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雪華綺晶「ジュン登り………」



1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/06(月) 20:41:02.90 ID:ccDkvwF40]
 


 
ジュン 「うわっ!?だ、誰だよお前!?」

雪華綺晶「はっ!?わ、私は何を……」




 

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:35:36.81 ID:raCQvs0VO]
待に合わなくなったらどうするんだ!?

早くしろ>>1!!早くするんだ!!!

679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 17:36:34.10 ID:j0TIwENc0]
F5ラッシュの早さ比べでは負けん・・・!!!!!

680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:37:08.60 ID:4y/zkjLDO]
はやくしろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
はやくしろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:37:24.45 ID:c2VpDRbn0]

 

「……駄目?」
紫の少女が、首をかしげる。

「駄目、なのです。それは、いけません」

彼女に、言い聞かせるように。
自分に、言い聞かせるように。
雪華綺晶は、言葉を絞り出す。

「それは、駄目。私は、アリスになるのですから。
 彼が、大切だなんて、そんなことは。

 ―――私の、大切な人は、お父様です」

そう。
雪華綺晶は、お父様のための存在。
だから、お父様以外なんて……

雪華綺晶の答えに。
紫の少女はやはり、首をかしげる。
「……よく分からないけど。大切な人って、何人もいたらだめなの?」

 

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 17:41:37.18 ID:ds8qeybD0]
4円

683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:41:37.56 ID:c2VpDRbn0]
 

「………え?」
「薔薇水晶には、お父様も、お義父さまもいるよ?
 ……お義母さまだって、いるよ?
 それは、だめなの?」

心底、分からないふうに、紫の少女、薔薇水晶は、聞いてくる。

「……お義母さまのお父様と、お義父さま。
 両方大切に思うのは、いけないことなの……?」

 

「……両、方……?」

そんな発想は、今まで、なかった。
雪華綺晶は、ずっと、お父様だけを見ていたから。
大切なものが、いくつもあるなんて、考えたこともなかった。

「………お父様、以外……」

そんな選択が、あるのだろうか。

「……私、は………」

 

684 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:42:25.79 ID:FfoI8tUb0]
shien

685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:44:19.17 ID:aI3L2GWj0]
syen

686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:45:17.12 ID:4y/zkjLDO]
はやくしろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww



687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:46:54.05 ID:4y/zkjLDO]
とっととしろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:48:31.00 ID:JkzOKWlOO]
お前ら落ち着けwwwwwww

689 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:48:37.90 ID:raCQvs0VO]
はやくしれwwwwwwwww


ぱしへろんだすwwwwwwwwwwww

690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:48:55.10 ID:c2VpDRbn0]
 

「………雪華綺晶、とりあえず落ち着いたか」
「……あ………」
少年の声に、自分の状態を認識する。
雪華綺晶は、少年の胸に抱かれたまま。

………やはり、とても、温かい。

「………はい。落ち着いたので、離してもらえませんか」
そういえば、自分は激しく取り乱していた。
この体勢はそれを抑えるためのものだが、
薔薇水晶の不意の言葉に呆気に取られ、今は収まっている。
この体勢でいる必要性はないはず。

だが。
「逃げられると嫌だから。離さない」
少年は、にべもない。

離そうとする気配はまったくない。
仕方なく、ひとつ息をついて。
「………分かりました。とりあえずは、このままで、いいですわ」

 

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:49:22.15 ID:QFaBnmyIO]
ちょっと待て

ばらすぃー可愛い過ぎだろ

692 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:50:42.67 ID:4y/zkjLDO]
アリガトーッ!アリガトーッ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:52:01.70 ID:T6/lgfXo0]
>>692
お前は少し落ち着けw

694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:52:34.07 ID:4y/zkjLDO]
とっととしろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:52:54.25 ID:+BPoF45UO]
銀様も俺と一緒に楽しげに見てるから早くしろ。

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:53:36.56 ID:c2VpDRbn0]
 



「…………くそ、再構成に時間が掛かったな」

男は、苛立たしげに、呟く。

「まったく、なんだあの速度は。崩壊というよりも破壊だったが……」

床に突っ伏した状態から起き上がりながら、体を点検する。

「………支障はないな。破損の状況から見るに、僕に対する攻撃というわけでもなさそうだが……」

しばらく納得できない風の表情で考え込んでいたが、振り払うように首を振る。

「まあいい。実害はない。そんなことより、ずいぶん長く家を空けてしまったし、何よりあの子を……」

周りを見渡し、誰もいない、店を見る。

「……………おい、薔薇水晶?」

 



697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:54:01.04 ID:4y/zkjLDO]
謝罪しろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:57:03.24 ID:c2VpDRbn0]
 

「……あの」
「ん?」
「……やはり、私が貴方になんらかの感情を抱くのは、駄目だと思うんです」
「……なんでだ?」
「大切な人が、何人いたって、いいのでしょうけれど。
 でも、私の場合は、違うんです」
「違う?何が」
「私は、お父様のための存在だから。アリスにならなくてはいけないから。
 その為に障害になるならば、貴方を、その、大切に思うのは、あってはならないんです」
「………………」
「私は、純粋な少女でなくては。穢れなく、完全な少女でなくてはならないんです。
 そのためには、お父様以外に関わっては……」

「なあ、お前のお父様、ローゼンって、どういうやつなんだ?」

 

699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 17:58:59.38 ID:dYR6bN7n0]

    _, ._
  ( ・ω・)            おまえも・・・
  ○={=}〇,
   |:::::::::\, ', ´
、、、、し 、、、(((.@)WWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW



      _, ._  ググッ
    ( ・ω・)          草・・・
   ○={=}○)
   // く ))
、、、(@.)(_)、、、WWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW





            ‘,  ,; :' ∴ ; ' .,  ,;   シュザザザ
           ’、 `∵ ' ’, , ', ´, '.,  ,;              むしれよっ!!
                                ―_, ._
        、\)\)\)\)\)\)\)\)\)\)\ ―_ω・)っ ,-、
、、、、、、、、、、、),,;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;; ; - ⌒lつ目ニ@)
       ゝ⌒ ``゛゛゛`゛゛```゛゛``゛゛`````゛゛````ーニ-_))   `ー'

700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 17:59:34.17 ID:c2VpDRbn0]
 

「え?」
「お前らってさ、ローゼンのことすごく好きみたいだけど。
 ローゼンっていうのは、そんなにいい奴なのか」
「……当然ですわ。お父様は、素晴らしい方です。大きな、方です」
「優しいのか」
「優しいですわ」
「すごく、優しいか」
「とても、優しいですわ」
「……それだと、おかしいことになると思うんだけど」
「え……?」

「そんな優しいやつが、自分の為に娘を苦しませるのか?」


 

701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:01:12.06 ID:4y/zkjLDO]
>>699
悪かった。落ち着いたから草控えるわ。

702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:02:22.74 ID:c2VpDRbn0]
 

「……自分の為に、苦しませる、ですか」
「だってそうだろ。お前らがアリスになるのは、ローゼンの望みだからだろ。
 ローゼンのそのわがままのために、お前らが苦しんでるんだろ?」
「私は、苦しんでなど……!」

「泣いてただろ、お前」

「あ………」
「明らかに、苦しんでるだろ、お前。
 あんな風に泣くぐらい、苦しんでただろ」

 

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:04:03.45 ID:c2VpDRbn0]
 

「………………私、は」
最初に、泣いてしまったのは、少年に嫌われたから。
でも、その後で、少年から離れようとしたのは、アリスでありたかったから。

「お前が、アリスになるために苦しんでるのは、確かだ。
 それは、絶対に、否定できない」
「…………………」
「そうなると、やっぱりおかしい。
 ローゼンが優しいやつなら、自分の娘を自分のわがままで苦しめたりしないだろ」
「……それは………」
「それを、おかしくないようにするなら、
 ローゼンが実は全然優しくない、自分勝手な糞野郎だったりするか……」
「そんなことは……!」
「お前らが、ローゼンの気持ちを、全然分かってなかったりするかだ」

 

704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:04:46.46 ID:4y/zkjLDO]
支援
きらきー好きになってきた

705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:04:49.21 ID:PvZ3mEpd0]
JUMがかっこいい件

706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:08:08.87 ID:c2VpDRbn0]
 

「………私達が、お父様の気持ちを……?」
「ローゼンが、優しいやつなら。自分の娘に苦しんでほしくなんかないだろ。
 でも、お前はローゼンの望みのためとか言って、苦しんでる。
 それは、ローゼンの望んだことなのか?」
「………………」
「ローゼンがどんなやつかなんて、僕は知らない。
 でも、お前らが好きなやつなんだろ?
 お前らが好きなローゼンは、そんなことを望むやつなのか?」

 



707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:10:16.42 ID:Rl5YG6DV0]
sien

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:12:38.98 ID:tYa/Ab+S0]
ほう

709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:14:11.90 ID:c2VpDRbn0]
 

少年の、言葉に。
雪華綺晶は、分からなくなってしまう。

お父様は、自分達に何を望んだのか。
自分は、何をすればいいのか。

「………お父様の求めるものは、アリス……」

アリスを求める父。
父の為に、アリスを目指す娘。
けれど。

「……お父様は、とても優しい人………」

アリスになるために、涙を流したら。
お父様は、喜ぶのだろうか?

「……分かり、ません……」

雪華綺晶には、父が、分からない。

 

710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:16:56.72 ID:z8+vNezr0]
ファザコン姉妹?

711 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:21:56.10 ID:c2VpDRbn0]

 

雪華綺晶は、何も言わなくなってしまった。
ジュンの言ったことを、考えているらしい。

(……部外者が言い過ぎたかな)
アリスとかアリスゲームとか、全てはローゼンとドール達の問題だ。
ジュンには正直、関係のないことだと思う。
(でも、気になったこと言っただけだし)
最初に真紅にアリスゲームのことを聞いたときも、ひどい話だと思った。
そのゲームをやらせているお父様とやらは、よほどひどいやつなのだろうと。
だが、真紅や雪華綺晶によれば、お父様は素晴らしい方らしい。
それってなんか変じゃないか、と思っていたのだ。

 

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 18:24:05.34 ID:dEvjg+qR0]
支援

713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:26:43.51 ID:kvMp3A+EO]
支援ですぅ

714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:27:14.91 ID:c2VpDRbn0]
 

「……あの」
雪華綺晶が、見上げてくる。
「ん?」
「……一度、貴方は帰ってくれませんか」
「………………なんで」
「私は、どうするべきなのか、考えようと思います。
 貴方のことを、どうするべきなのか。
 その考えが、決まるまで、貴方には、離れていてほしいんです。
 貴方の温もりに触れていていいのか、まだ、分からないから」

つまり、お父様のために他の全てを捨てる、という選択をしたときのために、
ジュンにはできるだけ関わらないでおこう、ということか。

 

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:27:39.82 ID:c2VpDRbn0]
 

「…………分かった」
なんだかすっきりしないものはあるが。
どうするかを決めるのは、雪華綺晶だ。

「どうするか決まったら、お伝えします。
 どんな、答えでも」
雪華綺晶が、ジュンから離れる。
ジュンも、止めない。
「では」
「……ああ」

 

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:27:50.69 ID:PvZ3mEpd0]
ローゼンの8巻の内容をこういう感じにしてほしかったな



717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:32:44.83 ID:c2VpDRbn0]
 

広間を、出ようとして、
「……あ、薔薇水晶、帰るぞ」
薔薇水晶を呼ぶが。
「……お義母さまの傍にいる」
薔薇水晶は、雪華綺晶に寄り添い、離れようとしない。
「え?……どうしたんだ?」
さっきまでジュンにべったりだったのだが。
どういうことかとのジュンの質問に。
「……お義母さま、一人だと、寂しいでしょ……?」
当たり前、と言わんばかりに、薔薇水晶は答える。

「………ああ、そうか」
薔薇水晶も、父が帰ってこなくなって一人で寂しい思いをしたのだ。
それを、雪華綺晶には味わってほしくないらしい。

 

718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 18:38:09.85 ID:uXIhg/tWO]
ばらしーいい子だな

719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:38:25.21 ID:c2VpDRbn0]
 

「………どうする?」
雪華綺晶に、聞く。
薔薇水晶の気持ちは微笑ましいが、
雪華綺晶が一人になりたいというのなら、薔薇水晶は連れて帰るべきだ。
ジュンの視線に、雪華綺晶は少し考えて、
「……支障はないですわ。ドールに、温もりはありませんし」
薔薇水晶の手を取って、言う。
「………この子の気持ちを無下にするのも、忍びないですわ」

 

720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:41:07.79 ID:c2VpDRbn0]
 

「……あ。ジュン、帰るですか?」
城の外で待っていた翠星石が、顔を上げる。
「ああ。とりあえず話はついたから」
「……上手くいったです?」
「今は待ち、だな。とりあえず、帰ろう。……あれ、真紅は?」
「……そーいえば呼んでなかったですね。
 ここへの扉を見つけてすぐジュンを呼んで、そのままここに来ちゃったですから」
「あー……怒ってるな。間違いなく」
「………やっぱ帰るのやめるです」
「……そうもいかないんだよな。僕もそろそろ眠いし」
「……うう。翠星石もです。……しかたねーですね……」
「諦めて帰ろう」
「ですぅ」

 

721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:49:25.59 ID:c/AOgjm20]
きたきたキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!wwwwwwwwwww
待ってたぜ!!!!!!!

722 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:51:04.00 ID:AX5I226EO]
>>1消えた?

723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:52:19.42 ID:T6/lgfXo0]
猿っぽいな支援

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:52:43.15 ID:c2VpDRbn0]
 

少年が帰ったのを、感じる。
今、城には雪華綺晶と薔薇水晶だけ。

「……では、どうしましょうか」
考えなくてはいけない。
これから、どうするか。

「お父様のこと。私達のこと」
よく、考えてみれば。
雪華綺晶は、いや、きっとドール達全ては。
お父様の気持ちを、ほとんど知らないのだ。
それは、お父様のための存在である自分達のことも、
理解していないということ。

「………どうしましょうか」

 

725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 18:54:02.25 ID:c2VpDRbn0]
 

「………ふぁう」
思考が、変な声で遮られる。

「……薔薇水晶さん。眠いのですか」
薔薇水晶が、小さなあくびをしていた。
「……うん」
「貴女も、睡眠を必要とするのですね。
 無理する必要はありませんわ。お休みなさい」
ふるふる、と、薔薇水晶は首を振る。
「……お義母さまと一緒」
「けれど、眠いのでしょう?」
「………お義母さまと一緒」

その、妥協する気のなさそうな返事に。
「……仕方ありませんね。一緒に寝ましょうか」
雪華綺晶は、苦笑する。

 

726 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:01:06.98 ID:aJZmn5VeO]
このキラバラ二人組はどうしたら手に入るんだ…



727 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:01:35.77 ID:c2VpDRbn0]
 

雪華綺晶は睡眠を必要としないが、
雪華綺晶の世界は城の形態のため、一応寝室は存在する。

「どうぞ、物質ではないので、汚れたりはしていません。
 安心して、横になりなさい」
「……うん」
白いベッドに、二人で横になる。
薔薇水晶は、本当に眠そうだ。
それでも、雪華綺晶のドレスの裾は離そうとしない。

「……薔薇水晶さん。逃げたりはしませんわ。
 だから安心なさい」
「………うん」
裾から手は離したが、
「…………お義母さま……」
もぞ、と、すり寄ってくる。

「……仕方のない子ですね」
薔薇水晶の求めに答えて。
薔薇水晶を、抱きしめる。

 

728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:04:22.10 ID:FOsJEGXE0]
微笑ましいな・・・

729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:05:16.10 ID:oKxVZQHbO]
微笑ましいのぅ(´ω`)

730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:06:26.39 ID:T0Uo+W7p0]
ここに飛び込みたい 全裸で

731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 19:06:47.98 ID:dEvjg+qR0]
これは良い

732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:07:16.04 ID:kvMp3A+EO]
きらきーが母親か…




親父をぶっとばしたくなるな

733 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:08:09.96 ID:c2VpDRbn0]
 

「…………すぅ」
穏やかに寝入った、薔薇水晶の寝顔を見る。

(………まさか、こんなことになるとは、思いませんでしたわ)

雪華綺晶は、薔薇水晶をずっと前から知っている。

かつて、器を求めて試行錯誤していた頃。
父には遠く及ばないものの高い技術力を持つ人形師が、
ローゼンメイデンに匹敵するドールを作ろうとしているところに干渉し、
自分の操りやすい身体を作らせ、奪おうとしたことがある。

結局その人形師の理想と雪華綺晶の求めたもののズレが大きすぎて、
姿を似せる程度しか干渉できず、器として奪うことも出来なかったが。

まさか、その人形とこんな風に触れあうことになるとは。

「…………不思議ですわね」

 

734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:12:08.33 ID:FOsJEGXE0]
ふむ

735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:13:31.39 ID:c2VpDRbn0]
 

「…………んぅ……?」
もぞり、と薔薇水晶が動く。
雪華綺晶の呟きに反応してしまったらしい。

「あら、ごめんなさいね」
薔薇水晶の髪を、静かに撫でる。
「………………」
続けていると、また穏やかに眠りはじめた。

その姿を見て。
「…………………くす」
自分が、微笑んでいるのに気付く。
「……こういうものも、はじめてですわね……」
悪い気分では、ない。

 

736 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:20:00.39 ID:3IBzg3FyO]
エンジュには何があったんだ?



737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:20:38.23 ID:c2VpDRbn0]
 

そして、考える。

(……私は今、幸せなのでしょうね)
可愛らしい、娘と一緒に、
穏やかな、時間を過ごしている。

(……これは、いけないことなのでしょうか)
アリスになることを目指すなら、これは不要なこと。
こんなことをしていないで、ドールのマスターを喰らうべき。

(……お父様なら、どうするべきだと、言われるのでしょう)
お父様は、アリスを求めている。
そんな不要なことをするなと、言うだろうか。

(………けれど、この時間は)

とても、離しがたい。


 

738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:20:57.64 ID:GoV2O48v0]
しえん

739 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:24:37.79 ID:c2VpDRbn0]
 

アリスになれと、そう言う父は想像できる。

けれど、

その為に苦しめ、と言う父は、想像できない。


(………結局は、そういうことでしょうか)

薔薇水晶の寝顔を、眺める。
とても、可愛らしい。

(きっと、この気持ちは、娘を見る気持ち)

自分に懐いている、子供を見る気持ち。

(それなら、きっと、お父様も)

 

740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:24:43.34 ID:ea5EsFfZO]
追いついちゃった

741 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:25:21.59 ID:T6/lgfXo0]
支援

742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:26:26.93 ID:c2VpDRbn0]
 


さらさらとした、娘の髪を撫でる。

穏やかな寝顔に、微笑む。

優しく、抱きしめて。

―――白い少女も、眠りについた。


 

743 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:27:41.18 ID:FOsJEGXE0]
ああ・・・

744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:30:08.93 ID:aJZmn5VeO]
なんといういたわりと友愛じゃ…

745 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:31:28.68 ID:c/AOgjm20]
そろそろズボン脱いで待ってるからな

746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:36:13.92 ID:5rcRqGnNO]
あぁ…なんだろうすごいなごむ…



747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:37:11.21 ID:c2VpDRbn0]
 

「やっぱり、どんな状況でも事態の情報は伝えるべきだと思うのだわ。
 特に、今回は火急というわけでもなかったのでしょう。
 時間はあったのだから、せめて一言私にも……」
「悪かった。悪かったって。もう何十回目だその小言……」
「小言?小言ですって?これは正当な抗議よ。
 私が一体何時間nのフィールドを探し回ったと……」
「………真紅はしつこいですぅ」
「なんですって!大体ああなったのはそもそも貴女が……!」
「しまったです!矛先がこっちに向いたですぅ!」
「逃げるんじゃないのだわ翠星石!私の話をちゃんと聞きなさい!」

 

748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:38:43.69 ID:FOsJEGXE0]
エロは絶対にいらないです

749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:39:03.93 ID:c2VpDRbn0]
 

「……ふう、助かった」
翠星石を追って走り去っていく真紅の背中に、隠れて安堵の息をつく。

昨夜一人だけ放置されていたことに、真紅は怒髪天を衝く勢いだ。
事実真紅の怒髪はジュンと翠星石に牙を向いている。

「……まあ、それは置いておいて」
全身の痛みを忘れようと頭を振り、窓を眺める。

「あいつ、どうするのかな」
白い少女のことを考える。
そして。
「……僕は、どうしてほしいんだろうな」

 

750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:41:21.56 ID:GoV2O48v0]
しえん

751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 19:41:23.25 ID:Vk0DOWrO0]
そいや最近sageてるやつ少ないけど空気呼んでsage消したほうがいいのかな

752 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:42:40.46 ID:3IBzg3FyO]
別にどっちでもいいんじゃね?

753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:43:41.74 ID:c2VpDRbn0]
 

正直、ジュンは自分が雪華綺晶のことをどう思っているのか、よく分からない。

「ほっとけない、っていうのは間違いないんだけど」

それは、薔薇水晶が言ったように、大切な人、ということだろうか。

「……泣いていてほしくない、っていうのも確かだな」

でもそれは、きっと他の誰に対しても持つ思いだろう。

「後は、そうだな……」

少し、考えて。

「……あいつを抱いてると、なんかなごむな」

それは特別なのかどうなのか。

「……やっぱよく分からないな」

 

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:44:29.82 ID:GoV2O48v0]
しえん

755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 19:45:38.23 ID:XHq7ReYtO]
>>590
せっかくの良スレにいちいち無駄レス増やすなゴミが
死ね

756 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:49:29.06 ID:c2VpDRbn0]
 


「薔薇水晶さん。行きましょうか」
「うん」

娘の手を引いて、自分の世界を出る。

二人で、nのフィールドをゆく。


 



757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:51:55.11 ID:GoV2O48v0]
しえん

758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:52:07.19 ID:c2VpDRbn0]
 


世界を、渡りぬけながら。
「お義母さま」
「なんですか?」
「お義父さまは、お義母さまの、大切な人?」
薔薇水晶が、聞いてくる。

「……そうですね、」
雪華綺晶が、答えようとして。

「……あ。」
不意に、薔薇水晶が虚空を見る。

 

759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:52:12.15 ID:bM3ASeJo0]
追いついた…?

760 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:53:18.20 ID:m6NqiFr40]
してん

761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:53:59.40 ID:k+FPrDmxO]
再開してたあああああああ支援

762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 19:54:26.29 ID:ds8qeybD0]
シェェェェェェェェッェェェン

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:54:48.05 ID:1UgfTw9Q0]
追いついちゃった支援

764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:55:49.58 ID:c2VpDRbn0]
 

「どうしたの、薔薇水晶さん」
「お父様が、呼んでる」
すごく、嬉しそうだ。

だが、
「あ……」
ちらちらと、雪華綺晶に視線をやる。
なんだか、困っているようだ。

その姿に、雪華綺晶は笑みをこぼす。
「いいのよ、薔薇水晶さん。行ってらっしゃいな。
 私は、一人で行ってくるから」

雪華綺晶の言葉に背中を押され、
「……うん」
薔薇水晶は、飛び去っていく。

その背中を見送って。
「……では、私も行きますわ」

少年の、もとへ。

 

765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:57:19.25 ID:k+FPrDmxO]
そろそろフィナーレかな

766 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:57:36.08 ID:sz/9FAR9O]
カナアンチ規制解除されたの?
早速依頼しようかな



767 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:58:04.72 ID:0rHlAW9SO]
支援

768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 19:59:12.69 ID:T6/lgfXo0]
この程度で規制依頼とかありえんだろ
巻き添え規制食らう奴も大勢いるんだ

769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:00:47.11 ID:c2VpDRbn0]
 

「お父様……!」
鏡から、飛び出す。
そこは小さな店。

「薔薇水晶」
長身の男が、薔薇水晶を抱きとめる。

「お父様、よか、よかった。どこ、いってたの……」
男の胸の中で、薔薇水晶が喜びの涙を流す。

「ああ、すまなかった。心配をかけたようだな。
 本当に、すまなかった」
男は、薔薇水晶を強く抱きしめる。

 

770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:02:02.24 ID:FOsJEGXE0]
ついに・・・
終焉か

771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:04:07.58 ID:c2VpDRbn0]
 

「ふ、ぇ。……よかった」
男の腕の中で、安心したように、薔薇水晶はつぶやく。

「心配をかけた。薔薇水晶」
男は、薔薇水晶が落ち着いたのを見て取って、
「ところで、だ。薔薇水晶」

「…はい……?」

「お前、なんでローゼンのドールと一緒にいた?」
厳しい声で、問う。

 

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:05:15.91 ID:k+FPrDmxO]
ゴクリ…

773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:05:49.56 ID:GoV2O48v0]
しえん

774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:06:56.02 ID:m6NqiFr40]
四円

775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします mailto:sage [2008/10/08(水) 20:08:51.83 ID:Vk0DOWrO0]
槐いらね、氏ねばいいのに

776 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:09:50.33 ID:4b3701Ve0]
おじさんはハッピーエンドしか認めないぞ



777 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:10:01.46 ID:c2VpDRbn0]
 

「………お父様?」
薔薇水晶には、男の言っていることが分からない。

「……ああ、そうか。お前にはまだ教えていなかったな。
 ローゼンのことも、お前を作った目的も」
自分の拙速を恥じるように、男は少しの間目を閉じる。

「…………?」

「……言い直そうか。さっきまで一緒にいたやつがいるだろう。
 そいつとは何で一緒に行動してたんだ」

「……お父様を探してて、見つからなくて、ええと、お義父さまに会って……」
思い出しながら離す薔薇水晶の言葉は、いまいち要領を得ない。

「………?まあ、とにかく、僕を探してるときに会ったってことか」

「あ……はい」

 

778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/10/08(水) 20:10:45.29 ID:Ad1fQMIe0]
このスレまだあったんだw






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