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【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】その12



1 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/23(月) 09:29:13 ID:???]
種死&リリカルなのはクロスオーバー

シンが八神家やフェイトに餌付けされたり
レイがリリカルな魔法少年になったり
なのはさんが種死世界に行き、世直しをしたり
デバイス達がMS化したり
キラがフルバーストでガジェットを一掃したり
アスランは相変わらずハゲてたり
ほかetc……

・職人様はコテとトリ必須
・次スレ立ては950を踏んだ人が立ててください
・1000に達する前に容量オーバーになりそうな時は気づいた人が立ててください
・各作品の考察は該当スレでどうぞ
・スレは、sage進行です。


301 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 01:53:22 ID:???]
ミネルバ、ブリッジ。
プシューと音をたて扉が開き、ブリッジに入ってきたのはデュランダルと護衛二名だった。
アーサー、そしてCIC担当のメイリン・ホークも驚き、振り返る。
そして、ミネルバ艦長、タリア・グラディスも振り返り、驚いた。
「議長!?」
「状況は?どうなっている!」
開口一番にデュランダルは声を張り上げた。

「うぁぁああ!!」
悲鳴に近い声を上げながら、ステラはビームをプラントの外壁に向け、何度も放つ。
しかし、やはり万全をきした構造のため、ちょっとやそっとでは穴を開ける事などできない。
「何をっ!?」
フェイトはバルディッシュのスラスター全開でガイアへと向かい、
「ここにはまだ、人がいるのに!」
ガイアへ狙いを定め、両肩部のアークセイバーをニ刀、投剣する。
しかし、それはアビスの一斉射撃により破壊され、届くことは叶わなかった。
立ちはだかるカオスとアビス。
レバーを握る手に汗をかいているのにフェイトは気付いた。
『ミネルバ!フォースシルエット!』
シンの声が聞こえた。
まだ諦めていない声、絶対に食い止めると言うシンの気迫が伝わってくる。
レバーを握る手に力を込めるフェイト。

『シン!下がって、装備を換装して!あの二機は、私とレイで押さえるから…、いいよね?レイ。』
『あぁ、行くぞ、フェイト。』
スピーカーから響く二人の声を聞き、幾分か緊張がほぐれるシン。
もし二人がいなければ、換装することは難しかっただろう。
「サンキュー、二人とも…。」
最後にエクスカリバーを投剣し、シンは換装の為に一時、戦闘空域から離れた。

「いい加減…」
「しつこい!!」
撃てども撃てども執拗にくらいついてくるザクとバルディッシュに苛立ちを覚えるスティングとアウル。
ザクのビームアックスをジャベリンの柄で受け、弾き、バランスを崩したところを二段の蹴りで蹴り飛ばすアビス。
そして六発のビームを一斉に放つ。
モビルアーマー形態のカオスの機動兵装ポッドからの突撃ビームをかわし、追撃から逃れるバルディッシュ。
向かってくる本体のビームクロウを鎌の柄でうけ、弾き飛ばす。
バルディッシュとザク、フェイトとレイは連携し、同じく連携し、攻撃を仕掛けてくるカオス、アビスをインパルスから引き離す。

302 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 01:56:51 ID:???]
その間に、機動性、俊敏性に優れたインパルス、フォースシルエットに換装。
一番手近にいたカオスへとサーベルを抜き放ち、ビームをかわし接近しながら振るう。
装備を換装するインパルスを見て、驚きを隠せないスティング、アウル。
カオスを退け、アビスのビームを盾を使いながら強引にかいくぐり、突進。
弾き飛ばし、ガイアへと一直線に向かう。
ガイアの替わりに壁面に全火力を集中させるアビス。しかし、穴は開けられない。
その間にも、接近してくるインパルスを必死で退けようとビームを連射するガイア。
明らかに精度が落ちたそれはインパルスを捕えられない。
「落ちろぉ!!」
シンは声を張り上げ、インパルスのスラスターを全開にした。
刹那、カオスによって背後から放たれた四の奔流が壁面に大穴をあける。
プラント内の空気が風呂場の栓を抜いたかのごとく、勢いよく渦を巻いて抜けていった。
そして、ガイアはそれに吸い込まれるかの様に飲み込まれ、カオスとアビスはそれに続く。
「くっそ〜!」
悪態をつきながら、シンは三機のあとを追う。
レイが引き留めようと彼の名を呼ぶが、もう遅かった。
レイもフェイトも、シンのあとを追い、プラントの外へ出た。

「艦長!あいつら…何を勝手に外の敵艦はまだ…。」
戦闘をモニターしていたアーサーが言う。
「インパルス、バルディッシュのパワー危険域です。最大でインパルス300、バルディッシュ400。」
メイリンの報告に、タリアは座っていた椅子から腰を上げ、ミネルバの出撃を宣言した。
インパルスとバルディッシュまで失う分けには行かないのだ。
デュランダルも許可を出し、ミネルバの発進準備が艦内全域に伝えられた。


303 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 02:00:15 ID:???]
単独で宙域を飛行するインパルス。
強奪された三機の姿を見つけようと躍起になっているシンにレイとフェイトからの通信が入る。
『シン、一旦引こう。こっちもパワーが危ない。』
『やみくもにでても…』
フェイトとレイがシンを引き留めようと何度も言葉をかけるが、聞く耳持たず、どんどん潜行していってしまう。

プラントの外壁の陰に身を潜めるエグザスとエクシード。
『無事、脱出、出来たみたいですね…。』
ネオへと入るナノハの通信。
そして三機が出てきた穴から再び三機が出てくる。
内、二機はアンノウンだ。
「ふ〜ん、なるほどねぇ〜。確にこれは…俺のミスかな。」
ネオは口元に笑みを浮かべ、母艦であるJPジョーンズへと必要事項を連絡。
そして、カオス、ガイア、アビスの三機が無事帰艦したのを確認すると、動き出した。
「さて、では見せてもらおうか、エクシードの力…。」
スラスター全開でインパルスらへと向かうエグザス。
「…了解しました。」
抑揚なくナノハは言う。
黒のラインが入る赤い翼、左右合計十枚を広げ、白に赤、金のラインの入ったモビルスーツ、エクシードはエグザスのあとを追った。
第二話、投下終了です。

楽しんでいただければと思います。



304 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 02:25:13 ID:???]
GJ

305 名前:まじかるしん作者 ◆om9ygRXchQ [2007/07/26(木) 06:40:55 ID:OyOAibAO]
私のせいでこんなことになるなんて…

荒れそうなので、私はこのスレから撤退します。

短い間でしたが、楽しく過ごせました。

ありがとう、そしてさようならノシ

306 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 07:07:49 ID:???]
>>305
つまらねー作者騙りは止めろ阿呆

307 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 07:37:12 ID:???]
GJです。いやいや十分楽しんでますよ。

なんだ?荒らししたいのに誰も相手してくれないから他人の振りして荒らしか?
じゃあ私が相手をしてあげよう。
氏ねじゃなくて死ね

308 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 08:02:28 ID:???]
文句言って良いのは自分で書いてるヤツだけだと思う俺

309 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 08:50:21 ID:???]
>>308
ギアス厨氏ね



310 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 08:54:26 ID:???]
>>309
すまん、どこがギアスネタなのか教えてくれ。


311 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 08:57:14 ID:???]
撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ!

312 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:00:30 ID:???]
>>311
ああ、なるほど。
dクス

313 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:05:40 ID:???]
>>303
乙なの!
なのフェイが互いに面識あるのかが気になる。

314 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:06:16 ID:???]
ギアスっていうより凄くありきたりなセリフだと思うけどね。
むしろ309が過剰反応しすぎ。

315 名前:名無し三等兵 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:17:14 ID:???]
>>314
馬鹿な住人には困ったもんだよな

316 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:38:23 ID:???]
とりあえずまじかるしんはもの凄くおもしろいです、と。
>>303
すごいな、なのはの雰囲気がなんか違う。これからの展開に期待してます!GJ

317 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:40:47 ID:???]
お前ら…いいかげんにしないと職人様が投下しにくいだろうが…

318 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 09:42:47 ID:???]
>>317
別に荒れてなんかいないよ?

電波飛ばしてないで仕事しろ

319 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:age [2007/07/26(木) 10:24:36 ID:???]
>>318
ああ、全く荒れてないよな



320 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 10:38:40 ID:???]
>>308
アホだな。お前。

321 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 10:48:07 ID:???]
>>303
シンとフェイトがいいコンビですな。あとレイも。ルナさんはどうしたんだろ?
続きに期待してます。

まじかるしんはすごくおもしろいですよ。こっちも続きに期待してます。

322 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 11:10:25 ID:???]
>>320
軍事板住人のこと?

323 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 11:23:23 ID:???]
>>322
違う。
SS書いてないと批評しちゃダメだとか言ってる>>308のような人だよ。

324 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 11:32:42 ID:???]
上の流れはどう見ても荒しじゃねーか…
308が極端すぎるといのは同意だけど。

325 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 11:35:43 ID:???]
夏ですからね。

326 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:age [2007/07/26(木) 12:03:18 ID:???]
>>325
空気読めない厨って嫌だよな

327 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 12:11:55 ID:???]
>>321
作者名無しで自演乙w

328 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 12:48:41 ID:???]
すまん、まじかるシンの作者様はぶっちゃけ文章力低いと思うよ
だけど、それを補うだけの魅力はあると思うよ

329 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 12:52:59 ID:???]
まあモビルジャケットとか書いてあった時には目が点になったが
斬新だし面白いよな



330 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 12:59:05 ID:???]
>>328
具体的に面白いところ、出してみて

331 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 13:01:57 ID:???]
>>330
パロかなぁ…安易なパロは批判されるが俺は嫌いじゃない
まあ、俺の言葉通り批判され易いがな。後はキャラの掛け合いとかかね。

332 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 13:14:04 ID:???]
>>331
パロディに逃げられると、正直ムカつく

333 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 13:33:25 ID:???]
正直ネタが分からなくて、笑ったほうがいいのか?ってところがある。

334 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 13:45:56 ID:???]
同意だな

335 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 13:56:48 ID:???]
weekryseiron.blog101.fc2.com/

336 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 14:44:37 ID:???]
職人さんに文句はあんまりいうもんじゃない。
嫌ならスルーでいいでしょ。
俺はまじかるしんは好き。

337 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 14:48:30 ID:???]
>>263
GJ!!です!
イザークが…某朴念仁に…って元からry(ウワー
まじかるしんの投下を心待ちにしております
これからも頑張って下さい


338 名前:まじかるしん作者 ◆om9ygRXchQ [2007/07/26(木) 15:35:02 ID:OyOAibAO]
みなさんレスありがとうございます。

でも、正直自分にはこれ以上書く気も時間もありません。

またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。

さようなら…

339 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 16:16:59 ID:???]
まじかるしんの作者様はトリップ使ってないはずなんだがな?
そんなものまで用意してなりすまし荒らしがしたいか。効果無いからやめとけ



340 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 16:19:35 ID:???]
>>339
同じIDで上のほうでもやってるから、スルーしとけ。
構っちゃだめだって。

341 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 16:20:47 ID:???]
>>327
お前さ、自演乙なんて言ってるけどさ。そんな証拠なんてあんの?
証拠も無いのに自演乙なんて……お前頭が腐ってんじゃねぇのか?

342 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 16:32:21 ID:???]
341
そいつもage厨

343 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 17:00:38 ID:???]
新しいSS書くような事もいってたし、書く時間がないともいわないだろう。
スルーしようぜ!

344 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 17:29:59 ID:???]
何だ、まだ荒れてるのか?
以降蒸し返す奴は問答無用で全員自演確定でいいんじゃね?反論も荒れる原因だからな。

345 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 17:40:25 ID:???]
うん、ごめん。またなんだ…、でも投下しようと思うんだ。
きりのいいところまで書けたし…。

行きます!

346 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 17:44:38 ID:???]
第三話 予兆の砲火

脳裏を駆ける直感的な鋭い感覚。
「何だ?」
レイは不振に思いながら、シンのあとを追った。

頭上、横、背後からのビーム攻撃。
「なっ!?一体どこから?」
シンはインパルスの動きをとめないように注意しながら宙域を滑る。
「さぁて、その機体も頂こうか!」
ネオは口元を歪にゆがめ、突撃ビーム砲四機をインパルスに目がけ、再び射出する。
直線的ながらも、ランダムに動くその四機の砲塔はインパルスを全包囲、360度で狙い撃つ。
次々と放たれる砲火をインパルスは盾を使い防ぎ、何とか避けた。
グルグルと回るメインカメラのモニター映像。
とはいっても、あたり1面似たような風景が続くので不快な思いはしないが…。
額に汗が滲むシン。
右から放たれるビームをかわすと、直後頭上、そして、下、そして左。
一発でもあたり、動きを止めれば、撃墜は必死だろう。
めまぐるしく動く発射体の動きについていけず、避け、防ぐのだけで精一杯だ。
『『シン!!』』
フェイトとレイが援護に駆け付ける。
スラスター全開でバルディッシュとザクが割って入った。
そしてネオの脳裏にもレイと同様の感覚が駆けた。
全包囲から放たれるビームの嵐を巧みに避け、かわしバルディッシュとザクが位置を入れ換える。
ザクを狙うビーム砲塔をバルディッシュが間合いの長い鎌で破壊。
そして、バルディッシュを狙うビーム砲塔をザクのビームが撃破する。
『何をやっている!シン』
『ぼうっとしてたら、落とされるだけだよ!』

「こりゃ、さすがの俺も一人で三機を相手にするのはしんどいかな…。」
エグザスのコクピット内でそんなことを呟くネオ。
サブモニターにうつるナノハの姿。
『ネオ…、撃つよ?』

戦闘区域よりも少し離れた宙域にエクシードはいた。
「エクセリオンバスター・フォースバースト」
ナノハが呟くとマルチロックオンシステムが機動。
レーダーにうつるインパルス、ザク、バルディッシュの三機を表す機影を赤い枠が囲んでいく。
「ロックオンされた?」
フェイトが声をあげた。
『ロックオンって一体どこから?』
ビームを防ぎつつシンから通信が入る。
『動きを止めるな!ぼうっとしていたら、ただの的だぞ。』

二丁のライフル、ディバインバスター、背部の両翼のバインダーから姿を見せる二つの砲口、ディバインバスターEX。
そして腹装砲、エクセリオンバスターから膨大な光が溢れだした。

347 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 17:49:01 ID:???]
「機密正常、FCSコンタクト、ミネルバ、全ステーション異常なし。」
アーサーはミネルバのシステム起動が正常に進んでいることを確認していく。
「索敵急いで。インパルス、ザク、バルディッシュの位置は?」
進水式がまだにも関わらず急遽発進することになっミネルバ。
「インディゴ53、マーク22、ブラボーに不明艦1。距離、百五十!」

「それが母艦か…」
デュランダルが言う。
「熱紋をデータベースに登録、以後、対象をボギーワンとする。」
タリアにより、指示が出され、そして
「同、157、マーク80、αにインパルス、ザク、バルディッシュ。
交戦中の模様。」
三機の位置を特定したメイリンがタリアに報告する。
「呼び出せる?」
「駄目です!電波障害激しく、通信不能。」
「敵の数は?」
「二機です。モビルアーマー、モビルスーツ一機ずつです。」

五の奔流が通り抜け三機を散々にする。
「なっ…」
回避するシン。
その奔流の歩飛ばしる勢いと太さが、破壊力を物語る。
「もう一機!?」
フェイトはバルディッシュに近付いてくる敵影を目視。赤い十の翼。
左右の手に持つ、ライフルの砲口が向けられ、交互に放たれる桜色の奔流がバルディッシュのビームシールドに突き刺さり、霧散。
そして、動きを一瞬止めたバルディッシュに容赦なく降り注ぐエグザスの突撃ビーム砲。
「フェイト!」
インパルスはスラスターを全開でアンノウンモビルスーツへと向かう。
メインモニターを横切る発射体。
「ぐっ!!」
フットレバーを緩急つけて踏み込み、ハンドレバーを操る。
インパルスを減速させ、盾を構え、左右に移動させながら、突撃ビーム砲の狙いを散らし、正面はシールドでガードする。

突撃ビーム砲によるビーム砲の嵐を上昇降下、左右後退、サイドローリングしながらかわす、レイの操るザク。
一旦呼吸を置き、エグザスの本体を狙い撃つザクのビーム。
「ちぃっ…。」
ネオは舌打ちをし、ビームスパイクを射出した。ザクは上昇してかわす。

「はぁっ!!!」
ビーム刃を持つ鎌で横一閃。しかし、エクシードは後退し、かわしながらビームを連射する。
見たところ、近接戦闘用の武器がない。
「シン!!」
フェイトはインパルスへの通信回線を開いた。

348 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 17:52:17 ID:???]
「ボギーワンを撃つ!」
タリアは決意し、指示を出す。
「ブリッジ遮蔽、進路、インディゴδ、信号弾、及びアンチビーム爆雷発射用意!
アーサー!」
「了解、ランチャーエイト、一番から四番、ライトハルド装填。
トリスタン、一番二番、イゾルデ起動。照準、ボギーワン!!」
アーサーの声と共にミネルバの武装が次々と起動させられていく。
「彼等を助けるのが先じゃないのか?艦長…。」
デュランダルは怪訝そうな顔で、タリアに聞いた。交戦中のザクを除いたインパルスとバルディッシュの二機は、エネルギーが危険域と聞いたからだ。
戦闘中のモニターを見ても、三機の分が悪く見える。
「そうですよ、だから母艦を撃つんです。
敵を引き離すのが一番手っ取り早いですから…。この場合は…。」

「艦…?」
ネオは呟きながらモニターでミネルバの姿を確認。
「欲張り過ぎは元もこもなくすか…ナノハ!!」
ネオが呼ぶと、通信モニターにナノハの姿が移る。
「そいつらを振り切れるか?」
『…うん…。大丈夫だよ…。振り切れば、いいんだよね?…』
「そうだ…。」
ナノハは頷き、モニターの画面が消える。
ネオはザクを突撃ビーム砲で牽制すると戦線を離脱した。

一方、二方向に大型のビームを放つエクシード。
そしてその方向から向かってくるインパルスとバルディッシュ。
そのビームを紙一重の距離でかわし、エクシードに斬撃を見舞う二機。
エクシードはそれらを宙返りしてかわし、背部両翼のバインダーに収納されているディバインバスターEXを展開。
放たれる大型のビームをなんとか回避するインパルスとバルディッシュ。
そしてその間に背部の翼、フライヤーフィンをスライドさせ展開、エグザスの後を追っていった。
「くそっ!逃がすか!!」
シンが追撃しようとするが、ミネルバから信号弾が放たれ、帰艦命令が出る。
「ミネルバ…、帰艦信号!?何で!」
「そろそろ、インパルスもバルディッシュもパワーがきついからね…。」
ヘルメットを外し、額の汗を拭うフェイト。
「何より、命令だ…。戻るぞ!」
三機はミネルバへと向かった。

349 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 17:57:26 ID:???]
追撃を受けるボギーワンこと、JPジョーンズ。
ライトハルド、トリスタン、次々放たれる砲火が次々とJPジョーンズを襲う。
そんな悪条件の中、エグザス、エクシードは帰還し、ネオは指示を出すため、直ぐ様ブリッジへ上がっていった。

「インパルス、ザク、バルディッシュは?」
慌ただしいミネルバのブリッジ。
「帰投、収容中です。」
「急がせて!このままボギーワンを追う。」
タリアはメイリンにそう言いつけた。

「大佐!」
JPジョーンズブリッジに入ってきたネオに艦長が声をかける。
「悪い、少し遊び過ぎたか…。」
「かなり足の早い艦のようです。厄介ですぞ。」
次々放たれるミサイルの迎撃の指示を出す。戦艦の付近で爆発、衝撃で船体が大きく揺れた。
「両弦の推進材予備タンクを分離後爆破!アームごとでいい、鼻っ面に食らわしてやれ!!」
指示を出すネオ。
「同時に、上げ舵35!取舵10、機関最大!!」
ネオの指示でトリスタンをかわし、本格的な逃走を開始した。

帰還したレイは状況を知るため、すぐにコクピット内から飛び出して行く。
シンもそれは同様だが、ヴィーノとヨウランのかける声にも反応せず、行ってしまった。
シンの様子に異変を察知するヴィーノとヨウラン。
「何だ、あいつ…。大丈夫か?」
ヨウランとヴィーノは顔を見合わせ、バルディッシュへと向かう。
こちらは割りとゆっくりだ。
「フェイト、大丈夫か?」
シンにかけた言葉と同じ言葉をフェイトにかけるヴィーノ。
「うん…、大丈夫だよ…。ちょっと疲れてたけど…。ごめんね、逃がしちゃった…。」
「何でもいいよ、無事に帰ってきたんだからさ…、お疲れ、フェイト。」
「うん…。」
フェイトは困ったような笑みを浮かべ、頷いてから、コクピットを出ていく。
長い金髪ふわつかせながら、フェイトは出口へと向かった。




350 名前:Fate×Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 18:00:55 ID:???]
投下終了です。

名称や表現など違ってたりしたらごめんなさい。

戦闘描写、難しいです。

351 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:10:32 ID:???]
GJです!シンとフェイトがお互いを気遣いあってていい感じですな。

352 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:12:58 ID:???]
GJ!!

353 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:23:17 ID:???]
GJ
素晴らしいバトルでした。

354 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:24:23 ID:???]
GJ!
このフェイトはもちろん常時ハイレグですよね?

355 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:29:41 ID:???]
GJ!
どうでもいいんだけど赤服って当初は5人で
4話か5話あたりで2人共瞬殺されてたよね?
ルナがあっという間に2人もとか言ってた気が・・・
あれはないわと思ったな

356 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:42:11 ID:???]
最初はデバイスMS化とか無理だろ、出来てもつまらなさそうとか思ってたけど、GJ
俺の中のエクシードのイメージがフリーダムだけど、それはそれで面白そうじゃね?

357 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 18:52:29 ID:???]
>>355
その二人は赤服じゃなくて緑服だよ
赤服はシン達3人だけ

358 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:06:47 ID:???]
>356
フリーダムVSエクシード…か。
楽しみなような気がしないでもない。

359 名前:通常の名無しさんの3倍 [2007/07/26(木) 20:13:17 ID:4TzwdQVm]
>358
フルバーストとフォースバーストのガチンコが見れそうだwww



360 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:14:31 ID:???]
だがダルマにされて瞬殺しか思い浮かばんな
魔法でキラがなのはに敵わないように
MSではなのはがキラに敵うわけないしな

361 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:23:59 ID:???]
まぁ・・・それでもなのはがキラ相手に
どこまでやれるか見ものだな。


362 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:28:55 ID:???]
MSでまでキラを葬る超人なのはなんて見たくねぇよ
なのはがゴジラ倒す動画見て悦に浸ってるニコ厨じゃあるまいし

363 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:32:24 ID:???]
まぁ見せ方次第だな。


364 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:34:13 ID:???]
>>362
じゃあ俺はニコ厨でいいや。

365 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:35:52 ID:???]
とことんキラを嫌われものにするか、なのはを嫌われものにするか

366 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:40:36 ID:???]
>>364
人間性がオワッとるな。

367 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 20:42:36 ID:???]
contact of Destiny4話10時頃に投下予定ですが、宜しいですか?
ちなみに前、中、後の三つに分かれそうです。メモ帳に書いていますが70KB近くの量に……。1話は24KBだったのですがorz
前、中、後、30分おきに投下予定です。

下、感想です。

>MMGSLNSDSCVG氏
六課VSCEですか。これは今までにない話だ。管理局は一体何をやらかしたのやら。
ラクスが出てきたけれど、彼女は戦うのかな? ともあれGJです。
>38 ◆KHEtQ2j5Nc氏

おお、自分のSSと似た世界観だ。
しかしキラとカガリが……なんか、なぁ。和解するにも相当苦労しそうだ…というか、和解します?
ステラが生きていますが、どんな理由か楽しみにしてます(自分のSSでは死んでますので)

>りりかるシード STS氏

おお、シンが先輩の貫禄を見せている。かっこいい、と思いきやなのはさんに止められてふて腐れてる……。
でもシンのポジションが良い感じですね。スバル達よりも格上だけど、なのは達よりも遠くない。
GJです。

>まじかるシン
アルカンシェルがローエングリンの変わりですか。おまけにエドやスヴェンのエース二人。
…誰かが重傷か、再起不能になりそうだ。
そしてさりげなく凍結系を使うディアッカカッコヨス

>望氏

再開した二人。まさかいきなり殺し合いには……ならないか、な?
でもなのはやフェイトが傷つけられたら、どうなるやら。
高町家でのほのぼのがいい感じです!

>神隠し氏

友との意外な再開に悩むシンとキラ…。さて、彼らはどんな道を選ぶのでしょうか。
そしてヴィヴィオに絡まれるキラ。さぁ、今こそ孤児院で鍛えた子供のあやしかたを見せるときだ!

>種なのは(仮)氏

初っぱなからSLBですか。どこでも全力全開は変わりませんななのはさん(小)
ザフト側には誰か加わるのでしょうか? GJです。



368 名前:lyrical Seed Destiny(感想続き) mailto:sage [2007/07/26(木) 20:43:47 ID:???]
>魔法学園リリカルプラント
おお、ほのぼのとしたSSですね。スカリエッティが保険医…。
と言うことはルーテシアやナンバーズは当然学生ですね?
どう絡むのか、楽しみです。

>暇人A氏

空港火災を起こしたのはレリックのはずですが、人為的手があったのでしょうか。
というか、本編でも原因って、明らかにされてないんでしたっけ?
GJです。

>GmV9qCP9/g 氏

GJ。しかし30回とは、作品の中で一番長いのでは。
なのは達がCEの戦争に関わる話。古参の方のようなので、wktkして最初から読ませていただきます。

>ジ・アストレイ氏
ルーテシアサイドのSSですか。意外な組み合わせですねー。
六課サイドじゃない作品は稀少なので、期待してます。
17話あたりとか、凄そうな予感…。

>SEED NANOHANY氏
ザフィーラに食われたキラ、合掌。そしてレイ……
「俺はすでに錯乱している」
そう言っているレイを止めようとしない男性陣鬼畜ですなぁ。
そしてオチは管理局の白いあ(r

>高い天を行く者から勇敢な者へ氏

殴られ、殴り返すとは。さすがカナードと言ったところでしょうか
スバル達とはどう絡んでいくのでしょうか。wktkしながら続きを待ってます!

>SDデバイス氏

シンが熱い。ムチャクチャ熱い!
次回も楽しみです!!

> Fate×Destiny 氏

ナノハさん、ファントム・ペインですか! しかしフリーダムと同じマルチロックオン。核を搭載してるのでしょうか。
デバイスがMSになるSSはこれが初めてでしたっけ? CEの世界で、ナノハとフェイトはどんな戦いやドラマをみせてくれるのか。
戦闘描写も上手く、GJです!


369 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 20:59:45 ID:???]
Fate×Destiny 氏
皆GJばかりなのであえて批評意見を

なのはがどんな経緯でCEにきてファントムペインに入ったのかは、今後語られるでしょうけど
あきらかにステラ達同様いじられてるみたいですね。
言動とかやファントムペインに専用機付きでいる時点でそのような雰囲気がします。

あとすでになのはには、死亡フラグ立ってる気がするんだが職人さんも前になのはは死ぬかもって言ってましたしね。

世界がCEで戦争ものだから仕方ないものかもしれないけど、なのは死んだらこのスレ荒れるんじゃないか。

それに守護騎士達は出ないと仰っていましたけど、フェイトやなのはがいなくなったらさすがに管理局が探すのではないでしょうか。
それともCEは管理局でも探せない世界なのでしょうか?
管理局も完璧ではないですから、そういうこともあるでしょうが。



370 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:16:27 ID:???]
ttp://rainbow.sakuratan.com/data/img/rainbow48704.jpg
SS支援の設定集!

371 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:30:41 ID:???]
そういえば、はやて達八神家の連中ってどこで寝泊りしてるんだろ?
なのは達やスバル達は六課の寮だし。
やっぱりミッドチルダに引っ越してそこに住んでるんだろうか?
それとも六課の寮に引越し?


372 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:33:54 ID:???]
>>371
中学卒業後、ミッドに移住したらしい

373 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:35:29 ID:???]
みんな中卒で働いてるんだっけ?

374 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:42:01 ID:???]
最終学歴が中卒で自称魔法少女な教官ってどうなのよ

375 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:45:11 ID:???]
>>374
学歴よりも魔導師としての才能なんだろう、優先するのはさ


376 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:46:05 ID:???]
魔法学校とかあるだろ常識的に考えて
3期は軍隊モノじゃなくて魔法学園モノにすりゃあよかったんだ

377 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:46:41 ID:???]
>>376
普通校と魔法学校があるよ。

378 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:50:09 ID:???]
>>374
どうでもいいよ

379 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:51:52 ID:???]
なのはとかキラとかって嫌いな食べ物とかあるっけ?



380 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 21:57:01 ID:???]
>>379
あったと思うけど忘れた

381 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:08:59 ID:???]
〜contact of Destiny〜 4話


1 


「よし、これで最後や」
 各関係部署への報告書をまとめ終え、はやては椅子に寄りかかる。
「今日はいつもにも増して多かったですー」
 机にへたり込むリィン。その姿に苦笑しつつも、静かに同意の意を示す。
 軽く休憩を入れていると、リィンが言う。
「あ、はやてちゃん。そろそろお客様が到着する時間ですよ」
 時計を見ると、到着時刻三十分前だ。相手に失礼がないよう、会議に参加するメンバー
に呼び出しをかける。
 五分ほどの時間が過ぎた後、スターズ、ライトニング分隊の隊長、副隊長たちはそろっ
たのだが、
「シンはどうしたん?」
 四人に尋ねるが、全員首をかしげる。CEからの援軍である彼は形式上六課に所属して
いるが、実際のところ自分たちと行動を共にするのは出撃の時や会議のときぐらいだ。
「出かけるって言う連絡はなかったから、隊舎のどこかにおるはずやな」
 端末を使い、スキャンをかけるとあっさり見つかる。訓練場にいるようだ。
「訓練場? シンの奴、まだそこにいるのかよ」
 あきれた様子でヴィータが言う。確かに朝食後、訓練場に行くといっていたが今は昼前
だ。もしかして朝食後からずっと訓練場にいたのだろうか。
 いったい何をやっているのかと思い、様子を伺う。一際大きいウィンドウが展開し、訓
練場の様子が移る。
 訓練場には大きな真紅の結界が見える。その中心にシンはいるが、何やら妙に疲弊して
いる。
『くそ……やっぱり”デスティニー”が完全じゃない状態だと、体への負担が大きすぎる
な――』
 自分の掌を見て、何やらぶつぶつと呟くシン。不思議に思いつつ、はやてはシンを呼ぶ。
「シン、何しとるの!」
             ・ ・ ・
「……ん? なんだ、はやてか」
 汗をぬぐっているシンは気だるそうにこちらを振り向き、ファーストネームで呼ぶ。
「…今は仕事中や」
「あー、はいはい。すみませんでした八神部隊長」
 反省の感じられない声でシンは言う。
「朝言っとったやろ、今日は昼前に会議をするって。お客さんも来るんやから、さっさと
部隊長室に来てや」
「……ああ、そういえばもうそんな時間か。わかった、シャワー浴びたら、すぐ行く」
「あと二十分弱でお客さんが来るんよ!?」
「待たせても平気だって。お客さんって言っても、どうせルナかアスランだろ」
 結界を消し、隊舎へのろのろと歩きながらシンは言う。怠惰なことこの上ない。
「──ふぅん。なんだかずいぶんと偉そうなことを言うのねぇ、シン」
 訓練場からもう一つの声が聞こえ、見るとシンのすぐ近くに赤のショートヘアの女性の
姿が。

382 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:10:09 ID:???]
「ル、ルナ……」
「訓練お疲れご苦労様。──なんだか私、久しぶりにシンと訓練したい気分になってきた
わ。疲れてるところ悪いけど付き合って」
 にっこりと笑うルナマリアと後ずさるシン。それを見て、はやては頭を抱えた。



 カーテンが閉め切られ、電灯が消され暗室となった会議室。
 円卓には六課の隊長、副隊長にシン。そしてルナマリアの姿がある。
 午前中の訓練の後にルナマリアの強制訓練でシンの体は疲労困憊だ。会議が終わったら
レイの見舞いに行く前にシャマル先生から薬をもらおうと決める。
 今回、彼女がいるのは六課が送っている報告書でCE側から何かの報告があるというら
しいのだ。
 テーブル円卓の中央部に映し出される立体映像には六課の面々が戦った者達が映ってい
る。
 ガジェット、ソキウスと切り替わり、次に映ったのは例の魔導士達だ。
「さて、前回の襲撃後シン・アスカが提出したレポートにありました”ゲシュマイディッ
ヒ・パンツァー”と言う魔法ですが、彼の推測通り、これはCEの魔法です」
 テーブル場に表示されたカーキ色のバリアジャケットを纏う魔導士の立体映像は、なの
はやフェイトの砲撃を逸らしている姿が映っている。 
「この魔法を使う魔導士は魔法自体の特殊性により限られており、そしてこの魔導士は実
はCEの大戦中の記録に残っていたのです」
「じゃあCE出身の魔導士なのか」
 シグナムの言葉に肯定の返事を返すルナマリア。さらに彼女は彼らがブーステッドマン
と言われる連合の特殊パイロットだと説明。
 その説明を聞き、シンは内心で叫びを上げる。
――投薬、特殊訓練、精神強化及び操作された兵士…! それじゃあこいつらはステラと
同じなのか!?
 シンの脳裏に蘇る、守れなかった無邪気な少女の影。海が好きで、天使のように純粋だ
ったステラ。どんなことをしても守りたかった存在――
「しかし彼は5年前――前々大戦のヤキン・ドゥーエ宙域戦において死亡が確認されてい
ます」
「は? なんだよそれ。じゃあ今ここに映ってるこいつは何なんだ?」
 当然の疑問をヴィータが上げる。ルナマリアは後で説明を、と言って話を続ける。
「彼だけではなく、他二人の魔導士も同時期に死亡していると情報があります。この情報
は彼らと交戦し、直接止めを刺した方からの情報なのでほぼ間違いないでしょう」
 そして、と彼女は言い、
「前々大戦、彼らのうち一人――青緑のバリアジャケットを纏う魔導士を倒したのが他な
らぬアスラン・ザラ中将なのです」
「アスランが!?」
「死亡したはずの人間が、どうして今もない生きているのか。それについてははっきりと
わかってはいません。しかし、ある程度の推測は立てられます。
 それは彼らが人造生命体――私達の世界の言葉に言い換えれば、クローンと言うことで
す」
 シンは息を呑む。思わず膝の上にある手が硬く握られる。
――クローンだって? こいつらが、レイと同じ?

383 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:11:27 ID:???]
「ソキウスや彼ら3人の魔導士達を見たザラ中将は当初、今回の事件を裏で操っているの
はCEの出身者であると思っていたそうです。ソキウスも彼らもCEの技術で作られたも
のですから。
 しかしCEのクローン技術はここまで優れていません。ですからこのように考えられま
す。
 一つは生体技術に優れた科学者が何らかの方法で彼らの細胞を手に入れて造り、私兵と
しているか。もう一つはその科学者とCEの元連合の人間が共謀しているかの二点だと。
 そしてその二点のどちらにも共通していることが――」
「CEのロストロギアや「レリック」を狙っとるちゅうことやな」
 はやての言葉に、重々しくルナマリアは頷く。
 シンは机の上に映る魔導士達を複雑な感情で見る。
――こいつらはステラと同じ、連合によって強制された生を与えられた人達……。奴らの
思惑通り戦って死んで、ようやく安らかに眠っていたはずなのに……!!
 総身を震わせるシン。激情を抑えるのが精一杯でルナマリアが何を言っているか分から
ない。
――どうしてこんな真似をする! どうしてこんな事が許される! 人の人生を、命をも
てあそぶような真似を!?
 脳裏に浮かぶステラの最後。そして続いて現れたのはレイが自身の出生を明かしたとき
の表情。
『俺は、クローンだからな』
 淡々と語る親友。かつてはそう見えたあの顔が今になっては怒り、憎み、嘆いて摩耗し
きった表情だったと気付く。
――誰がどんな理由でこんな事をしたのか知らないが絶対に許さない。必ずその罪、償わ
せてやる……!!
 心の中で怒りの種火を燃やし、シンは誓う。今は亡き少女と、苦しむ親友に。





『ねぇギル。ラウは?』
 無邪気に訪ねる幼い自分。だがギルは端正なその表情に悲しみをにじませている。
『ラウは…もう、いない』
 ラウがいない? ギルのたった一人の親友であるラウが? 自分にとってもギルと同じ
ぐらい、大切な彼が?
『だが、君もラウだ』
 唖然とする自分へギルは薬の入ったケースを差し出す。
『それが君の運命なんだよ……』
 そしてギルは語る。ラウと、自分の運命を。そして全てを語り終え、彼は自分に言う。
『いつか必ず……この間違った世界を正そう。もう一人の君が果たせなかったことを、私
達の手で』


「――……っ」
 目を開けると視界に入ったの病室の電灯だ。レイはベットからゆっくりと起き上がる。
「……夢、か」

384 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:12:36 ID:???]
 大きくため息をつき、呟く。眠っていたはずなのに体が鉛のように重い。全身に汗をか
き、入院着がへばりついている。
 幾度か呼吸をすると、疲れを見せていた表情は、いつもの無表情に変わる。そろそろシ
ンか六課の誰かが見舞いに来る時間だ。余計な心配をかけてはいけない。
 戸棚からタオルと下着、新しい入院着を取りだす。汗を拭いて着替え、側にあるコップ
に水を注ぎ、喉に流し込む。
 喉を通る水がいつも以上に体に染み渡る。素直に上手い、と感じ、コップを戸棚に置く。
 ようやく落ち着きを取り戻し、寝る前まで読んでいた魔導書に手を伸ばす。
 10ページほど読む終えると部屋のドアが開き、シン、フェイト、そしてルナマリアの
三名が入ってくる。
「やっほ、レイ。元気してる?」
「元気ならここにはいないな」
「……変わんないわね。その冷淡なリアクション」
 呆れの表情のまま、壁に掛けてあるパイプ椅子を組み立てて座るルナマリア。フェイト
もそれに倣い、何故かシンはぎこちない動きで続く。
「それにしてもルナマリア。今日はどうしたんだ」
「どうしたって、はには?」
「……」
 会話の最中、フェイトのむいた果物を頬張るルナマリア。飲み込むのを待ってから、
「お前がここに来たのは初めてだろう。何か理由があるのかと思ったんだが」
「ないわよそんなの。ただ単に元気にしてるか見に来ただけよ」
 あっけらかんと言う。それからしばしルナマリアがメインでの会話が展開する。好奇心
旺盛に彼女は自分とシンの3年間の出来事やフェイトへのプライベートなことや魔法に関
して、とにかく興味津々に話しかけてくる。答えが返るその都度、感心したり唸ったり、
笑い転げたり、何故か自分とシンを半目で見たりなど、リアクション豊かに反応する。
 3年の月日は外観だけは彼女を大人に変えたが、中身は殆ど変化がないようだ。
「――ってことがあったんですよ。レイはともかくシンの奴、妙にかっこつけるから」
「へ、へぇ。そうなんだ……」
「何捏造してるんだよルナ! そんなことなかったぞ! ってかフェイト、お前も何納得
してるんだ!」
 シンとフェイト。双方のやり取りは自分とのやり取りとそう変わらない。あの日以来、
どうやらシンは六課で上手くやっているようだ。
「ご、ごめん……」
「フェイトを虐めないの。大体捏造だなんて人聞きの悪い。全て掛け値無しの事実よ。ね
ぇレイ?」
 フェイトの頭を撫でながらルナマリアが言う。いつの間にか彼女も六課の面々と仲良く
なっているようだ。
「シン、気にするな。俺は気にしない」
「俺が気にするんだよ!」
 さらに話は続き、ルナマリアとフェイトが楽しげに話しては笑い、対照的にシンは怒っ
たり叫んだりしているが、本気でないそれを皆無する。
「…あ、私そろそろ行くわ」
「帰るのか」
「うん。このあとちょっと会議やら魔法の講義やら色々あるし。あんまり長居できないの
よね。じゃあねレイ。また来るわ」
 立ち上がったルナマリア。それにフェイトとシンが続く。
「あ、ルナマリアさん。下まで送ります」

385 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:13:45 ID:???]
「俺も。トイレのついでに見送るか」
「……シン、あんたそのデリカシーの無さ、何とかした方がいいわよ」
 出ていく三者。それを見送りレイは微笑。
 こういうとりとめのないやり取りが、今のレイにとっては何よりの清涼剤だ。特に今日
はルナマリアがいてくれたおかげで盛り上がった。
 ふと、レイの脳裏にアカデミー自体のやり取りが蘇る。あの時もこんな感じだったな―
―思い返して窓へ目を向けると、戸棚の隅に放置してあるモノを見て、視線が止まる。
 レイのデバイス”レジェンド”だ。数日前、見舞いに来たフェイトから渡されたのだ。
『デバイスの基礎構造は問題ないけど”ドラグーンシステム”を直すのには時間がかかる
って。準備ができるまで返しておくね』
「フェイト・T・ハラオウン……」
 この病院に入院してすでに1月弱、何もせずレイはただ読書に没頭しているわけではな
かった。
 アスラン達の動向、そして機動六課の面々についても独自の方法で調査していたのだ。
 そしてその途中、自分と同じ自然ではない生まれのものがいることをレイは知る。それ
がフェイトだ。
 だが彼女は自分と違い、生まれ以外は何ら普通の人と変わらない。自分のような短い時
間しか生きられない欠陥品とは違う。
 ここに入院し、シン以外で見舞いに来る回数が一番多いのが彼女だ。
――同情? それとも、憐れみか
 知ったときは気になったが、すぐにその問答は捨てた。そんなことを訊ねてしまえば相
手に不快な思いをさせるだろうし、何よりシンの立場を悪くしかねない。
 それにどちらであってもレイは気にしない。気にしないのだから――
 ベットから立ち上がり”レジェンド”を掴むと、戸棚の引き出しへ放り込む。
「もう、俺には必要ない……」
 ここに入院し、検査を受けて分かったことなのだが、クローンであるレイのテロメアが
短いのは元の人物のテロメアが短いと言うこともあるのだが、それ以外にもう一つの理由
が発覚した。
 それは魔力を行使することだ。医師の話によれば自分の場合、魔力の増幅や回復にもテ
ロメアが少なからず関係しており、その度にレイのテロメアは少なくなっていったという。
 ここ数年でさして発作が起きなかったのも、魔力を使用しなかったからだという。
 レイは率直に医師に尋ねた。魔力を使うのと、使わないのとでは、自分は後どれぐらい
生きられるのか、と。
 躊躇しつつも、医師は答えた。魔力を使用し続ければ数年の命、使用しなければ10年
弱だと。
 そうならないよう数日前より特殊な投薬でテロメアをのばそうとしているそうだが、今
のところ効果はないという。

「所詮は歪んだ命。真っ当に生きようなどと思うこと自体、間違いだったのかもしれない
……」
 3年前、あのメサイアでキラ・ヤマトが語った言葉に心を動かされ、自分は最も大切な
人の命を奪った。
 そして死ぬはずだった自分。――だが自分を呼ぶシンの声。それを聞きグラディス艦長
とギルは自分をシンの元へ送ってくれた。
 シンにも、今は亡き二人には感謝してもしきれない。――しかしこうして自身の運命を
知らされると彼らに対して申し訳ない気持ちになる。

386 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:15:05 ID:???]
 精一杯生きようとしてもこの体は常に自分に死が迫ることを教える。こんな体だからた
った一人の親友の力にもなれない不甲斐ない自分。
「俺は……このまま生きていていいのだろうか………」
 ここ数年、常に考えてきたことだ。CEを抜け、シンと共に暮らしても常に発作は起き、
働くシンに対し、自分は家事を手伝うことしかできない。
 そして今回シンが六課に協力することにしても、自分という足枷がなければアスランの
思惑通りに戦うこともなかっただろう。
「すまない……シン」
 友に謝罪したその時だ。体の奥深くが締め付けられる圧迫感を覚える。
「…っ! が、あっ……」
 いつにない強烈な痛み。ナースコールに手を伸ばそうとするが錆びついたブリキ人形の
ように鈍く、ぎこちない。視界はぐらつき、呼吸は速く、短い。
 苦しい、苦しい。感覚全てが苦痛を訴えている。これほどまでの苦しみは感じたことが
ない。胸部を押さえる手のひらが強く食い込み、血を流す。
「ぁ…。…っ……」
 十分か、一時間か。もはや時間の流れさえもはっきりしない時が過ぎ、ようやくナース
コールに手が届き、スイッチを押す。
 しばらくし自分の名前を呼ぶ誰かが慌ただしく病室に入ってくる。しかしレイはそれが
誰かを確認する前に、気を失った。





 黒の帳に覆われた病院。がらがらの駐車場にライトをつけた車が停車する。
 二人乗りのそれから出てきたのははやて、そしてフェイトだ。人気のなく、しかし電灯
のついている病院はどこか不気味な雰囲気を持つ。
 中に入りエレベータに乗る。3階に到着してすぐに右に曲がる。昼間なら大勢の人で賑
わっている憩いの場は電灯が落ち、外からさし込む月の光で僅かに内装が見えるだけだ。
 入り口付近のソファーに手を組み、腰を下ろしている人物を見つけ、はやては声をかけ
る。
「シン……」
 名前を呼ぶが、シンは反応しない。猫背のまま俯くばかりだ。
 別件で隊舎に戻ってきて、はやては昼間に起こった出来事を聞いた。シン、フェイト、
そしてルナマリアの3人がレイの見舞いに行ったところ、レイの容態が急に悪化したのだ
という。
「シン、レイの様子はどうなん?」
 シンは答えない。はやてはシンの肩を叩くと、シンはのろのろと顔を上げる。
「…はやて、か」
 部屋の影に覆われた彼の表情は幽鬼じみた雰囲気を漂わせている。
「シン、レイはどうなったの?」
「……わからない。あれからここでずっと待っているけど、何も連絡がないんだ」
 言って、再び頭を垂れてしまう。
「シン、今日はもう遅いから、帰ろう」
「いや、俺はここにいる」
「でももうこんな時間だし……休まないと今度はシンが倒れちゃうよ」
 すでに時刻は夜の0時時を回っている。後一、二時間でレイが倒れて半日が経過する

387 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:16:23 ID:???]
「シン、帰ろう。ね?」
 肩に手を置くフェイトを、シンは乱暴に手で押しのける。後ろに下がるフェイトをはや
ては慌てて受け止める。
「シン!」
 あまりの態度にはやては思わず声を荒げるが、顔を上げたシンを見て口を噤んでしまう。
 こちらを睨むシンの表情にはいつもの覇気はなく、触れれば砕けてしまいそうな脆さが
あった。
 先程はよく見えなかったが目元はくまができており、真紅の瞳は元の色以外の原因で赤
く染まっている。
「俺は……レイが大丈夫とわかるまで、ここにいる」
「はやて、シンの好きにさせてあげよう」
 立ち上がったフェイトがこちらを見て言う。
「フェイトちゃん!?」
「お願い」
 懇願の口調でフェイトが言う。はやては驚き、しかしすぐに気が付く。
 彼女は見ていたのだろう。苦しむレイと、それを見て取り乱すシンの姿を。
 そういえば――はやては思い出す。過去、なのはが任務中に負傷をして入院していたと
き、ヴィータやフェイトが暇なときがあれば、なのはの病室に泊まり込むことがあった。
 きっとその時の自分の姿をシンに重ね合わせているのだろう。
「……大丈夫とわかるまでやで」
 ため息をつき、はやては言う。フェイトだけではない。はやてとてシンの気持ちは十分
にわかる。
 自分は泊まりこそしなかったものの、暇さえあればなのはの病室を訪れていたのだから。
「さて、と。シン、夕食は……食べとらんよね」
「あ、売店……は、もう開いてないか。それじゃあ近くのマーケットに」
 フェイトが言いかけた先を病院内に響く音が遮る。視線を向ければ白衣を着た壮齢の男
性がいる。レイの主治医だ。
「八神さん、来ていらっしゃったのですか」
 疲れをにじませた声で彼は言う。はやてはレイの容態を尋ねようとするがいつの間に立
ち上がったのか、シンが駆け寄る。
「先生! レイはどうなんだ!?」
 駆け寄るや白衣の襟首を掴むシン。心配していたのは分かるが、やり過ぎだ。
「ちょっ…シン、落ち着き! そんなことしたら先生が話せんやろ!」
 はやては慌てて両者の間に割って入る。襟を正した主治医にはやては謝るが、彼は特に
気を悪くした様子を見せず、
「バレルさんの容態ですが、今のところは安定しています。
――ですか予断を許さない状態ではあります。今日起こった発作も今までにはなかったほ
ど状態が悪かったですし。
 今日の検査でも安定していただけに我々としても今日のような副作用は予想外――」
 淡々と語る彼にシンは掴みかかり「ふざけるなっ!」と罵声を浴びせる。再びはやては
引きはがそうとするが、今度はビクともしない。
 テロメアが短いため、発作に苦しみ、先短い命を持つレイ。解決策としてはテロメアを
長くできればいいのだが、それは非常に困難なことなのだ。
 テロメアに深く関わっているのがテロメラーゼと呼ばれる成分で、これを体内に導入す
ることでテロメアを延長させることが可能だという。しかしミッドの医療技術でもそれは
非常に困難で、成功率が極めて低いのだという。そして外部からテロメラーゼを導入する
ことにより副作用の可能性もある。――これはレイの治療を行う前に説明されていたことだ。

388 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:17:37 ID:???]
 フェイトと二人がかりでようやくシンを引き離す。敵のような目で主治医を見るシンに
彼は、
「申し訳ありません。今のは不適切でした。ただ、今日の発作はもしかしたら良い結果に
結びつくかも知れません」
「どういうことだよ!?」
「過去、テロメラーゼを導入した患者で発作の具合や状況は違いましたが同様の症状が現
れたという記録があるのです。
 そしてその後にテロメアの延長現象が現れたとも」
「じゃあ、レイは、レイのテロメアは――」
 ぱっと明るくなるシンだが、主治医は暗い表情のまま続ける。
「断言はできません。記録はほんの数件。その記録の数倍の量でテロメア延長に失敗した
という記録の方が多いくらいなのですから。
 でも私達はバレルさんの治療に最前の手は尽くします。それだけはお約束します」
 固い声で主治医は言った。





「――それで、保管場所は分かったのかしら」
 クラナガンのとあるバー。薄暗い店内の中には僅かな数の客がおり、店内にはレトロな
音楽が流れている。
 ナンバーズ、ウーノが目の前の男に問うと彼は愉悦の笑みを浮かべ、
「まぁな。特に苦労もしなかったな。次元世界の法の番人と称されているが所詮はどこの
組織とも変わらん。腐った部分はいくらでも見つかるし、見つけやすい」
「それで、いつ実行に移すの」
「まだ決めてはいない。奪うだけなら今すぐにできることだが、それだけでは俺の欲求は
満たせん」
 笑みを濃くし、彼は酒をあおる。
「どうせ奪うのなら管理局に予告して、大勢の局員が守っているところを襲う。警備が厳
しくなればなるほど俺様にとっては最高の楽しみだ」
「クライアントが焦れているわよ」
「知った事じゃあない。俺は何よりも俺の欲求を最優先とする。大体そのクライアントや
ら借りた奴らは役に立っていない。文句を言うのなら己の私兵をもっとマシなレベルにし
ろと伝えておけ」
「私も焦れているのよ。忘れたの? あなたの雇い主は、私ですよ」
 こちらの注意に全く堪えない無神経な男に、ウーノは多少声を強めて言う。
「だったら契約を解除するか? 俺は一向に構わんぞ? お前から解雇されても俺の欲求
を満たせる仕事は探せばいくらでもある」
 ウーノは黙り込む。彼の雇い主は確かに自分だが、雇うよう命令を下したのは己の主だ。
この男を雇うことは、彼にとって何かしらの意味があるのだろう。そう考えると自分の勝
手な判断で止めさせるわけにはいかない。
「……とにかく、早く実行に移しなさい。やり方はあなたの好きにして構わないから」
 言ってウーノは席を立つ。これ以上話していると不快な気持ちを抑えきれなくなる恐れ
があったからだ。
 答えも聞かず、彼女は店を出た。

389 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:18:48 ID:???]
 気が付けば、白一色の世界にレイはいた。四方どこを見ても白だけの世界は虚無感と恐
ろしい孤独を感じさせる。
「なんだ、ここは……」
 何もないその場所に、レイは言いしれぬ不安を覚え歩き出す。景色は違えど、ここはあ
の忌まわしい場所――自分が生まれた研究施設を連想させる。
 自分以外の、生きたものがいない世界――
 気が付けば息が弾むほどに歩いていた。そして目の前に人の影が見えてきたのを確認し
て安堵の息を漏らし、
「……!」
 愕然とその表情が凍りつく。近づいてきた自分に振り向いたその人物は二人。かつて、
いや今もなお自分の大切な人であり、そしてもう二度と会えないはずの人だったからだ。
「やぁレイ」
 黒髪の男、ギルが微笑む。
「君もこっちへ来たのか」
 金髪の男、ラウが同じように微笑む。
「こっち……?」
「後ろを見たまえ」
 言われてレイは振り返ると、いつの間にか自分の真後ろに一本の線と、そして向こう側
にはシンやルナマリア、フェイト達六課の面々がいる。
 ラウの言葉の意味を悟ったレイは、慌てて線を超えようと足を踏み出すが、何故か足に
力が入らず、滑ってしまう。
「な……!?」
 起きあがり、見ればなんと両足が細くなっている。枯れ木のような両足には無数の皺が
見え、それはまるで老人のような足だ。
「レイ、言っただろう? 運命からは、逃れられないと」
 耳元で囁かれるギルの声。かつては自分に安心をもたらしたはずの声が今は恐怖しか感
じさせない。
「そう。レイ、君は私だ。――だから君も私と同じ、道を辿るのだよ」
 囁かれるラウの声に、レイは反射的に叫び返す。
「違う! 俺はあなたじゃない! 俺は――」
「違わない」
 いつの間にか後ろに立っていた二人。重なった声がレイの叫びを冷酷に、無慈悲に、否
定する。
「君はラウだ」
「君は私だ」
 前に出るラウ。その姿を見て、レイは恐怖に凍りつく。
 その姿は最後に見たものとは似てもにつかない、誰とも知らない老人の姿だったからだ。
 いや、違う。この老人は――
「君は、私なんだよ。レイ」
 老人が言い、笑う。レイは背を向けて前に進む。足は動かなかったが、這ってでも彼は
前へ進む。
 恐ろしかった。今もなお心の中にいる二人がたまらなく怖かった。自分の安心と安らぎ
をもたらしてくれるはずの二人が――
「おやおや。レイ、いつから君はそんな聞き分けの悪い子になってしまったんだい?」



390 名前:lyrical Seed Destiny mailto:sage [2007/07/26(木) 22:20:08 ID:???]
 小さく笑い、窘めるような口調でギルが言う。その言葉に反射的に何か返そうとするが、
レイは前に進む。
 二人は死んだ。でも俺は違う。生きている、俺はまだ生きている――!
 その思いを一念に前に進むレイ。そしてとうとう白線を越える。すると今まで動かなか
った足に力が入り、レイはシン達の元へ向かう。
「シン!」
 声をかけ、振り向くシン。しかしその表情にはいつもの笑みはなく、
「……誰?」
 見知らぬ誰かに呼ばれた戸惑いとよそよそしさしか感じられない。
 親友の予想もしない態度にレイが愕然としていると、背後からラウの嘲笑うような声が
響く。
「言っただろう? ――君は私だと」
 ふと、下へ視線を向ける。すると白の床には先程のラウの姿が映って――
――いや…違う。これは、これ、は……!
 ラウと寸分変わらぬ自分の姿にレイはへたり込む。周りには誰もいなくなり、体を抱え、
震えるレイの元へ、再びギルとラウの二人が側までやってきて、
「君はラウだ」
「君は、私だ」
 先程と同じ言葉を繰り返す。レイは喉が破けんばかりの絶叫を上げた。


「――っ!」
 目を覚まし、起き上がると周囲は薄暗い闇に覆われている。僅かでも周囲に色の違いが
見えることにレイは安堵する。
 浅く、荒い呼吸を繰り返し今のが夢だと自覚する。しかし体の震えや汗は止まらない。
「うっ…ぐぅ……」
 体を抉るような痛みを感じ、レイは体を縮める。浅く呼吸を繰り返し数分後、痛みが治
まる。
 テロメラーゼ導入による副作用が現れ始めてから連日、今のような悪夢をレイは見てい
た。己を死に誘うような忌まわしく、おぞましい悪夢を。
  内容こそ違えどどの悪夢にもギルとラウの二人が出てきては口にそろえて、言うのだ。
自分はラウだと、運命からは、逃れられないと―――
「違う……。俺はレイ・ザ・バレル。ラウ・ル・クルーゼではない……」
 膝を抱え、レイは己の名を呟く。闇の中、悪夢を振り払うかのように、何度も。


5 


 ざわめく食堂。その一角に六課の面々は集まり、朝食を取っている。
 二つのテーブルを使っており、いつもは賑やかに談笑しつつ食べているのだが、片方の
テーブルは話し声は聞こえず、ただ食器がぶつかる音が響くばかりだ。
 沈黙の原因はフェイトの左横に座るシンだ。一週間前のレイの発作以降、発作の回数が
格段に上がりろくに見舞いに行けていない。主治医に詳しい病状を尋ねるも安堵するよう
な言葉が返ってきていないのだ。
 不安定なシンのことを思ってかはやてがレイの容態が分かるまでは任務から外れたらど
うかとも進言したが、シンはそれを拒否。いつも以上に任務に積極的に、精力的に取り組
んでいる。

391 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:age [2007/07/26(木) 22:21:12 ID:???]
なにこのSS?

夏厨の嫌がらせには迷惑させられるなぁ

392 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 22:22:41 ID:???]
死ねよ軍オタ!

393 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 22:26:39 ID:???]
支援

394 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 22:27:31 ID:???]
支援する

395 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 22:27:58 ID:???]
支援だ

396 名前:タイフーン ◆TZ4rJYsZg. mailto:sage [2007/07/26(木) 22:29:51 ID:???]
このスレは只今より【軍板】学園島戦争 開始23年目【出張所】となります。

既存の住人は今すぐ退去してください。

397 名前:タイフーン ◆TZ4rJYsZg. mailto:sage [2007/07/26(木) 22:31:48 ID:???]
魔法少女(白石学園)とWWU独軍装備学園(稲葉学園)の戦いを描くSS創作及び考察スレです。
世界設定は>>2以降のリンク先にあります。
設定を無視したスレ違いのSS、レス、ニュースコピペの投下は止めてください

必読事項 ↓
1 sage進行でお願いします。
2 SSは要項抜粋の短編、小説型長編のどちらでも可。内容はシリアスでもギャグでも大歓迎です。
3 心無いレスは控えましょう。
  職人方々がやる気を無くし、スレの雰囲気が悪くなります。
4 作者叩きは、禁止。
  何か意見等があれば「○○の部分が、□□のようにおかしい」 「△△のような書き方は気をつけた方がいいと思う」 等、
  言いたいところをできるだけ丁寧に書いてレスして下さい。 より良い作品・スレ作りにご協力下さい。
  「面白い」という意見も、ただ「乙」など一言でも結構ですが、
  「××がよかった」「○に感動した」とか書き込むと、 職人方々にとっては何よりの応援になります。
  荒れそうな議論、突っ込みがあった場合は避難所の考察スレをご使用願います。

  避難所考察スレ
  jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5513/1146160497/

5 荒らしに反応する人も荒らしです。徹底スルーでお願いします。
  反応すると被害が拡大するどころか、削除依頼等が通りにくくなるので注意しましょう。

398 名前:通常の名無しさんの3倍 mailto:sage [2007/07/26(木) 22:31:55 ID:???]
何を支援してるのかは知らないが、作者様はGJです

まぁ夏は仕方ないと思って乗り越えてくださいね、皆さん

399 名前:タイフーン ◆TZ4rJYsZg. mailto:sage [2007/07/26(木) 22:34:44 ID:???]
>>398
夏厨って嫌ですよねw

●まとめサイト1 (過去ログ倉庫)
typhoons.hp.infoseek.co.jp/
●まとめサイト2(SS及びイラストのまとめ等)
tekumakumayakon.blog49.fc2.com/
●学園島戦争まとめwiki(最新のものです)
www.wikihouse.com/typhoon/
●避難所
jbbs.livedoor.jp/otaku/5513/
●画像掲示板(1.5MBまで可)
8217.teacup.com/typhoon/bbs

●世界観についてはこちらをご覧下さい。
tekumakumayakon.blog49.fc2.com/blog-entry-75.html
●年表1
tekumakumayakon.blog49.fc2.com/blog-entry-64.html
●年表2
tekumakumayakon.blog49.fc2.com/blog-entry-70.html

●SS執筆などでお困りの際はこちらへ
軍事板常見問題(FAQ こちらもご利用ください)
mltr.free100.tv/index02.html
WWU欧州戦FAQ
mltr.e-city.tv/faq08.html




400 名前:タイフーン ◆TZ4rJYsZg. mailto:sage [2007/07/26(木) 22:35:43 ID:???]
FAQ

Q:学園島ってなんですか
A:タイフーン◆TZ4rJYsZg.氏が考案した架空の世界で、他の方も参加しシェアードワールドになっております。
 そこでは島全体が回帰圏となっており、稲葉学園と白石学園の間で戦争が起きています

Q:現実世界との関連はあるのですか
A:現実世界と似た発展をしたものの現実世界とは異なる世界です
 また発展の度合いも現実と異なっており、電子機器関係は現代並ながらその他はWW2レベルの科学水準となっています
 さらに、現実では存在しない「魔法」がこの世界では実在しています

Q:回帰圏ってなんですか
A:その範囲で死亡した人が生き返る魔法結界のことです。学園島はこの回帰圏に覆われているため、この島で死んだ人は必ず生き返ります
ただし、生き返るのに要する時間は一定していない上、長期間掛かることもあるようです

Q:なぜ学生たちは戦うの
A:稲葉・白石共に本土の東西国家がバックについており、回帰圏という特殊環境での限定代理戦争といった意味合いが強いです








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