- 397 名前:書く人(そろそろ自重した方がいいか?) mailto:sage [2007/11/23(金) 00:27:10 ID:QmBNXyMq]
- 恋人はいるか、と訪ねて、いないという答えが返ってきてから「良かった」と言う。
……これってほとんど「私はあなたのことが気になってます」って言ってるようなものだよね……。 ――ぅぁぅぅぁぁぁぁぁぁぅぁぅぁっ! どうしよう!考えてみれば見るほど地雷原!慣れないことなんてするんじゃなかった! >>333君はどう思ったかな?迷惑そうな顔してるかな?けど…もし、もしも万が一、嬉しそうな顔をしていてくれたら…。 私は恐る恐る、けれども若干の期待を込めて、彼の顔を盗み見た。 「………(ふりーず)」 か、固まってる……。これって……ダメってことかな? ……やっぱり…そうだよね。こんなおしゃべりも下手で、地味な女の子に好かれても、嬉しくなんてないよね。 幸福感で膨らんでいた心が、急にしぼんでいくのを感じだ。 うん、けれど……いい。これでいい。最初は恋人になれるなんて期待してなかったんだもの。 二人でお出かけ……向こうはそう思ってないかもしれないけど、デートをすることができただけでも、幸せだもの。 けれど……このままじゃ、このあとも気まずいままかな? それは嫌だと思い、私は何とか顔を笑顔にしてこう言った。 「……あ、その……私も男の人とお付き合いしたことないから……、同じくらいの年の人にそう言うの変かなって聞きたくて……」 とっさに出てきた言い訳。気持ちが落ち込んでいたおかげか、それは自然に言うことができた。 〜 >>333 side 〜 彼女がいつもと同じ控え目な、けれどどこか悲しそうな笑顔で告げた言葉に、俺はようやく冷静さを取り戻す。 それと同時に、自分が随分と恥ずかしい早合点をしていたことにも気づく。うわっ、俺ってダセェ。 「変じゃないよ、きっと。そう言うのは他人に合わせたりするようなもんでもないと思うし」 答える俺の顔には、自然と笑みが浮かんだ。 男と付き合ったことがない―――実は同性と付き合ってるんです、などと言う変化球さえなければつまりは彼女はフリーということだ。 さっきの「良かった」っていうのも、きっと恋人がいない仲間を見つけた安心感で……あれ? 妙だ。「俺が今まで異性と付き合ったことがあるのか?」を気にしているなら「『今』、お付きあいしてる人〜」と言うのはおかしい。 「今までにお付き合いした人〜」と聞くのが正しいはずだ。言い間違いの可能性は低い。読書家なせいか、彼女の言葉は文法的に適格だ。 じゃあ一体…… 「あの……」 遠慮がちな彼女の声が、俺の意識を思考の海から引っ張り上げた。 「そろそろ…出よ?…眼はもう大丈夫だから」 「ん?ああ」 俺は彼女の目を見る。確かに、もう腫れはすっかり引いていた。俺を待たせるのに気兼ねして無理をしているということはなさそうだ。 「ハンカチ……洗って返すね?」 「あ、い、いいよ別に…」 「けど……」 彼女は今まで目に当てていた濡れたハンカチを両手で、まるで何か大切なものであるかのように持って、こちらを見つめる。 そうされると、厚意をむげに断るのも悪い気がした。 「……じゃあ、頼む」 「……」 彼女は頷くと、ポーチから自分のハンカチを取り出し、俺のハンカチを包んだ。 【続…けてください】
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