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【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ【昭和のかほり】



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/05(水) 12:07:38 ID:wXoQLilw]
なさそうなので立ててみた

82 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 15:50:33 ID:DnC/3mpF]
もうすぐふみえちゃん妊娠くるー
計算的には今まさに仕込んでる最中でしょうか

83 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 17:54:23 ID:Ul5/vxJ+]
♪Honey honey, let me feel it, ah-hah, honey honey〜♪

>>82
まだじゃないのかw?

84 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 18:31:37 ID:vRaEouqc]
爪切りプレイが可愛かったなあw

85 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 21:28:45 ID:c1kjBVwQ]
>>84
禿同
もうそこでイチャコラ始めてしまえよとw

あとサイン会のチラシ刷ってるときの言い合いも。
インクプレイクルー?!

86 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 21:35:05 ID:lk7zY+iR]
あのガリ版原稿の奪いあい、そのまま押し倒しちゃう展開にしか見えないw

87 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 23:36:41 ID:QTo8PdkI]
>>86
そこ、実況が「いちゃいちゃすんなw」の一色になっててワロタw
キスしたり抱き合ったりしてる描写は無いのに、ここまで萌えるのはなぜだw?

88 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 23:54:00 ID:oYXVFed/]
今日のイチャ喧嘩で盛り上がってるところ申し訳ない
紙芝居回での喧嘩に萌えたので投下してみる
方言はいい加減なのは許してごしない

89 名前:仲直り 1/4 mailto:sage [2010/05/20(木) 23:55:06 ID:oYXVFed/]
「無茶いうなッ」
「そっちこそ無茶ばっかり……!」
一瞬、睨みあってから布美枝はフイッと茂に背を向けた。
怒っているからではなくて、情けなさに泣きそうになって泣き顔を見られるのが嫌だったからだ。
それでも嗚咽が漏れそうになってくるのを、必死に口唇を噛みしめて耐える。
急な結婚だったからろくに嫁入り道具も持たせてやれんと、両親が代わりにくれたお金だって
もう残り少ない。
頼りの下宿代もしばらく前から滞りがちになってきていて当てにはできないし、それでも今に
3冊分の原稿料が入るからと、ずっと騙し騙しやってきたのに……。
あんなに簡単に、原稿料は諦めろ。音松親方にいくらかのお金を包んでやれと言うなんて。
お金は都合のいいときに、無限に出てくるものじゃないのに。
少し滲んだ視界で、ささくれた畳を仇のように睨みつける。
茂が無理をいう気持ちは理解できても、布美枝からは絶対に折れたくなかった。
張り詰めた空気が、無言の室内に流れていく。
どれくらいそうしていたのだろうか。
頑なな布美枝の背後で、茂がふうっと息を抜いたのが聞こえてきた。続いてガシガシと、荒っぽく
髪の毛を掻きまわす音もする。
きっとこの後に続くのはいつも通り、紙にペンが走る音だろう。
ああ、やっぱり私の怒りなんてこの人はちぃっとも気にしないんだと、さらに悲しい気持ちになった
ところで、不意に茂の腕が布美枝のお腹に回った。
あ…と思う間もなく布美枝は簡単に引き寄せられ、茂の足の間に収まってしまう。
「ッ!、あ、あのっ……」
焦って振り返るより先に、布美枝は肩先に茂の顎が当たるのを感じた。
途端、すぐ近くにいる茂の存在を意識して体が強張り、動けなくなる。
「……無茶言うとるのはわかっとる」
「……」
「でも俺は、ほんとに親方には世話になったんだ……あの人がおったから今の俺もおる」
囁いた茂の言葉を、耳よりも先に振動で感じる。
布美枝が俯くと、自分のお腹に回った茂の腕が視界に入った。
ずっと原稿ばかり描いている器用な指が、今は布美枝の服をしっかりと握りしめている。
「……私、怒っとるんですよ? 無理、ばっかり言って」
ほぅとひとつため息をついて、そっと自分を抱きしめる茂の腕をさする。
「ああ、わかっちょう」
答えた茂の腕に力が籠った。
片腕しかなくても、茂の、その力強い腕のなかにすっぽりと包まれているのは気持ちいい。背中を
心持ち背後に倒すと、茂の熱が服越しに伝わってきた。
その熱で、さっきまで硬くなっていた布美枝の体が柔らかく解けていくような気がする。
「……ほんまにわかっとるんですか?」
「……ああ」
ほんの少し顔を動かして、布美枝の項に鼻をうずめるように茂が頷く。
ジン…と布美枝の中心に熱いものが灯った。
「もう……私、まだ許してないんですからね」
「それもわかっちょう」
口げんかの続きのような言葉には険はなく、睦言だ。
茂の息と口唇を項に感じて、布美枝は無意識に首を傾けた。
茂の指先が器用に動いて、布美枝の服のボタンを一つずつ外していく。
スカートからブラウスが引きずり出されたと思ったときにはもう、茂の指が服越しではなく布美枝
の素肌を触っていた。
「音松さんもおるのに……」
「もう寝とるだろ」
「さっきまで、私たち言い争いもしちょりましたけど?」
「ケンカの後は仲直りと決まっとるな」
ああ言えばこう言う。
打てば響くような茂の言葉にクスクスと笑いながらも、乳首を悪戯する茂の指先に、段々布美枝の
息が上がっていく。
焦らすような愛撫にほんの少しだけ腰を揺らせば、いつの間にか堅くなっている茂の股間にぶつかった。
お尻に当たるソレが何なのかに思い至り、布美枝の肌が赤く染まる。
一瞬で火照った体に気がついた茂の舌が、耳の後ろを撫であげた。

90 名前:仲直り 2/4 mailto:sage [2010/05/20(木) 23:57:25 ID:oYXVFed/]
「おい、下着脱いでこっち向け」
「え…」
「下着。濡らすと気持ち悪いだろ?」
「で、でも……まだ寝るには早いし……布団もないし……明るいし……そんなこと」
「だから全部脱がんでもいいから、下着だけ脱いでこっち向け言うとる」
恥じらって逡巡する布美枝を煽るように、茂の指が敏感になった乳首を擦る。捏ねたところから
痺れたような快感が全身に走った。
「…あッ、ん」
漏れた声を途中で口唇を噛むことで殺し、ビクンと体を竦める。笑った茂の手が、布美枝の体から離れた。
「ほれ……早く」
「は、はぃ……」
掠れた声に急かされて、手早く下着を脱ぐ。脱いだ下着をどうしようかと悩み、自分の視界に入らないで
あろう本棚の前にそっと置いた。
「布美枝……」
後ろから、自分の名前を呼ぶ茂の声がする。
茂が自分の名前を呼ぶのはほとんどが睦み合う時で。それはまさに今だと思って、布美枝は肌蹴た
ブラウスの前をなんとなく合わせながら振り向いた。
俯いた視線を上げれば、作業机に寄りかかるようにして茂がじっと布美枝を見ている。
視界の隅に、反り返った茂の欲望が見て取れた。
多分、布美枝が下着を脱いでいる間に自分もズボンの前を開けたのだろう。
そこ以外きちんと着こんだ茂の少しだけ間抜けな姿に、くすりと笑いが漏れる。
手が差し伸べられ、布美枝はまた茂の腕のなかに戻った。
膝立ちになり、スカートで二人の腰回りが見えないようにそっと隠す。
「誰も見ちょらんのに」
「でも恥ずかしいですけん」
大きな茂の手のひらが、布美枝の頬を包むように優しく触れる。ゆっくりと二人の顔が近付いた。
二度三度、口唇をなぞるような口づけを交わしてから、茂の舌が伸びてくる。ノックするような舌の動きに

、布美枝は微かに口唇を開いた。
すぐさま入ってきた舌が、布美枝の舌を絡め取りきつく吸い上げる。同時に首筋をなぞり降りていた手が

布美枝の胸を掴んで大きく揉みしだいた。
「っ、ぁ……」
痛みと快感に漏れた嬌声は、深く口づけた茂の口内に吸い込まれて消えていく。
ゆらりと本能的に揺らした布美枝の腰が、茂の欲望を掠める。熱い肉の存在と、それを迎え入れるため
にすでに十分に濡れている自分の場所を感じて、布美枝の体が一層赤く染まった。
ぎゅっと思わず茂の肩に置いた指先に、力が籠る。
「そのままなぞっとれ。我慢できなくなったら入れてもいいけん」
耳元に舌と一緒に吹き込まれた茂の言葉に、ただ頷いて応える。
結婚してから何度も経験しているのに、この体位は自ら動かなければならないから未だに恥ずかしくて
慣れない。
布美枝は舌で口唇を舐めると、触れるか触れないか微妙な距離を保ったまま前後に腰を動かした。
自分の充血した花芯に、茂の欲望を擦りつけて揺する。
茂の舌が乳首を転がすように舐めた。舌で愛撫できないもう片方は茂の指先が同じように弄っている。
「ぁ…あ、あぁ…ん」
湧きあがってくる快感に耐えられなって、布美枝の口唇から甘い声がこぼれ落ちる。
一度漏れだすと、声を抑えることはもうできなかった。
「も、もう……」
入れていいですかと問うよりも先に、スルリと茂の熱棒が布美枝のなかに入ってくる。
あまりにスムーズな挿入に、自分が入れたのか、茂が入れたのかもよく分からなかった。
ようやく満たされた充足感に、布美枝は息をついてわずかにのけ反る。
深い場所に当たった体内と花芯からの疼きに急かされるまま、布美枝の腰がもどかしげに動きだした。
いつの間にかスカートを捲りあげ尻に当てていた茂の手が、その動きをサポートする。
言葉もないまま、重ならないハッ、ハッと二つの荒い息が狭い室内に響いた。



91 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/20(木) 23:58:24 ID:oYXVFed/]
「ッ!」
数度の動きで布美枝が絶頂に達し、なかが痙攣した。その動きに釣られて、茂も熱いものを
布美枝の体内に迸らせる。
「……ぁ」
自分のなかに溢れたものの感覚に、布美枝は声をあげ快感に小さく体を震わせた。
目を閉じて呼吸を整えていると、茂の口唇がやさしくこめかみに触れてくる。
うっすらと目を開けると、汗をかいた茂がもう一度深く布美枝に口づけた。
「あっついな」
「……そうですね」
口唇を放してすぐの茂の言葉に思わず笑みがこぼれる。
見れば本当に、茂は額から汗を滲ませていた。
「汗、かいちょりますね」
「ああ…」
布美枝の指が、そっと茂の前髪を額から払う。
お互いになんだか離れがたくて、また口唇を合わせた。
茂の口唇は布美枝の目尻に触れたり、鼻に触れたり、そうかと思うとまた口唇に戻ってきて
その度に深く舌が絡みあう。
「……ん、ぅ」
口づけに夢中になっていると布美枝のなかで、茂の存在が大きくなった。
気がついた布美枝が驚いて、茂の目を覗きこむ。
「お前のなかは気持ちいいけん」
にこりと笑った茂が、足を揺すらせた。
その動きに、敏感になっている布美枝の体にじんわりとした快感が広がる。
「あ、あぁん……」
「今度はもっとゆっくりやるか」
「仕、事は……? もうせんのですか?」
戸惑った布美枝の問いかけに答えたのは、花芯に触れた茂の指先だ。
そっとなぞられただけで、布美枝は自分のなかでおき火のように燻っていた欲望がまた
湧きあがってくるのを感じ取る。
「……まあ、仕事はもうちっと後から始めても平気だろ」
愛撫を続けたままぼそぼそと呟いた茂の声は、次第に勢いを増してくる突き上げた動きに
気を取られた布美枝の耳に半分も届かなかった。


92 名前:仲直り 4/4 mailto:sage [2010/05/20(木) 23:58:52 ID:oYXVFed/]
「あ、あああっ、もうこんなになっちゃって!」
終わった後、身支度を整えようと離れた布美枝の声が大きく響いた。
「おい、夜だぞ。もうちょっと静かにせい、どうした?」
「どうしたじゃないですよッ! って、ああ、あなたの服もっ……どうしよう……」
呑気な茂の声に、これだけは無事だった下着を手に持ったまま布美枝が振り返る。
気がつけば結局二人の間にあったスカートは見事なまでに皺だらけになっていたのだ。
しかし振り返った布美枝の視界に茂のズボンが目に入り、声の勢いは小さくなり途方に暮れたようになる。
情けなさそうに自分を見つめるその視線に、茂はなんで布美枝がそんな表情で自分を見るのが分からず
きょとんと見返していた。
「ズボン……」
ぼそりと呟いた布美枝の言葉に、茂が視線を下げる。
その先に、前だけを広げていたために二人の愛液に塗れ、見事に股のところだけ変色していたズボンが
あった。



93 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 00:00:34 ID:oYXVFed/]
途中ナンバリング抜けたorz
さらにちゃんと確かめたと思ったのに改行失敗してて申し訳ない
エロくないし、下手でお目汚しごめん

でも萌え滾ったのを吐き出して自分はスッキリできたw

94 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 00:22:04 ID:sxSUwd5L]
新作キタ━━━━━━━━ (*´Д`)ハァハァ 
自分もあの喧嘩萌えたんでそっからひろげてくれて嬉しい!
この仲直りがあって翌朝の狐イラストに繋がるんですねニヤニヤ


95 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 00:33:40 ID:FCOTbQcI]
GJGJ!
エロイよエロイよ〜
二人のやり取り上手いなあ

96 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 00:43:03 ID:t//tGhZ1]
職人様、GJ!GJ!だんだんです!!
仲直りH、激しく萌えました!

会話がドラマのお二人の声で再生されて、
ガリ版原稿いちゃいちゃ、爪切りいちゃいちゃでニヤニヤと
萌えていたのが吹っ飛ぶほど滾ったーー!







97 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 03:03:35 ID:N9aDiflZ]
>>89
だ…だんだん!!禿げ萌えた
特に二人の会話とキスシーンに萌え死にしたwww
フミちゃんの事「あんた」以外でで呼ぶ所が見たかったから嬉しいw




98 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 04:06:17 ID:zV52tOOl]
文章うまいなぁ

99 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 09:21:07 ID:xPv87SiX]
テストします

100 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 13:44:54 ID:uxvNeQ4g]
初夜はやっぱり深大寺の夜かな・・・職人さん、どしどしお願いしま〜す!!!



101 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 17:36:29 ID:NDXorSGG]
おいおいwいいスレ立ってんじゃないか!(*´Д`)
妄想爆発できるスレだ〜〜!職人さん乙!
ゲゲはやっぱり相当Sだよな〜〜!!!!
たまらねえええ!

102 名前:1 mailto:sage [2010/05/21(金) 22:20:43 ID:Nz2X2Oh2]
「フミエ」
「はい。どげしましたか?」
この人と所帯を持ってどれだけの月日が流れただろう。
まだふたりの生活は日が浅いけれど、その呼び声ひとつで大抵のことは予想できる。
きっと何か手伝う作業ができたのだろう。
仕事に没頭する真剣な声色に、布美枝は仕事部屋の戸を開く。

「フミエ」
「はい…。どげ…しました、か…?」
決まりの悪い口調。何か小遣いの無心をしているのだろうと察する。
フミエが口を尖らせて上目遣いにじっと見据えても、
目を反らして後ろ首を掻いたまま、そっと右掌を上向ける。
フミエはひとつ当てこすりに吐息を漏らして、ガマ口を開くしかなかった。

「フミエ」
「はい。どげしました?」
ふと見上げた窓の外。巡る季節を彩る景色から、何か見つけたのだろうか。
こんなにぶ厚い牛乳瓶眼鏡をかけるほどの視覚だというのに、
この人の視点はいつも面白いものは逃さない。
布美枝は家事もそこそこに、跳ねるような足取りで茂の背に擦り寄った。

フミエ、フミエ、フミエ…。
大抵は「おい」とか「あの」などと呼びかけられることが多かったが、
その名を呼ばれる時は大なり小なり事件が起きる。
それはフミエにとっては心躍らせることが多くて、呼ばれる度にいつも
自然と笑みが浮かんだけれど……
「…ふみえ…」
夕食の片づけを終える背中越し。
そっと呼びかけられたその声色には、鮮やかにカラー絵を塗りたくる時の
パレッドのように、複雑な色が混じっていた。

103 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 22:21:06 ID:Nz2X2Oh2]
「はい?」
ちょっこし意地悪して、忙しいふりをしてみせる。
充分に拭き終えた皿をもう一度手に取って、拭い始めた。
振り返らない布美枝に、茂は続きを言えない。
そうっと振り返ると、手の腹で擦り落ちた眼鏡を上げる横顔。
のんびり屋の割には即断即決の茂らしくもない。
大きな背を丸めて気まずそうに耳を掻く姿はどこか可愛らしくさえある。
「どげしました?」
「あ…ああ。おぉ…」
首を傾げても茂の次の言葉はその唇で留まったまま。
フミエは小さく微笑んで、また背を向けた。
「湯が冷めますよ。寝巻持っていきますけぇ、ひと風呂浴びてきて下さい」
途端に茂の顔が上がったのが、背中越しでも分かった。
「お、おぉ。そうじゃな…。風呂浴びてくる」
「はい、はい」
「お前も早く片付け終わらせて、すぐ後に入るがええよ」
「はい、はい」
「な?」
念押すように問いかけられ、布美枝はもう振り返れなかった。
今でもまだ、こんなふうに顔を真っ赤にしているのを見られるのが恥ずかしかった。




104 名前:3 mailto:sage [2010/05/21(金) 22:21:44 ID:Nz2X2Oh2]

夜ともなれば肌寒い。
もうこんな季節だというのに、やはりここは東の京なのだと感じる。
居間に戻って洗い髪を手ぬぐいで乾かしていると、襖が開いた。
「上がったか」
「はい。いーいお湯でした」
「そんなところで座わっとったら湯ざめするぞ。ほれ、信長公。寝床を温めておきましたぞ」
「だんだん。けど…まだ髪が濡れちょりますけん…」
「ええから。ここを開けておくと風が入っていけん」
先に湯を浴びた茂の方こそ湯ざめでもしそうなのか、ぶるりと背を震わせる。
「はい、はい。……私はアンカ代わりの猫…の代わりですかいね……」
布美枝の小さな独り言は、静かな夜の中、茂の耳にも届いてしまったらしい。
襖を閉じて振り返った途端、布美枝の目の前ににゅっと首を伸ばした。
「代わりではないよ」
「ひゃっ。は…はあ。聞こえとったんですか……」
手ぬぐい越しに布美枝の髪に触れる。
「ふみえ」
また、あの声色だ。
布美枝は濡れた髪を頬に滑らせて、少しでも頬の火照りをごまかそうと俯いた。
「……こんなに大きなアンカはないわい。たとえ猫でも」
「ま。酷い…」
「いや待てよ…。長きを生きた猫又なら…」
空を漂う茂の瞳。またすぐ仕事モードに切り替わってしまう。
けれどふと目を戻せばそこには恥じらう新妻のむずがったような顔があって、
その瞳に吸い寄せられるようにそっと額を寄せた。
「……何か、思いつかれたのではないですか…?」
「ん。仕事は明日でええ」
風呂上がりのしっとりとした肌。
肌寒さのせいだけではないのだろう、幽かに震えたフミエの肩を撫でる。
ペンダコだらけの武骨な手なのに、その動きは意外なほど優しい。
布美枝は照れ隠しにすっと横向いて座り直し、手ぬぐいの先で長い髪を挟んだ。
「ここのところ徹夜続きですけんね。ゆっくり…休んだ方がええですよ」
「…そげだな…」
「明日はあさげを遅らせますから、いいだけゆっくり…休んでください」
「…そげだな…」
早寝を促す言葉とは裏腹に、期待を秘めて高鳴る鼓動が聞こえたりはしないだろうか。
大事なことは上の空なくせして、こんなところばっかりは地獄耳だから…
片側に髪を寄せて手ぬぐいで擦り合わせた時、無防備に晒されたうなじに茂の手が伸びた。

105 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 22:22:03 ID:Nz2X2Oh2]
「ふみえ」
知らんふりをしていた布美枝も、優しいその呼びかけを無視することはできない。
「……はい」
俯かせていた視線を上げると、茂はどこか無邪気に微笑んでいた。



106 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/21(金) 22:23:30 ID:Nz2X2Oh2]
非エロの半端でごめん
このふたりほんとに萌えるなぁ
今日は布美枝さんの大告白もあったし……

107 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/22(土) 01:32:36 ID:5FVQjuh9]
続きよろしこw

108 名前:名無しさん@ピンキー [2010/05/22(土) 01:44:37 ID:NB+9JEsh]
蔵の屋根裏部屋で嫁と義妹を責めるゲンベエ

109 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/22(土) 09:39:19 ID:s7yMRGes]
>>19の続きです。
モタモタしてたら時が移ってしまって・・・。今更ですが、結婚記念日まきこ。

*****
初めての痛みに耐えながら、フミエは今、自分の中に茂がいることに
幸せを感じ、胸をいっぱいにしていた。

「痛いか?最初っから気持ちええいうわけにはいかんじゃろね。なるべく
早う終わらせるようにするけん、ちょっこし我慢してごしない。」

閉じていた目を開けると、遠慮がちに動き始めた茂の、何かをこらえて
いるような、せつなげな表情が目に入った。
なぜだかふいに、たまらないいとおしさを感じて、フミエは茂の肩に
手をまわした。茂は浴衣を着たままフミエを抱いていた。フミエは、
茂の裸を見たことがなかった。

「私は、大丈夫ですけん。」

フミエは、浴衣のえりをそっとすべらせると、茂の左腕の痕跡に、
やさしく触れた。
・・・瞬間、茂はフミエの中に放っていた。
*****
 終わった後、寝入ってしまった茂に苦心して寝巻きを着せ直し、布団を
かけてやると、フミエは自分も寝巻きを着て茂の隣にもぐり込んだ。
すきま風の吹き込むあばら家で、ストーブに入れる石油さえなくても、
こうして二人寄り添っていれば、こんなにも暖かいということを、
初めて知ったフミエであった。

110 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/22(土) 14:12:21 ID:5FVQjuh9]
おぉ!
dwww
初夜はやっぱり良いね〜



111 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/22(土) 20:19:43 ID:gQuc2pod]
新作どんどんキテル━━━━━━━!!!

♪ありがとう〜って伝えたくて〜職人様〜見つめるけど〜〜♪

携帯公式に結婚記念日パーティーの写真載ってるね。
クリスマスの様子とかも見たかったな。

112 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/23(日) 23:09:35 ID:6BEs2nfi]
なんて神スレ…職人様だんだん!
結婚一周年+ご馳走+早く帰ってきて下さいね(上目使い)に
禿しくムラムラしたw
ゲゲの爪も短く切ったことですし
今夜は布団で運動会したんだろなフハーッ!

113 名前:寒い寒い…1 mailto:sage [2010/05/24(月) 02:01:47 ID:FBxNcj6n]
今日は大晦日
すずらん商店街でお買い物しちょったら、みちこさんに会って、丸いお餅をいくつかいただいた
「つきたてよ〜
夏に帰省するから、年末年始は東京に残るって太一君、うちにきて餅つき手伝ってくれたの」
嬉しそうに話してくれて、なんだかこっちまで温かい気持ちになる

「お宅は、ご実家にご実家に里帰りされるの?」
「いいえー我が家の国家予算では里帰りは無理ですけん
夫婦2人こっちで慎ましく新年を迎えようと思っちょります
うちの人も正月はゆっくりしたいからって今夜は徹夜するって言っちょりました
だけん夜食もかねて温かい年越し蕎麦を作ろうと思っちょります♪」
「そう〜それだったら、うちでささやかだけれど新年会やろうと思ってるの
先生に読者の集いの時のお礼もしたいし…夫婦でいらっしゃいな」
「ありがとうございます。ぜひうかがいます」

114 名前:寒い寒い…2 mailto:sage [2010/05/24(月) 02:03:24 ID:FBxNcj6n]
「ただいまー」
家に着いて荷物をおろし
いただいた丸いのお餅を重ねて鏡餅にして飾ってみると、ちょっこしお正月らしく見えた♪

仕事部屋を覗くと一生懸命漫画書いている、うちの人の背中が見えた…
この一年この人の背中を見てきた日々を振り返っていた
見つめ過ぎたのだろうか…うちの人が、こちらを振り返って怪訝な顔をして
「そんなところでボーっとなにしちょる?」
「い、いいえーあ、お茶!お茶にしましょう!今日は冷えますけん熱いお茶で暖まってください」
「おぉーええな。」

2人でお茶をすすっていると、ふと…うちの人の足元に目がいった
「あら!靴下に穴開いちょります。縫いますけん脱いでください」
「脱いだら寒い。ええ」
「開いたままではもっと寒いですよ。あなたがお茶飲んでる間に終わらしますけん」
渋々靴下を脱いで渡してくれた

115 名前:寒い寒い…3 mailto:sage [2010/05/24(月) 02:06:46 ID:FBxNcj6n]
「んっ?鏡餅かー久しぶりに見たな」
そう言って立ち上がり鏡餅に顔を近付けた
「みちこさんにいただきました。まだ柔らかいですけん触ったらいけんですよ」
靴下を繕いながら応える

ムニュ…ムニュムニュ「72点」ボソッ…
「しかしこれはアレに似ちょるな」ボソッ…

「?どうかしました?」「いや」
「そうですか」

「今日は冷える…手がかじかんでいけん」
そういいながら私の後ろにやってきた
きっと靴下の催促だろう
「そげですねー雪ふるかもしれませんね……はい、靴下できましたよ」

顔を上げたと同時に胸元にするりと、何かが入ってきた
「きゃ!あなた!どこに手ぇ入れちょるんですか」
「こう手が冷えては漫画を書くのも大変だけん。あんたがちょっこしあっためてくれ」
「もぉー」
仕事と言われたらこちらはむげに出来んことをこの人はよぉ知っちょる

ふいに胸の柔らかいところを指でつつきながら
「………ボソッ…点…」
「??はい?」
「なんでもない。我が家にはえぇ鏡餅があるから正月が楽しみじゃな」
「はぁ???そげですか…」


ちゃんちゃん♪

116 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/24(月) 02:17:13 ID:FBxNcj6n]
エロくないうえに
方言おかしいし誤字脱字すみませんorz

普通、大晦日に餅つきしないし…とか自分で突っ込みながらも
本家のスレに水木先生が饅頭つついて点数言ってたってエピみて
ちょっこし書いてみたくなって
テキトーにかいちゃいましたw

117 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/24(月) 08:41:22 ID:b1NnqZBk]
>>116
乙!可愛い二人に萌えた
茂は姫初めする気満々だな
そして布美枝の胸に何点つけたのか気になるw


118 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/24(月) 16:36:02 ID:PuTep2LD]
遅レスだけど>>102->>105
布団入る場面の辺り、ニヤけながら見てたわ
なんだこの喋ってるだけで萌える夫婦

119 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/24(月) 21:58:45 ID:wRKQyCkU]
>>116
だんだん!
可愛いやりとりにニヤニヤしながら読んだw

120 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/25(火) 18:52:31 ID:zk1OkMBQ]
本スレで茂はフミエの笑顔を見るのが好きなんだねっていうレスがあって
なんだかそれに萌えてしまった……w
そう考えると確かに茂は車で初めて調布に向かう時とか鬼太郎の本ができたときとか
喜んでるフミエの顔を凄く満足そうに見てたような気がする!



121 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/25(火) 20:36:33 ID:hpJeGGLH]
>>120
だから源べー襲来の時、鬼太郎の新刊見せて布美枝が上の空だった時のイジケっぷりがw

122 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/26(水) 00:42:39 ID:99bKLRW0]
>>121
あぁ〜あの「なんだ!ちぃとも喜ばんで…ブツブツ」って場面ねw

拗ねゲゲルも良いよね〜フミちゃんに甘えてるみたいでw
40男が10も年下の嫁さんに人知れず甘えてる図…萌w

火曜は頭でイチャコラしておいて
尻は言い争いでズドーンと落とされて…体がもたんよ(´Д`;)
早く仲直りエチーでもすればええのに!ry

123 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/26(水) 01:35:28 ID:T+Qy6tT0]
というわけで>>122さんが仲直りエチー補完を住人の心身安定用に落としてくださるのですね
分かります


124 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/26(水) 23:53:07 ID:GRdhOi1F]
今日も我慢は続く・・・
はぁ〜〜

125 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/27(木) 01:41:42 ID:xrZ2+aae]
そげですねぇ…辛いねぇ…
でも、きっとフミちゃんの方が何倍も辛いんだよね…
最後の涙目カット…可哀相で可哀相で堪らんかったわ

唯一ひっくり返ってたゲゲルのとっくりセーターの襟を
直してあげてたシーンは良かったなぁ…

盛り上がる為だとはいえ、夫婦の中がギクシャクしてると
その日一日沈みがちな自分がおる
どんだけゲゲゲにハマってるんだか…

126 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/27(木) 02:24:49 ID:B4OT7NkN]
>>125
全文同意!(特に最後の3行)

ドラマはハマッてるけど、最近本スレつまんなくなってきた(今辛い状況だから余計に)
調布にきたばかりの時は辛い状況でも、本スレはある程度楽しんで読めたんだがな

127 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/27(木) 16:11:30 ID:xty/5zzw]
>>120
ラジオ買ってやった時にフミエが喜んでる顔を見て
茂も嬉しい顔になってる場面も加えてごしない

128 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/27(木) 22:11:04 ID:C2Duqa/M]
さり気なく検索してみたらこんなスレがあるとは‥
いろんな意味で2ちゃんて凄いねww

いや、しげーさんとふみちゃんには萌えますがww

129 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/27(木) 23:41:13 ID:4JLuM6+B]
ゲゲは本当はフミちゃんを不安にさせたり、ガッカリさせたくなかったんだね
ゲゲはフミちゃんの笑顔、喜んでる顔をずっと見ていたいんだね・・・

不器用な愛情表現しか出来なくても、フミちゃんにはちゃんと伝わっているからね

130 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/28(金) 18:58:22 ID:zcZIB0Ft]
えぇこと言った>>129さんには
砂糖たっぷりの湯飲みコーヒードゾー つ□

自分爪切りイチャイチャがいまだに脳裏に焼き付いとる…
本スレでも何回か話題になってる
しげぇさんのやや伸び気味な髪も
手先の器用なフミちゃんがカットしてあげたらええのに…

(そ〜っと前髪切りつつ)
「あっ動いたら危ないですけん、じっとして!」
「こわ〜髪なぞ切らんでも死なん!」
「漫画描くのに邪魔になるから、いけんですよ」(ちょきちょき)
「うぐぐ…」(漫画の事を出されると弱い)
…的な。長文許してごしない。



131 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/28(金) 19:15:35 ID:zcZIB0Ft]
↑と、言うか全然エロじゃないね…すんません
ちょっこし表に立っちょります…

132 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/28(金) 20:01:46 ID:6vs8g5La]
>>130
可愛い!GJ!
そのシーン是非やってほしい!
床屋に行く金ももったないだろうしw

この前、本スレで
「結婚記念日の手作りプレゼントは可愛いフミちゃんについてくるオマケのような物だ・・・」って書き込み読んで
それに妙に萌えてしまったww

133 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/28(金) 22:20:42 ID:9BkKokyy]
ここの小説wktkしながら一気に全部読みましたが禿しく萌えますた‥
職人様皆文章上手だなあ
自分も何か投下したいけど
肝心のネタが思いつかないのでちょっこし考えてみます
ふみちゃんが妊娠〜赤ちゃん誕生の辺りの話放送されたら
その辺りで書けたら書きたいなあなんてw

ふみちゃんは本当に心からしげーさんを愛しているんだなあ
しげーさんも口には出さないけどちゃんとふみちゃんを大切に思ってるし
在り来たりな恋愛話よりこの2人のお互いをちゃんと思い合ってる関係の方が
全然萌えられますw
ええですな、ほんにこのドラマは

心優しい二人に幸あれ。

134 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/29(土) 00:25:17 ID:TlpoK/77]
>>133
楽しみに待ってま〜す♪♪

135 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/29(土) 02:12:22 ID:HyDTG6BA]
>>133
健闘を祈るッ!! ('Д')ゞ

136 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/29(土) 12:56:45 ID:C6EfRjoD]
茂とフミエの会話の噛み合わなさにも萌えた自分にビックリだorz
フミエが真面目な相談してるのに自分の漫画で笑う茂は可愛いだろ…
さらにはそんな茂を見て仕方ないなあと思いながら笑うフミエはもっと可愛い
あれで萌えるなというほうが無理があると思うわw

137 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/30(日) 22:42:57 ID:ZUrtZ+cU]
一日に何度もこのスレ覗いてしまう・・・
ドラマでは描かれなかった二人の(ソフトな)エチシーンが見たいわ

138 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/30(日) 23:57:54 ID:SatNF+Zu]
今日、親が「ゲゲゲは安来編が傑作だった」と親戚に熱弁しているのを聞いて
二人一緒の萌えシーンが多いほど、神回になってる自分は
「いや、アシスタントと自転車が最強だろ!」と反論したかったが
思わず押し黙ってしまった・・・
こんな自分が嫌だorz

139 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 00:37:05 ID:rxhQvEVp]
アシスタント最強!!
頭よしよし激萌え

140 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 01:41:35 ID:d3GSiL8G]
第8週【父の上京】
第45回の夫婦喧嘩をパロッてしまいましたw



141 名前:砂糖菓子1 mailto:sage [2010/05/31(月) 01:44:38 ID:d3GSiL8G]
「ぅん…だけん、うち(境港)の方には黙っとれ!ええなっ」
「けど…贈り物までせんでもええじゃないですか」
「…んっ?」
「キャンディーなんて…よっぽど儲かっとるみたいに…」
「たかがキャンディーでなにいっちょる」
「たかがですか!?あげな高級品うちでは買ったことないですよ!!」
「うるさいっ!!みみっちい事言うな!!」

互いにそっぽ向き背中合わせになる二人
気まずい空気が流れる中、布美枝は…
(あぁ…こげなハズじゃなかったのに…たぶん今夜は…
ほんにチヨちゃんに見栄を張った罰かもしれん…)

茂も…
(なしてこげな事になった…新刊見せたら喜ぶ顔が見れると思ったんじゃがなぁ…そのまま久々に…と…
じゃがこっちから折れん!………だがなぁ…)

(はぁ…どげしょぅ…喧嘩したまま夜過ごすなんて耐えられんわ…
言い過ぎたのは自分でもわかっちょる…でも、このまま謝るんは…ちょっこし癪…でも…)

142 名前:砂糖菓子2 mailto:sage [2010/05/31(月) 01:47:37 ID:d3GSiL8G]
相変わらず互いに背をむけたまま
何か意を決した布美枝が
「わ…わかりました…」
「………」
「境港には心配かけたらいけんのですね?」
「ん…だな…」
「本当の事言ったらいけんのですよね?」
「だらっ!何が言いたい?」
「そ、そ、そげでしたら口止め料ください!」
突拍子もない布美枝の物言いに茂は思わず振り返る
「……なんじゃそりゃ!金などなぁぞ」

内心動揺していた布美枝だが茂に悟られまいと、しれっとした顔でくるりと振り返り真っ直ぐに茂を見やる
「それは、よぉーく知っちょります…お金の事じゃありません!私が口を滑らさんよう、口止めしてください」ニッコリ

「なに言っちょる?」
「目には目を。歯には歯を。口には…と言うではなかですか」


「…?…………………!
だ!だ!だらすがっ!!!なに阿呆なことゆーちょる!!!」

「じゃぁええです。調布の拡声器になるだけですけん」
「……………ふがっ」
「お義母さん境港から飛んでいらっしゃるかもしれませんねぇ」
布美枝は最後の仕上げとばかりに目を閉じて顔を少し上げてみる

143 名前:砂糖菓子3 mailto:sage [2010/05/31(月) 01:52:00 ID:d3GSiL8G]


「ぐっ…」『しげーさん!!どげなっとるか!きぃーちり聞かせんしゃい!!』
ドアップで詰め寄るイカルを思い浮かべあまりの恐怖に思わず身震いする茂

ブルブルブルッ
(うぅー…イカルが飛んで来るくらいなら…まー減るもんでもなし
よしっ!ここはビシッと)


(これ以上はまた喧嘩になるけん…ここらで…)
そっと目を開けた瞬間
布美枝のふっくらとした唇に
優しく温かい茂のそれが押し当てられ
「!!」驚き目を見開く布美枝

体を放しながら目を開けると
目を見開いたまま固まっている布美枝と目が合い心臓が飛び出しそうになる茂
「なななにしちょる!あんた目ぇ開けてたんか!!こ、こげな時は目ぇ瞑るんがえちけっとじゃろが!!」

「すすすすみません!!まさか…あの…本当に…あの…その」
「だらっ!あんたがしろ言うたじゃ!」
「そそそげですね」


「………………………」
「……………………」




144 名前:砂糖菓子4 mailto:sage [2010/05/31(月) 01:54:44 ID:d3GSiL8G]

互いに顔が赤いのがわかり
言葉が続かず先程とは違う気まずい空気が流れる


「…っん…だっ…ふ風呂…!風呂沸かして来い!」
「えっ…!…あっ!はっはい…ただいま」

急いで立ち上がり部屋を出た布美枝だったが
何を思い立ったのか襖からちょっこし顔だけのぞかせながら
「あの…ちょっこしええですか?」
「なんじゃ?」

布美枝は人差し指で唇をさすりながら
「……うちにはキャンディーはありませんけど…」
「………」
「その…もっと甘ぁい砂糖菓子があるんだなぁとそげに思ったんです」
「☆@!〜※〆♀〒≡!!!」
「つ、つまらんこと言いました!
お、お風呂沸かしてきますね」
急ぎ足で逃げる布美枝


しばらく呆然としたまま固まる茂だったが
(うちの嫁なに言っちょ……ぶっ…)
ぶはははははっ…くっくくっ
(金のかからん砂糖菓子か…こりゃええ!なかなかおもしろい事言う)
あはははっ
「今夜はたんまり腹いっぱい砂糖菓子食わせてやる!覚悟しとけ」



ちゃんちゃん♪

145 名前:砂糖菓子―おまけ― mailto:sage [2010/05/31(月) 02:00:06 ID:d3GSiL8G]
第9週【私、働きます】
第52回より


―――数ヶ月後―――
「これ♪飲んでいただきたくて」
「コーヒーか!珍しいな!いつもは節約節約言っとるくせに」
「一生懸命働いてくださっとるんですけん。これぐらいいいかな〜と思って。
淹れましょうか。
あー…風邪の時にコーヒーはいけんかな」
「ええぞ!俺が淹れる」


「あっ私はええです!」
「なんでだ?」
「コーヒー豆ちょっこししかないですけん、あなたが飲んでください」
「ええけん、飲め。
砂糖はいくつだ?」

「本当にええです。あなたのコーヒーですけん」
「遠慮するな。あんたも嫌な思いして原稿料もらってきたんだろ」
「えっ…」
「もひとつ入れるか?」

布美枝は涙が溢れるのを堪えきれず、そっと茂に背を向け涙を隠そうとする
茂は、そんな布美枝の背中を見て
「こりゃ相当言われたな?」
「………………………………あの…わがまま言ってもええですか?」
「ん?なんじゃ?」
「コーヒーに入れるお砂糖よりも…もっと甘い…砂糖菓子が……ええです」

146 名前:砂糖菓子―おまけ2― mailto:sage [2010/05/31(月) 02:02:55 ID:d3GSiL8G]
「………!¥℃∞≡♪∇★*……………あ…アレか?」
「…………はい…駄目でしょうか?」

「…………………………………………………………ええぞ」

その言葉にくるっと振り返る布美枝
涙目だったはずが、パッと花がほころぶような笑顔に変わる
茂は、この笑顔にこの上なく弱い

布美枝の肩に優しく茂の手が置かれ、そっと目を閉じながら
「こうゆう時は、目ぇ瞑るんが『えちけっと』でしたよね。クスクス」
「だらっっ!」

そっと顔が近付く2人…
唇が触れ合うまで、あと少し……


――ガタンッ!



ちゃんちゃん♪


147 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 02:08:38 ID:rxhQvEVp]
おおお
夜更かしの甲斐があった〜

LLIVEで楽しませてもらいました!!

148 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 02:29:43 ID:d3GSiL8G]
>>147
ありがとうございます!
恥ずかしいですが
そう言っていただけると嬉しいです♪

日曜は放送なくさみしくて、あれこれ録画したの見返してたら
萌え満載で思わずw

149 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 14:40:02 ID:VMIvOzfd]
>>140
新作キテター!!
貴方が神ですか(*´Д`)ハァハァ 
ちょっこし小悪魔ふみちゃんもええですな
そんなふみちゃんに振り回されるしげーさんにも激しく萌えましたw
GJです

150 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/05/31(月) 20:21:27 ID:jlZdJP28]
>>140
ありがとうございます!
ふみちゃんが襖からちょっこし顔を覗かせる辺りから特に激萌えしましたw



151 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/01(火) 01:34:27 ID:CvgE3jxN]
>>140
職人様だんだん!
いやぁ〜フミちゃんカワユスw
この二人のイチャコラをずっと見ていたいなぁ

152 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/01(火) 21:40:43 ID:ErnLAT6w]
>102-105の続き
規制に巻き込まれて随分遅れてしまった
苦戦が続きますなぁ

自分で書いといてなんだけど
このふたりは非エロの方が個人的には萌えるんだなぁ
そのせいで毎日毎日追っかけて観たくなる朝ドラは初めてだw


153 名前:5 mailto:sage [2010/06/01(火) 21:41:28 ID:ErnLAT6w]
いくら触れて確かめても、不思議でならない。女の体は不思議なことばかりだ。
どうして、何のためにこんなに柔らかいのだろう?
同じようなもんを食っているのに、どうしてこんなに滑らかな肌なんだろう?
同じ石鹸、同じ湯船に漬かったはずなのに、妙に甘い香りがして、
いくら嗅いでも嗅ぎ足りない。
横座りのままその首筋に顔を埋めて、寝巻越しの腿、尻に手を伸ばす。
ちろりと舌を伸ばせば、フミエの肢体がびくりと震え、
茂を抱き寄せた腕に力がこもる。
潜り込むように首筋からたもとに頬を滑らせ、後ろ手に帯を解く。
着やせするその胸の突起に張り付いた浴衣地は、いくら顎を左右にうねらせても
執拗に張り付いたまま。
茂が焦れて布美枝の名を呼ぶと、以前教えた通り従順にそっと浴衣を開いた。
舌を滑らせた突起が硬くとがり始めていたのは、
肌寒さのせいか、それとも…?
頼りないほど危うい柔らかさの乳房に吸いつくと、頭の上から布美枝の噛み殺した
吐息が下りた。
「……っ」
母乳が出ているわけでもないのに、酷く甘く感じる。
柔らかな乳房を夢中になって吸いついてしまう。
やがて掻き抱いていたフミエの腕が縋るように強く強く茂の肩に沈み、
執拗に吸いついていた胸は、不規則に浅い息を繰り返し出した。
「……寒いか?」
布美枝はきゅっと唇を縫い縛ったまま、首を左右に振るう。
むしろ熱いのです…とは言えず、切なげに眉を八の字にしていた。

154 名前:6 mailto:sage [2010/06/01(火) 21:41:48 ID:ErnLAT6w]
スタンドライトだけの薄暗い室内。
茂は布美枝がどんな顔をしているのか気になり、にゅっと首を伸ばしたが……
「?」
左肩に妙な突っかかりを感じ、引き止められるように視線を落とす。
よくよく見ればだらりと下りた左袖を布美枝が必死に掴んでいて、毛糸も伸び伸びだ。
そんなに耐えるほど、だったのだろうか。
不意に頬を合わせると、しっとりとした布美枝の柔らかな頬は酷く熱く火照っていた。
思わず茂の口端が上がる。
「お前はいつまでもベイビィちゃんなんじゃの」
「……っ」
かかかっと朗らかに笑い出し、セーターを脱ぎ捨てる。
「な…何がおかしいんですかっ」
「ははっ。お互い、花も恥じらう若人っちゅうわけでもないじゃろ?」
「でも…」
「好ければそう言うてくれなきゃわからんけん」
「……」
「えぇならえぇ、いやならいやと、教えてくれ」
そんなこと言われたって…と尖らせた唇が覆われる。
口づけを交わすうちに布美枝は段々と現実感を失っていくように思えた。
やがて崩れ落ちるようにその身を覆い被されて、なにも考えられなくなってしまう。
「……ぁ」
離れた唇から吐息交じりの甘い声が落ち、布美枝は我を取り戻して手の甲を宛がう。
……上には中森がいるのだ。
いくら夜更けとはいえ徹夜も常の漫画家。起きていないとも限らない。

155 名前:7 mailto:sage [2010/06/01(火) 21:42:41 ID:ErnLAT6w]
「ん…っ」
武骨な指先が蕩け出した花芯をまさぐり出す。
興味深いのか研究熱心なのか…。感触を確かめるように繰り返される執拗な愛撫に、
布美枝は手を食んで身をしならせるしかなかった。
不意に茂の眼鏡の縁が少ない光を反射して輪郭を浮き彫りにしては、消える。
どこか冷静に観察されているような気がして、ますます眉根を寄せた。
「……っ!」
びくくんと身をしならせても、指の蠢きは止まない。
布美枝は喉元にぐっと声を押し殺して、硬直した身で必死に首を左右に振った。
「? どげした?」
「……っっ」
茂はちらりと布団の中を覗き込んだが、辺りが暗すぎて己の手の先は見えない。
けれどその感触を確かめるように水音が鳴り、
「おぉ…よく濡れちょる…」
「! な……っ、そ…そげなこと…」
布美枝が耐えきれず力任せに茂の肩を抱き寄せると、バランスを崩してその身の上に重なった。
上下する胸の上、布美枝の噛み殺した声が届く。
「そげなこと……言わんで、ください…っ」
「だけん、ちゃんとせんと。あんたが痛い思いを…」
「言わんでください…っ」
あまりに必死に抱きついているので、茂は不思議そうな顔つきのまましばらくじっとしていた。
息を整える間、ふたりの間に沈黙がおりる。
布美枝は、初めての時にあまりに驚いて痛みを堪え切れなかったことを、
茂がまだ覚えていることが恥ずかしくて、忘れて欲しくて、
ぐるぐる回って混乱気味にぎゅっと目を伏せ口を開いた。


156 名前:8 mailto:sage [2010/06/01(火) 21:43:01 ID:ErnLAT6w]
「好えです…から……」
「ん?」
「痛くなんて…ありません。ちゃんと、好えです…」
言ってしまってから、これではまるでよがっているように思われると、
ますます顔を赤くした。
「ほぉー…そうか」
「あ、あの…。そう…じゃなくて……。だから…」
「だら。ごちゃごちゃ言うのを聞くほど、こっちも余裕はないわ…」
内ももをなする茂の手の合図は、充分に教えこまされている。
茂に不便がないよう、協力するのは女房の務めだと日々思ってはいるが、
自ら待ち受けるように膝を割り、両足を広げるのはいつまでも慣れない。
「ほれ。ちゃんとせんと…おかしな処へ暴発してはいけん」
「…はいぃ…」
身を震わせながら膝が開かれる。
幾度体を重ねてもいつまでも恥じらいを捨て切れない姿に、
茂は照れ隠しに告げる戯言も失った。
角度を上げた高まりが熱い肉襞に滑り込んでいく。
まさに極楽浄土の感触に、茂は喉元を引き攣らせて早腰を打った。
「んっ…んぅ……、んん…っ」
押し殺し切れぬ喘ぎが鼻から漏れ、布美枝は無意識に縋るものを求めて、
茂の腰に手を回した。
「わっ」
がくんとバランスを崩し、肩肘で身を支えると、より密着したせいで
茂の下腹が布美枝の恥骨を擦り立てた。
「ああっ!」
思わず上げた声に「いけん!」とばかりに、茂の右腕が布美枝の頭を回り、
その唇を重ねて口を塞いだ。
「んっ…んん、ん……っっ」
抑えられても身をよじっていた布美枝の肢体から、急にふっと力が抜け落ちる。
やがて茂も限界を迎え、息を詰めて昂りを吐き出した。


終わり

157 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/01(火) 22:08:29 ID:ctw2Xpxp]
GJですけん!!
鮮明に情景が・・・ハァハァ

158 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/01(火) 22:15:07 ID:A5kn6XOL]
だんだん!だんだん!

空気のような中森さんの顔がやたら青白かったのは
夜ごと階下の秘め事に聞き耳を立てて眠れなかったからか
いっそエロ漫画家になっていれば……

159 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 01:25:12 ID:IYKLKX3r]
>157-158 レスありがd!
調子に乗って、プロバ規制中に書いてたものも投下します
我慢しているのは中森さんだけじゃないかもというお話

またすぐ規制されるかもしれないけどいつもこのスレロムって楽しんでます
萌えもエロでも盛り上がるといいなぁ

160 名前:ひとりでできるもん1 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:25:52 ID:IYKLKX3r]

締切の押し迫るある夜更け。
茂は悶々とペン先で一点を突いたまま、その手が動くことはなく、
ぼんやりとカレンダーを見つめていた。

(……あと三日ほど…だろうか……)
斜め下に視線を走らせれば予定の締切日のしるしを思い出し、
ブルブルと頭を振って再び机に目を戻した。

「だらぁ…。今はそんなこと考えてる暇はないのだ」
意に副わぬ流行りもの漫画とはいえ仕事は仕事。
請け負ったからには描かぬわけにはいかない。
集中して筆の走るままにアイディアを描いてはみても、
いつの間にやら怪しげな女体が表れた。

「!」
慌てて紙を丸めて床に落とす。
「いかん、いかん」
筆の音が止まったのを見計らったように、襖越しに呼びかけられた。

「あの…。お茶が入りました」
「お、おぉ…」
遠慮がちに襖が開き、布美枝が微笑みかける。
「何かお手伝いすること…ありますか?」
「ええ。……まだ起きとったんか、もう遅い。先に休め」
「けど…」
「ええったらええっ、集中できんっ」

つい語気を荒げてしまうのも仕事に熱中するあまりのことと、布美枝は知っている。
「すみません。それじゃ…お先に」
「ん」
居間に戻ってしまってからも、布美枝の声が耳から離れない。
朗らかな笑い声もいいが、ちょっこし消極的な小声も堪らなく健気でいい。
邪魔にしているのではなく、気になって仕方がないから、気が散るのだ。

(参ったな…)
悩まされているのは迫りくる締切ではなく己の煩悩。
こんなことは今までなかった。
それはあの甘美な柔肉の味を知ってしまったからか…
それでも半週も前からお預けを食っているからか…
(全く。毎月毎月…ちゃーんと忘れず訪れるものなのだなぁ…)
茂にとっては奇妙な女体の神秘に、深くため息をつくしかなかった。






161 名前:ひとりでできるもん2 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:27:07 ID:IYKLKX3r]

月のこの時期に、それが布美枝の身に訪れるのを知ったのはいつだっただろう。
数度体を重ねてからというもの、布団に潜り込めば抗うことなく従順に夫に従うのは
夜の営みでも変わらぬ布美枝だったが、ある夜、頑として身を交わされた。
『…いけません…っ』
『は?』

口に出すまでもなく、茂の顔にハテナマークが浮かんでいたのだろう。
布美枝は『あの…そのぉ…』と口を濁すばかりで、はっきりと理由を言えない。
『どげした。嫌…なのか?』
『え……』
嫌だと言えば嘘になる。けれどいいと言って自ら誘うような真似もできない。

『……照れとるのか? 何を今更…』
『違います…っ。だから…今日は……その…』
覆い隠すように自らの両肩を抱いていた手が下腹へと降りて、手を重ねる。
茂ももう四十路の男。流石に口に出すのは憚られたが、
女の体に月の周期があることぐらいは知っている。

『あ…。そうか、そうか…』
どんな顔をしていいか分からず、茂はかかかっと笑った。
あまりに奔放な笑い声に、布美枝はふと不安になって顔を上げる。
『違いますっ。下しているのではないですよ…っ』
『分かっとるわ』

しかし夫婦ともなれば知らぬ存ぜぬで目を背けてばかりもいられない。
こちらの下半身にもイロイロと事情がある。
『こほん。それで…いつ頃まで…だ?』
『はい?』
『だから。一週間ほどと世にいうが…』
『はい…。そげですね…』
無意識に指折り数えているのをちらり見る。
『月によって違いますけん…。たぶん、週明けには…』



興味のないことにはからっきしの茂であったが、その時からこの時期を忘れることはない。
よくよく注意して見れば確かにその時期には布美枝の様子は異なっていた。
それとなく接触を避けるようにしたり、少し厚着をしていたり。
不自然な時間に人目を避けて洗濯しているのもそのせいなのだと知った。
(仕方ないことだけん、分かってはおるが…)
理性と本能は時として相反するもの。
茂は治まりの利かない身を揺すって、じっと襖越しの居間に耳を澄ました。

(……もう…眠ったろうか…?)
このまま悶々とやり過ごすことも敵わず、茂はペンを置いて股ぐらを寛がせた。

162 名前:ひとりでできるもん3 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:28:17 ID:IYKLKX3r]
(そういえば。これも久しぶりだな…)
やはり一人で過ごしていた頃とは違い、家にはいつも布美枝がいる。
それにこうして自分で慰める必要もなく、床を共にするのが常だった。
しばらくは互いに不慣れで、うまくいかないことも間々あったが、
いつしか布美枝も行為に慣れてきて…

(ああ…。いっぺん、上に座らせたことがあったなぁ…)
茂が胡坐をかいた上に跨るよう告げると、目を白黒させて驚いていた。
しかし急くように強請る茂の「ええから」という言葉に逆らうことはできず、
向かい合わせにぎゅっと茂の肩に抱きついた布美枝の身は羞恥に震えていた。
先端が擦れ合うだけでもびくりと跳ねて、自ら誘うように腰を下ろすことはできず、
結局茂が導くままに片尻を掴み下ろされて、繋がり合った。

(…子猫のように鳴いとったなぁ…)
しばらくは茂が突き上げるに任せていた布美枝も、根が器用なのかこつを覚えたようで、
茂の肩にしがみ付いたまま腰を揺らめかせていた。
その度に目の前の乳房も揺らめいて。
堪らず茂が吸いつけば、驚いたように「きゃっ」と声を上げてしまい、
上の住人を気遣って慌てて口を塞いでいた。

まるで映像のごとく甦るのは、茂のイマジネーション豊かな才でもあるのか。
押し殺した布美枝の喘ぎまでも耳の奥に思い出されて、
上下する手は速度を増した。

「……あの」
「!?」

襖越しの声に茂は息を詰める。
今にも放出しかけた己を握る手も止まった。
「まだ…寝てなかったのか」
「……はい。今夜は冷えますけん、どてらを」
すすっと襖が開き、茂は慌てて大きな背を丸めた。
「ええっ!」
「でも、体を壊しますから。あ…火鉢の火が消え…」
「自分でやるからええ! 一人にしてくれ」

あっちへ行け、とばかりに睨みつけられ、布美枝は口を尖らせた。
「……火鉢の用意くらいさせてください。邪魔はしませんから」
「一人でできるっ。ええから…」
「そんな…。そんなこと言わんでください」
「ああ?」
布美枝は切なげに眉根を落とした。
「そりゃあ…大事なお仕事ですけん。一人で頑張っとってのことでしょうけど…。
少しでも…いいですから、手伝わせてください。二人で…頑張りたいんです」
茂は叫びだしたいのをグッと喉もとで耐える。

(こっちだって、二人で頑張りたいわっ! それがこん週はできんのだろうが!)

163 名前:ひとりでできるもん4 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:29:01 ID:IYKLKX3r]

「あら?」
描いては捨て描いては捨てしてきた煩悩丸出しの落書きに手を伸ばされ、
茂は慌てて紙くずを取り返した。
「ええからっ。あっちへ行け!」
「は…はい。ひゃっ!」
「ん?」
開いた股ぐらが目に入ったのか、布美枝は顔を手で覆って振り返った。

「あっ! いや、これは…」
「い…いくら仕事に集中されていても…。お手洗いはちゃんと…行ってください」
「は? だ…だらぁ、小便ではないわっ」
「はい? でも…」

「……。あ…あぁあ、もうええ!」
焦燥感に耐えきれず、茂は布美枝の手を引いた。
「ひゃ、な…何……。ん…」
長い片腕は布美枝の首筋からたすき掛けのように背を羽交い絞めに抱き寄せることも容易だ。
不意打ちに唇を合わされて、布美枝は息も整えられず身を硬直させる。
お構いなしで吸いつく茂のペースに押されて、布美枝の唇が弛緩していくと、
隙を見つけて茂の舌が伸びた。

「ん…んぅ……」
鼻から漏れる甘い声は、口づけの合間、不意に唇が開いた時には明確に漏れる。
やはりイマジネーションよりもずっといい。
耳心地のいい声に煽られて、茂はますます胸を弾ませていた。

「……はぁ…。あんた…手伝うと、そう言ったな」
「…は…はい…?」
まだ夢見心地で息も整わぬまま答える。
「二人で頑張りたい…と。そう、言ったろう?」
「はい。言いました」
「わしは、一人でできる。そう言ったのに、手伝うと言ったのはあんたの方だ」
「はい…?」
「いくら女でも。言ったことに責任は持たんがいけんな」
「はい」

顔突き合わせた茂の形相は鬼気迫るものではあったが、
まるで先生に道徳の説教でも受けているような言葉に、思わず布美枝は吹き出してしまう。
「何だ?」
「ふふっ。そんな当たり前のこと、そげん顔して言わんでも…」
何を手伝わされるのか、まだ分かっていないのだろう。
まだ暢気に肩を震わせて笑っている布美枝に頬を寄せ、くすぐったそうに首をうねるのも
構わず、茂は囁いた。
「それじゃあ…ちゃんと、手伝ってもらおうか」
「はい…? あ…」
茂の手に導かれて、指先が強張りに触れる。


164 名前:ひとりでできるもん5 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:29:42 ID:IYKLKX3r]

「あ…あの。えっ…?」
「ほれ、ちゃんと掴んでみい」
「あの、でも…私……。今日は…まだ……」
「分かっとるっ。だから…。だから、一人でできると言っとったんだ」
「え? 一人…で、って??」
布美枝にとっては分からないことだらけだったのだろう。
けれど説明している暇はない。
すでに強張りは角度を上げ、先端が濡れ照るほど切羽詰まっていた。

「こうして、掴んで…だな」
「はいぃ…」
これは仕事と関係あることなのか。いやそんなはずはない。
混乱するままに布美枝は茂に手を添えられて、脈打つ昂りを上下に扱き始めた。
「…もうちぃっと…力を入れてくれ」
「でも…。痛くは…ないですか?」
赤ん坊の手首とも違う、蒟蒻とも違う、奇妙な感触。
扱くほどに茂は苦しげに息を詰めるから、何かへまをしないか心配になってしまう。
「痛くなどない。ほれ、早く…」

先を促す茂の言葉に、布美枝はひとつ頷いて覚悟を決める。
その覚悟はそのまま姿勢に表れて、きちんと背筋を伸ばして正座に座り直した。
「……っだら。そんなに真剣に…。華道や茶道ではないのだぞ」
「は…はぁ」
かと言ってどういうふうにしたらいいのかなど布美枝には分からない。
正直、茂にだって分からない。

「……」
茂は布美枝の手から離れて、浴衣の合わせ目に指を伸ばした。
「…あ……、いけんよ…。よして…ください」
「ちぃっとぐらい、サービスじゃ。サービスしてくれ」
分からないな…と、布美枝は首を傾げても、その手は止まらない。
袂がたわみ柔らかな乳房に手が伸びると、堪らない感触を求めて茂の手が蠢いた。
「……んっ…いけんよ…」
「ん? よもやここからも血が出るわけではあるまい」
「な…っ。当たり前ですっ」
「おぉ…」
頭には血が昇るのだなと、茂は感心するように頷いた。
しかしあまり怒らせても歩が悪い。
袂を開いた手を脇に回し、布美枝の身を寄せた。

165 名前:ひとりでできるもん6 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:30:14 ID:IYKLKX3r]

「…あ…」
「そのままでええ…。ちぃっと…味見だ」
言うや否や茂の舌が胸の頂をぺろりとなぞる。
肌寒さのせいか既に尖り始めていた赤い蕾に吸いつくと、布美枝は唇を縫い縛る。
柔肉の谷間を渡るように左右行き交えば、強張りを掴む手の力が弱まってきて…
「……ほれ。ちゃんとせんと……これでは生殺しだ」
「……っ」
こくりと頷いて強く扱きあげられて、茂も息を漏らした。

奇妙な感覚だった。
されるがままだった夜の営みとは違う形とはいえ、掌にしっかりと茂の欲情が伝わる。
心なしか強めに握り上げれば不規則に息を詰めるのは、苦しいのではなくて
感じている証拠なのだろうか。
「…んっ……」
甘い疼きの走る胸の先を強めに吸いつかれて、思わず息を詰める。

同じように感じてくれているのだろうか。
布美枝は奇妙な嬉しさも感じて、優しく、そして時に強めに茂自身を掴んで上下した。
胸肌に茂の昂った吐息を感じる。
布美枝の手が速度を増すと、強張りもまた硬度を増した。

「……ふみえ…」
不意に顔を上げ、上気した視線がかち合う。
荒い息を噛み殺す唇、妙に火照った視線に布美枝はどきりと胸を弾ませた。
「は…い」
「……で」
「……はい?」
「…口で……して、くれ」

途端に顔を真っ赤にしたから、意図は伝わったのだろうか。
「え…。で、でも…そげんこと……」
「早う…っ」

166 名前:ひとりでできるもん7 mailto:sage [2010/06/02(水) 01:30:42 ID:IYKLKX3r]

切羽詰まった茂の声に弾かれて、布美枝はごくりと喉を鳴らし頷いた。
今にも果てそうなところを耐え、茂が顔をしかめると、
その頬にそっと布美枝の左手が添わされた。

(…ん……?)
目蓋を開けば、ゆっくりと布美枝の顔が近付いてくる。
布美枝からの口づけは初めてだったけれど…
(そう、ではない…)
精一杯茂の唇に吸いついて、柔らかな唇を押しつけてくる。
拙い口づけでは物足りない。茂は堪らず舌を伸ばして、
引っ込み思案な布美枝の舌を誘い出して絡めた。
その感触は充分に火照った下の口の感触を思い出させて、
茂はぶるりっと肩を震わせる。
(……だらっ…)

もうこれ以上の我慢は利かない。
茂は慌てて布美枝の肩を押して離れたが、布美枝はいつまでもその手を休めなかった。
「いけんっ」
「はい…?」
先端を覆うように手を伸ばし、布美枝の手が止まる。
「フハッ」
「?? あの…何かいけんかった、ですか?」
きゅっと握った布美枝の手に掴まれたまま、茂は迸った。

「……っ、はぁ…はぁ……」
「?? あの…」
数度痙攣した強張りは徐々に力を失い、二人の手の隙間にどろりと白濁したものが伝う。
「え…えぇから、早う拭うものを…っ」
「は? あ…はいっ」
机上のハナ紙を手に取ると、茂は布美枝からそれを奪うようにして背を向けた。

「??? …ぁ……」
気まずそうに背を向けて始末をしている背中を見つめていたら、
やっと布美枝も理解し始めた。
思い出せば「一人でできるっ」と睨みつけた姿は、思春期の青年が艶本を隠すような
幼さにも似ていて、思わずくすくすと笑い出した。
「……何だ」
そんな姿で低い声を出したところで、布美枝の笑いは止まらない。

「何がおかしいっ」
口を尖らせて振り返った姿に、布美枝は「すんません」と口では言いながらも、
その唇は笑みを消せなかった。
「ふふっ。…もう…二、三日の辛抱ですけん。堪忍?」
しなを作った甘い声はぞくぞくと耳に響くから、茂は思わずざんばら髪をくしゃりと掻いた。

「うるさい…っ。……ったく…、だから気が散ると言うとるのだ」
「あはは、あ……すんません」
押し殺すこともできず笑い顔を見せる布美枝に、茂が仕返しをするのは……
また週明けの話。


終わり

167 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 03:09:26 ID:fsH5vaDl]
フハーッ!!
凄い作品が連続投下されとるー!
職人様だんだん!GJ!だんだん!

フェラーリを知らぬフミちゃんからのキッスが堪らんw
週明けのゲゲの反撃は猛烈だろうなw
…そっちも禿しく読みたいなぁ(´・ω・`)

168 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 08:34:55 ID:SaBXvkTo]
>>159
乙!か、可愛ええw

茂お迎えに萌えて本スレに感想言う前にこっちに萌えを吐き出そうと思ったら
可愛い話にまた萌え転がされた!
萌え死にそうww


お迎えにきた茂にニヤニヤが止まんないんですけど!
茂は完全にツンデレだな
そっぽ向きつつ帰るぞって何回も言うな!
あまりの甘さにビックリしまくりですよ、もうホントに転がっちゃったよ

169 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 12:59:40 ID:BRRwApJE]
職人様、だんだん!!
週明けのしげぇさんの反撃がほんまに楽しみですなあ

いよいよフミちゃんのおめでたも周囲に知れ渡り、
お祝いムードになってきたね〜。
上のほうでおめでた話書くといわれた職人さん、書いてごしない。

>>168
しげぇさんのポケットにはいったい何本バナナが入ってるんだろねw

170 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 16:02:07 ID:EycXg9Ra]
皆さん力作揃いで凄いなぁ。

書き直そう… orz



171 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 20:15:59 ID:agRRvdhl]
フハッ

172 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/02(水) 23:47:31 ID:zjZEJSuL]
>>152
だんだん!だんだん!

この2人は非エロの方が萌えるってのわかる。
今日の映画館デートの可愛いことといったらなかった
抱き合ったりとかしてないのに不思議だ

173 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 00:23:52 ID:Vjy5dlFt]
でも、ちょっとは抱き合ってほしいなw

174 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 00:44:56 ID:0K+0KLxE]
>>170
みんなちがって みんないい

待ってるけん
頑張ってごしない!

そして今日の(もう昨日か)バナナを食べる布美枝を見て
昼は公園で手土産のくすねたバナナを食べ
夜は布団で茂のバナナを頂くのですな
…と、思った住人は自分だけではないハズだ(ry

175 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 00:51:32 ID:8tzM25mW]
実況で布美枝が食べてるバナナにモザイクかけたキャプがあったなw

176 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 00:51:32 ID:0K+0KLxE]
いや、やっぱり夕餉に節約赤飯の豆を食べて
夜は茂が布美枝のお豆さんを摘んだり挟んだり擦ったり
舐めたり吸ったり弾いたりした方が可能性が高(ry

OKが2回も出てるIDだからって、ちょっこし調子に乗った
連投スマソ

177 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 06:37:29 ID:5sd5PU50]
>>159
だんだん!
「子猫の鳴き声ってどんなだ?」と思って
つべで確認してしまったw
こうして聴くとエロいw

178 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 08:36:55 ID:LX2evkWa]
>>162
こっちだって、二人で頑張りたいわっ!にワラタ

熊楠先生並の性欲をもてあます茂さんに萌え
仕返し版お待ちしとります
だんだん!

179 名前:浦木騒動1 mailto:sage [2010/06/03(木) 09:02:08 ID:Jb9JtShn]
萌えがなんとか文章にまとまったので投下します。
非エロです。


布美枝が夕ご飯の支度をしていると、玄関の開く音がした。
「お帰りなさい!」
茂が散歩から戻ったのかと笑顔で振り返ってみれば、
「やっ。奥さん、ごぶさたしとります。
ゲゲは留守ですかな?」
「浦木さん!」
茂の腐れ縁の幼友達が我が物顔で入ってきて、断りもなくちゃぶ台の前に座り込んだ。
「いや〜、いい匂いですな〜今日の夕御飯はなんです?」
とあつかましく鼻をひくつかせている。
「うちの人はそろそろ帰ると思いますが…。
あの、よかったら、夕飯食べていかれますか?」
「おおっありがたい!旦那と違って奥さんは気前がええですな〜。」
布美枝は苦笑する。この傍迷惑な男はいつも問題を起こす悩みの種ではあるが、
なぜか憎めないのだ。
「そうそう、今日は奥さんにええ土産があるんです。」
と、浦木は後ろ手に持っていた一冊の本をだし、ちゃぶ台におく。
「じゃーん。この浦木がプロデュースした本です!」
「?何ですか?この本。えっと…妻の心得?」
浦木が持ってきた本は、薄紫色の表紙に黒で「妻の心得」とだけ書いてある、
布美枝にはあまり馴染みのない装丁のものであった。
しかし題名には心惹かれるものがある。
「これは…妻として、勉強になるような本なんでしょうか?」
「そう!まさにそうですよ〜奥さん!
 この本に載っている、ありとあらゆる手管を習得すれば、
 旦那大喜び!家庭円満!」
「あのっ、うちの人の役にも立つでしょうか?」
布美枝は勢いこんで尋ねる。
「もちろんですよ〜!ゲゲも喜ぶに決まってます!
 すべての夫婦に贈る、旦那の夢がつまった素晴らしい本ですよ!」
布美枝は期待に頬を染め、早速ページを捲ろうとした。

180 名前:浦木騒動2 mailto:sage [2010/06/03(木) 09:05:36 ID:Jb9JtShn]
その瞬間、
「おう、今帰ったぞ。」
「あっ、お帰りなさい!」
布美枝は開きかけた本を閉じ、夫を迎えるために立ち上がる。
「なんだ、浦木がきとるのか。突然どうしたんだ。
 …さてはまた何かたくらんどるんじゃないだろうな?」
茂が冷たい目で浦木をじろりと見た。
「たくらむとは失敬な。新しく作った本をお届けにきただけだ!」
と浦木は胸を張り、ちゃぶ台の上の本をビシッと指差す。
茂は本を手に取り、
「なんだ?妻の心得?」
不審気にパラパラと開く。
と、みるみる茂の目が見開かれ、布美枝が横からのぞきこむ前に、
本はバタンと勢いよく閉じられた。
「浦木〜!!!なんちゅうもんをもってくるんだ!」
それは夫婦の夜の生活、特に女性側の技巧や誘い方について懇切丁寧に書かれた、
図解入りの指南書であった。
「どうだ〜ええ本だろう。
 これで奥さんが勉強すれば、めくるめく夜が…って、おい!ゲゲ!何すんだ!」
「だらっ!余計なもん持ってきおって!」
茂は本を投げ捨て、片手で浦木の襟首を掴み、玄関へ引きずっていく。
「ちょ、ちょっと待てって!ゲゲだってうれしいだろ?
 奥さんがあげなこと、こげなことだぞ?」
引きずられながらも必死な浦木の言葉に、一瞬茂の動きが止まったかに見えた。
が、すぐに強制送還を再開し、器用に開けた玄関から浦木を放り出した。
「なんだよーゲゲ!お前だって今一瞬想像したでねーか!」
鼻先で閉められた扉に縋りついて叫ぶ浦木の言葉を無視し、
部屋へ戻った茂の眼に飛び込んできたのは、、
今まさに女房が件の本を開こうとしている姿であった。
「こらっ!そげなもん見てはいかん!」
「あっ!」
布美枝から慌てて本を取り上げ、玄関を開け、扉の前に座り込んでいた浦木に投げつけ、
「それ持ってはよう帰れ!二度と持ってくるなよ!」
乱暴に扉を閉め、鍵を掛ける。
「ああ〜、晩飯食べ損ねた…。ゲゲのやつ…一瞬迷ったくせに…あーのムッツリが…。」




181 名前:浦木騒動3 mailto:sage [2010/06/03(木) 09:08:11 ID:Jb9JtShn]
そしてその夜村井家では。
「なして私には見せてくれんかったんですか?」
「あげなもん、あんたには必要ない!」
「だって浦木さんがあなたも大喜びだって。夫の夢が詰まっとるって。」
「つまっとらん!」
「だけどちょっこしくらい見せてくれてもええでないですか…。
 何かひとつくらい参考になったかもしれんのに。」
「参考になどならん!」
「じゃあせめて、どんな本だったか教えてください!」
「そげなもん忘れた!」
ため息を吐いてがっかりする布美枝。、
「なしてそんなに気にするんだ。もうええだろ。」
「だって、少しでもあなたの役に立ちたいんです!」
子猫のようにキラキラと潤んだ目で見つめられ、茂は思わず目を逸らす。
「今だってこの目にこげに惑わされとるのに、下手になんか勉強されたりしたら、
 どげな事になるか…。」
横を向きブツブツとつぶやく夫の顔を、布美枝が下から覗き込む。
「?何か言いましたか?」
「な、何でもなぁ!とにかくこの話は終わりだ!仕事する!」
無邪気な目に更に動揺させられ、茂は慌てて仕事部屋に逃げ込んだ。

「まったく、あいつは妙に生真面目だからな…。
 あげな本を渡したら、必死に勉強して免許皆伝までいきかねんぞ。
 なんとか見せずにすんで助かった…。」
茂は胸を撫で下ろし、仕切り直しとばかりに原稿にむかったが、
どうも先程ちらりとみただけの図解と女房の姿が重なり、目の前にちらついてしょうがない。
「あげな本、普段はなーんにも感じんのに…。」
茂は机に突っ伏し、今夜は仕事になりそうにないと、浦木と女房を怨むのであった。

その頃、襖を隔てた隣では。
「もお、自分ばっかりみて、全然教えてくれんのだから…。
 よっぽど難しい内容で、私には無理だと思われたんだろうか。
 あーん、気になる!
 …そうだ!美智子さんに聞いてみよう!
 ええ本だったら店に仕入れてもらえるかもしれん。そうなったら貸してもらおう。」
隣で夫が悶々としているとも知らず、無邪気な女房は自分の思いつきに機嫌を直し、
ニコニコと壁の絵を見つめていた。
一反木綿は何故か、あーあ、と肩をすくめたように見えた。

オワリ


お目汚し失礼いたしました。

182 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/06/03(木) 12:28:36 ID:SAhFPi5e]
>>179乙!
とりあえず浦木GJすぐる!こういう浦木が本放送でも見てみたいw
美智子さんは本を仕入れてくれるのか気になるわぁ
ゲゲは何気に都合が悪くなると仕事部屋に籠るんだなw







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