- 205 名前:ゴウ×ミキ mailto:sage [2007/10/22(月) 00:55:51 ID:C9N5/Nme]
- 「ミキ…まだ残ってたのか?」
「ゴウ?どうしたの、こんな時間に…」 「いや……ちょっと汗をかきたくてな。ロボタフにでも相手してもらおうと思ったんだが…」 もう夜の9時を回っている。 誰もいないと思っていたスクラッチ社にミキがいたことにゴウは驚いていた。 それでなくてもミキは家庭がある身だ。 夜はなにかと早く帰宅していたように思ったが… ゴウの訝しげな視線にミキがクスリと笑う。 「今日はナツメがいないのよ。林間学校でね」 開いていたノートパソコンの蓋をしめ、ミキは椅子の上で背伸びをした。 「んー…っ、私はこれで終わりっ!……ねぇ、汗を流したいんたら、あたしが相手になるわよ?ゴウ」 「ミキがぁ?」 ゴウが思わずあげた素っ頓狂な声に、ミキは口を尖らせる。 「…なによ!?忘れてるようですから言っておきますけど、最初の頃はあたしの方が強かったんですからね」 ミキの反撃にゴウは苦笑しながら謝った。 「はは…そうだったよな。でも、力の差っていうか気迫の差のような気もしたな…なんてったってあの頃は現役の」 「あーっうるさいうるさいっ!馬鹿な事ばっかり言ってると帰るわよ!?」 プイっと椅子を回転させてそっぽを向いてしまったミキの肩に、ゴウがそっと手をかけた。 「怒るなよ、まいったな。」 両肩に置かれたゴウの手は優しく…ミキの体を撫でる様に動き、彼女の胸の前で組みあわされる。 ふと気が付けば…ゴウの顔はミキの耳元迫り、熱い吐息が横顔に微かに感じられた。 「ミキが相手になってくれるんなら…組み手じゃなくて、違う事で汗をかきたい…」 「…ゴウ!?」 自分を抱き締める男の腕に力が込められ、痛いほどだ…その痛みにミキはたじろいだ。 「………離してちょうだい…」 「…なんでだよ?」 ゴウの体が縋り付く様にミキに押しあてられる。 「俺は…俺の気持ちはあの時のままだ。当たり前だよな…時間が止まってたんだから……お前を好きだったあの時のままなんだよっ」 自業自得だけどな…と自嘲気味にゴウが笑う。 「ゴウ…」 「お互いの気持ちを確かめあって…間違いなく、幸せの絶頂だったぜ。だけど…目が覚めたら……お前は知らない誰かのものになってた」 「…………」 男にかける言葉が見つからない……ゴウが今感じているモヤモヤは、ミキも感じていたものだったから。 だからこそ、自分が愛していた…愛している男が何を言いだすのかはわかっていた。
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