- 577 名前:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む mailto:sage [2016/12/23(金) 11:19:53.71 ID:5O/87XDw.net]
- つづき
おわりに 以上、Tsallisエントロピーに基づく非加法的統計力学の理論的枠組みとその応用について概観してきた。 この解説の冒頭で述べたように、この理論はまだ完成されたものではなく、明らかに発展の途上にある。非常に基本的でありながら理解できていないことがいくつか残っている。例えば、熱力学第ゼロ法則である。 これに関しては、ごく単純な系の場合に限って定式化されているのみであり、一般的な議論が待たれる。また、ごく最近見い出されたBoltzmann-Gibbs極限(と熱力学的極限の交換不可能性という事実も、その物理的意味はまだはっきりしていない。 いわゆるGibbsの定理というものがある。 歴史的には、・・繰り返し証明されてきた事柄なのである。したがって、もしこの主張が正しいならば、論理的問題として、Tsallisエントロピ−などを考える余地はまったくない、ということになる。 しかしながら、この“定理”が実は普遍的ではなく、「ミクロカノニカル集団理諭から導かれるカノニカル集団理論は一意的でない」ことが見い出された。 そして、Boltzmann-Gibbsのカノニカル集団理論以外の理論体系として、Tsallisの非加法的統計力学が確かに導かれることが証明されたのである。 このことは、平衡統一計力学がBoltzmann-Gibbs理論に限定されるものではなく、実はもっと豊かな体系であり
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