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【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ【昭和のかほり】



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/05(水) 12:07:38 ID:wXoQLilw]
なさそうなので立ててみた

200 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 11:05:51 ID:qAuuK3ON]
ふみちゃんがちゃんと火を消してるから無問題。
てか自分は水道代が心配。

あ〜ふみちゃんが可愛い。
だんだん、だんだん!

201 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 15:30:41 ID:8mxelRgh]
恥ずかしがるフミちゃんがかわええのう!聞こえないふりをしてそうな中森さんが少し気の毒w

202 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 20:44:06 ID:bX4MeRas]
>>191
GJ!
泣きじゃくるフミちゃんカワエエ
フミちゃんは、イジメられる→最後に優しくされるパターンに調教されてるなw

203 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 21:31:07 ID:q3irPGlw]
いやあ!すっごい萌えますた!!

職人さん、ありがd

204 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 22:46:30 ID:8cKLJpqZ]
赤ちゃん可愛かったw
お母ちゃんになっておめでとう!だけどもうふたりのイチャコラはみれなくなるのかな
せめて一度は名前で呼び合ってみて欲しかった、、

205 名前:183 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:19:19 ID:Cv5tdzVU]
>>191
どSなしげーさんもええですなw
ふみちゃんはどの職人様が書いても可愛いなあ
GJです
今更ながらタイトルに笑いますたww

赤ちゃん誕生記念に妊娠話書いてましたが
それと同時進行でしげーさんが子供時代の話が無性に書きたくなって
そちらを先に一気に完成させてしまったのでうpさせて頂きます‥
妊娠話はまた次回うp出来たらさせていただきます、スミマセヌ

ちょっこし長いですが宜しければまったりどうぞー
ちなみにエロパロ板なのに思いっきりノーマル話です‥
それでも良ければどうぞw
誤字脱字方言の違和感は大目に見てやってごしない orz

206 名前:しげーさんの思い出・1 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:21:41 ID:Cv5tdzVU]
布美枝が掃除をしていると、棚の上で偶然アルバムを見つけた。
「こげな所にあったんだ」
被っていた埃を払い、ちゃぶ台の上でノスタルジーに浸りながらアルバムを捲る。
「懐かしいなあ‥」
仕事場の襖を開けて茂が出てくる。
「あ、お仕事終わったんですか」
「いや。気分転換にちょっこし散歩行ってくる」
「そげですか」
ふと、アルバムに目が止まる。
「何見ちょるんだ?」
「あ、私が子供の頃の写真です。お掃除してたら見つけて」
「あんたの子供の頃?どれ」
渡されたアルバムをパラパラ見ていると、ふと茂の手が止まる。

それは6、7歳頃の布美枝の姿だろうか。
目の大きな可愛らしい少女が写っていた。
何かを思い出すように、じっとその写真を見つめる茂。
「どげしました?」
妻の声にハッとする。
「いや‥何でもない。ほんじゃ行ってくる」
アルバムを閉じ、玄関先へ向かう。
「行ってらっしゃい」
優しい妻の声に見送られながら、ゆっくりと歩き出した。

「‥あの子‥いや、確かにあの子だ‥でも何であいつがあの子なんだ?分からん」
ぼんやりとした目でカラカラと下駄を鳴らしながら、
茂は少年時代の自分を今一度思い出していた。

207 名前:しげーさんの思い出・2 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:24:10 ID:Cv5tdzVU]
「村井!またお前は遅刻しおって!」
「はあ、すんません」
「小学五年生にもなって、ちっとは気を引き締めんか!」
「でも朝飯が旨いですけん」
教室中にドッと笑いが起きる。
「本当に‥お前はどうしようもないな」
先生が呆れ返り片手で頭を抱える。
「もういい!廊下に立っちょれ!」
「はーい‥」
いつものことですっかり慣れっこなのか、開き直った足取りで廊下に向かう。
「全く‥あのだらずもんが‥」

そんな先生の気苦労もどこ吹く風か、茂はいつものように
廊下から窓の外をぼんやり見つめていた。
「来週は隣町の奴らが攻めて来るけんなあ‥何か作戦を練らんと‥」
苦手な算数は0点でも喧嘩に強い茂は、面倒見のいいガキ大将として何人かの子分を従えていた。

208 名前:しげーさんの思い出・3 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:25:36 ID:Cv5tdzVU]
放課後。
校門をのんびり出てくる茂の後ろから声がする。
「おーい、ゲゲ待ってくれー」
声の主は、茂の子分兼友人のネコ安だ。
「何だ、ネコ安か」
「そこまで一緒に帰ろう」

田んぼのあぜ道をのんびりと歩く茂とネコ安。
ぽつりとネコ安がつぶやく。
「なあ、ゲゲ」
「何だよ」
「ペロの奴がオレを殴るんだ。仕返ししてくれんか」
「殴られたら殴り返せよ」
「あいつ体も大きいからオレでは力では勝てんよ。頼む」
「そげだなー」
「今度帰りに餅おごるけん」
「餅か。ええよ」
「そげか!大きなゲンコツ一発な」
「よし」

そんな話をしながら歩いていると、2、3人の男子が目に付いた。
誰かを囲んでいるようだ。
「? 何やっちょるんだ」
「ゲゲ、行ってみよう」
2人が近付いてみると、2、3年生位の男子が一人の同じ位の歳の女の子を囲んでいた。
そこでは男子三人組が女の子に詰め寄っていた。



209 名前:しげーさんの思い出・4 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:26:50 ID:Cv5tdzVU]
「おいお前、今日先生に告げ口したな」
「大人しい癖に生意気だぞ」
「何とか言ったらどげだ!」
押し黙っていた少女が、小声でおずおずと言う。
「だって‥サヨちゃん困っとったけん‥いっつも掃除手伝ってくれんて」
その声は、今にも泣き出しそうだった。
そこへ茂が割って入って来た。

「おい、やめろ」
体の大きい上級生に、三人組はちょっと怯んでしまう。
「お前ら下級生だろ。男の癖に卑怯でねえか。こげに小さい女の子三人で苛めて」
「い‥苛めとらんわ!」
「只こいつがちょっこし生意気だけん‥」
それでも茂の態度は変わらない。
「そげなこと言うても女の子苛めとることには変わりはないわ。やめんか!」
ネコ安もその間に割り込む。
「そげだ。ゲゲを怒らせると怖いぞ。ゲゲのゲンコツは泣く程痛いぞー」
三人組は顔を見合わせると、逃げるようにその場から立ち去った。

210 名前:しげーさんの思い出・5 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:28:19 ID:Cv5tdzVU]
「‥ケガしちょらんか?」
その子の顔を覗き込むと、茂は一瞬ハッとした。
色白で、長い睫毛に少し伏せられた大きい瞳に涙が溢れていたからだ。
茂はその女の子の顔を見て、幼い頃インテリな父が土産にと買ってきてくれた
舶来物のセルロイド人形を思い出した。
そして、その人形のように可愛らしい女の子の顔に正直少し不覚にも見とれてしまった。

「ゲゲ!何ボーッとしちょる」
ネコ安の声にハッとする茂。
「え‥?あ、ああ‥」
女の子の潤んだ瞳が茂を見上げる。
(「そげな目で見んといてくれ‥」)
内心ドキリとしていた茂だったが、とりあえず上級生らしく男らしく平静を装う。

「‥ケガは?」
もう一度優しい声で話しかける。
「‥大丈夫‥」
「そげか」
今にも泣きそうな声だったが、ケガはしていない様だったのでとりあえず安心する。
「何年生?」
「2年」
「家はどっちだ?」
「あっち」
「何だ、オレと同じ方か。途中まで一緒に帰らんか?」
女の子は一瞬考え込んだが、茂の優しいオーラに安心したのか二つ返事をした。
「うん」
「よし、帰ろう」

2人並んで歩き出す。
「おい、ゲゲ!」
ネコ安のことをすっかり忘れていた茂だったが、その声に振り向く。
「ネコ安、お前とはこの道でお別れだ。じゃあな」
何処か仲良さ気に帰る茂と女の子の後ろ姿を、
一人残されたネコ安はポツンといつまでも眺めていた。

211 名前:しげーさんの思い出・6 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:29:34 ID:Cv5tdzVU]
2人並んで歩く茂と女の子。
女の子の目にもう涙はない。
今日一日何があったとか、たわいの無い話で盛り上がる。
「あ」
「どげした?」
「‥私の家こっちだから」
「そげか」
女の子の家が近付いて来たようだ。
「ほんなら、さよなら」
「ああ」
仲良くなったせいか、別れに一抹の淋しさのようなものを感じる茂。
「‥あ、そげだ」
何かを思い出したかのように女の子に駆け寄る。
「なあ、ちょっと」
「なあに?」
「そういや聞いちょらんかったけど、名前は?」
「・・・・・」
「そげか」

その子の名前なぞ、今ではとうの昔に忘れてしまった。
一番思い出したいことだというのに。

「お兄ちゃんの名前は?」
「オレは村井茂。皆はゲゲって呼んじょる」
「ゲゲ?」
「うん。茂だからゲゲ」
「ふーん‥‥ゲゲちゃんて呼んでもいい?」
ちゃんなんてガキ大将ぽくない仇名だが、
この子になら何となく呼ばれてもいいかな、という気持ちになる。
「ええよ」
「ほんなら。さよならゲゲちゃん」

その小さい背中を見送る茂。
その背中が見えなくなるまで、茂はそこに立っていた。

212 名前:しげーさんの思い出・7 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:30:37 ID:Cv5tdzVU]
数日後。
遊びに出かけた茂。
いつものようにあぜ道を歩いている。
「そげだ。のんのんばあおるかな」
久しぶりに友達のような不思議な婆さんに会いたくなって、家に遊びに行くことにした。

その道中にある神社の境内で、見覚えのある女の子が木の枝で地面に落書きをしていた。
「? あの子だ。何しちょるんだ、一人で」
思わず声をかける。
「おうい。何しちょるんだー」
聞き覚えのある声にパッと振り向く。
「ゲゲちゃん」
女の子の元へと近付くと、何処か淋しげな顔で茂を見つめている。
「こげな所で女の子一人でおったら危ないじゃろが」
「‥うん‥」
「何描いちょったんだ?」
女の子の落書きを覗き込む。
そこには何やら丸い形をした変な生き物が描かれていた。

「これ何だ?」
「‥何かはよく知らんけど、私この前こんなのに追いかけられたの。顔は知らんけど」
「変質者か?」
「ううん。一人で歩いちょったら、後ろから何かに追いかけられたの」
「ふーん‥いや、オレもそげな経験あったなあ」
「ゲゲちゃんも?」
「それはべとべとさんかも知れん」
「べとべとさん‥?」
聞いたことの無い名前に頭を捻る。
「誰か待っちょったのか?」
「ううん。いつも一人で遊んどる」
「こげな所でいつも?」
「‥うん。私あんまり友達おらんから」
「そげか‥」

213 名前:しげーさんの思い出・8 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:31:44 ID:Cv5tdzVU]
暫く考えると、何かを思い付き頭を上げる茂。
「そげだ!」
「?」
「今から一緒にのんのんばあの所へ行かんか?」
「のんのんばあ‥?誰、それ?」
「知り合いの婆さんだよ。妖怪のことよーお知っちょる。べとべとさんのことも知っちょるよ」
ちょっと考え込む女の子。
「どげだ?」
「‥うん、行きたい」
大きな瞳を輝かせて茂を見つめる。
「じゃ、決まりだな。行こう」

2人でのんのんばあの家へ向かうことになった。

214 名前:しげーさんの思い出・9 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:32:52 ID:Cv5tdzVU]
のんのんばあの家の前。
玄関先で茂が叫ぶ。
「おーい、のんのんばあ!おるかぁ?」
暫くすると、ゴトゴトと音がしてゆっくりと戸が開けられた。
「おや、しげーさんかい。今日は友達も一緒かね」
「こんにちは」
少し恥ずかしそうにのんのんばあを見る女の子。
「ま、上がらんかや。何も無い所だけんど」
そう言って2人を快く迎え入れてくれた。

「サイダーでも飲まんかや」
「気ぃ使わんでええよ」
「ありがとう」
決して広くは無いが、何処か安心出来るのんのんばあの家は、
まるで我が家のような気持ちにさせてくれる。

215 名前:しげーさんの思い出・10 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:34:13 ID:Cv5tdzVU]
「のんのんばあ、いつかオレが夜一緒に帰った時、後ろからべとべとさんが付いて来たことあっただろ」
「そげなこともあったなあ」
「この子もこの前べとべとさんに追いかけられたって言っちょった」
「おや、あんたも会ったのかい」
何処か楽しそうに女の子を見つめるのんのんばあ。
「会ったけど‥怖くて夢中で家まで走って帰りました」
「ははは。何も怖がる事ないよ。悪い妖怪じゃないけんね。
そういう時は、『べとべとさん、先へお越し』と言ったらええ」
「先へお越し‥?」
「そげだ。そしたらもう足音は聞こえんようになるけんね。今度やってみなされ」
「のんのんばあは妖怪のことなら何でも知っちょる。
のんのんばあ、他にもこの子に何か話聞かせてやってくれんか」
「おや。やけにしげーさん今日は生き生きしちょるね」
いつもより何処か楽しそうな茂の姿に、何やら自分まで楽しくなって来る。
「そ、そげなこと無いよ」
「あんたも妖気を感じやすいのかも知れんね」
女の子を見つめるのんのんばあ。
「ほんなら次は人形の霊の話でもしようかいねえ」
「うん。聞きたい」

女の子の目が生き生きと輝いているのを見て、茂もちょっぴり嬉しくなる。
その日2人は烏が寝床に帰って行く時間まで、のんのんばあの話を聞いていた。

216 名前:しげーさんの思い出・11 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:35:12 ID:Cv5tdzVU]
そんな日が何日か続いていた、学校からのある帰り道のこと。
茂がいつものようにのんびり下校していると、前方にあの女の子がいた。

「おーい」
呼び掛けながら走り寄る。
「ゲゲちゃん」
振り返るその顔はいつも通り可愛らしかったが、
いつも茂に見せるような笑顔は無く、何処か寂しげだった。
何となく不安になる茂。
「‥どげしたんだ。また何かされたんか?」

この子にはいつも笑っていて欲しい。
悲しげな顔など見たくは無かった。

「‥ううん、何もされちょらんよ」
「なら何でそげな顔しちょるんだ」
「・・・・・」
「黙っちょったら解らんよ」
暫くの沈黙の後、女の子が口を開いた。

「‥私、転校するの」
「転校?」
「東京行くの。もうこっちには戻って来れんて、母ちゃんが」
「‥‥‥!」
余りの急な話に、茂はただただ驚くしかなかった。
「‥いつだ?」
「‥明後日‥」
「‥そげか‥」

何処か重い足取りで歩みを進める2人。
2人の間にいつものような会話は無い。
その沈黙を破ったのは、意外なことに女の子の方からだった。

217 名前:しげーさんの思い出・12 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:36:23 ID:Cv5tdzVU]
「‥ゲゲちゃん」
「‥ん?」
「私‥ゲゲちゃんやおばあちゃんのこと忘れんよ」
「・・・・・」
「私‥父ちゃんや母ちゃん以外の人とあんなに喋ったこと無かったよ。
あげに優しくされたことも無かったよ。大人し過ぎるけんいっつもからかわれとった‥」
「・・・・・」
「‥だけんいつも一人でお化けの絵描いちょった。
お化けは何も言わんでもすぐに友達になってくれるけん」

この子がいつもそんな気持ちで一人で神社で絵を描いていたのかと思うと、
堪らなく切ない想いが茂の胸を貫いた。

「‥でも、もうええんだ」
「?」
「もう友達はお化けだけでないけん。ゲゲちゃんもおばあちゃんもサヨちゃんも皆友達だけん」
その大きな瞳には涙が溢れていて。

「だけん‥‥‥もう寂しくなんかないけん!」
精一杯の可愛らしい笑顔に、大粒の涙がぽろり、と零れた。
茂の目にも涙が溢れる。
「‥‥ゲゲちゃん‥‥」
最後の声を振り絞って、一番伝えたかった言葉を茂に伝える。


「‥‥‥だんだん‥‥‥」

218 名前:しげーさんの思い出・13 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:37:21 ID:Cv5tdzVU]
女の子が東京に行って数日後。
茂はいつものようにのんのんばあの家に遊びに来ていた。
縁側で足をぶらつかせながら遠い目で空を見ている。

「ええ天気じゃなあ、しげーさん」
のんのんばあがいつものようにサイダーを持って来てくれる。
「‥そげだな」
「おやおや。まーだ落ちこんどるんかね、この五年生は」
「‥別に落ちこんどらん」
のんのんばあが茂の隣に来て座る。
「しげーさん、心が重たいかい」
「‥‥ちょっこしな」
「‥前にも言うたじゃろ。人は人の心を貰うけん体も大きいなると」
「・・・・・」
「いろんな人の心を貰ったけん、しげーさんもこげに大きに成長したって」
「‥‥うん」
暫く沈黙が流れる。

「‥‥なあ、のんのんばあ」
「ん?」
「その中にはあの子の心も入っとるか?」
「‥ああ、入っとるよ。それからあの子の体にもしげーさんの心が入っとるよ」
「ホントかなあ」
「のんのんばあが嘘を付いたことがあるか!」
「ははは。分かっちょるよ」

サイダーを2人で分けながら、茂は一気にそれを飲み干した。



219 名前:しげーさんの思い出・14 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:38:48 ID:Cv5tdzVU]
夕暮れ。
いつの間にか大分遠くまで散歩に出かけていたらしい。
下駄を引きずりながら、いつもの我が家へ戻って来る茂。
「おう。帰ったぞ」
「お帰りなさい!」
いつもの優しい妻の笑顔に自然とこちらも口元が緩む。
「ん?ええ匂いだな」
「今日はちょっこしご馳走ですよ」
「そげか。珍しいな」
「たまにはいいじゃないですか。手洗ってきて下さいね」
「ああ」

ちゃぶ台に座り、夕飯の準備をする妻の背中を茂はぼんやりと見つめていた。
アルバムで見た布美枝の幼い頃の姿とあの女の子の姿が自然と重なる。
あの子と布美枝が同一人物では無いこと位茂には分かっていた。
第一、年齢が自分と十も離れている妻があの子な訳が無い。

あの子はきっと今は、この東京の何処かで幸せに暮らしているだろう。
今はただそう思いたい。
布美枝の体を見ていると、ふとのんのんばあのあの言葉が頭をよぎる。

220 名前:しげーさんの思い出・15 mailto:sage [2010/06/05(土) 23:39:50 ID:Cv5tdzVU]
(「‥前にも言うたじゃろ。人は人の心を貰うけん体も大きいなると」)

布美枝は生まれて今まで人一倍人の心を貰って生きて来たのだろうか。

「‥だけんあんたの体はこげに大きいのかもしれんな」

茂が苦笑する。
「? 何か言いましたか?」
「いや、何も言うちょらん」

布美枝の笑顔とあの子の笑顔が重なる。
もうあの子には未練など無いが、ふいに思うことがある。
それは、あの子が大きくなったらきっとこんな女房になっているだろうなということ。


「この煮物、旨いな」
そして、こう言うだろう。

「だんだん」

目の前の妻が今日はいつも以上にずっと優しく見えた茂であった。


おわり

221 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/05(土) 23:43:58 ID:Cv5tdzVU]
以上です。
大量のスレ消費許してごしないorz
個人的に子供時代のふみちゃんとしげーさんを
絡ませてみたいという妄想の産物でしたw
のんのんばあ個人的に大好きなので
話に絡ませたいというのもあったのですがw

スレ汚し失礼しますた

222 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 00:45:57 ID:LDgC1qe7]
>>221

> それからあの子の体にもしげーさんの心が入っとるよ

ここじわっときた
泣くとこじゃないかも知れんけど泣けた
ほんわかいい話だ なんか嬉しい
だんだん

223 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 02:11:58 ID:RXERKQ4w]
>>221
力作GJ!
のんのんばあ、自分も好きだ
おばあも好きなんだが…今日の最後のナレーションに
ちょっこし泣きそうになったのは秘密だw

んで。自分的にはエロ無しでも全然おk
上にある浦木絡みのドタバタ話や、夫婦がイチャついてるだけの話とか…
てか、ゲゲゲの話なら大歓迎!щ(°Д°щ)カモォォォン
だから職人様方、投下お待ちしちょりますけん!

224 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 08:18:58 ID:8mErdX0L]
泣いてしまいましたよ……力作をありがとうございます!
シゲェさん、心の優しいガキ大将だったんだろうなぁ、と想像していたので特に。



225 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 09:47:38 ID:63ByYYxt]
優しい気持ちになりました
だんだん!

226 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 14:29:27 ID:/trV76PV]
職人さん、今日も新作をだんだん!
しげーさんの優しさに泣けた・゚・(つД`)・゚・

自分は書けないけど、そのときになればスレたてなど
お手伝いさせてもらいますんで、どんどん投下してくだされ。

227 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 17:22:41 ID:8mErdX0L]
シゲェさんも布美チャンも結婚するまでは経験は無かったよね…きっと。
今みたいに情報が溢れていた訳では無かっただろうから、色々、あっただろうなぁ…

228 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 17:42:43 ID:BxsofHpd]
ゲゲはありだったらしい

男の場合は今よりずっとそういう所はずっとおおらか
悪所も今よりあちこちにあったし
軍隊入って無縁ってことはないだろう

女の場合は知識の入手が困難だろうなあ



229 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 18:24:38 ID:4y5AYY87]
>>204
貧乏なうちはまだイチャイチャしてるところ見れそう。
でも漫画家として成功する辺りから殆ど見れなくなりそうで嫌だな。

230 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 19:15:20 ID:8mErdX0L]
あ、でもすれ違いの生活で
「シゲェさん、アタシ寂しいの(′゚ω゚`)シューン」な布美チャンに萌えちゃったりする

231 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 19:55:01 ID:punCxmJi]
>>228
フミちゃんは兄弟いたし家事手伝い歴長いから兄弟の部屋の片付けついでに当時のエロ本らしきものちょっこし目にしたことあるかもしれんよw
あと、ねーちゃん達が里帰りした時に猥談とかw

アキ「うちのだんなったらね…w」
ユキ「うちだってw」
フミ「そげなこと…想像もつかん…きゃw」
アキ「フミちゃんだっていずれお嫁行くんだけん」
ユキ「そーよーよく聞いて勉強するんよー」
フミ「////」



数年後
フミエ帰省する
フミ「うちの人ったら…w」
アキ「そげなところでー!」
ユキ「そげに激しいー!」
イズミ「ムッハーww」


232 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 20:35:42 ID:ZOzYb7Dl]
イズミwww

233 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 22:42:04 ID:CGoyhqp6]
四姉妹楽しそうだなww

234 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/06(日) 23:00:56 ID:jO6/yeLB]
イズミって洗濯機と冷蔵庫ではしゃいでた子かw楽しそうだな。

235 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:14:00 ID:dAf6qDXf]
今回は幻になったクリスマスのホットケーキが見たかった。

去年もホットケーキでイチャイチャクリスマスを過ごしてそうだw
源兵衛の蜂蜜もあったことだしw

236 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:20:17 ID:LTiCCA1E]
>>235
なるほどーwだから茂さん嬉しそうだったんですねw

みなさん
いつも温かいお言葉ありがとうございます
だんだん♪

今週分の録画見てたら、また性懲りもなく書いちゃいましたorz
エロなしですが
よかったら

237 名前:こんにちは赤ちゃん1 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:23:17 ID:LTiCCA1E]
第10週
こんにちは赤ちゃん
第60回


「おいっ帰ったぞ」
「あなた。おかえりなさい」
「…んっ?ちゃぶ台どげした?あげなところに」
「すんません。いま、靖代さんが来て、マッサージしてくれてたんです」

〜・*・〜・*・〜・*・〜・*・〜

「ほぉーそげか。そんだったら揉んでやる。ちょっこし座れ」
「帰って来たばかりですけん。ええですよ」
「ええから座れ」
「はい」
「ここか?」
「…うーん。ちょっこし下かな」
「ほんならここか?」
「はい。はぁ〜気持ちええです」
「そげか。…こんな、ふとぅなって…大根の妖怪みたいじゃな」
「まっ!ひどいっ」



238 名前:こんにちは赤ちゃん2 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:24:35 ID:LTiCCA1E]
「…………悪かったな…」
「えっ?」
「あんたが辛かったん気付いてやれんかった」
「……あなた……あっ!」
「んっ?」
「いま、赤ちゃん動いたっ!ポコポコお腹けってます」
「おぉそげか。元気でええ」
「あなた触ってみてください」
「んっ…俺はええ」
「ええからっはようっ」

「んっ…おっー動いちょる」
「はい。もぅ声も聞こえちょるそうです。なにか話してやってください」
「おおー…………………………んっ…あー…………」
「もぉー…【お腹さすりながら】パパは照れ屋さんですねぇ」
「パパー?!!!パパは、いかん!////背中がこぞはゆーてかなわん!」
「(そげに照れんでも。クスクス)…いけんですか?じゃーこの子になんて呼ばせるんです?」
「…父上…」
「……本気ですか?」
「あぁーもぉーいまのはなしじゃ!!んー考えとくけん!」
「はい。クスクス…お願いしますね」





239 名前:こんにちは赤ちゃん3 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:25:31 ID:LTiCCA1E]
「だらっ!今は、マッサージだろうが!」
「はい。すんません。クスクス」

「………しかし…なんだ…しばらくせん間に乳ぃ膨らんどらんか?」
「えっ?…あ…もぉー////」
「んーっ…わしが揉んでもピクリともせんかったのに…」
「ちょっ!!なにゆうちょるんですかっ!////もぉー」
「あはははっ」
「うふふふっ」




240 名前:こんにちは赤ちゃん4 mailto:sage [2010/06/07(月) 01:26:21 ID:LTiCCA1E]
〜・*・〜・*・〜・*・〜・*・〜


クリスマスイヴ

ほぎゃーほぎゃー
「生まれたっ!生まれたぞっ!!」


「大丈夫か?」
「はい」
「よう頑張ったな」
「はい」
「ご苦労さん…………………おかあちゃん」
「………だんだん……………おとうちゃん」


ちゃんちゃん♪

241 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 01:51:39 ID:El94+uq2]
>>237
フハッ!イチャイチャ夫婦ktkr!!
ふみちゃんの乳の成長に目敏いゲゲルにワロタw
職人様いつもだんだん!

ホットケーキ話、自分も読みたい!どんぐり拾い話も
あとお風呂ネタマダー(AA略

242 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 02:22:00 ID:mAxIoGOE]
ボインは〜お父ちゃんの為にあるんと違うんやで〜♪

243 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 12:00:50 ID:J6b+TjOk]
>>191
言葉使いもドラマの雰囲気に合ってるし、萌えポイントしっかりwww
凄く良かったです♪♪♪

>>228
本物の茂さんはわからないけど
ドラマのゲゲルはかなり童貞っぽいw
深大寺の頃までは目が合うだけでも照れてたし

244 名前:藍子 7才 mailto:sage [2010/06/07(月) 12:42:11 ID:LTiCCA1E]
1ねん1くみ
むらい あいこ

きょうは、ちちのひなのでうちのおとーちゃんのさくぶんかきます

うちのおとーちゃんは、まんがかさんです
まんがかさんは、おうちでおしごとするから、おとーちゃんまいにちおうちにいます。

こないだうんどうかいのれんしゅうでころんだから
「うんどうかいいやだなー」と、わたしがいったら
「おとうちゃんは、うんどうかいすきだ」と、いいました。
「おとーちゃんおてていっこしかないのにすきなのー?ころばんのー?」と、きいたら
おとーちゃん「おとうちゃんは、まいにちおかあちゃんとおふとんでうんどうかいしとるんよ」と、いいました

うちのおとーちゃんすごいなーとおもいました



245 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 17:41:41 ID:cO+xQ5sb]
>>237
だんだん!
靖代さんマッサージのその後気になってたから、読めて嬉しいw
やっぱりゲゲルはフミちゃんのあっちの成長を気にしてるんだなw

>>244
藍子ちゃんwwww

246 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/07(月) 19:41:37 ID:WsWhWUIY]
>>244
そうきたかw

247 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 00:00:26 ID:drVTb/VB]
>>242
月亭可朝乙

248 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 00:44:37 ID:xXaJXg0l]
>>244
藍子タンwww
つか子供に何てことを自慢するんだゲゲル親父www
フミちゃん毎日ご苦労様っす(゚д゚)ゞ

あと、妊娠中でも安定期(5ヶ月〜)に入ったら
セクロスしても大丈夫らしいので…頑張って頂きたい
色んな意味で



249 名前:おとーちゃんとあいこ mailto:sage [2010/06/08(火) 01:17:23 ID:QNy+RQW4]
「きょう、がっこうで『あいこちゃんのおとうさんもおかあさんも大きいから、あいこちゃんも大きくなるね』っていわれたー!わたしも大きくなるー?大きくなりたーい!」

「おぉそげか。藍子は、きっと大きくなるけん。好き嫌いしないでたくさん食べろ」

「ほんとーおとーちゃん?わぁーいわぁーい!おかーちゃんみたく大きくなるー!」

「だけん。大きいおかあちゃんもかわいいけんど、小さいおかあちゃんもかわいいんやぞ」

「ちいさいおかーちゃん???」

「おとうちゃんとおかあちゃんが結婚したばかりの頃、夜おとうちゃんが、おかあちゃんの布団めくると、おかあちゃん子猫みたいに体丸めてプルプル震えてるんがかわいくてなー」

ひゅーん
がしゃーん!
ピュー

「おとーちゃん。おかーちゃんがなげたやかんあたまにあたって、ちぃーでとるよー」

「はははっ。おかあちゃん藍子産んでからほんにたくましくなったなー」

250 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 01:21:05 ID:QNy+RQW4]
>>244>>249
立て続けに駄作すんません!!
>>244昼休み終了3分前にどーしても書きたくなって(^_^;)

251 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 13:40:26 ID:437PY8tg]
シゲさん、娘相手にノロケはいけんわーwwwだがGJw

252 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 14:26:02 ID:stE15gS+]
今日、浦木が本持ってくるシーン>>179思い出してニヤニヤしてしまったww
>>250
GJ!お疲れ様です。
やかんの音ワラタww
茂=犬、ふみちゃん=猫だなw
2人ともカワエエ。でかいけどw

253 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/08(火) 20:48:49 ID:fC8ZOH+P]
>>252
そして、

和枝「『妻の心得』もいいけど、あんまり神経質になる事ないよ。
   うちなんかオトコ3人、何から何まで全部違ったんだから」
靖代「(フハッ!)はね、参考書どおりにはいかないの。何かあったら
   うちらに聞きなさいよ。大概の事は経験してるんだから」
徳子「靖代さんの(フハッ!)経験じゃ ちょっと古いわよ」

ですね、わかりたくもありません。

254 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 04:29:37 ID:v4m2/6SD]
>>253
(フハッ!)にワロタw

子育ての、人生の先輩達から色々と学んだふみちゃんが
しげぇさんを喜ばせてくれる日は、そう遠くないだろうw

おとうちゃん・おかあちゃんになったけど
まだまだ二人のイチャコラが見たいぞー!щ(゚Д゚щ)クワッ

255 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 20:31:23 ID:DROTS3ul]
今日の放送分
切ないエアお雛様シーンなのに、不覚にもエアあーんに萌えてしまったorz

256 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 20:43:20 ID:SILcyyvC]
>>255
自分も恥ずかしながら夜、エア酔っ払いのおとうちゃんが「酔った酔った〜」とか言いながら
おかあちゃんの布団に潜り込むの想像してもた

257 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/09(水) 22:20:13 ID:v4m2/6SD]
>>255>>256
ナカーマ達(・∀・)人(・∀・)ハケーン!
ほのぼのと言うにはあまりに切なくて
朝飯が喉を通らなかった…

>>256
おとうちゃんならマジでやりそうwww
てか、ソレすげー読みたい!!!
反対に、おかあちゃんが酔っ払ったフリして
おとうちゃんに甘えるのも良いなぁ…
おかあちゃん、いっつも頑張ってるんだもん…
たまには甘えさせてあげたいよ

258 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 11:12:18 ID:Q9dw2XJt]
179です。
本編の方はなにやら不穏な感じですが、
浦木騒動の続きを書きましたので空気読まず投下します。
糖分増量してみましたが、(フハッ!)には程遠く、
非エロの初初夫婦コントです。
よろしければ。



259 名前:夫の心得1 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:13:27 ID:Q9dw2XJt]
ある日茂が外出から戻ると、布美枝が一心不乱に本を読んでいるところだった。
茂が入ってきたのにも気付かない。

「おい」
「はい!」
布美枝はとびあがった。

「か、帰っとられたんですか。
ああ、びっくりした。」
さりげなく後ろに本を隠すようにしている。
「お帰りなさい。」
少し顔を赤らめ、明らかに挙動不審だ。

女房と本、というとり合わせに、嫌な記憶が蘇った。
まさかと思いつつ、
「その本はなんだ。」
「あの、ちょっこし、美智子さんのところでお借りして…。」

―その手があったか!

浦木を追い返して済んだ気になっていたが、こんなところに思わぬ伏兵がいたとは。

「ちょっこし見せてみい。」
「でも…。」
布美枝はしばらく俊巡していたが観念したのか、茂の方に表紙を向けて本を差し出した。

「なんだこれは」
気の抜けた声が出た。
それは、乙女チックな装丁の、どうやら翻訳された小説のようだった。
「何だと思われとったんですか?」
「てっきり…こないだの浦木の本かと」
ほっとするあまり本音が出てしまう。
布美枝は気まずげに、
「実は…浦木さんの本も、美智子さんに仕入れてもらえるようたのんどったんです」

「!」

新たな攻撃に、茂は言葉もない。
「美智子さん、最初はとっても乗り気で、任せといて!と言っとられたんですが…。
でも結局、仕入れはしてもらえんかったんです。」

九死に一生である。

260 名前:夫の心得2 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:14:44 ID:Q9dw2XJt]
それが、仕入れのできんかった理由を聞いてみたら、美智子さんものすごく言葉につまっとられて…
夫婦で協力して、とか、まずは水木先生に色々と教えてもらって、
とかよくわからないことをつぶやかれてました。
どげされたんでしょうね?」

「あーそれは、ほれ、あれだ。
あんたが楽しみにしとったから、きっと悪いと思われたんだろう。」
とぼけるしかないのが情けないが、伏兵はどうやらこちらの味方だったようだ。

「そげですね。
私があんまりがっかりしとるんで、美智子さんが代わりにこの本貸してくれたんです。
ふみえちゃんの好きそうな、ロマンチックな本なのよ、って。」
こみち書房の女将もうまく説明できず、さぞ困ったことだろう。
茂は噛み合わない二人のやりとりを想像して、おかしくなった。

「あっ、やっぱりわらっとられる。
ええ年して、恋愛小説で喜んでって。
だから隠れて読んどったのに…。」
「いや、そうでなくて」
また見当違いのことで口をとがらせている女房をごまかすために、
あわてて右手で細い肩を引き寄せた。

「恋愛小説くらい、いくらでも読んだらええ。
わしはそういう本にでてくる男みたいに、気の効いたことはいえんしな。」
布美枝は茂の心臓のあたりに頬をあて、しばらくじっと固まっていたが、やがてぽつりとつぶやいた。

「言うてくださっとりますよ。」
「え?」
「あなたの手が、言うてくださっとります。」
「手?」
布美枝は小さくうなずき、
「口では何も言われんけど、この手に触れられるたびに、
あなたの気持ちが伝わってくるような気がするんです。
ちゃんと大事に思って下さっとるって、わかっとりますから…。」
恥ずかしくなったのか、だんだん声が小さくなる。
押しつけられた顔が熱い。
「そげか」
「はい」
自分の手がそんなお喋りだとは知らなかった。

―しかし触れられるたびって、どんな場面のことをいっとるんだか。

この女房は、無意識に夫を煽っている事にも気付いていないのだろう。
お喋りな右手は、布美枝の背骨を辿っていく。
布美枝はびくりと跳ね上がり、顔を上げた。
「もお…ふざけんとって下さい。」
まっ赤な顔でこちらを見上げ、抗議してくる。
「いや、今もつたわっちょるかと思って」
笑いながら背を支える手に少し力をこめ、こつんと額を合わせた。

布美枝はもう何も言わず、じっとしている。
二人の吐息が混じりあう。

―甘いな。

茂は甘い吐息の源にそっと唇をよせた。


261 名前:夫の心得3 mailto:sage [2010/06/10(木) 11:15:56 ID:Q9dw2XJt]
「こんにちはー!皆様の浦木が参りましたよー!
あれっ?なんだなんだ、二人してこんな狭い部屋でそーんなに離れて座って!
相変わらず淡泊な夫婦だなあ〜!」

「い、いらっしゃい、浦木さん。」
「ん?奥さん顔が赤いですよ?
いけませんな〜、今は悪い風邪がはやっとりますからね〜。」

「…お前何しに来たんだ。二度と来るなと言っただろう。」
いつもの五割増しで茂から立ち上る怒気に、さすがの浦木も後ずさる。
「ええっと…そうそう!こないだの妻の心得!なかなか評判がよくてなー。第二弾を作ったん
だ!」
「第二弾?」
「その名も夫の心得だ!」
じゃーんとばかりに本をだした浦木の腕を、無言で掴んでいつものように放り出す。

「ちょっとまてって!
こんどは前回と趣向をかえて、口下手な夫に救いの手を!
ロマンチックな愛情表現の手法だぞ!」

一度閉められた扉から突然茂が顔を出した。

「この本はもらっとく」
浦木の掲げた本がひょいと取り上げられ、またしても鍵の閉まる無情な音が響く。

「ってええー!本だけ?俺は?
おかしいなー、俺としたことが最近負け続きだ…。
ま、ゲゲがあの本を気に入ったら漫画のページ使って宣伝させてやるからいいか…。」


その夜、閉めきられた仕事部屋では。
「浦木の頭は絶対膿んどるな…。
まず花を贈れ?次に片膝をついて、あ、愛してますと言えだとー!
だらっ!できるかっ!」
夫の心得を開いてみるも、とても自分には出来そうにない事ばかりで、
茂は頭をかきむしるのであった。

その頃襖を隔てた隣では、布美枝の読書も全く進んでいなかった。
「…昼間あげに言われとったけど、
うちの旦那さまは、自分がどんだけ甘いことやっとるか気付いとらんのだわ…。
あー心臓がもたーん!」
いろいろ思い出し、真っ赤な顔を本に伏せじたばたと照れる布美枝の前で、
一反木綿まで恥ずかしそうに身をくねらせていた。

オワリ

262 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 13:16:15 ID:+f6s8+uC]
(*^Д^*)

263 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 15:32:55 ID:+f6s8+uC]

「……ンー いいお天気…」
洗濯竿に並んだ洗濯物が風を抱いて揺れる。
洗濯籠を手に玄関に入ると、茂の仕事部屋から時折話し声が聞こえる。
「……でな、こいつはベトベトサンといって……」
布美枝がそっと仕事部屋を覗くと、茂が胡座の上に藍子を座らせ、自分の描いた絵を見せなが
ら、何やら話し掛けていた。
「でもな、こいつは悪い奴では無いぞ。そっと道を譲ってやると消えてしまうんだ…」
「 …アー、…ンーマ……」
「オー、そうか、わかるかー」
茂の話し掛けに相槌を打つ様に、藍子が声を出す。
“お父ちゃんったら… まだ藍子には分からないわよ …もしかして親バカ?”
そう思いつつも邪魔をしてはいけない気がして、少しの間、2人の掛け合いを静かに聞いていた。

264 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:18:07 ID:s34ckjAf]
こんな萌えスレがあったとは…皆様gj
きっと霊園遭難しかけたゲゲを温めるのはフミエさんの人肌

265 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:29:12 ID:BcPZfmua]
うp途中?(>>263)に割り込んではいけんと思ったけど
だいぶ時間あいてるし大丈夫かな


>>259-261
GJ!!!!!
セリフの1つ1つがそれぞれの声で完全脳内再生される!
萌えすぎてPCの前でゴロゴロ悶えてる自分キモスw

266 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/10(木) 22:59:25 ID:E3aynYZd]
>>259
GJ!禿萌えたw
今日「テレビぴあ」で浦木が村井夫婦の前で紫の表紙の本を持ってる写真見て
「もしや妻の心得?」とニヤニヤしたばかりだw

夫の心得はちゃっかり貰う茂ワロスw
あと、主題歌の「♪繋がれた右手が〜まっすぐな思いを〜」の部分を思い出して
ジーンとしました。

267 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 00:02:32 ID:4qsINcZ4]
>>259
萌えた!!GJ
浦木がこんなに役に立つとは思わなかったわー

しかし最近、フミエがちょいちょい茂にくだけた口調になってきてるのが自然でいいなあ

268 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 00:36:25 ID:S9zy867A]
>>259
だんだん!浦木もナイスアシスト!

茂さん、左腕がないハンデを全く感じさせない人なんだ
夜のお喋りな右手の話もよろしくおながします

>>264
「いかん、お父ちゃん身体が冷えきっとる…」ですね分かります



269 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 01:14:48 ID:HBe82FOk]
クエスタで布枝さんにヒゲ剃られてる水木先生がちょっと映ってたね。いやーんいやーん、ううーっみたいな顔が可愛かったw
爪切りに続いて、あれもドラマでやらないかな。

270 名前:263 mailto:sage [2010/06/11(金) 06:53:16 ID:Ulqzw3/6]
近所で火事があって、停電しちょりました…orz

途中のデータも吹っ飛びましたorz またあとで投下します………

271 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 07:01:09 ID:oem//3Oa]
それは残念な!

投下待っちょります!!




272 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 09:32:50 ID:akbeBh0B]
ナ・ナンダッテー(AA略
まあ…お体ご無事で何より…データは勿体ないけど(´Д⊂)
でも>>263の作風、すごい好きだから
楽しみに待ってます!

273 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 20:17:00 ID:5FlBna6N]
このスレの見すぎなせいか
今日の放送分でローソクが消えてフミちゃんが星空眺めてる時
次の瞬間、ゲゲがフミちゃんを押し倒すシーンが脳内再生されたw

274 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/11(金) 21:40:44 ID:GeEp6BPl]
ナカーマw
おお、ゲゲが押し倒す展開がくるのか!とちょっとwktkしちゃったぜ
あれはもう絶対に

ゲゲ押し倒す
「な、何するんです?お父ちゃん」
「ろうそくの火も消えてしまったけん、今日はもうオシマイだ」
「…ッあ、ちょ、ま、待って。ま、窓あいちょるんですよ!」
「どうせ隣は墓場だし、誰もきいちょらんだろ、いいから素直に横になっとけ」
「もうッお父ちゃんたら」

みたいな展開だとばっかり……


275 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 00:35:18 ID:/TXJYvXs]
おおおおお
ぴったりですなあw
出来たら続きなんかもよろしくおねがいしますだwww

276 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 01:08:19 ID:1WQ7YuMc]
いい感じになったところで、窓から
「私、大蔵省の者ですが…」

277 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 01:46:04 ID:UHUZvbs9]
邪魔するな大蔵省wしかし普段も貧乏神は部屋にいるし、じーっと見てそうだな。

278 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 03:03:52 ID:hVtNyP10]
しかし呼び名がお父ちゃんになったのがつくづく残念だ
二人の時だけはあなたに戻ってくれんかのぅ



279 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 05:15:25 ID:fHLDEfo7]
極貧でもアレだけ仲むつまじくいられるのは
夜の仕事が充実してるお陰だ。
金も無い娯楽と言えば、SEX以外ないでしょ。
39歳で絶倫ですな水木先生。
まあ腕っ節も強いみたいだし、漫画にはエロスを感じるし大人漫画では
露骨に勃起描写まである。
健全ですな。

280 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/12(土) 09:23:23 ID:1U+qM67p]
>>278
ドウイ。
名前で呼び合うのは無理だとしても、
2人っきりのときは「あなた」「お前」って呼び合ってほしい。

281 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 04:02:10 ID:Z9/dMDSd]
ゲゲゲ好きが高じて?初めて書きました。
藍子ちゃんも生まれて半年経っとるというのに、
今さらナンですが、初夜編を・・・。

282 名前:1 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:04:17 ID:Z9/dMDSd]
今日、なのだろうと布美枝は思っていた。

戌井が帰ったあと、間借り人の中森も賄いに礼を言って二階へ戻っていった。
茂が風呂に入っている間に、布美枝は布団の準備をしていたが
その手は小刻みに震え、心ここに在らず、
心臓が喉から出てきそうなほどぎゅうぎゅう胸が高鳴った。

茂と結婚、東京に出てきて約半月。
締め切り締め切りと日々まともに話しさえできなかった。
布団を敷いておいても、朝起きると茂は仕事部屋で机に突っ伏しているか、
そのままごろりと横になって寝ているかのどちらかだった。
そんな中で、床を共にするなど当然なかった。
そういえば覚悟して臨んだ新婚初夜でさえ、
少しの間話はできたものの、
結局酔いつぶれた茂が眠ってしまって何事もなかったのだ。


しかし、今日、と布美枝は改めて思った。

よかれと思ってやった仕事部屋の掃除から、
茂の思わぬ不興を買ってしまい、布美枝はひどく落ち込んだ。
帰って来ない茂を待つ間、本当に不安で仕方がなかった。
が、戻ってきた茂から自転車をプレゼントされ、
二人で出かけ、初めて色々な話ができた。
布美枝は、茂という夫に少し近づけた気がしていた。

茂を追い立てていた原稿は上がり、
夫婦につかの間のやすらぎの時間ができたのである。


「あんたも入ってきたらええですよ」
「えっ!」

いつの間にか風呂から上がった茂が立っていて、布美枝は飛び上がった。

283 名前:2 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:05:51 ID:Z9/dMDSd]
「あ、は、はいっ」

そそくさと出て行く布美枝を見送りながら、
茂は頭をぽりぽり掻いて、ちらりと布団に目を落とした。
やはり、今日、なのだろうと茂も思っていた。

親に強引に進められた結婚だったが、
結婚した以上はそれなりの生活があって然るべきなのだろう。
布美枝の「ここで暮らしていくんですけん・・・」の言葉が思い出される。

独りで居たこの家が、中森の同居はともかく、
少し賑やかになったのは間違いなく布美枝という存在の所業だ。
今日の深大寺の散策も、墓めぐりも
全部独りで楽しんでいたことなのだが、
二人で、というのも存外悪くないものだと思った。

締め切りも何とか乗り越えた。
明日からは富田のオヤジに頼まれた戦記物の漫画に取り掛からなければならない。
今夜くらいはゆっくり・・・
とまた、布団に目をやる。

「・・・」

また頭をぽりぽり掻きながら、茂は布団ではなく仕事机に向かった。
とりあえず布美枝が戻ってくるまで、次回作の案を練っておこうと思った。
そうしなければ、他の想像力にかきたてられ、
居ても立ってもいられなかった。

284 名前:3 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:07:29 ID:Z9/dMDSd]
布美枝が緊張した足取りで風呂から戻ったとき、
茂は仕事机に向かって何やらブツブツ言いながら鉛筆を走らせていた。

ああ・・・。
この人はやはり仕事のことしか頭にないのだ・・・。
布美枝は少しがっかりした。
壊れるくらいに高鳴ってどうしようもない心臓を抱えて、
ひとり緊張していた自分に脱力していた。

小さくため息をついて、布美枝が長い髪から落ちる雫を丁寧にふき取っていると
茂が大きくクシャミをした。

「大丈夫ですか?半纏、着たらどげですか?」
「ああ、えっと」
「あ、こっちに」

居間に投げ出されてあった茂の大きな半纏を持って、
布美枝は茂の机に近づく。
机上のスケッチブックには飛行機や戦艦のラフスケッチがあった。

「・・・すごい!何も見んでもこげにキレイに描けるんですね!」

身を乗り出した布美枝に、茂もまんざらでもない風で
「まあ、描き慣れとりますけん」
「次に描く漫画ですか?」
「そげです。戦記物を頼まれました」
「戦記物・・・」
布美枝にはあまり漫画のことはよくわからなかったが、
引き続きスケッチブックに絵を生み出していく茂に、
心底感心して、しばらくその様子を見ていた。

すると茂がそのままの体勢で「・・・今日はすまんでしたね」とつぶやいた。

「怒鳴ったりして」
「そんな、あたしこそ、余計なことして」
「・・・」
「・・・」

会話が、途切れてしまった。

布美枝の心臓がまた、早鐘を鳴らし始める。

285 名前:4 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:08:54 ID:Z9/dMDSd]
仕事机から布美枝に向き直った茂は、
ぎゅっと口を一文字に引き締めて俯いている布美枝に、
どう声をかけようか、しばし戸惑った。

どう考えても、この女房は29年間男を知ることがなかったわけで。
そして、やはり自分と同じように、
今日がその日なのだろうと思っていて、自分なりに覚悟を決めているようで。

「緊張」を全身で物語っていて、少し可笑しくなった。

「ははっ」
「・・・えっ?」
「や、ずいぶん肩に力が入っとると思って」
「え・・・え、や、えっと」

真っ赤になった布美枝の左腕を軽く掴んで、
茂はそっと、唇を近づけた。

とたんに布美枝ははっとして、急いで俯いた。

茂の唇は目的地ではなく、布美枝の額に、落ちた。

「・・・」
「あっ、す、すんません!」

さっきよりさらに真っ赤になって額を押さえる布美枝を見ながら
茂ははははっと笑った。
それから、少し、また沈黙があった。

沈黙を破ったのは、意を決したかのような布美枝の声だった。


286 名前:5 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:10:02 ID:Z9/dMDSd]
「あ、あの、あたし!・・・その、なんも、わからんのです。どげしたらええのか・・・」
「・・・」
「女房ですけん、その、コトは、ちゃんとせんと、と思うんですけど、
 いざ、となると・・・どげな顔して、どげしたらええのか・・・」

だんだん小さくなる声と、だんだん小さくなっていく身体、を
茂はそっと近づいて、右腕で抱き寄せた。
電信柱の面影もすっかりなく、布美枝はすっぽり茂の腕に収まった。
どき、どき、どき、どき
声はもう、出ない。
すると茂の落ち着いた声が、布美枝の背中から聞こえた。

「まだ半月ですけん、嫌なら嫌、と言うてくれたらええです」
「え・・・」

そして、抱き寄せる手を離し、体勢を元に戻すと、布美枝をじっと見つめた。
布美枝はそんな茂をしばらく見ていたが、慌てて俯いてしばらく黙っていた。
が、やがてかすれた小さな声で

「いや・・・じゃ・・・ない、で、す」

その言葉に押されるように、茂の右手が布美枝の長い髪を撫で、
ゆっくり、顔を近づけてきた。
布美枝はもう俯くことなく、茂の唇を自分のそれで受け止めた。

触れる。一度。
二度目。
角度を変えて、三度目。

少し離れたあと、今度は頬に。
そしてまぶた、鼻、反対の頬。そして、四度目の唇。

鼓動が尋常でないほど音を鳴らすので、
布美枝は息苦しくなって「はっ」と喘息した。
その瞬間を、茂は待っていたかのように逃さなかった。

開いた口のわずかな隙間から、舌を割り込ませる。
布美枝はびっくりして思わず茂から身体を離そうとしたが、
茂の腕ががっちりとそれを止めて、深い口づけを続けた。

287 名前:6 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:11:40 ID:Z9/dMDSd]
やがて唇は離れたが、布美枝はぼーっとしてしまっていた。
絡まった舌の感触がまだ残っている。
そんな布美枝を見て、茂はぽりぽり頭を掻いて、
居間に敷いてあった布団を一組、ずるずると仕事部屋に引っ張ってきた。

襖を閉めると、後ろから布美枝を抱きしめた。

はっとした布美枝はまた肩に力をこめたが、
今度はその肩あたりに茂の唇が降りてきて、また脱力する。

長い髪をよけ、首筋からゆっくり肩にかけて舌を這わした。
布美枝はぞくっと身震いをする。
その間、茂の右手は布美枝の寝巻きの帯をゆるめ、
合わせ目からそっと寝巻きの中へ進んでいく。

ふたつの丘陵のうちひとつを揺さぶると、布美枝の口から息がもれる。
その先端をすこし弄んでみると、また恥ずかしそうに嘆息した。

二人はゆっくり身体を布団に沈めていった。
茂は左肩で身体を支え、右手は布美枝の左胸を、口で右胸を愛撫した。
布美枝は初めての感触に緊張もしたが、やがてその快感に酔いしれていく。

布美枝が閉じていた目をそっと開けると、自分の胸に吸い付く茂の顔が見えた。
また鼓動が一段と大きく跳ねた。
するとその茂と目が合い、まるで「見るな」とでも言う風に、
また深い口づけをされた。
息が、できないほどの。

「はっ、は・・・ぁ」

絡む舌、揉みしだかれる胸、
ふと、腿のあたりに当たる硬い感触。
布美枝の心臓はまた何度目かの跳躍をした。

288 名前:7 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:12:25 ID:Z9/dMDSd]
まるで邪魔者のように、茂は自らの寝巻きを脱ぎ捨てた。
実家の兄や弟の裸でさえまともに見たことがなかったけれど、
こうも男の身体とは美しいものなのか、と布美枝は思った。

残念ながら、左肩のすこし先からはぽっかりと空間になっていたけれど、
分厚い胸板と、太い右腕、くっきり浮かぶ鎖骨。
このままうっとり見ていたかったが、またしても「見るな」という口づけ。

何度も受けていると慣れてくるもので、布美枝もその口づけに応戦していると、
今度は茂の手が布美枝の内腿をなで上げ、そして秘所へと向かっていく。

恥ずかしさにあせる布美枝は、茂の肩を全力で押し上げてみたがびくともしない。
茂の中指が下着の上から布美枝の割れ目を確認し、
そして次の瞬間には下着の中に手を入れ、直に攻めてきた。

「やっ・・・!」

さすがに抵抗した布美枝だったが、茂の指は入り口を探し当て、そっと入り込んでくる。
中を確かめるように蠢く指に、布美枝は背中をのけぞらせた。
「あっ・・・ぃや・・・」
遮るように茂の唇に布美枝の声が吸収された。

鼻からもれる、布美枝の声にならない声と、
布美枝の泉から聞こえてくるクチュ、クチュ、という音。
時折、茂がもらす息苦しそうな喘息。

しんとした冷たい部屋に、それだけの音がしばらく続いた。



289 名前:8 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:29:35 ID:Z9/dMDSd]
どのくらいそうしていたか、やおら茂が上体を起こし、
布美枝の脚に手をおいてそっと開かせた。
布美枝はどきりとして、ぱっと脚を閉じたが、
それを見た茂が、今度はそっと、一度目のときのような口づけをしてきた。

唇を離した茂は、少し困ったような表情をしていた。
布美枝は伺うように茂を見つめる。

「・・・ええか?」

小さくうなずいた。布美枝は目を閉じて、茂に任せるしかなかった。

やがて、ぎゅっ・・・と。

布美枝の茂みを分け入って、茂自身が入ってきた。

「いっ・・・!」

先ほどまで遊ばれていた指とは比較にならないほどの大きさのものが、
布美枝の中に入ってこようとする。痛みが、走る。

茂の背中に必死にしがみついて、布美枝は痛みに耐えた。
ゆっくり、確実に進んでくる茂自身を感じながら。
その間も、茂は布美枝のまぶたや耳に、口づけをくれた。
まるで労うように・・・。


やがて、ぴたり、と茂の動きが止まり、ふう、と息を吐いたのがわかった。

「全部、入ったけん」
「・・・あぁ・・・は、い」
「ちょっこし、動く」

言うなり、ゆっくり腰を動かし自身を抜き差しし始める。
また痛みのあまりに茂の肩を掴んで、涙目になった布美枝だったが
茂は優しくその涙を吸い取ってくれた。

「はっ・・・はっ、はあっ」
「あ・・・っ、あ・・・あ・・・」

動きに合わせて、二人の呼吸が重なっていく。
部屋には、火鉢の暖しかなかったが、二人はすでに熱に乱されていた。

290 名前:9 mailto:sage [2010/06/13(日) 04:55:30 ID:Z9/dMDSd]
やっと布美枝の痛みがやわらいできたころ、
「もう・・・終わる・・・」
茂が苦しそうにつぶやいた。

やがて、どくっと布美枝の中で茂が脈打ったのが分かった。

「はあ、はあ・・・」
「あぁ・・・はぁ・・・」

しばらく二人は折り重なって息を整えていたが、
茂が布美枝に軽く口づけると、そっとその身体を離した。

照れくさそうに、そそくさと寝巻きを回収する。
布美枝も脱がされて行方不明になっている寝巻きを探した。

「ああっ」
思わず、布美枝が叫んだ。

「え?」
茂がびっくりして振り返る。

「シーツが・・・」
見ると、うっすらシーツに血がにじんでおり、
二人の愛液がまざってびしゃびしゃになってもいた。
この様子だと、敷布団も被害にあっているであろうことは想像できた。


「どげしよう・・・換えがない・・・」
シーツも布団も、二組しかない。
寝巻きも羽織っただけの布美枝が呆然としていると
「ちっと狭いが、一組で寝たらええでなーですか」
「え・・・」
「寒いし、ちょうどええ」

にっこり笑う茂を見て、今さらながら布美枝はまた、
顔を真っ赤にして俯いてしまった。

その日の夜は、二人一組の布団で狭いながらも一緒に寝た。
布美枝は茂の右腕を枕に、幸せの中で眠りについた。

おわり


失礼しました・・・。

291 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 09:12:31 ID:KeVO0vKd]
>>18
きゃぁぁ!最高に上手ですけん!ドキドキしちょ〜けん。またいろんなパターンで書いてごしない。だんだん!!

292 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 12:55:23 ID:XGuOaT28]
>>290
実はリアルタイムで拝見していたのですが
PCの調子が悪く、すぐにレス出来ず失礼しました

やっぱり初夜編は萌えますねーw
読み応えがあり、すっごく良かったです!!
フミちゃんは勿論ですが、ゲゲもいっぱいいっぱいな所が素敵です♪♪

293 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 15:27:28 ID:kOpw4w9W]
>>282-290 (*´Д`)乙!!

294 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 15:55:12 ID:U5z1tIaB]
>>282
「今日は17:45まで退屈だ〜」と思いきや、職人様ktkr!
Sゲゲも良いが優しいゲゲもいいな〜
緊張しまくりのフミちゃんもカワユス
禿萌えました・・だんだん!

295 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/13(日) 22:16:48 ID:qnWbuYxi]
>>281
だんだん&GJ!
このクォリティで初めての小説?!凄いよマジで!

この頃はまだ茂が敬語なんだよなー懐かしス
やっぱり初夜は堪らん〜フミちゃんかわゆすぐる

296 名前:281 mailto:sage [2010/06/14(月) 00:13:00 ID:t0QfGmhb]

レス、ありがとうございます。
なんかすごい嬉しい。

調子のって、次回作を書いています。
もう少しなんですが、眠い。。。

完成したら、うpしますので、お目汚しください。



297 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 01:03:05 ID:+F09kK1d]
はーい

まっちょります!

298 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 16:00:29 ID:AIHWzZFj]
まだかなぁ



299 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 21:13:56 ID:6dmUdXx8]
本スレ落ちてるからこっちに書く

祝☆20パーセント越えヽ(´ー`)ノ♪

300 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/14(月) 22:39:11 ID:x6iQbIOA]
祝20%越え!
沢山の人がゲゲとフミちゃんに萌えるといいよw

281さんまだだろうか?
ようやく規制解除したっぽいんで暇潰しがてら投下します






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