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禁断少女



59 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2006/06/30(金) 04:55:10 ID:mqnJNeyt]
>>58
 ……なんてこったい! 俺はまだオナ禁の誓いを立てたばかりだぞ!?
 
 い、いや。 待て待て。 これが噂の『禁断少女』なら、これはただの幻覚だ。
 負けるな! 俺よ! この誘惑に打ち勝てば、神のSSが書けるはずだ!
 
 俺は自分に言い聞かせると、少女を無言で押しのけてパソコンデスクに腰掛けた。
 押しのける際、少女の長い髪が甘い香りで俺の鼻腔を刺激した。
 なんちゅ〜リアルな幻覚だ! 
 せっかく水をかぶって鎮めたJr.が起きちまうじゃないか!
 心中滅却すれば、火もまた涼し。 俺は念仏のように唱えながらキーボードに向う。
 頭の中では煩悩の鐘が鳴り響いていた。
 
「あん。 随分つれない仕打ちをなさるのね。 それともこれも計算なのかしら? 」
 椅子に座って携帯の走り書きをPC転送する俺の肩に、少女の細い指が触れてくる。
 ……無視だ! 負けるな俺! 必死で平静を装いつつ、画面に向う俺の耳に、
 少女の息が吹きかけられた。
 思わずぞくりとしながらも、俺は画面で陵辱されるヒロインの描写に視線を集中する。
 
 少女は少し焦れたように、俺の耳朶を齧り始めた。
「んもう……。 そんなにつれない素振りをしちゃ嫌ですわ。 お兄様ったら」
 耳に舌を差し込まれ、少女の小さな舌がちろちろと俺の耳朶を弄ぶと 俺はまるで
 SSの中のヒロインのように 発してしまいそうな声を耐えた。
「た、頼むから消えてくれよ……。 お、俺は今作業中なんだ! 」
 危うく保存していないエディタを閉じてしまいそうになりながら、俺はマウスに
 手を伸ばした。
 ――カチリ。何とか上書きのクリックを押すと、その手の上に少女の手が重なる。
「そんな無粋な物をクリックするより、もっといい物をクリックしません?」

 相変わらず少女は俺の耳腔に甘い吐息を吹きかけて、俺の思考を停止させようとする。
「も、もっといい物……? 」
 俺は一瞬、少女の言葉に惑わされかけたが ここで負けたら男が廃る。
「だ、だからね? 俺は今創作中なの! 俺のSSを待っててくれる人がいるんだよ! 」 
 マウスの上に重ねられた少女の手を断腸の思いで振り払うと、俺は鉄の意志で
 キーボードに向おうと努力した。
「でも、お兄様。 その創作活動が行き詰まってらっしゃるんでしょ?
 だから私が現れてしまったんですのよ? おわかりになりません? 」
「うっ……! 」
 一番痛いところを突かれた俺のキーボードの動きが止まってしまう。
「……図星でしたわね」
 少女は悪戯そうに笑うと、内側から光を放ったまま 後ろから身を翻し、俺の膝に
 腰掛けてきた。
 その反動でPCチェアの滑車が後退し、俺をPCデスクから遠ざける。
「お、おいおい。 邪魔しないでくれよ! 」
 デスクから離れた俺の両腕は、虚しく空を彷徨ってしまう。
「だって、私を呼んだのはお兄様ですのよ? 
 ほら、お兄様のJr.だって もうこんなに立派に成人なさってらっしゃるわ」
 まるで体重の感じられない少女の手が、俺の息子を撫で上げる。

 ―― 息子よ、お前も俺を裏切るのか!?
 せっかく冷水で鎮めたはずのJr.が、少女の手でむくむくと成長始めてやがった。






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