- 274 名前:書斎魔神 ◆AhysOwpt/w [2012/10/08(月) 00:05:18.51 ID:L3C4SAPR]
- 都筑道夫「妖精悪女解剖図」を読む。
2中編・3短編収録。全作講評逝ってみようか!!! ・「霧をつむぐ指」 昭和30年代の東京青春ものかと思いきや、 後半は一気にサスペンス・ミステリへ。予想外の展開と相成る。 しかし、読ませどころは新宿をはじめとした東京風景の活写でしょうな。 とにかくビビッドで郷愁を誘うものあり。 ・「らくがきの根」 読み終えた後に、作品タイトルの意味深さを実感。 やや偶然性が強過ぎる展開は気になるものの、ミステリとしての狙った趣向 の範囲とも言い得ようか。 ・「濡れた恐怖」 東京郊外の新居に住む新妻が経験する恐怖の一夜を描くアルレー風の サスペンス・ミステリではあるが、オチが見え過ぎるのが何とも残念だ。 雰囲気は良しなのに。 ・「手袋のうらも手袋」 一応、ミステリ仕立てではあるが、真面目だが地味でもてないOLの 寂寥感が胸に迫る一編。収録作品中で俺的には一押ししたい作である。 ・「鏡の中の悪女」 数々の謎のメッセージを残して失踪した妻の行方追う男。 移動するガイシャ(このトリックはやや説明不足感ありだが)、 タクシー運転手である義兄の協力を得た主人公の探索行への興趣等、 軽ハードボイルドの魅力も備えたウールリッチ作品や フランス・サスペンス・ミステリの如き作。 予想可能とはいえ、それなりにオチも効いている。
|
|