- 578 名前:現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む [2019/04/15(月) 07:29:21.38 ID:GY+CIXbC.net]
- >>522
つづき さて,本稿を執筆するにあたって,筆者は二つのことを目標とした.まず一つ目 は,エタールコホモロジーの理論そのものの概説である.エタールコホモロジーに ついては SGA ([SGA4], [SGA5], [SGA7], [SGA4 12]) というこの上ない基本文献が あるうえ,そのダイジェスト版としても [SGA4 12, Arcata] という極めて優れた文献 がある(エタールコホモロジーの理論の基礎が,証明付きでたった 70 ページ程度で 紹介されている!).そのため本稿の前半部では,エタールコホモロジーの導入部 分や各基本定理の間の相互関係などを強調することで,これらの文献へと円滑に入 門できることを目標とした.二つ目は,エタールコホモロジーを用いて如何にして Galois 表現を構成するか,また,如何にして構成した Galois 表現を調べるかをで きるだけ一般的な立場から紹介することである.Galois 表現の理論へのエタールコ ホモロジーの応用が盛んになったのは SGA 以後であることもあり,エタールコホ モロジーを用いて Galois 表現を調べる技術をまとめた文献はほとんどないようで ある.そのため本稿の後半部では,このような内容についてなるべく詳しく解説す ることにした.理解の助けになると思われる具体例や練習もいくつか入れてある. 後半部を読むにはある程度コホモロジー論に対する慣れが必要かもしれない.本稿 で初めてエタールコホモロジーに触れる読者の方は,3.3 節まで読めば十分だと思 われる.逆に,SGA の内容を把握している読者の方は,第 1 節は飛ばしても支障 はないはずである. なお,コンパクト台コホモロジーや係数理論と 6 つの関手についてなど,本稿で 一切触れることができなかった重要な概念もいくつかある.これらについては適宜 文献を参照していただきたい.SGA, [Del3], [BBD] といった定番の他,[KW] もな かなかよい本だと思う. この記事が少しでも読者の方々のエタールコホモロジーに対する理解の助けとな れば幸いである. (引用終り) 以上
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