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【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ【昭和のかほり】



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/05(水) 12:07:38 ID:wXoQLilw]
なさそうなので立ててみた

216 名前:しげーさんの思い出・11 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:35:12 ID:Cv5tdzVU]
そんな日が何日か続いていた、学校からのある帰り道のこと。
茂がいつものようにのんびり下校していると、前方にあの女の子がいた。

「おーい」
呼び掛けながら走り寄る。
「ゲゲちゃん」
振り返るその顔はいつも通り可愛らしかったが、
いつも茂に見せるような笑顔は無く、何処か寂しげだった。
何となく不安になる茂。
「‥どげしたんだ。また何かされたんか?」

この子にはいつも笑っていて欲しい。
悲しげな顔など見たくは無かった。

「‥ううん、何もされちょらんよ」
「なら何でそげな顔しちょるんだ」
「・・・・・」
「黙っちょったら解らんよ」
暫くの沈黙の後、女の子が口を開いた。

「‥私、転校するの」
「転校?」
「東京行くの。もうこっちには戻って来れんて、母ちゃんが」
「‥‥‥!」
余りの急な話に、茂はただただ驚くしかなかった。
「‥いつだ?」
「‥明後日‥」
「‥そげか‥」

何処か重い足取りで歩みを進める2人。
2人の間にいつものような会話は無い。
その沈黙を破ったのは、意外なことに女の子の方からだった。

217 名前:しげーさんの思い出・12 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:36:23 ID:Cv5tdzVU]
「‥ゲゲちゃん」
「‥ん?」
「私‥ゲゲちゃんやおばあちゃんのこと忘れんよ」
「・・・・・」
「私‥父ちゃんや母ちゃん以外の人とあんなに喋ったこと無かったよ。
あげに優しくされたことも無かったよ。大人し過ぎるけんいっつもからかわれとった‥」
「・・・・・」
「‥だけんいつも一人でお化けの絵描いちょった。
お化けは何も言わんでもすぐに友達になってくれるけん」

この子がいつもそんな気持ちで一人で神社で絵を描いていたのかと思うと、
堪らなく切ない想いが茂の胸を貫いた。

「‥でも、もうええんだ」
「?」
「もう友達はお化けだけでないけん。ゲゲちゃんもおばあちゃんもサヨちゃんも皆友達だけん」
その大きな瞳には涙が溢れていて。

「だけん‥‥‥もう寂しくなんかないけん!」
精一杯の可愛らしい笑顔に、大粒の涙がぽろり、と零れた。
茂の目にも涙が溢れる。
「‥‥ゲゲちゃん‥‥」
最後の声を振り絞って、一番伝えたかった言葉を茂に伝える。


「‥‥‥だんだん‥‥‥」

218 名前:しげーさんの思い出・13 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:37:21 ID:Cv5tdzVU]
女の子が東京に行って数日後。
茂はいつものようにのんのんばあの家に遊びに来ていた。
縁側で足をぶらつかせながら遠い目で空を見ている。

「ええ天気じゃなあ、しげーさん」
のんのんばあがいつものようにサイダーを持って来てくれる。
「‥そげだな」
「おやおや。まーだ落ちこんどるんかね、この五年生は」
「‥別に落ちこんどらん」
のんのんばあが茂の隣に来て座る。
「しげーさん、心が重たいかい」
「‥‥ちょっこしな」
「‥前にも言うたじゃろ。人は人の心を貰うけん体も大きいなると」
「・・・・・」
「いろんな人の心を貰ったけん、しげーさんもこげに大きに成長したって」
「‥‥うん」
暫く沈黙が流れる。

「‥‥なあ、のんのんばあ」
「ん?」
「その中にはあの子の心も入っとるか?」
「‥ああ、入っとるよ。それからあの子の体にもしげーさんの心が入っとるよ」
「ホントかなあ」
「のんのんばあが嘘を付いたことがあるか!」
「ははは。分かっちょるよ」

サイダーを2人で分けながら、茂は一気にそれを飲み干した。

219 名前:しげーさんの思い出・14 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:38:48 ID:Cv5tdzVU]
夕暮れ。
いつの間にか大分遠くまで散歩に出かけていたらしい。
下駄を引きずりながら、いつもの我が家へ戻って来る茂。
「おう。帰ったぞ」
「お帰りなさい!」
いつもの優しい妻の笑顔に自然とこちらも口元が緩む。
「ん?ええ匂いだな」
「今日はちょっこしご馳走ですよ」
「そげか。珍しいな」
「たまにはいいじゃないですか。手洗ってきて下さいね」
「ああ」

ちゃぶ台に座り、夕飯の準備をする妻の背中を茂はぼんやりと見つめていた。
アルバムで見た布美枝の幼い頃の姿とあの女の子の姿が自然と重なる。
あの子と布美枝が同一人物では無いこと位茂には分かっていた。
第一、年齢が自分と十も離れている妻があの子な訳が無い。

あの子はきっと今は、この東京の何処かで幸せに暮らしているだろう。
今はただそう思いたい。
布美枝の体を見ていると、ふとのんのんばあのあの言葉が頭をよぎる。

220 名前:しげーさんの思い出・15 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:39:50 ID:Cv5tdzVU]
(「‥前にも言うたじゃろ。人は人の心を貰うけん体も大きいなると」)

布美枝は生まれて今まで人一倍人の心を貰って生きて来たのだろうか。

「‥だけんあんたの体はこげに大きいのかもしれんな」

茂が苦笑する。
「? 何か言いましたか?」
「いや、何も言うちょらん」

布美枝の笑顔とあの子の笑顔が重なる。
もうあの子には未練など無いが、ふいに思うことがある。
それは、あの子が大きくなったらきっとこんな女房になっているだろうなということ。


「この煮物、旨いな」
そして、こう言うだろう。

「だんだん」

目の前の妻が今日はいつも以上にずっと優しく見えた茂であった。


おわり

221 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 23:43:58 ID:Cv5tdzVU]
以上です。
大量のスレ消費許してごしないorz
個人的に子供時代のふみちゃんとしげーさんを
絡ませてみたいという妄想の産物でしたw
のんのんばあ個人的に大好きなので
話に絡ませたいというのもあったのですがw

スレ汚し失礼しますた

222 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 00:45:57 ID:LDgC1qe7]
>>221

> それからあの子の体にもしげーさんの心が入っとるよ

ここじわっときた
泣くとこじゃないかも知れんけど泣けた
ほんわかいい話だ なんか嬉しい
だんだん

223 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 02:11:58 ID:RXERKQ4w]
>>221
力作GJ!
のんのんばあ、自分も好きだ
おばあも好きなんだが…今日の最後のナレーションに
ちょっこし泣きそうになったのは秘密だw

んで。自分的にはエロ無しでも全然おk
上にある浦木絡みのドタバタ話や、夫婦がイチャついてるだけの話とか…
てか、ゲゲゲの話なら大歓迎!щ(°Д°щ)カモォォォン
だから職人様方、投下お待ちしちょりますけん!

224 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 08:18:58 ID:8mErdX0L]
泣いてしまいましたよ……力作をありがとうございます!
シゲェさん、心の優しいガキ大将だったんだろうなぁ、と想像していたので特に。





225 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 09:47:38 ID:63ByYYxt]
優しい気持ちになりました
だんだん!

226 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 14:29:27 ID:/trV76PV]
職人さん、今日も新作をだんだん!
しげーさんの優しさに泣けた・゚・(つД`)・゚・

自分は書けないけど、そのときになればスレたてなど
お手伝いさせてもらいますんで、どんどん投下してくだされ。

227 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 17:22:41 ID:8mErdX0L]
シゲェさんも布美チャンも結婚するまでは経験は無かったよね…きっと。
今みたいに情報が溢れていた訳では無かっただろうから、色々、あっただろうなぁ…

228 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 17:42:43 ID:BxsofHpd]
ゲゲはありだったらしい

男の場合は今よりずっとそういう所はずっとおおらか
悪所も今よりあちこちにあったし
軍隊入って無縁ってことはないだろう

女の場合は知識の入手が困難だろうなあ

229 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 18:24:38 ID:4y5AYY87]
>>204
貧乏なうちはまだイチャイチャしてるところ見れそう。
でも漫画家として成功する辺りから殆ど見れなくなりそうで嫌だな。

230 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 19:15:20 ID:8mErdX0L]
あ、でもすれ違いの生活で
「シゲェさん、アタシ寂しいの(′゚ω゚`)シューン」な布美チャンに萌えちゃったりする

231 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 19:55:01 ID:punCxmJi]
>>228
フミちゃんは兄弟いたし家事手伝い歴長いから兄弟の部屋の片付けついでに当時のエロ本らしきものちょっこし目にしたことあるかもしれんよw
あと、ねーちゃん達が里帰りした時に猥談とかw

アキ「うちのだんなったらね…w」
ユキ「うちだってw」
フミ「そげなこと…想像もつかん…きゃw」
アキ「フミちゃんだっていずれお嫁行くんだけん」
ユキ「そーよーよく聞いて勉強するんよー」
フミ「////」



数年後
フミエ帰省する
フミ「うちの人ったら…w」
アキ「そげなところでー!」
ユキ「そげに激しいー!」
イズミ「ムッハーww」


232 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 20:35:42 ID:ZOzYb7Dl]
イズミwww

233 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 22:42:04 ID:CGoyhqp6]
四姉妹楽しそうだなww

234 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 23:00:56 ID:jO6/yeLB]
イズミって洗濯機と冷蔵庫ではしゃいでた子かw楽しそうだな。



235 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:14:00 ID:dAf6qDXf]
今回は幻になったクリスマスのホットケーキが見たかった。

去年もホットケーキでイチャイチャクリスマスを過ごしてそうだw
源兵衛の蜂蜜もあったことだしw

236 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:20:17 ID:LTiCCA1E]
>>235
なるほどーwだから茂さん嬉しそうだったんですねw

みなさん
いつも温かいお言葉ありがとうございます
だんだん♪

今週分の録画見てたら、また性懲りもなく書いちゃいましたorz
エロなしですが
よかったら

237 名前:こんにちは赤ちゃん1 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:23:17 ID:LTiCCA1E]
第10週
こんにちは赤ちゃん
第60回


「おいっ帰ったぞ」
「あなた。おかえりなさい」
「…んっ?ちゃぶ台どげした?あげなところに」
「すんません。いま、靖代さんが来て、マッサージしてくれてたんです」

〜・*・〜・*・〜・*・〜・*・〜

「ほぉーそげか。そんだったら揉んでやる。ちょっこし座れ」
「帰って来たばかりですけん。ええですよ」
「ええから座れ」
「はい」
「ここか?」
「…うーん。ちょっこし下かな」
「ほんならここか?」
「はい。はぁ〜気持ちええです」
「そげか。…こんな、ふとぅなって…大根の妖怪みたいじゃな」
「まっ!ひどいっ」



238 名前:こんにちは赤ちゃん2 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:24:35 ID:LTiCCA1E]
「…………悪かったな…」
「えっ?」
「あんたが辛かったん気付いてやれんかった」
「……あなた……あっ!」
「んっ?」
「いま、赤ちゃん動いたっ!ポコポコお腹けってます」
「おぉそげか。元気でええ」
「あなた触ってみてください」
「んっ…俺はええ」
「ええからっはようっ」

「んっ…おっー動いちょる」
「はい。もぅ声も聞こえちょるそうです。なにか話してやってください」
「おおー…………………………んっ…あー…………」
「もぉー…【お腹さすりながら】パパは照れ屋さんですねぇ」
「パパー?!!!パパは、いかん!////背中がこぞはゆーてかなわん!」
「(そげに照れんでも。クスクス)…いけんですか?じゃーこの子になんて呼ばせるんです?」
「…父上…」
「……本気ですか?」
「あぁーもぉーいまのはなしじゃ!!んー考えとくけん!」
「はい。クスクス…お願いしますね」



239 名前:こんにちは赤ちゃん3 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:25:31 ID:LTiCCA1E]
「だらっ!今は、マッサージだろうが!」
「はい。すんません。クスクス」

「………しかし…なんだ…しばらくせん間に乳ぃ膨らんどらんか?」
「えっ?…あ…もぉー////」
「んーっ…わしが揉んでもピクリともせんかったのに…」
「ちょっ!!なにゆうちょるんですかっ!////もぉー」
「あはははっ」
「うふふふっ」




240 名前:こんにちは赤ちゃん4 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:26:21 ID:LTiCCA1E]
〜・*・〜・*・〜・*・〜・*・〜


クリスマスイヴ

ほぎゃーほぎゃー
「生まれたっ!生まれたぞっ!!」


「大丈夫か?」
「はい」
「よう頑張ったな」
「はい」
「ご苦労さん…………………おかあちゃん」
「………だんだん……………おとうちゃん」


ちゃんちゃん♪

241 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:51:39 ID:El94+uq2]
>>237
フハッ!イチャイチャ夫婦ktkr!!
ふみちゃんの乳の成長に目敏いゲゲルにワロタw
職人様いつもだんだん!

ホットケーキ話、自分も読みたい!どんぐり拾い話も
あとお風呂ネタマダー(AA略

242 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 02:22:00 ID:mAxIoGOE]
ボインは〜お父ちゃんの為にあるんと違うんやで〜♪

243 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 12:00:50 ID:J6b+TjOk]
>>191
言葉使いもドラマの雰囲気に合ってるし、萌えポイントしっかりwww
凄く良かったです♪♪♪

>>228
本物の茂さんはわからないけど
ドラマのゲゲルはかなり童貞っぽいw
深大寺の頃までは目が合うだけでも照れてたし

244 名前:藍子 7才 mailto:sage [2010/06/07(月) 12:42:11 ID:LTiCCA1E]
1ねん1くみ
むらい あいこ

きょうは、ちちのひなのでうちのおとーちゃんのさくぶんかきます

うちのおとーちゃんは、まんがかさんです
まんがかさんは、おうちでおしごとするから、おとーちゃんまいにちおうちにいます。

こないだうんどうかいのれんしゅうでころんだから
「うんどうかいいやだなー」と、わたしがいったら
「おとうちゃんは、うんどうかいすきだ」と、いいました。
「おとーちゃんおてていっこしかないのにすきなのー?ころばんのー?」と、きいたら
おとーちゃん「おとうちゃんは、まいにちおかあちゃんとおふとんでうんどうかいしとるんよ」と、いいました

うちのおとーちゃんすごいなーとおもいました





245 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 17:41:41 ID:cO+xQ5sb]
>>237
だんだん!
靖代さんマッサージのその後気になってたから、読めて嬉しいw
やっぱりゲゲルはフミちゃんのあっちの成長を気にしてるんだなw

>>244
藍子ちゃんwwww

246 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 19:41:37 ID:WsWhWUIY]
>>244
そうきたかw

247 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 00:00:26 ID:drVTb/VB]
>>242
月亭可朝乙

248 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 00:44:37 ID:xXaJXg0l]
>>244
藍子タンwww
つか子供に何てことを自慢するんだゲゲル親父www
フミちゃん毎日ご苦労様っす(゚д゚)ゞ

あと、妊娠中でも安定期(5ヶ月〜)に入ったら
セクロスしても大丈夫らしいので…頑張って頂きたい
色んな意味で

249 名前:おとーちゃんとあいこ mailto:sage [2010/06/08(火) 01:17:23 ID:QNy+RQW4]
「きょう、がっこうで『あいこちゃんのおとうさんもおかあさんも大きいから、あいこちゃんも大きくなるね』っていわれたー!わたしも大きくなるー?大きくなりたーい!」

「おぉそげか。藍子は、きっと大きくなるけん。好き嫌いしないでたくさん食べろ」

「ほんとーおとーちゃん?わぁーいわぁーい!おかーちゃんみたく大きくなるー!」

「だけん。大きいおかあちゃんもかわいいけんど、小さいおかあちゃんもかわいいんやぞ」

「ちいさいおかーちゃん???」

「おとうちゃんとおかあちゃんが結婚したばかりの頃、夜おとうちゃんが、おかあちゃんの布団めくると、おかあちゃん子猫みたいに体丸めてプルプル震えてるんがかわいくてなー」

ひゅーん
がしゃーん!
ピュー

「おとーちゃん。おかーちゃんがなげたやかんあたまにあたって、ちぃーでとるよー」

「はははっ。おかあちゃん藍子産んでからほんにたくましくなったなー」

250 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 01:21:05 ID:QNy+RQW4]
>>244>>249
立て続けに駄作すんません!!
>>244昼休み終了3分前にどーしても書きたくなって(^_^;)

251 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 13:40:26 ID:437PY8tg]
シゲさん、娘相手にノロケはいけんわーwwwだがGJw

252 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 14:26:02 ID:stE15gS+]
今日、浦木が本持ってくるシーン>>179思い出してニヤニヤしてしまったww
>>250
GJ!お疲れ様です。
やかんの音ワラタww
茂=犬、ふみちゃん=猫だなw
2人ともカワエエ。でかいけどw

253 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 20:48:49 ID:fC8ZOH+P]
>>252
そして、

和枝「『妻の心得』もいいけど、あんまり神経質になる事ないよ。
   うちなんかオトコ3人、何から何まで全部違ったんだから」
靖代「(フハッ!)はね、参考書どおりにはいかないの。何かあったら
   うちらに聞きなさいよ。大概の事は経験してるんだから」
徳子「靖代さんの(フハッ!)経験じゃ ちょっと古いわよ」

ですね、わかりたくもありません。

254 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 04:29:37 ID:v4m2/6SD]
>>253
(フハッ!)にワロタw

子育ての、人生の先輩達から色々と学んだふみちゃんが
しげぇさんを喜ばせてくれる日は、そう遠くないだろうw

おとうちゃん・おかあちゃんになったけど
まだまだ二人のイチャコラが見たいぞー!щ(゚Д゚щ)クワッ



255 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 20:31:23 ID:DROTS3ul]
今日の放送分
切ないエアお雛様シーンなのに、不覚にもエアあーんに萌えてしまったorz

256 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 20:43:20 ID:SILcyyvC]
>>255
自分も恥ずかしながら夜、エア酔っ払いのおとうちゃんが「酔った酔った〜」とか言いながら
おかあちゃんの布団に潜り込むの想像してもた

257 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 22:20:13 ID:v4m2/6SD]
>>255>>256
ナカーマ達(・∀・)人(・∀・)ハケーン!
ほのぼのと言うにはあまりに切なくて
朝飯が喉を通らなかった…

>>256
おとうちゃんならマジでやりそうwww
てか、ソレすげー読みたい!!!
反対に、おかあちゃんが酔っ払ったフリして
おとうちゃんに甘えるのも良いなぁ…
おかあちゃん、いっつも頑張ってるんだもん…
たまには甘えさせてあげたいよ

258 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 11:12:18 ID:Q9dw2XJt]
179です。
本編の方はなにやら不穏な感じですが、
浦木騒動の続きを書きましたので空気読まず投下します。
糖分増量してみましたが、(フハッ!)には程遠く、
非エロの初初夫婦コントです。
よろしければ。

259 名前:夫の心得1 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:13:27 ID:Q9dw2XJt]
ある日茂が外出から戻ると、布美枝が一心不乱に本を読んでいるところだった。
茂が入ってきたのにも気付かない。

「おい」
「はい!」
布美枝はとびあがった。

「か、帰っとられたんですか。
ああ、びっくりした。」
さりげなく後ろに本を隠すようにしている。
「お帰りなさい。」
少し顔を赤らめ、明らかに挙動不審だ。

女房と本、というとり合わせに、嫌な記憶が蘇った。
まさかと思いつつ、
「その本はなんだ。」
「あの、ちょっこし、美智子さんのところでお借りして…。」

―その手があったか!

浦木を追い返して済んだ気になっていたが、こんなところに思わぬ伏兵がいたとは。

「ちょっこし見せてみい。」
「でも…。」
布美枝はしばらく俊巡していたが観念したのか、茂の方に表紙を向けて本を差し出した。

「なんだこれは」
気の抜けた声が出た。
それは、乙女チックな装丁の、どうやら翻訳された小説のようだった。
「何だと思われとったんですか?」
「てっきり…こないだの浦木の本かと」
ほっとするあまり本音が出てしまう。
布美枝は気まずげに、
「実は…浦木さんの本も、美智子さんに仕入れてもらえるようたのんどったんです」

「!」

新たな攻撃に、茂は言葉もない。
「美智子さん、最初はとっても乗り気で、任せといて!と言っとられたんですが…。
でも結局、仕入れはしてもらえんかったんです。」

九死に一生である。

260 名前:夫の心得2 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:14:44 ID:Q9dw2XJt]
それが、仕入れのできんかった理由を聞いてみたら、美智子さんものすごく言葉につまっとられて…
夫婦で協力して、とか、まずは水木先生に色々と教えてもらって、
とかよくわからないことをつぶやかれてました。
どげされたんでしょうね?」

「あーそれは、ほれ、あれだ。
あんたが楽しみにしとったから、きっと悪いと思われたんだろう。」
とぼけるしかないのが情けないが、伏兵はどうやらこちらの味方だったようだ。

「そげですね。
私があんまりがっかりしとるんで、美智子さんが代わりにこの本貸してくれたんです。
ふみえちゃんの好きそうな、ロマンチックな本なのよ、って。」
こみち書房の女将もうまく説明できず、さぞ困ったことだろう。
茂は噛み合わない二人のやりとりを想像して、おかしくなった。

「あっ、やっぱりわらっとられる。
ええ年して、恋愛小説で喜んでって。
だから隠れて読んどったのに…。」
「いや、そうでなくて」
また見当違いのことで口をとがらせている女房をごまかすために、
あわてて右手で細い肩を引き寄せた。

「恋愛小説くらい、いくらでも読んだらええ。
わしはそういう本にでてくる男みたいに、気の効いたことはいえんしな。」
布美枝は茂の心臓のあたりに頬をあて、しばらくじっと固まっていたが、やがてぽつりとつぶやいた。

「言うてくださっとりますよ。」
「え?」
「あなたの手が、言うてくださっとります。」
「手?」
布美枝は小さくうなずき、
「口では何も言われんけど、この手に触れられるたびに、
あなたの気持ちが伝わってくるような気がするんです。
ちゃんと大事に思って下さっとるって、わかっとりますから…。」
恥ずかしくなったのか、だんだん声が小さくなる。
押しつけられた顔が熱い。
「そげか」
「はい」
自分の手がそんなお喋りだとは知らなかった。

―しかし触れられるたびって、どんな場面のことをいっとるんだか。

この女房は、無意識に夫を煽っている事にも気付いていないのだろう。
お喋りな右手は、布美枝の背骨を辿っていく。
布美枝はびくりと跳ね上がり、顔を上げた。
「もお…ふざけんとって下さい。」
まっ赤な顔でこちらを見上げ、抗議してくる。
「いや、今もつたわっちょるかと思って」
笑いながら背を支える手に少し力をこめ、こつんと額を合わせた。

布美枝はもう何も言わず、じっとしている。
二人の吐息が混じりあう。

―甘いな。

茂は甘い吐息の源にそっと唇をよせた。


261 名前:夫の心得3 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:15:56 ID:Q9dw2XJt]
「こんにちはー!皆様の浦木が参りましたよー!
あれっ?なんだなんだ、二人してこんな狭い部屋でそーんなに離れて座って!
相変わらず淡泊な夫婦だなあ〜!」

「い、いらっしゃい、浦木さん。」
「ん?奥さん顔が赤いですよ?
いけませんな〜、今は悪い風邪がはやっとりますからね〜。」

「…お前何しに来たんだ。二度と来るなと言っただろう。」
いつもの五割増しで茂から立ち上る怒気に、さすがの浦木も後ずさる。
「ええっと…そうそう!こないだの妻の心得!なかなか評判がよくてなー。第二弾を作ったん
だ!」
「第二弾?」
「その名も夫の心得だ!」
じゃーんとばかりに本をだした浦木の腕を、無言で掴んでいつものように放り出す。

「ちょっとまてって!
こんどは前回と趣向をかえて、口下手な夫に救いの手を!
ロマンチックな愛情表現の手法だぞ!」

一度閉められた扉から突然茂が顔を出した。

「この本はもらっとく」
浦木の掲げた本がひょいと取り上げられ、またしても鍵の閉まる無情な音が響く。

「ってええー!本だけ?俺は?
おかしいなー、俺としたことが最近負け続きだ…。
ま、ゲゲがあの本を気に入ったら漫画のページ使って宣伝させてやるからいいか…。」


その夜、閉めきられた仕事部屋では。
「浦木の頭は絶対膿んどるな…。
まず花を贈れ?次に片膝をついて、あ、愛してますと言えだとー!
だらっ!できるかっ!」
夫の心得を開いてみるも、とても自分には出来そうにない事ばかりで、
茂は頭をかきむしるのであった。

その頃襖を隔てた隣では、布美枝の読書も全く進んでいなかった。
「…昼間あげに言われとったけど、
うちの旦那さまは、自分がどんだけ甘いことやっとるか気付いとらんのだわ…。
あー心臓がもたーん!」
いろいろ思い出し、真っ赤な顔を本に伏せじたばたと照れる布美枝の前で、
一反木綿まで恥ずかしそうに身をくねらせていた。

オワリ

262 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 13:16:15 ID:+f6s8+uC]
(*^Д^*)

263 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 15:32:55 ID:+f6s8+uC]

「……ンー いいお天気…」
洗濯竿に並んだ洗濯物が風を抱いて揺れる。
洗濯籠を手に玄関に入ると、茂の仕事部屋から時折話し声が聞こえる。
「……でな、こいつはベトベトサンといって……」
布美枝がそっと仕事部屋を覗くと、茂が胡座の上に藍子を座らせ、自分の描いた絵を見せなが
ら、何やら話し掛けていた。
「でもな、こいつは悪い奴では無いぞ。そっと道を譲ってやると消えてしまうんだ…」
「 …アー、…ンーマ……」
「オー、そうか、わかるかー」
茂の話し掛けに相槌を打つ様に、藍子が声を出す。
“お父ちゃんったら… まだ藍子には分からないわよ …もしかして親バカ?”
そう思いつつも邪魔をしてはいけない気がして、少しの間、2人の掛け合いを静かに聞いていた。

264 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:18:07 ID:s34ckjAf]
こんな萌えスレがあったとは…皆様gj
きっと霊園遭難しかけたゲゲを温めるのはフミエさんの人肌



265 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:29:12 ID:BcPZfmua]
うp途中?(>>263)に割り込んではいけんと思ったけど
だいぶ時間あいてるし大丈夫かな


>>259-261
GJ!!!!!
セリフの1つ1つがそれぞれの声で完全脳内再生される!
萌えすぎてPCの前でゴロゴロ悶えてる自分キモスw

266 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:59:25 ID:E3aynYZd]
>>259
GJ!禿萌えたw
今日「テレビぴあ」で浦木が村井夫婦の前で紫の表紙の本を持ってる写真見て
「もしや妻の心得?」とニヤニヤしたばかりだw

夫の心得はちゃっかり貰う茂ワロスw
あと、主題歌の「♪繋がれた右手が〜まっすぐな思いを〜」の部分を思い出して
ジーンとしました。

267 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 00:02:32 ID:4qsINcZ4]
>>259
萌えた!!GJ
浦木がこんなに役に立つとは思わなかったわー

しかし最近、フミエがちょいちょい茂にくだけた口調になってきてるのが自然でいいなあ

268 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 00:36:25 ID:S9zy867A]
>>259
だんだん!浦木もナイスアシスト!

茂さん、左腕がないハンデを全く感じさせない人なんだ
夜のお喋りな右手の話もよろしくおながします

>>264
「いかん、お父ちゃん身体が冷えきっとる…」ですね分かります

269 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 01:14:48 ID:HBe82FOk]
クエスタで布枝さんにヒゲ剃られてる水木先生がちょっと映ってたね。いやーんいやーん、ううーっみたいな顔が可愛かったw
爪切りに続いて、あれもドラマでやらないかな。

270 名前:263 mailto:sage [2010/06/11(金) 06:53:16 ID:Ulqzw3/6]
近所で火事があって、停電しちょりました…orz

途中のデータも吹っ飛びましたorz またあとで投下します………

271 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 07:01:09 ID:oem//3Oa]
それは残念な!

投下待っちょります!!




272 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 09:32:50 ID:akbeBh0B]
ナ・ナンダッテー(AA略
まあ…お体ご無事で何より…データは勿体ないけど(´Д⊂)
でも>>263の作風、すごい好きだから
楽しみに待ってます!

273 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 20:17:00 ID:5FlBna6N]
このスレの見すぎなせいか
今日の放送分でローソクが消えてフミちゃんが星空眺めてる時
次の瞬間、ゲゲがフミちゃんを押し倒すシーンが脳内再生されたw

274 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 21:40:44 ID:GeEp6BPl]
ナカーマw
おお、ゲゲが押し倒す展開がくるのか!とちょっとwktkしちゃったぜ
あれはもう絶対に

ゲゲ押し倒す
「な、何するんです?お父ちゃん」
「ろうそくの火も消えてしまったけん、今日はもうオシマイだ」
「…ッあ、ちょ、ま、待って。ま、窓あいちょるんですよ!」
「どうせ隣は墓場だし、誰もきいちょらんだろ、いいから素直に横になっとけ」
「もうッお父ちゃんたら」

みたいな展開だとばっかり……




275 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 00:35:18 ID:/TXJYvXs]
おおおおお
ぴったりですなあw
出来たら続きなんかもよろしくおねがいしますだwww

276 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 01:08:19 ID:1WQ7YuMc]
いい感じになったところで、窓から
「私、大蔵省の者ですが…」

277 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 01:46:04 ID:UHUZvbs9]
邪魔するな大蔵省wしかし普段も貧乏神は部屋にいるし、じーっと見てそうだな。

278 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 03:03:52 ID:hVtNyP10]
しかし呼び名がお父ちゃんになったのがつくづく残念だ
二人の時だけはあなたに戻ってくれんかのぅ

279 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 05:15:25 ID:fHLDEfo7]
極貧でもアレだけ仲むつまじくいられるのは
夜の仕事が充実してるお陰だ。
金も無い娯楽と言えば、SEX以外ないでしょ。
39歳で絶倫ですな水木先生。
まあ腕っ節も強いみたいだし、漫画にはエロスを感じるし大人漫画では
露骨に勃起描写まである。
健全ですな。

280 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 09:23:23 ID:1U+qM67p]
>>278
ドウイ。
名前で呼び合うのは無理だとしても、
2人っきりのときは「あなた」「お前」って呼び合ってほしい。

281 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 04:02:10 ID:Z9/dMDSd]
ゲゲゲ好きが高じて?初めて書きました。
藍子ちゃんも生まれて半年経っとるというのに、
今さらナンですが、初夜編を・・・。

282 名前:1 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:04:17 ID:Z9/dMDSd]
今日、なのだろうと布美枝は思っていた。

戌井が帰ったあと、間借り人の中森も賄いに礼を言って二階へ戻っていった。
茂が風呂に入っている間に、布美枝は布団の準備をしていたが
その手は小刻みに震え、心ここに在らず、
心臓が喉から出てきそうなほどぎゅうぎゅう胸が高鳴った。

茂と結婚、東京に出てきて約半月。
締め切り締め切りと日々まともに話しさえできなかった。
布団を敷いておいても、朝起きると茂は仕事部屋で机に突っ伏しているか、
そのままごろりと横になって寝ているかのどちらかだった。
そんな中で、床を共にするなど当然なかった。
そういえば覚悟して臨んだ新婚初夜でさえ、
少しの間話はできたものの、
結局酔いつぶれた茂が眠ってしまって何事もなかったのだ。


しかし、今日、と布美枝は改めて思った。

よかれと思ってやった仕事部屋の掃除から、
茂の思わぬ不興を買ってしまい、布美枝はひどく落ち込んだ。
帰って来ない茂を待つ間、本当に不安で仕方がなかった。
が、戻ってきた茂から自転車をプレゼントされ、
二人で出かけ、初めて色々な話ができた。
布美枝は、茂という夫に少し近づけた気がしていた。

茂を追い立てていた原稿は上がり、
夫婦につかの間のやすらぎの時間ができたのである。


「あんたも入ってきたらええですよ」
「えっ!」

いつの間にか風呂から上がった茂が立っていて、布美枝は飛び上がった。

283 名前:2 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:05:51 ID:Z9/dMDSd]
「あ、は、はいっ」

そそくさと出て行く布美枝を見送りながら、
茂は頭をぽりぽり掻いて、ちらりと布団に目を落とした。
やはり、今日、なのだろうと茂も思っていた。

親に強引に進められた結婚だったが、
結婚した以上はそれなりの生活があって然るべきなのだろう。
布美枝の「ここで暮らしていくんですけん・・・」の言葉が思い出される。

独りで居たこの家が、中森の同居はともかく、
少し賑やかになったのは間違いなく布美枝という存在の所業だ。
今日の深大寺の散策も、墓めぐりも
全部独りで楽しんでいたことなのだが、
二人で、というのも存外悪くないものだと思った。

締め切りも何とか乗り越えた。
明日からは富田のオヤジに頼まれた戦記物の漫画に取り掛からなければならない。
今夜くらいはゆっくり・・・
とまた、布団に目をやる。

「・・・」

また頭をぽりぽり掻きながら、茂は布団ではなく仕事机に向かった。
とりあえず布美枝が戻ってくるまで、次回作の案を練っておこうと思った。
そうしなければ、他の想像力にかきたてられ、
居ても立ってもいられなかった。

284 名前:3 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:07:29 ID:Z9/dMDSd]
布美枝が緊張した足取りで風呂から戻ったとき、
茂は仕事机に向かって何やらブツブツ言いながら鉛筆を走らせていた。

ああ・・・。
この人はやはり仕事のことしか頭にないのだ・・・。
布美枝は少しがっかりした。
壊れるくらいに高鳴ってどうしようもない心臓を抱えて、
ひとり緊張していた自分に脱力していた。

小さくため息をついて、布美枝が長い髪から落ちる雫を丁寧にふき取っていると
茂が大きくクシャミをした。

「大丈夫ですか?半纏、着たらどげですか?」
「ああ、えっと」
「あ、こっちに」

居間に投げ出されてあった茂の大きな半纏を持って、
布美枝は茂の机に近づく。
机上のスケッチブックには飛行機や戦艦のラフスケッチがあった。

「・・・すごい!何も見んでもこげにキレイに描けるんですね!」

身を乗り出した布美枝に、茂もまんざらでもない風で
「まあ、描き慣れとりますけん」
「次に描く漫画ですか?」
「そげです。戦記物を頼まれました」
「戦記物・・・」
布美枝にはあまり漫画のことはよくわからなかったが、
引き続きスケッチブックに絵を生み出していく茂に、
心底感心して、しばらくその様子を見ていた。

すると茂がそのままの体勢で「・・・今日はすまんでしたね」とつぶやいた。

「怒鳴ったりして」
「そんな、あたしこそ、余計なことして」
「・・・」
「・・・」

会話が、途切れてしまった。

布美枝の心臓がまた、早鐘を鳴らし始める。



285 名前:4 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:08:54 ID:Z9/dMDSd]
仕事机から布美枝に向き直った茂は、
ぎゅっと口を一文字に引き締めて俯いている布美枝に、
どう声をかけようか、しばし戸惑った。

どう考えても、この女房は29年間男を知ることがなかったわけで。
そして、やはり自分と同じように、
今日がその日なのだろうと思っていて、自分なりに覚悟を決めているようで。

「緊張」を全身で物語っていて、少し可笑しくなった。

「ははっ」
「・・・えっ?」
「や、ずいぶん肩に力が入っとると思って」
「え・・・え、や、えっと」

真っ赤になった布美枝の左腕を軽く掴んで、
茂はそっと、唇を近づけた。

とたんに布美枝ははっとして、急いで俯いた。

茂の唇は目的地ではなく、布美枝の額に、落ちた。

「・・・」
「あっ、す、すんません!」

さっきよりさらに真っ赤になって額を押さえる布美枝を見ながら
茂ははははっと笑った。
それから、少し、また沈黙があった。

沈黙を破ったのは、意を決したかのような布美枝の声だった。


286 名前:5 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:10:02 ID:Z9/dMDSd]
「あ、あの、あたし!・・・その、なんも、わからんのです。どげしたらええのか・・・」
「・・・」
「女房ですけん、その、コトは、ちゃんとせんと、と思うんですけど、
 いざ、となると・・・どげな顔して、どげしたらええのか・・・」

だんだん小さくなる声と、だんだん小さくなっていく身体、を
茂はそっと近づいて、右腕で抱き寄せた。
電信柱の面影もすっかりなく、布美枝はすっぽり茂の腕に収まった。
どき、どき、どき、どき
声はもう、出ない。
すると茂の落ち着いた声が、布美枝の背中から聞こえた。

「まだ半月ですけん、嫌なら嫌、と言うてくれたらええです」
「え・・・」

そして、抱き寄せる手を離し、体勢を元に戻すと、布美枝をじっと見つめた。
布美枝はそんな茂をしばらく見ていたが、慌てて俯いてしばらく黙っていた。
が、やがてかすれた小さな声で

「いや・・・じゃ・・・ない、で、す」

その言葉に押されるように、茂の右手が布美枝の長い髪を撫で、
ゆっくり、顔を近づけてきた。
布美枝はもう俯くことなく、茂の唇を自分のそれで受け止めた。

触れる。一度。
二度目。
角度を変えて、三度目。

少し離れたあと、今度は頬に。
そしてまぶた、鼻、反対の頬。そして、四度目の唇。

鼓動が尋常でないほど音を鳴らすので、
布美枝は息苦しくなって「はっ」と喘息した。
その瞬間を、茂は待っていたかのように逃さなかった。

開いた口のわずかな隙間から、舌を割り込ませる。
布美枝はびっくりして思わず茂から身体を離そうとしたが、
茂の腕ががっちりとそれを止めて、深い口づけを続けた。

287 名前:6 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:11:40 ID:Z9/dMDSd]
やがて唇は離れたが、布美枝はぼーっとしてしまっていた。
絡まった舌の感触がまだ残っている。
そんな布美枝を見て、茂はぽりぽり頭を掻いて、
居間に敷いてあった布団を一組、ずるずると仕事部屋に引っ張ってきた。

襖を閉めると、後ろから布美枝を抱きしめた。

はっとした布美枝はまた肩に力をこめたが、
今度はその肩あたりに茂の唇が降りてきて、また脱力する。

長い髪をよけ、首筋からゆっくり肩にかけて舌を這わした。
布美枝はぞくっと身震いをする。
その間、茂の右手は布美枝の寝巻きの帯をゆるめ、
合わせ目からそっと寝巻きの中へ進んでいく。

ふたつの丘陵のうちひとつを揺さぶると、布美枝の口から息がもれる。
その先端をすこし弄んでみると、また恥ずかしそうに嘆息した。

二人はゆっくり身体を布団に沈めていった。
茂は左肩で身体を支え、右手は布美枝の左胸を、口で右胸を愛撫した。
布美枝は初めての感触に緊張もしたが、やがてその快感に酔いしれていく。

布美枝が閉じていた目をそっと開けると、自分の胸に吸い付く茂の顔が見えた。
また鼓動が一段と大きく跳ねた。
するとその茂と目が合い、まるで「見るな」とでも言う風に、
また深い口づけをされた。
息が、できないほどの。

「はっ、は・・・ぁ」

絡む舌、揉みしだかれる胸、
ふと、腿のあたりに当たる硬い感触。
布美枝の心臓はまた何度目かの跳躍をした。

288 名前:7 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:12:25 ID:Z9/dMDSd]
まるで邪魔者のように、茂は自らの寝巻きを脱ぎ捨てた。
実家の兄や弟の裸でさえまともに見たことがなかったけれど、
こうも男の身体とは美しいものなのか、と布美枝は思った。

残念ながら、左肩のすこし先からはぽっかりと空間になっていたけれど、
分厚い胸板と、太い右腕、くっきり浮かぶ鎖骨。
このままうっとり見ていたかったが、またしても「見るな」という口づけ。

何度も受けていると慣れてくるもので、布美枝もその口づけに応戦していると、
今度は茂の手が布美枝の内腿をなで上げ、そして秘所へと向かっていく。

恥ずかしさにあせる布美枝は、茂の肩を全力で押し上げてみたがびくともしない。
茂の中指が下着の上から布美枝の割れ目を確認し、
そして次の瞬間には下着の中に手を入れ、直に攻めてきた。

「やっ・・・!」

さすがに抵抗した布美枝だったが、茂の指は入り口を探し当て、そっと入り込んでくる。
中を確かめるように蠢く指に、布美枝は背中をのけぞらせた。
「あっ・・・ぃや・・・」
遮るように茂の唇に布美枝の声が吸収された。

鼻からもれる、布美枝の声にならない声と、
布美枝の泉から聞こえてくるクチュ、クチュ、という音。
時折、茂がもらす息苦しそうな喘息。

しんとした冷たい部屋に、それだけの音がしばらく続いた。

289 名前:8 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:29:35 ID:Z9/dMDSd]
どのくらいそうしていたか、やおら茂が上体を起こし、
布美枝の脚に手をおいてそっと開かせた。
布美枝はどきりとして、ぱっと脚を閉じたが、
それを見た茂が、今度はそっと、一度目のときのような口づけをしてきた。

唇を離した茂は、少し困ったような表情をしていた。
布美枝は伺うように茂を見つめる。

「・・・ええか?」

小さくうなずいた。布美枝は目を閉じて、茂に任せるしかなかった。

やがて、ぎゅっ・・・と。

布美枝の茂みを分け入って、茂自身が入ってきた。

「いっ・・・!」

先ほどまで遊ばれていた指とは比較にならないほどの大きさのものが、
布美枝の中に入ってこようとする。痛みが、走る。

茂の背中に必死にしがみついて、布美枝は痛みに耐えた。
ゆっくり、確実に進んでくる茂自身を感じながら。
その間も、茂は布美枝のまぶたや耳に、口づけをくれた。
まるで労うように・・・。


やがて、ぴたり、と茂の動きが止まり、ふう、と息を吐いたのがわかった。

「全部、入ったけん」
「・・・あぁ・・・は、い」
「ちょっこし、動く」

言うなり、ゆっくり腰を動かし自身を抜き差しし始める。
また痛みのあまりに茂の肩を掴んで、涙目になった布美枝だったが
茂は優しくその涙を吸い取ってくれた。

「はっ・・・はっ、はあっ」
「あ・・・っ、あ・・・あ・・・」

動きに合わせて、二人の呼吸が重なっていく。
部屋には、火鉢の暖しかなかったが、二人はすでに熱に乱されていた。

290 名前:9 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:55:30 ID:Z9/dMDSd]
やっと布美枝の痛みがやわらいできたころ、
「もう・・・終わる・・・」
茂が苦しそうにつぶやいた。

やがて、どくっと布美枝の中で茂が脈打ったのが分かった。

「はあ、はあ・・・」
「あぁ・・・はぁ・・・」

しばらく二人は折り重なって息を整えていたが、
茂が布美枝に軽く口づけると、そっとその身体を離した。

照れくさそうに、そそくさと寝巻きを回収する。
布美枝も脱がされて行方不明になっている寝巻きを探した。

「ああっ」
思わず、布美枝が叫んだ。

「え?」
茂がびっくりして振り返る。

「シーツが・・・」
見ると、うっすらシーツに血がにじんでおり、
二人の愛液がまざってびしゃびしゃになってもいた。
この様子だと、敷布団も被害にあっているであろうことは想像できた。


「どげしよう・・・換えがない・・・」
シーツも布団も、二組しかない。
寝巻きも羽織っただけの布美枝が呆然としていると
「ちっと狭いが、一組で寝たらええでなーですか」
「え・・・」
「寒いし、ちょうどええ」

にっこり笑う茂を見て、今さらながら布美枝はまた、
顔を真っ赤にして俯いてしまった。

その日の夜は、二人一組の布団で狭いながらも一緒に寝た。
布美枝は茂の右腕を枕に、幸せの中で眠りについた。

おわり


失礼しました・・・。

291 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 09:12:31 ID:KeVO0vKd]
>>18
きゃぁぁ!最高に上手ですけん!ドキドキしちょ〜けん。またいろんなパターンで書いてごしない。だんだん!!

292 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 12:55:23 ID:XGuOaT28]
>>290
実はリアルタイムで拝見していたのですが
PCの調子が悪く、すぐにレス出来ず失礼しました

やっぱり初夜編は萌えますねーw
読み応えがあり、すっごく良かったです!!
フミちゃんは勿論ですが、ゲゲもいっぱいいっぱいな所が素敵です♪♪

293 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 15:27:28 ID:kOpw4w9W]
>>282-290 (*´Д`)乙!!

294 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 15:55:12 ID:U5z1tIaB]
>>282
「今日は17:45まで退屈だ〜」と思いきや、職人様ktkr!
Sゲゲも良いが優しいゲゲもいいな〜
緊張しまくりのフミちゃんもカワユス
禿萌えました・・だんだん!



295 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 22:16:48 ID:qnWbuYxi]
>>281
だんだん&GJ!
このクォリティで初めての小説?!凄いよマジで!

この頃はまだ茂が敬語なんだよなー懐かしス
やっぱり初夜は堪らん〜フミちゃんかわゆすぐる

296 名前:281 mailto:sage [2010/06/14(月) 00:13:00 ID:t0QfGmhb]

レス、ありがとうございます。
なんかすごい嬉しい。

調子のって、次回作を書いています。
もう少しなんですが、眠い。。。

完成したら、うpしますので、お目汚しください。



297 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 01:03:05 ID:+F09kK1d]
はーい

まっちょります!

298 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 16:00:29 ID:AIHWzZFj]
まだかなぁ

299 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 21:13:56 ID:6dmUdXx8]
本スレ落ちてるからこっちに書く

祝☆20パーセント越えヽ(´ー`)ノ♪

300 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 22:39:11 ID:x6iQbIOA]
祝20%越え!
沢山の人がゲゲとフミちゃんに萌えるといいよw

281さんまだだろうか?
ようやく規制解除したっぽいんで暇潰しがてら投下します

301 名前:寝坊之介さん1 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:39:50 ID:x6iQbIOA]

「…もう…」
仕事部屋の戸口に仁王立ちした一反…、いや布美枝は口を尖らせていた。
ゆうべは何時まで起きていたのだろうか。
子守歌代わりにカリカリッとペン先の走る音が聞こえていた。
せめても戦士の休息を与えてやりたい、とは、思うのだが……
もうとっくに陽は天高く上がり、朝の洗濯物まで乾いた昼過ぎだ。

「このままではカラスが鳴くまで起きんわ…」
義母からも重々、茂は寝坊介だと聞いてはいた。
けれどそれは、安来の兄弟達が少年時代もそうだったから、
子供時代の昔話なのだろうと思っていた。が、
四十路近い大男が、酒で酔ったわけでもないのにこんな時間までぐーすかしているのは
如何にも体裁が悪い。

「うん。これではいけん」
ひとつ大きく頷いて気合いを込めると、大口開けて寝息を立てる茂の元にお膝した。

「あの…っ」
遠慮がちに肩を揺すったぐらいではびくともしない。
義母より手紙で直伝されたように声を張ろうとも思ったが、
「や…ご近所さんに聞こえたら…恥ずかしいわ…」と、うまくできない。
上掛けにした布団を一度巻くってはみたが、
大きな背を丸めて背を震わせるのが不憫で、またそっと掛け直してしまう。

「……はあ。うまくいかんことばかりだわ…」
新婚早々間借り人もいる奇妙な新生活。
慣れないことばかりの胸の内を話そうにも、旦那はいつも忙しくて……。
「……うぅん。きっと、私には…私のやり方がありますけん」
胸元に拳を握りしめて、内気さを掻き消すためもう一度気合いを入れた。

「起きて…、起きてごしない?」
いくら呼びかけても聞こえている様子もない。返ってくるのは盛大ないびきばかり。
聞こえていないのならば遠慮はいらないと、布美枝は布美枝なりに大胆に、
その耳元に唇を寄せた。

302 名前:寝坊之介さん2 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:40:50 ID:x6iQbIOA]

「ほーら…昨夜から何も食べてませんけん、お腹も鳴いちょる頃でしょう?」
頭よりも先に腹が反応して、茂はぐぅと腹を鳴らした。
「美味しい美味し〜いすいとんが冷めますよー? 香ばしい焼き魚も身が硬うなってしまいます」
「…うーん…」
食欲への呼びかけが成功したのか、茂は寝返り打って眉をしかめた。

「あは。ほら、ちゃーんと顔洗って、それで……、え?」
急に視界が横倒しになり、布美枝は素っ頓狂に声を裏返らせた。
長い右腕に絡め取られるように引き倒されて、気付けば茂の腕の中。
遅れて事態を飲み込んだ途端、布美枝の頬は朱に染まった。

「……あ…あの……」
不意にいびきが途切れ、胸高鳴らせた布美枝の鼓動が聞こえてしまわないか心配になる。
しかし……
抱き枕でも抱えたように安定すれば、すぐにまた大いびきが上がった。

「……はぁ。ひと筋縄ではいかん人だ…。ね、もうほんとに起き…」
身を起そうとしても茂の腕に抱き寄せられたまま、身動きがとれない。
「あの…っ、あっ…痛たたた……」
無理に身をよじってみても、しっかと抱き包まれた腕の力が枷となり、
振りほどけそうにはなかった。

「ほんに…力の強い人なんだな…。もう、いい加減に起きてっ、起きてー!」
布美枝の願いもどこ吹く風。閉じた目蓋は一向に開く気配がない。
起こすことも、その腕から逃れることもできず、
ただじっと並んで横になっているしかなかった。

303 名前:寝坊之介さん3 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:41:22 ID:x6iQbIOA]

「……。こんな間近でこん人の顔見たこと…なかったわ…」
大柄なのに丸顔で、こうして眠っている顔はどこかあどけなく映る。
だらしなく開いたままの口は無防備で、厚みのある唇を見上げた。
ちょっこし男前ではないか? と思うのは、女房の欲目だろうか。
「…何思うとるんだろ…私」
思わずくすくすと肩を揺らすと、ふと肩越しに視線を感じてた。

恐る恐る襖の戸口に目を向けると……
「! あ…っ」
「……あ…いや、そのぉ……お水を…。いや、いや…いいんです。スミマセン」
「な…中森さんっ。や、違うんですよ、あの…すんません…っ」
こんな恰好をしていたら誤解されてしまう。いや、すでに誤解はばく進中だ。
見られた布美枝も、見てしまった中森も真っ赤で、ただ茂だけが澄ました寝顔を晒している。
こんな時にばかりは、誤解を解く証拠のいびきが止んでしまった。

「あのっ…、お水でしたら…」
起き上がろうとしても茂の強固な腕から逃れることはできない。
「いえ、いえ! こ…これから出かける用事が…できました。
いや! 用事がありました、んで……夕方過ぎになりますので…では」
まるで「ごゆっくり」とでも気遣われたようで、布美枝は頭を抱えた。

パタパタと大慌てで玄関口を出ていく足音が遠のくまで、顔も上げられなかった。
「あちゃー……もぉっ」
こんな(布美枝にとっては)一大事だというのに、茂は今も夢の中。
「ほんっとに…こん人は大人物だわぁ…っ」
恨めしく睨み上げても効果はなく、布美枝は深く息をついた。

304 名前:寝坊之介さん4 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:42:02 ID:x6iQbIOA]

「……一体…どげな夢の中におるんだろ…?」
普段から穏やかで大らかな人なのに、精根込めた作品は重厚で不思議な物語ばかりだ。
まだまだ知らないことばかりだと思うと、こんなにそばにいるというのに、
二人の間はどれだけ遠いのだろうかと、不安になる。

「……ぇ…」
「?」
むにゃむにゃと歪めた唇の端から、聞きなれた名前が毀れ落ちる。
「…ふみえ……」

寝息に掠れた声。
布美枝がびくりっと肩を上げて硬直すると、茂の腕がその輪郭を確かめるように動いた。

「な、な…」
なんて声を出すのだろう。
優しく響く茂の声に胸がきゅっと軋んだ。
面と向かってそんな風に呼びかけられたこともまだなくて、
不意打ちの呼びかけに耳まで熱くなる。

「…ん……、んん…?」
恐る恐る見上げると、屈強に閉じていた目蓋が薄く開いていた。
腕の中の布美枝をその手で、その目で確認すると、茂の口元が穏やかに笑む。
「……もう…そんな恰好…しとってか…」
「は…はい?」
軽笑いまで浮かべて、茂はうわ言のように途切れ途切れに呟いていた。
「あんた…着替えるん……早……て…、また脱が……大変…だ……な」



305 名前:寝坊之介さん5 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:42:45 ID:x6iQbIOA]

「??? あの…起きて、ます? よね…?」
徐々に腕の力が弱まり、堅い枷からは解放されたが。
代わりにその腕が布美枝の身をなぞるように上下して、布美枝はどうしていいのか分からず、
不思議そうに茂の再び閉じた目蓋を見つめていた。
「……まだ…寝とぼけとるんだろうか…??」

感極まったかのように茂の深い吐息が漏れ、己の吐息に驚いたように、
その目蓋がゆっくりと開いた。
「……ん?」
口端の笑みが消え、茂はぱちくりと瞬きを繰り返す。

「ようやっと、お目覚めですか…?」
見開いた目は、さっきの寝ぼけた薄目とははっきりと違う。
目の前の布美枝、抱き寄せている自分の腕、そして煌々と陽の差す窓辺に視線を走らせて、
茂は言葉を失って「こ、こ、こ…」と言葉にならない驚きに喉を詰まらせた。

「おはようございます。朝ごは…いえ、もう、昼ごはんですね。冷めますよ?」
「お…おぉ、はい。すまんです」
慌てて腕を引っ込めると、起き上がりざまに横向いてしまった。
「私もお腹と背中がくっつきそうですよ。顔を洗ってきてごしない」
「あ…あぁ…はい。か、構わんと先に食べててくれていいですけん…」

ああ。もういつもの茂に戻ってしまった。
二人で過ごす日が浅いせいか、いつまでも「飯田家の娘さん」としか
思っていないのかと思うほど、よそよそしい口調。
「そうもいきません。旦那さんが寝とられるのに、先に食事なんて…」
「気遣うことはありません。夜も遅い稼業ですけん…」
夜、という言葉に何か夢の中でも思い出したのか。
茂は所在なさげに頭をぼりぼりと掻いてごまかした。
「? どげしました…か?」

306 名前:寝坊之介さん6 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:43:29 ID:x6iQbIOA]

「あっ、いや。心配には及びません。……おかしな時間に寝ついたせいか…
ミョーな夢を見た…」
ブツブツと独りごちたのを、布美枝は聞き逃さない。
「どけな夢、見とったんですか?」
「え……。そ、れは……」
茂はブルブルとかぶりを振って、そんなこと、女子供には言えんとばかりに口を閉じた。

「なんだか、いーい夢やったんですよね? そげな寝顔しとりました」
そんな楽しげな夢に、自分も出ていたのかと思えば気になって仕方ない。
「は、はあ……、それはそれは極楽…で…。いや! 夢は、夢ですけん」
「気になりますー」
「あまり、覚えてなぁです…よ。さ、早くごちそうにありつきましょう」
そそくさと洗面に向かう茂の背で、布美枝は首を傾げていた。



卓袱台に向かい合って遅い朝食をとる間も、茂は物問いたげな布美枝の視線をちらり見て、
目を戻してはまたちらり見て……
そんな奇妙な沈黙に耐え切れず、肩で息をついた。

「……寝ぼけて、おかしなことしちょったようで…すまんでした」
「は? あ…いえ…。それは…ええんです」
今度は布美枝が目を俯かせて、肩腕にまだ残る茂の腕の感触に頬を染めた。
「へ? えぇのですか?」
「はい? あ、いえ…そー…いうわけじゃなくて…」

怒らせてしまったのかと思えば、すぐに朗らかな笑顔を見せる。
ころころ変わる布美枝の百面相に、茂は口元を緩ませた。

307 名前:寝坊之介さん7 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:44:07 ID:x6iQbIOA]
「……いずれ、ちゃんと教えます…けん」
「はい?」
不意に贈り物の時計が時を告げて鳴り響く。もう三時になっていた。
「もうこんな時間か…。では、戦線復帰しますけん。そういうことで」
「あ…、あの……っ」
さっさと食事を済ませて仕事部屋に戻る背中は、すぐに襖の向こうに消えた。


布美枝はまだ半分も減っていない茶碗の中に目を落とし、ため息をもらす。
「…忙しい…人なんだな……」
寂しげに呟いた布美枝の声は、襖に閉ざされて掻き消えるほど心もとないものだった。


終わり   ヽ(◎)/ <次回、数ヵ月後「寝坊之進さま」に続く!

308 名前:281 mailto:sage [2010/06/14(月) 22:44:32 ID:t0QfGmhb]

281です。

本スレ本当に落ちてますね、なんでだろう。

ところで、次を投下しようと思ってます。
ちょっと事情があって日をまたぐ頃になりそうですが。

時系列に添っていってるので、
初夜編から約1ヶ月くらいは経っていると思われます。
浦木が「少年戦記の会」の看板を持ってきた日になります。

個人的にエロいのも好きなんですが、
ドラマ中の話をあれこれ広げるのが好きなので
エロの割合がエロパロ板にしては少ないのかな。
でもがんばって書きました。


309 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 23:09:03 ID:HbGXw2H0]
>>300
おお初期の2人だ!GJ
掛け合いが初々しくて可愛くていいわー
茂、マニアックな夢見てそうだw

310 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 23:09:25 ID:ybtufHZG]
>>301>>307 GJ!
新たな作品に今日も萌えさせて頂きました。

>>281さん

エロの割合が少なくても大丈夫ですよ〜
新たな作品の投下お待ちしちょります。

311 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 23:47:54 ID:DV97JS5L]
>>301
だんだん
時系列的に言うと、深大寺(初夜)の前でつか?
生真面目なフミちゃん可愛い・・・

281タン
新作、超たのしみー!!!
夕べからずっとワクワク
頑張って起きてますです♪♪♪

312 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/15(火) 00:01:44 ID:mLf3EKn+]
>>301
職神様が降臨されとるー!だんだんです!
しげぇさんに振り回されちゃうふみちゃん可愛いー!
もう…可愛ゆすぎて胸が苦しいw
二人に対する職神様の愛情がヒシヒシと伝わってきますけん
次回作・続きも心底楽しみに待っちょります!

さて、もう一回読み直そうっとw

313 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/15(火) 00:04:32 ID:QkTqnYI5]
>>308
エロがなくても大歓迎ですけん!
二人がいれば、それだけで幸せ…
投下楽しみにしちょりますー頑張ってごしない!

314 名前:281 mailto:sage [2010/06/15(火) 01:15:15 ID:VctfIvgX]

281です。
やっとサッカー終わった。
では投下します。

>>301さん
寝言かわいくて萌え。。。
数ヶ月といわず、すぐに続き読みたいです!





315 名前:見えないけどあるもの1 mailto:sage [2010/06/15(火) 01:18:53 ID:VctfIvgX]

喧嘩、というわけではないけれど、
布美枝はその日一方的に茂と口を利かなかった。

その日の昼すぎ、茂が「金出してくれ」
と言って、さっさと財布ごと持って行ったかと思うと、
どっさり古本を抱えて戻ってきた。

戦記物の漫画を描くのに、もっとリアリティを追求すべく
資料用にと戦艦やら戦闘機やらの本を買ってきたのだという。
浦木から「少年戦記の会」の発足を促され、
その際に「お前の漫画は暗い」と言われたことに端を発していた。

それにしてもどうだ、
戻ってきた財布を開けてみればスッカラカン!
その日暮らしでやっと食べているというのに、
日々の節約の努力をどうしてくれるのだ、と布美枝は憤った。

「夕食です」
「お風呂です」

それだけであとは無言を貫き通した。
風呂から出た茂と入れ替わって、急いで布美枝は風呂に閉じこもった。

316 名前:見えないけどあるもの2 mailto:sage [2010/06/15(火) 01:19:58 ID:VctfIvgX]

仕事の資料なのだから、仕方がないという思いもあった。
それに…。

初めて聞いた戦地でのこと。
左腕を失い、多くの戦友を失ったこと。
どうしても格好のいい戦争漫画は描けないと言った茂の横顔…。

でも!!

日々の糧は何と言っても必要なのだ。
むやみやたらに、相談もなく使ってもらっては困る!
家計を預かったのは自分なのだから、そこはちゃんとしてもらわんと!
布美枝はキリっと顔を引き締めて、ゴシゴシと身体を洗いはじめた。

…が、やっぱり、と手が止まる。

「あげな都合のいい戦争があるか!」
と怒鳴った茂の顔は、苦悩と悲哀を複雑に絡めた表情だった。
その言葉に詰まった本物の叫びを、布美枝はその時ほんの少し心の耳で聞いた気がした。

風呂を出る頃には、すっかり今日の自分に嫌気がさしていて、
茂にどういう態度で接しようか、戸惑ってしまっていた。






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