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過去のエヴァが高いクオリティーで出来上がった理由



1 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/09(火) 06:13:10.37 ID:???.net]
新世紀福音という名前で
聖書からアイデアを取り出して
キリストを妄想上の醜い姿であったとしても描き出したので
神の目に止まり
「聖霊」が注がれて
上手くネジが噛み合い
製作者に高い品質のアイデアや作画力、
コマ回し台詞回し魅力あるキャラクターが生まれた

イスカリオテのユダたるマリなんかを重要なキャラにしたのが失敗の元
聖霊が働かなくなり作品として低クオリティーになった

101 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:30:59.64 ID:???.net]
そこで、私は「青い目」と呼ばれてみなから親しまれている気高い年寄りに
告解しに行くことにした。

彼の子供のような眼差しを前に、この私さえ跪くこと度々だった。
実験に彼を選んだ理由はそこにある。自分自身は、
彼がどうやって告解の秘密をもって行動し、
私に退学を命ずるかどうかを知りたかったのだ。

それが危険なことだとは考えなかった。
私はどんなことでも一番だったので、とても有利な立場にあった。
この一団の中では最優秀な学生なのだ。

告解を聴いてくれるよう、「青い目」に願い、何もかも話し始めた。

大事なところはみな喋った。
自分が共産主義者であること、
国家秘密警察の工作員であること、
自分に召し出しがないと偽ったポーランド人宗教者を殺したことなど。

ところが、不思議なことに、彼は私の言葉を即座に信じたのだ。
みな作り話かもしれないというのにである。

彼は、永遠の救いについて、使い古されたセリフを並べ立てた。

私は大声で笑い出すところだった。
この男は、私が僅かでも信仰をもっていると考えているのだろうか。

102 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:32:12.82 ID:???.net]
私は、彼に断言せざるを得なくなった。

「私は神も悪魔も信じてはいないのですよ。」
こんな告解は、多分、彼にとっても初めてのことだったろう。私は彼に同情した。

すると、彼はこう言った。
「いったい、修道会に入って、何を得ようというのか。」

私は、自分の考えを率直に述べた。
「教会を内側から破壊することです。」

「それは大した自惚れだ」と彼は答えた。
私は怒りそうになったが、自慢げに言った。

「すでに千人以上のわれわれの仲間が、神学生、司祭として入り込んでいるのですよ。」
「そんな話は信じない。」

「それはあなたの勝手です。だが、私の認識番号は1025です。
死んでいる者もいるかもしれないが、大体千人いると言っていいでしょう。」
それから、長い沈黙を置いてから彼はこう言った。

「わしに何を求めているのか。」
告解の秘密をもって、彼がどんな行動に出るかを見届けたいだけだ、とは言えなかった。そこで、この言葉に留めた。

「私を退学させるつもりでしょう。」

「退学だと! おまえは一番優秀な学生、それに一番信心深い一人ではないか!」
返す言葉を失ったのは私のほうだ。

103 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:35:12.85 ID:???.net]
「このように告解しても、私の正体が分からないのですか。」
すると、彼はこう答えた。
「告解は霊魂の益のために、われらの主、イエズス・キリストによって
定められたものなのだ。だから、おまえの告解は無意味だ。」

「私の理解を深めることにもならないというのですか。」
「それどころか、おまえがここから出て行ったら、
わしは告解の内容をすべて忘れてしまうのだよ。」

「本当ですか。」
「ともに学んでいるのだから、おまえにもそれ位分かっているだろう。」

「言葉の上では分かっています。しかし、現実には理解できないことです。」
「なら、この信じ難い告解の本当の目的は、そこにあると見て良いのではないかな。」

「そうなのかもしれません。」
「他に目的があるのなら言うがよい。」

「いいえ、ありません」と私は彼に丁寧に答えた。
「御一緒に学びたかっただけです。それだけです。」

彼は考え込んでいる様子だった。それから、私にこう言った。
「つまらないことだ。そんなことからは、何も結果しない。」

「何もですか?」
「全く何物も結果しない。分かっているはずだ。」
彼はこう言うと、私一人を置いて出て行った。

翌日、私の友人だと勝手に思い込んでいるクラスメートが、低い声で耳打ちした。
「昨夜、“青い目”は、礼拝堂で徹夜で祈っていたそうだ」

104 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:39:18.31 ID:???.net]
私は老いた聴罪神父を見つめた。
彼は、寝ずに夜を過ごした人のようには見えなかった。
だが、彼が講義を進める間、私はその夜のことを黙想していた。
彼は、オリーブの園でのイエズスの苦しみを真似していたのかもしれない。

「青い目」は、自分からこの杯を遠ざけてほしいと祈っていたのかもしれない。
だが、この告白から逃れることはできなかったのだ。

あの告解を忘れるのは、彼にとってほとんど不可能なことではないかと私は思った。
彼は、祈りの中で、私が回心するか、自分から出ていくよう願っていたに違いない。

それとも、私を追い出す方法を見つけ出そうとしていたのだろうか。
そんな考えが頭に昇ってくるたびに、
「いやいや、自分は何も覚えてはいないのだ」と心の中で叫んでいたのだろう。

この告解とは無関係なことで、私の悪口をたたくことが、彼にできるだろうか。
それはまったくありえない。
完璧な神学生の見本でなかったならば、私は告解になど行かなかったのだ。

彼は、共産主義者がどんな犠牲をも厭わないことを知らなかったのだろうか。
この人々は、犠牲的行ないができるのはクリスチャンだけと信じているのだ。

それからというもの、私は「青い目」を注意深く観察し続けた。
そして、彼がいつもと変わらないことを知った。

彼は、いつも通り穏やかで、親切だった。

105 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:41:42.98 ID:???.net]
本当のことをいえば、私は彼が好きになっていた。

伯父への手紙で彼に触れるときには、自分を咎めそうになったほどである。
だが、告解の件だけは書かなかった。書いても彼らには理解できまい。

数ヶ月後に、私は他の教授にも告解したい気持ちに襲われた。
本当は、単調な毎日と、周囲を喜ばせてばかりいなければならない自分に、
嫌気が差していたのだ。
ちょっと暴れたかったのだ。

それで、私はすべての教授に告解しに行った。
そして、彼ら全員に、恐るべき秘密を伝えることができたと喜んだ。

だが、私のような人間が存在するということ、
将来どんな問題でも起こせるということに、
彼らがどうして我慢していられるのか理解できなかった。

だが、しばらくして、私は問題視され始めた。
実を言えば、この刺激が欲しかったのだ。

彼らは、私が修道会を受け入れるのを阻止する方法を探っているのではないか、
と私は想像した。
闘志は二倍になり、ますます自信を強めた。

全世界におよぶ反宗教活動を推進するのが自分の役目なのだ。
仕事の暗号化を伯父から求められなかったのは、幸いだった。
私はただ、週に一つの計画を作成するだけでよかった。

次々にアイデアがあふれてきて、この仕事には飽きることがなかった。
逆に、自分にとっては喜びであり、支えでさえあった。

106 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:44:54.18 ID:???.net]
告解ゲームを楽しんでいた頃に、私は特に、教理のある点に敏感になっていた。
彼らの言うところの、「従順の聖徳」である。

従順は、特に教皇に関係する。
私はこの問題を理解できないまま、いろいろな角度から引っくり返した。

そこで、機会あるごとに、カトリック信徒が教皇に向ける信頼を
冷笑するよう指令を出した。
それがいかに難しい注文であるかが、自分には理解できていなかったのだが、
ともかく、教皇を批判させるよう、カトリックを煽動しなければならないと考えたのだ。

ある仲間は、バチカンのすべての文書に目を通し、
誰でもいいから不愉快にさせられる、どんな些細な言葉でも見つけ出す任務についた。

教皇を批判する人々の質は問わない。
唯一重要なのは、教皇が批判されるということなのだ。 
一番理想的なのは、教皇が、保守派とモダニストの
両陣営を不愉快にさせるということだ。

従順の徳は、この教会の中心的しきたりの一つだ。
私は、彼らに良心の呵責を増幅させて、これを弱体化させることを考えた。

キリスト教の分裂に対する責任を、カトリックの誰もが感じなければならない。

この四世紀あまりのあいだ、彼らがプロテスタントに向けてきた侮辱の数々を
償う方法を、カトリック各人に探らせるのだ。

私は、プロテスタントの感情を害するものをみな列挙し、
もっと彼らに慈愛(チャリティー)を向けるべきだと提起した。

慈愛には利点がある。それによってどんな愚行にも誘うことができる。

107 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:48:34.73 ID:???.net]
当時、私は、自分の計画が露見して、神をなきものにせんとする方法が、
多くの者に気取られるのではないかと心配していた。

その後の展開によって、このような不安が誤っていたことが分かった。

「善の敵が最大の敵」というフランスのことわざがある。

プロテスタントに向けた私の同胞愛が、キリスト教全体の破滅を目指していることなど、
誰も気付きはしなかったのだ。

プロテスタントが信仰(あるいは、違った「信仰」)を持ってはいないとか、
自分の任務がプロテスタントとは無関係であるとかいうつもりはない。

だが、私は、彼らがカトリックに改宗してはならないこと、
逆に、プロテスタントに歩み寄るべきはローマカトリックであることを
示すことによって、彼らを目覚めさせる。

バチカン会議の声明の時でさえ、私は全世界にメッセージを打ち出した。
それは、指令と予言を含むものだ。

予言はこうである。神ご自身が、大いなる奇跡、目を見張るばかりの奇跡によって、
キリスト教徒の一致を実現される。
だから、これに干渉してはならない。広い心、真に寛大な心をもたない限りは。

108 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 01:48:56.34 ID:???.net]
言葉をかえれば、神が「きれいな心の中で」壮大な奇跡を演じることを許すため、
カトリック信徒はみな、心を空っぽにしておかなければならない。
現代のカトリック信徒にとって、心のきれいな人間とは、
あらゆる手段を尽くしてプロテスタントを喜ばせる人でなければならない。

指令も、ごく簡単なものだった。
プロテスタントがカトリックに改宗することを、厳禁するということだ。

自分がこの点を重視したのは、改宗者の数が加速していたからだ。
カトリックがプロテスタントの改宗者を受け入れ続けている限り、
偉大な奇跡は起こり得ないことを、私はどこででも強調した。
私は、神の働きに干渉してはならないことを、はっきり知らしめた。
人々は私に傾聴し従った。

奇跡を演じたのは、彼らの神ではない、この私なのだ。

私は今でも喜びに震えている。これは、私の大成功のうちに数えられるだろう。

109 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:03:12.32 ID:???.net]
神学校生活二年目の終わりに、
私は今後も続けて行けるのかどうかを真剣に自分に問いかけていた。

意志力だけでは十分ではなく、憎しみだけで生きていくには若すぎた。
それでも、この憎しみが膨れあがっていくのを私は見た。
最初は神に向けられていたこの憎しみは、回りの全員に拡大した。
私が全員をどれほど憎んでいるかさえ、彼らには分からなかった。

よく彼らに耐えることができたと今でも思う。
私は、本当に孤独な人間なのだ。
社交性は、自分には無用だったとしても、人間的な暖かさという僅かな安らぎさえ、
青年時代にはなかった。

実際、毎土曜日に通うあの聖歌の教授しか、私にはいなかった。
彼とは、ある面では言葉を交わさずとも理解し合えたが、彼には
私の広範囲な使命の現実性がまったく理解できてはいなかった。

だが、彼の家にいると、真実くつろげるのが救いだった。
彼がいなかったら、私は抵抗する力さえ持てなかったかもしれない。

この手記が出版されないのは幸いだ。仲間にとっていい見本にはなるまい。

私は、世間の行事に招かれるようにとの指令も受けていた。
どこからどうやってくるのか分からないが、指令は私の元に来たため、
従わざるを得なかった。

私は、伯父に手紙を書くときにも、このようなつまらぬ任務の価値について、
あえて尋ねようともしなかった。
私がこの種のことを不愉快に思うと知っていたのだろう。
彼は、世間を知っておくのもためになると最初から言っていた。

それは認めるが、役に立つような発見は一度もしたことがない。



110 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:06:28.67 ID:???.net]
ある晩、私は、特別豪華な大レセプションに顔を出していた。
ある若い娘の横顔に視線を移した。
突然、彼女の周囲が全て消え、自分の感覚さえ失せた。
彼女は、長い首をして、ピサの斜塔よりもほっそりとし、
かき乱したくなるような豊かな黒髪をもち、わがままそうな横顔と同時に、
子供っぽさも残っていた。

息を呑んで彼女を見た。彼女は私を見なかったが、
まるで二人しかいないような感覚に陥った。
私は顔を盗み見しようと、大声を出し、こちらを振り向かせようとしたが、
彼女は振り向かなかった。

どれくらいの時間陶酔に浸っていたか分からない。
だが、その時に、見知らぬ若者から声をかけられたのだ。
彼はすべてを呑み込んでいた。

「Xさんにご紹介しましょうか」と言ってきたからだ。
彼は私の名を知っていたが、私を大学生と誤解していた。
このような社交の場で、私を神学生と思う人間は一人もいない。

それから少しして、この若者は「黒髪」に私を紹介した。(彼女の名前は書くまい。)
私は、呼吸法のおかげで落ち着きを取り戻していた。
自分は完全に別の人間になっていた。
一瞬の間にだ。
その晩中、私は自分に何事が起きたのか、理解しようと努めた。
この新しい気持ちを楽しむことで余りに忙しかった。

私は、少しの時間「黒髪」と話をした。
だが、彼女の気を引くことはできなかった。
彼女を独り占めにして、誰も知らない小さな家に移し、
そこで自分を待つと約束させたい、そんな気持ちで頭が一杯だった。
彼女は困らせるような真剣なまなざしで人を見る、黒い大きな瞳を持っていた。

111 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:09:46.91 ID:???.net]
彼女がダンスに誘われた時には、私を彼女から引き離した男を殺さないよう、
手を背後で固く握り締めていた。
ダンスは悪魔的な発明だ。
他の男とダンスしている妻に我慢していられる男の気が知れない。

ワルツを踊る彼女を見た。ドレスも素晴らしかったが、
彼女のしなった首に、私の目は恍惚となった。
それは処刑人の斧に差し出されているかのように見えた。

この娘が残酷な死にかたをする運命にあると、
なぜ自分が思い込んだのかは分からない。
この感覚が、彼女を全員から引き離したいという気持ちをいっそう強めた。

こんなアホどもの中で、いったい彼女は何をしているのだろう。
彼女はどんな仕事をしているのだろう。

自分だけを待っていてくれるよう、何としても彼女を説得しなければならない。
この目的を遂げるためなら、何でもしようと思った。彼女は私のものだ。それだけだ。

だが、彼女は老いた夫婦と一緒だった。どうしたら、また会えるだろうか。

彼女は、私には全く注目してはいなかった。
最後に一瞥しただけである。この一瞥は何を意味しているのだろう。
またお会いできますかという意味だろうか。そうかもしれない。

いずれにせよ、私は彼女の考えをこれ以上案じるのはやめることにした。
自分のものだと結論したからには、彼女の気持ちをこちらに向けさせるだけだ。
同意しないかもしれないが、試すだけの価値はある。

わたしは彼女の名前しか知らなかったので、彼女を探す仕事を聖歌の教授に託した。
彼はこの仕事をとても面白がった。彼は私にこう言った。
「おまえも人間だったということだ」

112 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:12:55.51 ID:???.net]
私のどこが非人間的だと彼が思っていたのかは分からないが、
この言葉には当惑させられたが、釈明しようとしなかった。

調べには時間がかかったが、私は自分を落ちつかせようと、
何倍もの情熱を仕事に向けた。

この頃、私は、カトリックをプロテスタントに受け入れられるようにするための計画を、
市場に打ち上げることで大忙しだった。

カトリックは、プロテスタントが母教会の囲いに戻ってくると期待しすぎた。
彼らはその傲慢さを無くすべき時に来ていたのだ。
慈善事業がそれを彼らに義務付けた。慈善事業がうまくいかなくても大丈夫だ。

私は、ラテン語ミサの廃止、聖職者の着衣、像、絵、蝋燭、
祈祷台の廃止(彼らが跪かずにすむため)を、同じ響きで何度となく繰り返されるよう、
確信をもって予言した。

それから、十字の印を禁止する活発な宣伝活動にも着手した。
このしるしは、ローマカトリックとギリシャ正教でしか行なわれていない。
十字の印と跪きは、みな滑稽な習慣だ。

私はまた(一九四〇年代だった)、祭壇がなくなって裸の机に替えられること、
キリストが神ではなく人と見なされるため、十字架もなくなると予言した。

ミサはただの会食に過ぎない。誰もが、未信者さえ招かれるようになると主張した。
そして、次の予言に行きついた。
現代人のための洗礼は、滑稽な魔術と化している。
全浸礼であろうとなかろうと、洗礼は、大人の宗教のために廃止しなければならない。

113 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:17:44.63 ID:???.net]
私は、教皇を排除するための効果的手段を発見しようとしたが、
そうする可能性を発見できなかった。

「汝はペトロなり。この岩の上にわれは教会を立てん。
地獄の門もそれに勝つことあたわず」
というキリストの言葉が、狂信的ローマの発明なのだと言わない限り、
教皇はいつまでも力を持ち続けるだろう。

だが、どうしてそれを証明できるだろうか。可能だと言うだけでは不充分だ。
私は、教皇を必ずや愚者と思わせることに成功できると期待して、自分を慰めた。
大切なことは、彼が何か新しいことを始めるたびに、
難しすぎて従えないような古い習慣を復活させる時にも、反対声明を出すことだった。

それだけではなく、離婚者の再婚、一夫多妻、避妊、安楽死、同性愛など、
プロテスタントの、たとえ一つの教派でも許可されているものは、
すべてカトリックの間で正式に許可されなければならない。

世界教会は、すべての宗教、未信者の哲学者さえ受け入れなければ
ならないため、キリスト教諸教会は個々の所有権を放棄しなければならないのである。
そこで、私はおおがかりな粛清を行うよう要請した。

見えざる神を拝む狂信的心も精神も、容赦なく除く必要がある。
無視した奴らもいるが(その名前は言うまい)、ジェスチャーの力、
感覚に訴えかける力を、私は見逃しはしなかった。
注意深く観察すれば、私が、厳しい宗教の中から、
愛を感じさせるものをみな覆い隠したことが分かるはずだ。

それを厳しいものにしておくのも大事な仕掛けなのだ。
この狂気の神が、つまるところ、人間の発明したものに過ぎないということを、
仄めかしているのだ。
自分の一人子を十字架にかけるために送るほど残酷な神であるということだ。
だが、私は、自分の憎しみが著作の中に現れぬよう、細心の注意を払った。

114 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:21:59.96 ID:???.net]
これらの指令書と予言に大喜びしていたときに、わが聖歌教授が電話をしてきた。
彼女を見つけたというのだ。しかも、その晩に開かれるコンサートに私を招待してきた。
そこで彼女に会えるだろうということだった。

幸いにも、私は外出許可を得ることができた。
私は歌が上手なことでも知られていたし、教会は音楽家に対しては寛容だ。
私は彼女に再会した。前以上に美しかった。
本当に、本当に、美しく、私は気がおかしくなりそうになった。

彼女は、翌土曜日に、わが聖歌教授の家で開かれる茶会に出ることを、
すすんで承諾した。
私は、大学センターに住んでいるふりをした。
声楽の教授は、アキレスの名前をもっていたので、アキレス伯父と
自分を呼ぶように言った。そうすることによって、
家族を持っていると思わせるつもりなのだろう、そう私は理解した。

だが、この件については有り難いとは思わなかった。
私が真剣に結婚を考えるよう希望していることが、彼の態度から読み取れたからだ。

どうして、彼はこんな馬鹿げた考えを持てるのだろう。
それは、私が召し出しに相応しくない、と彼が感じている印なのだ。
だが、彼は、私が社会主義者としての召し出しに
どれほどの力と真剣さを傾けているか、まったく知らずにいるのだ。

だが、そのことを考えているうちに、この無理解が自分の偽装の力を
証明するものであり、逆に好都合であることが分かってきた。
真実偉大な人間であるには、平凡で、馬鹿にさえ見せかけていることが肝要だ。
人前で自分を見せびらかす人間は、実際に弓を引く者ではないのである。

115 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:22:50.05 ID:???.net]
「黒髪」は、アキレス伯父の家を満喫している様子だった。

私は、自分のスラブ人としての魅力をたっぷり披露した。
それは誰から教わったものでもない、本能的なものである。
自分がそれに大きな誇りを持っていることを伝えなければならなかった。

夢の女性は、その日は、簡素な青いドレスを着て、
首には飾りを一つだけつけていた。
「不思議のメダイ」と呼ばれる、聖母の大きなメダルだ。

この飾りに目が引き戻されるたびに、自分が非難されているような感覚を覚えた。
私は、できればそれを彼女の首からひきちぎり、
窓から放り投げてやりたいと思った。

116 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:26:32.95 ID:???.net]
私は、真実に直面しなければならなかった。
生まれて初めて恋をしたのだ。
知性で本能を抑えられない哀れな奴と同じく、恋をしてしまったのだ。

だが薬が一つだけあった。いつも通り、防衛に全力を尽くし、
プロレタリアート精神を貫くことだ。

当時、私は聖書対話という大掛りなキャンペーンを立ち上げていた。
それは、四世紀にわたってプロテスタントが実施してきた
自由な聖書解釈を強調して、カトリック信徒に神の言葉を
根気強く読ませるという計画である。

このような自由によって、真の大人と人生の支配者の多くの世代が
生まれたことを私は示した。このような極めて敬虔な手段によって、
教皇制の支配を捨てさせ、プロテスタントを新時代の主人にさせるよう、
カトリック信徒を動かしていた。

プロテスタントには、優勢な立場をあてがってはいたが、
プライドを持たせず、彼らを弱めることを怠らなかった。

弱体化は、数限りないセクトをつくりだすことによって自然発生してくる。
この文脈では、カトリックは仲裁者の役割を果たすことはできない。
彼らは、自分たちを改革することで精一杯だからだ。

原点に戻って、輝かしい現代化を実現しなければならないと彼らを説き伏せるのは、
簡単だった。
あらゆる国語の新聖書訳を、今の文体で提供し直す仕事を遅らせないよう、
私はハッパをかけた。私は、生き生きとした競い合いに注目した。

117 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:31:37.54 ID:???.net]
費用の面については何も言わなかったが、この面が教会関係者の
監視の目を免れないことに気がついた。

神の言葉の現代化によって、教会の頑固な態度が崩れることが多くなった。
それは、ごく自然な方法によって起きてきた。
滅多に使われず、理解しづらい言葉が出て来れば、ごく簡単な語に置き換える。

そうすれば、本来の意味が崩れてくるのは当然だ。文句のつけようがあるだろうか。

そればかりか、これら新しい翻訳が、われわれが大きな期待をかけている
「聖書対話」に門戸を開いた。

この対話によって、聖職者はそれこそどこにでも派遣されるようになり、
平の信徒が一人前に行動する自由を持つようになる。

私は、異宗教間聖書会議さえ提起した。本当の目的はここにあったのだ。
コーランなどの東洋の書物を、良く解釈することによって、さらに目標を拡大できる。
「黒髪」を忘れるために、私は幾つか鍵となる問題点を強調することによって、
聖書対話の会議をたくさんお膳立てした。

自分の好きな対話の一つが、教皇に関するものだった。
自分の本当の邪魔者はこの人物だからだ。

「この人物」と言うときには、彼の称号の元になっている聖書の箇所をも意味している。
これらの聖句は、彼らのいう「分裂したクリスチャン」と同じく、
私にとっても当惑させるものだ。

118 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:35:01.48 ID:???.net]
「勝つ」(prevail)の語が現代人に理解できなくなっていると考え、
これを「できる」(be able)という語に差し替えた男には、本当に感謝している。

彼は、「ハデスの門はけっしてそれに勝つことはない」を
「ハデスの門はそれに対してけっして何もできない」と訳し直した
(訳注:マタイ福音書十六18)。
これが、特にフランス語圏での聖書対話会議を非常にやり易くしてくれたのだ。

地獄が教会に対して何もできないと主張するこの預言が、
完璧に誤っていることは、誰でもすぐに分かるだろう。
カトリックのやることにばかり味方する、この神の保護に対する古い信仰が、
こうして崩れれば、誰もが安心を覚えるはずだ。

「黒髪」と三度目に出会ってからまもなく、彼女の母国フランスは、
ヒットラーの軍勢に侵略され、抵抗さえ諦めたかに見えた。
この時期に、私は誇り高い彼女に上手な手紙を書き、彼女を慰めようとした。

彼女は、郊外を一緒にドライブすることに同意した。
彼女には、伯父から借りている車があった。
実際には、彼女は伯父の家に住んでいたのだが、
本当の家族はフランスの占領地の真っ只中に住んでいたのだ。
彼女は、故国に戻りたがっていた。その非常に人間的な反応に、私はとても嬉しくなった。

私はこのような自尊心が好きだ。このような自尊心は高めたほうがいい。
どれほど彼女に仲間になってほしいと思ったことか。

それでも、なるべく信仰の問題と、それから政治の問題には触れないように注意した。

この四度目のデートのときにも、彼女は「不思議のメダイ」を首に下げていた。
私たちの間で、それが一つの世界をつくっていた。

119 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:39:14.54 ID:???.net]
恋人用につくられた感じの、しゃれた店でお茶を楽しんでいたときに、
あるカップルがこちらに向かって控え目に合図をしてみせた。

私は不安に満たされた。男は私の同級生の弟だったのだ。
彼の家に招かれたことがあるので、弟は私を知っているはずだ。

自分が神学生であることを、彼が忘れるだろうか。
とてもそんな期待は持てなかった。横にいる娘は「黒髪」の従姉妹だ。

私は気が動転した。「黒髪」もそれに気がついた。
彼女は、私が安心して、ごく自然に彼女の家を訪問できるよう、
叔父と叔母に紹介しようと申し出た。



120 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:41:28.46 ID:???.net]
「どういう口実で」と聞きたくなった。婚約者としてか。

彼女を是が非でも自分のものにしたいが、結婚する意志は毛頭ないなどと
どうして言えるだろう。私は、プロレタリアートの思想に仕えるために、
カトリックの独身主義に入ったのだ。結婚など、とんでもないことだ。

彼女に私の情熱を理解することができれば、どんなに素晴らしいだろう。
だが、私はこの問題を彼女に打ち明けようとは思わなかった。

彼女の家には行っても構わない。
彼女が曖昧な立場を受け入れてくれれば、それで十分なのだ。

だが、彼女は、家族に紹介するという提案に私が乗り気ではないことを知り、
感情を害した。
最初の喧嘩だったわけではない。それは最初の深刻な誤解だった。

私はアパートを借りる金さえなかった。こんな迷い事に、
党は一文たりともカネを出しはしない。それはブルジョワに寝返ることだからだ。

その日、私たちはほとんど別離寸前になった。
何か未知の力が二人に立ち向かい、生まれたばかりの愛を引き裂こう
しているかのような感覚を、お互いが感じ取った。

気持ちを確かめるために、話を交わす必要はない。

他の娘と同じように、彼女は、ただ結婚願望に動かされているに
過ぎないのだろうかとも考えた。むろん、それは正常な感覚だ。
それをもって彼女を責めることはできないが、この場合、破滅は目に見えている。

121 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 02:42:11.98 ID:???.net]
それで、私は再会を期待せずに、冷たさを装って彼女に別れを告げた。
彼女は軽く肩をすくめて応え、ゆっくりと歩き去った。

私は、重たすぎる髪と、沈んだ思いの下で傾く彼女の白い首を見つめながら、
石のように立っていた。身動きしないで立っていると、彼女は振り返ってこちらを見た。

二人の間は十メートルほどだ。それから、驚くべきことが起こった。
彼女が戻ってきたのだ。
ゆっくりと、私の目を見つめながら、こちらに歩いてくる。
私の元に帰ってきたのだ。

間近に来ると、彼女はゆっくりと両手を私の肩の上に載せた。
彼女は私を見つめ続け、私も身動き一つしなかった。
それから、彼女は唇で私の唇に触れた。

自分にとって、これが初めてのキスの経験だった。

122 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:39:36.39 ID:???.net]
私が最初から私書箱を設けていたのは幸いだった。
鍵を持っているのはアキレス伯父だ。
私書箱は、自分の本当の居所を知られたくないときには、本当に便利である。

その記憶のお蔭で毎晩のように目を覚ますことになったあのキスから二、三日して、
「黒髪」から素晴らしい手紙が届いた。
彼女は、こう書いてきた。

「絵の勉強をしっかり続けられるように、伯父様が小さな工房を借りてくださいました。
土曜日にお出でください。お茶でも御一緒にいかがですか。」

当時、私は歌うのを休んで土曜日は彼女の工房で過ごしていた。
彼女は、私の肖像さえ描いてくれた。

真実をいえば、彼女の絵の才能はたいしたもので、自分の性格を写し取る
その天才的な腕に、私は誇りさえ感じた。
肖像を見ると、彼女にどう思われているかがよく分かった。

私は、彼女の目には、やさしい王子様ではない、より征服者に近い存在だ。
残虐さを隠し持つ、より男性的な存在である。

私は、どうして自分の性格が分かるのかと彼女にたずねた。
自分が本当は秘密を隠し持っている、どうしようもない欠点を
隠し持っていると考えているのかと。
この言葉に、彼女は不快感を露わにした。私は彼女にこう言った。

「確かに、この肖像は残虐の炎を隠し持つ、誇り高い征服者の精神を描いている。」

123 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:46:24.24 ID:???.net]
彼女は、この言葉に当惑し、それは私自身の思い込みに過ぎないのだと言った。
真実はその逆で、彼女にとっての私、つまり理想の男性像を描いたのだと。
理想的な男性に、どうして秘密の欠点があるでしょうとも言った。

私は、隠しているものがないとすれば、どんな欠点があると思うかと聴いてみた。

彼女は、怖いほどの洞察をもって、「象牙の搭が好きなところかしら」と答えた。
仲直りをするために、そのとおりだと答えた。これは嘘ではない。
彼女は、「象牙の搭」にこもっている私といつも一緒にいるのだから。

彼女は、まったくその通りだと思うが、その存在を感じ取れるのは私自身であり、
彼女自身は空虚さを感じているだけなのだと答えた。
彼女のすべてを自分のものにしたいという気持ちと、
彼女には何一つしてやれないというそれとを、どう一致させればいいのだろう。

彼女は、私が心を開く邪魔になっているものは何なのか、と尋ねた。

私は、しばらく返答に困ったが、ついに意を決して、
彼女がいつも胸に着けている「不思議のメダイ」を指差した。

彼女は驚きの目で私を見た。
「信仰をもってはいないのですか。」
私は余計な語句を付けずに、「そうです」とだけ答えた。
すると、彼女は、メダイがどんな影響を私に与えたのかを、しきりに知りたがった。

こう答えた。
「僕たちがけっして愛し合えないことを象徴しているような気がする。
その意味で邪魔なのだ。」

彼女が考え込んでいるあいだに、さらに力を込めていった。
「それどころか、僕たちが絶対にお互いのものになれないように、
わざとそこにいるような気がするんだ。」

124 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:48:49.49 ID:???.net]
すると、彼女はメダイを外して私に手渡した。
私は、どうしてやろうかと考えながら、メダイを自分のポケットにしまった。
ただの金のメダルであることは分かっている。
それを溶かして別の像を刻もうかとも考えたが、それはできなかった。

この仕草によって、彼女は、二人の運命を実に不思議な方法で結びつけたのだ。
彼女は、それをどうするつもりかとは聞かなかった。頭の良い女性だ。

この日以来、私はこの問題に少し悩まされるようになってきた。
私は、「不思議」の異名を持つこの品物について、知りたいという
誘惑にかられるようになった。

この飾り物に奇跡を働く力があると信じるためではない。
私の考えによれば、奇跡を行えるものなど、この世に存在しないのだ。
そう言われているものは、ただの人間の妄想の所産か、
いつか科学で証明できるものだ。

私は、このメダイが、未信者を信仰に引き戻す力を持つことで有名なことを知った。
そんな事実があると信じているわけではない。そんな可能性さえ信じてはいない。

だが、自分の恋人がそんな願いを心に抱いているのだろうかと訝った。
それは、私のために諦めた、つまりメダイを捨てたという
あの仕草を打ち壊すものだ。この場合、彼女は何一つ捨ててはいないことになる。

俺はそんなに馬鹿だったのだろうか。
こんなことに頭を悩ますのも、同じほど馬鹿らしいことではなかろうか。

125 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:51:35.07 ID:???.net]
それから二、三ヶ月ほどして、燃える暖炉の前で、
二人で仕上がったばかりの肖像画を見ていたときに、
私は彼女に穏やかに問いかけた。

「メダイを手渡したのは、僕を回心させるためだったのか。
だとすれば、捨てるのとは意味が全く逆になるのではないか。」

彼女は私の腕に寄り添いながらこう答えた。
「嘘は嫌い。確かに、あなたを回心させたくてメダイを渡したわ。
私は、毎日、毎晩、そのことをお祈りしているの。
毎日何度も、それこそ十五分に一度の割りでお願いしているのよ。」

私はどう答えて良いか分からなかった。

私は、このメダイも、彼女の祈りも恐れたりはしなかった。
自分にとっては、こんなものは子供だましに過ぎないのだ。
ところが、まるで自分が敗北したように、苦しむようになってきたのだ。

自分としては、彼女を、仲間としてどうしても欲しかった。
メダイ抜きでだ。
なぜこれが間になければならないのか。

考えれば考えるほど、このような大恋愛では、
男が勝たなければならないと確信するようになった。
だが、そんなことは口には出さなかった。

いずれにせよ、彼女が自分と同じ考え方をしない限り、
自分のものとはならない。これはプライドの問題ではない、
自分が結婚できない理由を彼女に説明しなければならなかった。

126 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:53:51.45 ID:???.net]
彼女が私と同じ考えをもち、任務をすすんで助ける気があれば、
秘密の同棲生活をすることに同意していたはずだ。そう私は思った。

私は結婚できないばかりか、完全に人徳のある人間を装わなければならないのだ。

ある冬の夜、私がカーテンを引き、彼女がお茶を用意していたときに、
外し忘れたピンが指に刺さったような痛みが走った。
よく見ると、それがとても小さなメダイであることに気がついた。
白いメダイだ。ただ小さいというだけで、全く同じメダイである。

振り向くと、彼女がこちらを見ているのを知った。彼女は知っていたのだ。
「カーテンまで回心させる気か」と私はふてくされた。

「馬鹿なことを」と彼女。
「馬鹿なことじゃない。こんな魔除けに、いったい何を期待しているのか知りたいんだ。」

彼女は顔を真赤にした。気持ちが傷つけられたのだ。
「魔除けではありません!」

「なら、何なのだ。」
「これは信心行です。」

「どんな物を信じているのだ。」
「物ではなくて聖母様です。イエズス・キリストのお母様よ!」

こんな話を続けていたくなかったので、私は黙っていた。
彼女はとても低い声で話し続けた。

127 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:57:03.12 ID:???.net]
「メダイは信じなくては駄目よ。紙や木では、まったく意味はないの。
それがあなたの邪魔になっていることは分かっているわ。
メダイは、本当に、信仰心を広げてくれるものなの。
広げるだけではなくて、増してくれるものなの。
それを身につけて、仕事場にも置いておくことによって、
イエズス様を与えてくださった聖母に、もっともっと、
頻繁にお祈りができるようになるのよ。」

彼女は、私のためにメダイを捨てたのではなかった。メダイは他に沢山あったのだ。

そのときには、自分が彼女をこれまで襲えずにいた理由が分からなかった。
彼女は、自分がいつもすれすれの状態にいることさえ全く知らなかった。

それから、長い沈黙が続いた。

私は怒りに震え始めていた。憎悪の気持ちを叫びたかったが、こう言うに留めた。

「君は僕のものだ。だから、僕以上に愛する者がいることに、我慢がならないのだ!」
「おかしなことを仰るのね。較べられることではないでしょう。
宗教的なことはみな、別な次元に属しているのよ。
それは知性にも、心にも、属するものではありません。」

「なら、何に属しているというのだね」と私は苛々しながら言った。
彼女は柔らかく答えた。
「超自然という大きな世界です。」

「そんなもの分かるか!」
「そうでしょうね」
彼女は、抗しがたい微笑を浮かべながら言った。
微笑みだけで男を支配できると考えているのだろうか。

128 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 08:59:08.14 ID:???.net]
この不思議な力だけが自分にのしかかって来るように思えることも度々だった。
彼女はゆっくりと微笑む。その効果が出てくるには時間がかかる。

唇が柔らかく、早く全開になってほしいと思うほどゆっくりと開く。
白く光る歯が見えてくると、歓喜に包まれた。
私は、この何ともいえない優しさの前に、力を失うのだった。
静かな安らぎを求めているときは、特にそうだった。

それから、彼女は、なんとも不可解な質問をした。

「なぜ、私と結婚したくないの?」と言ったのだ。

私は、結婚したくないなどと、一度たりとも言ったことはない。
だが、「黒髪」には占いの素質があるようだ。
この才能には度々驚かされてきた。どうして、私の気持ちがこんなによく分かるのだろう。

私は答えた。「結婚はしたくない。だが、どうしてかは言えないんだ。」
彼女は少しため息をついてから、こう言った。

「私が神様を信じているからかしら?」

女は不思議な生き物である。子供から占い師に豹変できる。母もそうだった。
私は答えた。

「恋人は同じものを愛さなければならない。確かに、それが一番の邪魔だ。」

彼女はふたたび微笑ながら答えた。
「あなた以外の人はけっして愛さないでしょう。」

129 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:16:13.16 ID:???.net]
その頃、私は、マリア信仰の破壊に全力を注いでいた。
カトリックとギリシャ正教が各種のマリア信仰を保持しているのだが、
これがプロテスタントとの間に問題を生じているのだ、と強く訴えた。

分離した愛すべき兄弟たちの方が、より論理的で賢明である。
正体も分からぬただの被造物が、われわれの教会で
神よりも強力な(あるいは少なくとも優しい)存在になっていると訴えた。
私は、この点において神の権利を擁護して楽しんだ。

また、多くのプロテスタントが、マリアがイエズスのあとで何人も子供を持った
と考えていることを力説した。
プロテスタントは、長男の出生のときだけマリアの処女性が守られた、
と信じているのだろうか。それを語るのは難しい。

だが、それでなくとも、これら自称キリスト教諸派の
正確な信仰を決定するのは困難なのだ。
事実、どの教派も自分の信じたいことを信じている。

とはいえ、彼らが嫌っているものを知ることは比較的容易だ。
そこで、私はロザリオと、マリアに捧げられている幾つもの祝日を除くことを提起した。
私の典礼書には、祝日が二五もある。地域的な祝日もこれに加えられる。

次に、メダイと御像、御絵の徹底的な破壊が、私の計画の中にあった。
多くの仕事が控えているが、やるだけの価値がある。



130 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:18:35.58 ID:???.net]
だが、ルルドとファティマ、やや重要度の劣るそれ以外の巡礼地を、
どうしたら除くことができるだろう。ルルドについて言えば、これほど煩わしい場所はない。
それは、プロテスタントの心には、腫れ物のような存在なのだ。

この場所に毎年数百万人の巡礼者が集まっているうちは、
普遍教会は足がかりをつかむことはできない。

私は、ルルドで起きた現象について集中的に調査をしたが、
大した発見をすることができなかった。
初期の証言の間にかなり食い違いがあることが分かったぐらいだ。

ある者は、ベルナデッタの気絶と、彼女が住まいにまで
(自分の記憶が正しければ水車小屋)幻によって導かれたと証言していた。
これを否定する者もいた。ベルナデッタ自身はそれを認めてはいない。
彼女は忘れててしまったのだろうと言う者もいたが、大して重要なことには思えなかった。

私は虚偽に基づく宣伝が大嫌いだ。
党は、より優れた福祉が危機にさらされるときには、嘘も使いようだとの考えだが、
私自身は品位を重んじる。人はそれによっていっそう強くなれるのだ。 

私はまた、党の嘘吐きどもよりも、ずっと自分のほうが上だとさえ感じている。
事実だけを相手にするときだけ、人間は成功できるとの考えだ。
事実の役立つ部分をどう解釈するかが分かれば十分なのだ。

131 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:23:00.02 ID:???.net]
>>77

すべてを考慮して、私は、マリアの処女性を否定することが、
すべてのクリスチャンを、けっして神ではない男の弟子に変えるための、
一番安全な方法だと確信するに至った。

神を殺す以前にナザレのイエスをなきものにすることのほうが、どれほど有効だろう。

福音書も使徒書簡も、実際、新約聖書のすべてが、
人間の創り出した言語に過ぎず、誰もが自分の好む言葉を選び、
気に入らない言葉を批判し、誇張されているものは否定させる。
われわれの目標はまさにここにあるのだ。

東洋では、イコンがマリア信心の中心になっているが、
今では、ロシア全域でそれは鎮圧されるに至った。

だが、西洋ではロザリオの人気が高い。
十五の奥義を黙想するというこの信心を、何としても滅ぼさねばならない。

それは、三位一体の神に対する信仰を推進させることで、自ずと可能になるだろう。
とりわけ、ロザリオを唱える者たち全員に、罪の意識を持たせることが、
どうしても必要になる。
私が全世界に送った指令は、このような内容だった。
誰とも結婚せず、「不思議」と呼ばれるその人のメダイを、
神学校の自室にぶら下げたときに考え出したものだ。

みなは、メダイの前で、私が奇跡を求めて祈っていたと思っていたのだろうが、
私自身は、彼女への憎悪の中で自分を守ろうとしていただけだ。

翌土曜日には、私は「黒髪」と合うことはできなかった。
彼女は、伯父夫婦と連れ立って、マリア巡礼に行ってしまったのだ。

132 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:25:31.84 ID:???.net]
私は、怒りを紛らわすしかなかった。
彼女が、この問題すべてに別れを告げてしまったように思えた。
そこで、ここしばらく御無沙汰していた聖歌の練習に行くことにした。

アキレスは大喜びだった。私はメダイの一件を彼に告げずにはいられなかった。
だが、彼の答えを聞いて驚いた。
彼はこう言ったのだ。

>>78-79

133 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:30:05.64 ID:???.net]
その年は、新カテキズム(要理)作成のために必死に働いた。
私が創設を夢見ている「普遍教会」に合ったカテキズムだ。

子供たちの心をかたどることが、「自己尊重」を教えるすべての教理にとって、
非常に大事な部分である。

子供のときから無神論を教え込むことが大事だというのは、
キリスト教の教理の神秘的部分が、私が所属する「真に優れた存在者」
以外の者に対して、憧れの気持ちを誘うからだ。

これを教理の問題に当てはめれば、二十世紀末までは、
人間がみな不自由人であると考えさせておくのが賢明だ。
そのための薬は、西暦二〇〇〇年に与えられると期待していい。

人間の言葉から、特定の用語が完全に削除されなければならない。
これらの言葉を、子供がまったく聞かないようにすることが最善である。

それで、宗教的な教えを単に覆い隠すより、全く新しいカテキズムを
作成するほうがはるかに好ましい。教会は、しばらくの間、
「全世界の良き兄弟たちの集会場」に等しくなる。
このカテキズムは、老朽化したキリスト教徒の愛徳(チャリティー)に取って代わる、
「友愛」のひとつになるのだ。

「愛徳」(チャリティー)という語も追放し、「愛」(ラブ)という語に
置き換えなければならない。
この語は人を現実的にして、どんな曖昧な行為にもふけらせることができる。

私は、曖昧な関係が隠し持つ大きな力を尊重してきたし、これからも尊重し続ける。

この新カテキズムを準備しているあいだに、実際の要理から、
徐々に修正を加え、あるいは削除するべき部分をすべて抽出した。

134 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:32:46.59 ID:???.net]
また、この確信を「黒髪」にも分かち合いたいとの熱い気持ちが込み上げてきた。

巡礼と聖母マリアが起こすという「奇跡」の話をしてくれることによって、
この仕事を楽にしてくれたのは、彼女なのだ。
私は、このような宗教現象は、それがどのようなものであれ、
すべて彼女自身がつくりだしたものなのだ、と熱心に説明した。
彼女は、呪うように、すべてを否定した。

私は彼女に言った。
「見えないものや感じられないものはみな、君自身がつくりだしたものに
過ぎないのだよ。どうして、そんなに怒るのか分からない。」

「分からないというのは、私の信仰がすべて、天から私に啓示されたものであることを、
ご存知ないからです。そんなことをみな考え出すなど、
とてもできることではありません。」

「君自身がそれを考え出したとは言ってはいない。
それは真実だ。君は先祖を模倣しているに過ぎないのだよ。それだけさ。」
「いいえ、模倣以上のものです」と彼女は言った。

私は、たとえば、彼女が信じている「御聖体におけるキリストの現存」は、
彼女自身の信仰の強さに応じて現存を現わすが、
信仰をまったく持たない人には何の現存もないのだ、と冷静に話した。

彼女はこれを認めようとはしなかったが、私にとっては、
プロテスタントの範に倣って、彼女をこの流れに乗せることが重要だった。

135 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:36:06.23 ID:???.net]
私の本当の目的は、信仰をすべて抹殺することだったのだが、
これは必死で隠した。
その前に、彼女を宙ぶらりんな状態に入れる必要があった。

私は、キリストに癒された人には、常に信仰が求められたという
福音書の個所を引いて、信仰といわれるこの力が、
本当は治癒を起こしているのだと彼女に説明した。

だが、彼女は子供のように頑固だった。
キリストは信仰を高めようとしたのであり、それは体の癒しよりはるかに大きな祝福なのだと言ったのだ。

私は、独創的信仰の外には宗教者は誰もいないと説明した。
幼児洗礼が愚かしいのはそのためで、大人になるまで待つべきなのだ、
洗礼そのものさえ、いつかは幼稚な古代の魔術的行為として
禁止されるようになるのだと。

彼女は泣き出し、「しばらく会うのはやめましょう」と言った。

私もこれに喜んでしたがった。
実際、するべきこと、考えるべきことが多く残されていたし、それ以上に、
離れていれば彼女ももっと柔軟になると思ったからである。
女は悲しみには耐えられないものである。
自分はどうかというと、彼女に強い愛着を持ちすぎ、
自分の強さを見せつけることができなかった。

私は、大学で二つの講座をとる許可を得、それによって、
神学生であることを知られずにこの集団に入れるようになった。
長官は、必要と思った時には、いつでも平服を着用することを許可していた。

彼は、修道服は廃れたと認めているようだった。
これからの司祭は今までとは全く異なるものになることを、
私たちは言葉を交わさずとも理解し合えた。

136 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:39:55.03 ID:???.net]
人間が、時代に応じたものになるのは当然のことだ。
私の目から見れば、教会は極めて後向きである。
トレント会議以来、教会が一歩も前進できていないので、
失った時を埋め合わせるべきことを証明することは容易だ。

私はまた、アキレスに代わる人材を見つけなければならなかった。
自分では私書箱に行くことも、手紙を暗号化することもできなかったからである。
それだけの時間的余裕がなかった。

私には信頼できる男が必要だったが、戦時中で、そのような人材を捜すのは困難だった。
最後に、大学のある教授に接触せよとの指令が来た。

初めは、実際的な動きのように思えが、その老教授に会ったときには、不快を覚えた。
自分には、人を判断する感がある。この男には裏切りの臭いがした。

いずれにせよ、私書箱の鍵は手渡したが、彼に暗号解読の仕事をさせる前に、
上の人間に相談することに決めた。
だが、受け取ったのは、問答無用で従えとの指令だ。

私は、このことに大いに悩み、もう一人の連絡員を見つけて、
彼に同じ仕事を任せることに決めた。
こうすれば、少なくとも戦後に両者を比較することができると考えた。

私は、自分の疑いが正しいに違いないと思った。
正しくあって欲しいという気持ちが先立ったが、特に、
AA1025の署名をした同じ文書を託した二人の通信員の価値を比較したかった。 

137 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:42:40.97 ID:???.net]
教授が裏切り者であれば、戦争のドサクサにまぎれて
計画を破壊することを考えていない限り、私の文書を慎重に改竄するはずだ。
いずれにせよ、第二の通信員を雇うだけの理由が私にはあった。

私は、苦学生の中に彼を見出した。彼は熱しやすい人間だったが、
その情熱が私を捕えた。
私は、共に輝かしい未来を作れるのだという希望を彼に植え付けた。
エゴイズムや貪欲な精神を刺激するのは党の慣わしではないが、
この青年には冷たい愛を培わせる必要があると見た。

この問題を解決している間に、「黒髪」に会いたいという気持ちが強くなってきた。
このような気持ちは、軍事共産主義者にも、党の未来の最高指導者にも、
相応しいものではなかった。

私はすでに神学校生活を三年過ごし、あと三年が残っていた。
それが過ぎてから、私がローマでより高度な教育を受けることに、誰もが賛成した。
私は、自分が神学校の教授になるのだと考えた。
名前以外すべて異なる、まったく新しい聖職者をつくりだせる教会の中心人物である。

私の人生はすでに決まっていたのだし、それ以外の人生は望んでいなかった。
だが、岩のように強い砂の一粒が入り込んでいることを、認めないわけにいかない。

自分が軽薄な男だったら、「黒髪」をおもちゃにしか考えなかっただろう。
だが、私は彼女の恋人でさえなかった。

彼女が自分の確信を共有しないあいだは、恋人になる気はない。
私は、男女のつながりは完全でなければならないとの信念だ。
心と精神の一致がなければ、体の一致もない。

でなければ、売春と変わることはないのだ。

138 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:43:35.54 ID:???.net]
地上のすべての宗教を破壊しようとする男が、
二十歳の娘一人言いくるめられずにいる。
何たる滑稽な立場に自分はいるのだろうと思った。

彼女とは別れるべきなのかも知れない。
戦時下のロシアにいる叔父が、こんなことを知ったら喜ぶまい。
その一方で、平和な時代ほどには自分が監視されてはいないことも知っていた。

だが、自分の勇気を削ぐ何かが存在するということが、
私としては一番つらかったのだ。

139 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:46:45.67 ID:???.net]
新カテキズム
--- これは人間の宗教のカテキズムと呼んでも良いものだ ---
に携わる中で、私は、一連の要理を作成して、その都度修正と制限を
加えるのが好ましいことに気がついた。
人間の心が徐々にそれに慣れてくるようにするためだ。

最初の版で、使徒信条の二ヶ条を控え目に修正しなければならない。

まず、「カトリック」の語を「普遍」に差し替えなければならない。
これは、いずれも同じ意味だ。この「カトリック」という語によって、
プロテスタントが気分を害したり、ローマ典礼の信者たちが、
自分をスーパー・クリスチャンと思い込んではならない。

あとで、聖人崇拝も禁止する。
神を抹殺することの方がずっと容易であるとはいえ、
それ以前に、聖人たちを抹殺せねばならない。

当面は、次のやり方に従う。まずは、正式に認められてはいない聖人、
たいしたことをしていない聖人たちをみな抹消する。

それから、宗教改革に対抗した聖人たちも、みな排除する。
彼らは、「キリスト者の和解」が全員のテーマになっている今の時代には関係ない。

あとで、最大の異端者たち、特に、ローマ教会に一番の憎悪を燃やした者たちを、
深い同情と涙をもって、丁寧に復活させ、列福、さらには列聖にもってゆく。

例えば、マルチン・ルターなどを、まず最初に祭り上げさせるべきである。
そして、カトリックの側に何の反応もなければ
--- 不愉快に思わなければという意味だ ---
この面でのわれわれの活動は、いつも通りの間隔を置いて、慎重に、控え目に進める



140 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 09:49:46.17 ID:???.net]
それから勢いをかけて、審判、天国、地獄、煉獄の観念も葬り去る。
その方がずっと容易だ。

多くの者は、神の愛はどんな敵意も超えていると信じる習慣がついている。
われわれは、この愛を強調しさえすればいい。
恐れる必要のない神は、いずれ考慮に値しない神になる。

これこそ、われわれの大目標なのだ。
それから、神の十戒は保たせても、教会に対する六戒は抑えなければならない。
これほど滑稽なものもない。

教会の六戒を削ることについていえば、
大人になったクリスチャン、信徒が金曜日に肉を食べるかどうか気にしないほど、
神が大きな存在であることを知っているクリスチャンを、称えなければならない。

一年告解について言えば、司祭が下層階級に対して
ありふれた犯罪を並べ立てる社交儀礼に差し替える。
この種の罪に人々の注意を喚起することが必要だ。

個人的告解は時間の浪費だ。
逆に、私が夢に描いている儀式は、心を慣らして、素晴らしい成果を生むことだろう。
だが、これには、十分訓練された司祭が必要になる。

日曜日に義務付けられたミサについていえば、
現代人には、新鮮な空気と緑の中に入ることが必要なので
土日は自然の中に入るのが望ましいと言えば十分だ。

あくまでミサに固執する者たちには、日曜にではなく金曜を選ぶ権利を与える。
金曜の晩が相応しいが、その晩に遠出する者たちは別だ。彼らには木曜日を選ばせる。

最終的には、何より優先すべきは自分の良心に従うことだと教え込む。

141 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:13:13.19 ID:???.net]
「良心に従う」。このプロテスタントの発想は実に素晴らしい。
これによって、他を不愉快にさせる規則を出せなくなり、
自由気ままを許す規則に差し替えられるようになる。

超自然的な生命と恩寵に関わるものは、無論、すべて消し去る。
このような観念は危険だ。

「天にまします」の祈りは、しばらくは保たれるが、
「神」というより親しめる言葉を使わざるを得なくする。

その口実を作ってくれるのが、プロテスタントとの共同で、
共通の言語に訳し変えた新聖書をすべての国で採用することだ。

それは、過去四世紀にわたるカトリックの傲慢の罪を償う手段になる。

この新しい翻訳が、年長者の信徒を不愉快にさせたとしても、構うことはない。
当然予見できることだ。

次にすべきは、七つの秘蹟の全改訂である。
プロテスタントには、秘蹟が二つしかないからだ。

キリスト教諸派はみな洗礼を守っているが、
これは真先に消し去らねばならない秘蹟だ。
それは比較的容易だろう。秘蹟は子供騙しだ。
十字の印や聖水と同じほど子供っぽい。

まず洗礼は大人だけ、それなしには生きられないと信じる者だけに限定する。

いったいどこからこんな考えが湧いてくるのか分からない。
私は天才なのだ。毛穴のすべてから天才が吹きでてくるようだ。

142 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:16:18.23 ID:???.net]
むろん、洗礼によって原罪が無くなるという考えも抹消しなければならない。
罪は、純文学的な創作に過ぎないのだから。
アダムとイブの物語は語ってもいいが、笑う材料としてだ。

洗礼は「普遍キリスト教」に属するしるしに過ぎず、
誰でも洗礼を授けることができるが、全員が洗礼を受けなくとも
一向に構わないと教え込む。

われわれは、非キリスト教諸宗教に生きる聖なる魂を称えるために、
これを利用しなければならない。これによって、彼らは罪責感に囚われるようになる。

実に素晴らしい考えだ。

当然、聖霊を信じ、司教にしか行えない「堅信礼」は、
何としても抹消しなければならない。

この態度によって、ユダヤ人とイスラム教徒ばかりか、
新プロテスタントを不快にする三位一体のドグマが、公然と非難されるようになる。
聖木曜日に聖油を祝別する必要はなくなるだろう。これはまるで魔法の行為だ。

儀式その他の外面的な行為なしでも信仰を保てることに注意する必要がある。
この信仰の方が気高いのだから。われわれはまた、異教徒、ユダヤ人、
イスラム教徒、共産主義者の間にも見られる優れた徳を、
強く訴えなければならない。
自分たちの教会に、他教会より多くの聖人がいることを恥じている
カトリック信徒もいるからだ。

143 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:19:34.80 ID:???.net]
改悛の秘蹟については、経験ある指導司祭による、
良心の吟味しか行わない社会儀礼に差し替え、
のちに一部のプロテスタント教会で行われているような、全般的免償に変える。

現代の司祭は、終わりのない告解の時間と、そこから来る重荷を除かれるようになる。
この共同体告解は、年に二度、イースターとクリスマスに行う。

若い司祭たちは、厳格な社会主義思想を叩き込まれるようになるだろう。
社会的罪を詳しく調べる中で、人々の心をマルクス主義に向けることが
彼らの目標になるのだ。

他人に対する正義の欠如だけが、懺悔の動機になる。
人間を信頼する者がキリスト教徒であることを、
すべての者に確信させなければならない。

誰もが自分にこの問いかけをするようになるだろう。
「他の人々は私を信頼できるだろうか。」

この儀式では、神という語は使われない。
いずれにせよ、「秘蹟」と呼ばれなくなるのだ。
秘蹟という語も抹殺しなければならない。

むろん、免償について語る者は、一人もいなくなるだろう。
この語の意味するものさえ知る者はいなくなるのだ。

終油の秘蹟について言えば、それに代わる別の語を見つけ出す必要がある。
これは病人に直接関わるものなので、刷新の当初からそれを除くことはできまい。

だが、永遠のいのち、審判、天国、煉獄、地獄といった観念を、
癒されたいという願望に置き換えるようにしなければならない。

144 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:22:58.21 ID:???.net]
そのうち、医師が治療の職務を遂行する上で、司祭の手を
必要としないことを分からせる。

「病者の秘蹟」という表現を選ぶことになるだろう。
永遠の生命という考えを避けるために、
軽い病気のときにもこの秘蹟を許すようにする。

とはいえ、私は何も心配はしていない。
秘蹟はみな、姿を消すようになるだろう。
誰もこんなことに時間をとらなくなるだろう。

聖職者に力を与える修道会の秘蹟については、それは保持しておこう。
普遍教会では、社会主義政策のために働く教師となる司祭が必要になるからだ。
これらの司祭たちは、例えば、童話を使って祭りをつくりだせる。
民衆には祭りが必要だからだ。

だが、これらの祭りは、まったく人間のためのものであり、
どんな神をも暗示するものであってはならない。

結婚は不要な秘蹟ではないが、家族の祝い事にのみ留まるという条件が付く。
宗教的結婚だけが唯一正しい結婚であるという旧いものの考え方を、
みな排除してしまわなければならない。
民間の結婚だけを唯一必要なものとすべきである。
こうすれば、権威あるこの教会も、離婚と離婚者の再婚を禁じることはできなくなるだろう。
ナザレのイエスが、この意見に反対する言葉を出しているのはよく知っているが、
現代人に適した教えだけをどう選ぶかについて、すでに指令は出してある。

結婚に縛られることは、人間の幸せを損なう重荷だ。
子供の幸せを云々する者たちは、子供は国家に属するときこそ、
ずっと幸せになることを忘れているのだ。
むろん、司祭が結婚を望めば、彼らにも結婚ができるようにさせる。
修道会の秘蹟は女たちにも開かせる。

145 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:43:56.29 ID:???.net]
聖餐の秘蹟を徹底的に調べる始める前に、私は自分の成果を、
学生の文通相手と「黒髪」に郵送した。

学生は非常に熱心になり、ある日大学で私に接触を求め、一連の文書を手渡した。
彼は、顔を火照らせて、これらに評論を加え、是非とも出版して欲しいと頼んだ。
原則的には、私たちは人前では話を交わしてはならなかったのだが、
戦争のことを考えて、ことを起こさなければならないと考えた。

学生と人前で話し、文書を交換しても危険はなかった。
大学で二つの講座を正式に取るや否や、バイクを購入し、ほっとした。
これで、他の生徒たちと一緒に遠出をしなくて済む。

学生の論文は、実に素晴らしいものだった。
自分には作家の才能がなかったので、嫉妬さえしたほどだ。
だが、まもなく、この流暢な論文が、どれほど大きな力になってくれるかを、
知るようになった。

われわれは理想的な協力関係を築いた。
私は、堅い論理でアイデアを提供し、彼がその中から一番いい所、
少なくとも彼の立派な論文を鼓舞する部分を選別するのだ。

自分の考えが文学に花開かせると思うだけで、才能が刺激された。
この連携プレーでは、天才は私であり彼は芸人に過ぎない。

自分の発案になる論文をかなりの稿料で定期的に掲載してくれる評論も、
すぐに見つかった。
私は、それらを戦争をしていないすべての国々に送付し、翻訳と普及を依頼した。

だが、戦争が終結するまでは、さほど成果が上がらないことを認めなければならなかった。

146 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:46:34.89 ID:???.net]
学生には、上から押し付けられた教授以上の信頼を置いていたので、
もう一つの私書箱を作り、その鍵を手渡した。
彼は十分な報酬を受けていたので、私のことを神様のように思った。
私のためなら、命さえ惜しまない男だ。

「黒髪」から音沙汰がなかったので、自分の考えを反映したものだ
との説明を付けて、学生の論文を彼女にも定期的に送ってやった。

「黒髪」は、学生の才能に敏感に反応し、私のより
こちらの論文のほうがずっといいと書いてきた。
私は大笑いした。論文には、自分が発案したものしか載ってはいなかったからだ。

これによって、文学的な才能が、チョコレートをかぶせるように、
どんな新しい計画も大衆に呑み込ませるのに役立つことを確信した。

この間ずっと、「黒髪」は私をアトリエに招かなかった。
ある日、大学の回り廊下で、自分のものと思い込んでいた彼女と出くわし、
怒りをぶちまけた。

彼女は、古美術の講義を受けることに決まったのだ。
彼女は、私の新カテキズムの計画に答えを考えているところなので、
いずれそのことで静かに議論しましょうと言った。

議論? 私は、自分の考えを邪魔立てする議論には出会った試しがない。
だが、是非会いたいので、喜んで議論には応じようと答えた。

147 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:49:51.92 ID:???.net]
だが、心の中では、女は愛する男の意見には
全面的に従うべきことを分からせてやるのだ、と考えていた。
私は、新カテキズム完成のために、聖餐の秘蹟に取り組んでいるところだとだけ言った。
彼女は、溜息をついた。涙が目から溢れ、何も答えずに去った。

私は、このようなスリリングな著作の最初で、聖体の真の定義を書きたいと思った。

「聖体とは何か」
という問いに答えれば、どのカトリックもこう答えるに違いない。
「パンとぶどう酒のもとで、イエズス・キリストの血と肉と霊と神性を実質的に含む秘蹟」

たったこれだけだ!!!

この問題を解決するには、真剣な取り組みが必要だ。
太刀打ちできない信仰だからではない。慎重を期して、正面攻撃を避けるということだ。

この、いわゆる「パンとぶどう酒におけるキリストの現存」は、
間接的に叩く必要がある。真っ向から攻撃すれば、カトリックは反撃してくる。
迫害は常に信仰を強化する結果になるので、これほど危険なことはない。

そこで、「現存」の語には触れずに、この信仰を壊す、
ないしは弱めるものすべてを明るみに出す。

「ミサ」という語を修正することがどうしても必要になる。
語そのものを廃止し、「主の晩餐」とか「聖餐」に変えるのがよい。

ミサの刷新によって、彼らのいう「奉献」の重要性は低められ、
聖体拝領は取るに足りないものになるに違いない。
これは長期計画だ。いかなる部分もおろそかにしてはならない。

148 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:53:10.17 ID:???.net]
そこで、まず注目すべきは、犠牲をささげるときに、
司祭が信徒の群れに背を向け、見えざる神、
目前の巨大な十字架に象徴される神に直接話しかけているように見せる光景だ。

司祭は神によって選ばれ、同時に、神を仰ぐ者たちの代表でもあるわけだ。
このとき、彼は権力も印象付けるが、孤独も印象付ける。
自分が大きく孤立し、ほとんど見捨て去られている、
人々に近づいたほうがずっと幸せになれると感じさせたほうがいい。

この考えがうまく成功すれば、高祭壇を廃棄処分にして、
丸裸の小卓に差し替える可能性を提起する。
司祭はこの小卓を挟んで参会者に向き合う形になるだろう。

聖体に関係し、この机を必要とする典礼の一部は、
可能な限り短くなり、神の言葉の教えに関する部分が、かなり増やされるだろう。

カトリック信徒が驚くほど聖書に無知であることはよく知られている。
だから、ミサ典礼にこんな修正を加えたところで、
彼らはこれを正しい修正とみて疑いもしないだろう。

カトリック信徒が聖書の長々しい引用に喜んで耳傾けるという意味ではない。
彼らは何も理解しない場合の方がほとんどなのだ。
だが、少なくとも真の社会主義の司祭たちが訓練されるまで、
彼らが理解する必要性はない。

ミサ典礼を構成する式次第は、聖公会とルーテル派のそれに
注意深く比較しなければならない。これら三つの派が受け入れられる
ひとつか各種の式次第を推奨するためだ。
このやり方に込められた素晴らしい利点は誰もが気づくに違いない。
それは同じ言葉に正反対の意味を与えるものなのだ。

149 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:55:35.36 ID:???.net]
改宗か曖昧さ以外、取るべき選択はない。
私が選ぶのは、信徒に「真の神の現存」を捨てさせる方法だ。
プロテスタントが改宗することなくミサで聖体拝領をするのを目にすれば、
カトリック信徒は、古くから伝わる「真の神の現存」に自信を持てなくなるだろう。

この「現存」は、そう信じるときのみ存在するに過ぎないのだと彼らに説明する。
こうして、彼らは自分たちがキリスト教の創造者であると感じるようになり、
彼らの中で一番の知恵者は、必要とされる結論を
いかにして引き出すかを知ることになるだろう。

さらに、キリストの「真の現存」の考えを弱めるために、
厳粛な作法はみな取っ払わなければならない。
刺繍を施した祭服もなくなる。聖なる音楽もなくなる。
特に、グレゴリオ聖歌は過去の遺物にして、ジャズ的な音楽を持ち込む。
十字を切る作法もなくす。

跪きもなくなる。信仰者は、跪きの習慣を自ら破らなければならなくなるだろう。
聖体拝領を受けるときに、これは完全に禁じられることになるのだ。

聖なる感覚をすべて抹殺するために、もうすぐ聖体は手で受けるようになるだろう。

(すでに選ばれた)特定の者たちに、司祭と同じく、
二種の聖体を受けさせるのは悪いことではなかろう。
ぶどう酒を受けない者たちは、激しく嫉妬するようになり、
キリスト教をすべて捨てたくなるだろう。その方が望ましい。

それから、平日にはミサを行わぬよう、強く推奨する必要がある。
現代人は時間を浪費しないものだ。



150 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 10:59:02.61 ID:???.net]
もうひとつの優れた方法は、家庭で食前か食後に行う家族ミサである。
この目的のために、父母には修道会の秘蹟を受けることが許されるようになる。
このやり方がどんなに優れているか、みな分かるはずだ。
これによって、宗教行事を行うのに、金のかかる場所を使う必要がなくなってくる。

礼拝における神聖さをすべて滅ぼすために、
司祭は土地の言葉でミサ全体を進め、
特に、聖体奉挙式はただのナレーションにするよう求められる。この方が現実感がある。

特に司祭に言わせてはならないのは、
「これは私の体、これは私の血」という言葉だ。
それは、この言葉を語るキリストの場所を彼が占めることになるからだ。
すべての者に、司祭がナレーションをしているに過ぎないと感じさせるようにせよ。

それから、犠牲の問題があってはならない。
十字架の犠牲を毎度新しくするミサの犠牲のことだ。
こんな言葉を受け入れるプロテスタントは一人もいないのだ。
ミサは、人類同朋体のよりすぐれた幸せのための会食でしかない。

それに、普遍教会が設立されるときには、家族以外では、
ミサそのものも存在する理由がなくなる。
家族とは、もっとも熱狂的な者たちの意味だ。この種の者たちには我慢するしかない。
だが、家に閉じこもっている限り、彼らは毒にも薬にもなるまい。

ミサの典礼文の祈りは最大限簡略化され、奉納、聖変化、交わりの三つだけが
許されるようになるだろう。

簡略化し人間化された別の典礼書を持ち込むのに成功すれば、
次世代の教化のために、ミサには「聖ピオX世の祈り」と呼ばれるものが
いくつかあったことを思い起こすのがいい。
中世の反啓蒙主義に人類を閉じ込めるのに大貢献した祈りだ。
奉納の祈りはその種の典型だろう。

151 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:02:57.31 ID:???.net]
もっといい祈りがあるのではないか。
私は、幾つか奉納文とミサの他の祈りも考案するよう、すべての修道院に提案する。
奉納文はパンを奉納する祈りだから、単にこう言ったほうが意味が通ると自分は考える。

「私たちは、人が造ったパンをここにもってきました。
人の食べ物として出されなければならないものです。」
いずれにせよ、この儀式を聖なるものにみせる傾向のある言葉遣いは
ことごとく撤去しよう。 
ひとつだけ例を出そう。古いミサでは常にこう祈ったものである。

「イエズスは聖なる御手にパンをおとりになった…」

われわれの用語から「聖なる」の語を消し去る必要がある。
われわれは「聖なる御手」とは言わない。
代わりに、「彼はパンを取り、それを祝福した」等々というのだ。

これは、この仕事を達成する精神のよき実例になるだろう。
今は時間がないが、あとで自分用にミサをひとつかそれ以上、試しに考案してみよう。

他方、これは僧侶の仕事だ。無論、ミサが三つの必須の祈りだけから
構成されるようになれば、各自の趣味趣向にしたがって、
詩篇や賛美歌、講演や説教で残りを埋め合わせることが許されるようになる。

このミサは会食に過ぎないのだから、使用するテーブルは、
一〜二人が腰掛けるに十分な大きさでなくてはならない。
私は、信者たちが食べるために、不便を我慢して一斉に席から立ち上がるのを
いつも滑稽に感じてきた。拝領台に対してしばしば跪くことさえある。
これは誤っている。ただの手すりをどうして「台」と呼ぶのか。

それで、どの教会も、一〜二人が腰掛けられる食卓だらけにすべきである。
最後の晩餐では十三人がいたと信じられているが、誰もがこの数を嫌がるだろう。
それで、パンを裂く前にユダが去ったという信仰を利用する。

152 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:04:38.17 ID:???.net]
さて、これにはさらに多くの数の司祭が必要になる。
司祭を増やすのは簡単だ。
これにはある種の善意、ある種の善行だけが求められるのだ。
面倒な学問は一切必要ない。無論、独身者である必要もない。
それでも、独身のもたらす力から益したいと思う者は、
僧あるいは隠者になるだろうし、学問を望む者は神学者になるだろう。

多くの種類の司祭が出てくるだろうが、一般的な司祭は、
家で食事毎にミサを行う既婚者の男だ。
ミサは「主の晩餐」に過ぎないのだから、もはや、崇敬の行為ではなく
社交儀礼に過ぎなくなる。

想像上の恵みに対して感謝することはなくなる。
与えられもしない許しを施すこともなくなる。
未知の奥義(ミステリー)を願うことはなくなり、人間のすべてを願う儀礼になるのだ…

普遍教会は、こうして、全くもって人間の栄光に向けられたものとなる。
それは人間の偉大さ、その力、その逞しさを称える教会である。
人間の権利に対して香を焚き、人間の勝利を謳歌する教会になるのだ。

153 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:07:02.97 ID:???.net]
最初のカテキズムに関する仕事を終了した頃に、「
黒髪」から一通の長い手紙を受け取った。驚くべき内容だった。

愛する方へ。

あなたの確信を伝えてくださって有難う。
  私の心は完全にあなたに開かれるようになりました。
  心は何を語りかけているでしょう。
  あなたを愛しているということ、それはお分かりですね、分かりすぎるほどに。

あなたは、自分の理想をすべて私にも共有してほしいとお思いです。
  でも、私にその気持ちはありません。ただ、あなたに叫びたいだけです。

「気を付けなさい、死の罠が待ち構えています」と。

どうか、最後まで読んでください。どうか、怒らずに手紙を最後まで読み、
  よく考えてくださることを祈ります。確かに、あなたは、
  私と同じほど自分が正しいとお考えですが、私はこのように申しましょう。

歴史を振り返ってください。教会は不滅です。

あなたは時間を浪費しているのです。力を浪費しているのですよ。
  あなたは神に優ることはできません。このことをよくお考えください。
  あなたが神を信じないからといって、神が存在しないことにはならないのです。

あなたには理解しやすいことだと思います。
  あなたは、同じことを正反対の意味で信じているのですから。
  私が信じているから、あなたは神が存在しないと想像なさっているのです。
  信じる信じないに、究極的な力がないことは事実です。

154 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:10:09.23 ID:???.net]
しかし、あなたのまわりの何もかもが、神の存在をうたっているのです。
あなたは植物の種子を造ったことがありますか。
自然の法則を造ったことがありますか。
葉の一枚でさえ、あなたが造り、自分のものにできているものがありますか。
あなた自身さえあなたのものではないのです。

奇妙な神なき教会をつくりだすことに成功したとしても、
あなたが勝ったわけではありません。
それによって、神が低められるわけではありません。
どんなに手を尽くしても、神を低めることもできなければ、殺すこともできません。

私は、こんな子供っぽい戦いに取り組んでいるあなたのために泣いています。
あなたが滅ぼそうとしている神は、どこにもいる万物の主人。
あなたは神によってのみ生きているのです、神によってのみ、生き続けているのです。

教会を揺らすことには成功するかもしれません。
それは過去二千年間に何度となく起こってきたことです。
しかし、そのたびに、教会はより美しく、より強く復興しました。

愛する方、イエズス・キリストの教会は、永遠のいのちを約束されているのですよ。

それは、私の口を介して、聖三位一体はけっして教会を見捨てないこと、
教会に向けられるいかなる攻撃も、ただ信仰を清めるために許されている
試練に過ぎないことをあなたに叫んでいます。

信仰の力を失わせるためにすべてを混交する、
完璧な人間至上主義の教会に加わり、多くの霊魂が滅びることでしょう。
しかし、カトリック教会は立ち続けるのです。
あなたが迫害すれば、教会は地下に潜るでしょう。
それでも、教会の魂は永遠に立ち続けるのです。
天来の啓示に従順であることが、この教会のしるしなのですから。

155 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:12:46.77 ID:???.net]
その特別な領域はあなたが見慣れているものとは違います。
その領域は超自然的な、聖なるものなのです。
ですから、私たちが知的か否かということは問題ではありません。

可哀想なあなた、あなたは頭が良すぎるのです。
そればかりか、子供の頃にある深い傷を負いましたね。
それがどのようなものかを聞くつもりはありません。

あなたは、静かな気持ちで過去を見つめられる歳になっているのではありませんか。
あなたは無意識に復讐を求めているように私には見えます。
それは気高い態度といえるでしょうか。
あなたは、十四歳まではとても敬虔な少年だったと話してくださいましたね。
それで、私がこの手紙であなたに求めているのは、
よくお考えになってくださいということだけです。
あなたはよく分かっているからです。
無神論の家庭に生まれたのであれば、信仰の領域が別な世界にあることが
分かってもらえない、と私も諦めていたでしょう。

神と教会に対するあなたの憎しみは、あなたが単なる反逆児ではなく、
信じるがゆえの反逆児であることの証拠ではないでしょうか。
このような人々は、もっとも手ごわい相手であるといわれています。
私は心からあなたに同情しています。
あなたは早くに失われてしまったからです。私は少しも怖くはありません。少しもです。

あなたは、ご自分の曲がった教義によって、
ある程度の霊魂を勝ち得るかもしれません。
聖職者の一部さえも。(私はそう信じているわけではありません。)

しかし、あなたはすべての霊魂を勝ち得ることはけっしてないばかりか、
逆に、聖人の群れを強化する結果になるでしょう。
可哀相なあなた、あなたは神の教会を攻撃していると思っていても、
全能者のみ手の中ではおもちゃに過ぎないのです。

156 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:16:15.19 ID:???.net]
あなたは自分に力があるとお思いですが、力を揮えるのは、
神様がお許しになっているあいだだけです。主がいつかこう言われるときが来ます。

「もはやこれまで。私は苦しむ者たちの祈りを聞いた。
私の敵を滅ぼすことによって、彼らを慰めることにしよう。」

その日を恐れなさい。神の敵は、自分が敵でいることによって
永遠を犠牲にしたことを知り、絶望に襲われるでしょう。
でも、そのときには遅すぎるのです。

あなたは聖なる教会が人間の組織と同程度の力しかないかのように
振舞っていますが、私たちは、世界の山々をすべて覆すに足るほどの力を
すべて手にしているのです。
しかし、たとえ私たちを殺しても、私たちの特権をつくりだしている力までは
あなたには破壊できません。
あなたがそばにいても遠くにいても、常にキリストが私たちのあいだにおいでです。

私は主に話しかけ、主はあなたをご覧になっています。
どのようなお気持ちでご覧になっていることでしょうか!

私はあなたのことを主にお話しています。夢の中でさえ。
あなたは自分が自由で力ある男だと信じています。それは大変な間違いです。
たとえ、今日死んでも、私はあなたの自由に、少なくとも
そのような自由の使い方に対して戦い続けます。
愛する方、どうか笑わないでください。笑ってはなりません。
それより、あなたの子供時代をよく思い返してください。
目には見えなくとも非常に手強い、それでいてとても柔和なこの力がよく分かるはずです。

私の心と霊魂は、尽きることのない、破壊できない力を所有しているのです。
それをよくお考えください。感情が吹き込むものをすべて心から除いてください。
故意に耳を閉ざしても、故意に目を閉ざしてもなりません。
それは心ある人に相応しい態度ではありません。

157 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:18:54.76 ID:???.net]
しかし、あなたは憎しみ、神への憎しみに根ざす愛に、心を向けているのです。
憎しみは裏切られた愛の叫びであることが多いことをご存知ですか。
私自身は、神様はある特別な愛をもってあなたを愛しておいでになること、
忍耐をもってあなたを待っていてくださることを信じています。

神さまにお祈りする気持ちが今のあなたにはないので、
私があなたに代わって償いを捧げているのですよ。
あなたの名の下に、一日千回、全能の主に、御子と至聖の母マリア様、
有名無名の諸聖人全員の徳行を捧げているのです。
私は一日中、眠りながらも、歓びと確信をもってお捧げしているのです。

あなたはミサ典礼を変えて、それを会食に格下げしようとお考えです。
何という真似事でしょう。

ミサは、最初の聖木曜日以来、なぜ何十億回も捧げられてきたとお思いですか。
一日中、それこそ毎秒のように、
礼拝の香の煙となって天に立ち昇っているとお思いですか。

私は、御子が繰り返し人類の救いに身を捧げるこの「愛のいけにえ」に、
心をひとつにしているのです。
私は、神様につながって、私自身をお捧げしているのです、これほど小さな私を。

私は、主に較べれば“無”ですから、
このようなささげものは滑稽に見えるかもしれません。
もちろん、私は無なのです…それは私たちの誰もが十分に承知していることです。
それが分からない人は哀れです。

158 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:21:08.40 ID:???.net]
信者と未信者とのあいだには大きな違いがあると私は信じます。
信者は、受け取るものを捧げます。それはとても大きなものです。
未信者は、支配し、命令し、見つけ、君臨し、破壊することしか考えません。
そのように、ミサ聖祭で神様に自分をお捧げするときには、
私は神様が私にくださったものすべてをお返ししているのです。

私は、神様がくださった贈り物と愛徳を、感謝のしるしとしてお返ししているのです。

天と私たちのあいだで続けられている愛の交換のすべてを知っただけでも、
あなたは恐怖に砕かれることでしょう。
そのときには、自分の物真似がどんなものかが分かるからです。

私はあなたのために涙を流すばかりです。
私はこの涙を高価な真珠としてお捧げしています。

あなたは苦しみを受け、反逆に向かいました。
あなたが十字架をみつめ、平和と許しの力を与えられるよう
謙虚に主に祈っていたならば、自分に与えられた悲しみに対して
自ら主に感謝するようになるほどの心の平和を感じていたはずです。

159 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:22:45.67 ID:???.net]
苦しみは恵み深い贈り物です。
ですから、神は愛するぶどうの木としてあなたをお扱いになり、
より多くの実を結べるよう、刈り込みをしてくださっていたのです。
ぶどうの蔓は自分では刈り込みはできませんから。

しかし、あなたが取った仕事は、どんな果実を実らせるのでしょう…
それは、苦く、寂しい、絶望的な果実なのですよ。

私があなたに対して孤軍奮闘しているとお思いですか。
とんでもないことです。私の祈りは天国に入った聖徒の大群衆によって聞かれ、
伝わっているのです。

どうか笑わないでください。
霊魂の不滅は、あなたがどれほど力を尽くしても滅ぼせない、
あなたの中の唯一のものです。

霊魂の不滅。この言葉をよく心に刻んでください。
それは、死が存在しないことを正しく示す言葉なのです。
どの家も、この言葉を金の文字で居間の壁に刻み付けるべきです。
死を恐れ、その思いを忌み嫌うのではなく、
死は存在しないことを知らなくてはなりません。

これほど大切なことがあるでしょうか。

愛する人、涙がけっして乾くことのない場所に
あなたが永遠にいることを知るくらいなら、
あなたはこの地上で私を愛してくださらないことをむしろ望みます。

私はあなたを愛しているからです。



160 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:30:48.68 ID:???.net]
私は、偽使徒の情熱を倍にして、「黒髪」に返事を出した。
子供じみた戦いも終わりに近づいた頃に、沢山の攻撃計画を立案し、
これらが三〇年で完璧に実現されると考えた。
一九七四年は、無神普遍教会の記念すべき創設年になるだろう。

超自然に対する憎しみが、私に天才を与えてくれたばかりか、
二重の仕事に信じ難い力を与えてくれた。自分は神学を研究していたので、
好成績を修めることが重要だった。実際、自分が何でも一番だったことに狂喜した。
そして、真の信者を守らぬ神など最初から存在していなかったのだと
確信するようになった。

「超自然」という語が、人に子供騙しの作り話を信じ込ませ、
幕の内側を見させないようにしているのだ。
私は、この悪い劇場を取り壊すことを決意し、不自然で、説明できないものを
みな新約聖書から削る作業を仲間に託した。

この仕事は非常に有益だ。注釈者の言葉を真に受ければ、
自分が神であると、キリスト自らが信じていたことになる。
だが、彼の実際の言葉と、弟子たちが追加したそれとを区別するのは不可能だ。
したがって、常識に当てはまらぬことは、みな削除しなければならない。

161 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:32:35.65 ID:???.net]
前にも書いたが、一番大事なことは、子供の問題に取り組むことだ。
子供の柔軟な心に強い感化を及ぼすことが不可欠だ。
私は、揺るぎ無い確信をもって、自由についての指令を出した。
自分で歩き喋れるようになるや否や、どの子供にも自由を与えなければならない
という指令だ。

大人が子供を日曜日毎にミサに無理やり連れて行くというのは、
全く恥ずべきことである。
同意を得ることなく、子供をカテキズム勉強会に入れるのも、同じほど恥ずべきことだ。
外で遊びたい時にも聖体拝領を受けなければならないと
子供が思い込むのも、そこに原因がある。

生まれた途端に受ける幼児洗礼についてはいうまでもない。
これこそスキャンダルの元凶であろう。
私は、子供に向けた力強い情報キャンペーンを張るよう指令した。

従順な偽善的クリスチャンになれと言われたときに、
世界のどの子供たちも否定の言葉を語れなければならない。

数え切れぬ子供たちが、喜びに満ちて、
「私はクリスチャンではない。神を信じない。
古く役立たずな親のように愚かではない」と堂々言える日がきたら、
どんなに素晴らしいことか。

162 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:35:32.77 ID:???.net]
一方で、私は、どうしても「黒髪」に会いたくて仕方がなかったが、
予想もしないときに、念願が適うことになった。

ある提案を受けてほしいとの親切な招待が、彼女の方から来たのだ。

太陽の眩しいある土曜日に、「黒髪」が待つアトリエに走った。
「黒髪が待っている」、この気持ちが分かる者がいようか。

「黒髪」は、完全に私のものになっていた。
誰もそれを見られないよう彼女の髪を切ってやりたいと思ったほどだ。
髪を切ってやりたい! 何たる犯罪的な思いを自分は懐いているのだろう。

ひとつ要求があると私に告げたときにも、彼女はまったく優しく、愛情に溢れていた。
私は身震いを起こしたほどだ。

だが、彼女が求めたのは、きれいと言われる私の両手を描くことだけだった。
可愛い考えだが、女というのはまったく理解し難い生物だ。

私はその日の午後中、我慢しながらポーズをとっていた。
天使なら --- そんなものがいたとすれば --- さぞ私を羨んだことだろう。
私のこの手をだ。

スケッチは床の上で次々手早く画かれた。
私は陶酔の境地に浸っていた。
それは完全な幸せと呼ぶべきものだ、そう私は思った…少なくとも、
今までの人生であれほどの幸せを感じた瞬間はない。

誰も信じてはくれないだろうが、この間の私たちの結合は、
つまらぬ体の結合にこれほどの幸せがつくりだせるだろうかと思うほど、
それほどに強く、完全なものだった。時間が止まったような気分だった。

163 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:38:55.30 ID:???.net]
スケッチが終わると、私の可愛い敵は、この手はきっと
素晴らしいことをするでしょうといった。私は真実戸惑った。
自分の両手は、本当は、死と殺人の臭いを放っているからだ。

その日、彼女は、私が髪の毛を弄ぶことを許してくれた。
私は色々な髪結いを試した。髪を解き、丸め、
それからもう二度と見られないかのように、つらい犠牲のために
それを用意しているかのように、丁寧にブラシをかけた。

この日に、なぜこれほどまで奇妙な感覚を覚えたのだろう。
本当に不思議な日だった。どこからこんな奇妙な感覚が来たのか、今でも分からない。

私たちは悲劇的な辛さのなかで別れをした。
「次の土曜日に会いましょう」、「次の土曜日に」、ふたりが同時にそう言った。
まるで、この希望が預言書に書かれているかのように、
あたかも別れの唯一の理由がそこにあるかのように、
すべての壁を早く乗り越えたいと思っているかのように… 壁を乗り越えるのだ!!! 

ところが、私は、土曜日に黙想会を開始することをすっかり忘れ去っていた。
二、三日中に修道会入りすることになっていた。

それで、私は短い手紙を「黒髪」に書き、上手な嘘をつくりださなければならなかった。
ローマにもうすぐ行く、一緒についてきて欲しいと率直に書き加えたかった。
だが、この六年間神学院で耐え忍んだより、もっと悪い隷属に自分が入ろうとしている、
私の中の何もかもがそう訴えているというのに、率直な言い方などできるわけがない。

私は、ローマで永遠の都の歯車にとらえられるのだ。自分はとらえられても、機械を壊す、修復不可能なほどに
それを壊すに違いない砂利になるのだ、と言い聞かせて自分を慰めた。

こうして、私は、最後の儀式、私を永遠に司祭に定める儀式に準備するために、
黙想週間を開始した。私は永遠など信じてはいなかったので、この考えに悩まされはしなかった。
それは歯医者で治療を受けるのと同じで、通らなければならない悪い瞬間なのだ。

164 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:41:49.65 ID:???.net]
大事なのは信仰をもつということだ。
そして、私の信仰は彼らのそれにふさわしかった。
これはどういう意味か。私の信仰は彼らのそれに優っていたということだ。
それは恐怖心にみちた子供じみた信仰ではない。
ジャーナリストたちがいうように、大いなる日がついに到来した。

聖堂に入ったときに、私は完全に謙遜な人間になり切っていた
隠れたプライドとより高い目標に支えられていれば、徳を装うなど簡単なことだ。

私は頭を垂れて、厳粛さのなかで静かに進んだ。

そのときに、押し殺したような叫びと悲鳴、動揺が、左の方から聞こえてきた。
普通はここで目を上げてはならない。
だが、私は良心(彼らが私のためにつくりあげたそれのこと)に背いて目を上げた。

気絶した娘を抱え上げる若者たちの姿がそこにあった。
彼女のベールは床に落ち、長い黒髪は、ばらばらに乱れて聖堂の床を引きずった。
この光景から視線をそらして周囲を見回すと、
かつての私書箱役の教授が、私を睨みつけているのに気がついた。

いったいここで何をしているのだろう。この男が「黒髪」を聖堂に入れたのだろうか。
視線を交した瞬間に、この男に狂気じみた勝利の表情を見て取った。

私は真相を突き止め、誰がこんなふざけたことをしたにせよ、
たっぷり落とし前をつけると自分に約束した。
このようなわけで、その日は悲しみの中で過ごした。

誰からどんな疑いをもたれようとも、私は気にしなかった。
これ以上敬虔を装うことも、自分の将来の聖性を預言する、
甘い声を聞きたいとも思わなかった。

165 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 11:44:57.75 ID:???.net]
幸いなことに、あの学生が私に挨拶しにきた。私の唯一の友だ。
起こったことを手短かに話して、彼に調査を依頼した。
真相を突き止め、張本人を殺してやりたかった、声を大にして叫びたかった。
自分を守り、彼女を守るため、特に彼女を守るために。
だが、もはや後の祭だった、遅すぎたのだ。

自分からすべてを彼女に話す勇気さえあったら、彼女は黙って苦しみを甘受し、
私を密かに愛することを受け入れていたかもしれない。 

翌日、私はアメリカへの渡航に備えていた。
この国で、もっとも重要なプロテスタントの教派を訪れ、
彼らを管理する方法を探り出すのだ。
その時までは、プロテスタント世界に深く根を下ろしている大事な信仰の要素を、
無視せざるを得なかった。
だが、ローマでの研究を続行する前に、この問題の側面を熟知しておくことが、
どうしても必要なのだ。

出発直前になって、学生がニュースをもって駆け寄ってきた。
この知らせに苦しみのどん底に突き落とされた。
「黒髪」がカルメル修道女会に入ったのだ。しかも、私のためにである。
彼女は、もはや私のために、どんな小さな恋人の歓びをももつことはない。
むしろ死んでくれたらいいと思った。

いずれにせよ、私は全世界の修道会、特に観想修道会を門戸開放させるのだと
自分に誓った。
私は鉄格子に反対するかなり力強いキャンペーンを張り、
頭の弱い修道女たちを通して、教皇にも嘆願書を送り付けた。

鉄格子はもともと、親に無理強いされて修道会に叩き込まれた娘たちが
逃亡しないようにとの配慮から設置されたものだ。それを修道女たちに思い出させてやった。
逃亡と、それから手紙の交換を防ぐためのものだったので、
格子は二重にされた上、木戸によってさらに強化されたのだ。

166 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 12:41:35.89 ID:???.net]
私は、この聖なる牢獄の記憶をすべて取っ払うために、できる限りのことをした。
とりわけ、これら聖別された処女たちの名誉の気持ちを刺激した。
誰にでも開かれている家の中で自由に修道生活をするという願いを刺激するためだ。

後に、還俗するよう彼女たちを説き伏せることによって、
さらに大きな前進を見た。世界は彼女たちを必要としているのだ。
それから、特別な服装によって自分たちの正体をさらさなければ、
もっと善いことができるのだと彼女たちを説き伏せた。

この問題については、羨ましいほど豊富な語彙を使って
本を全巻書くだけの頭をもつ著者たちがいた。
私も、修道女たちの頭を剃る習慣に猛反対して戦った。
私は彼女たちが病院で手術を受けるときに恥をかくと訴えた。
こんな昔の慣習のために、若い召し出しが愚かしくも失われているのだと主張した。

また、夏に大きな重荷になり、冬に寒さを効果的に凌げない古い修道服をも攻撃した。
私はすべての規律と教会法を、男によって慎重に改正するのが望ましいと提起した。
男が寛容を示せば、女は大胆になりだす傾向がある。

だが、自分の仕事の大きな拡大を見つめたときに、
私は全体から見ればごく小さなものではあったが、静かなる抵抗に躓いた…
穏健で、かなり秘密めいたカルメル修道会から、返事が一通も来なかったのだ。

一方には世俗があり、他方にこの牢獄がある。
私は世俗に対しては指令者だったが、後者においては囚人だった。
私の仕事はこんなことに影響を受けたりはしなかった。

とはいえ、「黒髪」の犠牲の無意味さを思ったときには怒りが爆発しそうになった。
何という空しい犠牲だろう!

167 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 12:45:24.15 ID:???.net]
私の仕事が着々と進行していた頃に、公会議が開催されるとの噂が、
私の情熱をいっそう煽った。
私は、教皇の指示によって幾つか文書が用意されつつあることを知った。

私は明確な役割を果たせることを上に確信させた。
それで最高のポストをあてがわれた。
すべてが私にかかっていた。
財源は文字通り無尽蔵にあった。

私は、あとで優れた仕事を果たすことになる、左翼の評論と多くの
ジャーナリストに金をばら播いた。
希望はすべて、会議文書の変更にかかっていた。
私は進歩的で大胆な神学者たちを通してこれをすでに提起していた。

私は野心が彼らを導くと考えた。
野心は最強の駆動力だ。
私は、公式文書、つまり教皇が指示した文書のコピーをすべて入手した。

ところが、これらは私にとって大変動、まったくの災いだったのだ。
自分の言葉に慎重にならざるを得なくなった。
公会議終了からだいぶ経った今でさえ寒気を感じる。

これらの文書が編纂されて広く普及されれば、自分のやってきたことはみな、
あるいはそのほとんどが、無と化してしまうのだ。

最後に、私の情熱と、特に無尽蔵に使える金の力によって、
モダニストの文書 --- 我ながら何たる臆病なモダニストかと思う --- を
会議に持ち込んだ。
公文書と、図々しくも差し替えるためである。
この手先の早業が、会議全体を、いまだ立ち直れぬほどの仰天した空気で満たした。
今後も立ち直れまい。図々しさが常に勝つ証拠だ。

168 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 12:46:56.40 ID:???.net]
だが、私はまったく満足できなかった。
この会議は私が希望通りのものではなかったのだ。
われわれは第三ヴァチカン会議を待たなければならない。
そこでこそ、完全勝利を見込めるだろう。

第二ヴァチカンについていえば、そこで何が起きたかいまだ理解できずにいる。
われわれの刷新の試みが効力を発揮するその瞬間に、
何か目に見えぬ悪魔が入り込み、すべてを邪魔したかのようだった。
本当に不可解で腹立たしい出来事だった。

だが、幸いにも、このとき以来巧妙な方法を心得て、
あらゆる種類の痛快な刷新をわれわれは立ち上げてきた。
「会議の精神」の名の下に行うということだ。

この「会議の精神」という表現が、以来、私の切り札になった。
自分にとっては、これはトランプ遊びと変わりはしない。
だが、私が釘と金槌をもって臨めるのは、第三ヴァチカン会議しかない。
神を十字架に釘づけにするためではない。神を棺桶に打ち込むためだ。

169 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:09:58.12 ID:???.net]
ブリーフケースには、第三ヴァチカン公会議に関する文書は含まれていなかった。
だが、そのような文書が存在し、比較研究され、
いっそう改悪されている可能性は十分ある。
小さな手帳には、ロシア語のメモが幾つかあった。
それを注意深く翻訳してみて、この怪我人の今後の計画が少しだけ明るみにでた。

ミシェルのような人にとっては、第二ヴァチカン公会議は、
歴史がほとんど気にも留めない試験的打ち上げに過ぎなかったのである。
しかし、第三ヴァチカン公会議は、キリスト教とマルクス主義の結合を確定する。
教理の多様性と、妥協を許さぬ社会主義的ドグマという性格が、
もっとも注目すべき変化になる。
キリスト教であれどの宗教であれ、一つの巨大組織を形成する宗教はみな、
共通の指標、つまり「魔術」に低められ、彼らのいう「純粋なるもの」、
つまりマルクス主義のコントロールする現実的力がその潜在力になるという。

ミシェルの文書の返還を誰も求めなかったのには驚かされた。
しかし、彼は偽名で車を買い、この旅を誰にも言わずにいたのかもしれない。

どこに「黒髪」がいるのかは、私にも分からない。
多分、彼女は今も、由緒ある信仰を大切にするカルメル修道会にいるのだろう。

この本も、いつかカルメル会にも広く浸透するようになり、
黒髪は私がミシェルのために祈っていることを知ると思う。



170 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:12:40.93 ID:???.net]
以上、護教の盾さんのAA1025からでした

171 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:16:43.75 ID:???.net]
こっちも
イルミナティの極秘指令
指令書本文

一、

 カトリック教会の守護者ミカエルを、ミサ中であるか否かを問わず、
 すべての祈祷から、完全に削除せよ。
 ミカエルのすべての像を取り除け。
 それは、人々をキリストから引き離すからであると言え。

二、

 金曜日に肉食をしないことや、断食のごとき四旬節中の償いの
 慣習を止めさせよ。いかなる自己否定の行為も止めさせよ。
 それを、喜び、幸福、隣人愛の行いに置き換えよ。
 キリストは、すでにわれわれのために天国を勝ち得ているので、
 人間の努力は不要であると言え。

三、

 プロテスタントの牧師を結集し、ミサの改訂と非聖化を行え。
 キリストの現存を疑わせるよう人々を動かし、聖体拝領は
 単なる食事と象徴でしかないという、プロテスタントの信条にいっそう近づけよ。

四、

 すべてのラテン語典礼、信心、歌を止めさせよ。
 それは、神秘と崇敬の気持ちに導くから。
 それは意味不明な呪文のごときものであると言え。
 こうすれば、人々は、司祭が彼らよりも優れた知性を持っているとは思わなくなる。

172 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:19:42.47 ID:???.net]
五、

 教会でベールをかぶらぬよう、女たちを先導しろ。
 髪は性的なものであるから。
 民主主義の理念に則り、女性侍者、女性司祭になるよう女たちを動かせ。
 女性解放運動に着手せよ。

六、

 聖体拝領のときに、跪きを止めさせよ。
 聖体拝領のときに、子供たちが両手を合わせるのを止めさせるよう、
 修道女を仕向けよ。
 神はありのままの彼らを愛するのだと言え。
 彼らが完全に気を緩めるよう仕向けよ。
七、

 聖なるオルガン音楽をやめさせよ。ギター、口琴、太鼓、足踏みを持ち込め。
 イエズスとの私的祈りと対話が、これによって妨げられるであろう。
 イエズスに子供たちを召し出す機会を与えてはならない。

八、

 神の母や、聖ヨゼフに対する聖歌を廃止し、プロテスタントの歌に換えよ。
 それは偶像崇拝であると言え。
 これによって、プロテスタントこそ真の宗教で、カトリックと同等だと、
 カトリック教会自身が認めているという誤解が生まれる。

173 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:22:53.57 ID:???.net]
九、

 イエズスに向けられているものも含め、すべての聖歌を取り替えよ
 聖歌は、幼いころの自己否定と神への償いの宗教生活から受けた、
 甘美な平和を思い起こさせる。
 ともかく、以前の典礼は誤っていたことを確信させるために、
 新しい歌を持ち込め。
 各ミサで、最低一つは、イエズスに触れず、人間愛を謳歌する歌を使うようにせよ。
 若者は隣人愛に熱心になるだろう。

十、

 祭壇から、聖人の聖遺物をことごとく排除せよ。
 次に、祭壇そのものも排除せよ。
 そこで黒ミサを密かに行うときに、生きた生け贄を捧げるのに使えるよう、
 異端的で祝別されていない机にすり替えよ。
 教会でのミサは、聖人の聖遺物を収めた祭壇の上でのみ捧げるという
 教会法を廃止させよ。

十一、

 聖櫃の聖体の前でミサをする習慣を一掃せよ。
 どのような聖櫃もミサに使われることを許してはならない。
 祭壇を夕食机のようにせよ。それが聖なるものではなく、
 会議机やトランプ台のように、多目的に使えるよう、持ち運び自由なものにせよ。
 それから、聖体拝領後に、司祭が食休みをしていることを意味するよう、
 この机に椅子を最低一脚は備えるようにし、司祭をそこに座らせよ。
 ミサのとき、けっして司祭に跪いたり、片膝をついたりさせてはならない。
 人間は跪いて食事をしないのだから。

174 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:25:12.22 ID:???.net]
十二、

 徐々に、聖人を教会の典礼暦から削除しろ。
 司祭が、聖福音書に記録されていない聖人について話をする権利を禁じること。
 これを好ましく思わぬプロテスタントが、教会にいるかもしれないからと言え。

十三、

 聖福音書を紹介するときに、「聖」の語を取り除け。
 聖ヨハネによる福音書というところを、ただ単に、ヨハネによる福音と言え。
 これは、それらをもはや崇敬する必要がないことを暗に意味しているのだ。
 プロテスタントの聖書と同じになるまで、聖書を改訳し続けよ。

十四、

 すべての個人的祈祷書を取り除き、破壊せよ。
 これは、聖心、聖母、聖ヨゼフの連祷や、聖体拝領のための準備を
 止めさせる手立てになり、同じく、聖体拝領後の感謝の祈りも、
 形ばかりのものに変える効果がある。

十五、

 すべての像と天使の絵を取り除け。
 われわれの敵の像を周囲に置いておく必要が、どこにあるか。
 それは神話であり、お伽話なのだと言え。

175 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:27:55.39 ID:???.net]
十六、

 下級聖品の祓魔師を排除せよ。
 これには全力を尽くせ。
 真の悪魔などは存在しないという考えを蔓延させろ。
 それは悪を暗示する聖書独特の語法であって、
 悪者がいなければ善い話は成立しなくなるからだと言っておけ。
 これで、彼らは地獄も信じなくなり、そこに行くこともまったく恐れなくなる。
 地獄は、神から離れることに過ぎないと言っておけ。
 それがどうして、そんなに悪いのかと言え。

十七、

 イエズスはただの人間に過ぎず、彼には兄弟姉妹がいて、
 支配者階級を憎悪していたと教示しろ。
 彼は、売春婦の弟子、特にマグダラナのマリアを愛したのだと言い広めよ。
 彼は教会や会堂にとって無用の人物だったと言い広めよ。

十八、

 修道女たちの虚栄心、女としての魅力、その美貌を褒め称えることによって、
 彼女たちを還俗させられることを、けっして忘れてはならない。
 修道服を捨てさせよ。それと一緒に、ロザリオも投げ捨てることだろう。
 修道院内部に、意見の衝突があることを世間に訴えろ。
 そうすれば召し出しも底をつく。

176 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:30:13.34 ID:???.net]
十九、

 すべてのカテキズム(カトリック要理)を焼き払え。
 宗教教育者には、神の愛の代わりに、神の民の愛を教示するよう宣伝しろ。
 人前をはばからず愛するのは大人のしるしであると言え。
 セックスを宗教部門の一般用語とせよ。
 セックスを新宗教とせよ。

二○、

 修道女の召命を減らすことによって、すべてのカトリック学校を閉鎖に追い込め。
 修道女は、低賃金の社会福祉労働者で、教会は裕福ではないが、
 安楽な生活ができる程度の金と財産があると言え。

二一、

 大学での最高権を滅ぼすことによって、教皇を滅ぼせ。
 政府は喜んで資金をはずんでくれると言うことによって、
 大学を教皇から引き離せ。
 「無限罪の御宿りスクール」を「コンプトン・ハイスクール」に変えるなど、
 ミッション系の学校の名称を世俗的名称に変更せよ。
 それを、エキュメニカルと呼べ。

二二、

 その職務に年齢制限をおくことによって、教皇の権威を攻撃せよ。
 年齢制限を少しづ下げさせろ。
 教皇の過労を防ぐためのものであると言え。

177 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:33:04.81 ID:???.net]
二三、

 司教会議を設置することによって、教皇を弱体化させるよう激励せよ。
 イギリス国王が上院と下院に支配され彼らから指令を受けているように、
 教皇も表看板に過ぎなくなる。
 それから、司祭レベルの会議を設置して、司教の権威を弱める。
 司祭は、最終的に望む名声を得られると言え。
 それから、司祭を支配する平信徒グループを結成させて、司祭の権威を弱めよ。
 枢機卿さえ教会を去るほどに、憎悪が高まってくるだろう。
 教会は、今や民主主義になったのだといえ。
 新しい教会組織を称えよ。

二四、

 平信徒から寄せられる尊敬を失わしめることによって、司祭の召命を減らせ。
 一人の司祭の政治スキャンダルによって、千の召し出しが失われることだろう。
 好きな女のためにすべてを捨てる、落ちこぼれ司祭をほめたたえよ。
 彼らを英雄とたたえよ。
 還俗した司祭を褒めちぎり、彼らは司祭職ができなくなるよう
 圧力をかけられた殉教者なのだと言え。

二五、

 司祭不足を理由に、教会を閉鎖に追い込め。
 それは経費節約のための、正しい経済行為なのだといえ。
 神はどこででも祈りの声を聞くのだから、
 教会は浪費にすぎないと言い広めよ。

178 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:35:56.42 ID:???.net]
二六、

 平信徒の委員会と信仰の弱い司祭たちを使って、
 聖母マリアの新しい出現や、報じられる奇跡、
 特に大天使聖ミカエルの出現があれば、
 即刻これを非難し、否認せよ。
 第二バチカン会議以後、絶対にどんなものも認めぬようにせよ。
 そのようなメッセージに従い、あるいは繰り返し、あるいは
 それについて考えることさえ不従順に当たると言え。

二七、

 新教皇が選出される度に教皇庁を解散する法案を通せ。
 これによって、教皇庁が、多くの革新派とモダニストの溜り場となることは必至である。

二八、

 偽教皇を選出せよ。
 彼はプロテスタントと、またユダヤ人さえも、
 カトリック教会に引き戻せるのだと言え。
 司教に投票権を与えることによって、偽教皇を選出できることを知れ。
 あまりに多くの教皇が候補に立つため、妥協する教皇として、偽教皇が舞台に立つ。

二九、

 小学校二学年、三学年の子供たちが
 初聖体を受ける前に告解をする慣習を取り除け。
 こうすれば、四学年、五学年、それ以上になったときに、
 彼らは告解をしなくなる。こうすれば、告解そのものが消滅するだろう。

179 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:38:33.71 ID:???.net]
三○、

 女性と平信徒に聖体を配らせろ。
 平信徒の時代なのだと言え。
 舌によってではなく、プロテスタントと同様、手で聖体を受けさせろ。
 キリストもそのようにしたのだと言え。
 聖体の一部を黒ミサ(サタンミサ)のためにとっておけ。
 次には、一人一人聖体を受ける代わりに、
 ボールに一杯入っているホスチアを各自が取って、教会を出られるようにせよ。
 彼らは、こうして神の賜物を日常生活に持ち込むことができるのだと言え。
 聖体自動販売機を設置し、これを聖櫃と呼べ。

三一、


 偽教皇が支配するようになってから司教会議(シノドス)や司祭協議会、
 平信徒顧問会を解散せよ。宗教者が許可なく政治問題に加わることを禁止せよ。
 神は謙遜を愛し、栄光を求める者を憎むからだと言え。

三二、

 後任者を選ぶ絶対権を教皇に与えよ。
 破門という苦痛を与えて、神を愛するすべての者に獣の刻印を押してやれ。

三三、

 教皇不可謬説以外、過去の教理はみな虚偽だったと宣伝せよ。
 イエズス・キリストは革命家の一人であったのであり、
 教理を作りはしなかったのだと言え。
 真のキリストはもうすぐ来るのだと言え。



180 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/20(土) 13:39:26.91 ID:???.net]
三四、

 教皇に従う者すべてに、世界統一宗教拡大のための聖戦を
 戦うよう指令せよ。サタンは、失われた黄金がどこにあるかを知っている。
 容赦なく世界を征服しろ。
 これによって、彼らが憧れてやまなかったもの
 ―平和の黄金時代―を人類に与えられるのだ。

181 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/21(日) 18:45:02.30 ID:???.net]
クリスマスツリーはキリストとはおよそ無関係である。
原型は北欧に住んでいた古代ゲルマン民族の「ユール」という
冬至の祭で使われていた樫の木である。
冬でも葉を枯らさずにいる樫は生命の象徴とされていた
このドイツの民をキリスト教に改宗させる試みがなされたが、
樹木信仰が根強かったので、樫を樅(モミ)に変えることでキリスト教化した。
樅の木は横から見ると三角形で「三位一体」を表していると教えた。
父なる神が頂点で、子と精霊が底辺の両端に位置する[4]
そして、1419年にドイツのフライブルクで、
パン職人の信心会が聖霊救貧院にツリーを飾った。
この記録が、クリスマスツリーをクリスマスに飾る行為の最初とされている。
1600年代には、ドイツ各地で記録が残されている。
ベルリンには1800年頃にツリーが伝わっている。 …

クリスマスツリー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%84%E3%83%AA%E3%83%BC

教会が不変か、
といえば無論そんなことはない、が…

182 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/21(日) 23:56:28.73 ID:???.net]
日本でも聖母の出現があった
秋田の聖母
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E7%94%B0%E3%81%AE%E8%81%96%E6%AF%8D%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2

秋田の聖母マリア(あきたのせいぼマリア)とは、
日本の秋田県秋田市にあるカトリックの在俗修道会
「聖体奉仕会」で起きたとされる一連の奇跡現象を意味する呼び名。
「秋田の聖母マリア」は、教区司教によって認可された
数少ない聖母出現の一つであり、日本より海外での知名度の方が高い。
なお、このとき涙を流した聖母像はすべての民の御母を模した聖母像であった。

概要

発端は1973年に、同会所属の修道女の手の平に、
出血を伴う十字架型の傷が現れたことである
(これは聖痕と呼ばれ、世界各地で、ときどき事例報告がある)[1]。
そのほかにも、木製の聖母マリア像からの101回に渡る落涙および芳香現象、
3つのお告げなどの奇跡があったと言われている[2]。
これらの奇跡は1984年まで続いたとされている。
その他、韓国の婦人の脳腫瘍の消滅等[3]、
出現に伴う病気の快癒現象がいくつか報告されている。

1984年には、調査の結果、当時のカトリック新潟教区長であった
伊藤庄治郎司教により、「奇跡としての超自然性を否定できないので、
教区信者の巡礼を禁じない」という公式声明が出された[4]。
この声明は、一連の現象が詐欺的、病的、異端的、邪教的なものではない
と確認されたことを意味する。
この伊藤司教の声明は、1988年にバチカン(教皇庁)の
教理聖省長官のラッツィンガー枢機卿(後の教皇ベネディクト16世)
によって正式に受理された。

183 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/22(月) 00:02:12.03 ID:???.net]
涙を流した101回という数字には意味があり、
一人の女エバによって、罪がこの世に来たように、
一人の女マリアによって、救いの恵みがこの世に来たことを表すものだという。
1と1の間の0は、永遠にわたって存在する神の存在を表し、
最初の1はエバ、最後1は聖母マリアを表すものだという[10]

184 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/22(月) 00:18:46.58 ID:???.net]
公教会祈祷文 目録

hosanna.romaaeterna.jp/koukyoukai/index.html

まあどんなもんか把握するためにもざっと目を通しておいたら
今のミサはまた新しい祈りの文句に代わってるけど

185 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/22(月) 00:48:24.12 ID:???.net]
もし祈るならアドバイスすると
敵のために祈れ

186 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/22(月) 19:49:25.30 ID:???.net]
復活の続唱 典礼聖歌351番
https://www.youtube.com/watch?v=4522qXdqQNU

187 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/22(月) 22:27:18.23 ID:???.net]
隠れたところで
マタイ6:5-6

6:5 また祈る時には、偽善者たちのようにするな。
彼らは人に見せようとして、会堂や大通りのつじに立って祈ることを好む。
よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。
6:6 あなたは祈る時、自分のへやにはいり、戸を閉じて、
隠れた所においでになるあなたの父に祈りなさい。
すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。

188 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 09:16:02.41 ID:???.net]
ドンボスコ社
メダイ
https://www.donboscosha.com/product-list/228

安いし買って身に着けるなり部屋に飾ることをお薦めする

189 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 09:26:16.71 ID:???.net]
尚良いのは買った後持って行って神父さんに
その聖品を祝福してもらうこと



190 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 21:15:11.90 ID:???.net]
今、辛いだろうがめげないでな
奥さん大事にしてやってな
明日晴れるらしいし一緒に花見散歩かドライブでも行ったら?
あと映画のパッションってやつ見てみたら?キリストの受難描いたっていう
自分もまだ未見だが興味ある

191 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 21:23:05.32 ID:???.net]
自分としてはまたテレビシリーズで作ってほしい
月一ぐらいのペースでも

192 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 21:36:39.30 ID:???.net]
マリの扱い、トリックスター的なのはやめてほしい
邪悪さはしっかり描いて、悔いさせ、尚赦すみたいなの経て仲間にとかさ
まあこんな平凡な俺よりよっぽど良いアイデア浮かんでくるだろう

193 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 21:42:05.98 ID:???.net]
AA1025も作品化して欲しい
見てみたい
題名はまんまで

194 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/23(火) 22:03:30.62 ID:???.net]
【ちいさなひとびとの】
https://www.youtube.com/watch?v=CJtgrN4gusM

195 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 08:36:48.18 ID:???.net]
ごらんよ空の鳥
https://www.youtube.com/watch?v=ETcqrIS-5wQ

196 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 08:43:54.76 ID:???.net]
「讃美歌219番(さやかに星はきらめき)」
https://www.youtube.com/watch?v=9rhWDXiIbQo

197 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 09:28:28.33 ID:???.net]
明るいミサ曲もみっつ、同じ教会の
(神さまといつもいっしょ)
https://www.youtube.com/watch?v=p7QdAS8jn7M
(マラナタ)
https://www.youtube.com/watch?v=LO6odLfyhb0
(アレルヤ豊かな愛を)
https://www.youtube.com/watch?v=Pklg0Aw_CzI

198 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 11:21:43.75 ID:???.net]
なんかお願いするときは
〜してください、我らの主、イエズスキリストの聖名によって願い奉ります
と言い主祷文祈ると良い

199 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 17:43:47.29 ID:???.net]
良いアイコンは羊
悪いアイコンはヤギ



200 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの mailto:sage [2021/03/24(水) 17:45:58.91 ID:???.net]
パチンコパチスロから撤退しろ
大変だとは思うが






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