- 1 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 16:20:28.43 ID:lbQlLA22.net]
- どうぞ見ていって
私が立ち寄った町に一人ぼっちのお婆さんがいた。 一人ぼっち、ただ一匹の柴犬がいるだけである。腰は少し曲がっていて、当然のごとく白髪頭であった。それも少しだけ黒髪が混じっている。顔はしみと皺で埋め尽くされていて、唇はかつての色、艶を失い、薄黒い肌と同じようであった。 お婆さんは旅人である私に、寝るところと料理を提供してくれた。お婆さん曰く、今日は都会に二人いる息子が里帰りしてくるという。今日で八十なのよ、とお婆さんは笑った。 それはめでたいことですね、と私は素直に言い、家族の団欒を邪魔してはいけないな、とここを立ち去ろうとしたが、お婆さんは私を引き留めた。なら、と私は言った。 「私は与えられた部屋で大人しくしています。お婆さんは御気になさらないでください」 お婆さんは私の意志が固いのを知ると、わかりましたよ、と仕方なさげに言った。二階にある部屋に上がろうとするとき、お婆さんは、ちゃぶ台に置き切れないほどの料理を用意して息子たちを待っていた。
- 50 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:24:20.76 ID:uNQIguDv.net]
- やっと二本目書き終わった
投下します 僕は老夫婦が経営する古本屋へ入って行った。 すぐにレジの後ろで雑誌を読んでいるお爺さんが、 「いらっしゃい」 と僕に声を掛けてきたので、僕は頭を軽く下げた。 お爺さん足元には小型の電気ストーブが可動している。出入り口の下の方に隙間ができていて、そこからの風が寒いのだろう。
- 51 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:26:01.78 ID:uNQIguDv.net]
- 店内には本棚が多く、お爺さんが座っている場所から死角になる場所があった。しかしそこには随分と日に焼けた昔の小説や、
遥か昔に出版され、既に絶版になった詩集などがあるだけだった。もし盗難にあってもほとんど痛手を負わないのだろうと僕は思った。 きっとお爺さんの監視下にあるのは貴重な古書なのだ。僕には価値がわからなかったが、それらは手に取りがたい威光を放っているように感じた。しかし埃っぽく、古びた店内でその威光はただ滑稽なだけだった。
- 52 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:28:09.16 ID:uNQIguDv.net]
- 店には文房具もあった。しかし古本屋に文房具目的で来る客がいないのか少し前の商品が積み上がっている。近くには同じような物を売っているスーパーマーケットや
ホームセンターがあるので当然のことなのだろう。 僕は文房具売り場の近くの本棚に移動し、そこに収まっていた古書を開いた。古書特有の匂いに僕は思わず顔をしかめる。その後、僕は注意をお爺さんに向けた。
- 53 名前:創る名無しに見る名無し [2013/12/21(土) 21:29:26.92 ID:uNQIguDv.net]
- お爺さんはうつらうつらとうたた寝をしていた。今日はほとんど無風で、隙間風の寒さよりも小型ストーブの暖かさの方が勝ったのだろうと僕は推測した。
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