- 120 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/10/17(水) 01:33:02 ID:AdvJbiKL]
- 目が覚めると、枕元に誰かがいた。
「うわあああっ」 俺は布団を蹴飛ばして飛び起きると、そのままあとづさる。 だ、誰だ? 「……」 座布団の上に正座しているその女の子は、驚きとショックを半分づつ混ぜたような表情で俺を見ている。 べしゃ、とどこかで塗れた雑巾を床にたたきつけたような音がする。 「……」 その正座している女の子は、ショートカットの癖っ毛の下の真ん丸いつぶらな瞳で俺のことを見つめている。 着ているというよりも着られているという感じのセーラー服。 さいきんちょっとむちっとしてきて気になっている、スカートから覗くふともも。 「な、なんだ、園子か…」 いつも俺の部屋に入り浸っている、このアパートの大家さんとこの一人娘でかつての家庭教師の生徒である女の子が 熱でうなされている俺の様子を見に来てくれていたというわけで。 「……心配だった」 園子はものすごく口数が少ない。 複雑な家庭環境で育ったからなのか、すごく大人しくてあまり自己主張をしない、でも頭の回転は早くて 他人をすごく思いやってるイイ子だ。ほんと、最近の女子高生にしておくにはもったいないくらいのイイ子なのだった。 そんなイイ子は、熱でフラフラになって帰宅した俺のことを気に掛けてこうやって来てくれたわけで。 でも、いくらなんでも暗い部屋の中で俺のことをじっと見つめているのは驚くというかビビるというかちょっとちびりそうになる。 園子は正座している傍らには洗面器が置いてある。 布団の上の枕も、気が付いたらゴム製の水枕に替わってるし。 ていうか、その洗面器で冷やしてくれた濡れタオルがさっきまで俺の額の上に置いてあったんだ。 さっきべしゃっと畳に落ちた濡れタオルはその音だったわけで。 俺は思い立って園子に尋ねた。 「俺のこと、心配で来てくれたのか?」 「……」 こくり、と園子は無言で頷く。 黒目がちな大きな瞳は、純粋に心配そうな色で揺れている。 俺はこんな親切で可愛くていじらしくて優しい女の子を安心させたいキモチで胸の中が一杯になってしまう。 「大丈、ぶ、だ」 言いながら咳き込んでしまう。 「…すごい汗」 園子は立ち上がると、俺を布団の上に座らせる。 そして台所からお湯を入れた洗面器を持ってくると、別のタオルをそのお湯で絞る。 園子の細くて小さな指が、俺のパジャマのボタンを外していく。 されるがままになっている俺は、いったいいつパジャマなんて着たんだっけ?と朦朧とした頭で考える。 会社から早退してきて、背広をほっぽってネクタイもほどいて投げて、シャツとパンツいっちょで布団に 倒れこんだだけな気がするのだ。そもそもココ最近寝るときパジャマなんて着てないし。 もしかして、園子が着させてくれたのか? 園子は俺の裸に緊張しているのか、ちょっと強張った表情で俺の首筋にタオルを当ててくる。 寝汗で湿った肌が、熱いタオルで拭われていくのは気持ちがいい。 園子のちっこい手が俺の肩を掴み、胸、腹、とタオルを走らせていく。 熱いタオル。すごい熱い。っていうか、園子の手も火照っているくらい熱い。 ていうか洗面器のお湯、もしかしてほぼ熱湯なんじゃないか? 真剣な顔で俺の身体を拭ってくれている園子。 俺がこのアパートに越してきたときにはまだほんのちびっ子だった園子。 家庭教師をしてるうちに、だんだん打ち解けてきて、ときどき笑顔や笑い声も聞かせてくれるようになったのは俺が大学2年に なったころだった。中学生になり、高校に合格したときには珍しく嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねながら俺に抱きついてきたっけ。 そのときに感じた園子の身体つきにドキっとしてしまったのを覚えている。それはグラマーではないが、明らかに子供とは違う女の子の 身体の柔らかさだった。そう。ちょうどコレくらいの柔らかさで、こんな匂いがして、これくらい体温が高くて――― ――って!おい!なんで俺園子ちゃんを押し倒してんの?いや、これは熱でフラフラになっただけで!いや、そんな下心とか 全然無くて!っていうか、園子ちゃんもなんか言えって!キャーとか!なんでそんな真っ赤な顔で、うるうると瞳潤ませてんの? ヤバイって!そんな顔されたら!俺どうにかなっちゃうって!色っぽくため息とか吐かれても困るし! --------------------------------------------------------- >>118に捧ぐ そしてつづかない
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