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【兄妹だけど】生殺し妹文学館【愛し合う】第十六巻



1 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ [2006/08/10(木) 17:42:30 ID:IBagpJeb● BE:69608423-BRZ(1000)]
このスレは妹萌え萌えな虹板文士さんと虹板読者さんが集うスレです。
虹板絵師さんも常時 щ(゚Д゚щ) カモーン!! で、降臨して頂けますと即時ネ申決定です。
「兄攻妹受」、「兄受妹攻」、どちらでも萌えればヽ(*´ 3`*)人(*´ε`*)ノ ベリギュー!。
さらに愛のある妹系SSなら何でもアリ!幼なじみ、従兄妹、御近所のお兄ちゃん欲しいっ子、
幼少時別離数十年ぶり再会娘、果てはドジ性格プログラムド妹メイドロボットまで何でもどんと恋!

基礎ルール
1:煽り&荒しは放置もしくはネタ化の方向でシクヨロ。
2:基本はsage進行で。メール欄にsage・孕age・不age等の記載をお願いシクヨロ。
3:SSの途中放棄は厳禁。最後まで責任をもって(;´Д`)ハァハァシクヨロ。
4:>>980辺りで次スレ設立お願いしたい

801 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:00:34 ID:OAyBcVjV]
「その子、日高の彼女?」
「ちゃうちゃうっ 全然そんなんとちゃう!」

 臆面も無くそんな事を聞く千鶴ちゃんにぶんぶん首を振って否定する日高さん。

「ほっほう〜 これはまたいい所でネタが拾えたかな〜?」
「オイオイ、勘弁しろよ〜…」

 眼鏡の女の子はニヤリと笑って値踏みするような目を日高さんに向け、日高さんはその視線に恐々としてる 
 そんな二人のやり取りを千鶴ちゃんと私はキョトンとして見ていた。

「とにかくっ この二人とは単なる知り合い! あんま絡むと迷惑になるから、あっち行くぞ ほらっ」

 そう言って二人掛けのテーブル席へと引っ張っていった。

「結構親しそうやね、普通の友達ってとこかな」

802 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:03:07 ID:OAyBcVjV]
 千鶴ちゃんが二人の関係をそう分析した。 千鶴ちゃんのこの手の勘はよく当る。

「…」

 単なる知り合い、確かにその通りなんだけど… 
 なんだろう? 微妙に不満というか、がっかりしたような気持ちになる。

 千鶴ちゃんの付き合いでデートして、可愛いとか言われたりして、成り行きで一緒に食事して…
 別にそれだけだと思ってたけど、もしかしたら多少は何か期待してる気持ちがあったのかもしれない。

「ん? みっちゃん、どしたん?」
「ううん、別に」

 私は笑って誤魔化した。  

 その後、夕飯の材料を買いに千鶴ちゃんと別れて商店街へ、健にぃの好きなカレーの材料を買って帰宅した。

803 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:05:27 ID:OAyBcVjV]
 お風呂から上がって部屋で髪を乾かしている。  今日も健にぃと話が出来なかった。 
 夕食中、何度か話し掛けようとする素振りは見せたものの、結局会話に至らず。

「あたしの方から何か言った方がいいのかなぁ…」

 以前なら今頃の時間は二人でぎゃーぎゃー言い合いながら対戦ゲームをやっていたのに
 アレから一度も遊んでない。 当然だ、今の私達は会話すら出来ないでいるのだから。  
 …健にぃは遊んでるのかなぁ なんて止め処も無い事を考えていると、ふいに机の上で携帯が鳴った。

「知らない番号だ… 誰だろう? <<ピッ>>…もしもし」
「あ、綾瀬さん? 僕、日高やけど」
「え!? 日高さん?」

 びっくりした、どうして日高さんが私の携帯に電話を…?
 
「今日は本当ゴメン! 一緒に居た連れの子はクラスメイトなんやけどさ…」 

804 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:13:05 ID:OAyBcVjV]
 日高さんの話によると、一緒に居た眼鏡の女の子は日高さんのクラスメイトで(智子さんというらしい)
 学級委員長をやっている彼女は学園の情報通で、遅刻やサボリを代価に応じて先生に誤魔化してくれたりもする。
 今日二人で店に来たのはその代価を支払う為だったらしい。

「僕が合コンとか出まくって軟派君やってる事とか、誰と付き合って何回振られたとかいう情報も抑えられてて…」

 有益な情報を得られる変わりに、ネタを握られると非常〜に厄介な相手なのだそうだ。

「だからさ、咄嗟に誤魔化して素っ気無い態度とった事謝るよ、その代わりちゃんと埋め合わせするからさ」
「え、いいよ別にそんな…気にしなくても」

 態々そんな事の為に電話して来てくれたんだ… きっと携帯の番号は千鶴ちゃんにでも聞いたのかも。

「今度近場の商店街でかなりレベルの高い合コンやる事になってるからさ、その枠どうにかして空けとくから」
「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」
「これから主催者捕まえて交渉するんで、詳細は明日にでも小野原に聞いといて、それじゃっ」

805 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:16:28 ID:OAyBcVjV]
「ちょ、ちょっと日高さん?」

 ツーツーだって…。  

「合コンて、私が…?  なんか、ありえへん」

 どうしよう? なんだか強引に約束されちゃった
 交渉して枠空けるとか言ってたし、行かないと日高さんに悪いかなぁ…。

「はぁ…」

 健にぃと気まずい状態が続いてるのに…、合コンなんか出てていいのかなぁ

「…健にぃも誘ってみるとか   って、アホかあたしは」

 速攻で却下。  うーん…ほんとに、どうしよう?

806 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:19:04 ID:OAyBcVjV]
綾瀬 美樹に合コン参加の約束を取り付けた日高 伸男は、すぐさま携帯を操作して馴染みの番号を呼び出した。

「はいはーい、どないやった?」
「なんとなく手応えはあったように思う アドバイスさんきゅな」
「うむうむ、みっちゃんは引込み思案な所があるから ちょっと強引なくらいがええと思うンよ」

小野原 千鶴のアドバイスに従って美樹に電話を掛けた日高は、彼なりの勘に手応えを感じていた。

「ああ、なんか染まってなくていい子だよな〜綾瀬さん… 彼女となら本気で付き合えるかも」
「言っとくけどみっちゃん傷つけるようなマネしたら許さへんで?」
「分かってるって」

両者の友人として、互いを良く知る千鶴は改めてそう念を押しておく。
一応、彼女なりに日高の事は信頼しているので美樹の件はそれで納得し、もう一つの本題に入った。

「それで、和哉君の方は大丈夫なんやろね?」

807 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:21:16 ID:OAyBcVjV]
今度の合コンにはスペシャルゲストとして『端学のプリンス』を呼ぶ計画があり、千鶴もその彼を狙っているのだ。

「和哉なー… なんとか頼み込んで顔だけでも出してくれる事になったけど…」
「おーっけーーい♪ 良くやった日高!」
「でもなぁ、あいつ もの凄えーシスコンだぞ? 絶対誰の相手もしないと思うけどなぁ」
「ほうほう だったら尚の事、妹離れさせてあげないとねー♪  このあ・た・し・がっ」

大企業の社長の息子、容姿・性格共にランクS、学園内にファンクラブがある程だ、でもって彼女は居ないときた。
色々と悪い噂も聞かれるが、大半はモテない君達の僻みだろう。 正否不明の噂など一々気にするつもりは無い。

「ふっふっふ〜 『端学のプリンス・如月 和哉』君…、ぜーったいモノにしちゃるわ〜〜」
「まあ、頑張ってくれ…」

久々の大物狙いで燃える千鶴に、日高は溜息混じりの声援を送っておくのだった。

808 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/30(火) 08:24:09 ID:OAyBcVjV]
今回ここまで

ちょっと練り直しするので次回はだいぶ先になるかも

809 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/01/30(火) 22:28:24 ID:vszboI+G]
>>808
どうもおつかれさまです。
あえて難点を言えば設定とか前振りに凝り過ぎな感が…ね。
トリアーエズ続き待ってます。



810 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/01/31(水) 04:53:23 ID:fPpSZANs]
>>808
お疲れ様です
続き、楽しみにしてます

811 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/31(水) 06:25:30 ID:CbzRgawF]
>>809
あっさり風味な方がいいですかね〜

>>810
どもっす
練り直しが終わったので書き上ったら随時上げていきます

812 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:24:25 ID:jMw7K36h]
 弾の灯氏・新作乙です。

 そして年跨ぎ作品に時間を掛けすぎた俺が来ました…orz

 続きを投下します。

813 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:26:42 ID:jMw7K36h]
 「ところで、レイチェルさんは…」
 「未だ伴角家にいる筈です。ココへは年が明けてから来る予定に
なっています。」
 「なるほど。お友達の家で年越しですか。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「さぁ今度はレイちゃんの番だよ。」
 「あの…何でこんなにせかす…痛てて…放せくそ…」
 「グズグズしてると年が明けちゃうよ。」
 「そうですわね。虹乃さんの言うとおりですわ。」
 「次はレイちゃんの姫収めだよ♪」
 「お兄様、姫収めですわ♪」
 「ちょっとぉおぉおぉ!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

814 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:28:45 ID:jMw7K36h]
 「お…おい…き…今日は…安全日なのか…」
 「そんなの知らな〜い♪」

 良く見れば陶酔したかの表情でフランは挿入を続けていた。

 「ボ…ボクだって…ずっと…我慢…してるのに…」
 「わ…分かった…お・・・俺が悪かった…あ…あぁ!!!」

 ついに根元まで飲み込まれた。ついつい俺は後ずさりするが
両肩を握られ逃げられない。

 まずい…この勢いで続けたら絶対に膣(なか)出しに成りかねん。

 「お兄ちゃん…続けないの?」

 俺の迷いを見透かすかのように嬉しそうに耳元でフランが囁く。

815 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:35:23 ID:jMw7K36h]
 「く…くそぉ!もう…どうにでもなれぇ!!!」
 「んあぁ!!!」

 もう我慢の限界。俺はフランを押し倒そうとしたが…

 「い…いいの・・・ねぇ?お兄ちゃん…い…いいの?」
 「あ…あれ?ちょ…ちょっと…」
 「あはは…気持ちいいんだ♪」

 逆にフランが押し返す。その雰囲気に呑まれ押し倒されたのは
俺の方だ。

 「キスしちゃえ♪」
 「何…んぐ…」

816 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/01/31(水) 09:36:21 ID:fy8Xs7t7]
リアル遭遇支援
|・)

817 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:38:09 ID:jMw7K36h]
 ガッチリと顔を両手で握られ半ば強制的に唇が重ねられる。
大胆にフランの舌が蠢き俺に絡み呼吸がままならない。

 「ん…くはっ…んぉ…おぉ…」
 「お兄ちゃん…何で遠慮するの?」
 「い…いや違…うぐ…ん…」

 いかん…完全に向こうにリードされている。

 「あ…慌て…わ…あ…」
 「えへへ…ねぇ…こんな感じ?」
 「うぉおぉ!!」

 亀頭を弄ぶように膣壁が絶妙な感覚で俺を締め付ける。半ば逃げ腰
な俺の動きを止めるのには必要充分だ。

818 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:41:07 ID:jMw7K36h]
 「お兄ちゃん…ねぇ…こ…こう…かな…ん…ん…」
 「こ…これはこれで…イイけど…って違ぁあぁう!!!」
 「じゃあ…もっと…」
 「あぁあぁあぁ!!!」

 戸惑う俺を尻目に加速するフラン。時折大きく仰け反り大きく喘ぎ、
同時に眺めの金髪が俺の顔を掠める。

 「あぁ…こ…この…」

 ここで俺はフランをもう一度抱き上げようと再び両腕を伸ばす。

 「あ・・・あは…お兄ちゃん♪」

 嬉しそうな表情でその手を取りフランが繋がったまま俺を起こそう
とするが…

819 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:43:12 ID:jMw7K36h]
 「うぅ…んしょ…きゃあ!!!」
 「が・・・あ・・・あ…」

 フランの悲鳴と同時に膣口がぎゅうぎゅうと締め付けられる。原因
は即座に理解出来た。俺が背中に回した指が髪に引っ掛ったせいだ。

 「あぁ!や…あ…あぁあぁ!!」
 「ぐおぉおぉ!!!」

 締め付けが治まらない。今の動きで偶然にも俺がフランの感じる
場所を突いているらしい。悶える度に腰が振り回すようにガクガク
と大きく揺さぶられる。

 「そ…そんな…あ…は…あ…あぁ!!!」
 「い…いやぁあぁあぁ!!!」



820 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/01/31(水) 09:45:19 ID:fy8Xs7t7]
支援2

821 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:45:22 ID:jMw7K36h]
 お互いに痛いぐらいに抱きしめあいながら俺達は頂点に達する。

 「んぁ・・・あ…あ・・・」
 「は…あぁ…あん…あん…」

 長い禁欲生活のせいも有り直ぐに射精が収まらない。果敢にも
フランはそれが終わるまで堪えてくれた。だがやがてそれが終わる
頃には脱力してズルズルと俺に打ち掛かる。

 「あ…お…お、おい…」
 「お…お兄…ひゃん…い…今の・・・す…凄い…」

 朦朧とした表情でフランがかろうじて話し暫く動かない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

822 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:48:22 ID:jMw7K36h]
 勢いに流されたとはいえど、結果として膣内射精に至った事で
俺は少し後悔の念に駆られていた。

 「あうぅ…何で…こんな…何で…」

 俺の心配をよそに我に帰ったフランは全身を丸め顔どころか耳
まで紅潮させていた。太股を滴る俺の精液の事もすっかり忘れて
顔を隠しながら身悶えしている。

 「うぅ…恥ずかしい…。」
 「まぁまぁ…落ち着けって。」
 「いやぁ!」
 「とりあえず…もう一回抱っこさせろ。」
 「あぁん!」

823 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/01/31(水) 09:49:18 ID:CbzRgawF]
支援

824 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:50:40 ID:jMw7K36h]
 抱き上げたフランの背中をポンポンと叩き赤子をあやすような
要領で暫く落ち着くのを待つ事にした。

 「いや…攻めるばっかりで嫌われてるんじゃないかって心配してた
けど…あれだけお前が夢中に…」
 「いやぁ!もう言わないで!!」
 「だから落ち着けって。あぁ…可愛いぞチクチョー!!!」


 「え?可愛い??」
 「あぁ…さっきのあの姿、とっても可愛かったぞ♪」
 「あ…う・・・あぅ…う…うぅ…」
 「お?おい…ちょっと…フラン…」

 俺から咄嗟に離れ再び蹲り呻きだすフラン。

825 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:53:12 ID:jMw7K36h]
 よく考えれば兄妹同然のフランには直接“可愛い”なんて褒め言葉
を使った覚えが無い。どうやら今はそれに過剰に反応しているらしい。
顔が先程以上に赤くなっている。

 「やれやれ…悶えるわ赤くなるわ…まるで烏賊焼き…」
 「う…うるさぁあぁい!!!」
 「あ、そうだ。初詣の帰りにでも食うか?」
 「えぇ?奢ってくれるの??」

 フランの表情が一変・嬉しそうに俺に近づく。相変わらずこいつは
食い物には弱い。

 「その前に…新年おめでとう、フラン。」
 「え?あ…お…おめでとう、お兄ちゃん。」

 既に時刻は0時を過ぎ年が明けていた。

826 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 09:56:04 ID:jMw7K36h]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「お兄ちゃん、レイちゃん、はっぴ〜にゅ〜いや〜♪」
 「おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」
 「お…おめでと…うぅ…もう…出ないぞ…くっそぉ〜・・・」

 「はんぐ いん ぜぁ〜♪」

 「ぎゃあぁ!止め…あ…あぁ…」
 「お兄ちゃん、今度は姫始めだよ。」
 「お兄様、姫始めですわ。」

 「頼む…せめてインターバル…わぁあぁあぁ!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

827 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 10:01:41 ID:jMw7K36h]
 よく考えれば双方の両親公認なのだから妊娠したからといって躊躇
する理由は少なくとも俺にとっては全く無い。

 そして今、食べ物の話に釣られ警戒心をあっさり解き屈託の無い
笑顔で俺を見つめるフラン。

 俺が取る行動は唯一つのみ。

 「ん?お兄ちゃん…早く初詣に…え…ちょっと…」
 「さてと…一度出せば…二度も三度も同じだな♪」
 「あ…ま…まさか…」
 「初詣の前に…姫始めといきますか♪」
 「わぁあぁ!さっ…さっきの約束は…きゃあ!!!」
 「おっと…危ない。お前“達”の身にもしもの…」
 「勝手に妊娠したって決め付けるなぁ!」

828 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 10:05:47 ID:jMw7K36h]
 逃げる直前にすかさず足首を握りそれを阻止する。もちろん転倒
寸前に受け止めるフォローは忘れない。

 「あと勘違いしてるようだから言っておくが…ぬぉ…とと…こら
そんなに暴れるな!」
 「も…もう読めた…あ…お兄ちゃんの事だから…」
 「日付も年も変わったから、さっきの約束は無事終了。と、言う
事で…もう一回♪」
 「ひ…卑怯者!!!」
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「いやぁ〜ん、先生、行かないで〜♪」
 「あ…あの…」
 「うぅ〜今からでも…先生の子供になりた〜い♪」
 「はは…困りましたね…これじゃ…」

829 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 10:07:54 ID:jMw7K36h]
 酔い覚ましを取りに自宅へ戻ろうと立ち上がったロジャーを悪酔い
した二人が離そうとしない。

 「あぁ…母さん。すまないが…」
 「はいはい、出番ですね。」
 「申し訳ありません。せめてものお詫びにこちらで車を出します。」
 「気にしなくてもいいのよ。うちは一人っ子だからたまにはこんな
のも悪くないわ。」
 「それでは暫くお待ち下さい。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「何だか賑やかな声が…えぇと…確かこの家ですよね?」
 「まさか…あの子達…また…」



830 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/01/31(水) 10:09:03 ID:fy8Xs7t7]
支援3 ゲホゲホ

831 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 10:09:57 ID:jMw7K36h]


 「笑顔咲ク〜君〜と〜つ〜ながって〜たい〜♪」

 「そのつながるは違う、絶対違…いぃ〜〜やぁ〜〜!!!」



 そして新年初のお説教タイムが始まろうとしているのを俺達は
知る由も無かった。



−−−THE END(?)−−−



832 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:滋養強壮age [2007/01/31(水) 10:14:45 ID:jMw7K36h]
 終了。あのドサクサ紛れにあの三人を書いたせいでセルフパロディ
っぽくなったような気も…。

 ちなみにフランシーヌはもう2つネタが有るので機会が有ればまた書く
かもしれません。

 そして>816(=>820=>830)氏、弾の灯氏、支援感謝します。

 感想・リクエストお待ちしています。

833 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:27:35 ID:2ANBaeF1]
 部屋に戻って来るなり、ガックリとベットにもたれ掛かる。

「今日も謝れなかった…」

 夕食中、何度か話しかけようと試みたものの結局言い出せず、そのまま食事が終わってしまった。
 中々切っ掛けを掴めない事に悶々としていたが

「何時までもこんなんじゃ駄目だ…」

 やおら立ち上がり、決意を込めた足取りで部屋を出た。 
 しかし、美樹の部屋の前まで来てその足取りは鈍る。 

 時刻は夜の9時を回っており、事が事だっただけに、こんな時間に女の子の部屋に来るのは拙いのではないか?
 扉の前でそんな風に思い悩んでいると、部屋の中から携帯の呼び出し音が聞えた。 反射的に耳を澄ます。
 
 「え!? 日高さん?」

834 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:30:25 ID:2ANBaeF1]
 携帯に出た美樹の口から聞き覚えの無い名前が呼ばれる。

 声の感じからして予期せぬ相手だったのか、慌てているような、緊張しているような、そんな雰囲気だった。
 ふいに、昨日の小野原さんが言った『Wデート』発言を思い出し、ついつい耳を欹て、立ち聞きしてしまう。

 「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」

 合コン!?  

「美樹が合コン?  ありえねぇ…」

 呟いてから思う。TVのチャンネルを奪い合い、対戦ゲームで大騒ぎし合う まだまだ子供だと思っていた筈の妹。
 今まで浮いた話の一つもなく、男っ気もなかった美樹が合コンやWデート… 自分の知らない美樹の姿。
 そんな美樹との間に距離を感じ始めて途惑う自分。 結局、電話の終わりそうな気配を察して部屋へ引き返した。
 
「何をやってんだ俺は…」

835 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:34:16 ID:2ANBaeF1]
 *** 

 今日は合コンの日。 あれから千鶴ちゃんに話して参加のキャンセルを頼もうとしたけど
 千鶴ちゃんに強く勧められて結局押し通された。 なんだか最近こんなのばっかりな気もする…。

「今日あたし遅くなるから」

 キッチンに居るだろう健にぃに一応声を掛けておく。
 未だに仲直り出来ていないけど、黙って帰りが遅くなったら心配させちゃうしね。

 もちろん合コンに出るなんて事は言わない。 
 そんな事がバレたら絶対「似合わねぇ」って笑われるに決まってる。

 あ… それをネタにして話す切っ掛けにすれば良かったかも…。
 
 そんな事を思いながら、商店街の待ち合わせ場所に向った。

836 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:39:42 ID:2ANBaeF1]
 ***
 キッチンでコーヒーのお湯を沸かしている時、玄関から美樹の声が掛かる。

「今日あたし遅くなるから」

 一瞬ドキッとする、未だに謝れないでいる俺は美樹から声を掛けられる事に妙に敏感になっていた。
 率直に嬉しかった。 それから掛けられた言葉の意味を考え、複雑な気分になる。

「…そうか、今日か」

 美樹が合コン…。 やっぱりどうやってもイメージが結びつかない。 「ありえねぇ」というのが感想だが…。
 自分が知らなかっただけで、美樹も普通に今時の女子高生をしていたのだろう。 そう想うと少し淋しい。

「それにしても…」

 Wデートやら合コンやらと、最近になって急にそういった行動が目立ち始めたのは…。

837 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/02/05(月) 09:42:03 ID:hxIfPtbF]
|・)リアル遭遇支援

838 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/05(月) 09:45:25 ID:KRugMr7O]
久々にリアル支援〜

839 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:46:08 ID:2ANBaeF1]
「やっぱ俺のせいなのかな…」

 あのキスが切っ掛けでそういう事に目覚めたとか?

「…いや、自意識過剰だな」

 自分にそんな大した影響力は無いだろうと自嘲する。
 自己嫌悪と罪悪感に苛まれる環境が続いている為か、どうにも後ろ向きに考え勝ちになっている。

 何時も一緒に居た『兄という家族の男性』と距離が出来た為に、家の外に代わりを求め始めたのかもしれない。

 兄からの卒業、成長の過程によくある話だ。 親離れとか、子離れ、今で言うなら兄離れ…
 常に身近にいる家族からの自立、精神的依存からの脱却。 それは美樹が成長したという事なのだろう。
 それは喜ばしい事の筈、だが…
 
「なんだろうな… この喪失感は」



840 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:48:28 ID:2ANBaeF1]
***
「みっちゃ〜ん、こっちこっち〜」
「へぇ〜 綾瀬さんもこういうの来る方なんだー?」

 待ち合わせ場所には千鶴ちゃんの他数人の『女性陣』が集まっていて
 同学年の知ってる子や、学校で何度か見かけた事のある先輩の姿があった
 千鶴ちゃんとよく男の子の話をしている先輩だ。

「結構多いんだね?」
「うん、今日はちょっと多い目かな?」
「綾瀬さんは初めてなん?」

 会場に入る時間まで暫らく雑談をして過していると、『男性陣』の準備が出来たらしく
 幹事さんが呼びに来たので皆の後に続いて会場のお座敷レストランに入る。

 う〜ん、ちょっとドキドキしてきた…

841 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 09:51:14 ID:2ANBaeF1]
「ねぇねぇ、和哉君ってさー…」

 会場の大広間に入ってそこで男性陣、女性陣の順に軽く自己紹介。
 その後は自由に飲んだり食べたりしながら気に入った相手とお話して過すフリータイムって事になってるけど
 千鶴ちゃんは真っ直ぐある男の子の所へ行って積極的に話しかけてる。

 なんでも『端学のプリンス』とかって異名を持ってる坂ノ端学園の有名なイケメン君らしくて
 千鶴ちゃんの他にも四人くらいがその男の子を囲っていて、質問攻めにされてるみたい。

「うーむ、流石に和哉も引いてるなー」
「あ、日高さん」

 誰と話すでもなく、オレンジジュースをちびちびやりながら
 ぼ〜ッと千鶴ちゃん達の方を眺めていると、日高さんが隣にやって来た。

「隣、座ってええかな?」

842 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/02/05(月) 09:57:13 ID:hxIfPtbF]
支援2〜

843 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:02:41 ID:2ANBaeF1]
 どうぞ、と横に少し動いて場所を空ける。 空けなくちゃならないほど狭くは無いけれど一応気分の問題で。

「どない? 雰囲気にも馴れた?」
「はい、流石に知らない人とは話せませんけど」
「そっか、じゃあ僕と話そう〜」
「ふふ、いいですよー」

 それから暫らくの間、千鶴ちゃん達をネタに日高さんと雑談に興じる。

 カラオケタイムとかあったけど私は参加せず、凄く上手い人も居たけど皆聞いてるのか聞いてないのか
 一応歌が終わったら拍手してやんややんや言ってるけど、歌ってる最中は飲み食いしながら雑談してるし
 そういうモノなのかな? と思ったけど、私は今一そんな雰囲気がしっくり来なかった。

「はっはっはっ なるほど、綾瀬さんは真面目なんやなぁ」

 そうなん…?

844 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:07:52 ID:2ANBaeF1]

「それでは、二次会に出席するグループはこちらに集まってくださーい」

予定の時間を少し過ぎてお開きになり、会場になった店の前で帰宅組と二次会組に別れると
其々余韻を楽しみつつ、携帯の番号やアドレスを意中の相手に伝え合う。 宛ら交換会のようになっていた。

「美樹ちゃんはこのまま帰るの?」
「うん、あんまり遅くまで遊ばれへんし」

日高の問い掛けに幾分砕けた口調で返答する美樹。
合コンの間中ずっと日高との雑談に興じていた為か、随分打ち解けた雰囲気を見せていた。

「千鶴ちゃんはー…」
「ああ、小野原なら ほら」

そう言って指差す先で、千鶴が『端学のプリンス』からアドレスを聞き出そうとオネダリ攻撃を敢行していた。

845 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:10:02 ID:2ANBaeF1]
「他の子はもう皆諦めてるのに、小野原はまだ粘ってるみたいやな」
「うーん、流石は千鶴ちゃん… あ、そういえば日高さんってあの和哉君って人と知り合いなん?」
「うんまあ、一応クラスメイトで少しは喋る方かな? もしかして和哉に興味あんの?」
「え!?違う違うっ 何かあの人だけ他の人より浮いてる感じがしてたけど、日高さんだけ普通に話してたから…」

変な誤解をされまいと両手をぶんぶん振りながら否定しつつ、和哉に感じた異質感を口にする。

「あ〜 アイツなぁ…、最近ちょっと色々あって学園でもかなり微妙な位置に居るんだけど…」

転校してきた日から随分モテては居たそうだが、女性関係等でちょっとした事件があり
今は変わらず好意を寄せる者半分、様子見半分に嫌悪少々という良くも悪くも目立つ存在で

「変に大人びてる部分が在るかと思えば、やたら世間知らずな所があったり、まあ 色々変わった奴なんだ」
「ふーん…」

二人の視線の先では、とうとう根負けした和哉から携帯アドレスをせしめた千鶴がガッツポーズを取っていた。

846 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:13:17 ID:2ANBaeF1]

「和哉さん」

控えめで透き通ったような声に呼ばれた和哉が振り返り、そこに紺のワンピースを着た長い黒髪の少女を見つけた。
和哉を囲っていた女性陣からの訝しむような視線を意に介さず、真っ直ぐ和哉の前に歩みよる少女と
バツの悪そうな表情で頭を掻々向かい合う和哉に、合コンに参加していた他の人達も何事かと注目する。

事情を知っている日高だけが、それを面白そうに観ていた。

「帰りが遅いので迎えに来ました」
「あ〜…すまん」

綺麗な子だな〜…と見とれている美樹に、日高がそっと耳打ちする

「あの子な、和哉の妹さん」
「え、そうなんだ?」

847 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:16:07 ID:2ANBaeF1]
やがて二人並んで帰っていく如月兄妹。 
腕など組んで、ぴったり寄り添って歩く仲睦まじい姿に羨望の眼差しを向ける美樹。

そんな美樹の様子を傍で窺う日高に、何時の間にか隣に来ていた千鶴が軽く肘で突きながら「行け」と指示を出す。

「(ヒソヒソ)ほらっ 今が攻め時や、家まで送ったり」
「(ヒソヒソ)お、おうっ そうか…」

「あ〜 美樹ちゃんはもう帰るんやったね、じゃあ家まで送るよ」
「え? いいですよそんな、日高さん二次会に行くんでしょう?」

家まで送るという日高の申し出は素直に嬉しかったものの
今回の馴れない合コンの間中、ずっと自分の相手をさせてしまった事を申し訳無く思っており
そこまで自分に付き合わせる訳には行かないと、申し出を断る美樹だったが

「ええから ええから、僕が送って行きたいねん」

848 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:19:02 ID:2ANBaeF1]
「まあ日高がこう言ってるんやから、送って貰っとき〜」

千鶴の後押しの助け舟もあり、それならと厚意に甘える事にするのだった。

「んじゃ、二人とも気つけてな〜 日高ーちゃんとみっちゃん送って帰りや?」
「分かってるって」
「千鶴ちゃんも気つけてなー」

既に移動を始めた二次会組みに飛び込んでいく千鶴を見送り、美樹は日高に送られて帰宅の途についた。

時刻は夜の8時を過ぎた頃。 
普段、夜に出歩く機会の少ない美樹にとって、ライトアップされた街の様子はとても新鮮に映る。

「夜の街ってなんかそれだけで楽しい感じがするねぇ」
「あ〜あるある、僕も中学の頃とか夜中出歩いた時は妙に楽しかった」


849 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:22:55 ID:2ANBaeF1]
日高と他愛無い会話を続けながら、美樹は先程の如月兄妹の事を考えていた。 帰りの遅い兄を迎えに来た妹。 

女の勘とでも言うのだろうか、あの二人の間からは何か特別な強い絆のようなモノを感じとった。
翻って自分と兄の健一の事を考える。 果たして、普段の健一なら自分を迎えに来てくれるだろうか? と。

『う〜ん、まず合コンに出るって言った時点で大笑いされそうやな〜』

それに今頃の時間なら二人で対戦ゲームをやってる筈だと考え至り、もう一週間以上続く兄との現状に憂鬱になる。

『はぁ〜… 健にぃとゲームしたいなぁ…』

「ん? どうしたの、美樹ちゃん? 溜息なんかついて」
「!? う、ううんっ 何でもないよ? ちょっと考え事してただけ」

健一の事を考えて没頭し過ぎるあまり、態々こうして家まで送ってくれている日高の存在を蔑ろにするのは失礼だと
慌てて頭の中を整理する。 とりあえず、自分が健一と仲直りしたがっている事ははっきりしたのだと再認識した。



850 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:25:22 ID:2ANBaeF1]
帰宅路の途中、公園脇に差し掛かった時だった。

「美樹ちゃん、ちょっとええかな?」
「はい?」

日高は親指で公園を指し示すと、中央に立つ街灯の辺りへと歩いて行く。 
二対のブランコと低い鉄棒、それにカラフルなタイヤが何本か埋まっているだけの小さな公園。
子供の頃には美樹も健一と一緒にここで遊んだ事がある。  

美樹は懐かしさを感じつつ、『なんだろう?』と日高の後に続いて公園の中に入っていった。

***

「あ、ジュース切れてるんだった…」

冷蔵庫から空のペットボトルを破棄した健一は、財布を持っている事を確認するとコンビニに向うべく家を出た。

851 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/05(月) 10:25:33 ID:KRugMr7O]
つC

852 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:28:38 ID:2ANBaeF1]
今回ここまで

>>837
>>838 >>842

支援ども〜  日日 オチャドゾー
          ̄ ̄

853 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/05(月) 10:32:06 ID:2ANBaeF1]
うあ、並べ方間違えてた
>>851
  C ども〜
`)ノ

854 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:28:53 ID:Fl6qEkVn]
『そろそろ美樹が帰ってくるかもしれないな』

買い物を終えてコンビニを出た健一は足早に帰宅の道を急いでいた。
近道をしようと公園を抜ける小道に入った所で、公園内に人の気配を感じる。

『…!』

街灯の明かりの下、向かい合う若い男女の姿。 

出掛け際にちらりと見えた、お洒落な格好をした美樹。
この前見た時のような『女らしさ』を感じさせる美樹の姿があった。

向かい合っているのは美樹と同年代位の男。

『誰だ… この前のデート相手?  夜中に電話して来た奴か…?』

855 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:31:35 ID:Fl6qEkVn]
小さなコンクリートブロックが等間隔に並べられただけの小道は公園を囲う樹木と茂みの間を通っていて
街灯付近からは照明の関係もあり、死角になっている。 健一は引き返すべきか様子を見守るべきかと迷っていた。

「美樹ちゃんに 僕の気持ちを伝えとこうと思って…」

向かい合っている男がそう言って美樹の肩に手を置いた。

『なんだ!? 告白か!? 告白なのか!?』

いよいよこの場に居続ける事が憚れる雰囲気になって来たと感じた健一はゆっくりと後退りを始める。

***

振って沸いたような突然の甘い雰囲気に美樹は混乱していた。 両肩に置かれた日高の手がやけに熱く感じられる。

「あ、あの… 日高さん?」

856 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:35:15 ID:Fl6qEkVn]
 うわーうわー 何これ? 何なのこの雰囲気はーーっ  気持ちを伝えるってなにーーーっ???

「僕な、美樹ちゃんの事、好きになったみたいや …その、君とやったら本気で付き合えると思うねん」
「え… ええっ」

 これって やっぱり告白!?  うそ… あたしが? まさか

「美樹ちゃん 僕と付き合って欲しい」
「…あ」

 告白されるなんて、初めてだったから… 混乱して どうしたらいいのか分からなくなって…
 だから 日高さんの顔が近づいて来る意味を理解するのが遅れてしまって だから 拒めなかった


 私は日高さんにキスされた。


857 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:37:56 ID:Fl6qEkVn]
「美樹ちゃん…」

 呆然としている私を抱き締めようと、腕を回して来る日高さんの胸を押して止める。
 少し途惑ってたけど、ゆっくり離れてくれた。 よかった…、強引に抱き締められたらどうしようかと思った…。

「あ、えっとね? 好きって言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと考えさせて欲しい…んだけど」

 少し声が上擦ったけど、ちゃんと言えた。 まだ頭が混乱気味で心臓がどきどき言ってるし。

「そっか、うん  ゴメン、ちょっと急ぎ過ぎたね  返事はゆっくりでいいから」
「うん…」

 頭を掻きながら照れた表情で微笑み向ける日高さん。 うわーこんな顔もする人なんだ…。

「えーと それじゃあ、家まで送ろうか?」
「ううん、もう直ぐそこだから…ここでええよ」

858 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:40:30 ID:Fl6qEkVn]
 公園を出る日高さんを見送った後、一人ブランコに腰掛けて気持ちを落ち着かせる。
 合コンに出て、帰りに送って貰って、告白されて、キスまでされた。 しかもまた不意打ちかぁ〜。

「ふぅ〜… びっくりした」

 にしても、告白して即キスしたりするものなのかな? 今時はそんなもんなんだろうか? …まだ顔が熱い。

「でも…、健にぃの時とは違ってたな」
 
 確かにどきどきしたし、顔も熱いけど…何だか妙に冷静で居られたというか …そりゃ混乱はしてたけど
 健にぃにされた時みたいに頭が真っ白になったりフワフワした感じがしなかった。
 二回目だったから馴れただけとか? …ううん、違う アレは何か違ってた。

「そっか… 違うんだ…」

 日高さんにされたのは、唇を合わせる行為…。 健にぃとのは唇を重ねる行為…、只合わせるのとは全然違う。

859 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:43:23 ID:Fl6qEkVn]
 一週間以上前の事なのに、はっきりと思い出せる。 あの夜、突然訪れたキスの味。
 唇の感触から伝わってくる感覚、体温、息遣い、全部が健にぃのは特別な感じがする…。

「…もう一回、健にぃとキスしたいなぁ…」

 ポツリと呟いてから赤くなる。

「何言ってねん あたしは…」

 誰に向けるでもなく照れ隠しに咳払いをしてブランコを降りると、家に帰宅すべく公園を後にした。
 日高さんには明日にでも返事しよう。  

「あ〜 その前に千鶴ちゃんから色々聞かれるかも…」

 告白されたけど断るつもり、とだけ言っておけばいいかな?




860 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/07(水) 16:45:45 ID:Fl6qEkVn]
今回此処まで

ちょっと自問自答のトコが強引だったかな

861 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/07(水) 16:48:31 ID:n74/QsY+]
支援ミスorz

862 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:01:34 ID:XIC3gc9t]
***
「…」

 どのくらいこうしていたのだろうか… 気が付くと俺は、電気も付けずにリビングに突っ立っていた。
 コンビニの袋を下げたまま、握りしめていた手が痺れて冷たくなって来ている。

 引き返そうと小道を後退りしながらも目が離せず、見てしまった美樹と美樹に告白した相手とのキスシーン。
 
「美樹に、恋人が出来たのか…」

 最近感じ始めていた喪失感が一層大きくなったような気がした。 

「ただいまー」
「!?」

 飛び上がる程驚いた俺は慌てて冷蔵庫の扉を開け、ジュースのボトルを袋から移し始める。

863 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:04:17 ID:XIC3gc9t]
「あ、ジュース切れてたんだ? アップルはあった?」

 ここ暫らく聞かなかった美樹の明るい声。 さっきのシーンを思い出し、何故だか気分が沈む。
 そんな自分の気持ちに混乱を覚え、上機嫌な美樹にイライラする。

「知るかよ」

 素っ気無く答えてから『しまった』と、美樹の様子を盗み見ると。
 しゅんと、萎んでしまったような表情で俯いていた。

 馬鹿か俺は! せっかく機嫌よく帰って来て… 以前みたいに話しかけてくれたのに…
 イライラする。 不甲斐無い自分にも。 上機嫌な美樹にも。 謝れない自分にも。 怒らない美樹にも。

 居た堪れなくなった俺は、結局その場から逃げ出した。 これ以上下手な事を口走って美樹を傷付けない為に。

864 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:14:06 ID:XIC3gc9t]
**
 いつもより不機嫌そうな返事をかえした健にぃはそのまま部屋に戻って行ってしまった。

「…」

 失敗した…。 
 
 健にぃもずっと気まずい状況の中で苦しんでいただろうに、寧ろ健にぃの方があたしに …キスしたんやから
 その事でずっと気に病んでたかもしれないのに。 私だけ楽しい時間を過してて…。 

『あたし… 自分の事しか考えてなかった』

 色々あって、初めて告白されたりして ちょっと浮かれてた自分に自己嫌悪。

「健にぃ… あたし、嫌われちゃったのかなぁ…」


865 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:18:48 ID:XIC3gc9t]
**
 部屋に戻った俺はそのままベットに潜り込んで布団を被る。

 美樹に彼氏が出来た。 
 公園で見た感じでは、相手は中々の好青年のようだったし、兄として本来祝福してやるべき所の筈だ。
 それなのに、俺は何故こんなに苛ついてるんだ?  分からない…

 答えの出ない自問自答と自己嫌悪に意識を埋没させながら、逃れるように眠りに付いた。
------- - -
 翌朝。 気分は重く、目覚めは最悪だ。 焦燥感に駆られるようにベットから起き出し、洗面所に向かう。
 顔を洗い、僅かに残っていた眠気を振り払っても気分は冴えない。 訳の分からない焦燥感に不安が募る。

 天気予報を見る為にテレビのスイッチを入れようとして、テレビ台の棚に収まってるゲーム機が目に留まる。
 あの日、片付けたままのゲーム機を見ていると、美樹と一緒に遊んでいたのが随分昔のような感じがした。

 そして、唐突に思い至る。 あの日、何故あんな事をしたのか…

866 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:29:03 ID:XIC3gc9t]
「…そうか」

 美樹はもう子供じゃなかったんだ… 昔と違って、美樹も俺も。
 世間的、年齢的にはまだ子供の範疇だろうけど、そういう事じゃなく
 性差を気にせずじゃれ合える時期は、過ぎていたんだ。

 それに気付かず近づき過ぎてしまった為に、惹き寄せられてしまった
 美樹の女としての性に、俺の男としての性が。

 胸の内を暗雲となって覆っていた焦燥感が、一気に吹き抜けるように晴れて行く。 
 所謂『腑に落ちる』という奴だろうか、逆に不安を覚えそうな程スーッと心が澄み渡っていく感覚。

 そこへ美樹がやって来た。 リビングに立つ俺を見つけると、寝癖を弄っていた手がハタと止まる。
 顔を見合す俺と美樹。 今なら言える…

「美樹、…ごめんな」

867 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:35:08 ID:XIC3gc9t]
***
 私は暫らく呆然と佇んでいた… またしてもの不意打ち。

 昨晩の事で決心して、『私の方から何か話さないと』って思って。
 でも何と言えば良いのか分からずに固まっていたら… 健にぃの方から謝ってくれた。 
 健にぃは直ぐリビングを出て行ったけど、多分恥ずかしかったんやと思う。 だって紅くなってたもん。
 
「…あ、あたし返事してなかった」

 でも、やっと話が出来た。 これで仲直り出来る。 明日から元通りになる!
 
 自然に笑みが零れてしまい、高揚する気持ちを抑えるように俯いてはにかみながら視線を彷徨わせると
 テレビ台の棚に仕舞ってあるゲーム機… やっと対戦の続きが出来る、健にぃと一緒に遊べる。 

 私は嬉しくて、喜びでふやける笑みを抑えられなかった。


868 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/11(日) 10:38:42 ID:XIC3gc9t]
今回ここまで

順調に組めれば次の次くらいでHシーンに持っていけるかな。

869 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/12(月) 00:19:32 ID:X2ITdwlr]
GJ



870 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:37:38 ID:82msy9tD]
|・ω・`) …


|´・ω・`) チョコレート会社は僕にごめんなさいしないといけないよね。





871 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:39:57 ID:82msy9tD]
十月十日の時を待ち焦がれ。

私はまた貴方に廻り逢う。

貴方は兄で、私は妹。

最も近い男と女として。

繰り返す歴史、甦る想い、変わらぬ人。

貴方が忘れても、私はずっと覚えているわ。

私たちが愛し合っていた全ての記憶を。


872 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:42:05 ID:82msy9tD]
この世に生まれ落ちた意味は只一つ。

貴方に出逢い、恋をして、結ばれる為。

全ては貴方に愛される為に。

全ては貴方と結ばれる為に。

それが唯一の願いで、最高の幸福。

だから、離れていかないで。

私は貴方にしか愛されたくないから。


873 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:44:44 ID:82msy9tD]
《俺は、妹を愛せない…》

何度目の失敗の時の言葉だっただろうか。

今でも胸に突き刺さる冷たい言葉の棘。


血が繋がっているから何だというの?

私より見ず知らずの他人の方が愛しいの?

この血がなければ貴方と廻り逢えないというのに、

この血でなければ貴方が認めてくれたなんて。


874 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:47:30 ID:82msy9tD]
…この身体はまだ眠っている。

残り二ヶ月と十日、時間にして1680時間。

それを過ぎれば、貴方にまた廻り逢える。

繰り返す過ち、甦る葛藤、変わらぬ未来。

そして、愛を禁じられた兄と妹の関係。

大丈夫、次こそは貴方と結ばれてみせる。


未だ眠り続ける少女の唇が、少し動いた気がした。


875 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2007/02/12(月) 00:51:29 ID:82msy9tD]
…以上です。忙しすぎてどうしようもない=□●_


唐突ですが非常にスイマーが襲い掛かって来てるので寝ます。おやすみなさい!!

876 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:27:24 ID:7Fjnja7l]
>>875
みなさん忙しいようで乙です

寒いと眠くなりますね

877 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:30:12 ID:7Fjnja7l]
「おっはよ〜♪」

明るい美樹の声がホームルーム前の教室に響く。 
随分と御機嫌な様子で机に向う美樹の所に千鶴がやって来た。

「みっちゃんおはよ〜 なんか御機嫌やね〜?」

千鶴は昨夜、日高が美樹に告白した事を日高に電話で確認している。 
この様子なら上手く行きそうだと思い、祝福するつもりで声を掛けたのだ。

「えへへ〜分かる?」
「そんだけ顔にやけさせてたらね」

千鶴に指摘され、両手で頬っぺたを覆って緩む顔を補強する美樹。 先日までの愁いに陰っていた表情は無い。
以前の元気な美樹が戻った事に喜ぶ千鶴は『日高を紹介して正解だったな』と、心中でほくそえむ。

878 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:33:54 ID:7Fjnja7l]
「ほんまに嬉しそうやな〜 日高と付き合う事にしたんやろ? おめでとう〜」

そう言って美樹の表情を窺う。 
きっと照れ巻くって真っ赤になるに違いない、そう期待して覗き込むが…

「日高さん? 別に付き合わないよ? 確かに告白はされたけど…」

美樹はキョトンとした表情を見せると、首を傾げて否定した。
『あれ?』と千鶴は途惑う。 告白されて付き合う事にしたのではないのかと、ならばこの上機嫌はなんなのかと。

「え…、違うのん? だって… じゃあ、なんでそんな元気なん?」
「えっへへ〜 やっと健にぃと仲直りできたんよ〜〜♪」

心底嬉しそうに語る美樹、既に日高の話題は何処かに飛んでいってしまったようだ。
そんな美樹の様子に千鶴は、昨日のコンパの事を思い出す。
『端学のプリンス』事、如月和哉とその妹に纏わる噂…

879 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/02/14(水) 14:35:55 ID:qq+pEpRP]
支援〜



880 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:37:33 ID:7Fjnja7l]
「うーん…」
「うん? どうしたの? 千鶴ちゃん」

急に考え込み始めた親友を気遣い、にやけていた表情が素に戻る。
千鶴はこんな事を話してもよいものかと、少し逡巡するも興味と好奇心が勝って語りだす。

「実はな? 昨日、和哉君の事迎えに来た妹さんが居たやん?」
「うん、確か…沙耶ちゃんだっけ?」

長い艶のある黒髪に細身で色白の綺麗な子だったな〜、と美樹は昨夜見た沙耶の印象を思い浮かべた。

「どうもな? あの二人、兄妹で恋人同士らしいんやわ」
「へ、へぇ〜〜」

近親相姦。 そんな言葉が頭に浮び、ついで健一の顔が浮んでドキリとした。
夜の商店街、腕など組んで、ぴったり寄り添って歩く二人の姿が、自分と健一の姿に入れ替わる。

881 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:39:41 ID:7Fjnja7l]
「みっちゃんってさ… 実は健一さんのこと好きなんとちゃう?」

少しブラコン気味だと思っていた親友をからかうつもりで発した一言、きっちり3秒程停止する美樹。
図星を直撃されたように固まっている美樹の様子に、千鶴は呆然と呟くのだった。

「…マジ?」

------------------------------------

放課後。 携帯で日高を呼び出した美樹は、待ち合わせ場所である昨夜の公園の前に来ていた。

「んじゃ、行って来る」
「うん、なんかあったら直ぐ呼びや?」

公園の外で待つ千鶴。 自分が焚き付けた事なので最後まできちんとフォローすると言って付き添って来たのだ。
昨晩の日高からの報告では上手く行きそうな雰囲気だっただけに、日高のケアも必要だろうという考えもあった。

882 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:42:24 ID:7Fjnja7l]
「あ、美樹ちゃん 早かったね」
「こんにちは」

まだ点灯していない街灯の下で、日高は軽く手を振って迎える。 
夕方の小さな公園内、二人の他に人影は無い。

「昨日のお返事なんですけど」
「うん」

期待の眼差し向けて来る日高に、美樹はしっかり向かい合ってハッキリと言った。

「わたし、日高さんとお付き合い出来ません ごめんなさい」
「……え…」

美樹が何を言ったのか一瞬理解出来なかったらしく、頭を下げている美樹を呆けた表情で見詰める日高。 
やがて我に返り、交際を断られた事を理解すると、猛然とアタックを開始する。

883 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2007/02/14(水) 14:43:35 ID:qq+pEpRP]
支援2〜

884 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:45:13 ID:7Fjnja7l]
「ちょ、待ってくれ美樹ちゃん! 僕は本気やでっ! 何時もの軟派な軽い気持ちとちゃうねん!?」 

美樹の細い両肩を掴み、自分の気持ちをアピールして迫る日高。
一瞬身を硬くする美樹だったが、日高の手をそっと掴んで離させると

「好きな人が、居るんです」

駄目押しの一言。 そして…

「あ、それから」

パーーンと乾いた音が公園に響く。 
美樹の平手打ちが日高の左頬を叩いていた。

「これで、昨日のキスの事は赦してあげます」

885 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:48:01 ID:7Fjnja7l]
そう告げると、深めにお辞儀をして美樹は公園を立ち去った。

「…」

美樹が立ち去った後、日高は何時もより深いダメージを受けていた。
これが本物の失恋の痛みなのかと、感慨深げに思ってみたりする。

「…痛てぇ」

少し熱くなった左頬を撫でながら、錆びたブランコに腰掛けて夕焼けに染まる空を見上げる。
黄昏真っ只中の淋しげな背中に、缶コーヒーを持った千鶴が近づいて行く。

「やーい 振られ男〜」
「うっせー」

何故か込み上げて来る笑いを噛み殺しながら、受け取った缶コーヒーを喉に流し込む日高。 少し苦かった。

886 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/14(水) 14:50:17 ID:7Fjnja7l]
今回ここまで

>>879 >>883
まいど支援ども〜



887 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/14(水) 15:19:13 ID:BXmb+sMS]
日高の飲む千鶴のコーヒは、苦い

888 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/14(水) 21:44:22 ID:BYhtkLx2]
10へぇ〜

889 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/02/14(水) 23:17:19 ID:y0XV4rzW]
>>886
ようやく話が核心に近づきつつありますな。
wktk



890 名前:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE mailto:sage [2007/02/21(水) 03:32:58 ID:tqoZ/BD5]
 保守

 また仕事の覚え直しで書く時間が…=□○_

891 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:16:50 ID:Db39+tTV]
夕食の後片付けをしながら、健一は終始ご機嫌な様子の美樹に複雑な気持ちを抱いていた。
仲直り出来たのはいい、しかしもう以前のような関係ではいられない。 適度に距離を置かねばならないと。

「健にぃ ゲームしよー」

既にテレビの前でスタンバっている美樹が呼ぶ。 暫らくぶりだなと思いながら、健一は何時もの定位置についた。
左側が健一、美樹は右側。 テレビの画面にはゲーム機の中にセットしたままだったレースゲームのタイトル。

「さあっ 今日は溜まってた分徹底的にやるで」
「勘が鈍ってなきゃいいがな」

対戦画面でお互いセッティングしておいたマイカーを選んでスタート。
最初こそ縺れた走りをしていたが直ぐに勘をとり戻し、白熱する二人。

実力が拮抗しているため中々勝負がつかず、気が付けば夜の10時を回っていた。
ラストバトルでは美樹のリアル幅寄せアタックを華麗にスルー、美樹が転んでいる隙にゴールした健一が勝利した。

892 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:18:31 ID:Db39+tTV]
「あ〜〜! 避けられた〜〜」

勝敗が付き、緊張がとれて脱力する美樹。 暫らく身体を左右に揺らして悔しがっていたが
新しい車を出現させる為にプレイを続ける健一の胡坐の上に倒れこんで来た。

「強制膝枕♪」
「お、おい…」

一緒に遊べる事が嬉しくて仕方が無い美樹は、いつも以上に健一に甘えた。
腰に両腕を回し、太腿の上に頭を乗せて「むふーv」とじゃれ付く美樹にドギマギする健一。
膝上の重みに美樹の体温と柔らかさを感じた健一は早速距離を取らねばと慌てる。

「そ、そういう事は彼氏にでもやって貰え」
「そんなのいないもん」

すりすりしながら即答する美樹に、惹かれるような感覚を覚えて焦った健一はうっかり口を滑らせる。

893 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:20:25 ID:Db39+tTV]
「え、だって昨日公園で…」
「…え?」

ヤバイ!と慌てて口を噤むが、遅かった。 美樹は健一の眼を覗き込むようにじっと見上げている。
不安げな表情でみつめられ、何か咎められたような気持ちになった健一は公園での一部始終を見ていた事を話した。

「そ、そっか… アレ、健にぃに見られてたんだ」
「いやまぁ、たまたま偶然な」

美樹は少し俯くと、腰に回した腕にぎゅっと力を込めた。 思わず体温の上昇を自覚する…

「あれな、不意打ちやねん… 告白なんかされたの始めてやったから、ビックリして混乱してる隙にぶちゅっと…」
「そ、そうだったのか」
「悪い人じゃ無いんやけどね、一応お断りの返事した時 ひっぱたいちゃった」

そう言って「てへへ…」と笑う。 美樹の言葉の中に『お断りの返事』という響きを聞いて反応する健一。

894 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:23:12 ID:Db39+tTV]
「!っ 断ったのか?」
「? せやよ?」
「……」
「ちょっ なんよぉ〜健にぃ、あたしが誰かと付き合うと思ったん?」

ポカンとした表情になる健一に、美樹は口を尖らせる。

「あ、いや 俺はてっきり…」
「てっきり?」
「いやその…、OKしたからキスしたのかと思ったから」
「ん… やっぱり普通はそうだよねぇ」

健一は思った『なんだそれは』と、同時に胸の奥から沸々と怒りが込み上げてくる。

「返事も確認せずに… 美樹の気持ちも考えずにしやがったのか…?」
「健にぃもしたやん」

895 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:25:41 ID:Db39+tTV]
憤る健一だったが美樹の一言で沈黙した。 
自身も同じ事をしてしまっている以上、人の事は言えないじゃないかと落ち込む。
そんな感情の起伏に忙しい健一の様子に、美樹は昼間の学校での事を思い出す。

 『みっちゃんってさ… 実は健一さんのこと好きなんとちゃう?』

指摘されて初めて自覚した健一に対する想い。 健一は自分の事を何処まで想っているのだろうか?と疑問が浮ぶ。
気持ちを確かめずにキスした日高に憤る健一、それは兄として妹を大事に想う家族の気持ちからなのか。
何故、あの夜 自分にキスをしたのか。 その理由が知りたくなった。 あのキスは何だったのかと…。

「健にぃ…さ、あたしにキスしたやん?」
「う、うん…」
「あれは… なんで?」

健一の胡坐の上に半身を乗せて腰にしがみ付いたまま、美樹はそう切り出した。
顔をぴったりとお腹の辺りにくっつけているので、互いに表情を窺い知る事は出来ない。

896 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:27:18 ID:Db39+tTV]
「あの時は… どうかしてた 多分、油断してたんだと思う…」

ぽつりぽつりと、自分なりに分析して辿り着いた答えを話す健一。 年頃の男女に成長した二人の適切な距離。
その距離を越えて近付き過ぎた為に、男としての自分の性が、女としての美樹の性に惹かれたのだろうという考察。

「だからな、もうあんまり…こんな風にくっ付いてじゃれ合うのは拙いと思う」

そう言って美樹に身体を離すよう促す健一だったが、美樹はさらに腕に力を込めて身体を密着させてきた。
そんな美樹の行動に途惑う健一は、しかし邪険に引き剥がす事も出来ず途方に暮れる。

「み、美樹?」
「……あのね、健にぃ」

くぐもった美樹の声。 お腹に顔をくっ付けられたままなので、そのまま喋られては擽ったさを感じると
身を捩ってその事をアピールする健一だったが、美樹は構わず話を続けた。

897 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:29:13 ID:Db39+tTV]
「日高さんにキスされた時ね…?」

健一の胸にしこりの様な塊りが生まれ、憤りの感情が再び沸き上がる。

「健にぃのと違うって、思ってん…」

憤りの感情が複雑な感情になって胸の内に影を落とす。 
確かに自分の時はムードもへったくれも無く、なんの脈絡も無い完全な不意打ちだった。
それに比べれば、あの男のは美樹に想いを告げてそのムードに則った行為だ。 少なくとも自分のした事よりは…。

「…悪かった」
「んふふ♪ 別に責めてるわけじゃないんよ」

沈んだ声で謝罪する健一の心に響かせようとするように、お腹に顔を付けたままクスクス微笑む美樹。
そして言った。

898 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:33:40 ID:Db39+tTV]
「健にぃのは …気持ちよかったから」
「……はい?」

意味が分からないという表情で間の抜けた返事を返してしまう健一。
健一のリアクションに不満な美樹はお腹から顔を上げると、もう一度告げた。

「だからっ 健にぃのは、気持ちよかったんだってば!」
「お、お前 何を言って…」

顔を真っ赤にして上目遣いに唸る美樹。 密着した身体から伝わる体温の上昇が恥ずかしさを訴えていた。
混乱気味だった健一はそんな美樹の姿に返って冷静さを取り戻す。

「恥ずかしいんなら言うなよ…」
「…だって」

呆れた声色とは裏腹に、健一は内心喜びを感じている自分に疑問を懐く。 そこは喜んで良い所なのか?と。

899 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:36:23 ID:Db39+tTV]
『健にぃのキスは気持ちよかった』発言で勢いを付けたのか、美樹はさらにトンデモ無い事を言い出した。

「た、ただね? あれって本当にその… 違ってたのか、確かめようかなーって思って…」
「…」
「け、健にぃと その、もう一回… してもいいかな〜なんて」
「…」
「だから… もうっ! なんか言ってよ!」
「いやその… なにかって…何を?」

内心の疑問を考えている隙も無い展開に唖然とする健一に、羞恥に焦れた美樹が選択を迫る。

「もう一回あたしとキスするか しないかっ!  ……〜〜〜〜〜〜!!!」
「だから、恥ずかしいなら言うなよ」

選択を叩きつけてから俯いて真っ赤になる美樹を諭しつつ、髪を撫でてやる。 
こんなに可愛かったのか?と、健一は次第に激しさを増す動悸を覚えながら想った。 



900 名前:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE mailto:sage [2007/02/21(水) 17:41:22 ID:Db39+tTV]
「じ、じゃあ… ちょっとしてみるか?」
「う、うん…」

腰に回していた腕を解き、おずおずと顔を寄せて来る美樹。 その身体を支えるように抱えながら迎える健一。
健一の腕の中にすっぽり納まった美樹は、膝の上に跨るようにして背中に手を回し、正面から抱き合う格好になる。
結構過激な態勢を取っているのだが、目の前に迫る互いの唇に集中している二人はその事に気付かない。

あと20cm。

「い、息は止めるだっけ?」
「鼻で、ゆっくりすれば良いんじゃないかな…」

あと10p。

「あ、歯磨いてない」
「俺もだ、気にするな…」






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