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かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2006/11/28(火) 04:20:18 ID:h0Jb9AN7]
ここは幽霊、妖怪、妖精、魔女っ子からはては異次元人まで 
オカルティックな存在の幼女、少女、娘、女性にハァハァするスレッドです。 
エロ&萌え〜なSS、画像を随時募集中! 
創作も収集もおかまいなし! 

前スレ
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その11】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142074376/l50

関連サイト 
過去ログ&SS保管庫 
tsukinowa.s1.x-beat.com/occult/ 

関連スレ
【妖怪】人間以外の女の子とのお話20【幽霊】
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389 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 23:22:24 ID:VEK8Y8Sa]
俺はそこまで気にしてない
本の真ん中まで設定が明かされない小説もあるし。
そういうのは最後に辻褄があって
読み返した時すっきりして面白いけど
なんか書くのは難しそう。

とりあえず続きにはひたすらwktkしとく

390 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 06:05:57 ID:N9ZhOns0]
>>389
同感。こういう種の作品は読み返してこそ味が出る。
万人に受け入れられる技法じゃないのが難点だけど。

記憶や歴史を改竄したと思われる(俺はそう感じた)
『マスター』についての描写が少ないのが若干不満かな
個人的には続編等でマスターの秘密に徐々に迫ってほしい

391 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 15:36:22 ID:HpPDXQFv]
なんとなくリリスを連想。

392 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 16:02:06 ID:TH1OkVSA]
>>391
 マスター=レーヴン?

393 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 18:42:04 ID:+9HSqHlq]
唐突にスマンがここのスレタイにある「オカルト娘」というのは
悪魔召還が趣味とかいうオカルトマニアな人間の娘
も含むのか?

それとも非人間でないとダメ?

>>1 には魔女っ子ともあるんだが

394 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 18:45:49 ID:ipMObTnB]
それもあれだけど

男性型のオカルト的存在×人間女

というパターンのスレもないんだよな

395 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 19:38:52 ID:CXqERabw]
>>394
吸血鬼×純潔の乙女(ただし腐ってる)みたいな?

396 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 20:08:31 ID:jiAshghr]
 〇∧〃 
 / >  でもそんなの関係ねぇ!
 < \  そんなの関係ねぇ!


397 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 23:00:17 ID:yiSpmzax]
よしおw



398 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/12(水) 10:32:59 ID:Prp6zgDu]
幽霊っこをだっこして眠りたい

399 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:50:23 ID:iAD3qVEx]
投下します。

前半ギャグ、後半にエロです。
エロはちと薄めかも。

幽霊少女と、普通の男(どっちもバカ)のお話です。

400 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:50:36 ID:iAD3qVEx]
 ある所に、一人の男と、一人の少女がいました。

 二人はごく普通に出会い、ごく普通に恋愛し、ごく普通に結婚……
しようとした時に気づきました。
 なんと、奥様になりたいと思っていた少女は幽霊だったのです!
 それを見抜いたのは、霊感のある市役所窓口の佐藤弘美さん(29歳独身)でした。
 二人はその事を告げられ、途方に暮れて二人が暮らしているアパートへと持ってきました。

「……どうしよう、あっくん」
「沙弓……」
「……私、自分が幽霊だなんて、全然気づいてなくて……」
「俺がお前と喋っている時、周りの人が変な目で見てたのは、
 俺たちに嫉妬してたんじゃなかったんだな……」
「なんで私あっくんに触れないのかなぁ、って思ってたけど……幽霊だったからなんだね」
「俺は、沙弓がそういうの恥ずかしいのかと思ってんだけど……触れてなかったんだな!」

 二人ともバカですね。
 いや、違う。バカ二人じゃラブロマンスにならない。バカロマンスにはなるかもしれないが。
 っていうかバカロマンスってなんだ。
 恋故に、だ。きっと。多分。恐らく。
 恋は人を盲目にする。よし、これだ! これに決めた!

 というわけで、恋に眩んでいた二人の目は、その時ようやく現実を見据えたのでした。

「……幽霊の私じゃ、あっくんと結婚できないよぉ」
「沙弓、気にするなよ! 役所が認めなくたって、俺たちは夫婦さ! 事実婚って奴!?」
「そっか! 内縁の妻って奴なら大丈夫だね!」

 ……ごめん、やっぱこの二人バカだわ。

「けど……それでも、あっくん……私達は、夫婦にはなれないわ」
「なんでだよ、沙弓!? 俺はお前にフォーリンラブ! お前だってそれは同じだろ!?」
「だって……だって……」
「さ、沙弓っ……泣くなよっ!」

 ポロポロと、地面を濡らさない涙を流す少女を、男は抱きしめようとしてすり抜けました。

「んごっ!?」

 勢い余って柱に頭をぶつけて悶絶しています。
 一日一回必ず見られる光景です。やっぱバカですね。もう確定事項。
 ややあって、男は頭をさすりながら、未だに瞳から涙をこぼし続ける少女に向き直りました。

「やっぱり、触れないんじゃ……触れないんじゃ……」
「なんだよ! 何が駄目なんだよ! 俺たち、こんなに愛し合って」
「愛し合えないじゃない!」

 少女の絶叫に、男はハッとしました。

「……そ、そうか……俺とお前は………………」
「……そうよ……私と貴方は………………」
『エ ッ チ が で き な い ! ! ! ! 』

401 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:51:16 ID:iAD3qVEx]

 ………………。
 もう帰ってもいいですか? え、駄目? 最後までやれ? ……わかりましたよぉぅ。

「……なんで、気づかなかったんだ……」
「……私達、愛し合えない……だから、夫婦にはなれないの……」
「事実婚ができないってのか!」
「内縁の妻にはなれないのよ!」

 えー、二人はなんかひしと抱き合う振りをしながら、ふたりで泣いてますー。
 え、何? やる気出せ? だって無理っすよー。どう見てもバカですよこの二人ぃ。
 え? やる気出さないと今日のギャラはユニセフに寄付する? ……鬼。悪魔。編集者!

「そうだ、名案がある!」
「何っ!?」
「俺が幽霊になればいいんだよ!」
「貴方がっ!?」
「何かそういう電波が来たんだっ!」

 ああ、>>351辺りから受信したようですね。
 さして強い電波でもないある意味真面目な書き込みですが、それを受信するとは、
流石幽霊を幽霊と思わない男。

「……けど、幽霊になったら、もう貴方は元には……」
「君とエロい事ができない苦しみに比べれば、幽霊になるくらい」

 おい、エロい事は無いだろエロい事は。

「……君と結ばれる事ができない苦しみに比べれば、幽霊になるくらいどうって事ないさ!」

 言いなおすんかい。っていうか聞こえてんのか地の文がっ!?

「いや、ほら、電波受信したからさ……」

 地の文と会話とかどっかで見たような事するなっ!
 もうさっさと幽霊にでもなんでもなっちまえって。

「わかったよ……じゃあ、沙弓。俺、これから死ぬから」
「あっくん……ホントに? ホントに死ぬの? それでいいの?」
「……もう、決めたんだ。俺は、お前無しに生きていく事なんか、できない」

 あ、微妙に美しい話になってるかも……。
 男は、そう言って、台所から持ち出した包丁の切っ先を、自身の胸に当てた。

「……逝くよ」
「……あっくん」
「……逝くよ」
「……うん」
「……逝くよ」
「……うん」
「……逝く、よ」
「……うん?」
「………………」
「……ど、どうしたの?」
「………………マジ怖いんっすけど」

 台無しだー!


402 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:51:36 ID:iAD3qVEx]
「大丈夫だよ、あっくん……痛いのは、最初だけだから」

 お前も何口走ってるかぁー!

「……そうか、そうだよな。俺、頑張るよ沙弓!」
「うん、頑張ってあっくん!」
「じゃあ、せーのーで、でいくぞ!」
「うんっ!」

 ああ、もうそれでいいですよそれで。

「じゃあ、逝くぞ……せーへっくしゅっ!」
「あっ、あっくんがくしゃみをした拍子に勢い余って包丁を心の臓にグサリと!?」

 ……もうツッコミ入れる気力も無いんですけどー。
 え、やる気出せ? はいはい出しますよー。やる気出ろ〜やる気出ろ〜。デロォ〜。あ、やる気が膿みのように……。

「な、なんじゃこりゃあ!?」
「血だよ、あっくん!」

 いや、んな事はわかってるだろ常識的に。

「ああ、意識が薄れて……何故か花畑が……何故か沙弓の顔が……これが、蒼魔刀……」
「何故かって? それは、鍛えているからだー!」

 ああ、もう何が何やら。

 ――小一時間経過。

 ……すったもんだがありましたが、ようやく男も死に幽霊になりました。
 二人とも宙に浮いています。というか、浮かないと下はグロい事になってるんで、
浮かざるをえないというか何というかもう。

「あっくん!」
「沙弓!」
「触れるよ、あっくん!」
「俺も触れるぞ、沙弓!」

 ああ、よかったですねー。はいはい。……これでようやくまともに……。
 二人はヒシと互いの身体を抱きしめ合い、初めて感じるお互いの体温(注:気温と同じです)を
味わい、その瞳からは地面を濡らさない涙が溢れています。

「……あっくん」
「……触れるんだから、できる、よな?」
「……そう、だね」
「じゃあ……するか、エロい事……もとい、夫婦の契り、を」
「……私達、一つになるんだね」

 幽霊である二人にベッドは必要ありません。
 互いに互いの背を抱き合い、顔を近づけ合い、そして、唇を合わせました。
 二人にとって、初めての口付けです。
 唇を合わせるだけのそれは、しかし二人にとってとてもとても心地よいものでした。

「俺、ずっと……沙弓はこういう事、したくないんだと思ってた。けど、違ったんだよな」
「……私だって……女の子、なんだよ? 好きな人と、したくないわけないじゃない」
「沙弓……」
「……嫌だ、私、何言ってんだろ……もう、恥ずかしいな……」

403 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:52:00 ID:iAD3qVEx]
「もっと、色々、してもいいか?」
「うん……あっくんだったら、いいよ」

 再び口付け、今度は互いの舌をまさぐります。
 先程の心地よさとは違う、身体の芯が痺れるような快感が二人の中を駆け抜けていきます。

「んっ……ふぁぷ……」
「ぐっ……んちゅ……むぅ……」

 唇と舌だけでは満足できなくなったのか、互いに互いの身体へと手を伸ばし始める二人。
 男の手は胸へ。少女の手は……男の、既にそそり立ったモノへ。

「あっ……胸、触るの?」
「駄目、かい?」
「じゃあ、私も……ここ、触らせて」
「んっ……ズボンの上からでも、沙弓の手の温かさがわかるな」
「……先に、気持ちよくさせちゃうから」
「……そうはいかないぞ」

 少女のまとっていた服をはだけ、小ぶりながら弾力のある胸を露わにし、
男の手は乳首やその周辺を乳房をもみあげるように弄ります。
 少女は、男のズボンの上からさするように男のモノを刺激します。
 ちなみに、着衣は霊子によって構成されたもので云々という設定がありますが、とりあえず置いておきます。

「凄い……気持ちいいよ、沙弓」
「……あっ、乳首弄っちゃ、あんっ! 駄目だよぅ……ふぁっ!」
「駄目なのか?」
「………………んっ」
「駄目だったら……止めるけど?」
「……駄目じゃない、です」
「じゃあ、気持ちいいの?」
「気持ちいい、です……んぁっ、そこ、そこが……いいっ、のっ!」
「そうか、ここがいいんだ……じゃあ、もっとやってあげる」

 言いながら、男は片方の手を徐々に下に降ろしていきます。
 少女は、胸の刺激に気を取られ、男の手の動きには気づきません。

「んっ……きもちいいよぉ……あっ……はぁ……んん……」

 やがて男の手は少女の下腹部へとたどり着き……徐に下着の中へ進入しました。

「ひっ……!」

 少女の背が強張ります。
 自分ですら数える程しか弄った事の無い場所への、唐突な刺激。
 男の手が、その敏感な部分で蠢き、少女は身体を躍らせます。

「だめぇ! そんな……とこっ! 弄っちゃだめぇ……ああっ!」

 男のモノをさすっていた少女の手は、自らの秘所をまさぐる男の手を掴みました。
 しかしながら、言葉とは裏腹に、押し留めるのではなく自らの秘所へ押し付けるように少女の手は動きます。

「……沙弓はエッチな娘だったんだね」
「そん……なぁ……違う、のにぃ……身体が、あぅ……勝手にぃ……んぅ」

 男の手はその動きに逆らわず、さらに少女の秘所の奥深くへと侵入していきました。


404 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:52:31 ID:iAD3qVEx]
「……痛っ」
「あ……これ……」

 やがて男の手が――指が、少女が少女である事を示す最後の砦へと辿り着きます。

「……初めて、だから」
「……うん」

 男は、一旦少女の身体から離れると、自らの着衣を脱ぎ捨て、裸になりました。
 少女も、おずおずとはだけられた着衣を脱いでいきます。
 ややあって、お互いに生まれたままの姿になった二人は、お互いの身体に手を伸ばし、抱きしめました。

「優しく……してね」
「……ああ」

 男は、やや腰を引くと、少女のそこに目をやりました。
 少女のそこは、先の愛撫でしっぽりと濡れそぼり、男のモノを欲しがるかのようにヒクついていました。

「……沙弓のここ……初めてなのに、早く欲しいって泣いてるね」
「……もう……恥ずかしい事言わないでよ、あっくん」
「これだけ濡れてたら、大丈夫……だよね?」
「……多分。けど……優しく、だよ?」
「わかってる……ゆっくり、入れるから」
「……うん」

 男は、自らのモノに手を添え、少女のそこに照準を絞ります。

「ここ、だよね?」
「……うん、そこだよ」
「じゃあ……行くよ、沙弓」
「うん、来て……あっくん」

 男は、ゆっくりと腰を突き出しました。

「いっ……んぐっ……いた……」

 少女の、まだ男を受け入れた事の無かった狭いそこに、男のモノがゆっくりと沈んでいきます。
 少女の砦に辿り着くか否かの所で、男は腰を止めました。少女の額には苦悶の皺が刻まれ、
吐く息は荒く、男はそんな少女を気遣ったのです。

「痛い? 一度、抜こうか?」
「……いた、い……けど………………やめないでっ……」
「……ごめん」
「え?」
「聞いておいてなんだけど……やめられそうに、ないよ、俺。沙弓の中、気持ちよすぎ」
「……もう……あっくんのエッチ。……けど……好き」
「俺も」
「……私の初めて、ちゃんと、奪ってね」
「ああ……もっと、力抜いて、沙弓」
「うん……」

 ………………………………………………。
……ふぅ。
男は、改めて腰に意識を集中しました。
ゆっくりと……牛歩の如き速度で、ゆっくりと、ゆっくりと。男は腰を進めます。
乙女の証が、ゆっくりと、ゆっくりと……男のモノによって征服されていきます。

405 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:52:55 ID:iAD3qVEx]
「……ん……ぐぅ……ふぅ……はぁ……」
「もう……ちょっと……」
「うくっ……くはぁ……ん……い……」

 そして――

「んぎっ……!」

 一際、大きな呻き声を、少女が挙げたその瞬間――

「……全部、入ったよ」
「はぁぁ……んっ……は、入った、の?」

 男と少女は、一つになりました。

「うん……沙弓の一番奥に、俺のがキスしてる」
「……うん、感じる。あっくんの、感じるよ」

 一瞬前まで処女だった少女の中は、男のモノに痛みにも似た快楽を与えてきます。
 男のモノが、その快楽に反応し、中でビクビクと震え、少女の中をこすりました。
 少女は、男のモノが震えるのに合わせるかのように、男のモノが震えるのから逃れるかのように、
身体を小さく、小さく震わせます。
 男は、そんな少女に声をかけました。

「やっぱり……痛いよな?」

 少女は、おずおずと頷きます。

「しばらく、このままでいようか」

 男の申し出に、少女は意外にも首を横に振りました。

「……動いて、いいよ」
「……沙弓……けど、お前……」
「だって……あっくんの、私の中に入ってるの……凄い、苦しそう」
「……わかるのか?」
「わかるよ……だって、私達……一つになってるんだよ?」

 儚げな微笑みに、男は理性を失いました――って失うなよおい。

「沙弓……じゃあ、動くぞ!」
「うん………………ぐっ……!」

 男の腰が突き出され、引かれ、動き回ります。

「んぐぅ……ぐっ、あっ……んんっ!」

 その度に送り込まれる激痛に、少女は健気に耐えます。
額に刻まれた皺が、深く、浅く、その形を変え、痛みの程を知らせています。
 ですが、それでも少女は笑っていました。
一つになれた……結ばれる事は無いと思っていた愛する人と、身体と身体を
繋ぎ合わせる事ができた喜びに浸り、少女は顔を歪めながら、それでも笑っていました。

「あっくん……あっくぅん……!」
「沙弓……さゆみぃ!」

 狭隘な処女地による快感は、男のモノをすぐに限界へと追い込みます。

406 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:53:24 ID:iAD3qVEx]
「沙弓、おれ……もう!」
「いいよ……出して! あっくんの、全部出してぇ!」

 男は、少女の一番奥へと己のモノを突きいれ、そして、全てを解き放ちました。

『あぁあああああああああああああああっっっ!!』

 叫びが二つ、重なり――

「あ……ああ……」
「はぁ……ふぁ……」

 二人は、お互いの身体をしっかと抱きしめるようにして、もう二度と離れないという
決意を示すかのように、固く固く抱きしめあったまま、微笑み合いながら、眠りに落ちました――。




 というわけで、私の観察日記は終了です。
……何というか、やっとこさ終わったか、って感じです。
まったくもう、私の上司もこういう変な人を私に押し付ける癖をどうにか……。
……え? うだうだ言うな? ……うぅ、泣きたい……。
………………こほん。
この後、この二人は私達の世界へとやってきて、私達と同じ仕事をする事になります。
 色々と資格が必要になってくる仕事ですが、この二人(の馬鹿っぷり)なら、さして
問題は無いでしょう、きっと。多分。恐らく。……………………だ、大丈夫かなぁ?
 ………………こほん。
ま、まぁ……それを告げられた時、二人はどんな顔をするんでしょうか?
 今は、安らかな寝顔を見せてくれてますけど。

「しんでも……はなさないからなぁ……さゆみぃ……むにゃむにゃ」

 いや、もう死んでますから……。

「ずっとぉ……いっしょだよぉ……あっくん……」

 ふふふ……ま、どんな顔をしてくれるかは、その時のお楽しみですね。
それでは、二人にしばしの安らぎを――――――。















 え? 二人に安らぎはいいんだが、お前は次の担当に移れ?
……あのぉ、私に安らぎは?
え……んなもんあるわけねぇ?
…………………………な、泣いてもいいですか?  あ、それはいい。んじゃ……。
ふえぇええええええぇええええん!! もうやだぁああああああ!!!!
                               ――終――

407 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:53:45 ID:iAD3qVEx]
おーい人事、おーい人事


ここまで投下です。



408 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/13(木) 00:29:57 ID:VZauiSre]
が・・・・・・ガンガレ死神さん。GJ!

409 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/13(木) 01:32:42 ID:TztIvfOf]
死神ー、薄幸薄幸ー(ドリフの幽霊コントのリズムで)

状況的にはそれなりに悲恋物っぽい感じなのに何より笑いがこみ上げてくるのはどうしたものでしょうw
GJでした!

410 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/14(金) 00:26:23 ID:koUzZDAh]
バック物件の地縛霊映像

sugar310.dip.jp/cgi/upload/source/up7997.avi


411 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/15(土) 01:26:52 ID:g+mrKCfE]
>>407
GJ!
鬼と悪魔と編集者が同義語って、コラwww

412 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/15(土) 22:39:09 ID:EG89l1ic]
>>407
ID:iAD3qVEx

sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188730635/704
>最近とあるスレでつけてたコテを、別のスレでもつけるようになった。

sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181999260/844
>なるべく過疎ってるスレで、投下があったらそれだけで
>大歓迎な所を選んで投下するヘタレ参上っ!

413 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/15(土) 22:48:36 ID:W08GZEh3]
>>412
そうでもない場合も勿論ありますよ。>下
ヘタレなのは事実ですがw

何かありましたら控え室か誤爆スレ辺りにお願いしますねー。

414 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/16(日) 14:07:45 ID:G8V49rIt]
粘着質はスルーで

415 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/18(火) 09:06:31 ID:2R7Xid7W]
ちょいと職人さま方に質問。
幽霊もの書くときって何か特別なことしてます?
古典の幽霊ものの舞台とか、バーローの劇場版は公開前にお祓いをするという話を聞いたことが。
自分も書いてみようと思い立ったはいいものの、題材が題材だけに何かしたほうがいいのかと。

416 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/18(火) 18:11:07 ID:PPPxi8fw]
並みの創作幽霊ならなんてことないんだけど
前に一度だけ、話の叙述の都合で
「大手町に首塚がある」某お方の名前を出そうとして

怖すぎて結局書くことすらできなかったという経験がある

417 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/18(火) 23:55:28 ID:zZFtjWvf]
12人の鳴美タンマダー?



418 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/19(水) 05:12:36 ID:90sE/Jd8]
>>416
ああ、読んでみたいなあ。
書いて!書いて!

419 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/19(水) 15:47:35 ID:8e45N8y9]
>>417
今頃、108人くらいに増えてるかもな。

420 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/20(木) 13:21:27 ID:qxDxgbAm]
>>416

渡辺電気(株)って漫画家がそこをふざけて書いてから、誌上に姿をみせなくなった

421 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/23(日) 18:20:36 ID:XB6kX8k1]
>>416
『播州皿屋敷』をやる場合は役者が姫路城まで詣でに行くとか…

422 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/25(火) 22:27:08 ID:6UpY6E2R]
お菊さんの霊と皿数えたい

423 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/27(木) 23:21:20 ID:Pa0t94S2]
保全か

424 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/01(月) 20:13:45 ID:X1KjZP26]
保守

425 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/05(金) 13:33:15 ID:cx31XztF]
保守ろう。

426 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/06(土) 21:53:07 ID:B1JQwk5i]
他スレで、『湖のヒ・ミ・ツ☆』書きました。
『謎の怪獣キチ』『蛇足』の番外編のようなものです。


エロシーンが特殊性癖向けでしたので、いろいろと悩んだ末に、向こうに投下。
ちょうど埋めネタの頃合いでしたので。


キスもしたことの無い女の子の口でフェラされたい3
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106223972/922-940

スゲー長文要注意。


427 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/07(日) 04:10:38 ID:7xV6kOTQ]
>>426
あえてこのスレでGJを贈らせてもらおう



428 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/07(日) 23:56:44 ID:CDvak9x1]
ちょっと前に立ち読んだだけだが、スーパージャンプか何かの読みきりで、
幽霊の奥さんと旅行会社をやる漫画はなんだか良かった。

429 名前:名無しさん@ピンキー [2007/10/08(月) 17:31:31 ID:89YgfQSi]
上げておく。

430 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/12(金) 07:58:34 ID:MHrUzgLH]
過疎りすぎだろ。

431 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/12(金) 13:49:47 ID:96yMEMvF]
>>430
まだマシな方だと思うよ。

432 名前:名無しさん@ピンキー [2007/10/12(金) 23:32:29 ID:17j+naCS]
可愛い幽霊といえば部屋女のピアたんしかおらんだろ

433 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/13(土) 06:50:08 ID:jelh3/qu]
びっくりするほどユートピア

434 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/13(土) 18:21:42 ID:Lg7j4SO/]
ニートピア?

435 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/14(日) 09:06:21 ID:pPU17GdT]
オカ板で萌え死んだ俺が来ましたよ

436 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/14(日) 12:46:57 ID:TOF1BukZ]
>435
kwsk

437 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/14(日) 14:59:50 ID:JBvqHn5e]
>>436
www.geocities.jp/ocult_utopia/index.html



438 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/15(月) 22:18:41 ID:A9b4kRxZ]
最近「裏式保管庫」というところを見つけた
「南瓜と西瓜の輪舞曲」という作品が気に入ったのだが


初出を見たらここだった
保管庫にないから知らなかったよ

439 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/15(月) 22:27:11 ID:c874vflI]
あなたが俺か!

440 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/16(火) 00:22:37 ID:g7crulLW]
ふつうに、保管庫からいけるだろう、裏式。

441 名前:438 mailto:sage [2007/10/16(火) 01:45:24 ID:XTUQWNp+]
>>440
裏式の他の作品見て思い出したことなんだけど、
確かに以前保管庫から行ったことあったわ。
でもその時見た作品が陵辱系ばかりで気分が悪くなって
今後うっかり見てしまうことのないように履歴消して
記憶からも消すことに努めたんだった

442 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/16(火) 15:19:12 ID:P3Fk4Zhc]
「保管庫にない」と書く前に確認をしようとしないトンチキは改めるべきだな。
今後も恥かくよ?

443 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/16(火) 20:05:05 ID:XTUQWNp+]
>>442
保管庫にないことを確認した上で書き込んだんだが

「南瓜と西瓜の輪舞曲」は保管庫にないだろ?

444 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/16(火) 23:31:19 ID:P3Fk4Zhc]
いや、そんな揚げ足取りしなくていいから。

君の「嫌いなものは見えなくなるフィルター」をちゃんと外してからでないと、胸を張って「確認した」とは言えないはずだよ?

445 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 00:14:49 ID:jK8yZpjI]
どうでもいいが、そういう言い争いは他所でやってくれんか。
誤爆スレ辺りがいいかな。

446 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 01:12:26 ID:CNly91/v]
>>444
別に揚げ足取りのつもりで書いたんじゃなかったのよ
「(「南瓜〜」が)保管庫にないか確認してから書き込め」という
意味かと思ったから「「南瓜〜」は保管庫にない」と返しただけで

俺の「確認」は「南瓜〜」が保管庫にないという話だけだけど
そっちの言う確認の話は「裏式へは保管庫から行ける」等の
話も含んでるみたいだから多分その辺りが食い違っていただけと思う


>>445
迷惑かけてしまって申し訳ない

447 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、マリネラ式通信網』 mailto:sage [2007/10/17(水) 02:26:39 ID:5U7PXUpt]



「・・・なんなんだよ、おれ、別にそんな意味で書いたんじゃないのに」

その男は、とある掲示板でのレスに、眉根を寄せた。

机の前のノートパソコンを眺める男。
他愛のない書き込み、そしてそれに返された、注意とも悪意ともとれる返信レス。
しかし彼は知っていた。
煽りに乗って、自らも攻撃的なレスをしてしまえば、いたずらに相手を刺激し、スレが荒れてしまうことを。
そして男は、落ち着いて、新たなレスを送信した。


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「・・・えーと。・・・ま、ずいぶんと真面目な意見だこと。面白くないから、ちょっと弄っちゃえ!」

『うるさいね、あんた。黙れよ』

「・・・と。これで良いわ♪ あとは、プロバイダさんにGO!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「お、$$$さんちのパソコンからだ。・・・ふむふむ。今ひとつ、押しが弱いなぁ」

『うるせーっての。テメーみたいな童貞は黙ってろ!』

「うむ、我ながら名文だ! あとはこれを、PINK鯖の妖精さんに送って・・・と、完了!!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「@@@プロバイダちゃんからだ。・・・なになに、キャハハ、これいいね! アタシもちょっと、手を加えちゃえ!」

『るせーって。テメーみたいな童貞は、アタマん中の幽霊ムスメをオカズにして、一生シコってろ!』

「これでよし! あとはこれを、『かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ』スレに・・・投下ッと!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%





448 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、マリネラ式通信網』 mailto:sage [2007/10/17(水) 02:28:24 ID:5U7PXUpt]


「はぁ? またワケわかんねーレス返しやがって!」

怒りと呆れ、そんな不快なストレスが腹の辺りにぐるぐると渦巻く。
仕事場のデスクトップパソコンで、終電をのがしたあとのタクシー待ち。
(こういうときはアレだ、脊髄反射のレスをしちゃいけねー)
男はそのことを知っていたから、ひとまずは机の引き出しから、マイルドセブンとライターを取り、ベランダに出た。

「しかしまぁ、オレもずいぶんと、紳士になったもんだ」

ふぅぅ、と紫煙を夜の空に流し、男はゆっくりと星を眺めた。
そして彼は、ずいぶんと短く縮まった煙草を携帯灰皿に押し込み、部屋に戻ろうとして・・・。

「なんだァ、ありゃあ?」

男は、自分が使っていたパソコンの後ろに、小さな女の子がいるのを見つけた。

「さ〜て、この男、今度はどんなレスを送るんだろう? わくわく♪」

その小さな女の子、ちょうどマウスを抱き枕にして眠れるくらいのミニサイズ。
パソコンの背後から伸びるLANケーブルに耳を当て、送られてくる信号を盗み聞きしているらしい。

「あの男が、どんなに誠意を込めたレスを返したって、このワタシの目の黒いうちは、立派な嵐レスにしてやるもんね♪」

「きーさーまーのーせーいーかー!!!」
「きゃっ!!」

男はパソコンの裏に忍び寄り、そのケーブルにしがみつく小さな女の子を指でひょいとつまみ上げた。

「さぁて、この悪戯者の妖精さん、いったいどうしてくれようか!」



「あ、あのー、あなたも『かーいい幽霊』スレの紳士さんだったら、・・・私たち妖精に、手荒な真似をしたりしません、よ、ね?」



「どあほう! オレは、もう紳士はやめじゃーっ!!」



男がその妖精さんに、どんな悪戯をやり返してやったのか。

それをここでいちいち伝えるのも、無粋というもの。


なぜならば。
とりあえずあなたが、あなたのパソコンの後ろにいる妖精さんを捕まえて、

あなた自身が彼女たちに、思い思いのお仕置きをしてあげればいいからだ。



END OF TEXT

449 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 04:30:23 ID:4+HkzdDs]
>>447-448
ワラタw GJ!
もうちょいお仕置き部分をですね…
気が向いたら是非

450 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 19:59:40 ID:8fnXI5Qs]
パソコンの裏を探したけど、妖精なんていないよ?

そうか、タバコ吸わなきゃ駄目なのか!

451 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/18(木) 09:55:09 ID:5Ur7Qw7y]
黒井さんちのプリンスメロンに払われた十円ちょうだいなふいた
GJ

452 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/18(木) 23:16:36 ID:FeZ+HHlU]
お仕置きか。
殿下の作った通信方式ならオカマさんに弱いはずだ。


453 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/19(金) 01:49:32 ID:M2heRV59]
いろいろと書いてるSSのテンションがあがらないので、
即興で筆休め。

変なヤツだけど、まぁそこはそれ。


454 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTP』 mailto:sage [2007/10/19(金) 01:51:37 ID:M2heRV59]


「さて、」

と男は、言葉を句切ってからしばらく間を空けたあと、もったいぶってから話し始めた。

「ずいぶんとやりたい放題、悪戯しまくってくれたじゃねーか」



キリストが磔(はりつけ)にされたのがゴルゴダの丘。
しかし、割り箸で作られた簡易な十字架を、会社に備え付けの粘土の上に突き刺しただけのこの丘は、
世界でもかなり有名な聖人さんになぞらえるのはばちが当たりそうだ。

だからパクるにしてもワンクッションおいて、ゴルゴダ星の丘、ってことにしとく。ウルトラ兄弟やエースキラーはいないけど。


その簡易ゴルゴダ星の丘に縛り付けられているのは、この会社のパソコンに潜んでいた、インターネットの妖精さん。
ちょうど、昔の占い雑誌、「おまじないコミック」あたりに連載されていた、やすはらじゅん先生が書くところの妖精さんのようだ。
(描写は割愛する。とりあえずここwww.iinet.ne.jp/~akimori/yousei.htmのクロトクリンあたりを参照。)

そろそろ気温も下がってきて、夜ともなれば肌寒くも感じる今日この頃、しかしこの妖精さんはまぁ、何ともファンタジーな薄着だった。
そんな彼女を十字架にくくりつけるのにはこの男、少々罪悪感も湧いたのだが、彼女がしでかした悪戯のお仕置きだ、と心を鬼にしてくくりつけた。
男は独身だったので、ちゃんと自分でソーイングセットを持参しているのです。

「ううっ、こ、こんなこと、ひどいよっ!!」

「だまらっしゃい! 君がやらかした通信の阻害が、どれだけスレのコミュニケーションに悪影響を与えたと思ってるんだ?」

男は、まるでスレの代弁者気取りで、そんなたわいのないことをいかにも大仰に述べ立てた。
しかし、まぁそんな言葉には実(じつ)も伴っていない。この小さな妖精さんの心に響こうはずもない。

「うるさいっ! あんなろくでもない、人間のクズが集まるようなスレなんか、アラされちゃえばいーんだっ!!」

その、あくまでも心折れない小さな妖精さんを前に、男も紳士の仮面を被るのをやめた。

「ほほう・・・」




455 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTP』 mailto:sage [2007/10/19(金) 01:53:16 ID:M2heRV59]


「これが何か、分かるかね? 妖精さん」

ここは男の勤務先、とある設計会社のオフィス。彼一人しかいない部屋の隅にある道具入れから持ち出したのは、
機械設計系の事務所なら必ず常備されているであろうノギスだった。
(描写は割愛する。とりあえずここja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%AE%E3%82%B9を参照のこと)

「・・・・・・なんか、屈折したフェティッシュを感じるんですけど・・・」

その、金属製の歪(いびつ)な定規を目にした妖精さん、少し額に汗を流しながらそれでも減らず口。

「妖精さんの小さな乳首の直径だって、このノギスなら0.01mm単位で測れる」

努めて男、冷静な口調で。さながら、ヤマトの真田さん風に。

ここで、妖精さんの脳内に、彼女の想像力が作り出したフラッシュアニメが再生された。

裸に剥かれ、十字架に張り付けられた妖精さん。
冷たい金属の定規が当てられ、冷酷に目盛りを読み上げられる、妖精さんの乳首の直径。

「いーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」

じたばたと力の限りに暴れまくる妖精さん。どうやら身体測定は嫌いらしい。

「へーーーーーんーーーーーたーーーーーーーいーーーーーっっっ!!! おまわりさーーーーーんっっっ!!」

だがしかし、彼女を縛る絹糸はなかなかに頑丈だった。
必死にあがく彼女を見ながら男、罵られている割に平然と。

「変態とは失敬な」

とだけ口にした。
そんな冷静な真田班長を前に、とにかく抗う妖精さん。

「虐待反対っっ!! 可愛い妖精さんを苛めるの禁止っっ!! レッドデータアニマルを守ろうッッッ!!!」

ワシントン条約に妖精さんは規定されていない。
そんなツッコミを心の中で呟く。
そして男、ノギスの他に持ち出した、もう一つのアイテム。

「普通ならここで、羽根箒とか三角スケールを持ち出すところだが・・・」

たしかに、小さいサイズの女の子を扱うエロ漫画なんかではお役立ちアイテムの羽根箒や三角スケールを持ち出すのもこのスレでは「あり」だろう。
(描写は割愛する。ここitem.rakuten.co.jp/gazaiya/te17-012/
 ここja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%ABを参照のこと)

またまた想像力豊かな妖精さん、羽根箒でくすぐりの刑を受けたり、三角スケールで三角木馬の刑を受けるところを想像。


456 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTP』 mailto:sage [2007/10/19(金) 01:54:26 ID:M2heRV59]

「いくらエロパロスレだって、そんなヒドいこと、しない・・・わよ・・・ね・・・?」

微かな希望に縋り付くように、可愛く首を傾げながら語尾を上げておもねってみる妖精さん。
しかし今度はこの男、無意味に若本ボイスを真似て。

「これなら、小さな膣穴(アナ)でも正確に測れるぞ?」

手にしたのは、何とも鋭いクナイのようなテーパーゲージ。
(ここwww.dogudoraku.com/catalog/product_info.php/products_id/18030/cPath/250_250450参照。)

「ぎーーーーーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!」

もう、妖精さん必死。
泣きじゃくりながらアタマを振り回すものだから、涙やら鼻水やらがあたりに散乱。

そしてその男、そんな妖精さんを見ながら定規の鋭い先っぽを近づけて・・・。



「・・・なーんてな」

ちょん、と小さく頭をつついて、その凶器を引っ込めた。

「オレ、残念ながら拷問するの趣味じゃねーし」

確かに彼は、グロ方面のスレは巡回していない。
割り箸に結んだ糸をほどいて、妖精さんをい自由にしてやった。

「これでおしまい。・・・これに懲りたらもう悪戯、するなよ?」

そういって男は、照れくさそうに物騒な製図用具を片づけ始めた。




「あ・・・・・・」

思いがけず自由になった妖精さんは、少しのあいだ惚けたあと。

「ありがとう・・・・・・」

しゅんと項垂れて、そういった。




457 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTP』 mailto:sage [2007/10/19(金) 01:55:44 ID:M2heRV59]


・・・かと思ったら、

「なんてっ、言うと思うかコンチクショーーーーーーーッッ!!!」

と妖精さんには不似合いなFUCKの中指を突き立てたあと、先ほどからつけっぱなしのパソコン画面に飛び込んでいった。

「おおっ! パソコン画面の中にはいったっ!!」

男が驚いて、画面を凝視。
インターネットエクスプローラーのウィンドウが、小さいポップアップを作り出していて、その中にさっきの妖精さんが収まっていた。

「よくもいたいけなわたしを苛めてくれたわねっ!! みてなさいよっ!!」

そしてそのポップアップを閉じたかと思うと。
ぴろりん、と音がして。


男が3日かけて作成した、納品前の図面が一枚、削除された。


「ぎーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」

今度叫ぶのは男の番。

「てめー、なにしやがんだコンチクショーーーーーーーッッ!!」

ディスプレイをがくがく揺すって恫喝するものの、中の妖精さんにはぜんぜん効いていない。



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%



それから男は、結局呼びだしたタクシーを断って、泊まりがけで消された図面を修復していった。

「あーあ、またこんな、無駄なことしちゃってサー」

パソコンの画面に立ち上げられた製図ソフトで図面を作成するのだが、そんな作業を邪魔するかのように、
画面の中をデスクトップアクセサリーと化した妖精さんがうろちょろうろついて邪魔をする。

「ちくしょー、コイツ、なんとかならんものか・・・・・・」

度重なる妖精さんの嫌がらせに歯ぎしりをしながら、男はふとインターネットエクスプローラーを立ち上げてみた。

「えー? こんな忙しいときに、エロパロ板を覗いてていいのかなーーー?」

と、妖精さんは男をからかっていたのだが。





458 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/19(金) 01:58:03 ID:M2heRV59]


「・・・! や、やばっ!!」

とたんにあたふた、慌て始めた。
男はその妖精さんの動作に首を傾げた。そしてちょっと彼女の様子を見ていると、なにやら必死に、エクスプローラーのボタンを背中で隠している。
なんだろう、と男は、マウスでもってその窓をひょい、と動かして妖精さんの背中から露わにする。
すると、見慣れたボタン類の端っこに、小さな妖精さんのアイコンが。

「なんだ、これ?」

「だーーーーめーーーーーっっ!!」

必死にそれを隠そうとする妖精さんをかわして、男がそのボタンをクリック。

「あうっ!」

ぽん、と妖精さん、ディスプレイの外にポップアップ。
前のめりにつんのめるように、再び実体化した妖精さん、慌てて立ち上がり、また画面の窓に飛び込んで、隠れてしまった。

しかし男、慌てることなく、再びボタンをクリック。

「ひゃん!」

またまた実体化。




「ふっふっふっ・・・」

男の、不敵な笑い。声は相変わらず若本ヴォイスで。

「えへ?」

妖精さんの、可愛らしい微笑み。額には脂汗が浮いているが。





さすがは世界のビルゲイツ。

妖精さん実体化アイコンまで作ってたよ?



はてさて、このあと、妖精さんはどうなってしまうのか?

彼女の乳首は直径何ミリなのか?


それらは次回の講釈で。


(あと2回、続いちゃうっ!)

459 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/19(金) 02:01:13 ID:M2heRV59]
ごめん、タイトルまちがえた。
DTPじゃなくて、DTA(デスクトップアクセサリ)ね。

次は一転して、ハートフルな展開に。
残虐描写はありません。


しかし、黒いプリンスネタが分かる人いたとは、恐るべし。

460 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/19(金) 07:44:52 ID:rl5gN/tS]
ノギスとか、テーパースケールとか
今日、職場で作業しながら悶々としちまうじゃねぇか・・・・・

461 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/19(金) 10:05:31 ID:xZKRGt7I]
とりあえず見逃してもらった御礼に全身使って愚息に御奉仕
を期待してパンツ脱いでた俺にあやまれっ!

わっふるわっふる

462 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/19(金) 22:08:36 ID:s8yMPP+/]
うおーーー!!!
すっげー楽しみーーー!!!


この男と妖精さん、なんだか良い友達になれそうな予感。
次回のハートフルな展開に超期待!

463 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/20(土) 13:30:46 ID:8R61EdC8]
これはまたとんだ黒井さんちのプリンスメロンでつね

464 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/21(日) 23:29:12 ID:FCZwKqHK]
www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%A4%A7&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=]
伊吹大 の検索結果 約 453 件中 1 - 10 件目 (0.19 秒)

465 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/22(月) 22:58:34 ID:DPuFOvw9]
なんで即興の筆休めでこんな愉快なSSが書けるのか。

続き楽しみにしてます。

466 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 03:30:12 ID:SKuYr4bR]
これを書いているということは、本来書き進めているSSが進んでいない、と言うことで。

なんとかがんばって、テンションをあげていきたいものです。



それでは皆様お立ち会い。
ご用とお急ぎでない方は、しばしのおつきあいを。



467 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:31:29 ID:SKuYr4bR]



そのとき、妖精さんの脳内では。


フラッシュプレーヤー連続再生、さっきまで妖精さんが作り上げた妄想ムービーが頭の中でぐるぐると。

(・・・く、んひゃあっ、あっ、は、羽根箒でくすぐらないでえぇっ!!)
 ああっ、だめぇっ、ノギスでちくび、挟まれると、冷たくてゾクゾクしちゃううっ!!
 いやっ、こ、こわい、さ、三角スケールの尖ったところが、アソコにくいこんで、いたいようっ!!
 ぎ、いっ、い、いやっ、だめっ、わたしのはじめて、てーぱーすけーるでやぶらないでぇっ!!!!)

その妄想をSSに起こせる文章力があれば、特定のスレで人気者の神になれたかもしれない。


「い・・・いや・・・・」

さっき男に捕まったときは、許してもらえた。今までやった悪戯のことに腹を立てていたのだろうが、それでも許してくれた。
しかし妖精さん、そんな男の好意を踏みにじって、自由になったとたんまた悪戯を再開。
しかも、男の仕事を直接邪魔する、かなりヤバイ悪戯。

こんどこそ。
まちがいなく。

(この人は許してくれない・・・)

妖精さんは、逃げられない。
ディスプレイの中、パソコンの中に入っても、すぐにここに叩き出されてしまう。

(もうダメだ、きっと酷いことをされてしまう!)



とまぁ、そんなガクブル妖精さん、今にもチビリそうな様子だったのだが。

対する男は割と平然と、

「なにもしねーから、ビビんなよ」

そう、言った。


「・・・・・・へ?」

妖精さん、唖然と返す。
あまりにも予測と違って男の声に尖ったところがなく、ずいぶんと柔らかだったからだ。

「まぁオレはエロパロ板の住人だけどさ、あんまキツイのは苦手なんだよ。レイプとか輪姦とかグロとかスカとかリョナとか」

そういって男、ちょんちょんと指先で妖精さんの頭をつついてから、そのままパソコンに向き直り、仕事を再開した。






468 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:32:58 ID:SKuYr4bR]



「あ、あのぅ・・・・・・」

しばらくあと、ディスプレイを怖い顔で見つめ懸命に仕事していた男の側から、小さな妖精さんの小さな声。
男が、つい、とその声に気を引かれ、仕事の画面から離れた。

「どうした?」
「えと、あの、その・・・」

もじもじと、小さな妖精さんが肩を小さく狭めながら、なにやら言いたそうな様子である。
男が視線を向ける中、しばし戸惑ったあと、ようやく妖精さんが、

「ごめんなさい!」

ぺこりっ! と勢いよく頭を下げた。
先程男に嘘をついたときに比べると、ずいぶんと様子が違う。
緊張しながら、小さく肩を震わせている妖精さん。

「もう悪戯はしねーか?」
「もうしないよっ!」

男は、さっき騙されはしたけれど、今回の謝罪は信用してもいいかな、と思った。
もしこれが嘘で、逃げ場をなくした妖精さんが保身のために謝っているだけなのだとしても、まぁそれはそれで仕方のないことだろう、とも思えるからだ。
だから男は、よし、許してやろう!と少々尊大に、しかし口調には気安さを込めて言った。

「・・・ありがとう」

その気安さに、ようやく安堵の笑みを浮かべて、妖精さんは小さく笑った。




「あなたって、結構優しいんだね」

そうして妖精さん、男の肩に腰掛けて、耳元をくすぐるような声で、ずいぶんとくすぐったいことをいうものだから、男は本当にくすぐったくなってしまった。
普段からあまり人に褒められることに慣れていないから、こういうことを言われるとどう反応していいのか非常に困る。
だから男はとりあえず調子に乗ってみることにした。

「そりゃあな、オレは紳士だからな」

そんな男の言葉を聞いて妖精さん、

「というより、ただ『お人好し』なだけかも」

と、ずいぶんシビアなご意見。
多少なりとも自覚のあった男だから、ズバリ妖精さんに指摘されては軽く落ち込んでしまう。
だが妖精さん、そんな男の心の内を察してか否かは知らないが、でも、と言葉をつなげた。
そして羽根のような軽さでぴょんと彼の肩から飛び降りて、見事机の上に着地。

「でも、私は好きかも、お人好しなヒトって」


469 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:34:24 ID:SKuYr4bR]

そういって、にっこりと笑った。
じんわりと、耳たぶのあたりが熱くなる感覚。不覚にも妖精さんの言葉に照れてしまった男は。

「じゃあ、オレの恋人になるか?」

などと、茶化すように応じた。そうでもしなければ、動揺がばれてみっともないところを見せてしまいそうだったからだ。
それに対して妖精さんの回答は、

「やだ」

と、ずいぶんきっぱりとしたものだった。しかも笑顔で。

「じゃあ、セフレで」
「あはは、いくらあなたのアレがポークビッツ並でも、わたしの膣内(なか)には入らないよ」

あはははと笑う妖精さんにつられて男もあははと笑った後、指の先で妖精さんのこめかみをぐりぐりと。
誰がポークビッツだこのやろー、と男が怒ると、妖精さんがいたたたたたたたたたたたと悲鳴を上げる。

「それでも小さな体で懸命にご奉仕、とかがエロ妖精のつとめだろーが!」
「誰がエロ妖精よっ! そんな偏見はドブに捨てて来なさいっ!」

お互いが唾を飛ばしあって喚いた後、どちらからともなく馬鹿笑い。
ひとしきり笑いあった後、妖精さんは、出会って一番の笑顔でこう言った。

「セフレにはなれないけど、トモダチにだったらなれるよ!」


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


妖精さんと過ごす、楽しく爽やかな時間。
しかしそんな穏やかな二人の時間も、長くは続かなかった。

といっても、別に悲恋とか、二人の仲を引き裂く残酷な運命、とかそういった類のものではなく。

「くわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!! 図面がーーーーーーーーーッッッ!!!!」

男は、仕事のためにここに残っていたのだった。

明日(すでに今日だった)が納期の図面を放置していたことをようやく思いだした男は、それまで紅茶を飲みながら妖精さんと、
のほほんと談笑していたのを先程の叫びとともに中断し、猛然とパソコンに向かい作業を再開した。

「・・・急ぐの?」
「急ぐ急ぐ、チョー急ぐ!」

ディスプレイを睨み、妖精さんの方を振り返らずに言葉だけ返してくる。
その様子からも、男がかなり逼迫していることが分かろうというものだ。


470 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:35:05 ID:SKuYr4bR]

「よし! 私も手伝ってあげるよ!」

小さな胸をぽすんと叩いて、妖精さんが言った。

「なに! 本当か!?」

男は思わず振り返った。元はといえばこの妖精さんの悪戯で消えてしまった図面を復元しているわけだが、
そんなことはまぁ広い心で水に流すことにした。
仮にも彼女はインターネットの妖精さん。消えたデータを完全復元するミラクルな呪文を知っているかもしれないのだ。

「じゃあ、早速図面の復元を」

そんなふうにすがる男を、しかし妖精さんは、くわっ!と一喝した。

「ばかっ! 消えてしまったデータは、もう永遠に戻らないから尊いのよっ!!」

そのデータを消した張本人が、なにやらもっともらしいことをのたまった。

「大切なデータは、絶対バックアップをとっておくのは鉄則よ!
 しかも納品前の最終データなら、同じものをMOやCD−Rなんかの外部記録メディアに複製して、万が一の事態に備えておかなくちゃ!」

ほほぅ、と男は、熱弁を振るう妖精さんの言葉を一通り聞き終えた後、奇妙な感嘆とともに問いかけた。そしてそれに答える妖精さん。

「じゃあ今回、オレはちゃんとそういう準備をしていたら、助かったのかな?」
「ばかね、私がそんな手落ちをするわけないじゃない。消すならちゃんと、複製データも見逃さないって」

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり・・・
あだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%



結局、妖精さんができる手伝いとは。

「こらーーーーーっっ!! おきなさいっ、寝るなーーーーーーっっっ!!!」

そうやって、睡魔に負けそうになる男をたたき起こすために耳元で喚いたり、

「あともうちょっとじゃない、がんばれーー!!」

へたれてコーヒーをがぶ飲みする荒んだ心を癒したり、と。
直接的ではないにしろ、なんだかんだで結構役に立っていた。

そうやって、男は妖精さんに励まされながら、なんとかがんばって作業を続行した。
消された図面データは幸いにも途中までのデータが残っていたため、丸々すべてを一から作成し直す、と言うようなことにはならなかったのだ。
そうして夜も白み始めた頃、何とか図面は修復完了。



471 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:36:22 ID:SKuYr4bR]


「でけたーーーーーーーーーーーっ!!!」
「いやー、疲れた疲れた!」

椅子の背もたれを限界まで倒して男が叫ぶと、妖精さんも満足げに背伸びをする。



「じゃあ、オレは家に帰るけど」

男はそういって妖精さんを見る。妖精さんも、さすがに眠たくなったようで、大きくあくびしながら、私も帰るね、と言ってディスプレイの中に潜り込んでいった。
そうしてインターネットエクスプローラーの小さなポップアップウィンドウの中に入り込んだ妖精さんは、バイバイ、と言ってそのまま窓を閉じた。

昨日、仕事の合間に重ねられた雑談の中で聞いたことなのだが、妖精さんはこのパソコンにインストールされたインターネットエクスプローラーに宿った妖精なのだという。
故に、このパソコンからそれをアンインストールすれば帰る家がなくなるし、別のパソコンに移すことも出来ないのだという。

男は、そうやってここでしか会えないという関係を少し寂しく思ったが、しばらくはそれも良いだろう、と納得した。この会社のパソコンも、少し古い機種なので、そのうち新しい機種に買い換える予定がある。
そのときに申し出て、この古いパソコンを譲って貰えばいいのだ。

まぁそれまでは、会社の中でだけ会える友達、と言うことで、これはこれで良い関係なのだろう。
実際、妖精さんとは、まるで男友達と話すような下ネタも使える、まさに悪友といった感じだった。
男が冗談で言った『恋人』とは、やはり少し感じが違うのだ。




それからしばらくの間、男と妖精さんのバカッぽいながらも楽しい日々が続いた。

数人の社員が勤務する設計事務所ではあるものの、実のところまともに仕事が出来るのはこの男だけなので、必然的に彼に重要な仕事が回ってくる。
そうなるとどうしても残業になり、他の社員は定時で帰っていく。

そうして男が一人になったときにようやく、彼のパソコンに小さなポップアップが開くのだ。

夜の事務所で、ニコニコ動画を二人で眺めて大笑いしたり、初音ミクの歌声に嫉妬する妖精さんを男がからかったり、男が集めてきたエロ画像を妖精さんが抹殺してぐりぐりぐりぐりぎやあああああ、などと。
二人は本当に仲のよい悪友といった感じで、楽しい時間を過ごしたのだった。




472 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:36:52 ID:SKuYr4bR]

そんなある日。

深夜遅くまで長引いた仕事のせいで、男はずいぶんと疲れ切ってしまっていた。
そしてついウトウト、机に突っ伏して眠りについてしまった。

(・・・・・・ん?)

ふと、うたたねの縁から男が微かに目を覚ますと、なにやら小さな声が聞こえる。

「・・・・・・・・・ん・・・・・ふ・・・・・・ぁ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・」

男の他には、いつものように妖精さんがいるだけなので、この声の主も妖精さんのものだろう。それにしても、いつのまにか妖精さんが一緒にいることをずいぶんと当たり前に受け入れるようになったものだ、と男は眠りから覚めたぼんやりした頭で自嘲する。
そして男は、自分が眠っているあいだに妖精さんは何を喋っているのだろう、と興味が湧き、少しばかり耳を澄ましてみた。

「・・・・・・んぁっ、あ、あん、あふぅ・・・・・・んっ、んくっ、ぁああっ、」

その声は、それなりにしか女性経験のないこの男にでも分かる、女の喘ぎ声だった。

(って、これ、・・・・・・オナニー?)

薄目を開けてその様子を見た男は、自分の指の腹に股間を擦りつけて快感に浸る、小さな少女の姿を捕らえた。

「あ、あふ、・・・すき、すきなの・・・・ごめん、ごめんね・・・」

妖精さんが、男の指を使って、自慰をしている。

「だかれたい、いっぱいあなたとえっちしたいっ、・・・でもだめなのっ、ごめんなさいっ!」

衣服は身に纏ったままだが、無造作に放り出された男の指に抱き枕のようにしがみついて、股間を男の指の腹に擦りつけてオナニー。
そしてとうとう、夢中になって腰を擦りつけていた妖精さん、そのうっとりとした表情を男の方に向けた。

そこで、眠りから覚めた男と、快感に惚けた妖精さんの、目と目がバッチリあった。

「あっ!! あっ、あああっ!!」

びっくりしたのは妖精さん。
そりゃ、男が眠っているものと思って始めた自慰を、その男にバッチリ見られてしまったからだ。
もちろん男もびっくりした。
なにしろ、妖精さんの小さな喘ぎ声の中に、『すき』などという言葉が混ざっていたからだ。




473 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:37:44 ID:SKuYr4bR]

それから数分、気まずい空気が流れて。

最初に声を出したのは、またしても妖精さんの方だった。

「ごめんね、変なことしてて・・・」

確かに、変なことと言えば変なことだ。しかし男は、その妖精さんの言葉に、声もかけられない。

「お願いだから、今見たことは忘れてね・・・」

恥ずかしげにくすんだ表情で、妖精さんは笑っていった。
しかし、男は、つい確かめたい気持ちを隠すことが出来なかった。

「あ、あのさ、さっき言ってたこと・・・」
「忘れてッ!!」

妖精さんが、強く、男の言葉を制した。

「・・・・・・こんな気持ち、あなたも、わたしも、辛くなるだけだから・・・」

顔を深く伏せて、男に瞳を見られないように隠しながら、妖精さんは言った。
男は妖精さんの強い意志に、自分の言葉を続けることが出来なかった。

そして、ほんの少しの間をおいて、妖精さんは顔を上げた。

「だから、明日からはいつも通り、トモダチでね!」

なけなしの明るさで、懸命に笑顔を作って、妖精さんはモニタの中に潜り込んで消えてしまった。




男はその夜、自室のベッドの中で眠れないまま考えていた。

これからあの妖精さんと、どうやって付き合っていくべきなのか。
自分はあの妖精さんに、どんな顔を見せればいいのか。
あの妖精さんに、自分の気持ちを伝えるべきなのだろうか。

そんなことを考えながら、それでも答えが出なくて。

そして朝が来て、男は会社に出勤する。


474 名前:『インターネットの妖精さん。或いは、AIとま式DTA』 mailto:sage [2007/10/24(水) 03:38:22 ID:SKuYr4bR]


さて、今夜会ったとき、あの妖精さんに、まずなんと言って声をかければいいのだろうか、などと考えながら足を会社に向けて。
そして男が会社に着いた。


「・・・・・・あれ?」

会社に着いたときに、感じる違和感。



事務所の中が、『がらんどう』だった。

そして、入り口のドアから剥がれ堕ちた紙。
そこに書かれた文字が男の目に入る。


『倒産しました』


そこに、会社はもう、なくなっていた。

男の仕事も、机も、椅子も、製図道具も、そしてあのパソコンも。



すべてがもう、消え失せていた。



END OF TEXT

475 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 03:45:55 ID:SKuYr4bR]


どうも、自分のテンプレートから抜け出せていないようです。
次で最後です。


ところで。
これを書いてる最中、2回もパソコンがフリーズし、書きかけのテキストが消失しました。

これはいわゆる、四谷怪談を上演するときにお岩神社にお参りに行かないと呪いを受ける、とかそういう類のものでしょうか。

そのデンで行くと、私は、妖精さんの呪いを受けないように妖精さん神社に行かなければいけないということに。


どこにあるんでしょうか、妖精さん神社。



476 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 07:19:45 ID:KKecnsRb]
IEの妖精さんなんだから…
マイクロソフトに貢げばいいんじゃね!?

477 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 09:55:15 ID:kdn9kc09]
夢中で読んでしまった
HAPPYENDキボンヌ
ところでこのソフトはドコで注文すれば良いのかね



478 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 13:57:25 ID:7QjHDjGh]
そうだな とりあえず夜寝る前に
PCの横にお菓子を用意すればいいんじゃないだろうか

パソコンの後ろに妖精さんがいると言ったのはyouだぜ!!

479 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 17:50:49 ID:nyowxDc4]
END OF TEXTの文字を見た時反射的に
『えっ完結?何この打ち切り的な終わり方』
と思ってしまったw今まで完結以外でEND〜を見たことなかったので

HAPPY ENDであることを祈りつつ、続きwktk

480 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/24(水) 21:41:29 ID:OFYgXnfB]
最高!!
俺も妖精さんとこんな関係になりたい。
後半の切ない感じもマジ俺好みな展開だった

続き、超期待して待ってます!

481 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/25(木) 23:30:13 ID:xfEeU4aX]
このままお預けは辛いぜ。
早く続きを!

482 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/26(金) 13:27:55 ID:6SFH6HsH]
まぁまぁ急かさずにじっくり待とうぜ
祭りの前の準備も楽しいもんさ

個人的には妖精さんは人間大になって欲しくなかったりするが・・・
ちっこいままの方がイイナ〜
羽根コキとか新ジャンルきぼんぬ

483 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/27(土) 22:29:02 ID:xFWSM1Ki]
がんばって書いてますぜ!

あんまり間をおきすぎて、住民さんにビンゴのネタ予想されたらどうしようとか、チキンにビクつきながら(笑)

たぶん、明日の朝頃に投下。

484 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/28(日) 15:28:23 ID:PQDDxeyu]
いろいろと調子にのってしまったことは、反省しています。
本人としてはたとえ筆休めのつもりであっても、読む人多くに理解してもらえるようなものを書くのが筋なはず。
そのあたりは申し訳ありませんでした。
何を謝っているのかというと、ちょっぴりスレとは関係のないパロディが過ぎてしまった点に。

それを承知で投下している辺り、確信犯でいただけませんね、自分。
広い心で、軽く読んでいただければ幸い。


>>479
本来、4部構成でした。
ちょうどあそこで第2部が終わり、となっております。


上記に、本来、と付けたのは、調子に乗って書き足して、5部構成になってしまったので。


>>482
というわけで、最後のヤツは、あなたのために書きました。

485 名前:『インターネットの妖精さん、或いは天元突破式侵入術』 mailto:sage [2007/10/28(日) 15:33:12 ID:PQDDxeyu]


それからの男はといえば。

ただなにをするわけでもなく、日々をのんびりだらだら過ごしていた。


あの日、会社が夜逃げをした日、男は逃げた社長を捜した。
もちろん、電話もつながらないし、行く当ての予想もつくわけがない。
そうなれば実際男にとって必要だったのは社長ではなく、持ち去ったパソコンな訳で、そのあと主に探すのはそちらだけ。
未払いの給料も重要であったが、そんなものよりもまず、妖精さんのことが気がかりだったからだ。

中古OA引き取り業者を片っ端から確認し、その日に買い取ったパソコンを調べて回った。
数件目にしてようやく、あの日会社から持ち出されたいくつかの端末を見つけたが、なぜか男の使っていたパソコンはなかった。
比較的状態の良かったその端末はすでに売れてしまっており、当然のことながらハードディスクはフォーマットされ、新しいOSがインストールされてしまっていた。
男は無理を承知で頼み込み、そのパソコンを調べさせてもらったが、夜になっても小さなポップアップは開くこともなく、ごくふつうのパソコンでしかなかった。

ああ、妖精さんはいなくなってしまったんだな、男がようやくその事実を受け止めることができたのは、それから三月くらいたった頃だろうか。
最初の頃は、あのしたたかな妖精さんのことだから、なんかの裏技を使ってでもあのパソコンを抜け出しているに違いない、と思っていた。
そうして、どうやってかは分からないけれど男のパソコンを捜し当て、インターネットの海をすいすい泳いで訪ねてきてくれると思っていた。
うふふ、私に会えないあいだ、寂しかったでしょ?と、心の内を見透かしたように悪戯っぽく笑うだろう妖精さんの言葉に、
なぁに、静かになってちょうど良かったさ、とニヤニヤ笑って答えてやるつもりだった。

妖精さんと過ごした数日間は、男にとって、とても楽しい時間だった。
その時間が貴重なものだと深く思い知ることができるのは、今、その時間が失われてしまったからだ。
そしてその時間が楽しければ楽しかったほど、それを失った後の時間は寂しい。
男は、その寂しさに耐えることができなくて、
自分が、妖精さんを失ってしまったことを、受け入れたのだ。



そしてそのときにはっきりと自覚した。

自分が、妖精さんのことを、女の子として好きになっていたと。





さて。

このまま、二人のお話が終わってしまうのか、と言えば、もちろんそうではないわけで。

二人の別れが唐突に訪れたのと同じように、お話の続きも、唐突に始まる。






486 名前:『インターネットの妖精さん、或いは天元突破式侵入術』 mailto:sage [2007/10/28(日) 15:35:30 ID:PQDDxeyu]


男はその夜、自宅のノートパソコンを覗きながら、晩酌にと買っておいた泡盛をちびりちびりとやっていた。
お気に入りのスレを眺め、いくつかのレスをしていたところ、唐突に小さなウィンドウが開いた。

男は、瞬間、どきりと驚き、同時に期待した。

しかし、そのウィンドウはあの妖精さんが現れたポップアップではなく、彼のパソコンにインストールされていたソフトウェアからの警告だった。

『もう、だめ・・・』

そう書かれたメッセージウィンドウは、セキュリティーソフト『うぃるすバスターズ』からのものだった。
もちろん、今までそんな表示をしたことはない。当たり前のことだがごく機械的に、その役目を果たすのみだった。
となれば、いったいこの断末魔のようなメッセージはなんなのだろう。

男は、不思議なそのメッセージに、首を傾げた。

そのときだ。

「ギぃガドリルっ・ブレイクっ!!!」

突然、スピーカーを割るような少女の雄叫びが聞こえたかと思うと、パソコン画面からものすごい勢いでなにやら鋭いものが飛び出してきた。
錐にように鋭く回転するそれは、螺旋を描く円錐、つまりドリルだった。

そして画面から飛び出したそれは、パソコンから少し離れたちゃぶ台の上に着地した。
着地、そう、それは確かに、ヒトの形をしていた。
小さい身体に、その身の丈を越える巨大なドリル。



「燃える魂を込めた妖精さんドリルに、貫けないものはないっ!!!」

そう、そいつは、あの妖精さんだった。



「あ・・・」

男は。
その姿を見て、目を見張り、そしてようやく。


「あ・・・、あぶねーじゃねーかっ!!!」

そう、怒鳴りつけた。
確かに、突然画面から鋭いドリルが飛び出してきたら、危ないに決まっている。
男は、かろうじての反射神経でその直撃を逃れたが、それでも鋭い切っ先が頬をかすめてゾッとした。
もう少し男が鈍ければ、顔の真ん中に風穴があいていた。

妖精さんは、えー? 感動の再会イベントはないの?と、男の反応にいささか不満があったようだ。
そして危険を主張する男の意見を聞いたあと、それをあっさりと笑って返した。

「あはははははは、そんなの、鼻の穴がもう一つ増えるだけじゃない、気にしない気にしない♪」

気にするわい、と強く怒鳴り返した後、何でいきなりドリルなんだ、と男は妖精さんを問いつめた。


487 名前:『インターネットの妖精さん、或いは天元突破式侵入術』 mailto:sage [2007/10/28(日) 15:36:20 ID:PQDDxeyu]

「いやぁ、最初はスコップでね? ちまちまと壁を掘り進んでたのよ。
 でもねぇ、どうやらわたしのお仲間が敵に捕まっちゃったみたいでさぁ、解析されてワクチン作られちゃったのよねぇ・・・」
「まて」

男は妖精さんの言葉に、なにやら引っかかる単語を発見し、問い質そうとしたのだが妖精さん、話に夢中で切り上げる様子もない。

「それでいきなり門番が強くなるし、火の壁も頑丈になるしで、スコップ一つじゃあ間に合わなくなったわけ」

そこでこのドリルよ、と妖精さん、右腕のひじから先に付いたバカでっかいドリルを高々と掲げてみせる。
そしてその鋭い先端をうっとりと眺めながら。

「やっぱドリル最高よねぇ。ドリルを馬鹿にする奴は、きっと最終回でそのドリルに貫かれて、だから外せと言ったのだ、とかいいながら死んでいくんだわ」

とかなんとか、訳の分からないことを呟いていたのだが。
男は、妖精さんを問い質すまでもなく、先程の疑問を解決させた。



「つーかテメェ、コンピューターウィルスだったのかよっ!!」



その男のツッコミを聞いて妖精さん、舌を不二家のペコちゃんのようにぺろりと出して、てへ、と笑った。

「いやぁ、今まで隠してて、ゴメンね?」

確かに、今までの妖精さんの行いを掻い摘めば、納得である。
改変データを送信する、勝手にポップアップウィンドウを作り出す、そして重要データを消す、など。

そして妖精さんは、言い訳を始めた。
インターネットエクスプローラーに宿った妖精さん、といったのはウソだったのか?と男が問えば。

「『宿った』のはウソじゃないもん・・・」
「それは『宿った』ではなくて、『感染した』というんだっ!!」

今までどこで何してたんだ?と問えば。

「必死で火の壁(ファイヤーウォール)を突破しようと、がんばってたんだから!」

そして語る、男のパソコンにインストールされたセキュリティソフトの守護者との、2クール(6ヶ月)にわたる死闘の歴史を。

「最初は守護者に見つからないようにひっそりと、土の軟らかいところをスコップでほじほじと崩してたんだけど、それでも見つかっちゃって」

延々と。

「そしてついに、『超銀河大妖精さん』となったわたしにとどめを刺そうとした『スーパーアンチウィルスガーディアン』だけど、わたしが最後の力を振り絞って『てんげ」

もう、いい加減なところで男は妖精さんの口を指先で塞いだ。話が飛びすぎる。特定の作品に対するパロも、程々に自重しろ、と。

「あの『もう、だめ・・・』ってメッセージは、その守護者とやらの断末魔だったのか・・・」

今まで影で、男のパソコンを危険なウィルスの侵入から守ってきてくれたセキュリティソフトの守護者とやらも、この妖精さんと死闘を繰り広げ、散ってしまったようだ。
男は、今までの働きに感謝しながら黙祷する。
妖精さんも、まさしくあいつは強敵だった、と評する。強敵と書いて友と呼ぶ、などと補足することも忘れない。






488 名前:『インターネットの妖精さん、或いは天元突破式侵入術』 mailto:sage [2007/10/28(日) 15:37:10 ID:PQDDxeyu]

「まぁそーいうわけで、がんばって侵入したんだから、誉めて誉めて♪」

と、ひとンちのセキュリティをぶっ壊しておいて得意げな妖精さんに、男は、ぎらりと目を鋭く光らせ、裂帛の気合いを込めて怒鳴った。

「もーーーーーーーーーーー我慢出来ねぇ!!」

びくり、と妖精さん。
久方ぶりの再会に、距離の取り方を間違えたのだろうか、とか。
自分がいないあいだ、この男が変わってしまったのか? とか。
ウィルスである正体を隠していたことで、信頼を失ってしまったのか、とか。
陽気な表情の裏に隠した、小さな不安の火種がちろり、と燻り始めた。

実際のところ、妖精さんは、不安だったのだ。


男は、そんな表情に影が差し始めた妖精さんに、勢いを落とさないままで。

「今まで我慢に我慢を重ねて我慢してたけど、もーーーーーー我慢出来ねぇ!!!」

男は、そう叫ぶと、妖精さんを強く睨み付けて、言った。


「おまえが、好きなんだ」


いったいどんな罵詈雑言が飛び出してくるのかと身を固くしていた妖精さん、あまりにも突然な告白に、へ、と間抜けな声を漏らした。

「ずっと、ずっと待ってたんだ。・・・・・・おかえり」

さっきまでの勢いを落ち着けて、静かに、男は言った。



しばしの間のあと。

妖精さんは、ずるい、と呟いた。

ヒトと妖精(実際はコンピュータウィルスなのだが)は、いわば種族の違う二人。
トモダチにはなれても、恋人にはなれない。
トモダチよりも先に進んでしまえば、叶えられない様々な想いに、二人は苦しむに違いない。
だから、この男と恋人同士になってはいけない、と思ってきたのだ。
たとえ自分がこの男を好きになっても、この男は自分を好きになってはいけない、と。

だから、その距離の取り方には、十分気をつけてきたつもりだった。
もしも告白されたとしても、冷静に説得して諦めさせる自信があった。

しかし、そんな風にフェイントつけて告白されてしまったら、心の準備が間に合わない。

だから、ずるい、と言った。

「人間の恋人、できなくなるよ?」
「・・・・・・もともと、できるとは思えねぇ・・・」

「わたし、ウィルスなんだから、絶対あなたに迷惑かけちゃうよ?」
「その迷惑がまた、楽しい」

「わたし、小さいから、セックスできないよ?」
「それでも、いっしょに気持ちよくなれるはずだ」


489 名前:『インターネットの妖精さん、或いは天元突破式侵入術』 mailto:sage [2007/10/28(日) 15:38:10 ID:PQDDxeyu]

妖精さんは不覚にも、泣いてしまいそうだった。
男が言ってくれる言葉も嬉しいが、何より、男が真剣なのが嬉しかったからだ。
だからせめて、男に涙を見られないように妖精さん、ぴょんと男に飛びついて、その首もとに顔を埋めるようにしてしがみついた。

「でも、そんなエッチばっかりしてたら、変人になっちゃうよ?」
「妖精にマジ惚れする男なんて、変人に決まってるだろ」

そして妖精さん、とうとう堪えきれずに涙をこぼし、小さく呟いた。

「よかった・・・わたし、好きになるヒト、まちがえてなかった・・・」




そうして、妖精さんに差し出された男の掌に促され、そこに乗り移った彼女は、
導かれるまま男の顔に身を寄せて、

ずいぶんとスケール違いなキスをした。




%%%%%%%%%%%%%%%%%%



唐突に。

「ね、エッチしよ?」

と、キスの興奮にうっとりと表情を蕩けさせた妖精さんが言った。
男も、もちろんそういうことに反対する理由もないわけで。

「よし、じゃあオレが気持ちよくしてやるよ」

男は、セックスができないかわりに、自分が妖精さんの身体を可愛がってやろう、と思ったのだが、

「わたしも、あなたのことを気持ちよくしてあげたい」

妖精さんがそういうものだから、二人がいっしょに、お互いに気持ちよくなれるようにしよう、ということになった。








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