- 131 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [2012/10/14(日) 09:57:07.05 ]
- >>130
(”-”、”?”などの記号が文字化けするので、貼りなおす) [補題] K を標数 0 の体, K[t] を K の多項式環とし,略. このとき, AB′-BA′=0 ならば, ある c∈K× が存在して A=cB が成り立つ. 次数 deg(P1・P2・・・Pr) は A に対して一意的に定まる. これを N0(A) で表す. K が代数的閉体のとき, K[t] の素元は 1 次式なので, N0(A) は A の相異なる根の個数を表している. [Stothers-Mason の ABC 定理] K を標数 0 の体とし, K[t] を K 上の多項式環とする. A, B, C∈K[t] とし, A, B, C は互いに素で, deg(ABC)?1 であり, A+B+C=0 を満たすとする. このとき, max{degA,degB,degC}<N0(ABC) が成り立つ. [証明] A, B, C は二つずつ互いに素である. 実際, もし仮に A, B が互いに素でなければ, A, B に共通の素因子 P が存在する. C=-A-B より, P|C. これは A, B, C が互いに素であることに反する. 他の場合も同様である. D=AB′-BA′ とおく. A+B+C=0 より A′+B′+C′=0 であるから, D=A(-C′-A′)-(-C -A )A′=CA′-AC′. 同様に, D=(-B -C )B′-B(-C′-A′)=BC′-CB′. さて, degD=deg(AB′-B′A)?max{degAB′,degBA′}?deg(AB)-1<deg(AB) より, degD+degC<deg(AB)+degC=deg(ABC). 同様の議論によって, degD+degA<deg(ABC),degD+degB<deg(ABC) もいえる. ゆえに, degD+max{degA,degB,degC}<deg(ABC).(1) deg(ABC)?1 より, ABC=P1^e1・P2^e2・・・Pr^er のように素元分解することができる. 各 i に対して, Pi^ei|ABC とすれば, A, B, C は二つずつ互いに素であるから, Pi^eiは A, B, C のどれかを割る. Pi^ei|A とすれば, Pi^(ei-1)|A′ であるから, Pi^(ei-1)|D. 他の場合も同様である. よって, Pi^(ei-1)|D(1?i?r)→P1^(e1-1)・P2^(e2-1)・・・Pr^(er-1)|D→ABC|DP1・P2・・・Pr. A, B が互いに素であることと補題より D≠0 であるから, deg(ABC)?deg(DP1・P2・・・Pr)=degD+deg(DP1・P2・・・Pr)=degD+N0(ABC). これと (1) より, 求める結果が得られる. (証明終)
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