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現代数学の系譜11 ガロア理論を読む29



201 名前:2/04(土) 10:59:22.71 ID:XwEr6h4/.net mailto: つづく

この層の定義は H. Cartan によるが,それは岡潔君
の不定域イデアルの概念を基に抽象化し公理的に述べた
ものなのである.(尤も他方 Leray が別の立場から層を
考えてはいたが.)かかる不定域イデアルとか,層とかい
うような概念が生み出されざるを得なかった根本的な因
由は,実に n≧2 なることに存する. n=1 ならば問題は
なかった. η=1 ならば,複素直線( 即ちガウス平面)
の完備化(無限遠点を追加して閉じた面とする)は唯一
通りよりなくわれわれの慣れている数球面(即ち射影直
線)を取ることであるに対し, n≧2 の場合には複素ア
フィン空間の完備化は幾通りにも可能である.というよ
うに, n=1 と n≧2 とでは根本的な差があるのである.
n=1 ならば閉じていさえすれば,どんな複素解析的な
Riemann 多様体もすべて射影空間に入って了うが, n≧
2の場合には閉じていても,射影空間(どんなに高次元
にとっても)には入り得ないものが存在するのである
(これは直ぐ円環体で例示される). 即ち n≧2 では最早
や射影空間(といっても複素的射影空間であるが)は絶
対者ではあり得ない.すると射影空間に入るような閉じ
た解析多様体の特性如何という問題が直ちに提出されよ
うが,これに解決を与えたのが小平君である.

(引用終り)
[]
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