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うら若き女性が改造されるシーン



1 名前:BeeFreak [04/10/26 01:29:23 ID:K4X2E2bn]
容量宣言を受けたので新スレです。

前スレ【女子高校生位の子が改造されるシーン】
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1043884297/

関連サイト
【女性改造人間物語】 319氏、325氏によるSSが保管されているまとめサイト。
remodeledwoman.myfws.com/
【蜂女の館】 508(BeeFreak)による、蜂女改造SSの保管庫。
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/

194 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/14 19:41:55 ID:CL1kwNw6]
>>193
えっ!? ユニタングってやっぱり女子大生を改造した超獣だったの?
ヤプールの香具師、な、なんてもったいないことを・・・
(女子大生の数は「くの一」ということで、9+1の10人だったと思われ)

195 名前:名無しより愛をこめて [04/11/15 07:18:25 ID:203Q6/Mh]
板違いだがあえて掲載。
「戦う変身ヒロインがやられちゃうゲームスレ」
idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1099507099/l50
のまとめサイト
heroine.s3.x-beat.com/pukiwiki.php?FrontPage
の「ヒロイン陵辱シチュエーション」談話抄録のページ
heroine.s3.x-beat.com/pukiwiki.php?%A5%B7%A5%C1%A5%E5
に、このスレでも参考になるようなシチュエーションがいっぱい掲載されている。
(ヒロインを悪の組織が改造するネタもいっぱい)

196 名前:名無しより愛をこめて [04/11/15 17:09:47 ID:EexzbmVi]
改造されたけど元の人間に戻れた香具師っているの?

197 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/15 20:36:39 ID:/RwWzbfb]
全然板違いでスマソだが、今週の少年ジャンプの「HUNTER×HUNTER」に登場する
サソリ女が、シッポの針で注射するだけで人間を改造する、ってのをやってた。
おつきの侍女2人も、昆虫と半魚人みたいな姿に改造された人間の女らしい。
改造方法にちょっと萌えた。

198 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/15 23:00:20 ID:XcwvLl9j]
「モシモシ」
期待をこめて彼は呼んだ。
「モシモシ」
声が出てきた。まぎれもない女の声だった。
やっと繋がったと思ったとたんに心臓が高圧ポンプのように動き出して、額に汗までにじんだ。
何を言っていいか、不器用な戸沢敬二はしばらく沈黙した。
「モシモシ、聞こえてるの?」
女の声がした。
「あ、聞いている」
辛うじて言った戸沢敬二の声はしゃがれ、口が渇いた。
「おかしな人ね。なぜ、黙ってるの」
「いや、なに、びっくりしたもんだから」
「ギャハハハ」
女は突然笑い出した。その甲高い笑い声が、受話器に押し当てた彼の耳の鼓膜を直撃した。戸沢敬二は顔をしかめて、受話器から耳を離した。
「あなた、いま、テレクラなんでしょ」
離した受話器から、女の声が細く流れ出した。彼はあわてて再び耳に受話器を押しつけた。
「そう、そう」
辛うじて彼は言った。
「だったら、電話があるのはアタリマエでしょ。それなのに、何にびっくりしたの?」
テレクラでは大勢の男がめいめい小部屋のなかで、女からかかってくる電話を、電話器とにらめっこしながら待っている。リンとベルが鳴って、いちばん最初にさっと電話を取りあげた男が勝ちで、〇・一秒でも遅れると、ツーという通話中の通信音だけしか聞こえてこない。
テレクラのこのシステムを話そうかと思ったが、戸沢敬二は面倒くさいのでやめた。
「いや、なに」


199 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/15 23:01:38 ID:XcwvLl9j]
彼は口ごもりながら言った。
「きみの声があんまりキレイなもんだから」
つい口から出たとしても、これは上出来の言葉だった。
「ギャハハハ」
女の高笑いがまたもや彼の鼓膜をはげしく襲った。痛い。
ちくしょう! このアマめ。耳を撃つ甲高い響きに彼は突如として、怒りを覚えた。
「こんな女、強姦してしまうぞ」
戸沢敬二は小声でつぶやいた。
「いま、あなた、何か言った?」
女の声が問いかけてきた。
「ああ、言ったよ」
「よく聞こえなかったわ。何と言ったの」
「ひとりごとだよ」
「あなたって、おかしなひとねえ。電話でひとりごとを言うなんて。ワタシ、はじめてよ。ねえ何と言ったの」
「気にするな」
「イジワル。何を考えていたの。何か思うことがあるからひとりごとって出るんでしょ。聞かせて」
「聞きたいか」
「聞かせて」
「なら、言ってやる。おまえと、やりたいと言ったのさ」
戸沢敬二は声を吹き込んだ。
「もういちど、言って」
戸沢敬二の握った受話器から女の声がした。
「おれのひとりごとだ」
「だから、それをもういちど聞かせて」
女の声は甘ったるかった。
「いくどでも聞かせてやるよ。おれはおまえとアレをしたいと言ったんだ」
女は笑い出した。こんどは彼の鼓膜をつんざくような甲高い笑いではなかった。まるで耳のなかに生あたたかい息を吹き込むような「フフフ」という含み笑いだった。
「あなたって大胆ね。のっけからそんなことを言い出すなんて」


200 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/15 23:05:06 ID:XcwvLl9j]
女の声がした。
「冗談じゃないぜ」
戸沢敬二は応酬した。
「おれはムニャムニャと口のなかで言っただけだ。
そのひとりごとをおまえが聞かせろとうるさく言うから、聞かせたまでだぞ」
このテレクラの小部屋のなかでベルの鳴るたびに、戸沢敬二は電話を取り損ねて、
すばしっこい男に先を越されてツー、ツーという通話中の信号音ばかりを聞かされてきた。
だから電話をつかんで、
「モシモシ」
という女の声を聞いた時には、心臓は高鳴り、どんなふうに女を口説こうか、と思っただけで頭はすっかり混乱し、
舌もまわらなくなっていた。
だいたい戸沢敬二がテレクラにやって来たのははじめてだった。
テレクラ、つまりテレフォンクラブは、ファッション・マッサージのあとをうけて、新風俗営業の主力となる勢いでウヨウヨと出現した。
いまや地方都市でも、盛り場ならどこにでもある。
戸沢敬二がこのテレクラに来た時、キョロキョロしていたので、マネージャーらしい男が、たちまち彼を初心者と見破って、
「女から電話があれば、奪い合いになるので、ちょっとでも早く電話をとらねばなりませんぜ。テレクラに電話をしてくる女は、
みんなアレをやりたがっている女なんだから、遠慮することはない。口説きおとしてデートを約束させるんです。それでデートした時には、
そのあと暗がりに行こうが、ラブホテルに連れ込もうが、それから先はあんたの腕前ひとつなんだから、まあ、ひとつ、がんばってください」
 と説明をかねて彼を激励した。
おれは口べただと戸沢敬二は自覚していた。だから、見知らぬ女からの電話にうまく受け答えし、
それからデートに誘うなどという芸当がはたしてできるかどうか、
まったく心もとなかった。
しかし、電話のやりとりにもモタモタし、女がバカにしたような高笑いをしたのを聞くと、とたんに戸沢敬二は怒りを感じた。
お世辞もへちまもあるか。
会話のはじまりから、すでにおれ、おまえ呼ばわりをした。
テレクラでの女へのアプローチとすれば、異例のことには間違いなかった。
「ねぇ」
女の声は心なしか弾んでいるように聞こえた。
「ホントにワタシとやりたいの」
「そうだ」


201 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/16 00:16:58 ID:AdC6VSyl]
>>198-200
なぜに未完? ゴバーク??

202 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/16 00:54:32 ID:+K/nqd51]
>>196
ピラザウルス、イソギンジャガー、ボーグ星人に改造された人など。
(最初の二人は洗脳が解けただけで身体は元のままかもしれないけど)
あと、「少女コマンドーIZUMI」のサブヒロインの子は
最終回近くでバイオ戦士に改造(?)されてた筈なんだけど
最終回ではフツーに使えないやつに戻っていた気がした
(洗脳解除と同時に付け焼き刃的バイオフィードバックが消えたのかな?)



203 名前:名無しより愛をこめて [04/11/16 01:09:51 ID:/rVTe+2S]
誰か女子生徒を戦闘員に改造する話書いてくり。

204 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 03:55:22 ID:qNBeT0X5]
夜分どうもです。なんだか「女子高生改造」のニーズが高そうなので、ふと思いついたス
トーリーを速攻でSSにしてみました。
「秘密結社タイトロン」でお馴染み、いわゆるタイツ改造です。タイツを着用することで
改造されてしまうという、ありがちなストーリーですが、ちょっとだけBeeFreak的アレン
ジを入れてみました。
それは、142=191氏、190氏の意見を取り入れた「戦闘員化処理」です。ただし“蜂女”
にこだわったので、142氏の嗜好とは全然違う方向に行ってしまったかもしれません。w
今回カラミティ・フォーリングという組織によって蜂女に改造されるのはトップアイドル、
美樹原あゆみちゃん(17歳)、飛島ケイちゃん(17歳)、妹尾麻由ちゃん(18歳)の3人です。
それでは、お楽しみ下さい。

205 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 03:56:04 ID:qNBeT0X5]
「ねぇ、あゆみちゃん? このオーディション、受けてみなぁい?」
芸能プロダクション「フェイム」の事務所の一角。高校生アイドルの美樹原あゆみは、雑
誌を読みながら時間をつぶしているところを、マネージャーの高村律子に声を掛けられた。
「東都テレビが1月から放映するドラマの主役なの。何でもあの辣腕の後藤プロデューサ
ーと、竹内編成局長の肝入りの企画らしいのよ。」
美樹原あゆみは17歳。1年前にダンスの実力を認められて電撃デビューを果たし、グラビ
アモデルとしても高い人気を得たトップアイドルの一員だ。本音丸出しの飾らない素直な
キャラで同性からも人気が高い。だが先月の初のドラマ出演によって、演技力に非常な難
のあることが明らかとなり、目下延び悩んでいるところだ。
「えー、なになに。懲罰天使エンジェル・ホーネッツ? 何よこれ!? ジャリ番じゃない!」
あゆみは呆れたふうに番組企画書とオーディション案内を放り出した。
「それも、時代遅れの変身ヒロインもの!? もぉーっ! 律子さんたら真面目に仕事引き受け
てよ!」
「大真面目よ。後藤プロがウチの社長にね、あゆみちゃんがこの役を引き受けたら、来年
秋の大型ドラマの主役級に抜擢するって、約束したらしいの。ウチの社長ももう、大ノリ
気よ。」
「ちょっとちょっと、約束って…。オーディションをするんじゃないの!?」
「オーディションはかたちだけのものよ。あなたが主役になることはもう内々に決定して
るの。」

206 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 03:57:04 ID:qNBeT0X5]
「そんなァ! 勝手に決めないでよ!!」
「まあまあ、そんなに怒らないで冷静に考えて。後藤プロと竹内局長がバックにつくんだ
から、これはビッグチャンスなのよ、あゆみちゃん。変身ヒロイン。と言うより少女版仕
事人といった感じなのかな、半年間ちょっぴり恥ずかしいのをガマンすれば、一気に前途
洋々未来が開けるんだから。」
あゆみは不満そうに鼻を鳴らし、それでも企画書を拾い上げて目を通した。
懲罰天使エンジェル・ホーネッツ。ホーネット(狩人蜂)の名の通り、神に力を与えられた3
人の少女が、社会の裏側にはびこる悪人を狩るというアクションドラマだ。ハリウッド映
画を凌駕する驚異のVFXが駆使され、誰も見たことがない世界が展開されるという。
「“驚異のVFX”って言っても、テレビじゃたかが知れてるでしょ? 予算難でだんだん
ショボくなるに決まってるわ。」
「それがね、この番組の制作とスポンサーは共に、あの『C.F.ラボ』なの。新たに映像分
野に進出する記念番組ということで、金に糸目をかけずに制作するらしいのよ。」
『C.F.ラボ』は、数年前に新素材開発で急激に頭角を現わした、ベンチャー企業である。
多角経営を積極的に押し進め、アパレルから玩具に至るまで、今や様々な分野でその名を
耳にする。
「この番組のために新会社まで設立してね、毎週5000万円ずつ投資するっていうから、た
いした話よ。」
「ご、ごせんまん!?」あゆみはあわてて、企画書にかぶりついた。
「で、3人の少女ってことは、わたしの他には誰が出るの?」
「飛島(とびしま)ケイと、妹尾(せのお)麻由の二人に内定しているらしいわ。」

207 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 03:58:04 ID:qNBeT0X5]
飛島ケイは17歳。モデル出身の長身のアイドルで、クールな美貌で男女問わず幅広い世代
に人気がある。一方の妹尾麻由はおっとりした癒し系の18歳。バスト90センチのふくよか
なボディに似合わず、恐ろしく頭のきれる才女だという噂だ。
「へえー。ケイちゃんも出るんだ。麻由ちゃんと一緒に仕事するのは始めてだな。」
あゆみはもう、すっかり乗り気になっている。だがヒロインのコスチューム写真を見たと
たん、彼女は再び企画書を放り投げた。
「何よこれ! 全身タイツじゃない! 嫌よこんなの、恥っずかしぃー!!」
女性モデルがテストショットで着用しているその衣裳は、首から下の全身をすっかり覆う、
身体のラインがはっきり出るタイプのものだった。全身が青い色で着色され、乳房の部分
だけが蜂の腹部のような黄色と黒の同心円模様でセクシーに彩られていた。手首と足首に
は、白い長手袋とロングブーツを着用しているが、ボディに繋がっているようにも見える。
背中には4枚の羽根が取り付けられていた。頭には、蜂の複眼を摸し、真っ赤な触角を前
方に突き出したカチューシャを装着している。
「こーんなこっ恥ずかしい衣裳でアクションするなんて、絶対無理よ、ム・リ!」
「いいや、美樹原くん。君にはもっと、セクシーさが必要なんだ。」
事務所の安西社長がいつ間にか現れて、後ろからあゆみの頭を小突いた。
「水着よりも露出度が低い衣裳を恥ずかしいだなんて、それこそアイドルとして恥ずかし
いことだ。いいから君は、後藤プロのところでもっともっと揉まれてきなさい!」
あゆみはブスーッとした表情で、恨みがましく社長の顔を見つめた。

208 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 03:59:07 ID:qNBeT0X5]
オーディションは衣裳合わせとアクション練習を兼ねて、C.F.ラボが新たに作った新会社
『C.F.イリュージョン』の撮影所がある、N県某所で行われた。広大な敷地だが都心から
離れているため、あゆみたちも泊まりがけのつもりで訪れた。
「わーケイちゃん、久しぶり! 麻由ちゃんもよろしくね!」
「おひさ。」「こちらこそよろしく、あゆみちゃん。」
あゆみの他、飛島ケイ、妹尾麻由の主役3人が揃って待ち構えるところへ、東都テレビの
後藤プロデューサー、竹内編成局長と並んで現れたのは、濃いグレーの縞のスーツをダン
ディに着こなした、20代後半の美青年だった。その傍らには、涼しいまなざしの若く美し
い女性が付き従っている。
「ようこそお嬢さん方。噂通りの素敵な美女に囲まれて光栄です。わたしはC.F.イリュー
ジョンの代表取締役を勤める、犀南(さいなみ)です。そしてこちらが、あなたたちのトレー
ナーを担当する、来島美伶君。どうかこれからも、末長くよろしく。」
思っても見なかった穏やかな物腰のイケメンの出現に、あゆみたちは思わず顔を赤らめた。
続く質疑応答においても、軽妙な会話が彼女たちを楽しませた。あゆみたちはすっかり、
犀南たちに対して心を許していた。
「じゃあ、次は衣裳合わせに行きましょうか。来島君。彼女たちを更衣室に案内してくれ
たまえ。」
あゆみはこの来島女史が、企画書の中で衣裳を着ていたモデルであることに気がついた。
来島女史から3人に渡されたエンジェル・ホーネッツの衣裳は、思った通り手袋もブーツ
も服と一体化した、全身タイツだった。伸縮性のある、布地ともラバーともつかない不思
議な素材で作られており、手で表面を撫でると不思議な快感が伝わってくる。

209 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:00:03 ID:qNBeT0X5]
「そうそう、あゆみちゃん。その衣裳を着る時は、下着を全部脱いで下さい、だって。」
「ええっ!? なんでよ!」あゆみはマネージャーの律子に抗議した。
「下着の線がはっきり出るから、だって。裸よりそっちの方が、ずっと恥ずかしいでしょ
う? あ! それから首元にある金具は、まだ引き抜かないでくれ、ですって。」
あゆみはちょっと不審に思った。自分よりも先にC.F.イリュージョン本社に挨拶に行って
から、どうも律子の様子がおかしい。律子だけではない。安西社長や、東都テレビの後藤
プロたちの態度も、微妙におかしいのだ。どこがどうおかしいとははっきり言えない。た
だ、何となくC.F.イリュージョンの意向に従い過ぎのような気がしてならないのだ。
《まあいいわ。たぶんわたしも気が張っているのよ。それでそんなふうに思うんだわ。》
あゆみは言われた通りブラをはずし、ショーツを脱いで生まれたままの姿になり、渡され
た衣裳の中へと脚を入れた。脚が衣裳に包まれた途端、あゆみは身体を電流が走ったかの
ような、不思議な快感に襲われた。何だろうこれ。身体がゾクゾクするわ。衣裳のシワを
伸ばしながら、下から上に、太股を、ヒップを、そしてウェストを衣裳の中に包んでゆく。
衣裳に包まれた太股がこすれるごとに、背筋にゾクゾクしたものが這い上がってくる。
手袋の中に腕を通し、胸を衣裳で覆って背中のファスナーを締める。身体全体を包み込む
生地の不思議な密着感に、あゆみは胸の鼓動が高鳴るのを覚えた。まるで身体全部を何物
かに抱きしめられているかのような興奮を覚えるのだ。
頭部を除いた全身をすっかり衣裳で覆ったあゆみは、姿見に映る自分の姿をまじまじと眺
めた。
《…もう!何てエロくて恥ずかしい衣裳なのよ。特にこの、おっぱいのグルグル模様。や
り過ぎじゃない!?》
不満をつぶやきながら、あゆみは姿見の前で自分の姿を様々な角度から確かめた。身体が
動くたびに、衣裳が擦れてゾクゾクする快感が身体を包む。
《…何だろう、この気持ち。こんなの、今まで感じたことないわ。》

210 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:02:16 ID:2IJfrjk5]
「あゆみちゃん、もう着替えた?」
何故か顔をほんのり赤らめた、ケイと麻由があゆみに声をかけた。二人ともホーネットの
衣裳に身を包み、ケイのスレンダーな美しいボディラインも、麻由のふくよかな胸と腰も、
水着以上に強調されている。彼女たちも衣裳の触感が気になるらしく、ずっと身体を擦り
合わせてもじもじとしている。下着を着けていないので、時折、まるで全裸でいるような
錯覚におそわれるのだ。
バレエの練習場のような大きなホールの中、犀南社長や、東都テレビの後藤プロデューサ
ーたちが居並ぶ前に、ホーネットの姿になったあゆみたちが進み出た。
「うーん。いいですよ。とても魅力的です、皆さん。」犀南が微笑みながら拍手した。
来島女史が、あゆみたちに指示を出した。「それじゃあこれから、演技の試演に移ります。
その前に、衣裳の首についているプラグを、外して下さい。」
そのプラグが何のためにあるのか、さっきからあゆみたちも気になっていた。リングを指
に引っかけ、一気に抜き抜いた。
ヒャッ!!
途端に、衣裳が急に全身に吸い付くように感じられた。それまではまだ関節部を曲げた時
にしわができる程度の密着度だった衣裳が、まるで自分の皮膚と一体化するかのようにキ
ュウン!と収縮した。
《わ! いやだ…お尻の割れ目も、乳首も、すっかり衣裳の上に浮かび上がっているじゃな
い!》
同時に、全身がムズムズするような、不思議な快感が身体を貫いた。まるで全身をくまな
く愛撫されているかのようだ。身体がだんだん火照ってくるのが感じられる。何なの、こ
の気持ちは。とても…とても…気持ちがいい!!

211 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:03:03 ID:2IJfrjk5]
あゆみたちはその場をクルクル舞いながら、すっかり皮膚に一体化した衣裳の触感を確か
めた。不思議なことに、背中のファスナーがいつの間にか消滅していた。首から下、あゆ
みたちの身体は隙間なく衣裳に覆いつくされていた。身体のどこを触っても、電気がビリ
ッと走るかのような快感が身体を包む。何て、何てステキなんだろう、この衣裳は。ホー
ルの片側の壁が、そのまま大きな鏡になっていた。あゆみはそこに映る、ホーネットの姿
になった自分の全身を、うっとりとなって眺めた。
《…何て、キレイなの! そして、何てセクシーで淫媚な姿なの!》
「皆さん、その衣裳はこれから24時間の間、ずっと脱がずにいて下さい。寝るときも、食
事の時も、そしてトイレやシャワーも。」
え? 何を言ってるの? トイレでもって、どういうこと? でも嬉しい。とても嬉しい。こ
の衣裳をずっと着たままでいられるなんて。ずっとホーネットの姿でいられるなんて!
「さあ皆さん。それでは今から、エンジェル・ホーネッツの決め台詞を叫んでもらいます。」
あゆみたちは、その言葉にふと我に返った。いけない。いつまでもこんなことしていては。
ちゃんと演技をしなければ。
あゆみたち三人は、来島女史の指示通りにポーズを組み、与えられた台詞を叫んだ。
 あゆみ「ホーネット・ミカエル!」
 ケイ「ホーネット・ガブリエル!」
 麻由「ホーネット・ラファエル!」
 三人「懲罰天使エンジェル・ホーネッツ。悪人ども、乙女の針で、昇天なさいッ♥」
「ブラボー! いい感じですよ3人とも。」犀南社長が立ち上がって拍手した。横に居並ぶ
東都テレビの重鎮たちも無表情で拍手に加わった。あゆみたちのマネージャー連も、やはり
無表情のまま彼女たちを見守っている。ロボットが並んでいるかのようなその態度は、第
三者から見れば極めて奇妙な光景だったろう。だがホーネットの衣裳をまとって夢見心地
になっているあゆみたち三人は、その異常さに気付くよしもなかった。

212 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:04:40 ID:2IJfrjk5]
その後も、演技指導は続いた。奇妙なことに身体を動かして汗をかけばかくほど、快感が
増大してゆくのだ。もはや3人は、自分が今、何をしているのかすらわからなくなってき
た。
ふと、あゆみは尿意を覚えた。
「…すみません、来島さん。お手洗いに行きたいんですけど…」
「そう? じゃあこっちに来て。その衣裳の上から、股の間にこれを当ててね。」来島女史
が手渡したのは、長いパイプがついた、先端が股間にピッタリ貼りつく形に拡がったノズ
ルであった。「これを…こうやって当てて…さあいくわよ。」
来島女史が、ナイプの先にある機械のスイッチを入れた。ぶぉんぶぉん、という音ととも
に、ノズルが吸着を開始した。
「…あ!…あ!…あああ!!」下腹部を凄まじい快感の波が襲い、あゆみは思わず失禁してい
た。しかし不思議なことに尿は衣裳をそのまますり抜けて、ノズルの中に吸引されていった。
ノズルが外された途端、あゆみは腰の力が抜け、四つん這いになってハァハァと大きく息
をついだ。
《何て、何て気持ちがいいんだろう。…もうダメ。わたし、この衣裳を脱ぐことはもうで
きない!》



213 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:05:31 ID:2IJfrjk5]
日が暮れる頃、演技指導は一段落した。あゆみたちは犀南社長のエスコートで、夕食会に
招待された。もちろん、ホーネットの衣裳は相変わらず着けたままだった。
夕食は高級和牛のステーキと舌平目をメインディッシュとしたフランス料理だった。しか
しあゆみたち3人は料理よりも、デザートの蜂蜜菓子に夢中だった。蜂蜜が、蜂蜜がもっ
と欲しい! あゆみたちはステーキにはまったく手をつけず、求めに応じて給仕が運んでき
た蜂蜜の瓶をひったくり、その中身をむさぼった。
夜、ホーネットの衣裳のまま寝床に入ったあゆみは、しかし寝つくことができなかった。
身体が熱く火照ったまま、動悸が少しも治まらない。わずかでも衣裳が布団に触れるたび
に、身体に快感の嵐が貫く。このような不思議な快感は、それまで味わったことがなかっ
た。あゆみは我慢できず股間に手を伸ばし、やがて自慰にふけり始めた。身体に密着した
衣裳は股間のスリットの存在をすっかりあらわにしており、クリトリスのふくらみもはっ
きり指先に感じられる。指先でクリトリスをいじくり回し、はじきながら、あゆみは身体
を折り曲げて荒く呼吸し、悲鳴を絞り出すように悶え続けるのだった。

結局、あゆみは一睡もすることができなかった。翌朝、真っ赤な瞳で現れたケイと麻由の
様子を見ても、彼女と同様の一夜を過ごしたことは間違いない。
その日の午前中も、ホーネットの衣裳をまとったままの3人の演技は続けられた。もはや
あゆみたちは操り人形のように、何も考えず、来島女史の命令に従うだけの存在と化して
いた。上気した顔で機械的に決め台詞を唱え、必要以上にセクシーに身体をくねらせなが
ら、決めポーズを取った。

214 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:06:18 ID:2IJfrjk5]
午後になり、犀南社長が立ち上がって演技指導の終わりを告げた。
「実に、実によかったですよ皆さん。エンジェル・ホーネッツ、成功間違い無しでしょう。
それじゃあ、今から衣裳を脱いで下さい。」
あゆみたちは、身体に電撃が走ったかのように飛び上がった。そんな! 今さらこの衣裳を
脱ぐなんて!
「嫌です! わたし、絶対に脱ぎたくありません!」
「お願いです、わたしたち、ずっとこのままホーネットでいたいんです!」
「死ぬまでこの姿でいさせて下さい! お願いします!!」
3人の懇願を、犀南は微笑みながら聞いた。「皆さん、心の方もすっかりホーネットに染
まってしまったようですね。元の人間に戻りたくないという気持ち、よくわかりますよ。
でも安心なさい。その衣裳を脱いだら、もっと素晴らしいことがあなたたちを待っている
のですよ。」
犀南が指を、パチン! と鳴らすと、身体にピッタリと密着していた衣裳が、途端にゆるん
で脱げる状態になった。「いやああ!」あゆみたちは思わず叫んだ。
「大丈夫です。衣裳を脱いで、自分の身体をようく見てごらんなさい。」
あゆみは、それまで衣裳に包まれていた自分の身体を、おそるおそる盗み見た。そして、
思わず目を丸くした。
なんと、衣裳の裏側の彼女の裸体は、いつの間にか、ホーネットの衣裳と同じ、濃いブル
ーに染まっていたのだ。乳房にも衣裳同様の、黄色と黒の同心円状の模様が浮かび上がっ
ている。

215 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:07:07 ID:2IJfrjk5]
驚いて、あゆみたちは衣裳を脱ぎ捨てた。衣裳を脱いでも、彼女たちの身体はホーネット
のままだった。手首は白い長手袋状になり、指先からは爪が消失していた。脚は白いブー
ツ状となり、足指はひとつに融合し、かかとはハイヒール状に変形している。そしてボデ
ィからは体毛がすべて抜け落ち、皮膚はなめし皮のような不思議な質感のものに置き換わ
っていた。
あゆみたちはふと、背中にむず痒さを感じた。背中から、4枚の黄色く透明な羽根が、ゆ
っくりと伸びてきた。そして彼女たちの額からは、真っ赤な触角が生えて来た。
自らの身体の驚くべき変化を目の当たりにして、あゆみたちが感じた感情は、何よりもま
ず『喜び』であった。自分の身体がすっかりホーネットに変化した。何て、何て素晴らし
いことだろう。そして、何て美しい身体なんだろう。
ホールに居並ぶテレビ局の重鎮たちや、あゆみたちのマネージャー連は、この変化を見て
も平然としていた。まるで考える力を失った人形のように、彼女たちの肉体の変貌をじっ
と見つめていた。
犀南社長が、あゆみたちに向かって告げる。
「あなたたちがまとっていた衣裳は、わが社が開発した特殊ナノマシンを生地の内側に織
り込んだ、特殊素材でできていたのですよ。その名もBB(Be Bee)スキン、蜂化皮膚。こ
の素材で作られた衣裳をまとって汗をかけば、汗腺を伝わってナノマシンが体内に侵入し、
着用者の身体を改造してしまうのです。身体の改造、洗脳、そして素体の肉体チェック、
この3つを簡単に同時に行える、素晴らしい発明なのですよ。そう。あなたたちはもう、
人間ではありません。パワー、反応速度、瞬発力などが常人の30倍に強化された、わが
組織の蜂型戦闘員ビーロイド。即ち改造人間・蜂女として生まれ変わったのです。」
衝撃の告白だった。だがあゆみたちは、それを当然のこととして受け入れた。彼女たちの
意識は既に人間のものではなかったからだ。
「…ス・テ・キ。」「改造人間ですって? 何て素晴らしいの。」

216 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:08:58 ID:dR3sG345]
「あなたたちはこれから『エンジェル・ホーネッツ』の主演女優として、わが組織のため
に働いてもらいます。既に番組の関係者は全員、このように脊髄に洗脳チップを埋め込ん
で我らのしもべにしてあります。後は、この来島くんの指示に従いなさい。」
来島美伶が、着ていたスーツを脱ぎ始めた。何と、彼女の身体もまた、蜂女であった。
4人の蜂女は親しげに、お互いの身体に触れ合った。
犀南がさらに、あゆみたちに語りかけた。
「さて、あなたたちの身体は蜂化皮膚によって、蜂型戦闘員ビーロイドになったわけです
が、あなたたちにはこれからさらに、追加改造手術を受けてもらわねばなりません。単な
る戦闘員ではなく、特殊能力を備えた工作用の蜂型改造人間、ホーネットロイドとなるた
めに。どうです、今から改造手術を受けてもらえますか?」
あゆみたちは、顔を輝かせてすかさず答えた。
「はい! 喜んで!」「改造手術なんて、ステキです!」「早く、早くわたしたちを改造し
て下さい!」

地下の改造手術室で、あゆみたち三人は円形の手術台に手足を固定され、改造手術を施さ
れようとしていた。ナノマシン改造によるビーロイドとは異なり、ホーネットロイドは全
身にバイオセラミック製の人工臓器を移植されることによって作られる。あゆみたちは麻
酔を施されることもなく改造手術に臨んだ。レーザーメスが迫っても、恐怖は微塵も感じ
なかった。むしろ、身体を無茶苦茶にいじくり回されることに対する喜びで心がいっぱい
だった。正中線に沿って身体が切開され、自分の臓器が次々と摘出されてゆくのを見なが
ら、あゆみは夢見心地で改造される幸せに酔いしれていた。あゆみの隣の手術台でも、飛
島ケイと妹尾麻由の二人がやはりうっとりした表情で、改造手術の喜びを噛み締めていた。

217 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:10:03 ID:dR3sG345]
翌年1月に放映開始となった新番組『懲罰天使エンジェル・ホーネッツ』は、局の見込み
通りの大ヒット番組となった。人気絶頂の3人のアイドルが、ハリウッド大作映画級のV
FXを用いた激しいアクションを演じるということで、放映前から各界の期待を集めてい
たが、放映された映像は期待を遥かに上回る素晴らしい出来だった。明らかにCGではな
い、いったいどうやって撮影したのか専門家も首をひねる激しいアクションが、華奢な少
女たちの身体から次々と繰り出された。もちろんそれはVFXでも何でもない、改造され
た身体を持つ、あゆみたち自身のアクションに他ならなかった。一方で、ホーネットたち
のセクシーな衣裳も注目を集めた。ひょっとして全裸ではないのかとの報道も一部でなさ
れたが、実際にもその通り、あゆみたちは改造された全裸のボディのままで撮影に臨んで
いたのだ。もちろん、露出した女性器だけは巧妙にカバーで隠していたが。
『エンジェル・ホーネッツ』のヒットの要因は、アクションだけではなかった。主演の三
アイドルの演技が実に見事な出来だったこと、そして抜群の歌唱力で彼女たちが歌う主題
歌も、『エンジェル・ホーネッツ』が幅広い世代に受け入れられた大きな要因として識者
たちに分析された。特に三人の中でも主役級の、美樹原あゆみの演技の上達は実にめざま
しいものであった。改造人間となった彼女たちは人間とは違い、歌も演技も自分の意思で
100%完璧にコントロールできたから、こうなるのは当然の結果であった。

218 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:11:03 ID:dR3sG345]
さらに、『エンジェル・ホーネッツ』を酷評する批評家たちが、途中で論調を切り替え、
次々と擁護派に回っていったことも大きかった。擁護派は事あるごとに番組を絶賛し、信
じられないことに競合他局までが『エンジェル・ホーネッツ』のブームを検証する番組を
組むようになった。これは、あゆみたちの仕業であった。あゆみたちの触角で頭部に触れ
られた人間は、またたく間に彼女たちのしもべとして洗脳されてしまうのだ。あゆみたち
がプロモーション活動を行うごとに、番組の支持者は増え、ファンの数は増していった。
あゆみたちは常に、ホーネットの衣裳を身につけてプロモーション活動に臨んだ。プライ
ベートで街を歩く時にもホーネットの衣裳を欠かさない彼女たちのプロ意識を、メディア
は好意的に報道したが、あゆみたちにとっては人工皮膚で人間の姿に変装することこそ、
堪えがたい苦痛であった。極力彼女たちは、改造された蜂女の姿のまま、24時間過ごそう
としていたのだ。
『エンジェル・ホーネッツ』の関連商品は、幼児向けの玩具から、同世代の女子学生向け
のマスコット、父親世代向けのメッセージ付き写真、ヲタク向けのリアルフィギュアなど、
多岐に及んだ。その全てに、C.F.ラボが“洗脳装置”をこっそりと仕込んでいたことは、
誰一人知るよしもなかった。

219 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:12:04 ID:dR3sG345]
「サイナム様。総帥よりのお言葉が届いております。」
C.F.イリュージョンの犀南社長に、秘書の来島美伶が話しかけた。
「何だね、メル。伝えたまえ。」
「はい。来るべきCデイに向けたわが組織の3計画のうち、洗脳した子供たちを玩具に見
せかけた本物の兵器で蜂起させる、ゴオモン様による『ティブル計画』、人気韓国俳優の
ピョン様ことピョン・ヘジョンを使ってテレビ・映画・ネットの3大メディアで主婦層の
洗脳を図る、ジュウリン様による『シャドウ計画』の2つは順調に進んでいるのに、サイ
ナム様の『ヴェスパ計画』だけが当初の予定よりも遅れていることに対し、総帥はたいへ
んご心配されている模様です。」
「…総帥はせっかち過ぎておいでなのだ。真に効率良く計画を運ぶためには、慎重に慎重
を期さなければならん。まだまだCデイまでには時間がある。心配いらぬと総帥には伝え
てくれたまえ。」
「…かしこまりました。」
「メル。」犀南は出てゆこうとする来島美伶を呼び止めた。「時に、蜂化皮膚の改良型は
いつ出来上がる予定だ?」
「開発部からの連絡ですと、着用後6時間で改造が完了する新タイプが、あと数日中に納
品できるそうです。」
「よろしい。そいつが納品され次第、計画の第2フェイズに移ろう。それにしても6時間
か。ずいぶんと進んだものだ。お前を蜂化皮膚で改造した時は、1週間かかったものだっ
たな。憶えているか? モデル事務所から派遣されたお前がホーネッツのプロトタイプ衣裳
を着せられた時のことを。あの時はお前も、すいぶん抵抗したものだった。」
「…嫌ですわ、サイナム様。」サイナムはメルの腰に手を回して引き寄せた。メルは大人
しくそれに身を委ねた。「今のわたしは、身も心もサイナム様の奴隷でございます。」
サイナムの膝の上に腰をおろしたメルの唇が、彼の口元に引き寄せられていった。

220 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:13:03 ID:dR3sG345]
『エンジェル・ホーネッツ』の放映は、2クール(6ヶ月)で惜しまれながら終了した。も
ちろん、主演女優を一新し、5人のメンバーに増やした『エンジェル・ホーネッツ2』の
放映がそれに続いたことは言うまでもない。
絶大な人気を獲得した美樹原あゆみたち3人は、次々と舞い込む次回の仕事のオファーを
すべて断り、新しい事業に手を染めた。8月に開校する、『C.F.アクトレススクール』の
専任講師として着任したのである。
もちろん、彼女たちが表舞台を退くことを惜しむ声は大きかった。だが「私たちがなれた
ように、誰にでもシンデレラになれるチャンスがある」という彼女たちの志は、多くの同
世代の少女たちの心を大きく揺り動かすことになった。
7月。『C.F.アクトレススクール』無料体験入学の参加者募集が始まった。2泊3日の
日程で、美樹原あゆみ、飛島ケイ、妹尾麻由の3人じきじきの演技・歌唱指導がもらえる
というもので、1回200名、8月末までに15回実施という日程が発表されつや否や、女子
中学生・女子高生たちからの申し込みが殺到した。何と800倍という高倍率を突破した
3000名の幸運な少女たちは、開校から順次、無料送迎バスでC.F.イリュージョン敷地内
に作られた『C.F.アクトレススクール』にやってくることになった。
その第1陣が、あゆみたちの前に揃ったのは、8月1日、スクール開校日の午後であった。
あゆみたちがエンジェル・ホーネッツの衣裳で現れるや否や、少女たちの黄色い歓声が巻
き上がった。
初日は、あゆみたちが参加者の目の前で、自分たちの演技、アクション、それに歌唱を披
露することに充てられた。現役女子高生とは思えない完成された演技に、参加者たちはた
め息した。その夜は楽しい会食。ワイワイ騒ぐ参加者の少女たちの質問責めに遭いながら、
あゆみたち3人は「あなたたちこそ、未来のホーネット」と強調した。

221 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:14:03 ID:dR3sG345]
翌日、参加者全員に、ホーネットの衣裳が手渡された。全裸になって全身タイツをまとう
ことに抵抗を感じる者もいないわけではなかったが、あゆみたちが既にその姿でいる以上、
全員が従うのは当然の成りゆきだった。
衣裳をまとうや否や、参加者の少女たちの目の色が変わった。誰もが夢見るようなまなざ
しで、しきりに自らのボディを愛撫し、衣裳の感触を味わうのだった。
蜂女の衣裳をまとった200名の少女は、あゆみたちと共に様々なアクションを行った。汗
をかくごとに、彼女たちの顔は上気し、まなざしは正気を失ってゆく。
6時間後、少女たちは一斉に衣裳を脱いだ。200名の蜂女が、新たに誕生した。
「あなたたちは、もう人間ではありません。わが組織の蜂型戦闘員、ビーロイドなのです。
あなたたちはこれから自宅に戻り、触角を使って家族や周囲の人間を洗脳しながら、組織
の命令を待ちなさい。組織の一斉蜂起の日、Cデイは12月に予定されています。」
少女たちは一斉にうなずいた。
「Cデイ。すなわちカラミティ・デイ(災厄の日)、現在の地上の秩序は崩壊し、我々が新
たな支配者として人間たちの上に君臨することになるでしょう。わが組織の名は、C.F.、
カラミティ・フォーリング!」
「カラミティ・フォーリング!!」蜂女になった少女たちが一斉に叫んだ。
「あなたたちの中でも優秀な者は、これから改造手術を受け、戦闘用改造人間・ワスプロ
イドとして生まれ変わってもらいます。次に番号を呼ばれた者は、前に出なさい。…2番、
14番、17番、32番……」
蜂化皮膚のセンサーから送られた情報を分析して、200名の中から15名の少女が、戦闘用
改造人間の素体として選ばれた。彼女たちは地下の手術室で改造手術を施され、次の朝ま
でに、乳房に強力な毒針を装備し、飛行能力とパワーを強化された戦闘用改造人間ワスプ
ロイドとして生まれ変わった。
それ以外の者たちは、あゆみたちの手によって戦闘訓練を施された。

222 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 04:15:49 ID:bd7ah/7m]
3日目の昼、人工皮膚で人間に偽装した200名の蜂女たちが、送迎バスでアクターズスク
ールを巣立っていった。入れ替わりに、第2陣の少女たちがスクールに到着した。
蜂女に改造されるとも知らず、あどけなく談笑する少女たち。その様子を校舎の窓の裏側
から、カラミティ・フォーリング3大幹部のひとり、サイナムが妖しく笑いながら見つめ
ていた。
「メル君。新しい蜂化皮膚の開発のめどがついたそうだね。」
「はいサイナム様。今度の新タイプは、素体のモニター機能を省いて簡素化したため、2
時間で改造・洗脳が完了いたします。」
「…2時間か。それだけ短ければ、大量改造ももう夢ではないな。フフフ。」サイナムの
冷たい笑いが、校長室にこだました。

「ねえ、知ってる? 今流行のヴェスパ・フィットネススタジオ! わたしの知り合いが行っ
たらしいんだけど、たった一日通っただけでスタイルが抜群に良くなってるし、身体の動
きが以前とはまるで違うのよ。ねえ、一緒に行ってみない!?」
「えー、でも高いんでしょ、これって?」
「1日だけの無料体験コース、っていうのがあるのよ。1日で効果があるんなら、お金を
払う必要なんかないじゃない! さ、行こ行こ!」
街のあちこちに貼られたポスターを見ながら、女子大生が話し合っている。9月にオープ
ンしたばかりの『ヴェスパ・フィットネススタジオ』の無料体験コースは、全国300箇所
に設立されたどの店舗でも、満員盛況だった。そして今日もまた、蜂女に改造されるとも
知らず、2人の女子大生がこの悪魔の店の玄関をくぐろうとしていた。
                                   (おわり)



223 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/16 15:41:44 ID:qA+RTFJ9]
>>198-200は、誰がどんなふうに改造されることになるのか気になる。
続きキボンヌ。

224 名前:名無しより愛をこめて [04/11/16 19:25:56 ID:K2n5r+qR]
過去ログ発掘。
piza.2ch.net/yume/kako/994/994167997.html

225 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/16 20:28:57 ID:b2oZTqDr]
142です。

>既に番組の関係者は全員、このように脊髄に洗脳チップを埋め込ん
>で我らのしもべにしてあります。

こことか、

>あゆみたちの触角で頭部に触れ
>られた人間は、またたく間に彼女たちのしもべとして洗脳されてしまうのだ。

こことか、

特に>>221-222が最高でした!
リクエストお答えいただきありがとうございました、これからも良作期待しております。

226 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/16 20:37:32 ID:b2oZTqDr]
失礼しました、お礼の相手の名前も記さないとは・・・興奮しすぎました。
改めて、BeeFreak様大量戦闘員化のSSありがとうございました!

227 名前:BeeFreak mailto:sage [04/11/16 23:27:11 ID:ghHAM8gN]
>>225=142 様
さっそくご感想、ありがとうございます。
なんとか喜んでいただけたようで何よりです。
ただ昨夜UPしたSSは、突然思いついて(睡眠時間削って)一気に書き上げたものだったので、
今読み直してみるとなかなか恥ずかしい出来ばえです。もう少し寝かせればよかったと今
さらながら後悔しています。
ちょっと的を外してしまったような気もするので、ご不満等ありましたら遠慮なくご指摘
いただければ助かります。今後の参考にします。

最近、変化球が多くなってしまったので、スレの皆さまにはあきれられているかも知れま
せん。どういう方向性がいいか、これからも皆さまにご指導いただければ幸いです。
それではまた。
次回はフィニィの「盗まれた町」の翻案で行こうかと画策中のBeeFreakでした。

228 名前:前スレ325 mailto:sage [04/11/17 02:10:55 ID:K03OkTW7]
こういう状況で投下いいですか?
相変わらずプロクシが不安定ですが

229 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/17 04:55:26 ID:cZSPqgFw]
あっ、325さんだ!!
遠慮せずにどんどんうpしちゃって下さい! お願いします!!
期待しています!!

230 名前:前スレ325 mailto:sage [04/11/18 01:22:23 ID:rSQJ70YX]
えーと、今回も同じヒーロー使います
エロより外道度に力いれます
319さんの設定にあったおやっさんや女の子や少年ファイター隊は
何時の間にかいないことになってますので悪しからず

231 名前:前325-1 mailto:sage [04/11/18 01:25:13 ID:rSQJ70YX]
無影灯の無機質な光が目を刺す。
裸の背中に冷たく固い手術台の感触。
だが、体を手術台の上に大の字に固定された彼女には、
その光から眼を背けることさえできない。
そして、彼女を見下ろす異形の科学者たち。
(お願い、助けて…)
哀願しようとするが、口が動かない。
意識はあり、目も見えるが、体は彼女の意思に反して
のたうつことさえ、身悶えることさえできないのだ。
「我がサイバーが誇る無痛手術だ。意識はあるが神経は眠る」
「我等の芸術ともいうべき手並みをじっくり体感するがいい」
「この鉄の腕、鋼の足、永遠の命がお前のものになるのだ」
口々に誇らしげに語る科学者達。
(ああ…助けて、あなた!)
科学者たちは、大口径の銃がセットになったロボットの義手、
得体の知れない人工臓器などを、わざと彼女に見せびらかす。
「では、この余計な人間の部位を切り取って行こう」
(ああ、やめて!あなた、赤ちゃん…)
科学者の1人が、彼女の下腹部の方に回る。
(おおお、何をするの…、ああああ)


232 名前:前325-2 mailto:sage [04/11/18 01:27:01 ID:rSQJ70YX]
===================================
ある秋の休日、隼五郎は、新宿の歩行者天国を1人歩いていた
あたりは家族連れやカップルでにぎわっている
(平和だ。まるで何事もないかのようだ。サイバーの謀略も、あの恐ろしいテロも)
戦いの日々をしばし忘れようとする五郎。
子供「うわーん、パパ、ママ、風船が」
幼児が持っていたガス風船をうっかり手放してしまい、泣いている。
ママ「ほらほら、いい子だから泣かないのよ」
パパ「男の子が泣いちゃみっともないぞ」
両親らしい若夫婦があやそうとしている。
子供の手を離れた黄色い風船は、ビルの谷間から青空へとふわふわと上昇を続けている
その風船につい見とれる五郎

「助けて!」




233 名前:前325-3 mailto:sage [04/11/18 01:30:38 ID:rSQJ70YX]
女の悲鳴が響く。
人ごみをかきわけて、1人の女が逃げてくる。
何事かと振り向く人もいるが、この喧騒の中気付かない人も多い。
人ごみをかきわけかきわけ、時々足をもつれさせながら、
その女は走り抜けようとする。少しでも遠くへ

走り抜けようとする。
「こっちだ」「逃がさんぞ」追ってくる数人のサイバー戦闘員
人の波の中にまぎれようとして、五郎の背中にすがる女
戦闘員A「三輪香織、無駄なあがきはやめて出て来い!」
言うなり手にしたカービン銃をフルオートで乱射する戦闘員。
至近距離の銃弾に手足や腹を千切られ、血しぶきを上げて人々が次々倒れる
阿鼻叫喚の地獄絵だ。
五郎の目の前の若夫婦は、反射的に子供を庇おうとしたが、
2人の体を貫通した銃弾はさらに幼子をも絶命させる。
五郎「許さん!」
突然の惨劇、サイバーの暴虐に怒り、ファイターFに変転!
戦闘員のカービン銃をもぎとり、頭に叩き付け絶命させる。
バーン!
大口径の銃声が響き、五郎の手のカービンが衝撃と共に吹き飛んだ。

234 名前:前325-4 mailto:sage [04/11/18 01:34:04 ID:rSQJ70YX]
女怪人の声「邪魔をするな!ファイターF」
F「サイバー、貴様らよくも!」
姿を現す女怪人、全身真紅のレザー服、ピッケルハウベの鉄兜を被った顔に
鉄面。右腕は銃になっている。
女怪人「サイバー突撃隊・マグナサイバーだ。
今はお前の相手をしている暇はない。その女を渡せ」
F「誰が貴様らに」マグナが右腕のマグナム銃を構える刹那、
Fの前蹴りがその鉄の腕を捕らえ、照準を反らせる
マグナ「うおっ」。ダメージを受けた腕を押さえ、早くも逃げ腰になる怪人
後を追うFだが見失う。
変転を解いた五郎は、死屍累々の山の中に倒れていた逃亡者の女を抱き上げる
香織「…あなたは?」意識があった。
五郎「奴らはいなくなりました。僕はあなたの味方です」
香織「助けて下さい。主人が、子供があの人たちに…」急に取り乱し泣き出す香織
まず落ち着かせようとする五郎だが、香織の清楚な水色ワンピースの背中が
鉤裂きになっているのを見て目を剥く。

Y−151

裂け目の間からのぞく香織の白い肌には、ナンバーと、
サイバー軍団のシンボル・黒いコウモリとがタトゥーで刻まれていたのだ

235 名前:前325-5 mailto:sage [04/11/18 01:46:39 ID:rSQJ70YX]
================
手術が終わってもう何日たったのだろう…
彼女にはもう時間の感覚も無かった
全身が何かビニールにでも覆われたかのような違和感、一種の倦怠感があった
いや、実際に、今の彼女を覆うのは特殊金属の装甲板と人工皮膚
柔肌はかけらも残っていない

そして右腕には、あのおぞましい銃が。
そんな体にされても、悲しみが今一つ彼女の心に湧かないのは、
脳改造のせいか。それとも彼女自身が肉体と共に無機質になったのか…
光一つ見えない暗闇の牢獄の中で、ひざを抱えてうずくまっていても
寂しさ、不安、恐怖さえも感じない
彼女の心を占めるのは空虚、そして、得体の知れない衝動だ
(殺せ…、殺せ…、あいつを。わたしの敵を)
突然、闇に光がさし込んだ
牢獄の扉が開かれたのだ
「テストロボット101。出ろ」


236 名前:前325-6 mailto:sage [04/11/18 01:54:33 ID:rSQJ70YX]
================
五郎「ディストピア?」
香織「はい。私たちは1ヵ月前にさらわれて、そこに閉じ込められたんです」
ここは、東京郊外にある目立たぬ一軒家
五郎の相棒であり協力者であるサイバーハンター、岩井重吾の秘密アジトの1つだ
手と足首に軽いケガをしていた香織は、手当を受けて
五郎の男物のYシャツに着がえてベッドに寝かされている
岩井が香織に淹れてやったハーブティーと、彼のふかす葉巻の香りが入り混じる
岩井「ディストピアは、サイバーが人体実験のために拉致してきた人を住まわせている、
いわば収容キャンプだよ」
五郎「人体実験ですって?」
岩井「捜査当局でも公然の秘密だ。世界征服を狙う奴らがサイボーグを造り続けるには、
膨大な試験データが事前に必要になる。その為に多くの人間を拉致して、
手術の実験台にしているんだ」
香織「そうです。私もこれから実験にかける≠ニ言われ、
夫と引き離されてどこかに運ばれる途中だったんです」
五郎「何ということを…」


237 名前:前325-7 mailto:sage [04/11/18 01:57:30 ID:rSQJ70YX]
岩井「奥さん。失礼ですがあなたの背中のそれは」
香織「はい。さらわれた私たちは名前を奪われ、
全員ヤプー≠ニ呼ばれ、番号で区別されました。
番号はさらわれたその日に、身体検査と一緒に…」
悔しさと恥ずかしさが入り混じり、唇を噛む香織
五郎「あなたと御主人が閉じ込められたそのディストピアというのは、どこなんです」
香織「わかりません。さらわれた時は意識がありませんでしたし…、
ただ、それ自体が大きな街で、住宅を割り振られてそれまで通りのような
暮らしをするよう命令されました。ですがその街がどこかは…」
岩井「奥さん。大事なことです、思い出して下さい。どんな手がかりでもいいんです」
香織「…全く思い出せないんです。連れ出される時は目隠しをされていましたし。
今日はたまたま輸送車が事故を起こして、私だけ逃げ出せたんです」
岩井「もう1度輸送された時のことを思い出して下さい、奥さん」
いつもは年長者らしく冷静な岩井には珍しく、質問に熱が篭もる
香織「でも、でも…」恐怖が頭から去らないのか、震え出す。
「そうだわ。MH551にヤプーを集める≠ニか話していました」
岩井「MH551か。判った。五郎君、行こう!」

238 名前:前325-8 mailto:sage [04/11/18 02:00:44 ID:rSQJ70YX]
香織・五郎「?」
岩井はガンラックからソウドオフしたショットガンとリボルバー、
それぞれの弾丸の箱を取り出す。
岩井「使うかね」リボルバーを五郎に差し出す。
五郎「いや、僕は武器は使いません。素手で十分です」
「それより岩井さん、そんな暗号だけで判ったんですか?」
岩井「事情は道々説明する。急ごう」。ショットガンをベストの裏側のハーネスに
特殊散弾、特殊鋼製のナイフをベルトにさし込みながら急かす
香織「待って下さい。手がかりがあるのなら、
私も連れてって下さい。夫と子供が心配なんです」
岩井「いかん。貴女をみすみす奴らの前にさらす訳にはいかない。
ここでじっとしていなさい」
ランドローバーに乗り込み、出発する五郎と岩井

239 名前:前325-9 mailto:sage [04/11/18 02:03:28 ID:rSQJ70YX]
====================

その男≠ヘ、まっすぐ立つこともできず、這いつくばりながら彼女≠フ前にみじめな姿を晒していた
サイバー科学者「さあ、どうした?やれ。その出来そこないを撃つんだ」
右腕に採りつけられたマグナム銃の照準を出来そこない≠ノ合わせる
不思議と感情の乱れはなかった
目の前の出来そこない=B体の右半分が部品剥き出しの機械体、左半分が
表皮も無く赤色青色の血管が浮き出た人工筋肉体の、世にも醜いサイボーグの失敗作だ
声帯を取り付けられていないので、命乞いさえもできない
ただただ立たない足をもつれさせながら身悶えている
目で彼女に哀訴しようとする。
(彼を撃つのに躊躇は無い。私には重要な務めがある
そして、私が今許されているのはこれだけだ)
彼≠ニ目が合った、お互い鉄面に採りつけられた人工眼だ。
…だが、彼女には、それをためらう感情さえ発生しなかった。
ドゴーン!
爆発四散する彼≠フ体
(さよなら…)


240 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/18 07:23:24 ID:HqQ3wO4s]
>231-239
おおっ! いよいよ始まりましたな。325さん!!
イナズマンFのミスワンやサイレンサーデスパー、デスパーシティーの回を
ほうふつとさせるハードな展開。
今回は若妻改造ですな。テストロボット101の正体が今後のミソか?
これからの展開、期待しています!!

241 名前:名無しより愛をこめて [04/11/18 17:00:26 ID:OwOs9rvP]
イナズマンFって、女性の改造シーンあるの?

242 名前:前325-10 mailto:age [04/11/20 01:39:32 ID:WTo1Y6yJ]
================
ローバーのハンドルを握り、エンジン全開で飛ばす岩井に五郎が問う
岩井「最近解読されたサイバーの暗号だよ。Mは東京都下、Hは多摩地区
551というコードでやつらの拠点の位置を示しているんだ。
これでディストピアへの手がかりになるぞ」
五郎「岩井さんは知ってたんですか?」
岩井「妻と娘もあそこで生きているかもしれん。食いついて離さんぞ」

悪魔のようなサイバー軍団によって頻発するテロや人間拉致。その被害者の残された家族たちが
「サイバーハンター」として立ち上がったのだった。
サイバーの存在を公式には認めていない政府から、銃器使用の黙認と
わずかばかりの情報提供という程度のバックアップを受け、
いや、都合良く利用さえされる形で、彼らは戦ってきた。
そんな蟷螂の斧≠フハンターたちにとって、逃亡者にして正義と復讐の戦士、
サイバーロボットと唯一互角に戦えるファイターF・隼五郎こそ、まさに救いの神だった
岩井もまた、妻子を奪われた1人だ。
自分の肉体と青春を奪われた五郎とは、今や固い絆で結ばれた戦友ともいえる。
その岩井が今、妻と娘の手がかりを得て、五郎も見たことのないほど興奮している。
五郎「岩井さん。考えてることはわかりますが、危険が高いですよ」
岩井「五郎君がいつも覚悟してることに比べたら、大したことじゃないさ」
2人同時に、不敵でそれでいて信頼感に裏打ちされた微笑みが浮かぶ。



243 名前:前325-11 mailto:sage [04/11/20 01:43:04 ID:WTo1Y6yJ]
==============
科学者A「それでは、投与しようか」
手術台の上で文字通り「まな板の鯉」なっている彼女にはどうしようもない
彼女の下腹部の方に回った科学者に、助手が膣拡張機を手渡す。
科学者はそれを、彼女の肉の合わせ目にゆっくり押し込んだ
クスコのねじを回し、ペリカンの嘴部分を少しずつ広げはじめた
(い、いや、許して…)
女の体で最も繊細で柔らかいそこを、じわじわおし広げる
(あっ、あーっ、だめえ)
麻痺した舌で泣き声をあげようとするが、声は出ない
科学者は、女の最奥があられもなく拡張され、湿って光る粘膜があらわになるのを
まるでメカを修理する時のように無感動で見つめると
おもむろに注射器を取り出す。
「これを打っておかないと、お前も耐えられまい」

244 名前:前325-12 mailto:sage [04/11/20 01:44:47 ID:WTo1Y6yJ]
注射器の中身は、サイバー科学班が開発した新種の麻酔薬だ
痛みを全て、快感に転化する効能がある
新開発のそれを、科学者はヤプー=モルモットである彼女でためそうとういうのだ
科学者A「全身の手術になるんだ。6本ほど打たないといけないな
お前は自分が切り裂かれながら、無上の快楽を体験するんだ」
その薬を、彼女の最奥の粘膜から吸収させようというのだ
いっぱいに開いているクスコの間から、ゆっくりと注射器を挿入した
注射器には、針はつけられていなかった
その先が子壷の口に押し当てられた
(やめて、赤ちゃんが、赤ちゃんが…)
彼女は妊娠4カ月だった
自分は奴らに辱められても、愛する夫との間に生まれようとする
愛しい嬰児だけは守りたかった
科学者A「心配するな、胎膜はこの薬を吸収しない。
お前は安心して、この薬6本分をたっぷり味わえばいいのだ」



245 名前:前325-13 mailto:sage [04/11/20 01:46:23 ID:WTo1Y6yJ]
科学者はゆっくりと、注射器の中身を押し出した
繊細な粘膜に傷つけぬよう、細心の注意をはらって薬液を注ぎ込む
(ううううう)
充血して赤く熱を持った粘膜に、冷やされた薬液がはきかけられる
彼女の子壷の口は、ヒクヒクと収縮を見せて蠢いてしまう
夫との愛の営みの時に
その精を受け入れたことを思い出すかのように
彼女を淫楽の狂気へと誘うおぞましい液を飲み込んで行く
哀しい女の生理だった。
科学者「ふふふ、快いか。まだまだ、あと五本あるぞ」


246 名前:前325-14 mailto:sage [04/11/20 01:51:44 ID:WTo1Y6yJ]
==============
10分ほどで目的地についた
ひっそりとした高台に立つ、古い病院の跡だ
五郎「こんな近くに」
岩井「お互いそれと知らず、お隣さんでアジトを構えてたってわけだ」
岩井は小型のマルチバンド通信機を取りだし、レシーバーにつなぐ
岩井「奴らの通信が傍受できるかもしれん」
建物の周りには、カービンや短機関銃で武装した戦闘員が巡回している
岩井「忍びこむにも骨だな」
五郎「岩井さん。援護して下さい」
五郎はいうが早いか、音も立てずに手近の戦闘員に飛びかかる
振り向きざま銃を構える暇も与えず、銃口を手刀で払い内側に入り身し
戦闘員の首に喉輪の強烈な当身を食らわす
精密な回路が集中している頚部を破壊され、機能停止する戦闘員。
戦闘員B「誰だ?」
同僚の異変に近くの別の戦闘員が気付く。
五郎はその戦闘員に手刀の逆手撃ちを浴びせる
鋭利な刀で斬られたかのように戦闘員の首が胴体から飛ぶ
五郎はその勢いでそのまま転体し
さらに背後に迫ったもう1人の戦闘員に鋭い横蹴りをお見舞いする
五郎「岩井さん、今です」
岩井が飛び出しざま、いま1人の戦闘員が建物から飛び出す
ショットガンの銃床でその鳩尾を破壊する岩井
戦闘員4人の残骸を後に残し、建物に潜入する2人



247 名前:BeeF (BeeFreak 改め) mailto:sage [04/11/21 00:52:35 ID:cRIe5pGj]
どうも。BeeFreakあらため、BeeFです。色々あって、名前を縮めることになってしまい
ました。これからは“牛肉”とでも呼んで下さい。

>>前スレ325 様
いよいよ新作が始まりましたね。まだまだ謎に満ちたストーリーですが、期待しています。
さて、このSSもまとめサイト
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/other_ss/
に保管させていただきますが、できればSSのタイトルをお教えいただけませんでしょう
か? とりあえず「ディストピア」としておりますが、ご希望に沿って変えさせていただき
ます。また以前の「ファイターF」も、「アイヴィーサイバー」にタイトル変更してあり
ますが、こちらももっと適当なタイトルがあれば、お教え下さい。お願いします。


さて、またも思いつきでSSを書いてしまいました。
と言っても、前回予告してあった「盗まれた街」風ストーリーではありません。
最初は前スレ325さんの“デスパーシティ”風設定に感化されて、プリズナーNo.6風の
話にするはずだったんですが、構想段階でおかしくなってしまい、最終的に「NHK少年
ドラマシリーズ」風の話になってしまいました。
いっそのこと、と開き直って、登場人物の名前は全部パロディにしてあります。
前半がもろ少年ドラマシリーズ(というより中学生日記?)風のかったるい展開なので退
屈される方もおられるかも知れませんが、終盤の鬼畜な展開への伏線ですので、しばらく
我慢いただければと思います。
今回、サイバーヴィルによって蜂女に改造されてしまうのは、香川美紗ちゃん16歳です。
それでは。しばらくお付き合い下さい。

248 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:54:06 ID:cRIe5pGj]
「おはよッ!」「おはよう!」
秋晴れの穏やかな朝。私立英光学園に通う生徒たちでにぎわうこの通りの中、一人の少女
が腕時計をにらみながら誰かを待っている。
「…おはよ、のっぴい! ゴメン、ゴメン…」
「遅いぞッ、ミーシャ! まったくいつもいつもお寝坊さんなんだから!」
親友の落合法子が、肩で大きく息をする香川美紗の背中を、カバンで軽く小突いた。
香川美紗は16歳、高校1年生。笑顔が印象的な、学園きっての輝くばかりの美少女だ。
「昨夜も遅くまで、台本の練習をしてたのよ。もう、なかなか憶えらんなくて…」
「ミーシャ、主役だもんね。まだ1年なのに大変だよ。どう、何とかなりそう?」
「わかんない。あと6日しかないけど、頑張るっきゃないわ。」
親指を立ててガッツポーズをする美紗。親友の法子も笑いながらサムズアップを返す。
「…あれえ? ここ、こんな看板、前からあったっけ?」
古ぼけた洋館の前で、美紗が不意に立ち止まった。
枯れかけた蔦がからまった巨大な門の傍らに、『富良戸ディメンショナル・パワー研究所』
と書かれた真新しい看板が掛けられている。
「ここ…ずいぶん長い間、空き家だったはずだよね?」
「うん。家族がみんな病死して、買い手がなかなか付かないって聞いてたけど。研究所っ
てことは、博士か何かが引っ越してきたのかな?」
「…何だかちょっと、いかがわしい名前だよね。」
美紗が咲き誇る花のような笑みを浮かべた。「わたしたちには関係ないね。行こ行こ!」

249 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:55:05 ID:cRIe5pGj]
その日の夕刻のこと。
部活の練習で遅くなった美紗が、家路を目指して歩いていた。英語研究会に所属している
美紗たちは、6日後に控えた文化祭で披露する英語劇「ロミオとジュリエット」の猛特訓
に励んでいるところなのだ。
美紗は1年であったが、その容姿を見込まれて、ヒロイン・ジュリエット役に抜擢された。
ロミオ役は3年の楠本真理子。目下英語研究会は女子ばかりの所帯であり、文化祭を機に
男子部員の新規獲得を目指して、美紗に白羽の矢が立ったというわけだ。ただでさえ難し
いシェイクスピア英語。ましてやまだ1年の美紗にとっては、台詞を覚えるだけで一苦労
なのだ。
「ええと、My only love sprung from my only hate! Too early seen unknown, and
known too late! (たった一つのわたしの愛が、ただ一つの憎しみから生まれるなんて!
知らぬままにお顔を見るのは早すぎて、知った時にはもう遅い。)」
ブツブツと台詞を呟きながら、すっかり暗くなった道を帰宅する美紗。台詞を暗唱するの
に夢中で、その目には何も映ってはいない。
洋館の脇を通り過ぎ、T字路に差しかかった時。彼女は右側から迫ってくる車に気付くの
が遅れた。
キキーッ!! 車が急ブレーキを踏んだが間に合わない。ライトの光に目がくらんで、美紗の身
体は思わず硬直した。「きゃああッ!!」
その時、美紗の身体を抱えて風のように駆け抜け、飛び上がったものがあった。車は激しく
右へ左へと揺れながら、やがて遠ざかっていった。

250 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:56:06 ID:cRIe5pGj]
美紗は思わず安堵の息を漏らした。そして、自分の足元を見て再び叫んだ。「キャアッ!」
美紗たちが立っていたのは、身長ほどもあるブロック塀の上だった。思わずふらつく美紗を、
彼女を助けた人影があやうく支えた。美紗は、自分を助けた者の姿を見て、驚いた。
それは、美紗よりも少し背の高い、彼女と同じくらいの年頃の少女だった。きりりとした
眉、長いつややかな髪。顔立ちのはっきりした目のさめるような美少女だ。
少女は、美紗の腰を再び抱えると言った。
「もう一度飛ぶわ。気をつけて。」
ふわり、と宙を舞って地上に着地した二人。少女は美紗を離すと、そのままスタスタと歩
んでゆく。少女は美紗と同じ、英光学園の制服を着ていた。
「ねえ、待って! …あ、ありがとう。」
美紗の声に振り向き、一瞬微笑んだ少女は、再びきびすを返して夜の闇の中に消えていっ
た。
《不思議な子…学校じゃ見たことがない顔だったわ。それにしても、わたしを抱えたまま
こんな高いところまでジャンプするなんて……とても、人間技とは思えないわ……》


翌日、英語研究会の顧問でもある、1年3組担任の大谷みどり先生が、転校生を紹介した。
「このたびカナダから帰国しました、宮野礼莉です。どうかよろしく。」
とびきりの美少女の出現に、クラスは騒然となった。そして美紗も、転校生の顔を見て思
わず息を飲んだ。彼女こそ、昨夜美紗を助けた、あの身軽な少女だったからだ。
「はいはい、騒がない騒がない。それじゃ宮野さん、香川さんの後ろの席があいているか
ら、そっちに座ってくれる?」
少女は美紗の傍らを通りすぎるまぎわ、美紗に向かってニッコリと微笑んだ。

251 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:57:12 ID:cRIe5pGj]
「あ、あの、宮野さん。」
「レリ、でいいわ。」
「あ、じゃあ、レリさん。昨夜は…どうも、どうもありがとう!」
「えっ、なになに!? ミーシャ、もうこの子と知り合いなの?」
休み時間。少女に話しかけた美紗を、級友たちが一斉に取り巻いた。
「…う、うん。昨夜、ちょっとね。」
レリが、美紗に向かって問いかけた。
「あなたのお名前は、何ていうのかしら?」
「あ、美紗よ。香川美紗。」
「美紗さん、わたしはまだこの国についてわからないことがいっぱいなの。教えて下さる?」
「あ、わたしでよければ、喜んで。」美紗は、思わずペコリと頭を下げた。
級友たちがどよめいた。学園一の美少女と、それを上回る転校生の美少女のコンビだ。注
目を集めないわけがない。
だが級友たちはその後で、転校生・宮野レリにもっともっと驚かされることになった。3
時間目の世界史Bの時間。アメリカ独立宣言の全文を日本語でスラスラと暗唱してみせた
レリは、驚いた教師に乞われるまま、63か条からなるイギリスの大憲章をも完璧に暗唱し
た。
「すごい! すごいね、レリさん!」
「…まあね、ここに来る前に、この世界のことは勉強してきたから。」
“この世界”という言い回しに、美紗はちょっと引っかかった。帰国子女だから、日本の
ことを指しているのかな? でもイギリスもアメリカも日本じゃないよ。
そして4時間目、体育の時間。体操服を持ってなかったので、レリは体操部に借りた予備
のレオタードを着て現れた。ふくよかな胸に蜂のようにくびれたウェスト、抜群のプロポ
ーション。校庭の反対側でハンドボールをしていた男子たちの手が止まり、がぜん彼女に
皆の視線が集中した。
高鉄棒に飛びついたレリは、いきなり大回転を披露してみせた。しかも、ムーンサルトの
着地付き。
「すっごォーい! 宮野さん! 体操やってたの!?」
「うん。少しね…」あれだけ身体を動かしても、レリは汗ひとつかいていない。
成績優秀、スポーツ万能。レリはまさに完璧な美少女だった。

252 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:58:05 ID:cRIe5pGj]
そして昼休み、美紗と親友の法子は、レリを食事の席に誘った。
レリは弁当を持っていなかったので、購買部ではちみつクッキーを買ってきた。
「え? それだけでいいの?」「うん。蜂蜜があればいいの。」
クッキーの袋を開けようとしたレリの手が、ふと止まった。手が細かく震えたかと思うと、
いきなり袋を放り出した。
「どうしたの!? レリさん!」
「…これよ。ここを読んで。」レリの声は震えている。
袋を手に取った法子が、レリの指差した箇所に書かれた文章を読んだ。
「え…なになに。この商品には、遺伝子組み替えを行った小麦粉を使用しています。…こ
れが何だって言うの?」
「これが何、って一体どういうこと!? この世界でも、遺伝子操作が普通に行われているっ
て言うの!?」
レリの声は、怒ったような調子になった。
「そうよ。もちろん反対している人もいるけれど、これからはこういう作物が増えてくる
だろうって、生物の先生も言ってたわ。」
「…恐ろしい…何て、恐ろしい…」レリは気分が悪くなったかのようにうずくまった。
「大丈夫? レリさん。気分が悪いのなら、保健室に行こうか?」
レリは気を持ち直し、心配そうに顔を覗き込んでいる美紗に向かって微笑んだ。
「…いえ、もう大丈夫よ。心配いらないわ。ちょっとショックだっただけ。」
だが6時間目の理科総合Bの授業で、再びショッキングな出来事が起こった。遺伝子の働
きについての説明で、教師が“わざと遺伝子を欠損させたマウス”の話におよんだ時、い
きなりレリが立ち上がって抗議を始めたのだ。
「先生! 人間が自分たちの都合で生き物の遺伝子を操作するなんて、自然の摂理に反した
ことだと思います!」
理科の教師は困った様子でレリを見つめた。「しかしね君。こういう実験動物たちの尊い
犠牲があってこそ、我々の今の生活は成り立っているんじゃないか。まさか君は、医学や
生命科学の発展を否定するわけじゃないだろう?」
レリは悔しそうに着席し、授業の間ずっと指を組んで考え込んでいた。



253 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 00:59:05 ID:cRIe5pGj]
放課後になった。美紗は不機嫌そうなレリの気分を変えようと、部活に彼女を誘うことに
した。
「ねえレリさん。わたしたち英語研究会で英語劇やってるんだけど、よかったら遊びに来
ない?」
レリは力なく笑って言った。「ありがとう美紗さん。でも今日は初日だから、早く帰るわ。」
部室に向かって移動する美紗と法子は、レリが校庭で2人の男子生徒と落ち合い、校門を
出てゆこうとするのを見た。
「え? あれは誰なの? レリさんと一緒の二人。」
「なんだミーシャ、知らなかったの? 今日宮野さんと一緒に転校してきた人たちよ。1組
の竹下健一くんと、2組の山沢六郎くん。お父さんの仕事が一緒で、カナダから一緒に帰
国したんだって。二人とも成績優秀、スポーツ万能、しかもそろって美形だというんで、
どのクラスも今日一日大騒ぎだったんだよ。」
「…ふうん。」美紗は遠目で二人の姿を見た。竹下健一は線の細い、クールな印象の少年。
山沢六郎は眉の太い、精悍な少年だった。確かに法子の言うとおり、二人ともたいした美
形だ。
「ねえミーシャ。カナダに行ったら、みんなあんなふうになれるのかな?」
「のっぴいにはムリよ。日本を離れたら大好きな琢哉くんが生放送で見れなくなるって言
って、家族みんなが海外旅行に行ったのに、ひとり留守番してたのは一体誰だったかなぁ?」
美紗と法子はキャラキャラと明るく笑い、部室に入っていった。

254 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:00:05 ID:cRIe5pGj]
翌日、レリが美紗たちの部活を見たいと言い出した。美紗たちは喜んでレリを部室に招待
した。
文化祭まであと4日。英語劇披露への最後の大詰めに向けて、部室の中はてんやわんやだ
った。
「シェイクスピアをするわけ?」
「そう。といっても30分のダイジェストだけどね。でも、台詞はオリジナルをそのまま使
うのよ。」
主役の美紗は、さっそくロミオ役の楠本真理子とともに、台詞合わせを始めた。法子は台
詞の少ないロミオの母親役なので、もっぱら衣裳縫いを担当している。
「Lady, by yonder blessed moon I swear That tips with silver all these fruit-
tree tops-(ジュリエット、ぼくは誓おう。見渡すかぎり木々の梢を銀色に染める、あの
月の光にかけて)」
「O, swear not by the moon, the inconstant moon, That monthly changes in her
circled orb, Lest that thy love prove likewise variable.(いけないわ、月に誓うな
んて。ひと月ごとに形を変えてゆく不実な月、あんなふうにあなたの愛が変わっては大変
だもの。)」
美紗の演技も、だんだんさまになってきた。レリは微笑みながら、そんな美紗の演技をじ
っと眺めていた。
5時。校門が閉まる時刻ギリギリに、美紗たちは学校を離れた。
「ねえ、レリさんのおうちって、どこにあるの?」
「わたし? わたしの家は、ここよ。」
そう言ってレリが指差したのは、なんとあの、富良戸研究所という看板を掲げた古い洋館
だった。
「父と母がまだ帰国できないので、ひと足先に伯父の家にやっかいになってるのよ。」
そう言ってレリはあっけに取られる美紗たちを尻目に、錆びた巨大な門を開け、扉の中へ
と消えていった。

255 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:01:06 ID:cRIe5pGj]
それからの数日は、比較的平穏に過ぎていった。レリは時々物思いに沈み込んで美紗たち
を戸惑わせることもあったが、表面的には美紗たちと楽しい毎日を過ごしていた。

そして待ちに待った文化祭当日。美紗たちが緊張して出番を待つ楽屋裏で、ひとつのアク
シデントが起こった。
ロミオ役の3年生、楠本真理子が急に腹痛に襲われたのだ。どうやら食あたりらしい。
「ゴメン…みんな…ゴメン…」真理子は青い顔で、医務室に運ばれていった。
肝心の主役が欠けてしまい、残された部員たちは途方に暮れてしまった。顧問の大谷先生
が心配して駆けつけた。
「みんな、気を落とさないで。こうなったらヘタでも何でもいいわ。この中に、ロミオの
台詞を全部憶えている人はいない?」
部員たちは顔を見合わせた。さすがに一番台詞の多いロミオ役をこなせる者はいない。
その時、傍らで見守っていたレリが手を挙げた。
「先生。わたし、できます。英語は母国語みたいなものですから。」
大谷先生は、思わずレリに駆け寄って手を握った。「ホント? 宮野さん!?」
レリは、ロミオの台詞の幾つかをそらんじてみせた。
「ふむ! いけるわ、これなら! 宮野さん、あなたはホントに救世主よ! さあみんな、早
く衣裳を用意して!」
本番の幕が開いた。観客は、代役に立った絶世の美少女を見てどぎもを抜かれた。
学園きっての美少女二人の共演だ。噂を聞いた生徒たちが、続々と講堂に詰めかけた。
レリの演技は完璧だった。台詞だけでなく、演技、立ち居振る舞いのひとつひとつに強い
存在感がこもっていた。

256 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:02:22 ID:cRIe5pGj]
「Romeo, doff thy name, And for that name which is no part of thee Take all
myself.(ロミオさま、そのお名前をお捨てになって。そしてあなたの血肉でもないその
お名前の代わりに、わたしのすべてをもらって下さい。)」
「I take thee at thy word: Call me but love, and I'll be new baptized; Henceforth
I never will be Romeo. (お言葉通り、あなたを頂戴いたしましょう。ただ一言、ぼくを
恋人と呼んで下さい。そうすれば新しく洗礼を受けたかのように、ぼくはもうロミオでは
なくなります。)」
ジュリエットの部屋での逢い引き場面。レリはこう言うと、ジュリエット役の美紗の唇を
強引に奪い、ベッドに押し倒した。
「キャー♥!!」観客は思わず立ち上がり、会場は騒然となった。
美紗も突然の出来事に驚いた。何しろそれは、彼女にとってのファースト・キスだったか
らだ。だが、本当のところは彼女自身もまんざらではなかった。「ま、いいか…」
美紗はレリに身を預け、彼女のなすがままに従った。心臓はドキドキと高鳴ったが、この
キスで逆に、舞台に臨んだ緊張の糸が解けてしまったらしい。その後の美紗の演技はリラ
ックスしたものとなり、美紗本来の持ち味が発揮できるようになった。
英語研究会による英語劇「ロミオとジュリエット」は、万雷の拍手の中、幕を降ろした。
「わーん。ミーシャ!」感激のあまり泣きながら法子が抱きついてきた。
「おめでとう!」「よかったよ、レリ!」
二人の男子生徒が、舞台裏でレリに駆け寄り、さっき華道部から買った花を手渡した。転
校生の竹下健一と、山沢六郎の二人だ。
「ケン! ロック!」レリも顔をほころばせて、二人に抱きついた。
「紹介するわ、美紗。こちらはケンとロック。わたしの仲間よ。こちらは美紗。わたしの
大切なお友達。」
「はじめまして。」「よろしく、美紗さん。」健一と六郎は笑いながら美紗に会釈した。
「素晴らしかったわ! もう最高よ、あなたたち!!」
大谷先生が大喜びで駆けつけ、美紗とレリの手を握りブンブンと激しく振った。
「キスはちょっと余計だったけど、ウケてたから結果オーライね。さあ、これでもう、わ
がクラブも安泰よ! 男子部員の獲得間違い無し!」
「どっちかと言うと、女子にウケてましたけどね。」法子がさらりと返した。

257 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:03:15 ID:cRIe5pGj]
文化祭が終わり、ジュースでのささやかな祝賀会の後、美紗たちは連れ立って帰宅した。
「それにしても、びっくりしたわ。まさかキスされるなんて、思ってもみなかった。」
「…イヤ…だった?」
「…ううん。そんなことない。怒ってなんかいないよ。ただ、いきなりだったから…」
「ヨッヨッ、ご両人?! お邪魔虫はここで消えるね?!」
法子がそうはやし立てて、二人を残して走り去っていった。後に残された美紗の顔は真っ
赤だ。レリの顔をまともに見ることができない。
「ねえ、美紗?」「…え、なに?」「ほんとに怒ってない?」
「ううん、全然。結果的に劇は大成功だったんだし、わたしも、まあ、レリだったら、い
いかな…なんて。」
「嬉しい!! ねえ美紗? わたしたち、これからもずっと親友よね?」
「ええ。ずっと。」「…約束よ。」「うん。」
二人は、レリが住んでいるという研究所の前に差しかかった。
「ねえ、美紗。一度、うちに寄ってかない?」
美紗は一瞬、躊躇した。どうしてだかわからない。この古い洋館のたたずまいに、ちょっ
と馴染めないものを感じたからかも知れない。
「うん。いいよ。じゃあ、今度はわたしの家にも招待するからね。」
美紗はレリにうながされるまま、洋館の門をくぐった。塀の中はあまり手入れは行き届い
ていない庭園で、枯れかけた植物が繁茂していた。
その時。前方を黒い影のようなものが素早く横切るのが見えた。
「!」
レリは顔色を変え、美紗にこう言い残して走り出した。「そこで動かずに待ってて!」
あっけにとられる美紗。レリの姿は影を追って、建物の向こうに消えた。美紗はその場に
突っ立ったまま、しばらく庭園を眺めていた。「…いったい何だったのかしら?」

258 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:04:51 ID:SP5hwYbw]
突然、美紗の口が、後ろから黒い手で覆われた。「…ん! ん!」
何者かに腰を掴まれ引き寄せられた。美紗は必死に首を振り、相手を振りほどこうとした
が、すさまじい力で押さえつけられているため、身動きが取れない。
目を開けた美紗は、自分の顔のかたわらに、自分を拘束している者の姿を認めた。
「…!!」
それは、人間ではなかった。真っ黒な頭部には、巨大な複眼と、触角、それにギチギチと
音を立てる無気味な大顎。巨大な蟻のような生き物が、美紗の身体を押さえつけていたの
だ。
あまりの恐怖とおぞましさに、美紗は声にならない悲鳴を上げた。
《なんで!? どうして!? どうしてこんな化け物がいるの!?》
蟻のような怪物は美紗を捉えたまま、後方に引きずってゆく。いくら抵抗しても、振り払
うことができない。美紗は恐怖と絶望で目の前が真っ暗になった。
その時だった。
「美紗!! じっとしてて!!」
レリの声が聞こえた。そして美紗のかたわらを、空を飛ぶ何物かが猛スピードで駆け抜け
た。
ブス。ブス。鈍い音が響き、美紗を掴んでいる怪物の力がゆるんだ。美紗はあわてて怪物
の腕を振り払い、その場を逃れた。
「グォ…アガガガ…グヘッ!」
怪物は頭部を抱えて苦しみ始めたかと思うと、身体からブクブクと黒い泡を吹き出し、や
がてグズグズに崩れて溶けていった。
「あれは…ANTタイプ。まさか、もう見つかっただなんて…」
大きくあえぎながら、美紗は声のする方を振り返った。レリだった。レリが、地表から高
く突き出た門灯の上に、ふわりと着地しようとしていた。そして、レリの身体を見た美紗
は、思わず息を飲んだ。

259 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:06:06 ID:SP5hwYbw]
レリの背中には、制服を突き破って、輝くような4枚の羽根が生えていた。両の胸にあた
る部分も、制服に破けたような穴があいていた。
レリは、美紗の視線に気がつくと、悲しそうな顔をした。そして、羽根を広げて美紗の近
くにふわりと飛び降りた。
「美紗、怪我はなかった?」
「…う、うん。」
美紗の頭の中はパニックになっていた。黒い無気味な怪物、羽根を広げたレリ。突然色々
なことが起こったため、美紗には何がなんだか、わけがわからなくなっていた。
「…とうとう、見られちゃったね。」レリが悲しそうにつぶやいた。
「…レリ、あなたその身体、いったい…?」
「美紗。」レリは美紗の瞳を、真顔で覗き込んだ。
「わたしたち、親友よね。いつまでも、何があっても、親友でいてくれるよね?」
美紗は激しく動揺していたが、レリの悲しそうな瞳を見ていると、たまらなくなった。彼
女の口はこう答えていた。
「…ええ。親友よ。何があっても。」
レリは、美紗の手を取って、涙を流した。
「ありがとう、美紗。ありがとう。」
そしてレリは、美紗の手を離し、彼女から少し離れた位置に立った。
「美紗。あなたに今から、わたしの本当の姿を見せるわ。…本当は、あなたにだけは、見
られたくなかったけど…」
そう言ってレリは、いきなり制服を脱ぎ始めた。背中の羽根をうまくたたみながらセーラ
ー服の上衣を脱ぎ、スカートを脱ぎ捨てた。レリは、下着を着けていなかった。ふくよか
な胸が、そして陶器のような肌があらわになった。美紗は奇妙なことに気がついた。レリ
の身体には、脇の下にも、股間にも、毛がまったく生えていなかったのだ。
レリは、腕を胸の前でクロスした後、高く掲げてこう叫んだ。
「サイバーッ! 変・身!!」
とたんに、レリの身体がまばゆい光で包まれた。思わず目をそらした美紗が再び目を開け
た時、目の前のレリの姿は、大きく変貌していた。

260 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:07:06 ID:SP5hwYbw]
それは、人間の身体ではなかった。全身が濃いブルーの、なめし革のような皮膚で覆われ、
ウェストの周りだけが体節状に変色していた。手首は白い長手袋状、脚は白いハイヒール
のロングヴーツ状に変化していた。そしてふくよかな両の乳房は、蜂の腹部を思わせる黄
色と黒の同心円状の模様で覆われていた。その乳房は、まるで別の生き物でもあるかのご
とく、絶えず艶めかしく蠕動していた。頭部はレリの愛くるしい顔立ちのままだったが、
頭部の両側面には巨大な昆虫の複眼が現れ、額からは二本の真っ赤な触角が生えていた。
その姿は、巨大な蜂を連想させた。
「美紗。これが、わたしの本当の姿。わたしは人間ではないの。蜂の能力を持った改造人
間BEEタイプ。蜂女《レリbee0158》なの。あいつらに捕まって、無理やり改造されたの
よ。」
美紗は驚きのあまり、再び頭の中が混乱していた。
「…え? …え? …改造人間って? 蜂女って? どういうこと??」
「美紗。わたしがどんな姿でも、親友でいてくれるよね?」
レリは、再び悲しげな瞳で美紗を見つめた。
「…え、ええ。どんな姿でも、レリは、レリはレリだもん!」
「ありがとう、美紗。それじゃあ、あなたに全て話すわ。わたしたちのこと。わたしたち
の世界のことを。」
「え…わたしたちの“世界”って?」
「さあ、こっちに来て。」蜂女の姿をしたレリは、美紗を館の中へと手招きした。

261 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:08:05 ID:SP5hwYbw]
洋館の中の応接室らしき部屋に通された美紗は、どこかに報告に行ったらしいレリが帰っ
てくるのを待った。アンティークな趣味の良い調度で飾られた、感じの良い部屋であった。
蜂女の姿のレリが現れた。その後ろから、白くなりかけた長い髪を後ろで束ねた、痩せた
初老の紳士が現れた。陰気な雰囲気の男だったが、どうやら悪い人間ではなさそうだ。男
の後ろからは、レリと一緒に転校してきた竹下健一と山沢六郎の二人が入って来た。
初老の紳士は、ソファに腰かけた美紗の真正面にある椅子に腰をおろした。レリと、2人
の少年はその両側に立って控えた。
「美紗。紹介するわ。こちらがわたしたちのリーダー、ブラド博士。向こうにいるのはあ
なたも知ってるでしょう? わたしの仲間、《ケンcml4346》と《ロックscr7915》。二
人ともわたしと同じ、改造人間なの。」
「え…あの、改造人間って、いったい…?」
初老の紳士は、しゃがれた声で美紗に話しかけた。
「お嬢さん、儂らは実は、この世界の人間ではない。サイバーヴィルという世界からこの
世界に逃げて来た、逃亡者なんじゃよ。」
「…サイバー…ヴィル?」
「あなたは、平行世界(パラレルワールド)というものを、知っておいでかな? 無限に拡が
る時間軸の、今この瞬間の世界の隣に、1秒後の世界、2秒後の世界、というふうに少し
ずつ違う時間の世界が存在していると仮定してごらん? 1秒後の世界は、今この瞬間の世
界と、ほとんど変わりがないはずじゃ。だが1時間後の世界、1日後の世界、1年後の世
界となると、この瞬間の世界とは次第に大きくかけ離れてゆくじゃろう。それと同じよう
に、この3次元空間の中には、無数の世界が平行して存在しておる。もちろんすぐ隣にあ
る世界は、今あなたがいるこの世界と、たいして変わりはないじゃろて。だが10個離れた
世界、100個離れた世界、1万個離れた世界になると、この世界とは似ても似つかないも
のになっているはずじゃ。その中には、第二次世界大戦で日本が勝った世界もある。ナポ
レオンがワーテルローで負けなかった世界もある。イエス・キリストが救世主にならず、
ただの大工の息子で終わった世界もあるじゃろう。儂らは、そうしたパラレルワールドの
ひとつ、サイバーヴィルと呼ばれる世界からこの世界にやって来たんじゃ。」

262 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:09:05 ID:SP5hwYbw]
「サイバーヴィルは、少数の改造人間が、大多数の普通の人間を家畜のように支配する、
恐ろしい世界なんだ。」山沢六郎が吐き捨てるように言った。
「やつらは元々は人間なんだが、人の心は持っていない。狂ったケダモノさ。遺伝子操作
によって様々な生物の能力を取り入れ、その力で、普通の人間たちを虫ケラのように扱っ
ているんだ。」
「…待って!」美紗は混乱して叫んだ。「でも、あなたたちも、改造人間なんでしょう?」
「そうじゃ。」ブラド博士が答えた。「だが儂らは、人の心をまだ捨ててはいない。いい
かね、改造人間は普通の人間よりもずっと永い寿命を持っているが、不死身ではない。し
かも、遺伝子を操作しているので、子孫を残すこともできない。だから連中は、普通の人
間を改造して、仲間を増やしているんじゃ。サイバーヴィルでは、16歳になった人間は集
められて、頭脳・体力・容姿等に優れた者がコンピュータに選別され、改造手術を施され
て連中の仲間入りをするわけなんじゃ。」
「わたしも、一か月前に選ばれて改造されたの。」レリが怒りに満ちた声で叫んだ。「パ
パやママは、必死にわたしをかくまったわ。あいつらに見つからないよう、逃げて逃げて
逃げまくった。でも、見つかって手術台に運ばれたの。そして…こんな身体にされてしま
った。わたし…この身体が、大ッキライ!!」
ああそうか。美紗は合点がいった。だからレリは、遺伝子操作や生体実験に対して、あん
なにもナーバスだったんだ。



263 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:10:05 ID:SP5hwYbw]
「あいつらは、蜂女に改造されたわたしを洗脳して、あいつらに逆らったパパやママを殺
すよう命じたわ。わたしは何のためらいもなく、この胸の毒針を、パパとママに打ち込ん
だ。パパとママは、わたしの目の前で、わたしの名を叫びながら…溶けてしまったのよ!!」
レリは、顔を覆って激しく泣き始めた。ケンがレリの肩を抱きしめ、しきりに慰めている。
ブラド博士が、後を続けた。
「儂は、苦しむ人々をこんな世界から、救いたいと思った。儂は科学者として優遇されて
おったから、ある程度自由に動ける立場にあった。そこで連中に気付かれないよう、彼ら
若い改造人間を何人か、洗脳を解いて正気に戻し、密かにレジスタンスを組織したんじゃ。」
「博士は本当は、すべての改造人間を正気に戻したいと考えていたんだ。でも、俺たちの
ように改造されてから3日以内の者でなければ、正気には戻らなかった。かと言って正面
から普通の人間が革命を挑んでも、力の差がありすぎて歯がたたない。だから博士は、普
通の人間をこっそりと、他の平行世界に大量に逃亡させようと考えたんだ。」
ブラド博士は頷いた。「儂らレジスタンスの科学者たちは、超次元貫通理論を利用したワ
ープゲートを開発し、パラレルワールドのうち、サイバーヴィルの支配が届いていない世
界に向けてトンネルを築いたんじゃ。一度に大量に脱出させることはできんので、一回に
つき二千名。今までに既に三回、別の世界へのエクソダスを成功させてきた。この世界は、
4回目の挑戦なんじゃ。」
「…ええと、それはつまり…」美紗が、頭を整理しながら言った。「あなたたちはこの世
界に、サイバーヴィルという世界から二千人もの人間を脱走させようと考えているわけね。」
「その通りじゃ。」ブラド博士は、美紗の目を真顔でじっと見つめた。

264 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:12:04 ID:EIQkKNpe]
「お嬢さん。あなたに折り入って頼みがある。どうか彼らを、手伝ってやってはくれんだ
ろうか。我々はこの世界がどういうところなのか、よく知らぬ。彼ら3人にはこの世界の
百科全書をまるごと暗記させてあるので、歴史的な知識はあるんじゃが、この世界の一般
的な常識というのがまだまだ身についておらん。ましてや、逃亡してくる二千人の普通の
人間たちは、この世界ではまるで赤子同然じゃ。この世界で無用なトラブルを起こしては、
全ての努力が水の泡になってしまう。そこで彼ら三人には、エクソダスに先立ってこの世
界の調査を行い、脱出者たちがこの世界に適応できる最善の手段を見つけるよう、指示を
出してあるんじゃ。お嬢さん、どうか彼らに手を貸して、この世界のことを色々教えてや
ってはもらえんだろうか。」
「俺たちからもお願いします。香川さん!」
「美紗。わたしからもお願い。どうか力になって!」
真剣な4人のまなざしに取り巻かれて、美紗は戸惑ったが、やがてはっきりと答えた。
「ええ、喜んで。あなたたちの立派な行為に、わたしも全力で協力させていただきます!」
レリが、美紗に抱きついてきた。
「美紗! 美紗! ありがとう…」

ケンが不安そうに、ブラド博士に囁いた。
「ところで、さっきレリが倒したっていう、ANTタイプ改造人間なんですが…」
「うむ。おそらく哨戒中に、偶然ゲートに入り込んだんだろう。ANTタイプは遠隔通信能
力を持っておらんから、こちらの計画がバレたとは考えにくいが、念のため警戒しておい
た方がよさそうじゃな。よし! 儂はひとまず、レジスタンス本部に戻る。エクソダスの決
行は2週間後。それまでに君たちも、準備を整えておいてくれたまえ!」

265 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:13:05 ID:EIQkKNpe]
それから、美紗は毎日放課後になると富良戸研究所で、レリたちと行動を共にするように
なった。脱出してきた人々に配るため、この世界の常識、即ち文字や通貨や交通ルール、
社会の仕組みなどをわかりやすくまとめる作業を、毎日遅くまで行った。親友の法子には
「文化祭が終わったら途端によそよそしくなるなんて、どうかしてるよ!」と怒られたが、
気にしなかった。この作業は単純に正義感から行っているというより、美紗にとっては、
社会の中での自分の立ち位置を確認するような、大切な作業だと思われたからだ。
一般常識を文字にまとめるのと平行して、脱出してきた人々をどこへどう逃がすかについ
ても、4人は熱い議論を闘わせた。というより、レリたち3人が出す途方も無いアイディ
アを、美紗がひとつひとつチェックし、添削していったといった方が良いだろう。一番の
問題は、二千人もの人間をどこにどう収容するか、ということであった。
「やはり都会よりも田舎の方が、目立たないと思うの。いったん田舎に逃れて、そこで職
業訓練を行うべきよ。でも問題なのは、どうやって田舎まで二千人もの人間を運ぶかとい
うこと。ねえケン? いっそのこと、ゲートをこの館じゃなく、田舎のどこかに開くわけに
はいかないの?」
「…それが、駄目なんだよ、香川くん。この館に開いたのは、ほんとに偶然なんだ。一度
ゲートを閉じて、別の場所に開くことはできないんだよ。」
「え? どうして?」
「ゲートが、無限に存在するパラレルワールドのどこに開くかは、まったくランダムに決
められるんだ。今回はたまたま、この世界のこの館の中に開いた。けどもう一度同じこと
をしても、再びこの世界にゲートが開く確率は、限りなくゼロに近いんだよ。」
「そう、だからこそ、二千人の脱出が終わった後でゲートを閉じれば、もうサイバーヴィ
ルの追手はやって来れないってわけさ。ゲートが不安定なことは、むしろ感謝すべきなん
だ。」

266 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:14:06 ID:EIQkKNpe]
「…なるほどね。じゃあやっぱり、うまい移動方法を考えなければならないわけね。徒歩
で二千人もの人間がゾロゾロ歩いていたら、ゼッタイ不審な目で見られるし、だからとい
って電車やばすcに乗るお金はないし…!」
「ねえ美紗、この世界には“巡礼”って習慣があるんじゃないの?」
「…そうか。お遍路さんみたいに装えば、二千人が並んで歩いても不自然じゃないわね。
…あ! でも駄目よ。この辺には巡礼するようなお寺はないもの。」
4人は再び、考え込んだ。しばらくの後、美紗が急に何かをひらめいた。
「そうだ、みんな! “健康ウォーキング大会”を装えばいいのよ。みんなにゼッケンを
渡して、いかにも大会に参加中です、って感じにすれば、多少汚い格好でも、疲れてフラ
フラ歩いていても、誰も不自然には思わないはずだわ。」
4人はうなずき、さっそく二千人分のゼッケンを用意する作業が始まった。
「ねえレリ?」ゼッケンを縫いながら美紗が訊ねた。「あなたたち3人は、脱走が完了し
た後はどうするの?」
「…ゲートが閉じる前にサイバーヴィルに戻って、今度は別の世界への脱出を手伝うこと
になってるわ。」
「え!? それじゃあ、ゲートが閉じたらもう、二度と会えないってこと?」
「うん…」レリは寂しそうに言った。
「わたしも、この世界に残りたい。美紗とずっと一緒にいたい。でも、でも、私は人間じ
ゃないから…こんな身体だから。」
「レリ!」美紗は手を停めて叫んだ。
「身体なんて関係ない。改造人間だっていい。ずっと一緒にいよう! この世界で暮らそう!
だってわたしたち……親友だもの!」
「…美紗…嬉しい…!」レリは、涙をいっぱい溜めた目で美紗に抱きついた。

267 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:15:05 ID:EIQkKNpe]
「あと3日ね。」「後は俺たちがやるよ。最後は突貫工事になりそうだけど、頑張ろう!」
日がだんだんと短くなり、7時前ともなるとあたりは真っ暗である。ケンたちに見送られ
て、美紗は研究所を後にした。その姿を、館の屋上からこっそり見つめている奇妙な影が
あった。
「…ギギギ。なるほど、協力者がいたのか。こいつは、利用のしがいがありそうだ…」


翌日、担任の大谷先生にヤボ用を言いつけられて遅くなった美紗は、一人で研究所の門を
くぐった。庭に足を踏み入れたとたん、彼女は何物かに足を取られてころんでしまった。
「何? これ!?」自分の足にからみついている、白い糸のようなものに気をとられた美紗は、
上空からネットのようなものが自分めがけて落下してくるのに気付かなかった。
「キャアッ!!」白い糸でできたネットの中で、美紗は激しくもがいた。奇妙な人影が、彼女
の方に近づいて来た。六角形の目が3つ並び、巨大な大顎を備えた毛むくじゃらの顔。蜘
蛛男だった。
「ギギ。はじめましてお嬢さん。私はサイバーヴィルの治安管理局のものです。このたび、
この世界に向けて3級市民たちの脱走計画が目論まれていると聞いて、やって参りました。
つきましてはあなたに、首謀者の逮捕にご協力いただきたい。」
美紗はハッとした。サイバーヴィルの追っ手だ。早くレリたちに、このことを知らさない
と大変なことになる。美紗は大声で叫ぼうとした。だが…糸が喉にからみ付き、声が出ない。
「いけませんねぇ。そんなに暴れると、糸がどんどんからみつきますよ。なぁに、あなた
は何も考える必要はないんです。この毒針を身体に受けてくれれば、それでいい。」
蜘蛛男は美紗に向けて、口から何かをプッ! と発射した。首筋に鋭い痛みを感じ、美紗は
目をつぶった。針が刺さったとたん、身体がけだるく感じられ、感覚が次第に薄らいできた。

268 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:16:05 ID:EIQkKNpe]
蜘蛛男は、毛むくじゃらの手で美紗にからみついた糸をほどいていった。蜘蛛男の手で触
れられると、糸は次第に細くなり、消えていった。あとには、呆然とした表情で地べたに
座っている、美紗だけが残された。
「お嬢さん、質問に答えてください。脱走計画の首謀者は、全部で何人ですか?」
美紗の唇が、勝手に動いて答えた。
「…ブラド博士のほか、レリ、ケン、ロックの4人です。」
ダメよ! そんなこと喋っちゃダメ! 美紗の意識は必死に抵抗するが、身体の自由を奪い
命令通りに操る「催眠毒」を注射された美紗の身体は、蜘蛛男のなすがままになっている。
「で、博士はいまどこに? 残りの3名は?」
「博士はサイバーヴィルに戻っています。後の3人は館の中で、脱走の準備をしています。」
「よろしい。ではあなたには、この指輪をはめてもらいましょう。」
蜘蛛男は美紗の右手を取り、中指に針のついた指輪をはめた。
「この指輪の針には、改造人間の身体を麻痺させ、動きを鈍くする毒が塗られています。
あなたはこのまま反逆者3名に接近し、気付かれぬよう身体に針を刺しなさい。」
「…かしこまりました。」
ダメよ! ダメだったら! 美紗の意識は必死に抵抗したが、身体は蜘蛛男の命令通りに動き、
フラフラと立ち上がって館の方に歩み始めた。

269 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:17:49 ID:qevMHeuz]
「今日は遅かったんだね、香川くん。」
サイバーヴィルの言葉で書かれた手引書を手際よくホチキスでとめながら、ケンが話しか
けたが、美紗は無言で3人を見つめ、それから再び部屋を出てゆこうとした。
「わたし…お茶を入れてきます。」
「美紗! わたし、蜂蜜入り紅茶をお願いね。」
レリは美紗の態度に釈然としないものを感じながらも、明るい声でオーダーした。
しばらくの後、カップと紅茶のポットが乗ったトレーを持ち、美紗が部屋に戻って来た。
テーブルの上にトレーを置き、カップに紅茶を注いだ美紗は、ロックにカップを手渡しま
ぎわ、彼の指先に指輪の針を刺した。
「ウッ!」
ガシャン! ロックが思わず、カップを取り落とした。
「あーあ、何やってるんだよロック。」ケンとレリが思わず駆け寄った。
割れたカップを片づけようとするレリの手に、美紗の指輪が触れた。「痛ッ!」
「美紗ッ! 何だ、その指輪は!?」
指先を押さえながら、ロックが叫んだ。美紗はケンの身
体目がけて反射的に身を乗り出し、彼の脇腹に指輪を押しつけた。「うわッ!」
うずくまって苦しむ3人の中央に、呆然とした表情で立ち尽くす美紗。そこへ、4名の蟻
型改造人間を連れた蜘蛛男が入って来た。
「これはこれは、反逆者の皆さん。いい格好ですな。私からのプレゼント、気に入っても
らえましたかな? 」
「畜生ッ! 貴様ぁッ!!」
「あなたたちは今からサイバーヴィル本部に連行し、再び脳改造を受けてもらいます。そ
の後は、他の反逆者たちを捕らえるためのスパイとして活躍してもらいましょうか。」
「誰があなたたちの、言いなりになんかなるもんですか!」
「いけませんねえ。そんな態度では、五体満足のまま強制送還できそうにないですよ。」
蜘蛛男の命令で、4体の蟻型改造人間が3人に飛びかかった。

270 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:19:06 ID:qevMHeuz]
3人がその時、一斉に叫んだ。
「サイバーッ! 変・身!!」
3人の衣服がけし飛び、その身体が光に包まれた。蜘蛛男が毛むくじゃらの手で顔を覆っ
たとたん、光の中から蜂女になったレリが飛び出してきた。
レリは乳房をプルン、と震わせて、溶解毒の針を放った。1体、2体。蟻型改造人間がそ
の場でズブズブと溶けていった。
レリはさらに蜘蛛男に迫った。だが麻痺毒によって動きの鈍ったレリよりも、蜘蛛男の反
応の方が早かった。
ブシャアアアァァア!! 蜘蛛男は口から大量の糸を吐き、レリの身体をからめ取った。その
まま、レリごと糸を大きく振り回して、床に叩きつけた。
「キャアアッ!!」
レリが床に叩きつけられたショックで、テーブルがはね飛び、美紗を襲った。テーブルの
直撃を受けて勢いよく倒れた拍子に、美紗の首筋に刺さっていた蜘蛛男の毒針が抜けた。
蜘蛛男の背後に、緑色の人影が突然現れ、蜘蛛男をはがい締めにした。
「野郎ッ!」
「ほう、あなたはカメレオン男だったんですか。私の背後を取るとは、なかなかのもんで
すな。だが、背後に注意すべきなのはあなたの方です! 目に見えない罠も、あなただけの
専売特許ではない!」
カメレオン男の背後に張られていた、クモの網が彼めがけてからみついた。
「うわッ!」
たちまち身体の自由を奪われ、カメレオン男はもがいた。蜘蛛男はカメレオン男を振りほ
どき、その顔を足で踏んずけた。
「ケン! 大丈夫か!?」
ムチのように長く伸びた尻尾を振り回し、2体の蟻型戦闘員を毒針で倒した真っ赤な影が、
今度は蜘蛛男に向かって突進した。
「今度はサソリ男ですか。普通ならパワー負けしているところですが、今はそうはいかな
い!」

271 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:20:05 ID:qevMHeuz]
蜘蛛男はサソリ男=ロックの尻尾をやすやすとかわし、口から吐いた糸でその尻尾をから
め取った。
ロックの振り上げた腕を掴んだ蜘蛛男は、そのままロックとの力比べに入った。
「畜生ッ! 身体さえまともに動けば…!」
ロックの方が、徐々に押されてゆく。
美紗は、ようやく自由になった身体を鞭打つように動かして、糸でぐるぐる巻きにされた
レリに近づいた。
「レリ、レリ! ごめん! わたしがドジなばっかりに…」
「美紗ッ! 正気に返ったか!」ロックが叫んだ。
「いいか、俺たちはこいつには勝てない! お前に頼みがある! ゲートコントローラーの中
央にある赤いレバーを左にひねって、ゲートを閉じてくれ!!」
閉じる!? 美紗は、ロックの言っていることが信じられなかった。
「ダメよ! ゲートを閉じたら、脱出計画が無駄になっちゃう!」
「馬鹿ッ! サイバーヴィルに気付かれたんだ。ゲートを開けておけば、いつ奴らがこの世
界を侵略するかわからないんだぞ! ゲートを閉じれば、もう奴らはこの世界には来れなく
なる。早く! 早く、ゲートを閉じるんだ!!」
「させませんよ、そんなことは!」
蜘蛛男が美紗めがけて、糸を吐こうとした。その時、蜘蛛男の足元にいたカメレオン男=
ケンが、長い舌を伸ばして蜘蛛男の顔を覆い尽くした。
「早く! 早く行くんだ!!」
糸に撒かれたレリも、うめきながら美紗に向かって言った。
「美紗…早く…行って!」
美紗は、裏庭に開いているゲート目がけて駆け出した。

272 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:21:05 ID:qevMHeuz]
サイバーヴィルへと通じるゲートは、裏庭の納屋の脇に開いていた。6つの機械が立ち並
ぶ中央に、周囲の風景が溶けたかのように渦巻き流れている奇妙な空間があった。ぶおん
ぶおんと、奇妙な音が空間から聞こえてくる。その傍らにある納屋の中に、ゲートをコン
トロールする機械が納められていた。美紗は扉を開けて薄暗い納屋の中に入り、ロックが
言っていたレバーを探した。中央にある巨大な赤いレバーはすぐに見つかった。
美紗は、渾身の力を込めて、レバーを左にひねろうとした。だが、固くてなかなか動かな
い。
館の方から、鋭い悲鳴が聞こえた。急がないと、蜘蛛男が現れる! 美紗は全身の体重を掛
け、必死にレバーを倒そうとする。
納屋の扉をガタガタ揺する音が聞こえる。扉を開け放ち、蜘蛛男が入って来た。
「さあ、お嬢さん。こっちに来なさい。」
「いやあ!!」
蜘蛛男の手が美紗の腕を掴み、引き寄せた。その瞬間。レバーはぐぐッ、と動いて左側い
っぱいに倒れた。
ゲートから流れていた、奇妙な音がやんだ。
ゲートが完全に閉じたらしい…。



273 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:22:05 ID:qevMHeuz]
… … …

美紗は、しばらく気を失っていたらしい。気がつくと、目の前には蜂女の姿をしたレリ、
カメレオン男ケン、サソリ男ロック、それに蜘蛛男の4人が並んで立ち、美紗に対して拍
手を贈っていた。
「よくやったよ、美紗。」「おめでとう!」「おめでとう!」
起き上がった美紗は、わけがわからないといった風に首を何度も振った。
「え?…え?…一体、どういうこと?」
「それは、儂が説明しよう。」蜘蛛男が顔の前で手をクロスさせた。そこに現れた顔は…
…何と! ブラド博士のものであった。
「博士!? 博士が…蜘蛛男? それじゃあ、今のはみんな、芝居だったんですか!?」
「さよう。すべては君にゲートを閉じてみらうための、茶番劇だったわけじゃ。」
「…いったい…なぜ? …どうして!?」
「まず第一に、儂は博士などではない。サイバーヴィルの、異世界侵略先遣隊の隊長、
《ブラドspd8029+》じゃ。」
「えっ!?」侵略先遣隊? 美紗の背筋に、冷たいものが走った。
「君にこのゲートを閉じてもらったのは、こういうわけじゃよ。2種類のパラレルワール
ド間に偶然開いたゲートは、一箇所きりで、しかも不安定なものじゃ。だが2つの世界が
干渉した場合はその限りではない。一方の世界の住民が、開けようという意思を持ってゲ
ートを開け、もう一方の世界の住民が、閉じようという意思を持ってそのゲートを閉じる。
これで2つの世界は干渉し合い、以後、2つの世界は互いに隣り合う密接な関係に置かれ
る。いつでも、どこでも、自由にゲートを開けられる状態になるというわけじゃ。」

274 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:23:44 ID:LqoHmuOQ]
「あと数日後に、この世界のあちこちにゲートを開けて、サイバーヴィルの侵略部隊がや
って来るわけさ。」ロックが冷たく笑いながら言った。
「君はじゅうぶん、我々の期待に応えてくれたよ。君がいなければ、こうも早く侵略が開
始できるとは思わなんだ。まったく、たいした娘さんじゃわい。ワッハッハッハ!!」
「…非道い! 非道いわ! わたしを…だましてたのね!!」
美紗は怒りと絶望と悲しみで、胸が張り裂けそうになっていた。
「レリ!! あなたも、わたしをだましてたのね! わたしに言ったこと、みんな嘘だったのね!!」
「…嘘じゃないわ、美紗。」レリは妖しい笑みを浮かべながら、美紗に近づいた。
「嘘つき! 近寄らないで! この大嘘付き!!」
レリは美紗に顔を近づけ、こう言った。
「少なくとも、わたしがあなたのことを親友だと思ってるのは、本当のことよ。」
「何が親友よ! 嘘つき! 嘘つきィッ!!」
レリは、ブラドに何か耳打ちした。「よかろう。」ブラドが言った。
「美紗くん。君の活躍のおかげで、我がサイバーヴィルはこの世界の侵略に着手すること
ができる。お礼と言っては何だが、君を我々改造人間の仲間に加えてあげよう。君のその
美貌と行動力。じゅうぶんに改造人間になる資格があるよ。」
ロックとケンの二人が、ミサの腕を掴んで身体を拘束した。
「さあ、美紗くんを改造手術室に運びたまえ。」

275 名前:BeeF mailto:sage [04/11/21 01:24:32 ID:LqoHmuOQ]
美紗は目の前が真っ暗になった。必死で泣き叫び、足をジタバタさせて抵抗した。
「嫌よ! 改造人間なんて嫌ッ! やめて! お願い! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だァッ!!」
手術室と書かれた部屋に運ばれた美紗は、ハサミを手にしたレリによって衣服をすべて脱
がされ、その美しい肢体を円形の改造手術台に固定された。
レリが、美紗の脇腹を撫でながらつぶやいた。
「美紗、好きよ。…最初から目をつけてたの。わたしの恋人にするのは、この子だって。」
「えっ!?」その言葉に美紗は驚いた。
「改造人間は子孫を残せないって言ったでしょう? あれはウソ。同じタイプの改造人間の
間なら、子供を作ることができるのよ。あなたは、わたしの恋人になってわたしの卵を産
む。そして、わたしはあなたの卵を産むの。どう? 素敵でしょう!」
美紗の頭の中は、早鐘をつくように何かがガンガンと鳴っていた。もう、すべてが混乱し
て何が何だかわからない。
「それでは今から、改造手術を執り行おう。君はこの世界における、記念すべき最初の改
造人間になれるんだ。光栄に思うがいい。レリの頼みで、君にはBEEタイプの改造人間にな
ってもらうことにする。これからは香川美紗ではなく、《ミサbee0001tr》と名乗るがい
い。ワッハッハッハ!!」
「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」
美紗の身体の両側に、遺伝子活性化光線を照射するライトが幾つも現れた。色とりどりの
ライトが明滅し、美紗の意識はだんだん薄らいでいった。彼女が人間として最後に見たも
のは、蜂女の姿をしたレリの、小悪魔のような笑みであった。
                                  (おわり)

276 名前:名無しより愛をこめて [04/11/21 22:10:49 ID:5LN2XS1q]
salad.2ch.net/beatles/kako/998/998688469.html>>12 より

> 飯田圭織をショッカーの怪人、蜘蛛女に改造する。
> コンサート中に圭織が急に苦しみだしたかと思うと衣装が破れさり全裸状態になり、
> 会場は驚きと興奮で大パニック。
> 苦しさと恥ずかしさで混乱している圭織は本人の意思に反して突如尿と便を垂れ流し状態
> となり、会場にとんでもない悪臭がたちこめる。
> その悪臭の中、圭織があお向けになりマンコを観客に向けるとマンコから蜘蛛の頭が飛び
> 出しグロい蜘蛛女に変身し、逃げる観客を次々喰い始めるが駆け付けた仮面ライダーの
> ライダーキックをうけ大爆発。
> めでたしめでたし。

> ▲その事件の一週間前に圭織はショッカーに拉致され、ショッカーのアジトで嫌がり
> 泣き叫ぶ中、 無理やり全裸にされ手術台に寝かされ、麻酔無しで拷問のような改造手術を
> 受けた。(余りの激痛の為すぐに気絶したが)
> 手術後、前後の記憶を消されていた為、圭織はコンサート中に自分があんな醜い姿に変身
> するなどとは全く知らなかったのです。

飯田圭織というのがナニだが、このシチュエーションは萌えると思う。

277 名前:名無しより愛をこめて [04/11/24 19:59:03 ID:ePYr6Na8]
age

278 名前:名無しより愛をこめて [04/11/24 19:59:34 ID:ePYr6Na8]
age

279 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 07:50:34 ID:S3lx9e6y]
おまいら、325氏のSSの続きを指をくわえて待ってるだけじゃなく、
UPまでの間、適当な話をして盛り上がろーぜ!

例えばおまいらが「この女怪人の改造シーンを見たかった!」と言える
女怪人は、どの番組のどの香具師だ?

280 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 10:58:57 ID:+GjkJHLn]
んじゃネタ投下

ttp://www.epoch-company.co.jp/cworks/trdFig/trdFig2005.htm

来春発売予定のトレーディングフィギュアで、デザインは漫画家のマーシーラビット。
各フィギュアごとにストーリーが封入されているそうな。今日発売のHJにも出てた。

生体素材の強化服のようにも見えなくもないが、生身の部分と怪物化した部分が中途
半端に融合した感じがもろにオレ好みだな。


281 名前:名無しより愛をこめて [04/11/25 11:57:46 ID:UDvUEMTg]
>279
1.仮面ライダーZO小説版の、女の先生がクモ女に改造されるシーンを実写で。
2.仮面ライダーJ企画段階での、主人公の幼馴染みがカマキリ女に改造されるシーンも。
3.仮面ライダーJ企画段階でやはりあったという、地球人の女性がフォグマザーに
  取り込まれてハチ女ズーに改造されるというシーンもぜひ。

282 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 20:39:01 ID:S3lx9e6y]
>>280
GJ。乳と顔だけは改造してないところが(・∀・)イイ!!



283 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/25 21:15:36 ID:frhexCLj]
>>279
ややトウが立っているがギリーラこと九条みわ、とか。

作中で人間の方が顔出ししていた上に、
滝が「この家の人たちをどうした!?」というと
毒針が飛んできて、咄嗟に手近の写真立てて防ぐ、
するとそれが人間だった頃のみわの写真
そのあとギリーラが自分が改造された経緯を
語り始める(順序違ったかも)・・・というシーンが
なにやら象徴的で色々と想像してしまった

284 名前:名無しより愛をこめて [04/11/25 21:59:18 ID:EBwjtn4I]
>>279
すがやみつる版V3に出てきたノコギリトカゲ人間体の「マリィ嬢」の改造シーン
(なぜか全裸で手術台の上)を実写無修正で見たいぞオラァ!!

285 名前:名無しより愛をこめて [04/11/26 00:45:20 ID:GMIF1bZ1]
東映版の「スパイダーマン」に出た、鹿沼えり演じる北沢志摩子が改造された蛇女。
主人公の幼馴染であるところと、改造されても尚、スパイダーマンに寄せる恋心が残っている設定が悲劇的で良かった。
是非、元日活ロマンポルノ女優でも会った彼女の改造シーンが見たかった。

286 名前:前325-15 mailto:Sage [04/11/26 02:11:35 ID:naQq7P2+]
建物内の一室では、あの女怪人が数人の戦闘員を叱責していた
マグナサイバー「ヤプーの1人を失ったところで大した損失では無い。だが、
女が我らの敵、ファイターFの手に落ち、我が軍団の秘密が漏れたらどうなるのだ!」
マグナの前で、言い訳もできぬ戦闘員たち
五郎と岩井は、部屋の扉の隙間から中を窺う
五郎「あれは…?」
岩井「新宿で五郎君を襲ったサイバーロボットか」
なおも叱責続けるマグナ
マグナ「首領は決して失敗をお許しにはならぬ。
まして、ディストピアの危機につながる失敗はな!」
右腕のマグナム銃を戦闘員の1人に向ける
戦闘員「ひっ!」
「ディストピア」の単語に思わず扉にかぶりつく岩井」
ドゴーン!
マグナの銃口は、戦闘員でなく五郎たちの潜む扉に向け発射された
五郎、岩井「!」
マグナ「誰だ!」


287 名前:前325-16 mailto:Sage [04/11/26 02:14:10 ID:naQq7P2+]
======================
注射器6本分の薬液を膣に「注入」されて間もなく
手術台の上に全裸で仰向けに固定されている彼女の体に変化が起きた
痺れを伴う得体の知れないうずきが全身を支配したのだ
科学者B「さて、これで心置きなく改造を味わえるぞ」
つつーっと彼女の腹部の表皮に指を走らせる。
「あひっ」
それだけで脳天に電気の走るような快感が襲う
科学者B「おやおや、もう十分のようだな」
そう言って、スレンダーな割りにボリュームのある乳房に乗せる
「あうっ、あううっ」
それだけのことで、妊婦にしては黒ずみのない尖塔が
これ以上無いというほど固く天を向いて勃つ
愛児を優しく包んでいるはずの子宮は痙攣するような収縮を繰り返し、
早くも蜜をたたえたそこをどうにかして欲しいとでも言わんばかりに、
彼女は不自由に固定された身で腰を振り立てる
科学者C「では、切開だ」
メスが彼女の肌を切り裂いたその刹那、早くも一回目の絶頂に達した

288 名前:前325-17 mailto:sage [04/11/26 02:16:25 ID:naQq7P2+]
間一髪、マグナム弾に縫われるのを避けた2人
勢いで扉をぶち破り、室内になだれ込む
戦闘員達が五郎と岩井に襲いかかるが、
五郎は変転し、突き、蹴り、投げでたちまち5人を残骸にする。
岩井はショットガンをファンニングし、同じく数人を倒す
マグナ「おのれ!」
マグナムを乱射するが、室内の乱戦ではかえって戦闘員の1人をスクラップにしただけだった。
F「マグナサイバー、ディストピアの入り口を教えてもらおう」
マグナ「黙れ!犬ども」
言うが早いか跳びげりをくりだす「マグナム・キック!」
F「飛竜蹴り!」
空中で交差するキックとキック。
だが、Fの蹴りがより強くマグナの脇腹を裂く
交差したまま絡み合って床に転げるFとマグナ
マグナはFをふりほどくと、隣室に逃げる
F「待て」
Fと岩井が後を追うが、部屋の中は真っ暗だ
マグナ「ハハハハハッ、お前ら何をする気だ」
部屋中に響くマグナの声。明かりつけた岩井とFの目の前には
縛り上げられた三輪香織の姿があった

289 名前:前325-18 mailto:sage [04/11/26 02:18:21 ID:naQq7P2+]
=============
バラバラになったできそこない=彼≠フ残骸を無感動に見下ろす彼女
転がったその頭部を踏み潰す足
パチパチパチ
拍手とともに姿を現したサイバーの大幹部
大幹部「おめでとう。可愛い同志101号よ。お前は務めを果たした」
101「ありがとうございます」
大幹部「失敗作とはいえ、かつての夫のなれの果てを躊躇無く始末したお前の働き
見せてもらったぞ」
101「私は身も心もサイバーのもの、当然のことです」
大幹部「お前はテストロボットから栄えあるサイバー突撃隊の一員、
サイバーロボットに昇格した。コードネームはマグナサイバーだ!」
101=マグナ「サイバーに忠誠を!」

290 名前:前325-19 mailto:sage [04/11/26 02:21:13 ID:naQq7P2+]
==================
香織は全身に、その白い美肌と対照的な黒いレザーボンテージをまとっていた。
いや、そう見えたは錯覚だ。
半裸の彼女は、黒い皮製の拘束具で全身の自由を奪われていたのだ
口はボールギャグで塞がれ、成熟した女の肉体のそこかしこを歪めるほどを強力に、
拘束具は全身を締め上げている
そして、全身には電極もつながれているのだ
天井のスピーカーからマグナの冷酷な声が響く
「2人とも抵抗をやめろ」
F「香織さんを離せ。サイバーロボット!」
マグナ「そうか。女を助けたいのか…。
改造前の女なら助けるというのだな」
皮肉っぽく言葉を続ける
マグナ「この女は元々モルモットとして飼っていたものだ。
だからお前らに面白い実験を見せてやる」
その言葉が終わるが早いか、後ろでに縛り上げられた香織が急にのけぞる
香織「…!」
言葉を発せないが、電気ショックを与えられたというのだけはわかる
香織(うううううう、あああっ)

291 名前:前325 mailto:sage [04/11/26 02:24:53 ID:naQq7P2+]
>>247
ありがとうございます。恐縮です

ずうずうしくて申し訳ありませんが、今回の分のタイトルも
怪人の名前にしておいていただけませんでしょうか
勝手ばかりですみません

>>285
鹿沼さんといえば、デスパーの女サイボーグ・ミスワンの悲劇も忘れられませんね
改造がみたいのは同感です

292 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/26 03:15:18 ID:gJEoFzP+]
萌えシチュエーションのリクエストいいですか?
(がいしゅつだったらごめんなさい)

諜報機関の女工作員、悪の組織に
戦闘員のタイツを奪って潜入に成功
→しかし戦闘員の日課の洗脳光線か何かを
浴びせられそうになり逃走
→結局捕まってしまう。というか、タイツの「何か」の
せいですでに彼女の身体は普通の人間ではなくなり
かけている
→「いい素材が手に入った」とか言われてそのまま改造

ついでに、あとから来た潜入工作員を巧みに改造室に誘導して
「ごめんなさい、私はもう・・」的な後日譚もあると

お粗末でした



293 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/11/26 08:15:39 ID:VJxNtnWV]
>>285,291
デスパー軍団の女サイボーグは、ミスワンといいデスパースティ編の村野ユキといい、
改造されても自我を消されていないだけに哀れですよね。
サイレンサーデスパー=大橋あけみも、「こんな身体になったのもガイゼルのせい!」
と言ってますから、本心は改造されたことを悲しんでいたように見えるし。
使い捨ての駒であることを知りつつデスパーに忠誠を誓い、その一方で自分の存在に苦悩
するというあたりが激しく萌えだと思います。

さてとりあえず、関連の面白いサイトがあるのでご紹介します。

「女サイボーグの小部屋」
Xライダーの水木涼子、イナズマンFのサイボーグ・ミスワン、村野ユキ等の話題あり
ttp://homepage2.nifty.com/comic-larepublica/cyborg-top.htm

「女サイボーグフリーク楚星蘭三の秘宝館」 作者は上記サイトと同じ
ショッカー蜂女、ギリーラ=九条みわ、バラロイド=ロッサ、水木涼子等の改造CGあり
ttp://www11.ocn.ne.jp/~min-min/sub046.html

294 名前:名無しより愛をこめて [04/11/26 23:35:21 ID:xcj1w7MO]
>281
そのZOの小説,欲しいんだけど見つからない...
クモ女への改造の詳しい内容知りたいんで,教えてクレー






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