- 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/07(火) 02:58:36.29 ID:qnwPq7hh0]
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暗闇の中、蒼星石はカバンを開けて辺りを見渡した。 部屋にはジュンの寝息のみが響いている。 蒼星石はジュンの枕元にある時計へ目を移した、その電子時計は午前2時ごろを指している。 なるべく物音を立てぬよう、蒼星石は静かに鞄から這い出た。 「やはり、行ってしまうのね」 突然暗闇から声が響く。 蒼星石はその声にあまり驚かず、声が聞こえた方向を見た。 「……やっぱり君は気付いていたんだね、真紅」 蒼星石が向いた先、真紅が鞄を開け、中で座ったままこちらを見つめている。 「朝まで待つことは出来ないの?この子達が悲しむわ……」 「それは出来ないよ……僕はマスターが目を覚ます前にこれを置いて。眠りに就くつもりだ」 「……」 「それに……湿っぽいお別れなんて僕は嫌いだ。もう、誰かの泣き顔なんて僕は見たくない」 「あら、私には見つかってしまっているわ。私だって、貴女に泣いて縋るかもしれないわよ」 「……そうだね、そしたらみんなも起きるし、僕はここを離れづらくなるかもしれない」 蒼星石は微笑んでそう言った。
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