- 546 名前:名無し三等兵 mailto:sage [2007/02/19(月) 08:23:10 ID:???]
- 「日本軍など、なにほどのことやある。」
とマンシュタインは自らを励まし、配下をも激励し、各地の防戦を指導していたが、敵はなにぶん 潮のごとくインドの山野に満ちており、この勢いを前にしては少々の知恵では刃が立たない。 それでもマンシュタインは、 「智と勇はわれにある。」 と自分自身に言いきかせ、それを信じようとした。例えばバラナシの作戦などはマンシュタインが 智の限りを尽くしたものであった。 マンシュタインは当初、このバラナシの防御陣地をオトリにしようとした。その為わざと1個師団 ほどの小勢を配置し、日本軍を誘おうとした。誘い、彼らがこれを包囲したとき、軍集団の本営か らガンジス川づたいに機甲部隊を急行させ、一挙に全滅させる、というものであったが、日本軍印 度方面軍の石原莞爾大将はこの陣地をみたとき、 「これは」 と、笑いだした。あまりにもオトリ然とした陣地で、まわりの地理をながめてみてもマンシュタ インの作戦が見えすきすぎている。 「この程度の知恵でマンシュタインはフランスを切りとったとはむしろそのほうが驚きである」 と、石原将軍はとらえた捕虜にいった。東洋の精練をきわめた戦術からみればほんの初歩に過ぎ ず、お気の毒のような気がする、といって捕虜を放った。このことばがマンシュタインに聞こえ るように仕組んだのであろう。 印度方面軍はこのためバラナシ守備隊は相手にせず、迂回してカーンプルを攻囲中の先遣隊に合 した。石原の意見ではカーンプルさえ手に入ればバラナシは熟柿のごとくおのずから地に落ちる というのである。 マンシュタインは、裏をかかれた。
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