- 1 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 16:20:28.43 ID:lbQlLA22.net]
- どうぞ見ていって
私が立ち寄った町に一人ぼっちのお婆さんがいた。 一人ぼっち、ただ一匹の柴犬がいるだけである。腰は少し曲がっていて、当然のごとく白髪頭であった。それも少しだけ黒髪が混じっている。顔はしみと皺で埋め尽くされていて、唇はかつての色、艶を失い、薄黒い肌と同じようであった。 お婆さんは旅人である私に、寝るところと料理を提供してくれた。お婆さん曰く、今日は都会に二人いる息子が里帰りしてくるという。今日で八十なのよ、とお婆さんは笑った。 それはめでたいことですね、と私は素直に言い、家族の団欒を邪魔してはいけないな、とここを立ち去ろうとしたが、お婆さんは私を引き留めた。なら、と私は言った。 「私は与えられた部屋で大人しくしています。お婆さんは御気になさらないでください」 お婆さんは私の意志が固いのを知ると、わかりましたよ、と仕方なさげに言った。二階にある部屋に上がろうとするとき、お婆さんは、ちゃぶ台に置き切れないほどの料理を用意して息子たちを待っていた。
- 39 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:10:30.46 ID:i0lP7Z4l.net]
- >>35
別に地の文でもいいけどそうすると お婆さんは私の意志が固いのを知ると、わかりましたよ、と仕方なさげに言った。 わかりましたよ が句読点に囲まれていてやっぱり印象が悪い。 頷いた にしたのは言った―言った―ってなってるから重複を避けるというのもあるし、 頷いたの方がなんかおばあさんっぽい。
- 40 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:12:17.56 ID:i0lP7Z4l.net]
- とりあえずもう面倒くさいから
自分が全て推敲したのを載せていくわ それを見て何か察してくれ
- 41 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:17:43.74 ID:GE9GQofO.net]
- >>39
なるほど >>40 こんなつまんないへたくそな文章にそこまでしてくれるなんて ありがとう
- 42 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:21:25.12 ID:i0lP7Z4l.net]
- そして推敲して完成した文を書いていくから、
それで自分の文章のどこが悪かったのかを確認していってくれ そして疑問や不満がある点、なぜそんな文章に直したのか というのがあれば構わずに質問レスしてくれ では書いてく
- 43 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/21(土) 19:22:22.47 ID:QY8iYnGf.net]
- ありがとうじゃねえ。お前バカにされてんだ。
内容じゃなくただの文章の添削だけだろ。そんなもんは勝手に身につくどうでもいい部分だ。 大事なのはそんなところじゃねーんだよ。下手くそでも読ませてくるもんはたくさんある。
- 44 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:29:00.02 ID:i0lP7Z4l.net]
- >>43
じゃあ君はこの文章を読んでどう思ったのかね?
- 45 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/21(土) 19:32:02.53 ID:eE7YTBZh.net]
- じゃあ君はこの文章を読んでどう思ったのかね?
→ではあなたはこの文章を読んでどう思ったのでしょうか?よろしければお聞かせください。
- 46 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:35:24.76 ID:i0lP7Z4l.net]
- いちお>>1推敲してみた
私が立ち寄った町に一人のお婆さんと一匹の柴犬がいた。 お婆さんの腰は少し曲がっていて、白髪頭にぽつぽつと黒髪が混じっていた。顔はしみと皺で埋め尽くされている。唇はかつての色と艶を失い、薄黒い肌と同じようであった。 お婆さんは旅人である私に寝るところと料理を提供してくれた。お婆さん曰く、今日は都会に二人いる息子が里帰りしてくるという。今日で八十なのよ、とお婆さんは笑って言った。 「めでたいことですね」 私はそう言葉を返し、家族の団欒を邪魔してはいけないな、と思った。なのでここを立ち去ろうとしたがお婆さんは私を引き留めた。 いくら遠慮をしてもお婆さんが食い下がらないので、 それなら、と私は 「与えられた部屋で大人しくしています。お婆さんは御気になさらないでください」 と言った。 お婆さんは私の意志が固いのを知ると、わかりましたよ、と仕方なさげに頷いた。二階にある部屋に上がろうとするとき、お婆さんはちゃぶ台に置き切れないほどの料理を用意して息子たちを待っていた。
- 47 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:36:32.03 ID:i0lP7Z4l.net]
- >>45
まだ途中までしか読んでない
- 48 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 19:39:06.82 ID:i0lP7Z4l.net]
- >>2はこのままでいいかな
- 49 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:19:42.70 ID:lbQlLA22.net]
- やっと二本目書き終わった
投下します
- 50 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:24:20.76 ID:uNQIguDv.net]
- やっと二本目書き終わった
投下します 僕は老夫婦が経営する古本屋へ入って行った。 すぐにレジの後ろで雑誌を読んでいるお爺さんが、 「いらっしゃい」 と僕に声を掛けてきたので、僕は頭を軽く下げた。 お爺さん足元には小型の電気ストーブが可動している。出入り口の下の方に隙間ができていて、そこからの風が寒いのだろう。
- 51 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:26:01.78 ID:uNQIguDv.net]
- 店内には本棚が多く、お爺さんが座っている場所から死角になる場所があった。しかしそこには随分と日に焼けた昔の小説や、
遥か昔に出版され、既に絶版になった詩集などがあるだけだった。もし盗難にあってもほとんど痛手を負わないのだろうと僕は思った。 きっとお爺さんの監視下にあるのは貴重な古書なのだ。僕には価値がわからなかったが、それらは手に取りがたい威光を放っているように感じた。しかし埃っぽく、古びた店内でその威光はただ滑稽なだけだった。
- 52 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:28:09.16 ID:uNQIguDv.net]
- 店には文房具もあった。しかし古本屋に文房具目的で来る客がいないのか少し前の商品が積み上がっている。近くには同じような物を売っているスーパーマーケットや
ホームセンターがあるので当然のことなのだろう。 僕は文房具売り場の近くの本棚に移動し、そこに収まっていた古書を開いた。古書特有の匂いに僕は思わず顔をしかめる。その後、僕は注意をお爺さんに向けた。
- 53 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:29:26.92 ID:uNQIguDv.net]
- お爺さんはうつらうつらとうたた寝をしていた。今日はほとんど無風で、隙間風の寒さよりも小型ストーブの暖かさの方が勝ったのだろうと僕は推測した。
- 54 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:30:50.19 ID:uNQIguDv.net]
- 僕は昨日のR君とその話を思い浮かべた。
R君とは僕のクラスの秀才である。彼はとても気持ちの良い人物で、勉強ができることを決して驕ったりしなかった。クラスの悪がき的ポジションにいるHもR君には一目置き、R君の注意ならば大体は聞き入れた。 そのR君が昨日、珍しく僕を一緒に帰宅するように誘った。普段R君はいつも一人で帰っていたのだ。 しかし僕には用事があった。先日に行われたリコーダーのテストを僕だけ受けておらず、ちょうど音楽教師の暇があったのが昨日だったのだ。
- 55 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:33:27.62 ID:uNQIguDv.net]
- その旨を僕はR君に伝えた。彼は少し考えた後言った。
「じゃあ図書室で待っているよ。いいだろ? 今日はどうしても君と帰りたいんだ」 僕はR君を見つめた。 彼の瞳には怯えを顔に浮かべた自分自身が幾分歪んで映っている。 「わかった。すぐ終わらせるよ」 声が震えないように気を付けながら言った。
- 56 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:35:11.65 ID:uNQIguDv.net]
- 僕はR君が少し苦手だったのだ。彼はいつも冷めた目つきをしていた。
僕と笑いながら話していても、次の瞬間で表情を変えて僕の首を絞めるのではないかといつも感じていた。 そう思うと僕の想像は、R君が僕を絞め殺すまで止まらなかった。彼はいつも無表情に僕の首を絞めるのだった。 無事リコーダーのテストを終え、図書室に向かった。中にはR君の他に数人の生徒がめいめい本を読んでいた。R君を呼ぶ際、少し大きな声を出してしまい、僕はその数人の生徒に見つめられた。
- 57 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:37:13.09 ID:uNQIguDv.net]
- だがそんな視線などどうでもよかった。R君は敢えて分厚い本を音を立てて閉じた。
「待たせてごめんよ」 「いやいいんだ。誘ったのは僕の方だからね。じゃあ行こうぜ」 そうして僕らは黙ったまま靴を履き替え、校門を出た。 何を話すのだろう、と僕は考えていた。ちらちらと横顔を盗み見る。R君は僕のことを気にしていないように歩いていた。
- 58 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:46:09.85 ID:GE9GQofO.net]
- 「なあ」
R君が口を開ける。僕はびくりと体を震わせて、それが彼にばれなかったかを気にした。少しでも粗相をすれば本当に首を絞められるのではと思った。 そして想像のR君はほのかに暖かい手を僕の首にかけるのだった。 「内緒だぜ。君にだけ話すんだ」 ちょうど想像のR君が僕を絞め殺す一歩手前で、現実のR君が言った。 「僕さ、昨日万引きをしたんだ」
- 59 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:48:35.38 ID:lbQlLA22.net]
- 「万引き」という単語がここまで平凡な響きを持つことに僕は驚いた。これがR君でなかったならば僕はその行為の愚かさを小さく声をあげることで表現したに違いない。
「ど、どこで?」 動揺はしていなかったが一応どもらせてみた。こういう演技を僕は非常に自然に行うことができた。
- 60 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:51:30.15 ID:lbQlLA22.net]
- そしてR君は今僕がいる古本屋の名前を出したのだ。
僕は対応に困った。下手なことを言えばまた想像のR君は僕の首を絞めるのだ。 R君と会ってから一体何回想像の僕は殺されただろう。 僕が答えあぐねていると、 「君もやってみないか?」 とR君は言った。えっ、と僕は小さく声を出してしまった。 「何で僕が君にだけ話したと思う?」 「さ、さあ」 「僕と君は似ているように思うんだ。……僕の勝手な考えだけどね」 そしてR君はにこりと笑った。万引き犯がここまで清潔に見えたのは初めてだった。 「どうだい? やってみないかい?」 僕はうんとうなづいた。そうしなければまた想像の僕は死んでしまうのだ。
- 61 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:53:29.92 ID:lbQlLA22.net]
- 電気ストーブのじりりという微かな音が、僕の耳に届くほど店内は静まりかえっていた。僕は素早く本を元に戻し、文房具コーナーへ滑るようにして行った。
そして目に付いた消しゴムを手に取ってポケットに突っ込んだ。すぐに出ると怪しまれそうなのでその後も店内をぶらぶらとした。
- 62 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:55:47.72 ID:lbQlLA22.net]
- R君の笑顔が頭に浮かんだ。ポケットの消しゴムが何十倍の重さを持ったように感じた。
ズボンの片方だけずれているのではないか、そしてそれがお爺さんに見透かされるのではないか。 ……僕は万引きの発覚と共に深くて黒い穴に自分が落ちていくのを想像した。落ちて行った先にはR君がいて、今度は笑いながら僕の首を絞めた。 見つかってはならない、それだけを思って僕は足早に店を後にした。
- 63 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:59:12.36 ID:lbQlLA22.net]
- 翌日、僕はR君を、
「一緒に帰ろう」 と言って誘った。R君は口の端を少し上げ、にやりと笑った。昨日の清潔な笑いとは違っていた。 僕は包装も取らずにずっと筆箱の中に入れていた消しゴムをR君に見せた。 「これ……」 「盗ったのかい?」 うん、と僕はうなづいた。手汗で消しゴムがほんのりと湿るのを感じた。
- 64 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 22:01:55.42 ID:lbQlLA22.net]
- R君はとても可笑しそうに僕を見つめて、耳の遠い老人にするように、
「君は、馬鹿、だな」 とゆっくり、なおかつはっきり言った。 「……どういうこと?」 「僕は、万引きなんて、していない」 彼はその喋り方をやめなかった。僕はごくりと唾を飲んだ。 「君は、僕の嘘に、まんまと騙されたんだ。わかるか?」 R君は楽しそうに笑っている。彼の瞳には無表情のままの僕がいる。 「オーケー?」 消しゴムが僕の手から滑り落ちた。R君はそれを拾った。
- 65 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 22:04:43.96 ID:lbQlLA22.net]
- おいおい、盗品がなくなったら困るだろ」
ほら、とR君は僕に消しゴムを差し出した。僕はその消しゴムを取った途端に、R君の手が僕の首に伸びてくるのを想像しようとした。しかし上手くいかなかった。 僕の手がR君の首に伸びた。そして彼の首をしっかりと捕えた。 「なんだよ……」 僕は力を込めた。柔らかい肉に僕の指が食い込んでいく。 うっ、という声と共に消しゴムが落ち、R君が僕の手を振りほどこうと引っ掻いたり、つねったりしたが僕は手を離さず、力も弱めなかった。 R君の顔がどんどん紅潮していく。腕の感覚がなくなっていくのを感じた。 R君の手がようやく僕の首にかかった。しかしそれはまもなくだらりと外れてしまった。 R君の虚ろな瞳に無表情な僕が映った。そしてそれはにやりと笑った。
- 66 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 22:06:18.53 ID:lbQlLA22.net]
- はい二本目終わりです
- 67 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 22:32:19.32 ID:i0lP7Z4l.net]
- これ小説の体すらなってないよ
何のために小説書いてるの? もし小説家になろうと思っているのならあきらめたほうがいい 才能はないと思う。読んでいて面白くも楽しくない。ただ`苦しい` 読んだ時間返してほしいって気持ちになる
- 68 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/21(土) 22:54:19.01 ID:6dKdDTHX.net]
- 長いから3行程度にまとめてくれ
- 69 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 22:58:32.29 ID:uNQIguDv.net]
- >>67
読んでくれてありがとう 確かに才能はないわ >>68 長いかーすまんね
- 70 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 03:10:31.76 ID:7PGTeDAU.net]
- 三本目できた
今日のお昼頃また投下します
- 71 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 10:55:55.86 ID:0IDaF6a+.net]
- こちらでどうぞ
toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1356741086/ toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1385217720/
- 72 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 11:59:56.30 ID:jJ4KpIA9.net]
- 読みました。1本目、2本目読んでしまったよ。
小説というより説明ですねw 言うならば、ワイドショーの報道の方がもっと劇的ですよ(もちろん悪い意味で)。 音声合成ソフトが喋ってるみたいwww テクとか語彙とかはもう前出だから言わないけれど、どうも両作品とも主人公への感情移入がし辛いね。 例えるならば、あなたが映画監督で役者にもっと演技指導しなきゃしけないと思うんですよ。 1本目の旅人は淡々とし過ぎて「コイツ生きてるの?」って。 年老いた婆を放っておいて帰省しない息子たちをぶん殴りたくなるほどな感情を持つ人なのに、 柴犬のサブローちゃんを殺そうとすることに対しては、婆の願い通りとはいえ余りにも淡白過ぎる。イヌとは言え、生き物ですぜ。 2本目の『僕』やR君にもイマイチ入りきれない。なんか、キャラが死んでるwww。だから、悠長に感じて退屈感MAX。 クラスで一目置かれているけど、『僕』は怖いなって思っているのならば、説明でなくエピソードで語ってほしいなぁ……とか思うんですよ。 時系列が分かりづらいね。 >>50-53は「今日」 > 僕は昨日のR君とその話を思い浮かべた。 >(中略) > そのR君が昨日、珍しく僕を一緒に帰宅するように誘った。 >>54-62。R君に万引きの話を持ちかけられたのは「昨日」。いや…昨日から見た昨日?つまり一昨日なの? > 翌日、僕はR君を、 >「一緒に帰ろう」 >と言って誘った。 >>63-65。実行して騙されたと気付いたのは「翌日」。つまり今日なの?それとも昨日なの?昨日ならば>>54-62はやはり一昨日か? 一度万引きした店にまた行くわけないから、冒頭部分は万引き直前のことなの?もうわけわかんね。 会話のテンポが悪すぎるんだよね。個人的感想ですけど、部分的に「」の応酬でもいいんじゃないかなぁ?ってぐらいの方がテンポ良い。 恥ずかしいかもしれないけれど、実際に口に出して読んでみて。 それに、起承転結の結がないから「ナニコレ」ってなっちゃう。 R君に騙された事が結?着地地点がぐらついてねぇ。『僕』が騙されてどうなるの?ってこと。 あと、両作品にはお年寄りが登場するんですが……。 書き手さんがどのくらいリアルな爺婆と接しているかは分かりませんけども、爺婆って想像以上に感情は豊かだと思いますよ? いや、若者以上にかもしれません。「そういうキャラですから」と言われればそれまでですが、両作品に出てくるお年寄りは 本当に干からびすぎていてミイラみたいですね。 2本目の万引きしてしまった店主の爺が本当に置物になってしまってるし、せめて身のある『僕』との会話ややり取りがあれば そそのかされて万引きする際の後ろめたさが出るんじゃね? ついでに言うけど例えば……小技。R君が『僕』に「君も(万引きを)やってみないか?」 って言うでしょ?一旦、僕はやれるわけないよと断わらせるんですよ。そしてR君は実際に万引きしてない消しゴムを『僕』に ちらつかさせるんです。あたかも万引きしてきたかのように。それだけでもお話にしまりが出るかも。 まぁ……作品は小技以前のお話なんですけどねwww
- 73 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 12:47:52.87 ID:wDnQAQZG.net]
- >>72
読んでくれてありがと 第三者からの意見が入るとどこかまずいかとかがよくわかるわ もう一作投下するんでそれも見てって
- 74 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 12:54:07.58 ID:ujMkxvGR.net]
- 人いないと思うけど投下します
- 75 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 12:56:13.27 ID:ujMkxvGR.net]
- 深夜零時を過ぎた時、一郎は無性にビールが飲みたくなった。
その欲求を無視して布団に入り眠ろうとするが、あの黄金色の輝きが闇から突然すうっと抜け出したように目の前に現れるのだった。 仕方なしに一郎は雨ざらしでところどころ錆びた自転車に乗り、コンビニを目指した。 ペダルを漕ぐ度にぎしぎしと音が出て静かな夜の町に旅立っていった。自転車のライトはただ漠然と前を照らしている。
- 76 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 12:58:17.57 ID:ujMkxvGR.net]
- 五分ほどでコンビニに到着した。反自然的な照明は一郎に不思議な罪悪感を植え付けた。
一郎はビール三本と適当なつまみを買い外に出る。店内のライトの余韻が夜の闇に亡霊のように浮かんでは消えた。 自転車籠に入れてはビールが振動するので一郎は右手でレジ袋を持ち、右腕を斜め下三十五度くらいのできるだけ低い位置で保った。つまり左手だけでの運転になる。 時々右腕を地面と水平の位置に上げたりしながら一郎は器用に運転をした。
- 77 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:00:11.68 ID:ujMkxvGR.net]
- 一郎は真っ直ぐに家に帰らず、公園を近くにある公園を目指した。そこに植えられている桜がちょうど見頃なのであった。夜桜で一杯、何とも乙じゃないか、と一郎は一人で笑った。
- 78 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:02:26.21 ID:ujMkxvGR.net]
- 公園内には三本の桜の木があった。その内の一本の傍には電灯がぽつんと建っている。遠慮がちな光が桜をより白々しく照らした。
一郎はそこで自転車を止めた。そして斜め上を見上げた。電灯の周りをぶんぶん飛び回る虫の向こうに九分咲きの桜が見えた。 一部の花は光に照らされ、一部の花は闇に沈んでいる。見事な桜に一郎の気分は昂揚した。 ビールのプルタブを開けわざわざ喉を大きく鳴らしながら一息で半分ほど飲んだ。 「おじさんも桜、見に来たの?」 突然の声に一郎はビール缶を握る手を強めた。しかし声は柔和で全く怯える必要のないものだった。
- 79 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:04:29.72 ID:ujMkxvGR.net]
- 一郎が振り向くと十前後の少女が立っていた。
「驚かせちゃった?」 少女は一郎を申し訳なさそうに見た。その視線を受けて一郎は恥ずかしくなったので、 「いや驚いてなんかないよ」 と明るい声を出した。それを聞いて少女は、よかった、と嬉しそうに呟いた。
- 80 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:07:17.36 ID:QqthaYpo.net]
- 暗闇でわかり辛いが少女は白の花柄のワンピースを着ていた。何の花をあしらえているのか一郎は目を凝らしたがわからない。
そもそも花の知識など持ち合わせていないことに後から気付いた。 「君は何をしているの?」 一郎はおずおずと聞いた。少女は、 「桜を見に来たの。おじさんもでしょ?」 と答えて木の下へ歩いた。一郎もそれに倣った。 「もう満開になったんだあ」 と少女が桜を見て呟いたので、一郎は花が咲いていない部分を指差して、 「ほら、あそこ。花が咲いていないからまだ満開じゃないよ。……ほら、あそこも」 と指摘した。それに対して少女は呆れたように息を吐いた。 「おじさん。そういう細かいことでいいムードを壊さないでよ」 非難めいた言葉に一郎は思わず、ごめんと謝った。
- 81 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:09:23.91 ID:ujMkxvGR.net]
- 少女は笑って、
「じゃあそのジュースくれたら許してあげる」 と言った。一郎はレジ袋を持ち上げて、 「これビールなんだ」 とぎこちない笑みを浮かべて言った。 「全部?」 「そう、全部」 なあんだ、とつまらなさそうに少女は声を出した。その後一郎の手に握られている缶をじっと見て、 「じゃあ一口ちょうだい」 と甘えた声で一郎に向かって手を差し伸べた。
- 82 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:12:24.64 ID:ujMkxvGR.net]
- 一郎はあげるべきか迷ったが、かつて子供だった自分も大人の飲み物に興味があったなあと思い、一口だけなと釘を刺して缶を少女に渡した。
ありがと、の明るい声とは裏腹に少女の顔には緊張と好奇心が現れていた。そして彼女はえい、と缶を傾けた。 缶から口を離すと少女は顔をしかめて、 「まずっ、これ苦い」 と缶を一郎へ返した。
- 83 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:22:17.45 ID:QqthaYpo.net]
- 少女の綺麗な顔には魅力的な皺が一瞬だけ生まれた。一郎はあはは、と笑って、
「そりゃあ大人の飲み物だからな。コーラとかジンジャーエールとは違うぞ」 と当然のことを口にした。 ベンチに二人は並んで座った。少女はユキと名乗った。一郎はどんな漢字を書くのだろうと思ったが、また何か言われると思ったので聞かなかった。 その代り、 「こんな時間に外に出て大丈夫なの?」 と聞いた。ユキはふっと笑みを浮かべて、 「うん。大丈夫」 と小さく答えた。
- 84 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:27:23.13 ID:QqthaYpo.net]
- ユキの横顔に一郎は思わず見惚れてしまった。おいおい、ビール半分ちょっとで酔うのは早すぎるぞ、と自分を誤魔化したが無駄だった。
意識すればするほど彼女の肌に視線がいき、鼻は髪の匂いだけを嗅ごうとした。 一郎はさらにワンピースと胸元にできた隙間に目をやった。 何も見えなかったがそこに目をやったという行為だけで十分な興奮と罪悪感も感じた。
- 85 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:29:58.56 ID:QqthaYpo.net]
- 一郎はビールを一本飲み終えて、
「親御さんが心配するだろうから送ってくよ」 とユキを誘ったが、彼女は黙ったままじっとしていた。 「なあ」 「親は今いないの」 一郎はえっ、と声を出した後黙って続きの言葉を待った。
- 86 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 13:31:51.40 ID:UN1/6YVF.net]
- >>84
お巡りさんこの人です
- 87 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:32:17.71 ID:QqthaYpo.net]
- 少しの間の沈黙の後再びユキが口を開いた。
「お父さんはずっと前にいなくなって。お母さんは今病気で病院。……私、今お祖母ちゃんのところに預けられてるの」 一郎はどう答えていいかわからなかったが、沈黙を避ける為にそうかと呟いた。虚しい言葉は彼女の手前で墜落してしまった。
- 88 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:35:37.68 ID:QqthaYpo.net]
- >>87
ロリコンではないぜ ユキが見せた先ほどの笑顔を一郎は頭に思い浮かべた。事情を知るとそれはあまりに残酷で痛々しかった。 ユキにはビールを飲んだことを叱る親もいないのだ。 「お祖母ちゃんは寝つきが良いから私が出ていったことも気が付かないの。今年の春からここに来て何度も夜に家を抜け出して桜を見たんだ」 一郎は黙っていた。ただユキの鎖骨の辺りを凝視していた。
- 89 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:38:15.06 ID:QqthaYpo.net]
- 「何にも咲いてない時から今の九分咲きまでね」
「九分咲き」のところを特に強調してユキは言った。そして一郎の顔を覗き込んで歯を出して笑った。 一郎は力のない笑みを浮かべた。そして手を伸ばしユキの頬に触れた。一郎は少し冷たいユキの頬を気持ちいいと感じた。 ユキは頬に触れている一郎の手をゆっくりと握り、頬ずりをした。 この子は親を欲しているのだ、と一郎は思った。誰かが無条件の愛を注いで抱き締めてあげなければいけない。 空いている手をユキの背中に回し、そっと抱き寄せた。ユキは手を離す。一郎はその手も背中に回し強く抱き締めた。 お互いの頬が触れ、少し紅潮した顔が冷やされていくのを一郎は感じた。
- 90 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:40:36.62 ID:QqthaYpo.net]
- ユキの手が一郎の首に回された。触れ合う頬が濡れた。そりゃあそうだ、誰にだって親の愛が必要なんだ、一郎は心の中で彼女を擁護した。
しばらく二人はそうしていた。しかしいくら愛情を持って抱き締めても一郎は偽物だった。所詮疑似親子愛だった。 ユキは手を解き一郎から離れた。
- 91 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:44:01.71 ID:wDnQAQZG.net]
- 「ありがと、おじさん」
一郎はユキの潤んだ目を見た。白い指がやがてそれを拭った。 「お母さん、絶対治るよね」 一郎はそれが自分に向けられた言葉なのか、ユキ自身を納得させる為の言葉なのかわからなかった。 たぶん両方なのだろう、と思った。 「治るよ。絶対。約束してもいい」 ユキは首を振った。 「約束なんていらない。……絶対治るから」 うんと一郎はうなづいた。
- 92 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:47:13.82 ID:wDnQAQZG.net]
- 瞬間一郎の頬に柔らかい物が押し付けられた。ほんのり湿ったものが。
ユキのほんのり赤くなった顔を見て、それが唇だったということに気が付いた。 「お父さんの代わりしてくれたお礼ね」 恥ずかしそうにユキは言った。一郎も自然に笑みがこぼれた。 ユキはばいばい、と手を振って帰って行った。一郎は熱をとる為にもう少しここにいようと思った。 少し強い風が吹いて桜の花を少しさらっていった。 一郎はユキのワンピースの花柄は何の花だったのだろうと再び考えた。 <終>
- 93 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 13:49:26.03 ID:wDnQAQZG.net]
- 三本目終わりです
- 94 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 14:01:11.30 ID:UN1/6YVF.net]
- やっぱりロリコンやないか
- 95 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 14:03:45.50 ID:wDnQAQZG.net]
- >>94
自分がロリコンなのか分からなくなってきた
- 96 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 14:38:50.51 ID:TmgGwI2p.net]
- 小道具の使い方がいいな。
結論。 ロリコンだ。
- 97 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 15:29:51.76 ID:7PGTeDAU.net]
- >>96
ありがと
- 98 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 18:15:12.98 ID:Roe5gSc3.net]
- あなた、桜の花の下には…のあと、なにが続くか知ってますか?
- 99 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 18:40:39.05 ID:ujMkxvGR.net]
- >>98
すまんねわからん
- 100 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 19:10:43.66 ID:Roe5gSc3.net]
- ああやっぱりそうか もし、あれよんでてこれだとちょっとなあ だったけど。
梶井基次郎の『檸檬(れもん)』とかの文庫本に大抵入ってる 「桜の樹の下には」みたいな題名(うろおぼえ)の短編(どこの図書館にもある。10ページもない短い話) を読んでみな いま、(ごく若い人は別として)桜と あやかし の話がでたら 多くの読者がこれを想像する あなたがそれを読んでからこれをかきなおしたら、もっと面白くなると思う その作品に依拠して書き直すもよし、無視する方向でもよし、ただ知らないよりは 知ってたほうがいい
- 101 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 19:15:03.73 ID:7PGTeDAU.net]
- >>100
梶井基次郎は何にも読んでなかったわ ありがとう読んでみる
- 102 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/22(日) 19:21:36.22 ID:Roe5gSc3.net]
- うむ、このての落ちでどうにかするショートショートみたいなのじゃないやつで
梶井を読んでないのはかなりもったいない 何しろ文庫本一冊で主要作品が 網羅できるだけでもお得だ おちは内緒にしておくが梶井の桜の話をよんでも 落ち込まずにがんばってくれw
- 103 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 19:32:13.94 ID:ujMkxvGR.net]
- >>102
なんかめっちゃ気になるな 今年中にでも図書館いこ
- 104 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 22:42:37.66 ID:ujMkxvGR.net]
- そろそろ四本目行ける気がしてきた
- 105 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:08:22.07 ID:ujMkxvGR.net]
- 四本目できた
- 106 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:10:36.62 ID:ujMkxvGR.net]
- 見てる人いるかな?
投下します 男は満員電車の車内にいた。 もう秋になるというのに人で埋め尽くされた車内は非常に気温が高く、男は少し汗をかいていた。 右手で吊り革を掴み、左手で鞄を持っている。 男は周りの迷惑にならないようにただ車内の広告だけを見ていた。 電車がホームに滑り込んだ。多くの人が降りて多くの人が乗る。 この電車で自分は座れないということを、男は電車を使い始めの日に理解した。
- 107 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:13:09.33 ID:ujMkxvGR.net]
- 扉が閉まり電車が動きだす。後何年満員電車に乗らなければいけないのだろう、と男はふと考えた。
男の心には疲労が塵のように堆積し、それを吹き飛ばしてくれるものは何もなかった。 男の目の前にはいつの間にか女子高生がいた。スマートフォンの画面にじっと見入って何やら操作をしている。 まったくご苦労なことだ、と男は素直に思った。彼女は学業、部活、友人関係、恋人、と忙しいはずなのに通学の時間も無駄にしない。
- 108 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:15:36.69 ID:ujMkxvGR.net]
- もしかすると社会に出るための訓練かもしれない、と男は思った。一日という時間にびっしりと埋められた予定を一つ一つこなしていく訓練。
予定を新たに生み出す訓練。時間を一秒も無駄にしない訓練。……もちろん彼女はそんなことを意識していないのだろう。 でもそういう可能性もあるのだ。 もちろん俺もそういった思惑に動かされている可能性がある。例えばこの満員電車がそうだ、と男は考えを続けた。 大勢がこんな狭い箱にぎゅうぎゅうに抑え込まれているなんて明らかにおかしい。
- 109 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:18:08.71 ID:ujMkxvGR.net]
- 男は首を少し動かした。あそこの男も、こちらの男も、みんな俺のようには考えていない。
いやそれこそが訓練された結果なのだ。俺のようにごちゃごちゃ考えるのは訓練不足の証なのだろう。 男がそんなことを考えているうちにまたもや電車が駅に着く。また人が流入し流出する。 男はあと次の次の駅で降りる。このまま黙って会社に行っては誰か知らない奴の思い通りだ、と男は苦々しく思った。 顔を知っていれば男はその顔を殴り飛ばす妄想をするのだが、この場合は敵が明確でない。そのことがさらに男を苛つかせた。いっそこのまま電車に乗り続けてやろうか。
- 110 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:20:24.01 ID:ujMkxvGR.net]
- まあ落ち着け、そう男の頭に言葉が響いた。お前には疲労が溜まり過ぎている。
落ち着くことが大切だ。生活の為にはその知らない誰かに従順にならなければいけないんだぞ。 一時の感情で全て失うなんて馬鹿じゃないか。 じゃあどうしろっていうんだ、と男はその声に対して心の中で言った。沈黙。ほらみろ何にも有効な答えが出せないでいるじゃないか。 従順になったらまるで殺されるのを待つ羊だ。頭を垂れて屠殺人の前まで歩いて行く人生など何の意味があるのだ。
- 111 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:23:02.14 ID:ujMkxvGR.net]
- 男の中で考えがぐるぐると渦を巻いた。
このままいつものように闇に飲まれては駄目だ、と男はどうにか渦を消し去ろうとした。 しかし結局それは消えなかった。 だったらもう一度考えるだけだ。終着点が同じところでも考えなければいけない。 考えを止めるな。止めなければいつか電車が脱線するように違う結果を生むかもしれない。 男は車輪を想像した。レールの上をぐるぐると回って進んで行く。 そら外れろ、外れろ、外れろ。車輪よ欠けろ、レールよ歪め、恐ろしいほどのカーブよ、来い。
- 112 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:25:22.74 ID:ujMkxvGR.net]
- また駅に到着する。男はひどく悔しがって、はっと気づいた。
いつの間にか考えの車輪と電車を一緒にしてしまっていたのだと。 一人の少女が電車に乗り込み、男の前に陣取った。男は激しい雷鳴が頭上でけたたましく鳴るのを感じた。 中学生か高校生だろう。肩までの黒髪からはいかにも自然な良い香りがした。 これだ、と男は手を打ち鳴らしたくなった。しかしそんなことは当然できない。 その代わりに音を立てずに思い切り髪の匂いを吸った。
- 113 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/22(日) 23:32:22.74 ID:7PGTeDAU.net]
- 少女は例に倣うようにスマートフォンを取り出した。男はこの少女と車輪が繋がっているように感じた。
この少女の車輪をレールから外すことが出来さえすればいいのだ。男はこの考えに憑りつかれた。 後一駅で何ができるだろう? 男は少女のスカートを見た。そしてその先にある下着に包まれた、形の良い曲線を描いているであろう尻を思い浮かべた。 この尻を触ればいい。妙案だ、と男は考えた。これが成功すればこの少女と俺の車輪は外れ、まっとうな地面を走ることができるのだ。 そしてこの少女も愚かな羊に成り下がることがなくなる。
- 114 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 03:06:56.69 ID:umx4br68.net]
- 男は足の間に鞄を立て左手を自由にした。そして少女の尻の位置に左手を持って行った。
左手にスカートが微かに触れた。まるで白く輝く刃に触れるような緊張を男は感じた。 吊り革を持つ右手は激しく汗を吹き出し、次に持つ人は非常に嫌がるだろう、と男は途端に可笑しくなった。 可笑しがっている場合じゃない。それはただの逃避だ。俺は触らなければいけない、握らなければいけない。……目の前の少女の尻を。
- 115 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 03:09:57.54 ID:umx4br68.net]
- 男はスカートに手を強く押し当てた。少女は体を少し動かした。
男はスカートを避けて彼女の左の膨らみと思しき物を優しく、それでいて確実に握った。 ショーツ越しに柔らかい感触が伝わってくる。何度も握っているうちに熱を帯びてきた。 少女は体をびくりと震わせ、静かに周りを見回した。明らかに嫌がっている。 そうだ嫌がれ、と男は少女に念じた。レールから外れろ、外れろ、外れろ。 男はショーツの中に手を入れた。確実な柔らかさが掌に伝わる。つぶすように強く握った。 少女はスマートフォンをしまって、恐る恐る手を外そうとするが男はそれに応じない。
- 116 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 03:12:55.84 ID:umx4br68.net]
- 男は少女の「やめて」という小さい声を聞いた気がした。外れろ、外れろ、外れろ。……男は少女の尻を握りながら念じ続けた。
少女が後ろを向いた。男と目が合う。少女の目は潤んでいた。 男の鬼気迫る表情に恐れを為したのか少女はすぐに前を向いた。黙って耐えることを決め込んだらしい。 電車が男の降りるべき駅に滑り込んだ。男はようやく手を離した。そして人ごみの紛れて電車を降りる。 一瞬後ろを向いて少女の顔を見た。嫌悪感が剥いたばかりのゆで卵のような光沢を持って現れていた。 しかし少女のレールが外れたようには思えなかった。 自動改札機に人が並んでいる。そして男も並んだ。周りの人々が全員羊になったように男には思えた。 たぶん自分も羊の顔をしているのだろう。 屠殺人の姿は見えなかった。
- 117 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 03:16:57.47 ID:umx4br68.net]
- 四本目終わりです
- 118 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 06:26:57.99 ID:dHQZECd4.net]
- 率直な感想は、近代文学に雰囲気が似てる。って感じ。
他の人も書き込んでたけど、梶井基次郎とか、芥川とか。 もしかして少し前ににそういう類の文学を読んで、触発されたのかな。 一作目に関してはたしかセンターの問題でも出た、おばあさんが海辺の土地を不動産屋に頑として売らない、ていう話にそっくりだし。 そのせいか、雰囲気ばかりで主題がすっぽ抜けてる気がする。 見てくればかりで小説で何を伝えたいのかわからない。 誰が読んでも「切ないね、悲しいね」小学生の感想文程度の感想しか出てこない。 でもはじめは短くても書ききる、ってことが大事だから、四本書ききったことに関して自信を持っていいと思う。 ただ三、四作目は完全にロリコン乙
- 119 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 10:09:31.02 ID:umx4br68.net]
- >>118
見てくれてありがと 梶井は読んだことないし芥川もほとんど読んでないけど 確かにそういうのが基本にあるのは確かだと思うわ 四作目ロリコン化か?
- 120 名前:創る名無しに見る名無し mailto:sage [2013/12/23(月) 15:08:41.57 ID:nxBWiWrr.net]
- 確かに梶井の檸檬とか連想させる
ロリ路線のレールは外れずに進行で
- 121 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 16:22:37.65 ID:QvHDzQZ8.net]
- >>120
檸檬ね読んでみるわ まあ女の子出した方が楽しんで
- 122 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 19:42:29.58 ID:QvHDzQZ8.net]
- 五本目なかなか書きあがらんな
- 123 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:18:53.50 ID:QvHDzQZ8.net]
- よーし五本目投下するよ
人はいるかな?
- 124 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:21:06.99 ID:QvHDzQZ8.net]
- ある男が自分の体が石になってしまうと言った。
始めはみんな男のほらだろうと馬鹿にしていたが、男は真剣に自分は石になるのだ、石になるのだ、と言っていた。 男がそれを自覚してから二日後、朝起きると男の右足は石になっていた。 やはりこれが運命なのだ、と男は思った。恐れていたことが起きてしまった。 これを見るとみんな非常に気味悪がった。医者を呼んだがその医者も手の施しようがない、と言って帰ってしまった。
- 125 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:23:08.12 ID:QvHDzQZ8.net]
- 男の石化は右足の腿にまで進んだ。
このまま左足に石化が進んだら歩けなくなってしまうと男は恐れて、石の右足を引きずり引きずり近くの広場へ向かった。 その途中に右足の親指が取れた。非常に惜しく思ったがどうしようもなかった。 広場に男がいるとして人々は誰も近づかなかった。 あの男は罪深きことをした報いを受けているのだろう、と人々は言った。 あの男に近づくと自らも石になってしまうとも言った。 右足が曲げられないので男は立ち続けていた。 不思議なことに疲労はしなかった。左足にも石化が始まりそろそろ歩けなくなるのは確実だった。 そして食べる物が何もないことに気が付いた。
- 126 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:25:46.99 ID:QvHDzQZ8.net]
- でもそれでいいかもしれない、と男は思った。このまま餓死をすれば完全な石人間にならずに済むだろう。
石化したところだけ砕いてしまえば少し欠損しただけの死体になる。 しかし腹は減る。男は気を紛らす為に愛している女のことを思い浮かべた。 そういえば彼女も来ないな、と一人寂しく呟いた。この姿を見て欲しくはなかったが、女には会いたい。 そんな矛盾が男の中で燻っている。そしてそれを消火してくれる人も、燃え上がらせてくれる人もいなかった。 左足の膝にまで石化がくる。男は自らの両足を撫でた。確かに石だった。男が普段触れてきた石と何ら変わりがなかった。 男は立ったまま眠った。何とか飢えを抑え込むことができたのだ。
- 127 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:28:05.18 ID:QvHDzQZ8.net]
- 目覚めると一人の少女がいた。栗色の長い髪には艶があった。
肌は白いがしっかりと肉感があった。男はもしや石化など夢だったのかと彼女の方へ足を踏み出そうとするが足が動かない。 夢なんかじゃなかった。そしてもう両足の腿が石化してしまった。 少女は泣いていた。顔を下に向けたまま涙を流している。髪が前に垂れて顔を隠している。 それでも美しい顔をしているということはなんとなくわかった。何を泣いているんだろうと男は思った。そしてそのように聞いた。 少女は嗚咽の中で苦しそうに答えたがよくわからない。少女が落ち着くのを待った。 ようやく少女は泣き止んだ。男は先ほどの問いをもう一度した。
- 128 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:30:06.49 ID:QvHDzQZ8.net]
- 「だっておじさん可哀そうだわ。何も悪いことしていないのにこんなことになって……」
確かにそうだと男は思った。自分は何も悪いことをしていなかった。 「君は誰だい? 僕を知っているの?」 「今そんなことどうでもいいわ。お腹すいたでしょう? これ食べて」 少女はパンを差し出した。男はごくりと唾を飲んだが首を振った。 「どうして? 嫌いなの?」 「いや嫌いじゃない。嫌いじゃないけど俺はこのまま餓死することに決めたんだ。そうすれば僕は完全な石にならずに済む。俺は人間でいたいんだ」 「食べなきゃだめよ。絶対にだめ。飢えて死んじゃうなんて苦しいわ」 少女がパンを強引に口に運ぼうとするが男はその手を避けた。バランスが崩れそうになる。 倒れたらもう起き上がることができない、と男は恐ろしく思った。そうすれば人が笑うに違いない。
- 129 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 20:32:12.65 ID:QvHDzQZ8.net]
- 少女は再び泣き出した。男は困惑した。何で自分何かの為に涙を流すんだろうと思った。
「泣かないでくれよ。お願いだ」 「じゃあ……パンを食べて」 目を赤くしながら少女は男を見た。 「わかった、わかった。食べるから。ほら食べるよ」 少女はパンを差し出した。男はそれをひったくるようにしてそのまま齧った。 何でもないパンだったが非常においしく感じた。 「これも全部食べなきゃだめよ」 すっかり少女は泣き止んでいた。差し出されたパンを全て男は食べた。 少女は男が全て食べ終えたことを確認すると嬉しそうに笑った。男も微笑んだ。 「おいしかったよ。ありがとう」 「でしょう? お腹が空いたままっていうのは大変なことだわ。怒りっぽくなって冷静に物を考えられなくなるのよ」
- 130 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:30:17.95 ID:dHQZECd4.net]
- 投下が進んでいるようで何より。
全体的に薄汚い男と、それにに対して(率直に言うと)都合のいい少女、という構図で構成されているけど、これは>>1の願望の表れかな?
- 131 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:40:53.35 ID:umx4br68.net]
- 少女はちょっと待ってて、と男に言い残して走り去った。
あの子は誰だろうと男は、深い海の底に続く網を手繰り寄せたが少女のことは記憶になかった。 少女はバランスを取りながら急いで帰ってきた。水を汲んでいたのだ。 男は少女にお礼を言って両手で水をすくって飲んだ。 「君は一体誰なんだい? 君とは面識があったかな?」 一息ついてから男は聞いた。少女は、 「おじさんは昔私を助けてくれたのよ」 と言った。男はもう一度網を沈めて手繰り寄せたが無駄だった。どこかが切れているに違いない。 「覚えてないのね。まあ私も直接助けられたわけじゃないけど。 ……私がお母さんのお腹にいる時、ちょうど産気づいた時におじさんはお母さんを背負って産婆さんのところに行ったのよ。 お母さんはあのままじゃ危なかったって言ってた。覚えてない?」 男は思い出した。
- 132 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:43:41.30 ID:xJlVur5N.net]
- >>130
お見通しかその通りだぜ 「お母さんはおじさんが石になったって話を聞いて私に助けに行くように言ったの。 お母さん本人がここに来ると色々うるさいからね。……もちろんお父さんも了解してくれたわ」 「そうか……そんなことがあったっけ」 男は自然と涙を流していた。少女は戸惑っている。自分のことを考えてくれる人間がいることがとても嬉しかった。 「おじさん? どうしたの」 男は泣き続けた。少女は諦めて、じゃあ明日も来るね、と言って帰って行った。 男は久しぶりに泣き疲れた。そしてそのまま眠りに落ちた。久しぶりに幸福な気持ちを感じていた。
- 133 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:46:09.53 ID:umx4br68.net]
- 目を覚まして周りを見たが誰もいなかった。男はどこまで石になっているか確認をする。
股間に触れて男は戦慄した。男性器が石化してしまったのだ。 惨めな姿だ、と男は思った。ついに自分は男の称号を失ってしまった。 この状態では使う機会などないことはわかっていたが、割り切ることができなかった。次に自分は人間でなくなる。 やはり昨日パンを食べるのではなかったと後悔した。 石化は腰の辺りまで進んでいた。男はこのまま倒れてしまおうかと思ったが、必ず少女は起こそうとするだろう。 それで彼女の父や母を呼ばれるのは耐えられなかった。結局男は立っていなければいけなかった。
- 134 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:48:33.76 ID:umx4br68.net]
- 少女がやって来た。男は無理矢理にでも元気になろうと努めた。
彼女に男性器を失って落ち込んでいることなど知られたくなかった。 少女はまたパンと水を持って来た。腰にまで石化が進んだ体を見て少女は一瞬言葉を詰まらせた。 「おじさん。今日もしっかり食べなきゃだめよ」 「わかってるよ。ありがとう」 食べ終わった後、男は女のことを聞いた。どうしても気になったのだ。 「あの人のことが好きなの?」 少女は逆に男に聞いた。うん、と男はうなづいた。少女はそう、と呟いた後言った。 「あの人はね……あの人もおじさんのことを気にしてるけど来られないの。 おじさんがこんなことになってから色々悪い噂が立ってるから、だから……」 「本当のことを話してくれ」
- 135 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:51:07.45 ID:umx4br68.net]
- 少女は黙ってしまった。男は何をしているんだろう、と思った。
嘘だって自分の為に彼女がしてくれたことじゃないか。しかし遅かった。彼女は男を真っ直ぐに見て、 「おじさん、あの人はちょうどおじさんがこんなことになり始めた時に結婚して、どこか違うところに行っちゃったの。……これは本当よ」 そうか、と男は女の姿を思い浮かべた。もうとっくに他の男のものになってしまったのか。 「おじさん、泣かないでよ」 「泣いてないさ。こうならなくてもあの人は結婚しただろうからね」 「……そうね」 少女は男の手を握った。温かい手だ、と男は思った。 「おじさんが寂しがらないように明日も、明後日も来てあげる。だから元気出して」 そう言って少女は手の甲に口づけをした。潤いのある唇が気持ちが良かった。 少女が口を離す。少し顔が赤らんでいるのを見て男は愛おしくなった。片方の手で男は少女の髪を撫でた。 男はそのまま少女と話しをした。少なくとも話している時は石化のことを深く考えずに済んだ。
- 136 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:53:06.22 ID:umx4br68.net]
- 翌日。男は確実に睡眠時間が短くなっていることを感じた。体が必要としなくなってきているのだろうか。
指の感覚がない。それどころか肘が曲げられなかった。 早すぎる、と男は思った。両腕はちょうど肘の上辺りまで進んでいた。 もう物を持つことも、彼女の髪を撫でることも出来なくなったのだ。 少女が来る。もう驚いてはいなかった。彼女なりの石化予想があるのだと男は思った。 「手が使えないでしょう? 私が食べさせてあげるわ」 少女が手を伸ばしてパンを男の口に持っていく。男も黙ってそれを食べた。ひどく時間が掛かった。 水も飲ませてくれたが男はこぼしてしまった。足に水がかかったが何も感じない。 ただ色を変えるだけだった。
- 137 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:55:22.14 ID:umx4br68.net]
- 少女が腕のまだ石になっていないところを揉んでくれた。
「気持ちいい?」 「ああ、とっても気持ちいい」 「よかった」 少女はしばらく揉み続けた。 男は昨日の唇の感触を思い出そうとした。しかし上手くいかない。 男は自分に苛立ちを感じた。どんどん体を失っていく焦りがあった。 「またキスしてくれないか」 男は呟くように小さく言った。聞こえなくても良かったのだが、少女は聞きとったようだった。 少女は腕を揉む手を止めて、意味ありげに微笑んだ。そして何処かへ走って行った。 男は激しく後悔をした。なんてことを言ってしまったんだ。相手はまだ子供じゃないか。 しかし自分を擁護する声もあったのだった。こんな自分に最後まで付き添おうとしてくれる子が魅力的に感じないわけがあるか。 そんな子のキスが欲しくないわけないだろう。
- 138 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 22:57:55.02 ID:umx4br68.net]
- そうだ、と男は思った。彼女とキスをすることで自分の存在を残すのだ。
少なくとも彼女が自分とのキスの感触を覚えている間は自分は人間でいられるのだ。 少女が桶を持って来た。そしてそれを男の前に置きそれに乗った。 「おじさん頑張って屈んで」 「本当にいいの?」 「早く」 男は屈んだ。目をつぶって、と少女が言った。男は目をつぶった。 そして二人の唇が触れ合った。少女は倒さないようにぎこちなく男の首に手を回した。 この感触だ、と男は思い出した。もう忘れるものか。 少女が唇を離す。男が目を開けようとすると、まだ開けちゃだめ、と言った。それでも男は目を開けた。 少女の恥ずかしがった顔に男は満足した。
- 139 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/23(月) 23:00:16.52 ID:umx4br68.net]
- 「まだ駄目って言ったじゃない」
少女はそっぽを向いた。 「おじさんは女の子の言いつけも守れないの?」 男は笑った。本当に可愛らしいと心から思った。 「笑わないで! もう」 男はそれでもなお笑い続けた。 「笑わないでって言っているでしょ。もう知らない。もう来てあげないから」 「それは困るな」 「でしょう? だから今は素直に謝るべきよ。さあ」 「悪かったよ。ごめん」 「そう、それでいいのよ」 満足そうに少女は微笑んだ。 「だから明日も来てくれ」 少女はうなづいた。 「もちろん来てあげる。だから寂しがらないで……」 ああ、と男は答えた。 二人はまた話をした。そして少女は帰って行った。男は唇だけは石化しないように祈った。 この感触だけは忘れないようにと。
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