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女装SS総合スレ



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 02:10:23 ID:d6QvuoYn]
ここは既存スレに該当しない女装関連のSSを総合的に取り扱うスレです。
無理やり女装させて、嫌がったり、恥ずかしがったりするのをニヨニヨするのもよし、自分の意思で女装させ、女よりも女らしい子を目指すのもよし、全ては書き手の自由です。
女装っ子を愛でながらまったりと盛り上げていきましょう。

既存の女装関連スレ

【おむつ】幼児女装小説 3冊目【園児服】
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188338286/l50

強制女装少年エネマ調教 ネオ×5
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176841562/l50

↑のシチュに該当するSSはこちらのスレでお願いします。

241 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/13(日) 21:23:07 ID:oQf/+LKA]
俺、ホモでも女装者でもないけど

村瀬には調教されたい・・・

242 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/13(日) 22:42:10 ID:xTEK6MVy]
(打ち込み中)


 ・・・・・

「………書けるかこんなもんっ!」
 パソコンデスクに向かっていた奴が座したまま振り返り、俺を睨み上げた。
 白く細い肩にかかっていた黒髪が、シャンプーのCMのように遅れて浮き、またサラリ
と落ち着く。日本の女装は美しい。byツ○キ(棒読み)。
「いや、肉筆まではいいから」
「そうじゃなくて…だいたい何だよこの小文字と記号の乱舞は!?」
「いやいや、これくらいで怒ってちゃギャル文字や絵文字解読できないって」
「そんな翻訳能力要らない!」
「そんなに怒るってことは、実はお前携帯使いこなせないんだろ?そういや俺が気合い入
れて記念写真アレコレしてデコメしてやったのに、お前の返信いっつも『はい、分かりま
した』の一行レスだもんなあ」
「!……つ、使う機会がないから使ってないだけだし、そもそもお前にそんなの送る理由
なんてない!」
「はいはい」
「第一、ご主人様って何だよみっともない!カッコいいとか、エ……が上手いとか、お前
自分で言ってて恥ずかしくないのか!?」
「ぇえ〜?じゃあ須藤君は、脂ギッシュな短小粗チン親父に下手っぴにエッチな事された
いんだ?」
「はぁ!?」
「あー、だから今までイヤイヤ言ってたわけか。そうかそうか」
「っ!そんなわけな」
「じゃあお前のためにももっとカウンタ回ってる掲示板行って、顔写真とお前の住所付き
で募集かけてみる?『淫乱女子高生ゆうか(男)のご主人様募集でぇす☆』…って感じで」
「あぁあああっ!打つ!打つから!お前の言う文を何でも打つから!」
「…『打つから』?」
「っ………打たせて、ください…」
 仕方ないからやってやる!という、文化祭の実行委員や合唱発表会の伴奏をすることに
なった時と同じ頼れる背中を向けてくれた。
 まあ、赤チェックのブラショーツ姿なんですけどね。
「何を打つんですか、『ゆうか』ちゃん?」
「…っ……ご、ご主人様のおっしゃる事を………ゅ…ぅかに打たせて、ください……」
「よくできました」

 яяя

 後日須藤から、黒背景に赤文字で「朝礼があるので7:50までに教室に着くこと。2限に
数学の課題ノートを提出。」と書かれたデコメが届いた。
 やけにリアルなナマハゲの画像が付いてたんだけど…あんなもん、どこで探したんだ?

(おしまい)




243 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/13(日) 22:45:30 ID:xTEK6MVy]
(本文ないです)

申し訳ない、但し書きというか前書きを投下し忘れた上に、名前欄を豪快に間違えましたorz

上のレスのタイトルは「投稿彼女(打ち込み中)」のハズでした。
偽装〜の続きのつもりで読まれた方いらっしゃったら申し訳ないです!


先ほど投下したのは、先日の「投稿彼女」中の一場面です。

基本的に小ネタは、それだけ読んでも通じるようにしてるつもりなのですが、今回のに限
っては「投稿彼女」のオマケということで、ご了承ください。

エロ無し、ほぼ会話のみですがよろしければ。


>>239さん
ご回答ありがとうございます(´∀`*)
「〜ちゃう」系は自分も好物ですw

次の「なんたら彼女」とか、別のモノに使わせていただきます!


それでは大変失礼しました。


244 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/14(月) 02:10:18 ID:vcvITzuX]
お疲れ様です!
須藤君の反抗になってない反抗がかわいいなぁww

245 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/14(月) 06:14:09 ID:WnY4odBM]
突然脳裡に「妹は年上の男」という単語が浮かび上がった
SS書く能力がない自分がうらめしい(´・ω・`)

246 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:30:08 ID:Qo31HyrY]
(本文ないです)

>>245さん
「妹は年上の男」
この言葉になんかすげー萌えましたw

語り手が中坊でエロ無しですが、よかったらどうぞ。
(ちょっとショタっぽいです)


247 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:31:50 ID:Qo31HyrY]
(6/1)

「僕、妹が欲しい!」
 僕の発言に、タカ兄ちゃんの顔から表情が抜けた。
 茶色く染めたふわふわの癖っ毛に両耳で五つのピアス、高校生になってから遠くなった
気がしてたけど、やっぱりタカ兄ちゃんは僕の兄ちゃんだ。だって、ビックリした時の顔
が小さい頃から全然変わらない。
 タカ兄ちゃんは高三、僕は中三。通う学校も兄ちゃんは県内有数の進学高で、僕は受験
が楽だからと親に入れられた中高一緒の中学と違うんだけど、家が隣同士だから未だに僕
の勉強を見てくれたり、一緒に遊んだりしてくれる。
 今だって、ナントカ推薦で早々と進路が決まったからと、親が出張中の僕に「健太の面
倒は俺が見てやるからな!」と言ってくれて、家庭教師をかって出てくれているのだ。推
薦入試万々歳だよ。
 おかげさまで兄ちゃんが見てくれる単語や計算テストは花丸もらえるし、大好きなタカ
兄ちゃんといっぱい遊べるしで、兄ちゃん子な僕は親の出張が長引けば良いのにとすら思
っている。
 ただ唯一、なかなか覚えられない…というかわけ分からなさすぎて覚える気がなかった
英語の完了形を、タカ兄ちゃんは「今度の小テストで満点だったら、何でも好きなもの買
ってやる!」と豪語する事で僕に覚えさせようとしたのだ。
 俄然やる気になった僕に驚きつつも「頑張れよ」って頭を撫でてくれたのも、満点の答
案を持ち帰った僕に「約束だ。俺にできる金額ないなら何でも言ってみろ!」と男らしく
言ってくれたのも兄ちゃんだ。
 だから僕はキッパリハッキリおねだりしたんだ。
 「僕、妹が欲しい!」って。

 §§§



248 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:32:57 ID:Qo31HyrY]
(2/6)

 僕がそんなの欲しがるなんて思ってもみなかったのだろう。面食らいつつも真面目な顔
で、しどもどとタカ兄ちゃんはうなずいた。
「そ…そうか。じゃあその、俺の方からご両親に伝えてみるけど…」
「そうじゃなくって、今欲しいの!」
「…てことはお前、もしかしてそーゆーゲームとかあぁああ可愛い健太が…俺の健太がオタクの道に……っ!」
 よく分からない言葉を口走ってヨヨヨと泣き崩れてるが、誤魔化されるわけがない。
「何わけ分かんないこといってるのさ。兄ちゃん早く妹になってよ」
「はあ!?」
 いよいよ兄ちゃんはわけが分からないといった顔をした。
 隣に立つと、ほんのちょっぴり見上げる位置にいるタカ兄ちゃん。バスケ部に入ってか
らなのか、急に背が伸び出した僕に時々敵意を燃やしてるっけ。
「去年タカ兄ちゃん、高校の文化祭でメイドさんしてただろ?僕、その時からずっと兄ち
ゃんみたいな妹が欲しかったんだ」
「妹ぉ!?」
 僕のお母さんが口を開けば「貴明くんはお利口さんね」と言う優秀なタカ兄ちゃんの頭
でも、僕のお願いは理解してくれないようだ。
「お前ほんと、マジ冗談カンベンだから!しまいにゃ怒るぞ!」
「冗談なんかじゃない!僕は兄ちゃんに妹になって欲しいんだ!」
「じゃあなおさらだっ!俺は男だし、第一お前より年上だっての!」
 埒が明かないので、僕は最終手段に出ることにした。
「…なんでも」
「う」
「なんでもしてくれるって言ったじゃないかあー!」
 半泣きでわめき出す僕に、タカ兄ちゃんは激しくうろたえた。学校の友達が僕を見たら
ビックリするだろう。
 身体は大きくなったけど、兄ちゃんに対してだけは僕はずっと「弟みたいな幼馴染み」
のままだからだ。



249 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:34:20 ID:Qo31HyrY]
(3/6)

「だ、だからそのそれはオモチャとかランドとかそういう意味で言ったんであって…第一
お前そのケあるわけ!?」
「ひっぐ…何それ?僕がタカ兄ちゃん好きだと兄ちゃん嫌なの?僕のこと嫌いなの?」
「そそそそんなわけないだろ!お前が風邪ひいたクリスマス、『ガキとアタシとどっち取
るの!?』って詰め寄られてノータイムで『弟!』つった俺だぞ!?お前が嫌いなわけな
いじゃないか!」
「…じゃあ、頑張った僕のお願い聞いてくれる?」
「うん、わかったよわかった!約束だもんな!」
 言ってから「いや待てちょっと待て」と言いだすが、もう言質は取ったからこちらのも
の。「ゲンチ」なんて言葉が出るなんて、これも兄ちゃんの教育の賜物だ。
「わぁい!やっぱりタカ兄ちゃんは僕の兄ちゃんだ!」
 嬉しくなって飛びつくと、小さい頃と違って体格差がないのでタカ兄ちゃんがよろめく。
 それでも弟分に甘えられて悪い気分じゃないらしい。
「うん…うん、そうだよな。犬に手を噛まれたって思えば、台本読むくらいどうってこと
ないよな」
「何ぶつぶつ言ってるの?早くこれに着替えてよ」
「ぶふっ!?」
 僕の部屋の隅に置いていた、クラスの背の高い女の子に借りた紙袋の中身を逆さにする
とタカ兄ちゃんは盛大に噴いた。
「ちょ!おまっ…それはカナリ重症だ!」
「何言ってるの兄ちゃん、まさか『おにいたまだいちゅき』ってアニメキャラのセリフ言
うので済ませる気だったの?」
 それはこの二週間でアタマの大改造を行った僕に対して失礼ってもんだ。
「俺はリ○ちゃん、俺は○ェニーちゃん…」
 なんか怪しい呪文を唱えてるけど、タカ兄ちゃんの身体は透けないし、目の前の服も僕
の意識も消える気配はない。
 むくれている僕に気付いたのか、タカ兄ちゃんはかなり迷いながらも床に落ちた服に、
ついに手を伸ばした。





250 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:35:33 ID:Qo31HyrY]
(4/6)

 何てことない、黒タイツにブラウス、ピンクのチェックのミニスカート。
「どうしたの?早くしなよ」
「いやその…これはやり過ぎじゃないのかな?健太君」
「文化祭の時は、ストッキングにナントカベルト着けてたって、兄ちゃんのクラスの人か
ら聞きました」
「誰だよそいつ絶対殺す!」
 兄ちゃんを前科持ちにしないため、僕は貝になることにした。
 僕が一向に「嘘だよ〜ん☆」と言わないので、兄ちゃんは「ええい、どうにでもなっち
まえ!」と言わんばかりにカーゴパンツとTシャツを脱ぎ捨てた。
 カラフルなトランクス一枚の、引き締まった身体でポーズを決め、タカ兄ちゃんは言い
放つ。
「どうだ、萎えただろっ!?」
「うん、これがあのメイドさんみたく可愛くなるんだと思うと、なんだかか僕、ドキドキ
してきちゃった」
「………」
 遠い目をするタカ兄ちゃんに、拾った衣服を渡すと、もうなんか機械的に着替え始めた。
 兄ちゃんのクラスメイトも、この生着替えを見てたのかと思うとちょっと嫉妬しちゃう
けど、あの人達だってピンクだの白だのの衣装を着てたんだから、まいっか。
 私服の学校の僕とは違い制服だから慣れているのか躊躇なくブラウスに腕を通したけれ
ど、両手をクロスさせるようにしてボタンを留めている。ああ、貸してくれた子が「アワ
セがナントカだから」って言ってたけど、そういうことか。
 僕がじっと見ているせいか何度かボタンをかけ違えた挙句、どうにかタカ兄ちゃんはブ
ラウスを着終えた。
 白いレースやフリルで飾られたブラウスの襟には、ベルベットの黒リボンが付いている
が、朝のお父さんのネクタイみたく解けたままでブラブラだ。
「結んだげるね」
「いや、自分ででき…っ」
「お兄ちゃんにまかせなさい!」
 たいして背の変わらない僕に強く言われて、タカ兄ちゃんは黙り込んでしまう。甘えん
ぼな僕が兄ちゃんを手伝ってあげてるなんて、何かウキウキしちゃうな。



251 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:36:43 ID:Qo31HyrY]
(5/6)

 リボン結びにしてあげると、タカ兄ちゃんは「ちょっと後ろ見てろ」と言ってきた。
「なんで?兄ちゃんもしかして逃げる気?」
「このパンツをタイツに押し込むところを見てみろ。お前も俺も一生トラウマんなるぞ!
てゆーかこれくらい許してくれないんなら俺は約束を破る!」
「ちぇー」
 言われた通り後ろ…というか、部屋のドアの方を向いてあげる。その格好で二階の僕の
部屋の窓から逃げるなら、大声でご近所さんを呼んでやる。
 物騒な事を考えてたら、震える声が僕を呼んだ。
「…ほ……ほらよ…」
 振り返ると、タカ兄ちゃんが変身していた。
 黒タイツを穿いた足もスラッとした細身の身体に、ブラウスとチェックのスカート。気
の強そうな目元が、そこらのグラビアアイドルなんか目じゃない感じ。
「兄ちゃん…じゃなくてタカちゃん、可愛い」
 ツインテールのウィッグつけて、やけくそになって僕に「よう、おかえり!」と呼びか
けてくれたタカ兄ちゃんの姿を僕は忘れない。視界の端になんか精神的ブラクラなメイド
というよりは冥土な人も居たけど、兄ちゃんのキラキラで記憶にない。
 男子校なのにクラスメイトからバレンタインチョコをもらって、「成人未満の野郎は健
太以外死ねば良い!」と物騒な事を言っていたが、あれはきっと、文化祭のせいなんだと
思う。
(僕の友達は三人までなら生きてて良いらしい)
「こ…これで満足か!?脱いでいいか!?」
「だぁーめ。仕上げがまだだよ」
「仕上げ?」
 首をかしげるタカ兄ちゃん。ふわふわ茶髪がほっぺたや襟にかかっているのはいつもの
ことなのに、首のリボンやフリフリとあいまってとっても可愛い。



252 名前:いもうとごっこ ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:38:19 ID:Qo31HyrY]
(6/6)

「あのね、僕のこと『お兄ちゃん』て呼んで?」
「………っ!?」
 可愛くおねだりしたのに、タカ兄ちゃんの顔は青くなる。いつもなら満面の笑顔で「お
う!」って言ってくれるのに。
「僕、妹欲しいのになぁ……くすん」
「…ぉ……お兄ちゃん!お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!これで満足か!?」
 慌てて連呼するタカ兄ちゃんに飛びついて、僕はコクコクうなずいてみせた。
「うん!ありがとうタカに…タカちゃん!お兄ちゃん嬉しいっ!」
 ぎゅーっと抱き付くとスカートを穿いたタカ兄ちゃんの足がふらつく。目の前に赤くな
った耳があるので、ペロンとピアスごと耳たぶを舐めてみた。変な感触。
「うひゃ!」
 友達に借りたビデオでは「あぁん」って言うハズなんだけど、男と女で違うのかな?
 そう思ってしばらくしゃぶって見ると、兄ちゃんの声がおかしくなってきた。
「ひゃ…ぁ…ちょ、ちょっとやめっ……やあ…っ!」
 僕から逃げようとするんだけど、力が入らないのかなんか前屈みになってへたりこんじ
ゃった。
 ベタベタになった耳を放してあげると、僕はチュッと音を立ててタカ兄ちゃんのほっぺ
たにキスをした。
「タカちゃんはお顔もお洋服も、お耳もとっても可愛いですねぇ〜」
「ちくしょう、健…お兄ちゃんなんか、好きだけど嫌いだ…っく」
「よしよし、泣いちゃダメだよ〜」
 僕はタカ兄ちゃ…年上の妹の頭をなでなでしてあげた。

(おしまい)




253 名前:いもうとごっこの中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:39:36 ID:Qo31HyrY]
(本文ないです)

以上です。
猫耳メイドや体育着、スク水とかばかりに気を取られており
「女の子のポジションでカナリの萌え上位にくる『妹』を忘れるとは何事!?」
と愕然としてしまってましたw

>>245さんの思ってたのとは違うかもしれませんが、素敵キーワードをありがとうございます!


>>241さん
字書きとしては、読んでくださる方々(住人の皆さん)に女装っ子を責めつつニヨニヨ可
愛がっていただくのが目標なので、「俺」に調教されたいという事は…w

読んでくださりありがとうございます!



254 名前:いもうと訂正 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 10:47:40 ID:Qo31HyrY]
(本文ないです)

>>247の兄ちゃんのセリフ
「金額ない」ではなく「金額内」でした。
もうしわけない&脳内変換ヨロですノシ


255 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/14(月) 11:29:34 ID:o1IxQU91]
テーブルの上に萌えフレーズを一つだけ置いておけば翌朝には萌え萌えストーリーに編み上げてくれる小人が住んでいるスレはここですね?


256 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/14(月) 14:29:30 ID:YI6WhVY4]
黒タイツ萌え。GJ!
いっそ下着まで女装して欲しかったw

257 名前:245 mailto:sage [2008/01/14(月) 14:41:33 ID:WnY4odBM]
おおおおおおおおおおおおおおお
読んでゴロンゴロンもだえてしまいました!

本当に脳裡に浮かんだフレーズを書いただけなのに、
本当にありがとうございました!!!

258 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/14(月) 17:53:58 ID:Qo31HyrY]
(1/2)

 叔母が家を出て以来、それまで自分を取り巻いていた世界は変わった。
 小学校の中学年にもなれば、身体が変わらずともそれなりに男女を意識し始める。奇し
くもちょうどそんな時期に、無条件に自分の容姿を「可愛い」と称賛してくれる存在も、
自分を飾るものも成長につれなくなった。
 もちろん両親は少ないはずの時間をやりくりして息子に愛情をかけてくれたが、自分が
欲しかったものとは何かが違った。息子を女の子として扱うなど、ありえないことだから
無理もない。
「豊クン、カッコいい!」
「須藤はクラスで一番女の子にモテるんだってさ」
 ませた子供の発言に大人は苦笑し、自分はその言葉に引っかかりを感じつつも、誰の機
嫌も損ねないよう何も言わずにほほ笑むことにした。
 一人っ子なのもありあまり突っ込んだ付き合いをしなかったのも、男女から羨望のまな
ざしと、嫌がらせを受けない程度の嫉妬を集めていたのだと思う。

 γγγ

 「カッコいい」という言葉に違和感を覚える理由をはっきりと自覚したのは、四年生の
秋だった。
 当時クラスの誰も彼もが習い事だの塾だのにいくつも通っていて、自身が空いた時間に
趣味程度のピアノを教えるくらいだった母親も、成績に不安はなかったが息子が孤立しな
いようにと級友が多く行く個人塾に通わせ始めた。
 自分はといえば、別に行きたくはなかったが親の言うことに間違いはないので、良いと
も嫌とも言わずに級友の背を追って駅前のそのビルへと入った。



259 名前:夢想彼女(2/2) mailto:sage [2008/01/14(月) 17:55:51 ID:Qo31HyrY]
(2/2)

 塾の講師はいかにも体育会系だったような、壮年の男性だった。
 今思うと、幼女趣味というよりも単に女児への接し方が分からなかったのだろう。泣か
せてしまわないように、悪い噂を流されないようにと女子に対しては慎重すぎるほどに彼
は「優しい先生」として振る舞った。
 逆に男子にはそういった気遣いは一切せずに、感情を込めずにただ提出してきた課題を
添削し、必要があれば間違いを指摘して「あとは自分で考えろ」と突き返すだけ。課題を
怠ければ、怒られていない自分まで怯えるような怒鳴り声で叱責した。
 それまで出会った教師は厳しくとも甘くとも、自分を含め男女の区別はつけていなかっ
たように感じていたので、対象によって態度が変わるその講師は、ひどく恐ろしい存在と
して自分に刷り込まれた。
「須藤クンはいっぱいマルもらってるね!うらやましいなあ」
 「すごいね」や「カッコいい」等と自分に笑いかける相手の方が、何もしなくても講師
に優しくしてもらえる彼女らの方がよっぽどうらやましかった。
「僕も、僕だって可愛がってもらえるはずなのに!」
 声に出しはしなかったが、自分の凡ミスを冷ややかに指摘される度に、同じ箇所を何度
も間違える女子が優しく指導されるのを見る度に、問題を解きつつも頭の中はその思いで
いっぱいだった。
 表向きには塾にも講師にも問題はなかったが、その学年が終わる頃ついに耐えきれず、
ある日の夕食後に親に頭を下げた。
「家で勉強を頑張るから、もう塾には行きたくない」
 めったに物をねだらない息子の涙ながらの訴えに、両親は黙ってうなずき、母親は「ご
めんね」と優しく抱きしめてくれた。





260 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 01:08:21 ID:tJUy81xZ]
妹が兄の女装現場を発見して、立場が逆転しちゃうSSが読みたいです。

261 名前:名無しさん@ピンキー [2008/01/15(火) 17:23:38 ID:sESWmDEC]
>>260
あれ?俺いつ書きこんだっけ?

262 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 19:26:58 ID:5I2Khi0U]
上下関係が兄>妹だったのに、女装趣味がばれて妹>兄になっちゃうわけだな
いいな、それ

263 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 20:24:29 ID:tJUy81xZ]
そして、妹と妹の友達の奴隷になっちゃうとか・・・
って俺エロ漫画の読みすぎ・・orz

264 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 21:22:39 ID:sESWmDEC]
>>262 もしくは何かしら弱味を握られてとか

全校生徒の中で自分だけ男で女子に無理矢理女装で登校させられる……
いっぺん死ぬべきだな俺

265 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 21:34:12 ID:IHNRVVwI]
>>242
ナマハゲバロスwww
たまたま見かけたのを使っただけなのか、
ナマハゲを求めて検索しまくったのかw

二人が割りと普通の友達っぽい雰囲気なのに萌えました。

266 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 22:34:01 ID:T1mFZBPt]
>>258->>259

須藤きゅん最初の自発女装は小学生にまで遡るのかっ…!

267 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 22:35:24 ID:HQ8A+BBv]
>>264
そんで、何らかの事情で転学はできなくってお姉様(生徒会長)とかに、
「この学園の理念は『和を以て貴しとす』ですわ。女性ばかりのこの学園の和のために、
あなたも相応しい姿になさい!」
って強要されちゃうとか想像しますた(´д`*

昔途中まで読んだので、女子高に修行として女形の男が入学するってのがあったんだけど、
普通に男のままハーレムしてて、それはそれで楽しんだが「修行は!?ねえ修行は!?」
と切なくなったのを思い出した。


268 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/15(火) 22:38:05 ID:HQ8A+BBv]
(1/2)

 γγγ

 中学に進学し、あいかわらず自分の容姿や成績をもてはやしてくれる女子らはいたが、
当然ながら「女の子」として扱ってくれる存在はいなかった。
 日々の課題や任された委員会の仕事に忙殺されて、そんなコンプレックスを忘れかけて
いた頃、契機がおとずれた。
 その時質問で職員室に入ったのに、課題の未提出者に催促してくれと教師に頼まれ、自
分は顔には出さないがあまり良い気分ではなかった。
 「お前が言うと女子の頑張りが違うんだ」と冗談混じりのセリフに少し釈然としない思
いを抱きつつ、教室に戻る。
 入った途端、休み時間とはいえうんざりするような喧騒が耳に飛び込んできた。
「うっわすっげうわーっ!」
「もう、あいつらマジ嫌なんだけどー」
 部屋の真ん中に固まり何かを見ている男子らと、それを遠巻きにして呆れつつも興味津
々といった表情の女子たち。
 次の授業が始まったら、少し時間をもらおうと決め席に戻ろうとした自分を、輪の中央
に居た一人が呼び止めた。
「あ、おーい須藤須藤!」
「田口、お前だけじゃないけど理科Bの課題、先生が出せって」
「あー、ごめんそれはまた今度!それよりさぁ、」
「おい、やめとけよ」
 生真面目な自分が眉をひそめ教師に告げ口することを懸念したのか、別のクラスメイト
がたしなめるが、
「大丈夫だよ!須藤良い奴だもん!…でさ、女教師モノ興味ある?」
「教師…?」
 うなずきも断りもせず首を傾げる自分に業を煮やしたのか、小学校から同じクラスだっ
た彼は手にしていた雑誌を広げ、中のページを見せてきた。



269 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/15(火) 22:40:49 ID:HQ8A+BBv]
(2/2)

 そこにあったのは、異常にスカート丈の短いスーツ姿の女が、学ランの少年(今思うと
青年だろう)の前にひざまずいている写真だった。
 学ランは教室(と思われる)の椅子に座り、女の引き裂けたブラウスの中からこぼれる
豊かな乳房を、靴を履いたままのその足でたわませている。
「なっ…何見てるんだよ!」
「うわ須藤赤くなってるよ」
「かっわいー!」
「やだ、須藤クンにそんなの見せないでよー!」
 こんな開かれた場所で、そんなモノを見せられたという羞恥に赤らむ自分の顔を見て彼
らは、そして周囲は笑った。
 もちろんそれは嘲笑ではなく、予想通りの反応にからかうといった類のものではあった
が、恥ずかしい思いをしている自分を皆が見ているという状況に、なぜだかひどく興奮し
た。
 そして写真を見せられた時、一瞬学ランではなく辱められている女の方に自身を重ねて
しまった自分に戸惑った。
 お堅い黒スーツのスカートを足の付け根まで捲り上げ、彼女は設定的に教え子であろう
学ランにかしずいていた。
 それだけなら硬質な印象を与えるだろう黒縁の眼鏡の奥から学ランを見上げる、隷属す
る者の瞳に、屈辱を与えられてなおモノ欲しげに薄く開いた唇に、わけもなく嫉妬してい
る自分が居た。
(…嫉妬……?)
「分かったから先生来るまでにちゃんと隠せよ。後みんな課題出せ課題」
 反感を買わない程度に呆れた声で場を収めつつも自分の感情に困惑し、同時に小学生の
頃のトラウマが沸き上がるのを必死に抑えながら、不可解な気持ちの正体を探り心を鎮め
るために、あることを計画した。

 γγγ





270 名前:夢想彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/15(火) 22:42:13 ID:HQ8A+BBv]
>>265さん
「ナマハゲを求めて〜」ってので、

奴隷にはなってるけど内心嫌いな「俺」にバカにされてムカつくから、デコメは送ってや
る!(頑張って作成)
→せっかくだからクラス連絡しつつ嫌なものにしてやる!(クラス委員の性)
→嫌な画像はどんなのにするか悩む(良い子だからグロ画像送るなんて思いつきもしない)
が、自分がナマハゲで小さい頃泣いたのを思い出し「Σ(゜∀ ゜*)これだ!」

…という女装っ子(自宅で女装してないけど)を想像しましたw



271 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/15(火) 23:50:13 ID:U829Q1X2]
須藤はイザちょっかい出されなくなると、さみしくなっちゃうタイプとみた

272 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:20:38 ID:lkY5EKwv]
(本文ないです)

「妹が兄の女装現場を発見しちゃって、立場が逆転」

な、なんか禁断の匂いだなあ(´д`*)

今さらながらギャグなのと、エロ無になってしまったのですが、楽しく書けました。あり
がとうございます!>>260さん

もしよろしければドゾー。


273 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:23:24 ID:lkY5EKwv]
(1/8)

「三条さん家のお兄さんは立派ね」
 小さい頃から、私たちはその言葉を聞く度に誇らしかった。
 兄貴が中学生で私が小学生、弟の幸二に至っては幼稚園の時に、親戚の家に世話になり
始めた頃から兄貴は私たちの両親代わりであり、何より私たちの兄だった。
 一般センターで有名国立大学を一発でパスし、奨学生どころか優待生となることが決ま
った兄貴は、中学から新聞や郵便配達で貯め続けていたお金で私たちを連れて家を出た。
 伯父さんも伯母さんも良い人だけど、だからこそその憐れみと優しさが居心地悪かった
私たちは兄貴の行動力に驚かされつつも、両親が死んでから初めて気兼ねなく「ただいま
」と言えることに安らいだ。
 ちょっと自分の妹弟に対してだけ愛情過多というか、シスコンブラコンのケが激しいく
らいなんてこと…なくもないけど、まあ全体的に見て私たちはうまくやってきた。
 兄貴は立派だ。他人の知らないところで、彼がどれだけ努力してきたか私たちは良く知
ってるし、私たちの知らないところでどれだけ彼が大変な思いをしてきたのかも知りたい
と思う。
 幸二はまだ中坊だけど、私は後見人の同意さえ得られれば結婚できる年だ。兄貴の言葉
に甘えて勉強は続けさせてもらうけど、その重荷を少しくらい分けてもらったってバチも
当たらないだろう。
 兄貴の誕生日が近いので、その言葉とともに送るプレゼントをどうしようか考えながら
帰路につく。
 平日の真っ昼間に制服でぶらつく私を、散歩中のじいさんがうさんくさげに見てくるん
だけど、今日は急に生物の先生がノロでダウンして下校だなんて知るよしもないから、ま
あいっか。
 妹や弟に温かいご飯を食べさせるため、午前の最初の講義を受けたら家に帰り、私たち
が箸をつけてから大学から特別に二部に回してもらった授業に向かう兄貴。
 今日はいっぱい手伝ってやろう、野菜炒めしか作れないけど。
 そう思って、いい年して寄り道もせずに家の前に着いた私は、インターフォンを鳴らし
た。



274 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:25:41 ID:lkY5EKwv]
(2/8)

 よそ行き声の誰何に「ただいま」って返したら、兄貴はどんなリアクションをするんだ
ろう。
 そう思ってたら、スピーカーからの応答の代わりに、小走りにこちらに向かってくる足
音がした。宅急便か集金でもくる予定だったのかな?不用心だなあ。
 冗談で「金を出せ」とか言ってやろうか考えてたら、ガチャリとドアが開き、
「はぁ〜い!ご苦労さまで……」
 「す」と、最後までルージュを引いた唇が紡ぐことはなかった。
 見知らぬ女が、目の前に出てきた。
 その瞬間私が思ったこと。
 一、間違って違う部屋に来てしまった。
 残念、斜め上のネームプレートにははっきりくっきり兄貴の字で「押し売り勧誘かどわ
かしお断り・三条」と書かれている。
 二、兄貴の彼女。
 私の彼氏に少女漫画のライバルのような圧力をかけてきた彼には、早いとこ女でも作っ
て欲しいと思ってたところなので諸手を挙げて大歓迎なのだが、平素のフラグクラッシャ
ーぶりから考えて、ちょっと無理がある。
 何よりかにより、無視しがたい直感が私の仮説をことごとく否定していた。
「……伸子?」
 ほらね。
 モデルのような長身にハイネックセーターとスカートを身に着けて、栗色のゆるふわロ
ングヘアを髪に垂らした女は、間違いなく兄貴だった。眼鏡はかけてないけど、二次元キ
ャラではないのでそれくらいで分からなくはならない。
 こんな時、私はどうすれば良いのだろう?
「…えーと、もう一度ピンポンする?」
 妹の苦肉の策に、女、もとい兄貴は首を振って私の腕を掴むと、そのまま中に引きずり
込んだ。
「……おかえり」
 玄関のドアを閉めてからそう言った兄貴に、その間固まっていた私の舌が動き出す。
「な、なななななんなの兄貴!?それ、何の冗談?」
 靴を脱いで上がりながら必死で軽い感じに尋ねるが、顔面の筋肉と言う筋肉が引きつっ
てしまい大変なことになっている。



275 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:27:18 ID:lkY5EKwv]
(3/8)

「冗談じゃないよ」
 私の目を見て短く答える兄貴。兄貴のスカート姿なんてものを見るのは、高校の頃創作
劇「ロミ子とジュリ男」で男の体になってしまったお姫様役をしてた時以来だ。
 「意外にハマってる」と幸二と爆笑したが、今は爆笑どころではない。ある意味笑うし
かないが。
 顔を飾るのはやや濃いが決して下品でないメイクに、自然な栗色のウィッグ。マダムキ
ラーな兄貴の顔に、今はどこぞの令嬢のような華やかさがある。
 たまに、ごくたま〜に覚えのない場所にファンデ跡らしき色があったり、私の髪にして
はクセのある毛が洗面所に落ちてたりしたことがあったが、これか?
 均整のとれたボディラインをアピールするような、薄手のハイネックセーターの胸元に
も自然なふくらみがある。身内じゃなかったら野郎と分からないどころか、思わず振り返
ってしまいそうだ。
 足元は上品なシフォンの膝丈スカートに、蝶の模様がふくらはぎを飾るストッキング。
こりゃア○スイか?金かかってんな。
 兄貴の本気具合に打ちのめされている私を、さらなる責めが襲った。
「冗談じゃないぞ伸子。俺はお前と幸二の次に、女の子の格好するのが大好きなんだ!」
 腰に手を当て盛大なカミングアウト。小学生の頃親が居ないのに引け目を感じたあの頃
の自分はちっぽけだったなあ、うん。
「…って、威張っていうことか!……ぁ?」
 ピンポーン。
 近付く足音に動きを止めると、インターフォンの音と「三条さん、お荷物でーす」とい
う男の声。
 刹那、
「あ、はぁ〜い!」
 さっきより二オクターブ高い声で兄貴が応え、私を押しのけて玄関に出た。歌手の物真
似が上手いとは思っていたが、そんな才能をここで発揮しないで欲しい。
「毎度どうも」
 玄関を開けると兄貴より少し年上っぽい兄ちゃん。ムキムキだけど、兄貴に向ける馴々
しい笑顔が「奥さん米屋です」と言い出しそうな伊達男だ。



276 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:28:48 ID:lkY5EKwv]
(4/8)

「いつもありがとうございまぁす!」
 代引きなのかお金を出す兄貴の後ろに立つ私に、兄ちゃんが気付いた。
「あ、妹さんですか?」
「ええ。ほら、ご挨拶なさい」
 優雅に振り返りほほ笑む兄貴、設定的には姉貴。
「こんにちは…」
「お姉さんに似て、可愛らしいですね」
「もう、お上手なんだからっ」
 下心見え見えな配達員のセリフを軽くあしらう兄貴。おっとりしたうら若きレディー(
死語)っぷりに、私も米屋(設定)とは別の意味で悩殺だ。
「それでは、また!」
 永遠に訪れない昼メロ展開を期待している兄ちゃんを見送り、受け取った小包を持って
リビングに向かう兄貴を無言で追う。
 ローテーブルに包みを置くと、カーペットに座る私の方をパッと見た。
 そして、
「バレてしまっては仕方がない。見よ、妹よ!」
 言ってグワッとほわほわシフォンスカートの裾を捲り上げた。
「……うわぁ」
 中身を見た私の第一声は、そんな無感動なものだった。人間、何事も度を超すとこうな
るものなのか。
 ピンクのショートガードルは、やっぱりその道用なのか一物が見事に隠れている。いる
のだが…ガーターリングから垂れるストラップで留められた、ストッキングが描く脚線美
に気が遠くなりそうだ。
「どうだ!さっき届いた荷物にはバラ模様ストッキングもあるぞ!」
「…てことは、上も?」
「やだ、伸子ちゃんったらダ・イ・タ・ンっ!」
「要らんわバカ兄貴!」
 スカートから手を離し、いそいそとセーターに手をかける変態を怒鳴りつけると、にわ
かに傷ついた顔を兄貴は浮かべた。
「やっぱり……175センチでクマさん刺繍のブラはキモいかしら…?」
 言ってる事は変質者極まりないのだが、すっかり乙女になった顔でそんな表情向けられ
ると困る、非常に困る。



277 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:30:57 ID:lkY5EKwv]
(5/8)

「ぃ…いや、そんなキモいってほどじゃないと思うよ。ほら、さっきの配達の人だって、
ありゃあ兄貴に惚れてたね」
「やっだー伸子ちゃんたらっ!メグミちょー嬉しくってよ!」
 火(バカ)に油(燃料)注いじゃったー!
 というか何なのメグミって!?女装名までちゃんと付けちゃってるの!?
 大喜びの元・恵一さんがひとしきりピョンコラ飛び跳ね終わるのを待ってから、私はで
きるだけ冷静に尋ねた。
「兄貴、あたしたちできる限り受け入れるよう頑張るから正直に言って?ぶっちゃけゲイ
とかオカマとかなの?」
「何言ってるんだ。俺は伸子や幸二以外の男女に興味はない!」
「じゃあなおさらおかしいよ絶対!なんでそんな格好しちゃうのさ!?」
「だってこうしたいんだもん、仕方ないじゃん!」
 一年次の兄貴にくっついてった、偉い教授のフロイトの講義を思い出す。えーと、これ
はナニ期に失敗したらなるケースかな?
 とりあえず学業人物ともに優秀な兄貴が、こんな変わり果てた…美女に変わるような事
例は聞いたことがない。
「そこで妹よ、これを見て逃げてくれなかったよしみで頼みがある!」
 秘密の楽しみを暴いてなおお元気なことだ。
「……なに?」
「俺の…メグミのお姉様になってくれ!」
 最近のノロウイルスは、聴覚にくるのかな?なんか胃と頭が痛くなってきた上に、幻聴
が聞こえるよ。
「…何だって?」
「俺だって『お姉様』とか『〜〜でよろしくってよ』とか言ってみたい!」
 いや、それ女でも言わねーから!
 メディアの刷り込みですっかり勘違いしているバカ兄貴は、両手をぐーっと握りしめて
ふるふるしながら目に涙を浮かべている。キリッとした切れ長の目がそんな弱気な表情を
見せることは、たぶん私の前では初めてだ。
 ぐらっ。
 不意に目眩を覚え、私は頭を抱えた。



278 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:32:56 ID:lkY5EKwv]
(6/8)

「あれ?伸子どうしたの?」
 どうしたもこうしたもないだろ。ずっと私たちを守ってきた兄貴が、大好きな兄貴が初
めて私だけに頼みごとをしてくれたんだ。
 私はもう大きいから、兄貴の重荷を、兄貴の願いを…
「…って、そんな頼み聞けるかーっ!」
 それは社会的にとか経済的にって意味だ。間違ってもこんな変態趣味を助長させるため
に、私の健気な妹心を無駄にしてはならない!
 気圧されてはダメだと睨みつける私を、女の顔をした兄貴は静かに見つめ、
「……そっか」
 ドラマに出てくる美しき未亡人のような、ちょっと寂しげな笑顔を浮かべた。
「わかった。じゃあお姉様ごっこは諦める。変なこと言ってごめん」
 やけにあっさり引いて、兄貴は栗色の頭を下げた。
 そう、断れば良かったんだ。そうしたらまた元通り私たちは普通の兄弟で、また元通り
兄貴は一人の時に女装して……え?
 ちょっと待て、私が断ればこの変態はどこへ行く?
 また今日みたいに何かの加減で、今度は幸二と対面しちゃったりしたら…?
 私の脳裏に、背徳とかキンシン何とかいう言葉がよぎる。
 まだ女の子にそんな免疫がないだろう弟に、この悔しいけどビジュアルだけはポワワン
お姉様系色香に対抗できる理性はあるだろうか?
 ならばそれに押し切られない自信のある女の私なら、妹の私なら…
「…わ、わかった!付き合ってあげるよその変態ごっこに!」
「ほんと!?」
 私の胸の裡も知らず、パッと花咲くような顔をする兄貴。
「ただし!あたしと一緒に居る時だけにして、幸二には絶対バレないようにすること!そ
うしないと幸二と一緒にきょ…兄弟の縁切ってやる!」
 そんなことできるわけない。ちくしょう、声が震えちゃったじゃないか。



279 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:35:01 ID:lkY5EKwv]
(7/8)

「わ…わかった」
 真剣な表情でコックリうなずく兄貴。その服装と化粧がなくて眼鏡かけていればいつも
の自慢の兄貴なのに。
 うん、「たられば」が多過ぎるのは承知している。
「じゃあ、さっそく言って良い?」
 ウキウキが押さえきれないのか、夢見る少女のように胸の前で指を組む兄貴に、私は引
きつらないように注意しながら笑みを向けた。
「さあ、どこからでもかかってきなさい!」
 ええい、どうにでもなっちまえ!
 シャドーの濃淡バランスが絶妙な瞼を伏せて深呼吸した後、兄貴は身構える私の目をじ
っと見つめた。
「……お姉様?」
 コンタクトをつけてないのか、焦点の合わない目はふわふわと頼りなげなオーラを放っ
ている。うぅ、これに弱いから私は後輩に懐かれるのか?
「な…なぁに?メグミちゃん」
「やだ、お姉様。メグって呼んで」
 あだ名まで設定済みかい。
「め……メグ?」
「きゃ、お姉様ったら!」
 頬をほんのり薔薇色に染めた兄貴はたおやかな仕草で膝をつき、私にもたれかかってき
た。
 ほわん、と化粧品以外の良い匂いがする。
 「兄貴」の顔で私や幸二を抱きしめてくれる時とは違って、ちょっと遠慮がちに肩に指
を置かれた。
「ど、どうなさったの?メグ」
 もっと女らしい言葉遣いをしなさいと小学生の頃から言われてきたが、発表会とか以外
で自分から意識して話すのは初めてだ。
「抱っこして。お姉様」
 言って、私の着ている制服のリボンあたりに顔を寄せた。何詰めてるのか、兄貴のセー
ターの下にあるフニフニのニセモノ乳と、彼氏以外には女子にしか揉ませてない私の胸が
ムギュムギュぶつかる。
「メグ、お姉様のことうらやましい。お姉様は可愛いし、お勉強もできるし、おっぱいも
おっきいんですもの」
 あのー、なんかセクハラされてません?私。





280 名前:ウチの馬鹿アニキ? ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:36:30 ID:lkY5EKwv]
(8/8)

「…まさか兄、いやメグ。あたしの居ない間に変なことしてなかったでしょうね?」
「いやだわお姉様。メグに妹の服が合うわけないじゃない」
 兄貴がでかいのと自分が平均身長なのに、今は亡き両親に深く感謝する。
 頬に当たるふわふわの髪の毛と、程よく甘い香水の香りにムズムズしてきたのを誤魔化
すように私は口を開いた。
「あら、メグちゃんだってすぐ大きくなるし…その、今のままでとっても可愛らしくって
よ」
 なんだこの女言葉。
 自分で自分に悶えたくなるが、兄貴は気にならないのかクスリと小さく笑った。
「うれしいな…お姉様、大好き」
 普段ではありえない、低い位置から聞こえる兄貴の、いつもと違う声。抱きしめた腕か
ら、密着した胸から伝わる声。
「…それに、メグはとってもお利口さんよ」
 わずかに濃くした睫毛にかかる前髪をよけてやると、兄貴が私を見上げてきた。
「…お姉様。お姉様は、メグのこと好きですか?」
 わずかに震える声と、私の肩にかけられた指。
「……ええ、もちろん」
 この言葉に嘘はない。
 腕の中の兄貴の姿に嘘はあっても、私の気持ちに嘘はない。
「あたしも、メグのこと大好きよ」
 一瞬とても複雑な表情を浮かべてから、兄貴はとてもきれいな笑顔を見せてきた。
「お姉様、好きよ。大好き」
 頬ずり(非常にすべすべしている)してくる兄貴の背を撫でてやりながら、私は誕生日
プレゼントは女物のオーデコロンだな、と思っていた。
 この「妹」に、ジ○ンシーはまだ早い。

(おしまい)



281 名前:ウチアニ?の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 00:38:49 ID:lkY5EKwv]
(本文ないです)

下克上っぽいのが好きなのですが、女装っ子が攻めまくったり相手が弱気っぽいのも好き
なので、妹をヘタレにしてみますた。

「妹が兄の〜」だけ読んで妄想したので、イメージと違ったらスマソorz

秀才のインフレがひどいのは「権威の失墜」とか「あんなイケメンがこんな事を…!」っ
ていうギャップが好きだからなのですが、今度は別に普通な女装っ子も書いてみたいぞ!
とネタをこねくり回してますので、もし良かったらまたお付き合いください。

休みが重なったのと萌えたのとで、自分がネタかっさらってしまいましたが、
どうぞ他の方もお気になさらないでくださいorz
(自分だけ楽しんで申し訳ない)

読んでくださり(レスくださり)ありがとうございました!



282 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/16(水) 01:02:09 ID:9y7f5l4d]
またスゴイのキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

283 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/16(水) 01:52:43 ID:CbLW09oa]
なんたる速筆GJ!

284 名前:260 mailto:sage [2008/01/16(水) 01:57:20 ID:GyR8HGfo]
自分のエロ妄想をまさか書いていただけるとは・・・
感謝です!

285 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/16(水) 19:43:02 ID:L3A07r3R]
>>270
中の人、レストン!
何から何まで萌えっ子だ…
そうだよね、こんな可愛い子が女の子のはずないよね。

あー、同人誌作りたくなってきたwww

286 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 20:59:26 ID:lkY5EKwv]
(1/2)

 その月は土曜日も両親は仕事で、日中は自分一人が家に残っていた。
 普段は宿題の後ぶらぶらと本屋に行ったり、気が向けば中古ゲームを買ってきたりとし
ていたのだが、その日だけは先約があった。
 別に休みに自宅にどれだけ居ようと構わないのに、これからやることを思い緊張しなが
らハウスキーパーが掃除を終え出て行くのを見送った。
 彼らが忘れ物をしてないか確認してから、入らなくなって久しい部屋へと向かう。
 開けた扉は少女趣味なプレートのかかる、人だけが居なくなって何年も変わらない叔母
の部屋のもの。
 「別に客間もあるんだから、あの子がいつ帰っても良いようにしときましょう」と、義
妹の実の兄である夫にきっぱりと宣言し、母親が家具もそのままに掃除だけをさせている
のだ。
 それでも生活臭のないせいでわずかにほこりっぽい絨毯を、自分の足はそろりと踏みし
めた。
 その懐かしさと、今や連絡もろくに取れない叔母への恋しさに涙すら出そうになったが、
そんな感傷に浸るためにこうして入ったのではない。
「お邪魔します」
 間抜けなセリフとともに、クローゼットの戸を開く。目当ての物はすぐに見つかった。
 それは、叔母が高校生の時着ていたという制服だった。
 自分が着たそれより少しだけ色のあせた、白いセーラー服。紺色の襟には三本白いライ
ンが入っていて、赤いスカーフとともにその学年を表すのだと、聞いた覚えがある。
 スカートをかけたハンガーから外し、手に取る。久しぶりに間近で見るセーラーカラー
と、クローゼットと防虫剤の匂いに混じってかすかに残る叔母の懐かしい香りに、鼓動が
早まった。



287 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/16(水) 21:00:41 ID:lkY5EKwv]
(2/2)

 そっと持ち上げ、胸の前に合わせてみる。
 若い頃から彼女は背が高かったのだろう、小柄な自分は十分この身を収めることができ
そうだ。
 部屋着のポロシャツを脱ぎ、スカーフとファスナーを緩めたセーラー服の上をかぶる。
 布や脇腹の皮膚を挟まないよう、クローゼットに付いた鏡を見ながらファスナーを閉め
直し、どこか知らない校章の付いたループにスカーフを留める。
 いい年して母親の剃刀で十分処理できる薄いひげや体毛も、合宿先の大浴場ではないこ
の場では、自身の背を押す材料でしかなかった。
 着ていたジーパンや靴下を脱ぎ、女学生服に一番違和感がなさそうだと、自室から持っ
て来たハイソックスを穿き、凹凸のないふくらはぎを包んだ。
 冬の間防寒のためにズボンの下にあったこれを、今日は見せるために身に着けるのだと
思うと指が震えた。
 多数の生徒に着られることを想定しているためかスカートのウエストは緩く、腰骨でど
うにか一番細いところが引っかかる感じだった。細身の叔母もきっと今の自分のように、
ホックを留めても落ちてしまいそうなスカートに手を焼いたのだろうか。
 せいぜい上半身しか映せないクローゼットの鏡を見ないようにしてその場を離れ、部屋
の隅に置かれた大きなスタンドミラーの前に立つ。
 叔母が高校生になった時、祖父母がプレゼントしてくれたのだというその姿見は、縁や
裏側に凝った彫刻が施されていて、自分も幼い頃叔母の服を着てその前に立つ度に、おと
ぎ話に出てくる鏡みたいだと思ったものだった。
 震える両手を叱咤しながら、ほこり除けにかけられていた布を取り去った。



288 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/16(水) 23:00:29 ID:lOJR2VIN]
うわーー大好きだわこれ…
背徳の香りがたまらん…

289 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/16(水) 23:14:57 ID:CbLW09oa]
初女装のわくわくどきどき感スバラシス



290 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/17(木) 12:39:39 ID:8QAcZSgk]
(1/3)

「……ぁ………」
 かすれた喘ぎは、紛れもなく歓喜に満ちたものだった。
 少し大きな制服に身を包む女生徒が、その中に居た。
 かすかに震える膝が触れ、折り目正しいプリーツスカートがひらりと揺れる。それすら
もそれを着ているのだという、自分を喜ばせるもの以外の何物でもなかった。
 倒錯した昂揚を、薔薇色に染まった頬は如実に現していた。
 苦労しながらほんの少し口角を持ち上げると、まるで着慣れない制服に緊張しながらも
はにかむ新入生のようだ。清潔感のあるショートカットが、やせっぽちの身体や強張る笑
顔を幼いものに見せている。
『ゆうちゃんは可愛いねえ』
『よく頑張ったね』
『おりこうさんだねえ』
 少年の自分には向けられなかったかつての講師の言葉が、少女の姿形をした今の自分に
は与えられる価値がある。
 自分には可愛がられる、愛される根拠があるんだ!だってほら、セーラー服もスカート
も、赤いスカーフだってこんなに似合っているじゃないか!
 両親の帰宅に間に合う時間になるまで飽くことなく自分の姿に見入り、アラームの音に
驚いてようやく自分が長時間姿見の前に立っていたことに気付いた。
 未練がましくゆっくり着替えていたら、自分の性器が勃起していた。淫らに熱を持ちヒ
クヒクと脈打つそれに、自分のものながら困惑する。
 性欲に乏しいと思っていた自分の、紛れもない悦楽の萌芽を見つけ、ここで初めて、ほ
んの少しだけ罪悪感を覚えた。




291 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/17(木) 12:40:56 ID:8QAcZSgk]
(2/3)

 γγγ

 叔母が結婚した時とは別の意味で、自分の世界は変わった。
 学業に支障のない範囲で、自宅で一人の時間さえできればセーラー服をまとい、鏡の中
の自分の姿や立ち居振る舞いの「女性としての」違和感を減らしていく努力をした。
 今までたいして気を使わなかった肌の手入れを、「年頃だから、身だしなみに気を使い
だしたのね」と周囲に怪しまれない程度に始めた。その影では、母親や同級生の女子の仕
草やネットで情報収集し、ほんの少しずつ母親の化粧品を使いこなせるよう、容貌に合っ
たメイクを覚えるようにした。
 髪を伸ばしだしたのも、周囲には「セットが楽だから」と「真面目な須藤クンの意外な
一面」を垣間見せることで誤魔化し、その影では鏡の中の少女がより女性らしくなってい
くことに酔った。
 ジャージや大きなコートを着て校外活動なり街を歩けば、声をかけてくる同年代や年上
の男に苦笑しながら首を振り、愕然とされる度に笑う周囲に覚られないよう満足感に浸っ
ていた。





292 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/17(木) 12:42:16 ID:8QAcZSgk]
(3/3)

 秋波を投げかける女性では満たされない。頬を染め身を乗り出してくる、自分の見た目
を性愛の対象としてくれる同性の視線が欲しかった。
 自分は同性愛者なのかとも思ったが、試しにそういったモノをネットで漁り見てみても
逞しい肉体や精悍な顔を見て食指は動かされなかったし、肛門に性器を突き入れる画像は
最後まで見ることができなかった。
 あくまで女の姿をした、魅力的な女性として扱われる自分に興奮するということが分か
り、自身に呆れつつも安心した。
 これならばれない限り、他の誰も、自分さえも傷つけることなくこの秘密の遊戯を楽し
むことができるからだ。
 うまくやる自信はあった。どういうわけか中身まで要領良く生んでもらったおかげで、
短い人生であの塾時代以外に挫折した経験は一度もない。
「きみ、可愛いね」
「彼氏待ち?もし良かったら…」
「すみません、ちょっと時間ある?」
「えっ!?男なの?」
「須藤…さん、でいいのかな?」
「ちくしょう、だまされた!」
 困ったようにはにかみ、周囲にとりなしてもらう。「まいったな」等と言いつつも、胸
の内では達成感にあふれていた。




293 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/17(木) 14:00:32 ID:mJC8XpLB]
エロパートじゃないのに読んでるだけでおっきした ふしぎ!

294 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/17(木) 23:55:23 ID:hH0869es]
女装の背徳・倒錯・興奮が詰まっている。
素晴らしい。
GJ!

295 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/18(金) 21:36:28 ID:RzEZl2xy]
(1/2)

 γγγ

 スカートの中、下着の下にまで手を伸ばし、みずからを慰めるようになったのはいつか
らだろう。
 雑誌や画面の中の女性でなく、女の格好をした自身に欲情するという自分の悪趣味さに
負い目を感じつつも、その後ろめたさがかえって気分を盛り上げた。
「は……っ…あふ………っ」
 大きな鏡の前で下着を下ろし、セーラー服の上下を着たまま屹立した性器を一心に擦る。
 セミロングの黒髪を汗で頬に貼り付けて、汚さないようにとスカートの裾を咥え、みず
からの男性器を扱く少女というその異様な姿を、鏡面は偽りなく映し出していた。
「ぁ……あ…ごめんなさい……っ!」
 妄想の中で自分はたいてい誰かに罵られ、その相手に許しを乞うていた。
 それは学校で自分に頼りつつも気安く笑いかけてきた級友であったり、自分の発言に眼
鏡の奥の目を細めた厳格な教師であったり、果ては自分に憧憬のまなざしを向けた女生徒
であったりした。
『すました顔しているくせに、そうやって女の格好して…気持ち悪い』
『目をかけてやったのに、どうしようもない変態だ』
『うわぁ、幻滅…』
 色事に乏しい自分の語彙では、この程度で自身を責めるのが精一杯だ。
 「可愛がられたい」という願いがどういうわけか歪み、こうして自分を苛み辱める事を
求める。これはきっと、あの時見せられた写真のせいなのだろう。
「あぁ……そう、そうなの…」
 教科書の朗読にはともかく、演説には向かないと評された声で、衣装にふさわしい、女
のような口上を紡ぐ。
「ゆるして…お願い、出ちゃ、う……っ」
 居もしない誰かに媚びを売るような色に自分で怖気が走るが、同時に今まで味わったこ
ともないような興奮を覚えた。



296 名前:夢想彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/18(金) 21:37:44 ID:RzEZl2xy]
(2/2)

 当時から目に焼き付いて離れない、辱められてなお教え子を求め、被虐に酔いしれる女
の顔を思い浮かべ、空いた手でセーラー服の上から胸をさする。
 うっすら筋肉がのっているだけの、つまらない胸板。写真のように踏みつけられたり、
ネットで見た画像のように乱暴に揉みしだかれてみたらどんな感触だろう?どんな気持ち
になるのだろう?
 分かるはずもないが、それでも下着を着けていない素肌に服越しに触れると、自分の手
ではなく誰かに撫でられているようで、ゾクゾクとした。
 あれらに出ていた女性ほど大きくはないが、乳房よりはそれに近い乳頭に布地が擦れる
と、ピリッとした甘い痺れが背筋を這い上がる。性器を扱くのとはまた違った刺激を、夢
中になって求めた。
「…ぁ…もうだめ、あ……ぁ…っ!」
 甘やかな夢想に耽りながら、今日もまた汚らわしい欲望を放った。

(おしまい)


 おまけ

 某月某日。
 須藤に『無双』で野球拳しようと言ったら、マジ切れでコントローラーぶつけてきた上
に泣きながら出て行ってしまった。
 白衣の天使ルックのまま、どこで着替えたんだろう?
 「純白の思い出を汚すなぁ!」とか、マジわけ分かんないし。

(ほんとにおしまい)




297 名前:夢想彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/18(金) 21:38:18 ID:RzEZl2xy]
(本文ないです)

女装っ子の過去と目覚めは以上です。

エロ少ないのが続いたので、次回以降またエロ沢山書きたいです(´∀`*)

読んでくださり、ありがとうございました!



298 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/18(金) 21:41:00 ID:RzEZl2xy]
(本文ないです)

打ち忘れがありましたorz申し訳ナス


次回すぐに出すのではないのですが、女装っ子に着せるモノでネタ二つ分迷ってます。

・ブルマは紺か赤か。

・文化祭でありがちな喫茶店のミニスカエプロンドレスの色で、
白かピンクか水色(すべてパステルカラー)のどれにするか。
(メイド服はまた別の話で使いたいので、ウェイトレス制服のイメージでお願いします)

これもまた希望なければこちらで決めて投下しますので、もしご希望があったらお願いします。
(ブルマ、ドレス共に該当箇所までに多かったものにします)

それでは何レスも失礼しました。



299 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/18(金) 22:41:39 ID:pFDeZXah]
>>298
ブルマは紺! 紺で!!



300 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/18(金) 22:54:16 ID:1BeFs9C1]
紺!紺でお願いします!

エプロンは水色がいいな。下着とかでピンク着てるし。
まぁ何色だって須藤君には似合うんだけどw

301 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/19(土) 01:08:24 ID:z7wh6U35]
ブルマは紺、2本ラインで(1本でも)

あと、ウェディングドレスとか・・・いえ、なんでもないです

302 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/19(土) 13:21:40 ID:IhgQvlxE]
女装オナヌーGJ!

赤も捨てがたいが、ここは紺で。
ttp://imepita.jp/20080119/451790

エプロンドレスはピンクで。
ttp://imepita.jp/20080119/452090

303 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/19(土) 17:56:23 ID:WUqx4wgC]
>>13-33まで続いたIMITATION-GIRLの続きまだ?

304 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/19(土) 18:21:24 ID:pfr/92in]
>>303
 >>202‐208

305 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/19(土) 18:53:58 ID:WUqx4wgC]
>>304
サンクス
ってまだ途中か・・

306 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/19(土) 21:51:29 ID:J3xEAWjV]
(本文ないです)

「偽装彼女」の続きです。小ネタよりも「偽装」の話題が含まれます。


「偽装〜」がちょい長くなったので、もしこちらから読まれる方へ↓

 概要
イケメン優等生な須藤くんのMっ子女装趣味が、ひょんな事からクラスメイトで精神的S
な「俺(村瀬)」にバレてしまい、色んな意味で可愛がられる話です。

今回からしばらくは女装描写薄いですが、ご了承ください。



307 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/19(土) 21:52:19 ID:J3xEAWjV]
(1/3)

 13日ではないけれど、ついてない金曜日だ。
 しばらく予備校漬けになった後久々にバイト先に行ったら、シフトを勘違いしていた。
今月はまだ入ってなかったらしい。
 高校から電車に乗ってまで無駄足踏んでしまったことと、それならもっと平日は緩やか
な時間割を組むんだったと少し後悔したが、しばらくは平日遊んで帰れるとポジティブに
考えることにした。
 が、歩きながら見えた駅前のドラッグストアの看板に、前の彼女の下着やら化粧品やら
といった私物がまだ俺の部屋に残っていたことを思い出してしまった。
 バイト先で知り合った、学校は違うけど同い年の彼女。あちらは先に辞めてしまったが
、この駅で一人暮らしをしていた彼女とはそれなりに刺激的な付き合いを続けていたのだ。
 俺的地雷をガッツリ踏みまくってくれた挙句、あちらも俺にブチ切れて衝動的に別れて
しまったままだったのを、一週間近く経ってようやく実感した。別れた直後に、立て続け
にイベントがいくつも起こったせいだろう。
 イベントの内容を思い出してニヤニヤしつつも、置いてかれたのを勝手に捨てちゃあマ
ズいかなあ、でもぶっちゃけウザいからどうにかしたいなあと気分は沈み気味で駅構内に
入ろうとした途端、
「あ」
「あ」
 前カノご本人とご対面してしまった。
 しかも相手は彼氏連れ。別れて何日もしないうちからなんて、どんだけだよ。
 …まあ、俺も他人のこと言えないけど。
 このまま人違いを装うこともできるが、せっかくだしお互い清算しとこう。そう思って
俺はにこやかに声をかけた。
「あ、マミちゃんおひさー!」
 「知り合い?」と俺を警戒しつつ尋ねる男と腕を組んだ彼女は気まずげな表情。あー、
こりゃあこっちに有利だわ。



308 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/19(土) 21:53:32 ID:J3xEAWjV]
(2/3)

「あれ、覚えてる?村瀬だよムラ!」
 一週間前は目の前の男ポジションだった片鱗も少しも見せずに、他人行儀にニッコリ笑
う。気まずさに引きつる笑顔を無理やり浮かべた彼女は、「前のバイト友達」と彼氏に耳
打ちした。
「ま…まだバイトここだったっけ?」
「うん、今日はシフト確認だけだけど…彼氏さん?お初でっす!」
 俺のチャラい愛想笑いに、身構えてた男はぎこちなく「どうも」と返してきた。余裕な
いなあ、こいつ。
「いやーでもマミちゃん彼氏居たんだ!仕事中そんな素振り見せてなかったから、うっか
り合コン誘うとこだったよ、良かったー」
「そう、なんだ…ゴメンねー」
 はた目には和やかな友人同士の再会を演じつつ、俺は本題に入る。
「あっ!そうそうせっかくだから今聞きたいんだけど、マミちゃん辞める前マンガ貸して
くれたじゃんマンガ。あれさー皆で回し読み又貸ししてるうちに誰が誰んトコにあるか分
かんなくなっちゃって、何冊かはロッカーに残ってんだけど、どうしたらいっかな?」
「マンガ…?」
 怪訝な顔をするが、俺の目を見て何か察したみたいだ。
「あ、ああ!アレね!思い出した、うん!」
「なんならバイトん時回収してポストに届けるけど…マミちゃん家この辺だったっけ?」
 彼氏の見ている前で腹を探り合う元カレカノだなんて、笑えない。
「…もういいからそっちで処分してよ。あたしもムラ達から借りたMDか何か、又貸しし
ちゃってワケ分かんなくなっちゃったし」
「りょーかい。んじゃ、邪魔してゴメンね〜!」
「またねっ!」
 「また」が来ないことはあちらもこちらも承知済みだが、俺たちは互いに作り笑いを浮
かべ手を振った。
 振り返りもせず改札を通りホームに着いてから、やっと俺は顔を楽にした。気分にふさ
わしい仏頂面。
「………ぁー」
 色々いたしてた相手捕まえて言うのも何だが、見たくもない顔見ちゃってマジ落ちたわ。



309 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/19(土) 21:54:54 ID:J3xEAWjV]
(3/3)

 まったく変わらない、腕組んだ相手に媚びまくりなエロ女。
 大きな胸と、ちょっと気が強いトコが良いかなと思って付き合い始めた気がするが、ち
ょっと実感わかない。
 なかなかエッチさせてくれなかったから意外と処女と思ったら、単に俺の身体値踏みし
てたみたいだったとか、いざ一回ヤったら会う度に部屋連れ込んでケツ触ってくるわ、あ
んまりアレな顔で「イヤイヤ」いうから萎えて止めたら逆ギレするわ……なんであんなん
と付き合って楽しんでたんだ?俺。
 実質的にすでに別れていた相手について残ったのが、あんまり嫌な思い出ばかりでイラ
ついたので、俺は携帯を取り出した。
 強制的に入手した番号にかけるのは初めてなので、着拒されることなくつながる…あれ
?留守電かよ。
「はーいユカちゃん?こないだの記念写真これから送るから、ちゃんと見てね〜!」
 メッセージを聞くのと、嫌々開くメールを見るのとどっちが先になるんだろう?相手の
反応を想像してみると、数分前に事実上にも終わった関係なんてどうでも良くなった。
 送る画像は、先週の日曜に撮ったもの。
 明るいファミレスの座席で、中にはエロ下着しか身に着けていないのを、羽織ったコー
トの前を開いてカメラに見せつけているという「それなんてエロゲ?」なシチュエーショ
ンな代物なのだが、特筆すべきはその配役だ。
 羞じらいつつも被虐の悦びに上気した頬も、サラサラの黒髪の下から覗く、涙をいっぱ
いに溜めた大きな瞳も、ブラの意味をなしていないフリルの枠に縁取られた、ぷっくりと
色付いた乳首も、薄いパープルが淫靡に映える白い肌も、すべて女性のものではない。
 凹凸のない滑らかな胸板や、ショーツから飛び出した無毛の勃起ペニスや睾丸が、被写
体が紛れもなく男であることを証明していた。
 そして俺は、こうして公共の場で倒錯的な姿をさらして欲情しているのが、クラスメイ
トにして誰もが羨むイケメン優等生の須藤豊だと知る、本人以外で唯一の人物だった。

 яяя
 




310 名前:協定彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/19(土) 21:57:43 ID:J3xEAWjV]
(本文ないです)

度々間違い失礼します、

>>298のレス内、
白かピンクか水色
じゃなくて、
白(基調) に ピンクか水色
でしたorz白にエプロンじゃマッチロケじゃないか。


そんな中ご回答ありがとうございます!

>>301さん
赤にしろ黒にしろ、二本ラインは入れる気満々でしたw
あまりのど真ん中具合に、寝てる間に自分でレス書いたか!?と思いましたw
ウェディングドレスも萌えますな(´д`*書いてみたいです。

>>302さん
ご回答どころか画像までありがとうございます!
上の画像は「お姉ちゃんのイケナイ保健体育」なんてベタなタイトルが頭をよぎりましたw
下の「お客様」は是非次回以降ネタにしたいです。



311 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 11:21:29 ID:NiYERr2w]
(本文ないです)

これから投下するのは「偽装〜」キャラのウェディングドレスネタです。
エロなしで女装っ子暴走になりましたがもしよろしければ。

>>301さん、素敵ワードありがとうございました!

投下中の「協定〜」もエロまでが長いので、次の小ネタはエロ沢山にしたいです。


312 名前:追懐彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 11:22:31 ID:NiYERr2w]
(1/3)

 ベールもブーケもないが、本物なのだ。
 レンタル落ちで格安だったウェディングドレスをクリーニングしてもらって、真新しい
色になったそれを須藤に着せた。
 背中とウエストに編み上げるような赤いリボンの飾りがあって、奴の白い肌と艶やかな
黒髪とあいまって「白雪姫」なんてベタな単語が頭をよぎったくらい可憐なデザイン。
 背中のファスナーを身体の硬い奴の代わりに上げてやりながら「すげー可愛い」とかか
らかってた時は、いつも通り顔を赤らめて「ふざけるな」とか言ってたはずだ。
 長い裾に動きづらそうな奴を机の上に置いた鏡の前に座らせて、俺は洋風かんざしとい
うか、針金を折り曲げたようなヘアスティックを手に後ろに立ち、奴の髪を飾ってやろう
と手櫛で解かしていたのだが。
 気付けばさめざめと涙する彼が、俺がまとめ髪のバランスを確かめようとして見た鏡に
映っていた。
 別にやらしいことしたわけでも、とりたてて言葉責めしてやったわけでもない…という
か、それはこれからだったのだが、何の具合か花嫁姿の優等生は俺に髪を触らせたまま泣
いている。
 はじめは髪の毛を引っ張りすぎたのかと思ったが、痛い思いをさせるのは趣味ではない
ので慎重にやっていたから、それはないだろう。
 だったら純白の乙女の夢を叶えてしまった自分に悲しくなったのだろうか?いやいやそ
れでは一番始めに着せられた時点でアウトだろうし、今の状況以上に泣きたくなるほど恥
ずかしい思いは沢山させたはずだ。
 とにかく、表向きは嫌々従っているはずの俺の前で奴が自発的に「いや」だとか「恥ず
かしい」以外の感情を見せることはなかったので、俺は柄にもなくうろたえてしまった。


313 名前:追懐彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 11:23:42 ID:NiYERr2w]
(2/3)

「ど、どしたん?」
「………なんでもない…」
「いやいやそれなら聞かないって!」
「…ごめん……っ」
 俺に謝るだなんて、これは由々しき事態だ。何か変なスイッチ入っちゃってるのか、し
ゃくりあげながらついに顔を覆ってしまう。髪をアップにするどころではなさそうだ。
 そう思いつつも、泣き顔が絵になるだなんて創作の世界だけじゃなかったんだ!とひっ
そり感動してみたりしている。本人が気付かないのをいいことに、鏡で正面から、のぞき
込んで斜め上からと、世にも貴重なウェディングドレス姿の女装優等生の泣き顔というも
のを鑑賞した。
「…えーと、もしかして、先祖代々伝わる家訓が『ウェディングドレスを着たら勘当』だ
ったことに気付いたとか?」
「……ゃんが…」
「あ?」
「襟子お姉ちゃ……叔母と、さいごに一緒にいた時、これ着てたから…」
 叔母って、こいつと俺の趣味のきっかけになったセーラー服の持ち主だったよな。「さ
いご」って、故人だったんですか?
 便利キャラで終わると思いきや、どうやらこいつにとって重要な存在なようだ。そんな
大切な人のなら、俺なら着衣オナニーなんてできないんだけど、優秀な奴の考えってわか
らない。
「えーとその…なんだ、大事な人なんだなっ?」
 黙ってコックリうなずく。顔だけ見れば、家族への感謝の手紙を読んだ花嫁のようだ。
「…あー……」
 黒髪を一房手にしたまま、次の行動に悩む。
 可愛い弟相手に血も涙もない姉貴に金払ってクリーニングしてもらったことを思い出す。
 こいつの感傷なんて、あの女に借りを作ってしまった俺に比べたら一銭の価値もない。
 俺は自分の手の中にある黒髪やスティックと、奴の片手で覆われた泣き顔とを見比べた
め息をついた。



314 名前:追懐彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 11:24:40 ID:NiYERr2w]
(3/3)

 そして、
「……っ!?…」
 髪から手を離し、奴の頭を撫でてやった。
「やり方ど忘れしちゃったから、また今度な」
 先程までと違い目的なく髪を梳いてやると、肩を震わせて「遅すぎだろ」と小さくつぶ
やいた。
 うん、俺も珍しく言い訳失敗したみたいだ。
 「初めての共同作業は新婦のチンコをふたりエッチです〜」とか、「ここで新婦による
キャンドルサービス!(白い火を噴かせます)」とかいろいろ考えてはいたのだが、今日だ
けはお預けにしておこう。
 ただし、次回これを着せる時は今日の分もしっかり取り返させていただくが。

(おしまい)


 おまけ

 最近、土日やメール以外でやたら村瀬が関わってくる。

 学校で妙に視界に入ってきてウロウロした挙句、「今日もリア充だね!」とよく分から
ないことをいって肩を叩いてくるのだ。当然無視すると、今度は「朝飯ちゃんと食った?」
とか周りを巻き込んで世間話を始めようとする。
 隠しているはずの関係を匂わされているのかと、近付かれる度に内心ひやひやする。や
めて欲しい。

 今日の昼休みなんか、珍しく図書室に来たかと思えばわざわざ俺に貸し出し手続きをと
らせた本を押しつけて行った。
 あいつのことだから中学生が喜びそうなきわどい小説かと思ったら、「オーバー・ザ・
ロス〜大切な人を失った時に」とかいう、事故死や病死によって残された家族への心のケ
アに関する本だった。

 ここ数年、遠縁の曾祖父以外に身内に不幸はないのに、新手のいやがらせだろうか?

 腹は立ったが、夕食の時母親に襟子お姉ちゃんから届いた近況を教えてもらったので、
彼女に免じて忘れてやることにする。
 相変わらず年に一、二回メールしかできないほど、毎日が充実しているようだ。

(勘違いはしばらくつづく)



315 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 13:01:59 ID:O43Nkc9u]
村瀬、何気にいいヤツだなw

316 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 13:44:03 ID:Gh1Sv9jM]
情が移ってきたというやつだな
数字板のいけない腐ったお姉さんたちが喜びそうなシチュだ

317 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 14:03:38 ID:OvPOJEoN]
ウェディングドレスの調達までやってしまう辺りすでに填ってる気もするがw

318 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 15:12:13 ID:LGa6hVnt]
しかし村瀬は器用だな、着付けやらメイクやら…
あれだ、将来はそっち系に進んだらいいんじゃね?

>>310
白は間違いとの事だけど、
以前見た白×白のエプロンドレスが萌えだった事を報告しておくw

319 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 15:34:53 ID:NiYERr2w]
(1/3)
 
 そのまま留守電もメールもスルーされたが、見てもらえたことは翌朝教室で目が合った
時、奴が一瞬遅れて下を向いたことから確認できた。
 月曜に「クラスメイトの須藤君」としていつも通り登校した彼は、土日のできごとが嘘
だったかのように皆に対しても、俺に対しても振る舞っていた。
 話しかけられればその整った顔に笑みも浮かべるが、用事がなければ基本的に無関心。
開いた時間も黙って本を読んでたりという具合だ。なまじ顔がいいので、根暗どころか後
輩には「孤高な王子様」呼ばわりされる始末。なんでも王子王子つけるなっての。
 午前授業中の休み時間に、朝家のポストから持ってきた模試結果を開いていると、その
王子様とやらが俺の机まで来た。ブレザーのボタンを開けていても、きちんと締められた
ネクタイのせいか折り目正しいスラックスのせいか、生真面目な印象が崩れることがない。
 普段は互いに気にもかけてなかったのだが、日曜にセーラー姿で俺の家を出てから一言
も話してない彼が俺にどんな用なのか、非常に興味深い。
 周りに覚られないよう、肩の力を抜いて奴を見上げた。
「…何?」
「沢田と矢野は?」
 入学早々から女子とくっついたり離れたりを繰り返していてあんまり評判の良くない俺
と、教師のおぼえめでたい奴が向かいあったことに主に女子が注目していたが、優等生の
セリフに「ああ、また仕事か」と興味をなくしたようだ。
 たしかに、女癖の悪評高い俺と「真面目な須藤クン」の共通項なんて、クラスが同じこ
とくらいしかないだろう。先週までは。
「知らね、便所じゃね?」
 それこそ女子じゃあるまいし、つるんでるからって逐一居場所なんか把握してない。
「こないだの数Uの補習、課題出してないのに帰ったろ」
「あぁー…」
 まさしく俺の手の内にある結果を出した、予備校の共通模試の日だった。放課後そんな
ものがあった気もしたが、そんなのより偏差値がしっかり出る方を優先して三人で下校し
た気がする。
 



320 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 15:36:06 ID:NiYERr2w]
(2/3)
 
「未提出者対象だって、知ってたよな?せっかく…」
「おい聞けよムラ!こいつ俺より英語できてんのにバックれてやがんの!」
 男にしては柔らかな声色による厳しい詰問が、後ろからの声にかき消された。これで、
補習欠席者三名勢揃い。
「…あれ?須藤何か用?」
 矢野の呑気な声に須藤が口を開く前に、俺が答えた。
「…これ。模試があったから、予備校の」
 自分のと、横に立つ二人の持つそれを示すと、形の良い眉根を寄せる。アイドルのよう
な顔で、そんな悩ましい表情されましても。
「……予備校?」
 ちらりと俺を見る目は、言外に日曜俺が話したことと、その真偽を尋ねていた。
 あー、疑っちゃってるわけね。あの時呼んだ奴と違うから。
「ほんとだよ。俺だけ地元のトコだけど、三人とも同じのに行ってんの」
 大手予備校の一つの名前を挙げ、嫌がる沢田と矢野の模試結果と俺のを名前の部分だけ
見えるように並べて見せると、表情を変えずに須藤が尋ねた。
「これがあったから帰ったって?」
「うん」
 こんな言い訳通じるかは分からないが、単にサボりでバックれたと思われるのも癪なの
で弁解してみる。
「あー、まぁ俺らも何も言わないで帰っちゃったから、しゃあないけど」
 どうやら責められているらしいことに気付いた二人もコクコクとうなずく。普段無口な
須藤君がご立腹なのはなかなか迫力があるようだ。
 その模範生を女物の下着姿で泣かせちゃった俺には、いまいち分かんないけど。
 俺の考えてることも知らずに涼しい顔をしたまま、須藤が口を開いた。
「…なんだ。言えば良かったのに」
「は?」
「だって、それじゃ仕方ないだろ…先生には言っとくから、なるべく早く課題出せよ」
 無愛想ではあるが、素晴らしく慈愛溢れる情状酌量。
「マジで!?サンキュー須藤!」
 模試の結果に浮かない顔していたくせに、沢田も矢野も拝むように手を合わせる。いつ
も通り、頼れる須藤君にクラスメイトが頼る光景。
 それに倣って、俺も奴に片手を上げてみせた。
「わり。じゃあまたな」
 「また」というところでわずかに須藤の動きが止まったが、何事もなかったかのように
彼はうなずき、教室を出て行った。このまま俺の顔を気にするよりも、教師相手に交渉す
る方が良いのだろう。 



321 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 15:37:06 ID:NiYERr2w]
(3/3)
 
 奴の後を追って数人の女子が教室を飛び出し、わらわらと「須藤クン」に群がる。
「須藤クンかっこいー!あんなガラ悪い奴らにあんな優しい事言っちゃうなんてー」
「知ってる須藤クン?村瀬があそこ通ってるのって、こっちより女子の比率が多いからな
んだって!」
 俺も初耳な噂に、俺から模試の結果を奪い返した二人が苦笑している。教室の窓から見
える上に扉開けっぱだから、バッチリ聞こえてるっつーの。あと地元ではまだ引っかけて
ませんから。
 ていうか三人居たのに、なんで俺だけ評判悪いの?やっぱ一年の頃バトン部の先輩と遊
びまくってたから?そんですぐ飽きて別れちゃったから?
「ちょっとモテるからって、サイテーだよねー」
 うん、俺も先週の土日にあいつにセーラー服着てるの見つかっちゃって、君らが着てる
のと同じような下着を着せられちゃったり、もっととんでもない格好してイかされまくっ
ちゃったんだ…なんて本当の事、言うわけねーだろな。
 それに対する須藤のいらえは、当然ながら俺の予想とも、彼女らのそれとも違った。
「……それは、本人に直接聞いたの?」
 穏やかな問いかけに、それまでかしましく喚いていた声が静まった。
 それを指摘することなくすべてに平等な笑みを浮かべ、気まずげに黙る女子らを彼は優
しくたしなめる。
「…違うなら、そんなこと言うものじゃないよね」
 その面のせいで嫌味の抜けた模範回答に、ほぅ…と言葉もなく学年首席の美しい横顔に
見とれる女子。
 うんうん、これだけ清く正しく美しいんだから、ちょっとマゾっ気ある女装趣味でもな
いと、釣り合いとれないよな。
 他ならぬ自分自身の痴態が映る画像とともに送られた「明日の終礼後、日曜と同じ格好
で直接俺ん家来い」なんて命令に、渋々だろうと「はい、わかりました」と返信できるく
らい異常じゃないと。
 奴の失敗は、そんな性癖を持ってしまったことだろうか。それとも、俺みたいなタチの
悪い「ご主人様」にとっ捕まってしまったことだろうか?

 яяя
 


322 名前:協定彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 15:39:18 ID:NiYERr2w]
(本文ないです)
 
該当箇所を書き始めたので、ブルマとドレス希望はいただいた回答から決めます。
ご回答ありがとうございました!
(そして>>318さんも気になる情報dクスです(´д`*)
 
>>315-317さん
もし「俺」がガチホモだったら、あまりに報われなさすぎだ…w
 
今日初めてPCから見たんですが、時間経過や段落のために開けてたつもりの改行が反映さ
れずに、ギチギチになってました。読みづらくて申し訳なかったですorz
次回から気をつけます。
 

323 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 15:55:42 ID:O43Nkc9u]
こんだけ美少年で女子に人気あるならば、
普通に女装していても
「キャーーー、須藤クンかわいいーー」
って言いそうだなw>クラスの女子

そんな囃し立てに顔を真っ赤にする須藤きゅん…ハァハァ
でもスカートの中ではチンポおっ勃ててそうだ

324 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/20(日) 20:35:45 ID:OrPU7tbQ]
なんつー王子様……でも本性はマゾい女装王女様なんだよなぁ

素晴らしい

325 名前:偽装彼女の中の人 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 20:52:13 ID:NiYERr2w]
(本文ないです)
 
これから投下するのは「偽装〜」キャラの小ネタです。
奇しくも>>323さんのレス内容と似てるとこがあってドッキリしましたw
 
「俺」不在で女装っ子視点、凌辱(複数)ものです。
(尻は犯しません)
 
自分の中のエロ分が足りなくなったので、ちょっとバランスとるために「協定」と並行し
てしばらく投下させていただきます。
 
夢オチですがもしよろしければどうぞ。
 
 
>>324さん
「マゾい女装王女様」って言葉の響きに魂が揺さぶられましたwすばらすぃセンスだ…
(´д`*
 


326 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 20:52:52 ID:NiYERr2w]
(1/3)
 
 
 寝苦しさを感じてはじめて、自分が眠っていたことに気付いた。
 身体は疲れ切っていたが、かぎ慣れない匂いに意識ははっきりしてくる。壁に寄りかか
り、足を投げだしているようだ。
「…ぅ……ん……?」
 そうだった、今日は高校の文化祭。自分のクラスは喫茶店をする事になって、女子のウ
ェイトレスの衣装作りに一番時間がかかって…ギリギリまで今自分が居る、模擬店出店ク
ラスにあてがわれた普段は生徒に開放していない倉庫の中で、皆で作業していたのだ。
 重い瞼を持ち上げた途端目に入ったのは、白いニーソックスの先にある自分の上履き。
 ……ニーソックス?
 ガバッと起き上がると、眠る前とは明らかに肌に触れるモノが変わっていた。
 冬服のブレザーを着ていたはずが、半袖のパフスリーブブラウスを着ている。
 ぴったりとしたエプロンが、腰をぎゅうぎゅうと締めつけていた。寝苦しかったのも無
理もない。
 下半身にはパニエでボリュームを持たせたパステルブルーのフリルスカートに、最初に
目に入った白のニーソックス。
「こ…これって、」
 ついさっきまで女子らが着ていた、クラスの模擬店の衣装だ。
 例によって誰もやりたがらないので買って出た実行委員は、それだけやる気があるなら
代わってくれと言いたくなるくらい女子らがこれを着た姿を見ることができた。
 外では自分の趣味を隠してはいたが、可愛らしい服にやはり胸の奥が疼いたのは事実。
 そして、少し前の景気づけに皆で乾杯した時に「一着余ってるんだけど、須藤クン着て
みる?なんちゃってー!」などと言われて、表向きには苦笑しつつも高鳴る鼓動を抑える
のに必死だったのも。
 受け取ったジュースを一口飲んだら急に文化祭の準備や、本来の図書委員の仕事での疲
れが押し寄せてしまい、開場までちょっと休もうと座ったのだと思う。
 顔を上げると皆の鞄や空の段ボール、飲んだ後の紙コップ等が散らばる床に、なぜだか
大きなスタンドミラーがあった。演劇部から借りてきたのだろうか。
 

327 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 20:54:07 ID:NiYERr2w]
(2/3)
 
 たちの悪い冗談に、後でクラスメイトを何と問い詰めようか考えつつも、ふらふらと姿
見に向かう。なんだか頭が重いし、耳がくすぐったいが、気にしてなどいられなかった。
 誰も知らない、明かすわけにはいかない自分の趣味。皆に羨まれ尊敬される、模範生の
自分の女装趣味。
 今は仕方ない。だって、皆が勝手にいたずらして、寝ている自分を置いてさっさと出て
行ってしまったのだもの。
 言い訳をしながらも鏡の前に立ち、自分の姿を正面から見た。
「……っ!…」
 ほう、と思わずこぼれたため息には、学校にはそぐわない情欲が混じっている。
 普段はそんな素振りを見せていないが少女めいた自分の顔は、その可憐な衣装によって
華やかに演出されていた。
 均整のとれた華奢な身体を、愛らしいウェイトレスの制服が飾っていた。
 半袖のブラウスは胸を強調するようなダーツの入ったデザインだが、襟にはスカートと
同じ水色の千鳥格子柄の大きなリボンが付いているので、薄い胸板の自分が着ていてもお
かしくはない。と思う。
 フリルの多いエプロンは、引き締まった腰のラインを強調させるように後ろできつめに
結ばれている。向きを変えて見ると、細い腰で蝶結びにされたレースの幅広リボンがスカ
ートの裾に垂れ、身動ぎに合わせてヒラヒラと揺れていた。
 少し屈んだら中が見えるのではと思うような、ふんわりしたミニスカートから伸びる、
脂肪も筋肉の凹凸も少ないすらりと長い足は、白というある意味下半身には反則とも言え
る色のニーソックスを、問題なく穿きこなしていた。
 極めつけは、本物のように見えるよく出来たツインテールのウィッグである。
 胸のそれ同じパステルブルーのリボンで結ばれた地毛と同じ黒髪が、わずかに顔を動か
す度に耳の横でゆらゆら揺れる。これでは頭も重いはずだ。
 鏡の中の少女にしばしみとれてから、我に返る。こんなところ誰かに見られたら大変だ。
 「馬鹿馬鹿しいことをするな」とクラスメイトに見せるためのお堅い委員の顔を努めて
作り、携帯が入った自分の制服や鞄を探す。
 

328 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/20(日) 20:55:32 ID:NiYERr2w]
(3/3)
 
「……あれ?」
 他人の荷物がごちゃごちゃと散乱している中、自分のものだけが見つからない。それど
ころか、もともと着ていたはずの服すら、影も形もないのだ。
 ちょっと不安になってスカートをめくり上げる。大丈夫、下着までは着せ替えられてな
い。というかそこまでやったらマズいだろう。
 エプロン姿なのはあきらめて、せめて髪だけは直そうとツインテールを掴む。文字通り
後ろ髪を引かれる思いだが、嫌がっているのをアピールしなくてはならない。
「……あ、あれ…?」
 どこかピンで留まっているはずなのだが、リボンや生え際の当たりを探しても指にその
感触がない。少々乱暴にツインテールを引っ張ると、外れるどころか地肌が痛くなった。
 手の込んだいたずらに肩を落とし、仕方なく倉庫を後にした。露出した腕や太腿が涼し
いが、寒いと言う程ではない。
 廊下に出ると、臨時開放ということで今日入ったばかりの倉庫なこともあり一瞬どちら
に行けば良いのか迷った。一度来た道は忘れないはずなのに、まだ寝ているみたいだ。
 必死に数時間前の記憶を手繰り寄せていると、少し離れた部屋から何か音が聞こえてき
た。腕時計を見るともう開場時間なのに、誰だろう。
「……?」
 あんまり見られたい格好でもないので足を忍ばせてその部屋の前まで行き、開いた扉の
陰からそっと中をうかがう。
 


329 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/21(月) 23:32:35 ID:zWtCIqHC]
(1/2)
 
「お邪魔します」
 二度目の不本意な口上を発しながら、叔母のだと言う女学生服姿の優等生は俺の家に上
がった。
 短いスカートから伸びる白く細い足からスニーカーを脱ぎ、丁寧に揃える。
 屈む時に左手でスカートの後ろを押されているのが、やけにやらしかった。見えそうで
見えないってやつ?
 通学鞄の他に、午前中教室で見た覚えのないスポーツバッグを抱えているのに気付き聞
いてみると、前例のない持ち検に備えて最寄り駅近くのコインロッカーに入れておいたら
しい。
 実に慎重深い奴だ。俺に見つかっちゃっただなんて、昨日の俺以上についてないんだろ
う、本人的に。
 俺の自宅が魑魅魍魎の巣窟でないことは先週理解したようで、前回のように興味深げな
顔をすることもなく、俺の部屋に入るとそのまま鞄を置き床に座った。
 ぴったりと合わせた張りのある腿を見て、その上に重ねて置かれた奴の白い手がちょっ
とうらやましくなる。
 なんていうかこう、ぐわっとスカートめくり上げて、折った膝から足の付け根までをひ
たすらスリスリしたいっ!…って感じ。キャバクラ行くおっさんの気持ちがよく分かった。
 ソファに座ってる時にも足触ったけど、下にふくらはぎがある分正座の方が手応えが柔
らかそうだ。
 なんか学校にいる時以上の仏頂面で黙りこくられて、珍しくご機嫌うかがいをしてしま
う。ツンと尖った小さな唇を動かしてみたい。
「道迷わなかった?」
「…二度通ったから」
 口もききたくないのか短い返答。嫌われたもんだね。
「そこ座れ」
 どっちが家主か分からないほど重々しく言って、須藤が自分の目の前を指差した。
「言われなくても座るっての」
 憎まれ口を叩く俺を、何も言わずにじっと見つめる。やや長い前髪の間からのぞく黒い
瞳の目力は、世が世ならというか女だったらスカウトに引っ張りだこだろう。
 




330 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/21(月) 23:34:47 ID:zWtCIqHC]
(2/2)
 
 男に生まれたばっかりに、こんな格好をするのにいちいち緊張したり、興奮したりして
るんだから、可哀想っちゃ可哀想だ。そういや男子にだけ怒る塾の先生が怖かったとか何
とか言ってたっけ。
 まあ俺にはこいつの葛藤なんざ関係ないし、そのおかしな趣味のおかげで、こうして顔
だけは最高に好みドンピシャな「女の子」を好きにできてるんだから、こいつの親にも、
この趣味を開花させるきっかけになった奴にも大感謝だ。
 今にも三つ指ついてお辞儀しそうだと思っていたら、膝に置いていた手を俺の前に置き、
「お願いします」
 短いスカートにも険しい面にもそぐわない楚々とした仕草で、本当にテレビか何かで見
た作法通りのお辞儀をした。
 深く頭を下げたので、セミロングの黒髪の間からのぞく白いうなじがやわっこそうだと
か、何か習ってたの?とか突っ込みどころは多いのだが、とりあえずの問題は、
 俺の目の前に差し出された諭吉さん二枚。
 その手(女子よりはやや骨張ってるが、楽器の良く似合う薄い手のひらに細長い指をし
ている)のドコに隠してたんですか!?と一瞬違う事を聞きたくなったが、奴の羽織るダ
ボダボのカーデにポケットが付いてるのに気付き、見当外れなリアクションをせずに済ん
だ。
「なん…だよ、これ?」
「その……画像、を売ってくれ」
 思っても見なかった発言に、俺は呆気にとられた。床の上の紙幣と、下げられたままの
奴の頭を交互に見る。
「……は?」
「とりあえず今まとまって出せるのはこれだけだけど、足りないならまた貯めるから」
「ちょ、ちょっと待てちょっと待て!」
 おいおい、俺だから良かったけど、うっかり相手間違えてたら金ヅル決定だぞ。育ちが
良さそうなくせにお小遣いがつましいなあとか、いやだからこそ持たない主義か?とかい
ろいろ聞きたいけど!
 カモ候補生になるという、よりにもよって一番厄介なことになる行動をとってしまう彼
がある意味憐れでならない。
 ゲームで言えば、最高の装備で泥沼に突き進んでいく勇者のようだ。どの道、女装して
興奮してるんじゃ魔王倒せないけど。
 


331 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/21(月) 23:58:08 ID:M//RSe+Q]
並行彼女お疲れ様です。

>夢オチですがもしよろしければどうぞ。
こ、こんな素敵な作品のネタバレを最初にしなくても orz
頼む、騙されてもいいので夢を見させてくれw

332 名前:協定彼女(昨夜上げそびれた) ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/22(火) 11:00:04 ID:Xsbc7WYM]
(1/2)
 
 優秀な須藤君な判断力なくしちゃうくらい、奴的には俺が一番厄介な相手なのかと思う
と…やばい、すごく楽しくなってきた。
「…で?お前はこれで俺にどうして欲しいわけ?」
「っ…もう……自由にしてくれ…」
 顔を上げ、再び膝の上に置いた両手を握りしめて、湿った睫毛を伏せて訴える。
 これがダメ男に借金させられた女の子なら心も痛むが、先週この部屋で今と同じ格好で
フル勃起して喘ぎまくっていたのを知っている俺は煽られるだけだ。
「…自由に?また一人で家でそのカッコしてオナニーすんの?」
 ビクンと細い肩が震える。
「勘違いすんなよ?お前が何したって、真面目な須藤君が女の子のカッコしてマスかいて
る変態だって俺が知ってる事実は消えないんだよ……それに」
 相手が怯えるのに気付き、俺は語調を和らげた。
「先週言ったよな?『お前の望み通りの女にしてやる』って。お前は望み通り女の格好を
する。俺はお前がそれで喜ぶのを見て楽しむ。完璧じゃないか」
「そんな……勝手すぎる…」
 肩を落とし嘆く須藤。伏せられた長い睫毛と、サラサラと白い頬にかかる黒髪の清楚な
感じが、時代劇で身売りに出される生娘のようだ。
 こういうのが落ちて行くのが大好きな俺は、それこそ悪代官のような素敵な笑顔になっ
てしまう。憐れな美少女(男)は、その羞恥心が災いして奉行所へ訴えることもできない。
「…でもせっかくだから、これでユカちゃんの欲しいものを買いに行こうか?」
 これでまた先週と同じ。優秀な須藤君とクラスメイトの俺ではなく、淫乱マゾ女装っ子
と奴を好きにできる俺という関係になった。
 交渉の余地もないことを俺が明言してしまったので、彼がここから抜け出すには自分の
変態趣味を皆にバラしてしまうか、俺が飽きるか死ぬかしないと叶わない。
 もっとも、一人では味わえなかった羞恥や快感を覚えてしまった奴が、それに耐えられ
るかは分からないけど。
 


333 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/22(火) 11:01:39 ID:Xsbc7WYM]
(2/2)
 
 ティッシュケースを引き寄せ一枚抜く。
「ほら、拭けよ。可愛いお顔が台無しですよぅ〜?」
 黙って受け取り、目尻に溜まった涙をぬぐう須藤。
「あーあー、ちゃんと押さえるように拭けよ」
「っ…るさい……」
 そのすべすべ美肌が傷まないよう心配してやったのに、分かってない。
 先週俺に見つかってしまい、叶わなかった奴の「おんなのこごっこ」の舞台をどこにし
ようか考えながらクローゼットを開ける。
 学校にあまり着て行かないブルゾンを引っ張り出し、フードをかぶってみた。暑苦しい
かな。
 客を無視して鏡に向かう俺を、うさん臭げに眺める須藤の顔がその端に映る。
「……何してるの?」
「知ってる奴居てもパッと見で分かんないようにって。先週はこっちだったから良かった
けど…あ、お前も化粧してやろっか?」
 できもしない事でカマかけてみると、予想外の答えが返ってきた。
  


334 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/22(火) 20:07:27 ID:Xsbc7WYM]
(1/3)
 
 自分の服装とは別の意味で、カラフルな面々が溜まっていた。
 招待券制とはいえ、規制しろよと受付係に言いたくなるような柄の悪い輩三名が、引き
払った教室の机や椅子の置き場である部屋でたむろしている。髪を真っ赤に染めた背の高
いのと不自然に日焼けした鼻ピアス、白っぽい金髪に剃り込みを入れた細身。
 すべて若い男だが、気怠げな表情と肌のくたびれ具合から同年代より少し上といったと
ころか。煙草をふかしながら下品な笑い声をあげている。
 正直しり込みしたが、火事でも起こされたらかなわない。散々な日だとため息をついて
から、扉を完全に開けた。
「お客様。喫煙所なら職員室前にございますよ」
 声音ににじみ出る棘を隠すことはできただろうか。驚いたように一斉にこちらを見た三
人と視線が合う。少しだけ自分の行動を後悔した。
「…誰?アンタ」
煙草を咥えたまま色黒が尋ねる。
「…ここの生徒です」
「こんな子の居たクラスなんて、あったっけ?」
「あのカッコだから、模擬店じゃね?」
「誰だよつまんねーから店はパスつった奴!」
 幸か不幸か、やはり第三者には自分は女子だと思われているようだ。理性や警戒とは別
の感情が高まるのを抑えつける。
 このまま女生徒だと思わせたまま退去させて、すぐに受付に文句を言わなければ。でも
その前にこの格好をどうにかしないと…
「こ…こちらは関係者以外立ち入り禁止と書いてあったはずです。お引き取りください」
 考えつつ言葉を継ぐと、火の管理はきちんとしているのか床に落とした煙草を念入りに
踏みつけて三人が立ち上がった。
「キミ、一人?」
 金髪が馴々しく手を伸ばしてきたので、思わず後ずさる。黙るのを肯定ととったのか、
三人の笑みが深くなった。
「冷たいなあ。話しかけてきたのはそっちなのに」
 こりずに伸ばされた手が、自分の肩を掴んだ。
「っ…やめてください!」
「まあまあ、そう言わずに」
 色黒に後ろに回り込まれ、文字通り逃げ場がなくなる。警戒が具体性を増した。
 


335 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/22(火) 20:08:38 ID:Xsbc7WYM]
(2/3)
 
「あのっ!」
「胸だけ不合格だなあ」
 真正面から自分を観察しながら、赤髪がつぶやく。値踏みされるように頭のてっぺんか
ら白いニーソックスに覆われた足まで眺め回され、場違いにも鼓動が高鳴る。
 自分の性癖にうんざりしつつ、精一杯毅然とした声をあげた。
「ぁ…当たり前です!俺男ですからっ!」
「はぁ!?」
 間の抜けた声が三様にあがる。
「今さら何言ってんのさ。アンタそのカッコで…」
 後ろから胸を押さえてきた色黒が黙ってしまった。
「どうしたよ?」
 面倒臭げに促す赤髪に、色黒がおずおずと続ける。
「…貧乳すぎてブラしてないとか?」
「何言ってんだお前、これで男なら」
 あきれ声を上げる赤髪に、金髪も掴んだ自分の腕を上げて訴えた。
「マジじゃね?時計もこれ、男物だし」
「………」
 訪れる沈黙に内心胸をなで下ろした。
「…分かったら、離していただけますか?お客様」
 同性に好まれる容姿をした自分は好きだが、男女問わず恋愛感情は抱けないし、正直気
持ち悪い。今まで自分を女だと思って声をかけてきた男達は皆、そうと分かれば離れてい
った。
 今回もそのはずなのだが、掴まれた腕や囲まれた状況はなかなか変わらない。
「あの……?」
「お前さ、なんでそんなカッコしてんの?」
 不意に赤髪が顔を寄せてきた。かぎ慣れない紫煙の臭いに顔をしかめそうになるが、ど
うにか堪える。
「その…いろいろあって、こんなにされました」
 引きつりつつも愛想笑いを浮かべたが、赤髪は興味をなくしたように仲間に声をかけた。
「ふぅん……なぁ、ゴム持ってる?」
「女とするつもりだったから、ねーよ」
「俺も」
「そっか。じゃあケツは使えねーなぁ」
 不穏な会話と、自分の腕を掴む力が緩まないのに不安になる。
「…あの、」
「まぁこんだけ顔が良ければ、それなりに楽しみようもあるだろ」
「な」
「それなりもなにも、俺的には十分」
 三人の含み笑いに、「まさか」という不安が現実味を帯びてきた。
 


336 名前:奉仕彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/22(火) 20:09:38 ID:Xsbc7WYM]
(3/3)
 
「俺らさー、ナンパしに来たんだけど、ココの女って良い感じなのは皆彼氏持ちなのな」
「へ…へえ……」
 そんなこと知るか、さっさと手を離して出会い系でも漁ってろと言いたいが、舌が強張
りうまく動かせない。
「でも、こんな可愛いウェイトレス見つけちゃったから、テキトーなの引っかけなくて良
かったよ」
「俺たち『お客様』なんだろ?接待してくれるよね?」
「まあとりあえず、そこ這いつくばれ」
 畳みかけられるように話しかけられ頭が混乱したが、最後の赤髪のセリフで現実に引き
戻された。
「ふ…ふざけるな!離せっ!」
 乱暴に腕を振りほどこうとすると、色黒に両肩を掴まれてしまう。
「あーあー、そんな怖い声出さないでよ。もったいないよ〜?」
 柔らかな語調の割に強い力で、金髪が腕をひねってきた。
「痛っ!……っなにす…!?」
 赤髪に胸倉を乱暴に掴まれ、言葉を継ぐことができない。
「うるせーよ」
 ギラギラとした目で睨まれ、腹の底がスッと冷える。紛れもなく、自分は怯えていた。
 


337 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/22(火) 20:29:12 ID:/3mSNhBR]
わっふるわっふる

338 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2008/01/23(水) 01:28:29 ID:VfLgDO9L]
ツンデレ展開か?>協定彼女
両方とも続きに期待


339 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/23(水) 15:27:36 ID:P45GL17G]
(1/4)
 
「…あるなら、自分でやる」
 取り出したニット帽をかぶったまま思わず振り返って見ると、鏡面に映っていたのと同
じ至極真面目くさった顔があった。
「マジで?」
「親のしか使ったことないから、あんま個性的なのは無理だけど」
 つまり、最低限眉墨とライナーの区別くらいはつくわけか。
「マジ?うわぁ、ちょー楽しみなんだけど!」
 心変わりに大げさに喜んでみせると、困ったように視線を逸らされてしまう。
「……俺だって知られたくないし」
 それはその格好をしている事をかな?それとも俺と一緒にいる事をかな?
 「両方」と吐き捨てられるのが目に見えてるので、今日帰ってから奴が来るまで片付け
に使っていたゴミ袋に手を突っ込んだ。
「これ、さっき開けた袋だから。使用済みだけど好きに使っちゃっていいよ」
 ファスナーが閉まったままのポーチを放ると、誰の使用済みなのか見当がついているの
だろう、黙って受け取り中身を開けた。
 …詮索されるのは嫌だけど、これはこれでちょっとつまらない気もする。別に「若いう
ちからスレた女付き合いしててやーねー」とか言われたかったわけでもないけど。
 俺の複雑な表情などに見向きもしない奴はポーチからファンデやら何やらを一通り出し
て並べ、使うと思われるものだけ長い指でつまみ引き寄せていく。
 ある程度物色を終えたところで、黒髪乙女の顔をした優等生は、ちらりと俺を見て俯い
てしまった。
「…どしたん?」
「み……見られると、手元狂う」
 とことん可愛くない奴だな。ツンデレじゃなくデレツンか?
 しかし俺は優しいので、奴が緊張しちゃわないようにベッドでゴロゴロしながら待って
やることにした。
 




340 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/23(水) 15:29:01 ID:P45GL17G]
(2/4)
 
 先程の発言通り、メーカーは違うかもしれないがモノは扱いなれているようで、丁寧か
つテキパキと顔を控え目に彩っていく。
 俺が視界から消えたことでノってきたのか、こちらに注意を払わず黙々と作業する彼を
観察して、グロスは色付きよりも元からの小振りな唇の形や血色をアピールするようなの
が合ってるみたいだとか、睫毛はマスカラ塗りたくるよりもホットビューラーでしっかり
上げるのがお好みらしいとか、別に知らなくても良い優等生流女装法を入手。別に要らね
ーけど。
 まあとりあえず、装うというよりは化粧のりの良い肌に元からの造作を際立たせるメイ
クをしたおかげで、いわゆるガッツリメイクするとどの子も同じ顔〜っていう負のスパイ
ラルに陥らなかった。さっすが須藤君。
「…終わった」
 まっすぐこちらを見やった彼は、もはやクラスメイトの「カッコいい須藤クン」ではなかった。
 


341 名前:協定彼女 ◆r56se/gkEE mailto:sage [2008/01/23(水) 15:30:02 ID:P45GL17G]
(3/4)
 
 今までだって十分掃き溜めに鶴と言いたくなるような面ではあったのだが、あくまでそ
れは男子の中に居る時であって、入学当初の俺やそれと知らずナンパしてきた奴らみたい
に、前知識を持たない奴しかだまされない男っぽさがあった。先週俺がセーラーを着たこ
いつを見抜いたのだって、「女だったら良いのに」と思いながら顔をよく眺めていなけれ
ば、須藤とは気付かずに通り過ぎていただろう。
 そんな単に整っただけだった顔が、そこにあるだけで「可愛く」なっていた。
 女子に騒がれる涼やかな目元は形の良さをグレイでくっきりと強調した眉と、絡まるこ
となくきれいにカールした睫毛をはじめとするアイメイクで華やかなものになっている。
異性受け以上に同性からもモテそうな、隙のない女の子のまなざし。
 エラのない滑らかな弧を描く輪郭は、頬にかかる黒髪と軽くのせたチークで普段の爽や
かな印象とは打って変わって甘やかなラインになっていた。そのままニッコリ笑われたら、
ちょっとヤバいかもしれない。
 ポーチにあった大量の道具から最低限の、それも地味な色ばっかり使って、奴の顔はす
っかり「女の子」のものになっていた。
 化粧に興味なかったりパッと見だとノーメイクに見えるけど、分かる人には上品なメイ
クだってのが分かる感じ。どこまで完璧なんだこいつ…って、女装してる時点で何かに気
付け。
「うんうん、良いんじゃね?」
「…これで良いのか?」
「は?なんで?」
 俺にまじまじと見つめられているのに、ヤケというよりも疑問形でこられたので、ちょ
っと面食らう。
 須藤は言葉を探しながら使わなかった化粧品を示した。
「だってこの…色とか、いかにもって感じだから」
 「いかにも」ギャル好きっぽく見られてますか、俺は。
「ああ、あれはその女の好みだから、俺関係ないし」
「なんだ…」
 拍子抜けしたように肩を落とす。
 地味メイクに幻滅して欲しかった割には集中してませんでしたか?真面目すぎるのも困
りものだね。
 







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