- 1 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2005/12/17(土) 15:08:53 ID:GxaSj02M0]
- 文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎! 皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン ======================================================================= ※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。 ※sage推奨。 ※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。 ※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。 ※職人が励みになる書き込みをお願いします。書き手が居なくなったら成り立ちません。 ※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。 ======================================================================= 前スレ FFの恋する小説スレPart4 game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1101760588/ 記述の資料、関連スレ等は>>2-20にあるといいなと思います。
- 101 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/01/31(火) 17:21:39 ID:srQszipX0]
- ほ
- 102 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/01(水) 01:38:49 ID:wU61VdCR0]
- とりあえず1日に1回保守
- 103 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/02(木) 05:23:26 ID:N87Aypre0]
- ぼ
- 104 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ [2006/02/02(木) 18:10:30 ID:9JJuBthRO]
- あげ
- 105 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ [2006/02/02(木) 18:36:23 ID:ll7d4gw0O]
- >>95の続ききになります。
- 106 名前:93 mailto:sage [2006/02/02(木) 21:28:01 ID:0T0fI3kz0]
- >>105
一応、あれでお終いです。ENDマークを入れ忘れましたm(__)m 続きも書きかけたのですが、エロになりますので、 ここに投下していいのか分からず、 千夜一夜のスレも投下していいのか分かりませんでした。 よろしかったら誘導お願いします。
- 107 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/02(木) 23:04:58 ID:DZbUXByp0]
- >>3に該当スレがあります。
一応この板は全年齢対象のため、エロはご法度とされています。 だから千一夜にも投下はしない方が無難です。(というかあそこは総合ですから余計マズイかと) 一時期削除云々で揉めたことがあるので、エロパロへの投下という形になってます。ご理解ください。 あと、行った先のスレの雰囲気は一読して掴んでおいた方が良いかも知れません。 良くも悪くもこことは違ってます。
- 108 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/02(木) 23:08:54 ID:IxNiQ1dy0]
- >106
エロパロ板にFF7スレがありますので、作者様がR21以上であれば 投下よろしくお願いします
- 109 名前:93 mailto:sage [2006/02/03(金) 00:23:33 ID:I8TXOzix0]
- >>107
>>108 ご親切にありがとうございました。 前に>>3を読んで、エロパロ板に行ってみたのですが、 該当スレを見つけられず、ortとなっておりました。 アドバイス通り、もう一度行ってみたら無事辿り着けました。 (マカーなのでローマ数字が文字化けしていただけでした。不覚。) 確かにこことは違う雰囲気ですね。甘々なのは大丈夫のかなぁ… 明日、スレもう一度読み直して、いけそうだったら投下しますねノシ
- 110 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/03(金) 23:28:35 ID:RonA5eBfO]
- 保守
- 111 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/04(土) 21:11:01 ID:GUSJl0NW0]
- 保全
- 112 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ [2006/02/05(日) 22:39:19 ID:8m6KDvVy0]
- えーじーいー
- 113 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/06(月) 19:59:48 ID:at7evsjX0]
- ほ
- 114 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/07(火) 20:30:52 ID:0oLHCK6O0]
- ぼ
- 115 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/08(水) 16:55:28 ID:qs8laUBH0]
- ま
- 116 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/09(木) 14:54:32 ID:VDWIbpSx0]
- ri
- 117 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/10(金) 17:59:05 ID:LAWfUaEt0]
- も
- 118 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/10(金) 18:12:56 ID:9edjekOY0]
- ん
- 119 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/11(土) 14:55:58 ID:E4aVo7h20]
- ( ・∀・)
- 120 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/12(日) 00:26:00 ID:F6GAibmM0]
- ( ∩∀∩) ⊂( ・∀・)つ バァ
- 121 名前:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw mailto:sage [2006/02/12(日) 02:05:03 ID:Vofy70Nm0]
- お久しぶりにて保守兼ねての投下です。
以下、DCFF7ネタでお送りします。 “DCFF7序盤をプレイ途中”の人にとって、一部(決定的ではないにしろ)ネタバレとなり得る 要素がありますので、ご注意ください。 ※DCFF7の進行に準じた妄想です。本編ではこのようなことはありません…たぶん。
- 122 名前:春を望む 1 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:16:00 ID:Vofy70Nm0]
- 舞台:DCFF7/7章時点での回想。
設定:DCFF7/FF7AC/AC公式サイトに掲載のOn the Way to a Smile ※ :これからDCFF7プレイを考えている方は、FF7のバッドEDを考えたくない方、 …は、読まない事をお勧めします。(一部不完全ながらもネタバレ要素あり) -------------------- 都は滅び、私たちのすべてを賭した闘いが終焉を迎えたあの日から、心のどこかで 還都を望んでいたのだろう。 けれど残留魔晄による汚染は、私たちの子や孫の代、それどころかさらに先の代に まで及ぶ負の遺産だった。あの場所へ戻ることなど叶わない。望む資格すら無いと いわれても、反論のすべは無かった。 長きにわたる戦役と世界の危機から数年を経た今、季節をなくした都市にも新たな 命は芽吹こうとしている。 しかし、この地に本当の春が訪れるまではまだ遠く、この目でその遠景を望むことは 不可能になってしまった。 叶わないと分かっていながら、それでも私は、誰よりも春を待ち望んでいた。
- 123 名前:春を望む 2 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:21:41 ID:Vofy70Nm0]
-
――あれから3年。 艇長最愛の者の名を冠したその艇は、雲を抜け大空を進む。荒れ果てた大地を眼下に 望みながら、窓外に広がる空の色は自分が幼い頃に故郷の大地から見上げた時と 変わっていないことと、大人になってからは見上げる余裕すらもなくここまで来たことを 知った。 傷ついた仲間たちとそれぞれの思いを乗せ、いざ決戦の地へと我々を誘ってくれる。 ――なにも変わっていない、そう思った。 仲間の向けてくれる笑顔や、豪快な笑い声、進むべき道をしっかり見据える瞳も、通信の 向こうに見える仲間たちの姿も、あの頃と何一つ変わっていない。それはケット・シーが 見たハイウインドの光景そのままだった。嬉しかった。かけがえの無いものがそばにある。 『ほな、ちゃっちゃと行きましょか!』 かつての都は、再び戦火に包まれようとしている。 それでも―― *** 制圧された本部ビルの最上層で、もはや何も映し出さなくなったモニターが目の前に 横たわっている。まるで痙攣するように、あるいは断末魔のように。モニターはちかちかと 火花を散らし、小さな電子音を何度か鳴らしながら、やがてすべての機能を停止させると 静かに最期を迎えた。 真っ黒のモニターに、瓦礫を背にした自身の姿が映った。何もかもを失った3年前の 光景が、脳裏によみがえる。 ――神羅ビル。 そうかと気づく。これは私にとって二度目の敗北だった。
- 124 名前:春を望む 3 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:25:11 ID:Vofy70Nm0]
- 近づいてくる足音に顔を上げた。目があった彼の表情は相変わらず読めない。真っ直ぐに
視線を向けてくる彼は何も言わず、それでも口をついて出たのは。 「……情けないですよ」 弱音だった。 「『ジェノバ戦役の英雄』なんてもてはやされても、このザマです」 別に許しを請いたいのではない。無論、彼は私を責めているわけでもない。それでも心に 横たわるのは憂いにも似た虚しさと、強烈な罪悪感だった。 あの戦いを経ても、武器を手にして実際に戦場に立てるわけではない。あの当時と何も 変わらない。そんな自分が惨めだと、今でも感じることがある。 しかし目の前に立つこの男は違った。あの時も、今も。 「私も同じだ」 彼は柔らかい口調で――私の心に揺蕩うすべてを否定した。 私に落胆する間を与えず、彼は次にこう問うのだった。 「お前はここで止まるつもりか?」 その言葉にハッとして顔を上げた。目の前の男は表情ひとつ変えずに佇んでいる。一瞬、 それが希望の使者であるようにも見えた。だがそれが幻想なのだと言う事は、背後の崩れた 壁面を見れば嫌でも思い知らされる。 (この絶望的な状況を目の当たりにして、なぜそんな風にして立っていられる?!) 不死身の男に向けた憤りのような、憧れのような。そんな感情が渦を巻く。だからと言って、 それを直接向けるのはお門違いだというのも分かっている。ましてや彼が自ら望んで手に 入れた身体ではないことも。 言葉を飲み込んでしまえば、自身の浅ましさを目の当たりにしたようで、彼を直視することが できずに視線をそらした。 私は無力だった。 襲撃を受けた神羅ビルの上層から動こうとしなかった"彼"も、同じことを思ったのだろうか? そして今に至ったとでも言うのか?――居ない者に問うたところで、答えは返ってこないというのに。
- 125 名前:春を望む 4 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:31:17 ID:Vofy70Nm0]
- ……あの日、ミッドガルが最期の時を迎えた日。
何度も何度も鳴ったはずの電話。何かを告げようと、伝えようと必死に私を呼ぶ声に 耳を傾けなかった過ち――それらのすべてを賭けて、戦った。そして完膚なきまでに 叩きのめされた。 失くしたものは数え切れないほどあった。 では、それらと引き換えにして私が得たものは――何だった? どうして"私"は今もここに在り続ける? 堂々巡りを繰り返す思考を断ち切ったのは、穏やかだが力強い声だった。 「時を止めた私に、前へ進むことを教えたのは……お前たちだったんだがな」 半ば呆然とする私を置いて、彼はその言葉を残して去っていった。 上司にするには厳しすぎる男だと、そう思うと自然と笑いがこみ上げてきた。 たくさんの犠牲を強いた、その上に自分が立っている。ならば、ここで止まって などいられない。出資者に対する債務もあるのだ、欠損を出したまま終わる わけには行かなかった。 「――まずは残存の設備・部隊の把握と立て直し。次に使えそうな通信設備を 使ってデータの移行作業、それから……」 考え出してみればまさに猫の手も借りたい状況だ。リーブが苦笑しながら腰を 上げると、ちょうど同じタイミングで相棒が現れる。 『ほな、ちゃっちゃと行きましょか!』 かつての都を目指し、再び戦いに赴く決心をさせてくれた彼らのためにも。 決着を―― *** こうして乗り込んだのが飛空艇・シエラ号。オーバーテクノロジーと最新技術の 集合体、それは最後の砦たる最強の移動要塞だった。同時に内部には多くの 未知を内包しており、艇の全容を把握しているものはいなかった。そんな艇の 操縦桿を託せるのはシドしかいない。そして彼は見事に艇を制御している。 とても乗り心地の良い艇だった。文字通り大船に乗った心地でいることができた。 だからこそ、心の曇りがはれることは無かった。
- 126 名前:春を望む 5 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:35:43 ID:Vofy70Nm0]
- 「今日は本体なのか?」
声をかけられるまで、フロアの中を移り行く景色を眺めていた。人工的に作られた グラフィックは美しい風景を描き出す。季節を失くした大地の記憶を抱え、人間は 大空を進んでいた。 顔を上げれば、そこには彼が立っている。数年前までは地下で眠り続けていた この男を、最近では私がいつも見上げているなと気づく。 「……本部もなくなってしまいましたからね」 苦笑しながら返した言葉に、彼は否定も肯定もせずに黙って耳を傾けているだけだった。 ――いや、もしかしたら彼は知っているのかも知れない。 私が"本体"ではないということを。 二度目の敗北。 それはつまり、二度目の死を意味していた。 *** 7番街のプレートを落とす。 それは下敷きになるスラム住民だけではなく、プレート上に住む者たちの命も 道連れにするという非情な手段であることは誰の目にも明らかだった。 それを知れば肉親から、責められると思った。私がこの件にどう関与しているのか、 とか。詳しい内情は知らないまでも、神羅という組織に属し、今や責任ある立場に 身を置いている自分に、懐疑や非難が向けられると思っていた。けれど彼女は そうしなかった。 かわりに受話器から聞こえてきたのは――「こっちは心配要らないよ」と、そんな 一言だけだった。 結果的にはこれが、母と交わした最後の会話になった。
- 127 名前:春を望む 6 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:41:21 ID:Vofy70Nm0]
-
あの日以来はじめて携帯が鳴った。けれど通話をする勇気はなかった。それから 何度も、何度も。神羅本社ビルが襲撃され、崩れ落ちたあの日でさえ鳴ることの なかった携帯は、今頃になって私を呼んだ。 しかし私は、彼女の声に耳を傾けることはしなかった。 一番の親不孝をしてしまった後では、取り返しがつかないのだと思っていたからだ。 残されたわずかな時間は、すべてミッドガル住民の避難誘導に費やした。 住民の中には、母もいた。 そのはずなのに、母を救うことはできなかった。 これが2つ目の親不孝であり、最大の過ちだった。
- 128 名前:春を望む 7 mailto:sage [2006/02/12(日) 02:42:17 ID:Vofy70Nm0]
-
*** (本体、は……) 絶対に漏らしてはならない言葉が口をついて出そうになって、自身でも驚く ほど動揺したものだった。もちろん、それを表に出すほど間抜けではない。 「でも、今日も連れてきてますよ」 『どうもー』 忙しいときには手を貸し、沈んでいるときには愛嬌を振りまく。そんな愛くる しい相棒が、場を和ませてくれる。そして何より、この小さな相棒は"本体"の 存在を隠してくれる。 まだ、この身を棄てるわけにはいかない。もう少しだけもってくれないか? 今、本体として機能している"私"に私は呼びかけた。 ――私の感情を吹き込んだそれは、二度の死を乗り越え、今も生き続けている。 女の子じみていると、持つことをためらった母からの贈り物――いつかの ハンカチの柄のような小さな花々が咲く地に、先に着いているはずの私を 母は待っているのかも知れない。 だとしたら一番の親不孝者は、私のような者を言うんでしょうね。……社長。 ー春を望む<終>− -------------------- ・書いている本人はクリアしてない(8章中)ので、偏重気味の世界観。 ・インスパイア設定ワケワカラン。 ・7章のあのセリフを聞いてこういう展開を妄想した人は全国に数人はいるはずだ …と、信じて疑わない。 ・FF7究極のバッドEDと言えなくもない話。 ・リーブ好きが高じて色々暴走した。正直スマンカッタ。
- 129 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/12(日) 04:29:35 ID:qSAo6qu90]
- あのシーンは自分も好きだよ。
リーブかこいいな。GJ!
- 130 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/12(日) 11:36:03 ID:FadKF9FoO]
- リーブ!リーブ…!
GJ超良かったです でもたしかにバッドエンディn(ry ケット・シーの明るさが逆に切ないよ…
- 131 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ [2006/02/12(日) 12:49:13 ID:WybmXZdzO]
- ( ゚∀゚) <ageチン
( ) | 彡つ し∪J
- 132 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 13:56:38 ID:xRtAOsti0]
- 僕は・・・、少し寂しかった。同じ作戦に同行してわかったけど、皆昔のことは覚えてないみたいだ。
魔女暗殺作戦の時皆は僕を見ても誰一人気づかなかった。 というか、全員お互いの関係を忘れてしまったような感じだ。 なんでなんだろう?と考えて一つの話が頭をよぎった。 「G.F.を使うと記憶を失う」 本当かどうかわからないけど、可能性はあった。 バラムガーデンではG.F.を使うのは普通のことだとスコールが言ってた。 …じゃあセフィは?なんで覚えていないんだろう? 今僕らはミサイル発射阻止作戦から帰還してスコール達とF.Hでばったり会った。 ミサイル基地の自爆装置を起動して脱出しようと思ったところに、ガルバディア軍の大型兵器が現れて脱出を阻まれた。 けど、どうにか破壊してそれに間一髪乗り込んだ。 それは驚くほど頑丈で自爆の爆発にもビクともしなかった。 それでそのまま回収されてF.Hにきてスコール達と戦うハメになった、ていうわけ。 ガーデンが動き出してミサイルを回避できたものの、そのままF.Hに追突してしまったとのことだった。
- 133 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 14:04:58 ID:xRtAOsti0]
- 「おかえり、みんな。よかった、ほんとうに。」
というのはスコールが言ったセリフだが、どうにもくすぐったかった。 セフィは、 「らしくな〜い。」 なんて言ってたけどすごい嬉しそうだった。 そんなこんなでガーデンをF.Hの人たちに修復してもらうことになって一件落着かと思いきや…。 バラムガーデンでセフィは自分プロデュースのコンサートの準備をしていたらしかったけど、 ガーデンが動いたりですっかりめちゃめちゃになっちゃってた。 「ああ〜、せっかく用意進んでたのに〜!」 セフィはすこし落ち込んでるようだった。でも僕はセフィを直接なぐさめる勇気がでなかったから、 ひとまずスコールにお願いすることにした。 でもスコールは、少しなぐさめただけで、 「あとはまかせたアーヴァイン・キニアス。」 僕は文字通り飛び上がった。 「うぇ!?」 がががんばれ、僕。本番に弱いのはいい加減卒業しないと。 ちょっとかっこつけて言わないとばれちゃう…よな。
- 134 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 14:07:46 ID:xRtAOsti0]
- 「元気出せよ〜セルフィ〜。僕も手伝うからさ〜。」
「え?ほんとに?」 僕は必死で方法を考えた。 「そうだ!F.Hの人に頼めばいいんだよ。ガーデン直しちゃうんだからステージくらい簡単だろ?」 「そうかな?やってくれるかな?」 「やってくれるさ〜。僕も一緒に頼んでやるからさ〜。」 「ということは?」 「セルフィプロデュースのバンドがステージに立てるっていうこと!」 セフィは飛び跳ねて喜んでる。 「じゃあじゃあ!メンバー集め行きますか!」 お?こりゃ〜いけるかも! 本番に弱いのも克服かな?我ながら土壇場でよく思いついたな。 「お?おもしろそうだな!どうせなら駅長の家の前でど〜んとやろうや!」 F.Hの人は快く引き受けてくれた。色んなものを創るのが好きなんだそうだ。 「やった〜!」 喜んでるセフィの顔をみたら僕も嬉しくなってきた。 思えば昔からそうだったっけ。
- 135 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 14:11:00 ID:xRtAOsti0]
- 孤児院にいる時、皆一緒に遊んでたけど僕とセフィ意外は先に帰っちゃってた。
僕は昔からセフィのことが好きで最後までセフィにつきあってたんだっけな。 それでいつもママ先生に怒られてたんだ。いっつも走り回ってるから追いかけるのが大変だったけど。 「アービンもっと遊ぶ〜?」 僕は彼女からそう言われたくていつも一緒に居たんだ。セフィにとっての特別な存在になりたくて。 彼女は僕のことを『アービン』と呼んでいた。 彼女が僕のことを忘れていると確信したのはここだった。 今は僕のことをアーヴァインと呼んでくる。 すごく寂しかったけどセフィが昔とほとんどなにも変わってないのをみて嬉しかったりもした。 「バンドのメンバーどうしよ〜。曲は簡単なのにメンバーがいないんじゃあしょうがないよ〜。」 僕達はメンバーを探し回ったけど結局みつからなかった。 「どうしよ〜、もうステージできてきちゃってるのに〜。」 「いっそ僕らでやるかい?」 「あ!それいいかも〜!じゃあみんなに集まってもらお〜!」
- 136 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 14:14:34 ID:xRtAOsti0]
- それから僕らはスコール、リノア以外で各楽器を担当して無事にアイリッシュジグを演奏することに成功した。リノアには急に委員長となってしまい、ガーデンの全権委任をされて一人で悩んでるスコールに僕らの気持ちを伝えてもらう役になってもらった。
この曲ならちゃんと僕らの気持ちが伝わったに違いない。 問題は僕だ。セフィに少しでも気持ちは伝わってるのかな。 みんな各々この夜を楽しんでる。そこで僕らは駅長の家の前で二人きりになった。 「手伝ってくれてありがとね〜。」 「いえいえ〜。お役に立てて光栄だよ〜。」と僕。 「トラビアのみんなと約束してたんだ〜。セルフィバンドを成功させるって。」 「・・・そうだったんだ。」 「うん。きっとみんな無事だよね〜?ミサイルはずれたよね〜?」 セフィはすごい無理してる。僕は知ってる。落ち込んでるのに周りに見せないのはセフィの悪い癖だ。 「きっとだいじょうぶさ。やるだけの事はやったんだから。」 「そうだよね〜。うん!そうだね!」 「ガーデンが動くようになったらトラビアに行くようにスコールに頼めばいいよ。気になるだろ〜?」 「だね!後で頼んでみる!」 けっこう仲良くなれたかな。あともうちょっと?
- 137 名前:see you again mailto:sage [2006/02/12(日) 14:18:50 ID:xRtAOsti0]
- 「ねぇねぇ。アーヴァインって呼びにくいからさ〜。アービンって呼んでいい?」
僕は心臓が大きく一回収縮したのを感じた。 「もちろんOKだよ〜。じゃあ僕はセフィって呼んでもいいかい?」 「全然いいよ〜。なんか幼馴染みたいだね。これからもよろしくね〜。」 …やっぱりセフィは気づいてないみたいだ。でも深層意識のなかに昔の記憶はあるみたい。 これならきっといつか思い出してくれるはず。 みんなに知っておいてもらわないと。僕らの戦ってる魔女イデアはママ先生なんだから。 僕らにとって親にも当たる存在。優しくて、時に厳しかったりしたママ先生。 ていうか、バラムガーデンの学園長はあの人じゃないか。どんな思いで戦っているんだろう。 僕なんかよりも全然辛いんじゃないかな。あぁ、思い切って皆に話してみようか…。 落ち着いた時にでも話そう。きっと皆、思い出す。 そうしたら…。思い出してもらったら、皆やセフィに本当の意味で再会できる気がする。 see you again 〜Fin〜
- 138 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/13(月) 13:43:20 ID:OfwVyEoK0]
- おお〜投下GJ!!!!!
- 139 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/14(火) 08:00:14 ID:gGH40QLN0]
- ほ
- 140 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/14(火) 19:27:43 ID:aV/1Qn8DO]
- 携帯からの保守
- 141 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/15(水) 19:03:30 ID:AvfCwwgm0]
- ぼ
- 142 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/16(木) 19:51:58 ID:ZRV6+8UH0]
- 鞠
- 143 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/17(金) 18:44:20 ID:nut2HLvC0]
- 藻
- 144 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/18(土) 08:12:55 ID:w07EFgGe0]
- 保守?
- 145 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/19(日) 00:20:58 ID:YKJ4IBp90]
- ん
- 146 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/19(日) 01:23:22 ID:hUlbyk550]
- 婆
- 147 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/19(日) 07:11:48 ID:4EXjnasl0]
- DCでエッジが襲われた時、彼と彼女が
何をしていたのか補完したくて書いてみました。 プレイされてない方はネタバレになるかもなのでご注意願います。 投下は途切れ途切れになるのでご了承下さい。 投稿者は戦闘シーンが苦手の為、 訂正やアドバイスを頂けるとうれしいです。
- 148 名前:エッジ前哨戦【1】 mailto:sage [2006/02/19(日) 07:14:59 ID:4EXjnasl0]
- 遠雷が聞こえて、ティファは手を止め、窓の外に目をやった。
『本日のスープ』に使うキャベツを小さな手に抱えた子ども達も同じ様に外を見る。 「雨かな?」 「クラウド、大丈夫かなぁ?」 「大丈夫よ。」 心配そうなマリンとデンゼルは窓から声の主に視線を移す。 「通り雨よ。」 「通り雨?」 「そう。この季節は多いの。でも、雨が降る場所も狭い範囲だし、すぐに雨は止んじゃうわ。 クラウドが今日行ってる辺りだと、逆にいいお天気かもしれないわ。」 本当にそうだといいんだけど、と心の中でティファは付け足す。 それに、この季節に雷が鳴る事はめったにない。 それがティファの心に小さな不安を呼び起こす。 「クラウドったら、レインコート持ってるかしら?」 「そんな物なくても平気さ。」 女の子らしい心配をするマリンに、男の子らしい負けん気のデンゼル。 二人の気を反らせようと、次のお手伝いをティファが言いかけたその時、 空気を裂く様な音がし、すぐに爆音が響いた。 『7th Heaven』が激しく揺れて、ティファは咄嗟に二人に覆いかぶさった。 棚から食器が派手な音を立てて落ちて来る。 子ども達は何が起こったのか分からず、ティファの下で呆然としている。 (…爆弾?) いや、その前に頭上から空気を裂く、ヒュウウウ…という嫌な音がした。 (ミサイル…?それとも爆撃?) カダージュ達の登場、セフィロス復活から1年経っていた。 世界はまた復興に向けた進み始めたのに、一体何者の襲撃なのだろう。
- 149 名前:エッジ前哨戦【2】 mailto:sage [2006/02/19(日) 07:33:08 ID:4EXjnasl0]
- しかし、今はそんな事を考えている場合ではない。
声もなく震えている、この子達を守らなくては。 (クラウド…!) ここにいない、自分だけの英雄の名前を呼ぶ。 爆発は途切れる事なく続き、激しい揺れが続く。 それでも、棚の物はひとしきり落ちてしまったようだ。 ティファは立ち上がり、二人を立たせると、フロアのテーブルの下に隠れさせた。 落ち着かなくては。子供達を怖がらせちゃいけない… 出来るだけ、いつもの声音で、 「いい?動いちゃだめよ、ね?」 ぎこちなく頷く二人の頭を撫でると、ティファは立ち上がった。 何かあった時に、どう動くか… ちゃんとクラウドと相談しておいてよかった。 カウンターの椅子を乱暴にどけると、床板と床板の間の3cm程の幅の隙間がある。 それが目印だ。 「はぁっ!」 気合いと共にその隙間に手を垂直に差し入れる、と同時に床板をまくり上げた。 畳一畳はあるかの板を軽々と捲り上げたティファに、 テーブルの下で震えていた二人も息を飲んだ。 床下に現れた1m四方の金属の扉を開けると、二人を庇う様にして扉の側まで連れて行く。
- 150 名前:エッジ前哨戦【3】 mailto:sage [2006/02/19(日) 07:35:11 ID:4EXjnasl0]
- 「いい?扉を3回叩くから。」
「ティファ!」 「それ以外は何があっても開けちゃだめよ。」 「ティファ!ティファはどうするの…?」 「大丈夫。ちょっと街の様子を見て来るだけ。」 「やだ!危ないよ!ティファも一緒に…」 「マリン…」 縋り付くマリンの頭を優しく撫でてやると、ティファはウィンクをしてみせる。 「孤児院の様子も見に行きたいの…大丈夫よ。 私だって、クラウドやバレットにだって負けやしないんだから。」 「でも…」 マリンは大きな瞳に涙をいっぱい溜めてティファを見上げる。 「分かって、マリン…私は、そうしなければいけないの。」 真剣なティファの瞳に、マリンは言葉を失う。 でも、行かせてはならないと必死に言葉を巡らせる。 「大丈夫だよ、ティファ!マリンは俺が守る!」 「デンゼル…」 「マリン、俺と行こう」 「やだ!」 マリンは大きく頭を振る。 「デンゼル、ここを降りると、下水道よ。そこでじっとしていなさい。 食料と、水と、緊急用に電話があるわ。もし…」 言いかけて、ティファは口を噤んだ。 (いえ、そんな事があってはいけないのだけど…) 言い淀んだティファを察したのか、 「俺、マリンの父ちゃんに連絡するよ!クラウドにも!」 元気にデンゼルが答えた。そして、マリンの手を取ると、 「俺たち、大事な役目があるんだ。行こう!マリン!」 マリンはきゅっと唇を噛んで、ティファを見、そしてデンゼルを見て、漸く頷いたのだった。
- 151 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/19(日) 23:39:13 ID:4EXjnasl0]
- すいませんが、どなたかマリンがバレットを
なんて呼んでいたか覚えてられませんか? 「父ちゃん」でよかったかと思うのですが、 ちょっと自信がないです_| ̄|○
- 152 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/20(月) 00:39:17 ID:2G7AzH6G0]
- >>132-137
アーヴァインに対する見識を改めさせられました。 彼らしい、気さくな語り口で描写されているものの、 考えてみるとつらい立場だったんですねアーヴァイン。 タイトルと内容がピッタリはまってて良い感じです。GJ! >>148-150 ACで見せてくれたデンゼルの前向きさが良く現れてるなと思いました。 欲を言えば、ACでマリンはティファ(と、ロッズの)強さを目の当たりにしているので、 その辺もあったらよかったかな、なんて。 (強いと分かってるんだけど、それでも心配するという…なんか矛盾してる気もしてきた) ついでにDC地上部隊編も書いてくれないかな〜とか、どさくさ紛れにリクエストしてみるw
- 153 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/20(月) 00:42:00 ID:2G7AzH6G0]
- 強いとは分かってるけどそれでも心配なんだよって言う
……なんか書いてて分からなくなってきた。あくまで個人的な意見です。 >>151 以前にも似たような質問をこのスレで見た気がするw 「父ちゃん」で正解だったと思います。 7本編中、ゴールドソーサーでのデートイベント直後 ケット・シー経由での通信でそう言っていた記憶から。 (手元にデータがないので確証はありませんが…。)
- 154 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/20(月) 00:52:29 ID:td2ow/zj0]
- >>152-153
>強いとは分かってるけどそれでも心配なんだよって言う 仰りたいこと、分かる気がします。 マリンもティファが強いと分かってるけど、 それでも心配でだだをこねてる…ってつもりで書いたのですが、 やはし難しいですね_| ̄|○ >ついでにDC地上部隊編も書いてくれないかな〜とか、どさくさ紛れにリクエストしてみるw ありがとうございますw でも、自分、そこまで辿り着いてないんですよ。 もう少し進めてから考えてみますね。 少しずつよりも一気に投下の方が良いみたいなので、 完成したら投下に参ります。 バトル関係とか、分からない事があったら質問に参りますので その時はまたお願い致します。 特に>>151 、切実です・゜(つД∩)゜・。
- 155 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/20(月) 00:53:32 ID:td2ow/zj0]
- すいません、リロってなかった_| ̄|○
>>153 ありがとうございます。 そして、無駄にスレ消費してごめんなさい。
- 156 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/20(月) 22:57:06 ID:HJ/tzdZu0]
- ほ
- 157 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ [2006/02/21(火) 14:37:35 ID:Mx2NOc+t0]
- し
- 158 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/22(水) 02:27:07 ID:OY8WUsYt0]
- の
- 159 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/22(水) 08:39:09 ID:oCKOyGK00]
- ふ
- 160 名前:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw mailto:sage [2006/02/23(木) 01:01:58 ID:prxFVoJV0]
- 性懲りもなくケット・シー(リーブ)ネタです。
色々すみません。謝るようなら書くなと言う感じですが DCFF7クリアしたてなので、時期的にちょうどいいかな、 なんて。 タイトルに機種依存文字を使用する事をお許し下さい。
- 161 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティT(1) mailto:sage [2006/02/23(木) 01:05:34 ID:prxFVoJV0]
- 舞台:FF7Disc3(最終決戦前)
(DCのネタバレはありません。) 設定:DCFF7であったというインスパイア能力保持者※1 AC公式サイトの小説の設定は依然としてお借りしています。 ---------------------------------------- フロアの床を埋め尽くしているのは、継ぎ接ぎを施してようやく繋がった おびただしい量の配線コードと、飛び散った窓ガラスや照明の破片、その 上には誰の物とも分からない荷物や書類などが散乱していて、文字通り 足の踏み場もなかった。幸いにも日はまだ高く、メインの電力供給を絶たれた 室内でも作業に充分な光度が保たれていた。 いまや瓦礫に埋もれてしまったフロアを目の当たりにすれば、多くの者は 愕然と立ち尽くすだろう。こんな状況で何ができるのだろう? と。 しかし、彼は違った。 迷うことなく倉庫へ向かい、傾いたドアをくぐって奥にあった自家発電用 バッテリを持ち出すと、それらを手早く機器に接続しはじめた。ものの30分で 必要最低限の動力を得て機能を確保すると、休む間もなく各部署との通信を 試みた。 足元に散乱するフロアタイルの残骸やガラス片などに混じって、茶色い土が 混じっていたことにも気が付いていた。その正体にも心当たりはあった。それ でも手を止めず、ひたすら作業を続けた。彼が作業を始めてからもう何時間に なるだろうか? 処理を終えた書類を投げ落とし、新たに出力された書類を渡す。 鳴り止まない電話を横に置き、とにかく必死に作業をこなした。我々に残された 時間はあまりにも少なかった、休んでいる暇などない。ミッドガルの構造を知り、 あらゆる通信設備を駆使して、一刻も早く全住民にこの危機を知らせなければ ならない。 しかも混乱を招かないように、彼らをスラムまで誘導する。与えられた猶予は、 たったの7日。 完全に成し遂げることなど、とうてい無理な事だとは分かっていた。だから 目標値をあらかじめ設定しておいた。全住民の63パーセント――綿密な計算の 果てに出された数値は、ようやく過半数を上回る程度でしかない。ミッドガルという 都市を知り尽くしているからこそ、誰よりも間近で現実を直視しなければならなかった。
- 162 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティT(2) mailto:sage [2006/02/23(木) 01:08:24 ID:prxFVoJV0]
- 出された数値に落胆している暇も、悩んで立ち止まっている暇もない。次々に
送られてくる情報が、彼の手を休める暇を与えなかった。 猫の手も借りたい状況とはまさにこのことで、幸いなことに彼には手を貸して くれる猫が存在していた。ケット・シーという名前で、ここにいるのは3号機だった。 『人手が足らへん。……まずは都市開発の人たち、集めてみましょか?』 しかもこの猫、しゃべるのである。 それも満面の笑みで。 「無事だといいのですが」 『大丈夫やて。……アンタらの作った街やろ?』 「ははは……確かに、そうですね」 ケット・シーはいつも、笑顔をくれる。作り笑いさえもしなくなって久しい私に、 いつも微笑んでくれる。 「……」 ――笑うことなど許されていない、そんな気がしている。なぜなら私は。 「自分で作った街……だったんですよ。……でも、私は。この手で」 脳裏によみがえるのは7番街の光景。プレート上の平穏と、プレート下の生命を 同時に奪った悪夢。なによりそれを生み出したのは自分自身であった。
- 163 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティT(3) mailto:sage [2006/02/23(木) 01:10:56 ID:prxFVoJV0]
- 抗えなかった。抗えずに従うのなら、いっそ身も心も染まってしまえば良かった
のに。中途半端に放り出されてしまった良心は、今でも傷口で膿んだままだった。 ――……"多少"? 多少って何やねんな!? アンタにとっては多少でも、死んでしもた人たちにとっては それが全てなんやて! あの日。 それはバレットに向けて放ったはずの言葉だったのに。 「彼の言うとおり、私に彼らを責める資格なんてない……それに」 現に今だって、37パーセントの人間を切り捨てようとしているのではないのか? 次の句を紡ごうとした私を遮ったのは、彼だった。 『泣きたいなら泣いたらええ。けどな、おっさん』 主人の事を「おっさん」呼ばわりするのはどうなのかと眉をひそめたが、いかにも 彼らしいと思う。 『アンタがそんな顔したらアカンで。小さくて悪いけど、わいの胸貸すからそこで 泣いとき』 ケット・シーの表情が変わることはない、人形なのだから当然だ。 それでも彼は、微笑んでくれる。 「……ありがとう」 その瞬間、ほんの少しだけ目を閉じて――夢を見たような気がする。とても心地の 良い、夢だった。
- 164 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティT(4) mailto:sage [2006/02/23(木) 01:16:20 ID:prxFVoJV0]
-
私の感情を吹き込んだロボット、それがケット・シー。 神羅に入社して以来、私が捨ててしまった感情を、殺さなければならなかった 思いを、小さな猫のおもちゃに託した。 ――ありがとう。 小さく臆病な私に、彼は大きな勇気をくれる。そんなことを考えていたら、 年甲斐もなく……。 母がいる、この街を。 救うまでは―― まだ、この場所を離れるわけにはいかなかった。 鼓吹士、リーブ=トゥエスティT<終> ---------------------------------------- ※1設定資料などは全く見てないので、“インスパイア”の解釈は違うと思われます。
- 165 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/23(木) 01:20:45 ID:Ql9yMn8m0]
- どなたも投下されないみたいなので、
板の保守に書き溜めた分投下します。
- 166 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/23(木) 01:42:29 ID:Ql9yMn8m0]
- すいません、自分、またリロってなかった。
ドリルに貫通されて逝ってきます…_| ̄|○ >>ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYwさん GJです! 最後の決戦前のクラウドとケットの会話を思い出しました。
- 167 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/23(木) 01:57:08 ID:6UESPphN0]
- >>161-164
ケット・シーカワイイ!危機的状況でがんばるリーブがいい!GJ!
- 168 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/24(金) 00:59:50 ID:kS43PtA60]
- 鯖復活記念保守パピポ
- 169 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/24(金) 01:33:30 ID:x9iujmcS0]
- 一瞬なにが起きたのかと思ったw
>>165 書ける時、書きたいときが投下し時。 気にせずどんどん投下汁!
- 170 名前:エッジ前哨戦【4】 mailto:sage [2006/02/24(金) 01:51:04 ID:69UrLjOp0]
- 粗忽者のエッジ前哨戦でございます。
>>169 ありがとうございます。 ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYwさんの 余韻を壊してしまって本当にごめんなさい。 お言葉に甘えて投下致します。 ちょっとクラティ入ってるので、お嫌いな方はご注意を。 ----------------------------------------------------------------- 外に飛び出すと、空が真っ赤だ。隣のおばさんが不安げに空を見上げている。 「おばさん!」 「あぁ…ティファちゃん…一体何が…」 「話はあと!早く家へ!」 ティファは近所の住民を、子ども達が避難した下水道への扉に誘導する。 「いいですか?扉を叩くのは3回です。敵に見つからない様に…」 「敵?…敵って誰だい?」 それはティファが聞きたいくらいだった。 不安がる住民達をとりあえず下水道に避難させると、2ブロック先にある孤児院に向かう。 中から子供達の泣き声が聞こえるが、まだ火の手は上がっていない。 「大丈夫?」 ティファが入って来たのを見た、二人いた保母はホッとしたように、 「助かるわ、ティファ。子ども達、みんな泣き出して動けなかったのよ。」 小さな子供は抱きかかえて、歩ける子は歩かせて、なんとか店の中まで連れて行く事が出来た。 先に避難させていた住民達に手伝ってもらい、子供達を地下に降ろす。
- 171 名前:エッジ前哨戦【5】 mailto:sage [2006/02/24(金) 01:54:40 ID:69UrLjOp0]
- 最後に残ったのは保母の一人でミミという女性だった。
ティファとは歳も近く、7thHeavenにもよく食事に来ていた。 「あなたが最後よ、ミミ。」 「ありがとう、ティファ…でも…一体何が起こったの?たくさんの人がミッドガルで行方不明になったり…」 行方不明者の中にはミミの恋人もいたのだ。 ミミの何気ない言葉がティファの頭の中で何かと何かを結びつけた。 「ティファ…?」 「う…うん、なんでもない…」 「ティファ、早く!」 老人や子供を率先して手助けをしていたデンゼルが顔を出して叫ぶ。 「クラウドや、マリンの父ちゃんにはちゃんと連絡したよ! クラウドは、こっちに向かってる!2時間くらいかかっちゃうけど。」 「バレットは?」 「シエラ号の館長さんに連絡してから来るって!トレーラーで来るから、みんなを運べるよ!」 無駄のない報告にティファは満足げに頷いた。 ミミが下水道に降りてしまうと同時に、爆音がますます近付いて来た。 マリンも心配そうにデンゼルの横から顔を覗かせる。 「ティファ!クラウドが、ティファも一緒に待ってなさいって!」 「分かったわ、マリン。」 ティファの言葉にマリンも安心したようだ。 二人が先に降り、ティファもそれに続くのだろうと梯子の上を見上げて待っている。 しかし、ティファは降りて来ようとしない。 「ティファ?」 ティファは少し悲しそうな顔をして、ごめんね、と呟くとゆっくりと扉を閉め、 ポケットに入れてあった鍵で鍵を閉めた。
- 172 名前:エッジ前哨戦【6】 mailto:sage [2006/02/24(金) 01:56:58 ID:69UrLjOp0]
- マリンは悲鳴を声を上げ、再び梯子を上る。
「ティファ!ティファ!」 中から必死に扉をを叩く。すぐに優しい声で返事が返って来た。 「大丈夫、マリン。ちょっと様子を見て来るだけ。」 横でデンゼルが宥める声も聞こえてくる。 「ごめんね…」 (でも、行かなきゃならないの…) ティファは振り切る様に立ち上がると、床板をはめ、その上に椅子を並べるた。 カウンターのシンクの下に直してあった箱を散り出すと、 中から肘あてと革手袋を取り出し、身に着ける。 そして、とある場所に向かって駆け出した。 クラウドはデンゼルからの連絡を受け、エッジを目指してひたすらフェンリルを走らせていた。 腰のホルダーに入れてある携帯が震えている。着信を見るとバレットだ。 あらかじめ電話を耳から離しておいてから着信ボタンを押す。 案の定、電話の向こうで大声が響く。エンジンの音がやかましいのに、余裕で耳まで届くほどだ。 「クラウドおー!今、どこだぁーっ?」 「エッジに向かっているところだ。」 バレットはマリンやデンゼルから連絡があったこと。マリンがひどく怯えていること。 トレーラーで向かうので避難する人を乗せられることを伝え、 クラウドはそれを耳から遠ざけた状態で聞いた。 「それとよ、シドに聞いたんだがよ。神羅のマークを付けた軍隊があちこちを襲っているらしい。」 「神羅の?」 「おかしいだろ?つかみ所のねぇ奴だが、今のルーファスがそこまでやるとは考えるられねぇ! どうもプレジデントが生きてる時代のやっかいな遺産らしい。」 「セフィロスではないんだな。」 「WROの本部も襲われた。リーブとビィンセントが一緒らしい。 エッジが襲われてるから助っ人に来てくれるとよ。」
- 173 名前:エッジ前哨戦【7】 mailto:sage [2006/02/24(金) 01:59:29 ID:69UrLjOp0]
- 言われてみると、昔、そんな噂を聞いたような気もする。
「…バレット!その時の責任者は誰だ?」 「スカーレットと、宝条だっ!」 「宝条…?…それは…」 「面倒な話は後だ!お前の方が先に着くはずだ!マリンを頼んだぜ!」 (やはりな…) 死んだ後もどれだけ災いを引き起こすのだろう…全ての災いの元凶だ。 だが、今は一刻も早くミッドガルに辿り着き、ティファを止めることだ。 (もう、あんな思いはごめんだ…) あの時は間に合わなかったが、今度は間に合わせてみせる。 そして、ティファを思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。 (そう言えば…) バレットはヴィンセントもこちらに向かっていると言っていた。 (ヴィンセントがあの身体になったのも宝条のせいだったな…) 何か因縁の様な物を感じた。 残された下水道で、デンゼルの声も耳に入らないかの様にマリンが泣いている。 「泣くなよ、マリン…」 デンゼルは途方に暮れていた。 心配なのは自分も同じだか、いつも聞き分けの良いマリンがなぜ…? 「大丈夫だよ、ティファもすっげー強いんだろ?」 デンゼルは戦うティファを見たことがない。 たまに、トレーニングをしているのは知っていたが、あの細腕でサンドバッグが 折れんばかりのパンチを繰り出すのを見ていたからだ。 「知ってるよ!」 マリンの強い口調に、デンゼルはたじろいだ。 だったらどうして…と聞こうとするが、マリンはぎゅっと唇を結んで開こうとしない。 (なんなんだよ、一体…) 途方に暮れて、ポケットに手を突っ込むと、指先に電話が当たった。 (ティファの事を報告しなきゃ…) デンゼルはそれを取り出し、再びクラウドにかけた。
- 174 名前:エッジ前哨戦【8】 mailto:sage [2006/02/24(金) 02:00:31 ID:69UrLjOp0]
- 電話はすぐに繋がった。
「クラウド!ティファが…」 「どうした?」 「様子を見に行くって、出て行っちゃったんだ!」 クラウド、ハンドルを切り損ね、危うく転倒しそうになる。 「クラウド?」 「ああ…」 ひどく動揺している自分がいた。と、同時にティファならそうすると分かっていたのに、 何故注意しなかったのかと自分を責める。 「ティファは…子供の頃からそうだった。いつも自分の事は後回しなんだ。」 「クラウド…?」 クラウドが何を言っているのか分からず、デンゼルは鼻白んだ。 でも、泣いているマリンをどう扱えばいいのか分からない。 泣きたいのは自分も同じだ。クラウドに何か言ってもらいたい。 「クラウド、マリンが泣いてるんだ。ティファを心配して。」 一瞬、自分の思考に沈みかけたが、デンゼルの悲痛な叫びに現実に呼び戻される。 「デンゼル。ティファは俺が連れ戻す。信じろ。」 「分かった!」 はっきりと言い切ったクラウドにホッとして電話を切る。 「マリン!クラウドが大丈夫だって!ティファを連れ戻すって!」 膝を抱え、そこに顔を埋めていたマリンがゆっくりと顔を上げる。 「うそ。」 「マリン?」 「だって、この前、クラウド来なかった…」 「この前って…?」 「教会で…ティファが…やられてるのに、“クラウド!”って呼んだのに、来なかった…」 マリンが言っているのは1年前のセフィロスの復活の時の事らしい。 (それで…) いつも聞き分けの良いマリンがと不思議だったのが漸く合点がいった。 「分かってるよ。ティファを信じなきゃ。でも…怖かったの。ティファが死んじゃうって。」 マリンは再び、膝を抱えるようにして顔を伏せてしまった。
- 175 名前:エッジ前哨戦【9】 mailto:sage [2006/02/24(金) 02:03:49 ID:69UrLjOp0]
- 連れ戻すと言っても、エッジの街はまだ先だ。
とりあえず電話をしようと思うが、ひょっとして今のティファは 自分からの電話に出ないのではないか? それでも、今はそれしか方法がないのだ。 ティファの番号にかけてみる。が、呼び出し音が空しく耳に響く。 (頼む…出てくれ!) 手に力が入り過ぎて、携帯を握りつぶしそうだ。 不意に呼び出し音が途切れた。 「クラウド…?」 「ティファ!俺だ…今どこにいるんだ!?」 とりあえず出てくれた事にホッとして、安心した反動でつい大声になる。 「エッジの街の、端まで来てるわ。」 「なんでそんな所にいるんだ!」 「ごめんなさい…でも、ミミが気になる事を言ってたの。」 ミミの一言で今回の襲撃は、どうも神羅の何かが関係していると確信したのだと言う。 「だから…神羅ビルを探ってみようと思うの。ミッドガルに向かうわ。」 「ダメだ!」 ティファは小さく溜め息を吐いた。 「そう言って聞く私ではないのは、誰よりあなたが知ってるでしょう?」 「でも!」 その時、ティファの背後から何者かが飛び出して来た。 殺気を感じるそれに対し、ティファは振り向きもせず、 右腕に左手を添え、肘を鋭く後ろ向きに突き出す。 エルボーがきれいに入って、犬とも人間とも思えない 不気味な生物が「ギャン!」と悲鳴を上げて地面に落ちた。 ティファは戦闘不能に陥ったそれを見下ろし、再び携帯を耳に当てた。 「あなたが来るまでに出来る事をしておきたいの。」 「おい!ティファ!」 そこで電話が切れた。
- 176 名前:エッジ前哨戦【10】 mailto:sage [2006/02/24(金) 02:05:40 ID:69UrLjOp0]
- 電話が切れたあと、クラウドは電話を叩き付けそうになり、辛うじて思いとどまった。
クラウドはものすごく怒っていた。こんなに腹を立てたのは久しぶりだ。 何に腹を立てているのかというと、自分の言う事を聞かないティファと、 彼女を止めるどころか、まともに話すら出来なかった自分の口下手さと、 家族の危機に側に居ない間の悪い自分にだ。 「くそっ…」 1年前、教会で倒れていた彼女の姿を思い出し、スピードを上げた。 =================================================================== 今宵はここまで。 明日から一足早いお休みなので、また書き溜めて投下に来ますね。ノシ
- 177 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/24(金) 02:15:05 ID:xF6aVu4c0]
- >>170-176
乙。続き楽しみにしてます。
- 178 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/25(土) 00:21:56 ID:MohZOVm80]
- >>170-176
あれか、転送してくれた地図の事か!! (はやまってたらゴメンナサイ) ミミの発言がどう繋がっていくのかが予想できませんでした。 続き期待sage。
- 179 名前:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw mailto:sage [2006/02/25(土) 00:42:11 ID:MohZOVm80]
- …投下させて頂きます。
もうこうなったら開き直ります、ケット・シーが 大 好 き だ! 今回の投下分は、「エッジ前哨戦」と時間的に重なる部分があります。 混乱させてしまったら、すみません。 勢い任せに妄想まとめを作ってみたので、ついでに置いときます。 ttp://www5f.biglobe.ne.jp/~AreaM/PiAftSt/FF7/
- 180 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(1) mailto:sage [2006/02/25(土) 00:47:38 ID:MohZOVm80]
- 前提に>>161-164
---------- 奥で電話が鳴っている事は分かっていた。彼女はカウンターで洗い物の最中 だった事もあり、受話器は取り上げられないまま電話はしばらく鳴り続けていた。 ティファは手を休めて様子を伺うように振り返ったが、呼び出し音が収まる様子は 一向にない。よほど緊急の依頼なのだろうかと内心で思いながら、あきらめたように 蛇口を閉めて簡単に手を拭くと、足早に階段を上った。 受話器を取り上げる前に深呼吸をする。いつもそうしていると言うわけではなかった が、何かいやな予感がしたのだ。これと言って思い当たる節はなかったのだけれど、 こういう予感は得てして当たるのだと相場が決まっている。 しかし、鳴り続ける電話を無視することはできなかった。手を伸ばし受話器を取り 上げる。 「……はい、ストライフ・デリバリー・サービスです。当社はなんでも……」 決まり文句ではあったが、ティファが全てを言い終えないうちに電話の向こうにいる 相手の言葉が重なった。 「1件、ご依頼したい事があるのですが」 聞こえてきたのは、とても穏やかで落ち着いた口調の男性の声。一言一句ていねいに 発音されていて、なんだか聞いていると安心するような不思議な心地がした。 受話器を通して声だけを聞けば紳士的だったけれど、それだけに引っかかる。 「……どちら様ですか?」 相手に姿が見えないことを良いことに、ティファは思いっきり怪訝な表情を作って見せた。 自分が誰かも名乗らずに、話を遮ってまで一方的に依頼内容を話し出そうとするなんて、 電話の向こうにいるのはなんて傲慢な人物なのだろう、と。 「『ボクの事、忘れてしもたんやろか〜?』」 すると急に、緊張感を吹き飛ばすような間延びした声が返ってきた。こんな妙な口調を する人物に心当たりは1人――いや、1匹?――しかいない。その愛くるしい姿が脳裏に よぎった途端、ティファの表情は和らいだ。
- 181 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(2) mailto:sage [2006/02/25(土) 00:56:03 ID:MohZOVm80]
- 「……覚えてますよ、部長さん」
少しあきれたように、だが電話の相手が知っている人物だと分かって内心で胸を なで下ろしていた。 「……リーブです、お久しぶりです。覚えていてくれたんですね、嬉しいです。 お元気でしたか?」 「ええ。リーブさんもケット・シーもお元気そうで」 「『せやけど、あんま会う機会がなくて淋しいですわぁ〜』」 ほんの少しの間、ふたりは互いの近況について話をしていた。けれどそれは 本当に短い時間だった。先に話を切り出したのはティファだった。なぜ、リーブが “ここ”に電話をかけて来たのか、やはり引っかかるのだ。 「ずいぶんお急ぎみたいですね?」 「先程はすみません。……では、さっそく本題に入らせていただきます。 今回、私があなた方にご依頼したいのは、ある物をある場所まで届けて頂きたい のです」 「……“あなた方”って?」 『ストライフ・デリバリー・サービス』は、名前の示すとおりクラウドが始めた仕事 である。彼が不在の時にこうしてティファが電話応対をすることはあっても、彼女が 荷物を運ぶという訳ではない。手伝いたいとも思うが、この店の切り盛りで手一杯 だったからだ。 もちろん、それは仲間達の誰もが知っている。当然、連絡を取り合うリーブも そのはずだった。しかし含みを持たせるような口ぶりに、ティファは首をかしげた。
- 182 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(3) mailto:sage [2006/02/25(土) 00:58:47 ID:MohZOVm80]
- 「ええ、そうです。今回の依頼でお願いする物は、おそらく……クラウドさん
お一人の力では難しいものと思いますので」 ますます言っている事が分からなくなって、ティファは単刀直入に尋ねた。 「どこに、何を運べば良いんですか?」 するとリーブはあっさりとこう答える。 「“平和”を、“ミッドガル”まで届けて頂きたいのです。 ……具体的な内容はまた後ほど。依頼、お受けして頂けると信じています」 その後リーブは自らの連絡先を告げた後、通話を終えた。受話器を置くと ティファは大きく息をはき出した。どうやらティファの予感は当たりそうである。 そういえば3年前の旅の時も、こんな風にして半ば一方的に依頼を受けていた ような気がするな――そんな風に思うと、少しおかしくなった。 (相変わらずなのね) 隣の部屋まで行きティファは自分の携帯を取り出すと、慣れた手つきで幼馴染みの アドレスを呼び出した。4回目のコール音で彼とつながる。 「あ、クラウド?」 もちろん、この依頼を断る理由はなかった。
- 183 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(4) mailto:sage [2006/02/25(土) 01:05:53 ID:MohZOVm80]
-
*** 彼の携帯が鳴ったのは、ちょうど同じ頃のことだった。 油田の採掘現場から戻って一息つこうとしたところに、ちょうどタイミング良く着信が あったこともあり、別に気にせず通話ボタンを押した。 「……お久しぶりです、バレットさん」 「んっ?!」 バレットは一度耳から携帯を離すと、彼の手には小さく見える携帯のディスプレイを まじまじと見つめた。見覚えのある番号――ではない。いや、たとえ見覚えのある番号 だったとしても、彼は番号を登録していなかったのだ。 しかし、電話の相手は自分のことを知っている。そもそも知らなければこの番号に かけてくる事もないのだが。 「だ、誰だ!?」 不信感を隠さず声に出したバレットに対し、電話の向こうの男もまた皮肉を口にする のだった。 「『かつての宿敵や、覚えとれへんのか?』」 「け、ケット・シー!? ……っつーことはお前、リーブか!」 反神羅組織アバランチのリーダと、神羅カンパニー都市開発部門統括責任者。かつて 彼らは壱番魔晄炉爆破と7番街プレートの件を巡り、真っ向から対立していた時期も あった。旅路を共にする中で、反目し時には激論を交わしながらも互いを知り、最終的に 北の大空洞では背中を預けて戦えるまでの信頼関係を築いた。当時のわだかまりは、 シスター・レイがバリアと共に砕いくれたのだ。 旅が終われば各々が進むべき道を歩き始め、自然と会うことも少なくなった。とはいえ 定期的な連絡を取り続けてはいたものの、何の前触れもなくリーブから唐突に連絡が 来るなんて。バレットにとっては予期せぬ出来事に、嬉しさと戸惑いを覚えたのだった。 「ようやく思い出して頂けた様ですね。改めてお久しぶりですバレットさん、お元気そうで なによりです」 淡々と語るリーブに、バレットはくつろいだ体勢になりながら、こう切り出した。 「お前がかけてくるなんて珍しい事もあるもんだな。……どうせ、なんか魂胆でもあるんだろ?」 くだけた口調で言ってはいたが、わりと本心から出た言葉であることは間違いなかった。 そしてリーブは「ご名答」と、こちらもやはりくだけた口調で返すのだった。
- 184 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(5) mailto:sage [2006/02/25(土) 01:10:24 ID:MohZOVm80]
- 「実は、折り入ってお願いしたいことがありまして……」
その言葉を境に、リーブの口調は先程までとは明らかに違い、一気に深刻さの度を 増した。バレットは思わず姿勢を正し、リーブが発する次の言葉に意識を集中した。 「……魔晄炉を、破壊して欲しいのです」 いったい何を言われているのか、理解するのにしばらく時間が必要だった。バレットは 姿勢を正したまま、瞬きすらしなかった。「もしもし?」とリーブの呼びかける声でようやく 我に返ると、素っ頓狂な声で問う。 「お前……今さらオレになに言って……」 「……正直、皮肉な話だとは思いますが」 小さくため息を吐く音が聞こえたような気がする。バレットが次の言葉を探している間に、 リーブは続けた。 「星のために……もう一度。あなたの力を貸して欲しいのです」
- 185 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティU(6) mailto:sage [2006/02/25(土) 01:14:09 ID:MohZOVm80]
- まるでアバランチとして活動していた頃の様に、壱番魔晄炉を破壊した当時の自分と同じ
事を今になって口にしたリーブの言葉と、その声を聞いた自身の耳を疑った。 「星のために、もう一度いっしょに戦ってもらえませんか? ……具体的な内容はまた後ほど。お引き受けして頂けると信じています」 その後リーブは自らの連絡先を告げた後、通話を終えた。ランプの消えた携帯をぼんやりと 見つめながら、バレットは大きく息をはき出した。 なぜ、今頃になって魔晄炉を? 魔晄炉はおろか、ミッドガルそのものが機能を停止してから数年が経つと言うのに。今さら? 疑問は頭の中をぐるぐると回るだけで、答えが出てくる気配はなかった。 それが癖なのか、バレットは無意識のうちに頭を掻いていた。しばらく考え込んだ末、意を決した ように再び携帯の発信履歴を呼び出すと、通話ボタンを必要以上に力一杯押したのだった。 「おう、バレットだ!」 5回のコールでつながった相手に、これまた必要以上の大声で呼びかける。 もちろん、彼がこの申し出を断る理由はなかった。 彼らがミッドガルへと続く荒野に立ったのは、それから間もなくのことである。 鼓吹士、リーブ=トゥエスティU<終> -------------------- 舞台:FF7AC〜DCFF7第2章 備考:FF7の飛空艇イベント(ウェポン近辺)を見てから、 DC12章のムービーを見ると、こんな展開を期待でき…なくもないかなと。
- 186 名前:エッジ前哨戦 mailto:sage [2006/02/25(土) 01:22:41 ID:fIyQppQX0]
- >>180->>185
投下リアルタイムで読めるなんて… リーブとバレットの会話がすごく(・∀・)イイ!!です。 読んでいて溜め息が出ました。 自分、バレットがかつて魔晄炉を爆破して心に傷を負った事、 二人に確執(?)があったを失念してました。 全くの個人的な話で恐縮ですが、すごく凹んでいた所に 読ませて頂いたので、復活する事が出来ました。 自分も頑張ります。ありがとうございましたm(__)m
- 187 名前:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 16:20:42 ID:fIyQppQX0]
- コテ付けました。訂正です。時間軸おかしくなってた_| ̄|○
>>173 × だが、今は一刻も早くミッドガルに辿り着き、ティファを止めることだ。 (もう、あんな思いはごめんだ…) あの時は間に合わなかったが、今度は間に合わせてみせる。 そして、ティファを思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。 ○だが、今は一刻も早くエッジに辿り着くことだ。 (もう、あんな思いはごめんだ…) そして、家族を思う一方で、何もかもが一度に動きだしたことに思いを馳せる。 >>178 「ご名答」 チラシの裏です。DC内でティファを操作して、地図確保とか、バレットを使って街の人を救出… なんて混ぜてくれたら、うれしかったんだけどなぁ…と思って書いてます。 まだまだ、続きますが、どうぞお付き合い下さいませ。
- 188 名前:エッジ前哨戦【11】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 16:21:40 ID:fIyQppQX0]
- ミッドガルに向かうとなると、まずは乗り物を確保しなくては。
乗り捨てられたトラックがあり、ティファは運転席によじ上る。 中には息絶えた運転手がハンドルに突っ伏していた。 (ひどい…) ティファは眉を顰めた。足下から怒りが湧いて来る。 運転手をそっと抱き起こし、助手席に横たえてから エンジンをかけてみるが、キーが空回りするだけだ。 (ダメだわ…エンジンも撃たれたのね) それにしても、襲撃者は一体何が目的なのだろう? ミッドガルのすぐ近くにあり、人工も多い街だが、 軍事的拠点というわけではない。 WROの基地ではなく、この街が目的なのは何故だろう。 ティファはここに辿り着くまで、たくさんの亡くなった人たちを見て来た。 大人も子供も関係なく折り重なって倒れていた。 街の制圧が目的ではないようだ。むしろこれはまるで、 (皆殺しが…目的みたい…) 自分の考えにぞっとした。背筋が寒くなる。 (早く…行かなきゃ。) 運転席を降りる前に、助手席を振り返る。 「あなたの…敵はきっと取るから…」 そんな事で、死んだ人間は帰って来ないのだが。 もう少し早く辿り着いていたらこの人は助かっただろうか。 自分の無力さに崩れ落ちそうになるのを必死で踏みとどまり、 車を探すためにティファはまた駆け出した。
- 189 名前:エッジ前哨戦【12】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 16:22:11 ID:fIyQppQX0]
- 次々と光るブルーのラインの入った戦闘服を着た兵士が
ティファに機銃を浴びせる。それを相手の懐に飛び込み、 掌打を浴びせ、足を払い、投げ飛ばし片端から倒して行く。 ふと攻撃の波が途切れた。息が上がるのを、呼吸法で整える。 如何に手練れとは言え数が多過ぎた。しかも、銃を持った相手だと 瞬間にダッシュして相手の胸元に飛び込んで倒さなければならない。 「ちょっと…なまってるかな?」 そう強がったた所に、頭上から何かが落ちて来た。 (な、何…?) と、思った所で身体ごと何かに引っ張られて宙に浮いた。 (網…?) 落ちて来たのはがっしりとしたワイヤーで出来た捕獲用のネットだった。 振り向くと、蜘蛛の様な足を持った巨大な機械の塊がいた。 頭頂部からマジックハンドが出ていて、その先に自分はぶら下げられているのだ。 (油断した…) 歯痒さに奥歯を噛み締める。 ワイヤーを切ろうともがけばもがく程、身体に絡み付く。 身体の位置が定まらず、気が付けば頭が下に来ている。 (…もう、最悪ねコレ!) 自分の不甲斐なさをとりあえずネットのせいにする。 ふと機械の方を見ると、銃口が伸びて来て、ティファに標準をぴたりと合わせた。 銃口の奥にチラリと炎が見え、ティファは息を飲んだ。 (…クラウド!)
- 190 名前:エッジ前哨戦【13】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 17:09:08 ID:fIyQppQX0]
- 頭が下、足が上という不自由な体制で、
ティファは思い切り反動を付ける為に身体を揺する。 ゆらゆらと振り子の様に揺れるネットの中で銃口の火が まさに飛び出さんとする瞬間を見極める。 (今だ…!) さらに反動を付け、ネットごとジャンプする。間一髪で炎が足の下を通過する。 高熱で溶けかけた部分に手をかけ、引きちぎり、そこから辛うじて抜け出すと、 自分を捕らえていた忌々しい機械の塊の上に降り立ち、掌打ラッシュを浴びせる。 鉄板が、ティファの拳の形にどんどん凹んでいく。 蜘蛛の様な足の一本ががくん、と崩れた所で足下に飛び降り、 本体を片手で持ち上げると、高々とジャンプし、地面に叩き付けた。 バラバラに砕け散り、火を吹くそれの傍らに降り立つ。 「倍返しよ。」 そううそぶくと、スクラップとなった塊に見向きもせずにまた駆け出したのだった。 それにしても、ピンチの時になると彼の顔が過るのは、以前のままらしい。 彼は今頃、猛スピードでこちらに向かっているはずだ。 (でも、きっと、とても怒ってるだろうけど…)
- 191 名前:エッジ前哨戦【14】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 17:10:01 ID:fIyQppQX0]
- 入り組んだ路地を駆け抜け、南側の広場の手前で足を止めた。
物陰から様子を伺うと、『神羅』の文字の入ったカーゴに たくさんの人が詰め込まれている所だ。周りを兵士が取り囲んでいる。 ティファにも今の神羅がここまでするとは思えなかった。 腹の底こそ分からないが、ルーファスを始めとする残存勢力は 今では『借り』を返す為復旧に全面的に協力していると聞く。 (でも…やっぱり怪しいわ。) 中には奇妙なヘルメットの様な物を被っているが、 ソルジャーの服装の者もいたからだ。 ティファはますます確信を深めた。 そして、現状をどうすべきか頭を巡らせる。 今、飛び出して戦うと、街の人を巻き込んでしまう。 大きなプロペラを付けた巨大なヘリコプターが 街の人を乗せたカーゴを積み込み、どんどん飛び立っていくのを 物陰に隠れて見ているだけだ。 またもや自分の無力さにティファは唇を血がにじむほど噛み締めた。
- 192 名前:エッジ前哨戦【15】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 17:12:02 ID:fIyQppQX0]
- 不意にティファのいる反対側の道路からジープが走って来た。
乗っているのは家族連れのようだ。後ろから、さっき倒したのと同じ、 奇妙な生物ービーストソルジャーが追いすがる。 ティファはすぐにこちらに走ってくるジープに向かって駆け出した。 必死で運転していた父親は思わず悲鳴を上げた。 後ろからは得体の知れない獣が追いかけて来て、 正面からは人間が突っ込んできたからだ。 思わず目を閉じ、急ブレーキを踏む、と、正面の人物は 走っている車のフロントにとん…と両手をつくと、 まるで跳び箱でも飛ぶかの様に軽々とジャンプしジープを飛び越えた。 かと思うと、掌拳で一匹目のビーストソルジャーを吹き飛ばした。 掌拳の勢いで身体を回転させると、残り1匹を鮮やかな回転蹴りを喰らわす。 飛ばされたビーストソルジャーは壁に叩き付けられ、ずるずると地面に滑り落ちた。 蹴り飛ばされた方は宙に舞い上がり、即座に地面に叩き付けられた。 着地したティファはすぐにジープに駆け寄った。 「大丈夫ですか?」 乗っていた家族は父親と母親、そして二人の女の子だった。
- 193 名前:エッジ前哨戦【16】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/25(土) 17:13:11 ID:fIyQppQX0]
- 何が起こったか漸く理解した父親はすぐにティファに礼を言った。
「街の外に逃げようと思ったんだが…周り中、銃を持った兵士ばかりで…」 「私の家に下水道に続く隠し扉があります… そこに近所の人みんな避難してもらってるんです…そこへ行って下さい。」 ティファはそう言うと、ポケットから鍵を取り出し、父親に渡した。 「入り組んだ路地なので車では行けませんが… ここに来るまでの敵は残らず倒しました。だから子供連れでも大丈夫です。」 「倒したって…あんたが一人で…?」 ティファは曖昧に微笑む。 「もうすぐ救援も来ます。でも、急いで。」 ティファは店の場所、隠し扉の位置、3回ノックのルールを伝えた。 「でも…鍵をもらっちゃったら、あんたが入れないんじゃ…」 横にいた母親が心配そうに尋ねる。 「もう一つ鍵を持ってるの。だから心配しないで。」 それと…私、どうしても行かなきゃいけない所があるの。 このジープを借りてもいいかしら?」 7th Heavenに向かう家族を見送り、ティファはホッと息を吐いた。 一人でも多く助けられる事が前に進む活力を与えてくれるのだ。 鍵を渡してしまったが、心配ない。 (そう…鍵はもう一つあるの) もう一つの鍵は、フェンリルのキーにぶらさがっているはずだ。 クラウドはきっと来てくれる。だから、鍵は一つでいいのだ。 ティファはジープに飛び乗ると、エンジンをかけた。 そして、街から臨む魔晄キャノンを一睨みすると、 「首を洗って待ってらっしゃい!」 そう呟いて、アクセルを乱暴に踏み込んだ。
- 194 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/25(土) 17:51:42 ID:v+Ae9KrE0]
- おお、いいねえ!
- 195 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/26(日) 00:18:10 ID:nCaYKv2Y0]
- ハラハラの展開
- 196 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/27(月) 00:21:54 ID:s4KsOWwW0]
- 新作いっぱいキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!
- 197 名前:エッジ前哨戦【17】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/27(月) 21:01:40 ID:QlxY8ScB0]
- 頭上でノックと、鍵が回される音が聞こえ、マリンはハッと顔を上げた。
「ティファ!」 マリンはすぐに立ち上がって、地上へのはしごに駆け寄り、デンゼルも後に続く。 ティファが戻って来てくれたことと、これでマリンも落ち着くだろうと思い、 少し気が軽くなる。だが、降りて来たのは見知らぬ家族だった。 呆然とする二人に、 「あんたら…あの髪の長い女の人の知り合いかい?」 デンゼルが頷く。マリンは呆然として、それすら出来ない。 「逃げてる途中であの人に助けられてね。ここに来るようにって、鍵をもらったんだ。」 父親の方が鍵をデンゼルに渡す。 「ティファ…は?」 「行かなきゃならないところがあるって…私達のジープを貸してあげたんだよ。」 二人はいかにティファが強かったか、どれだけ感謝しているかわからない、 と語るのがデンゼルには誇らしい。 が、マリンの口がどんどんへの字型になるのが気が気でない。 その時、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。 デンゼルは救われた気がして、話が終わらない家族連れと、マリンに、 ご…ごめんなさい…ちょっと見て来ます!」 そう言って、慌ててその場を離れた。 泣いているのはミミが抱いてる赤ん坊だ。 「どうしたの?」 「デンゼル…ミルクはあるんだけど…水が足りないの。」 ティファはちゃんと非常用キットを用意していてくれたのだが、 避難する人数の方が多過ぎた。
- 198 名前:エッジ前哨戦【18】 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/27(月) 21:03:42 ID:QlxY8ScB0]
- 「俺、汲んで来るよ!」
「だめ!」 いつの間に側に来たのか、マリンが叫ぶ。 「危ないよ!絶対にだめ!」 でも、泣いてる赤ん坊を放っておけないし、泣き声で見つかってしまうかもしれない。 「すぐ上の、店の厨房だし平気だよ!」 大人達も口々に止めるが、 少しでもクラウド達の役に立ちたい気持ちと、子供らしい冒険心と、 何よりも泣いている赤ん坊を守ってあげたくて、 「大丈夫!俺、こう見えてもWROの隊員なんだ。」 訝しげな大人達の顔をぐるりと見渡し、デンゼルは努めて明るい声で続ける。 「本当だよ!リーブ局長に許可ももらって、訓練だって出てるんだ。 見つからないように…すぐそこだし、大丈夫!」 「確かに、今のところ怪しいやつらはいなかったけどねぇ…」 ティファに助けられた家族の、母親の方が呟く。 「様子を見て、危ないようならすぐに戻ります。」 「デンゼル!」 「マリン…」 デンゼルはマリンの手を取った。 「一緒に行くぞ!」 「え…?」 「怖い?」 びっくりして、まんまるになった目がデンゼルを見つめ返す。 やがてにっこりと笑うと、大きく頷いた。 「うん!待っているのはもうやだ!待つのはきらい…一緒に行く!」 二人はしっかりと手を繋ぐと、心配気な大人達を後目にはしごに向かった。
- 199 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2006/02/27(月) 22:26:22 ID:aZD4ouJNO]
- おつです!つづきまってます
- 200 名前:エッジ前哨戦 ◆BLWP4Wh4Oo mailto:sage [2006/02/27(月) 23:30:52 ID:QlxY8ScB0]
- 乙コール下さったみなさま、ありがとうございます。
まだまだ続きますが、投稿人、書くのが楽しくて仕方がないので どうぞもう少しお付き合い下さいませ。 週末DCをクリアして、ぜひミッドガル地上戦も書きたいと思うのですが、 ゲーム内だけだといま一つ背景が分かりにくく、お話が膨らみません。 投稿人としては失格ですが、「この時は誰々はこうしてた」とか、 アイデアや、ヒントを頂けたらと思います。(特にシド) それをこの場でしてもいいのか、それとも該当スレがあるのか、 それともスレを立てねばならないのか、アドバイスを頂けますでしょうか。
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![](http://yomi.mobi/qr.gif)
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