1 名前:132人目の素数さん [2006/11/23(木) 21:57:04 ] Kummer ◆g2BU0D6YN2氏が代数的整数論を語るスレです。 前スレ science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1141019088/
981 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 01:59:09 ] p を素数としたとき p = x^2 + 3y^2 を解くことを考えてみよう。 2次形式 (1, 0, 3) = x^2 + 3y^2 の判別式 D は -12 である。 >>408 より判別式 -4 の (a, b, c) が簡約2次形式であるためには gcd(a, b, c) = 1 かつ、 |b| ≦ a ≦ c であり、 |b| = a または a = c のときは b ≧ 0 となることが必要十分である。 >>341 と同様にして a ≦ √(|D|/3) である。 a ≦ √(|D|/3) = 2 4ac = b^2 + |D| = b^2 + 12 よって b^2 ≡ 0 (mod 4) よって b は偶数である。 0^2 + 12 = 4・3 2^2 + 12 = 16 = 4・4 a = 1 のとき (1, 0, 3) a = 2 のとき (2, 2, 2) は原始的でない。 よって判別式が -12 の簡約2次形式は、(1, 0, 3) のみである。 p ≠ 2, 3 として合同方程式 x^2 ≡ -12 (mod 4p) を考える。 x^2 ≡ 0 (mod 4) だから x は偶数である。 x = 2y とおくと y^2 ≡ -3 (mod p) これは (-3/p) = (-1/p)(3/p) = 1 のときのみ解がある。 p ≡ 1 (mod 4) なら (-1/p) = 1, (3/p) = (p/3) p ≡ 3 (mod 4) なら (-1/p) = -1, (3/p) = -(p/3) いずれにしても (-1/p)(3/p) = (p/3) である。 よって (-3/p) = 1 は p ≡ 1 (mod 3) と同値である。
982 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 02:08:41 ] p ≡ 1 (mod 3) のとき x^2 ≡ -12 (mod 4p) の解 l に対して l^2 + 12 = 4pk とする。 p は奇素数だから l とは互いに素である。 よって2次形式 (p, l, k) は正定値かつ原始的で判別式は -12 である。 これは (1, 0, 3) と同値である。 よって (1, 0, 3)σ = (p, l, k) となる σ ∈ SL_2(Z) がある。 σ = (u, q)/(r, s) とする。 >>749 より (1, 0, 3)ε = (1, 0, 3) となる ε ∈ SL_2(Z) は {±1} である。 よって (1, 0, 3) を (p, l, k) に移す SL_2(Z) の元は σ = (u, q)/(r, s) と -σ = (-u, -q)/(-r, -s) の2個である。 よって (u, r) と (-u, -r) が l に対応する p = x^2 + 3y^2 の 解である。 x^2 ≡ -12 (mod 4p) の別の解 -l には 2次形式 (p, -l, k) が対応する。 R = (1, 0)/(0, -1) とすると (1, 0, 3)RσR = (p, l, k)R = (p, -l, k) U = RσR とおく。 U ∈ SL_2(Z) で U = (u, -q)/(-r, s) である。 よって (u, -r) と (-u, r) が -l に対応する p = x^2 + 3y^2 の 解である。
983 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 02:14:29 ] >>981 と >>982 から次の命題が得られる。 命題(Fermat-Euler) p を 3 以外の奇素数とする。 p = x^2 + 3y^2 が有理整数解を持つためには p ≡ 1 (mod 3) が必要十分である。 さらに、このとき解は符号を除いて一つである。
984 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 02:33:12 ] >>978 の命題は Fermat に知られていたが初めて証明したのは Euler らしい。らしいというのは Gauss が Disquisitiones の art. 182 に Lagrange が最初に証明したと書いているからである。 しかもはっきりと Euler は証明に成功しなかったと書いている。 しかし、Weil は「数論」で Euler が証明したと書いている。
985 名前:132人目の素数さん [2007/03/18(日) 02:45:40 ] Kummer ◆g2BU0D6YN2 かっこいい
986 名前:132人目の素数さん mailto:sage [2007/03/18(日) 02:48:40 ] @
987 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 11:36:15 ] 今度は p を素数としたとき p = x^2 + 5y^2 を解くことを考えてみよう。 この問題は >>161 でも考えたし解決済み(>>363 )である。 しかし、2次形式論の応用として証明をする。 2次形式 (1, 0, 5) = x^2 + 5y^2 の判別式 D は -20 である。 >>408 より判別式 -20 の (a, b, c) が簡約2次形式であるためには gcd(a, b, c) = 1 かつ、 |b| ≦ a ≦ c であり、 |b| = a または a = c のときは b ≧ 0 となることが必要十分である。 >>341 と同様にして a ≦ √(|D|/3) である。 よって a ≦ 2 4ac = b^2 + |D| = b^2 + 20 よって b^2 ≡ 0 (mod 4) よって b は偶数である。 0^2 + 20 = 4・5 2^2 + 20 = 4・2・3 a = 1 のとき (a, b, c) = (1, 0, 5) a = 2 のとき (a, b, c) = (2, 2, 3) よって判別式が -20 の簡約2次形式は、(1, 0, 5) と (2, 2, 3) である。
988 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 13:22:45 ] p ≠ 2, 5 として合同方程式 x^2 ≡ -20 (mod 4p) を考える。 x^2 ≡ 0 (mod 4) だから x は偶数である。 x = 2y とおくと y^2 ≡ -5 (mod p) x^2 ≡ -20 (mod 4p) が解けるためには (-5/p) = 1 が 必要十分である。 (-5/p) = (-1/p)(5/p) 平方剰余の相互律から (5/p) = (p/5) である。 よって p ≡ 1, 4 (mod 5) のとき (5/p) = 1 p ≡ 2, 3 (mod 5) のとき (5/p) = -1 一方、p ≡ 1 (mod 4) のとき (-1/p) = 1 p ≡ 3 (mod 4) のとき (-1/p) = -1 よって (-5/p) = 1 は p ≡ 1, 4 (mod 5) かつ p ≡ 1 (mod 4) つまり、p ≡ 1, 9 (mod 20) または p ≡ 2, 3 (mod 5) かつ p ≡ 3 (mod 4) つまり、p ≡ 3, 7 (mod 20) と同値である。
989 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 13:45:35 ] p ≠ 2, 5 として p = x^2 + 5y^2 となる有理整数 (x, y) が あったとする。 p ≡ x^2 (mod 5) だから (p/5) = 1 p ≠ 2, 5 として p = 2x^2 + 2xy + 3y^2 となる有理整数 (x, y) が あったとする。 2p = 4x^2 + 4xy + 6y^2 = (2x + y)^2 + 5y^2 2p ≡ (2x + y)^2 (mod 5) よって (2p/5) = (2/5)(p/5) = -(p/5) = 1 よって (p/5) = -1
990 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 15:39:57 ] p ≡ 1, 2, 3, 9 (mod 20) なら >>988 より x^2 ≡ -20 (mod 4p) に 解がある。 x^2 ≡ -20 (mod 4p) の解 l に対して l^2 + 20 = 4pk とする。 p は奇素数だから l とは互いに素である。 よって2次形式 (p, l, k) は正定値かつ原始的で判別式は -20 である。 よって >>987 より (p, l, k) は (1, 0, 5) または (2, 2, 3) に 同値である。 >>733 より (p, l, k) が (1, 0, 5) に同値なら p = x^2 + 5y^2 となる 有理整数 (x, y) がある。 このとき >>989 より (p/5) = 1 である。 p ≡ 1, 3, 7, 9 (mod 20) であったから p ≡ 1, 9 (mod 20) である。 逆に p ≡ 1, 9 (mod 20) なら (p/5) = 1 だから >>989 より (p, l, k) は (2, 2, 3) に同値ではない。 よって (p, l, k) は (1, 0, 5) に同値である。 以上から p = x^2 + 5y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 1, 9 (mod 20) が必要十分である。 >>977 と同様に、この場合、解は符号を除いて一個である。 同様に p = 2x^2 + 2xy + 3y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 3, 7 (mod 20) が必要十分である。 この場合も、解は符号を除いて一個である。
991 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 16:05:30 ] p ≠ 2, 5 として 2p = x^2 + 5y^2 を考える。 gcd(x, y) = d なら 2p が d^2 で割れるから d = 1 である。 よって解があるなら合同方程式 x^2 ≡ -20 (mod 8p) に解がある。 x^2 ≡ 0 (mod 4) だから x は偶数である。 x = 2y とおくと y^2 ≡ -5 (mod 2p) である。 これは連立合同方程式 y^2 ≡ -5 (mod 2) y^2 ≡ -5 (mod p) と同値である y^2 ≡ -5 (mod 2) は常に解 y ≡ 1 (mod 2) をもつから、 x^2 ≡ -20 (mod 8p) に解があるなら (-5/p) = 1 である。 よって >>988 より p ≡ 1, 3, 7, 9 (mod 20) である。 一方、2p = x^2 + 5y^2 なら x^2 ≡ 2p (mod 5) よって (2p/5) = 1 (2p/5) = (2/5)(p/5) = -(p/5) よって (p/5) = -1 となる。 よって p ≡ 3, 7 (mod 20) である。 よって >>990 と同様に 2p = x^2 + 5y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 3, 7 (mod 20) が必要十分である。
992 名前:Kummer ◆g2BU0D6YN2 [2007/03/18(日) 16:14:17 ] >>990 と >>991 をまとめると次の命題が得られる。 命題(Fermat-Euler-Lagrange) p ≠ 2, 5 を素数とする。 (1) p = x^2 + 5y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 1, 9 (mod 20) が必要十分である。 (2) p = 2x^2 + 2xy + 3y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 3, 7 (mod 20) が必要十分である。 (3) 2p = x^2 + 5y^2 となる有理整数 (x, y) があるためには p ≡ 3, 7 (mod 20) が必要十分である。 上記のいずれの場合も解は符号を除いて一意である。