[表示 : 全て 最新50 1-99 101- 201- 301- 401- 501- 2chのread.cgiへ]
Update time : 12/04 10:18 / Filesize : 500 KB / Number-of Response : 538
[このスレッドの書き込みを削除する]
[+板 最近立ったスレ&熱いスレ一覧 : +板 最近立ったスレ/記者別一覧] [類似スレッド一覧]


↑キャッシュ検索、類似スレ動作を修正しました、ご迷惑をお掛けしました

うら若き女性が改造されるシーン



1 名前:BeeFreak [04/10/26 01:29:23 ID:K4X2E2bn]
容量宣言を受けたので新スレです。

前スレ【女子高校生位の子が改造されるシーン】
tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1043884297/

関連サイト
【女性改造人間物語】 319氏、325氏によるSSが保管されているまとめサイト。
remodeledwoman.myfws.com/
【蜂女の館】 508(BeeFreak)による、蜂女改造SSの保管庫。
artofspirit.hp.infoseek.co.jp/

301 名前:名無しより愛をこめて [04/11/28 12:52:04 ID:YF7ZQiaO]
>>298
返答ありがとうございます。
自分も諦めずに本,探してみます。

302 名前:名無しより愛をこめて [04/11/29 12:40:46 ID:qVl6mBaH]
懐かしのタイトロン女戦闘員改造手術。
ttp://www.ne.jp/asahi/tightron/world/sakusen/file03.htm

303 名前:名無しより愛をこめて [04/11/30 18:41:00 ID:lkhUTwbY]
>>279
ジェットマンのマリア

304 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:47:11 ID:QjhuXHvx]
どうも。早朝に登場のBeeFです。
前スレ325さんのSS、佳境に入ってきましたね。錯綜していた時間軸が次第に整理されて、
物語の全体像が見えてきました。でもこれからどう転ぶのか。期待満々です。

漏れの方は、>>292さんのリクエストに応えて「女工作員もの」を書こうとしているので
すが、なかなかシノプシスがまとまらないで苦戦しています。
どうも漏れは「女工作員」というと、チャーリーズエンジェルみたいなちょっと能天気な
ものを連想してしまいがちで…。
292さん、工作員は全員日本人がいいですか? それとも外人がいいですか?
そのあたりを押さえた上で、ストーリーを練ってみたいと思います。

さて、>>248-275で書いたSSの続きが読みたいというリクエストを受けましたもので、
ちょっと頑張って書いてみたものをUPいたします。
今度は前回のような「NHK少年ドラマシリーズ」のパロディではありません。むしろ最初
の構想段階に近いもので、極めて鬼畜度の高い内容になっています。
今回サイバーヴィルによって蜂女に改造されるのは、一ノ瀬晶(あきら)ちゃん16歳です。
またしばらくお付き合い下さい。

305 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:48:07 ID:QjhuXHvx]
死んだような街であった。
日本晴れの穏やかな秋の日だというのに、街路には人影ひとつ見えない。
大通りの両側に立ち並ぶ白いマンション群は、まだそれほど古びているようには見えない
が、手入れがゆきとどかず、どれも煤けたような雰囲気を漂わせている。
無人の街なのだろうか。いや、家々の窓には黒い人影の動くのがかすかに見える。ここで
は人々は皆、息を殺してひっそりと暮らしているのだ。
街の中央の広場には、ま新しい巨大なディスプレイが設置されている。そしてそこからは、
奇妙な映像が大音響で絶え間なく流れている。
「…イヤっ! イヤだぁ! 改造人間なんてイヤだ! 助けて! お父さん! お母さん!」
その映像の中では、ひとりの少女が、全裸で手術台のようなものに縛りつけられていた。
まだ高校生くらいの、とびきり美しい少女だ。
映像に映し出された風景は、白昼の広場の真ん中であった。広場に設置された手術台を取
り巻いて、多くの群集が真っ青な顔でその光景を見守っている。
「美奈子! 美奈子ォッ!!」
少女の両親らしい男女が、群集の中から叫んでいる。だが群集は、蟻のような頭部を持っ
た奇怪な黒い人影たちに制止されて、近寄ることができない。
別の黒い人影が、手術台の両側にライトが幾つも並んだ奇妙な機械を設置した。もうひと
りの黒い人影が、大の字に縛られた少女の足元にしゃがみ込み、蠕動する太いノズルのよ
うなものを、少女の股間目がけて挿入した。
「アウッ!! い、痛い! や、やめて! 痛い! 痛い!…ア、ア、アアッ!」
ノズルは少女の膣の奥深く挿入された。ぐおんぐおんと音を立て、ノズルのパイプを通っ
て何かが少女の胎内に大量に注ぎ込まれてゆく。
それと同時に、手術台の両側に設置された無数のライトが激しく明滅を始めた。ライトに
照らされた白い少女の裸身が、みるみるうちに変色してゆく。

306 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:49:07 ID:QjhuXHvx]
「…あ…あうっ…やめて…いや…改造人間なんていや…アアッ…やめ…アフン…はあっ…」
激しく泣き叫んでいた少女は、やがて顔を紅潮させ、快楽のあえぎを上げ始めた。大の字
に身体を固定されたまま、身体をくねらせ、激しく痙攣させ、腰を浮かせてよがり狂った。
「…あン…あン…あうッ…ああッ…あうッ…はうぅ…はうぅん…アウッ…アウッ…」
快楽の増大と共に、少女の首から下の肉体は徐々に透き通り始めた。脈動する真っ赤な心
臓を除いて、内臓もすっかり透明になり、向こうが透けて見えるまでになった。そして腕
と脚の内側に、白い二重円のような吸盤が幾つも幾つも現れた。
「あうッ!…アアッ!…ウッ! …アアアアァッッ!!」
少女が絶頂に達すると共に、ライトの明滅が停まった。股間に挿入されたノズルもその蠕
動を停止した。
やがて、少女を拘束していたリングが外れた。少女は自分で起き上がり、すっかり変貌し
た自らの肉体をうっとりとした表情で隅々まで確認した。そして膣の奥深く挿入されたノ
ズルを、自分でゆっくりと引き抜いた。ズポン、という音ともに、ねばり気のある液体が
糸を引いてしたたり落ちた。
やがて少女は、カメラの方に向かって妖しい笑みを浮かべた。
「…何て…何て綺麗なの! …わたし、改造人間になったのね。ウフフッ!」
少女の姿と重なるように、画面にテロップの文字が現れた。
『SV10年11月3日、JPN3437地区から選ばれた幸運な少女、相田美奈子16歳は、電気
クラゲ女《ミナコjel45916tr》として生まれ変わり、栄光あるサイバーヴィルの臣民に
加わった。』
突然、画面が切り替わった。別の手術台の上に、今度は別の少女が縛られて、今まさに改
造手術を施されようとしている。
「助けて! 助けて誰か! お願いッ!! 改造人間になんかなりたくない!! やだ! やだぁッ!!」

307 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:51:39 ID:QjhuXHvx]
フオン! フオン! フオン! けたたましいサイレンの音が響いた。はるか上空から銀色の
機体がゆっくりと地上目がけて降りてきた。ヘリコプターくらいの大きさの飛行物体だっ
たが、不思議なことにプロペラも無いのに宙に浮いている。
「JPN1492地区の住民に告ぐ! 全員今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せ
よ! 重要な布告を行う! 遅刻した者は厳罰に処す! 繰り返す! JPN1492地区の住民は
今すぐに住居を離れ、20分以内に中央広場に集合せよ!」
飛行物体から大音響で流される高圧的な命令を耳にして、家々から住民たちがゾロゾロと
街路に現れた。みな、古ぼけた衣類をまとい、力無い疲れた表情を浮かべている。
集まった住民たちが見守る中、広場の中央に飛行物体が舞い降りた。飛行物体から降りて
きたのは、ツリ目の巨大な複眼と大顎を持った緑色の昆虫改造人間と、黒い全身タイツを
まとった長い黒髪の絶世の美女であった。いや、ハイヒールのブーツや手袋と一体になっ
たかに見える全身タイツは、よく見ると女の皮膚そのものであった。腰に赤いサッシュを
巻き、首にチョーカー、耳にはイヤリングとひとおおり装飾品を付けてはいるが、真っ黒
な乳房には乳首がはっきりと浮き上がり、つるりとした恥丘の真ん中には女性器の割れ目
が見える。
緑色の改造人間・カマキリ男は、拡声器を通して住民たちにこう告げた。
「JPN1492地区の住民に告ぐ! 本地区は、3か月後の《バトルロワイヤル》対象地区と
して選ばれた! ひと月以内に、出場者5名を選出し報告せよ! 本地区の選手が勝った場
合、本地区の住民が来年3月に納める上納金の額を3分の1に減らす! 負けた場合は、上
納金は3倍となる! また出場者が5名に満たなかった場合、上納金は10倍とする! 以上!!」
住民たちの間に、動揺が拡がった。この世界を支配する改造人間たちの娯楽として毎月開
催される《バトルロワイヤル》は、ランダムに選ばれた人間居住地から、女性1名、60歳
以上の高齢者1名を含む5名ずつの選手に武器を持たせて、最後の一人になるまで殺し合
いをさせるという非情な競技であった。

308 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:52:23 ID:QjhuXHvx]
広場に集まった住民たちのほとんどは、女性と老人たちであった。働き盛りの男性たちは
強制労働に駆り出され、もう半年以上も家に帰ってはいなかった。
このような状況で選手の選抜を強制すると、住民たちは必ずエゴを剥き出しにして、お互
いに不信と憎悪を増大させる。こうして人間たちの互いの心の絆を断ち切っておくことが、
改造人間たちが数に勝る人間たちを支配する、テクニックのひとつなのであった。


「解散してよし!」
カマキリ男の許しがおり、住民たちはとぼとぼと家路についた。その時広場の片隅で、女
の怒声が響いた。
「この役たたず! 今日までにブレスレッド20個、揃えて納品すると3日前に約束したはず
よね!」
「申し訳ありません! 細工師の手が足りないんです。お許しを! どうかお許しを!」
怒りをあらわにしているのは、カマキリ男と一緒に降りてきた黒髪の女。その前に平身低
頭して謝っているのは40過ぎの宝石職人と、20歳くらいの若い女性店員であった。
「汚らわしい下等動物だけど、お前の作る装身具は、わたしたち女性改造人間の間では結
構評判なのよ。だから今まで、強制労働もさせずに少しはいい暮しをさせてきたけど、約
束も守れないんじゃあね。もう、生きてく価値もないんじゃなくて?」
そう言うと黒髪の女は、男に向かって右腕を伸ばした。その途端、黒い皮膚を破ってトゲ
のついたツタが何本も伸び、男の首にからみついた。

309 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:53:14 ID:QjhuXHvx]
「うぐッ…く、苦しい…あがが…!」
「やめてッ! 真弓!」
女性店員が、黒髪の女の腕にしがみついた。
「真弓! あなた、今までずっとお世話になってきた店長さんを、殺す気なの!?」
黒髪の女は、フン!と笑って、店員を払い除けた。
店員は地面に這いつくばったまま、泣きそうな顔で黒髪の女を見上げた。
「真弓! わたしよ! 親友の高石まどかよ。忘れたの!?」
「真弓? …それは、わたしがまだ下等な人間だった、一週間前までの名前よ! 今のわたし
はサイバーヴィルの臣民、毒バラ女《マユミros3964tr》。お前たち下等動物と一緒にさ
れるなんて、心外だわ!」
毒バラ女はそう言って、まどかに向かって左腕のツタを伸ばした。
「ウッ!」首筋にトゲを刺されて、まどかはうめいた。
「…今、お前を刺したトゲには、致死性の毒が含まれているわ。助かるには、1時間以内
に5人の男とセックスしないといけないの。さあ、下等動物は下等動物らしく、手当たり
次第に男をあさらないと死んでしまうわよ。オホホホホ!」
「…ひ、ひどい…」
「さあ、もういいからお前もお行き!!」
毒バラ女がツタを鞭のように鳴らした。まどかは店長につき添われて、フラフラとその場
から立ち去った。
「店長! お願い! わたしを、わたしを抱いて! わたし、まだ死にたくないッ!!」



310 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:54:49 ID:zd5AepXy]
広場に誰もいなくなると、カマキリ男は毒バラ女を促して、飛行物体に乗り込もうとした。
ふと、カマキリ男が何かに注意を向けた。「おや?」
「どうしたの?」
「いや、あのスクリーンに流れている、公開改造手術の映像。あれはお前じゃないのか?」
「…あらやだ。」
スクリーンには、広場の中央に設置された手術台の上で衆人環視のまま、改造手術を施さ
れようとしている全裸の女が映し出されていた。長いつややかな黒髪が魅力的な、20歳く
らいの美女。それは毒バラ女がまだ人間だった頃の姿、宝飾店店員・埴科真弓であった。
「やめて! やめて下さいッ! 改造人間なんて嫌です! 助けて! 誰か助けて!!」
手術台を取り巻いている顔面蒼白の群集の中には、先程の宝飾店店長や、高石まどかの姿
も見える。
ぐおん、ぐおん。真弓の膣に挿入された改造ノズルが、活動を開始した。
「…あっ …イヤっ…ああ…あうっ…はううん…はうん…あン…あン…あうン…はうン…」
真弓の身体は首から下が徐々に黒い色に染まり、身体のあちこちから緑色のツタが生えて
きた。そして真っ赤なバラの花が、身体の至るところに狂ったように咲き始めた。
カマキリ男と毒バラ女の二体は、しばらくその映像に見入っていた。
「…それにしても、一週間も前の公開改造手術の映像が今頃流されるなんてな。放映しな
けりゃならない映像がいっぱいあったのか。それとも、良質の改造素体の数がいよいよ少
なくなって、再放送でお茶を濁しているのか。…たぶん後者だろうな。」
「嫌だわ。自分が下等動物だった頃のことなんて、思い出したくもないのに。」
二体の改造人間は飛行物体に乗り込んだ。上昇した飛行物体は、雲の間へと消えていった。

311 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:55:41 ID:zd5AepXy]
SV10年。この世界が「サイバーヴィル」と呼ばれる異世界の侵略を受けて、既に10年の
時が経過していた。
ちょうど10年前の11月15日。全世界のあらゆるTVモニターが、突如ひとつの映像によ
って乗っとられた。どの周波数のどのチャンネルも、みな同じ映像しか映し出さなくなっ
た。ラジオからも、中波、短波、FM波を問わずやはり同じ音声が流れてきた。
モニターに映し出されたのは、一人の東洋人の少女の姿であった。長い黒髪に、目鼻立ち
のはっきりした、16歳くらいの目の覚めるように美しい少女だった。だが彼女の身体は、
濃いブルーの皮膚に、蜂の腹部のような黄色と黒の同心円模様で覆われた乳房、それに背
中に4枚の透明な羽根を持つ、異形の姿であった。
美少女は、同時に世界各国のあらゆる言語で、人々に語りかけてきた。
「愚かなる人間たちよ。わたしは異世界・サイバーヴィルからの使い、蜂女です。いよい
よ今日、お前たちの世界は終わりを告げます。今から5分後に、サイバーヴィルの侵略円
盤部隊が、お前たちの頭上に現れるでしょう。ただちに白旗を上げて降伏なさい。抵抗は
無駄です。抵抗する者は容赦なく処刑します。今日からこの世界は、わたしたち改造人間
が支配することになるのです。」
少女の映像はそこで切れた。そして5分後、少女の予告通り、世界中の大都市の上空に、
小型円盤の群れが現れた。
円盤は国連本部やホワイトハウス、クレムリンなど各国の政治の中枢となる施設や、軍事
施設、マスコミ機関などの上空に停止し、そこから蜘蛛男やサソリ男、蝙蝠男、カメレオ
ン男など、異形の改造人間たちが続々と降りてきては要人たちの虐殺を開始した。マスコ
ミはまたたく間に改造人間たちに乗っとられ、電話、インターネット、無線を含めたあら
ゆる情報手段も、改造人間たちの制圧下に置かれることになった。
すかさず各国の軍隊にスクランブルがかけられた。だが人間と同じサイズでありながら、
強靱な肉体と凄まじいまでの戦闘能力を持つ改造人間たちには、通常の兵力はまったく効
果を持たなかった。核兵器を使うこともかなわぬまま、わずか2日でアメリカ全軍は壊滅
した。他の国々の軍隊は、もっと早くに白旗を上げていた。

312 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:56:35 ID:zd5AepXy]
各国中枢部の制圧が終わると、再びあらゆるTVモニターに、例の美少女の姿が映し出さ
れた。
「この世界は、サイバーヴィルの支配下に置かれました。これよりすべての人類の、改造
素体としての選別を開始します。選ばれた幸運な者は、改造手術を受けてわたしたち改造
人間の仲間として生まれ変わることになるでしょう。そうでない者たちは、わたしたち改
造人間たちの家畜として、死ぬまでわたしたちへの奉仕を続けてもらいます。さあ、これ
が改造手術の映像です。」
続いて見せられた映像に、世界中の人々は大きなショックを受けた。全裸のひとりの少女
が、手術台の上に大の字で固定され、激しく泣き叫んでいるところだった。
「イヤっ!! やめてェッ! 改造人間なんてイヤだぁッ!! お願い! 助けて! ママ! ママ!」

313 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:57:23 ID:zd5AepXy]
その少女は、サイバーヴィルの使いと名乗った、あの東洋人の娘であった。サソリ男とカ
メレオン男の二体の改造人間が手際よく動いて、手術台の両側に明滅するライトを設置し、
少女の股間に奇怪なノズルを挿入してゆく。
「い、痛い! やめて! レリ! 助けて! ア…ア…ア…アアッ…あうッ…あうッ…はうッ…」
少女の苦痛に満ちた悲鳴は、次第に甘い嬌声へと変っていった。それと同時に、少女の白
い裸身に少しずつ変化が現れた。肌の色が青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、黄色と
黒の同心円状の模様がうっすらと浮かびあがっていった。
「…あふう…はううん…あうッ…あうッ…やめて…お願い…あうッ…あうッ…あああッ!」
腰を浮かせ、艶めかしく身体をくねらせながらあえぎよがる美少女。やがて彼女の肉体は、
完全な蜂女へと変貌を遂げた。
少女は妖しく微笑み、改造された蜂の乳房を揉みしだきながら手術台から起き上がった。
「これが、遺伝子活性化光線と、改造ノズルから供給されるナノマシンによって肉体を傷
付けることなく行われる、若い女性の改造手術です。男性の場合はこれとは異なり、レー
ザーメスを用いた外科的な移植手術によって改造されます。選ばれた人間だけが、改造手
術を受けてサイバーヴィルの臣民となることができるのです。わたしはこの世界の人間と
して始めて改造された、《ミサbee0001tr》。あなたたちも、自分が無事改造人間になれ
るよう、選別の日まで祈っていなさい。ウフフフフッ…」

314 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:58:12 ID:zd5AepXy]
謎の美少女の言葉通り、翌日からあらゆる街に、集落に、改造素体選別部隊が現れた。強
制的に連行された人々は検査ゲートをくぐらされ、知力・体力・精神力の優れた者が選別
されていった。若い女性の場合は、容姿の優れた者が優先して改造素体として選ばれてい
った。
改造手術のほとんどは、サイバーヴィルが建設した巨大改造プラントの中で行われた。た
だし、若く美しい女性の改造手術だけは、その女が住んでいた地区において、衆人環視の
中で行われるのが常であった。
この《公開改造手術》もまた、サイバーヴィルが人間を支配するテクニックのひとつであ
った。改造された女性はその場で、自分の家族たちを抹殺し、サイバーヴィルに忠誠を誓
う。そして、自分の住んでいた地区の管理責任者となり、人間たちを直接的に抑圧する係
を担うことになる。改造手術の非情さと、改造された女性の変心ぶりが、人々に大きなシ
ョックと恐怖を与えるのであった。もちろん、最初のころはこの非情な仕打ちに怒りを覚
え、レジスタンスを組織する者も多かった。だが改造された娘自身による掃討が進むにつ
れ、《公開改造手術》は怒りの根元から、人間たちの絶望の象徴へと変っていった。
新聞、テレビ、電話、インターネット。あらゆる情報が寸断され、世界中の人々はそれぞ
れ狭い世界の中で、家畜のように生きることを強いられた。代わりに、次々に改造されて
ゆく美女たちの映像があちこちに設置された巨大モニターから、今日も街中にエンドレス
で流されるのであった。

315 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 04:59:11 ID:zd5AepXy]
「…どう、異常はない?」野球帽を目深に被った少年が、ドアの門番に話しかけた。
「おう! 同志アキラ。今のところ気付かれた気配は、まったく無しッ!」
門番に礼を言って、少年は地下の小さな部屋の中に足を踏み入れた。部屋の中に集った数
名の男女が、少年に礼をした。
少年は野球帽を取り、着ていたブルゾンを脱いだ。ショートカットのつややかな髪と、腰
のくびれた見事なスタイルがあらわになった。少年を装っていたのは、なんと16歳くらい
の美少女だった。
「晶(あきら)、どうだい? お父様の方の準備は?」
一同のリーダーらしき40代前半の男が、少女に向かって問いかけた。須郷克。この地区の
レジスタンスの中心的存在である。
「はい。超空間貫通のテストは今回も成功したようです。あと2日もあれば最終調整が終
わり、3日後の本番には充分間に合わせることができるそうです。」
「うむ。良かった。諸君、これで“フーガ”計画も最終段階に入った。だが連中に気付か
れたらそれで一巻の終わりだ。少しのミスが即、命取りになる。最後まで気を抜かずに頑
張ってくれたまえ!」
一同は拍手した。須郷は、一同の中にいた20代半ばの女性に向かって深々と礼をした。
「落合さん。これもみな、あなたのお陰です。あなたがいなかったら、我々はとてもここ
まで来れなかった。」
「そうよ、法子さん。あなたがいなければパパだって、超空間貫通装置を完成させられな
かったわ。」
「いいえ、そんなこと。わたしは大したことはしていませんわ。まあ、美紗ちゃんがあん
なことになってしまったから、わたしも少しは責任を感じていました。だから、少しでも
皆さんのお役に立てて、わたしも嬉しいです。」

316 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:00:39 ID:6a5dCfqw]
この女性こそ、サイバーヴィルによって最初に改造人間にされた香川美紗のかつての親友、
落合法子であった。蜂女として生まれ変わった美紗は、まず胸の毒針で自分の両親と兄を
惨殺し、次いで自らの母校である英光学園を蜂女の姿で襲撃して生徒たちを次々と殺め、
自らの肉体の性能を試したのだが、たまたま法子だけは風邪で休んでいたため、難を逃れ
たのであった。
サイバーヴィルの支配に抵抗するレジスタンスたちが最も欲した情報は、『サイバーヴィ
ルの改造人間たちは、一体どうやってこの世界に来たのか』であった。サイバーヴィルに
よって最初に改造された人間、即ち、サイバーヴィルと最初に接触した人間である《ミサ
bee0001tr》の身辺を調べることが、それを知るための近道であるのは間違いなかった。
そこでレジスタンスたちは、改造前の彼女、即ち香川美紗の素性と、その知り合いが生き
延びていないかどうかを血眼になって調査し、人目を忍んでひっそり生きていた落合法子
の居場所を、ようやく突き止めたのである。
法子は、たまたま美紗が残したノートを持っていた。美紗が蜂女に改造された日、彼女は
大谷先生の仕事を手伝って下校が遅くなり、うっかり大事なノートを部室の引き出しに忘
れたままにしていた。それに気付いた法子が、後で美紗に返そうと持ち帰ったのだ。
サイバーヴィルによって世界が制圧された後、そのノートを読んで法子は愕然となった。
そこには美紗が、サイバーヴィルとこの世界の橋渡しをしていた証拠が書かれていたのだ。
そして、二つの世界をつなぐ方法、超空間貫通装置のことも。
法子にはもちろん、その装置の持つ意味は理解できなかった。だがレジスタンスの中に、
その装置を再び組み直し、再び可動させることができる科学者がいた。若干41歳の天才物
理学者、一ノ瀬大吾である。

317 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:01:21 ID:6a5dCfqw]
一ノ瀬は10年前、26歳の妻・葉子を目の前で公開改造されてしまった被害者である。彼と、
6歳になる娘・晶の目の前で、若く美しい妻は毒蛾女《ヨーコmth0067tr》へと改造され
てしまった。普通、公開改造された女性は自分の家族を惨殺するならわしになっていたが、
一ノ瀬博士は天才と呼ばれるほどの科学者であったため、そして娘の晶は将来改造素体に
選ばれることが期待できる美少女であったため、幸運にも難を逃れたのだ。
妻を奪われた一ノ瀬の恨みは、改造人間を倒すことへの執念へと変った。改造人間の神経
伝達速度の途方もない速さを逆用し、急速に循環する超音波パルスが知覚神経を麻痺させ
るデッドマン効果を応用して、改造人間たちの動きを一瞬封じ込めることのできるサイバ
ーバスターを開発し、レジスタンスたちに供給した。母を奪われた娘の晶も、武道を修練
してレジスタンスに参加した。こうして須郷たちレジスタンスたちの信頼を得た一ノ瀬親
子は、落合法子のノートに書かれていた超空間貫通装置の調査を、レジスタンスの仲間と
ともに開始した。
サイバーヴィルの先遣部隊であった宮野レリたちが住んでいた館は、再び廃屋と化してい
た。だが二つの世界を初めて結びつけた超空間貫通装置は、老朽化していたもののそのま
まの姿で残されていた。一ノ瀬博士は必死でその構造を解析し、大規模な改修を加えて再
び稼働させることに成功したのだった。
そして、かつて宮野レリたちが美紗についた「嘘」と同じように、普通の人間たち数百名
をサイバーヴィルの支配が及ばない別世界へと脱出させる計画が、レジスタンスたちの手
によって3日後に行われようとしていた。イタリア語で“脱出”を意味する「フーガ計画」
と名付けられたこの計画は、博士と晶を入れてわずか7名の信頼できる同志にだけ明かさ
れており、脱出する当の人々にも、その内容は全く知らされていなかった。
これまでのところ、サイバーヴィルの改造人間たちがこの計画に気付いた様子はまったく
なかった。この調子でいけば、フーガ計画は無事成功するはずであった。

318 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:03:07 ID:6a5dCfqw]
「食らえッ!」晶が右手のサイバーバスターを、渾身の力で圧しつけた。
「ピギイッ!!」悲鳴を上げて、蟻型改造人間が動きを止めた。
「早く! 早く処理して!」晶が叫ぶよりも早く、数名のレジスタンスが蟻型改造人間に飛
びかかり、緑色の液体が詰まったアンプルを口器の奥に突っ込んだ。
「グ…グワヒャ! ガ…ガ…ゴゲエッ!!」
意識を取り戻した蟻型改造人間は、アンプルの中の液体を飲み込み、しばらく激しい痙攣
を続けた後、完全に動きを停めた。
「…ふう。戦闘員で良かったわ。この薬品でなんとか倒すことができるんだもの。」
「…だが、たとえ戦闘員であれ、こんなところにまで入り込んでくるとは大ごとだ。」
レジスタンスのリーダー、須郷が眉をしかめながら呟いた。
「考えたくはないが…我々6人の中に、裏切り者がいるとしか考えられない。」
「えっ!?」「嘘だろ、おい。」
「裏切りと言っても、内通者とは限らん。本人が意識していない場合だってある。サイバ
ーヴィルに逆らう後ろめたさが、無意識のうちに不審な行動を取らせ、連中の注意を引い
ているのかも知れん。だがいいか、俺たちはお互いを信頼してここまでやってきた。内容
はともかく裏切りは重罪だ。君たちも裏切り者を発見したら、その場で容赦なく殺せ! そ
うしないと、俺たちだけでなく、街の人々全員の命が危険にさらされることになる!」
レジスタンス一同は、沈黙したままゆっくりと頷いた。

319 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:04:07 ID:6a5dCfqw]
そしていよいよ、フーガ計画が実行に移される日がやってきた。一ノ瀬博士と晶を含めた
5人の同志が見守る中、超空間貫通装置は奇妙なうなりをあげながら、周囲の景色が溶け
たかのように渦巻き流れる奇妙な空間を作り出した。
「やった!」「やったぞ!」「やったね、パパ!」
「博士、これが異空間へのゲートなんですか?」
「そうだ。だが電力供給が限られているので、約2時間しかゲートを開いておけない。そ
の間に、人々を全員無事に通り抜けさせてくれ。」
「畜生! 電気の供給制限さえ受けていなけりゃな!」
「大丈夫ですよ博士。今、西浦と松田の二人が人々を誘導してきますから。」
その時、真っ青な顔をして、西浦たちが飛び込んできた。
「計画は中止だ!! みんな、テレビを見てみろ!!」
テレビのスイッチを入れた彼らは、そこから流れてきた映像を見て愕然となった。
それは、改造手術の映像だった。だが公開改造ではない。薄暗い部屋の中で、一人の少女
が蟻型改造人間に捕まったまま、手術台に身体を縛りつけられようとしていた。
…その少女とは。
「…え、わたし!?」
一同は、凍りついたようなまなざしで一ノ瀬晶の方を振り返った。テレビの中で改造され
ようとしているのは、まさしく晶本人に他ならなかったからだ。



320 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:04:54 ID:6a5dCfqw]
「…イヤだ! やめて! 助けてパパ! 改造人間なんてイヤだ! やめて! お願い!」
テレビの中の晶は、全裸で大の字に身体を固定されたまま、激しく泣き叫んでいた。彼女
の方に、極彩色の巨大な羽根と羽毛のような触角を持った一体の女性改造人間が近づいて
きた。
「あら晶。ようやくあなたも私と同じ、改造人間になるのね。嬉しいわ。」
それは晶の母親、毒蛾女《ヨーコmth0067tr》であった。10年前に改造された時と、ま
ったく同じ美貌を保っている。毒蛾女は妖しい微笑みを浮かべながら、晶の前にしゃがみ
込んでその白い裸身を優しく撫でた。
「やめて! やめてママ! お願い、助けて!!」
蟻型改造人間が、晶の膣孔目がけて改造ノズルを力まかせにねじ込んだ。
「ギャッ! 痛い痛い痛い!! やめて!! 痛い! ああッ!! …アッ…アッ…はあッ…はあッ…」
最初の苦痛が、次第に快楽に変り、晶は身体をなまめかしくくねらせながら、生まれて初
めて味わう性の快楽に身を任せ、激しくもだえよがった。腰を浮かせ、改造ノズルの蠕動
に合わせてリズミカルに振りながら、改造人間にされてゆく喜びを全身でむさぼった。
「…ああん…イヤっ…イヤよ…ああん…あふうん…イヤっ…あうン…あうン…はうッ…」
晶の全身に、変化が現れた。真っ白な肌が次第に青く染まってゆき、ふくよかな乳房に、
黄色と黒の同心円状の模様が浮かび上がってきた。

321 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:05:40 ID:6a5dCfqw]
「嘘よ!! こんなの嘘!! トリックだわ! わたしは改造人間なんかじゃない!!」
テレビの前の晶は、顔を真っ赤にして叫んだ。
だが、晶を見つめるレジスタンスたちの目は、一様に険しかった。
「お前が…お前が裏切り者だったのか!!」
「…おお、晶、なんてことだ。」
「裏切り者は、死ね!!」
西浦が拳銃の引き金を引いた。だが発射された銃弾は、晶の胸で跳ね返り、どこかに飛ん
でいった。
「…やっぱり、やっぱり改造人間なんだな! 俺たちを騙してやがったんだな!」
「違うの! わたしは何も知らない! わたしは改造されてない!」
須郷たちレジスタンスが、晶目がけて一斉に拳銃を乱射した。硝煙が立ち上る中、ズタズ
タになった衣服をまとった晶の身体には、やはり傷ひとつついていなかった。
その時、部屋の壁に溶け込んでいたカメレオン男たちが一斉に姿を現わし、須郷たちを背
後から拘束した。
「しまった! このッ! このッ!」
「無駄だ。反逆者どもよ。お前たちの行動は全てサイバーヴィルに筒抜けになっている。
異世界になど誰も行かさぬ。お前たちはこれから、広場で公開処刑されるのだ。」
カメレオン男たちに背後から抱きかかえられたまま、激しい怒声を残してレジスタンスた
ちは連行されていった。後には、ズタズタに破れた服を着た晶だけが残された。
「…ねえ、なぜ、わたしを捕まえないの?」出てゆこうとするカメレオン男に、晶は訊ね
た。
「お前は我々の仲間、改造人間だ、捕まえる必要などない。」
「嘘よ! 嘘ッ!!」
晶は床に膝をついて絶叫した。

322 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:07:01 ID:vthk3IeC]
広場の真ん中に6本の柱が立てられ、須郷や一ノ瀬博士たち6人の反逆者たちが、そこに
縛りつけられた。
集まってきた群集をかき分けて、晶は処刑場の前に出た。
「やめて! やめてお願い!」
晶の姿を認めた須郷が、吐き捨てるように叫んだ。
「何をしに来た! この裏切り者めが!!」
「違う! わたしは改造人間なんかじゃない!」
「いいえ。あなたはもう、改造人間なのよ。」
そう言って群集の中から現れたのは、なんと落合法子だった。
「法子さん…あなた一体!?」
「いいえ。わたしは落合法子じゃないわ。見なさい。わたしの正体を。」
法子は手を胸の前でクロスさせ、上に大きく広げながら叫んだ。
「サイバーッ!変・身!」
法子の身体はまばゆい光に包まれた。思わず目を伏せた晶の前に現れた姿は、何と…あの…
「ミサ!」
そう。そこに立っていたのは蜂女のボディを持ったストレートロングヘアの美少女、この
世界で最初に改造人間にされた伝説的人物、香川美紗こと《ミサbee0001tr》であった。
ミサは10年前と変らない、16歳のままの清楚な美貌を保っていた。
「まさか…法子さんの正体が…ミサだったなんて…」
晶だけでなく、レジスタンスの一同もこれには仰天した様子だった。
「落合法子は、10年前にわたしが処刑したわ。それからわたしは落合法子を装って、愚か
な反逆者たちが接近してくるのを待ち構えていたの。レジスタンスなら必ず、昔の美紗の
知り合いに接近してくるだろうことがわかっていたから。わたしはこれまでに3組、こう
やって愚かなレジスタンスどもを掃討してきたのよ。」

323 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:07:43 ID:vthk3IeC]
「畜生! それじゃあ最初から、計画はサイバーヴィルに筒抜けだったってわけか!」
須郷がさも無念そうに嘆息した。
「お前たちを泳がしておいたのは、一ノ瀬博士が超空間貫通装置を改修するのを待ってい
たからよ。さすがは博士、我がサイバーヴィルが最初に開発したものよりも安定度の高い
装置を完成させてくれたわ。あなたの発明は、サイバーヴィルが有効に活用させていただ
くわ。もちろん、別の世界を侵略するための手段としてね。」
一ノ瀬博士が、がっくりと肩を落とした。
「わたしが、わたしが改造人間だって、一体どういうこと!」
晶が叫んだ。ミサはにっこり微笑むと、額から伸びる2本の赤い触角を、ピクリと動かし
た。
「アアッ!」全身を貫く苦痛を感じ、晶は思わずのけぞった。
「あなたが信じたくない気持ちはわかるけど、テレビで流れたあの映像は本物よ。あなた
は昨夜サイバーヴィルに拉致されて、蜂女に改造されたの。ただし洗脳は行わず、改造さ
れた記憶だけを消して、再び元のところに戻してあげたの。なぜそんなことをしたのかっ
て? それは、その方が面白い見世物になるからよ。」
ミサはさらにピクピク、と触角を震わせた。激しい苦痛に晶の身体はさらに痙攣し、ボロ
ボロになった衣服を掻きむしった。
「あなたが蜂女である以上、蜂女すべての女王であるわたしの命令には逆らえないわ。さ
あ、蜂女《アキラbee1493tr》、人間の姿を捨て、蜂女の姿に変身しなさい!」
晶は衣服をビリビリと引き裂いて全裸になり、地面の上を転げ回ってもだえ苦しんだ。
『嘘よ! 嘘! こんなの嘘に決まってる!!』
心の中で必死にそう叫んだが、身体はいうことを聞かなかった。やがて晶はフラフラと立
ち上がり、両手を胸の前でクロスさせ、上に広げて叫んだ。
「サイバーッ!変・身!」

324 名前:BeeF mailto:sage [04/12/01 05:08:29 ID:vthk3IeC]
とたんに、晶の全身が光に包まれた。まばゆい光の中で晶の身体は真っ青に染まり、乳房
には同心円模様が現れた。光が消えた時、そこに立っていたのは一体の蜂女だった。
「…ウッ…ウウッ…」激しいショックを受けて、晶は嗚咽していた。
「さあ、《アキラbee1493tr》。反逆者たちの処刑はあなたが行うのよ!」
「い、イヤだ! イヤだァッ!!」
晶の意思とは無関係に、晶の両手は自らの乳房を掴み、乳首をレジスタンスたちの方へと
向けた。
「や、やめろ晶! やめてくれッ!」
晶の乳首から、次々と毒針が発射された。毒針を浴びた一ノ瀬博士や須郷たちは、凄まじ
い絶叫を上げ、ズブズブと身体が崩れてその場に溶けてしまった。
「…パパ!…パパ! あんまりよ!」晶の目は涙で真っ赤だった。
「《アキラbee1493tr》、あなたが苦しむのは、まだ洗脳を受けていないからよ。さあ
、わたしが洗脳してあげるわ。そうすればもう、苦しむことはなくなるわ。」
ミサは触角を震わせ、笑いながら晶の方に近づいてきた。
「やめて! こっちに来ないで! わたしの中に…入って来ないで!!」
ミサの触角が、晶の触角に触れた。
「アアッ!!」
その途端、晶の脳の中に、大量の思念が流入してきた。蜂女すべてが共有する意識の総体
だった。脳内を荒れ狂う嵐の中で、晶は必死に自分の自我を保とうと踏んばった。だが、
限界があった。晶の意識は思念の波の中に飲み込まれ、どこかに消し飛んでいった。
しゃがみ込んでいた晶が身を起こした。そのまなざしは、妖しい輝きを放っていた。
「わたしは蜂女。サイバーヴィルの改造人間、蜂女。《アキラbee1493tr》。改造人間に
なれて、わたしはとても、幸せ!!」
ミサが晶、いや蜂女《アキラbee1493tr》の方に手を伸ばした。
「さあ、いらっしゃい。あなたが住むべき、素晴らしい世界に案内するわ。」
驚く群集を尻目に、二体の蜂女は羽根を広げて舞い上がり、やがて雲の向こうへと小さく
なって消えていった。
                                   (おわり)

325 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 00:00:31 ID:RsCSuCD3]
どなたか女教師のクモ女への改造SSを書いてくださらないでしょうか?
もしくはこの作者さんに書いて欲しいと言う作者さんはいませんでしょうか?

326 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 00:22:25 ID:T9mLV+L9]
>>325
ドユコト? SSを書いてくれる職人さんを探してきて欲しいってコト?

327 名前:325 mailto:sage [04/12/02 05:33:03 ID:RsCSuCD3]
いえ、ただ単にこの人に改造SSを書いてほしいという作者は誰かと言うことを聞いてみようと思っただけです。

328 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 07:46:01 ID:T9mLV+L9]
>>327
作者は誰か、と言っても、このスレに常駐しているSS職人さんはPRIME氏、
前スレ325氏、BeeFreak氏の3人しかいないじゃない?
しかもPRIME氏は謹慎中、BeeFreak氏は蜂女しか書かないということだし、
前スレ325氏は目下自分の作品を執筆途中だよ。
あ、他の人に「SS書いてみませんか?」って呼びかけてみるのもいいのかな。

…そういえば、そろそろPRIME氏の謹慎が始まって1ヶ月になるから
謹慎が解ける頃だよな。職人さん2人だけ、というのは寂しいから、
戻ってきて欲しいなぁ。

329 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/02 16:20:39 ID:FaTBN38a]
>>328
PRIMEは名無しで散々書き込んでる謹慎なんかしちゃいない。



330 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/03 01:39:35 ID:ZUhVkmj2]
>>329
あんまり粘着するのはよせよ。
名無しで書いてるのならSSは発表できないんだから、やっぱり謹慎だろう?

331 名前:BeeF mailto:sage [04/12/03 23:53:02 ID:Abz+QcsN]
>>325
漏れでよければ、書けないことはないですよ。
ただ、女先生の名前がわからないので伏せ字にするか、仮名になってしまいますが、
それでもよろしいですか?

>>328
漏れもそろそろ、PRIMEさんに戻ってきてもらいたいです。
SSを書かれる方の数は、多ければ多いほど賑やかになっていいです。
確か8日で謹慎が始まってちょうどひと月になるはずなので、その頃にでも
SSの続きを引っさげて復活願いたいと思っています。
この書き込みを読んでおられたら、PRIMEさん、そろそろ準備をお願いしますね。

332 名前:325 mailto:sage [04/12/04 00:03:56 ID:Mr7xd7nv]
BeeF様、もちろんOKですよ。むしろお願いしたいくらいです。
別に仮面ライダーの設定にはこだわらないので思うとおりに書いてください。
私はこのスレのSS書きの方にとどまらずに、他のサイトでSSをお書きになっている方で、こういう改造SSを書いてみて欲しい人はいないですかというつもりだったのです。
たとえば、BeeF様のところに投稿された舞方雅人氏とか。
私としては舞方氏あたりにも書いてみて欲しい気はします。
もちろんあくまでたとえばの話ですよ。

333 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:40:28 ID:QZM3Bsn4]
>>332
それじゃあ、ちょっと書いてみましょうか。
ただ女先生の名前は、どう付けたって嘘になってしまうので、開き直って「黒沢ゆかり」
にしました(爆)。性格は言うまでもなく、名字さんの方です。
あとドラスの設定とかも本編とはちょっと違いますが、ご愛敬だと思って下さいね。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ずいぶん遅くなったが、ようやく来学期の指導案が仕上がった。あとは教務主任に提出す
るだけだ。
誰もいなくなった職員室で、4年1組の担任である黒沢ゆかりはペンを置き、大きく伸び
をした。
ゆかりは就任3年めの今年、ようやくクラス担任を任されることになった、24歳の新米女
教師である。生来の子供好きで世話好きな性格である上に、人目を惹く美貌の持ち主とあ
って、子供たちの人気も高い。やんちゃ盛りの男子児童たちも、黒沢先生にだけは悪戯の
手が鈍る。クラスの子供たちにとっては、憧れの女神のような存在だ。
ゆかりは立ち上がり、職員室の隅にあるロッカーから懐中電灯を取り出して、見回りの準
備を始めた。用務員が日勤であるこの小学校では、宿直を教職員が順番に義務付けられて
いる。今日はゆかりと、もう一人ベテランの木村先生が宿直当番に当たっていたのだが、
あいにく木村先生が腹痛で欠席したため、今夜はゆかり一人が夜の見回りを行わなければ
ならない。
職員室の鍵をかけ、まず宿直室で湯を沸かす準備をしてから、ゆかりは懐中電灯を片手に、
真っ暗な校舎内を巡回し始めた。
一人での見回りは初めてだ。怖くない、と言ったら嘘になる。しかしもう十数回もこなし
てきた仕事だ。ゆかりはつとめて陽気にふるまい、鼻歌を歌いながら階段の陰やロッカー
の奥などを点検して回った。

334 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:41:11 ID:QZM3Bsn4]
ふと、廊下の前方、学校の正面玄関に当たる場所に白い人影が見えた。予期せぬ出来事に、
ゆかりは一瞬、心臓が止まるくらい驚いた。
よく見るとそれは、10歳くらいの少年だった。身体全体に大きなマントのようなものをは
おっている。子供らしくない、冷ややかなまなざしを湛えたその顔に、ゆかりは見覚えが
ない。
「…きみ! 何年何組の子!? こんな時間にいったいどうしたの!?」
ゆかりが問いただすと、少年は妖しい微笑みを浮かべ、十字路になった廊下の陰に姿を消
した。
「こら、きみ! 待ちなさい!!」
ゆかりはあわてて少年の後を追った。忘れ物を取りに来たのだろうか。だったら教室まで
案内しないと、真っ暗な廊下は危険過ぎる。
少年が姿を消した十字路を曲がったゆかりは、いきなり、何物かに首根っこを掴まれて宙
吊りにされた。
「キャッ!」
目を開いたゆかりは、自分の首を掴んでいる者の姿を見て、息を飲んだ。
…それは、人間ではなかった。緑がかった土色の、直立した昆虫のような異形の怪物であ
った。真っ赤な目をらんらんと輝かせ、額からはアンテナのような二本の長い触角が伸び
ている。
先程の少年の姿は、どこにもなかった。代わりに、怪物が少年と同じ色のマントをはおっ
ている。
「…あ…あ…ああ…」
恐怖で言葉を失い、ガタガタと震えるゆかりを、怪物は片手で宙吊りにしたまままじまじ
と見つめた。
「…ちょうどいいや。こいつにしよう。」
怪物が、まるで子供のような澄んだ声でそう言うと、いきなりゆかりを放り出した。
「キャアッ!!」
ゆかりは自由になったが、恐怖のあまり腰が抜けて、立ち上がることができない。ガタガ
タ震えながら、後ずさるのがやっとだった。

335 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:42:09 ID:QZM3Bsn4]
怪物は右手を胸の前にかざすと、手のひらに意識を集中させた。一瞬輝いたかと思うと、
手のひらの中に、小さな怪物が出現した。
人型の怪物が、手の中の小さな怪物を床に放した。それはみるみるうちに巨大化し、体長
80センチほどの大きさになった。
それは、髑髏のような腹部を持った、形の崩れた真っ白な異形の蜘蛛であった。長い8本
の肢をせわしなく動かし、床の上をはい回っている。
「…さっき、うっかり“アイツ”にやられてしまったからね。戦闘エネルギーが不足して、
自由に動けないんだ。仕方がないから分身を造ろうと思ったんだけど、材料が足りなくて、
こんなのしか造れない。だから、キミのからだ、材料に使わせてもらうよ。」
人型の怪物が、ゆかりに向かって無邪気な声でそう言った。
材料ですって!? わたしの身体が? ゆかりには、怪物の言葉の意味がつかみかねた。
怪物がゆかりの方を指差したとたん、床の上を這い回っていた怪物蜘蛛が、キイ、と小さ
く鳴いて、ゆかりの方に向かって勢いよく走り出した。
「イヤっ! 来ないで! イヤッ!!」
蜘蛛が自分の方に迫ってくるのを知ったゆかりは、四つんばいになってあわてて逃げ出そ
うとした。だが蜘蛛の方が、はるかに足が早かった。蜘蛛はピョン、とジャンプして、ゆ
かりの右脚の上に飛び乗った。
「イヤァーーッ!!」
ゆかりは必死で脚をブンブンと振り、怪物蜘蛛を払い除けた。床に落ちた蜘蛛は、ギイ!
と一声鳴いて、身体を大きくもたげた。
蜘蛛の身体の前半分が、裂けたかのように大きく開いた。それは巨大な口であった。その
中から息を吐くように、白い霧のようなものが勢いよく噴出された。
それは、目に見えないくらい細い糸の集合体だった。糸は逃げようとするゆかり目がけて
放たれ、彼女の両脚にからまりついた。
怪物蜘蛛は口を閉じ、自ら吐き出した糸をたぐり寄せ始めた。ゆかりの身体が、少しずつ
蜘蛛の方に引きずられてゆく。
ゆかりは必死で踏んばった。爪が裂けて血が流れた。
「イヤっ! 助けて! 誰か助けて!! 誰か!!」
誰も来るはずがなかった。この広い校舎内に、人間はゆかり一人しかいないのだ。どんな
に大声を上げたとしても、外まで悲鳴が漏れることもない。

336 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:43:09 ID:QZM3Bsn4]
怪物蜘蛛はゆかりをたぐり寄せると、刃物のように鋭い長い肢をふるい、ゆかりの衣服を
切り裂いていった。
「キャアッ!!」
衣服はたちまちボロボロの布きれとなって舞い散り、雪のように白い柔肌があらわになっ
た。
「…いいかい。そいつはエサじゃないよ。そいつはキミの新しい身体だ。傷付けないよう
に、大事に扱うんだよ。」
人型の怪物が、優しげに蜘蛛に向かって言った。ゆかりは四つんばいの姿勢のまま何とか
逃げ出そうとあがいたが、どうしても脚に力が入らない。
蜘蛛がジャンプして、ゆかりの形の良い尻の上に飛び乗った。あまりのおぞましさに、ゆ
かりは激しく尻を振って蜘蛛を振り払おうとした。だが蜘蛛は8本の肢でしっかりとゆか
りの身体にしがみつき、振りほどくことができない。
蜘蛛が腹部を持ち上げた。腹側の皮膚が裂け、そこから内臓のような無数の蠢く触手が現
れた。触手はゆかりの股間めがけて次々と延びてゆく。
「…ああッ!!」
触手の一部が、女性の大切な部分への侵入を開始した。モゾモゾと蠢く無数の触手が、ゆ
かりの胎内にわけ入り、膣の内部を荒らし回り、子宮の中にまで入り込んできた。
「イヤッ! イヤッ!! やめて! イヤッ!!」
快楽とはほど遠い、凄まじいまでのおぞましさと不快感が、ゆかりの全身を電気のように
貫いた。別の触手の群が、今度はゆかりの肛門から内部に侵入し、直腸の中を激しく掻き
回した。
「…ウグッ…ゲエッ…いやッ…アガァッ…やめて…やめてッ!」
内臓すべてをまさぐられ、こね回されているかのような異様な感覚だった。ゆかりは堪え
がたい苦痛と吐き気に襲われ、四つんばいに固定された身体を激しくよじった。
新たな触手が、ゆかりの顔目がけて延びてきた。触手はゆかりの口から、鼻から、体内へ
の侵入を開始した。
「…ん! んぐッ! …ん! ん! ん!」
もはや、声を出すこともかなわなかった。おぞましい蜘蛛の触手がゆかりの全身に入り込
んで、身体の中をグチャグチャに掻き回しているのだ。触手が這いずり回る口の隙間から、
ゆかりは食物をぶしょぶしょと嘔吐した。鼻水が溢れ出し、目が涙でくもって見えなくな
った。股間は失禁した尿でグシャグシャに濡れている。

337 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:44:08 ID:QZM3Bsn4]
やがて、ゆかりの腰に乗った蜘蛛の腹部が、ゆかりの皮膚にズブズブと沈み込むように一
体化し始めた。蜘蛛の頭部が腹部からはずれ、口から伸ばした触手に引き寄せられるよう
にゆかりの後頭部に移動し、長いつややかな髪の上に陣取るとそのまま融合を開始した。
ゆかりの身体は、少しずつ怪物蜘蛛と一体化し始めたのだ。
《イヤぁ!! やめて!! やめてぇ!!」》身体の中に蜘蛛が入ってくるのをはっきりと感じ、ゆか
りは声にならない声で絶叫した。《わたし、蜘蛛になってしまう!!》
人型の怪物が「材料」と言った意味を、ゆかりは今、はっきりと悟った。この蜘蛛は、わ
たしの身体を乗っ取ろうとしているのだ。嫌だ嫌だ。蜘蛛になるなんて絶対に嫌だ。ゆか
りは身体を狂ったように激しく振り、身体に融合しつつある蜘蛛を振り払おうと無駄な努
力を繰り返した。
「…ダメだよ! そんなに身体を揺らしちゃ。今、大事なところなんだから!」
激しく身体を揺すったせいか、ブチッ! という嫌な音がして、ゆかりの右腕が肩からはず
れ、床に転がり落ちた。
《…わたしの! わたしの腕が!! ああッ!》
床に転がった白く細い腕を目にして、ゆかりは絶望の叫びを上げた。
ゆかりと蜘蛛との融合は、どんどん進んでいった。蜘蛛の8本の肢のうち、4本がゆかり
の腹部にまわり、しっかりと地面に肢を下ろして踏んばった。ゆかりの両脚は宙に浮き、
やがて太股の付け根からブチッ! と音を立ててちぎれ、床に転がった。ゆかりの腹部は性
器をあらわにしたまま、蜘蛛の腹部に吸収されるようにその裏側に溶け込んでしまった。
残る4本の肢は、ゆかりの肩に移動した。1本の肢が、さっきちぎれたゆかりの右腕の代
わりに長く伸び、残る3本は鋭い爪のように、肩から宙に向かって伸びていった。
蜘蛛の頭部は、ゆかりの頭の上にしっかりと融合した。ゆかりの額に、蜘蛛の3対6個の
真っ赤な単眼が溶着した。小ぶりな愛らしい唇が、二つに大きく裂け、中から幾つも大き
な牙が現れた。そしてゆかりの脳の働きも、次第に蜘蛛に乗っとられていった。
もはやゆかりは、自らの意志で身体を動かすことができなくなっていた。単眼の下にある
人間の目から、とめどなく涙を流すことしかできないのだ。

338 名前:BeeF mailto:sage [04/12/05 00:45:54 ID:QZM3Bsn4]
…そして、黒沢ゆかりという人間は、この世から姿を消した。後に残ったのは、美しい女
性の頭部と乳房を持った、巨大な異形の蜘蛛であった。
クモ女となったゆかりの脳は激しい絶望のあまり、もはや何も考えることができなかった。
「…誕生おめでとう。ボクはドラス。キミの主人だ。」
子供のような無邪気な声で、人型の怪物がクモ女となったゆかりに挨拶をした。
ゆかりは、堪えがたい空腹感を感じていた。いや、ゆかりではなく、自分の身体を乗っ取
った蜘蛛が感じていたのだ。クモ女は、笑うような無気味な声を上げ、自分の主人である
人型の怪物に向かって空腹を訴えた。
「…融合に、エネルギーを使い過ぎたんだね。いいよ。そこに落ちている、その女の腕と
脚を食べなよ。」
許しを得たクモ女は、さっき身体から切り離された、ゆかりの脚にむしゃぶりついた。
《いやあ! わたしの、わたしの脚がッ!!》
ゆかりは涙を流し、声にならない声で絶叫した。だがクモ女は嬉しそうに、ゆかりの白い
柔らかな太股に牙をくい込ませ、その水分をチュウチュウとすすった。やがて一本の脚が
ミイラのように干からびると、クモ女はもう一本の脚と、そして右腕もむさぼった。
《やめてッ! やめてやめてぇッ!!》
すっかり手脚をむさぼり尽くしたクモ女は、さらなる空腹を主人に向けて訴えた。
「しようがないなあ。明日の朝まで待ちなよ。ここで巣を張って待っていれば、朝には子
供たちがいっぱいやって来る。一人ずつ異空間にひきずり込んで、食べればいいんだから。」
《やめて! 子供たちに手をあげるのだけはやめて!! お願い! お願いだから! やめてェ!!》
ゆかりの懇願を聞く者は、どこにもいなかった。人間の目から絶望の涙を流しながら、ク
モ女は満足そうに笑い、その場に糸を張って巣を作り始めた。
「いいかい。満腹したら、キミの本当の仕事だ。邪魔な“アイツ”を倒して、ヒロシをさ
らってくるんだ。期待しているよ。」
ドラスもまた、満足そうに笑った。                 (本編に続く)

339 名前:325 mailto:sage [04/12/05 01:15:00 ID:9k4EgH4o]
BeeF様ありがとうございました。楽しませていただきました。



340 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/05 09:29:13 ID:JDccVE0B]
>>333-338
ふと思ったが「クモの怪物に身体を乗っ取られ、心は拒絶しながらも子供たちを襲う女先生」
というシチュエーションは、ライスピ2号編とビミョーにかぶるんだよな。

まさか村枝、ZO小説版までリスペクトしてたのかな?

341 名前:292 mailto:sage [04/12/05 20:59:46 ID:8Z9FA1BR]
>>304
遅レスですが、国籍は特に問いません
・・・というか洋もののコミカルなのも
和もののシリアスなのも(なぜかこのペアになってしまう)
どちらも見てみたい気もしますね・・・

342 名前:BeeF mailto:sage [04/12/06 00:35:17 ID:X7QvAdkO]
>>341
レスありがとうございます。
というか、実はもう、外人を含めた3人の工作員のシリアスな話に向けて、構想を練り始め
ていたところでした。
なかなか構想段階で難儀しているため、発表にはまだ時間がかかりそうですが、そのうちUP
しますので気長にお待ちいただけると嬉しいです。

なお現時点での設定では、女性を誘拐・改造してテロ活動に従事させている悪の組織(既に
どこかで書いたような設定ですが)のアジトに侵入するのは、特務機関XXAM(エグザム)
に所属する3名のプロフェッショナルです。
古武術の名手で射撃のオリンピック選手、元・警官の正義感の塊り「桐島ルイ 24歳」。
香港の犯罪組織「夜龍(イエルン)」によって感情を持たない戦闘マシーンとして育てられた
元・暗殺者「李閃花(リ・シャンファ) 19歳」。
金髪碧眼、アメリカの大富豪の娘でスポーツ万能、知能指数300、人並みはずれた強運の持
ち主「レベッカ・エデルソン 25歳」。
この3人の女性がそれぞれの技能を生かして、小笠原諸島のさらに南にある孤島に作られた
敵のアジトに挑み、結局3人ともそれぞれ違ったシチュエーションで罠にかかり、改造人間
にされてしまうというストーリーになる予定です。
ここまで書いた以上、いずれはUPしますので、よろしく。

343 名前:292 mailto:sage [04/12/06 02:15:48 ID:5v+oqbn3]
>>342
なんか感動です!すでに妄想が広がります

344 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 07:11:47 ID:InkgLtRf]
アイゼンボーグの愛タン改造シーン。
ttp://ngn61.kir.jp/aizenborg/00aitachibana6.htm
ttp://ngn61.kir.jp/aizenborg/00ai_saikaizo.htm

345 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 21:28:40 ID:5v+oqbn3]
>>344
なんか作り手の異様な熱意を感じる・・・

346 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 21:55:30 ID:kSSBPhut]
このスレの住民って、オニャノコが化け物じみた怪人にされるのに萌えるんじゃないの?
単なる機械化サイボーグ手術でも萌えなの?

347 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 22:05:08 ID:SylBSg0E]
漏れは怪人化のほうが萌えるなぁ。
機械化だけじゃ物足りないっす。

348 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/06 22:50:24 ID:wfJJ5PuQ]
>>347
単に改造過程に萌えるの?
それとも、改造後の怪人にもハァハァするの?

349 名前:347 mailto:sage [04/12/07 00:07:47 ID:qp6xHEbL]
場合によりけりだが、おにゃのこの雰囲気を残した怪人ならハァハァするなぁ。



350 名前:名無しより愛をこめて [04/12/07 16:44:32 ID:bhmAnTog]
>>1
関連サイト
>>【女性改造人間物語】 319氏、325氏によるSSが保管されているまとめサイト。
>>remodeledwoman.myfws.com/
>>【蜂女の館】 508(BeeFreak)による、蜂女改造SSの保管庫。
>>artofspirit.hp.infoseek.co.jp/
行けなくなってる。




351 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/07 18:06:22 ID:5U4V0P9n]
>>350
両方ともちゃんと行けるけど?

352 名前:350 [04/12/07 18:16:24 ID:xJeYW8T1]
リンクが切れてるだけでした。スマソ

353 名前:名無しより愛をこめて [04/12/07 23:03:56 ID:KTLkjAPQ]
そろそろPRIME氏の復活期待age!

354 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/08 01:57:12 ID:Z1BIZJEc]
      ☆ チン        マチクタビレタ-

☆ チン  〃 ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ヽ ___\(\・∀・)< PRIMEさん、天野姉妹の改造は マダー? チョー期待!
    \_/⊂ ⊂_)_ \_________________________
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
  |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:|  |
  |  改造手術台   .|/

355 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 00:56:00 ID:5xddb4if]
>>354
上に乗っているのは怪人どんぶり少女とか(w

356 名前:名無しより愛をこめて [04/12/09 02:14:58 ID:xHsMF2Il]
講談社版ライダーマガジンのアマゾンの号に載っていた蜂女のメイクシーンに驚愕。
一体どれだけの秘蔵スチールがあるのか。漏れも蜂女ファンの為、彼女のまだ見ぬ姿に思いは尽きない。
そして、岩本良子様の美しさ。ライダー本編での彼女の蜂女への改造シーンが是非、見たかった。
悔しい。


357 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 06:18:09 ID:wHdSc/jn]
>>356
知ってると思うけど、公式ファイルマガジンに載ってたのとは別の写真。
ttp://www2.wbs.ne.jp/~c-help/gazo2/hachi2.JPG

TV版仮面ライダーの、女性怪人が登場する回の脚本はそのほとんどが、女性脚本家の
滝沢真理氏がつとめていて(蜂女、クラゲダール、ドクダリアン、ギリーラ等)、
彼女は当然ながら『女性怪人』に思い入れが無いものだから、他の怪人と大差ない
あっさりした描写になってしまっている。(たぶん平山Pが故意にそうしたんだろう)

もしも原作の石ノ森氏のテイストがそのまま生かされていれば、きっと蜂女にも
「元は普通の女性だった」という背景がドラマに生かされていたに違いない。
そして、改造シーンも・・・
(後になってそれを生かそうとしたのがスカイのサソランジンなんだろうが)

358 名前:名無しより愛をこめて [04/12/09 16:53:03 ID:z+c/zgKg]
やはりサソランジンの改造シーンは、このスレのテーマに最もあった名シーンだと思う。
そこで、蠍女に改造される上村美也さんのSSを誰かかいていただけませんでしょうか。
何故、美也が蠍怪人の素体に選ばれ、どのように拉致されたのか。そして、改造シーンはエロ度たっぷりに…。
ただ、改造後の姿はいただけませんので、女性怪人としての魅力を出してもらえるとうれしいです。
オリジナルの設定歓迎です。

359 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 17:36:12 ID:xb+Kw+G4]
>>358
>ただ、改造後の姿はいただけませんので、

あれは美しい女性がブサイコな怪人にされるからドラマになるのであって、
改造された身体を見つめて「何て美しいの!」なんて言った日にゃ、
悲劇もへったくれもなくなる罠。



360 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 18:51:17 ID:t0/9alBR]
絵心がある方がいれば、サソランジンを今風にアレンジして頂けないだろうか。
美化する必要はないが、女怪人であることが分かるように。

361 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 20:09:46 ID:hB5nsKIB]
>>358
確か「ネオショッカーと女性怪人の秘密基地」になかったかな?

>>360
そういう意図でデザインしたのが、クウガのゴ・ザザル・バなんだと思うよ。
あのデザインで満足できないなら、コミックだけど「ザ・グリーンアイズ」(巻来功士)の
刺恵(サソリの尻尾が生えた、下半身まる出し巨乳ボンデージファッションのねーちゃん)
みたいにするしかないんじゃないか?

362 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/09 23:47:11 ID:t0/9alBR]
>>361
「ザザル」が確かにそうですね。
指摘されるまで、人間態のだるそーなお姉ちゃんしか覚えて無かったです。

363 名前:名無しより愛をこめて [04/12/10 01:56:50 ID:tLZuplo+]
>>359
悲劇性に関しては、醜い姿に改造された所にあるのではなく、自らの意思に関係なく無理やり人外の異形に改造されてしまった点にあると思う。
女性怪人としての魅力を充分に発揮する為にも、サソランジンは女のセクシャリティーを維持した形でリニューアルされるべきなのではないだろうか。
美女を改造するシークエンスがある名編の代表として、是非、それは望みたい所なのだが・・・。

364 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/10 03:13:30 ID:iXoWWI78]
サソランジン話が出たので妄想ネタ一つ(あまりエロくはありません)

雪山で遭難した筈の美也がなんであんなヒラヒラしたドレスを着てたのか
・・っていうのは「理不尽スレ」的なツッコミどころとも思えるんだけど、
案外、あの直前ゼネラル・モンスターとの間で、
「ニキータ」の、誕生プレゼントに銃を渡されるみたいなやりとりが
あったのかも、と思ったことがある。

大事な素体(適合者?)ゆえ丁重な治療・看護が行われていた美也。
やがて全快し、ゼネラルモンスターよりドレスを贈られ、
豪華な食卓で全快祝いのワインがふるまわれる
無邪気に喜ぶ美也。そのときゼネラルモンスターの目が
あやしく光り(以下略)

365 名前:364 mailto:sage [04/12/10 03:26:36 ID:iXoWWI78]
恨みの文句が「ネオショッカー!」ではなく「ゼネラルモンスター!」
だったあたりからも、改造前にあの二人に何かあったのかも、
という想像はできるのではないかと思う次第です。
(ついでに言うと、あの断末魔状態のときにはタイムリミットが
切れて脳改造の効果がどんどん出てきていたんですよね?
あのまま殺されずにいたら・・・)

366 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/10 03:37:50 ID:V5605csP]
>>364
面白いけど、城北大学に暗殺に向かった時に着ていたワンピースならば、彼女が
改造された後に与えられた物ではないかい?
たぶんアリコマンドの素体か何かとして捕らえられた、別の女性の衣服と思われ。
少なくとも美也は、改造時は全裸(に見える)にシーツだ。

この時に、美也はなぜかゼネラルモンスターの名前と、自分が改造人間にされそう
になっていることを既に知っていた。
たぶん山で捕らえられ、意識を失う前にそう知らされたのだろう。
「山で遭難した」と言われているが、スカイ4話の放映は10月だから雪山ってわけ
じゃないだろう。むろん夏山でも遭難する時は遭難するが、美也の場合は単に拉致
されて行方不明になったことが「遭難」と報じられただけなんじゃないか?

関係ないが、岬ユリ子とその兄も、登山時にブラックサタンに拉致されたはずだ。
山で遭難し行方不明、というのは改造素体を拉致するための方便としてよく利用
される手段なんじゃないかな?

367 名前:名無しより愛をこめて [04/12/10 04:57:07 ID:tLZuplo+]
>>366
手術台の上で、美也が自分の運命を知っていた事に興味を覚えることに同感です。
この前に美也に何があったのか。
捕らわれた彼女の肉体に対し、改造人間の適性を調べる様々なテストが行われたのではないでしょうか。
その中で、次第に美也は自分の身に起こる事に気付いていったというのはどうでしょう。
また、美也が一人で登山をしていたとは思えません。
同じ女子大の仲間達がいたはずです。彼女達も一緒にネオショッカーに捕らえられアリコマンドにでも改造されたのでは
ないでしょうか。それも美也の見ている前で。
もしくは、仲間(後輩)を守る為に自らを犠牲にした。始めは改造素体となる事などまったく知らずに、
正義感の命ずるままにゼネラルモンスターにその身を差し出したが・・・。
というのも自分的には萌えるのですが。


368 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/10 10:38:32 ID:sEVz6gN/]
>>367
仲間のために自らを犠牲にしたのなら、
「改造人間なんて嫌です!」と叫んだりはしないと思われ。

369 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/10 21:01:07 ID:N0ey3ujW]
オニャノコをゲルショッカー怪人に改造するとしたら、どんなのがいい?



370 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/10 22:06:22 ID:DT8+1OrT]
ナメクジキノコ

371 名前:名無しより愛をこめて mailto:sage [04/12/11 09:24:20 ID:X8aVJXUG]
カズノコミミズ(性器限定)

372 名前:名無しより愛をこめて [04/12/11 13:51:11 ID:5SuCI36K]
>>367
女子大の仲間がアリコマンドに改造される・・・
誰かその話書いてください!


373 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:42:27 ID:ilXaiyaM]
どうも。最近仕事が忙しくて、SSを書いてる暇がなく困っているBeeFです。
それでも何とか、以前約束しておりました、>>292さんのリクエストにお応えしての「女
工作員」ものを書き終えましたのでUPさせていただきます。
今回“バズゥ”(BUZZ=虫の羽音)という組織によって蜂女に改造されてしまうのは、桐島
ルイちゃん25歳、レベッカ・スウェンソンちゃん26歳、それに李閃花(リ・シャンファ)ち
ゃん19歳の、3人の美しき工作員です。
長い話ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。

374 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:43:41 ID:ilXaiyaM]
嵐が近いのか、鉛色の雲が重く垂れこめていた。
北回帰線に近いこの海域でも、冬の太平洋の波はやはり荒い。不揃いなサンゴ礁が切れ込
んだこの島の北端には、激しい波が叩きつけるように打ち寄せていた。その見上げるよう
な断崖の下、海の中から黒い3つの影が現れ、波から逃れるように岸壁にへばり着いた。
「…みんな無事?」
真っ先に上陸した、リーダーらしい人影が、水中メガネと腰に巻きつけた機械を外しなが
ら、他の2人に呼びかけた。ウェットスーツのフードを外すと現れたのは、濡れてクシャ
クシャになってはいたが、長く美しい金髪だった。ウェットスーツに包まれているのは、
見事なボディラインの悩ましい豊満な肉体。澄んだ青い目をした、20代半ばの絶世の美女
だった。
「…異常なし。」
「装備は全て無事。万事オーライよベッキー。」
手際よくウェットスーツを脱ぎながら、同時にそう答えたのは、まだ10代らしい小柄なシ
ョートカットの少女と、長身にロングヘアーの20代半ばの女。どちらもハッとするような
美貌の東洋人女性だ。
「よーし。これまでのところは上出来ね。海中に超音波探査器があったとしても、さっき
外したソニックジャマーがソナー音波を撹乱してくれたはずだから、連中はまだ、わたし
たちの存在に気付いてないはずだわ。」
身体にピッタリ密着した黒のボディスーツの上から、様々な器具の付いたホルスターやベ
ルト類を幾つも固定しながら、金髪の女性が言った。

375 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:44:17 ID:ilXaiyaM]
「これからが正念場よ。各自別行動を取り、任務を遂行すること。作戦開始時刻は現在、
○七五○。作戦終了予定時刻は一七○○。この時刻に、この島の上空を回収用の輸送艇が
通り過ぎる手筈になっているわ。島の北端、獅子が鼻と呼ばれる岬に個人用の飛空バック
パックが3個投下されるから、必ず回収するように。救出した人質がいる場合は事前に信
号弾を上げること。」
二人の東洋人女性が同時に頷く。
「そして…これがいちばん大事なことだけど、今回の任務で無事生還できる可能性は30%
以下。これは今までの任務もそうだったから気にしなくていいけど、もしも連中に身柄を
拘束されたら、100%確実に改造人間にされてしまうわ。だからもしも捕まった場合は、
迷わず奥歯に仕込んだプラスティック爆弾で自決すること。万一、仲間が改造されてしま
った場合は、ためらわず殺すこと。一瞬の迷いが命取りになるわ。」
「ベッキー。」長い黒髪の女性が金髪のリーダーに尋ねた。
「もしも、3人とも生還できなかった場合はどうなるの?」
「明朝9時に、予定通りアメリカ海軍による核攻撃が始まるわ。果たしてそれで“バズゥ”
を壊滅させることができるのか。それとも、それが新たな悲劇の幕開けとなるか…それは
神のみぞ知る、ね。」

376 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:46:50 ID:ilXaiyaM]
日本領土の最南端に近い、無人島“神ノ鳥島”。8キロ沖に停泊した工作船から、無数の
機雷をかいくぐってこの島に到達したばかりのこの3人は、各国政府が協力して極秘裏に
結成した特務機関XXAM(エグザム)の、諜報部員であった。メカニックに強いリーダ
ーのレベッカ・スウェンソン、26歳。射撃と武術の達人、桐島ルイ、25歳。そして香港の
犯罪組織・夜龍(イエルン)の元・暗殺者という異例の過去を持つ李閃花(リ・シャンファ)、
19歳。組織きっての腕利き諜報部員である彼女たちは、いま世界中をパニックに陥れてい
る謎の組織、昆虫人間帝国“バズゥ”の本拠地に、それぞれ任務を携えて侵入しようとし
ているところなのだ。
3日前、彼女たちは突然、組織のボスである“ダイモン”の前に呼び出された。スクリー
ンに黒いシルエットしか映さない謎の男。“ダイモン”とは古代ギリシアの守護神の意味
であるが、同時に悪魔(デーモン)の語源でもある。裏の世界のあらゆる情報に精通して
いるこの男が果たしてどちらなのか、彼女たちは判断しかねている。
3人が揃ったのを確認すると、“ダイモン”は単刀直入に切り出した。黒いシルエットの
背後に次々と新聞記事や写真を映しながら、今回の指令の背景を淡々と説明してゆく。
「よく来てくれた。諸君らもご承知の通り、世界は現在、今から2週間前に突如出現した
昆虫人間帝国“バズゥ”によって激しく混乱している。“バズゥ”は一般の女性を拉致し、
全身の細胞に昆虫の遺伝子を組み込んだ改造人間“インセクトサイバー”に仕立てて様々
なテロ活動に従事させる、謎の組織だ。10代半ばから20代の、若く美しい女性ばかりが誘
拐され、わずか半日後には改造人間に変えられて、テロの片棒をかつがされている。なぜ
女性ばかりを改造するのかは謎だが、残念ながら現代の医学では、改造された女性たちを
元の身体に戻すことはまったく不可能だ。」
長い黒髪の諜報部員、桐島ルイがギリギリと歯がみした。彼女もまた、高校時代の親友が
インセクトサイバーに改造された経験の持ち主なのだ。

377 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:48:04 ID:ilXaiyaM]
「9日前に日本のテレビ局占拠によって姿を現わしたこの組織は、わずか5日間で首都東
京の全機能を麻痺させた。この間に拉致改造された被害者は優に6千人を越える。さらに
3日前、今度はアメリカ、イギリス、ロシア等先進12か国に対して一斉に、女性拉致とテ
ロ活動が始まった。ホワイトハウス襲撃等による国家機能の麻痺と、交通・通信規制によ
る被害総額は、少なく見積もっても全世界でざっと700兆ドル。拉致改造された被害者の
総数は、既に1万人近いものと推測されている。」
それは、文明世界の崩壊と言っても良い惨状だった。改造人間たちは国家中枢の襲撃と同
時に、報道機関の制圧を徹底して行った。インターネットによる情報網だけはかろうじて
まだ生きていたが、大手通信社やケーブルテレビネットワークは、テロ活動によって既に
ほとんど壊滅状態になっている。
「2日前のホワイトハウス襲撃で、アメリカ大統領はからくも難を逃れたが、補佐官と大
統領夫人が命を落とした。復讐にはやる大統領の命令で、アメリカ全軍に対して“バズゥ”
本拠地を意地でも突き止めろとの命令が出されていたが、今日の未明になって、それが判
明したとの情報が入った。」
3人の前のスクリーンに、日本近海の海図が映し出された。
「“バズゥ”のインセクトサイバーたちは、テロが終わると地中に溶けるようにして消え
るか、あるいは空に突然出現する黒雲の中に姿を消す。米軍はこの黒雲の中に“バズゥ”
の空間転移装置があると推測し、同日同時刻に別の場所に黒雲が出現した形跡が無いかど
うか、地上偵察衛星で世界中を調査した。もしもあるとすれば、そこに転移した可能性が
高いからだ。調査の結果、米軍が連中のアジトとして最も可能性が高いと判断したのが、
日本の南方洋上にあるこの、神ノ鳥島だ。」

378 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:48:55 ID:ilXaiyaM]
スクリーンに映し出されたのは、テーブルのような形状の小ぶりの島の写真だった。
「周囲7.2キロ。まあまあの大きさだが、過去に人間が入植した形跡がない無人島だ。その
理由は、島全体が高さ50メートルの断崖で囲まれているためと、島の北東端の海中から火
山性のガスが噴出しており、硫化水素を含んだ猛毒の霧が島全体を覆うことがあるためと
思われる。そのため島の周囲のサンゴ礁の生育が悪く、港を作れる条件が整っていない。」
「秘密組織のアジトとしては、うってつけと言うわけね。」金髪のレベッカが言った。
「そうだ。本拠地が判明してまもなく、アメリカ大統領は、この島に対する核攻撃を海軍
に命じた。既に北太平洋上にはニミッツ級原子力空母“ビルクリントン”が待機し、水爆
を搭載したB?2スピリット3機がスタンバイしている。」
「そんな! 他国の領土に核を使用するなんて!」ルイが驚いて叫んだ。
「日本政府の内諾は、既に取りつけているらしい。だが、アメリカ政府内でもこの攻撃命
令に対し、疑問の声が上がっている。ひとつには、拉致改造された被害者を巻き添えにす
ることに対する懸念からだ。ホワイトハウス襲撃の際捕縛され、現在ニューヨークのシン
シン刑務所に収容されている3体のインセクトサイバーの中に、グレアム上院議員の娘が
含まれていることは知っていると思うが、この上院議員が中心となって、改造被害者の家
族たちが現在、『改造被害者は自らの意志で犯罪を犯した訳ではないため罪を問うべきで
はない』という運動を展開中だ。極めて強力なマインドコントロールを施された彼女たち
を、果たして罪に問うことができるかどうかは、法律学者たちの間でも意見が分かれてい
る。テロの被害者の中には『そもそも人間でなくなった者に人権を認めるべきではない』
という強硬意見を出す者までいて、まさに混乱状態だ。このように議論が定まらない中で、
彼女たちを一斉に葬り去ろうという大統領の判断は、まことに軽率と言われても仕方がな
い。グレアム上院議員が時期大統領選の有力候補と見なされていることもあって、政府内
には未だ慎重意見が根強い。」
諜報部員たちは思わずうなって考え込んだ。ルイだけはうん、うんとうなずいている。

379 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:50:31 ID:ilXaiyaM]
「そしてもうひとつは、連中に対し核攻撃が本当に有効なのか、疑問視する声が上がって
いるからだ。非公式の情報だが、3日前にロサンゼルスで海兵隊がインセクトサイバーと
交戦した際、カリホルニウム核弾頭弾が極秘に使用されたがあっさり退けられたとの報告
が入っている。もしも連中に対し核兵器が効果無いのであれば、アメリカは他国に対して
核を使用したという、歴史上の汚点だけを背負うことになる。だからこそ、米軍は核攻撃
を行う前にもっと多くの情報が必要だと考えているのだ。」
「わかったわ、ボス。無人島に侵入してその情報を得て来るのが、今回の私たちの任務な
のね。」
「そうだ。諸君らに与えられる任務の内容は3つ。ひとつ目はアジトの全容の解明と、核
攻撃が行われた際の効果のほどの確認。ふたつ目は拉致被害者の状況確認と、改造技術の
解明、そして可能であれば被害者の救出。そして3つ目が、これまで全く姿を現わしたこ
とのない、“バズゥ”を背後で操る支配者の正体解明だ。」
3人の美しき工作員たちは、一斉にうなずいた。
「だが注意してくれたまえ。インセクトサイバーたちは頭部こそ人間の女性だが、そのボ
ディは想像を絶する能力を秘めている。人間相手のようなわけにはいかない。これまでに
確認されたインセクトサイバーは8種類。ひとまず順に、その能力を確認してみよう。」
スクリーンに、次々と女性の姿が映し出された。頭部はいずれも美しい女性だったが、ボ
ディは全身タイツをまとったかのような奇妙ないでたちで、羽根や触角などを備えている。
それは衣裳ではなく、改造された彼女たち自身の肉体なのだ。その証拠に、彼女たちの下
腹部にはいずれも剥き出しになった女性器が確認できる。



380 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:51:30 ID:ilXaiyaM]
「まず、いちばん多く確認されているのがこの《シャドウアント》と我々が名付けている
黒いタイプだ。一般的な成人男性の100倍程度のパワーを備え、また自らの影の中に溶け
込むように消える能力を持つが、飛行能力や遠距離攻撃の手段は持っていない。まあ、戦
闘員のような位置付けと考えていいだろう。」
「次が《アレストスパイダー》。登山用ナイロンザイルの数十倍の張力に耐える強靱な糸
を口や指先から出す、捕縛用の改造人間だ。《マリオネットモスキート》は、十本の指か
ら伸ばした管で血を吸った人間を自由に操ることができる、洗脳用の改造人間。この2種
類は特殊工作用のインセクトサイバーと言えるだろう。」
「次に、《パウダリングモス》は空中を浮遊しながら、麻痺毒や腐食毒、さらには高火力
のガンパウダー(火薬)までも広範囲に撒き散らす毒蛾型の改造人間だ。同じく、幻覚剤を
含んだ鱗粉を撒き散らす蝶型改造人間が《ドリームバタフライ》。《ヒプノシーケイダ》
は催眠音波を発する蝉型の改造人間。この3種類は飛行能力と、広範囲に作用する特殊能
力を持っている反面、単体での戦闘能力は著しく低い。」
「逆に戦闘能力が高いのが、両腕を鋭利な刃物に変えて高速度で飛来する《ビヘッドマン
ティス》だ。首切りカマキリの名の通り、戦車の砲身すら一瞬にして輪切りにしてしまう。
また《アームドスコーピオン》は長い尻尾の先に毒針を持つ他、両腕を次々と武器に変形
させて攻撃するサソリ型の改造人間で、飛行能力こそ持たないが攻撃力だけでなく、防御
力にも優れた万能タイプだ。」

381 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:52:36 ID:ilXaiyaM]
「そして、最も恐ろしいのがこの蜂型改造人間《アサルトビー》だ。高機動の飛翔能力を
持ち、厚さ10センチの鋼板をも貫く針を胸から連続して発射する。戦闘機キラーの異名を
持つ恐ろしい改造人間だ。胸の針は麻痺毒や溶解毒、洗脳薬などの発射にも使えるらしく、
一体で一個師団を充分壊滅させることのできる戦力を持っている。この8種類以外にも、
我々がまだ見たことのない改造人間が存在するかも知れない。さて。」
ここで、ダイモンはひと呼吸置いた。
「今回の任務だが、諸君ら女性工作員にとっては極めて過酷なものだ。一体で最新鋭戦車
を凌駕する戦力を持つ改造人間たちの群れに潜入しての調査。しかも身柄を拘束されれば
即、恐ろしい改造手術が待っている。だから今回の任務は強制ではなく、あくまで自由意
志での参加を求める。拒否しても、諸君らには何らの不利益もないことを保証しよう。い
かがかね諸君。まず、ルイ?」
ルイはすかさず答えた。
「行きます! 改造人間にされた人たちを元に戻す方法を、私がきっと見つけてきます。」
「閃花?」
「任務なら…行きます。」
「レベッカ?」
「愚問よね、ボス。わたしが今まで任務に失敗したことがあったかしら?」
「よろしい。作戦の開始は3日後。敵との交戦は可能な限り避け、任務の遂行に専念して
もらいたい。その他の情報は追って伝える。以上だ。成功を祈る。」

382 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:53:42 ID:ilXaiyaM]
3日前“ダイモン”から与えられた任務を思い起こしながら、XXAMの工作員桐島ルイ
は、朝霧に包まれた神の鳥島北岸の断崖を登っていた。不思議なことに、この島の上空に
は海鳥の姿がまったく見えない。島全体を覆うこともあるという、火山性ガスのせいだろ
うか。植物の生育も概して悪く、島の最高峰アサヨ岳の北東面はほとんど禿げ山になって
いる。
岩肌に張り出した、ツルツル滑る植物の根を掴みながら、ルイはようやく断崖の上に達し
た。そこは、亜熱帯性の木々が繁茂する森だった。風向きの関係からか、このあたりの植
物の生育はそれほど悪くない。ルイは背の高い草の影に身を隠しながら、島の中央部目指
してゆっくりと進んだ。
“バズゥ”が彼女たち三人の侵入に気付いているかどうかはわからないが、島のあちこち
には侵入者を察知するセンサーや、監視カメラが無数に設置されているに違いない。まっ
たく見つからずにアジトまで辿り着けるという保証は無い。それでも、インセクトサイバ
ーとの交戦は極力避けなければならない。
ルイは、琉球骨法と劈掛(ひか)八極拳の達人である。相手が人間ならば、どんな大男にも負
ける気はしない。だが銃弾を跳ね返す頑丈な外骨格に覆われ、一撃で人間を屠る武器を持
つインセクトサイバーが相手では、いくら武術の達人といっても分が悪すぎる。接近戦を
身上とする骨法や八極拳では、相手にすらならないだろう。だが、遠距離攻撃を得意とす
る劈掛拳ならば、相手の不意をついて一撃を与えることは??おそらく一撃が限界であろ
うが??不可能ではないだろう。一撃必倒、それがインセクトサイバーと闘う際の絶対条
件であった。一撃で倒せなければ、こちらが反撃に耐えられない。もっともインセクトサ
イバーの外骨格に対しては、ルイの会心の一撃をしても、蚊が刺したようなダメージしか
与えられない可能性がある。しかしながら、彼女たち工作員には今回、絶対的な不利を覆
す、とっておきの武器があった。

383 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:54:29 ID:ilXaiyaM]
ルイは空気のわずかな乱れを感知するカレントセンサーを片手に、用心しながら歩を進め
た。神経を研ぎ澄まし、周囲の全てに気を配りながら、ブーツが草に擦れる音も極力立て
ずに進んでゆく。
突然、カレントセンサーに2つの反応が現れた。ルイは急いで手近な木に音もなくよじ昇
り、樹上に息を潜めて敵の出現を待ち構えた。
真っ黒な人影が2体、ルイのいる方向に歩いてきた。手には何も持っていないが、周囲を
キョロキョロ見回しているところを見ると、哨戒中なのだろう。真っ黒なボディからする
と、おそらくシャドウアントと呼ばれる戦闘員と思われるが、日本やアメリカで確認され
た戦闘員が改造前の素顔をそのまま露わにしていたのに対し、ルイの目の前にいる2体は、
顔面がすっかりマスク状のもので覆われ、目だけをギラつかせている。
ルイは、ふと奇妙なことに気がついた。インセクトサイバーたちのボディは、衣裳ではな
く改造された素肌のはずである。しかしながら目の前の2体の戦闘員は、どうやら黒い全
身タイツ状の衣裳をまとっているようなのだ。
《どうしてかしら? ここが亜熱帯のせい?》ルイは首をひねったが、その時ふと良いアイ
ディアが浮かんだ。彼女たちのボディが衣裳ならば、それを奪えば戦闘員に変装できるの
ではないだろうか?
ルイは、右手に拳銃を取った。愛用のワルサーPPKではなく、小ぶりの奇妙な形の銃だ。
そして左手には、丸い弾のようなものを握った。
戦闘員たちが足元まで接近するのを辛抱強く待ち、タイミングを見はからって右手の銃を
前方遠く目掛けて撃った。

384 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:55:48 ID:ba+nVxex]
キュルルルルルル!!
かん高い奇妙な音が宙を突っ切って飛んだ。敵の注意をそらせるホイッスル・バレット(鏑
弾)だ。それと同時に、ルイは左手の弾薬を勢いよく地面に叩きつけた。たちまち、もうも
うたる煙幕が周囲を包み込んだ。
ルイは木から飛び降り、低い姿勢から身体をムチのようにしならせて、一体目の戦闘員に
真横から脚払いを食らわせた。いくら頑丈な改造人間と言えども、その体重は人間と変り
がない。不意を突かれれば転倒する。前のめりになった戦闘員の額めがけて、ルイは渾身
の“穿掌”を繰り出した。
「はァっ!!」
ルイの手のひらが戦闘員の額にヒットした途端、パーン!という炸裂音がはじけ、戦闘員
は額から煙を上げて倒れた。その音に振り向いたもう一体の戦闘員の前に、ジャンプした
ルイが飛び降り、後方に大きく身体をしならせながら、戦闘員の額めがけて両の手のひら
を同時に叩き込んだ。「やぁッ!!」
激しい炸裂音と共に、2体目の戦闘員も煙を上げて倒れた。ルイの手袋に仕込まれていた
のは、対インセクトサイバー用の秘密兵器、サイバーバスターであった。
「あらら? ずいぶんあっけなかったわね。」
頑丈なボディを持つインセクトサイバーたちにもひとつだけ、弱点と呼べる箇所がある。
それは、触角が生えた額の根元であった。サイバーバスターは強力な超音波パルスを改造
人間たちの知覚神経に与え、神経伝達を遮断するという武器で、神経の集中する額に直接
ヒットすれば、どんな改造人間でも一瞬にして卒倒させることができる。ルイたち3人の
工作員の手袋とブーツにはこのサイバーバスターが仕込まれ、攻撃と同時に発動するよう
調整されていたのだ。

385 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:56:41 ID:ba+nVxex]
ルイは、気絶した2体の改造人間たちを引きずって、木の陰に隠れた。完全に気絶してい
ることを確認してから、そのボディを検分した。2体とも華奢で小柄な女性で、胸や腰の
発達も未熟である。まだ10代前半らしい。頭部を覆うマスクを苦労して剥ぎ取ると、愛く
るしい東洋人少女の顔が現れた。額には改造人間らしく、触角が生えている。
ルイは自分の額のゴーグルを下ろし、脇に付いたダイヤルを調節した。背中のバックパッ
クに内蔵された小型スーパーコンピュータに収納された、“バズゥ”の拉致被害者たちの
データベースにアクセスしたのだ。たちまち、目の前にある少女の顔が分析され、その素
性がゴーグルの裏側に表示された。
「竹内さくら、13歳。大友絵美、12歳。…ひどいわ。まだ中学生じゃないの!」
こんないたいけな少女たちを改造人間に変えてしまう“バズゥ”の非道さに、ルイは改め
て怒りが込み上げるのを感じた。
「ゴメンね。いつか必ず、あなたたちを人間に戻してあげるからね。」
ルイはそう詫びて、2人の中では身体が大きい竹内さくらの全身タイツを脱がせ始めた。
タイツは見たことのない非常に薄い生地だったが、極めて伸縮性に富み、しかも強靱だっ
た。
「…あれ? これは…どういうことなの!?」
タイツを脱がせながら、ルイは思わず頭をひねった。何と、タイツの内側に隠れていたさ
くらのボディは、全身が真っ青な皮膚で覆われ、乳房が黄色と黒の同心円模様で彩られた、
蜂型改造人間《アサルトビー》のものだったからだ。
もう一人のタイツも脱がせてみた。こちらは《マリオネットモスキート》だった。
《どういうことだろう。改造された後で、黒タイツを着て訓練していたのかしら?》

386 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:57:57 ID:ba+nVxex]
インセクトサイバーたちは、どんな環境の元でも全裸で行動できるよう、肉体を調整され
ているはずだ。なぜわざわざ、改造した身体の上からタイツを着なければならないのか、
どう考えてもわからない。とりあえず悩むのはやめて、ルイは自分のボディスーツの上か
ら、蜂女・竹内さくらが着ていた全身タイツをまとおうとした。
おかしい。なぜかタイツに拒絶されるかのように、脚が通らない。色々試行錯誤してみた
結果、服を着たままではこのタイツは着用できないということに気付いた。
ルイははたと困ってしまった。様々なギミックを備えた作戦行動用ボディスーツを、ここ
で破棄するのは惜しい。だがタイツに着替えなければ、戦闘員に偽装することはできない。
意を決したルイは、ボディスーツを黙々と脱ぎ始めた。ブラジャーも、ショーツも脱ぎ捨
てて生まれたままの姿になった。そうしないと、タイツによって拒絶されてしまうのだ。
全裸になったルイの身体が、タイツの中にピッタリと包み込まれた。身長168センチのル
イはさくらよりも20センチ近く高かったが、このタイツはまるでルイのためにあつらえた
かのごとく、彼女の身体にピッタリとフィットした。
《ああッ…何だろうこのタイツ! 着ているだけで、身体が、ほてるように気持ちいいわ!!》
まるで全身を誰かに抱きしめられているかのような快感に襲われ、ルイは自分の乳房と股
間を押さえたまましゃがみ込んでしまった。乳首が勃起して固くなり、股間が潤んでくる
のが自分でもわかる。ルイはそのまましばらく、太股を擦り合わせ、二の腕を撫でまわし
ながら、不思議な恍惚に酔っていた。
《…いけないいけない! 何をしてるのよルイ。任務を忘れちゃダメでしょう!》
我に返ったルイは、自分を叱咤しながら立ち上がった。タイツの上からバックパックやホ
ルスター、サイバーバスターが仕込まれた手袋などを身につけ、頭部を覆う黒いマスクを
被って戦闘員を装ったルイは、2体の少女サイバーたちを木の陰に隠したあと、島の中央
部目がけて歩きだした。全身を蝕む、奇妙な快感に絶えず悩まされながら。

387 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:58:58 ID:ba+nVxex]
工作員3人の中で最年少の李閃花(リ・シャンファ)は、島の周囲をぐるりと回り、海蝕
洞(波によって穿たれた洞窟)を探した。“バズゥ”のアジトが地下にあるのなら、必ず
下水の排水口が海に向かって存在するはずだと考えたのだ。もちろん、そんなものを目立
つところに作るはずがない。あるとすればそれは、隠れた洞窟の中に違いない。閃花の読
み通り、3つ目の海蝕洞の中に下水口は発見できた。
異様な匂いが漂う狭い通路を、閃花は用心しながら進んだ。下水道から標的に侵入するの
には慣れている。だが注意を払わないと、少しの物音でも遠くまで大きく響く空間だ。幸
い、下水はほとんど流れていない。足元が不快な水音を立てる心配は無さそうだ。
ふと、左手のカレントセンサーが反応を示した。閃花は身を引き締め、前方に拡がる闇を
キッと見据えた。
突然、閃花目がけて何かが飛んできた。動物的な本能で、それを素早くかわす。続いて2
発目、3発目。かわし切れなかった3発目を左手の手甲で受け流そうとした閃花は、無数
の糸のようなものが左腕にからみつき、きつく締め上げるのを感じた。
「…捕まーえた。」
前方の闇の中から現れたのは、黒いボディに黄色の縞が入った長い手脚を持った、スレン
ダーな美少女だった。妖しくセクシーに腰を振りながら、閃花の方にゆっくりと近づいて
くる。年の頃は17歳くらい。黒髪をボブカットにし、目鼻立ちのはっきりした東洋人であ
る。閃花の左腕にきつく巻きついた糸は、少女の十本の指先から伸びていた。捕縛用改造
人間、アレストスパイダーの一体らしい。
閃花は、右手でゴーグルのダイヤルを回した。目の前のインセクトサイバーの素性が即座
に分析され、表示される。笠井真奈美17歳。日本人。女子校の修学旅行で東京にやって来
た際、観光バスごとクラスメートと共に拉致されたらしい。

388 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 02:59:41 ID:ba+nVxex]
「ずっと、誰かが来るのを待っていたの。もう逃げられないわ。あなたは、これからわた
しと同じ改造人間になるのよ。」
「……」
妖しい微笑みを浮かべながら、糸を少しずつたぐり寄せ、アレストスパイダーが接近して
くる。閃花は少しもあわてず、蜘蛛女が自分の間合いに入って来るのを待った。
充分な距離に近づいたのを見はからって、閃花は拳銃を取り出した。
「無駄よ。わたしたちに銃は効かないわ。」
「…やってみなければ、わからない。」
蜘蛛女はクスリと笑った。閃花は無表情のまま、引き金を引いた。ただし、蜘蛛女に対し
てではなく、自分の左腕から伸びる蜘蛛の糸目がけて。
ボウン! 猛烈な臭気とともに、白い煙が上がった。それはただの銃弾ではなく、蛋白質を
溶かす強力酵素弾だった。糸がゆるんだ途端、閃花の身体は宙に舞った。
驚く蜘蛛女の目の前に着地した閃花は、蜘蛛女の眉間目がけて攻撃を繰り出した。
香港の犯罪組織“夜龍(イエルン)”の暗殺者であった閃花の闘法、殺手飛舞(サァソフ
ェイウー)は、インドネシアの暗殺武術シラットを空中戦に特化する形で発展させた、独
自の闘法である。接近戦に長けたシラットとは異なり、身体のバネを生かした遠距離から
の攻撃を得意とし、鷹翔飛舞、萬蜂飛舞、蝴蝶飛舞など幾つもの型を持つが、どれもシラ
ット同様の一撃必中即離脱を特徴としている。

389 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:00:36 ID:ba+nVxex]
あでやかに宙を舞った閃花が蜘蛛女に加えた一撃は、鋒針(フェンジェン)と呼ばれる長
さ15センチほどの鋼鉄の針だった。どんなに強固な外骨格であれ、接合部には必ず耐久力
の弱い部分がある。閃花は最も装甲が弱いと思われる、まぶたの上の急所めがけて、機械
のように正確に鋒針を突き刺したのだ。
「ギャァアアアアアッ!!」
まぶたから大脳の奥深く、鉄の針を打ち込まれ、蜘蛛女は激しい悲鳴を上げてのけぞった。
閃花は素早く飛びのき、充分な間合いを取って第二撃に備えた。だが、その必要はなさそ
うだった。
「イヤ! やめて! 改造人間なんてイヤだぁ! 助けて、助けてママ!」
蜘蛛女は頭を抱えて身体を激しく痙攣させ、泣きながら悲鳴を上げている。どうやら閃花
の一撃でマインドコントロールが一部解け、改造された際の記憶が甦ったらしい。
「やめてェッ! 改造されるのはイヤだぁッ!あッ!アアッ!」
汚水にまみれ、のたうち回って苦しむ蜘蛛女に、閃花はゆっくりと近づいた。
「…可哀想に、ずいぶん苦しんで。でも、もう、それも終わり…」
閃花は無表情のままそう言うと、蜘蛛女のまぶたに刺さった鋒針を掴み、渾身の力を込め
てグサッ!と押し込んだ。
蜘蛛女は白目を剥き、口から泡を吹いて、動かなくなった。
閃花は鋒針を蜘蛛女の脳から抜き取ると、ハンカチで拭い、肱のホルダーに再びしまい込
んだ。こと切れた蜘蛛女に一瞥を加えると、閃花はそのまま何もなかったかのように、下
水道の奥を目がけて再び歩み始めた。



390 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:01:51 ID:JOhLxWhr]
3名の工作員のリーダーであるレベッカ・スウェンソンは、沢沿いに島の中央を目指して
いた。いくら断崖に囲まれたテーブル状の島とはいえ、流れ出る川はある。断崖の裂け目
に小さな沢を見つけたレベッカは、チョロチョロと水が流れるその沢に沿って歩き出した。
歩きはじめてすぐ、改造人間たちが残した踏み跡が見つかった。
「How lucky I am! わたしってば何て運がいいの!このまま行けば、アジトの入り口に辿
りつけるはずね。」
沢伝いの道は、障害物が少なく見通しが良い。おそらくルイや閃花よりも早く、アジト内
部に侵入できるだろう。
彼女たち工作員に与えられた3つの使命のうち、改造手段の解明と拉致被害者の救助はル
イが、“バズゥ”支配者の正体解明は閃花が、それぞれ主に担当する手筈になっていた。
レベッカの主な任務は、アジトの規模全容と兵力、耐久力の解明である。アジト内部をく
まなく調査する必要があり、そのためには他の2人よりも早く、アジト内部に侵入しなけ
ればならない。
そこでレベッカが打った手段は、一見無謀とも思えるものであった。あえて敵の前に身を
晒し、正面から乗り込んでゆく。どうせ島中に仕掛けられたセンサーによって、彼女の潜
入は遅かれ早かれバレてしまうはずだ。それならば逆に目立つ行動を取り、敵が自らアジ
トの扉を開くように仕向ければいい。自分ひとりが身を晒せば、ルイや閃花が無事アジト
に潜入するための陽動にもなる。“バズゥ”が自分たちを殺すはずがないことを、レベッ
カはよくわかっていた。インセクトサイバーの素体にするべく、自分たちから門を開いて
くれるはずだ。アジトに乗り込んだ後で騒ぎを起こし、それに乗じて姿を隠せば良い。
見通しの良い沢道は、敵から見つかりやすくなる反面、こちらからも敵の襲撃を察知しや
すいというメリットがある。レベッカの左手のカレントセンサーは既に、沢の前方左右に
生えた木々の上に、それぞれ2体の改造人間が待ち受けていることを察知していた。いく
ら影に溶け込んで隠れても、カレントセンサーからは逃れられない。

391 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:02:28 ID:JOhLxWhr]
レベッカは何事もないかのように、そのまま沢道を進んだ。彼女のボディスーツの両肩に
は、奇妙なアンテナのようなものが伸びている。時折、パチッ、という火花が彼女の頭上
に閃めく。
レベッカが敵の真下に達したとたん、4つの黒い影が彼女目がけて舞い降りてきた。レベ
ッカは思わずニヤリ、と笑った。
《来た来た来た来た……来たッ!》
バリバリバリバリバリッ!! 黒い4つの影がレベッカに触れようとしたとたん、凄まじい音と
ともに彼女の頭上を白い電光が走り、4つの影を射貫いた。はじかれたように白煙を上げ
て地上に叩きつけられる影。
「はあッ!」
レベッカは素早く飛びのき、メリケンサックのように両のこぶしにはめたサイバーバスタ
ーを、倒れた4体の改造人間の額めがけて次々と打ち込んだ。わずか数秒の後、レベッカ
の周囲には美しい女性の頭部を持った4体のシャドウアントたちが、痙攣しながら転がっ
ていた。
「どう? わたしの新発明、電磁銀雷(マクスウェルズ・シルバー・ハンマー)の味は?」
レベッカはショルダーパッドを開き、ウズラ卵大の使用済みバッテリーを取り出して投げ
棄て、新品と交換した。彼女の肩から伸びたアンテナは、彼女の周囲に電磁フィールドを
張り巡らし、侵入者に80万ボルトの強烈な電撃を見舞わせるためのものだった。
《わたしってば運がいい! こんな見事な実験、研究室じゃ到底できないものね。》
技術者としても超一流の腕を持つレベッカは、この他にも様々な発明品を身につけている。
サイバーバスターや、彼女たちを無事に島まで運んだソニックジャマーもまた、彼女の発
明による新兵器であった。

392 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:03:14 ID:JOhLxWhr]
レベッカはアメリカの大富豪の令嬢で、若干9歳でマサチューセッツ工科大に入学した天
才である。IQは300。16の博士号を持ち、取得したパテントは優に千件を超える。スポ
ーツも万能で、B98・W62・H98のスーパーモデル級ナイスバディ。北欧系の名字が示
す通り、ゆるやかなウェーブのかかった見事な金髪と、澄んだ青い目が魅力的な絶世の美
女だった。加えて、快活で人当たりの良い性格。ついたあだ名が“ミス・パーフェクト”。
そのミス・パーフェクトが諜報部員を職業として選んだのは、ひとえに「自分のあり余る
才能を遺憾なく発揮できる場」を求めてのことであった。それ以来、レベッカは人並み外
れた強運に守られながら、与えられた全ての任務をそつなくこなしてきた。もっともその
強運というのは、彼女の卓越した観察眼と洞察力のたまものに他ならなかったのだが。
気絶したシャドウアントたちをそのままにして、レベッカは沢道をさらに進んだ。彼女の
期待に反して、改造人間たちの歓迎はそれ以降は無かった。木々が次第にまばらになり、
標高273メートルのアケヨ岳の中腹に差しかかる頃、巨大な岩の陰に、アジトに通じるら
しい金属の扉が現れた。
「…なんだ。お出迎えは無しか。」
中からインセクトサイバーたちが大挙して出て来るのを期待していたレベッカは、残念そ
うにそうつぶやいた。扉が中から開かないのならば、外から無理やりこじ開けるしかない。
だがチタン合金のような材質で作られたその扉は、彼女の持つプラスティック爆弾では到
底破壊できそうになかった。
レベッカは工具で扉の脇にあった制御盤の蓋を力づくで開き、左腕に篭手のごとく取りつ
けられているコンソールのカバーを開いて、制御盤とコードで接続した。コンソールはバ
ックパックの中にある、小型スーパーコンピュータに繋がっている。コンソールのキーボ
ードを右手で叩きながら、レベッカは扉を制御しているアジトのシステムコンピュータへ
のハッキングを開始した。腕づくで開かないのなら、開くように命令するまでだ。

393 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:03:53 ID:JOhLxWhr]
《…ダメだわ。思った通り、見たことも無いアーキテクチャーが使われている。宇宙人の
テクノロジーだという噂は本当かも。もう! わたしってば何て運が悪いの!》
何度チャレンジを繰り返しても、システムへのアクセス権は取得できなかった。途方に暮
れていたレベッカはしかし、カレントセンサーが急に反応を示したのを見逃しはしなかっ
た。
「!」
バリッ! 電磁銀雷が閃き、勢いよく伸びてきたムチ状の何かをはじき飛ばした。レベッカ
はコンソールから素早くコードを引き抜き、岩陰にサッと身を隠した。
藪の中から姿を現わしたのは、全身が赤い全身タイツのような皮膚で覆われた、大柄な黒
人の美女だった。ふくよかな胸を持った、筋肉質の堂々とした体躯。股間に開く大輪の花
びらを恥ずかしげもなく露出したその姿は、まるで野生の女神のようであった。尻からは
長いムチのような尻尾が伸びている。さっきレベッカを襲ったのもこの尻尾らしい。イン
セクトサイバーの中でも最も戦闘力と防御力に優れた、アームドスコーピオンである。
《…わたしってば、やっぱり運がいいわ! このままじゃ、らちが明かなかったものね。》
レベッカはゴーグルのダイヤルを操作して、目の前の改造人間の素性をサーチした。ミラ
ンダ・ジョンソン、26歳。陸上界のトップアスリートである。
《一般人よりも瞬発力がありそうね。ちょっとやっかいな相手かも。》
サソリ女は胸を張りながら、岩陰のレベッカに向かって落ち着いた声で呼びかけた。
「何をコソコソ嗅ぎ回っているんだ? 下等な人間め。早くお前も、我々インセクトサイバ
ーの仲間入りをするがいい。」
サソリ女の手首が徐々に変形し、長い鎌のような形になってゆく。両の手首を互いに組み
合わせると、刃渡り1メートル近い巨大なハサミが完成した。
レベッカは胸のホルスターから、愛用の拳銃を取り出した。シグ・ザウエルP230。だが装
填されているのは、普通の弾丸ではない。
レベッカは右手に拳銃を構えて、岩陰からゆっくり姿を現わした。左手で腰のベルトをま
さぐり、何かを取り出す。
サソリ女は、あきれたようにフッ、と鼻を鳴らした。
「やめておけ。私に銃は効かん。」

394 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:04:55 ID:JOhLxWhr]
その言葉が終わらないうちに、レベッカは銃を撃った。2発。3発。サソリ女はハサミを
振り上げ、余裕でそれを跳ね返そうとしたが、1発がハサミのすき間をかいくぐり、サソ
リ女の顔を直撃した。
「…グ、グワあッ!」
シュウシュウと煙を上げるサソリ女の顔。両手のハサミを解除したが、あわてているので
元の形にはなかなか戻らない。レベッカが撃ったのは改造人間たちの皮膚を溶かすことが
できる、強力酵素弾だった。もちろん銃弾に詰められた少量の酵素弾では、たいしたダメ
ージを与えることはできない。だが目潰しとしての役は充分に果たす。
サソリ女の尻尾が、レベッカ目がけて襲いかかってきた。レベッカは素早くそれをかわし、
左手のチェーンウィップ(鎖鞭)を放って尻尾をうまくからめ取った。レベッカはそのまま顔
を覆って苦しむサソリ女の正面に移動し、振り上げた片足を、渾身の力でサソリ女の額め
がけて振り下ろした。
「やあッ!!」
かかと落としが決まると同時に、ブーツに仕込まれたサイバーバスターが発動した。
パアン! 鋭い炸裂音とともに、サソリ女は地面に倒れ伏した。
「…ふうッ。ざっとこんなもんね。」
ふと思いついたことがあり、レベッカは気絶したサソリ女を引きずって、扉の前に再び座
り込んだ。コンソールを扉と接続した後、サソリ女の背中を支えて扉の前に立たせた。
『…同志と確認。扉を開きます…』
小さな少女のような愛らしい音声が響き、あっさりと自動扉が開いた。
「やっぱりこうなっていたのね。サソリさん、扉まで開けてくれてアリガト! さっきのシ
ステムの反応で、ハッキングの目星もだいたいついてきたわ。」
レベッカはサソリ女を扉の外に放り出すと、薄暗いアジトの内部に乗り込んでいった。

395 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:05:46 ID:JOhLxWhr]
それよりも少し後、ルイはアジトの正面扉に近い場所に辿りつき、周囲を伺っていた。
いくら戦闘員の衣裳を奪ったといっても、ホルスターやバックパックを身につけたその姿
はちょっと目立ち過ぎる。それに、顔全体を覆う黒いマスクがどうにも息苦しい。不快と
いうわけではない。逆にマスクを着けているだけで顔が熱くほてり、例えようのない快感
に苛まれるのだ。このままじゃいけない! 快感をふっ切るようにマスクを剥ぎ取ったルイ
は、戦闘員に偽装したまま潜入するのを諦めた。だがボディスーツを脱ぎ捨ててしまった
以上、奪ったタイツを着たままで行動を続けなければならない。
そのタイツは、工作員常用のボディスーツ以上に、軽く丈夫で動きやすい素材でできてい
た。暑さ寒さも感じない。これまで見たことのない素材だったが、工作員の衣装としては
最高のものに思われた。
《これを着たまま持って帰ってやろう。ベッキーもきっとよろこぶぞ。》
固く閉ざされた正面扉に辿りついたルイは、付近をくまなく捜索した。岩に偽装した、空
調の吹き出し口を発見した。グリルを外して内部を確認する。通風管は一辺50センチほど
の矩形だった。人間が通るのに充分な広さがある。
「よし!」
ルイは通風口に潜り込み、真っ暗な送風ダクトの中を、腹這いになって進んでいった。ダ
クトは上へ下へと不規則に折れ曲がっていたが、工作員の訓練を積んだルイにとっては何
でもない。途中、何箇所か巨大な送風扇に行く手を遮られたが、ある時は迂回し、またあ
る時は送風扇を解体しながら、進路を切り開いていった。
ルイはただ、闇雲に動き回っていたわけではない。迷路のようなダクトの中をどれだけ進
んでも、彼女は常に自らの現在位置を正確に把握していた。東西南北の方向、自分のいる
現在地点の標高、それらを踏まえながら、ルイはアジトの内部構造を自分の身体で理解し
ようと努めていたのだ。ルイの目的地は、拉致された女性たちが収容されている場所と、
改造手術室であった。それらはおそらく、深い階にあるに違いない。ルイは目星を付けた
場所を目指して、可能な限り急いだ。

396 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:07:26 ID:avGwDP0O]
戦闘員のタイツをまとったルイの身体は、相変わらず奇妙な感覚に苛まれていた。ほてる
ように熱くなったかと思うと、むず痒い感覚に包まれる。じんじんとした痺れが全身を襲
ったかと思うと、不意に感覚が無くなって自分の身体とは思えなくなる。特にふくよかな
両の乳房が、きつく締め付けられるような、誰かに絶えず揉みしだかれているような、不
思議な感覚を強く感じていた。
「あッ…!!」
全身が、今度は強烈な快感に襲われた。ルイは歩みを停めて全身を固くし、その快感に必
死で耐えた。乳首が固くなり、股間は自ら分泌した蜜で既にグショグショになっている。
数分後、ようやく快楽の嵐が去り、ルイは顔を真っ赤にほてらせながらヨタヨタと進み始
めた。
《やっぱり、このタイツは普通じゃないわ。早く別の衣装を手に入れて脱ぎ捨てないと!》

前方から、ブオンブオンと鳴る風の音に混じって、女性の悲鳴が聞こえてきた。
《あそこね!》
ルイは悲鳴のする部屋を探し出し、天井の送風グリルのすき間から、部屋の内部を覗き見
た。
「…やめて …お願いです…お願いだから許して下さい!」
「…助けて! あなた! 助けて! イヤあああッ!!」
「イヤだーッ! イヤだイヤだ! 誰か助けてェッ! お願いッ!」
泣き叫ぶ全裸の女性が何人も、手術台のようなものに手足を縛られたまま、手術台ごとベ
ルトコンベアーに乗せられて運ばれてゆくところだった。彼女たちの行く手には、ぐぉん
ぐぉんとうなる巨大な機械がトンネルのように待ち受けていた。女性の一人が機械に飲み
込まれると、中から強烈な光がまたたき、悲痛な女性の悲鳴が聞こえる。それが終わると、
3箇所ある出口のいずれかから、女性を乗せた手術台が吐き出されてくる。
機械を操作していたシャドウアントのひとりが、ひとつ目の出口から出てきた20代の東洋
人女性に近寄って、冷たく言い放った。
「残念だったわね。あなたは改造不適格と判断されたわ。我らが偉大な支配者の栄養とな
れることに感謝なさい!」
ベルトコンベアーの先は、奈落の底へと通じていた。東洋人の女性は手術台に乗せられた
まま、凄まじい悲鳴を上げて暗闇の奥へと落ちていった。
「……キャアアアアアアッッッ!……」

397 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:08:33 ID:avGwDP0O]
ふたつ目の出口から、今度は18歳くらいの白人女性が出てきた。ブルネットの髪のとびき
りの美女だ。別のシャドウアントが彼女に向かってこう言った。
「おめでとう。あなたは“バズゥ”のインセクトサイバーとして選ばれたわ。これから改
造手術を受けて、わたしたちの仲間に生まれ変るのよ。」
「イヤあッ! イヤッ!やめて! 助けて! 改造人間なんてイヤだぁッ!」
白人女性を乗せた手術台はそのまま、隣の部屋に続く穴へと消えていった。
《どうやらここは、改造素体の選別室なんだわ。あの向こうに、改造手術室があるのね。》
ルイは怒りがふつふつと胸の奥に込み上げてくるのをこらえながら、周囲をよく観察した。
囚われの女性たちを助けたいのはやまやまだが、部屋の中にはシャドウアントが9体、護
衛のアームドスコーピオンが3体もいる。飛び出していって勝てる相手ではない。ルイは
じっと、チャンスの時を待つことにした。
3つ目の出口から出てきた20歳前後の金髪の白人女性は、さらに別の機械の中へと運ばれ
ていった。プシュウウ!という音が響き、機械から出てきた女性の身体は、ルイが遭遇し
た戦闘員と同じ、黒いタイツを全身に着せられていた。顔をマスクですっぽり覆われたま
まウッ、ウッとすすり泣く女性に向かって、シャドウアントがこう告げた。
「あなたは、インセクトサイバーの“候補”として選ばれたわ。今から24時間、その改造
タイツをまとってこの島で過ごしなさい。そのタイツの裏側には、素体を選別改造する特
殊なナノマシンが散布されているの。タイツが発する選別刺激にみごと身体が応えること
ができたならば、あなたの身体はタイツによって予備改造され、インセクトサイバーの一
員となれるわ。後で本改造を受けるために、ここに戻ってらっしゃい。もしもタイツに選
ばれなければ、タイツに全身を蝕まれて狂い死にするまでよ。」
黒タイツを着せられた女性は、手術台から解き放たれ、シャドウアントの一体に連れられ
て嗚咽しながら部屋を出ていった。
この一部始終を見て、ルイは激しいショックを受けた。
《何ですって! 改造タイツ!? それじゃあ、これを着たままでいるとインセクトサイバーに
改造されちゃうって言うの?》

398 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:09:22 ID:avGwDP0O]
ルイは、あわててタイツの首回りをはだけてみた。薄暗いダクトの中ではよくわからなか
ったが、肌の色がすっかり変色していた。特に乳房の回りが奇妙な模様になっている。ル
イは顔面蒼白になった。早く、早くこのタイツを脱がなければ! 改造人間にされてしまう!
だが肩幅がやっと通る程度の狭いダクトの中では、バックパックやホルスターを外してタ
イツを脱ぐのは不可能だった。ルイはあわてて、タイツを脱げる広い空間を探しにダクト
の中を進んでいった。気があせるばかりで、身体は遅々として前に進まない。
ようやく、無人の部屋が見つかった。送風グリルを外し、前転しながら通風口から身を乗
り出し、部屋の中央に飛び降りた。バックパックとベルトを外したルイは、あせる手でタ
イツを脱いでいった。そして、そこに現れた自らの身体を見て、愕然となった。
《な、何よ、この身体!》
ルイの皮膚は、全身がすっかり濃い青色に染まっていた。手脚の先は白く、両の乳房は黄
色と黒のはっきりした同心円模様になっている。このタイツの元の持ち主だった蜂女と、
まったく同じ姿だ。
ルイはポロポロと涙をこぼしながら、皮膚の表面を激しくこすっみた。ひょっとして色が
剥げないかと期待したのだ。だがどれほどこすっても、皮膚の色は変らなかった。よく見
ると、皮膚表面の感触が既に人間のものとは異なっている。ラバーのような弾力性を持っ
た緻密な質感だ。簡単には傷がつきそうにない。全身のうぶ毛だけでなく、脇や股間の毛
がすっかり消失し、ぐっしょりと濡れた性器があらわになっている。そして何よりもルイ
を驚かせたのは、手足の指の変化だった。白い長手袋状に変化した手先は関節部のシワが
まったくなくなり、指先の爪が消失していた。もちろん、指紋も無くなっている。足の指
は一体化し固くなって、まるでブーツの底のように変化していた。あわてて額に手をやっ
たルイは、自分の額に大きな触角が生えているのに気付いてさらに呆然となった。

399 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:10:01 ID:avGwDP0O]
蜂女に変化したのは、表皮だけなんだろうか。どうやらそうではなさそうだった。ルイは
自分の乳房が、自分の意思とは関係なく淫らに蠕動するのを感じていた。身体の側面、脇
の下から太股にかけて、幾つも小さな穴が並んでいた。その穴はルイの呼吸とともに、開
いたり閉じたりを繰り返していた。
《何よこれ! 昆虫の気門じゃないの!?》
どうやら彼女の肉体は、既にかなりの部分がインセクトサイバー化しているようだった。
ルイは混乱して、もはやその場に立っていられなくなった。しばらくその場にしゃがみ込
み、心の中を暴れ回る激情に身を任せて嗚咽を繰り返していたが、やがてブンブンと首を
振って立ち上がった。
《いけないいけない! いつまでも泣いてちゃダメ! 人間を改造できるのなら、必ず元に戻
す手段もあるはずだわ。それを探せばいいのよ。そう! わたしがこの島に潜入した目的は、
それを探すことなんだから!》
自らを叱咤激励して、ルイは全裸の上にバックパックとホルスター、ベルトを装着した。
見張りがいないかよく確認してから、部屋の扉を開けて廊下へと出ていった。改造されて
しまった肉体は、もはや寒さも暑さも感じない。それはありがたいことだった。
《この状態でいちばん気をつけなければならないのは、仲間にバッタリ出会うことね。ど
こから見ても、今のわたしは改造人間だもの。特に閃花に出会ったりしたら、たちまち攻
撃されるに決まってるわ。》
ルイは、先程の部屋の隣にあった改造手術室を目指して、注意深く進んでいった。



400 名前:BeeF mailto:sage [04/12/12 03:10:49 ID:avGwDP0O]
レベッカは既に、インセクトサイバーたちの群をくぐり抜けて、アジトの中央コンピュー
タ室に侵入していた。左腕のコンソールを開き、ケーブルを端末に接続したまま、必死で
ハッキングを繰り返している。
これまで見たことのない、特殊なアーキテクチャーのコンピュータだった。扉の開閉に苦
労した時とは異なり、既にアクセス権は手に入れたものの、どうしてもイニシアティヴを
握ることができない。とりあえずサーチプログラムをインストールし、システムの反応か
らカーネルの構造を解析して、データの収納アドレスを突き止めようと何度も試みたが、
拒絶されるばかりでさっぱり前に進まない。やっとのことでアクセスしたデータも、天文
学的な規模の暗号化が施されており、解読は不可能な状態だった。
《参ったな…こんなこと、始めてだわ。私ってば、今日はなんて運が悪いのかしら。》
レベッカはふと、システムの外側にある奇妙な単体プログラムの存在に気付いて、それに
アクセスしてみた。とたんに目の前の巨大ディスプレイに、ひとりの少女の姿が映し出さ
れた。
不思議の国のアリスのような、クラシックなエプロンドレスをまとった、10歳くらいのプ
ラチナブロンドの少女だった。少女のまとうドレスは赤と黒と緑の混ざった、極彩色で彩
られている。少女の背景も、ドラッグで悪酔いしたかのような極彩色のサイケデリック模
様で覆い尽くされていて、見ているだけで目が痛くなりそうだった。
「…お姉ちゃん、だれ?…」
少女は明らかに、レベッカに向かって尋ねていた。レベッカはあわてて、バックパックの
スーパーコンピュータを使ってプログラムの素性を解析した。
『仮想人格プログラムの可能性、70%。予想される役割、システムナビゲータ。』
どうやらこの少女は、コンピュータを扱う者を補助する、ナビゲータプログラムらしい。






[ 続きを読む ] / [ 携帯版 ]

前100 次100 最新50 [ このスレをブックマーク! 携帯に送る ] 2chのread.cgiへ
[+板 最近立ったスレ&熱いスレ一覧 : +板 最近立ったスレ/記者別一覧](;´∀`)<500KB

read.cgi ver5.27 [feat.BBS2 +1.6] / e.0.2 (02/09/03) / eucaly.net products.
担当:undef