- 270 名前:名無シネマ@上映中 [04/01/11 13:35 ID:Akkiygwd]
- 傑作。
今までのイーストウッドからは考えにくいほど情緒で湿った演出とカメラ以外、 特に主題については別段難解でもないのだが、このスレではそれすら理解できている人間が少ないのに 呆然とする。主題を”友情”と思っている人もいたようだが、自分の理解力に相当の危機感を抱いた方がいい。 ここでの主題は、途轍もなく凡庸な言い方をするなら”運命”で、それは登場人物たちによって何度も 重要な場面で口にされていることからも、その難解性は薄いと言える。 不幸な”運命”に選択された男が空っぽの吸血鬼になり、更にはそのトラウマによる突発性の事件が また致命的な不幸をもたらす。 かと思えば、”運命”から見逃された男がいて、しかし男は窃盗で入所し、出てきてから真っ当な人間になったかと 思いきや、クズみたいな連中とつるみ、挙句の果てには私刑までしてのうとうと暮らすつもり。 冒頭のシークエンスはだから二人の変質者によって三人の少年のいづれかの”運命”が選択される場面を 観客に目撃させるために置かれており、従って「少年期の場面が短すぎて三人の友情関係が希薄に感じられる」 と言う指摘は的外れもいいところだ。 三人がかつて友人だったのはこの物語においてはただの偶然に過ぎず、設定上 ”運命”の選択時に三人が同時に居合わせるための設定として「友達で、その時遊んでいたから」という説明が 最もシンプルかつ自然だから。
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