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うら若き女性が改造されるシーン



1 名前:BeeFreak [04/10/26 01:29:23 ID:K4X2E2bn]
容量宣言を受けたので新スレです。

前スレ【女子高校生位の子が改造されるシーン】
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1043884297/

関連サイト
【女性改造人間物語】 319氏、325氏によるSSが保管されているまとめサイト。
remodeledwoman.myfws.com/
【蜂女の館】 508(BeeFreak)による、蜂女改造SSの保管庫。
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/

247 名前:BeeF (BeeFreak 改め) mailto:sage [04/11/21 00:52:35 ID:cRIe5pGj]
どうも。BeeFreakあらため、BeeFです。色々あって、名前を縮めることになってしまい
ました。これからは“牛肉”とでも呼んで下さい。

>>前スレ325 様
いよいよ新作が始まりましたね。まだまだ謎に満ちたストーリーですが、期待しています。
さて、このSSもまとめサイト
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/other_ss/
に保管させていただきますが、できればSSのタイトルをお教えいただけませんでしょう
か? とりあえず「ディストピア」としておりますが、ご希望に沿って変えさせていただき
ます。また以前の「ファイターF」も、「アイヴィーサイバー」にタイトル変更してあり
ますが、こちらももっと適当なタイトルがあれば、お教え下さい。お願いします。


さて、またも思いつきでSSを書いてしまいました。
と言っても、前回予告してあった「盗まれた街」風ストーリーではありません。
最初は前スレ325さんの“デスパーシティ”風設定に感化されて、プリズナーNo.6風の
話にするはずだったんですが、構想段階でおかしくなってしまい、最終的に「NHK少年
ドラマシリーズ」風の話になってしまいました。
いっそのこと、と開き直って、登場人物の名前は全部パロディにしてあります。
前半がもろ少年ドラマシリーズ(というより中学生日記?)風のかったるい展開なので退
屈される方もおられるかも知れませんが、終盤の鬼畜な展開への伏線ですので、しばらく
我慢いただければと思います。
今回、サイバーヴィルによって蜂女に改造されてしまうのは、香川美紗ちゃん16歳です。
それでは。しばらくお付き合い下さい。

248 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:54:06 ID:cRIe5pGj]
「おはよッ!」「おはよう!」
秋晴れの穏やかな朝。私立英光学園に通う生徒たちでにぎわうこの通りの中、一人の少女
が腕時計をにらみながら誰かを待っている。
「…おはよ、のっぴい! ゴメン、ゴメン…」
「遅いぞッ、ミーシャ! まったくいつもいつもお寝坊さんなんだから!」
親友の落合法子が、肩で大きく息をする香川美紗の背中を、カバンで軽く小突いた。
香川美紗は16歳、高校1年生。笑顔が印象的な、学園きっての輝くばかりの美少女だ。
「昨夜も遅くまで、台本の練習をしてたのよ。もう、なかなか憶えらんなくて…」
「ミーシャ、主役だもんね。まだ1年なのに大変だよ。どう、何とかなりそう?」
「わかんない。あと6日しかないけど、頑張るっきゃないわ。」
親指を立ててガッツポーズをする美紗。親友の法子も笑いながらサムズアップを返す。
「…あれえ? ここ、こんな看板、前からあったっけ?」
古ぼけた洋館の前で、美紗が不意に立ち止まった。
枯れかけた蔦がからまった巨大な門の傍らに、『富良戸ディメンショナル・パワー研究所』
と書かれた真新しい看板が掛けられている。
「ここ…ずいぶん長い間、空き家だったはずだよね?」
「うん。家族がみんな病死して、買い手がなかなか付かないって聞いてたけど。研究所っ
てことは、博士か何かが引っ越してきたのかな?」
「…何だかちょっと、いかがわしい名前だよね。」
美紗が咲き誇る花のような笑みを浮かべた。「わたしたちには関係ないね。行こ行こ!」

249 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:55:05 ID:cRIe5pGj]
その日の夕刻のこと。
部活の練習で遅くなった美紗が、家路を目指して歩いていた。英語研究会に所属している
美紗たちは、6日後に控えた文化祭で披露する英語劇「ロミオとジュリエット」の猛特訓
に励んでいるところなのだ。
美紗は1年であったが、その容姿を見込まれて、ヒロイン・ジュリエット役に抜擢された。
ロミオ役は3年の楠本真理子。目下英語研究会は女子ばかりの所帯であり、文化祭を機に
男子部員の新規獲得を目指して、美紗に白羽の矢が立ったというわけだ。ただでさえ難し
いシェイクスピア英語。ましてやまだ1年の美紗にとっては、台詞を覚えるだけで一苦労
なのだ。
「ええと、My only love sprung from my only hate! Too early seen unknown, and
known too late! (たった一つのわたしの愛が、ただ一つの憎しみから生まれるなんて!
知らぬままにお顔を見るのは早すぎて、知った時にはもう遅い。)」
ブツブツと台詞を呟きながら、すっかり暗くなった道を帰宅する美紗。台詞を暗唱するの
に夢中で、その目には何も映ってはいない。
洋館の脇を通り過ぎ、T字路に差しかかった時。彼女は右側から迫ってくる車に気付くの
が遅れた。
キキーッ!! 車が急ブレーキを踏んだが間に合わない。ライトの光に目がくらんで、美紗の身
体は思わず硬直した。「きゃああッ!!」
その時、美紗の身体を抱えて風のように駆け抜け、飛び上がったものがあった。車は激しく
右へ左へと揺れながら、やがて遠ざかっていった。

250 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:56:06 ID:cRIe5pGj]
美紗は思わず安堵の息を漏らした。そして、自分の足元を見て再び叫んだ。「キャアッ!」
美紗たちが立っていたのは、身長ほどもあるブロック塀の上だった。思わずふらつく美紗を、
彼女を助けた人影があやうく支えた。美紗は、自分を助けた者の姿を見て、驚いた。
それは、美紗よりも少し背の高い、彼女と同じくらいの年頃の少女だった。きりりとした
眉、長いつややかな髪。顔立ちのはっきりした目のさめるような美少女だ。
少女は、美紗の腰を再び抱えると言った。
「もう一度飛ぶわ。気をつけて。」
ふわり、と宙を舞って地上に着地した二人。少女は美紗を離すと、そのままスタスタと歩
んでゆく。少女は美紗と同じ、英光学園の制服を着ていた。
「ねえ、待って! …あ、ありがとう。」
美紗の声に振り向き、一瞬微笑んだ少女は、再びきびすを返して夜の闇の中に消えていっ
た。
《不思議な子…学校じゃ見たことがない顔だったわ。それにしても、わたしを抱えたまま
こんな高いところまでジャンプするなんて……とても、人間技とは思えないわ……》


翌日、英語研究会の顧問でもある、1年3組担任の大谷みどり先生が、転校生を紹介した。
「このたびカナダから帰国しました、宮野礼莉です。どうかよろしく。」
とびきりの美少女の出現に、クラスは騒然となった。そして美紗も、転校生の顔を見て思
わず息を飲んだ。彼女こそ、昨夜美紗を助けた、あの身軽な少女だったからだ。
「はいはい、騒がない騒がない。それじゃ宮野さん、香川さんの後ろの席があいているか
ら、そっちに座ってくれる?」
少女は美紗の傍らを通りすぎるまぎわ、美紗に向かってニッコリと微笑んだ。

251 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:57:12 ID:cRIe5pGj]
「あ、あの、宮野さん。」
「レリ、でいいわ。」
「あ、じゃあ、レリさん。昨夜は…どうも、どうもありがとう!」
「えっ、なになに!? ミーシャ、もうこの子と知り合いなの?」
休み時間。少女に話しかけた美紗を、級友たちが一斉に取り巻いた。
「…う、うん。昨夜、ちょっとね。」
レリが、美紗に向かって問いかけた。
「あなたのお名前は、何ていうのかしら?」
「あ、美紗よ。香川美紗。」
「美紗さん、わたしはまだこの国についてわからないことがいっぱいなの。教えて下さる?」
「あ、わたしでよければ、喜んで。」美紗は、思わずペコリと頭を下げた。
級友たちがどよめいた。学園一の美少女と、それを上回る転校生の美少女のコンビだ。注
目を集めないわけがない。
だが級友たちはその後で、転校生・宮野レリにもっともっと驚かされることになった。3
時間目の世界史Bの時間。アメリカ独立宣言の全文を日本語でスラスラと暗唱してみせた
レリは、驚いた教師に乞われるまま、63か条からなるイギリスの大憲章をも完璧に暗唱し
た。
「すごい! すごいね、レリさん!」
「…まあね、ここに来る前に、この世界のことは勉強してきたから。」
“この世界”という言い回しに、美紗はちょっと引っかかった。帰国子女だから、日本の
ことを指しているのかな? でもイギリスもアメリカも日本じゃないよ。
そして4時間目、体育の時間。体操服を持ってなかったので、レリは体操部に借りた予備
のレオタードを着て現れた。ふくよかな胸に蜂のようにくびれたウェスト、抜群のプロポ
ーション。校庭の反対側でハンドボールをしていた男子たちの手が止まり、がぜん彼女に
皆の視線が集中した。
高鉄棒に飛びついたレリは、いきなり大回転を披露してみせた。しかも、ムーンサルトの
着地付き。
「すっごォーい! 宮野さん! 体操やってたの!?」
「うん。少しね…」あれだけ身体を動かしても、レリは汗ひとつかいていない。
成績優秀、スポーツ万能。レリはまさに完璧な美少女だった。

252 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:58:05 ID:cRIe5pGj]
そして昼休み、美紗と親友の法子は、レリを食事の席に誘った。
レリは弁当を持っていなかったので、購買部ではちみつクッキーを買ってきた。
「え? それだけでいいの?」「うん。蜂蜜があればいいの。」
クッキーの袋を開けようとしたレリの手が、ふと止まった。手が細かく震えたかと思うと、
いきなり袋を放り出した。
「どうしたの!? レリさん!」
「…これよ。ここを読んで。」レリの声は震えている。
袋を手に取った法子が、レリの指差した箇所に書かれた文章を読んだ。
「え…なになに。この商品には、遺伝子組み替えを行った小麦粉を使用しています。…こ
れが何だって言うの?」
「これが何、って一体どういうこと!? この世界でも、遺伝子操作が普通に行われているっ
て言うの!?」
レリの声は、怒ったような調子になった。
「そうよ。もちろん反対している人もいるけれど、これからはこういう作物が増えてくる
だろうって、生物の先生も言ってたわ。」
「…恐ろしい…何て、恐ろしい…」レリは気分が悪くなったかのようにうずくまった。
「大丈夫? レリさん。気分が悪いのなら、保健室に行こうか?」
レリは気を持ち直し、心配そうに顔を覗き込んでいる美紗に向かって微笑んだ。
「…いえ、もう大丈夫よ。心配いらないわ。ちょっとショックだっただけ。」
だが6時間目の理科総合Bの授業で、再びショッキングな出来事が起こった。遺伝子の働
きについての説明で、教師が“わざと遺伝子を欠損させたマウス”の話におよんだ時、い
きなりレリが立ち上がって抗議を始めたのだ。
「先生! 人間が自分たちの都合で生き物の遺伝子を操作するなんて、自然の摂理に反した
ことだと思います!」
理科の教師は困った様子でレリを見つめた。「しかしね君。こういう実験動物たちの尊い
犠牲があってこそ、我々の今の生活は成り立っているんじゃないか。まさか君は、医学や
生命科学の発展を否定するわけじゃないだろう?」
レリは悔しそうに着席し、授業の間ずっと指を組んで考え込んでいた。

253 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:59:05 ID:cRIe5pGj]
放課後になった。美紗は不機嫌そうなレリの気分を変えようと、部活に彼女を誘うことに
した。
「ねえレリさん。わたしたち英語研究会で英語劇やってるんだけど、よかったら遊びに来
ない?」
レリは力なく笑って言った。「ありがとう美紗さん。でも今日は初日だから、早く帰るわ。」
部室に向かって移動する美紗と法子は、レリが校庭で2人の男子生徒と落ち合い、校門を
出てゆこうとするのを見た。
「え? あれは誰なの? レリさんと一緒の二人。」
「なんだミーシャ、知らなかったの? 今日宮野さんと一緒に転校してきた人たちよ。1組
の竹下健一くんと、2組の山沢六郎くん。お父さんの仕事が一緒で、カナダから一緒に帰
国したんだって。二人とも成績優秀、スポーツ万能、しかもそろって美形だというんで、
どのクラスも今日一日大騒ぎだったんだよ。」
「…ふうん。」美紗は遠目で二人の姿を見た。竹下健一は線の細い、クールな印象の少年。
山沢六郎は眉の太い、精悍な少年だった。確かに法子の言うとおり、二人ともたいした美
形だ。
「ねえミーシャ。カナダに行ったら、みんなあんなふうになれるのかな?」
「のっぴいにはムリよ。日本を離れたら大好きな琢哉くんが生放送で見れなくなるって言
って、家族みんなが海外旅行に行ったのに、ひとり留守番してたのは一体誰だったかなぁ?」
美紗と法子はキャラキャラと明るく笑い、部室に入っていった。

254 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:00:05 ID:cRIe5pGj]
翌日、レリが美紗たちの部活を見たいと言い出した。美紗たちは喜んでレリを部室に招待
した。
文化祭まであと4日。英語劇披露への最後の大詰めに向けて、部室の中はてんやわんやだ
った。
「シェイクスピアをするわけ?」
「そう。といっても30分のダイジェストだけどね。でも、台詞はオリジナルをそのまま使
うのよ。」
主役の美紗は、さっそくロミオ役の楠本真理子とともに、台詞合わせを始めた。法子は台
詞の少ないロミオの母親役なので、もっぱら衣裳縫いを担当している。
「Lady, by yonder blessed moon I swear That tips with silver all these fruit-
tree tops-(ジュリエット、ぼくは誓おう。見渡すかぎり木々の梢を銀色に染める、あの
月の光にかけて)」
「O, swear not by the moon, the inconstant moon, That monthly changes in her
circled orb, Lest that thy love prove likewise variable.(いけないわ、月に誓うな
んて。ひと月ごとに形を変えてゆく不実な月、あんなふうにあなたの愛が変わっては大変
だもの。)」
美紗の演技も、だんだんさまになってきた。レリは微笑みながら、そんな美紗の演技をじ
っと眺めていた。
5時。校門が閉まる時刻ギリギリに、美紗たちは学校を離れた。
「ねえ、レリさんのおうちって、どこにあるの?」
「わたし? わたしの家は、ここよ。」
そう言ってレリが指差したのは、なんとあの、富良戸研究所という看板を掲げた古い洋館
だった。
「父と母がまだ帰国できないので、ひと足先に伯父の家にやっかいになってるのよ。」
そう言ってレリはあっけに取られる美紗たちを尻目に、錆びた巨大な門を開け、扉の中へ
と消えていった。

255 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:01:06 ID:cRIe5pGj]
それからの数日は、比較的平穏に過ぎていった。レリは時々物思いに沈み込んで美紗たち
を戸惑わせることもあったが、表面的には美紗たちと楽しい毎日を過ごしていた。

そして待ちに待った文化祭当日。美紗たちが緊張して出番を待つ楽屋裏で、ひとつのアク
シデントが起こった。
ロミオ役の3年生、楠本真理子が急に腹痛に襲われたのだ。どうやら食あたりらしい。
「ゴメン…みんな…ゴメン…」真理子は青い顔で、医務室に運ばれていった。
肝心の主役が欠けてしまい、残された部員たちは途方に暮れてしまった。顧問の大谷先生
が心配して駆けつけた。
「みんな、気を落とさないで。こうなったらヘタでも何でもいいわ。この中に、ロミオの
台詞を全部憶えている人はいない?」
部員たちは顔を見合わせた。さすがに一番台詞の多いロミオ役をこなせる者はいない。
その時、傍らで見守っていたレリが手を挙げた。
「先生。わたし、できます。英語は母国語みたいなものですから。」
大谷先生は、思わずレリに駆け寄って手を握った。「ホント? 宮野さん!?」
レリは、ロミオの台詞の幾つかをそらんじてみせた。
「ふむ! いけるわ、これなら! 宮野さん、あなたはホントに救世主よ! さあみんな、早
く衣裳を用意して!」
本番の幕が開いた。観客は、代役に立った絶世の美少女を見てどぎもを抜かれた。
学園きっての美少女二人の共演だ。噂を聞いた生徒たちが、続々と講堂に詰めかけた。
レリの演技は完璧だった。台詞だけでなく、演技、立ち居振る舞いのひとつひとつに強い
存在感がこもっていた。



256 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:02:22 ID:cRIe5pGj]
「Romeo, doff thy name, And for that name which is no part of thee Take all
myself.(ロミオさま、そのお名前をお捨てになって。そしてあなたの血肉でもないその
お名前の代わりに、わたしのすべてをもらって下さい。)」
「I take thee at thy word: Call me but love, and I'll be new baptized; Henceforth
I never will be Romeo. (お言葉通り、あなたを頂戴いたしましょう。ただ一言、ぼくを
恋人と呼んで下さい。そうすれば新しく洗礼を受けたかのように、ぼくはもうロミオでは
なくなります。)」
ジュリエットの部屋での逢い引き場面。レリはこう言うと、ジュリエット役の美紗の唇を
強引に奪い、ベッドに押し倒した。
「キャー♥!!」観客は思わず立ち上がり、会場は騒然となった。
美紗も突然の出来事に驚いた。何しろそれは、彼女にとってのファースト・キスだったか
らだ。だが、本当のところは彼女自身もまんざらではなかった。「ま、いいか…」
美紗はレリに身を預け、彼女のなすがままに従った。心臓はドキドキと高鳴ったが、この
キスで逆に、舞台に臨んだ緊張の糸が解けてしまったらしい。その後の美紗の演技はリラ
ックスしたものとなり、美紗本来の持ち味が発揮できるようになった。
英語研究会による英語劇「ロミオとジュリエット」は、万雷の拍手の中、幕を降ろした。
「わーん。ミーシャ!」感激のあまり泣きながら法子が抱きついてきた。
「おめでとう!」「よかったよ、レリ!」
二人の男子生徒が、舞台裏でレリに駆け寄り、さっき華道部から買った花を手渡した。転
校生の竹下健一と、山沢六郎の二人だ。
「ケン! ロック!」レリも顔をほころばせて、二人に抱きついた。
「紹介するわ、美紗。こちらはケンとロック。わたしの仲間よ。こちらは美紗。わたしの
大切なお友達。」
「はじめまして。」「よろしく、美紗さん。」健一と六郎は笑いながら美紗に会釈した。
「素晴らしかったわ! もう最高よ、あなたたち!!」
大谷先生が大喜びで駆けつけ、美紗とレリの手を握りブンブンと激しく振った。
「キスはちょっと余計だったけど、ウケてたから結果オーライね。さあ、これでもう、わ
がクラブも安泰よ! 男子部員の獲得間違い無し!」
「どっちかと言うと、女子にウケてましたけどね。」法子がさらりと返した。

257 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:03:15 ID:cRIe5pGj]
文化祭が終わり、ジュースでのささやかな祝賀会の後、美紗たちは連れ立って帰宅した。
「それにしても、びっくりしたわ。まさかキスされるなんて、思ってもみなかった。」
「…イヤ…だった?」
「…ううん。そんなことない。怒ってなんかいないよ。ただ、いきなりだったから…」
「ヨッヨッ、ご両人?! お邪魔虫はここで消えるね?!」
法子がそうはやし立てて、二人を残して走り去っていった。後に残された美紗の顔は真っ
赤だ。レリの顔をまともに見ることができない。
「ねえ、美紗?」「…え、なに?」「ほんとに怒ってない?」
「ううん、全然。結果的に劇は大成功だったんだし、わたしも、まあ、レリだったら、い
いかな…なんて。」
「嬉しい!! ねえ美紗? わたしたち、これからもずっと親友よね?」
「ええ。ずっと。」「…約束よ。」「うん。」
二人は、レリが住んでいるという研究所の前に差しかかった。
「ねえ、美紗。一度、うちに寄ってかない?」
美紗は一瞬、躊躇した。どうしてだかわからない。この古い洋館のたたずまいに、ちょっ
と馴染めないものを感じたからかも知れない。
「うん。いいよ。じゃあ、今度はわたしの家にも招待するからね。」
美紗はレリにうながされるまま、洋館の門をくぐった。塀の中はあまり手入れは行き届い
ていない庭園で、枯れかけた植物が繁茂していた。
その時。前方を黒い影のようなものが素早く横切るのが見えた。
「!」
レリは顔色を変え、美紗にこう言い残して走り出した。「そこで動かずに待ってて!」
あっけにとられる美紗。レリの姿は影を追って、建物の向こうに消えた。美紗はその場に
突っ立ったまま、しばらく庭園を眺めていた。「…いったい何だったのかしら?」

258 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:04:51 ID:SP5hwYbw]
突然、美紗の口が、後ろから黒い手で覆われた。「…ん! ん!」
何者かに腰を掴まれ引き寄せられた。美紗は必死に首を振り、相手を振りほどこうとした
が、すさまじい力で押さえつけられているため、身動きが取れない。
目を開けた美紗は、自分の顔のかたわらに、自分を拘束している者の姿を認めた。
「…!!」
それは、人間ではなかった。真っ黒な頭部には、巨大な複眼と、触角、それにギチギチと
音を立てる無気味な大顎。巨大な蟻のような生き物が、美紗の身体を押さえつけていたの
だ。
あまりの恐怖とおぞましさに、美紗は声にならない悲鳴を上げた。
《なんで!? どうして!? どうしてこんな化け物がいるの!?》
蟻のような怪物は美紗を捉えたまま、後方に引きずってゆく。いくら抵抗しても、振り払
うことができない。美紗は恐怖と絶望で目の前が真っ暗になった。
その時だった。
「美紗!! じっとしてて!!」
レリの声が聞こえた。そして美紗のかたわらを、空を飛ぶ何物かが猛スピードで駆け抜け
た。
ブス。ブス。鈍い音が響き、美紗を掴んでいる怪物の力がゆるんだ。美紗はあわてて怪物
の腕を振り払い、その場を逃れた。
「グォ…アガガガ…グヘッ!」
怪物は頭部を抱えて苦しみ始めたかと思うと、身体からブクブクと黒い泡を吹き出し、や
がてグズグズに崩れて溶けていった。
「あれは…ANTタイプ。まさか、もう見つかっただなんて…」
大きくあえぎながら、美紗は声のする方を振り返った。レリだった。レリが、地表から高
く突き出た門灯の上に、ふわりと着地しようとしていた。そして、レリの身体を見た美紗
は、思わず息を飲んだ。

259 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:06:06 ID:SP5hwYbw]
レリの背中には、制服を突き破って、輝くような4枚の羽根が生えていた。両の胸にあた
る部分も、制服に破けたような穴があいていた。
レリは、美紗の視線に気がつくと、悲しそうな顔をした。そして、羽根を広げて美紗の近
くにふわりと飛び降りた。
「美紗、怪我はなかった?」
「…う、うん。」
美紗の頭の中はパニックになっていた。黒い無気味な怪物、羽根を広げたレリ。突然色々
なことが起こったため、美紗には何がなんだか、わけがわからなくなっていた。
「…とうとう、見られちゃったね。」レリが悲しそうにつぶやいた。
「…レリ、あなたその身体、いったい…?」
「美紗。」レリは美紗の瞳を、真顔で覗き込んだ。
「わたしたち、親友よね。いつまでも、何があっても、親友でいてくれるよね?」
美紗は激しく動揺していたが、レリの悲しそうな瞳を見ていると、たまらなくなった。彼
女の口はこう答えていた。
「…ええ。親友よ。何があっても。」
レリは、美紗の手を取って、涙を流した。
「ありがとう、美紗。ありがとう。」
そしてレリは、美紗の手を離し、彼女から少し離れた位置に立った。
「美紗。あなたに今から、わたしの本当の姿を見せるわ。…本当は、あなたにだけは、見
られたくなかったけど…」
そう言ってレリは、いきなり制服を脱ぎ始めた。背中の羽根をうまくたたみながらセーラ
ー服の上衣を脱ぎ、スカートを脱ぎ捨てた。レリは、下着を着けていなかった。ふくよか
な胸が、そして陶器のような肌があらわになった。美紗は奇妙なことに気がついた。レリ
の身体には、脇の下にも、股間にも、毛がまったく生えていなかったのだ。
レリは、腕を胸の前でクロスした後、高く掲げてこう叫んだ。
「サイバーッ! 変・身!!」
とたんに、レリの身体がまばゆい光で包まれた。思わず目をそらした美紗が再び目を開け
た時、目の前のレリの姿は、大きく変貌していた。

260 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:07:06 ID:SP5hwYbw]
それは、人間の身体ではなかった。全身が濃いブルーの、なめし革のような皮膚で覆われ、
ウェストの周りだけが体節状に変色していた。手首は白い長手袋状、脚は白いハイヒール
のロングヴーツ状に変化していた。そしてふくよかな両の乳房は、蜂の腹部を思わせる黄
色と黒の同心円状の模様で覆われていた。その乳房は、まるで別の生き物でもあるかのご
とく、絶えず艶めかしく蠕動していた。頭部はレリの愛くるしい顔立ちのままだったが、
頭部の両側面には巨大な昆虫の複眼が現れ、額からは二本の真っ赤な触角が生えていた。
その姿は、巨大な蜂を連想させた。
「美紗。これが、わたしの本当の姿。わたしは人間ではないの。蜂の能力を持った改造人
間BEEタイプ。蜂女《レリbee0158》なの。あいつらに捕まって、無理やり改造されたの
よ。」
美紗は驚きのあまり、再び頭の中が混乱していた。
「…え? …え? …改造人間って? 蜂女って? どういうこと??」
「美紗。わたしがどんな姿でも、親友でいてくれるよね?」
レリは、再び悲しげな瞳で美紗を見つめた。
「…え、ええ。どんな姿でも、レリは、レリはレリだもん!」
「ありがとう、美紗。それじゃあ、あなたに全て話すわ。わたしたちのこと。わたしたち
の世界のことを。」
「え…わたしたちの“世界”って?」
「さあ、こっちに来て。」蜂女の姿をしたレリは、美紗を館の中へと手招きした。

261 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:08:05 ID:SP5hwYbw]
洋館の中の応接室らしき部屋に通された美紗は、どこかに報告に行ったらしいレリが帰っ
てくるのを待った。アンティークな趣味の良い調度で飾られた、感じの良い部屋であった。
蜂女の姿のレリが現れた。その後ろから、白くなりかけた長い髪を後ろで束ねた、痩せた
初老の紳士が現れた。陰気な雰囲気の男だったが、どうやら悪い人間ではなさそうだ。男
の後ろからは、レリと一緒に転校してきた竹下健一と山沢六郎の二人が入って来た。
初老の紳士は、ソファに腰かけた美紗の真正面にある椅子に腰をおろした。レリと、2人
の少年はその両側に立って控えた。
「美紗。紹介するわ。こちらがわたしたちのリーダー、ブラド博士。向こうにいるのはあ
なたも知ってるでしょう? わたしの仲間、《ケンcml4346》と《ロックscr7915》。二
人ともわたしと同じ、改造人間なの。」
「え…あの、改造人間って、いったい…?」
初老の紳士は、しゃがれた声で美紗に話しかけた。
「お嬢さん、儂らは実は、この世界の人間ではない。サイバーヴィルという世界からこの
世界に逃げて来た、逃亡者なんじゃよ。」
「…サイバー…ヴィル?」
「あなたは、平行世界(パラレルワールド)というものを、知っておいでかな? 無限に拡が
る時間軸の、今この瞬間の世界の隣に、1秒後の世界、2秒後の世界、というふうに少し
ずつ違う時間の世界が存在していると仮定してごらん? 1秒後の世界は、今この瞬間の世
界と、ほとんど変わりがないはずじゃ。だが1時間後の世界、1日後の世界、1年後の世
界となると、この瞬間の世界とは次第に大きくかけ離れてゆくじゃろう。それと同じよう
に、この3次元空間の中には、無数の世界が平行して存在しておる。もちろんすぐ隣にあ
る世界は、今あなたがいるこの世界と、たいして変わりはないじゃろて。だが10個離れた
世界、100個離れた世界、1万個離れた世界になると、この世界とは似ても似つかないも
のになっているはずじゃ。その中には、第二次世界大戦で日本が勝った世界もある。ナポ
レオンがワーテルローで負けなかった世界もある。イエス・キリストが救世主にならず、
ただの大工の息子で終わった世界もあるじゃろう。儂らは、そうしたパラレルワールドの
ひとつ、サイバーヴィルと呼ばれる世界からこの世界にやって来たんじゃ。」

262 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:09:05 ID:SP5hwYbw]
「サイバーヴィルは、少数の改造人間が、大多数の普通の人間を家畜のように支配する、
恐ろしい世界なんだ。」山沢六郎が吐き捨てるように言った。
「やつらは元々は人間なんだが、人の心は持っていない。狂ったケダモノさ。遺伝子操作
によって様々な生物の能力を取り入れ、その力で、普通の人間たちを虫ケラのように扱っ
ているんだ。」
「…待って!」美紗は混乱して叫んだ。「でも、あなたたちも、改造人間なんでしょう?」
「そうじゃ。」ブラド博士が答えた。「だが儂らは、人の心をまだ捨ててはいない。いい
かね、改造人間は普通の人間よりもずっと永い寿命を持っているが、不死身ではない。し
かも、遺伝子を操作しているので、子孫を残すこともできない。だから連中は、普通の人
間を改造して、仲間を増やしているんじゃ。サイバーヴィルでは、16歳になった人間は集
められて、頭脳・体力・容姿等に優れた者がコンピュータに選別され、改造手術を施され
て連中の仲間入りをするわけなんじゃ。」
「わたしも、一か月前に選ばれて改造されたの。」レリが怒りに満ちた声で叫んだ。「パ
パやママは、必死にわたしをかくまったわ。あいつらに見つからないよう、逃げて逃げて
逃げまくった。でも、見つかって手術台に運ばれたの。そして…こんな身体にされてしま
った。わたし…この身体が、大ッキライ!!」
ああそうか。美紗は合点がいった。だからレリは、遺伝子操作や生体実験に対して、あん
なにもナーバスだったんだ。

263 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:10:05 ID:SP5hwYbw]
「あいつらは、蜂女に改造されたわたしを洗脳して、あいつらに逆らったパパやママを殺
すよう命じたわ。わたしは何のためらいもなく、この胸の毒針を、パパとママに打ち込ん
だ。パパとママは、わたしの目の前で、わたしの名を叫びながら…溶けてしまったのよ!!」
レリは、顔を覆って激しく泣き始めた。ケンがレリの肩を抱きしめ、しきりに慰めている。
ブラド博士が、後を続けた。
「儂は、苦しむ人々をこんな世界から、救いたいと思った。儂は科学者として優遇されて
おったから、ある程度自由に動ける立場にあった。そこで連中に気付かれないよう、彼ら
若い改造人間を何人か、洗脳を解いて正気に戻し、密かにレジスタンスを組織したんじゃ。」
「博士は本当は、すべての改造人間を正気に戻したいと考えていたんだ。でも、俺たちの
ように改造されてから3日以内の者でなければ、正気には戻らなかった。かと言って正面
から普通の人間が革命を挑んでも、力の差がありすぎて歯がたたない。だから博士は、普
通の人間をこっそりと、他の平行世界に大量に逃亡させようと考えたんだ。」
ブラド博士は頷いた。「儂らレジスタンスの科学者たちは、超次元貫通理論を利用したワ
ープゲートを開発し、パラレルワールドのうち、サイバーヴィルの支配が届いていない世
界に向けてトンネルを築いたんじゃ。一度に大量に脱出させることはできんので、一回に
つき二千名。今までに既に三回、別の世界へのエクソダスを成功させてきた。この世界は、
4回目の挑戦なんじゃ。」
「…ええと、それはつまり…」美紗が、頭を整理しながら言った。「あなたたちはこの世
界に、サイバーヴィルという世界から二千人もの人間を脱走させようと考えているわけね。」
「その通りじゃ。」ブラド博士は、美紗の目を真顔でじっと見つめた。

264 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:12:04 ID:EIQkKNpe]
「お嬢さん。あなたに折り入って頼みがある。どうか彼らを、手伝ってやってはくれんだ
ろうか。我々はこの世界がどういうところなのか、よく知らぬ。彼ら3人にはこの世界の
百科全書をまるごと暗記させてあるので、歴史的な知識はあるんじゃが、この世界の一般
的な常識というのがまだまだ身についておらん。ましてや、逃亡してくる二千人の普通の
人間たちは、この世界ではまるで赤子同然じゃ。この世界で無用なトラブルを起こしては、
全ての努力が水の泡になってしまう。そこで彼ら三人には、エクソダスに先立ってこの世
界の調査を行い、脱出者たちがこの世界に適応できる最善の手段を見つけるよう、指示を
出してあるんじゃ。お嬢さん、どうか彼らに手を貸して、この世界のことを色々教えてや
ってはもらえんだろうか。」
「俺たちからもお願いします。香川さん!」
「美紗。わたしからもお願い。どうか力になって!」
真剣な4人のまなざしに取り巻かれて、美紗は戸惑ったが、やがてはっきりと答えた。
「ええ、喜んで。あなたたちの立派な行為に、わたしも全力で協力させていただきます!」
レリが、美紗に抱きついてきた。
「美紗! 美紗! ありがとう…」

ケンが不安そうに、ブラド博士に囁いた。
「ところで、さっきレリが倒したっていう、ANTタイプ改造人間なんですが…」
「うむ。おそらく哨戒中に、偶然ゲートに入り込んだんだろう。ANTタイプは遠隔通信能
力を持っておらんから、こちらの計画がバレたとは考えにくいが、念のため警戒しておい
た方がよさそうじゃな。よし! 儂はひとまず、レジスタンス本部に戻る。エクソダスの決
行は2週間後。それまでに君たちも、準備を整えておいてくれたまえ!」

265 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:13:05 ID:EIQkKNpe]
それから、美紗は毎日放課後になると富良戸研究所で、レリたちと行動を共にするように
なった。脱出してきた人々に配るため、この世界の常識、即ち文字や通貨や交通ルール、
社会の仕組みなどをわかりやすくまとめる作業を、毎日遅くまで行った。親友の法子には
「文化祭が終わったら途端によそよそしくなるなんて、どうかしてるよ!」と怒られたが、
気にしなかった。この作業は単純に正義感から行っているというより、美紗にとっては、
社会の中での自分の立ち位置を確認するような、大切な作業だと思われたからだ。
一般常識を文字にまとめるのと平行して、脱出してきた人々をどこへどう逃がすかについ
ても、4人は熱い議論を闘わせた。というより、レリたち3人が出す途方も無いアイディ
アを、美紗がひとつひとつチェックし、添削していったといった方が良いだろう。一番の
問題は、二千人もの人間をどこにどう収容するか、ということであった。
「やはり都会よりも田舎の方が、目立たないと思うの。いったん田舎に逃れて、そこで職
業訓練を行うべきよ。でも問題なのは、どうやって田舎まで二千人もの人間を運ぶかとい
うこと。ねえケン? いっそのこと、ゲートをこの館じゃなく、田舎のどこかに開くわけに
はいかないの?」
「…それが、駄目なんだよ、香川くん。この館に開いたのは、ほんとに偶然なんだ。一度
ゲートを閉じて、別の場所に開くことはできないんだよ。」
「え? どうして?」
「ゲートが、無限に存在するパラレルワールドのどこに開くかは、まったくランダムに決
められるんだ。今回はたまたま、この世界のこの館の中に開いた。けどもう一度同じこと
をしても、再びこの世界にゲートが開く確率は、限りなくゼロに近いんだよ。」
「そう、だからこそ、二千人の脱出が終わった後でゲートを閉じれば、もうサイバーヴィ
ルの追手はやって来れないってわけさ。ゲートが不安定なことは、むしろ感謝すべきなん
だ。」



266 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:14:06 ID:EIQkKNpe]
「…なるほどね。じゃあやっぱり、うまい移動方法を考えなければならないわけね。徒歩
で二千人もの人間がゾロゾロ歩いていたら、ゼッタイ不審な目で見られるし、だからとい
って電車やばすcに乗るお金はないし…!」
「ねえ美紗、この世界には“巡礼”って習慣があるんじゃないの?」
「…そうか。お遍路さんみたいに装えば、二千人が並んで歩いても不自然じゃないわね。
…あ! でも駄目よ。この辺には巡礼するようなお寺はないもの。」
4人は再び、考え込んだ。しばらくの後、美紗が急に何かをひらめいた。
「そうだ、みんな! “健康ウォーキング大会”を装えばいいのよ。みんなにゼッケンを
渡して、いかにも大会に参加中です、って感じにすれば、多少汚い格好でも、疲れてフラ
フラ歩いていても、誰も不自然には思わないはずだわ。」
4人はうなずき、さっそく二千人分のゼッケンを用意する作業が始まった。
「ねえレリ?」ゼッケンを縫いながら美紗が訊ねた。「あなたたち3人は、脱走が完了し
た後はどうするの?」
「…ゲートが閉じる前にサイバーヴィルに戻って、今度は別の世界への脱出を手伝うこと
になってるわ。」
「え!? それじゃあ、ゲートが閉じたらもう、二度と会えないってこと?」
「うん…」レリは寂しそうに言った。
「わたしも、この世界に残りたい。美紗とずっと一緒にいたい。でも、でも、私は人間じ
ゃないから…こんな身体だから。」
「レリ!」美紗は手を停めて叫んだ。
「身体なんて関係ない。改造人間だっていい。ずっと一緒にいよう! この世界で暮らそう!
だってわたしたち……親友だもの!」
「…美紗…嬉しい…!」レリは、涙をいっぱい溜めた目で美紗に抱きついた。

267 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:15:05 ID:EIQkKNpe]
「あと3日ね。」「後は俺たちがやるよ。最後は突貫工事になりそうだけど、頑張ろう!」
日がだんだんと短くなり、7時前ともなるとあたりは真っ暗である。ケンたちに見送られ
て、美紗は研究所を後にした。その姿を、館の屋上からこっそり見つめている奇妙な影が
あった。
「…ギギギ。なるほど、協力者がいたのか。こいつは、利用のしがいがありそうだ…」


翌日、担任の大谷先生にヤボ用を言いつけられて遅くなった美紗は、一人で研究所の門を
くぐった。庭に足を踏み入れたとたん、彼女は何物かに足を取られてころんでしまった。
「何? これ!?」自分の足にからみついている、白い糸のようなものに気をとられた美紗は、
上空からネットのようなものが自分めがけて落下してくるのに気付かなかった。
「キャアッ!!」白い糸でできたネットの中で、美紗は激しくもがいた。奇妙な人影が、彼女
の方に近づいて来た。六角形の目が3つ並び、巨大な大顎を備えた毛むくじゃらの顔。蜘
蛛男だった。
「ギギ。はじめましてお嬢さん。私はサイバーヴィルの治安管理局のものです。このたび、
この世界に向けて3級市民たちの脱走計画が目論まれていると聞いて、やって参りました。
つきましてはあなたに、首謀者の逮捕にご協力いただきたい。」
美紗はハッとした。サイバーヴィルの追っ手だ。早くレリたちに、このことを知らさない
と大変なことになる。美紗は大声で叫ぼうとした。だが…糸が喉にからみ付き、声が出ない。
「いけませんねぇ。そんなに暴れると、糸がどんどんからみつきますよ。なぁに、あなた
は何も考える必要はないんです。この毒針を身体に受けてくれれば、それでいい。」
蜘蛛男は美紗に向けて、口から何かをプッ! と発射した。首筋に鋭い痛みを感じ、美紗は
目をつぶった。針が刺さったとたん、身体がけだるく感じられ、感覚が次第に薄らいできた。

268 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:16:05 ID:EIQkKNpe]
蜘蛛男は、毛むくじゃらの手で美紗にからみついた糸をほどいていった。蜘蛛男の手で触
れられると、糸は次第に細くなり、消えていった。あとには、呆然とした表情で地べたに
座っている、美紗だけが残された。
「お嬢さん、質問に答えてください。脱走計画の首謀者は、全部で何人ですか?」
美紗の唇が、勝手に動いて答えた。
「…ブラド博士のほか、レリ、ケン、ロックの4人です。」
ダメよ! そんなこと喋っちゃダメ! 美紗の意識は必死に抵抗するが、身体の自由を奪い
命令通りに操る「催眠毒」を注射された美紗の身体は、蜘蛛男のなすがままになっている。
「で、博士はいまどこに? 残りの3名は?」
「博士はサイバーヴィルに戻っています。後の3人は館の中で、脱走の準備をしています。」
「よろしい。ではあなたには、この指輪をはめてもらいましょう。」
蜘蛛男は美紗の右手を取り、中指に針のついた指輪をはめた。
「この指輪の針には、改造人間の身体を麻痺させ、動きを鈍くする毒が塗られています。
あなたはこのまま反逆者3名に接近し、気付かれぬよう身体に針を刺しなさい。」
「…かしこまりました。」
ダメよ! ダメだったら! 美紗の意識は必死に抵抗したが、身体は蜘蛛男の命令通りに動き、
フラフラと立ち上がって館の方に歩み始めた。

269 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:17:49 ID:qevMHeuz]
「今日は遅かったんだね、香川くん。」
サイバーヴィルの言葉で書かれた手引書を手際よくホチキスでとめながら、ケンが話しか
けたが、美紗は無言で3人を見つめ、それから再び部屋を出てゆこうとした。
「わたし…お茶を入れてきます。」
「美紗! わたし、蜂蜜入り紅茶をお願いね。」
レリは美紗の態度に釈然としないものを感じながらも、明るい声でオーダーした。
しばらくの後、カップと紅茶のポットが乗ったトレーを持ち、美紗が部屋に戻って来た。
テーブルの上にトレーを置き、カップに紅茶を注いだ美紗は、ロックにカップを手渡しま
ぎわ、彼の指先に指輪の針を刺した。
「ウッ!」
ガシャン! ロックが思わず、カップを取り落とした。
「あーあ、何やってるんだよロック。」ケンとレリが思わず駆け寄った。
割れたカップを片づけようとするレリの手に、美紗の指輪が触れた。「痛ッ!」
「美紗ッ! 何だ、その指輪は!?」
指先を押さえながら、ロックが叫んだ。美紗はケンの身
体目がけて反射的に身を乗り出し、彼の脇腹に指輪を押しつけた。「うわッ!」
うずくまって苦しむ3人の中央に、呆然とした表情で立ち尽くす美紗。そこへ、4名の蟻
型改造人間を連れた蜘蛛男が入って来た。
「これはこれは、反逆者の皆さん。いい格好ですな。私からのプレゼント、気に入っても
らえましたかな? 」
「畜生ッ! 貴様ぁッ!!」
「あなたたちは今からサイバーヴィル本部に連行し、再び脳改造を受けてもらいます。そ
の後は、他の反逆者たちを捕らえるためのスパイとして活躍してもらいましょうか。」
「誰があなたたちの、言いなりになんかなるもんですか!」
「いけませんねえ。そんな態度では、五体満足のまま強制送還できそうにないですよ。」
蜘蛛男の命令で、4体の蟻型改造人間が3人に飛びかかった。

270 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:19:06 ID:qevMHeuz]
3人がその時、一斉に叫んだ。
「サイバーッ! 変・身!!」
3人の衣服がけし飛び、その身体が光に包まれた。蜘蛛男が毛むくじゃらの手で顔を覆っ
たとたん、光の中から蜂女になったレリが飛び出してきた。
レリは乳房をプルン、と震わせて、溶解毒の針を放った。1体、2体。蟻型改造人間がそ
の場でズブズブと溶けていった。
レリはさらに蜘蛛男に迫った。だが麻痺毒によって動きの鈍ったレリよりも、蜘蛛男の反
応の方が早かった。
ブシャアアアァァア!! 蜘蛛男は口から大量の糸を吐き、レリの身体をからめ取った。その
まま、レリごと糸を大きく振り回して、床に叩きつけた。
「キャアアッ!!」
レリが床に叩きつけられたショックで、テーブルがはね飛び、美紗を襲った。テーブルの
直撃を受けて勢いよく倒れた拍子に、美紗の首筋に刺さっていた蜘蛛男の毒針が抜けた。
蜘蛛男の背後に、緑色の人影が突然現れ、蜘蛛男をはがい締めにした。
「野郎ッ!」
「ほう、あなたはカメレオン男だったんですか。私の背後を取るとは、なかなかのもんで
すな。だが、背後に注意すべきなのはあなたの方です! 目に見えない罠も、あなただけの
専売特許ではない!」
カメレオン男の背後に張られていた、クモの網が彼めがけてからみついた。
「うわッ!」
たちまち身体の自由を奪われ、カメレオン男はもがいた。蜘蛛男はカメレオン男を振りほ
どき、その顔を足で踏んずけた。
「ケン! 大丈夫か!?」
ムチのように長く伸びた尻尾を振り回し、2体の蟻型戦闘員を毒針で倒した真っ赤な影が、
今度は蜘蛛男に向かって突進した。
「今度はサソリ男ですか。普通ならパワー負けしているところですが、今はそうはいかな
い!」

271 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:20:05 ID:qevMHeuz]
蜘蛛男はサソリ男=ロックの尻尾をやすやすとかわし、口から吐いた糸でその尻尾をから
め取った。
ロックの振り上げた腕を掴んだ蜘蛛男は、そのままロックとの力比べに入った。
「畜生ッ! 身体さえまともに動けば…!」
ロックの方が、徐々に押されてゆく。
美紗は、ようやく自由になった身体を鞭打つように動かして、糸でぐるぐる巻きにされた
レリに近づいた。
「レリ、レリ! ごめん! わたしがドジなばっかりに…」
「美紗ッ! 正気に返ったか!」ロックが叫んだ。
「いいか、俺たちはこいつには勝てない! お前に頼みがある! ゲートコントローラーの中
央にある赤いレバーを左にひねって、ゲートを閉じてくれ!!」
閉じる!? 美紗は、ロックの言っていることが信じられなかった。
「ダメよ! ゲートを閉じたら、脱出計画が無駄になっちゃう!」
「馬鹿ッ! サイバーヴィルに気付かれたんだ。ゲートを開けておけば、いつ奴らがこの世
界を侵略するかわからないんだぞ! ゲートを閉じれば、もう奴らはこの世界には来れなく
なる。早く! 早く、ゲートを閉じるんだ!!」
「させませんよ、そんなことは!」
蜘蛛男が美紗めがけて、糸を吐こうとした。その時、蜘蛛男の足元にいたカメレオン男=
ケンが、長い舌を伸ばして蜘蛛男の顔を覆い尽くした。
「早く! 早く行くんだ!!」
糸に撒かれたレリも、うめきながら美紗に向かって言った。
「美紗…早く…行って!」
美紗は、裏庭に開いているゲート目がけて駆け出した。

272 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:21:05 ID:qevMHeuz]
サイバーヴィルへと通じるゲートは、裏庭の納屋の脇に開いていた。6つの機械が立ち並
ぶ中央に、周囲の風景が溶けたかのように渦巻き流れている奇妙な空間があった。ぶおん
ぶおんと、奇妙な音が空間から聞こえてくる。その傍らにある納屋の中に、ゲートをコン
トロールする機械が納められていた。美紗は扉を開けて薄暗い納屋の中に入り、ロックが
言っていたレバーを探した。中央にある巨大な赤いレバーはすぐに見つかった。
美紗は、渾身の力を込めて、レバーを左にひねろうとした。だが、固くてなかなか動かな
い。
館の方から、鋭い悲鳴が聞こえた。急がないと、蜘蛛男が現れる! 美紗は全身の体重を掛
け、必死にレバーを倒そうとする。
納屋の扉をガタガタ揺する音が聞こえる。扉を開け放ち、蜘蛛男が入って来た。
「さあ、お嬢さん。こっちに来なさい。」
「いやあ!!」
蜘蛛男の手が美紗の腕を掴み、引き寄せた。その瞬間。レバーはぐぐッ、と動いて左側い
っぱいに倒れた。
ゲートから流れていた、奇妙な音がやんだ。
ゲートが完全に閉じたらしい…。

273 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:22:05 ID:qevMHeuz]
… … …

美紗は、しばらく気を失っていたらしい。気がつくと、目の前には蜂女の姿をしたレリ、
カメレオン男ケン、サソリ男ロック、それに蜘蛛男の4人が並んで立ち、美紗に対して拍
手を贈っていた。
「よくやったよ、美紗。」「おめでとう!」「おめでとう!」
起き上がった美紗は、わけがわからないといった風に首を何度も振った。
「え?…え?…一体、どういうこと?」
「それは、儂が説明しよう。」蜘蛛男が顔の前で手をクロスさせた。そこに現れた顔は…
…何と! ブラド博士のものであった。
「博士!? 博士が…蜘蛛男? それじゃあ、今のはみんな、芝居だったんですか!?」
「さよう。すべては君にゲートを閉じてみらうための、茶番劇だったわけじゃ。」
「…いったい…なぜ? …どうして!?」
「まず第一に、儂は博士などではない。サイバーヴィルの、異世界侵略先遣隊の隊長、
《ブラドspd8029+》じゃ。」
「えっ!?」侵略先遣隊? 美紗の背筋に、冷たいものが走った。
「君にこのゲートを閉じてもらったのは、こういうわけじゃよ。2種類のパラレルワール
ド間に偶然開いたゲートは、一箇所きりで、しかも不安定なものじゃ。だが2つの世界が
干渉した場合はその限りではない。一方の世界の住民が、開けようという意思を持ってゲ
ートを開け、もう一方の世界の住民が、閉じようという意思を持ってそのゲートを閉じる。
これで2つの世界は干渉し合い、以後、2つの世界は互いに隣り合う密接な関係に置かれ
る。いつでも、どこでも、自由にゲートを開けられる状態になるというわけじゃ。」

274 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:23:44 ID:LqoHmuOQ]
「あと数日後に、この世界のあちこちにゲートを開けて、サイバーヴィルの侵略部隊がや
って来るわけさ。」ロックが冷たく笑いながら言った。
「君はじゅうぶん、我々の期待に応えてくれたよ。君がいなければ、こうも早く侵略が開
始できるとは思わなんだ。まったく、たいした娘さんじゃわい。ワッハッハッハ!!」
「…非道い! 非道いわ! わたしを…だましてたのね!!」
美紗は怒りと絶望と悲しみで、胸が張り裂けそうになっていた。
「レリ!! あなたも、わたしをだましてたのね! わたしに言ったこと、みんな嘘だったのね!!」
「…嘘じゃないわ、美紗。」レリは妖しい笑みを浮かべながら、美紗に近づいた。
「嘘つき! 近寄らないで! この大嘘付き!!」
レリは美紗に顔を近づけ、こう言った。
「少なくとも、わたしがあなたのことを親友だと思ってるのは、本当のことよ。」
「何が親友よ! 嘘つき! 嘘つきィッ!!」
レリは、ブラドに何か耳打ちした。「よかろう。」ブラドが言った。
「美紗くん。君の活躍のおかげで、我がサイバーヴィルはこの世界の侵略に着手すること
ができる。お礼と言っては何だが、君を我々改造人間の仲間に加えてあげよう。君のその
美貌と行動力。じゅうぶんに改造人間になる資格があるよ。」
ロックとケンの二人が、ミサの腕を掴んで身体を拘束した。
「さあ、美紗くんを改造手術室に運びたまえ。」

275 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:24:32 ID:LqoHmuOQ]
美紗は目の前が真っ暗になった。必死で泣き叫び、足をジタバタさせて抵抗した。
「嫌よ! 改造人間なんて嫌ッ! やめて! お願い! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だァッ!!」
手術室と書かれた部屋に運ばれた美紗は、ハサミを手にしたレリによって衣服をすべて脱
がされ、その美しい肢体を円形の改造手術台に固定された。
レリが、美紗の脇腹を撫でながらつぶやいた。
「美紗、好きよ。…最初から目をつけてたの。わたしの恋人にするのは、この子だって。」
「えっ!?」その言葉に美紗は驚いた。
「改造人間は子孫を残せないって言ったでしょう? あれはウソ。同じタイプの改造人間の
間なら、子供を作ることができるのよ。あなたは、わたしの恋人になってわたしの卵を産
む。そして、わたしはあなたの卵を産むの。どう? 素敵でしょう!」
美紗の頭の中は、早鐘をつくように何かがガンガンと鳴っていた。もう、すべてが混乱し
て何が何だかわからない。
「それでは今から、改造手術を執り行おう。君はこの世界における、記念すべき最初の改
造人間になれるんだ。光栄に思うがいい。レリの頼みで、君にはBEEタイプの改造人間にな
ってもらうことにする。これからは香川美紗ではなく、《ミサbee0001tr》と名乗るがい
い。ワッハッハッハ!!」
「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」
美紗の身体の両側に、遺伝子活性化光線を照射するライトが幾つも現れた。色とりどりの
ライトが明滅し、美紗の意識はだんだん薄らいでいった。彼女が人間として最後に見たも
のは、蜂女の姿をしたレリの、小悪魔のような笑みであった。
                                  (おわり)



276 名前:名無しより愛をこめて [04/11/21 22:10:49 ID:5LN2XS1q]
salad.2ch.net/beatles/kako/998/998688469.html>>12 より

> 飯田圭織をショッカーの怪人、蜘蛛女に改造する。
> コンサート中に圭織が急に苦しみだしたかと思うと衣装が破れさり全裸状態になり、
> 会場は驚きと興奮で大パニック。
> 苦しさと恥ずかしさで混乱している圭織は本人の意思に反して突如尿と便を垂れ流し状態
> となり、会場にとんでもない悪臭がたちこめる。
> その悪臭の中、圭織があお向けになりマンコを観客に向けるとマンコから蜘蛛の頭が飛び
> 出しグロい蜘蛛女に変身し、逃げる観客を次々喰い始めるが駆け付けた仮面ライダーの
> ライダーキックをうけ大爆発。
> めでたしめでたし。

> ▲その事件の一週間前に圭織はショッカーに拉致され、ショッカーのアジトで嫌がり
> 泣き叫ぶ中、 無理やり全裸にされ手術台に寝かされ、麻酔無しで拷問のような改造手術を
> 受けた。(余りの激痛の為すぐに気絶したが)
> 手術後、前後の記憶を消されていた為、圭織はコンサート中に自分があんな醜い姿に変身
> するなどとは全く知らなかったのです。

飯田圭織というのがナニだが、このシチュエーションは萌えると思う。

277 名前:名無しより愛をこめて [04/11/24 19:59:03 ID:ePYr6Na8]
age

278 名前:名無しより愛をこめて [04/11/24 19:59:34 ID:ePYr6Na8]
age

279 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 07:50:34 ID:S3lx9e6y]
おまいら、325氏のSSの続きを指をくわえて待ってるだけじゃなく、
UPまでの間、適当な話をして盛り上がろーぜ!

例えばおまいらが「この女怪人の改造シーンを見たかった!」と言える
女怪人は、どの番組のどの香具師だ?

280 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 10:58:57 ID:+GjkJHLn]
んじゃネタ投下

ttp://www.epoch-company.co.jp/cworks/trdFig/trdFig2005.htm

来春発売予定のトレーディングフィギュアで、デザインは漫画家のマーシーラビット。
各フィギュアごとにストーリーが封入されているそうな。今日発売のHJにも出てた。

生体素材の強化服のようにも見えなくもないが、生身の部分と怪物化した部分が中途
半端に融合した感じがもろにオレ好みだな。


281 名前:名無しより愛をこめて [04/11/25 11:57:46 ID:UDvUEMTg]
>279
1.仮面ライダーZO小説版の、女の先生がクモ女に改造されるシーンを実写で。
2.仮面ライダーJ企画段階での、主人公の幼馴染みがカマキリ女に改造されるシーンも。
3.仮面ライダーJ企画段階でやはりあったという、地球人の女性がフォグマザーに
  取り込まれてハチ女ズーに改造されるというシーンもぜひ。

282 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 20:39:01 ID:S3lx9e6y]
>>280
GJ。乳と顔だけは改造してないところが(・∀・)イイ!!

283 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 21:15:36 ID:frhexCLj]
>>279
ややトウが立っているがギリーラこと九条みわ、とか。

作中で人間の方が顔出ししていた上に、
滝が「この家の人たちをどうした!?」というと
毒針が飛んできて、咄嗟に手近の写真立てて防ぐ、
するとそれが人間だった頃のみわの写真
そのあとギリーラが自分が改造された経緯を
語り始める(順序違ったかも)・・・というシーンが
なにやら象徴的で色々と想像してしまった

284 名前:名無しより愛をこめて [04/11/25 21:59:18 ID:EBwjtn4I]
>>279
すがやみつる版V3に出てきたノコギリトカゲ人間体の「マリィ嬢」の改造シーン
(なぜか全裸で手術台の上)を実写無修正で見たいぞオラァ!!

285 名前:名無しより愛をこめて [04/11/26 00:45:20 ID:GMIF1bZ1]
東映版の「スパイダーマン」に出た、鹿沼えり演じる北沢志摩子が改造された蛇女。
主人公の幼馴染であるところと、改造されても尚、スパイダーマンに寄せる恋心が残っている設定が悲劇的で良かった。
是非、元日活ロマンポルノ女優でも会った彼女の改造シーンが見たかった。



286 名前:前325-15 mailto:Sage [04/11/26 02:11:35 ID:naQq7P2+]
建物内の一室では、あの女怪人が数人の戦闘員を叱責していた
マグナサイバー「ヤプーの1人を失ったところで大した損失では無い。だが、
女が我らの敵、ファイターFの手に落ち、我が軍団の秘密が漏れたらどうなるのだ!」
マグナの前で、言い訳もできぬ戦闘員たち
五郎と岩井は、部屋の扉の隙間から中を窺う
五郎「あれは…?」
岩井「新宿で五郎君を襲ったサイバーロボットか」
なおも叱責続けるマグナ
マグナ「首領は決して失敗をお許しにはならぬ。
まして、ディストピアの危機につながる失敗はな!」
右腕のマグナム銃を戦闘員の1人に向ける
戦闘員「ひっ!」
「ディストピア」の単語に思わず扉にかぶりつく岩井」
ドゴーン!
マグナの銃口は、戦闘員でなく五郎たちの潜む扉に向け発射された
五郎、岩井「!」
マグナ「誰だ!」


287 名前:前325-16 mailto:Sage [04/11/26 02:14:10 ID:naQq7P2+]
======================
注射器6本分の薬液を膣に「注入」されて間もなく
手術台の上に全裸で仰向けに固定されている彼女の体に変化が起きた
痺れを伴う得体の知れないうずきが全身を支配したのだ
科学者B「さて、これで心置きなく改造を味わえるぞ」
つつーっと彼女の腹部の表皮に指を走らせる。
「あひっ」
それだけで脳天に電気の走るような快感が襲う
科学者B「おやおや、もう十分のようだな」
そう言って、スレンダーな割りにボリュームのある乳房に乗せる
「あうっ、あううっ」
それだけのことで、妊婦にしては黒ずみのない尖塔が
これ以上無いというほど固く天を向いて勃つ
愛児を優しく包んでいるはずの子宮は痙攣するような収縮を繰り返し、
早くも蜜をたたえたそこをどうにかして欲しいとでも言わんばかりに、
彼女は不自由に固定された身で腰を振り立てる
科学者C「では、切開だ」
メスが彼女の肌を切り裂いたその刹那、早くも一回目の絶頂に達した

288 名前:前325-17 mailto:sage [04/11/26 02:16:25 ID:naQq7P2+]
間一髪、マグナム弾に縫われるのを避けた2人
勢いで扉をぶち破り、室内になだれ込む
戦闘員達が五郎と岩井に襲いかかるが、
五郎は変転し、突き、蹴り、投げでたちまち5人を残骸にする。
岩井はショットガンをファンニングし、同じく数人を倒す
マグナ「おのれ!」
マグナムを乱射するが、室内の乱戦ではかえって戦闘員の1人をスクラップにしただけだった。
F「マグナサイバー、ディストピアの入り口を教えてもらおう」
マグナ「黙れ!犬ども」
言うが早いか跳びげりをくりだす「マグナム・キック!」
F「飛竜蹴り!」
空中で交差するキックとキック。
だが、Fの蹴りがより強くマグナの脇腹を裂く
交差したまま絡み合って床に転げるFとマグナ
マグナはFをふりほどくと、隣室に逃げる
F「待て」
Fと岩井が後を追うが、部屋の中は真っ暗だ
マグナ「ハハハハハッ、お前ら何をする気だ」
部屋中に響くマグナの声。明かりつけた岩井とFの目の前には
縛り上げられた三輪香織の姿があった

289 名前:前325-18 mailto:sage [04/11/26 02:18:21 ID:naQq7P2+]
=============
バラバラになったできそこない=彼≠フ残骸を無感動に見下ろす彼女
転がったその頭部を踏み潰す足
パチパチパチ
拍手とともに姿を現したサイバーの大幹部
大幹部「おめでとう。可愛い同志101号よ。お前は務めを果たした」
101「ありがとうございます」
大幹部「失敗作とはいえ、かつての夫のなれの果てを躊躇無く始末したお前の働き
見せてもらったぞ」
101「私は身も心もサイバーのもの、当然のことです」
大幹部「お前はテストロボットから栄えあるサイバー突撃隊の一員、
サイバーロボットに昇格した。コードネームはマグナサイバーだ!」
101=マグナ「サイバーに忠誠を!」

290 名前:前325-19 mailto:sage [04/11/26 02:21:13 ID:naQq7P2+]
==================
香織は全身に、その白い美肌と対照的な黒いレザーボンテージをまとっていた。
いや、そう見えたは錯覚だ。
半裸の彼女は、黒い皮製の拘束具で全身の自由を奪われていたのだ
口はボールギャグで塞がれ、成熟した女の肉体のそこかしこを歪めるほどを強力に、
拘束具は全身を締め上げている
そして、全身には電極もつながれているのだ
天井のスピーカーからマグナの冷酷な声が響く
「2人とも抵抗をやめろ」
F「香織さんを離せ。サイバーロボット!」
マグナ「そうか。女を助けたいのか…。
改造前の女なら助けるというのだな」
皮肉っぽく言葉を続ける
マグナ「この女は元々モルモットとして飼っていたものだ。
だからお前らに面白い実験を見せてやる」
その言葉が終わるが早いか、後ろでに縛り上げられた香織が急にのけぞる
香織「…!」
言葉を発せないが、電気ショックを与えられたというのだけはわかる
香織(うううううう、あああっ)

291 名前:前325 mailto:sage [04/11/26 02:24:53 ID:naQq7P2+]
>>247
ありがとうございます。恐縮です

ずうずうしくて申し訳ありませんが、今回の分のタイトルも
怪人の名前にしておいていただけませんでしょうか
勝手ばかりですみません

>>285
鹿沼さんといえば、デスパーの女サイボーグ・ミスワンの悲劇も忘れられませんね
改造がみたいのは同感です

292 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/26 03:15:18 ID:gJEoFzP+]
萌えシチュエーションのリクエストいいですか?
(がいしゅつだったらごめんなさい)

諜報機関の女工作員、悪の組織に
戦闘員のタイツを奪って潜入に成功
→しかし戦闘員の日課の洗脳光線か何かを
浴びせられそうになり逃走
→結局捕まってしまう。というか、タイツの「何か」の
せいですでに彼女の身体は普通の人間ではなくなり
かけている
→「いい素材が手に入った」とか言われてそのまま改造

ついでに、あとから来た潜入工作員を巧みに改造室に誘導して
「ごめんなさい、私はもう・・」的な後日譚もあると

お粗末でした

293 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/26 08:15:39 ID:VJxNtnWV]
>>285,291
デスパー軍団の女サイボーグは、ミスワンといいデスパースティ編の村野ユキといい、
改造されても自我を消されていないだけに哀れですよね。
サイレンサーデスパー=大橋あけみも、「こんな身体になったのもガイゼルのせい!」
と言ってますから、本心は改造されたことを悲しんでいたように見えるし。
使い捨ての駒であることを知りつつデスパーに忠誠を誓い、その一方で自分の存在に苦悩
するというあたりが激しく萌えだと思います。

さてとりあえず、関連の面白いサイトがあるのでご紹介します。

「女サイボーグの小部屋」
Xライダーの水木涼子、イナズマンFのサイボーグ・ミスワン、村野ユキ等の話題あり
ttp://homepage2.nifty.com/comic-larepublica/cyborg-top.htm

「女サイボーグフリーク楚星蘭三の秘宝館」 作者は上記サイトと同じ
ショッカー蜂女、ギリーラ=九条みわ、バラロイド=ロッサ、水木涼子等の改造CGあり
ttp://www11.ocn.ne.jp/~min-min/sub046.html

294 名前:名無しより愛をこめて [04/11/26 23:35:21 ID:xcj1w7MO]
>281
そのZOの小説,欲しいんだけど見つからない...
クモ女への改造の詳しい内容知りたいんで,教えてクレー

295 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/27 00:27:12 ID:ceVSWzEK]
>>294
中古で良ければアマゾンで常時買えるけどね。
ttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4094401016/qid%3D1101482429/249-5172625-6649949

クモ女の改造シーンは、直接の描写としては無い。
ドラスの口から「自分の分身を作ろうとしたが材料が足りなかったので、たまたま
通りがかったこの女の身体をパーツとして利用した」うんぬんが語られるのみ。
ただ、改造素体となった女の先生の意識も記憶も残っていて、泣きながら
「殺して・・・私を殺して!」とZOに懇願するのが非常に哀れ。



296 名前:名無しより愛をこめて [04/11/27 13:43:31 ID:E7P90v4m]
>>295
ありがとうございます。
欲を言うと,改造された女の先生の詳細も知りたいので,教えてもらえますか?

中古は嫌だけど読みたいし,買おうかな〜。

297 名前:おはな刃 ◆JMmE5ppk7Y [04/11/27 13:46:01 ID:1UAwkTZZ]
HERO列伝

特撮サイトだよ
hp5.0zero.jp/63/878724/

298 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/27 22:11:18 ID:ceVSWzEK]
>>296
申し訳ないが、ただ今その本が手元に無いので確認できない。
確か、男の子たちが皆ドキドキの、美人の若い先生だったはず。
大掃除の時にでもひょっこり出てきたら、改めて報告させてもらう。

299 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/28 04:04:05 ID:5CdPkx7/]
>>292
こいつはどうよ? ちょっと違うかな。
ttp://www.giga-freeks.net/page/giga_new/etc/tab01.htm

300 名前:292 mailto:sage [04/11/28 04:20:12 ID:E1JV3c4R]
>>299
おお!後半普通のエロになるとしたらすごくもったいないですな

301 名前:名無しより愛をこめて [04/11/28 12:52:04 ID:YF7ZQiaO]
>>298
返答ありがとうございます。
自分も諦めずに本,探してみます。

302 名前:名無しより愛をこめて [04/11/29 12:40:46 ID:qVl6mBaH]
懐かしのタイトロン女戦闘員改造手術。
ttp://www.ne.jp/asahi/tightron/world/sakusen/file03.htm

303 名前:名無しより愛をこめて [04/11/30 18:41:00 ID:lkhUTwbY]
>>279
ジェットマンのマリア

304 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:47:11 ID:QjhuXHvx]
どうも。早朝に登場のBeeFです。
前スレ325さんのSS、佳境に入ってきましたね。錯綜していた時間軸が次第に整理されて、
物語の全体像が見えてきました。でもこれからどう転ぶのか。期待満々です。

漏れの方は、>>292さんのリクエストに応えて「女工作員もの」を書こうとしているので
すが、なかなかシノプシスがまとまらないで苦戦しています。
どうも漏れは「女工作員」というと、チャーリーズエンジェルみたいなちょっと能天気な
ものを連想してしまいがちで…。
292さん、工作員は全員日本人がいいですか? それとも外人がいいですか?
そのあたりを押さえた上で、ストーリーを練ってみたいと思います。

さて、>>248-275で書いたSSの続きが読みたいというリクエストを受けましたもので、
ちょっと頑張って書いてみたものをUPいたします。
今度は前回のような「NHK少年ドラマシリーズ」のパロディではありません。むしろ最初
の構想段階に近いもので、極めて鬼畜度の高い内容になっています。
今回サイバーヴィルによって蜂女に改造されるのは、一ノ瀬晶(あきら)ちゃん16歳です。
またしばらくお付き合い下さい。

305 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:48:07 ID:QjhuXHvx]
死んだような街であった。
日本晴れの穏やかな秋の日だというのに、街路には人影ひとつ見えない。
大通りの両側に立ち並ぶ白いマンション群は、まだそれほど古びているようには見えない
が、手入れがゆきとどかず、どれも煤けたような雰囲気を漂わせている。
無人の街なのだろうか。いや、家々の窓には黒い人影の動くのがかすかに見える。ここで
は人々は皆、息を殺してひっそりと暮らしているのだ。
街の中央の広場には、ま新しい巨大なディスプレイが設置されている。そしてそこからは、
奇妙な映像が大音響で絶え間なく流れている。
「…イヤっ! イヤだぁ! 改造人間なんてイヤだ! 助けて! お父さん! お母さん!」
その映像の中では、ひとりの少女が、全裸で手術台のようなものに縛りつけられていた。
まだ高校生くらいの、とびきり美しい少女だ。
映像に映し出された風景は、白昼の広場の真ん中であった。広場に設置された手術台を取
り巻いて、多くの群集が真っ青な顔でその光景を見守っている。
「美奈子! 美奈子ォッ!!」
少女の両親らしい男女が、群集の中から叫んでいる。だが群集は、蟻のような頭部を持っ
た奇怪な黒い人影たちに制止されて、近寄ることができない。
別の黒い人影が、手術台の両側にライトが幾つも並んだ奇妙な機械を設置した。もうひと
りの黒い人影が、大の字に縛られた少女の足元にしゃがみ込み、蠕動する太いノズルのよ
うなものを、少女の股間目がけて挿入した。
「アウッ!! い、痛い! や、やめて! 痛い! 痛い!…ア、ア、アアッ!」
ノズルは少女の膣の奥深く挿入された。ぐおんぐおんと音を立て、ノズルのパイプを通っ
て何かが少女の胎内に大量に注ぎ込まれてゆく。
それと同時に、手術台の両側に設置された無数のライトが激しく明滅を始めた。ライトに
照らされた白い少女の裸身が、みるみるうちに変色してゆく。



306 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:49:07 ID:QjhuXHvx]
「…あ…あうっ…やめて…いや…改造人間なんていや…アアッ…やめ…アフン…はあっ…」
激しく泣き叫んでいた少女は、やがて顔を紅潮させ、快楽のあえぎを上げ始めた。大の字
に身体を固定されたまま、身体をくねらせ、激しく痙攣させ、腰を浮かせてよがり狂った。
「…あン…あン…あうッ…ああッ…あうッ…はうぅ…はうぅん…アウッ…アウッ…」
快楽の増大と共に、少女の首から下の肉体は徐々に透き通り始めた。脈動する真っ赤な心
臓を除いて、内臓もすっかり透明になり、向こうが透けて見えるまでになった。そして腕
と脚の内側に、白い二重円のような吸盤が幾つも幾つも現れた。
「あうッ!…アアッ!…ウッ! …アアアアァッッ!!」
少女が絶頂に達すると共に、ライトの明滅が停まった。股間に挿入されたノズルもその蠕
動を停止した。
やがて、少女を拘束していたリングが外れた。少女は自分で起き上がり、すっかり変貌し
た自らの肉体をうっとりとした表情で隅々まで確認した。そして膣の奥深く挿入されたノ
ズルを、自分でゆっくりと引き抜いた。ズポン、という音ともに、ねばり気のある液体が
糸を引いてしたたり落ちた。
やがて少女は、カメラの方に向かって妖しい笑みを浮かべた。
「…何て…何て綺麗なの! …わたし、改造人間になったのね。ウフフッ!」
少女の姿と重なるように、画面にテロップの文字が現れた。
『SV10年11月3日、JPN3437地区から選ばれた幸運な少女、相田美奈子16歳は、電気
クラゲ女《ミナコjel45916tr》として生まれ変わり、栄光あるサイバーヴィルの臣民に
加わった。』
突然、画面が切り替わった。別の手術台の上に、今度は別の少女が縛られて、今まさに改
造手術を施されようとしている。
「助けて! 助けて誰か! お願いッ!! 改造人間になんかなりたくない!! やだ! やだぁッ!!」

307 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:51:39 ID:QjhuXHvx]
フオン! フオン! フオン! けたたましいサイレンの音が響いた。はるか上空から銀色の
機体がゆっくりと地上目がけて降りてきた。ヘリコプターくらいの大きさの飛行物体だっ
たが、不思議なことにプロペラも無いのに宙に浮いている。
「JPN1492地区の住民に告ぐ! 全員今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せ
よ! 重要な布告を行う! 遅刻した者は厳罰に処す! 繰り返す! JPN1492地区の住民は
今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せよ!」
飛行物体から大音響で流される高圧的な命令を耳にして、家々から住民たちがゾロゾロと
街路に現れた。みな、古ぼけた衣類をまとい、力無い疲れた表情を浮かべている。
集まった住民たちが見守る中、広場の中央に飛行物体が舞い降りた。飛行物体から降りて
きたのは、ツリ目の巨大な複眼と大顎を持った緑色の昆虫改造人間と、黒い全身タイツを
まとった長い黒髪の絶世の美女であった。いや、ハイヒールのブーツや手袋と一体になっ
たかに見える全身タイツは、よく見ると女の皮膚そのものであった。腰に赤いサッシュを
巻き、首にチョーカー、耳にはイヤリングとひとおおり装飾品を付けてはいるが、真っ黒
な乳房には乳首がはっきりと浮き上がり、つるりとした恥丘の真ん中には女性器の割れ目
が見える。
緑色の改造人間・カマキリ男は、拡声器を通して住民たちにこう告げた。
「JPN1492地区の住民に告ぐ! 本地区は、3か月後の《バトルロワイヤル》対象地区と
して選ばれた! ひと月以内に、出場者5名を選出し報告せよ! 本地区の選手が勝った場
合、本地区の住民が来年3月に納める上納金の額を3分の1に減らす! 負けた場合は、上
納金は3倍となる! また出場者が5名に満たなかった場合、上納金は10倍とする! 以上!!」
住民たちの間に、動揺が拡がった。この世界を支配する改造人間たちの娯楽として毎月開
催される《バトルロワイヤル》は、ランダムに選ばれた人間居住地から、女性1名、60歳
以上の高齢者1名を含む5名ずつの選手に武器を持たせて、最後の一人になるまで殺し合
いをさせるという非情な競技であった。

308 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:52:23 ID:QjhuXHvx]
広場に集まった住民たちのほとんどは、女性と老人たちであった。働き盛りの男性たちは
強制労働に駆り出され、もう半年以上も家に帰ってはいなかった。
このような状況で選手の選抜を強制すると、住民たちは必ずエゴを剥き出しにして、お互
いに不信と憎悪を増大させる。こうして人間たちの互いの心の絆を断ち切っておくことが、
改造人間たちが数に勝る人間たちを支配する、テクニックのひとつなのであった。


「解散してよし!」
カマキリ男の許しがおり、住民たちはとぼとぼと家路についた。その時広場の片隅で、女
の怒声が響いた。
「この役たたず! 今日までにブレスレッド20個、揃えて納品すると3日前に約束したはず
よね!」
「申し訳ありません! 細工師の手が足りないんです。お許しを! どうかお許しを!」
怒りをあらわにしているのは、カマキリ男と一緒に降りてきた黒髪の女。その前に平身低
頭して謝っているのは40過ぎの宝石職人と、20歳くらいの若い女性店員であった。
「汚らわしい下等動物だけど、お前の作る装身具は、わたしたち女性改造人間の間では結
構評判なのよ。だから今まで、強制労働もさせずに少しはいい暮しをさせてきたけど、約
束も守れないんじゃあね。もう、生きてく価値もないんじゃなくて?」
そう言うと黒髪の女は、男に向かって右腕を伸ばした。その途端、黒い皮膚を破ってトゲ
のついたツタが何本も伸び、男の首にからみついた。

309 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:53:14 ID:QjhuXHvx]
「うぐッ…く、苦しい…あがが…!」
「やめてッ! 真弓!」
女性店員が、黒髪の女の腕にしがみついた。
「真弓! あなた、今までずっとお世話になってきた店長さんを、殺す気なの!?」
黒髪の女は、フン!と笑って、店員を払い除けた。
店員は地面に這いつくばったまま、泣きそうな顔で黒髪の女を見上げた。
「真弓! わたしよ! 親友の高石まどかよ。忘れたの!?」
「真弓? …それは、わたしがまだ下等な人間だった、一週間前までの名前よ! 今のわたし
はサイバーヴィルの臣民、毒バラ女《マユミros3964tr》。お前たち下等動物と一緒にさ
れるなんて、心外だわ!」
毒バラ女はそう言って、まどかに向かって左腕のツタを伸ばした。
「ウッ!」首筋にトゲを刺されて、まどかはうめいた。
「…今、お前を刺したトゲには、致死性の毒が含まれているわ。助かるには、1時間以内
に5人の男とセックスしないといけないの。さあ、下等動物は下等動物らしく、手当たり
次第に男をあさらないと死んでしまうわよ。オホホホホ!」
「…ひ、ひどい…」
「さあ、もういいからお前もお行き!!」
毒バラ女がツタを鞭のように鳴らした。まどかは店長につき添われて、フラフラとその場
から立ち去った。
「店長! お願い! わたしを、わたしを抱いて! わたし、まだ死にたくないッ!!」

310 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:54:49 ID:zd5AepXy]
広場に誰もいなくなると、カマキリ男は毒バラ女を促して、飛行物体に乗り込もうとした。
ふと、カマキリ男が何かに注意を向けた。「おや?」
「どうしたの?」
「いや、あのスクリーンに流れている、公開改造手術の映像。あれはお前じゃないのか?」
「…あらやだ。」
スクリーンには、広場の中央に設置された手術台の上で衆人環視のまま、改造手術を施さ
れようとしている全裸の女が映し出されていた。長いつややかな黒髪が魅力的な、20歳く
らいの美女。それは毒バラ女がまだ人間だった頃の姿、宝飾店店員・埴科真弓であった。
「やめて! やめて下さいッ! 改造人間なんて嫌です! 助けて! 誰か助けて!!」
手術台を取り巻いている顔面蒼白の群集の中には、先程の宝飾店店長や、高石まどかの姿
も見える。
ぐおん、ぐおん。真弓の膣に挿入された改造ノズルが、活動を開始した。
「…あっ …イヤっ…ああ…あうっ…はううん…はうん…あン…あン…あうン…はうン…」
真弓の身体は首から下が徐々に黒い色に染まり、身体のあちこちから緑色のツタが生えて
きた。そして真っ赤なバラの花が、身体の至るところに狂ったように咲き始めた。
カマキリ男と毒バラ女の二体は、しばらくその映像に見入っていた。
「…それにしても、一週間も前の公開改造手術の映像が今頃流されるなんてな。放映しな
けりゃならない映像がいっぱいあったのか。それとも、良質の改造素体の数がいよいよ少
なくなって、再放送でお茶を濁しているのか。…たぶん後者だろうな。」
「嫌だわ。自分が下等動物だった頃のことなんて、思い出したくもないのに。」
二体の改造人間は飛行物体に乗り込んだ。上昇した飛行物体は、雲の間へと消えていった。

311 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:55:41 ID:zd5AepXy]
SV10年。この世界が「サイバーヴィル」と呼ばれる異世界の侵略を受けて、既に10年の
時が経過していた。
ちょうど10年前の11月15日。全世界のあらゆるTVモニターが、突如ひとつの映像によ
って乗っとられた。どの周波数のどのチャンネルも、みな同じ映像しか映し出さなくなっ
た。ラジオからも、中波、短波、FM波を問わずやはり同じ音声が流れてきた。
モニターに映し出されたのは、一人の東洋人の少女の姿であった。長い黒髪に、目鼻立ち
のはっきりした、16歳くらいの目の覚めるように美しい少女だった。だが彼女の身体は、
濃いブルーの皮膚に、蜂の腹部のような黄色と黒の同心円模様で覆われた乳房、それに背
中に4枚の透明な羽根を持つ、異形の姿であった。
美少女は、同時に世界各国のあらゆる言語で、人々に語りかけてきた。
「愚かなる人間たちよ。わたしは異世界・サイバーヴィルからの使い、蜂女です。いよい
よ今日、お前たちの世界は終わりを告げます。今から5分後に、サイバーヴィルの侵略円
盤部隊が、お前たちの頭上に現れるでしょう。ただちに白旗を上げて降伏なさい。抵抗は
無駄です。抵抗する者は容赦なく処刑します。今日からこの世界は、わたしたち改造人間
が支配することになるのです。」
少女の映像はそこで切れた。そして5分後、少女の予告通り、世界中の大都市の上空に、
小型円盤の群れが現れた。
円盤は国連本部やホワイトハウス、クレムリンなど各国の政治の中枢となる施設や、軍事
施設、マスコミ機関などの上空に停止し、そこから蜘蛛男やサソリ男、蝙蝠男、カメレオ
ン男など、異形の改造人間たちが続々と降りてきては要人たちの虐殺を開始した。マスコ
ミはまたたく間に改造人間たちに乗っとられ、電話、インターネット、無線を含めたあら
ゆる情報手段も、改造人間たちの制圧下に置かれることになった。
すかさず各国の軍隊にスクランブルがかけられた。だが人間と同じサイズでありながら、
強靱な肉体と凄まじいまでの戦闘能力を持つ改造人間たちには、通常の兵力はまったく効
果を持たなかった。核兵器を使うこともかなわぬまま、わずか2日でアメリカ全軍は壊滅
した。他の国々の軍隊は、もっと早くに白旗を上げていた。

312 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:56:35 ID:zd5AepXy]
各国中枢部の制圧が終わると、再びあらゆるTVモニターに、例の美少女の姿が映し出さ
れた。
「この世界は、サイバーヴィルの支配下に置かれました。これよりすべての人類の、改造
素体としての選別を開始します。選ばれた幸運な者は、改造手術を受けてわたしたち改造
人間の仲間として生まれ変わることになるでしょう。そうでない者たちは、わたしたち改
造人間たちの家畜として、死ぬまでわたしたちへの奉仕を続けてもらいます。さあ、これ
が改造手術の映像です。」
続いて見せられた映像に、世界中の人々は大きなショックを受けた。全裸のひとりの少女
が、手術台の上に大の字で固定され、激しく泣き叫んでいるところだった。
「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」

313 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:57:23 ID:zd5AepXy]
その少女は、サイバーヴィルの使いと名乗った、あの東洋人の娘であった。サソリ男とカ
メレオン男の二体の改造人間が手際よく動いて、手術台の両側に明滅するライトを設置し、
少女の股間に奇怪なノズルを挿入してゆく。
「い、痛い! やめて! レリ! 助けて! ア…ア…ア…アアッ…あうッ…あうッ…はうッ…」
少女の苦痛に満ちた悲鳴は、次第に甘い嬌声へと変っていった。それと同時に、少女の白
い裸身に少しずつ変化が現れた。肌の色が青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、黄色と
黒の同心円状の模様がうっすらと浮かびあがっていった。
「…あふう…はううん…あうッ…あうッ…やめて…お願い…あうッ…あうッ…あああッ!」
腰を浮かせ、艶めかしく身体をくねらせながらあえぎよがる美少女。やがて彼女の肉体は、
完全な蜂女へと変貌を遂げた。
少女は妖しく微笑み、改造された蜂の乳房を揉みしだきながら手術台から起き上がった。
「これが、遺伝子活性化光線と、改造ノズルから供給されるナノマシンによって肉体を傷
付けることなく行われる、若い女性の改造手術です。男性の場合はこれとは異なり、レー
ザーメスを用いた外科的な移植手術によって改造されます。選ばれた人間だけが、改造手
術を受けてサイバーヴィルの臣民となることができるのです。わたしはこの世界の人間と
して始めて改造された、《ミサbee0001tr》。あなたたちも、自分が無事改造人間になれ
るよう、選別の日まで祈っていなさい。ウフフフフッ…」

314 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:58:12 ID:zd5AepXy]
謎の美少女の言葉通り、翌日からあらゆる街に、集落に、改造素体選別部隊が現れた。強
制的に連行された人々は検査ゲートをくぐらされ、知力・体力・精神力の優れた者が選別
されていった。若い女性の場合は、容姿の優れた者が優先して改造素体として選ばれてい
った。
改造手術のほとんどは、サイバーヴィルが建設した巨大改造プラントの中で行われた。た
だし、若く美しい女性の改造手術だけは、その女が住んでいた地区において、衆人環視の
中で行われるのが常であった。
この《公開改造手術》もまた、サイバーヴィルが人間を支配するテクニックのひとつであ
った。改造された女性はその場で、自分の家族たちを抹殺し、サイバーヴィルに忠誠を誓
う。そして、自分の住んでいた地区の管理責任者となり、人間たちを直接的に抑圧する係
を担うことになる。改造手術の非情さと、改造された女性の変心ぶりが、人々に大きなシ
ョックと恐怖を与えるのであった。もちろん、最初のころはこの非情な仕打ちに怒りを覚
え、レジスタンスを組織する者も多かった。だが改造された娘自身による掃討が進むにつ
れ、《公開改造手術》は怒りの根元から、人間たちの絶望の象徴へと変っていった。
新聞、テレビ、電話、インターネット。あらゆる情報が寸断され、世界中の人々はそれぞ
れ狭い世界の中で、家畜のように生きることを強いられた。代わりに、次々に改造されて
ゆく美女たちの映像があちこちに設置された巨大モニターから、今日も街中にエンドレス
で流されるのであった。

315 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:59:11 ID:zd5AepXy]
「…どう、異常はない?」野球帽を目深に被った少年が、ドアの門番に話しかけた。
「おう! 同志アキラ。今のところ気付かれた気配は、まったく無しッ!」
門番に礼を言って、少年は地下の小さな部屋の中に足を踏み入れた。部屋の中に集った数
名の男女が、少年に礼をした。
少年は野球帽を取り、着ていたブルゾンを脱いだ。ショートカットのつややかな髪と、腰
のくびれた見事なスタイルがあらわになった。少年を装っていたのは、なんと16歳くらい
の美少女だった。
「晶(あきら)、どうだい? お父様の方の準備は?」
一同のリーダーらしき40代前半の男が、少女に向かって問いかけた。須郷克。この地区の
レジスタンスの中心的存在である。
「はい。超空間貫通のテストは今回も成功したようです。あと2日もあれば最終調整が終
わり、3日後の本番には充分間に合わせることができるそうです。」
「うむ。良かった。諸君、これで“フーガ”計画も最終段階に入った。だが連中に気付か
れたらそれで一巻の終わりだ。少しのミスが即、命取りになる。最後まで気を抜かずに頑
張ってくれたまえ!」
一同は拍手した。須郷は、一同の中にいた20代半ばの女性に向かって深々と礼をした。
「落合さん。これもみな、あなたのお陰です。あなたがいなかったら、我々はとてもここ
まで来れなかった。」
「そうよ、法子さん。あなたがいなければパパだって、超空間貫通装置を完成させられな
かったわ。」
「いいえ、そんなこと。わたしは大したことはしていませんわ。まあ、美紗ちゃんがあん
なことになってしまったから、わたしも少しは責任を感じていました。だから、少しでも
皆さんのお役に立てて、わたしも嬉しいです。」



316 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:00:39 ID:6a5dCfqw]
この女性こそ、サイバーヴィルによって最初に改造人間にされた香川美紗のかつての親友、
落合法子であった。蜂女として生まれ変わった美紗は、まず胸の毒針で自分の両親と兄を
惨殺し、次いで自らの母校である英光学園を蜂女の姿で襲撃して生徒たちを次々と殺め、
自らの肉体の性能を試したのだが、たまたま法子だけは風邪で休んでいたため、難を逃れ
たのであった。
サイバーヴィルの支配に抵抗するレジスタンスたちが最も欲した情報は、『サイバーヴィ
ルの改造人間たちは、一体どうやってこの世界に来たのか』であった。サイバーヴィルに
よって最初に改造された人間、即ち、サイバーヴィルと最初に接触した人間である《ミサ
bee0001tr》の身辺を調べることが、それを知るための近道であるのは間違いなかった。
そこでレジスタンスたちは、改造前の彼女、即ち香川美紗の素性と、その知り合いが生き
延びていないかどうかを血眼になって調査し、人目を忍んでひっそり生きていた落合法子
の居場所を、ようやく突き止めたのである。
法子は、たまたま美紗が残したノートを持っていた。美紗が蜂女に改造された日、彼女は
大谷先生の仕事を手伝って下校が遅くなり、うっかり大事なノートを部室の引き出しに忘
れたままにしていた。それに気付いた法子が、後で美紗に返そうと持ち帰ったのだ。
サイバーヴィルによって世界が制圧された後、そのノートを読んで法子は愕然となった。
そこには美紗が、サイバーヴィルとこの世界の橋渡しをしていた証拠が書かれていたのだ。
そして、二つの世界をつなぐ方法、超空間貫通装置のことも。
法子にはもちろん、その装置の持つ意味は理解できなかった。だがレジスタンスの中に、
その装置を再び組み直し、再び可動させることができる科学者がいた。若干41歳の天才物
理学者、一ノ瀬大吾である。

317 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:01:21 ID:6a5dCfqw]
一ノ瀬は10年前、26歳の妻・葉子を目の前で公開改造されてしまった被害者である。彼と、
6歳になる娘・晶の目の前で、若く美しい妻は毒蛾女《ヨーコmth0067tr》へと改造され
てしまった。普通、公開改造された女性は自分の家族を惨殺するならわしになっていたが、
一ノ瀬博士は天才と呼ばれるほどの科学者であったため、そして娘の晶は将来改造素体に
選ばれることが期待できる美少女であったため、幸運にも難を逃れたのだ。
妻を奪われた一ノ瀬の恨みは、改造人間を倒すことへの執念へと変った。改造人間の神経
伝達速度の途方もない速さを逆用し、急速に循環する超音波パルスが知覚神経を麻痺させ
るデッドマン効果を応用して、改造人間たちの動きを一瞬封じ込めることのできるサイバ
ーバスターを開発し、レジスタンスたちに供給した。母を奪われた娘の晶も、武道を修練
してレジスタンスに参加した。こうして須郷たちレジスタンスたちの信頼を得た一ノ瀬親
子は、落合法子のノートに書かれていた超空間貫通装置の調査を、レジスタンスの仲間と
ともに開始した。
サイバーヴィルの先遣部隊であった宮野レリたちが住んでいた館は、再び廃屋と化してい
た。だが二つの世界を初めて結びつけた超空間貫通装置は、老朽化していたもののそのま
まの姿で残されていた。一ノ瀬博士は必死でその構造を解析し、大規模な改修を加えて再
び稼働させることに成功したのだった。
そして、かつて宮野レリたちが美紗についた「嘘」と同じように、普通の人間たち数百名
をサイバーヴィルの支配が及ばない別世界へと脱出させる計画が、レジスタンスたちの手
によって3日後に行われようとしていた。イタリア語で“脱出”を意味する「フーガ計画」
と名付けられたこの計画は、博士と晶を入れてわずか7名の信頼できる同志にだけ明かさ
れており、脱出する当の人々にも、その内容は全く知らされていなかった。
これまでのところ、サイバーヴィルの改造人間たちがこの計画に気付いた様子はまったく
なかった。この調子でいけば、フーガ計画は無事成功するはずであった。

318 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:03:07 ID:6a5dCfqw]
「食らえッ!」晶が右手のサイバーバスターを、渾身の力で圧しつけた。
「ピギイッ!!」悲鳴を上げて、蟻型改造人間が動きを止めた。
「早く! 早く処理して!」晶が叫ぶよりも早く、数名のレジスタンスが蟻型改造人間に飛
びかかり、緑色の液体が詰まったアンプルを口器の奥に突っ込んだ。
「グ…グワヒャ! ガ…ガ…ゴゲエッ!!」
意識を取り戻した蟻型改造人間は、アンプルの中の液体を飲み込み、しばらく激しい痙攣
を続けた後、完全に動きを停めた。
「…ふう。戦闘員で良かったわ。この薬品でなんとか倒すことができるんだもの。」
「…だが、たとえ戦闘員であれ、こんなところにまで入り込んでくるとは大ごとだ。」
レジスタンスのリーダー、須郷が眉をしかめながら呟いた。
「考えたくはないが…我々6人の中に、裏切り者がいるとしか考えられない。」
「えっ!?」「嘘だろ、おい。」
「裏切りと言っても、内通者とは限らん。本人が意識していない場合だってある。サイバ
ーヴィルに逆らう後ろめたさが、無意識のうちに不審な行動を取らせ、連中の注意を引い
ているのかも知れん。だがいいか、俺たちはお互いを信頼してここまでやってきた。内容
はともかく裏切りは重罪だ。君たちも裏切り者を発見したら、その場で容赦なく殺せ! そ
うしないと、俺たちだけでなく、街の人々全員の命が危険にさらされることになる!」
レジスタンス一同は、沈黙したままゆっくりと頷いた。

319 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:04:07 ID:6a5dCfqw]
そしていよいよ、フーガ計画が実行に移される日がやってきた。一ノ瀬博士と晶を含めた
5人の同志が見守る中、超空間貫通装置は奇妙なうなりをあげながら、周囲の景色が溶け
たかのように渦巻き流れる奇妙な空間を作り出した。
「やった!」「やったぞ!」「やったね、パパ!」
「博士、これが異空間へのゲートなんですか?」
「そうだ。だが電力供給が限られているので、約2時間しかゲートを開いておけない。そ
の間に、人々を全員無事に通り抜けさせてくれ。」
「畜生! 電気の供給制限さえ受けていなけりゃな!」
「大丈夫ですよ博士。今、西浦と松田の二人が人々を誘導してきますから。」
その時、真っ青な顔をして、西浦たちが飛び込んできた。
「計画は中止だ!! みんな、テレビを見てみろ!!」
テレビのスイッチを入れた彼らは、そこから流れてきた映像を見て愕然となった。
それは、改造手術の映像だった。だが公開改造ではない。薄暗い部屋の中で、一人の少女
が蟻型改造人間に捕まったまま、手術台に身体を縛りつけられようとしていた。
…その少女とは。
「…え、わたし!?」
一同は、凍りついたようなまなざしで一ノ瀬晶の方を振り返った。テレビの中で改造され
ようとしているのは、まさしく晶本人に他ならなかったからだ。

320 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:04:54 ID:6a5dCfqw]
「…イヤだ! やめて! 助けてパパ! 改造人間なんてイヤだ! やめて! お願い!」
テレビの中の晶は、全裸で大の字に身体を固定されたまま、激しく泣き叫んでいた。彼女
の方に、極彩色の巨大な羽根と羽毛のような触角を持った一体の女性改造人間が近づいて
きた。
「あら晶。ようやくあなたも私と同じ、改造人間になるのね。嬉しいわ。」
それは晶の母親、毒蛾女《ヨーコmth0067tr》であった。10年前に改造された時と、ま
ったく同じ美貌を保っている。毒蛾女は妖しい微笑みを浮かべながら、晶の前にしゃがみ
込んでその白い裸身を優しく撫でた。
「やめて! やめてママ! お願い、助けて!!」
蟻型改造人間が、晶の膣孔目がけて改造ノズルを力まかせにねじ込んだ。
「ギャッ! 痛い痛い痛い!! やめて!! 痛い! ああッ!! …アッ…アッ…はあッ…はあッ…」
最初の苦痛が、次第に快楽に変り、晶は身体をなまめかしくくねらせながら、生まれて初
めて味わう性の快楽に身を任せ、激しくもだえよがった。腰を浮かせ、改造ノズルの蠕動
に合わせてリズミカルに振りながら、改造人間にされてゆく喜びを全身でむさぼった。
「…ああん…イヤっ…イヤよ…ああん…あふうん…イヤっ…あうン…あうン…はうッ…」
晶の全身に、変化が現れた。真っ白な肌が次第に青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、
黄色と黒の同心円状の模様が浮かび上がってきた。

321 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:05:40 ID:6a5dCfqw]
「嘘よ!! こんなの嘘!! トリックだわ! わたしは改造人間なんかじゃない!!」
テレビの前の晶は、顔を真っ赤にして叫んだ。
だが、晶を見つめるレジスタンスたちの目は、一様に険しかった。
「お前が…お前が裏切り者だったのか!!」
「…おお、晶、なんてことだ。」
「裏切り者は、死ね!!」
西浦が拳銃の引き金を引いた。だが発射された銃弾は、晶の胸で跳ね返り、どこかに飛ん
でいった。
「…やっぱり、やっぱり改造人間なんだな! 俺たちを騙してやがったんだな!」
「違うの! わたしは何も知らない! わたしは改造されてない!」
須郷たちレジスタンスが、晶目がけて一斉に拳銃を乱射した。硝煙が立ち上る中、ズタズ
タになった衣服をまとった晶の身体には、やはり傷ひとつついていなかった。
その時、部屋の壁に溶け込んでいたカメレオン男たちが一斉に姿を現わし、須郷たちを背
後から拘束した。
「しまった! このッ! このッ!」
「無駄だ。反逆者どもよ。お前たちの行動は全てサイバーヴィルに筒抜けになっている。
異世界になど誰も行かさぬ。お前たちはこれから、広場で公開処刑されるのだ。」
カメレオン男たちに背後から抱きかかえられたまま、激しい怒声を残してレジスタンスた
ちは連行されていった。後には、ズタズタに破れた服を着た晶だけが残された。
「…ねえ、なぜ、わたしを捕まえないの?」出てゆこうとするカメレオン男に、晶は訊ね
た。
「お前は我々の仲間、改造人間だ、捕まえる必要などない。」
「嘘よ! 嘘ッ!!」
晶は床に膝をついて絶叫した。

322 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:07:01 ID:vthk3IeC]
広場の真ん中に6本の柱が立てられ、須郷や一ノ瀬博士たち6人の反逆者たちが、そこに
縛りつけられた。
集まってきた群集をかき分けて、晶は処刑場の前に出た。
「やめて! やめてお願い!」
晶の姿を認めた須郷が、吐き捨てるように叫んだ。
「何をしに来た! この裏切り者めが!!」
「違う! わたしは改造人間なんかじゃない!」
「いいえ。あなたはもう、改造人間なのよ。」
そう言って群集の中から現れたのは、なんと落合法子だった。
「法子さん…あなた一体!?」
「いいえ。わたしは落合法子じゃないわ。見なさい。わたしの正体を。」
法子は手を胸の前でクロスさせ、上に大きく広げながら叫んだ。
「サイバーッ!変・身!」
法子の身体はまばゆい光に包まれた。思わず目を伏せた晶の前に現れた姿は、何と…あの…
「ミサ!」
そう。そこに立っていたのは蜂女のボディを持ったストレートロングヘアの美少女、この
世界で最初に改造人間にされた伝説的人物、香川美紗こと《ミサbee0001tr》であった。
ミサは10年前と変らない、16歳のままの清楚な美貌を保っていた。
「まさか…法子さんの正体が…ミサだったなんて…」
晶だけでなく、レジスタンスの一同もこれには仰天した様子だった。
「落合法子は、10年前にわたしが処刑したわ。それからわたしは落合法子を装って、愚か
な反逆者たちが接近してくるのを待ち構えていたの。レジスタンスなら必ず、昔の美紗の
知り合いに接近してくるだろうことがわかっていたから。わたしはこれまでに3組、こう
やって愚かなレジスタンスどもを掃討してきたのよ。」

323 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:07:43 ID:vthk3IeC]
「畜生! それじゃあ最初から、計画はサイバーヴィルに筒抜けだったってわけか!」
須郷がさも無念そうに嘆息した。
「お前たちを泳がしておいたのは、一ノ瀬博士が超空間貫通装置を改修するのを待ってい
たからよ。さすがは博士、我がサイバーヴィルが最初に開発したものよりも安定度の高い
装置を完成させてくれたわ。あなたの発明は、サイバーヴィルが有効に活用させていただ
くわ。もちろん、別の世界を侵略するための手段としてね。」
一ノ瀬博士が、がっくりと肩を落とした。
「わたしが、わたしが改造人間だって、一体どういうこと!」
晶が叫んだ。ミサはにっこり微笑むと、額から伸びる2本の赤い触角を、ピクリと動かし
た。
「アアッ!」全身を貫く苦痛を感じ、晶は思わずのけぞった。
「あなたが信じたくない気持ちはわかるけど、テレビで流れたあの映像は本物よ。あなた
は昨夜サイバーヴィルに拉致されて、蜂女に改造されたの。ただし洗脳は行わず、改造さ
れた記憶だけを消して、再び元のところに戻してあげたの。なぜそんなことをしたのかっ
て? それは、その方が面白い見世物になるからよ。」
ミサはさらにピクピク、と触角を震わせた。激しい苦痛に晶の身体はさらに痙攣し、ボロ
ボロになった衣服を掻きむしった。
「あなたが蜂女である以上、蜂女すべての女王であるわたしの命令には逆らえないわ。さ
あ、蜂女《アキラbee1493tr》、人間の姿を捨て、蜂女の姿に変身しなさい!」
晶は衣服をビリビリと引き裂いて全裸になり、地面の上を転げ回ってもだえ苦しんだ。
『嘘よ! 嘘! こんなの嘘に決まってる!!』
心の中で必死にそう叫んだが、身体はいうことを聞かなかった。やがて晶はフラフラと立
ち上がり、両手を胸の前でクロスさせ、上に広げて叫んだ。
「サイバーッ!変・身!」

324 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:08:29 ID:vthk3IeC]
とたんに、晶の全身が光に包まれた。まばゆい光の中で晶の身体は真っ青に染まり、乳房
には同心円模様が現れた。光が消えた時、そこに立っていたのは一体の蜂女だった。
「…ウッ…ウウッ…」激しいショックを受けて、晶は嗚咽していた。
「さあ、《アキラbee1493tr》。反逆者たちの処刑はあなたが行うのよ!」
「い、イヤだ! イヤだァッ!!」
晶の意思とは無関係に、晶の両手は自らの乳房を掴み、乳首をレジスタンスたちの方へと
向けた。
「や、やめろ晶! やめてくれッ!」
晶の乳首から、次々と毒針が発射された。毒針を浴びた一ノ瀬博士や須郷たちは、凄まじ
い絶叫を上げ、ズブズブと身体が崩れてその場に溶けてしまった。
「…パパ!…パパ! あんまりよ!」晶の目は涙で真っ赤だった。
「《アキラbee1493tr》、あなたが苦しむのは、まだ洗脳を受けていないからよ。さあ
、わたしが洗脳してあげるわ。そうすればもう、苦しむことはなくなるわ。」
ミサは触角を震わせ、笑いながら晶の方に近づいてきた。
「やめて! こっちに来ないで! わたしの中に…入って来ないで!!」
ミサの触角が、晶の触角に触れた。
「アアッ!!」
その途端、晶の脳の中に、大量の思念が流入してきた。蜂女すべてが共有する意識の総体
だった。脳内を荒れ狂う嵐の中で、晶は必死に自分の自我を保とうと踏んばった。だが、
限界があった。晶の意識は思念の波の中に飲み込まれ、どこかに消し飛んでいった。
しゃがみ込んでいた晶が身を起こした。そのまなざしは、妖しい輝きを放っていた。
「わたしは蜂女。サイバーヴィルの改造人間、蜂女。《アキラbee1493tr》。改造人間に
なれて、わたしはとても、幸せ!!」
ミサが晶、いや蜂女《アキラbee1493tr》の方に手を伸ばした。
「さあ、いらっしゃい。あなたが住むべき、素晴らしい世界に案内するわ。」
驚く群集を尻目に、二体の蜂女は羽根を広げて舞い上がり、やがて雲の向こうへと小さく
なって消えていった。
                                   (おわり)

325 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 00:00:31 ID:RsCSuCD3]
どなたか女教師のクモ女への改造SSを書いてくださらないでしょうか?
もしくはこの作者さんに書いて欲しいと言う作者さんはいませんでしょうか?



326 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 00:22:25 ID:T9mLV+L9]
>>325
ドユコト? SSを書いてくれる職人さんを探してきて欲しいってコト?

327 名前:325 mailto:sage [04/12/02 05:33:03 ID:RsCSuCD3]
いえ、ただ単にこの人に改造SSを書いてほしいという作者は誰かと言うことを聞いてみようと思っただけです。

328 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 07:46:01 ID:T9mLV+L9]
>>327
作者は誰か、と言っても、このスレに常駐しているSS職人さんはPRIME氏、
前スレ325氏、BeeFreak氏の3人しかいないじゃない?
しかもPRIME氏は謹慎中、BeeFreak氏は蜂女しか書かないということだし、
前スレ325氏は目下自分の作品を執筆途中だよ。
あ、他の人に「SS書いてみませんか?」って呼びかけてみるのもいいのかな。

…そういえば、そろそろPRIME氏の謹慎が始まって1ヶ月になるから
謹慎が解ける頃だよな。職人さん2人だけ、というのは寂しいから、
戻ってきて欲しいなぁ。

329 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 16:20:39 ID:FaTBN38a]
>>328
PRIMEは名無しで散々書き込んでる謹慎なんかしちゃいない。

330 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/03 01:39:35 ID:ZUhVkmj2]
>>329
あんまり粘着するのはよせよ。
名無しで書いてるのならSSは発表できないんだから、やっぱり謹慎だろう?

331 名前:BeeF mailto:sage [04/12/03 23:53:02 ID:Abz+QcsN]
>>325
漏れでよければ、書けないことはないですよ。
ただ、女先生の名前がわからないので伏せ字にするか、仮名になってしまいますが、
それでもよろしいですか?

>>328
漏れもそろそろ、PRIMEさんに戻ってきてもらいたいです。
SSを書かれる方の数は、多ければ多いほど賑やかになっていいです。
確か8日で謹慎が始まってちょうどひと月になるはずなので、その頃にでも
SSの続きを引っさげて復活願いたいと思っています。
この書き込みを読んでおられたら、PRIMEさん、そろそろ準備をお願いしますね。

332 名前:325 mailto:sage [04/12/04 00:03:56 ID:Mr7xd7nv]
BeeF様、もちろんOKですよ。むしろお願いしたいくらいです。
別に仮面ライダーの設定にはこだわらないので思うとおりに書いてください。
私はこのスレのSS書きの方にとどまらずに、他のサイトでSSをお書きになっている方で、こういう改造SSを書いてみて欲しい人はいないですかというつもりだったのです。
たとえば、BeeF様のところに投稿された舞方雅人氏とか。
私としては舞方氏あたりにも書いてみて欲しい気はします。
もちろんあくまでたとえばの話ですよ。

333 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:40:28 ID:QZM3Bsn4]
>>332
それじゃあ、ちょっと書いてみましょうか。
ただ女先生の名前は、どう付けたって嘘になってしまうので、開き直って「黒沢ゆかり」
にしました(爆)。性格は言うまでもなく、名字さんの方です。
あとドラスの設定とかも本編とはちょっと違いますが、ご愛敬だと思って下さいね。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ずいぶん遅くなったが、ようやく来学期の指導案が仕上がった。あとは教務主任に提出す
るだけだ。
誰もいなくなった職員室で、4年1組の担任である黒沢ゆかりはペンを置き、大きく伸び
をした。
ゆかりは就任3年めの今年、ようやくクラス担任を任されることになった、24歳の新米女
教師である。生来の子供好きで世話好きな性格である上に、人目を惹く美貌の持ち主とあ
って、子供たちの人気も高い。やんちゃ盛りの男子児童たちも、黒沢先生にだけは悪戯の
手が鈍る。クラスの子供たちにとっては、憧れの女神のような存在だ。
ゆかりは立ち上がり、職員室の隅にあるロッカーから懐中電灯を取り出して、見回りの準
備を始めた。用務員が日勤であるこの小学校では、宿直を教職員が順番に義務付けられて
いる。今日はゆかりと、もう一人ベテランの木村先生が宿直当番に当たっていたのだが、
あいにく木村先生が腹痛で欠席したため、今夜はゆかり一人が夜の見回りを行わなければ
ならない。
職員室の鍵をかけ、まず宿直室で湯を沸かす準備をしてから、ゆかりは懐中電灯を片手に、
真っ暗な校舎内を巡回し始めた。
一人での見回りは初めてだ。怖くない、と言ったら嘘になる。しかしもう十数回もこなし
てきた仕事だ。ゆかりはつとめて陽気にふるまい、鼻歌を歌いながら階段の陰やロッカー
の奥などを点検して回った。

334 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:41:11 ID:QZM3Bsn4]
ふと、廊下の前方、学校の正面玄関に当たる場所に白い人影が見えた。予期せぬ出来事に、
ゆかりは一瞬、心臓が止まるくらい驚いた。
よく見るとそれは、10歳くらいの少年だった。身体全体に大きなマントのようなものをは
おっている。子供らしくない、冷ややかなまなざしを湛えたその顔に、ゆかりは見覚えが
ない。
「…きみ! 何年何組の子!? こんな時間にいったいどうしたの!?」
ゆかりが問いただすと、少年は妖しい微笑みを浮かべ、十字路になった廊下の陰に姿を消
した。
「こら、きみ! 待ちなさい!!」
ゆかりはあわてて少年の後を追った。忘れ物を取りに来たのだろうか。だったら教室まで
案内しないと、真っ暗な廊下は危険過ぎる。
少年が姿を消した十字路を曲がったゆかりは、いきなり、何物かに首根っこを掴まれて宙
吊りにされた。
「キャッ!」
目を開いたゆかりは、自分の首を掴んでいる者の姿を見て、息を飲んだ。
…それは、人間ではなかった。緑がかった土色の、直立した昆虫のような異形の怪物であ
った。真っ赤な目をらんらんと輝かせ、額からはアンテナのような二本の長い触角が伸び
ている。
先程の少年の姿は、どこにもなかった。代わりに、怪物が少年と同じ色のマントをはおっ
ている。
「…あ…あ…ああ…」
恐怖で言葉を失い、ガタガタと震えるゆかりを、怪物は片手で宙吊りにしたまままじまじ
と見つめた。
「…ちょうどいいや。こいつにしよう。」
怪物が、まるで子供のような澄んだ声でそう言うと、いきなりゆかりを放り出した。
「キャアッ!!」
ゆかりは自由になったが、恐怖のあまり腰が抜けて、立ち上がることができない。ガタガ
タ震えながら、後ずさるのがやっとだった。

335 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:42:09 ID:QZM3Bsn4]
怪物は右手を胸の前にかざすと、手のひらに意識を集中させた。一瞬輝いたかと思うと、
手のひらの中に、小さな怪物が出現した。
人型の怪物が、手の中の小さな怪物を床に放した。それはみるみるうちに巨大化し、体長
80センチほどの大きさになった。
それは、髑髏のような腹部を持った、形の崩れた真っ白な異形の蜘蛛であった。長い8本
の肢をせわしなく動かし、床の上をはい回っている。
「…さっき、うっかり“アイツ”にやられてしまったからね。戦闘エネルギーが不足して、
自由に動けないんだ。仕方がないから分身を造ろうと思ったんだけど、材料が足りなくて、
こんなのしか造れない。だから、キミのからだ、材料に使わせてもらうよ。」
人型の怪物が、ゆかりに向かって無邪気な声でそう言った。
材料ですって!? わたしの身体が? ゆかりには、怪物の言葉の意味がつかみかねた。
怪物がゆかりの方を指差したとたん、床の上を這い回っていた怪物蜘蛛が、キイ、と小さ
く鳴いて、ゆかりの方に向かって勢いよく走り出した。
「イヤっ! 来ないで! イヤッ!!」
蜘蛛が自分の方に迫ってくるのを知ったゆかりは、四つんばいになってあわてて逃げ出そ
うとした。だが蜘蛛の方が、はるかに足が早かった。蜘蛛はピョン、とジャンプして、ゆ
かりの右脚の上に飛び乗った。
「イヤァーーッ!!」
ゆかりは必死で脚をブンブンと振り、怪物蜘蛛を払い除けた。床に落ちた蜘蛛は、ギイ!
と一声鳴いて、身体を大きくもたげた。
蜘蛛の身体の前半分が、裂けたかのように大きく開いた。それは巨大な口であった。その
中から息を吐くように、白い霧のようなものが勢いよく噴出された。
それは、目に見えないくらい細い糸の集合体だった。糸は逃げようとするゆかり目がけて
放たれ、彼女の両脚にからまりついた。
怪物蜘蛛は口を閉じ、自ら吐き出した糸をたぐり寄せ始めた。ゆかりの身体が、少しずつ
蜘蛛の方に引きずられてゆく。
ゆかりは必死で踏んばった。爪が裂けて血が流れた。
「イヤっ! 助けて! 誰か助けて!! 誰か!!」
誰も来るはずがなかった。この広い校舎内に、人間はゆかり一人しかいないのだ。どんな
に大声を上げたとしても、外まで悲鳴が漏れることもない。



336 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:43:09 ID:QZM3Bsn4]
怪物蜘蛛はゆかりをたぐり寄せると、刃物のように鋭い長い肢をふるい、ゆかりの衣服を
切り裂いていった。
「キャアッ!!」
衣服はたちまちボロボロの布きれとなって舞い散り、雪のように白い柔肌があらわになっ
た。
「…いいかい。そいつはエサじゃないよ。そいつはキミの新しい身体だ。傷付けないよう
に、大事に扱うんだよ。」
人型の怪物が、優しげに蜘蛛に向かって言った。ゆかりは四つんばいの姿勢のまま何とか
逃げ出そうとあがいたが、どうしても脚に力が入らない。
蜘蛛がジャンプして、ゆかりの形の良い尻の上に飛び乗った。あまりのおぞましさに、ゆ
かりは激しく尻を振って蜘蛛を振り払おうとした。だが蜘蛛は8本の肢でしっかりとゆか
りの身体にしがみつき、振りほどくことができない。
蜘蛛が腹部を持ち上げた。腹側の皮膚が裂け、そこから内臓のような無数の蠢く触手が現
れた。触手はゆかりの股間めがけて次々と延びてゆく。
「…ああッ!!」
触手の一部が、女性の大切な部分への侵入を開始した。モゾモゾと蠢く無数の触手が、ゆ
かりの胎内にわけ入り、膣の内部を荒らし回り、子宮の中にまで入り込んできた。
「イヤッ! イヤッ!! やめて! イヤッ!!」
快楽とはほど遠い、凄まじいまでのおぞましさと不快感が、ゆかりの全身を電気のように
貫いた。別の触手の群が、今度はゆかりの肛門から内部に侵入し、直腸の中を激しく掻き
回した。
「…ウグッ…ゲエッ…いやッ…アガァッ…やめて…やめてッ!」
内臓すべてをまさぐられ、こね回されているかのような異様な感覚だった。ゆかりは堪え
がたい苦痛と吐き気に襲われ、四つんばいに固定された身体を激しくよじった。
新たな触手が、ゆかりの顔目がけて延びてきた。触手はゆかりの口から、鼻から、体内へ
の侵入を開始した。
「…ん! んぐッ! …ん! ん! ん!」
もはや、声を出すこともかなわなかった。おぞましい蜘蛛の触手がゆかりの全身に入り込
んで、身体の中をグチャグチャに掻き回しているのだ。触手が這いずり回る口の隙間から、
ゆかりは食物をぶしょぶしょと嘔吐した。鼻水が溢れ出し、目が涙でくもって見えなくな
った。股間は失禁した尿でグシャグシャに濡れている。

337 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:44:08 ID:QZM3Bsn4]
やがて、ゆかりの腰に乗った蜘蛛の腹部が、ゆかりの皮膚にズブズブと沈み込むように一
体化し始めた。蜘蛛の頭部が腹部からはずれ、口から伸ばした触手に引き寄せられるよう
にゆかりの後頭部に移動し、長いつややかな髪の上に陣取るとそのまま融合を開始した。
ゆかりの身体は、少しずつ怪物蜘蛛と一体化し始めたのだ。
《イヤぁ!! やめて!! やめてぇ!!」》身体の中に蜘蛛が入ってくるのをはっきりと感じ、ゆか
りは声にならない声で絶叫した。《わたし、蜘蛛になってしまう!!》
人型の怪物が「材料」と言った意味を、ゆかりは今、はっきりと悟った。この蜘蛛は、わ
たしの身体を乗っ取ろうとしているのだ。嫌だ嫌だ。蜘蛛になるなんて絶対に嫌だ。ゆか
りは身体を狂ったように激しく振り、身体に融合しつつある蜘蛛を振り払おうと無駄な努
力を繰り返した。
「…ダメだよ! そんなに身体を揺らしちゃ。今、大事なところなんだから!」
激しく身体を揺すったせいか、ブチッ! という嫌な音がして、ゆかりの右腕が肩からはず
れ、床に転がり落ちた。
《…わたしの! わたしの腕が!! ああッ!》
床に転がった白く細い腕を目にして、ゆかりは絶望の叫びを上げた。
ゆかりと蜘蛛との融合は、どんどん進んでいった。蜘蛛の8本の肢のうち、4本がゆかり
の腹部にまわり、しっかりと地面に肢を下ろして踏んばった。ゆかりの両脚は宙に浮き、
やがて太股の付け根からブチッ! と音を立ててちぎれ、床に転がった。ゆかりの腹部は性
器をあらわにしたまま、蜘蛛の腹部に吸収されるようにその裏側に溶け込んでしまった。
残る4本の肢は、ゆかりの肩に移動した。1本の肢が、さっきちぎれたゆかりの右腕の代
わりに長く伸び、残る3本は鋭い爪のように、肩から宙に向かって伸びていった。
蜘蛛の頭部は、ゆかりの頭の上にしっかりと融合した。ゆかりの額に、蜘蛛の3対6個の
真っ赤な単眼が溶着した。小ぶりな愛らしい唇が、二つに大きく裂け、中から幾つも大き
な牙が現れた。そしてゆかりの脳の働きも、次第に蜘蛛に乗っとられていった。
もはやゆかりは、自らの意志で身体を動かすことができなくなっていた。単眼の下にある
人間の目から、とめどなく涙を流すことしかできないのだ。

338 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:45:54 ID:QZM3Bsn4]
…そして、黒沢ゆかりという人間は、この世から姿を消した。後に残ったのは、美しい女
性の頭部と乳房を持った、巨大な異形の蜘蛛であった。
クモ女となったゆかりの脳は激しい絶望のあまり、もはや何も考えることができなかった。
「…誕生おめでとう。ボクはドラス。キミの主人だ。」
子供のような無邪気な声で、人型の怪物がクモ女となったゆかりに挨拶をした。
ゆかりは、堪えがたい空腹感を感じていた。いや、ゆかりではなく、自分の身体を乗っ取
った蜘蛛が感じていたのだ。クモ女は、笑うような無気味な声を上げ、自分の主人である
人型の怪物に向かって空腹を訴えた。
「…融合に、エネルギーを使い過ぎたんだね。いいよ。そこに落ちている、その女の腕と
脚を食べなよ。」
許しを得たクモ女は、さっき身体から切り離された、ゆかりの脚にむしゃぶりついた。
《いやあ! わたしの、わたしの脚がッ!!》
ゆかりは涙を流し、声にならない声で絶叫した。だがクモ女は嬉しそうに、ゆかりの白い
柔らかな太股に牙をくい込ませ、その水分をチュウチュウとすすった。やがて一本の脚が
ミイラのように干からびると、クモ女はもう一本の脚と、そして右腕もむさぼった。
《やめてッ! やめてやめてぇッ!!》
すっかり手脚をむさぼり尽くしたクモ女は、さらなる空腹を主人に向けて訴えた。
「しようがないなあ。明日の朝まで待ちなよ。ここで巣を張って待っていれば、朝には子
供たちがいっぱいやって来る。一人ずつ異空間にひきずり込んで、食べればいいんだから。」
《やめて! 子供たちに手をあげるのだけはやめて!! お願い! お願いだから! やめてェ!!》
ゆかりの懇願を聞く者は、どこにもいなかった。人間の目から絶望の涙を流しながら、ク
モ女は満足そうに笑い、その場に糸を張って巣を作り始めた。
「いいかい。満腹したら、キミの本当の仕事だ。邪魔な“アイツ”を倒して、ヒロシをさ
らってくるんだ。期待しているよ。」
ドラスもまた、満足そうに笑った。                 (本編に続く)

339 名前:325 mailto:sage [04/12/05 01:15:00 ID:9k4EgH4o]
BeeF様ありがとうございました。楽しませていただきました。

340 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/05 09:29:13 ID:JDccVE0B]
>>333-338
ふと思ったが「クモの怪物に身体を乗っ取られ、心は拒絶しながらも子供たちを襲う女先生」
というシチュエーションは、ライスピ2号編とビミョーにかぶるんだよな。

まさか村枝、ZO小説版までリスペクトしてたのかな?

341 名前:292 mailto:sage [04/12/05 20:59:46 ID:8Z9FA1BR]
>>304
遅レスですが、国籍は特に問いません
・・・というか洋もののコミカルなのも
和もののシリアスなのも(なぜかこのペアになってしまう)
どちらも見てみたい気もしますね・・・

342 名前:BeeF mailto:sage [04/12/06 00:35:17 ID:X7QvAdkO]
>>341
レスありがとうございます。
というか、実はもう、外人を含めた3人の工作員のシリアスな話に向けて、構想を練り始め
ていたところでした。
なかなか構想段階で難儀しているため、発表にはまだ時間がかかりそうですが、そのうちUP
しますので気長にお待ちいただけると嬉しいです。

なお現時点での設定では、女性を誘拐・改造してテロ活動に従事させている悪の組織(既に
どこかで書いたような設定ですが)のアジトに侵入するのは、特務機関XXAM(エグザム)
に所属する3名のプロフェッショナルです。
古武術の名手で射撃のオリンピック選手、元・警官の正義感の塊り「桐島ルイ 24歳」。
香港の犯罪組織「夜龍(イエルン)」によって感情を持たない戦闘マシーンとして育てられた
元・暗殺者「李閃花(リ・シャンファ) 19歳」。
金髪碧眼、アメリカの大富豪の娘でスポーツ万能、知能指数300、人並みはずれた強運の持
ち主「レベッカ・エデルソン 25歳」。
この3人の女性がそれぞれの技能を生かして、小笠原諸島のさらに南にある孤島に作られた
敵のアジトに挑み、結局3人ともそれぞれ違ったシチュエーションで罠にかかり、改造人間
にされてしまうというストーリーになる予定です。
ここまで書いた以上、いずれはUPしますので、よろしく。

343 名前:292 mailto:sage [04/12/06 02:15:48 ID:5v+oqbn3]
>>342
なんか感動です!すでに妄想が広がります

344 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 07:11:47 ID:InkgLtRf]
アイゼンボーグの愛タン改造シーン。
ttp://ngn61.kir.jp/aizenborg/00aitachibana6.htm
ttp://ngn61.kir.jp/aizenborg/00ai_saikaizo.htm

345 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 21:28:40 ID:5v+oqbn3]
>>344
なんか作り手の異様な熱意を感じる・・・



346 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 21:55:30 ID:kSSBPhut]
このスレの住民って、オニャノコが化け物じみた怪人にされるのに萌えるんじゃないの?
単なる機械化サイボーグ手術でも萌えなの?

347 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 22:05:08 ID:SylBSg0E]
漏れは怪人化のほうが萌えるなぁ。
機械化だけじゃ物足りないっす。






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