- 11 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/01/15(金) 23:44:33 ID:M3qZYaPN]
- 香ばしいにおいが立ち込こめる。
首まで茶色いソースに漬け込まれたあたしはその匂いに顔をしかめる。 極上のステーキのような匂い。 しかし、それはあたしのクラスメート達がオーブンの中で焼かれている匂いだからだ。 さっきまで聞こえていた悲鳴はもう聞こえない。 それと入れ替わるように彼女達の肉が焼ける匂いが立ち込め始めたのだ。 「うぅ……」 思わず涙がこぼれる。 今オーブンで焼かれているのはクラスの半数。 普段から親しくしていた友達もその中に少なからず混じっていた。 彼女達から声が聞こえなくなり、代わりに香ばしい匂いが放たれていることの 意味がわかっていたからだ。 いつも明るかった綾香も、学級委員長をしていた佳代も、 今はオーブンの中で香ばしい匂いを放つ料理に変わりつつあった。 それは残ったあたし達の運命でもあった。
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