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無口な女の子とやっちゃうエロSS 3回目



1 名前:初のスレ建て [2007/10/01(月) 17:48:19 ID:/aR7sTR+]
無口な女の子をみんなで愛でるスレです。

前スレ
無口な女の子とやっちゃうエロSS 2回目
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179104634/

初代スレ
【隅っこ】無口な女の子とやっちゃうエロSS【眼鏡】
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155106415/

保管庫
mukuchi.yukigesho.com/

次スレは480KBを超えた時点で有志が立てて下さい。
それでは皆様よろしくですぅ。

401 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 14:16:11 ID:AeqFSRzz]
↓次で一気に急展開を期待

402 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 14:22:56 ID:ukI1+mhs]
いやいや、ここはゆっくりじっくりねっとりと、恋愛していって貰いたい

403 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 15:04:49 ID:EYbtQwWK]
急展開

「・・・実は私双子なの」

「な、なんだ(ry」

404 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 16:02:36 ID:dPDXoC0J]
保管庫 mukuchi.yukigesho.com/

『404 Not Found error』が出るんですけど、消滅?

405 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 16:39:10 ID:BJ9XUof1]
うあぁぁぁああああ!!
ブクマから辿ってもでやがるぞぉぉぉぉお!?
ようするに保管庫オワタ\(^O^)/

406 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 18:50:48 ID:F+juwBUQ]
>>404-405
なんか忍者の鯖不良っぽい。
2.3日様子見だね。

407 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 01:12:33 ID:Ja5nu43W]
というか今更なんだが、忍者って18禁OKなんだ。

408 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 02:08:13 ID:kQ33eP4M]
無口な忍者っ娘萌え〜〜〜!



いやさ、なかなかリレーの続きが来なくてついorz
中断せずに最後まで行ってほしいなぁ。あ、けど終わってしまうのもいやだなぁ…

409 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 02:09:48 ID:lvHRzDCY]
404すら出なくなった



410 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/11/25(日) 06:52:24 ID:QLG5I9lw]
捕手

411 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 18:56:49 ID:Sc3SkrmK]
甘納豆を食べるたびにミュウマを思いだすとは俺の脳みそが腐ってやがる

412 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 19:35:28 ID:bU36lhia]
>>411
大丈夫だ、正常です

仕事でホテル泊まるたびry
自部屋二階にあるんだが窓を見るたびry
ベッドが微妙に膨らんでいるとry
旅館に泊まるたびry
OBとして学校に行き、保健室ry





人をやめたほうがいいな俺……

413 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 20:11:00 ID:NWbBfd9r]
>>412
あれ?俺この時間カレー食ってたはずだが…

414 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 22:30:26 ID:kQ33eP4M]
【his side】
 図書館を出た後、俺達は昨日電話で紹介した店―――洋菓子店へと向かった。ワッフルが有名だが俺としてはシュークリームが一押し。
 彼女もそこのシュークリームを気に入ってくれたようだ。証拠に、持ちかえりでいくつかシュークリームを買っていった。家族へのお土産らしい。
 その頃になると、図書館の時に感じた沈んだ様子も消えていた。まあ、最初から俺の勘違いだったのかもしれないけれど。
 店を出たらウィンドウショッピング。クリスマスまで一か月というこの季節、街は華やかで見ているだけで楽しい気分になる。
 一緒に歩いていて俺はいろいろと彼女に話しかけたが、やがてそれもせず隣を歩くようになった。話題が尽きた、というわけではない。
 彼女が求めるのはあれやこれやと話題を振ることではない。一緒に何かを見て、何かを聞いて、一言か二言感想を交わす。そんな静かな時間の共有だ。
 気の早いクリスマスソングが流れる街の中、穏やかな無言に混ざる小さな声。胸がときめくようで、けれど落ち着くような、そんな時間を過ごした。
 確信を持った。俺は彼女のことが好きなのだ。彼女以上の美人や可愛い人は、この世に何人もいるだろう。
 けれど俺は彼女を選ぶだろうし、願わくば……彼女に選ばれたい。
 俺の心は膨れ上がり、そして揺るがないものになっていった。


「今日はありがとうな、誘ってくれて」
「……こちらこそ……ありがとう」
 俺達は街灯と窓からの明かりを頼りに住宅地の道を歩いていた。彼女を家に送るためだ。
 吐く息が白い。時間は五時過ぎだが、この時期になるとすっかり日は沈み、女の子を一人で歩かせるわけにもいかない。
 ―――と言うのは建前で、本当は彼女の家を知っておきたかったから。別にストーキングするつもりはないので勘違いするなよ?
 それだけ言葉を交わして、再び無言。気まずくはない。お互いの心が通じ合ってるという確信が温かい。
 けれどそんな確信が幻想であると突き付けられるような言葉が、彼女の口からでた。彼女の家の前に来た時だ。
「ここ…」
「あ、うん。それでさ…ハンカチのことなんだけど……」
 それをネタにして、俺は次に会う約束を取り付けようとした。だが…
「住所…教えて」
「え?」
 まさか家に来てくれるのか!?と、期待した俺だが
「小さいものだから……郵便で送るね」
「………え…?」
 幸福で膨れ上がった俺の心に、不意打ちの一言が亀裂を入れた。
 なぜ……会えばいいものを……。
 茫然と俺は彼女の顔を見る。彼女の顔は、家の窓から差す光で逆光になり、良く読み取ることができなかった。

【her side】
「わざわざ……その為だけに会う必要もないよね」
 自分の口から出る言葉は、私の胸を切り裂いていく。けれど、止めることはない。諦めるために必要だから。
 彼は、私のことを好きではないのだ。
 嫌われている、というわけではないと思う。好かれているのだとは思う。けれどもそれは友達として。私が望む形ではない。
 もちろんそれだけで、幸せだと思った。けれど……私の心はそれで納得しないだろう。
 彼と街を歩いた時、とても楽しかった。
 私の遅い足に合わせてゆっくり歩いてくれる彼。口下手な私の言葉を、急かさずに待ってくれる彼。私の言葉に、しっかり答えてくれる彼…。
 好き。彼のことが好き。彼の存在を確認する程に、そんな気持ちがあふれる。叶わない想いが溢れる。それが、堪らなく辛かった。
 これ以上彼といたら、彼への想いが溢れ続けたら、叶わない願望と不自由な現実の間で、私は壊れてしまう。
 だから…もう会わない。そう決めた。その為に自傷の言葉を紡ぐ。もう私に会わないで。もう私に構わないで。もう私に想わせないで。もう私に…
「…楽しかったよ。バイバイ」
 せめて、最後は笑顔を彼の記憶に残したい。泣きそうになった私は、逃げるように家に入ろうとして…
「待てよ」
 手首を掴まれ、引っ張られた。
 驚く。顔を上げて彼を見る。目が合う。顔が近い。引っ張られた。もっと近づく。小さく声が漏れた。彼の吐息を唇に感じた。そして…
 ―――私と彼の、唇が重なった。
 手から紙箱が落ちた。音がして、真っ白になった頭のどこかが、なぜかシュークリームの心配をしていた。

415 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 22:32:06 ID:kQ33eP4M]
【>>his side】
 解らなかった。何もわからなかった。
 なぜ彼女がそんなことを言うのか?なぜ言ってる彼女の方が悲しそうな顔をしているのか?俺はどうしたいのか?俺が何をするべきなのか?
 解らなかった。何もわからなかった。
 レポートのために調べたところ、頭蓋骨の中で鎮座している1400t少々の脳味噌様は体が必要とする酸素と栄養をかなりの割合で消費しているらしい。
 普段から贅沢させてるんだからこんな時ぐらい働けよ!
 そんな気持が通じたのか、俺の心の承諾を受けるより早く俺の脳は運動野を中心として行動を起こした。
 去ろうとする彼女の腕を掴んで引っ張り寄せて……キスをした。
 柔らけえ…。
 焦りより、感動が勝った。どれほどの時間が経っただろうか。キスを追え、けれども暴走した脳味噌が支配する俺の体は止まらなかった。
「好きだ」
 おいおい。ドラマみたいだな。麻痺した心がそんな感想を漏らす。
「好きなんだ。俺、君のことがずっと好きだったんだ」
 繰り返して、俺は言う。眼鏡のレンズを通して見つめた彼女の眼は、丸く見開かれていた。びっくりとか、茫然とか、まさにそんな感じだ。
 その彼女の様子を見て、ようやく満足した俺の意思が自分の体の支配権を取り戻す。
 最初に俺の心がしたことは、大脳を利用した客観的な状況把握。
 ―――女の子を捕まえて、強引にキスをしました。 完
 爆死。
「そ、それだけだから!っていうか、だからまた会いたいっていうか…!」
 慌てる。俺は慌てまくる。なんてことをしちまったんだ俺は!
「あ、じ、じゃ、じゃあ!また電話する」
 なんとかそれだけ言って、逃げるように…というか逃げだした。扉の音がしないことから、彼女はキスをされたまま外にいるらしい。
 当然のごとくヘタレな俺は、振りかえることはできなかった。

【>>her side】
「キス……されちゃった」
 現実が自覚できたのは、寝る直前だった。パジャマに着替えるまでの記憶がない。髪やお腹の様子からし、お風呂も晩御飯も済ましたようだけど…。
「〜〜〜〜〜っ!」
 そんなことはどうでも良い。あ、家族に不審に思われるのはいやだけど…けれどどうでも良い。
「ファーストキス……っ、そ、それに……」
『好きだ』
 信じられない! 信じられないっ!! 信じられないっっっ!!
 まるで子供のように、ベッドの上で足をパタパタする私。どうしたいとか、どうするべきとか、そんなことを考える余裕はなかった。
 ただただ、その信じられない現実に、私の頭はパンクしていた。
 どれだけそうしていたろうか。私は机の上におかれたポシェットを見る。いつの間にか手に取り、彼のハンカチを取り出していた。
「…>>333くん……の…」
 単に、濡れただけの布切れ。けれど私の混乱しきった、そのハンカチには彼の一部のように思えた。
 パジャマが濡れるのも気にせずそっと抱き締め、彼に奪われた唇を指先で撫でて…
>>333…くん……」
 ……気づけば、私は変な気持に……Hな気持ちになっていた。

【こ、これ以上は無理っす!誰か、誰か続きを…!】

416 名前:名無しさん@ピンキー [2007/11/26(月) 00:48:18 ID:R5F/bqK/]
エロパートktkr!

417 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 01:15:45 ID:p4ucOCvS]
翌朝。結局悶々とした気持ちのまま、なんだかよくわからないうちに朝日が昇っていた。
――なんてオチを期待

418 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 01:50:46 ID:otUdltZk]
ここはオナニーしかないだろw

419 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 02:31:55 ID:Te3oxryB]
これは難易度高いなwwwwwwwww
エロは俺には少し無理なので、その後の純愛ルート書いとくぜ



420 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 02:42:40 ID:UajaZZZa]
え、えろ展開は俺には無理だっ!
いや大歓迎なんだけどね、技量が……

421 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 07:56:03 ID:6i2ijyuJ]
同志の皆様
現在書いてるよ!!
って方がいらっしゃらないなら私が書きますがいかがいたしましょう

422 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 08:00:44 ID:R5F/bqK/]
何を言うかと思えば・・・。
誰にはばかることがあろうか?
書くがよい、っていうか書いてください、お願いします。

423 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/11/26(月) 17:14:43 ID:0OHKIPeC]
 おかしい。
 私は軽く息を呑む。
 今目の前にあるのは、手に取り握っているのは、ただの濡れたハンカチなのに。
 綺麗にアイロン掛けされていただろう布切れは、私のせいでぐしゃぐしゃで、決して目を引くわけでもないのに。
 ……どうしてこんなにも胸がドキドキするのだろう。
 確かにこれは彼のハンカチだ。でもこれは彼本人ではない。
 それなのに私はなんでこんな、
「ん……」
 股間に手を伸ばしてみる。
 何をやっているのだろう。こんなはしたないこと、ダメなのに。
「……」
 指を奥に突っ込んで、軽くかき回した。襞の感触は温かく、ぬめる。
 ベッドの上で私は熱に浮かされるように行為に耽った。
 何度かこうした経験はあった。彼のことを思い浮かべてしたこともある。
 でもこれは違う。妄想の中で都合よく動かす彼ではなく、持ち物を直接手にしているのだ。
>>333君……)
 多少乾いてしまった布切れに慕情を寄せながら、私は狂ったように指を動かした。
「ん……んんっ、あ……んっ」
 鼻に押し当てて匂いをかぐ。水っぽい中に彼の温もりがある気がした。
 間近に感じた彼の唇と男の子の匂いが、温もりの中に。
(ダメっ……、止まらない)
 ハンカチの端をぎゅっと噛み締めながら、私は秘所をかき回した。
 今まで味わったことのない快感が股から脳天に駆け抜ける。指を動かす度に、快楽の波が意識を溶かす。
 羞恥心とか罪悪感とか、そんな余計なことは一切隅に追いやられていた。嫌な気持ちが沸き立つより先に、興奮と快感でいっぱいになる。
 今日一日、頑張って話をした。
 みっともないところを見せても、彼は優しく接してくれた。
 一緒に買ったシュークリームは、祝福してくれるように甘く優しい味だった。
 そして、そして、
(キス……>>333君との……)
 あんなことまでされて、その後さらに思いがけない告白もあって、
「あっ……あっ、んんっ、ひう……んっ、あっ……」
 こんなこと、夢の中でしかありえなかったのに、
(好き、>>333君……私も大好き、あなたのことが……ずっと、ずっと前から)
 指の動きが激しくなる。私の大事な部分は液でぐしゃぐしゃになっていて、もう指もふやけてしまいそうなくらいだった。
 雷に打たれるように体がびくびく震えた。頭はお湯をかぶったように熱くて、寝込んでしまいそうなほどくらくらした。
 ……あまりの気持ちよさにくらくらした。
(ダメっ、もう……)
 鼻に押し当てたハンカチの匂い、唇に残るキスの感触、身体中から流れる歓喜の汗、全てが麻薬みたいに私をおかしくさせ、もう流されるしかなかった。
 そして、
「んん――――っっ!!」
 一際高い快楽の波が、意識を一瞬真っ白にした。
(や、やあっ……ダメ……気持ちよすぎるよぉ……)
 茫洋と意識が拡散していく。まるでどこか遠い世界に飛ばされてしまったみたいだ。
 昂った意識が体が果てると同時に徐々に熱を失っていく。波が引いていく。
「…………」
 これまで経験した何よりも気持ちのいい行為だった。ただハンカチを握り締めていただけなのに。
 ふと想像する。
(これがもし>>333君の指だったら……)
 いや、指どころかそれ以上の行為だってある。もしも彼と、そんな風になったら、
(……バカ、私のバカ! 何を考えているのっ、そんな……いやらしいこと……)
 火照った頭をバシ、バシ、と手の平で叩いて叱りつける。
「…………」
 無言のまま天井を見上げ、私は想いをはせた。
 彼に対する恋慕と……謝罪を。
(せっかく好きって言ってもらったのに……こんなはしたなかったら、嫌われちゃうよ……)
 ごめんなさい、と心の中で繰り返し呟き、私は小さくため息をついた。

424 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 17:34:48 ID:Puo9IWDd]
>>423
あなたは神だ。

425 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 18:00:22 ID:R5F/bqK/]
神 降 臨 !
続きマジwktk

426 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 22:38:35 ID:NUFWFhOO]
>>333は本当に幸せ者だなwww

427 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 22:56:24 ID:3s6Ukqqi]
>>333 side 〜
「……俺、何やってんだろう。」
 手の中にあるティッシュをゴミ箱に放り投げて、深い溜息を吐く。
 勢い任せで告白しちまって、しかもろくな言葉も無しで逃げ出して。
「挙げ句の果てに、コレだもんなぁ」
 力無く垂れた【自分】を睨んで、もう一度溜息を吐いた。
 彼女の柔らかくて温かだった唇の感触と、その芳しい香りが思い出されて。
 気がつけばそのまま……。
「はぁ」
 もう、世界の終わりってのをかいま見た気分で、溜息を吐く。
 バカなんだろうな、俺。
 そりゃ確かにショックだったさ。彼女にあんな風に言われたのは。
 彼女から誘ってくれたのに、きっと好きになってくれているのに、あんな風に無かったことにしようなんて言われて。
 けど、だからって、いきなり告白して、しかもそのままキスなんて……。
 あーもう、自分が本気で嫌になる。
 けど、今更告白を無かったことになんて出来ない。
 いや、そんなことしたくない。そりゃ気恥ずかしいし、彼女と顔を合わせるのは凄く恥ずかしいけど。
 でも俺は彼女が好きだ。彼女が好きだって思いだけは変わらないんだ。
 もう振り返ってばかりで話すのを怖がったりなんてしないって決めただろ。
 だから、もう止まらない。
 彼女の答えを、今日みたいな彼女自身想ってないような偽りの答えじゃなくて、彼女の本当の想いを聞くんだ。
 それがもし、嫌いって答えでも――辛いし苦しいけれど――構わない。
「…………電話」
 ふと思いついて、手を携帯に伸ばす。
 時間はそろそろ午前になろうかとしているところ。
 こんな時間にかけるのは非常識だよな。迷惑だよな。
 わかってる、けど、どうしても確かめたい。彼女の本当の気持ちを。
 だから、俺は携帯に手を伸ば……そうとして、とりあえずパンツをちゃんと上げた。
【ってことで、続きはよろしく】

428 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 23:04:03 ID:3s6Ukqqi]
スレ内リレー纏め二回目
一回目 >>369
>>371
>>374-376
>>380-381
>>384
>>386


429 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 23:05:09 ID:3s6Ukqqi]
>>388
>>392
>>395
>>397
>>414-415
>>423
>>427
ってことで、続き書きたい人用に一旦纏めておきますね。
引用が多すぎって怒られたんで2レスに分かれてしまいましたが。



430 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 23:52:03 ID:XTvfX60k]
まとめ乙。あなたがいるからリレーにGJを贈れるんだぜ。

431 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 01:04:42 ID:pCtEG8l2]
つぎはテレホンセックルに超期待!

432 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 09:38:05 ID:jAuAFK56]
テラシュークリームwktk

433 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 16:00:31 ID:jAuAFK56]
うん、電話越しとは言え丸出しはまずい。
パンツをあげて、今度こそ電話に手を伸ば・・・・・・すまえに手を洗う事にする。気分的に息子を握り締めていた手でこんな内容の電話はしたくない。
そうだ、ついでにシャワーでも浴びて気分的を落ち着けよう。さっきのような失敗をしないように。
うん、それがいい。
シャワーを浴びたら電話すると言う堅い決意を胸に俺は部屋を出たのだった。

〜 her side 〜

「・・・ふぁ・・・」

次の日、私は図書館のカウンターで眠気と戦っていた。
彼を想ってはしたなくなってしまった後、私は眠れなかった。
また電話すると言う彼の言葉が頭から離れなかったからだ。
かかって来たら何と答えよう?どんな風に答えよう?
そんなことを、ベッドの中で悶々と考えてか、考えて、考えて・・・・・・気付いたら朝になってました。
電話、来なかったな・・・。
彼は後でと言っていたけど、一体どのくらい後なんだろう?
ポケットから携帯を取り出す。
普段は電源を切ってロッカーにいれているけど・・・今日はマナー違反をしてしまった。
けれどもそのかいなく、着信はない。

【続きwktk】

434 名前:名無しさん@ピンキー mailto:保守sage [2007/11/28(水) 01:41:51 ID:G2gya/9Q]
………………

435 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 11:46:15 ID:SdYIEl2p]
まったくあんたらはw
ちょっと出張に言っている間に
GJだらけじゃないか

436 名前:〜 her side 〜 mailto:sage [2007/11/28(水) 19:12:30 ID:SdYIEl2p]
着信の無い携帯電話の画面は酷く意地悪だ。

 『お前なんかに電話してくる奴なんていないよ』
まるで電話に苛められているような気になってくる。
携帯電話というものを持った頃も そんな気がしたな……
とても淋しかった……

時間が経つにつれ、そんなことも気にならなくなったけれど。
彼の言葉が気になっている私は電話から意識が離れない。
彼氏からの電話やメールを心待ちにしていた友人の姿を不思議な気持ちで見ていたことを思い出す。
ああ……そうか、こういうことだったんだ。

いやねぇ私ったら、彼氏だなんて……
彼とは、まだ そういう関係でもないのに。
何を期待しているのかしら?

でも、《キス》をした……
初めてだった……
唇が触れた感触を思い出す。 とても甘美な気持ちだった。

抱き締められた。 力強く。
彼に男性を感じるには十分だった。

そのことを思い出しただけでショーツが気になる。
いやねぇ私ったら、何を期待しているのかしら?
昨夜……あんなにシたばかりなのに……

自分の中に、あの頃の少女の私と
いまの女である私が同居している。
どちらの私も同じことを言うの。

 『彼が欲しいの……。 彼が好きなの……』
彼から電話が来ないのなら、私からしてみようかしら?
でも、私が踏み込むと地雷原が……

どうしよう……
どうしよう……


【あと、よろしく!!】

437 名前:じうご mailto:sage [2007/11/28(水) 20:32:24 ID:ZfCg7oxv]
>>436


少し、時間は遡る
――his side――
「………ん?」
やけに眩しい、そう思い目を開け、窓を見る。見れば、朝日が俺を照らして……
「……ってああ!?なんで寝てるんだ俺は!?」
朝になっている、ということを認識した頭は一瞬で覚醒、そして混乱する。
「ちょっと待てよ、落ち着け俺……」
昨夜の記憶を思い起こす、
「彼女に後で電話するって言って、風呂に入って……」
長風呂をし、すっかり記憶から彼女との約束が消え、寝た。
「……………………」
自分の最悪っぷりに思わず自己嫌悪をし、頭を抱えてしまう。
"後で電話する"そう言ってすっぽかされた、自分なら……不機嫌になる。
「ああ……くそっ、なにしてんだよ俺は」
携帯電話を手に取る、が、かける勇気が湧いてこない。
「…………………」
アドレスから彼女の電話番号を呼び出して、発信するだけ、それだけなのに
「う……ああ〜」
ただ、謝ればいい、それだけなのに
「ああああ、もう、なんでだ!」
携帯電話を投げる、たったこれだけのことに、決断をくだせない自分が腹立つ。
「…………でもな」
話さなければ、そう思い、投げた携帯電話をまた手に取った。


《後は任せます》

438 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 20:47:17 ID:EbzEsJPy]
うん、任された。


 ……あれから結局電話を手にした物の、かける事が出来なくて。
 俺は学校の中にいた。
「……こ、こんどこそ」
 休み時間を狙って、アドレス帳を選択する。
 あとは、通話ボタンを押すだけ。
 でも、俺からかけても迷惑じゃないかな。
 あ、そう言えば昨日すっぽかした約束の埋め合わせ……
「だ〜〜〜〜〜っっ」
 自分が本気で嫌になりながら、思わず俺は小声で叫びながら頭を抱えてしまった。
 わかってる、彼女のことだからきっと待ってるはず。なのに……。
「……この臆病者め」
 いきなり背後から高い少女のような声が聞こえて、俺は慌てて振り向いた。
「な、何でお前がココにいるんだ!?」
 俺の前でにやにや笑っているのは、木船香織だった。
 女みたいな名前で、女みたいな顔立ちで、女みたいな衣装を着ているが、れっきとした男だ。
「なんでって同じ講義取ってるんだぞ? 同じ場所にいるのは当たり前だろうが」
 にやにやと笑っているこいつが、色恋に関しては天才的なまでに持てまくってることを思い出す。
 ……俺が携帯相手に身悶えていることで、大体のことを理解しているんだろうな。
「ま、なんだ。ようやくお前にも春が来たってことか」
「……さあね」
 そのどこか楽しんでる声音が不快で、思わず普段以上に尖った言葉を投げてしまう。
 そんな俺の苛立ちに気付いたんだと思うけど、木船がなんか邪悪な笑みを浮かべた。
 瞬間。
 いきなり手の中から携帯が消えた。
「って! 何しやがるコラ!」
「ふーん、××か、初めて見る名前だな。うん、つまり彼女に電話かけようとして、かけられないヘタレ君か?」
「るっせぇっ! とっとと返せ、コラ!」
 思わず立ち上がりながら手を伸ばして。
 その指が通話ボタンを狙ったように押してしまう。
「あ……」
「ほら、電話なってるぞ? まさか切ったりはしないよな?」
 思わず木船を睨みながら、俺は携帯を取り戻した。

439 名前:書く人in携帯 mailto:sage [2007/11/28(水) 23:39:17 ID:qYw9yJVc]
〜 her side 〜
きっ、き、きき、ききき、来たっ!
電話っ!彼からの電話っ!
携帯の振動に、口から心臓飛び出そうなほど私は驚いた。
電話が来ると分かってた癖にこんなに驚いちゃうなんて・・・こんなんでちゃんとお返事出来るだろうか?
迷っている間にも携帯は私を急かす。
で、出なきゃ!早く電話に出なきゃ・・・。
私の震える指は通話ボタンを・・・
「××ちゃん、アカンぜよぉ。携帯きらなぁ」
押し間違えて切ってしまった。
原因は、突然肥をかけてきた大林さん。
せっかくの・・・彼の電話・・・
「・・・どないしたん?」
落ち込んだ私には、答える事も出来なかった。
〜333 side 〜

船木が珍しく気遣うような表情をむけてくる。
ああ、分かってる。分かってるさ。
最近の携帯は、電話帳登録されていれば出る前にかけてきたのが誰か分かる。
そして彼女は俺の番号を登録したと言ってたし、さらに切れたのは着信後。
分かるさ、ああ、わかるとも!これが意味することくらい!
「きっとボタンを押し間違えて・・・」
「・・・昼飯、奢るってやるよ」
船木が俺の肩を叩いた。
グッバイ 初恋

〜her side 〜

「もーしわけなかとです!」
「いいです、もう・・・」
奥の作業室でペコペコと頭を下げる大林さんに私は言う。
大林さんに悪気かあったわけではないのだし・・・
「こうなったらワシが一肌でも二肌でも脱いで何とか・・・」
等とは言うが、失礼な感想かもしれないけれど、この人に何か出来るとは思えない。
黙ってうつ向く私。消極的な拒絶のつもりだったのに、大林さんはそれを肯定と受け取ったようで
「よっしゃ!今からごっつい助っ人呼ぶから期待しててや!」
「そ・・・っ」
そんなのいいです、と言う前に、大林さんはどこかに電話をかけてしまった。
二、三回のコールの後、
「お、船木か?ちょいと相談あるをやけど・・・」

【勝手に人を繋げてみた。続けてください】



440 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/29(木) 00:23:03 ID:zUQ51KBB]
GJだけど、船木じゃなくて「木船」みたいですよ。

441 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/29(木) 00:38:14 ID:8exoIARS]
ついでにいうなら、
さすがに肥をかけられたら、誰だってびっくりするわさ。

参加したいんだけど、入りどころが掴めない。
リレーって難しいですね。

442 名前:書く人 mailto:sage [2007/11/29(木) 00:43:32 ID:kT5AoCit]
ごめん、巣で間違えた。
脳ない変換でお願いします

443 名前:〜 her side 〜 mailto:sage [2007/11/29(木) 09:34:50 ID:zGBQDspN]
これは>>333がピンチだ
さてさて、どうやって救ってやろうかな


>>441
妄想の思いつくままにどうぞw
たまには このような遊びも面白いものですよ

444 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/29(木) 19:40:22 ID:pf4+5fxt]
>>333 side 〜

 真っ暗闇になった世界の中、木船の胸元から場違いに明るい着メロが流れてきた。
「……あー、悪いな」
 苦笑を浮かべながら木船が携帯を取り出すのを、何となくぼーっと眺めてみる。
 ……てか、どうでも、いいんだけどさ。
 あー、告白しただけじゃなくて無理矢理キスしたってのが、悪かったんだろうなぁ……。
 俺って、なんて最低なんだろ。
「……おう、叔父貴、なんのようじゃい? ……変な言葉遣いはおめえのまねじゃけえ、ま、冗談はさておき」
 一瞬、聞こえてきた声が理解できなくて、視線を木船に向け直す。
 にやっと笑った木船が、そのまま携帯に答えを返していく。
「ああ、ふん……へぇ、面白い偶然だな…………ってマジ? ホントに。いや、実はさこっちも似たような状態でさ」
 ……なんかわからないが、俺のことを話題にしてるような気がして、木船をじろりと睨み付ける。
 けど、俺のことなんか無視して、木船はそのまま電話に没頭する。
「で、名前は? ……いや、そんな偶然あるのかってビビっただけ。……んじゃ、また後でかけ直すわ」
「……楽しそうだな」
 睨み付けながらぼそりと呟いた瞬間、にやりともう一度笑いかけてくる。
「ああ、人生色々って奴だからな。あ、そうそう、昼飯奢るって言ったけど、アレ無しな」
「あ?」
「思いっきり宴会するぞ。俺の叔父貴がさ、奢ってくれるってよ」
 なんでいきなりそうなるんだ?
 ……と目で問いかけるけど、木船はにやにや笑うだけで答えようとしなくて。
「……へぇへぇ、どうせ失恋してんだから、やけ酒でもかっくらってやるよ」
 ふかい溜息を吐きながら、それでも木船なりの気の使い方に、少しだけ苦笑を浮かべた。

445 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/30(金) 00:32:50 ID:5taRYs5x]
彼側と彼女側に分けた描写がこんなに面白い効果を生むと誰が予測し得ただろうか。
GJですよ皆様。

446 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/30(金) 18:23:24 ID:zVMWkzlK]
GJでございます
続きwktk

447 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/30(金) 20:23:25 ID:X++4Y4Wo]
せんせー、そろそろリレー以外の作品も食べたいです……






ワガママいってスマソ

448 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/30(金) 20:44:03 ID:Qzwjlkcj]
読みたいなら、let's自給自足!待ってるぜ!
ただ、俺としてはまだまだリレーにはwktkしっぱなしだが

449 名前:名無しさん@ピンキー [2007/11/30(金) 21:01:40 ID:Rq+g8k+E]
保管が見れないorz
消えたのか?



450 名前:333 mailto:sage [2007/12/01(土) 01:00:07 ID:EJwsUNu9]
皆様リレーご苦労様です。癒されております。
最近は、会う機会も少し取れたりでそこそこいい感じです。

自分の一言へのレスが無かったら、メアドすら知ろうとしなかった俺なんで
本当に皆ありがとう。感謝してる。

正直リレーもここまで続くと思わなかったしな


とにかく本当にありがとう。空気?何それ?おいしい?

451 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/01(土) 01:35:17 ID:1WNqiVM6]
>>450
なにはともあれ良かったですな。
これからも、進展あったら報告頼む。
がんばれよ〜

452 名前:さぁラストスパートですよ!! mailto:sage [2007/12/01(土) 09:51:57 ID:vX1g5Dez]
>>444


着いた店は、まぁ、なかなか良さそうな所だった。
「さてと、叔父貴はもう来てるかな〜」
木船は店内をキョロキョロ見渡して、
「お、居た居た、ほらいくよ」
店の奥のほうに進んでいく、俺は連れられていくままに、
「おー、やっと来おったか」
どこか人の良さを感じさせる声と、
「……え?>>333君?」
彼女の声に出迎えられ……って、
「……え?なんでここに?」
「……私は連れられて来たの」
その言葉を聞き、思わず二人の方へ振り替えれば、無言でニヤニヤしている様子が目に入った。
……謀ったな、あいつら
そう思うも、自分の頬がなぜか緩んでいくのを感じる。
「ま、早くパァーッと始めよ」
唐突に木船がそういって、たった四人だけの宴会が始まった。


《頑張れー、あともう少しだ》

453 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/01(土) 10:42:24 ID:1WNqiVM6]
>>452


〜 her side 〜
「……えと、その」
 目の前に座る>>333君に、私は何も言うことが出来ない。
 だって、振られたって思ってたのに。けど、彼は恥ずかしそうで照れ臭そうな、だけどどこか嬉しそうな笑顔浮かべてくれてるから。
 だから、私もなんとか微笑む事が、出来て。
「あ〜、さっきはゴメン。変な時間に電話して……」「いえ、嬉しかったです。……私こそ、操作ミスで出れなくて、そのごめんなさい」
「はぁああ〜〜〜〜」
 そう言った瞬間、彼が思いきり溜息を吐いて、思わずびくって肩が震えた。
 だって、怒ってるんじゃないかって、思ったから。
「よかったぁ〜〜、その、俺 嫌われてんじゃないかって思ったからさ」
「そそそそっ! そんなこと無いですっ! ……ぁ」
 彼の言葉を思い切り否定して、それがその告白の答えになってることに気付いて。
 私は顔が熱くなるのを感じた。
 けれど、その言葉を取り消すことは出来なく――うぅん、したくないから。
「私も……、>>333君と会えて嬉しいです」
 素直に思ったことを口に出来た。
 きっと顔が真っ赤になってると思う。それだけじゃなくて、きっと耳まで赤くなってるはず。
 だけど、いい。
 だって、目の前の>>333君が笑ってくれているから。
「ちっ、良い雰囲気出しやがって、手前ぇにゃもったいなさ過ぎるお嬢さんじゃないかよ」
 いきなり、>>333君が思い切り頭をがくんって倒した。
 うぅん、木船さん――だったっけ、女の人みたいに見える男の人に、思い切り頭を叩かれたんだ。
「って、いきなり何しやがる!」
 そんな木船さんに、彼が怒ったような表情を向ける。
 けど、それはどこか楽しげで、楽しそうにしている彼を見るのが、私も楽しい。
「まぁ、ええやないか。まずは乾杯からせにゃならんでの。ぶちようけのむっぺよ」
「……はい」
 私の隣に、半分くらい間を空けて座る大林さんが、いつもの口調で喋って。
 みんなの前にビールの中ジョッキが置かれて、私の前にはチョコレート色の変わった飲み物が出てきた。
 大林さんの選んだソレはいわゆるカクテルと言う物らしい。
 甘めで飲みやすいのを選んだからって、言われて押し切られたんだけど、 ……私、お酒飲むの初めてなんだよね。
「ま、若いカップルの前途を祝して」
「……あの、大林さん、恥ずかしい、です」
「えと、それはちょっと、まだ……」
「るっさい、アホ介。お前はだぁってろ。ってことで××さんどうぞ」
 木船さんが楽しげに笑って行ってくれたことの意味を理解して。
 私はカクテルの入ったコップを持ち上げた。
「……乾杯」
 かんぱいとみんなが口々に言うのを聞きながら、私はこくんっと生まれて初めてアルコールを口にした。

【続き、がんばれー。エロは自分が書きたいなぁと言ってみたり】

454 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/01(土) 10:46:34 ID:1WNqiVM6]
ってことで、三回目まとめ、行きます
一回目 >>369
二回目 >>428-429

>>438
>>436-439
>>444
>>452-453

てか、いい年こいたオスなのに、男子一人称より女子一人称の方が書きやすいのは何でだろ?

455 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/01(土) 21:32:57 ID:oNXFPa2Y]
>>454
乙にしてGJです。

>エロは自分が書きたいなぁ
>女子一人称の方が書きやすい
つまり女性視点でエロを書きたいということか。

456 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 00:14:16 ID:2+niv/q+]
>>453

――his side――
結果から言おう。
あの二人は早々に「あとは二人で〜」と言って去り、
残された俺と彼女は楽しく談笑しながら飲んでいたのだが……
「……………」
「あー……大丈夫?」
「……え、あ、大丈夫」
彼女はどうやらお酒を飲むのが初めてらしく、ペースが飲むわからなかったのか、
すでに顔は真っ赤で、言葉は微妙に呂律が回っておらず、おまけに反応が鈍い。
「えーっと、そろそろ行こうか」
「……………あ、はい、わかりました」
ちなみに、俺はかなり酒に強いほうなので、これぐらいではなんともない。
会計に行こうと、立ち上げる。それに合わせるように、彼女も立ち上げったが
「…………あれ?」
そう言って、ふらついた足取りで後ろに倒れそうになる。
「わっ!!ちょっと待った」
咄嗟に、彼女の方に行き、支える。
「………………すみません」
「良いって別に」
彼女を支えたまま、会計を済ませ、店を出る。かなり長居をしていたらしく、
日が早く沈むようになった空は、すでに紫色で、月が見えていた。






《なんか限界、眠いから寝るよあとは任せた》

457 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 01:04:57 ID:e/i5kVy4]
〜 her side 〜
せかいがぐるぐるまわっている。
うん。
だいじょうぶ。わたしも同時にまわってればだいじょうぶ。
でもあまりまわっちゃうとめが回る。
そうだ。
ぎゅっとすればいいんだ。

いいにおい。
汗と整髪料のいいにおいがする。
ぎゅうっ、と腕をだきしめると、そのにおいはもっと大きくなる。
腕はちょっと太くて、筋肉質で、わたしの腕とは大違いだ。
やっぱり男の人の腕って、すごいんだ。
うまれてはじめておとこの人の腕に抱きついて、その感触はとてもすごくステキだ。

耳元で>>333君がなにか言ってきている。
ステキ。ステキ。>>333君の息の温かさとか、耳をジンジンとしびれさせるような響きとか、
その高くも低くもない音程とか。なにをいってるかわかんないけど、すごくステキ。
抱きついている>>333君の腕と触れている皮膚の裏側あたりがなんだか甘痒くうずいてきてしまう。

あれ?
ここ、どこだっけ?
ちょっと寒い。
>>333君の腕はあったかい。
体もあったかい。
だからぎゅうう、と、もっと強く抱きしめる。
当たってるおっぱいが「くにょん」と歪んじゃうくらい強く。

ふらふらしちゃいそうなわたしを、>>333君はしっかりと支えながらあるかせてくれている。
ステキ。こんなふうに、べたべたいちゃいちゃしながら街を歩くカップルを「バカみたい」と思ってたけど。
わたしは間違ってた。
それはすごくステキで、嬉しくて、楽しくてシアワセなことなんだ。うん。
ろれつの回らない言葉で>>333君にそれを伝えたのだけど、わかってくれたかな?

なんだか色とりどりのネオンが目に映っている。
世界がふわふわしてるから気がつかなかった。
隣でわたしを支えてくれている>>333君がなんだかちょっと無口になってるみたい。
――ダメなのかな。
わたしが地味でつまんない女だから、>>333君はそんなふうにつまんなくなっちゃうのかな。
そう考えると、なんだか泣きたい気持ちになってしまう。>>333君にはシアワセになってほしい。
>>333君みたいなステキな男の人は、いつでもシアワセで楽しい気持ちになっていて欲しい。
でも、わたしじゃダメなのかもしれない。

気がついたらわたしは、
「……わたしじゃ…ダメなのかな」
彼の耳元でそうささやいていた。







【続きは頼んだぜ兄弟】

458 名前:書く人 mailto:sage [2007/12/02(日) 09:33:43 ID:jR1yhCZx]
>>333 side 〜

「ふふ……」
 頬笑みながら、彼女が回る。
 クルクルと舞うように、冬の夜風にスカートを乗せて、妖精のように…。
 ……と、表現すれば可愛いものの、客観的に言わせてもらえば完全に酔っ払いだ。
「つか、何で回るんだ?」
「…世界が…回ってるもの。だから…私も……」
 うん、やっぱり酔っぱらっている。
 酔っぱらった彼女はしばらく回っていたが、やがて三半規管に限界が来たらしい。足がもつれる。
「おっと…」
 俺は手をのばして彼女の手を取って引張る。反動で彼女の体がこちらに向かってくる。
 受けとめた感触は羽毛のように柔らかく軽く、しかし確かな実体と質量を俺に与えた。
「大丈夫?」
 店を出てから何度目かの質問。彼女は惚けたようにこちらを見て頷く。
 酔っ払ってはいるもののとりあえず大丈夫そうなので、歩きはじめる。
 彼女は今度は回らなかった。代わりに、俺の腕を抱きしめるようにしてきた。
 正直助かる。いつ転ぶかハラハラして見ずに済むし……それに、暖かい。
 錯覚なのだとは思う。冬の寒さによる熱の略奪を防いでくれる厚手の生地は、同時に俺と彼女の間に厳然と存在して熱の交換を妨げる。
 けれども腕に感じる彼女の体の柔らかさは温もりを錯覚させる。それは錯覚だが、彼女と言う温かい存在を確かに俺に伝える。
 そう……彼女は今、俺の隣にいる。
 彼女の体の柔らかい感触も、冬の空気に混ざる甘い香りも、確かに今、俺の隣にいる彼女の存在を伝えてくれる。
 感動だった。そうとしか表現する言葉を知らなかった。
 人間は生まれた時は興奮と沈静の二種類しかない。それが快不快、喜怒哀楽と分化していき、一つ一つがラベリングされていくことで感情が形成される。
 感情が動いた。それは俺が今まで知らなかった類のもので、快いもので、喜楽に属するものだ。
「……××」
 何か言おうとして、初めて感じた感情は、彼女の名前という形で口を零れた。
 彼女は何も答えなかった。声は小さかったし、彼女も意識が朦朧としていたのだろう。
 理性ではそう分かっていても、胸が締め付けられるような切なさを感じる。
 ……俺ってばこんなに乙女チックだったのか?
 自分のポエマーっぷりに呆れていると、声への答えだとしたら時間差付きの反応が来た。
 俺の腕を抱きしめる力が増す。
 彼女の柔らかな感触が、よりはっきりと腕に伝わってきた。特に胸とかが「くにょん」と。
「…っ、××?」
「あったかい……」
 うろたえる俺に、安心し切ったように彼女は俺に体重を預けながら呟く。
 その信頼と、感じるはずのない体温を感じるという錯覚の共有を、俺は嬉しく思った。
「すてき…」
「ん?」
「間違いだよ、私…。ばかみたいなことじゃ間違えだもん…。
 だって幸せで、うれしくて、たのしくて、幸せなこと」
 酔っぱらっている彼女の言葉は文法が間違っていて、単語が重複していて、呂列が回っていなかった。
 けれど、確実に分かったことがある。彼女は今、幸せを感じている。そしてその理由は俺にある。
「ああ…」
 俺が言ったのは感嘆だったのだろうか返答だったのだろうか?自分でもわからなかったが、言葉の理由は俺も幸せを感じたからだった。
 不意に目が、アンバランスなクリスマスカラーのイルミネーションが巻きつけられた看板を捉えた。
『休憩一時間―――』
 ラブホテル、という類のものだ。

459 名前:書く人 mailto:sage [2007/12/02(日) 09:35:19 ID:jR1yhCZx]
 満たされていた幸福感を、稲妻のように切り裂いて衝動が突き抜けた。
 性欲だ。腕に感じる彼女の感触が、急に生々しいものに感じられた。幾重もの布切れ越し感じる、やわらかな肉。異性の体。
「……わたしじゃ…ダメなのかな」
 耳元で声がして、はっとした。潤んだ彼女の瞳が、俺をとらえていた。
>>333くん、しゃべんなくて…私が地味でつまんない女だから、シアワセじゃないんだよね?
 私が……>>333君が私でシアワセになってほしいのに…」
 目の潤みが、涙になって零れる。
 めまいがしてきた。世界が回り、自分の脈動が聞こえる。
『食っちまえ』
 脳裏に響いた声は、木船が去り際に言った冗談の記憶か俺の本能の誘惑か?
「…何でもするよ?どうすればいいの?私の全部をあげるよ?それでシアワセになれない?>>333君はシアワセになれない?」
 耳朶を震わせる声は、彼女の誘惑か俺の都合のいい妄想か?
 ああ、俺は酔ってる。何に?アルコールにか?彼女にか?性欲にか?ラブホの前でこんなことを言われているという状況にか?
 ぐるぐると回る思考の中で……俺は……

「………駄目だよ」

〜 her side 〜
 抱きしめられて、告げられた。
「………駄目だよ」
 ああ…やっぱり私じゃ駄目なのか…かなしいな。
「そうじゃない!」
 じゃあ、どう駄目なの?
「どうって…ま、まだ再会して間もないし…
 酔っぱらってる所をなんて卑怯だと思うし…
 まだ君の気持をしっかり聞いてないから」
 気持ち?どういうことだろう。私は…
 あ、そうか。私、言ってなかったっけ?
 彼に言ってなかったっけ?
 うん、好きだって言ってないや。
 恥しいな…。けど言おう。いいや、言っちゃおう。
 地味な私だけど、今は酔っぱらってるもの。酔っ払ってていつもと違うもの。
 いつもと違う私だから、いつもと違うことをしちゃうもん
「大好き」
 ああ、気持ちいい。ぎゅっと縮こまっていた心が広がるみたい。
>>333くんのこと…大好き。好きなの。私だってずっと好きだったの。
 腕が好きだし、たくましいし、ハンカチでエッチな気持ちになっちゃうくらい好きだよ?」
「え、えっち…って」
 うん?何か変なこと言ったかな?地雷原かな?けどいい。もっと言おう。
「大好き…私、>>333くんのこと、好き…で…」



460 名前:書く人 mailto:sage [2007/12/02(日) 09:37:40 ID:jR1yhCZx]
>>333 side 〜
 突然に、言葉が途切れてから一分ほど経って、俺はようやく気付いた。
「……××?」
 声を掛けても、戻ってくるのは一定間隔の呼吸のみ。寝てしまったようだ。
「はぁぁぁ…」
 その場に崩れ落ちてしまいそうな脱力感。
 ああ、やっぱり酔っぱらってたんだな、それもひどく。
 勢いに任せてここに連れ込まなくて良かった。
 たぶん、この状況で行為に至っても、彼女はきっと許してくれるだろう。けれど、俺自身がきっと許せなかったはずだ。
「好き…か」
 改めて確認して心が温かくなる。
>>333くんのこと…大好き。好きなの。私だってずっと好きだったの。
 腕が好きだし、たくましいし、ハンカチでエッチな気持ちになっちゃうくらい好きだよ?』
 胸中でリフレインして、確信する。
 想いが通じた、と。
 ……まあ、なんだかめちゃくちゃ爆弾発言が紛れ込んでいる気がしないでもないが…それでも、
「両想い、か」
 顔がニヤける。好きな人に、好きになってもらえる。そんなありふれた、けれど最高の奇跡。
「けど……だとしたらちょっともったいなかったかな」
 緊張感が抜けた所に、ちょっと魔が差してきた。
 が、一蹴する。焦ることはない。
 彼女と、これからゆっくりと時間を共有していこう。彼女と着実に時間と、思い出と、絆を積み重ねて……そして……
「とりあえず、タクシーだな」
 俺は彼女を支えながら、大通りの方に歩きだした。

【長文失礼。あえて寸止め。酔った勢いはいけません。
 リアル>>333がんばってください。応援してます】

461 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 09:47:44 ID:HaS0x5j4]
なにはともあれGJ
「そんなありふれた、けれど最高の奇跡」なんて良いフレーズだよなぁ。
お見事でした。

462 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 09:56:25 ID:FEBex1Kd]
読み終わった今の顔は誰にも見られたくないなぁ
ニヤニヤしてるからw

463 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 10:41:14 ID:FEBex1Kd]
彼女を自宅まで送り届け、家族に託して家路につく。
ふう……意識はしっかりしている。
まだ酔っているはずだけど、胸の奥深いところから何かが湧き出てくる。
興奮、感動、焦燥?
自分でも正体がわからずに自分の気持ちを持て余す。
落ち着けよ俺。

部屋に入って、ベッドに転がっても気持ちは落ち着かない。
こういうときはクールに一本抜いて……とも考えたが、分身は静かに眠ったようだ。
ピクリともしない。
動物的本能よりも、人として恋が成就した興奮のほうが強いと言うのか……

彼女が、好きだっていってくれた……ずっと好きだったって……。
俺も……好きだった。 あの頃も、そして今も。
俺の中から湧き上がってくるこいつは……喜びか?
ああ、そうか。 俺は嬉しいんだ。
彼女と、想いは繋がっていたことが。
中学生だった あの頃、自分の恋心を伝えることすら出来ずに時間は流れてしまった。
あれから10年。
お互いに成長し、経験を積み、再会出来たことはきっと只の偶然じゃない。
俺と彼女が自分に素直になって想いを伝えあうことが出来るようになるまでに必要だった時間なんだ。

俺は……彼女が好きだ。
一眠りして目が覚めたら、彼女に会いに行こう。
そしてもう一度、彼女に想いを伝えよう。
今度は、他人の手も酒の勢いも借りずに。
自分の言葉で、自分の想いを 彼女に伝えよう。

自分自身の気持ちに整理がついたせいか、少し落ち着いてきた。
落ち着いたとたんに本能が鎌首を持ち上げてくる。
現金な奴だ。
自らの本能と熱く格闘した俺は心地好さの中で眠りに落ちていった。



【クライマックスに向けてラストスパートだw  ラストは盛り上げようぜ!!!】

464 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:11:55 ID:HaS0x5j4]
>>333 side 〜
「えと、本当に良いのか?」
「うん……」
 俺は自分の部屋に上げた彼女を見詰めながら、へたれてしまう自分に活を入れる。
「……ずっと好きだったから。……もう、止まらないから」
 彼女の声に、俺は小さく頷いて見せる。
 どくんどくんとやかましい音が響く中。
 どうしてこうなったかを思い出していた。


 今日も講義を受けに出てきた俺の周りは、あっという間に男友達で占められていた。
 むろん、原因は言うまでもなく昨日のことをあっさりと言いふらしまくった木船だ。
 元々、ダチとバカやってることが多い俺だけど、その手の話題は全くなくて――というか、俺のダチは大抵そう言う奴で木船が変わってるだけだけど――だから嫉妬混じりの祝福でもみくちゃにされてしまった。
 単純に言えばそれだけのこと。
 ……だったんだが。
 昼飯時、学食に行こうとした俺の携帯がいきなり鳴って、彼女から電話が入ったんだ。
 木船と大林さんに謀られて校門前に来ていたらしい。
 ――しかも、手作り弁当を携えて。
 正直、ダチ連中からの殺意を受けながら――無論、木船が冗談半分で広めたからだ――俺は彼女と合流して、そのままふける事にした。
 何でかって言えば、かなり身の危険を感じたからだ。
 ……なんせ、わざわざ校門までついてきて、彼女と俺の周りを取り巻いてくれたんだから。
 しかも、彼女に不躾な質問までし始めたんだから、逃げる以外に彼女を護る手段が無かったわけだ。
 で、そのままデートにかこつけて、夕食時になったから送っていこうと思ったんだ。
 その時に、彼女が俺の家を見たいって言い出したってだけの話し。
 だけど、本当は気付くべきだったんだ。
 彼女が、そのつもりでいることを。


「俺、……俺さ」
 何の変哲もない、家具らしい家具もない俺の部屋。
 なのに、ただ彼女がいてくれるだけで、きっと一流ホテルでさえ敵わないほどの雰囲気に包まれた部屋で、俺は目の前に立っている彼女を見詰める。
 彼女は顔を赤くしたまま、ただこっちをじっと見詰めてくる。
 その様子に、胸の奥が熱くなる。
 昨夜の事を、全部覚えてるって彼女は言った。
 とても恥ずかしくて、思い出すと顔から火が出ちゃいそうだとも言った。
 そして、彼女が向けてきた言葉に、俺はまだ、答えが出せない。
 いや、答えはとっくに決まってる。だけど、その先を口に出来ない。
 どこまでヘタレなんだろうか、俺は。
「あの、さ」
 彼女は何も言わずにただ見詰めてくる。待ってくれている。
 だから、俺は顔をしっかりと上げて、いきなり自分の頬を軽くはたいた。
「?」
 驚いたように目を丸くする彼女に笑いかけて、俺は深呼吸をして彼女を見詰める。
「俺もさ、××の……、君のことがずっと好きだった。君が初恋で、言葉をかけることも出来なくて結局、終わるはずだったんだと思う」
 呟きながら、一歩だけ前に踏み出して。
「好きだ。君のことを誰よりも何よりも好きで、大切にしたい。そう思ってる」
「……じゃぁ、なんで昨夜は?」
 顔を赤らめた彼女が、じっとこちらを見詰めてくる。
 その真剣な眼差しに、答えるために、数度深呼吸した。
「だってさ、酔っぱらった女の子に手を出すなんて、男として最低だからな。そりゃ、据え膳食わぬは男の恥って言う奴もいると思うけど……、好きな女性だからこそ、そんな事したくなかったんだ」
 言いながら、更に一歩を詰めて、俺は彼女を抱きしめていた。
 彼女も俺の背中に腕を回して抱きついてきて。
 気がつけば、そのままキスを交わしていた。

465 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:12:38 ID:HaS0x5j4]
〜 her side 〜
 キス、してる。
 唐突に奪われたんじゃなくて、一方的に押しつけたのでもなくて、きちんとお互いのことを思いながら、キスしてる。
 時々、こすりつけるようにされると、ぞくって背筋が粟立って胸の奥が暖かくなってくる。
 ……悪戯心を起こして、私は彼の唇に舌を這わせた。
 んっ、と彼が困ったような表情を浮かべながら私を受け入れてくれる。
 同じように舌を出して、私の唇を舐めてくれた。
 それだけの事で、口から生まれた痺れが、背中を通ってお腹の奥に響いて来た。
 いけないって思うよりも早く、じゅんっと液体が湧く感触を覚えた。
 彼の唇をこじ開けて、舌を差し込む。
 彼も同じようにしてくれて。
 普通なら他の人が触れるはずもない場所を預けていることが、預けられていることが嬉しくて心地よくて…………気持ちよくて。
 液体が漏れていくのを抑えられない。
「んっ……ぷはっ」
 彼が私から唇を離して、少しだけ困ったような表情を浮かべる。
「あの、さ。今日はこれからどっか出掛けようか? ゆっくりと歩くだけでも良いんだけどさ」
「……いや、です」
 彼の言いたいことが理解できたから。
 私はしっかりと首を振った。
 だって、決めてたから。彼へ向ける思いをこれからもずっと忘れないために。
 初恋……うぅん、違う。
 同じ人に、抱いた二度目の恋を、終わらせないために。
 私は彼の目を見詰める。
 その瞳に、映り込んでる私の顔は真剣と言うより、……どこかはしたなく見えたけど、ソレだって構わない。
 だって、こんな顔を見せるのは、彼にだけ。
 >>333君にだけだから。
「最後まで、して欲しいです。……抱いて、欲しいです」
 彼がじっとこちらを見詰めたまま、一歩下がる。
 抱擁がなくなるのが寂しいけど、それが拒絶じゃないって解ってたから。
 私はただ微笑んで見せた。
「今まで、大好きでいたから。今もずっと大好きだから。これからも大好きでいたいから」
 だから、と。
 彼に微笑みを向けたまま、私はまだ羽織ったままだったコートを脱いで、そのままぱさりと床に落とした。
「えと、本当に良いのか?」
 彼の戸惑いを乗せた言葉に頷いてみせる。
「うん……、ずっと好きだったから。……もう、止まらないから」
 決心を込めて来たんだから。受け止めて欲しいから。
 ……好きな人が好きでいてくれるって解って、もうこの想いは止まらなくて、止めようとも思えなくて。
「それとも、私って、魅力ない……かな?」
「そんなこと無いっ!」
 思わず呟いた卑下の言葉に、彼が慌てて否定してくれる。
 ……ソレを望んでいた自分に、っていうより女の性にすこしだけ嫌気がさすけど、彼は受け止めてくれた。
 今はそれだけが真実で、私は彼の返事を待たずにブラウスのボタンを一つ一つ外しはじめた。

466 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:13:21 ID:HaS0x5j4]
>>333 side 〜
 もう、止められなかった。
 彼女が、あの引っ込み思案で恥ずかしがり屋だった彼女が、自分から俺のために服を脱いでいく。
 その光景は生唾物だった。
 図書館の司書をしているだけあって、日焼けとは全く縁がなさそうな抜けるような白い肌が、露わになる。
 ……黒いレースの下着がやけに扇情的で、掌に少し余るくらいの胸は、きっと平均より少し大きいものだと思う。
「……>>333君も、脱いで欲しい……な」
 伏し目がちになりながら彼女が呟く。
「あ、ああ」
 慌てて服を脱ぎながら、俺は、少しだけ不埒な想像をしてしまった。
 自分から求めてくる彼女。
 眼鏡で解りづらいけど、きっと誰よりも綺麗な彼女の事だから、今までに誰かと付き合ったことがあるかも知れない。
 ホックの外れたスカートが、ぱさりと彼女の足下に落ちた。
 ごくんっと大きな音と共に、思わず唾を飲み込んでしまう。
 ……黒い下着だから解りづらいけど、彼女の中心部分が色ずんで、……きっと濡れてるって解ってしまったから。
 俺も慌てて服を脱いで、下着になった時点で動きが止まってしまう。
 もう上を向いて固まっていたから。
 それが恥ずかしくて、だけど隠すことは出来なくて。
 俺は彼女と向き合う。
「……その、私、ハジメテだから……」
 頬を赤らめる彼女に、どくんって体の奥から音が響く。
 ハジメテなのに、自分から求めてきた彼女。
 それがどれだけ恥ずかしくて、勇気がいることなのか解ったから。
「俺も、はじめてなんだ。だから、変なことしたら、ごめん」
 呟きながら手を伸ばして、彼女を引き寄せた。
 そのまま背中と膝裏に腕を回して抱き上げる。
「いいよ……貴方になら、なにをされても、いい」
 胸が震えるってこんな時のことを言うんだろうなって、そう思える。
 けど、その気持ちを言葉に代えることが出来なくて、俺はただ彼女に口づけて、そのままベッドまで移動する。
 優しく彼女をベッドに寝かせて、笑いかける。
 すこしでも彼女が安心するように。
 そして、俺は彼女に覆い被さった。

467 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:19:19 ID:HaS0x5j4]
〜 her side 〜
 月明かりの差し込む部屋の中。
 私は彼の腕を枕にして、一人顔を赤らめていた。
 思い出すだけで、恥ずかしくなってくる。
 彼の手の動き一つ一つに自分でも思っても見なかったくらいに気持ちよくなって、はしたない喘ぎ声を上げてしまった。
 彼が入ってきたとき、あまりの痛さに涙を見せて彼に心配させた。
 必死で彼にしがみついたときに、彼の背中に爪を立ててしまった。
 ……なのに、少しの間彼に小突かれただけで、痛みより快感を覚えてしまった。
 最後に、彼が達するときに、後先考えずに中に出してとねだってしまった。
 全部、恥ずかしすぎて、穴があったら入るんじゃなくてそのまま埋められてしまいたい。
 そう思うくらいに恥ずかしい。
「……好きだよ」
 彼の寝顔を見ながら、私はそっと舌の上に言葉を載せる。
 彼の事が何よりも愛おしい。
 彼が側にいてくれると思うと、叫び出したいくらいの嬉しさが込み上げてくる。
 きっと、人を好きなるって、こういう事なんだと思う。
 側にいてくれるのが嬉しい。
 側にいられるのが嬉しい。
 お互いを必要と思いあえることが、何よりも嬉しいから、誰かを好きなるんだって。
「……最期まで、いっしょにいようね」
 小さく呟いて。
 私は彼の頬にそっと口づけた。

468 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:20:01 ID:HaS0x5j4]
>>333 side 〜
「ん……」
 なんだか、くすぐったさを覚えて俺は目を覚ます。
 窓から見える白々あけの空に、そんなに寝てたのかと思って首を傾げた。
 なんだか寝過ぎで余計眠くなってる気がして。
 ついでに昨夜は結局晩飯を食ってなかったような気がしたから。
「す〜す〜」
 いきなり隣から寝息が聞こえて。一瞬口から心臓が飛び出しそうになった。
 慌てて視線をそちらに向けて。
 昨夜の彼女との甘い一時が一気に蘇る。
「……俺」
 気持ちよさとかは、基本的にどうでも良かった。
 体だけの気持ちよさを言うなら、自分の手でこすってる方が気持ちいいとかって気がしたから。
 けど、痛みに耐えて必死にしがみついてくる彼女の様子が。
 幾度か動いていると痛みよりも快感を覚えているらしい彼女の様子が。
 なにより、大好きな、……愛しい人と快楽を分かち合えたと言う事実が。
 体だけの快感の幾数倍もの気持ちよさを感じたから。
 愛らしい寝息を立てる彼女をみながら思う。
 これからも、ずっと彼女といられるだろうかと。
「何、大丈夫さ」
 そんな僅かな不安とも呼べない想いに、苦笑を浮かべる。
 だって、俺は彼女に二度も恋をしたんだ。
 幼くて諦めただけの初恋と、ソレよりも遙かに強い二度目の恋。
 きっと、これからすれ違いはきっとある。
 俺も彼女も、生きているんだ。
 想いがずれるときもあるし、好きだから余計にお互いの些細なことが許せなくなるときが来るかも知れない。
 だけど、きっと大丈夫。
 もしその時、二度目の恋が終わっても、きっと俺は彼女にまた恋をするに決まってる。
 言葉が足りなくて傷つけるかも知れない。
 彼女を想うからこそ、傷つくことがあるかも知れない。
 けれど、俺は彼女を大切に想う。
 思い続ける。
 きっと、そんな想いが、恋情よりもずっとつよくて大きな愛情なんだ。
「……××、愛してる」
 呟きながら、俺は彼女の頬にそっとキスをした。


 We hope that >>333 are happyend

 The End

469 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:25:57 ID:HaS0x5j4]
長文且つ僭越ながら幕を引かせて頂きました。ごめんなさい。
>>333の前途が幸せであることを心から祈っております。

最終まとめ
一回目 >>369
二回目 >>428-429
三回目 >>454
>>456-460
>>463-468



470 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/02(日) 23:35:49 ID:bnaXx4dE]
最高GJ
なんか終わってしまうとなるともったいない気がするな

471 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 00:13:27 ID:dDkM/qIu]
>>469
ナイスフォロー
そしてGJ!!

延々と耳元で小一時間GJ!!


472 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 00:49:17 ID:x/HVO0F9]
この2週間足らずの間にずっとssを書いてくれた職人達全てにGJ!!!!!
そして願わくば>>333の恋が実りますように。

473 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/12/03(月) 03:28:52 ID:xIrHSG4h]
>>469何かもう感情ごちゃまぜだ・・・
まずはありがとう。理想の純愛ENDだな。
本当にきれいな終わり方だな。ラストがあなたでよかった。

そしてこのスレで力を合わせて書き上げた、最高の純愛【無口】作品に乾杯!!!



そして>>333にこのSSが幸せをもたらす事、幸せな未来がある事を心から祈ってる。

474 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 07:27:30 ID:U72VY0ir]
全て参加者と住人にGJ
面白い遊びだったよ

475 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 07:31:27 ID:xWGvDfHl]
ああ、もうGJすぎる

そんな作品にGJしか言葉を送れない自分がふがいない
仕方ないので心の底からのGJで伝えさせてほしい

GJ!!

476 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 15:30:29 ID:6HE/Yy1C]
みんな本当に無口娘を愛してるんだな……
そうでなかったら、こんな風にリレーが最後まで続くはずがない。
そもそも友達同士でさえ、リレー小説はたいてい途中で止まるのに!

完走萌えでとう! 書いたみんなにスーパーGJ!!!

477 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/03(月) 16:49:05 ID:HyKdcxk1]
まさか最後まで続くと思ってなかったな
結局俺は傍観者してるだけだったけど、大変楽しませてもらった
リアル>>333もうまくやって欲しいな。

もはや言うまでもないんだが、リレー参加者全員にGJ!

478 名前:333 mailto:sage [2007/12/03(月) 23:49:39 ID:tndsjWzn]
正直、言葉が浮かびませんが、皆本当にありがとう。

なんか分かんないけど、泣けた。本当にありがとう。

今、全部読んで少しテンパってて上手く言えないけど
お前らみたいな奴らがいてよかった。本当に。

後悔しないよう頑張る。俺なりに誠意で応えるから

479 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/04(火) 01:57:08 ID:TuOhCM+c]
その言葉が聞けてよかった。幸せになってくれよ。

てか今更だが、このスレの絆に涙が止まらなくなった。ここにいてよかったと本当に実感させられた。


さて、ところで無口っ娘クリスマスネタの需要が増えて来る訳だが何かいい案あるか?



480 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/04(火) 14:20:27 ID:D8BqLqpx]
すげえ、こんなにきれいにまとまったリレーなんて初めて見たよ
>>333と書いた皆さんGJ!!

481 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/04(火) 14:35:38 ID:oMop7wUN]
何人か固定のレベルの高い書き手がいたのと、
ジラし担当とプッシュ担当のバランスがよかったのが
成功の秘訣だったのかもな。
何はともあれみんなGJ!

482 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/04(火) 18:01:10 ID:gxpVs6f4]
とりあえず、保管庫がないと勿体無い(`・ω・)

483 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/04(火) 18:25:13 ID:TtAF6rLN]
無口スレの保管庫は死んでるのか……

484 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/12/05(水) 03:03:43 ID:ZOXe+YXY]
保管庫消えたのか。
じゃあwiki辺りで作るか?

485 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/05(水) 10:18:20 ID:xU98ISg8]
消失した作品データ・・・。
勿体ない

486 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/06(木) 00:06:08 ID:G+r4swzh]
>>484
まぁそれがいいだろうな、頼む

>>485
過去ログを持ってる人にうpしてもらえば大丈夫だろう

487 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/07(金) 05:35:25 ID:jjIQUHsI]
じゃ、wikiができるまで過去ログ置いておきますね。

red.ribbon.to/~hachiwords/m/

488 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/07(金) 23:51:50 ID:AMMrpBh2]
読み手の専ブラの中にもdatがあると思うけど・・・

489 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 07:59:28 ID:69N1cFOq]
>>486すまん。今出張中で携帯しか持ってないんだ。
まだしばらく帰れないから、すまないが他にできる人がやってくれ。



490 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 08:12:04 ID:sU4zuN0f]
一応、wiki立ち上げだけなら出来る。
そのかわり、更新かなり遅くなるんで出来れば手助け欲しい。
誰でも編集可能にすると、悪さする奴が出そうなんだが、さてどうしよう。

491 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 08:22:25 ID:g3gkdQpr]
実害がでてから制限したら?
猫の手も借りたいところだろうし

492 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 08:30:32 ID:sU4zuN0f]
では、誰でも編集可能で立ち上げてくる。

493 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 09:57:32 ID:sU4zuN0f]
wiki.livedoor.jp/n18_168/d/FrontPage
ってことで、保管庫立ち上げ完了。
とりあえず時間がないんで、一番最初の一編だけ保管したので、
余裕がある人は、保管手伝い、お願いします。

494 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 12:15:05 ID:nzr9evy8]
保管庫乙&サンクス!

495 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 01:59:18 ID:geiosX30]
こんばんは。久しぶり……ではないですね。リレーに参加したし。
でも一つの作品投下という意味では二ヶ月ぶりです。せめて一ヶ月にできるよう頑張ります。

以下に投下します。縁シリーズラストです。
今回過去の作品を上回って一番長くなってしまいました。
長いのが苦手な方はスルーでお願いします。

496 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 02:00:17 ID:geiosX30]
『縁の切れ目 言霊の約束』



 遠藤守の住むアパートの一室で、依子は呆然と固まっていた。
 部屋には三人の人間がいた。依子と、守と、もう一人若い女性の三人が座卓を囲んでいる。
 その女性は美しかった。
 人形のように整った顔立ち。流水のように滑らかな黒髪。厚手のスーツは凛とした雰囲気を際立たせ、服の間から見える柔肌は雪のように白い。
 そして、依子にとてもよく似ていた。
 依子は何も考えられず、何も言葉が出なかった。色々なことが急に起こりすぎて、頭が混乱していた。
 一度だけ小さく深呼吸をする。簡単に落ち着けるものではないが、事態の整理には効果的だ。
 依子は整理する。頭の中で、今までに起こった出来事を。


 昨日の夜、依子は守を二ヶ月半ぶりに訪ねた。
 しばらく訪ねなかった理由は気まずかったからだ。
 守に告白されて、依子はまだ返事を返していない。さすがにそんな状態で顔を会わせる度胸はなかった。
 以前までの依子は、彼の想いに気付いていなかったので気兼ねなく会いに行っていたが、さすがに二の足を踏むようになっていた。
 だが昨日、そんなことを頭から消し去るほどの事態が我が身に降りかかった。
 縁が突然見えなくなってしまったのだ。
 昨日の夕方、自らを生霊と名乗る少女に『何か』をされて、
 ……目が覚めたときには世界は変わっていた。
 アスファルトからビルの壁、街行く人々から空の彼方まで、世界を覆う無数の糸が、跡形もなくなっていた。
 少女は何度も謝ってきた。魂を傷付けた、巻き込んでしまった、傷は治したが、何らかの後遺症があるかもしれない。色々なことを言っていたが、あまり頭には入らなかった。
 何が起きたのか、すぐには理解できなかった。世界の変化に意識がついていかなかった。
 いや、変わったのは自分の方かもしれない。
 それから後のことを依子ははっきりとは覚えていない。少女に何か言ったかもしれない。言わなかったかもしれない。
 気付いたときには守の部屋の前に辿り着いていた。
 すがれる相手が欲しかったのだろう。家には保護者の義母がいたが、誰でもよかったわけではない。
 依子はいつも一歩退いて接していたので、彼女では駄目だった。身近な者で体が向いた相手が守だったのだ。
 気まずさが消えたわけではないが、不安の方が強かった。
 守は多少驚きはしたものの、いつもと変わらず迎えてくれた。
 会った瞬間思わずすがりついて、部屋の中に入ってからも落ち着きのないまま一方的に事情を話して、それを、ただ静かに聞いてくれた。
 頼れる人だった。
 そのあと安心からか疲労が一気に襲ってきた。遅いから泊まっていくよう守に勧められて、依子は素直に従った。
 これまでにも何度か泊まったことはあったが、守の気持ちを知った今、前のような気軽さは持てなかった。
 借りたベッドの中で依子は思った。このいとこは、自分にいつでも手を出せたはずなのだ。だがそんなことは一度もなかった。せいぜい頭を撫でる程度だった。
 そこに守なりの真摯さが込められているような気がして、嬉しくなった。同時に申し訳なく思った。
 だがそんなことは、今の依子には瑣抹事でしかなかった。
 守を見やる。その胸元から生えているであろうものを見るために。
 何も、見えなかった。
 依子と守の縁の糸が前まで確かにあったはずなのに。
 依子はぎゅっと目を瞑る。昨日までのあの感覚が錯覚だったかのようで、胸が苦しくなった。
 眠気に意識が侵食されるまで、依子はひたすら強く目を瞑っていた。

 翌朝目を覚ますと、すぐ横に自分によく似た女性が無表情に座っていた。
 ぎょっとして跳ね起きると、女性は微かに首を傾げた。
 誰、という疑問はすぐに吹き飛んだ。もう何年も会っていない相手だが、依子には一目で十分だった。
「お姉……ちゃん?」
 神守依澄はその声を聞くと、小さく微笑した。

497 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 02:02:44 ID:geiosX30]
「依澄さん、どうかな」
 守の問いかけに依澄は小さく頷く。
 夕べのうちに守が連絡したらしい。目の前にいる麗人は、依子の知らない成長を遂げていたが、間違いなく依子の姉だった。
 霊能を操る一族、神守。
 その神守の歴代当主の中でも屈指とまで言われる彼女の力をもってすれば、あるいは依子を治せるかもしれない。守はそう言った。
 依澄の透き通るような目が依子を見据える。
 動悸が激しくなった。八年ぶりに自分の前に現れた姉は、前よりもずっと無彩色性が増したように感じた。
 縁も、見えない。
 ずっと縁の糸を見通すことであらゆるものを判断してきた依子には、それが不安で仕方がない。
「……」
 依澄はやがて無言のうちに首を振った。
「どうなの?」
 守が不安そうに尋ねると、美しい唇が開かれた。
「……私には治せません」
 無表情に断じた答えは、依子の心にさざ波を立てた。
「魂が以前とは変わってしまっています。縁視の力はもう取り戻せないと思います」
 清澄な声が淡々と語る。
 それはとても残酷な響きに聞こえた。依子の主観かもしれないが、まるで鋭利な鎌に身を裂かれたような。
 依澄は無表情だ。
 守が短い息を漏らした。残念そうに肩を落とす。
「依子ちゃん……」
「……」
 依子はぐっと歯を噛み締めると、にこやかに笑った。
「……別にたいしたことじゃないよ。見えないはずのものがやっぱり見えなくなっただけだよ」
 依子は、言い訳としてはかなり下手だな、と自覚しながらもそう言い切る。
 依澄の表情は変わらない。
 依子にはその顔の奥にある心が見えない。
「あ……、えっと、」
 守が何かを言おうとしてなぜか言い淀んだ。微妙な空気は依子にとっても感じのいいものではない。
「……」
 依澄はそんないとこに柔らかく微笑んだ。微かに熱っぽい気持ちがこもった微笑。
 そして、
「……依子」
 不意にかけられた声に依子はびくりと肩を震わせた。
「……な、なに?」
「…………今度、実家に戻って来ませんか?」
 ――唐突。
「……え?」
 姉の顔を思わず見返す。
 不安や困惑でいっぱいの頭の中に、急にそんなことを投げ掛けられてもこっちは困るだけなのに。依子は姉に少しだけ腹が立った。
「ちょっと待って。なんで急にそんなこと、」
「……大丈夫、……今のあなたなら戻ってこれます」
「……」
 何を確信しているのか、姉の言葉には妙に力があった。言霊とは違う感じの力だ。
 それに呑まれてしまい、依子は口をつぐんだ。言いたいことも考えたいこともたくさんあるはずなのに。
 そんな依子の心情を知ってか知らずか、依澄はおもむろに立ち上がった。
 そのまま頭をぺこりと下げると、玄関へと足を向ける。
「依澄さん?」
「戻ります……」
「ちょっと、お姉ちゃん」
 呼び止めようとすると依澄は軽く振り向いた。
「待ってます……から」
 それだけ言い残して、依澄は部屋を出ていった。
 送ってくる、と守も部屋を飛び出し、そして依子だけが残された。

498 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 02:04:53 ID:geiosX30]
 依子は仰向けにベッドに倒れ込むと、ゆっくりと目を閉じた。
 窓から光が射す。閉じた目でも、その眩しさはしっかりと伝わってくる。
 とても静かだった。
 夜が明けても、結局縁視はなくなったままだ。
 それでも、確かにあの感覚は昨日まで存在していた。
 溜め息が漏れる。
(駄目だな、私……)
 自分はもっと明るい性格だったはずだ。それが今はどうだ。糸が見えなくなっただけでこんなにも不安定になっている。
 それだけ依存していたのだろう。あの糸を通して、依子はあらゆる関係を見抜き、理解してきた。
 人と人との繋がり、これからめぐり会う出来事との関係、ときには人の心さえも見通すことができたのだ。
 ものごころがついたときには既に持ち合わせていた力だった。それ故、見えることが当たり前すぎて、呼吸と変わらないくらい自然な感覚だった。
 それが急になくなってしまって、依子はこれからどうすればいいのか何もわからない。
 失明したわけではない。腕や脚がなくなったわけでもない。だが、あるいはそれと同等とも言える喪失感が胸に広がっている。
 お腹がぐう、と小さく鳴った。
「……」
 安物の目覚まし時計がカチ、カチ、と規則正しい音を立てている。短針は『10』の字を差している。
(こんなときにもお腹は空くんだよね……)
 夕べ、何も食べてない反動からか、お腹が少し痛かった。
 何か作ろうか。そう思ってキッチンを見やる。守によく料理を作ってやっていたので、造りは把握している。
「……」
 依子は動かなかった。思っただけで、起き上がることすらしなかった。
 錆びれていくような虚しさを抱えたまま、依子はただ柔らかなベッドに身を委ねていた。
 無気力な頭の中を巡るのは、再会した姉のことだった。


 しばらくして、守が戻ってきた。
「ただいまー……って、大丈夫?」
 虚ろに倒れたままの依子に心配そうな声をかける。
「……お腹空いた」
 思ったことをそのまま吐くと、守は小さく笑った。
「そう思ってパンと飲み物を買ってきたよ。一緒に食べよう」
「……うん」
 依子は体を起こすと、座卓に並べられた菓子パンとペットボトルの飲み物を見つめた。昔から好きなミルククリームのサンドパンがある。
 守は紅茶のボトルと合わせてそれを依子に差し出した。
「好きだよね、これ」
「……ありがとう」
 こんな些細なことを覚えているいとこに、少し驚く。
 袋を破り、パンをかじる。柔らかいミルクの味が口いっぱいに広がった。
「あのさ」
 ジャムパンを頬張りながら守が口を開いた。
「迷惑、だったかな?」
「え?」
「いや、急に依澄さんを呼んだりしてさ」
 依子は手を止める。
「……別にそんなことはないよ。いきなりだったから驚きはしたけど……」
「それならよかった。二人には仲良くしてもらいたいんだけど、依子ちゃんは会いたくないのかな、ってずっと思ってたから」
「そんなことない。でも……」
「でも?」
「私は実家にはいられないから、こっちから会いに行けないんだよ。向こうは忙しいし会う機会が」
 待って、と守が言葉を遮った。
「前から疑問だったんだけど、実家にはいられないってなんで?」
 依子は目をしばたたかせた。
「……言ってなかった?」
「聞いてないよ。」
「……」
 確かに言った覚えはなかった。だが当然知っていると思っていた。依澄か誰かが話しているものだと思い込んでいた。

499 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 02:08:26 ID:geiosX30]
 仕方ないか、と内心で呟くと依子は言葉を探した。
「えーと……簡単に言うとね、神守家は一つの世代に一人の人間しかいてはいけないんだ」
「……?」
「『神守』を名乗れるのは一人だけなの。それ以外は『神守』を名乗れない。今だと、お姉ちゃんだけ」
「……どうして?」
「神を守り、神に守られる人数が決まっているから」
 胸が少し痛む。自分は選ばれなかったのだ。
 守はいぶかしげに眉を寄せた。
「それと依子ちゃんが実家にいられないのと何の関係が?」
「今から話すよ。わかりやすく話せるかどうか自信ないけど」
 軽く深呼吸して気持ちを落ち着かせると、依子は静かに語りだした。


「『神守家』の役割はね、二つあるの。
 一つは霊能力を持って霊的な問題を解決すること。
 で、もう一つはその名が示すとおり、神様を守ること。
 緋水の神様についてはマモルくんも知ってるよね? 昔からこの辺り一帯を治めてきた神様。
 それを神守家はずっと守ってきた。崇め奉り、保護することで、土地の安寧を得てきた。
 眉唾と言えばそれまでだけど、本当に力があるんだよ? 神守の力が強いのは、緋水の神様に力を借りてるからだもの。
 だから、神守家は緋水の神様を守ると同時に加護を受けているの。
 ただし、緋水の神様の加護を直接受けられる人間は一人だけなの。
 つまり神守の当主だけ。当主はいわば巫女となって、正式に『神守』を名乗る。
 だから神守の名を持つ者は一人だけしかいない。
 本家が神守と呼ばれてるのに、苗字が緋水になっているのはそのためなんだ。お母さんも前までは神守だったけど、今は緋水姓になってるからね。
 たった一人の神守が、巫女となって神様を守る。本来概念でしかない神様を規定することで、神様という存在を守る。それが神守の役目。
 その見返りに神守は力を得る。名前によって神様からの加護を受け、その力を土地の平安に使う。
 ……言葉じゃどうしても嘘っぽくなっちゃうね。私も神様に直接会ったわけじゃないから確信を持って説明できるわけじゃないんだけど、まあとにかく。ここから本題。
 神守を名乗れるのは一人だけ。だからお母さんの後継は私かお姉ちゃんのどちらか一人だった。
 私は知ってのとおり才能がなかったから、当主にはなれなかった。
 正直悔しかったな……私ね、できればお姉ちゃんの助けになりたかったの。当主になれば、もうお姉ちゃんは私の面倒なんか見なくて済むと思ってたから。
 でも仕方ないと思ってる。何も問題はなかった。私が一つ諦めて、家族と普通に生きていくだけ――そのはずだった。
 お姉ちゃんが当主になることが決まって、ちょうどそのための準備をしていた頃だったかな。
 私は高熱に倒れた。
 病気じゃなかった。私は緋水の神様の力に当てられたの。
 私はお姉ちゃんに最も近い人間だったから、変に影響を受けてしまったみたい。
 お姉ちゃんの力が日増しに強くなっていくにつれて私の体調は悪くなっていった。
 力にあてられないようにするには二つの方法がある。
 一つは自身の魂の形を大幅に変えて、神守固有の魂の形をなくすこと。もう一つは単純にその土地から離れること。
 私には才能がなかったから、自身の魂操作さえろくにできなかった。
 だから、私には後者の方法しか手がなかった。
 お父さんはお母さんの『盾』だったし、お母さんも先代としてお姉ちゃんのそばから離れるわけにはいかなかったから、私は一人で実家を去らなければならなかった。
 ……もちろん哀しいよ。でも迷惑かけるわけにはいかないじゃない。あれ以上あそこにいたら、死んでたかもしれないしね。
 だから、ただそれだけだよ。私に才能がなくて、ちょっと巡り合わせが悪かっただけ。
 本当に、うん……それだけの話。


 喉が渇いたので、ペットボトルの紅茶を口元に傾けた。冷たさが心地よい。
 守が小さく頷いて、口を開く。
「依子ちゃんがこっちに移ったのはそれが理由?」
「うん。おじさんとおばさんには子供がいなかったからちょうどよかったみたい」
 まるで他人事のような言い種だな、と依子は思った。義父も義母もとてもいい人たちなのに。



500 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/09(日) 02:10:48 ID:geiosX30]
 すると守が不審げに眉をひそめた。
「つまり、依子ちゃんは緋水の土地に入れない、ってことだよね?」
「うん……そうだよ」
「でも依澄さんはさっき、君に戻ってこないか尋ねた。どうして?」
「わからないよ……。私があそこにいられないのは間違いないことなのに」
「ひょっとして、もう大丈夫になったとか?」
 守のポジティブな意見に依子は首を振った。そんな簡単にいく問題ではないのだ。
「どうして大丈夫になったと思うの?」
「いや、依澄さんが言ったことだし」
 確かに言っていた。今のあなたなら大丈夫と。あれはどういう意味なのだろう。今の私なら?
 依子は考え込む。今の自分。縁の見えなくなった自分。何も持たない自分。そんな自分に何があって大丈夫なのか。
「あ」
 そのとき守が短い声を上げた。
「何?」
「いや、そういうことなのかな、って」
 よくわからないことを言う。
「……? そういうことって?」
「緋水の神様の力にあてられないようにする方法だよ。離れるだけじゃなく、もう一つ方法があるんでしょ?」
「え? うん、魂の形を変えて……あ」
 気付いた。その瞬間守と顔を見合わせた。
 緋水の神様の力にあてられるのは、神守家固有の魂の形を保持してしまっているためだ。
 当主になるにあたって、魂が力を受け入れやすい形になっているわけだが、自身の霊能や魂をうまく操作できない依子はそのせいで悪い影響を受けてしまっている。
 だが逆に言えば、その形を変えてしまえば影響を受けなくてすむということである。
「私の魂が以前とは変わってしまっているから……もう影響を、受けない……?」
「だと思ったんだけど、どうかな?」
「……」
 迷いが生まれる。
 もしそうだとしたら、とても嬉しいことだ。もう二度と戻れないと諦めていたあの土地を、また踏めるのだ。
 だが、果たして受け入れてくれるだろうか。土地は、家族は、以前の私ではない私を認めてくれるだろうか。
「不安なら、ぼくもいっしょに行こうか?」
「え?」
 幼馴染みの申し出に依子は驚いた。
「大丈夫。何があってもいっしょにいるから。いっしょにいたいから」
 いとこの顔を見つめる。守はとても優しげに微笑んでいた。
 前から彼はこんな笑みを浮かべていただろうか。依子は戸惑う。縁が見えないために相手をうまく計れないことが、逆にその顔をより強く見せているような。
 不思議と安心できる笑みだった。とても不安なのに、守ってくれそうで。
「……うん」
 依子は小さく頷いた。


 家に戻った依子は、自分の部屋でばたりとベッドに倒れ込んだ。
(疲れた……)
 本当に何もかもが急すぎた。変わっていく世界は依子にとってあまりに激しい。
 縁糸の消えた世界が目の前に広がっている。
 やはり少し不安だ。自分は今、誰と繋がっていて、これから誰と繋がっていくのだろう。
 だが、さっきの守との会話でちょっとだけ立ち直ることができた。
 守と話し合って、緋水に戻るのは週末ということになった。金曜日の夕方、学校が終わったら駅で待ち合わせする約束だ。
 戻れる。八年振りに、あの場所に。
「……」
 しばらくぼんやりと枕の感触に埋もれていると、ドアがノックされた。
「入るわよ」
 現れたのは義母の百合原友美(ゆりはらともみ)だった。義父の仁(ひとし)が単身赴任中なのでこの家には依子と彼女しかいない。
「あら……どうしたの? まだ体調悪いの?」
「あ……ううん、ちょっとぼーっとしてただけ」
「そう? 夕べはびっくりしたわよ。急に守君から連絡が来るんだもの。具合が悪くなったって言ってたけど、大丈夫なの?」
「う、うん。もう平気」
 百合原家は神守とは縁遠い親戚で、友美もただの一般人だ。神守家についても特に詳しいわけではなく、依子は自分の縁の力についても話したことがない。
 だからこういうとき、詳細をうまく話せなくて依子は困ってしまう。ただでさえ接し方に苦慮しているのに。






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