- 624 名前:名無しさん@恐縮です [2013/08/06(火) 02:07:53.32 ID:iZbfzIqF0]
- 人間性の更なる喪失――他者の苦しみへの無関心
第二次世界大戦の恐怖と流血によって多くの人が他人の苦しみに無関心になった。 のちに著名な物理学者となるフリーマン・ダイソンは、三〇〇機の爆撃機で編成された イギリス空軍の爆撃機派遣団「タイガー・フォース」の一員として沖縄に配属される直前にあり、 他人の苦しみに無関心になる過程をこんなふうに説明している。 十分に守りを固めていたドイツ人の殺戮より、無防備な日本人を殺戮し続けたことに私は不快感を覚えた。 それでも私は止めなかった。戦争にどっぷり浸かったころには、平和のことなど頭から消えていた。 憎悪も慚愧の念もなく殺しつづけた私の魂の空しさを言葉にできる人は現代詩人にはいないだろう。 しかしシェークスピアは理解していた。そしてマクベスにこう言わしめた。 「血の流れにここまで踏みこんでしまった以上、今さら引き返せるものではない、思いきって渡ってしまうのだ」 (『マクベス』福田恒存訳、新潮社より引用)。
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