- 174 名前:吾輩は名無しである mailto:sage [2017/04/14(金) 18:47:27.20 .net]
- >>163
あれはカンディードと同じジャンルですからね 秘境小説というか、冒険物ってのは主人公の成長は邪道です ビルドゥングスロマンとはなはだ相性が悪い あくまで主眼は異郷を描くことであって登場人物は何にも成長しない 文体がまったく違うんです 冒険物の主人公はみーんな無味乾燥な動じることのない奇人であるのがデフォルトです 80日間世界一周の主人公はまさにその典型 そこに一添えの人間味を付け足すために脇役が恋愛したり驚いたり感情豊かに道化をやる それが逆転したものが主人公が探検とともに人格的成長してしまうもの そしてその根源はそれこそ天路歴程のような、「主人公が成長するためにさまざまな寓話的場面を通り過ぎる」タイプの物語 これはキリスト教の説教から生まれたものなんですね。中世のキリスト教の説教にはいろんな作法があった 更にさかのぼるとダンテの地獄めぐりに行き着く コンパクトに圧縮された異郷を次々にめぐる、もちろんルキアノスや、ホメロスのオデュッセイアからも流れ込む バニヤンやカンディードは説教する牧師神父の伝統を抜きにして考えられませんな 聖書に存在する別の文脈の同じ単語を結合させて説教に変える技術を大学で教えていた、その伝統
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