- 247 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む mailto:sage [2017/02/05(日) 09:09:15.90 ID:bpE9vyHQ.net]
- つづき
注意 ある圏 C に対しては茎を定義するのに使われる直極限が存在しないかもしれない.しかしながら,実際に現れるほとんどの圏に対しては存在する,例えば集合の圏や,アーベル群や環のような代数的対象のほとんどの圏で,それらはすなわち余完備(英語版)である. x を含む任意の開集合 U に対して自然な射 F(U) → Fx が存在する:それは F(U) における切断 s をその芽 (germ), すなわち直極限におけるその同値類に送る.これは芽の通常の概念の一般化であり,X 上の連続関数の層の茎を見ることで復元できる. 例 芽はある層に対して他の層よりも有用である. 定数層 ある集合あるいは群など S に付随した定数層 S _ は各点において茎として同じ集合あるいは群を持つ:任意の点 x に対して,開連結近傍を選ぶ.連結開上の S _ の切断は S に等しく,制限写像は恒等写像である.したがって直極限はつぶれて茎として S を生み出す. 解析関数の層 例えば,解析的多様体(英語版)上の解析関数の層において,点における関数の芽は点の小さい近傍において関数を決定する.その理由は,芽は関数の冪級数展開を記録し,すべての解析関数は定義によりその冪級数に等しいからである. 解析接続を用いて,点における芽が関数がいたるところ定義できるような任意の連結開集合上関数を決定することが分かる.(これはこの層のすべての制限写像が単射であることを意味しない!) つづく
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