- 372 名前:現代数学の系譜 雑談 [2025/05/18(日) 14:53:10.85 ID:kvRHpDhK.net]
- つづき
質問者:「ひらめき」が降りてきた瞬間はありますか? デュミニル-コパン氏:はい、今でも鮮明に覚えています。その日はごく普通の日でした 友人であり長年の共同研究者であるタシオン氏と雑談をしていると、突然、当時私が取り組んでいたものとは全く別分野の式証明が頭に浮かんだのです このときの証明は後に、現在統計物理学の教科書に記載されるほど有名になりました この話で注目すべきは、無目的ですが知的な言葉のラリーが、まったく新しい発見につながったということです それ以来、私は味をしめてしまい、無目的な議論を積極的に行うようになりました 幸い、無目的な議論はその後何度も、新しい「ひらめき」をもたらしてくれました 私にとって研究とはグループ体験です。 仲間と一緒に仕事をすることで得られる知的な体験が、私がこれまで手掛けてきた研究成果の大部分を占めています 質問者:教授として数学を教えることはインスピレーションにつながりますか? デュミニル-コパン氏:学生との交流や授業の準備に必要な内省(顧みること)、そしてそこからうまれるアイディアは、数学者にとって必須です 以前、(学生とかかわらない)純粋な研究機関に勤めていたとき、教えることがあまりにも恋しくなったことがあります 私が思うに、数学者にとって教えることは呼吸のように必須なことだと思っています 研究から離れる機会は、自分の心に酸素を供給する機会でもあるからです 質問者:数学の面白さを理解してもらうにはどうしたらいいでしょうか? デュミニル-コパン氏:子供のころ、国語が嫌いだった人でも大人になって文学にハマる人がいます 勉強としての国語と楽しむための文学や読書とが違うことに、多くの人々が気付いているからです しかし残念なことに、数学では同じようにいきません 子供のころに数学が嫌いになった人々のほとんどが、大人になっても数学が嫌いなままです この問題の原因は、数学が実用的なツールとして考えられている点にあります これは大きな間違いです 文学の美しさや楽しさが多くの人々によって共有されているように、数学の美しさや楽しさも多くの人々が触れられるようにすべきです。 そのためには、大人たちは子供に「数学が便利だよ」と言って学ぶように説得するのではなく「数学は楽しいよ」と言って自発的に学べるように誘導すべきです (引用終り) 以上
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