- 251 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [2012/11/04(日) 11:15:36.37 ]
- >>250
つづき 過去と現在の研究の報告 (2008-03-25 現在) (抜粋) ・Topics in absolute anabelian geometry II: decomposition groups (2008 年) IUTeich のための準備的な考察とともに、IUTeich とは論理的に直接関係のない 配置空間の絶対遠アーベル幾何や、点の分解群から基礎体の加法構造を絶対p 進遠 アーベル幾何的な設定で復元する理論を展開する。ただ、後者のp 進的な理論では、 上述の「Frobenius 持ち上げの微分から不等式を出す」議論を用いており、哲学的 にはIUTeich と関係する側面がある。 ・Topics in absolute anabelian geometry III: global reconstruction / www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Topics%20in%20Absolute%20Anabelian%20Geometry%20III.pdf algorithms (2008 年) 「Grothendieck 予想型の充満忠実性」を目標とする「双遠アーベル幾何」(= bianabelian geometry)と一線を画した「単遠アーベル幾何」(= mono-anabelian geometry) を数体上の大域的な設定で展開する。これは正に IUTeich で用いる予定の遠アーベル幾何 である。この理論の内容や「IUTeich 構想」との関連性については、論文のIntroduction をご参照下さい。 ここで興味深い事実を思い出しておきたい。そもそもGrothendieck が有名な 「Faltings への手紙」等で「遠アーベル哲学」を提唱した重要な動機の一つは正にdiophantus 幾何への応用の可能性にあったらしい。つまり、遠アーベル幾何が(ABC予想 への応用が期待される)IUTeich で中心的な役割を果たすことは、一見してGrothendieck の直感にそぐった展開に見受けられる。一方、もう少し「解像度を上げて」状 況を検証すると、それほど単純な関係にあるわけではないことが分かる。例えば、 Grothendieck が想定していた応用の仕方では、数体上の「セクション予想」によっ て数体上の有理点の列の極限を扱うことが可能になるという観察が議論の要となる。 (つづく)
|

|