- 156 名前:密林 ◆S6jQVLURcw mailto:sage [2011/01/19(水) 13:24:46 ID:GU0wDovZ]
- ジェイ、雌を欲す(4/4)
ジェイが身体を離すと、わき腹を刺された牡は、何が起こったのか分からない様子だった。 怯えた表情でジェイを見、歩こうとして、ガクリと膝を付いた。 もうこの牡は長くはない。 ジェイは笑うと、甲板に繋がる階段を上り始めた。 もう一匹の牡も始末しなくてはならない。後ろでまた大きな爆発音がした。 吹き上げてくる黒い煙の中、甲板に出ると、若い牡が、あの雌を守るように立っていた。 何事かを叫んだ。「父さん!」と聞こえた。 さっきの牡はこの牡の父親か。 キシャシャシャッ…とジェイは嘲笑した。強かった自分の父親と比べ何と弱い牡だったか。 そして、ジェイは己の妻となるはずの雌を鋭く見つめた。 美しかった。こちらを怯えた表情で見つめている。その怯えが伝わり、ジェイは歓喜した。 この雌は、俺を畏れている。そうだ。妻となる雌は、夫となる牡を畏れなくてはならない。 ジェイは前に歩を進めた。一秒でも早くこの雌を蹂躙したかった。 逞しい自分の肉体の全てをもって、この雌を征服し、屈服させ、孕ませるのだ。 「…きゃああっ!」 雌が鋭い悲鳴を上げた。その悲鳴も、ジェイには心地よい。 すると、若い牡が動いた。テーブルの上に置いてあった鋭い武器を掴んだ。 ジェイの持つ石の刃よりも鋭い刃が、太陽に照らされてキラリと光った。 「…来るなっ!」若い牡はそう叫んで、刃をこちらに向けた。 ジェイは、雌と、牡をゆっくりと観察した。 武器を持っていようと、この若い牡は戦い方もろくに知らないようだ。敵ではないだろう。 だが、あの武器は相当に鋭い。万が一ということがある。 そして、せっかくの狩りを楽しみたい、という思いがジェイの胸に湧き起こっていた。 もう船は動かない。この美しい雌にもう逃げ場はない。狩りの時間を楽しむのも悪くない。 キシャシャシャッ…とジェイは笑った。雌と視線が合った。 お前は近いうちに、必ず俺のものになる。 ジェイは目でそう語りかけると、船上から海中へ飛び込んだ。
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