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FFの恋する小説スレPart5



1 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ mailto:sage [2005/12/17(土) 15:08:53 ID:GxaSj02M0]
文章で遊べる小説スレです。
SS職人さん、名無しさんの御感想・ネタ振り・リクエスト歓迎!
皆様のボケ、ツッコミ、イッパツネタもщ(゚Д゚щ)カモーン
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 ※(*´Д`)ハァハァは有りですが、エロは無しでお願いします。
 ※sage推奨。
 ※己が萌えにかけて、煽り荒らしはスルー。(゚ε゚)キニシナイ!! マターリいきましょう。
 ※職人がここに投稿するのは、読んで下さる「あなた」がいるからなんです。
 ※職人が励みになる書き込みをお願いします。書き手が居なくなったら成り立ちません。
 ※ちなみに、萌ゲージが満タンになったヤシから書き込みがあるATMシステム採用のスレです。
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前スレ
FFの恋する小説スレPart4
game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1101760588/

記述の資料、関連スレ等は>>2-20にあるといいなと思います。

701 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティY(34) mailto:sage [2006/06/13(火) 04:20:06 ID:ExNTDCHB0]
>>680-683より。
----------

 ――ミッドガルの住民達に対する最低限の責務であり、最高の仕事。

 説得と視察のために、何度も歩いたミッドガルの雑然とした街並みが。
 自分に向けられた多くの住民達の表情や、声が。
 そして、この都市を去っていったあの老夫婦の笑顔と、後ろ姿が。
 彼女の言葉から一瞬にして思い起こされたそれらの記憶に、リーブは
言葉を止め、足下を見つめた。

 ――願わくば、自分達の作った新しい都市で暮らして欲しい。

 地面に転がったぬいぐるみを今一度拾い上げれば、懲りもせずに愛くる
しい笑顔を向けてくれる。「何度もすまんな」と呟くかわりに、優しくその額を
撫でてやる。
 こうして幾分か落ち着きを取り戻したリーブは、改めて問うのだった。
「……なら聞かせてくれへんか? 今回の配置転換の意図は何やったんか」
 今さら引く気はない。この後事態がどう展開しても後悔はしないだろう。
ただ、納得のいく回答を聞くまでは、追及の手をゆるめるつもりはなかったし、
とうに覚悟はできている。
 ひときわ強い風がリーブの背を叩いた。飛ばされてしまわないようにと、
ぬいぐるみを脇に抱え直す。
 そうして、彼女からの返答を待った。

702 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティY(35) mailto:sage [2006/06/13(火) 04:24:59 ID:ExNTDCHB0]



 電話を手にしたまま、本来ならこの場所からは見えないはずの空を見上げて
息を吐き出す。それからゆっくりと、彼女は語り始めた。
 しかし残念ながらそれは、リーブの問いに対する返答ではなかった。
「……リーブ君。あなた……神の存在を信じる?」
 通信の向こうにいる男に向けて問いかける。ロケットが墜落した地点から
プレートを挟んでちょうど真下に位置する五番街の一角に、彼女は立っていた。
『いきなり何ですか?』
「私、神なんて存在を信じてなかったわ。いいえ、今でも信じてない」
『はあ……』
 電話の向こうでリーブが呆れ声になっているのは気にせず、彼女は話を
続ける。
「でもね……。今は、今だけなら信じても良いかもしれない。そう、思っているわ」
『そう思わせる根拠が……あるんですか?』
 リーブの問いかけに応じるようにして、彼女は背後にそびえる建物に向き直ると、
それを見上げた。
「ええ。今、私の目の前に」

 彼女の前には、教会があった。
 その頂に、ロケットが突き刺さったまか不思議な教会が。

703 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティY(36) mailto:sage [2006/06/13(火) 04:58:41 ID:ExNTDCHB0]

                    ***

 リーブがその光景を目にする頃には、頭上高くで輝いていた太陽は姿を消し、
すでに月が顔を出していた。
 結局、あれから一旦は本社に戻ったリーブは、軍への出動要請や関係各所への
手続をひとまず「主任不在」として済ませ、それから現地へ向かったからだった。
 実際に現場を目の当たりにした今でも、目の前の光景を信じられずにいた。
ロケットの推進剤として用いられる燃料は可燃性が高く、一般的には打ち上げ後、
燃焼は制御できないはずだ。墜落したとなれば機体は破壊され、爆発は避けられ
ない。そう考えるのが自然だった。
 だがプレートを突き破ったロケットは、教会の屋根に突き刺さった状態で原形を
とどめていた。機体に加わる衝撃を、プレートと教会の屋根が吸収してくれたのだろうと
漠然と考えたが、それはあまりにも不自然で、まさに「奇跡」としか言いようのない
現象だった。
「……神は、おるのかも知れんな」
 日中、電話での会話を思い出したリーブは思わず零すのだった。
 いっそ滑稽にも映るその光景を見やりながら、どこか他人事のような気になったのは、
確率にして考えるには途方もなく低い上に、およそ人間の意志が関与できる範囲の外で
起きた出来事だと結論づけたからだった。
 前代未聞の大事故ではあったが、落下した教会の外壁やプレートの破片などによる
負傷者を出した程度の被害で済んだのは、不幸中の幸いと言えた。
 すでに教会周辺の現場は警戒域として神羅軍の監視下に置かれ、部外者の立入が
規制されていた。住民達がこの光景を目にすることは殆どなかったが、起こった事実
までもを全て隠すことはできなかった。一部の住民の間では、このロケット墜落に関して
いくつもの噂がささやかれる様になった。神羅内部の権力抗争だとか、新兵器の実験
だった、などが主な物だったが、どれも真相にたどり着けたとは言い難い。
 しかしそれもすぐに立ち消えてしまい、やがてはロケット墜落の事実そのものが人々の
記憶から薄れ、ついには話題に上る事さえもなくなることになるのだが、それはずいぶん
先の話だった。

704 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティY(37) mailto:sage [2006/06/13(火) 05:03:57 ID:ExNTDCHB0]
「……ご苦労様」
 被害状況報告書を作成するための実地見分を終え、機材を片付けている
リーブの背後で、彼女の声がした。
「まったく、……このロケットのお陰で今日はさんざんな目に遭いましたよ」
 鞄を閉めて苦笑しながら振り返ったリーブに、彼女は笑顔を作るわけでもなく
頷いた。彼らの横を、ひっきりなしに軍関係者やロケット解体・回収班が行き
交っていたが、ふたりとも気に留める様子はなかった。
「私達の仕事はとりあえずここまでね」
「住民は?」
「周辺地域住民の避難誘導と、負傷者の搬送は日中のうちに完了しているわ、
安心してちょうだい」
「そうですか」
 こともなげに語る彼女を見て、やはりリーブは彼女が主任たる人物だと改めて
実感した。現に、軍への要請をした際も、既に彼女が下準備を整えてくれていた
お陰で、手続そのものには時間を要することがなかったのだ。
 それから彼女は踵を返すと、教会を背に歩き出した。
「どちらへ?」
「もう、ここに用はないわ」
「主任?」
「…………」
 その言葉を最後に歩き出す彼女の後を追って、リーブも教会前を出た。

705 名前:鼓吹士、リーブ=トゥエスティY(38) mailto:sage [2006/06/13(火) 05:12:06 ID:ExNTDCHB0]
 ふたりは無言のまま、五番街の中を歩き続けた。軍出動によって沸き立つ
市街地を抜けると、やがてゲートが見えてくる。ここまで来ると人気もほとんどなく、
喧噪は遠くに聞こえるのみだった。
 そうしてようやく、彼女は口を開いた。
「昼間は悪かったわ。時間がなかったとはいえ、あなたの心情をまったく考えずに
……申し訳ないと思ってる」
「……いいえ。その、こちらも言い過ぎました……すみません」
 ぎこちない会話を交わしながら歩くふたりの間を、生暖かい風が吹き抜ける。
舗装の割れ目から芽吹く草を揺らし、ざわざわと風にそよぐ小さな音に促される
ようにして見上げた夜空に月はなく、ぼんやりとプレートの底面が見えるのみで、
ロケットが開けた穴がなければ昼か夜かさえも分からない。
 ゲートから一歩出れば、むき出しの大地と澄み渡った空が彼らを迎えてくれるはずだ。
それを目指してまっすぐ、彼女はゲートへ向けて歩を進める。
「昼間……あなたに『神はいるか』と聞いたの、覚えてる?」
「はい」
 そのあと彼女は『神という存在を信じない』とも言っていた。リーブもどちらかと
言えば同じ考えだった。ただ、今回のロケット墜落の一件に関してのみで問うならば、
その限りではないだろう、とも。
 そこまで考えて、なんとも都合良く現れてくれる神だろうと、リーブは内心で苦笑した。
 しかし、彼女は思いがけないことを口にする。

「神など存在しない……だから神羅はこの都市で、『神』になろうとしている……」

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