- 259 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む mailto:sage [2017/02/05(日) 10:15:51.01 ID:bpE9vyHQ.net]
- つづき
個人が抱える「鬱屈」テーマに 同じ時代小説の市井ものでも、藤沢以前の山本周五郎のテーマは貧困だったと高橋教授。対して、藤沢作品には貧困を核にする小説は一編もないという。藤沢作品のテーマはそれぞれの個人が抱える「鬱屈」だ。 「行け行けどんどんの時代が終わってよく見ると、人はそれぞれ傷つきながら生きている、苦しみの中を生きているということが分かった。藤沢は、その傷をどういうものか見せてくれる。個人の抱える悩みに直面させた作家なんだと思います」 親と子の関係に悩む人もいれば、仲間との行き違いもある。そこには一人一人が抱える「事情」があり、いわば身の回りのありとあらゆるものがテーマとなり得る。「山本が一面体なら、藤沢は多面体。いろいろなものを取り入れ抱え込むので、読者を飽きさせない。ブームが長持ちするのもそこに理由があります」 初心者には「玄鳥」「又蔵の火」「風の果て」 藤沢作品を読んだことがない人に、高橋教授お薦めの作品を三つ挙げてもらった。選ばれたのは、短編、中編、長編から1作ずつ。「玄鳥」、「又蔵の火」、「風の果て」(いずれも文春文庫)だ。 「玄鳥」は剣士として高名だった亡き父の秘伝を受け継いだ娘が、上意討ちに失敗し左遷され周囲の笑いものになっている男に、その秘伝を教えようとする話。「直木賞を取った『暗殺の年輪』ともよく似ていて、
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