- 263 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 15:32:55 ID:+f6s8+uC]
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「……ンー いいお天気…」 洗濯竿に並んだ洗濯物が風を抱いて揺れる。 洗濯籠を手に玄関に入ると、茂の仕事部屋から時折話し声が聞こえる。 「……でな、こいつはベトベトサンといって……」 布美枝がそっと仕事部屋を覗くと、茂が胡座の上に藍子を座らせ、自分の描いた絵を見せなが ら、何やら話し掛けていた。 「でもな、こいつは悪い奴では無いぞ。そっと道を譲ってやると消えてしまうんだ…」 「 …アー、…ンーマ……」 「オー、そうか、わかるかー」 茂の話し掛けに相槌を打つ様に、藍子が声を出す。 “お父ちゃんったら… まだ藍子には分からないわよ …もしかして親バカ?” そう思いつつも邪魔をしてはいけない気がして、少しの間、2人の掛け合いを静かに聞いていた。
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