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かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2006/11/28(火) 04:20:18 ID:h0Jb9AN7]
ここは幽霊、妖怪、妖精、魔女っ子からはては異次元人まで 
オカルティックな存在の幼女、少女、娘、女性にハァハァするスレッドです。 
エロ&萌え〜なSS、画像を随時募集中! 
創作も収集もおかまいなし! 

前スレ
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その11】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142074376/l50

関連サイト 
過去ログ&SS保管庫 
tsukinowa.s1.x-beat.com/occult/ 

関連スレ
【妖怪】人間以外の女の子とのお話20【幽霊】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163776989/
【亜人】人外の者達の絡み【異形】 
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/ 
【獣人】亜人の少年少女の絡み4【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152198523/

301 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/11(水) 12:55:39 ID:BSTd/8hK]
ほしゅ

302 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/14(土) 07:57:05 ID:D9TYKZ0t]
保守

303 名前:名無しさん@ピンキー [2007/07/15(日) 21:36:15 ID:PxydWotp]
なぜに過疎るか、このスレは

304 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 04:57:11 ID:I4IXVfDZ]
埋めネタ代わりに「鎌鼬姉妹」でも。
エロや続き?

 そんな もの は ない

305 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 04:58:20 ID:I4IXVfDZ]
「イエス、若人! やーやー、今日も洗濯ごくろうさん!」
 洗濯機を回そうとしてた所で僕の居候のするこの家の長女、転鞠(てまり)さんに声をかけられた。
 見ての通りの蓮っ葉な言葉遣いと豪放磊落な性格をした漢女──もとい乙女だ。
 答えを返そうと振り向いたところで……思わず溜息をつく。
「とりあえず、上着くらい着てください。風邪引きますよ?」
「年頃の娘の裸見といて随分と冷静な対応だな、おい……」
 下着一丁(しかもブラ無し)という自堕落極まりない格好をしている転鞠さんを嗜めると不機嫌な顔をされた。理不尽だ。
「いや、僕ペドじゃな……」「アイガアッパーカッ!!」「ぶべらっ!?」
 全て言い切る前に強烈な体全体で放つジャンプアッパーを食らった。超痛い。
「この大人の魅力あふれる俺を捕まえて何をいうかこのガキめ!」
 仁王立ちする転鞠さんの胸は悲しいくらいに真っ平らだった。
 あと、ちんまい体と童顔で仁王立ちしてもあまり威圧感を感じないので怖くない。
「……そう思ってるのは転鞠さんだけぇっ!?」
 またもや全て言い切る前に腹部に掌打を打ち放たれた。
 身長の割にやたらとパワフルな一撃は、体の隅々にまで染み渡るような強烈な衝撃を僕の体に与えた。
「まだ言うか、貴様!
 そんな坊主、修正してやる!
 泣いたり笑ったり出来ないようにしてやる!」
 転鞠さんが何やら騒ぎ立てているがこちらとしてはそれどころではない。
 先程の転鞠さんの一撃が足に来て、立っている事すら出来ずに膝から地面に崩れ落ちる。
「あらあら、まるで芋虫のように這いつくばりになられてどうされましたか?」
 床にうずくまり苦しむ僕に、頭上から楽しそうに声がかけられた。
 腹を押さえながら顔を上げると、そこには黒髪長身の美女が立っていた。
 この家の次女、切華(きりか)さんである。
「弟ちゃん。女の子を体型で差別してはいけませんよ」
 隣で騒ぐ転鞠さんをいなしながら、切華さんが微笑を浮かべて僕にそう声をかけてきた。
「……見ていたんなら声かけてくださいよ」
 僕は痛みに耐えながら涙目で抗議する。
「あら、それでは面白くないじゃありませんか。それに……」
 切華さんはそこで言葉を一度切って、転鞠さんに視線を送り……
「私が姉さんを止めたら厭味になっちゃいますわ」
 転鞠さんと対照的な、メリハリのついたボディを見せつけるなポーズを取る切華さん。
 僕はその格好に思わず眼を奪われてしまった。
 ……軽蔑しないでくれ。これも 男の子の サガ だ。
「…………うわぁぁあぁぁぁぁぁん、坊主のエロスぅぅぅぅっ」
 いたたまれなくなったのか、転鞠さんは逃げるように叫びながら去っていった。
 ……とりあえず、その叫びは僕の誇りやら信用やらが物凄い勢いで低下していくので勘弁していただきたい。。

306 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 04:58:59 ID:I4IXVfDZ]
「んー、姉さんったら案外打たれ弱いですわね。もう少し遊べるかと思ったんですけど」
 残念そうに呟く切華さん。……鬼だ。この人は鬼だ。
 内心そう思っていると、切華さんは唐突に僕に視線を移す。
「代わりに弟ちゃんをいぢめてもいいんですけど……」
 ……その顔に浮かんでいた邪悪な笑顔に、背筋を冷やさずにいられない。
「うーん、構えられてるとあまり面白くないからやめときます。あ、これお願いしますね」
 残念そうに言った言葉に、僕は洗濯物を受け取りながら心の中で密かに安堵した。
 だが、自分の部屋に帰ろうとする切華さんがすれ違い様に発した言葉にそんな気分もつかの間だった事を思い知らされる。
「むっつりスケベも程々にした方が良いですわよ、弟ちゃん」
 ……油断したタイミングで、切華さんが奇襲気味にそんな発言をしてくれたからだ。
 なんというか、色々と男の子の尊厳が打ち砕かれた気分である。
 上機嫌で部屋に帰る切華さんと逆に、僕は再び地面に崩れ落ちる。……先程とは別の理由で。
「……洗濯、しよう」
 それでも無理やりに気持ちを切り替えて洗濯機を回そうとすると、後ろから気配を感じる。
 振り向くと、そこにはこの家の三女──三姉妹なので末女でもある葛葉(くすは)さんが立っていた。
「あれ、何か用が……あぁ、葛葉さんも洗濯物出しに来たんですね」
 コクリ、と頷き手に持った洗濯物を手渡してくれた。
「………………………」
「え、なんか落ち込んでたみたいだけどどうしたんですか、って?」
 葛葉さんの言葉を「解読」して僕は問い直した。
 彼女はオクテな上に非常に声が小さく、会話を成立させるには熟練が必要なのである。
「うーん、まぁ、いつも通りというか……」
 微妙に言葉を濁しただけでおおむね何が起こったのか察したらしく、小さくため息を吐くような動作をした。
 そして、少し背伸びをしてポンポンと僕の頭に手を乗せた。
「えーと、その葛葉さん?」
「?」
 言葉には出さないものの「どうしたの?」とその顔が雄弁に語っていた。
 だから、僕は素朴な疑問を口にしてみる。
「あの、もしかして、慰めてくれてます」
「……ッッッッッッ!!」
 すると、葛葉さんは顔を真っ赤にして慌てて走り去る。
 残された僕は、思わず首をひねり呟いた。
「僕、何か怒らせる事いったんだろうか……?」
 その後しばらく考えてみたけど、結局その答えは出る事はありませんでしたとさ。

307 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 04:59:53 ID:I4IXVfDZ]
以上。続きそうだけど、多分続きません。

308 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 08:26:23 ID:6Pyy1plC]
頼むからつづいてほしいんだお

309 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 11:40:15 ID:51nkDndX]
うむ、こういうほのぼのとしたのも良いな



310 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 13:07:44 ID:cYhFHicb]
これだろ?!
jggj.net/fbi/
jggj.net/7878/
jggj.net/papapan/

311 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/16(月) 20:22:56 ID:Gd2kbaZM]
>310
怖くて開けません

312 名前:名無しさん@ピンキー [2007/07/16(月) 20:30:01 ID:/Dl6VFtX]
>>311
世にもげっちゃくそ恐ろしいサイトに誘導されて人生破壊させられるようなこともなく単なる業者サイトだった。

>>310
つーわけで業者乙


313 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/17(火) 00:14:12 ID:17v5xTgi]
暁狐

314 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/17(火) 00:26:26 ID:77puex5Y]
>>307
君が続けないなら、俺も続けない断片を落とすぞ!?

315 名前:304/I4IXVfDZ mailto:sage [2007/07/17(火) 06:38:44 ID:atSsFK9h]
(*・з・)・∵. ブッ!!

お前ら一日で沸きすぎw
うん、まぁ、エロ展開に繋げられたら続き書きますが、俺以外が書いてくれても一向に構いません。
つうか、俺が読みたいw

316 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/19(木) 14:15:57 ID:XlNKupVz]


317 名前:『いもうと大好き』 mailto:sage [2007/07/20(金) 00:11:35 ID:en6SFxhx]
「にいさま、おはようございます」

耳をくすぐるような声。

「ちゃんと、晩ご飯は作っておきました。今朝のは自信作ですよ?」

少女がが、彼の枕元で小さな声。
耳たぶにキスできるくらいに唇を近づけて、囁くような小さな吐息の震えで囁いてくる。
なんでそんなことをしているのかというと、そんなふうに起されるのを兄である誠治(せいじ)が好む、ということを妹である鳴美(なるみ)は
知っているからだ。



誠治は、三十路も後半にさしかかり、人に名を尋ねられればもうすぐ四十郎だと答えねばならないくらいの年の頃。
とてつもない苦労があったことを忍ばせる、いくつかの白いものが混じった頭髪ではあるが、やろうと思えばまだ十分に若作りの効く風貌
をしている。

そして鳴美は彼の妹。
今、彼の目の前にいる鳴美は、中学の制服に身を包み、プラスそれを汚さないようにエプロンを着用している。
思春期の少女らしい清潔さと、僅かに芽生え始めた女の色香が絶妙に同居する14才の少女だ。



鳴美はものすごく可愛い少女だ。

可愛らしい、と一口に言っても、この年頃の少女を評するに漠然とした言葉ではある。それをあえて詳細するなら、おっとりとした風貌の
可愛らしさ、というべきか。
少し眠たげに閉じかかった瞼は、快活さこそ欠けるものの、見る者を和ませる穏やかさがある。
上品に整った鼻梁といい、小さく綻んだ口元といい、柔らかい雰囲気を醸し出す、年頃の女の子らしい魅力に溢れているのだ。

こうして彼を起そうと顔を近づけている彼女からは、ふわりといい香り。
長い黒髪をさらさらと肩から背中に流し、ふんわりほのかなシャンプーの香りだ。
白い花をあしらった愛用の髪留めで前髪を脇に留め、ちらりと可愛らしいおでこを覗かせている。

「・・・おはよう」

誠治が目覚めの、少し掠れた声で挨拶をすると、鳴美はふうわりと笑ってもう一度、おはようございます、にいさま、といった。
そして彼女は、ようやく目を覚ました彼に、小さく手をかざして見せる。

「・・・でも、朝ご飯の前にわたしのからだ、直して欲しいんだ」

おそらく朝食作りに最中に包丁で傷つけてしまったのだろうその左手、人差し指の第一関節から先をごっそり失っていた。

「・・・ったく、相変わらず不器用だなぁ」

彼はそう言って、ベッドの側にある作業机から、『彼女の原料』である『粘土』を一欠片つまんで、その欠けた指先を補ってやる。
そして彼が、魔導書『生命の起源』を片手に、読み慣れた一節を詠唱してやると、鳴美の指先にへばりついていた土塊は、
見る見る彼女の瑞々しい肌と相成った。
細い指先が元に戻り、ほっとしたように鳴美は指をワキワキと動かせてみた。少し前までその部分が粘土の欠片であったことなど、
誰も信じないぐらいの滑らかな動きだ。

「ありがとう、にいさま」

「まったく、気をつけろよな」

てへへ、と照れたように笑う鳴美。うん、もう失敗しないよ、とごにょごにょと呟いて、やはり最後はニコリと笑った。



318 名前:『いもうと大好き』 mailto:sage [2007/07/20(金) 00:12:33 ID:en6SFxhx]


彼の本当の妹、鳴美は、15年前に死んだ。
交通事故だった。

交差点で、居眠り運転の信号無視でつっこんできたトラックに『潰された』のだ。
轢かれた刎ねられたではなく、正面からぶつかってきたトラックごと壁に突入、押しつぶされて肉塊になった。
幸いといえば、おそらくは痛いと感じるまもなく死ぬことが出来たことくらいだろうか。



何を隠そう、彼は妹が好きだ。
可愛いらしい要望も、自分に懐いてくる愛らしさも、すべてひっくるめて愛していた。
そして、妹も彼のことが好きだった。
彼女の遺品である日記には、血の繋がった兄である誠治への、淡い恋心がしたためられていたのだ。



最愛の妹の死に、誠治は絶望した。

鳴美のことが大好きで大好きで仕方がなかった誠治だから、彼女が居なくなった世界に生きる意味を見いだすことも出来ずにいた。

彼にはもう、生きる気力もなく、かといって自ら命を絶つ為の気力もなかった。



しかし、彼女の死から一月後、彼は復活した。



絶望のあまり廃人同然になり、衰弱して入院していた彼だったが、ある日唐突に目を覚まし、衰弱をものともしない生気を取り戻した。
夢の中で天啓を得た彼は目を覚ましたあと、とある目的のために、必至で猛勉強を開始したのだ。

彼の目的とは、『鳴美を生き返らせる』こと。

その為に必要なことならば、何でも必至に習得した。



そうして15年。

苦労の甲斐あって、この目の前にいる鳴美が生まれた。
彼女は、粘土を元に魔術で生み出された、クレイゴーレムだ。
闇の世界のオークションで手に入れた魔導書にかかれた記述を元に、彼が生み出した『鳴美』なのだ。

残念ながら鳴美の本当の魂こそ宿らなかったものの、生前彼女が身につけていた髪留めから疑似霊魂を作り出し、代用とした。
小さい頃、幼稚園に入る前からつけていた髪留めだから、鳴美の残留思念がたっぷり詰まっていたようだ。
それを呪術的に取りだし、そこから記憶や人格を構成して、ほぼ完璧な『鳴美』の魂の代用となった。

それから彼は、こうして妹と毎日を過ごしているのだ。



319 名前:『いもうと大好き』 mailto:sage [2007/07/20(金) 00:14:15 ID:en6SFxhx]


彼は部屋の隅でクローゼットを開け、ごそごそと着替えを住ませていた。
そして簡単な普段着を纏い終わった頃、部屋の入り口から声がした。

「にいさま、お味噌汁にこんなものが入ってました・・・・・・ザザ」

そう言って、『鳴美』が部屋に入ってきた。
彼女は指でその異物をかざして見せる。
小さな、指先大の土塊(つちくれ)だ。

「あっ、それは・・・・・・」

彼女の持ってきたそれを見て、部屋にいて兄のベッドでシーツを整えていた『鳴美』が、申し訳なさそうにうつむいた。
どうやら、先ほどの欠けた指の先が、味噌汁に入り込んでしまっていたらしい。

「にいさまの食べるものに、変なものを混ぜないでください・・・・・・ザッ」

しょげかえる『鳴美』に、クールに注意をする『鳴美』。
この『もうひとりの鳴美』も、誠治が生み出した『鳴美』だ。

彼が学んだロボット工学を元に作り出したのが彼女。
市販のメイドロボをベースにしているが、間違いなくそれらとは一線を画している。
現在流通しているロボットは、まだまだ動きもぎこちなく、自律思考などには手も届かないレベルの代物だ。

だが彼の執念は、そんな技術の壁を突破した。(主にアングラな手段で)
各国の最新技術、軍事技術、それらをくすねて作り上げたボディに、クレイゴーレムを作り上げたときと同じような、『偽物の魂』を
宿らせる技術。
いわば彼女は、アイアンゴーレムといったところか。

『偽物の魂』には、生前の鳴美がつけていた日記の束を用いた。
この日記の内容がすべて『言霊(ことだま)』となり、アイアンゴーレムのAIとなった。

ただ少し残念なのは、AIとボディのマッチングに若干のロスがあり、言葉の終わりに少しのノイズが残ってしまうのだ。
ハードウェア的には絶対あり得ないノイズなのだが、そのあたりは科学と魔術の温度差から来るものだろう。

「そういうわけですので、にいさまのお味噌汁は、私が作り直しておきました・・・・・・ぷつ」

学生服にエプロンと、二人とも同じ服装であることはおろか、顔かたちそしてスリーサイズから指の細さまで、何から何まで同じ二人である。
もちろん、オリジナルである鳴美と、ほぼ同じはずだ。
鳴美が死んだときの年齢、14才の姿で時を止めたような姿をしている。
だが、全く同じ姿に作ったはずではあるが、製法の差からか、少しの誤差は出てくるのも仕方がないだろう。
ちなみにアイアンゴーレムである鳴美の方は、クレイゴーレムの鳴美よりもさらに瞼を下げ、ほとんど開かない。瞼を閉じた状態が彼女の
デフォルトの表情であった。
彼女がその瞼を開くのは、兄である誠治の前くらいのものであった。
そんな風だからやはり、どことなく無表情な感じがする。
微妙な差ではあるのだろうが、同じ鳴美であるはずながらもその作りの差を知る彼だから分かることなのかもしれない。

その鳴美は・・・・・・ややこしいので以下メカ鳴美と呼称する、その鳴美が持ってきた土塊をひょいともう一人の鳴美、
以下同様にややこしいのでクレイ鳴美と呼ぶ彼女に投げ渡した。

「今後、にいさまの食事は私が作りますので、あなたは別のことでにいさまに奉仕なさい・・・・・・ぴ」

その言葉に、しゅん、と落ち込むクレイ鳴美を見て少々不憫に思ったのか、それを誠治がフォローした。

「まぁまぁ、料理なんて、失敗しながら上達していくものさ。意地悪なことを言わないでやってくれよ」

「にいさまがそういうのなら・・・・・・ざざざ」





320 名前:『いもうと大好き』 mailto:sage [2007/07/20(金) 00:15:25 ID:en6SFxhx]


落ち込むクレイ鳴美を宥めながら、誠治は二人を伴ってダイニングにやってきた。

「あっ、おはようございますっ、にいさまっ」

元気に誠治を迎えた鳴美が、椅子から立ち上がり駆け寄ってくる。
彼の左右に控える鳴美を差し置いて、正面から抱きついて元気なハグ。

だいたい察しも付いただろうが、この鳴美も誠治が作り出した鳴美だ。

彼女は、木製の人形に鳴美の遺髪を移植したゴーレムで、髪の毛に宿る霊気の欠片を増幅したものを『偽物の魂』として使っている。

「にいさまにいさまっ、ワタシお腹空いたよっ、早く朝ご飯食べましょうよっ!」

先の鳴美達に比べて、元々の眠たそうな瞳が僅かに開いている。
しゃべり方が元気そうではあるものの、元々のオリジナル自体が眠たそうな表情だったので、結果としてやはり眠たそうな雰囲気は
拭い切れていないのだ。



そしてそこに、さらにもう一人の鳴美がやってきた。



「にいさま、学校に行く準備が出来ました」

学校の制服に鞄を携えて、中学登校の準備を終えた鳴美がダイニングにやってきた。

言わずもがな、であるが、この鳴美も誠治が作り出した鳴美である。
彼女は、東洋呪術の『式神(シキガミ)』を応用して作り出された鳴美で、生前の鳴美が書道の時間に書いた『にいさまだいすき』の
書紙をベースに作成された。

表情にしても、やや閉じ気味の半目でありながら鋭さを含んだ視線を生み出す、何とも不思議な目が、他の鳴美とやや異なるくらいで、
それ以外は全く同じ少女だ。



鳴美鳴美といい加減ややこしくて区別も付かぬ向きもあろうから、とりあえずこの二人はそれぞれ、
木人(もくじん)鳴美、式神(シキガミ)鳴美と呼ぶことにする。




321 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 00:21:04 ID:en6SFxhx]


このまま延々と人造妹を登場させるだけで話を終わらせようか、
もしくは、適当な人数で切り上げて話を進めようかを迷った末に、

書くのを断念しました!


今いろいろと立て込んでいるので、追々書いていきます。


続きはwebで!

322 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 01:34:09 ID:dhpDaX9k]
>>321
続きはいつですか!?

あとあり得る素材は肉、骨、氷、石、砂、不定形物か?

323 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 02:57:08 ID:1Rs7k0l+]
石鹸鳴美でヒトツ。
・いい匂いがする
・すべすべの肌
・抱き合ったりいっしょにお風呂に入ったりできない(溶けてしまうので)

324 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 07:12:00 ID:EN6FL0gz]
この発想は斬新
延々妹を登場させるにイッピョー

325 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 14:40:57 ID:F/W0kPqS]
個性ばらばらの妹たち(シスプリ)と、
クローニングで作り出された全く同じ2万人の妹(とある魔術の禁書目録)がフュージョンした感じだな

続きwktk

326 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 16:08:15 ID:eVRHDIyQ]
最新技術に超強いスーパーハカーな女の子幽霊
高級ダッチにとりつき、最新のホログラムディスプレイで外見を表示して人間社会に潜り込む
霊を視覚で認識できる霊能者にもホログラムと霊体が重なってより鮮明に見え、おまけにダッチとしての質量まである為、生きた人間と区別するのは非常に困難
唯一着ている服の色がホログラムと霊体で違う為、彼女本人が相手の霊能力を知る事はできる
霊感の強い童貞に近づき「童貞のまま殺したげる」と取り殺そうとするが、逆切れした主人公に「死んだ癖に生意気な口きくなよ!」と押し倒され、中だしされてしまう

327 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/20(金) 16:29:08 ID:eVRHDIyQ]
霊なので性感はないはずだが、必死な童貞の姿を見て何故か取り殺すのを止め、「面白いから」という理由で主人公に付き纏うようになるツンデレ
霊体は痩せてた時の姿で、交通事故で死亡時はピザデブだった
赤いシャツにスパッツ、黒い短髪と、スポーティーで露出の高い服装、かなりギャルな性格
得意技はハッキング、FBI本部の端末に侵入して、世界中にワーム撒き散らすニクソンの亡霊(ワームだけに触手)と闘ったりする




とそんな夢を見て夢精しそうになったんだよ!

328 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/21(土) 14:41:25 ID:i4CFoMkv]
>>327
よし、それをSSにするんだ!!
覚えてるうちに早く!!

329 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/22(日) 11:27:23 ID:GhABDIFb]
>>317
続きwktk



330 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/22(日) 21:26:24 ID:peQdChQf]
>>326
高級ダッチっつーとこんな感じ?↓
www.orient-doll.com/gallery/images/koyuki/l11.jpg

331 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/23(月) 12:01:32 ID:C4b/fa11]
>>330
そんな感じだけどホログラムで本物そっくりに見える
電動式オナホとヒーター完備
幽霊タンはマグロもイイトコなので全然感じないが、何故か主人公とは楽しそうにセクロス
後ろからズコバコされまくっても真顔で
「いい加減(生きた)女作れよなー」
とか言うけど、実際に女の子が主人公に近づくとすげー邪魔してくる

332 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/07/26(木) 09:44:50 ID:QTv/OU4a]
保守

333 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/07/28(土) 01:42:17 ID:08M/lKVT]
圧縮回避&age保守

334 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/07/28(土) 22:38:51 ID:H1o/blrY]
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!

335 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/01(水) 04:45:34 ID:/YWJb5cA]
投下待ち

336 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/01(水) 21:47:13 ID:WL4nBKuH]
蛇足の続きが読みたい

337 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/08/02(木) 04:42:27 ID:dMM9dVFC]
保守

338 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/04(土) 01:37:53 ID:FJY7tWJ+]
これから始まる鳴美との場所、時間を問わない
めくるめくイチャイチャパラダイスを夢想していたのにどうしてくれるんだ!
続きは脳内セルフサービスですかそうですか
むしろご褒美!

339 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/04(土) 03:26:48 ID:45tzLTG2]
大丈夫、あれから8人ばかり新しい鳴美を作った。
『僕の考えた完璧超人』のような強さだ。
暇を作って必ず書くから、まってておくれ。



340 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/05(日) 16:21:06 ID:GCQzT5n7]
>>339
サイダー吹いたwww
wktkしてまってます

341 名前:名無しさん@ピンキー [2007/08/09(木) 04:04:38 ID:aKWUWumI]
アゲィ

342 名前:名無しさん@ピンキー [2007/08/12(日) 18:16:43 ID:KWuyy9nG]
AGEAGEサンデーナイツ

343 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/18(土) 22:37:53 ID:pxWrOhsn]
VIPにこんなものが
ttp://www35.atwiki.jp/merry_san/

メリー「悪いんですけど今からそちらにお伺いしてもいいですか?」
   …交通事故に巻き込まれた悲運の少女、享年17歳。
    この世でやりのこしたことを果たすため、1驚きにつき14日間の滞在期間をもらえるメリーさんとして働いている。
     礼儀正しく控えめな性格のため驚かした実績は主人公のお情けの一回が唯一、生前は中山。



男「罰ゲームかなんかですか?」
 …親父の口癖と己の良心に従い、メリーさんの心残りが何かを調べる心優しき高校生。

344 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/19(日) 07:14:39 ID:HBY9Ut1L]
>>343
また懐かしいものを・・・エロシーンないよ?

345 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/21(火) 23:52:51 ID:CD9yLbme]
「もしもし、私メリーさん。今駅にいるの。
今日はミニスカートを履いてきたの。下には何も履いてないの。
周りの人にばれないかなってドキドキしてるの。」



…という毒電波を受信したのでノリと勢いで書いてみた

エロいメリーさんの話どこかにないかな〜

346 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/22(水) 16:33:56 ID:FCU3gIhQ]
幽霊っこをなでなでしたい

347 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/22(水) 19:43:03 ID:jVf/pcyE]















348 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 11:58:06 ID:rHdU7qmN]
あー、いいよね山村さん

349 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 20:23:02 ID:SVOktWnr]
オキヌちゃんと結婚したい



350 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/24(金) 09:01:46 ID:uhKhnGIC]
幽霊に恋する自分は変なんでしょうか

351 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/24(金) 09:14:45 ID:zxDOjaLu]
あなたも幽霊になれば触れるようになってあれもこれもし放題
元には戻れませんがね

後、触れないのがイイ!という方にもお勧めしかねます

352 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 07:17:38 ID:fs7xbXJX]
>>349
オキヌちゃんは俺の嫁

353 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 23:14:22 ID:/A3nLTwb]
>>351
そこで幽体離脱ですよ

354 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 02:16:27 ID:UlQ7opqS]
何を、とは申しませんが、お待ちしております。
わたっしまーつーry

355 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 02:41:53 ID:CpmLvFGB]
>>354
人食い大統領乙w

356 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/28(火) 13:58:12 ID:H5hDvZcA]
横棒一本足すだけで、
大食い大統領に早変わり。

357 名前:名無しさん@ピンキー [2007/08/29(水) 00:01:57 ID:PZukMFS3]
さらに点を一個付けると、犬食い大統領にwww

358 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/29(水) 00:10:38 ID:dm4YcvZi]
>>357
チョウセンヒトモドキは絶滅して欲しい。

359 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/29(水) 01:33:59 ID:GSe7MjoT]
>>358
そういう話題はエロパロ板以外でやってほしい。



360 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/30(木) 02:46:57 ID:GlHpXdyf]
>>355
それなんてアミン?

361 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/30(木) 14:45:35 ID:qQybYT00]
大統領と言われて鋼鉄の狼を思い出した。
ちょっと宇宙まで行ってくる。

362 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 00:35:02 ID:auVAbGCS]
>>361
ンフハハハハハハハハハ

363 名前:名無しさん@ピンキー mailto:age [2007/08/31(金) 03:44:11 ID:i27MBjb4]
【かわいいロリな】幽霊娘が欲しいです。
どこかいいスポットはありませんか?

364 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 10:35:46 ID:CCatmaoF]
つメリーさん

365 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 11:11:28 ID:jX71YetP]

「さて、全国の皆様こんばんわ。今週も始まりますよ、お待ちかねの番組『エロチック・ホラー・ショー』が〜!

 この番組は、全国から集まった幽霊ファンが、自分に取り憑いた可愛い女の子の幽霊を自慢しあうというものです。
 全国のオカルトファンに満足をお届けするケーブルテレビ、『怪物チャンネル』がお送りします。」




・・・みたいな番組を考えてみた。
進行は、「新婚さん、いらっしゃい」のような感じで、一般視聴者が招かれて幽霊自慢をする。
なれそめから、ふだんの生活、そして、ちょっとエッチな夜の話など。

そして一回の収録で二組が出場し、最後にはパネルめくりゲームをして豪華賞品をゲットして帰る、と言う。


コアな幽霊ユーザーの間では、この番組でゲットしたYES/NO枕で可愛い女の子の幽霊と添い寝するのがステータスだとか。



366 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 21:24:41 ID:ea4Us2Sz]
>>365
よし、書くんだ。

367 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/01(土) 04:25:31 ID:xGctEgS9]
>>365見たすぎる。
最高の設定じゃまいか

368 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 00:22:09 ID:fxKiQuK/]
保守しとく。

369 名前:扉は開く、幾たびも…… 1/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 13:57:08 ID:2nc8o1ij]

今になって思えは、俺はずっと『ソコ』に呼ばれていたのかも知れない。

 昨晩、紙一重デスマーチから十日ぶりに釈放されて、よろよろアパートに帰ってみたら
そこは、見事な焼け木杭展示場になっていた。

 その時、俺の頭の中に浮かんだ言葉は『又か』だけ。

 どうやら、警察の現場検証も遠の昔に終わってしまったらしく、立ち入り禁止テープ等の
跡形も無いし、多分以前は昇降口であったと思われる四角いコンクリの台座横にいかにも
急ごしらえで作りました感見え見えな掲示板もどきにも、最早なんにも張られて無い。

 で、このままここでぼーっと突っ立っていてもしょうがない事にやっと気が付いた俺は
取りあえず、行きつけの喫茶店に向かう事にした。

「……ちは……」
「……おや、まだ生きてたの?」
「……ん……」

 なんだかいろいろ説明するのも面倒くさかった俺は、マスターに向かって軽く頭を下げて
そのまま何時もの定席、カウンターの一番奥に向かって足を引き摺るように、移動した。
 何時言っても店内は程よく薄暗く、自分以外の客が同じ空間に居るのか居ないのか曖昧で
コーヒー以外の何か不思議な匂いが微かに漂い、時々足元を漆黒の柔らかいモノが横切る
この喫茶店を、俺は何処よりも気に入っていた。
 もっとも、流石にココに住み着こうとまでは、考えてはいなかったが……。

 なにも言わなくても、なんでもお見通し……みたいな顔をした年齢不詳のマスターが
冷たい水と熱く苦くどろりと濃いコーヒーを、カウンターにうつ伏せた俺の顔の横に並べる。




370 名前:扉は開く、幾たびも…… 2/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 13:58:13 ID:2nc8o1ij]

「なんだか、また『宿無し』になったんだって?」

微かな、労りを含んだような声。
 返事をするのも億劫な俺は、右手をひらひら振って肯定した。
 
「『上の階の莫迦が水出しっぱなし』『隣で練炭未遂』『半月放っといたモトカノが締め出し』
 ……後、何?」
「『向かいの893の愛人宅と間違われて、お袋が殺された』」

 世間知らずの深窓のご令嬢が、天涯孤独な究極貧乏家庭教師だった苦学生と駆け落ちして
勢いで結婚&身ごもったまでは良かったのだが、俺が生まれる直前に親父はあっさり交通事故死。
 以後、実家にも戻れず女手一つで身をギリギリまですり減らして、忘れ形見をそれなりに育て上げ
やっと大学卒業まで遅延無しで漕ぎ着けて、これからは俺ががんがん幸せにする予定だったのに……。
 
(神も仏もこの世の中なんかに、絶対いないって事は生まれる前から解っていたけどな)

 まだまだ火傷しそうに熱いコーヒーを一気に飲み干して、胃がキリキリ痛むのを確認し
それで、自分が生きている事と完全に狂えていない事を思い知り、心底絶望する。

「……良かったら、『宿』斡旋しようか?」
「……あ?」
「ココに居つかれても、困るし」

 笑いが滲む声に重なる、紙ナプキンへさらさらと軽いペンが澱みなく走る音。

「多分、アンタなら気に入られると思うよ」

 なんか変な事言われてるなぁ……と思ったけれど、濃いコーヒーで酷く酔っ払っていた俺は
それ以上深く考えるのを放棄して、何気なく地獄への片道切符を受け取った。


371 名前:扉は開く、幾たびも…… 3/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 13:59:26 ID:2nc8o1ij]

ブルーブラックのインキがまるで泣いてるみたいに滲んでる紙ナプキンに書かれてた、見知らぬ
住所と既視感の有る地図を頼りに辿り着いた所は、焼け木杭展示場から余り離れていなかった。

 壁際にぽつんと変に大きな本棚が目立っている以外は、何の変哲も無い何処にでも有る1DK。
一応、あまり広くないユニットバストイレも付いていて月3万、と言うのに一瞬『オヤ?』とか
思ったけれど、良い具合にあまり日が当たらない間取りが妙に気に入って即、契約。

 どうせ、これからも滅多に使う事は無いと解っていながらも多分、自分が死ぬ時は半々の確率で
コレの上でだろうな……とか思って、少し贅沢で大きめなベッドを購入。
半商売道具なゆえに、最上級一歩手前品質の机と椅子と共に納入されたそれらを、一人でなんとか
気に入る配置に収めた時には、もう日もとっぷりと暮れていた。

 食べなれすぎてるがゆえに、もう何の感情も感想も湧かない栄養補助食品で取りあえず小腹を
満たし、翌日郵便局や役所に出す転居届け等、その他諸々の雑事を心底めんどくせーと思いながら
一応シャワーだけ浴びて髪も乾かさずに、ベッドへ潜り込む。
 寝る前に、足元の壁際にあった本棚の裏から現れた、何処にも通じていないドアの存在理由を
考えてみようとしたが、それより早く泥のように深い眠りにがっつり引きずり込まれた。

 何処か遠くでぱたぱたと、軽い羽音が響く。
夢の中で流れる溜め息ような音と、それを断ち切る短く硬い音。
そして、足元の方から何かが俺の枕元にこっそり、忍び寄ってきた気配がして。
しばらくの逡巡の後、ふんふんと短く潜めているつもりらしい吐息がしきりと顔に当たってきた。

(……あー、やっぱりこーゆー曰く付きの物件でしたか……)

 首を絞められてじわじわ殺されるっーのより、刃物で一気に刺された方が大分楽なんだろうな
だけど、噛み殺されるてーのもかなり痛いんじゃないか? みたいな事をぼんやり考えながら
無理矢理、瞼をこじ開けると、目の前には白銀に煌く波間から覗く、深紫色の大粒な宝石が二つ。
小麦色の肌の知的な額の真ん中では、南の島の海の様に明るく輝く緑色の瞳が、大きく瞬いて???

(はは……、殺される寸前に見る幻視が『コレ』ならそんなに悪くはないのかも)

 薄桃色の唇がなにかを呟きながらゆるゆると、俺の口元に近づいてきて……。


  俺の魂の一番奥底にしっかりと、契約の印が刻まれた。


372 名前:扉は開く、幾たびも…… 4/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:00:52 ID:2nc8o1ij]

沢山の偉大なる『マギウス』の御歴々が、長き年月を傾けて解明した深遠なる英知の
片鱗に触れ、それを自分の糧にしつつ、新しき命題を探る試みは、何時でも本当に楽しい。
 古い本の香りを嗅ぎながら、冷たい床にぺったり座り込み、時間設定しておいた魔法光を
傍らにおいてやらないと、寝食忘れて半永久的に記録を読み耽る、頭でっかちな子供。
 そんな私は、未熟な『マビノギ』が全き『マギウス』になる為に絶対必要な『実践』と言う
修業を少し……いや、かなり疎かにしていた事にまったく気が付いていなかった。

 一番目立つテーブルの真ん中に注意深く据え付けられているソレが、本当に明るく瞬くのを
見るのは、私自身は始めてだったので、一瞬何が起こったのか、良く解らずに。
 だけど、私より大変思慮深い『マギウス・デウス』が間髪入れず『彼方への扉』前へ
私を導き、その動きで私の唇は自然と『彼我』の呪文を紡ぎ出す。
 
(では、マビノギ・マイア。真に、正しき道が貴方の前に示されます様に) 

 『マギウス・デウス』の言葉に背中を押されて足を踏み出すと一瞬、目が眩むような
魔力の爆発と流失と収縮が起こって、私は自動的に扉の向こう側に運ばれた。
 ちらちらと体のまわりに幾重にも漂い、頭の奥でもまだまだ明るく瞬いていた魔力の残滓を
ふるふる頭を2、3度軽く振って、全部綺麗に追い出す。


 かなり埃くさい上に酷く狭い部屋……と言うより、なんだか廊下の突き当りっぽい空間。
殺風景なくらいに何も無いそこには、見たことも無い台のようななにかと置物らしきなにか。
 更に、大きめの長椅子みたいにも見える机の上に、何かがぐったり横たわっている。
 それが、なにやら規則正しく全体をゆっくりと上下させていたので、なにかの装置の一部? とか
思って、近づいてよく観察すると……、えーと……ほら……あの……その……、コレ何だったっけ?


373 名前:扉は開く、幾たびも…… 5/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:02:02 ID:2nc8o1ij]

『まずは、目で良く見て。次に、注意深く少し匂いを嗅いで。触ってみるのは、一番最後』

『マギウス・イリス』が普段から口を酸っぱくして、私に言い聞かせてくれている
未確認物質を鑑定するための確認手順を頭の中で何回も繰り返しながら、なお検証続行。
 濡れた消し炭みたいな色で硬そうな真っ直ぐの、でもあまり手入れされて無いっぽい髪の毛と
ユニコーンの角の色にも似たクリーム色より、もう少し黄色がかってるような肌の色。
 長く伸びた前髪で半分隠されている上に硬く目を瞑って、なんだか悪い夢を見ているかのように
顔全体を時折ひくひく歪ませていたので、かなり剣呑な化け物に見えるような気もしたり……。
 何故か頬の上の方が酷く黒ずんでて、とんがった顎にうっすら生えているのは、……カビ?

『マギウス・プロトス』御自慢の蔵書室にずらりと並んでいる図鑑『異世界に住まう異物』の
中に記載されていた『悪魔』とか言う使い魔の一種に似ているような気がするけど、多分違う。
 だって、耳が全然とんがって無いし、しっぽらしきものも見当たらないし……。

 なんだか、このまま見ているだけでは全然埒があきそうにないので、次の段階に移る事にした。
 頑張って、目の前の未確認(多分)生物が感知出来ないであろうギリギリ近くまで顔を寄せて
出来るだけ静かに、短く息を数回吸ってみる。

(……んー、何の匂いに一番良く似ているのかな、これ?)

 なんだか、頬がぽやんと熱くなり、胸が勝手にドキドキしてきて、息が荒くなってきた。
 
(あれれ? コレって、ひょっとして酷く巧妙な『魔法』が発動する兆し?)

 滅多に来ない割には、決して外れた事のない予感は、その時も『本物』だった。
目の前の生物がゆっくりと瞳を開き、真っ直ぐに私を見た時、この世で一番凶悪な魔法が具現する。
 
 

  私は、無意識にこの異生物と自分を深く深く結びつける誓約の言葉を呟きながら、口付けた。


374 名前:扉は開く、幾たびも…… 6/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:03:09 ID:2nc8o1ij]

かぁっと、世界中が一瞬で燃え上がる。
 目と鼻ほどの距離で、きょとんとこちらを不思議そうに見つめながら小首を傾げてるコイツは
俺の、この世で一番可愛い『御主人様』で、なによりも愛しい『奴隷』だ。
 それが今、何を求めているのかは、自分の心に聞けば良い。

 その小さい体の華奢な頭をがっしり抱きこんで、前歯をぶっつける寸前の勢いでキスをする。
酷く驚いたように、三つの瞳が同時に一杯一杯見開かれ、頭を振りながら『んー、んーっ!!!』と
くぐもった悲鳴が短く喉の奥底で何度も何度も繰り返されているのが、本当に心地良い。

(あぁ、一刻も早く、コイツをばりんばりんに噛み砕いて、総て喰い尽してしまいたい)

 一度だけ短く、お慈悲のように口を離し、彼女が息を吸う隙を利用して、更に深く口内を犯す。
思う存分、ぽってりと美味しい唇をくちゅくちゅと甘噛みし、柔らかい頬の内側をかなり乱暴に
がんがん突付きまわした。
 そした、真珠のような小さい綺麗な歯の裏側まで、丁寧に舐めまわしてから、舌と舌を絡ませて
唾液をたっぷり流し込んでやる。
 やがて、細い首がこくこく動いて、俺と彼女の混ぜこぜになった唾液が残らず飲まれていく。
 その頃には最早、ぐったりと力が抜けた小さい体は、俺の無遠慮な動きが心赴くまま手荒く
いじくり倒しても、切なげにぽろぽろと涙を溢すだけで全然、抵抗してこなくなったいた。
  
(で、コレは一体、どーゆーファッションなんだ?)

 彼女の胸元を幾重にも丁重に覆っている不思議な手触りの布を剥ぎ取りながら、ぼんやり思う。
 メイドとか、ゴスロリとか、同僚の彼女が嵌っているらしいコスプレの待ち受けを何回か
自慢たらたらに見せられた事も有ったが、そのどれともなんだか違うような気がする。
 強いて言えば、『女神さまコスプレ』とかやらに一番近いかも知れないと思ったが、所詮
アレらがどんなに丁重に作られていても、全然体に馴染んでいない嘘っぽい『作り物臭さ』が
拭い切れないのに、この少女の纏った服装や装備品からは、それが微塵も感じられなくて。

 しかし、そんなどうでも良い考察も俺の手が彼女の胸を探り当てた瞬間に、綺麗に吹き飛んだ。


375 名前:扉は開く、幾たびも…… 7/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:04:24 ID:2nc8o1ij]

一瞬、そんなに大きくも無い胸に見えたような気もしたが、実は薄い胸板には不釣合いなほどに
でかく、細い腰や未発達な尻周りなんかと比較して考えると、十分に凶悪なサイズ。
 俺のそれなりにごつい手ですら、すべてを一度に掴むにはかなり無理があり、指がめり込むほど
強く握って揉んでも、ぷりぷりとした弾力性は少しも損なわれない。
 一方、やわやわと力なく撫で回しているだけでも、もっちりときめ細かく手のひらに吸い付く。
 始めて粘土を捏ね繰り回した子供も、俺ほど熱心に没頭した事は無いだろうと言うような勢いで
じっくりと堪能し続けた。
 俺の腕の中で、俺の手の動きに合わせて息を弾ませる『奴隷』を虐めるのは、気が狂うほど楽しい。
 そして、小麦色に薄く朱を刷いた二つの登頂がいかにも『早くしゃぶって下さい』と言いたげに
硬く立ち上がり、俺を誘ってる事にやっと気が付いて一瞬も迷わずに、まず右側に吸い付いた。

「ひぃっ……ゃぁぁぁぁん、いゃぁぁぁ……」

『御主人様』の切なげなお声は、俺の頭の中にがんがんエコーがかかった状態で、心地良く響き渡り
更に左の乳首を、軽く爪を立てるようにしてきゅっと捻上げると、ますますお声のオクターブが上がる。
 右も左もかわりばんこに舐めまわし転がしながら吸いたてると、体全体を一度大きくがくがくと
震わせてから、きゅっと喉を仰け反らせてぐったり動かなくなってしまった。
 しかしその姿すら、どろどろの欲望に濁った目には、誇らしき捧げ物に喜んでいるかのように見えて。

(あー、こんくらい大きかったら、ひょっとして……) 

 ズボンを脱ぐ暇も惜しく、ジッパーを降ろしてつかみ出したナニを、彼女の胸の谷間に挟む。
ひんやりとしてしっとりとまとわり付く夢のような感触に、俺のナニが一層大きさを増して
きりきりと反り返った。
 そのまま自分で、勝手にやっちゃっても良かったが、一緒に楽しまないと多分、天罰が下される。
ゆっくりと、絶対痛く無いように頬を優しく叩いて、穏やかな覚醒を促す。
 程なく、のろのろと開かれた目が力なく動き、自分の胸の間に有るものにやっと視線を合わせた。


376 名前:扉は開く、幾たびも…… 8/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:06:02 ID:2nc8o1ij]

「……ふぇ……、しっぽぉ?」
「はは、そうかもな」

軽く手を添えてやるだけで巨大なオッパイは、俺の分身を優しくすっぽり包み込む。
 なにをされているのか全然解っていないらしい、とろんとした瞳が俺の顔と自分の胸に置かれた
熱い塊を代わる代わる見つめてるのを意識しただけで、快感がぐんぐん加速されていく。

 先走り汁がたらたら溢れてきて、じゅぶじゅぶと言ういやらしい音と必死に抑えようと努力するも
どうしても漏れてしまう俺の喘ぎ声のハーモニーが辺り一面を支配して。
 すると、俺の『御主人様』は恐らく無意識のままに……だったであろうが間違いなく、その可憐な
唇でそっと、俺の頂上にキスの雨を降らして下さった。

「……くぅっ!!!」

 驚くほど大量な迸りが、俺の『奴隷』の髪や顔や胸やお腹の方まで、どろんどろんに犯していく。

「……あぁぁぁぁん……、熱っぅいぃぃ……」
 
 ぴちゃぴちゃという音を立てて、俺の『御主人様』は自分の顔にかかった迸りの残りをその小さな
ピンク色の舌で、総て綺麗に舐め取ろうと、必死に努力なさっていた。

 だけど、俺はそんな『奴隷』をにこにこ笑いながら押し倒し、今度は下半身へと手を伸ばす。
 必死で抵抗してきた『御主人様』に、壊れた笑みで「これ以上暴れたら、本気で殺しますよ」と告げ
大切に大切にラッピングされている至宝の総てを俺の目の前に晒す為、スカートを一気に捲り上げて
ひらひらと頼りなげな下穿きを一気に、毟り剥ぐ。
 すると、とろとろの粘液で丁寧にべたべたとデコレーションされて、ひくひくと細かく震えながら
俺からの口付けをいやらしく誘っている、太ももが現れて。



  途端に狭い室内中に、酷く濃密なメスの匂いがむせ返るくらいに溢れ返った。

377 名前:扉は開く、幾たびも…… 9/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:07:06 ID:2nc8o1ij]

『森羅万象、結局一番理解不能なのは、自分自身』

それが、神智学を一番深く究めた『マギウス・レートー』の口癖だった。
『だから、自分以外の総てを鏡として、己を深く覗き込む事が肝心』とも。
 だけど、その後とても寂しそうな目をして私の頭を撫でながら『……そのまま帰って
来れなかった人も、多いのだけれどね』と呟かれ、今以上に幼く未熟だった私は
訳も解らず只泣きじゃくり、彼女の衣の胸元を汚す事しか出来なかった……。

 その時より、幾分成長してるつもりの私は、なんとか声を押さえ込む事こそ出来るように
なっていたものの、いざとなるとやはり泣く以外に何も出来ないお莫迦さんのままで……。

 つい先ほども『ソコは汚いトコロだから、止めて』って、泣きながら何度もお願いしたのに
結局、私は、自分の花弁や秘芯だけでなく後ろの口すら彼がじっくりと優しく丁寧に弄り
ねっとりと舐め上げてくれるのを、只喘ぎながら甘受して、最後には私の方からそれを
要求出来る正直な体と心に、きちんと躾け直された。

 彼の大きな手や良く動く舌や密やかな息遣い、寂しげな物言いが、私の体や心のあちこちを丁重に
優しく掘り起こし、その持ち主さえもがよく知らなかった特別な反応を、自由自在に引きずり出す。
 彼によってもたらされる『痛み』が『快感』へと変わる素晴らしい瞬間や、一見はしたなく
思える『望み』ですら、素直に『お願い』として伝えれば甘美な『ご褒美』として与えられれば
最初からそうされるのとは比べ物にならない位、この体を熱く燃やす事も、私は全然知らなかった。


378 名前:扉は開く、幾たびも…… 10/10 mailto:sage [2007/09/06(木) 14:08:07 ID:2nc8o1ij]

そして今、彼が私の中心に向かって、飽く事無く何度も何度も灼熱の楔を手荒く打ち込み続ける
行為は、如何に私が淫らで、寂しがり屋なやきもち焼きで、しかももうすぐ完全に壊れてしまう
最低な玩具である事を、極めて簡単に納得させてくれて。

(……も……ぅ、戻れ……なくっても……良い……かな……ぁ……)

 一番高い所に連れて行かれる直前にぼんやり、そう思いながら。
彼からの熱く濃く力強い贈り物が、私の一番奥深くに届いて、二人の体が同時に焼き切れる。

 けれど、彼が私と一緒にそこに達したと思った瞬間、途切れ途切れに呟かれた言葉は

「ご…めん、かあさん……。ごめん……なさ……い」

 途端に、目の前が真っ暗になり、指先から力がどんどん抜けていき、胸がムカムカして。
 
(そうか、ココは魔素が非常に希薄な世界なんだ。……私、再構成出来なかったら、死……)

  

  ……もし、失敗してしまっても、絶対悲しまないで下さいね、愛しい貴方。


379 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/06(木) 22:54:26 ID:knfvVE6M]
……終わり?
なんか分かりにくい……。



380 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 07:03:54 ID:VEK8Y8Sa]
エロシーンGJ!
設定よくわからないんで
続きwktkししとく

381 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 1/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 15:53:58 ID:Mn2vj3gZ]

キーボードが摩擦熱で燃え上がるんじゃないか、とか思える速度で報告書を仕上げ
USBメモリを手早く引っこ抜く。
 混沌から腐界を経て、今やプチ魔窟と化している、自分の机の上と思われる領域から
最低限の私物を、無造作にバックパックに突っ込みながら、さっさと歩き出す。

「……お先」
「なんだぁ? 最近、えらく早仕舞いの日が続くな。女かぁ?」
「……猫? 拾いました」
「行灯の油舐めるとか、しっぽが二股に分かれてるとか、メイド服着てるとか?」
「……見ます? 待ち受け」
「いらね、お疲れ」

 今日も少し遠回りして、昨日とは違うコンビニに立ち寄り、まだ買った事の無いラベルの
猫缶を、片っ端から買い物籠に放り込む。
  
(水や牛乳なら少しは舐めるのに……。なんで、全然物喰わんのかね、アイツは?)

 自分用には、適当な栄養補助食品とサプリメントと缶ビール。
レジでぼんやり会計が終わるのを待っていた時、確かに誰かが耳元でぼそぼそ囁いてきた
言葉を無意識のうちに、鸚鵡返しで呟いていた。

「……それと、メンソール。一番きっついの」
 
 店を出てから、何で吸いもしない煙草を態々買ったのか? と一瞬不思議に思ったが
えらく大きな満月が、ビルの間から時々覗くのを横目で見ながら、歩き出すうちに
それもどうでも良くなった。


382 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 2/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 15:55:26 ID:Mn2vj3gZ]

出来るだけそっとドアを開けて、こっそり部屋を覗いて見ると、今日も拾われっ子は
俺が出かける時と同じく、ベッドの上で香箱を組んだ姿勢のまんま、うつらうつらと眠っていた。
 その姿は、『消耗している』と言うより、『存在そのものが薄まってきてる』って感じで。
 一応、水と餌を入れてやってる皿を確認してみると、やはりどちらも殆ど減ってない。
 いくら『良く寝るから、寝子』な生き物だとしても、なんかコイツは『変』なんじゃないかと。

(もっと早く、病院にでも連れてったほうが、良かったのか?)

 息を潜めて様子を伺いつつ、エネルギーを摂取するため、コンビニの袋から取り出した
ブロック状の物質を、缶ビールで無理矢理流し込む。
 そう言えば、拾ってから今日で何日目なのか、思い出そうとしても、はっきりしない事に
頭をひねりつつ、サプリメントを掴み出そうとして……。

  夢の中で流れる溜め息ような音と、それを断ち切る短く硬い音。

 何時の間にか照明が消えて、青白い月明かりのみに満たされた薄暗い部屋の本棚の影から
ゆらりと滲み出すように、喫茶店のマスターが現れた。

「……ばんは……」
「……え?」
「なんだか、知り合いの子が、迷惑かけちゃったみたいだね。すまない」

 水が低い方へと流れ行くのより滑らかな足取りで、俺の目の前に立ったマスターは
慣れた手つきでメンソールの封を切り、優雅に捻る動きで、唇の端にそれを軽く銜えた。
 それだけで、ぽっと蛍火が点り、ゆらゆら紫煙が立ち登る。

「……もう少し、上手く立ち回れる子なら良かったんだけど……」

 ベッドの上の小さな塊に、ふーっと息を吹きかけると、そこには何時かの夢の中に出てきた
少女がぐったり横たわっていた。 

「……え? え?」
『さて、古今東西、いかなる御伽噺でも、最後にお姫様を救い出すのは、王子様の役目。
……ならば、君自身の覚悟は?』

 誰も、何も、動かしてないのに、少女の体がゆっくり浮き上がり、最初から定められていたモノ
のようにすんなりと、俺の腕の中に収まった。
そして、目の前の巨大な影は、俺の魂の価値を冷酷に値踏みすべく、きつく細めた瞳の奥で
地獄の業火を激しく燃やす。

「……死んだ後、千回炎に焼かれても構わない」

 くくっ、と短く喉の奥底が鳴らされて……。

   
  俺の扉が、開かれた。


383 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 3/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 15:57:02 ID:Mn2vj3gZ]

体の芯まで凍えるような冷気と、脳味噌が溶け腐りそうな熱気がどっと一時に押し寄せて来て。

 喘ぐように呼吸する事しか許されない猛烈な湿気の中に、血と残飯と汚物にまみれ
黴と泥と埃がぐちゃぐちゃと塗り込められた、がりがりに痩せて虚ろな瞳の少女が
冗談みたいにごつく太い鉄の鎖で幾重にも締め上げられながら、無造作に転がされている。
  
 ソレは確かに今、俺の腕の中で幸せそうに眠っている少女と同じもので……。

 遥かに高い所にたった一つだけ有る、頑丈な鉄格子が填められた窓から辛うじて差込む
微かな灯火にやっと目が慣れた頃、数多くの鼠とゴキブリと百足がぞろぞろと這いずり回る
床にぼんやりと、何かが描かれているのが見えた。

「……魔方陣?」
『正解』

 影が、微かに笑いを含んだ声で肯定する。

 やがて、ごとごとと重たい音がして、少女一人さえまともに横たわる事すら出来ないほど
狭い空間にもう一人、長いフードを纏った長身痩躯の人物が進入してきた。
 間髪入れず、手にした長い杖を、床に倒れ付している少女の体に激しく何度も打ち下ろす。
その度に、壊れたゼンマイ仕掛けの玩具みたいに、少女の体がびくびく跳ね上がるけれど
悲鳴は全然聞こえない。

『予め、水銀を飲ませて、潰しておいたんだ。……本当、可愛い声なのにね』

 思わず抱きしめている腕にぎゅっと余計な力が入り、小さな体が微かに身じろぎした。

 元からぼろぼろの衣が更にずたずたに千切れ、元の色がわからなくなるくらいに血で染まり
もう、少女の体がぴくりとも動かなくなってから、やっとその行為は止められる。
  
 おもむろに、ぶつぶつと低い声がフードの陰から高く低く滔々と流れ出し、なにか巨大で暴力的な
力が、部屋の真ん中で虫の息になってる少女の体の内側に集約していくのが、手に取るように解った。

 その時、死んだと思い込んでいた少女の体が無意識のまま、かすかに痙攣し……。


384 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 4/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 15:58:32 ID:Mn2vj3gZ]

見っともないくらい、がちがちと歯を鳴らながらも、俺はその光景から絶対目を逸らさなかった。
  
 何処か遥か遠くから、ごうごうと炎が燃え盛るような音が響き渡る。

『……たかが人間の分際で、分不相応な望みを抱いていたのも、高貴な魂を持つ生贄を用意したのも
自分だけは絶対損なわれないように堅固な魔法陣を設えたのも、総てはアレ……』

 母親が殺された時以来、忘れていた涙が勝手にぼとぼと流れていく。

『……だけど間抜けな事に、肝心の魔方陣が間違ってて、本当に完成させてしまったのは、この子』

 腕の中の愛しい温もりがおずおずと、小さな手を伸ばして優しく俺の頬を撫でて来た。

『……一度召喚された以上、契約が果たされない限り開放して貰えないと言う、因果な仕組みを
規定しやがったのは、一体何処のどいつなんだか……』 
 
 これ以上彼女が何も見なくても、聞かなくても、嗅がなくても、感じなくても済むようにと
強く強く願う。

『何も望まず、何も願わず、何も欲しがらない、始末の悪い召喚主なんか、もう二度とゴメンだ』

 うっすらと頬を染め、本当に嬉しそうに俺の胸へ、顔を擦り寄せるのを何度も何度も繰り返す。

『さあ、マイア。
 壊れかけていたお前が一人、紡いでいた仮初の夢へはたった今、終わりを告げた。
 だからこそ、改めて問う。……望みは?』
「……この方と、同じ、世界と、時を、共に……」

  

  扉は閉じられ、世界がもう一度、燃え上がる。

385 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 5/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 16:00:03 ID:Mn2vj3gZ]

最後のメンソールがゆっくりと燃え尽きて、喫茶店のマスターは、先ほどから机の隅っこで
うつ伏せたまま眠り込んだ、舞を起こさないよう、注意深く静かに立ち上がってくれた。

「……じゃ、あの喫茶店の雇われマスター見習いを目指す件は、一応考えといて」
「あー、すいません。なにもお構いできなくて」
「いや、こんな夜遅くに勝手に押しかけてきたコッチが悪いんだし……。
じゃ、おやすみ舞ちゃん、良い夢を……」

 細くさらさらとした舞の濃茶色な髪の感触をしばし楽しむように、マスターが弄くるのを
なぜか、理不尽なまでの嫉妬心と微かな安堵感をない交ぜにした、複雑な心境で見つめて。

 玄関先で貧相な背中を疲れたように丸め、かなりぼろぼろな革靴をもたもた履いていた
マスターが、玄関を開ける直前に急に思いついたように、俺の目の前で、握り拳を開く。

「コレ、さっき足元に落ちていたんだけど、舞ちゃんの……かな?」

 深紫色の大きなガラス玉が二つと、南の島の海の様に明るく輝く緑色のガラス玉が一つ
白銀に煌く鎖の先で、ゆらゆらと揺れていた。

「……いや、見た事無いです。少なくとも、俺からの贈り物では……」
「じゃ、君や、舞ちゃん以外に……?」
「そんなヤツ、いません!!!」
「しーっ」
「……すいません……」

 くくっ、と短く喉の奥底が鳴らされて、ぽんぽんと頭を撫ぜられた。

「……おやすみ、君にも良い夢を……。
あぁ、それとメンソールのお礼に、もう一つ。
……アレは、私が具現化した瞬間、魂までも完全に破滅した」
「え?」
「忘れなさい」
「……は……い……」


386 名前:扉は閉じる、ただ一度…… 6/6 mailto:sage [2007/09/07(金) 16:01:23 ID:Mn2vj3gZ]

父親が総てを売り払った娘と、母親から総てを引き継いだ男。

 これから二人が、寄り添いながら歩いていく道程の行く末に思いを馳せつつも
漆黒の夜空を睥睨する、無慈悲なまでに美しき女王の麗しいお顔を拝見しながら、しみじみ思う。

  
  本当に『自由』とか言うヤツは、なんと素晴らしく寂しいものなのかと!!!



387 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 16:03:17 ID:Mn2vj3gZ]
解りにくくて、本当にすいませんorz

以上、自分の心の赴くままに書いた
反省はしているが、後悔はしていない

388 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 17:41:38 ID:ZgnJcx84]
反省を次に活かす気があるなら とりあえず
「設定を知らない人に読みながら設定を理解させていくには
 どうすればいいか」ということに注目してみるといいと思う

389 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 23:22:24 ID:VEK8Y8Sa]
俺はそこまで気にしてない
本の真ん中まで設定が明かされない小説もあるし。
そういうのは最後に辻褄があって
読み返した時すっきりして面白いけど
なんか書くのは難しそう。

とりあえず続きにはひたすらwktkしとく



390 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 06:05:57 ID:N9ZhOns0]
>>389
同感。こういう種の作品は読み返してこそ味が出る。
万人に受け入れられる技法じゃないのが難点だけど。

記憶や歴史を改竄したと思われる(俺はそう感じた)
『マスター』についての描写が少ないのが若干不満かな
個人的には続編等でマスターの秘密に徐々に迫ってほしい

391 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 15:36:22 ID:HpPDXQFv]
なんとなくリリスを連想。

392 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 16:02:06 ID:TH1OkVSA]
>>391
 マスター=レーヴン?

393 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 18:42:04 ID:+9HSqHlq]
唐突にスマンがここのスレタイにある「オカルト娘」というのは
悪魔召還が趣味とかいうオカルトマニアな人間の娘
も含むのか?

それとも非人間でないとダメ?

>>1 には魔女っ子ともあるんだが

394 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 18:45:49 ID:ipMObTnB]
それもあれだけど

男性型のオカルト的存在×人間女

というパターンのスレもないんだよな

395 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 19:38:52 ID:CXqERabw]
>>394
吸血鬼×純潔の乙女(ただし腐ってる)みたいな?

396 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 20:08:31 ID:jiAshghr]
 〇∧〃 
 / >  でもそんなの関係ねぇ!
 < \  そんなの関係ねぇ!


397 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/08(土) 23:00:17 ID:yiSpmzax]
よしおw

398 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/12(水) 10:32:59 ID:Prp6zgDu]
幽霊っこをだっこして眠りたい

399 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:50:23 ID:iAD3qVEx]
投下します。

前半ギャグ、後半にエロです。
エロはちと薄めかも。

幽霊少女と、普通の男(どっちもバカ)のお話です。



400 名前:唐突に(ry mailto:sage [2007/09/12(水) 22:50:36 ID:iAD3qVEx]
 ある所に、一人の男と、一人の少女がいました。

 二人はごく普通に出会い、ごく普通に恋愛し、ごく普通に結婚……
しようとした時に気づきました。
 なんと、奥様になりたいと思っていた少女は幽霊だったのです!
 それを見抜いたのは、霊感のある市役所窓口の佐藤弘美さん(29歳独身)でした。
 二人はその事を告げられ、途方に暮れて二人が暮らしているアパートへと持ってきました。

「……どうしよう、あっくん」
「沙弓……」
「……私、自分が幽霊だなんて、全然気づいてなくて……」
「俺がお前と喋っている時、周りの人が変な目で見てたのは、
 俺たちに嫉妬してたんじゃなかったんだな……」
「なんで私あっくんに触れないのかなぁ、って思ってたけど……幽霊だったからなんだね」
「俺は、沙弓がそういうの恥ずかしいのかと思ってんだけど……触れてなかったんだな!」

 二人ともバカですね。
 いや、違う。バカ二人じゃラブロマンスにならない。バカロマンスにはなるかもしれないが。
 っていうかバカロマンスってなんだ。
 恋故に、だ。きっと。多分。恐らく。
 恋は人を盲目にする。よし、これだ! これに決めた!

 というわけで、恋に眩んでいた二人の目は、その時ようやく現実を見据えたのでした。

「……幽霊の私じゃ、あっくんと結婚できないよぉ」
「沙弓、気にするなよ! 役所が認めなくたって、俺たちは夫婦さ! 事実婚って奴!?」
「そっか! 内縁の妻って奴なら大丈夫だね!」

 ……ごめん、やっぱこの二人バカだわ。

「けど……それでも、あっくん……私達は、夫婦にはなれないわ」
「なんでだよ、沙弓!? 俺はお前にフォーリンラブ! お前だってそれは同じだろ!?」
「だって……だって……」
「さ、沙弓っ……泣くなよっ!」

 ポロポロと、地面を濡らさない涙を流す少女を、男は抱きしめようとしてすり抜けました。

「んごっ!?」

 勢い余って柱に頭をぶつけて悶絶しています。
 一日一回必ず見られる光景です。やっぱバカですね。もう確定事項。
 ややあって、男は頭をさすりながら、未だに瞳から涙をこぼし続ける少女に向き直りました。

「やっぱり、触れないんじゃ……触れないんじゃ……」
「なんだよ! 何が駄目なんだよ! 俺たち、こんなに愛し合って」
「愛し合えないじゃない!」

 少女の絶叫に、男はハッとしました。

「……そ、そうか……俺とお前は………………」
「……そうよ……私と貴方は………………」
『エ ッ チ が で き な い ! ! ! ! 』






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