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少女・女性が化物に捕食されちゃうスレ 復活の5



1 名前:名無しさん@ピンキー [2010/01/14(木) 18:12:53 ID:kO4ltSek]
オレは女の子(女性)が化け物に捕まって、いろいろ弄繰り回された後に食べられちゃうよー
てなシーンにすごく萌えるわけですが・・・

皆さん、こんなの好きな人いませんかね??

話を書いてみたり、そういうサイトを教えあいませんか?


※SS投下の際の諸注意
 ・元の作品:オリジナル/パロディ(キャラ・世界観のみの場合含む)
 ・捕食方法:噛みつき・丸呑み・体液吸出・咀嚼・溶解吸収etc...
 ・他注釈 :特に凄惨な表現を含むなど、注意が必要と思われる場合
以上を冒頭に明記することを推奨します

男性が捕食されるシチュエーションはNGではありませんが、
このスレでは
『女の子(女性)が化け物によって(嬲られ犯された末に)捕食される』
がメインです
 ・ラミア、リリス、サキュバスなどに捕食要素を追加して男女両方を襲う
 ・男女混成のチームを丸ごと、あるいは順に捕食していく
などの工夫で男性が捕食される状況を含むものはOKです
 ・ヒトが人魚、妖精などを(嬲る、犯す)食うのは変化系としてOKです
 ・単にヒトがヒトを食う(ただのカニバリズム)ものはスレ違いです


初代  ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125051013/
その2 ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147338907/
その3 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182796046/
その4 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217963873/

関連スレ
◆女性に捕食されるスレ◆
yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213114446/


その3スレ>>804氏が作ったWiki (補完等、協力お願いします!)
www11.atwiki.jp/hosyoku/


279 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:53:26 ID:xyimGxm/]
わたしのところにきた鬼は他の鬼たちよりひときわ大きく、逞しかった。
そして、そのペニスも強固な杭のようだった。
「ひっ…」
一瞬目をそむけてしまうくらいにそのペニスは凶暴なものに見えた。
わたしの足を広げて鬼はそのペニスを力ずくで押し込んでいく。

メリメリ…
たしかにそんな音が頭に響き、股間から体が二つに引き裂かれる痛みが走った。

「うぎぃ!!」
そのまま鬼は力ずくでわたしの膣内に大きなペニスを押し込んでいきました
わたしは体内を無理やり押し広げられる苦痛に悶える。
今まで男性を知らなかったわたしの純潔を踏みにじることに快感を覚えるように
奥へ奥へとわたしの中を犯していく。
子宮口へ達したら、一旦引いては叩き破るかのような勢いで再び突いてくる。
その度に引き裂かれる痛みがズキズキ疼く。

内臓を容赦なく抉られるような痛みに涙を浮かべながら、わたしは鬼の激しい突き上げに耐える。
せめて…少しでも早く終わるように念じながら目を閉じた。
「おっかさん……助けて!」
誰の声かわからない声が響く
生贄の誰かかもしれないし、わたしが上げた声かもしれない。
その区別もつかないほどにわたしは鬼に犯されていた。

意識がどこかへ消えていた。

知らぬ間にわたしは喘いでいたのかもしれない。
泣き叫んでいたのかもしれない。

それすら鬼の乱暴な動きに塗りつぶされていた。

そして…突き上げが私の体を飛ばすような勢いになった刹那
胎内に溶岩のような熱い塊が注ぎ込まれるのを感じた。

「ぁ…ぁ……」

股間からとめどない熱い液体がこぼれ落ちるのを感じていた。
わたしたちは股間から流れおちる鬼の精液をだらしなく垂れ流しながら泣いていた。


280 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:54:21 ID:xyimGxm/]
そして、他の娘達も同様になった頃、新たな鬼達がやってきた

それから、わたしたちは新たな鬼達に犯され続けた。
数を増した鬼達にお尻の穴も、口も、アソコも犯され続けた。
いつしか体中に精液をまといつかせるのが当たり前になっていった。
しかし、わたしたちは知っていた。
これが、ほんのはじまりに過ぎないことを

夜が明け、散々に犯されたわたしたちを鬼達が名残惜しそうな顔で見ながら去っていった。
「ノノ…やっと…終わったね」
ナツが枯れた声でわたしにそういった。
繰り返された喘ぎと悲鳴でかつての声はもう戻っていなかった。
ナツと、わたし自身を慰めるためにこういった
「次の満月…それまではもう何もないよ」

そのはずだった。
そして、次の満月には…わたしたちは食べられてしまうのだ。
あの鬼達に。

わたし達の体に変化が訪れたのはその後からだった。
吊るされっぱなしで感覚がなくなっていたわたしたちの手が徐々に茶色く変色し始めた
まるで枝と一体化したようだった。

それとともに、わたしたちは空腹を感じなくなり始めていた。
誰もおなかがすいたとも喉が渇いたとも言わなくなっていた。

そして、日がたつにつれて、お尻が膨らみはじめていった。
それは日増しに大きくなっていき、やがて下腹部とともにぷっくり膨れ始めた。

そして、満月が近づいた夜。誰ということなく体中から不思議な香りが漂い始めた
まるで、桃の実のような。


281 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:54:46 ID:xyimGxm/]
誰もが、半ば木と一体化したようにぼんやりとした視線を漂わせた満月の夜。

鬼達がやってきた。

わたしたちは覚悟したような表情を浮かべていた。
もう、動くことも出来なくなったわたし達に鬼たちに食べられる運命から逃れることは出来ない。
せめて、痛くないようにしてほしい。祈ることはそれだけだった。

鬼達は、手に手に大きな鉈を持っていた。
一人の鬼が、端の娘の足の付け根に鉈を当てる、
娘が顔を引きつらせた瞬間、鉈がすごい速さで娘の両足を切断した。

上がる悲鳴、ゴトリという不気味な音とともに地面に落ちる両足
奇妙なことに、切断面からは血は流れなかった。
かわりに透明で甘い香りを放つ果汁が滴り落ちた。

鬼達の鉈は次々と娘達の足を切り落としていった。
私の足にも、あの大柄な鬼が鉈を持ってやってきた

ヒヤリと鉈の感触が伝わり、それが離れた次の瞬間
激しい衝撃とともに足の感覚がなくなった。

ゴトゴトッとわたしの足が地面に落ちる音を聞いた。

全員の足が太腿から切断された後、鬼達は指笛を吹く。
どこからともなくやってきたのは獰猛そうな野犬だった。
野犬たちは地面に転がるわたしたちの太腿の肉や
ふくらはぎ、すねの肉をかじって食べていった。
弾けるような歯ごたえと肉質を持つ豊かな丸みを帯びた太腿は、争うようにして食べられた。
娘達の足の肉は野犬にとってこの上ないご馳走だった。
そして、木に吊るされたわたしたちは自分達の足が食べられるのを見ているしか出来なかった。


282 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 05:55:16 ID:xyimGxm/]
足が骨を残して食べつくされ、残った骨が野犬たちにしゃぶられていた頃、
鬼達は娘達の尻に手をかけた。
鬼がひときわ強く腰を引くと
ブチッという音とともに、丸く膨れた尻と下腹部が千切れた。

体から離れた腰は、丸い尻とともに芳香を立ち上らせながら地面に落ちる
それを鬼達は大きなお盆に載せて運んでいった。

私の番は、すぐにやってきた。
すっかり重くなった尻に、より一層の負荷がかかり…

ブチッ

という音とわたしのお尻が千切れる感覚を味わった。
そして、音はそれだけで終わらなかった
ゴロゴロ…

何の偶然か鬼達の予想せざる方向に落ちたわたしのお尻はそのまま茂みの中へ消えていった
鬼達が軽い騒ぎを起こしながら茂みの中へ分け入っていった。
それを見ていた私の横で、新たな音が聞こえた
ナツのお尻が千切れる音だった。

娘達の中で、おなかから下が残っているものはいなくなった。
これからが鬼達の楽しみだった。

鬼達は、大きな鉈を包丁に変えて、わたしたちの上半身を切り分けては食べはじめた。
柔らかい内臓は、艶を帯びたまま生で鬼達の口に入り、
胸の肉は茂みから飛び降りた山猿があばら骨とともに齧り取る
乳房は鬼達が丁寧に切り取ってはぷるんっとした肉がたっぷりの女の味をはじけさせながら
思い思いに食べられていった。

そして、鬼たちが去った後残った顔や腕のわずかな肉を、野鳥がついばんでいった。
わたしたちは、それをどうすることもできないまま食べられるに任せるしかなかった。
いつしか、意識が薄れていったわたしの目に浮かんだのは、つるされた直後に見た
海岸と海、その向こうの島の眺めだった。


283 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 06:03:15 ID:xyimGxm/]
その瞳も、すぐに野鳥が嘴でついばんでまるで卵のように噛み割った。

娘達が生涯を終えた翌日。
祭壇の上に娘達の残った尻が芳香を漂わせながら並んでいた。

丁寧に祈りを捧げた鬼達は、先を争うようにして娘達の尻にむしゃぶりついた。
程よい弾力を持つ娘の尻肉は、かぶりつく鬼達の牙におしげもない果汁と香りを漂わせては
噛み千切られていく。

一人の鬼がナツの尻のなれの果てにかぶりつく
柔らかな尻肉は、噛み千切られるとともに乙女の芳香を撒き散らし、
鬼の口の中で甘く広がる。
滴り落ちるピンク色の汁にもナツの味と女性の匂いが充満していた。

ナツの肉はかみ締めるほどにぷるんとここちよい弾力を維持していたが、
それもやがて鬼の口の中で咀嚼されては甘い汁と女性の香りを残して飲み込まれていった。



284 名前:規制解除来た mailto:sage [2010/09/25(土) 06:04:05 ID:xyimGxm/]
そして、尻の果肉が食べられていくにつれ、その真奥の空洞が露になる。
その中では、小さな小さな赤ん坊が、身を縮めて眠っていたのだ。

生贄に鬼の子種を残した娘達は、このような形で鬼達の子供を身ごもっていたのだ。
手に手に赤ん坊を取り上げる鬼達と、残った尻の肉にむしゃぶりつく鬼達。
喧騒の時間はそう簡単に終わりそうにはなかった。

茂みに落ちたノノの尻にも、鬼の子供は眠っていた。
ノノの尻は、茂みからわずかな隙間を転がり落ちて小さな沢に落ちた。
沢に落ちたノノの尻は、流れに乗って川に流れ、そのまま川下へ下っていった。

川下の村から洗濯に来ていた老婆が、ノノの尻のなれの果てを見つけたのは、
それからしばらくした後のこと。

老婆が拾ったノノの尻から生まれた子供が「桃太郎」と名づけられたことと、
その子供がノノが最期に眺めた海の向こうの島へ行って自分と同じ鬼達を
こらしめていったことはまた別の話である。

285 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/25(土) 09:19:54 ID:S5nWSOgl]
新作きたあ!
「尻桃の生る木」の人かな
朝からとてもえろくてよかったです。
ごちそうさまでした

286 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/26(日) 12:58:39 ID:Y0WMskpB]
まだ職人が残っていたのか…
とてもありがたい!
どんどん解体されていく無残感がええのう

287 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/28(火) 21:48:24 ID:KCtkgDBD]
巫女は話に収拾がつくのか?



288 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/09/28(火) 22:27:01 ID:xLLvtkEE]
この人のは大丈夫だよブログ見れば解る
まだまだ長い間楽しめそうでいいね

289 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/01(金) 23:36:29 ID:f8C45Zsd]
これほしい
ttp://blog.smilebeans.com/?eid=1068648

290 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/03(日) 21:26:35 ID:Ekzli4nh]
話の合間に話題なんだけど
皆はどれぐらいの年齢の娘が捕食されるのがベストなの

291 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/04(月) 20:51:04 ID:ZpWa+UzD]
その話題は既出だ

292 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/11(月) 23:40:32 ID:EJ6EaEzW]
>>274の続きを投下します。
残虐な表現があるのでご注意ください。


293 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:44:15 ID:EJ6EaEzW]
 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 その日、『叡智の冠』の総本山で、実験が行われた。
 巨大な怪獣が、全身をバラバラにされて封印された状態で発見されたのが数年前。
 その怪獣の口から採取された蟲がアルコール中で増殖することが確認されたのが数日前。そして
今日、少女たちの肉体にそいつらを植え付けて、時間ごとの変化を観察することになった。
 90度に近い角度で立てられた手術台。
 磔状態に近い姿で、手足を手術台に縛り付けられた全裸の少女。
 そして、その足元からは、ヒルや蛆虫を思わせる蟲の大群が這い上がっていた。
 
 部屋には誰もいない。
 ただ、時間ごとの変化を記録するビデオカメラが、無機質な音を立てて動き続ける。

 2時間後、部屋に少女の姿は無かった。
 手術台から、全身の骨や内臓が粘土細工のように捏ねられて混ぜられ、血肉で全身を塗り固めら
れた、細長い物体が、天井に向かって緩やかな放物線を描いて伸びていた。各所から飛び出した指
や長い髪の毛、潰れた眼球や内蔵からして、それが数時間前の少女であることは間違いない。
 その姿はまるで、人肉でできた巨大な「樹」のようで――。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

294 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:45:56 ID:EJ6EaEzW]
 ………自分がどうしてここにいるのか、雅乃は漠然と理解していた。
 周りをふらふらと飛んでいる、カキ氷のシロップのような色の蒼い火の玉が、時おり数が増えたり
減ったりしているが、それは風が吹くのと同じ現象で、大きな意味を成していなかった。
「…………。 ………………! …! …! …………!」
 昔、好きだったJポップのワンフレーズが記憶に残っていて、それを何度も繰りかえして呟いた。お
そらくはサビの部分だが、それすらも曖昧。しかし、何もすることがなく、どこにも行く場所が無い少女
にとって、それは数年間という長い時間、退屈を紛らわせる数少ない行為だった。
 風にも負けるような微かな声が、深い闇に融けて消えていく。
 長い髪の毛に白のブラウス、そして青いスカート。
 それは、数年前に事故に遭った姿のままであり、トラックに轢かれてひしゃげた自分の遺体が運ば
れてからも、警察の現場検証が終わってからも、道が封鎖されてからも、雅乃は同じ場所に留まり
続けていて、そして今も歌を口ずさんだり、一人でしりとりをしながら、孤独に過ごしていた。
 ざわり、と風が揺らめき、樹の葉音が激しくなる。
「…………?」
 珍しく人間のような気配を感じて、雅乃は歌を止めて、暗闇をじっと見つめた。
 しかし、すぐに諦めて歌を再開しようとする。これまでも何人かの人間がここを訪れているが、彼女
の両親を含めて、誰も彼女のことに気付くことができなかったのだから。
 5人目あたりで雅乃はようやく、自分が幽霊と呼ばれる存在になったことを理解できた。
 しかし、どういう経緯で、生前の彼女が事故死したのかは、もう分からない。生前の自分がどのよう
な生活をしていたのか、恋人はいたのか、夢はあったのか。そのようなことは全て、事故の瞬間に彼
女を残して、この世から永遠に消え去ってしまったのだった。
 考えるのを止めて、雅乃は再び歌い始めた、そのとき、

295 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:47:31 ID:EJ6EaEzW]
「随分と懐かしい曲を歌っているのね? 何年前に流行った歌だったかしら?」
 驚いて振り返った雅乃の前には、紺のスーツを着た女性が立っていた。髪は嵐のように跳ねてい
て、まるで無数の蛇が虚空に伸びているかのような印象さえ受ける。
 彼女の背後からは、黒いスーツの男や、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた男女、ピンクの子供服
を着た幼女など、様々なタイプが混在した集団が現れた。その集団がどのような目的でやってきたの
か、外見からでは想像のしようもないが、あまり関わりたくない印象はある。
「藤村先生、彼女は……」
 瓶底眼鏡をかけた男の声に、藤村と呼ばれた女性は首肯した。
「私も便宜上、魂とか幽霊とか呼んでいるけれど、これを表現する適切な言葉は、まだ存在しないわ
ね。しかし、これは意思と、時計と、そして現在から過去にかけての情報を持ち合わせている」
 そう言った藤村の唇がぐにゃりと歪み、目に暗い光が灯る。
「いっ! いやあああああっ!」
 本能的に、それがおぞましい存在だと分かった。
 雅乃は悲鳴を上げて、藤村から逃げる。
 その目に宿った、夜よりも暗い残酷な意思を感じ、藤村が、自分に災いをもたらしにきたことを理解
した。しかし、彼女はこの場から遠くに動くことができない。
 それでも逃げようとする雅乃の前に、白い影が立ちふさがる。
 灰色の宇宙人のように巨大な頭を持つ、髪も肌も紙のように白い少女だった。風船のように膨らん
だ頭を支える首はあまりに華奢で、触ればすぐに折れてしまうような印象さえ受ける。
「ひっ! なによ、貴女!」
 怪人じみた外見の少女に、幽霊の雅乃ですら驚いて怯んだ。しかし、自分の逃走の邪魔をしてい
ることを悟るや、その脇を強引に通り抜けようとする。両親ですら触れることもできず、体を通り抜け
てしまう自分を捕まえることなど、できるはずはないと判断しての行動だった。しかし、

296 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:49:23 ID:EJ6EaEzW]
「あら? 貴女に、走って逃げられる足なんてありまして?」
 白色の少女、アペカがそう言葉を発した瞬間、雅乃の両足はバキリと音をたてて、ヒザから逆方向
に折れ曲がる。血肉が飛び散り、ヒザの皿が砕け散り、皮だけ太股と繋がった状態で落下した。
「いっ、ぎゃああああああああああああ!」
 生前の、死ぬ直前の記憶を呼び起され、足を失った激痛の記憶が心を焼ていく。目を赤くして地面
をのたうち回る雅乃を見下ろし、アペカは正確に宣告を続ける。
「最初の車に足を潰された貴女は、続いて、後続のトラックにも轢かれたとか?」
 ボンと巨大な泡が爆ぜたような音を立てて、雅乃の腹部は引き裂かれて皮を剥ぎ取られ、内臓を
瀧のように垂らしながら、腰が砕けて上半身が前後で半回転してしまう。涙目で苦悶を訴える顔は、
吐血が飛び散って赤黒く汚れていた。全身が痙攣し、手はぴくりとも動かない。
「…………ぁ、はぁ……やめ、て……おもい、だしたく……ないの……あんな、くるしいの……だれ
も、たすけて……くれなくて……いたくて、いきが……できなくて……やあ、ぁ……!」
 瀕死の姿になった雅乃は、苦しみから逃れたい一心で、アペカの足にすがりつく。
 必死に忘れようとしていた、死ぬ直前の数分間の記憶。
 それを呼び起された少女は、足を失い、腹が裂けて腰が砕けた状態で、当時の激痛と呼吸困難に
耐えながら、元気だったころの自分を思い出そうと記憶を振り絞る。事故直後も、数ヶ月かけて彼女
は、事故死したままの姿から、元気な姿を取り戻したのだから。しかし、
「ごめんなさいね。これも、聖界フィルールを創るためだから」
 無邪気に微笑んだアペカの顔の、さらに上空。
 そこには、まるで、巨大な黒い星が落下してきた、と錯覚するような暗黒色の球体が、視界に入る
夜空の端から端までを、ほぼ覆い尽くしていた。大きいなどというレベルではない。そこらの山の何
十倍、何百倍はある。都市の10や20を、軽く押し潰せるようなサイズだった。
 つい数秒前までは、曇り気味の夜空が広がっていたが、今や正体不明の球体で覆われている。ま
るで、空が巨大な鍋蓋に変わって、自分たちの居場所を閉じようとしているかのように。

297 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:51:35 ID:EJ6EaEzW]
「な………なに………!? あれ……」
 目を見開いた雅乃の顔に、黒い影がさした。藤村と、取り巻きの瓶底眼鏡の男女だった。
 しかし、彼らは眼鏡を触りながら雅乃を観察するだけで、助けようとはしない。生きたまま動物を解
剖して、その反応を好奇心半分、探究半分で見ているかのよう。
「これが、死亡時の姿ですか」「大抵の魂は、死亡時の姿のままなのですけどね」
 半壊した人体を前にして、平静でいられる者といえば医療関係者ぐらいだろう。しかし、彼らは医者
ではなく、単純に頭の螺子が飛んだ狂人にしか思えなかった。
 アペカは邪悪な笑みを浮かべて、巨大な頭をゆっくりと動かして言った。

「貴女にも視えるようにいたしました。あれが、聖界フィルール」

「我ら、『叡智の冠』が構築した、世界を変える魔法」

 藤村と、アペカと、その取り巻きたちは、まるで神を崇めているかのように、上空の巨大な暗黒球
体を見上げて歓喜の声を上げる。涙も混じる感動の声が、幾重にも重なり、闇に木霊する。
 聖界と呼ばれた暗黒球体からは、まるで毛糸球を解くように黒い触手が現れて、夜の闇に根を張
るように広がっていく。それらは同時にピタリと静止し、次の瞬間、雅乃の肢体に殺到してきた。
「ぎゃああああああああっ………!」
 黒い触手が、雅乃の手足や破れた腹を雁字搦めにする。そして、凄まじい力で上空に吊り上げら
れた。彼女は助けを求めるように、地上に向けて必死に手を伸ばしたまま、空に消える。
「貴女の苦痛、貴女の苦悶、貴女の地獄、私たちが利用させていただくわ」
 藤村は、悲鳴を追いかけるように、再び空を見上げた。
 そこには、星の少ない、普通の夜空が広がっているだけだった。



298 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:54:05 ID:EJ6EaEzW]

 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 『叡智の冠』の総本山では、今日も実験が行われていた。
 電話ボックスサイズの箱に少女を押し込め、数日に渡り数十パターンの音楽を連続して聴かせ、
数百パターンの発光を眼前で行い、刺激を与え続ける……それが実験の内容である。
 話しているのは、教団の幹部である藤村と、アペカだった。
「要するに、一度まず発狂しちゃえば、もう発狂はしようがないのよ。決して元に戻ることは無い代わ
りに、それ以上の反応も起きることは無いの。これは使えるって思ったわ」
 藤村が微笑みながら、アペカに説明する。
「つまり……拷問で発狂しないように、先に発狂させておくと?」
「そのとおり。長時間にわたり、聴覚と視覚から刺激を与え続け、脳に発狂状態を引き起こす。彼女
たちの人格に影響を及ぼさないようにね。直接脳味噌を弄くるわけではなくて、あくまで、環境変化
への自発的な適応を促すものなのよ。言うなれば、予防接種ね」
「……それで、結果は?」
「これまで、全身に針を800本も打ち込めば、大抵の子は発狂していたわ。だけど、この処置を施して
からは発狂者ゼロ。まあ、既に発狂しているわけだから、正確な表現ではないけれど」
 おぞましい実験の内容を嬉々として語りながら、藤村は口元を歪める。
「でも、その娘。その後にすぐショック死しちゃったのよね」
「じゃあ役に立ちません。その程度の苦痛は、もう山のように集めてありますもの」
 アペカの手のひらには、お手玉サイズの、暗黒色の球体が浮いていた。
「ふむ。やはり、狂わないだけではなく、死なないようにする方法が必要なのよね……」
 藤村の表情は困っているようにも見えるが、
 それよりも、更なる探究への喜びが勝っているように見えた。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

299 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:55:46 ID:EJ6EaEzW]
「というわけで、彼女たちの精神は苦痛に対して、特殊な耐性があるのです」
 藤村の笑顔で語った説明内容を反芻して、雪菜は蒼白になりながら言葉を搾り出そうとする。発狂
するのを防ぐために、最初から発狂させてありました、などと説明を受けて、素直に受け入れること
などできるはずがない。淡々と語られたおぞましい実験に、背筋が寒くなる。
 確かに、精神の変異を防ごうとすれば、直接脳味噌を弄くるか、もしくは、音や光などの外的要因
で間接的に処理をするかの方法しかない。少なくとも、雪菜は他に思いつかなかった。
 藤村の使役している蟲が、苦痛や恐怖により分泌される脳内物質を餌にしているからには、餌を
生産する脳味噌を直接弄ることで、感じる苦痛を減少させるような処理はできないはずである。
 ならば方法は限定されるが。しかし、
「山を歩いてた娘たちには、少しおかしくなっているのも、いたと思うけれど……」
「勿論、完璧に確立された方法ではありませんが、極度の飢えや疲労、それに化膿による発熱で思
考能力が減衰するのは、発狂とは異なる現象です。」

「たっ! 助けてえええっ!」

 藤村と雪菜が振り返ると、そこには全身に切り傷ができた少女が、息を切らしてヒザをついてい
た。乳房は胸から剥がされており、赤黒い肉から腹に無数の血川が伝っている。
 背後には、昆虫の翅を生やした子供たちが迫ってきていた。他の少女たちが、されるが侭に怪物
たちに食われている中、どうやら少女だけは、彼らに噛まれながらも逃げてきたようだった。
「貴女は相変わらず元気ですね。詩帆さん」
「ふっ、藤村先生! 助けて! 私は、イヤです! こんな、食べられるなんて!」
「もう、貴女はお弁当だって言ったでしょう。ほら、千緒ちゃんを見習いなさい」

300 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:57:08 ID:EJ6EaEzW]
 笑顔で彼方を指差した藤村の姿を見て、詩帆と呼ばれた少女は顔に絶望と恐怖を浮かべながら、
そちらを見てしまう。千緒というのは、先ほど乳房を食われた傷を処置しようとして、チョウチョウの化
物である子供たちに襲われ、頭にストローを刺されて体液を吸われていた少女である。
「千緒………」
 ぎこちなく首を曲げた先には、チョウチョウの翅を生やした子供が蠢いていた。毒々しい翅の模様
が重なり合い、それが10匹も集結してうぞうぞと重なり合い、異様な塊をなしている。
 そして、翅の隙間から、襲われている少女の姿がちらりと見える。
「ひっ! いやあああああああっ! 千緒ぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 詩帆が最後に見た彼女の姿は、苦痛に歪みながらも、微かに希望の光を灯していた。その後で顔
中をストローで刺されていたが、それは一瞬だけで、夢のような印象しかなかった。
(ほ、本当……? 私たち、助かるの……?)
 苦痛の中で浮かべた、彼女の表情が、何度も何度も脳内で再生される。
「ごぼっ! げぼっ! がぼっ! ごほっ!」
 千緒は、巨大な針に近いストローを何本も生やし、目や鼻が刺し潰されて平坦となった顔を苦悶に
歪め、頬が裂けて歯茎が露出した顔から、血の塊を吐き出していた。繋がるストローからは赤く濁っ
た体液が吸い出されており、顔の中身を食われているのは疑いようがない。
 乳房が剥がれた胸板や背中にも、ブスブスと音を立てて、ストローが刺されては抜かれ、刺されて
は抜かれを繰り返されており、腹部から背中まで刺し傷だらけだった。美味な部分を探しているのだ
ろうが、刺され続けた千緒の胴体は穴だらけで、ワイン樽のように赤い液体を流し続けている。
 チョウチョウの化物たちは、くるんと渦を巻いたストローを槍のように伸ばし、彼女の肌に突き刺し、
体液を数滴ずつ、飴を舐めるような緩慢さで吸い取っていく。最早、彼女を苦しめるだけ苦しめて食
らい尽くそうとする悪意は明白で、それはただ嬲り殺しにしているだけだった。

301 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:58:28 ID:EJ6EaEzW]
「ごぼぼぼぼ! がぼっ! ごぼごぼごぼっ!」
 力無くばたついた手足は、最後の抵抗だった。千緒は、全身の体液を吸い出される激痛から逃れ
ようと、最期の力を振り絞って怪物たちを追い払おうとしている。肩や手のひらをストローが次々と刺
し貫いていくが、彼女は抵抗することを止めようとしない。
「ごぼがぼげぼごぼごぼごぼぼぼ!」
 血液やら脂肪やら、内臓の分泌液やらを全身の穴から噴き出しながら、千声ならぬ声で絶叫す
る。彼女も、フィルール・スター・ナイツを目指した少女の一人。怪物のお弁当と化した自分の運命
に、納得しているはずがない。彼女の誇りと信仰の深さがそれを許さないだろう。
「や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛! も゛う゛や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!」
 千緒の惨状に耐え切れなくなった詩帆は、喉が破れんばかりに絶叫した。
 呼応するように、鉤爪を生やした半分トカゲの女性と、果実のように垂れた3つの頭部を持つ少年
が、手足を暴れさせる千緒に近づいていく。そしてチョウチョウ人間たちを押しのけて集団に入り、死
に物狂いで暴れる彼女の手足を押さえつけた。少女の小さな肢体が、ビクリと震える。
 トカゲ女は、鍵爪を千緒の左肩にそっとかけると、まるでノコギリで丸太を挽くように、前後に擦り始
めた。3頭の少年も、まるで土中の野菜を抜くような仕草で、千緒の右肩に手をかけ、そのまま肩の
構造を無視して、力任せに捻り始める。何れも、彼女の抵抗を捻じ伏せる怪力で。
 ゴリゴリと骨を削る音と、 グチグチと骨と肉が捩れる音が響き渡る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――――!!」
 腕が切断される音と、腕が抜ける音が同時だった。
 ぶちんと音を立てて、彼女の右腕は、肩から抜け落ちた。ごりごりと摩擦を立てて、彼女の左腕
は、骨の断面を残して取り除かれた。小さな肩が、痙攣しながら胴体に残っただけだった。

302 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/10/11(月) 23:59:33 ID:EJ6EaEzW]
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ!」
 腕を引き抜かれ、切断され、肩の断面から血を吹きながら、千緒は既に原型を留めぬ顔で絶叫に
絶叫を繰り返した。顔から胸に、腰から腹に、前後左右からチョウチョウのストローが耕すように刺し
貫いて、雀の涙ほどの体液を吸い出していく。
 両腕を失った彼女は、突き刺されたストローに支えられて倒れることもできず、腕がないので防ぐこ
ともできない。ヒザを折った姿勢のまま、全身を刺されて、吸われて、血肉の塊に変えられていく。股
間から漏れ出した小水と大便が足を伝って、地溜まりにゆっくりと山をなした。
 切り離された両腕は、それぞれの怪物の餌となっていた。トカゲ女は彼女の腕を、切断面からボリ
ボリと生野菜のように齧っていたし、3頭の少年は指を咥えてコリコリとしゃぶっている。
「………………が、ぁ………ぁ、ぁぁ………」
 彼女は顔を見るも無残に耕され、かつての愛らしい面影は微塵もない。両肩から半透明の触手を
伸ばした小太りの男が、彼女の頭皮に張り付いた髪を掴みあげると、血肉と骨の残骸が飛び出した
頭部の、眼窩や鼻腔だった穴、そして頬まで広がった口から、粘り気のある血がどろりと零れた。
 しかし、彼女は生きたまま食われる激痛に苦しみながらも、しっかりと生きていた。
「千………緒………」
 詩帆は蒼白を通り越して、得体の知れない者を見る目に変わっていた。それは勿論、雪菜と同じ
疑問を抱いたからだろう。なぜ千緒は、そこまで貪られて、死ねないのだろう?
「うっふふふふふ。どうして生きていられるか? そう思ったでしょう!?」
 藤村は破顔しながら、両手を首にあてて、肩を激しく揺らし始める。
「それは、この私の、奇跡的な出会いと、大発見の成果! うふふのふふっ! 死なないんですよ!
ここまでやっても、この娘たち! すごいでしょうううううう! きゃひひひひひひひっ!!」

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

303 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/12(火) 00:00:15 ID:EJ6EaEzW]
済みませんが、もうしばらく前フリが続きます。
ではまた。

304 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/12(火) 22:36:12 ID:L9ZzRJX1]
今回も読むと心に影を落としそうになるほどの迫力ある文章(ほめ言葉で)
何気にすごい大作だと思う

305 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/13(水) 03:51:54 ID:tgxofSdn]
ようやく規制解除された…
次の規制までに何か投下できたらいいな俺

306 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/14(木) 13:39:30 ID:/lxBZffM]
期待!

307 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/14(木) 21:50:14 ID:kR/P0h7J]
>>303
4話くらい立て続けに見た。すごい面白いですGJ!
捕食描写もだけど物語の骨子も楽しいです。



308 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/17(日) 14:05:12 ID:a4z+qtg8]
ベェーカリィーの『丸呑み』をプレイして覚醒して来たんだが、素晴らしいジャンルだな、丸呑み。
とりあえずpixivで画像漁ってるけど、何かお勧めの作品や、まとめサイトのお勧め作品って教えて貰えないか?

309 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/17(日) 14:27:44 ID:OYQY1ZJs]
丸呑みデータベース
リョナ2板
あたりかな

310 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/10/20(水) 15:14:19 ID:KKwolzhO]
同人ゲームでよければD-gateなんかは良い

311 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/01(月) 15:01:53 ID:3pirpXbs]
やっぱり18号吸収シーンは神だな
Z当時よりも喘ぎ声がガチになってるw

312 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/05(金) 15:09:31 ID:3obsvF5C]
エデンの檻の中学生捕食シーンはオススメ

313 名前:名無しさん@ピンキー [2010/11/05(金) 23:06:58 ID:apjd2Em7]
>>312

詳しく教えてください

314 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/06(土) 10:37:05 ID:9FTlO+TA]
>>313
少年マガジンに連載中の漫画
無人島でのサバイバルモノなんだが、
島には何故か絶滅した猛獣たちが住み着いていて、女子中学生が捕食とかされちゃう

315 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/08(月) 21:44:47 ID:n6ipuwnW]
>>312
あったか?捕食シーン

316 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/09(火) 00:11:00 ID:31iaVNBZ]
ちょこっとしかないな。
直接的な描写は期待出来ないかも。

317 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/11(木) 22:46:58 ID:WChTbJLm]
>>314
今週号でまた喰われただのなんだのと出てきたな。

捕食シーンは一切無し。
ただ突然グループのメンバー
(生き延びるためいくつかグループを作ってる)
が消える現象が勃発

グループのブレインが「喰われる」とか発言したが詳細は来週待ち。



318 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/13(土) 20:20:44 ID:eOSD4nuD]
奴隷を性的な用途に使うか魔物の餌にするかを選ぶ暴君の話はどうだろう
奴隷は性の知識も乏しいのに淫らに誘惑してくる
選考の後は選ばれなかった娘達の末路を見ながら

319 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/15(月) 14:48:14 ID:NEMI0uG9]
この手のスレがエロパロ板にしかないのが悲しい
ニッチすぎるのかなぁ

320 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/15(月) 18:44:25 ID:BScNVU3D]
ほかの拠点も作りたいものだけど
何せ人口が少ないから細々とやっていくしかないよ

321 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−1 [2010/11/17(水) 12:05:04 ID:qOtcxOYA]
「いやああ!!助けて!!助け・・・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょちょちょちょちょ・・・
悲鳴は途中できられ、また一人の女子大生がスライム系の怪物の餌食となった。
このスライムは、生物の肉体を丸ごと吸収し、栄養分としている。
また、個体ごとに好みが違うらしく、この個体は人間の若い女を好む。
そして相手を油断させるために普段は人間に擬態しているのである。
いつも吸収した相手をすぐさま養分とするわけではない。
時には体内に保存し、時にはいったん排出し、さまざまなことに用いるのである。

「ぐふふふ・・・昨日は女子大生を一人頂いたから、
今日は女子高生を犯して、吸収しちまいたいなあ〜 ぐひひひ・・・」
彼はスライム状の肉体を活かし、あちこちを物色していった。
あまり人気がなく、そしてなおかつターゲットがいるところを探している。
「見〜つけた〜!!」と同時にその少女の目の前に降り立ち、
今、まさに女子高生が人気のない裏路地で男に襲われようとしていた。
少女のほうにゆっくり歩いてきて・・・「えっ!」
「服などという不純物まで吸収するわけにはいかないな・・・ぐひひひ」
少女は服の裾をつかまられた瞬間、自分が置かれた状況を理解した。
「い、いやあ!!やめて!!あああっ!!」
少女の制服は男の手によって強引に破り捨てられ、下着姿となった。
「い・・・いやあ・・・」 (な、なに・・・変態!?)
逃げようとしたが、男の力は強く
次の瞬間には、男の手が黒色のブラとパンツに伸び、
「いやああ!やめてえ!お願い!!」(あたしの初めてはあの人にって決めてるのに!!)
やはり剥ぎ取ってしまった。 そのたわわな胸があらわとなる。
履いていた靴も靴下も奪われ、まだ穢れを知らぬ、その白く美しい裸体を晒すこととなった。

そして突然、男の体が崩れ、ピンク色がかかったスライムへと変貌していった。
彼女は腰を抜かし、その場に座り込み、胸は手で隠した。
「あ、あたしをどうするつもりなの・・・」
恐怖と羞恥が入り混じった表情と仕草、そして声がスライムを興奮させた。
「お前の体を吸収し、栄養分とする。安心しろ、痛いことはない。優しく吸収してやる」
「な、なんで、あたしなの・・・」
「女が私の好物だ。特にお前のような若いやつはな・・・・」
じりじりとスライムは迫ってくる・・・
「ほう・・・よく見るとなかなか、いい体をしているな。
腰はほどよくくびれ、胸は大きすぎず、そして美しい白い肌。顔もかわいいではないか。これは吸収しがいがある」
実際に今まで言われたことのない言葉に顔を赤らめつつも、
「い、いやあ・・・来ないで・・・・」
彼女も少しずつ後ろに下がる

だが無情にもスライムは食事を開始した。
大きなスライムの塊から触手のように伸び、逃げられぬよう、お腹の辺りに巻きついた 。
べちょっ!!「きゃあ!!」
巻きついた後、彼女の背後に大きく展開し、今にも飲み込まんばかりだ。

彼女の自由を奪うために、手足にスライムが触手のように伸び、
肌を舐めまわすように蠢き、巻きついてゆく。
「いやあああ!!誰か!助けてぇぇ!!」
(な、なにこれ!?ガムみたいにネバネバして離れない・・・)
張りつけられたように彼女は身動きが取れなくなった。


322 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−2 [2010/11/17(水) 12:06:19 ID:qOtcxOYA]
そしてスライムは、巻き取った彼女の足を包み込み、激しい蠕動を開始した。
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ・・・
「きゃああ!!やめてえええ!!放してええ!!」
スライムは彼女の足をぐちゃぐちゃとマッサージのように揉み解す。
振りほどこうと足を動かそうとするが、逃れられない。
彼女の抵抗もむなしく、スライムは彼女の体を侵し、細胞レベルで融合しながら、徐々に体の上のほうへ上がっていく
(あ、足の感覚が・・・わからない・・・)
彼女の足はスライムと同化していた。
もはや、どう足掻こうと助かることはない。

スライムはまだ穢れを知らぬその陰部にへ魔手を伸ばす。
同時にスライムの触手は彼女の豊満な胸へも伸び、下着のように包み込む。
「い・・いや・・・ああ・・く・・ぅん・・・はああ・・・」
(ああ・・・そ、そこは・・・)
彼女は顔を赤らめ、今までにもらしたことのないような声を出す。
(こいつ処女だな、最高だな!じゃあ、ゆっくり味わってやる)
最初は優しくなでるように刺激する。乳首にも刺激を与え、やがて胸を揉みはじめる。
(うっはwwwこのおっぱい柔らかいwww)
「い、いやあ・・・あぁん・・・や、やめ・・・ふぅあ・・・」
その様は、さながら性交の前戯のようである。
内側からも吸収するため、挿入するようにスライムは彼女の中に進入していく。
くちゅくちゅくちゅくちゅ
「んんん・・・あ・・・あああ・・・」
そして、スライムは彼女の陰部と胸を攻め、吸収し始めた。

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
「きゃああ!!あ、ああ!!んん!んあああん!!」
(気持ちいい・・・こんなの・・・初めてぇ・・・)
最初は吸収される恐怖からあげていた悲鳴が、喘ぎ声へと変わっていった。
「はあっ!!ああ!!ああん!あっあっあっあァあぁん!!んん!んあああん!!」
彼女の体は、犯され侵されていく・・・
胸の前で腕を十字に組み、その体を揺らし、悶える。
スライムは彼女の体を吸収しつつ、少しずつ上がってゆく。
腰が飲まれ、次はくびれの美しいウエストへ・・・
「あっあん!あっあぁァん!!あっあっあっあァあぁん!!あァん!あン!!
(ああ・・・もうだめえ・・・あたしおかしくなっちゃうよぅ・・・・)
彼女はその快感に身を堕としてゆく・・・・

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
「あ・・ああ・・ん・・ああん・・・ああ・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
次第に彼女は弱っていく・・・・
「あ・・ああ・・あ・あ・・・あ・・・あああ・・いや・・・あああ・・ああ・・・あ・・・・ん・・」
くちゅくちゅぐちょぐちょぐちゃぐちゃ・・・
かわいらしい喘ぎと、彼女を揉みこむ卑猥な音だけが響く・・・
その表情に恐怖感はなく、恍惚としていた

スライムは仕上げへと取り掛かった。
彼女を完全に吸収すべく、スライムが伸び、彼女の口へと進入していった。
「んんん・・・んん・・」


323 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン1−3 [2010/11/17(水) 12:07:27 ID:qOtcxOYA]
口内を侵される不快感に、彼女は体を激しく揺らした。
スライムに包まれているが、まだ吸収はされていない彼女の豊満な胸も揺れる。
(もう少しこのおっぱいを堪能しよう)
ぐちょぐちょぐちょぐちょ
「んん・・・んんん・・・」
やがて彼女の胸も吸収された・・・

ズブ、ズブブブブ・・・・
胸から上を残すばかりとなった彼女の体がスライムの中に沈んでいく ・・・
(もう・・・らめぇ・・・)
スライムに飲み込まれ、視界は闇に包まれたが、不思議なことに呼吸はできた。
やがて彼女は目を閉じた・・・
ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
彼女が見えなくなった後、これまで以上にスライムは激しく蠕動する。
完全に彼女は吸収され、残ったのは破られた彼女の衣服のみ・・・・・・

スライムはまた、人型になっていた。
「グフフフ!!最高だった」
だがそこにさらにもう一人女子高生が・・・
「あ、ああ・・・・」どうやら現場を見てしまったようだ
「ぐふふふ・・・今日は最高だ!!もう一人いただきま〜す!!」
「い、いやあああああああ!!」
ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ・・・


324 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−1 [2010/11/17(水) 12:08:22 ID:qOtcxOYA]
「いやああ!!助けて!!助け・・・・」ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょちょちょちょちょ・・・
悲鳴は途中できられ、また一人の女子大生がスライム系の怪物の餌食となった。
このスライムは、生物の肉体を丸ごと吸収し、栄養分としている。
また、個体ごとに好みが違うらしく、この個体は人間の若い女を好む。
そして相手を油断させるために普段は人間に擬態しているのである。
いつも吸収した相手をすぐさま養分とするわけではない。
時には体内に保存し、時にはいったん排出し、さまざまなことに用いるのである。

「ぐふふふ・・・昨日は女子大生を一人頂いたから、
今日は女子高生を犯して、吸収しちまいたいなあ〜 ぐひひひ・・・」
彼はスライム状の肉体を活かし、あちこちを物色していった。
あまり人気がなく、そしてなおかつターゲットがいるところを探している。
「見〜つけた〜!!」と同時にその少女の目の前に降り立ち、
今、まさに女子高生が人気のない裏路地で男に襲われようとしていた。

「えっ!」突然あたしの前に男の人が降りてきた。
少女のほうにゆっくり歩いてきて・・・
「服などという不純物まで吸収するわけにはいかないな・・・ぐひひひ」
少女は服の裾をつかまられた瞬間、自分が置かれた状況を理解した。
「い、いやあ!!やめて!!あああっ!!」
少女の制服は男の手によって強引に破り捨てられ、下着姿となった。
「い・・・いやあ・・・」 (な、なに・・・変態!?)
逃げようとしたが、男の力は強く
次の瞬間には、男の手が黒色のブラとパンツに伸び、
「いやああ!やめてえ!お願い!!」(あたしの初めてはあの人にって決めてるのに!!)
やはり剥ぎ取ってしまった。 そのたわわな胸があらわとなる。
履いていた靴も靴下も奪われ、まだ穢れを知らぬ、その白く美しい裸体を晒すこととなった。

そして突然、男の体が崩れ、ピンク色がかかったスライムへと変貌していった。
彼女は腰を抜かし、その場に座り込み、胸は手で隠した。
「あ、あたしをどうするつもりなの・・・」
恐怖と羞恥が入り混じった表情と仕草、そして声がスライムを興奮させた。
「お前の体を吸収ししてやる。安心しろ、痛いことはない。優しく吸収してやる」キリッ
吸収!!!!そう聞き彼女の目が輝きだした。
「吸収って、あの、全身を包んで、ぐちゃぐちゃと・・・・」
「なぜ、私の栄養補給法を知っている・・・そう、私は体を半液状化させ、体を丸ごと取り込むのだ。
何百年もそうしてきた。どうした、怖くなったか?」キリッ
(うれしいわwwwあたし吸収願望があるのよね)

325 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−2 [2010/11/17(水) 12:09:29 ID:qOtcxOYA]
「ほう・・・よく見るとなかなか、いい体をしているな。
腰はほどよくくびれ、胸は大きすぎず、そして美しい白い肌。
顔もかわいいではないか。これは吸収しがいがある」 (ぐひひひ、やべーtinkたつwww)
実際に今まで言われたことのない言葉に顔を赤らめつつ、
「いいよ・・・あたし、あなたとひとつになってあげる・・・
あたし、スライムのようなものに吸収されるのが夢だったの・・・
きっと気持ちいいんだよね・・・ねえ、お願い気持ちよくさせて・・・」
その言葉に男は興奮した。胸を隠しながら、上目づかい、涙目にも。
やがて少女は立ち上がり、手を広げ・・・
「来て・・・」
「うっはwwwもう我慢できねえええ!!いただきま〜す」

ああ・・・これから私、吸収されるんだ・・・・
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐ
彼は元の姿に戻り、少女へと、その魔手を伸ばした。
まずは彼女を逃がさないように足を包み込んだ
「あああ!!!!」(思ったよりあったかい・・・)
スライムはぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てながら、彼女の足を揉み解す。
(気持ちいい・・・)
ためしに彼女は足をスライムから引っこ抜こうとしたが、自分の足とスライムの境目が分からなくなっていた。
「これが、吸収・・・」
たいていの女性は、こいつに襲われるとまず悲鳴を上げ続け激しく抵抗する。
やがてスライムが女性の性的に感じる部分を吸収し始めると、恐怖と喘ぎが入り混じった悲鳴となる。
セックスと同じような刺激を与え、徐々に自由を奪うのだ。
ついにはあきらめ、スライムに身を任せ、絶望と快楽とともにスライムの中に消えてゆくのだ。
しかし、特殊な性癖を持つ彼女はこの状況を楽しんでいた。
「ああ、ゆっくり味わって吸収して・・・あたしを気持ちよくさせて・・・」



326 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−3 [2010/11/17(水) 12:12:13 ID:qOtcxOYA]
やがてまだ穢れを知らぬその陰部にへ魔手を伸ばす。
同時にスライムは触手のように伸び、彼女の豊満な胸を下着のように包み込む。
「い・・いや・・・ああ・・く・・ぅん・・・はああ・・・」
(ああ・・・そ、そこは・・・)
彼女は顔を赤らめ、今までにもらしたことのないような声を出す。
(こいつ処女だな、最高だな!じゃあ、ゆっくり味わってやる)
最初は優しくなでるように刺激する。
その様は、さながら性交の前戯のようである。乳首にも刺激を与え、やがて胸を揉みはじめる。
(うっはwwwこのおっぱい柔らかいwww)
「はあはあ・・・」
彼女の腕は自然とスライムに包まれた胸に伸び、自らも揉み始めた・・・
(あ・・・あああ・・・気持ちよすぎるよぅ・・・・)
「まだまだ是からが本番だぜぃ。」
内側からも吸収するため、挿入するようにスライムは彼女の中に進入していく。
くちゅくちゅくちゅくちゅ
「んんん・・・あ・・・あああ・・・」
そして、スライムは彼女の陰部と胸を攻め、吸収し始めた。

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
「きゃああ!!あ、ああ!!んん!んあああん!!」
(気持ちいい・・・こんなの・・・初めてぇ・・・)
彼女はその快感に身を堕としてゆく・・・・
「はあっ!!ああ!!ああん!あっあっあっあァあぁん!!んん!んあああん!!」
彼女の体は、犯され侵されていく・・・
「あ・・・ああ・・私の体が、スライムと同化していく・・・・・」
彼女の体に巻きつくように広がり、同化していく
その快感により、彼女の手は胸を離れ、完全にスライムにその身を任せた形となった。
「うわあああwwwこいついい!!最高の餌、最高の女だ!!」
「あっあん!あっあぁァん!!あっあっあっあァあぁん!!あァん!あン!!
(気持ちいい!!うれしいわ!夢がかなっ・・あん!!きゃん!!)
胸の前で腕を十字に組み、その体を揺らし、悶える。
スライムは彼女の体を吸収しつつ、少しずつ上がってゆく。
腰が飲まれ、次はくびれの美しいウエストへ・・・




327 名前:昔作った奴をてきとーにいじった奴パターン2−4 [2010/11/17(水) 12:12:43 ID:qOtcxOYA]
次第に彼女は弱ってゆく・・・・
「あ・・・ああん・・・あ・・・ああ・・・あん・・・」
(あぁ・・・私、吸収され・ぁぁん・・・いるんだ・・この人のんんぁぁん・・・体の一部になってるんだ・・・)
かわいらしい喘ぎと、彼女を揉みこむ卑猥な音だけが響く・・・
その表情に恐怖感はなく、恍惚としていた

スライムは仕上げへと取り掛かった。
彼女を完全に吸収すべく、スライムが伸び、彼女の口へと進入していった。「んんん・・・んん・・」
彼女は体を激しく揺らした。
スライムに包まれて入るが、まだ吸収はされていない彼女の豊満な胸も揺れる。
(もう少しこのおっぱいを堪能しよう)
ぐちょぐちょぐちょぐちょ
「はあ・・・あああ・・・」
やがて彼女の胸も吸収された・・・

ズブ、ズブブブブ・・・・
胸から上を残すばかりとなった彼女の体がスライムの中に沈んでいく・・・
彼女の体が完全に飲み込まれようとしていた。
(ああん・・・もう終わり?・・・もっと・・・もっと、ちょうだい・・・)
スライムに飲み込まれ、視界は闇に包まれたが、不思議なことに呼吸はできた。
やがて彼女は目を閉じた・・・

ぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょぐちょ
彼女が見えなくなった後、これまで以上にスライムは激しく蠕動する。
完全に彼女は吸収され、残ったのは破られた彼女の衣服のみ・・・・・・




328 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/17(水) 21:48:44 ID:u7C2b0HZ]
全身吸収ものバンザイ!

329 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/18(木) 01:14:22 ID:GmSilb0s]
たまには吸収も良いね。捕食者とヒ捕食者が会話してるのが面白かった。

330 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 04:26:52 ID:6gncwAl7]
エロいなあ
こういうの大好きだ

331 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 17:55:40 ID:QRwIj9p2]
そういえば人体転送で、スキャニングするのに物質を脳味噌でもなんでもシュレッダーでスライスして転送先で合成するなんて話があるけど、
吸収する際にそれやって人格や記憶毎コピーしちゃう化物っていないかな?

332 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/22(月) 17:59:51 ID:jkxhbhWQ]
>>331
スタトレの転送機とレプリケーターか
ベルセルク最新刊の「海神」がまさにそれだな

333 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/26(金) 23:14:18 ID:cXFCM4Yc]
>>302の続きを投下します。

334 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:15:14 ID:cXFCM4Yc]
 その日、実験が行われた。
 巨大な怪獣が、全身をバラバラにされて封印された状態で発見されたのが数年前。
 その怪獣の口から採取された蟲がアルコール中で増殖することが確認されたのが数日前。そして
今日、少女たちの肉体にそいつらを植え付けて、時間ごとの変化を観察することになった。
 90度に近い角度で立てられた手術台。
 磔状態に近い姿で、手足を手術台に縛り付けられた全裸の少女。
 そして、その足元からは、ヒルや蛆虫を思わせる蟲の大群が這い上がっていた。
 
 ただ、時間ごとの変化を記録するビデオカメラが。
 無機質な音を立てて動き続ける。

 2時間後、部屋に一人の少女の姿があった。
 肌の色は抜け落ちて紙のように白く、頭は数倍に膨れて宇宙人のよう。ブヨブヨと蠢いている頭皮
の下には、無数の蟲が犇いている。彼女は全身に蟲を取り込み、そのまま生存していた。
 少女は人間の苦痛や恐怖の分泌物を餌とする蟲海の中で、蟲との共生に成功した初めての人間
だった。もっとも、蟲と共生した時点で、内外ともに「人間」ではなくなっていたが。
「お腹空いたなぁ……」
 蟲に適合し、蟲と同じ能力を持つ。
 蟲に適合し、蟲と同じ能力を持ち、蟲と同じく、人間を貪る。
 怪人アペカは、『叡智の冠』総本山から、この世界に産声を上げた。

 …………………………………………
 ………………………

335 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:16:50 ID:cXFCM4Yc]
 その日はとても太陽が眩しく、気温も高い一日となった。
 山を囲んで広がる都市を、ぐるりと見渡せる丘の上で、2人の少女がキャンプ用の折りたたみ椅子
に座っていた。周囲ではスーツ姿の大人たちが慌しく動いており、とてもピクニックに来たような集団
には見えない。人気の無い区域に陣取る大集団は、不気味な雰囲気さえ感じる。
 しかし、この場所はパワースポットとして、一種のマニアには定評のある場所だった。
 年に10以上の集団が怪しい儀式を目的にして訪れており、管理者の行政側も、信教の自由との
兼ね合いもあり、火気を用いなければ、ある程度の集会までは黙認していた。
 宗教団体『叡智の冠』は、隣接する市にある大学のダミーサークル名で、この場所の使用許可を
得ていた。勧誘用の組織とは違い、会場の予約やイベントの使用許可などを取る際に用いている団
体なので、宗教絡みの組織とは思われておらず、手続きは滞りなく完了していた。
 それは都市に未曾有の災いをもたらす。
 しかし、そんなことを、この時点では誰も意識していない。
「へえ、アペカ様は、最初はご両親と一緒に教団に入ったのですか。ご両親そろって、というのは、
最近では珍しくなりましたけれど、アペカ様の時代はまだ多かったんですか?」
「過渡期でしたね。教団から子供を奪おうとして、訴訟が多く起こされていた時期です。当時は今ほ
どマスコミ対策をしていませんでしたから、新聞などで大きく教団批判の記事が出ていました」
「ああ、たまに聞かされます。当時のドタバタは」
「今では、落ち着きました。ネットでは、「日本7大カルトの4番手」なんて呼ばれて批判されてますけ
れど、失礼してしまいます。私たちが、頭のおかしい集団の中堅だって言うんですよ」
「頭がおかしいのはどっちだって話ですよね」
 特注品の大きな麦藁帽子をかぶったアペカは、藤村の護衛と、他愛ない話をしていた。

336 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:17:21 ID:cXFCM4Yc]
 ピンク色の子供服を纏い、外見は幼女にしか見えないその護衛は、名を樹里という。親から教団
に売られ、素質を認められて「改造」され、人間でなくなった一例だった。
 300年の歴史の中で、組織の姿を変えながら存続してきた『叡智の冠』は、その過程で、人々から
異形や妖怪と恐れられた怪物の類を、組織に招き入れていた。そして、怪物から得られる、図鑑の
存在しない生態系は、医学の進歩とともに、独自の生物学として教団内で確立されていった。
 人間を異生物に変異させる方法。
 人間に異生物の組織を移植して寿命を延ばす方法。
 異性物と交配させて子孫を造る方法。
 いずれも、現在の法律には何かしら抵触するような内容ばかり。
 教団で、それらの知見を統括するポストにいたのは、藤村という熱狂的な女性研究者だった。その
護衛は、彼女が直に改造を行ない、人間で無くなった者が多くいる。
 首から下がゴリラの肉体に変化した森村、1メートル近い鉤爪を生やした半分トカゲの藤木、両肩
から半透明の触手を伸ばす小太りの樋口、果実のように垂れた3つの頭部を持つ丹羽……。
 皆、藤村の教え子で、彼女が改造して怪物となった者たちである。特に人間の肉を好んで食う嗜
好があるが、それは怪物の組織を取り込んだ副作用だった。眼前の樹里は、単純に「草食」「肉食」
のカテゴリではくくれないが、彼女もやはり、人間と同じ食物で生きているわけではない。
 最初、彼らは皆、人間に近い嗜好を残していた。
 しかし、人間の肉を食べているうちに、精神さえ人間から乖離していった。
 人間を食料としか見れなくなり、自分のことも人間だと見れなくなった。皮肉なことに、人間の肉を
摂取するほど、彼らの中で人間の心は消えていき、ついに無くなってしまった。

337 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:17:48 ID:cXFCM4Yc]
「アペカ様、こちらをどうぞ。藤村先生のお気に入りですよ」
 樹里はぎこちない手つきでアイスクリームの袋を開くと、カップアイスを銀色のスプーンといっしょに
アペカに差し出してきた。海外の有名洋菓子店から取り寄せている一級品である。
「うん、ありがとう」
 カップを手に持つと、アペカの手の感覚を、冷気が優しく奪い去っていった。
 白いアイスの表面をスプーンで削ぎ取り、ぱくりと口に運ぶ。
 冷たい塊が舌の上でみるみる溶けていき、ほんのりとした甘みが口内に広がっていく。しかし、甘
みはしつこいものではなく、一瞬で喉を通り抜けていくので、すぐに次の一口を食べたくなった。
「驚きました。どんなゲテモノかと思ったけれど、このアイス、美味しい」
「先生は少々特殊な嗜好の持ち主ですけれど、味覚は普通だと思います……」
 アペカはスプーンでアイスをすくい、再び口に運ぼうとしたところで、手が止まる。
「私は」
「はい?」
「本当に、人間でなくなったのだと、改めて思いました」
「アペカ様……?」
「これほど美味しいアイスを食べていても、私の食欲は、やっぱり人間を食べることを求めています。
頭の中にいる蟲と同じように、人間が苦痛や絶望や恐怖を感じた瞬間の分泌物を、お腹一杯になる
まで貪りたいのです。人間が食べたい。人間を思い切り痛めつけて、ズタズタにして、微塵切りにし
て、脳味噌から出るエキスを頬張りたいのです。全身の穴という穴に針を打ち込んで絶叫している
人間の甘い血を、お腹が破れるまで飲み続けたいのです。なのに」



338 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:19:09 ID:cXFCM4Yc]
 アペカの巨大な頭の、皮膚がぶよぶよと蠢いた。
 彼女の頭蓋骨の周囲にびっしりと寄生した蟲が、何かに興奮して暴れている。それがアペカの食
欲に呼応したものだったが、それはまだ、彼女にも分かっていないことだった。
 そして、口から涎を垂らして、人間を求めている彼女の目からは、同じくして大粒の涙がポロポロと
伝い落ちていた。それは自分の欲求に対して、戸惑っているように見える。
 まるで、人間を食べることを是とした自分に、恐怖を覚えているようだった。
「大丈夫です。アペカ様」
 震えるアペカに、樹里は横から腕を回して、優しく抱き寄せた。そして、涙に濡れたアペカの頬を自
分の頬と擦り寄せるようにして、大きな頭をゆっくりと撫ぜながら、語りかける。
「私も生まれ変わってすぐは、とても不安になった時期がありました。食べる物が急に変化したせい
で、心がまだ対応できていないんです。アペカ様も、少し前までは人間だったのですから、同じ人間
を食べて生きていくことで、心に齟齬が生じるのは当然です」
「樹里も、そうだったの……?」
「私も人間を食べますが、それまでと食べるものが全く変わってしまいましたから、自分が何なのか
分からなくなりました。これまでの自分が否定されるようで。とてもとても孤独で。でも、あるときにふ
と気付くのです。これが、本当の自分なのだと。私は、今の私が、本当の私なんです」
 とても優しいが、鋭利な刃物のような色を帯びた樹里の声。
「アペカ様も、もっともっと人間を食べれば、落ち着かれますよ。丹羽さんたちなんて、最近は女性の
方にマヨネーズやドレッシングまでかけるようになって、まるでトマト……」
 アペカはびくりと震えて視線を向けると、樹里は無垢な笑むを浮かべて答えた。そのとき、

「準備完了! 作成開始よ!」

 響き渡ったのは、狂人の叫び声。

339 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:19:48 ID:cXFCM4Yc]
 それは、平穏な時間の、終わり。
 それは、視界に広がる都市の、平和の終焉。
 今日、社会的に人畜無害とされていた宗教団体『叡智の冠』は、仮面を脱ぎ捨て、内部に蓄えて
いた戦力を開放し、都市に対する大規模なテロ攻撃を実行しようとしていた。
 準備を整えた藤村は、無数の護衛を率いて、アペカの前に立つ。
 そして、にっこりと笑った。
 蛇が虚空を泳ぐような髪型と、暗い執念に満ちた目は、もう人間のものにさえ見えないほど変わり
果てていた。内面は既に、人間の側には立っていなかった。
「アペカ、貴女の出番よ?」
 藤村に促され、アペカと樹里は椅子から立ち、準備が終わった広場に向かう。
 元々、教団でも原理主義的な派閥であった藤村派が、他派の反対を押し切る形で行動に出た理
由は、巨大頭の少女、アペカが得ていた能力にあった。
 それは、蟲が持つ能力と、全く同じ能力。
 しかし人間の知性を持った者に宿った瞬間、それは、『叡智の冠』の理想世界を創れる道具に変
化していた。しかし、代償として、アペカ自身は肉体への負荷で、残された時間は少なかった。
 『数年でこの世から消えてしまう、理想の世界を創れる道具』。
 それが、狂信者たちを駆り立てた。
 教団内で信者への教育を主に担当していた藤村の一派は、彼女を巫女と担ぎ上げるや、教典の
中だけの話だった聖界フィルールを現実のものとするため、いち早く動いた。暴走に近い勢いで人
体実験を繰り返して研究成果を上げ、教団内の強硬派を吸収して膨れ上がった。
 『叡智の冠』は、完全に、藤村派とそれ以外に分かれてしまっていた。
 何のことは無い。藤村派は、人を殺せば願いが叶うと言われて、人を殺すことができる集団だっ
た。それ以外は、人を殺すまではできない集団。それはしかし、決定的な差だった。

340 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:20:28 ID:cXFCM4Yc]
「いよいよ、私たちの夢の第一歩ですね」
「…………」
「人類に、叡智の冠を被せることこそ、私の生まれた意味……胸が熱くなります」
 嬉しそうに微笑む樹里の横で、しかしアペカは無言のままだった。
 広場では、藤村の側近の瓶底眼鏡の男女が、スーツケースの封を開けていた。藤村派の中でも
特に狂信的な2人の男女は、既に精神の半分以上を、理想の世界に侵食されていた。
 教団内で研究職にある2人の視界には、既に革変後の世界が広がっているという。
 狂人と呼んで問題の無い領域に達している、危険な存在だった。

 彼らにより、スーツケースから取り出されたもの。

 椰子の実サイズの、青い「種」。
 
 黒く硬い表面に、血管にも見える青い網目模様がかかり、まるで生物の内臓のように微かに鼓動
している。煙のように立つ黒い瘴気が邪悪さを証明しているようで、誰も近寄ろうとはしない。
「これこぞが、今回の私たちの傑作なのです」
 瓶底眼鏡の男が誇らしげに巨大な種を見せびらかすと、瓶底眼鏡の女も「うんうん」と何度も首を
縦に振っている。余程の傑作なのだろう、眼鏡の奥の瞳には、歓喜の涙さえ浮かんでいた。
 多くの人間と異形の肉体を、捏ね繰り回し、切り刻み、弄んで造られた、もの。
 彼らは、それを完成させるまでに、どれだけの命をモルモットにしたのか。
 男は、手から滑らせるように種を地面に落とした。すぐに、女が巨大なジョウロを両手に持ち、落下
した種に水をかけはじめる。まるで花壇に水をやるような仕草だった。

341 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:22:34 ID:cXFCM4Yc]
 放物線を描いて浴びせられる水を受けて、種はまるで震えているように動き始めた。
 そして、地面の中に埋もれていく。
 地中の禍々しい気配は、そのまま都市のほうに向かっていった。
「ずいぶん頼りないサイズだったけれど、期待して良いのかしら?」
 どろりと粘りつくような殺気を帯びた声で、狂信者たちの首魁は微笑んだ。瓶底眼鏡コンビは満面
の笑みを浮かべ、彼女に向けて、頭を地面につける。
「あれが小さいのは、今だけでございます!」
「次に地上に出たときは、とってもデカくなって、強くなっています!」
 地面にひれ伏した眼鏡たちの前で、藤村はにやりと邪悪に微笑んで、眼下の都市を見る。
 そこは、人食い怪物の狩場となる、悲劇の舞台。

 …………………………………………
 ………………………

 地中の中で、そいつは皮を破り、ゆっくりと膨らんでいった。
 体躯が膨張するにしたがって、空腹感もまた、膨れていた。

 …………………………………………
 ………………………

「ん?」
 最初に異変に気付いたのは、偶然その場を通りかかった大学生。
 いつもの道は舗装の修復工事が行われて、通行禁止になっていたので、いつもは通らない路地を
歩いていたところ、アスファルト舗装が数メートルに渡って割れていた。

342 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:23:10 ID:cXFCM4Yc]
 それは、まるで地面の下から何者かに突き上げられたかのように隆起していたが、彼は先ほど見
た工事と関連付けて、ただ舗装が傷んでいる程度にしか感じない。しかし、眼前で音を立てて舗装
が割れ始め、下から巨大な生物が現れたとなっては、仰天する以外には無かった。
「な………なぁ…………なんだ、こいつ!?」
 割れた地面から這い出たのは、全長10メートルはある巨大な肉塊だった。表面は腐敗したキャベ
ツのように黒い薄皮が何枚も重なり、動くとゴムのように柔軟に形を変える脂質体。
 底部は吸盤と柔毛が無数に付いており、それらを器用に動かして移動している。
 声を聞きつけて、近くから多くの人々が集まってきている。元より、道路工事で迂回路として誘導さ
れているこの場所には、普段の数倍の人間が最初から存在していた。
 人々は戸惑いながらも離れて警察に通報したり、携帯電話で写真を撮影したりと反応を見せた。
一部には動画サイトに映像をアップしようと、デジカメを構える準備の良い者までいる。
 小太りの若者がカメラを向け、痩身の男性が後ろに続く。
 そのとき、怪物の表皮がべりべりと破れ、鋭い牙が生えた口が現れた。10メートルの巨体の前半
分に切り込みを入れたかのような大口は、人間ならば顎が外れるレベルまで開かれている。
 怪物の表皮から赤黒い触手が飛び出して、前方の男二人を絡め取り、口に運ぶ。
 悲鳴と絶叫が木霊する中、男たちの上半身が食い千切られ、鮮血が散った。
「くっ、喰いやがったっ! 逃げろ、逃げろおおおっ!」
 最初に異変を発見した大学生は、絶叫しながら走り始める。しかし、高速で伸ばされた触手が、幼
い少女や、通りすがりの主婦といっしょに、彼の身体を巨大な口に引きずり込んでいく。
「離せええっ、止めろおおおっ! くそっ! ウソだろ! こんなのっ!」

 …………………………………………
 ………………………

343 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:24:05 ID:cXFCM4Yc]
「どうですどうです! すごいでしょー! いけーっ! もっと食べて食べてーっ!」
 瓶底眼鏡の女は、目から涙を流して、自分の造った怪物の出来に狂喜していた。地上に現れた怪
物が通るルートをなぞるように、爆発音や黒煙が都市から立ち昇る。
 この後、怪物は繁華街を食い荒らした後、都市の中央にあるショッピングモールを経由して、災害
時の避難場所に指定されている学校の体育館や公園を攻略する予定である。
「あの子の見ている景色は、こちらでも確認することができます!」
 瓶底眼鏡の男は発動発電機をモニターに繋ぎ、スイッチを入れる。
 映されたのは、都市を左右に区切っている国道の様子だった。
 車を乗り捨てて道路に溢れ出し、必死に逃げる人々の姿と、彼らを捉えようと伸ばされる触手が映
し出された。モニターのアンテナには青い蔦が絡んでおり、それは都市で暴れる怪物と、何かしらの
繋がりを持っているようだった。しかし、眼鏡男は、必要ないとばかりに、仕組みは説明しない。
 無数の悲鳴が大音量の合唱となり、地獄のような映像のBGMとなる。
 細い触手が画面を薙ぐたびに、逃げ惑う人々が車ごと吹き飛ばされて鮮血が噴き、触手に捕らえ
られた人々が、画面の下端、ちょうど怪物の口がある位置に、絶叫とともに運ばれていく。
「では、私もはじめましょうか」
 アペカが笑みを浮かべて、都市に向けてゆっくりと歩み出る。
 その上空には、周囲の雲を押し退けるようにして、暗黒色の球体が浮いていた。空の一部を占拠
する巨大物体はしかし、現状ではアペカ以外に視認できる者はいない。

「聖界フィルール、構築開始」

 モニターの中は既に、何十重にもぶちまけられた血で、黒く塗り潰されている。
 それを見て笑みを浮かべたアペカの目が、怪しく光り輝いた。

 …………………………………………
 ………………………

344 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/11/26(金) 23:24:54 ID:cXFCM4Yc]
 街の人全てを救えるなどと、自惚れてはいなかった。
 ただ、モールにいるはずの親友たちを救出して、安全な場所まで運ばなければならない。
 それだけの感情でも、今の彼女を動かすには十分過ぎるものだった。
 防災放送や救急のサイレンで騒然となる中、逃げる市民たちの真上、ビルの屋上から屋上に飛び
移る影があった。チェックのワンピースを着た華奢な体躯。大きな瞳には、ショッピングモールにいる
親友たちの安否と、平和な街を蹂躙する侵略者への怒りが宿る。
 眼前に黒々と立ち昇る無数の煙と、流れてくる血の濃い匂いは、騒動の震源地で起きている大殺
戮を物語っていた。1分、1秒ごとに、人間の命が消されている。
 警察の手に負える事態でないことは、その目で見れば、子供でも理解できる。
 脅威は今や、ショッピングモールのすぐ近くにまで達していた。もしも友人たちがモールから逃げ遅
れていた場合、現状では否応なしに死に直結してしまう。

(みんな……! お願い……! 無事でいて……!)

 少女の名は、佐久島アスカ。
 不安で目から零れそうになる涙を堪え、勇ましく向かう先は地獄の戦場。
 密かに街の平和を守り続けていた少女は、最後の戦いとなる場所に近づいていく。






345 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/26(金) 23:26:17 ID:cXFCM4Yc]

続きの一部。
>>40

続きの残りはそのうち。
ではまた。



346 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 00:13:00 ID:AjeucdN7]
熱い展開になってきた
これは続きが気になる!

347 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 00:35:01 ID:OyuQx3Sy]
やべえ、今までのいろんな話をまとめて一つの線で繋げられちゃったりするんじゃないかこの設定って。

読んでたらセキレイと屍鬼の混ざったイメージが生まれたのはなんでだろうか?



348 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/11/27(土) 18:44:56 ID:aRcJsG88]
ふう、眼福眼福
この機会にもう一度アスカの悲惨な戦い読み返してきます
GJでした!

349 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/10(金) 15:01:22 ID:pcQyxZ+a]
接触だけで相手を自分の身体の一部に変えてしまう超生物な話がよみたい

350 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/12(日) 05:03:45 ID:5J0m+fgh]
前から話題に挙がってたエデンの檻で直球な捕食シーンくるかな
怪鳥の腹を掻っ捌いて、ウ○コに変換される途中の人間らしき物体が出てくるシーンでもあったら俺得

351 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/16(木) 22:16:01 ID:fa8dlj7K]
pixivにいい捕食小説あがってた

352 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/27(月) 01:10:35 ID:6UF1v09A]
>>344の続きを投下します。
残酷表現がありますのでご注意ください。

353 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:12:08 ID:6UF1v09A]
 こんなことになったのは、私がワガママを言ったバツなのだと思いました。

 久しぶりにパパが家にいてくれて、だからどこかにあそびに行きたいと言いました。
 「パパは毎日の仕事で疲れているのだから……」、としかるように私に言ったママに、私は大声を
上げて反たいしました。だって、いつもお仕ごと、お仕ごとって、私も、お姉ちゃんも、もうずっと家ぞく
であそびに行っていないのに、パパもママもそれを全ぜん分かってくれなくて。
 私たちのためだから、って、いつもいつも、同じ言いわけばかり。
 大声を上げて、スリッパでゆかをダンダンとふんで、私はお出かけしたいとさけびました。
 ソファに横になって新ぶんを読んでいるパパに、とてもよく聞こえるように。
 新ぶんなんて小さな字ばかりで、テレビらん以外はおもしろくもないのに、言うことを聞いてくれず
に、おもしろくない新ぶんを読んでいるパパにも、私はかなり怒っていました。
「ごめんなさい」
「ワガママを言ってごめんなさい」
 家ぞくみんなであそびに行くことになったあとも、なんだか私がうるさく言ったからあそびに行くこと
になったような空気がちょっといやで、パパやママに話しかけられても、私はほっぺをプウっとふくら
ませてまどのけしきを見ているだけで、話をしませんでした。私はその時、すねていたのです。
「ごめんなさいが言えなくてごめんなさい」
「ありがとうが言えなくてごめんなさい」
 これから私は、いい子になります。
 もうどこかにあそびに行きたいなんて、ワガママは言いません。パパとママの言うことは、きちんと
守ります。あいさつもきちんとします。宿だいもきちんとやります。きらいなヒジキとかぼちゃも食べま
す。だからおねがいします。だから神さま。私の、今日のワガママを、なかったことにしてくだい。
 神さま、おねがいですから、時間を、もどしてください。

354 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:14:05 ID:6UF1v09A]
 私がワガママを言って、家ぞくであそびに行くことになった、あのときに。
 おねがい、早くしないと、パパとママが……。
「……! ……!」
 お姉ちゃんが私の手をにぎって、泣きながら、何か言っていました。
 でも、私には、お姉ちゃんがなにを言っているのか、聞くことができませんでした。
 …………………………………………
 ………………………
 車両が数珠繋ぎになって停車し、人々は悲鳴をあげ、車両の隙間を縫うように逃げ惑っている。血
を流している者や泣いている者も、老いている者や若い者も、皆が恐怖で顔を歪めていた。
「どうしたの? ねえ! 何か言ってよ!」
 呆然と立ち尽くしている少女の腕を引いて、彼女の姉は必死に呼びかけを続けていた。妹の反応
が無くなってから数分になる。2人は双子らしく、髪を腰まで伸ばしているか、肩の辺りで切りそろえ
ているかの違いこそあるものの、愛らしい顔は鏡に映っているかのように等しかった。
 空ろな顔でぶつぶつと何かを呟いている、髪の短い妹。
 その視線の先にあるのは、玉突き事故に巻き込まれた軽自動車が、黒い煙を噴いて停車している
光景だった。運転席には、スピンした別の車両が突き刺さるように衝突しており、割れたフロントガラ
スの奥では、ひしゃげたドアが衝突の衝撃で中にめりこんでいる。
 運転手と思しき男性は、座席とドアに挟まれる形で、押し潰されていた。意識は無いようで、ぴくり
とも動かない。助手席の女性も意識は無い。頭から血を流したまま、前に倒れかかっている。
 彼らは果たして、双子の少女の妹にとってどういう存在なのか
 それは最後に交わした言葉が罵声だったという、彼女の両親だった。
 反省する時間など意味はない。後悔するための時間も、何も意味もない。
 今、この瞬間にも、別れの瞬間が迫っているのだ。人間、いつかは死ぬ。それが早いか、遅いかを
決めるのは、少しの良い行いと、少しの運と、あまりに無慈悲な、他者の巨大な悪意。

355 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:16:11 ID:6UF1v09A]
「パパ……ママ……」
 虚ろな表情で立ち尽くす、双子の妹。
 連鎖した車両から立ち昇る黒煙が、風に吹かれるカーテンのように揺らぐ。
 喧騒を振り払うように轟音が響き、煙の奥から飛び出してきた触手が、逃げ惑う人々を一斉に薙い
だ。それだけで、人間は、頭と胴体が千切れ、腹と腰が千切れ、バラバラになって飛んでいく。彼岸
花のように無数に咲いたのは、爆発した血飛沫と四散した臓物の華だった。
 俊敏に宙を泳ぐ触手は、逃げ惑う獲物や残骸を集め、煙の奥に引きずり込んでいく。すぐに聞こえ
てきた断末魔の声と、肉や骨を噛み砕く音が、嫌でも生存者たちの耳に届いてしまう。
「……あのね……パパとママ……私は……」
 姉は妹の手を引いて逃げようとするが、妹の足は石のように動かない。
 早く逃げなくてはいけないと分かっていても、視線を車から逸らした瞬間が両親との別れになると
理解している彼女は、どうしてもその場から動けなかった。ときに厳しく、ときに優しい両親の顔が、
浮かんでは消え、浮かんでは消え、いままでの思い出が、洪水のように心を満たしていく。
 それはもちろん、手を引く姉も同じだった。
 しかし、妹が一時狂乱状態だった分、彼女は冷静にならざるを得なかった。
 それでも、目は真っ赤に充血して涙が溢れ、歯を食いしばらなければ号泣しそうになる。両親から
離れたくはないし、置いていきたくもない。しかし、彼女には両親の代わりに、姉として妹を守らなけ
ればいけないという意思があった。ここに留まっていれば、間違いなく殺されてしまう。
 逃げなければならない、突然現れた、あの悪夢のような怪物から。
「!!!!」
 瞬間、彼女の両親は ――ぐしゃりと車ごと踏み潰された。
 軽自動車を押し潰し、煙のカーテンを破って現れたのは、黒ずんだ表皮から触手を生やした巨大な
怪物だった。腐敗したウミウシを思わせる外見のそいつは、突然国道に乱入して両車線で玉突き事
故を引き起こし、そして逃げ惑う人々を虐殺し、喰らい始めたのである。

356 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:17:36 ID:6UF1v09A]
「うわあああああ! こっちに来た! 逃げろ!」
 様子を窺っていた人々も、怪物の進行方向が自分側と分かるや、道路を走って逃げた。
 停車した車両は鎖のように延々と連なり、人々はボンネットの上によじ登り、国道から左右の市街
地に分かれて散っていく。しかし、追跡する怪物の触手は本体から蔦の様に伸び続け、50m先の人
間まで数秒で追いついてくる。機動力が最初から違いすぎた。
 何十本もの触手が空を切り、人間の胴体を刺し貫く音が機関銃のように連続する。
 赤い血煙が国道から空に巻き上がった。
 運良く触手の攻撃に遭わなかった人々も、硬直して動くこともできない。なぜなら、今の攻撃は明
らかに、よく動いていた獲物を狙っていたものだったからだ。次に動けば標的になると感じた人々は
どうすることもできず、怪物の射程範囲に縫い付けられていた。
「う……? うう……」
 ショックのせいだろうか、双子の妹の反応が戻り、姉は思い切り抱きしめる。まだ幼い双子の姉妹
でさえ、もう自分たちが助からないと理解していた。それほど、怪物の攻撃は圧倒的だった。
 周りには、双子のほかに、長い金髪の少女が1人、青い洋服を着て立ち尽くしていた。
 金髪は地毛らしく、歳は双子より少し高いように見える。家族の姿が見えないことをみると、双子と
同じく事故に巻き込まれたらしい。表情は整っているが無表情で、まるで彫像のようだった。
「理央……」
「真央お姉ちゃん……! 私……私ねっ……パパとっ、ママにっ!」
 真央と呼ばれた姉は、妹の理央を胸に抱きしめて、怪物の姿を視界から隠した。せめて少しでも、
周りの怖い光景から妹を守るかのように。それが、今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。
「天国でパパとママに会えたら、いっしょに、ごめんなさいって、しようね」
 真央の呟きに、理央は姉の胸の中で、無言で頷いた。

357 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:19:25 ID:6UF1v09A]
 …………………………………………
 ………………………
 国道は阿鼻叫喚の洪水と化していた。
 うずくまる双子と立ち尽くす金髪少女の周りでは、胴体や胸を刺し貫かれた人間、腕や足を失った
人間、触手に切断されて胴体のみの人間、頭の上半分の残骸、車両に押し潰されて半分ミンチにな
り、臓器や骨を露出させた人間などの影が、肉片と内臓と血の海の中でぐちゃぐちゃとのたうちなが
ら広がり、壊れた楽器のように掠れた悲鳴や呻き声を迸らせていた。
 彼らはいずれも、死んだ瞬間の姿で固定されている。
 死んだ瞬間の姿で漂っている幽霊だといえば、あまりに陳腐に聞こえるが、実際に死体が大量に
転がる中、死屍累々の光景に重なりあって蠢く死者の大群は、凄惨の一言に尽きる。
 胴体を切断されて内臓を飛び散らせたものは上半分と下半分が別々に動き、飛び散った内臓もナ
メクジのように道路を這って動いている。何十人分もの肉体の残骸が絡み合い、内臓や骨がお互い
に押し合い、頭皮と髪の毛のみになった女性や、手だけが動き回る老人、汚物を垂らしながら蛇の
ように動く腸、割れた頭から垂れた脳漿が……お互いに干渉し、絡み合っていた。
 地獄絵図と表現しても誇張ではない光景が、そこに存在していた。
 彼らは何れも、死んだ直前の苦痛を感じ続けているらしい。
 人食い怪物の周りでも、ミンチ肉と化して唾液と絡まった人間の塊や、中途半端に噛まれて胃に
送られたのだろう、全身が酸で真っ赤に焼け爛れた人間、さらには頭から腰にかけて水分を吸い取
られて腸液と絡まり、上半身が茶色い糞便と化している者までいる。
 苦痛の声が国道に溢れた。
 泣き叫ぶ声が国道に溢れた。
 死んだままの姿のまま、人間が国道に溢れかえる。
 しかし、残されている、生きた少女たちは、しかし、そこ光景を見ることはない。



358 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:20:48 ID:6UF1v09A]
 周りに展開されている地獄を、目でも耳でも感じることは無い。
 生者と死者の違いが、彼女たちを悪夢のような世界から守っていた。
「理央……」
「真央お姉ちゃん……! 私……私ねっ……パパとっ、ママにっ!」
 真央は、理央を胸に抱きしめて、怪物の姿を視界から隠した。せめて少しでも、周りの怖い光景か
ら妹を守るかのように。それが、今の彼女にできる精一杯の抵抗だった。
「天国でパパとママに会えたら、いっしょに、ごめんなさいって、しようね」
 真央の呟きに、理央は姉の胸の中で、無言で頷いた。
 そして、彼女たちの両親の乗った車から、ゆらりと立ち昇る2つの影。
 破れた脇腹から折れた骨と内臓を広げ、潰れた頭の鼻腔や眼窩から、生卵の黄身を踏み潰した
かのように崩れた脳漿や血を垂れ流し、砕けた顎から抜けた歯を顔中に食い込ませ、煎餅のよう
に平らになった両親の姿など、視ることができなくて良かったと断言できるだろう。
 目に焼き付けば、それこそ彼女たちの正気すら危うくなる。
 そして、亡者たちの群れからは、黒い煙のような気体が立ち昇っていた。
 千切れた胴体や腕の断面が空気に触れる、露出した内臓が地面を這う、潰れた顔が疼く、噛み砕
かれる、消化液で溶かされる、腸の中で水分を奪われて糞便に変えられる……それらの記憶が甦
るたびに、死者の大群は漆黒の気体を吐き出し、あたりに撒き散らしている。
 それらは、脳裏に焼きついた、恐怖と苦痛に他ならなかった。
 死んだ瞬間で固定されている彼らは、延々と続く死ぬ直前の苦痛を、自身がパンクする前に吐き
出しているのだった。さながら、呼吸でもするかのように、一定の周期で。
 暗黒色の煙が空気を塗り替え、潰れた車や人食いの怪物も呑み込んだ。
 立ち尽くす金髪少女の腰まで、苦痛の黒い海は溢れかえる。
 寄り添う真央と理央の肩まで、恐怖の黒い海は浸していく。
 ただ、視認できないだけで。

359 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:22:10 ID:6UF1v09A]
 そして同時刻。
 街を見下ろす丘のとある場所で、白い異形の少女が宣告する。
 犠牲者も生存者も知る由も無い。この大虐殺、このテロ攻撃の目的の1つが、その瞬間に街全体
を影響下に収めて、術者以外の誰にも視認されることなく、開始されたことを。
 上空には、周囲の雲を押し退けるようにして、暗黒色の球体が浮いていた。
『聖界フィルール、構築開始』
 変化はあまりに劇的だった。
 視界に映る空の4分の1を覆うような巨大な暗黒球体から、眼球の毛細血管のような触手が空に
広がるや、国道に溢れた黒い洪水はストローで吸うように巻き上げられた。破壊された人間や残骸
も、まるで地上から天に帰るかのように、それに続く。
 苦痛と恐怖はやがて竜巻のように螺旋を無し、亡者たちを空へ連れ去り続けた。まるでブラック
ホールに吸い込まれていくように、空に広がる巨大な闇に消えて、見えなくなる。
 球体の色は、苦痛や恐怖の黒色と全く同じ色。黒い竜巻を吸い続けた球体は心臓のようにドクン
と鼓動すると、ごぼごぼと粘り気のある音を発して一回り大きくなった。
 おぞましい気配を増して……球体はゆっくりと成長する。
 しかし、暗黒球体が亡者を吸い込んでいる光景など、街の人々には視えず、そこには煙に汚され
た空があるだけなのだった。
 …………………………………………
 ………………………
 串刺しにした人間を引き込みながら、怪物は大きな口を開けてそれを咀嚼する。
 伸ばされた触手は数十本になるが、残された双子と金髪の少女へは伸ばされない。
 もっとも、それは怪物の慈悲ではなく、触手が捕らえた餌を先に食べているだけの話だった。怪物
の生態を説明できる者は場にいないが、餌が無くなれば彼女たちを食べるのは間違いない。

360 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2010/12/27(月) 01:23:04 ID:6UF1v09A]
 生を諦めて身を寄せ合う双子の姉妹、真央と理央。
 しかし、それとは対象に金髪の少女は、その人形のような恐怖を浮かべることも無く、人間を貪る
怪物に向けて、ゆっくりと歩き始めた。血なまぐさい風に嬲られて、金髪が宙に靡く。
 丸い碧眼には確かに、怪物への敵意が燃え上がっている。
「……………」
 怪物もここで、少女が自分から近づいてきていることに気付いたようだった。しかし、特に反応する
ことは無い。触手で叩くだけで殺すことが出来るし、脅威とも感じていないのだろう。

 瞬間、金髪少女の手のひらに、パチリと赤色の光が生じた。


(続)


続きは、そのうち。
ではまた。


361 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/27(月) 23:49:36 ID:ou+ddGII]
乙です
金髪の子は食べられちゃうのか、怪物やっつけるくらい強いのか
どちらにしても続きが楽しみだ

362 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/12/28(火) 18:16:39 ID:uEkfODTk]
続き期待!

363 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/10(月) 21:33:32 ID:pTseHMh1]
少々遅いですが、あけましておめでとうございます。
>>360の続きを投下します。
捕食の前ふりなので、特に残虐なシーンはありません。

NGワードはタイトル「人食い怪物vs巫女」で。

364 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:35:38 ID:pTseHMh1]
 西村モト子は、自分の能力を理解している子供だった。
 それは教師から見れば、できないことをできると言わないだけのもの。
 少女はいつも課題に取り組むときに、自分ができることを理解し、やるべき課題の内容を理解し、
それから作業に取り掛かっていた。
 ただし、その検討の精密さは、他の子供の比ではなかった。
 美術や工作では、例えば風景画を描いた際、クラスの子供たちが時間を過ぎて完成できない中、
彼女だけは制限時間の30分前に完成させている。
 雑な部分は雑で、お世辞にも上手いとは言えない絵だが、他の子供たちが宿題として持ち帰る未
完成の絵を横目に、モト子は悠々と教師に課題の絵を提出していた。
 教師には、手はかからないが、子供らしい冒険をしない子供だと映っていた。
 しかし、当のモト子は、評価に何の興味も無かった。
 …………………………………………
 ………………………
 西村モト子は、友達のいない子供だった。
 しかし、熱心に学習塾に通っていたわけでもなく、学力はクラスで最も高かった。
 算数や理科の時間は、退屈極まりないものだった。
 例えば分数の概念、6つあるケーキや12個あるりんごを、全体で「1」として二等分や三等分を考
察する内容を、同級生が教科書を読んで理解できていないことが、彼女は理解できなった。
 教科書を読み直しても、説明が言葉足らずだ思わない。
 教師の説明は回りくどいものであったが、それはモト子よりレベルの低い子供を対象にした説明と
いうだけで、やはり、要点はきっちりと抑えている内容でああった。
 なのに、同級生の一部は、分数を理解できていない。
 分数を何度も解説する教師、何度説明されても理解できない同級生。
 進まない授業にうんざりした。

365 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:38:17 ID:pTseHMh1]
「先生は、分数の説明を国語の時間にすればいいのに。ゆうすけ君やまみちゃんは、算数が分から
ないんじゃなくて、教科書や先生の説明の『日本語』が分からないんだよ」
 モト子はそれを、当人たちの前で口にする子供だった。
 彼女の態度はクラス内での孤立を招き、一時はいじめに近い状態に陥ったが、彼女自身はそれを
気にしなかったし、クラスメイトも行為をエスカレートさせることはなかった。
 悲しいかな。
 彼らは、彼女たちは、お互いに何の興味も無かったのだ。
 …………………………………………
 ………………………
 西村モト子は両親の仕事を知らなかった。
 しかし、家が非常に裕福だと自覚していた。
 渡されているお金も、他の子供より遥かに多かった。
 学習塾の日以外は小説や漫画を買い漁り、時間の許す限り読み続けていた。
 雑誌は全く読まなかったが、新聞は読んでいた。
 読書の休憩に、録画していたドラマやアニメを見るようになり、アニメについては作品を配信する動
画サイトも視聴するようになった。
 MADムービーを作り始めたのは、しばらくしてのこと。
 多少の手間をかけて作成したMADが、神動画として再生数を稼ぎ始めた。その次も、その次も、動
画はユーザーに賞賛された。
 モト子は、動画の加工と切り貼りが、とても上手かった。
 動画の素材を確認すれば、後は、
(ここを切れば良い)
(ここを繋げれば良い)
と感覚的に理解できて、それはいつも的中していた。

366 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:40:08 ID:pTseHMh1]
 勿論、実際の映像の絵、構図、色使い、効果音、声は他者のもので、彼女にそれらを作成する能
力は皆無だったが、加工と編集には異様な才能を発揮した。
 そして、その趣味は、孤独をますます深めていくことになる。
 しかし、本人はそれを是としていた。
 …………………………………………
 ………………………
 しばらくして。両親が宗教団体に入信した。
 モト子もそれに連れられて教団の施設で生活することになった。
 学校の真似事のようなことをしている『叡智の冠』という団体を胡散臭くは思ったが、特に両親に抵
抗することはなかった。
 ネット環境があれば、後はどうでもいい、と思っていた。
 件の宗教団体は全国に支部を持つ巨大組織だが、総本山は辺鄙な農村に設けられていた。値崩
れしてただ同然になった山林を買取り、それを切り崩して建設されたものである。
 「学び舎」と呼ばれる直方体の小型建造物が数十。
 信者の住まう集合住宅が数百。
 大規模な農場や教団内で使う道具を作る工場。
 ビオトープや巨大な図書館。ドーム状の集会場。
 巨大な壁で囲まれた世界は、複数の山に広がって展開する、小さな都市のようだった。
 村には数千人の信者が暮らし、トラブルもなく村人と共存しているらしい。
 人口比から言えば、従来の村民よりも信者の方が圧倒的に多い。総本山は100年以上前から存
在しているので、信者と信者以外の村民の境界も、やや曖昧なものらしかった。
(どうして、こんな交通の不便なところに、拠点を設けたの?)
 車で村を案内されながら、モト子は素朴な疑問を持った。
 四方八方を断崖のような山に囲まれた、陸の孤島。

367 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:41:24 ID:pTseHMh1]
 隣接する村へ続く道は、今にも崩れそうなものが2本のみ。
 そのような農村に拠点を設けても、外界から遠いから不便なだけで、メリットはあまり感じられな
い。トラブルが起きたときなど、外部との連絡がつきにくいのではないか。
(宗教の人の考えることは、よく分からないわ。これじゃあ、まるで……)
(隠れて何かしているみたいじゃない?)

 数日後、彼女は、蟲の餌にされた。

 …………………………………………
 ………………………

 モト子から変質した後。
 アペカが見た、世界の景色は、とてもカラフルだった。

「………………?」
 覚醒したアペカが不思議に思ったことは、実験室の光景に豹変していたことだった。
 壁という壁から、天井から床まで、そして空気までも、
 毒々しいほど鮮やかな赤や黄や青や、無数の色で飽和している。
 まるで、市販の絵の具セットを全てパレットに捻り出して、そのまま筆を押し付けて、視界一面を塗
り替えてしまったかのようだった。
「目に……油でも入ったのかしら?」
 最初、眼球の表面に油膜が張っているのだと思った。
 その光景は、水に浮いている油の色彩に似ていたからだ。
 ふと足元を見ると、自分の肢体に群がっていた蟲が蠢いている。



368 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:43:06 ID:pTseHMh1]
 実験前は半透明だったそいつらは、今では虹色の体躯を輝かせて粘液を泳いでいた。
 今でさえ、彼女の肛門と膣内には不快な異物感があった。蟲が詰まっている。特に嫌悪感は沸か
ないが、しかし、再び自分が陵辱されるのは嫌だと思った。
 すると、蟲は動きを止め、静かになった……彼女に従うように。
「まあ、いいわ。とりあえず目をなんとかしないと、動きにくい」
 蟲の粘液に塗れた手を腰で拭い、アペカは目をゴシゴシと擦った。
 しかし、擦れば擦るほど、実験室の光景は、万華鏡の如く鮮やかに変化する。
 眼球は、最初は蟲の複眼のようだったが、すぐに人間と同じ光を宿した。そして、
「うあ……あ………あああ………」
 激しい頭痛に、眼から涙が溢れ出した。
 悲鳴を上げそうになるのを堪えることしかできない。
 実験室の壁や、柱や、粘液や、窓や、全ての万物の境界を無視して塗りたくられた色。
 鮮やかに輝く光景に、視界が飽和し、あまりの光量に脳が悲鳴を上げる。
 色の奔流が、頭の中で渦巻くような、異様な感覚に襲われる。
「何よこれ……私……どうなっちゃったの……!?」
 そして、毒々しい色の世界から融け出した、人間の影。
 アペカと同じぐらいの身長の影は、ゆらりと形を成し、両手を前に出した。
 濃淡含めて何千色ものモザイク模様に覆われ、まるでルービック・キューブの塊だった。
 眼球の白部から歯の一本一本、吐き出す息は勿論、視線の先まで色が付いている。
「ご……がご……ごご………ぐご……」
 異形は、雄叫びとも悲鳴とも言えない奇声を発し、虹色の空気から完全に分離して、ゆっくりと方
に近づいてくる……。
 アペカの眼には、それは怪物としか映らなかった。

369 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:44:26 ID:pTseHMh1]
「何よアナタ! あっち行って! 来ないで! 近づかないで!」
 色の塊のような人型は、明確にアペカの方を目指していた。
 顔を青くして、部屋の壁から隅に逃げる。
 しかし、狭い部屋では逃げ場は無く、出口と反対側の隅に追い詰められてしまう。毒々しい色の異
形は奇声を発し、まるで彼女を求めるかのように迫ってくる。
「ひいっ! だ、誰か……! 誰かっ!」
 大きな頭を壁に擦り付けて、身を縮めるアペカ。
 色の塊は悲鳴に呼応して、覆い被さるように眼前に広がった。
「ご……がご……」
 原色の塊のような腕が、彼女の頬にかかる。
 瞬間、彼女の脳内で、鮮やかな色が爆ぜた。
 …………………………………………
 ………………………
 瞬間。
 アペカの脳裏に浮かんだのは、毒々しい人形型のパズルの、解読鍵だった。
 何千色もの色の塊でしかない影は、みるみる人間の姿に変わり始めた。ぐちゃぐちゃの油膜めい
た外見は、やがて細い人間の体躯となる。
 アペカはようやく理解した。
 毒々しいまでにカラフルな世界は、蟲から視えている人間の世界。
 何千色という色は、その1要素、1要素が、更に多くの要素からなる、「情報」だった。
 そこに記録されているのは、生まれてから死ぬまでの、全時間の思考、感覚、感情、外見、成長、
果てには心拍数、呼吸数や頻度まで、1人の人間の一生に相当する情報なのだった。
 生まれた瞬間から、死ぬ直前の姿まで。
 喜びも、悲しみも、怒りも、そして、恐怖や絶望も。

370 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:47:09 ID:pTseHMh1]
 前にいるものは、現在の高性能コンピュータでもとても処理しきれないような、途方も無い膨大な
情報が、しかも媒体も無しに存在しているものなのである。
 そして、そのような存在を言い表す、単純な言葉。

「……幽霊なの?」

 アペカが提示した言葉は子供でも知っている。しかし、今の彼女は、それ以外に眼前の存在を表
現する言葉を持ち合わせていなかった。
 色塊は肯定するでもなく、否定するでもなく、大きく咆哮した。
 同時に、幼女から大人の女性の体躯に変化し、そのまま衣服を変え、髪型を変え、姿形を変えて、
生を終えた瞬間の姿に近づいていく。
 ただ、そのシルエットは時より、色が滲んで空間に溶け出していた。
 砂糖の塊が、珈琲に溶けていくように。
 数分もすれば、もう原型も残らないだろう。
(これは、今の自分のことを知る、良い機会かも)
 人間の頃と同じく、それが彼女のスタイル。
(自分ができることを知ること)
 ゆっくりと、右手を女性の胸に近づける。
(自分がすべきことを知ること)
 女性の幽霊と右手を融合させて、ゆっくりと眼をつむり、思念に耽った。
 読み取るのは、一瞬だった。
 膨大な情報が、呼吸をするように。
 1人の人間の一生が、最初から最後まで、頭に入力される。

371 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:48:31 ID:pTseHMh1]
(これが、今の私ができることなんだ)
 アペカは眼を閉じて、しばらく無言だった。
 自分の能力は、もっと色々なことができるようだった。
 眼前の幽霊はみるみる形を失い、空間を満たした膨大な情報の海に融けていく。そして、毒々しい
色の世界と完全に一体化し、境界もなくなり、そのまま消えた。
 海に落ちた一粒の水が、そのまま希釈されていくように。
 もう、元には戻せない。
「…………」
 アペカの大きな瞳に涙が浮かび、頬に流れ落ちた。
 自分は、肉体という小さなビンに入った水。
 生きることは、どこまでも続く大海原を、ビンに入った水で漂うことなのだ。そしてビンが壊れれば水
は海に戻り、新しい別のビンにすくわれても、決して同じ水は入らないのだろう。
 そこには、どこかの宗教が唱える神の救済も、新しい世界も無い。
 死ねば消えて無くなるだけだ。
 気持ちの整理をつけて、一言発した。

「さようなら。お母さん」

 母親の幽霊を読んで分かったが、彼女は15分ほど前に死を迎えていた。
 総本山の別の部屋で、投薬実験の副作用で死亡している。父親は昨夜の夜に、同様の副作用で
死亡していた。親は夫婦そろって、人体実験の道具にされていた。

 …………………………………………
 ………………………

372 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:50:18 ID:pTseHMh1]
「…………」
 人間だった頃を思い出し、アペカは眼を細めて虚空を見る。
 食べ物と嗜好は変わったが、趣味などは大きくは変化していない。
 両親は事前に実験内容の説明を受け、危険を承知で実験に望んでいた。実際、拒否は可能なも
のだった。教団に対する恨みの念などは、そういう事情もあって特に無い。
「まあ、今さら言っても、仕方無いけれど」
「えっ? 何かおっしゃられましたか? アペカ様」
 樹里が顔を覗き込んできたので、アペカは首をゆっくりと横に振った。
 彼女は、敬愛するアペカが、実は人間に戻りたがっているのではないか、と不安を覚えていた。そ
して、アペカの言葉で、人食いの怪物と化した自分を否定されるのを、何よりも恐れていた。
 能力で彼女からそれを読んだアペカは、呆れたような顔で微笑み、従者の頭を撫ぜる。
「いや、久しぶりに、人間を食べてみようかなって、考えていたのです」
「ええっ! アペカ様の狩りが、また見れるのですか!」
 樹里は頬を紅潮させて、アペカの手を握り締める。
 そして、興奮した様子で尋ねた。
「時間は、どれくらい、かけられるのですか?」
「本当は10年ぐらいかけて食べたいけれど、そんな逸材は滅多にいないわ」
 奇怪なことを言いながら、アペカは嗤う。
 彼女の言葉の意味は、文字通り、10年という時間をかけて獲物の人間を食べるということだが、そ
れは彼女の狩りの方法が、極めて特殊なものだからである。
「ああ、可哀想なアペカ様。貴女様が不安定なのは、これまで一度も、食事で満足されたことが無い
からに違いありません。私がきっと、貴女様が満足して食べられる人間を見つけます!」
 眼に決意の炎を燃やしながら拳を握る樹里に、アペカは苦笑した。
「そんな簡単には、見つからないわ」

373 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:51:26 ID:pTseHMh1]
 そして、天空に蠢く物体を見上げる。
 人々を吸収して巨大化する、暗黒色の球体。
 将来、聖界フィルールとなるべきそれもまだ、生物で言えば卵の状態だった。今は少しでも成長を
進めて、教団による革命の日を早めるしか、できることはない。
「大半の人間は、あの程度だもの」
 球体に吸い寄せられている幽霊からは、暗黒色の霧のようなものが滲み出している。球体はその
霧のみを吸収し、残った幽霊は形を失って消えていくだけだった。
 アペカは色の塊と化した幽霊から、闇色のみを取り出している。
 その色が示すのは、肉体の損壊、痛み、苦痛など、人体に害のある情報だった。特に、生きたまま
胴体を千切られたり、食われたりした者からは、大量の情報が得られている。
 アペカは巫女のように天に祈り、暗黒色の球体を構築していく。
 その瞳は、興奮して潤んでさえいた。
「もっと集めないと……全然足りていない。もっと集めて、もっと膨らませて……」
 生きたまま胴体を食い千切られたもの。生きたまま焼かれたもの。数十分かけて窒息したもの。腕
を切断されたもの。頭から押し潰されたもの。刺されたもの。殴られたもの。皮膚が壊死して蛆に食
い尽くされたもの。酸で溶かされたもの。腹を割かれたもの。股を裂かれたもの。
 人々が激痛に苦しみ、絶望しながら死んでいく光景が、何万、何十万と繰り返され、繋ぎ合わさ
れ、縫い合わされ、生きたまま焼かれた者に、頭から押し潰される激痛を繋ぎ合わせ、酸で溶かさ
れた者に、股を裂かれた激痛を繋ぎ合わせ……たった1つに再編されていく。
 そして最後にできるのが、聖界フィルールと呼ばれる世界。
 聖界を構築する最終段階において、その世界に旅立つことになるフィルール・スター・ナイツと呼ば
れる少女たちの人選も進んではいるが、それ以前の課題が山積である。

374 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:54:06 ID:pTseHMh1]
「やはり……まず解決すべき課題は……ん?」
 アペカの顔から笑みが消え、殺気を帯びた顔に変わった。そして。樹里が蒼い顔になってびくりと
震えるのを無視して、瓶底眼鏡たちと話している藤村の方に歩いていく。
「藤村、今、ここに連れてきた手下で、戦闘要員は何人ますか?」
「ええ? 今回は、周りを固めているのも入れて、20人よ。戦闘要員と言われても線引きは難しいけ
れど、全員、私や樹里も含めて、普通の人間には負けないわ」
 流石の藤村も質問の意図が理解できないようで、やや困り顔だった。
 しかし、アペカは全く笑っていない。
「すぐに、全員を戦闘態勢に。あと、撤退の準備も開始して」
 そして、沈黙が場に満ちる前に断言した。

「敵襲よ。しかも、かなり強敵」

 …………………………………………
 ………………………

「……ちょっと、いつまで泣いているの」
 お互いに抱き合う理央と真央がふと顔を上げると、そこには金髪の少女が立っていた。鮮やかな
碧眼は、まるで物を見るかのように2人を見下ろしている。
 敵意とまではいかないまでも、明らかに邪魔なものを見ている目だった。
「……え? あの」
「気持ちは分かるけれど、そこでウジウジ泣かれるとマジで邪魔。せっかく生きているんだから、今す
ぐにここから離れろっつーか、死にたくないなら、さっさと消えろって感じ。ジャリが」
 口調からして、それは明らかに命令だった。

375 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 21:55:36 ID:pTseHMh1]
「どうしても動かないなら、私が殺してあげよっか?」
 金髪の少女はそう言って邪悪な笑みを浮かべると、赤い革靴を履いた足を振り上げる。そして、怯
えた理央の頬を踏み躙るように、靴の底を押し付けて捻りを加えた。
 手には鈍色に光るナイフが握られており、その刃先は姉妹に向けられている。
「きゃああああ……おねえ、ちゃ……!」
「やめて! りっちゃんに酷いことしないで!」
 妹を痛めつける足を払いのけて、真央は理央を庇うように立ち上がる。
 そして、頬に靴痕を付けられて呆ける妹の手を引いて、金髪の少女から離れようと慌てて走り出し
た。怪物に襲われる不安もあるが、突然暴力を振るわれたショックが姉妹を動かしていく。
 2人はすぐに、建物の影に消えた。
 それを確認した金髪少女は、自嘲気味に笑みを浮かべる。
(ちっ! だからガキは嫌いなのよ。逃げろって言っても、まず逃げねえし。気分ワリィって感じ)
 投げ捨てたナイフが、乾いた音を立てて道路に転がる。
 少女は金髪を翻し、視界の中央に、触手を伸ばした怪物を捉えた。
 堂々と立つ姿は怪物に怯えるどころか、逆に威圧しているかのよう。風に流れる金髪に覗く碧眼は
大きく見開かれ、精巧な人形を思わせる美顔には、挑発的な笑みが張り付いていた。
 まるで、天から地の底を見下すかのように。
「………………」
 対して、道路を塞いだ異形の巨体は、ずるずると数メートル後退する。
 既に捕らえた獲物は食べ終わっていた。しかし、後退するや少女のことを警戒するように動こうと
せず、触手を縮めて迎撃体勢をとる。怪物が出現してから、それは初めての現象だった。
「ふーん。ゴミはゴミなりに、臭っせえおつむがあるって感じ?」
 少女は怪物を嘲笑して、唇の端を吊り上げた。
 金髪が、風も吹いていないのに、ふわりと浮かび上がる。

376 名前:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE mailto:sage [2011/01/10(月) 22:02:10 ID:pTseHMh1]
「でも、旅行中の私がいる場所で暴れたのが、テメェの運の尽きって感じ? 巫女協会が誇る最強!
無敗!の超弩級エース”白焔の光巫女”にして、マジ国宝級スーパー美少女!」

「退魔巫女、西園キララ様とは、私のことよっ!」

 身体から赤い光を立ち昇らせ、キララと名乗った少女は宣言した。
 そして、同時にぶちぶちと洋服のボタンを毟り、身体から引き剥がすように衣服を脱ぎ捨てる。捨
てられた洋服は風に流され、事故を起こした車のサイドミラーに引っかかった。
 ガソリンの匂いを含む空気に晒されたのは、赤い下着のみを纏う瑞々しい肌。
 背丈相応の幼さは拭えないものの、胸元から溢れんばかりに成長した乳房といい、括れた腰から
程よく肉の付いた下腹部のラインといい、鍛えられて硬く締まった四肢といい、健康的な色香と研ぎ
澄まされた美しさを併せ持った肉体だった。美術品の女神像のようでさえある。
 キララは怪物を指差しながら、悪戯気味に青い眼でウインクをして、壮絶に笑う。

「私のサファイア・アイが輝く限り、外道に明日は来ないって感じ!」


(続)

続きはそのうち。
ではまた。

377 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/11(火) 04:10:05 ID:3U7FZkzr]
投下きてた!
スレの趣旨的にアペカ様を応援すべきだけど金髪巫女も良いキャラしてるなぁ
妄想が膨らむぜ



378 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/13(木) 14:31:17 ID:tYQUgOx6]
今日発売のファミ通の中川いさみのマンガで
女性がパックマン男に食われてましたよ。

379 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2011/01/14(金) 02:22:19 ID:voMUT1Vq]
金髪巫女は秒殺な予感。






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