- 324 名前:名無シネマさん [01/12/16 19:49 ID:dgi3JPBZ]
- >322とほぼ同じ意見です。
冒頭とラストのループは登場人物達にアレコレ出来事があっても 変わらずに続いていくこの世界の営みについて、ユーモラスに(多少の皮肉をこめて) 表現しているだけで、アメリの内面が変わらないことを表しているとは思えません。 そもそも、内向的で妄想的な人(ここのスレの言葉を借りれば自閉症的人間)の 置かれた立場は、フランスと日本ではまったく異なるのです。 日本では国民性として内気な人が多いし、なんだかんだ言って結構居場所があります。 それなりに居心地が良かったりして、好んで閉鎖的な環境に身を置く人種もいます。 むしろ内気で不器用な生き方は「謙虚」として評価を受けたりします。 それゆえ、その閉鎖性を嘲笑う立場もアリだと思います。 でも、フランスは「自己主張してナンボ」の国ですから アメリやニノのようなタイプは、相当生きづらいのです。(体験的な感想です。) なんとか適応しようと四苦八苦したあげくの逃げ場が妄想だったり、水切り遊びだったり 写真収集だったりするのでしょう。 内気はフランス社会ではネガティブな意味しかもたず、彼らはずっとコンプレックスを抱えて 生きてきた筈です。 そういうお国柄で、わざわざ「自閉症的人間は救われない。」「もてない女は死ね。」という メッセージを描いたら、これはもうブラックユーモアを通り越して悪趣味な弱い者苛めの領域です。 弱者を皮肉ったあげくに無限ループの悪夢に陥れるような映画が、フランスで熱狂的に支持されたとは 考えられません。 ここは普通に、ジュネ監督がそういう人達にエールを送っている、と考えたいです。 「内気な人のために排水溝にプロンプターがいる。」というエピソードはジュネ監督の意図を 端的に表していると思います。 ジュネ流の毒を含んだウィットに彩られてはいますが、全体として優しい気持ちで作られた 映画だと思いました。 また、ヲタク体質で内気なジュネ監督本人の自己肯定でもあるでしょう。
|
|