金) 10:20:11.99 ID:Hng6sVwC]
ミニというかタイトスカートが好きだな
基地のオペレーターとか女司令官とか

545 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/19(金) 22:16:46.80 ID:8eewMRte]
ブウにアメ玉やチョコにされても意識はあるんだよなあ
苦悶する様子が考えにくいが

546 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/20(土) 21:26:53.35 ID:zwgltP+Y]
さんざん舐めまわして味わった後に元に戻して
ブウの唾液でべとべとだったり服や下着の一部が溶けている状態で
全身舐め回されたせいでよがっているとか

547 名前:名無しさん@ピンキー [2011/08/21(日) 20:53:37.83 ID:xKbW9P6i]
ところで疑問に思ったのは女の子をお菓子に変えたとき人によって味に違いってあるものなのかな
たとえばチョコに変えたときJCやJKなら甘いとか、OLとかなら少し苦みのあるとか

548 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/23(火) 21:23:57.93 ID:FUezryGi]
学校の図書室、一人の少女が本を読んでいる
そしてその少女を狙う怪物がいた
「うへへ、美味しそうな娘だ。今日はあの娘にしようとするか」
怪物の名前はセル。可愛い女の子を吸収して完全体になろうとしている人造人間である
「声を上げられると面倒だからな気づかれないように・・・」
セルは少女の背後に立つとすばやく尻尾を広げると少女にかぶせた
「ん!んんんん!」
少女の胸のあたりまですっぽりと覆うと尻尾を浮かし、ジュルジュルと吸い上げ始める
少女はというと足をばたつかせ抵抗するのが精一杯であった


途中まで書いたけどただ捕食するだけじゃつまらんな・・・





549 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/23(火) 23:25:25.68 ID:9d37Iqtm]
捕食、特に丸呑みはイラストありきみたいなところあるから
文章だけで表現しようとなると難しいよな

550 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/24(水) 00:10:27.80 ID:PdMMCJ9B]
巫女は自サイトでやれよ。
長すぎるだろ

551 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/24(水) 09:05:33.59 ID:NUAU1hpn]
>>550
長くてなんか問題が?

552 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/25(木) 21:49:01.59 ID:BU9Z9000]
丸呑みしながら女の子に悪戯するとかどうだろ


553 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/27(土) 22:48:56.03 ID:18NGY7iF]
捕食して動けないのをいいことにスカートの中を覗いたり顔を埋めてくんかくんかするセル
・・・ただの変態じゃあないか

554 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/27(土) 22:51:21.55 ID:xRpP4mSa]
上半身を丸呑みしつつ、下半身を犯すっていうね

555 名前:名無しさん@ピンキー [2011/08/28(日) 21:05:39.14 ID:gUM1HmTM]
セルの尻尾に丸呑みされながら下の口でセルの指を丸呑みしているわけか
セルにあれが生えていないのが残念だな
ブウなら自分の身体をスライム化して女の子にあんなことやこんなことをしながら吸収できるんだけどな

556 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/29(月) 20:22:08.31 ID:3xbfgss1]
「このまま吸収してもよいが・・・少し楽しむか」
セルは尻尾をもち上げ自分の前に持ってくる。そして少女のスカートの中に潜りこんだ
そして足をばたつかせる少女の太股を持つと足を開かせる
「ふふふ、白いパンツとは眼福眼福、では匂いを嗅ぐとしよう」
セルは少女の股間に顔をうずめると鼻でくんかくんかし始める
「おお、少し小便の匂いがあるがいい匂いだ、太股もすべすべしてて気持ちいいぞ」


続きはだれかが書いてくれるだろう





557 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/29(月) 21:13:43.19 ID:B/yecUWQ]
ウィンウインウィン 
ウィンウィン 
ウィンウィンウィン

558 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/30(火) 05:27:31.79 ID:4r0nsBlI]
セルの丸呑みもいいけど、主に一般人に使った刺を刺しての吸収もイケちゃうんだぜ



559 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/30(火) 13:21:21.57 ID:eAhDLW0/]
胸や股間に突き刺して吸収

560 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/08/31(水) 21:39:15.49 ID:qirvM30+]
ブウの吸収方法もエロいと思うんだよな
全身揉みしだきながらスライム肉と同化させていくところとか
吸収した後も体内に保管した女の子にあんなことやこんなこともできるし

561 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/01(木) 04:20:10.88 ID:EiPBBViQ]
化物の尾が毒蛇のように少女に襲いかかったかと思うと、先端の棘が脇腹に深々と突き刺さった。
あまりのことに、彼女は立ち尽くしたまま悲鳴を上げることすらできないでいた。
更に吸収しやすくするため、セルは強力な消化液を彼女の腹腔内に注入する。
「があ…えっ…」
内臓を灼かれる激痛に少女は身をのけぞらせ、そのまま仰向けにどうと倒れた。
地面でバウンドした拍子に彼女の口から大量の赤黒い粘液が吐き出される。
薄く開いてわななく口の端からは溶け残りの内臓の切れ端が力尽きたようにだらりと垂れ下がり、
それは清純な少女をどこかふしだらなもののように見せていた。
横隔膜でへだてられた呼吸器と心臓はかろうじてまだ溶解を免れていたが、
それはただ徒に苦痛を長引かせるにすぎない。
ほどよく中身が液状化したところで、セルは一気に体液ごとそれを吸い上げた。
「ああ…あ」ごぼごぼと肺から漏れる空気の中で、彼女の声帯がかすかに震えた。
が、もちろんセルはそんなことには何の関心も払わない。
すでに光を失った少女の眼から一条の涙がつたい落ち、土気色と化した顔をわずかに濡らした。


ほんとはこんなドロドロな感じじゃないけどね、セルの一般人吸収。

562 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/01(木) 22:25:29.17 ID:PAWSIn4B]
>>556の続き
「ぺろっ・・・ちゅっ・・・はぁ・・・いいエキスだ」
その後もセルは動けない少女の下半身を責めた
少女のクリトリスを弄り秘所に指を突き刺しかき回す
そして秘所から流れる新鮮なエキスを啜っていた
「はあ・・・では名残り惜しいがそろそろ吸収させてもらおう」
そう言うとセルは再び尻尾の動きを再開させ少女を飲み込み始める
だが少女はセルの責めによって抵抗できなくなっていた
そしてスカートに隠された小さなお尻と愛液に濡れた細い太股を飲み込む
「ふふふ、いい匂いが漂ってくるぞ」
ふくらはぎ、引っかかっていたショーツ、靴も尻尾に飲み込まれる
「では、いただこう・・・はあ!」
セルはそう言うと尻尾に力を入れ包まれた少女を一気に飲みこんだ


563 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/02(金) 23:06:33.60 ID:hCg43N5l]
十数年前のアニメで、セル襲来後の遊園地プールにビキニ上下が浮かんでいたのが、吸収シーンを想像してこっそり興奮していた。
今から思えばあれが、幼い俺をこの趣味に引きずり込んだんだな…

564 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/03(土) 11:38:20.29 ID:pcpK9oZi]
サヤ、ちゃんと守って…

565 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/03(土) 22:39:29.11 ID:WW5vUBi5]
セルは18号だけ、ブウにいたっては女の子を捕食したシーンがないんだよな

ところでブウって上半身に吸収した人物の体系や服が現れるよな
つまり女の子を吸収した場合はセーラー服やキャミソール姿のブウが・・・・

566 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/04(日) 01:24:18.99 ID:nptIcnp8]
>>564
戦う為にはまず敵を知る必要があるだろ
そのためにはじっくり観察しなくちゃいけないよね
あっ、またクラスメイトが喰われた

567 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/05(月) 12:50:30.02 ID:kGeBkcIY]
目の前で丸飲みされてんのに全く動かないぞ小夜ちゃん

568 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/07(水) 21:03:20.29 ID:b0hDcuXi]
捕食の仕方は頭から丸呑み派がやっぱり多いのかな



569 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/08(木) 02:36:10.80 ID:liDf/Aky]
セルのような頭からの丸呑みよりブゥのような粘体による全身の包みこみ。


570 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/08(木) 10:55:04.52 ID:AytdiY5p]
丸呑みなら足からの方が良いな
恐怖の表情とか悲鳴とかよく見えるし

571 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/08(木) 21:46:58.10 ID:mf+XmnE+]
ブウの18号吸収
18号「おい化物!こっから出せー!」
鈍い音と共にブウの身体のあっちこっちが突き出る。
ブウの肉隗に包まれた18号が暴れているのだ。
ブウ「いっただきまーす♪」
18号「う・・ぐ・・・つ・ぶ・れ・る・・」
ボシュッ
18号「ふん、中々活きがよかったじゃないか
   こっちも元気になりそうだよ♪」

572 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/08(木) 22:30:59.86 ID:maBPwgBZ]
ブウの体内で吸収されている女の子の服を脱がしたらブウの服も変わるのかな

573 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/09(金) 20:37:42.27 ID:Ra0vjK29]
ブウが自分自身をスライム化して女の子の穴という穴から進入して中から吸収、同化

574 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/09(金) 21:45:49.97 ID:ClK8YE4Y]
今週もサヤちゃん、守ってくれないせいで女子生徒頭からかじられて死んじゃった

575 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/10(土) 02:27:23.44 ID:JUQIynnJ]
っか、クラスメイト全員死んでんですけど守るんじゃないのかよ
モブ子可愛かったなぁ…喰われたけど

576 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/11(日) 02:18:12.99 ID:FHsrRuFc]
>>528の続きを投下します。
NGword ◆gRbg2o77yE

577 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:21:07.31 ID:FHsrRuFc]
 乳房が胸から離れた瞬間、キララはそのまま地面に崩れ落ちた。
 アペカが毟り取った乳房を口に運んだとき、キララは肋骨が露出した胸板を焼き、火達磨のまま地
面をのたうちまわった。最早、火傷以外の部分が少ない上半身に、血や小水や泥に塗れた両足に、
性器を溶接して守られた純潔に、ただ泣きじゃくることしかできなかった。
「………う゛………あ゛ぁ゛……」
 アペカはボロボロの最強巫女の髪を掴み上げる。焼け残った髪は三分の一ぐらいだが、頭を持ち
上げることは可能だった。大半が焼け焦げ、無事だった右目周辺も赤く爛れた姿に、かつての凛々
しい勇姿を見ることはもうできない。右目には絶望の影がこれまで以上に濃い。
 乳房を口で加えながら、怪物は優しく、冷酷に微笑む。
「そろそろ決着を付けましょうか?」
「そうね。随分と酷い姿になったし、そろそろ頃合だと思うわ」
 アペカの言葉に対して、全く同じ声が聞こえてきて、それに応える。
 それは奇妙な光景だった。
 決してアペカの独り言ではない。同じ声同士で会話をするには、奇怪ではあるが、同じ声の持ち主
が複数存在しなければならないというのに。それが起きてしまっていた。
「う゛………う゛ぅ゛……」
 キララも異変に気付くが、腫れた彼女の右瞼は、普段の半分も開かなかった。最早、彼女は周囲
の状況を確認するどころか、目を大きく開けることさえ上手くできない。

578 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:22:43.99 ID:FHsrRuFc]
 髪を掴んだアペカは、希望を叶えるように髪を掴んだ手を捻る。
 雑巾を絞るような動作で、キララの焼け爛れた頭部は、髪が切れる音と、髪が生える頭皮が剥が
れる音を発して、新たに聞こえた声の方に向いた。激痛と失血で霞のかかる視界に、白い肌をした
異形の少女の立ち姿が侵入する。何度も自分の目を疑い、見直すが、見間違うはずが無い。
 新たに、アペカと全く同じ姿の異形が、笑みを浮かべて立っていた。
「それほど驚かないで」
 キララの髪を掴むアペカと、キララの前に立つアペカ。
 2人に増えた人喰いの異形は、同じようににこりと微笑んで顔を見合わせる。まるで鏡に向き合う
ような光景だが、キララはどちらからも同じ生物の気配を感じていた。虚像や偽者の類ではない、ど
ちらも同じだけの殺気と、禍々しさと、食欲が伝わってくる。
「貴女は戦闘中に予想していたでしょう。私が何度も復活する秘密を」
「同じ私が複数いて、どこかに隠れていて、焼却される度に、隠れ家から現れていると予測していた
わよね。市街地への延焼を恐れて諦めたようだけれど、この高台全体を爆撃して、隠れ家ごと私を
焼き尽くす戦法も選択肢に入れていたわよね。恐ろしくて震えが止まらないわ」
「大きな火の玉を戦場にドカンと落として終わりなんて、白焔の光巫女様は派手好きよね」
「藤村と眼鏡コンビは喜ぶだろうけれど、私たちはそういうのは嫌いよね」
「あいつら、気化爆弾とか大好きだものね。あれは本当に理解できない」
「ねえ、貴女もそう思うでしょう? 樹里」




579 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:24:40.27 ID:FHsrRuFc]
「え……あう………ああ……」
 いきなり名前を呼ばれた魔物の少女は、哀れなほど蒼白になって口を動かそうとする。
 しかし、震える唇は言葉を紡げない。アペカはそんな様子を見てにこりと微笑んだ。

 ………………………………………………………………
 ………………………

「藤村たちも困ったものよね。最近は少なくなったけれど、思い出したように、「こんな動画を作って」
って言ってくるし。私だってやりたいことがあるのにね」
「ワイ混にウプする新作MADで忙しいのにね」
 2人のアペカはお互い苦労すると言わんばかりに、言葉を交わし続ける。
 内容だけならば、彼女が日常でしている会話だが、全身を損傷して死に掛けている少女の髪を掴
み上げながら、そして自分同士でしている光景は、奇怪以外の何物でもなかった。
 教団内部でもあまり知られていない話だが、教団総本山で蟲の餌食にされ、アペカとなり果てる前
の少女は、名前を西村モト子といった。当人は人間だったころの話をあまりしないが、インターネット
のどこかのサイトでは、それなりに人気のある存在だったと樹里は聞いていた。
「えと、アペカ、様……ですよね……?」
 樹里は、目を点にしながら、2倍に増殖したアペカを凝視する。


580 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:26:09.41 ID:FHsrRuFc]
 そして、時に目を擦って視界を整え、再び凝視するが、やはり魔物の少女は2人のままだ。全く同
じ存在が並んで立っている光景に、樹里の頭は極限の混乱に陥ってしまう。
「もしかして、双子の妹君がいらっしゃるとか?」
「何を言っているの樹里。私は一人っ子だし、私という種も、私しかいない。間違いなく、この地球で
たった一匹。貴女が一番よく知っているでしょう」
「ひいいっ。そ、そうでした……」
 少し語気が荒くなったアペカの言葉に、樹里の背筋は震え上がった。
 同時に、心のどこかで、アペカの本当の能力を自分は知っている、そんな感覚がある。それは決し
て、回復力が高いとか、戦闘で怪力を発揮する、とかではなかったはずだった。
 もっとも、アペカが思い出せなくしたと宣告したとおり、彼女から能力について教えられた記憶は、
長い長い台本にできた虫食い穴のように、前後から完全に切り取られ、全く思い出せない。
「うううう……ど、どうすれば……」
 頼みのキララはもう動けないが、自分だけでアペカと戦うのは不可能である。樹里はどうすることも
できず、顔中に汗を浮かべながら、アペカの機嫌を伺うしかない。
(どうして私、叛乱なんて起こしちゃったんだろう)
(アペカ様に勝てるはずないって知ってたはずなのに、どうして思い出せなかったんだろう)
 叛乱を起こした後悔と絶望が、樹里の胸奥に広がっている。

581 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:27:11.09 ID:FHsrRuFc]
 キララという存在に希望を見出したから、藤村を殺害する行動に出たのだろうか。なぜ自分はあの
とき、アペカの能力を過小評価して、それを信じてしまったのだろうか。
 当時の自分の思考回路が、ほんの数分前のはずなのに、やはり思い出せなかった。
 樹里の必死の思考を遮ったのは、けらけらと耳障りに響く嗤い声。
「樹里ったら、これぐらいで驚いてもらっては困るわ」
 胸に両手を添えて、照れるように頬を赤らめる2人目のアペカ。
 足元の土がぼこりぼこりと盛り上がった。土が崩れ落ちると、現れたのは生物の眼球だった。周り
からは人間の腕や脚が伸び、昆虫のように小刻みに動いて土から這い出してくる。焼け野原と化し
た大地は瞬く間に掘り返され、人間の部位が育つ畑と化したかのようだった。
 手足はそれぞれ地中で独立した体躯と繋がり、それらは一斉に地上に現れた。
 地中から現れたのはアペカ。そしてアペカ。またもアペカ。次もアペカ。再びアペカ。
 大地は無数の少女の群塊に押されるように膨らみ、巨大な泡がはじけるように爆ぜて、何百匹と
いうアペカを一斉に吐き出した。高台そのものが巨大な肉のように蠢き、大地が破れ、コンクリートを
塗した法面やアルファルト舗装が割れ、池は干上がり、トイレなどの構造物は倒れ、蜘蛛の子供が
孵るかのように、あらゆる場所から数百匹ものアペカが湧き出してきた。


582 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:29:27.04 ID:FHsrRuFc]
「ぎゃああああああああっ!」
 植物の魔物と化した樹里でさえ、大地から湧き出した少女の大群に思考が停止し、ショックを少し
でも和らげるかのように絶叫する。過去に見た映画が思い出される。電流を流した大地から、洪水
のようにミミズが溢れ出してくるシーン。裸体で絡み合う白肌のアペカ群は、蟲の大群のような密度
でひしめき合い、高台を呑み込む勢いで増殖を重ねていく。
「白焔の光巫女さん。ほら、頑張らないと、予想通りに私はいっぱいいるわよ?」
 キララの震える声は、恐怖でも反発でもなく、純粋な疑問だった。
「おまえ……いったい……なんなの……」
「貴女を食べる者よ」
 アペカは迷いもせず、明瞭に答える。そして、樹里に問いかけた。

「樹里、もう一度だけチャンスを上げるわ」

 濃密な視線が一斉に注がれ、それだけで樹里は窒息しそうになる。
「私と一緒にこいつを食べるのか、こいつといっしょに私に食べられるか、選びなさい」
 チャンスを与えるというアペカの言葉を咀嚼するのに、樹里は数秒を要した。言葉の裏には、拒否
した場合、キララと同じ目に遭わせるという意思が明確に感じ取れる。
「貴女はとても頭の良い娘よ。同じ間違いを二度することはないわよね?」

583 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:31:13.76 ID:FHsrRuFc]
「う……ああ……そ、それは……」
 樹里はからからに乾いた唇を震わせて、その場に立ち尽くした。
 はい、か、いいえ、しか選択肢の無い問いかけなのに、思考は完全に凍り付いてしまい、何も考え
ることができなかった。混乱して、言葉さえ何も思いつかない。
「ううう………あ、ああ………いやああ………」
 何千匹ものアペカに凝視されて、痙攣するように樹里は震え始めた。とても怖い。考えることも、見
ることも、聴くことも、感じることも、何もかもが恐ろしくて堪らなかった。恐怖という底無し沼で溺死さ
せられていると錯覚してしまう。アペカの言葉が何百回と頭の中で反芻される。
 しかし、最早、彼女に逃げ道は残されてはいない。どちらかを選ぶしかないのである。

「樹里? 答えはまだ?」

 優しい声音は、最早、時計の針が動く音にしか聞こえなかった。
 アペカの大群は高台から、市街地や上空に溢れ出していく。大群は白いうねりと化して道路やビル
をみるみる覆い尽くし、雲1つ無い空からも降雪のように市街地に舞い降りていく。街を囲む山々ま
で大群は広がり、木々を押し退けて、樹里の視界全域を支配し尽くしてしまった。
 それは死肉で覆われた巨大な海原のようで、嗤いながら地平線の端まで波打っている。
 かつて人間が社会活動を行ってきた場所に、既に人間の気配は存在しない、街も、山も、空も、白
い肌をした異形の少女に覆われた。何万何億、否、何兆匹という数にまで膨らみながら。

584 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/09/11(日) 02:32:21.33 ID:FHsrRuFc]
 蒼白のまま立ち尽くす樹里に、視線を合わせているのである。
「げえええっ! げええええっ!」
 幼い体躯に数兆匹の視線を浴びせられ、樹里の精神は緊張で限界を超えた。
 立ったまま嘔吐し、半透明の液体を唇から垂れ落とす。しかし、全身の筋肉が緊張して倒れること
もできない。金縛りのように動くことができない。目からは涙が溢れ出し、口と鼻からは吐瀉物を無
様に垂れ落としながら、体躯はぴくりとも動かせなかった。
 数兆の視線が溶けた空気は、まるで深海にいるかのような圧力で、彼女の動きを完全に抑えてい
た。肌に珠のような汗が浮かび、顔面はさらに蒼白になっていく。

「どうして苦しんでいるのかしら?」

 視界を埋め尽くした数兆匹のアペカが、同じ言葉を同時に紡いだ瞬間、幾重にも折り重なる声音は
樹里の鼓膜を易々と突き破った。身動きできないまま、両耳から半透明の体液が流れ落ちる。

585 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/11(日) 02:33:56.95 ID:FHsrRuFc]
続きはそのうち。

bloodCは捕食シーンが見えないのが悲しい。
怪物はかなり萌えるけど。

ではまた。


586 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/11(日) 09:56:30.47 ID:39m9V7BW]
>>585
乙!精神的に蹂躙するのもスパイス効いて乙ですね

587 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:39:04.80 ID:lAdWaiL8]
食いちぎり、ふたなり注意。
被食願望のある女の子の視点で。

生け捕り


魔獣が捕獲されたらしい。

最近、近くに旅人や街の人間を襲い、
食らう魔獣が出没するとは聞いていたけれど、
それほど興味を惹かれる話題ではなかった。

特に外に用事のない街娘の私には、特別脅威でもなかったし、
頻繁ではないけど、魔獣自体特別が珍しいものでもなかったのだ。

ただ、生きたままというのは初めてだったのだ。

兵隊さんに捕まえられたという魔獣は、
どこにこんな、というほどの大型の檻に入れられ、
街の広場の隅に置かれ飢えるまで晒しものになるんだとか。

そんな話を勤め先の酒場で聞くと、今の時期、特に忙しくもないので
私は昼の休みにでも見に行くことにしたのだった。


小さくもないが特に娯楽も多くないこの街、
檻のある広場には魔獣を見に沢山の人が集まっている。

私も生きた魔獣をその目で見るのは初めてだった。
人混みの中、高台に置いてある檻に、その魔獣はいた。

長い毛で覆われた、獅子よりも大きな身体に、獣のような頭。
二本足で立ってはいるが、大きな爪の生えた腕は危険なので
後ろ手を鎖で縛られ、両足にも枷が付けられている。


その狼のような虎のような顔は、魔獣といわれるだけあって、
ただの獣と違い…表情がある。
愛嬌もなく凶悪。そしてただの獣には感じられない、
ある意味人間らしいとも言える「欲」のこもったような表情。
これが、魔獣なんだ。檻の中にいるのに、少しぶるっと怖い。

魔獣は囚われの身ながら、人々の喧騒も気にせずに、
特に臆することもなく、ただ然と街の人々を見下ろしていた。

もう囚われて数日は立っているだろうから、弱ってきても
いいころだろうに。

最初は少し見て帰ろうと思っていたのだけれど、
そのちょっとした怖さに惹かれたのか…私は
いつの間にか列の最前列にまで来ていた。


588 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:39:25.72 ID:lAdWaiL8]


最前列は檻から5メートルぐらいのところだった。
人々を見回していた魔獣の目が、こちらを向く。

気のせいかもしれないけれど、
魔獣の目が、私に留まった。

こちらを見つめる、私はその魔獣から目を逸らすことが出来なかった。
私は自分の鼓動が大きくなるのを感じた。
動けなかった。

欲に満ちた魔獣の目で見つめられる感覚。

まるで男に性的な目で見つめられるような、そしてそれを更に大きくしたような
そんな快感が身体の中でくすぶっているのを感じた。


何秒の事だったのだろう。私は列の流れに押され、
我に帰った。
魔獣もまた次々と流れる別の人間を見下ろしていた。


心臓の鼓動はまだ収まっていなかった。
気がつくと、肩の出たドレスなのに、全身に冷たい汗もかいていた。

そして、自分の下腹部は、
性的な興奮を覚えた時と…同じ反応をしていた。



その日一日は、熱に浮かされたように、頭がぼーっとしていた。
夕方からが本番の酒場の仕事も今日は体調が悪いと店長に言い、
早退した。

自宅のベットで横になったが、眠ることは出来なかった。

気がつくと、深夜になっていた。
街の中は静かになっていた。

だけど、胸の興奮は収まらない。
今日は月が出ていて明るい。
眠れない私は、ふらりと…昼間の広場に向かっていた。




589 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:40:01.77 ID:lAdWaiL8]
深夜の広場は、人一人居なかった。
昼間の喧騒も嘘のように静まり返っていた。
店も閉まり、住宅から離れた薄暗いその広場の端に、
昼間と同じようにその魔獣だけがいた。


私は、最前列にあった、危険、立ち入り禁止と書かれた
柵を乗り越え、檻に近づく。

魔獣は起きていた。

月夜に光る、金色の目で私を舐めるように見ていた。

「私が、そんなに欲しかったの?」

魔獣が鉄格子に近づく。
私と同じ高さに頭をかがめ、鉄格子の間から、
匂いを嗅ぐように長い鼻を出す。

私は恐ろしい魔獣を前にして、昼間以上の
興奮を覚えていた。

私を見つめ、求めるいやらしい目。
私の肉はそんなに魅力的かしら?

飢えた人食いの魔獣は牙を光らせ、私を求め鉄格子いっぱいに
頭を押し付け、私の身体に牙を立てたいと歯をむき出しにする。

興奮で息が荒くなる。魔獣ではなくて私のだ。

人食いの魔物が私を食べようと、今目の前で涎を垂らしている
そんな性癖が自分にあったのか、それとも今目覚めたのかは解らないが、
私は、今のシチュエーションに興奮しているのだ。

私は、昼間の時から着ていた、肩まで出ているドレスの胸元をつかみ、下ろす。
街でも大きいほうだと自分でも自慢だったおっぱいがこぼれる。



半歩、半歩と、更に檻に近づく。

魔獣は昼間の落ち着きとは代わり、大きく興奮し、鉄格子を揺らしていた。
その目は大好物なのであろう、乙女の柔らかな2つの乳房。
いや、胸の甘い肉を見つめていた。

「そんなに食べたいんだ…私の自慢なおっぱい、美味しそうなのかな…?」

魔獣の口から涎が溢れるのが見える。
…でも、さすがに食べられるわけにはいかない。

私は、魔獣の口が届かないぎりぎりのところで、挑発するように胸を揺らす。

酒場の制服なので多少肩の出た、露出度のあるドレスは着ていたけれど、
破廉恥といわれることはしたことはなかった。
それがまさか、魔獣相手になんて。

だけど乳首は限界まで充血し、大きく硬くなっていた。
おっぱいの柔らかさをアピールするように揉みしだくと、
我慢できなくなった魔獣が、舌だけでもと伸ばし、舐めようとする。


590 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:40:38.16 ID:lAdWaiL8]
それでもぎりぎり届かない。
滴たる生暖かい涎が乳房にかかる。

ざらついた舌の先が乳首をかすめると、その感覚に、
私は「あっ…」と声をあげた。

本当は飢えていたのだろう。目の前の魔獣はますますその食欲を
私に向け、興奮してくる。私もそれと同調するように息も荒くなる。



「はぁ… はぁ…私の…こっちも食べたいんじゃないのかな?」
私は後ろを向くと、次はスカートを捲り上げる。
下着は身につけていない。

胸と同じように肉付きのいいお尻が顕になる。
たっぷりと脂肪の載った、食べ応えのありそうなお尻を目の前に、
魔獣の目がいやらしく細くなる。ああ、これも好物を目の前にした顔だ。

「ほら、美味しそうかな?いっぱい肉がつまってるよ…?」

私はそのおしりを、胸よりさらに檻に近づける。娼婦が挑発するように、
いやらしくおしりを振り、アピールする。

格子からいっぱいまで出た魔獣の鋭い牙が、がちりがちりとおしりの前で噛み合わさる。

「はぁ…っ!もうすこしで、食べられちゃう!お尻食べられちゃう!」

目の前にあるご馳走をもう少しで食べられなくて悔しいのか、
舌先を突き出すと、その尻を舐め回す。

すこしざらざらとした感触の舌が、柔らかい私のおしりをなでる。
この肉はどれほど美味しいのかと、いやらしくなんどもなんども魔獣は舐め回した。



やがて舌はお尻の真ん中に…太腿まで垂れるぐらいに濡れた、私の「女の子」の部分にたどり着く。

他の部分とは違う味に興味を示したのか、必要に舌を伸ばし、
2つの餅のような肉をかき分け、中の味を確かめようとする。

私は、その焦らすような気持ちよさに、声を上げそうになった。
だけど、舌はそれ以上入ってこようとはしなかった。
私の女の子の入り口以上には、舌が届かないのだ。

「はぁ…はぁ…」

これ以上下がってしまっては、本当におしりを食べられちゃう…
でも、私はこの興奮を中途半端に終えることはできなかった。
私は…

「そうだ、「男の子」のほうなら…」

591 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:41:09.61 ID:lAdWaiL8]

私は魔獣に前向きになると、スカートの前をめくる。
そこには、「女の子」と同じように完全に興奮し、
いっぱいまで充血し、大きくなった…ペニスがあった。

いわゆる両性具有といわれるもの。
私の地方の人間にはそれほど珍しくはないものだ。
私には陰嚢が無く、特徴が女性に近かったため女の子として育てられた。
現在の体つきを考えるとそれは正解だっただろう。

女の子の上の部分から生えたそれは、恥ずかしいけれど、
人よりは少し大きい。時々…オナニーはするけど、
殆ど使ってないから、女の子の部分と同じようにきれいな色をしていた。
大きさの割に皮はすこし余っていて、
完全に勃起してもピンク色の先が頭からのぞくほどだ。

私はその男の子の部分を魔獣がどう反応するのかとも思いながらも、
欲求不満だった女の子の部分を指でさすりながら、腰を突き出し
檻に近づける。

魔獣は同じように鼻を突き出すと、ペニスの先の匂いを嗅ぐ。
そしてまた同じように、牙をむき出し、ペニスにかじりつこうとする。
胸の時や尻の時ほど食べごたえのある部位ではないが、
魔獣の目は同じように食欲を私のペニスに向ける。

柔らかい皮で包まれた、齧り付きやすそうな、肉の詰まった生きの良いウインナー。
先から見えるピンクの部分からは肉汁がしみ出て、さぞや美味いのだろう。

魔獣は舌なめずりをすると、にじみ出た汁をなめとるように、先を舐め回す。
私は快感に震えた。とても気持ちがいい。私は女の子の部分をいじり、興奮から身体は絶頂に近づいている。

「はうううううっっ!」
魔獣の舌がペニスの裏筋を捉えると、私は達した。
ペニスから白い液が飛び出て、魔獣の舌を濡らす。

女の子の部分からも、液体が吹き出る。こんなに興奮して、
頭が真っ白になるようないき方ははじめてだった。
魔獣の舌は精液の味が気に入ったのか、未だペニスの先を舐め回している。

長い余韻のあとだが、まだペニスは萎えていなかった。
「も、もういっかい…食べてもらおうかな…?」

一度達したというのに興奮も性欲も収まらなかった。
もう一度この危険な快感を味わおうと、さっきと同じように腰を魔獣の前に突き出す。
格子の間から顔を出した魔獣が、目の前の餌に舌なめずりをする。
ただ、今度は肉のほうでなく、私の方を見て…。
その時、魔獣の目が、笑ったような気がした。

途端、魔獣は口を開け、舌をつきだしたと思うと…
「!!」 先ほどは亀頭にやっと届くだけだったように見えた舌が、
急に長くなったように伸び、ペニスを蛇のように巻き取り、しめつける。

私は、その一瞬、忘れていた恐怖が頭をよぎっていた。
声を出すまもなく、力強くざらついた舌でがっちりと捕まえられたペニスが、
抜かれてしまうほどの勢いで魔獣に引き寄せられる。

「きゃ」という悲鳴と、あっという間に私は引っ張られ、
魔獣を閉じ込める格子に身体を打ち付ける。


592 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:41:32.17 ID:lAdWaiL8]
立ち上がり、本来の目の高さになった魔獣が、私のドレスに噛み付くと、
そのまま格子の中に引きずり込む。
「あぁ〜…ぁ…」
あっという間だった。
私は声にならない声をあげた。恐怖で何もわからなかった。

何も抵抗できないまま、檻の床に投げ出されると、残ったドレスをあっという間に牙で割かれ、
裸にされる。

うごけない。指先すらうごかなかった。

冷たい床の温度が後頭部に伝わった時、私は我に帰った気になった。
考えると、何故この魔獣の舌は最後にだけ伸びたのだろうか。
いや、最初から長かったのだ。それを、私を捉えるチャンスがくるまで
隠していたのだ。

金色の目で魔獣がうれしそうに私を見つめる。
やっとご馳走の時間だというように。


魔法、魔術の類に魔眼というものがあるのを聞いたことがあった。
見つめたものの動きを止めたり、洗脳したり、強力なものだと石化させたりするものまで
いるという。

この獣は本当に人間に囚われたのだろうか。
より獲物の多い人間の街の中で、自分の大好物の人間の肉を、
そしてどの人間が美味しそうなのかをどれかをゆっくりと選んでいたのではないだろうか。

冷静な頭で考えると、いくらなんでも、今の自分の行動は異常だった。
この昼、目を合わせた時からの興奮は、おそらくは…魔眼によるものだったのだ。
今、声も、指一つ動かせないのも…

とどかない檻の中から鼻だけ伸ばし、「しょせんは獣」との戯れだと思っていた、
私のほうが最初から遊ばれていたのだ。

魔獣は震える私のほほを舐めると、首から舌…胸元、乳首、と、私を涎で汚していく。

魔眼の力が解けていないのか。
このような状況になっても、未だ私は興奮していることに気がつく。

魔獣が私のおっぱいを口に含む。
わたしのおっぱいは、魔獣の大きな口からでもまだあふれるほどだった。
肉の柔らかさを味わってるのか、口の中で舐め、舌でねぶり回す。
鋭い牙が乳首をかすめる度に、私は快感で震えた。

さんざん涎で濡れた私のおっぱいから、魔獣が口を離す。
舌を口にしまい、まるでスローモーションのようにゆっくりと、牙をむき出し…

私のおっぱいにかじりついた。

ゆっくりと牙の圧力で張りのいい乳房の形が変わる。
やがて血が滲み、まるで柔らかい果実のように…私のおっぱいは大きくかじり取られる。

「……〜〜〜っ!!」

593 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:42:16.19 ID:lAdWaiL8]
痛みは意外と大きくなかった。むしろ、かじり取られ無いはずの私の乳房から、
先ほどの愛撫とは桁違いなほどの大きな快感が、私の頭を襲ってくる。
痛みそのものが快感に変わったような…

魔獣は口に含んだ食べ応えのある肉の塊を、くちゃくちゃと音を立てながら咀嚼する。

血と脂肪の混じったものが口の間からこぼれ、私を汚す。
もはや、つながっていない私の乳房から、快感が伝わってくる。、
まるで、肉の外から、中から、細胞の一つ一つ、性感帯を噛み潰されているような
気持よさ。

魔獣はよく口の中で甘い肉を味わうと、ゴクリと飲み込んだ。
私のおっぱいだったものが喉を通って行くのが見える。

魔獣は私のおっぱいの味を気に入ったらしい。またあのいやらしい目で見つめる。
私は齧られ、なくなっていく自分の体に恐怖しながら、
その反面私の身体は魔獣に食べられる快感を求めていた。

魔獣が残りのおっぱいに齧り付く。
私は目をつぶった。くちゃくちゃ咀嚼する音と快感で頭がいっぱいになる。
私のおっぱいがミンチになっていくのが解る。

気がつくと、私のおっぱいはなくなって、そこから肋骨が覗いていた。
魔獣はご馳走がなくなったことを名残惜しそうに、
おっぱいがあった跡を舐め回すと、また頭を下に移動させていく。


お腹に牙を立てて、内蔵を貪るのかと一瞬思ったが、舌は下腹部まで達し…

魔獣の舌は先程も舐め回したペニスにまで達していた。

興奮のためか、血をだいぶ失っているというのに
未だ完全に起立したペニスがそこにはあった。

(そ、そんな、だめ…食べないで)

もしおっぱいであんなに気持ちが良かったのならば…もしあれば
ペニスだと、どんな快感がくるのだろうか。

594 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:42:40.04 ID:lAdWaiL8]
魔獣はそんな私を見ながら、舌に涎を滴らせ、牙を見せつけながら…
剃刀のように鋭い牙で、根元から私のペニスを食い切った。

「!!〜〜〜〜〜!!」


抗えない、頭を中から叩くような快感に、私は声にならない叫びを上げた。
同時に私は何度も達し、精液を吹き出していた。

くっちゃくっちゃ くっちゃくっちゃ

暗闇の中、ご馳走肉と精液をじっくりと味わう魔獣の咀嚼音が聞こえる。
少ない肉だがその味が気に入ったのか、口の中でじっくりと攪拌する。
私の性感帯そのものが、牙で噛み切られ、ほどけていく。

その度に私は快感に身体をびくんびくんと震わせていた。
口からは涎がたれ、もはや眼の焦点はあわない。

魔獣は私の胸元まで口を近づけると、その顎を開く。

口の中は、私のペニスから出た粘液と、血と、細切れになった肉。
舌の脇にピンクの肉があった。

それは私の亀頭だった。魔獣は私の目の前で、舌の上で亀頭を転がすと、
最後に奥歯でゆっくりと噛み潰した。

その瞬間、また絶頂に達すると同時に、私は快感で壊れてしまった。



魔獣は私の「女の子」の柔らかい肉も引き剥がし味わうと、
鼻先で私を裏返し、先程食べそこねた尻の肉にかぶりついていた。
私は意識もうすれ、死が近づいていることも理解していたけれど、
不思議と怖くはなかった。もはや快感しか感じなくなった頭で、いろいろなことを考えていた。

本当に檻の中生け捕りにされたのは、魔獣ではなくて街の人間のほうでは
なかったのだろうか。

快感の中死ぬのを悪くない。自分は最初からこうなるのを望んでいたのでは
ないだろうか。

尻の肉を食べ終わった魔獣が、太腿に牙を突き立てた。
それが最後の記憶だった。

595 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/12(月) 01:42:54.17 ID:lAdWaiL8]
こんないろんな意味でひどい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。


登場人物紹介

女性(主人公)

ふたなり自体はそれほど好きではありませんが、
性器を破壊する分には面白いと思いました。余計なものですし。
衣装は欧州の酒場の娘をイメージしております。
それなりにいい体つきをしているようです。
年齢はあえてぼかしたので頭の中でお好きなように。
ただし処女です。


魔獣

ニンゲン大好き。見た目は哺乳類系です。ただの魔獣ではなく、
もっとニンゲンの手に負えない恐ろしい存在なのだと思います。
魔王とか、悪魔とか、神だとか。



596 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/14(水) 10:45:41.20 ID:JIdm6pre]
神が降り立った…
エロすぎ

597 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/24(土) 05:13:25.06 ID:+rJYFyeC]
とある女子高。
授業が終わった時間帯なのか下校中の生徒に部活動に汗を流す生徒の姿もある。
そこに巨大な異形の怪物が舞い降りた。

怪物は、校門から入り込み、周囲にいる女生徒を眺め、
すぐさま手近な女生徒を鷲掴みに抱え挙げた。

怪物は長い爪で彼女の服を引き剥がす。
彼女の制服は下着とともに無残に引き裂かれて宙を舞う。
衆人環視の中で彼女の裸身が露になってゆく。
時折深く食い込んだ爪が彼女の白い肌を引き裂き、赤い肉が見える。

裸身となった女生徒を怪物は足から大きくかぶりつく。
ガブリ
ひと噛みで彼女の両足は切断されて、怪物の口の中へ収まった。

しかし、裸身を晒されて食べられる女生徒が悲鳴を上げて苦痛や羞恥心に喘ぐこともなければ周囲の生徒達が逃げ惑うこともない。

彼女も周囲も何一つ動くことなく平常と同じまま、その場にとどまっている。
怪物は、時間を止める能力を持っているのだ。
止まった時の中を移ろいながらその中に閉じ込められた女性を食べる。
誰一人としてその存在を知覚出来ない怪物なのだ。

598 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/24(土) 05:16:18.39 ID:+rJYFyeC]
太腿中間で切断された切断面からは流れの止まった血がジェルのように固まり、
両足を失った女生徒は怪物につかまれながらも笑顔を浮かべていた。

怪物の口の中で、女生徒の両足は、年頃の女性らしい芳香を放ちながら骨とともに噛み砕かれる。
程よい弾力の足の筋肉とうっすらついた脂肪が怪物の口の中で交じり合う。
女生徒の足の食感を味わった怪物は、そのまま腰へかぶりつき、尻の肉と腰骨、膣と腸を口の中に収める。
甘い尻肉のやわらかな食感と膣のコリコリした歯ごたえを楽しみながら、怪物は濃厚な味わいの腹部、
女性の香りを濃縮した乳房と食べてゆく。
そして、最後に自分が食べられている自覚のないままの笑顔を浮かべた肩から上の部分を投げ捨てて、怪物は校庭へと歩いていった。
怪物が立ち去った校門には食べ残した両腕や彼女の肩と首、そして引き裂かれた服と下着が散乱したままになっていた。

その怪物に続き、同じような体躯の怪物が次々と舞い降り、校門周辺にいた下校中の女生徒を捕食しはじめた。
ある胸の大きな生徒は、即座に上着をたくし上げられてブラジャーを引き裂かれ、乳房を噛み千切られる。
豊満な乳房の味を味わいながら満足げな顔をする怪物の目の前で自慢の乳房を失った女生徒は
平素どおりの表情で大きな切断面となった胸を露出する。



599 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/24(土) 05:19:53.11 ID:+rJYFyeC]
別の怪物により帰宅中の女生徒が持ち上げられて、太腿を食べられる。
肉感たっぷりの太腿が怪物の口の中で女性の肉ならではの香りを放ちながら噛み砕かれてゆく。
残るのは足を失って転がる女生徒と食べ残された足だけだった。

校門は瞬く間に女生徒の体の破片と引きちぎられた服と下着が撒き散らされる空間となった。
校門を見下ろす校舎の窓には止まったままの女生徒の影が見える。
その窓のひとつに写る影の一つが動いたが、怪物たちはそれに構うことなく校内へと歩を進めた。

部活動の練習なのか校庭で走っていた女性の姿が怪物の目に止まる。
その怪物は、彼女の体操服を下着ごと引き裂き、裸身となった体を掲げあげる。
運動で鍛えられたまったく無駄のない肢体が光に照らされる。
その次の瞬間、彼女の裸体は怪物の口の中へ落下した。
何の抵抗もなく落下した裸体は怪物の口の中へ収まり、怪物はそれを咀嚼した。
運動で鍛えた体独特の弾力のある引き締まった肉が怪物の牙にかかる。
健康な内臓が一緒に噛み砕かれて、濃厚な味わいを放つ。
彼女の肉は、怪物の口の中でプリプリの食感を放ちながら踊っていた。


600 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/24(土) 05:23:17.28 ID:+rJYFyeC]
ある怪物が、食堂にある大きな鉄板が加熱したままでいることに気づいた。
さっそく怪物は、帰りにたむろする女生徒の一人の服を剥ぎ取り、
大きな包丁で手足を切っては加熱した鉄板の上で焼き上げる。
女性の二の腕が焼かれて、切断面から肉汁を垂れ流す。
焼かれた太腿の肉汁が溢れんばかりに鉄板に溢れる。
怪物は、それをおいしそうに頬張る。

それを見た他の怪物もどこかから持ち込んだ裸の女生徒を解体しては焼いて食べていった。
ローストされた女生徒の女の芳香が学校中に広がっていった。


601 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/24(土) 05:26:03.12 ID:+rJYFyeC]
その匂いは物陰にも、そこで息を潜める女生徒にも広がっていった。
(やだ…何?この匂い…まさか…)
目の前でうずくまっている美香とともに、階段の影で息を潜める女生徒の名は香織という。
異変の始まりは下校する前に入ってたトイレの中で、話し声が急に聞こえなくなった時からだった。
トイレから出ると、廊下を歩いているクラスメート達が人形のように動かなくなっていて、
叩いても呼んでも反応を示さなくなっていた。
そしてそれに驚く間もなく、空から見たこともない異形の怪物が舞い降りて、
校門にいる動かないままの生徒達を食べていたのだ。

「な…何がおきたの?」

トイレから出てきた美香が驚愕の声を上げたのはそのときだった。
そして、校内に入った怪物の目をかすめて階段の影に逃げ延びるまでの間に見た光景で、
この学校の中で動いているのはトイレにいた香織と美香だけだったことを理解したのだ。


602 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/25(日) 01:01:40.85 ID:5PS3i8xV]
いいわ、続けて

603 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/25(日) 23:55:13.46 ID:Gcg2w6HT]
そして、校内のクラスメート達が動くことも出来ないまま怪物たちに食べられてしまっていることも。
「あの怪物たちに見つかったらあたし達も食べられちゃう。何とか逃げないと」
そう話すも、怪物たちは廊下をうろうろしていて、見つからずに逃げる手立てもなかった。

こうなったら、怪物たちが立ち去るまで待つしかないかと思っていると、美香がささやくような声で言った。
「なんか足が痺れてきてるの。触っても感覚ないし、足の指を動かそうとしても動かない」


まさか…

この事態に気づいてから、意識して考えないようにしていた可能性が頭をよぎった。

この学校の生徒達が動かなくなった何らかの作用。
その効果が自分たちにも及んできたのかもしれない。

香織もつま先にわずかな痺れを感じ始めた。
形容しがたい嫌な痺れ。

「逃げよう」
二人がほぼ同時にいった。
このままいたら動くことも出来なくなる。なら、逃げるしかない。そう思ったのだ。
幸いにも怪物たちの通りが途絶えている。
香織は美香の手を引いて廊下に出た。
美香は足が動かなくなったのか足を引きずるようにしていた。


604 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/25(日) 23:56:52.21 ID:Gcg2w6HT]
「大丈夫?」
香織が心配して尋ねる

廊下を必死で逃げ、非常口の目の前まで来た
「ちょっと…待って…」
美香が立ち止まったまま動かなくなっていた。
「まさか、足が固まっちゃったの?」
香織の問いかけにうなずく美香
「もう、腰の辺りまで感覚ないの。まるで、下半身が人形にでもなったみたい」

怪物が姿を見せたのはそのときだった。

!!!

悲鳴を上げようとした香織の体がその瞬間宙に舞う。

美香が香織を突き飛ばしたのだった。
「逃げて!」香織を突き飛ばした勢いでバランスを崩して転倒した美香が叫んだ。
倒れこんだ美香が怪物にさらわれていくのに後ろ髪引かれながら、外から校門に向かって走る。

美香の運命を気遣いながらも、校門へ走る。足が重くなっているのに気づいていたが、気にせず走る。
校門が見えたところで、そこに怪物がいるのに気づいた。
もう、足に感覚がなくなった香織には時間がないことは十分理解していた。

一気に逃げるしかない!
そう思って一歩目を踏み出したところで、その体が後ろに引っ張られる。
!!!
校門に注意を引かれている間に後ろに怪物が迫っていたのだ。


605 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/25(日) 23:59:16.96 ID:Gcg2w6HT]
怪物は香織を抱えて食堂へ歩く。
香織は泣き喚くが、そこにいるのは動かない女生徒か、怪物に食べられた残骸だけだった。

食堂につくと、そこは信じられない風景が広がっていた。
たむろする怪物たちがてんでに捕らえてきた女生徒を厨房でバラバラに解体しては
焼いてテーブルで食べている。
食堂中に広がる匂いは、彼女達の体が焼ける匂いだったのだ。

香織は厨房に放り出される。
逃げようともがくが、既に腰まで感覚がなくなった体はいざることしか出来ず、
程なく動きを見咎められた怪物によって後ろ手に縛られてまったく動けなくなった。

鉄板で何人かの女の子の手足、胴体が焼かれるのが見える。
厨房では手足を失った裸身が転がっていた。

「絵梨…それに葉子まで…」
切り刻まれたまま無心の笑みを浮かべる女性の顔の中に
親しいクラスメートの顔がいるのに気づく。
彼女達もめいめいに焼かれては怪物たちに食べられてゆく。
焼きあがるときの独特の匂いがむわっと広がる。
時折聞こえるゴリゴリと骨を噛み砕く音が不気味に響く。
そして…

606 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/26(月) 00:00:46.75 ID:Gcg2w6HT]
「美香ぁ」
恐怖の表情を浮かべたままの美香の体が解体されて鉄板で焼かれる。
眼をそらしたくてもそらすことが出来ず、さっきまで隣にいたクラスメートが
料理となり食べられてゆくのを瞬きせずに見ていた。

美香が食べられた後、香織の体はさっきまで美香が解体されていたテーブルの上に移された。
テーブルの周囲には美香の服や下着、そして、食べ残しの体の破片と
焼きあがった後の美香の体から流れていた肉汁が…そこまで考えて首を振る。
怪物が、大きな刃物を香織の太腿に当てる。
ゴクリ…
もう、逃げても無駄なことを悟ってしまうと体は不思議なほど従順に運命を受け入れていた。
スカートを捲り上げられて露出する太腿が刃物によって切断される。
太腿に冷たい刃物が入っていく感覚。骨に直接刃物が当たる感覚。
それらすべてを香織は呆然とした目で受け入れていた。
ゴトリと音を立てて太腿が転がる。もう片方も同じように切断される。

靴と靴下を脱がされた香織の両足は、鉄板で焼きあがって香織の目の前で食われる。
今まで自分のものだった太腿がこんがり焼きあがったキツネ色のまま肉汁を垂れ流す。
怪物がそれを噛み砕くと搾り取るように肉汁が怪物の口の中からこぼれる。
香織は自分の両足が食べられてゆくのを見ているしかできなかった。

607 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/26(月) 00:03:11.85 ID:Gcg2w6HT]
香織の体の麻痺は既に胸に及んでいて、呼吸も苦しくなっていた。
両足を食べ終わった怪物は香織の胴体を横たえ、香織のスカートと下着を脱がせて腹部に刃物を入れる。
覚悟はしていたが…あれを見ることになるのか…香織は感覚を失った腹部にうっすらと
刃物の冷たい感触が伝わるのを感じた。
香織は、美香や他のクラスメートが解体されたときと同じように、腹部を切り裂かれては
中に入っている内臓を引きずり出された。
血の気の引いた表情で香織は目の前に自分の胃や腸、そして子宮や膣が引きずり出されているのを見た。
吐きそうになるが、今の香織の体には嘔吐するための内臓すらなかった。
香織の体の麻痺は頭部にまで及んでいて、考えることもままならなくなっていた。
視界と思考が少しずつぼやけていく。
焼きあがった膣や内臓が怪物の口の中へ入る。
コリコリと口の中で咀嚼されていくのが見えた。
あれ…美味しそうだな…
香織の思考は目の前の現実を受け入れるのを拒否し始めていた。


608 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/26(月) 00:04:51.90 ID:Gcg2w6HT]
内臓を失ったあと、がらんどうになった香織の体は、腹部、胸、腕、乳房と解体されては焼かれてゆく。
ああ…これは夢なんだ…
目の前でこんがりと焼きあがった香織の乳房が食べられていくのが見えるとともに、視界が白い靄に包まれた。

香織の目にはすでに光が失われていた。

満腹となった怪物たちは女子高を後にして、別の時空へと転移し始める。
女子校は流れる時間の中の一瞬を切り取られたことに気づくことなく、
静かに下校時のひと時が流れていった。

美香と香織が放課後にトイレに行ったまま行方不明となったニュースが流れたのはそのしばらく後のことである。


以上です。
ほとぼりを覚ましたらまた別のを投下しようと思います
(モノはできてたけど忍法帖やらなんやらで投下できないままだったもので)



609 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/09/26(月) 19:10:38.87 ID:bUG85E6u]
さます必要はないよ
股間が熱いうちにさあ、次のを。

610 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2011/10/01(土) 02:32:39.73 ID:ekfiFhqs]
今日もいい天気♪

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ttp://fsm.vip2ch.com/-/sukima/sukima209934.gif
ttp://fsm.vip2ch.com/-/sukima/sukima209935.gif

611 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/10/01(土) 04:54:50.16 ID:iwgkFRhn]
クッキー☆は関係ないだろ!訴訟も辞さない!

612 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/10/01(土) 19:52:46.08 ID:X2lrn+lu]
>>608
遅くなったけれどとてもよかったよ
でもなんでふたりだけが行方不明になったの
他の女子生徒は?

613 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/10/02(日) 00:55:40.72 ID:OgDakqdz]
なにか話に仕掛けがありそうだね

続き期待してやす!






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